以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
(1)マルチ接続の例
図1は所謂マルチ接続の場合のショーケース冷却装置1の配管構成を示している。図1の配管構成図において、実施例のショーケース冷却装置1はコンビニエンスストア(店舗)の店内2に据え付けられた複数台のショーケース3A〜3Eを冷却するものである。店外には各ショーケース3A〜3Eと冷媒配管4、5により接続された冷凍機6が設置されており、これらショーケース3A〜3Eと冷凍機6によって実施例のショーケース冷却装置1が構成されている。
尚、実施例のショーケース3A〜3Cは何れも庫内(陳列室)を−20℃等の冷凍温度に冷却する冷凍ショーケースであり、このうちショーケース3A、3Bはガラス扉Gを備えたクローズドタイプのショーケース、ショーケース3Cは平型オープンショーケースである。ショーケース3D、3Eは庫内を+5℃等の冷蔵温度に冷却する縦型オープンの冷蔵ショーケースである。
図2は図1のショーケース冷却装置1の冷媒回路を示している。本発明のショーケース冷却装置1は、運転周波数を可変制御可能な圧縮機7と、凝縮器(凝縮しない冷媒を使用する場合には放熱器)8と、過熱度調整手段(減圧手段)として機能する電動弁から成る電子膨張弁9と、並列接続された複数の蒸発器11から成り、例えばR134a冷媒が封入された高段側冷媒回路12と、圧縮機13、放熱器(凝縮冷媒を使用する場合は凝縮器)14、過熱度調整手段(減圧手段)として機能する電動弁から成る電子膨張弁16と、蒸発器17から成り、例えば二酸化炭素冷媒(CO2冷媒)が封入された複数の低段側冷媒回路18とから構成された二元冷凍サイクルで構成されている。
そして、高段側冷媒回路12の圧縮機7、凝縮器8、電子膨張弁9と、凝縮器8を空冷する凝縮器ファン19は冷凍機6に設置される。また、各低段側冷媒回路18とそれに対応する高段側冷媒回路12の各蒸発器11と、低段側冷媒回路18の蒸発器17と熱交換した冷気を庫内に循環させる冷気循環ファン21は各ショーケース3A〜3Cにそれぞれ設置されている。高段側冷媒回路12の各蒸発器11の入口は冷媒配管4に接続され、それらの出口は冷媒配管5に接続されると共に、各ショーケース3A〜3Cの低段側冷媒回路18の放熱器14とそれぞれ交熱的にカスケード接続され、それらでカスケード熱交換器22をそれぞれ構成している。これらカスケード熱交換器22は周囲から断熱されており、従って、このカスケード熱交換器22を構成する低段側冷媒回路18の放熱器14は、温度的には最も安定していることになる。尚、ショーケース3D、3Eは冷蔵ショーケースであるため、高段側冷媒回路12の蒸発器11で庫内が冷却される。そのため、蒸発器11と熱交換した冷気を庫内に循環させる同様の冷気循環ファン21が設けられている(図2ではショーケース3Dと3Eの蒸発器11を一つのみ示すが、実際には並列に二つ接続されている)。
また、各ショーケース3A〜3Eにはそれらの庫内温度を検出する庫内温度センサ23がそれぞれ設けられ、高段側冷媒回路12の各蒸発器11の入口には各蒸発器11の入口における冷媒の蒸発温度を検出する高段側蒸発温度センサ24が設けられている。蒸発器11の入口における冷媒の蒸発温度は、カスケード熱交換器22に入る直前であるので、低段側冷媒回路18からの熱影響が比較的少なく、ショーケース冷却装置1(冷凍機6や各ショーケース3A〜3E)が設置された環境の変動を的確に捉えることができる。また、各ショーケース3A〜3Cの低段側冷媒回路18の蒸発器17には、冷媒の過熱度を検出するための低段側蒸発器入口温度センサ26(低段側蒸発温度センサを兼ねる)と、低段側蒸発器出口温度センサ27がそれぞれ設けられ(ショーケース3Aのみ示す)、高段側冷媒回路12の高圧側には高圧圧力を検出するための高圧圧力センサ28が設けられている。
尚、実施例では低段側冷媒回路18の過熱度調整手段として電子膨張弁16を採用しているが、所謂機械式膨張弁と液電磁弁の組み合わせで過熱度調整手段を構成してもよい。
冷凍機6の高段側冷媒回路12の圧縮機7が運転されると、圧縮されて高温高圧となったガス冷媒が凝縮器8に流入し、そこで凝縮器ファン19により空冷されて凝縮する。凝縮器8で凝縮した冷媒(液冷媒)は、電子膨張弁9で絞られた後、冷媒配管4を経て店内2に至り、そこから各ショーケース3A〜3Cのカスケード熱交換器22の蒸発器11及びショーケース3D、3Eの蒸発器11に分配供給されて蒸発する。各蒸発器11で蒸発した冷媒は冷媒配管5を経て冷凍機6に戻り、圧縮機7に吸い込まれる循環を繰り返す。
一方、各ショーケース3A〜3Cの低段側冷媒回路18の圧縮機13が運転されると、圧縮されて超臨界高圧となったガス冷媒(二酸化炭素)はカスケード放熱器22の放熱器14に流入し、そこで高段側冷媒回路12の蒸発器11から冷却される。放熱器14で超臨界の状態で冷却されたガス冷媒は、電子膨張弁16で絞られる過程で一部が液化し、蒸発器17に流入して蒸発する。この蒸発器17と熱交換して冷却された冷気が冷気循環ファン21により庫内に循環されて各ショーケース3A〜3Cの庫内は冷凍温度に冷却される。そして、蒸発器17から出た冷媒は圧縮機13に吸い込まれる循環を繰り返す。尚、ショーケース3D、3Eでは蒸発器11と熱交換した冷気が冷気循環ファン21により庫内に循環されて冷蔵温度に冷却される。
次に、図3はショーケース冷却装置1の制御構成を示している。この図において33はストアマスタと称される主制御装置である。この主制御装置33は店舗の管理室等に設置されて冷凍機6及び各ショーケース3A〜3Eの運転を集中制御するものである。冷凍機6及び各ショーケース3A〜3Eにも冷凍機制御装置34、ショーケース制御装置36がそれぞれ設けられ、それらは通信線37により主制御装置33に接続されている。主制御装置33、冷凍機制御装置34、ショーケース制御装置36は何れもマイクロコンピュータから構成されており、これらが実施例のショーケース冷却装置1の制御手段を構成する。
各ショーケース制御装置36には例えば101〜105までの個別の識別番号(ID)が付与され、冷凍機制御装置34には301の識別番号(ID)が付与されている。主制御装置33はこれらのIDで各ショーケース制御装置36、冷凍機制御装置34を識別し、各ショーケース制御装置36からは当該ショーケース3A〜3Eの庫内温度、蒸発温度、過熱度に関するデータ等を受信する。そして、主制御装置33からは各ショーケース3A〜3Eのショーケース制御装置36に低段側冷媒回路18の電子膨張弁16の開閉指示に関するデータ等(ショーケース3A〜3Cの場合)が送信されると共に、冷凍機6の冷凍機制御装置34には高段側冷媒回路12の目標低圧圧力や圧縮機7の目標運転周波数等の目標値指示に関するデータ等が送信される。
