JP6208510B2 - 複合素材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、母材表面にカーボンナノチューブ(以下、CNTと略称する)が付着した複合素材の製造方法に関するものである。
かかる複合素材では、母材表面にCNTが均一に付着してCNTネットワークを形成していることが、複合素材としての機能を発揮するうえでは望ましい。
このような複合素材は、CNTがナノレベルで分散された溶液(明細書中ではCNT分散液と略す場合がある)の中に母材を投入し、母材表面にCNTがネットワークをなして付着した後、CNT分散液中から母材を引き上げ乾燥させることで、製造されている。
しかしながら、CNTはファンデルワールス力によりCNT分散液中で不可逆に凝集するので、母材表面にCNTを均一に付着させてCNTネットワークを形成させるには、溶液中に、多量に分散剤を投入してCNTの凝集を防止してCNTを分散させる必要がある。
また、この分散に際しては、CNT分散液に補助的に超音波の照射が行われたり、攪拌が行われたりする(特許文献1参照)。分散剤はCNTの分散に必要であり、一般に前記複合素材の製造過程では必須のものとして使用されていた。
そのうえ、CNT分散液には、前記分散剤に加えて、母材表面にCNTを接着させるために接着剤やその他の添加剤等も投入されている。
こうして製造された複合素材は、母材にCNTが複合していることにより、母材の機能だけでなく、複合素材としてCNT由来の電気導電性、熱伝導性、機械強度、等が向上することが期待される。
特開2010−59561号公報
前記した複合素材は、複合素材としての電気導電性、熱伝導性、機械強度等の性能を向上させるために、一般に、CNTを母材表面に対して高濃度に付着させることで、母材表面に高密度にCNTネットワークを構築させることが考えられる。
しかしながら、CNTを大量に使用し、CNT濃度を高濃度にして、母材に大量にCNTを複合すると、母材本来の機能が損なわれるおそれがある一方、CNTを大量複合しても、複合素材の電気導電性、熱伝導性、機械強度、等が、実用化の要求レベルに到達するには至らない。
その要因は、CNTの分散剤や、CNTを母材に接着させる接着剤等が、絶縁性あるいは熱伝導不良を招く介在物となっていることにあると考えられるのであるが、それら分散剤や接着剤は、母材表面にCNTを均一に付着させるうえでは必須のものであり、使用せざるを得なかった。
本出願人は、上記に鑑みて、特願2013−098905(平成25年5月8日出願)の発明でCNTの分散と接着には必須であった分散剤や接着剤等の介在物が無くてもCNTの分散性を良好に保つ一方、母材に対するCNTの使用量を少量(低濃度)として母材本来の機能を発現可能とすると同時に、少量のCNTでありながらもCNT由来の電気導電性、熱伝導性、機械強度等の機能を発揮させて実用化の要求レベルを満足する複合素材を既に提供している。
しかしながら、上記本出願人の出願に係る複合素材(以下、先願発明という)の製造方法では、母材の表面に対してCNTの付着状態、すなわち、母材の表面に付着されたCNTの膜厚の均一性、或いは、母材表面全体へのCNTの付着量(濃度)、等を制御することが困難であった。
本発明は、先願発明において、当該表面に対するCNTの付着状態を任意に制御して複合素材を製造する製造方法を提供することを目的としている。
本発明による複合素材の製造方法は、分散剤および接着剤を非含有の溶媒中に複数のカーボンナノチューブを分散させることにより第1カーボンナノチューブ分散液を作製し、前記第1カーボンナノチューブ分散液に対して所定のエネルギーを付与することにより前記複数のカーボンナノチューブが分散する状態と凝集する状態とが可逆的に起きる可逆反応状態を作り出し、前記複数のカーボンナノチューブを付着させる対象物を前記可逆反応状態にある前記第1カーボンナノチューブ分散液中に浸漬し、前記対象物の表面に前記複数のカーボンナノチューブを付着させた後に引き上げて乾燥させることにより、前記複数のカーボンナノチューブが前記対象物の表面に直接付着している母材準備する準備工程と、分散剤および接着剤が非含有の溶媒中に前記複数のカーボンナノチューブが分散している分散状態にあり、機械的な振動が印加されることにより前記複数のカーボンナノチューブが前記分散状態から凝集状態となる第2カーボンナノチューブ分散液作製する第2カーボンナノチューブ分散液作製工程と、前記第2カーボンナノチューブ分散液に前記母材を浸漬し、前記母材が浸漬されている前記第2カーボンナノチューブ分散液に対して前記振動を印加することにより、前記第2カーボンナノチューブ分散液中に分散している前記複数のカーボンナノチューブを前記母材の表面に付着させる浸漬工程と、前記浸漬工程の次工程として、前記第2カーボンナノチューブ分散液から前記母材を引き上げて乾燥させる乾燥工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、前記浸漬工程及び乾燥工程が母材の表面に前記CNTが所定の状態に付着するまで繰り返されるので、母材表面にCNTが所定の付着状態で付着した複合素材を製造することができる。
