JP6211281B2 - 液状化を考慮した地盤補強深度の設計方法 - Google Patents
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Description
液状化危険度の評価方法としては、スウェーデン式サウンディング試験結果や、地形区分から判定する簡易法と、標準貫入試験や土質試験を行って判定するFL法等の詳細法の2つに大別される。
Fl=R/L …(式1)
ここで、R:液状化抵抗比
L:繰返しせん断応力比
とし、
前記液状化抵抗比Rを求める演算に用いるN値を、スウェーデン式サウンディング試験結果から得られる換算N値(NSWS)から求めた値とし、
前記液状化抵抗比Rを求める演算に用いる土質を砂質土と仮定し、細粒分含有率に仮定値を用い、
前記繰返しせん断応力比Lは、地表面最大加速度αと地表面からの深さxを用いた換算式により求め、
前記繰返しせん断応力比Lの前記換算式で用いる土の単位体積重量に仮定値を用いる
ことを特徴とする。
なお、前記N値は、地盤の硬さを示す指標であり、標準貫入試験(SPT試験)において、一定力でパイプを300mm地中に貫入させるための打撃回数である。前記Fl値は抵抗率とも呼ばれる。
Fl値は、上記の(式1)で与えられるが、その計算に液状化抵抗比Rと、繰返しせん断応力比Lを求めることが必要である。
液状化抵抗比Rは、本来はN値を用いて計算される。このN値は標準貫入試験で求められる値であるが、スウェーデン式サウンディング試験により得られる換算N値(NSWS)によると、前記N値に代わる値としてある程度精度良く見做せる値が得られる。そのため、前記N値の代わりに用いることで、標準貫入試験に比べて簡単なスウェーデン式サウンディング試験により、液状化抵抗比Rを精度良く求めることができる。
また、液状化抵抗比Rの計算には、この他に土質、細粒分含有率が必要であり、前記繰返しせん断応力比Lを求める前記換算式には、土の単位体積重量が必要である。これら土質、細粒分含有率、および土の単位体積重量は、いずれも土質試験によって得られる値であるが、土質試験を実施しないこの発明方法から得られた必要補強深度を用いれば、液状化被害を免れる(建物の不同沈下量が6/1000未満)ことができることを実物件の調査結果から確認できた。
前記単位体積重量については、2.0tf/m3と仮定することが好ましく、これにより、地盤の補強深度につき、実際に状化被害を免れた実物件の補強深度に対して大きな誤差のない妥当な結果が得られた。
スウェーデン式サウンディング試験は、JIS規格にも定められているが、ロッドを地面に貫入して、その貫入抵抗を測定することで、地盤の強さである換算N値(NSWS)を求めることができる試験である。
(1) 計算方法には、既存のFL法を用いる。
(2) 地震動の設計条件は、M=8.0、γn=0.7、α(max)=150gal 、
(3) 土質条件は全て砂質土、単位体積重量2.0tf/m3、細粒分含有率10〜20%(標準10%)とする。
(4) 上記設定条件と簡易な地盤調査の結果から安全率であるFl値を算定する。
(5) この判定を地盤の補強設計、基礎形式の選択に必要な調査箇所分だけ実施し、調査箇所別に必要補強深度を設定する。
(6) 必要補強深度は、深さ方向に安全率であるFl値が1未満の層がなくなる深度までを標準とする。
この求めた換算N値(NSWS)を図2の地盤補強深度設計装置1に、その入力手段4から入力する(S2)。
FL法では、N値、土質、細粒分含有率、および土の単位体積重量等が必要であるが、この実施形態の設計方法,装置では、上記N値に、上記の入力された換算N値(NSWS)から求めた値を用いる。また、土質は砂質と仮定し、細粒分含有率、土の単位体積重量、および他の必要な各値は、仮情報等設定手段2に設定された仮定値もしくは設定値を用い、または前記所定の計算式の式中に定数として設定しておいて用いる。ただし、地下水位は調査結果を用いる。
FL法によるFl値は、次の(式1)によって定められる。また、Fl値が1.0を下回る層については、液状化するものと見做す。
Fl=R/L …(式1)
ここで、R:液状化抵抗比
L:繰返しせん断応力比
そこで、補強深度の計算のステップS3では、前記Fl値が1以上となる最も浅い前記深さxを、地盤の補強が必要な深さとして計算する。
図9中の臨界せん断ひずみ曲線5%を用いて、補正N値(Na)に対する飽和土層の液状化抵抗比R=τl/σ‘zを求める。ここにτlは、水平面における液状化抵抗である。