また、主制御装置33には温度/湿度センサ38が接続されている。この温度/湿度センサ38は店内2の温度/湿度を検出する。主制御装置33は温度/湿度センサ38が検出した店内2の温度/湿度データに基づいて店内2のエンタルピを算出し、各低段側冷媒回路18の目標低圧圧力を設定する。尚、係る方法によらず、予め決定した値に基づいて目標低圧圧力を設定するようにしてもよい。
尚、この目標低圧圧力は、全てのショーケース3A〜3Eを十分冷却可能な値に設定されるものである。また、主制御装置33では各ショーケース3A〜3Eの庫内温度の設定温度を入力可能とされ、各ショーケース3A〜3Eの庫内温度等のデータも確認可能とされており、これにより、主制御装置33を用いた店舗におけるショーケース3A〜3Eの集中管理を実現している。
(2)シングル接続の例
また、図4の左側は上記の実施例のように冷凍機6から各ショーケース3A〜3Cのカスケード熱交換器22の蒸発器11に冷媒を分配供給するマルチ接続では無く、各ショーケース3A〜3Cが高段側冷媒回路12とそれとカスケード接続された低段側冷媒回路18の二元冷凍サイクルを有する場合を示し、右側は低段側冷媒回路18が二台設けられて一台のショーケースの二つの庫内をそれぞれ冷却する場合の冷媒回路を示している。
また、図5はその場合の制御構成を示している。尚、各図において図1〜図3と同一符号は同一又は同様の機能を示すものであり、冷媒循環は個々のショーケースにおいて前述と同様に行われる。また、この場合の主制御装置33は各ショーケース3A〜3Cの高段側冷媒回路12と低段側冷媒回路18の運転指示データを各ショーケース制御装置36に送信して同様に集中管理するものである。
(3)基本的な制御
上記の如き構成で、次に前記マルチ接続の場合を実施例としてショーケース冷却装置1の基本的な動作を説明する。先ず、主制御装置33は各ショーケース制御装置36から受信した庫内温度(庫内温度センサ23が検出)を常時監視しており、各ショーケース3A〜3Cの庫内温度の設定温度と比較して、それらの冷え具合を監視している。そして、各ショーケース3A〜3Cのうち、最も冷え難いショーケースを判別している。尚、ショーケース3D、3Eについては通常の庫内温度制御を実施するものとする。
例えば、他のショーケースに比してショーケース3Cの電子膨張弁16の弁開度が継続して大きい状態であるにも拘わらず、その庫内温度が設定温度になるまでの長時間を要し、或いは、庫内温度が設定温度以上となる状態が長く続いている場合等には、主制御装置33がショーケース3Cを最も冷え難いショーケースとして決定する。尚、このように一台のショーケースに限らず、二台のショーケースの場合もある。
このようにショーケース3Cを最も冷え難いショーケースとして決定された場合、主制御装置33はショーケース3Cのショーケース制御装置36に指示を送信して低段側冷媒回路18の電子膨張弁16の弁開度を、蒸発器17の過熱度が規定値(例えば10K)となるように制御する。また、主制御装置33は最も冷え難いショーケース3Cの庫内温度に基づいて高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数(停止を含む)を制御する。
その場合の具体的な制御方式を図6に基づいて説明する。先ず、主制御装置33はショーケース3Cの庫内温度センサ23が検出する庫内温度と設定温度(目標値)とを比較し、それらの偏差e1をPID演算部41でPID演算することでこの場合の操作量としての目標蒸発温度を決定する。この目標蒸発温度とは、高段側冷媒回路12の蒸発器11の入口における冷媒の蒸発温度の目標値である。
次に、高段側蒸発温度センサ24が検出する高段側冷媒回路12の蒸発器11の入口における冷媒の蒸発温度とこの目標蒸発温度とを比較し、それらの偏差e2をPID演算部42でPID演算することで高段側冷媒回路12の圧縮機7の目標運転周波数(操作量)を決定する。
決定された目標運転周波数は主制御装置33から冷凍機6の冷凍機制御装置34に指示される。冷凍機制御装置34は受信した目標運運転周波数となるように高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数を制御する。ここで、圧縮機7の運転周波数の変更により蒸発器11における冷却効果が変化した場合、ショーケース3Cの庫内温度の変化は緩やかであるが、蒸発器11における蒸発温度の変化は急峻となる。そのため、実施例のように変化が緩やかな庫内温度と変化が急峻な蒸発温度とを層別してPID演算部41、42にてそれぞれのPID演算を行えば、高段側冷媒回路12の圧縮機7からショーケース3Cのカスケード熱交換器22の蒸発器11への冷媒供給のタイムラグが少なくなる。
一方、ショーケース3Cよりも冷え易い他のショーケース3A、3Bについて主制御装置33は、各ショーケース3A、3Bの庫内温度センサ23が検出する庫内温度と設定温度に基づいて目標過熱度を決定する。この目標過熱度の決定に際しても、主制御装置33は同様に図6のPID演算を行う。但し、この場合のPID演算部42の操作量となるものは当該ショーケース3A、3Bの目標過熱度となる。即ち、庫内温度が設定温度よりも高い場合には目標過熱度は小さくなり、低い場合には大きくなる。
主制御装置33は各ショーケース3A、3Bの蒸発器17の過熱度が、決定した目標過熱度となるように電子膨張弁16の目標弁開度を決定する。主制御装置33は決定した各ショーケース3A、3Bに関する目標弁開度に基づいて電子膨張弁16の弁開度に関する指示を各ショーケース制御装置36に送信する。ショーケース制御装置36は受信した目標弁開度に基づいて電子膨張弁16の弁開度を制御する。これにより、ショーケース3A、3Bの庫内温度を設定温度に制御する。