なお、母材の表面に前記CNTが所定の状態に付着するまでこの浸漬工程及び乾燥工程の繰り返し回数とか、各工程に要する時間を制御するとよい。
なお、前記介在物には、CNTを溶液中で分散させるための分散剤や、その溶液中に母材を投入し、その母材表面にCNTを接着させるための接着剤やその他の添加剤、等を例示することができる。
また、前記介在物は、少なくとも分散剤および接着剤等の絶縁性を有する物や熱伝導性不良の物を含む。
さらに、CNTは、その種類に限定されない。
前記所定の状態には、母材の表面に対するCNTの膜厚均一性、或いは、母材表面全体へのCNTの付着量、等を含む。前対象物は、炭素繊維であることが好ましい
前記準備工程において、前記可逆反応状態にある前記第1カーボンナノチューブ分散液中の前記複数のカーボンナノチューブが分散する状態から凝する状態に移行する際に、前記複数のカーボンナノチューブを、前記対象物の表面に、互いにネットワーク状に絡み合わせて、直接接触ないし直接接続させて前記対象物の表面に直接付着させることが好ましい
記第2カーボンナノチューブ分散液作製工程は、分散剤および接着剤が非含有の溶媒中に前記複数のカーボンナノチューブを投与してカーボンナノチューブ溶液を作製する工程と、前記カーボンナノチューブ溶液に対して前記所定のエネルギーを付与し、前記カーボンナノチューブ溶液を前記可逆反応状態にする工程と、前記カーボンナノチューブ溶液に対する前記所定のエネルギーの付与を停止し、前記分散状態が維持された前記カーボンナノチューブ溶液を前記第2カーボンナノチューブ分散液としてる工程と、を含むことが好ましい。
記第2カーボンナノチューブ分散液作製工程は、前記第2カーボンナノチューブ分散液中の前記複数のカーボンナノチューブの濃度を調製する濃度調製工程を含み、前記浸漬工程は、前記乾燥工程を経た前記母材の表面における前記複数のカーボンナノチューブの付着状態に応じて、前記濃度調製工程で濃度調製済みの前記第2カーボンナノチューブ分散液を用いて繰り返し実施されることが好ましい。
好ましくは、前記所定のエネルギ−は、超音波エネルギ−である。
本発明の製造方法によれば、CNTが所定の状態で付着した複合素材を製造することができる。
本発明の実施形態に係る製造方法の工程図である。 (a)は、工程(2)で製造した第1CNT分散液を、(b)は、一般のCNT分散液を、それぞれシリコン基板上に少量滴下し、オーブン中で400℃にて1時間乾燥したときのCNTそれぞれのSEM写真である。 (a)は、工程(2)で製造した第1CNT分散液中のCNTのTEM(透過型電子顕微鏡)写真、(b)は(a)の一部の拡大SEM写真である。 (a)は、母材の概略構成図、(b)は、(a)の母材の一部を拡大しその断面の概念構成図である。 工程(4)で作製した第2CNT分散液の概念構成図である。 (a)は、工程(4)で作製した第2CNT分散液が入っている透明容器の写真、(b)は、(a)の透明容器中のCNT分散液のCNTが分散している状態を示す写真、(c)は(b)のCNT分散液中のCNTが凝集している状態を示す写真である。 (a)は、工程(5)及び工程(6)の1回目の実施の説明に供する工程概念図、(b)は、工程(5)及び工程(6)の2回目の実施の説明に供する工程概念図、(c)は、工程(5)及び工程(6)の3回目の実施の説明に供する工程概念図である。 何も処理されていない炭素繊維のSEM写真である。 図8Aの炭素繊維から工程(3)の実施で製造された母材のSEM写真である。 図8Bの母材から、工程(5)及び工程(6)の実施(図8Bの母材に対して1回目の実施)で製造された母材のSEM写真である。 図8Cの母材から、工程(5)及び工程(6)の追加実施(図8Bの母材に対して2回目の実施)で製造された母材のSEM写真である。 図8Dの母材から、工程(5)及び工程(6)の追加実施(図8Bの母材に対して3回目の実施)で製造された母材のSEM写真である。