この場合に、(N値)= 2×WSW+0.067×NSW
ここで、 WSW:荷重(kN)
NSW:1mあたりの半回転数(回)
とする。
なお、ここでいうNSWとNSWSは異なり、(N値=NSWS)である。
なお、図3に示すように、地盤のマグニチュードMは、発生推定値である。γnは、等価な繰り返し回数に関する補正係数であり、γn=0.1×(M−1)である。地表面最大加速度αは、設計用水平加速度であり、設計者の設定値(検討地盤の地震の震度)である。地下水位の深さは、地盤調査または各種資料から求めた調査値を用いる。
上記のように仮定しまたは設定する各値を、仮定情報等設定手段2に設定しておく。
図10〜図14は、必要補強深度検討方法のパターンを示す。このうち、図10A、図10B、図11は標準の場合、すなわち最下端の層の安全率FlがFl≧1の場合を示す(「パターンA」と称す)。図12〜図14は非標準の場合、すなわち、最下端の層の安全率FlがFl<1の場合を示す(「パターンB」と称す)。なお、図12を測点別に拡大して図13A〜図13Cに示す。
このFl値の判定結果を地表面から順に深度方向へ確認し、判定結果「NG」がなくなる深度の最も浅い深度(図10A、図10Bの太線枠内)を「必要補強深度」とする。
ただし、パターンBでは、Fl値の判定結果を地表面から順に深度方向へ確認し、判定結果「NG」が初めて「OK」に変わる深度(図12、図13A〜図13Cの太線枠内)を「必要補強深度」とする。
なお、図12の例の場合、測点2は、必要補強深度5.25mとなるが、最終判断としては、その他の測点を考慮し、必要補強深度は12.0mとなる。最終的には、設計者の判断に委ねている。
また、Fl値の計算には、この他に土質、細粒分含有率、土の単位体積重量γが必要であり、これらはいずれも詳細な土質試験によって得られる値であるが、仮定値を用いるため、土質試験を行うことなく、Fl値を得ることができる。調査の結果、前記の各値につき、多くの地域では、前記各値につき、適切に仮定した値を用いることで、土質試験を実施しないこの発明方法から得られた必要補強深度を用いれば、液状化被害を免れる(建物の不同沈下量が6/1000未満)ことができることを実物件の調査結果から確認できた。
(1) 液状化被害を受けた地域において地盤補強工事を行い、かつ、建物の沈下量(最大傾斜角)が6/1000未満であった物件を抽出する(なお、後に掲載した表2の10物件は、このように抽出した物件)。
(2) 抽出した物件の補強深度とこの実施形態の手法で検討した必要補強深度とを比較する。
(3) 最適な土質状態(細粒分含有率)を設定する(10%を標準とした)。
このように、この実施形態による地盤補強深度の設計方法によると、多くは補強深度(実績)に対して妥当な値となっており、残りは補強深度(実績)に対して過剰な値となっており、適切な地盤補強深度の設計が行えることが分かる。
2…仮定情報等設定手段
3…補強深度計算手段
Claims (4)
- 地盤の液状化に対する安全率Fl値が1未満までの深さを地盤の補強が必要な深さとして設計する液状化考慮・地盤補強深度の設計方法において、
Fl=R/L …(式1)
ここで、R:液状化抵抗比
L:繰返しせん断応力比
とし、
前記液状化抵抗比Rを求める演算に用いるN値を、スウェーデン式サウンディング試験結果から得られる換算N値(NSWS)から求めた値とし、
前記液状化抵抗比Rを求める演算に用いる土質を砂質と仮定して、細粒分含有率に仮定値を用い、
前記繰返しせん断応力比Lは、地表面最大加速度αと地表面からの深さxを用いた換算式により求め、
前記繰返しせん断応力比Lの前記換算式で用いる土の単位体積重量に仮定値を用いる、
ことを特徴とする液状化考慮・地盤補強深度の設計方法。 - 請求項1に記載の液状化考慮・地盤補強深度の設計方法において、前記細粒分含有率を10〜20%の範囲で設定した値とする液状化考慮・地盤補強深度の設計方法。
- 請求項2に記載の液状化考慮・地盤補強深度の設計方法において、前記細粒分含有率を10%とする液状化考慮・地盤補強深度の設計方法。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の液状化考慮・地盤補強深度の設計方法において、前記単位体積重量を2.0tf/m3と仮定する液状化考慮・地盤補強深度の設計方法。
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