このように、主制御装置33が最も冷え難いショーケース3Cの低段側冷媒回路18の蒸発器17の目標過熱度を規定値として当該ショーケース3Cの電子膨張弁16の弁開度を制御し、且つ、当該ショーケース3Cの庫内温度に基づいて高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転を制御すると共に、他のショーケース3A、3Bの庫内温度に基づいて当該ショーケース3A、3Bの目標過熱度を設定し、当該ショーケース3A、3Bの電子膨張弁16の弁開度を制御することにより、最も冷え難いショーケース3Cによる高段側冷媒回路12の圧縮機7の制御と他のショーケース3A、3Bの電子膨張弁16の制御による全てのショーケース3A〜3Cの庫内温度制御を円滑に行うことが可能となる。これにより、前述した温度/湿度センサ38による店内エンタルピに基づいた目標低圧圧力の設定制御が不要となる効果もある。
尚、前述した如く主制御装置33は、各ショーケース3A〜3Cの冷却状態を常に監視し、そのうち最も冷え難いショーケースを判別している。そして、現在その庫内温度に基づいて高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数を制御しているショーケース3Cより冷え難い他のショーケースが存在する場合は、当該他のショーケースを最も冷え難いショーケースに決定し、その庫内温度に基づいて高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転を制御する状態に切り換える。これにより、各ショーケース3A〜3Cの陳列商品(負荷)の量や環境の変化等によって最も冷え難いショーケースに入れ替わりが生じた場合にも、支障無く運転状態を切り換えることが可能となる。
但し、主制御装置33は上記のような最も冷え難いショーケースの判別を、各ショーケース3A〜3Cの庫内温度が安定しているときのみ実行する。即ち、各ショーケース3A〜3Cの除霜(一日に4回実行)中やプルダウン運転中には係る最も冷え難いショーケースの判別を行なわず、除霜前の制御状態を維持する。これにより、誤判定の発生を回避する。尚、図4、図5のシングル接続の場合は、当該ショーケースの庫内温度に基づいて低段側冷媒回路18の圧縮機13の運転を制御することになる(以下、同じ)。
このように主制御装置33は、ショーケース3Cの庫内温度と設定温度との偏差e1に基づくPID演算により、高段側冷媒回路12の冷媒の目標蒸発温度を決定し、高段側蒸発温度センサ24が検出する蒸発器11の入口における冷媒の蒸発温度と目標蒸発温度との偏差e2に基づくPID演算により、高段側冷媒回路12の圧縮機7の目標運転周波数を決定するようにしたので、低段側冷媒回路18からの影響が比較的小さく、且つ、環境変動を的確に捉えることが可能な高段側冷媒回路12の蒸発器11における冷媒の蒸発温度を用い、安定的に高段側冷媒回路12及び低段側冷媒回路18の圧縮機7、13を運転してカスケード接続における最適な熱交換を実現することが可能となる。また、高段側及び低段側の各冷媒回路12、18の運転状態の変動が抑えられることから、冷凍効率の向上を図ることが可能となる。
特に、マルチ接続の場合、主制御装置33により各ショーケース3A〜3Cのうちの最も冷え難いショーケースの庫内温度と設定温度との偏差e1に基づくPID演算により、高段側冷媒回路12の冷媒の目標蒸発温度を決定し、高段側蒸発温度センサ24が検出する蒸発器11の入口における冷媒の蒸発温度と目標蒸発温度との偏差e2に基づくPID演算により、高段側冷媒回路12の圧縮機7の目標運転周波数を決定するので、高段側冷媒回路12の低圧圧力で高段側冷媒回路12の圧縮機7を制御する場合に比して、各ショーケース3A〜3Cの低段側冷媒回路18の動作の影響を受け難くなる。
これにより、高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転状態の変動が抑制され、消費電力が低減される。一方で、各ショーケースのうち最も冷え難いショーケースの冷却は確実に行われることになるので、他のショーケースに対する過剰な高段側冷媒回路12の圧縮機7の能力によるエネルギーロスも解消される。これらにより、各冷媒回路12、18の圧縮機7、13における消費電力を抑制しながら、複数台のショーケース3A〜3Cの全てを支障無く冷却することができるようになる。
(4)主制御装置33による最も冷え難いショーケース3Cの冷却の最適化制御
次に、上記各実施例で主制御装置33が行う前記最も冷え難いショーケース3Cの冷却の最適化制御について、図7〜図16を参照して説明する。
(4−1)各既定値及び初期値
図7には図1の各ショーケース3A〜3Eの各制御設定値の規定値を示す。各ショーケース3A〜3Eの蒸発器17における冷媒の過熱度の既定値である過熱度制御基本値、過熱度制御の上限値、過熱度制御の下限値は、それぞれ10K、15K、5Kであり、上限値、下限値は20K、10Kの場合もある。
次に、図8は主制御装置33が決定する高段側冷媒回路12の蒸発器11における冷媒の目標蒸発温度の初期値の一例を示している。この場合は季節で初期値を決定するもので、夏期(カレンダ日付6月16日〜9月15日、店外温度(外気温度)+28℃)の目標蒸発温度の初期値は、前記電子膨張弁9を用いた場合には−4.0℃〜−3.0℃、液電磁弁と機械式膨張弁を用いた場合には−7.0℃〜−6.0℃とされ、冬期(カレンダ日付12月16日〜3月15日、店外温度+8℃)の目標蒸発温度の初期値は、前記電子膨張弁9を用いた場合には−0.0℃〜+1.0℃、液電磁弁と機械式膨張弁を用いた場合には−3.0℃〜−2.0℃とされる。
また、それ以外の中間期(カレンダ日付3月16日〜6月15日、9月16日〜12月15日、店外温度+18℃)の目標蒸発温度の初期値は、前記電子膨張弁9を用いた場合には−2.0℃〜−1.0℃、液電磁弁と機械式膨張弁を用いた場合には−5.0℃〜−4.0℃とされる。即ち、液電磁弁と機械式膨張弁を用いる場合には蒸発温度を低めに設定する。
尚、目標蒸発温度の初期値の決定方法についてはこれ以外に、図9に示すように直線近似で数式化したものから店外温度に基づいて求めても良い。この場合、L1が電子膨張弁9を用いた場合、L2が液電磁弁と機械式膨張弁を用いた場合となる。
また、それ以外にも図10に示すように店外温度(圧縮機がショーケースに内蔵されて内蔵型の場合にはショーケース周囲の店内の温度)と目標蒸発温度のデータテーブルを作成しておいて、店外温度に基づき、データテーブルから目標蒸発温度を抽出するようにしてもよい。この場合、例えば店外温度+29℃のときは、電子膨張弁9を用いた場合は−4.0℃〜−3.0℃、液電磁弁と機械式膨張弁を用いた場合は−7.0℃〜−6.0℃が抽出され、店外温度+18℃のときは、電子膨張弁9を用いた場合は−2.0℃〜−1.0℃、液電磁弁と機械式膨張弁を用いた場合は−5.0℃〜−4.0℃が抽出されることになる。