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態に係る複合素材の製造方法を説明する。
実施形態の複合素材は、炭素材料、樹脂材料、金属材料、セラミック材料などの表面にCNTが付着しているものを母材とする。特に、実施形態では、炭素繊維表面にCNTが付着した複合素材を母材の一例として用いる。
図1は、本発明の実施形態の製造方法の工程図である。同図並びにそれに関連する図を参照して、その製造方法を説明する。この製造方法は、工程(1)〜工程(6)からなる。工程(1)は、CNTの製造工程であり、工程(2)は第1CNT分散液の作製工程であり、工程(3)は前記母材の準備工程であり、工程(4)は第2CNT分散液の作製及び調製工程であり、工程(5)は第2CNT分散液に母材を浸漬する工程であり、工程(6)は母材を第2CNT分散液から引き上げて乾燥する工程である。以下に各工程を順次、説明する。
工程(1)…CNTの製造工程
工程(1)において、CNTを製造する。このCNTは、例えば、特開2007−126311号公報に記載されている基板成長熱CVD法により製造される。基板成長熱CVD法においては、シリコン基板上に触媒金属を成膜し、前記触媒金属を微粒子化する。そして、加熱雰囲気中で、前記微粒子化した触媒金属に炭化水素ガスを接触させる。これによりCNTが触媒金属上に成長する。こうして製造されたCNTを以下の工程で用いる。ただし、CNTの製造は、基板成長熱CVD法に限らず、アーク放電法、レーザ蒸発法など、他の製造方法でもよい。
この工程(1)で製造されるCNTは、その種類に限定されないが、例えば平均長が0.1−50μmで、かつ、平均直径が30nm以下の多層CNTが好ましい。また、CNTの平均長さが、0.1μm以上であれば、後述する各工程(3)や工程(5)においてCNT同士が、より好ましい状態で絡まり、また、長さが50μm以下であれば、CNTは均等に、より分散し易く、直径30nm以下ではCNTの柔軟性をより活用でき、母材表面の曲率に沿ってより柔軟にCNTネットワークを形成することできる。さらに、前記多層CNTは、直径20nm以下が好ましい。
工程(2)…第1CNT分散液の作製工程
工程(1)で製造されたCNTに対して、CNTが単離分散した第1CNT分散液を製造する。単離分散とは、「CNTが1本ずつ物理的に分離して絡み合っていない状態で樹脂中に分散している状態」を言う。ここで「物理的に分離して絡み合っていない」とは複数のCNTがファンデルワールス力により塊状もしくは束状に凝集集合してなる形態をとらずに1本1本単離した状態で存在していることを言う。なお、第1CNT分散液は、CNTを溶媒中に混ぜ、ホモジナイザーや高圧せん断、超音波分散機などによりCNTの分散の均一化を図る。ただし、第1CNT分散液には、分散剤や接着剤は投入されていない。
なお、図2の(a)に、上記工程(2)で製造した第1CNT分散液を、また、図2の(b)に一般のCNT分散液を、それぞれシリコン基板上に少量滴下し、オーブン中で400℃にて1時間乾燥したときのCNTそれぞれのSEM写真を示す。
第1CNT分散液では、図2(a)のSEM写真で明らかであるように、CNT18は、1本1本、ナノ分散したアスペクト比の高い繊維状であることが判る。
これに対して、一般のCNT分散液では、図2の(b)のSEM写真で明らかであるように、CNT20のアスペクト比が小さいため、ネットワークを形成するには不適切であることが判る。また、図2の(b)中において、矢印で示す箇所には、CNT20が単離せずに凝集している状態が示される。
図3の(a)(b)に、上記工程(2)で製造した第1CNT分散液中のCNT21のTEM(透過型電子顕微鏡)写真を示す。図3の(a)(b)で示すように、CNT21は、すべてがチューブ状で直径もほぼ20nm以下で揃っており、均一なCNTネットワークを形成するのに適した形状であることが判る。
工程(3)…母材の準備工程
この工程(3)では、工程(2)で製造した第1CNT分散液中に炭素繊維束を浸漬した状態で、当該分散液にせん断や超音波等の機械的なエネルギーを付与しながら炭素繊維表面にCNTのネットワークを局所的に偏在形成する。
前記したように第1CNT分散液中には、分散剤、界面活性剤、接着剤、添加剤等の介在物を含有していない。
第1CNT分散液に対して、超音波エネルギーを付与する。超音波エネルギーの付与により、第1CNT分散液中では、CNTが分散する状態と凝集する状態とが常時発生する可逆的反応状態が作り出される。