また、図11は高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数の初期値を直線近似で数式化したものを示しており、外気温度から抽出する。この場合はL1が電子膨張弁9を用いた場合、L2が液電磁弁と機械式膨張弁を用いた場合である。
(4−2)最も冷え難いショーケース3Cの冷却の最適化制御
主制御装置33は以上のように各既定値及び初期値を設定して前述した各実施例の制御を開始するものであるが、制御を開始した後は、図12に示す判定方法に基づいて最も冷え難いショーケース3Cの冷却の最適化制御を実行する。図12の条件I〜条件IVは、ショーケース3Cの庫内の冷却状態を示す指標である(尚、図12の各条件は、全て用いなくとも、それらの何れか、又は、組み合わせでもよい)。即ち、条件Iはショーケース3Cの庫内温度とその設定温度との差分(庫内温度−設定温度)であり、差分が+1.0K以上のときは庫内温度は「高い」、+1.0K未満−1.0K以上のときは庫内温度は「適温」、−1.0K未満のときは庫内温度は「低い」と判定する。
ここで、各ショーケース3A〜3Eの庫内温度センサ23が検出する庫内温度は除霜(温度上昇)−プルダウン運転(温度低下)−安定状態(サイクル運転)に渡って図13に示すような変化を示す(図13では例えば四台分を示している)。前述したように除霜は一日に4回行われるので、この除霜から次回の除霜までの6時間が1周期となる。
また、最も冷え難いショーケース3Cのサイクル運転中(安定状態)、庫内温度や蒸発器11、17の冷媒の蒸発温度は、一つの庫内に蒸発器17が一つある場合では図14の上段に示すように平均と最大値、最小値が決められる。図12の条件Iでの庫内温度はこのうちの平均を用いる。但し、一つの庫内に蒸発器17が二つある場合の蒸発温度は、図14の中段に示すように平均と最大値(高い方)、最小値(低い方)が決められる。
尚、図14の下段は冷え易い他のショーケース3A、3Bのサイクル運転中(安定状態)の庫内温度、蒸発温度の平均と最大値、最小値の決定方法を示しており、各ショーケース3A、3Bのうちの最も高いものが最大値、最も低いものが最小値、全ての平均値が平均とされるものとする。
次に、図12の条件IIは庫内温度の変動幅であり、最も冷え難いショーケース3Cの庫内温度の最大値−最小値で算出される。そして、庫内温度の変動幅が1.0K以上のときは「大きい」、変動幅が1.0K未満のときには「小さい」と判定する。
次に、図12の条件IIIは蒸発温度の差分であり、最も冷え難いショーケース3Cの蒸発温度とその設定温度(目標蒸発温度)の差分(蒸発温度−設定温度)で算出される。そして、蒸発温度の差分が1.0K以上のときは蒸発温度は「高い」、+1.0K未満−1.0K以上のときは蒸発温度は「適温」、−1.0K未満のときは蒸発温度は「低い」と判定する。
次に、図12の条件IVは蒸発温度の変動幅であり、最も冷え難いショーケース3Cの蒸発温度の最大値−最小値で算出される。そして、蒸発温度の変動幅が2.0K以上のときは「大きい」、変動幅が2.0K未満のときには「小さい」と判定する。
そして、主制御装置33は前記1周期中のプルダウン運転後の安定状態において測定された庫内温度や蒸発温度等に基づき、これら条件I〜IVの判断を行う。この判断項目iは冷却状態であり、不足/適度/過剰の三段階で判断する。判断項目iiは圧縮機7の運転/停止の断続動作であり、多い/あり/まれ/なしの四段階で判断する。判断項目iiiは制御状態であり、安定/変動の二種類で判断する。判断項目ivは変動影響であり、大/中/小の三段階で判断する。この判断結果に基づいて、次回の1周期での図6のPID演算部41でのPID演算で算出する目標蒸発温度(操作量:PID値)の上限と下限を変更する。
例えば、最も冷え難いショーケース3Cにおいて、条件Iの庫内温度差分が「高い」、条件IIの庫内温度変動幅が「大きい」、条件IIIの蒸発温度差分が「高い」、条件IVの蒸発温度変動幅が「大きい」場合、主制御装置33は判断項目iの冷却状態が「不足」、判断項目iiの断続動作が「多い」、判断項目iiiは安定状態、判断項目ivの変動影響は「大」であり、「温度帯高い」、「温度帯の範囲広い」と判断し、高段側冷媒回路12の目標蒸発温度(操作量)の上限を−1.0Kし(1.0K下げる)、下限も−1.0Kする(1.0K下げる)。
即ち、最も冷え難いショーケース3Cの庫内温度が高く、庫内温度の変動幅も大きく、蒸発温度も高く、蒸発温度の変動幅も大きい場合、温度帯が高く、温度帯の範囲は広いと判断する。そして、この場合は温度帯が高いことが問題であるので、商品の品質劣化を防止するため、目標蒸発温度の温度帯を1.0K低下(大きく平行移動)させる。これにより、ショーケース3Cの庫内の冷却能力を大きく増大させて庫内温度を低下させ、設定温度に近づけて商品の品質劣化の防止を図る。この様子が図15に示される。図15の左側の1周期で測定した庫内温度や蒸発温度に基づき、次回の1周期における庫内温度の温度帯が低下(平行移動)していることが分かる。
一方、条件I、II、IIIが上記と同じで条件IVの蒸発温度変動幅が「小さい」場合、主制御装置33は判断項目iの冷却状態が「不足」、判断項目iiの断続動作が「あり」、判断項目iiiは安定状態、判断項目ivの変動影響は「中」であり、「温度帯下限が高い」、「温度帯の範囲狭い」と判断し、目標蒸発温度(操作量)の上限を維持、下限も−1.0Kする(1.0K下げる)。
即ち、最も冷え難いショーケース3Cの庫内温度が高く、庫内温度の変動幅も大きく、蒸発温度も高く、蒸発温度の変動幅は小さい場合、温度帯の下限が高く、温度帯の範囲が狭いと判断して目標蒸発温度の上限を維持したまま、下限を1.0K低下(範囲を下に大きく拡大)させる。これにより、蒸発温度がより低下するように変動範囲を拡大することで、ショーケース3Cの庫内の冷却不足状態を改善する。
また、ショーケース3Cにおいて、条件Iの庫内温度差分が「高い」、条件IIの庫内温度変動幅が「小さい」、条件IIIの蒸発温度差分が「高い」、条件IVの蒸発温度変動幅が「大きい」場合、主制御装置33は判断項目iの冷却状態が「不足」、判断項目iiの断続動作が「まれ」、判断項目iiiは安定状態、判断項目ivの変動影響は「小」であり、「温度帯高い」、「温度帯の範囲広い」と判断し、目標蒸発温度(操作量)の上限を−0.5Kし(0.5K下げる)、下限も−0.5Kする(0.5K下げる)。
即ち、最も冷え難いショーケース3Cの庫内温度が高く、庫内温度の変動幅は小さく、蒸発温度が高く、蒸発温度の変動幅が大きい場合、温度帯が高く、温度帯の範囲も広いと判断するが、この場合は変動影響が小さいので前述よりは小さく目標蒸発温度の温度帯を0.5K低下(小さく平行移動)させる。これにより、ショーケース3Cの庫内の冷却能力を増大させ、庫内温度を低下させて設定温度に近づけ、商品の品質劣化防止を図る。
また、条件I、II、IIIが上記と同じで条件IVの蒸発温度変動幅が「小さい」場合、主制御装置33は判断項目iの冷却状態が「不足」、判断項目iiの断続動作が「なし」、判断項目iiiは安定状態、判断項目ivの変動影響は「小」であり、「温度帯下限が高い」、「温度帯の範囲狭い」と判断し、目標蒸発温度(操作量)の上限を維持、下限を−0.5Kする(0.5K下げる)。
即ち、最も冷え難いショーケース3Cの庫内温度が高く、庫内温度の変動幅が小さく、蒸発温度が高く、蒸発温度の変動幅が小さい場合、温度帯の下限が高く、温度帯の範囲が狭いと判断して目標蒸発温度の上限を維持したまま、下限をこの場合は前述より小さく0.5K低下(従って範囲は下に小さく拡大)させる。これにより、蒸発温度がより小さく低下するように変動範囲を小さく拡大することで、ショーケース3Cの庫内の冷却不足状態を改善する。
また、最も冷え難いショーケース3Cにおいて、条件Iの庫内温度差分が「適温」、条件IIの庫内温度変動幅が「大きい」、条件IIIの蒸発温度差分が「適温」、条件IVの蒸発温度変動幅が「大きい」場合、主制御装置33は判断項目iの冷却状態が「適度」、判断項目iiの断続動作が「あり」、判断項目iiiは安定状態、判断項目ivの変動影響は「中」であり、「温度帯不明」、「温度帯の範囲広い」と判断し、目標蒸発温度(操作量)の上限を−1.0Kし(1.0K下げる)、下限は+1.0Kする(1.0K上げる)。
即ち、最も冷え難いショーケース3Cの庫内温度が適温で、庫内温度の変動幅は大きく、蒸発温度も適温で、蒸発温度の変動幅も大きい場合、温度帯不明、温度帯の範囲は広いと判断して目標蒸発温度の変動範囲を2.0K狭める(大きく狭める)。これにより、目標蒸発温度の変動範囲を大きく狭め、ショーケース3Cの庫内の温度変動の縮小を図る。この様子が図16に示される。図16の左側の1周期で測定した庫内温度や蒸発温度に基づき、次回の1周期における庫内温度の変動が狭められている(変動範囲縮小)していることが分かる。
一方、条件I、II、IIIが上記と同じで条件IVの蒸発温度変動幅が「小さい」場合、主制御装置33は判断項目iの冷却状態が「適度」、判断項目iiの断続動作が「まれ」、判断項目iiiは安定状態、判断項目ivの変動影響は「小」であり、「温度帯適温」、「温度帯の範囲狭い」と判断し、目標蒸発温度(操作量)の上限を−0.5K(0.5K下げる)し、下限は+0.5Kする(0.5K上げる)。
即ち、最も冷え難いショーケース3Cの庫内温度が適温で、庫内温度の変動幅は大きく、蒸発温度も適温で、蒸発温度の変動幅は小さい場合、温度帯は適温で、温度帯の範囲が狭いと判断して目標蒸発温度の変動範囲を1.0K狭める(小さく狭める)。これにより、目標蒸発温度の変動範囲を小さく狭め、ショーケース3Cの庫内の温度変動の縮小を図る。
また、ショーケース3Cにおいて、条件Iの庫内温度差分が「適温」、条件IIの庫内温度変動幅が「小さい」、条件IIIの蒸発温度差分が「適温」、条件IVの蒸発温度変動幅が「大きい」場合、主制御装置33は判断項目iの冷却状態が「適度」、判断項目iiの断続動作が「なし」、判断項目iiiは安定状態、判断項目ivの変動影響は「小」であり、「温度帯適温」、「温度帯の範囲広い」と判断し、目標蒸発温度(操作量)の上限を−0.5K(0.5K下げる)し、下限は+0.5Kする(0.5K上げる)。
即ち、最も冷え難いショーケース3Cの庫内温度が適温で、庫内温度の変動幅は小さく、蒸発温度も適温で、蒸発温度の変動幅は大きい場合も、温度帯は適温で、温度帯の範囲が狭いと判断して目標蒸発温度の変動範囲を1.0K狭める(小さく狭める)。これにより、目標蒸発温度の変動範囲を小さく狭め、ショーケース3Cの庫内の温度変動の縮小を図る。
また、条件I、II、IIIが上記と同じで条件IVの蒸発温度変動幅が「小さい」場合、主制御装置33は判断項目iの冷却状態が「適度」、判断項目iiの断続動作が「なし」、判断項目iiiは安定状態、判断項目ivの変動影響は「小」であり、「温度帯適温」、「温度帯の範囲狭い」と判断し、目標蒸発温度(操作量)の上限を−0.1K(0.1K下げる)し、下限は+0.1Kする(0.1K上げる)。
即ち、最も冷え難いショーケース3Cの庫内温度が適温で、庫内温度の変動幅は小さく、蒸発温度も適温で、蒸発温度の変動幅は小さい場合、温度帯は適温で、温度帯の範囲が狭いと判断して目標蒸発温度の変動範囲を0.2K狭める(少許狭める)。これにより、目標蒸発温度の変動範囲を少許狭め、ショーケース3Cの庫内の温度変動の縮小を図る。
このように、庫内温度の差分の判断が「適温」であるときは、主制御装置33は目標蒸発温度(操作量)の変動範囲を狭くする方向で最適化制御を実行することにより、庫内温度の変動による消費電力の増大を防止する方向で制御する。
また、最も冷え難いショーケース3Cにおいて、条件Iの庫内温度差分が「低い」、条件IIの庫内温度変動幅が「大きい」、条件IIIの蒸発温度差分が「低い」、条件IVの蒸発温度変動幅が「大きい」場合、主制御装置33は判断項目iの冷却状態が「過剰」、判断項目iiの断続動作が「多い」、判断項目iiiは安定状態、判断項目ivの変動影響は「大」であり、「温度帯低い」、「温度帯の範囲広い」と判断し、目標蒸発温度(操作量)の上限を+1.0Kし(1.0K上げる)、下限も+1.0Kする(1.0K上げる)。
即ち、最も冷え難いショーケース3Cの庫内温度が低く、庫内温度の変動幅が大きく、蒸発温度も低く、蒸発温度の変動幅も大きい場合、温度帯が低く、温度帯の範囲が広いと判断して目標蒸発温度の温度帯を1.0K上昇(大きく平行移動)させる。この場合は庫内が過剰に冷却されているので、商品品質の維持と消費電力削減の目的で目標蒸発温度の温度帯を大きく上昇させる。これにより、ショーケース3Cの庫内の冷却能力を大きく減少させて庫内温度を上昇させ、設定温度に近づけて冷却過剰状態の解消を図る。
一方、条件I、II、IIIが上記と同じで条件IVの蒸発温度変動幅が「小さい」場合、主制御装置33は判断項目iの冷却状態が「過剰」、判断項目iiの断続動作が「あり」、判断項目iiiは安定状態、判断項目ivの変動影響は「中」であり、「温度帯上限が低い」、「温度帯の範囲狭い」と判断し、目標蒸発温度(操作量)の上限を+1.0Kし(1.0K上げる)、下限は維持する。