この可逆的反応状態にある第1CNT分散液中に炭素繊維を浸漬する。そうすると、炭素繊維表面においてもCNTが分散する状態と凝集する状態とが可逆的に起きる可逆反応状態が起こり、分散する状態から凝集する状態へ移る際に炭素繊維表面にCNTが付着する。凝集する際は、CNTにファンデルワールス力が作用しており、このファンデルワールス力により炭素繊維表面にCNTが付着する。
その後で、炭素繊維を第1CNT分散液中から引き出し、乾燥させると、炭素繊維表面にCNTネットワークが局所的に偏在されて形成された図4の(a)(b)に示す複合素材を母材1として得ることができる。
図4の(a)(b)は、母材1の概念構成を示している。図4の(a)は、母材1の概略構成図である。図4の(b)は、図4の(a)の母材の一部を拡大しその断面構成を示す概念構成図である。
図4の(a)(b)に示すように、母材1は、複数の炭素繊維3と、これら複数の炭素繊維3それぞれの表面に付着した複数のCNT5とから構成された複合素材となっている。母材1において、CNT5は、炭素繊維3の表面に介在物無しで直接接触ないしは直接接続されてCNTネットワーク7を構成していると共に、炭素繊維3の表面との境界に介在物無しの状態で当該表面に直接付着している。
炭素繊維3は、特に限定されないが、ポリアクリルニトリル、レーヨン、ピッチなどの石油、石炭、コールタール由来の有機繊維や、木材や植物繊維由来の有機繊維の焼成によって得られる、直径が約3−15μmの繊維を例示することができる。
介在物は、特に限定されないが、界面活性剤を含む分散剤や接着剤等を例示することができる。
上記したように、母材1は、CNT5同士が介在物無しの状態で直接接触ないしは直接接続されているので、CNTネットワーク7内のCNT5間の電気導電性および熱伝導性は良好であると共に、炭素繊維3表面に介在物無しの状態でCNTネットワーク7をなして付着しているので、炭素繊維3表面から剥離しにくくその機械強度が高い。
こうして工程(3)までで準備された母材1においては、炭素繊維3の表面に付着しているCNT5は、まばらであり、膜厚不均一であるうえに、その膜厚は薄い。
工程(4)…第2CNT分散液の作製及び調製工程
次に、工程(4)では、工程(3)で製造された母材1を浸漬するための第2CNT分散液の作製、及び後述する工程(5)(6)を実施した後の母材を浸漬するため、前記作製された第2CNT分散液に対してのCNT濃度の調製をする。
すなわち、CNTが投与されているCNT溶液に、超音波エネルギーを付与する。この超音波エネルギーの付与により、CNT溶液中のCNTは分散状態となる。そして、超音波エネルギーの付与の間は、CNT溶液中のCNTは分散する状態と凝集する状態とが起きる。なお、この第2CNT分散液には、第1CNT分散液と同様に、分散剤、界面活性剤、接着剤、添加剤等の介在物を含有していない。そして、超音波エネルギーの付与を停止すると、CNT溶液はCNTの分散状態が維持されて、当該第2CNT分散液が作製される。このようにして作製された第2CNT分散液は、CNTが分散しているものの、機械的な振動が印加されると、分散状態から容易に凝集状態となる。
また、第2CNT分散液9は、後述する工程(5)(6)の実施に用いられると、当該第2CNT分散液9中のCNT濃度が低下する。また、工程(5)(6)の実施後の時間経過と共に、第2CNT分散液9中でのCNTの凝集が始まり、また、その凝集が飽和するなどして、母材へのCNTの付着能力が低下している。そこで2回目以降の工程(5)(6)の実施については、当該実施に先立って、工程(3)に一旦、戻って、第2CNT分散液9におけるCNT濃度を調製する。この場合、工程(5)(6)の実施により、CNTが減少するので、CNTを追加するため、再度、超音波エネルギを付与して、CNTを前記分散状態に制御する。
図5に第2CNT分散液9の概念構成を示す。第2CNT分散液9には、CNT11が均等に分散しているが、機械的な振動が印加されると、CNT11は、分散状態から容易に凝集状態となる。
図6の(a)に、上記により作製した第2CNT分散液が入れられている透明容器12の撮影写真を示し、図6の(b)に透明容器12中の第2CNT分散液9の撮影写真を示す。
図5で概念的に示した第2CNT分散液9は、この撮影写真に示すように、CNTの凝集塊を示す黒い部分が無く、CNTが均一に分散していることが分かる。
そして、この透明容器12に機械的な振動が加えられると、図6の(c)に示すように、第2CNT分散液9中のCNTが凝集して凝集塊10をなすことが分かる。こうして工程(4)で第2CNT分散液9を作製することができる。
工程(5)(6)…第2CNT分散液9中への母材1の浸漬及び乾燥工程