即ち、最も冷え難いショーケース3Cの庫内温度が低く、庫内温度の変動幅が大きく、蒸発温度も低く、蒸発温度の変動幅は小さい場合、温度帯の上限が低く、温度帯の範囲が狭いと判断して目標蒸発温度の下限を維持したまま、上限を1.0K上昇(従って範囲は上に大きく拡大)させる。これにより、蒸発温度がより上昇するように変動範囲を拡大し、ショーケース3Cの庫内の冷却過剰状態を改善する。
また、ショーケース3Cにおいて、条件Iの庫内温度差分が「低い」、条件IIの庫内温度変動幅が「小さい」、条件IIIの蒸発温度差分が「低い」、条件IVの蒸発温度変動幅が「大きい」場合、主制御装置33は判断項目iの冷却状態が「過剰」、判断項目iiの断続動作が「まれ」、判断項目iiiは安定状態、判断項目ivの変動影響は「小」であり、「温度帯低い」、「温度帯の範囲広い」と判断し、目標蒸発温度(操作量)の上限を+0.5Kし(0.5K上げる)、下限も+0.5Kする(0.5K上げる)。
即ち、最も冷え難いショーケース3Cの庫内温度が低い、庫内温度の変動幅は小さく、蒸発温度も低い、蒸発温度の変動幅が大きい場合、温度帯が低く、温度帯の範囲も広いと判断するが、この場合は変動影響が小さいので前述よりは小さく目標蒸発温度の温度帯を0.5K上昇(小さく平行移動)させる。これにより、ショーケース3Cの庫内の冷却能力を減少させて庫内温度を上昇させ、設定温度に近づけて冷却過剰状態を解消する。
また、条件I、II、IIIが上記と同じで条件IVの蒸発温度変動幅が「小さい」場合、主制御装置33は判断項目iの冷却状態が「過剰」、判断項目iiの断続動作が「なし」、判断項目iiiは安定状態、判断項目ivの変動影響は「小」であり、「温度帯上限が低い」、「温度帯の範囲狭い」と判断し、目標蒸発温度(操作量)の下限を維持、上限を+0.5Kする(0.5K上げる)。
即ち、最も冷え難いショーケース3Cの庫内温度が低く、庫内温度の変動幅が小さく、蒸発温度も低く、蒸発温度の変動幅は小さい場合、温度帯の上限が低く、温度帯の範囲が狭いと判断して目標蒸発温度の下限を維持したまま、上限をこの場合は前述より小さく0.5K上昇(従って範囲は小さく拡大)させる。これにより、蒸発温度がより小さく上昇するように変動範囲を小さく拡大することで、ショーケース3Cの庫内の冷却過剰状態を改善する。
このように主制御装置33は最も冷え難いショーケース3Cの庫内の冷却状態を示す指標(条件I〜IV)に応じてショーケース3Cの庫内の冷却状態を改善する方向で、PID演算部41でのPID演算で算出する高段側冷媒回路12の目標蒸発温度(操作量)の変動範囲や温度帯(数値帯)を変更する最適化制御を実行する。そして、主制御装置33はこの最適化制御において最も冷え難いショーケース3Cの庫内温度の変動範囲を狭め、庫内温度(平均値)を設定温度(設定値)に近づけることにより、ショーケース3Cの冷却状態を改善するので、店内外の環境条件の変動に対応しながら、最も冷え難いショーケース3Cの庫内温度の変動を抑えて省エネ化を実現することが可能となる。
特に、最も冷え難いショーケース3Cの庫内の冷却状態を示す指標として、庫内温度と設定温度(設定値)との差、庫内温度の変動幅、蒸発温度と当該蒸発温度の設定温度(設定値)との差、該蒸発温度の変動幅、及び、高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転/停止の頻度を採用しているので、最も冷え難いショーケース3Cの庫内冷却の最適化制御を的確に実現することが可能となる。
(5)主制御装置33による他のショーケース3A、3B、3D、3Eによる高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数の補正
次に、図17及び図18を参照しながら、主制御装置33による高段側冷媒回路12の圧縮機7の目標運転周波数の補正制御について説明する。主制御装置33は前述した基本的な制御と最も冷え難いショーケース3Cの冷却の最適化制御を実行しているが、それに加えて、他のショーケース3A、3B(冷え易いショーケース)、3D、3E(冷蔵ショーケース)の庫内の冷却状態を示す指標に応じて、これらショーケース3A、3B、3D、3Eの冷却状態を改善する方向で、PID演算部42でPID演算される高段側冷媒回路12の圧縮機7の目標運転周波数(操作量)に補正を加える。
具体的には、図17の左側に示すようにショーケース3A、3B、3D、3Eの除霜運転後のプルダウン運転完了までの時間や、図17の右側に示すようにショーケース3A、3B、3D、3Eの庫内温度と設定温度との差が、この実施例における庫内の冷却状態を示す指標となる。また、主制御装置33は、このプルダウン運転完了までの時間(変化量)と高段側冷媒回路12の圧縮機7の目標運転周波数の補正量との関係を示すテーブル(図18の左側)と、庫内温度と設定温度との差と圧縮機7の目標運転周波数の補正量との関係を示すテーブル(図18の右側)を保有している。
(5−1)プルダウンに要した時間による補正
そして、主制御装置33は、各ショーケース3A、3B、3D、3Eのプルダウン運転完了までの時間が前回より例えば2min遅くなった場合、次回の1周期でのプルダウン運転中にPID演算部42で算出された目標運転周波数に+2Hzする。即ち、プルダウン運転での高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数を2Hz上げる補正を加える。逆に、プルダウン運転完了までの時間が2min早くなった場合、次の1周期でのプルダウン運転中の目標運転周波数に−2Hzし、圧縮機7の運転周波数を2Hz下げる補正を加える。
即ち、プルダウン運転が長いときは施工要因や環境要因(環境条件)で、ショーケース3A、3B、3D、3Eの庫内の冷却状態が悪化(不足)していると判断して、次回のプルダウン運転中の高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数を上げ、短かったときは逆に冷却過剰の方向に悪化していると判断して、次回のプルダウン運転中の高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数を下げる。これにより、プルダウン時間は適切な時間に補正・維持されていくことになる。