実施形態では、母材1に対して、工程(5)(6)を、図7に示すように、実施する。まず、図7の(a)に示すように、第2CNT分散液9に母材1を浸漬する。この浸漬の状態で、第2CNT分散液9に対して機械的な振動を付与する。
そうすると、第2CNT分散液9中で分散していたCNT11が、凝集してくるが、その際、母材1の表面のCNT13との間でのファンデルワールス力により、そのCNT11は、母材1の表面に付着してくる。なお、工程(5)で第2CNT分散液9に最初に浸漬(1回目の浸漬)された母材1を、母材1aと称する。そして、工程(6)では、母材1aを第2CNT分散液9から引き上げて図示省略の乾燥機等で乾燥する。以上で母材に対する1回目の工程(5)(6)の実施が終了する。
次に、2回目の工程(5)(6)の実施に対しては、一旦、工程(4)に戻り、第2CNT分散液9におけるCNTの濃度を調製する。その理由は、前記したように、第2CNT分散液9は、超音波によるエネルギの付与が停止された時点から、時間の経過と共にCNTの凝集が進み、母材1を浸漬させると、一部のCNTは母材1に付着するものの、残りのCNTは、第2CNT分散液9中で凝集し始め、次の2回目の工程(5)(6)の実施の時点までに、第2CNT分散液9の凝集が飽和状態となり、母材へのCNTの付着能力が低下する。そこで、次の2回目の工程(5)(6)の実施に先立ち、工程(4)に一旦、戻り、CNTを追加投入し、超音波エネルギを付与して、CNTの分散と濃度調製とを行う。そして、この濃度調製の後、図7の(b)に示すように、母材1aに対して工程(5)を実施する。こうして2回目の工程(5)が実施された母材1aを母材1bと称する。この母材1bを工程(6)の実施で乾燥する。
以上で母材1に対する2回目の工程(5)(6)の実施が終了する。母材1bには、母材1aよりもCNTが多く付着している。
そして、次の3回目の工程(5)(6)の実施に対しても、前記2回目の工程(5)(6)の実施と同様に、一旦、工程(4)に戻り、第2CNT分散液9におけるCNTの濃度を調製する。この濃度調製の後、図7の(c)に示すように、母材1bに対して工程(5)を実施する。こうして3回目の工程(5)が実施された母材1bを母材1cと称する。この母材1cを工程(6)の実施で乾燥する。
以上で母材に対する3回目の工程(5)(6)の実施が終了する。母材1cには、母材1bよりもさらにCNTが多く付着している。
以上の工程(5)(6)の実施の繰り返し回数が増加するに伴い、母材1の表面に対するCNTの付着量が増大するので、工程(5)(6)の実施の繰り返し回数を制御することで、母材1の表面に対するCNTの付着量を制御することができる。
図8A〜図8Eは、上記工程(5)(6)の実施により母材の表面に対するCNTの付着状態の変化の説明に供するSEM写真である。
図8Aは、何も処理されていない炭素繊維14を示す。
図8Bは、工程(3)の実施で製造された母材16のSEM写真である。この母材16は、炭素繊維14の表面にCNT15が付着している。
図8Cは、工程(5)(6)の1回目の実施で製造された母材16aのSEM写真である。この母材16aは、炭素繊維14の表面にCNT15,15aが付着している。CNT15aは、第2CNT分散液9中のCNTである。
図8Dは、工程(5)(6)の2回目の実施で製造された母材16bのSEM写真である。この母材16bは、炭素繊維14の表面にCNT15,15a,15bが付着している。CNT15bは、第2CNT分散液9中のCNTである。
図8Eは、工程(5)(6)の3回目の実施で製造された母材16cのSEM写真である。この母材16cは、炭素繊維14の表面にCNT15,15a,15b,15cが付着している。CNT15cは、第2CNT分散液9中のCNTである。
これらSEM写真に示すように、工程(5)(6)の実施回数が増加するに伴って、母材表面にCNTがほぼ均一に付着し、その付着量が増大していることが分かる。
こうしてCNTが所定の状態に付着された複合素材を製造することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、前記工程(5)及び工程(6)が母材の表面にCNTが所定の状態に付着するまで繰り返されるので、母材表面にCNTが所定の付着状態で付着した複合素材を製造することができる。そして、この母材そのものは、複数のCNTが、介在物無しに互いに直接接触ないし直接接続されてネットワーク状に絡み合い、かつ、母材表面に介在物なしに直接接触ないし直接接続している。そして、この母材に対して、介在物を含有しない第2CNT分散液に前記工程(5)及び工程(6)により母材表面にCNTが所定の状態に付着するまで浸漬及び乾燥が繰り返される。これにより、本実施形態では、複数のCNTが、介在物無しに互いに直接接触ないし直接接続されてネットワーク状に絡み合いかつ母材表面に介在物なしに直接接触ないし直接接続した状態で所定の付着厚で付着しているので、本願出願人が前記提案した複合素材よりも、CNT由来の電気導電性、熱伝導性の性能を、より発揮でき、かつ、より機械強度が向上した複合素材を得ることができる。