(5−2)サイクル運転における補正
また、主制御装置33は、各ショーケース3A、3B、3D、3Eのサイクル運転中(安定状態)の庫内温度(図14の下段のように1周期でのサイクル運転中の平均で決定)と設定温度との差が例えば1.0Kであった場合、次の1周期でのサイクル運転中にPID演算部42で算出された目標運転周波数に+2Hzする。即ち、サイクル運転での高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数を2Hz上げる補正を加える。逆に、庫内温度と設定温度との差が−1.0Kであった場合、次の1周期でのサイクル運転中の目標運転周波数に−2Hzし、圧縮機7の運転周波数を2Hz下げる補正を加える。
即ち、庫内温度が設定温度より高く差が大きいときは施工要因や環境要因で、ショーケース3A、3B、3D、3Eの庫内の冷却状態が悪化(不足)していると判断して、次回のサイクル運転中の高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数を上げ、庫内温度が設定温度より低く差が大きいときは逆に冷却過剰の方向に悪化していると判断して、次回のサイクル運転中の圧縮機7の運転周波数を下げる。
このように、主制御装置33は他のショーケース3A、3B、3D、3Eの庫内の冷却状態を示す指標(庫内温度と設定温度との差、プルダウン運転完了までの時間)に応じて、これらショーケース3A、3B、3D、3Eの冷却状態を改善する方向で、PID演算部42で算出する高段側冷媒回路12の圧縮機7の目標運転周波数(操作量)を補正するので、施工要因や環境要因による他のショーケース3A、3B、3D、3Eの冷却不良や冷却過剰の発生を抑制若しくは防止し、他のショーケース3A、3B、3D、3Eの良好な冷却制御を実現することが可能となる。
また、主制御装置33は他のショーケース3A、3B、3D、3Eのプルダウン運転に要した時間に基づき、次回のプルダウン運転に要する時間を適切な時間とする方向で高段側冷媒回路12の圧縮機7の目標運転周波数を補正するので、プルダウン時間の最適化による冷却状態の改善と省エネ化を図ることが可能となる。ここで、実施例では他のショーケース3A、3B、3D、3Eのプルダウン運転に要した時間で高段側冷媒回路12の圧縮機7の目標運転周波数を補正するようにしたが、最も冷え難いショーケース3Cのプルダウン運転に要した時間で行っても良い。
尚、この実施例では他のショーケース3A、3B、3D、3Eの庫内の冷却状態を示す指標として、当該ショーケース3A、3B、3D、3Eの庫内温度と設定温度との差、及び、プルダウン時間を採り上げたが、それらの代わりに、或いは、それらに組み合わせて、庫内温度の変動幅や、電子式膨張弁16の動作状態を採用してもよく(ショーケース3A、3B)、それによって、他のショーケース3A、3B、3D、3Eの庫内冷却の改善を的確に実現することが可能となる。
また、実施例ではPID演算部42で算出された操作量である圧縮機7の目標運転周波数を補正するようにしたが、PID演算部41で算出された目標蒸発温度(操作量)に、ショーケース3A、3B、3D、3Eの冷却状態を改善する方向で、補正を加えるようにしてもよい。
(6)オイル回収運転時の制御
ここで、主制御装置33は約1時間(図19に星印で示すタイミング)に1回オイル回収運転を実行するものとする(1時間ではない場合もある)。このオイル回収運転とは、高段側冷媒回路12中に流出した圧縮機7のオイルを当該圧縮機7に回収する運転であり、その方法は、先ず圧縮機7を一旦停止させ、電子式膨張弁9を開き、高段側冷媒回路12内の圧力が上がったところで、圧縮機7を高い運転周波数(例えば69Hz等)で所定時間運転し、勢いでオイルを圧縮機7に戻すものである。尚、低段側冷媒回路18のオイル回収は、圧縮機13が定速の場合は膨張弁16を開き、圧縮機13が運転周波数を制御されるものの場合は高段側冷媒回路12と同様となる。
このオイル回収運転では、圧縮機7を所定時間停止してから高い運転周波数で所定時間運転するため、その間にも前述したPID演算部41、42によるPID演算を行うと、運転周波数の指示値が蓄積されることにより、オイル回収運転後の圧縮機7の運転周波数と庫内温度が図20に示すように大きく変動してしまうことになる。
そこで、主制御装置33はこのオイル回収運転中に、最も冷え難いショーケース3Cの庫内温度が安定状態から逸脱した時点で、上記PID演算部41、42によるPID演算を中断する。この場合、主制御装置33は庫内温度が設定温度の上下所定範囲内(例えば、設定温度プラスマイナス2K等。即ち、設定温度の近傍)にある場合に安定状態とし、それより上下に逸脱した時点でPID演算を中断する。
そして、この中断期間中に主制御装置33は、中断する直前の高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数を基礎として、現在の運転周波数を図22に示すテーブルに基づいて補正することで、圧縮機7の目標運転周波数を決定する。即ち、中断した直後、庫内温度が設定温度より高く、その差が例えば1.0Kであるとき、主制御装置33は現在の高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数(最初は中断する直前の運転周波数)に例えば+4Hzする。逆に庫内温度が設定温度より低く、その差が−1.0Kであるときは、運転周波数に例えば−4Hzする。
即ち、現在の庫内温度が設定温度より高いときは高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数を上昇させ、低いときは低下させる補正を行っていくとで、図21に示すように庫内温度を設定温度に早期に落ち着かせる。そして、前記安定状態の範囲内でサイクル運転するようになったところで安定状態に復帰と判断し、PID演算を再開するものである。
(7)プルダウン運転時の制御
また、除霜運転ではショーケース3Cの庫内温度も上昇するため、その後のプルダウン運転中に前述したPID演算部41、42によるPID演算を行うと、同様に運転周波数の指示値が蓄積されることにより、プルダウン運転後の高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数と庫内温度が図23、図26に示すように大きく変動し、図に示される各部の温度が大きくオーバーシュートしてしまうことになる。