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は特許請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。
1,1a〜1c 母材
9 第2CNT分散液
11,13 CNT

Claims (6)

  1. 分散剤および接着剤を非含有の溶媒中に複数のカーボンナノチューブを分散させることにより第1カーボンナノチューブ分散液を作製し、前記第1カーボンナノチューブ分散液に対して所定のエネルギーを付与することにより前記複数のカーボンナノチューブが分散する状態と凝集する状態とが可逆的に起きる可逆反応状態を作り出し、前記複数のカーボンナノチューブを付着させる対象物を前記可逆反応状態にある前記第1カーボンナノチューブ分散液中に浸漬し、前記対象物の表面に前記複数のカーボンナノチューブを付着させた後に引き上げて乾燥させることにより、前記複数のカーボンナノチューブが前記対象物の表面に直接付着している母材準備する準備工程と、
    分散剤および接着剤が非含有の溶媒中に前記複数のカーボンナノチューブが分散している分散状態にあり、機械的な振動が印加されることにより前記複数のカーボンナノチューブが前記分散状態から凝集状態となる第2カーボンナノチューブ分散液作製する第2カーボンナノチューブ分散液作製工程と、
    前記第2カーボンナノチューブ分散液に前記母材を浸漬し、前記母材が浸漬されている前記第2カーボンナノチューブ分散液に対して前記振動を印加することにより、前記第2カーボンナノチューブ分散液中に分散している前記複数のカーボンナノチューブを前記母材の表面に付着させる浸漬工程と、
    前記浸漬工程の次工程として、前記第2カーボンナノチューブ分散液から前記母材を引き上げて乾燥させる乾燥工程と、
    を有することを特徴とする複合素材の製造方法。
  2. 前記対象物は、炭素繊維である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記準備工程において、前記可逆反応状態にある前記第1カーボンナノチューブ分散液中の前記複数のカーボンナノチューブが分散する状態から凝集する状態に移行する際に、前記複数のカーボンナノチューブ、前対象物の表面に、互いにネットワーク状に絡み合わせて、直接接触ないし直接接続させて前記対象物の表面に直接付着させる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記第2カーボンナノチューブ分散液作製工程は、
    散剤および接着剤が非含有の溶媒中に前記複数のカーボンナノチューブを投与してカーボンナノチューブ溶液を作製する工程と、
    前記カーボンナノチューブ溶液に対して前記所定のエネルギーを付与し、前記カーボンナノチューブ溶液を前記可逆反応状態にする工程と、
    前記カーボンナノチューブ溶液に対する前記所定のエネルギーの付与を停止し、前記分散状態が維持された前記カーボンナノチューブ溶液を前記第2カーボンナノチューブ分散液としてる工程と、
    を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記第2カーボンナノチューブ分散液作製工程は、前記第2カーボンナノチューブ分散液中の前記複数のカーボンナノチューブの濃度を調製する濃度調製工程を含み、
    前記浸漬工程は、前記乾燥工程を経た前記母材の表面における前記複数のカーボンナノチューブの付着状態に応じて、前記濃度調製工程で濃度調製済みの前記第2カーボンナノチューブ分散液を用いて繰り返し実施される
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記所定のエネルギーが、超音波エネルギーである、請求項〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
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