そこで、主制御装置33はこのプルダウン運転中に、最も冷え難いショーケース3Cの庫内温度が前述した安定状態から逸脱した時点で、上記PID演算部41、42によるPID演算を中断するようにしても良い。
そして、係る中断期間中に主制御装置33は、中断する直前の高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数を基礎として、現在の運転周波数を図25に示すテーブルに基づいて補正することで、高段側冷媒回路12の圧縮機7の目標運転周波数を決定する。即ち、中断した直後、庫内温度が設定温度より高く、その差が例えば1.0Kであるとき、主制御装置33は現在の高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数(最初は中断する直前の運転周波数)に例えば+4Hzする。逆に庫内温度が設定温度より低く、その差が−1.0Kであるときは、運転周波数に例えば−4Hzする。
即ち、現在の庫内温度が設定温度より高いときは高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数を上昇させ、低いときは低下させる補正を行っていくとで、図24、図27に示すように庫内温度を設定温度に早期に落ち着かせ、図に示される各部の温度のオーバーシュートも小さくなる。そして、前記安定状態の範囲内でサイクル運転するようになったところで安定状態に復帰と判断し、PID演算を再開するものである。
尚、図25のような庫内温度と設定温度の差と補正量のデータテーブルによらず、図28に示すように低段側冷媒回路18の蒸発器17における冷媒の蒸発温度と高段側冷媒回路12の目標蒸発温度との関係を直線近似やデータテーブル化しておいて、低段側冷媒回路18の蒸発温度で高段側冷媒回路18の目標蒸発温度を決定してもよい。
(8)扉開閉による外乱時の制御
また、扉Gを有するショーケース3A、3Bの場合、扉Gの開閉されたときに外気が庫内に侵入し、庫内温度も上昇するため、その間に前述したPID演算部41、42によるPID演算を行うと、同様に運転周波数の指示値が蓄積されることにより、扉開閉後の高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数と庫内温度が図29に示すように大きく変動することになる。
この場合は庫内温度センサ23として、扉側Gの庫内温度を検出する庫内扉側温度センサ(手前センサ)23Aと庫内奥部の温度を検出する庫内奥部温度センサ23B(奥センサ)を設ける。扉Gが開放されると庫内扉側温度センサ23Aが検出する扉側の庫内温度が直ぐに上昇し、庫内奥部温度センサ23Bが検出する庫内奥部の温度より大きく高くなるため、その差が所定値以上に拡大したことで、主制御装置33は扉Gの開閉による外乱が発生したものと判断する。
そして、主制御装置33はこの扉Gの開閉による外乱が発生し、最も冷え難いショーケース(この場合は例えばショーケース3Aが最も冷え難いショーケースであるものとする)の庫内温度が前述した安定状態から逸脱した時点で、上記PID演算部41、42によるPID演算を中断する。
そして、係る中断期間中に主制御装置33は、中断する直前の高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数を基礎として、現在の運転周波数を図31に示すテーブルに基づいて補正することで、高段側冷媒回路12の圧縮機7の目標運転周波数を決定する。即ち、中断した直後、庫内温度が設定温度より高く、その差が例えば1.0Kであるとき、主制御装置33は現在の高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数(最初は中断する直前の運転周波数)に例えば+4Hzする。逆に庫内温度が設定温度より低く、その差が−1.0Kであるときは、運転周波数に例えば−4Hzする。
即ち、現在の庫内温度が設定温度より高いときは高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数を上昇させ、低いときは低下させる補正を行っていくとで、図30に示すように庫内温度を設定温度に早期に落ち着かせ、図に示される各部の温度のオーバーシュートも小さくなる。そして、前記安定状態の範囲内でサイクル運転するようになったところで安定状態に復帰と判断し、PID演算を再開するものである。
このように、主制御装置33がオイル回収運転や除霜運転、扉Gの開閉時の外乱により庫内温度が設定温度近傍にある安定状態から逸脱した場合、当該庫内温度が安定状態に復帰するまでPID演算を中断すると共に、この中断期間中は中断する直前の値を庫内温度と設定温度との差に基づいて補正することにより、高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数を制御するようにしたので、オイル回収運転や除霜運転を行い、或いは、扉開閉時の外乱でショーケースの冷却状態が非安定状態となっているときにPID演算を行って制御状態が大きく変動してしまう不都合を未然に回避することができるようになる。
(9)凝縮器ファンの高圧変動抑制制御
次に、図32、33を用いて高段側冷媒回路12の凝縮器ファン19の運転周波数の制御について説明する。図32は一般的な凝縮器ファンの制御方式である。この場合、凝縮器ファンは高圧圧力に基づいて運転周波数が変更される。即ち、例えば図32の右側に示すように高段側冷媒回路の高圧圧力が0.4MPaGであるとき、凝縮器ファンの運転周波数は15Hz、0.6MPaGで20Hz、0.8MPaGで25Hz、1.0MPaGで30Hzというように、高圧圧力の上昇に合わせて凝縮器ファンの運転周波数を上昇させる方向に段階的に切り換えている。
このように一般的には凝縮器ファンが高圧圧力で段階的に切り換えられていたため、図32の左側に示すように、凝縮器ファンの運転周波数が切り替わるときに、高圧圧力や定圧圧力が大きく変動してしまっていた。
そこで、この発明の主制御装置33は図33の示すように高段側冷媒回路12の凝縮器ファン19の運転周波数を制御する。先ず、主制御装置33は高圧圧力センサ28が検出する高段側冷媒回路12の高圧圧力と、所定の目標高圧圧力との偏差eに基づくPID演算で、この偏差eを無くす方向で凝縮器ファン19の目標運転周波数を決定し、実際の凝縮器ファン19の運転周波数をこの目標運転周波数に制御する。その変動範囲は10Hz〜60Hzであり、偏差eが大きい(実際の高圧圧力が目標高圧圧力より大きく高い)ときは目標運転周波数は高くなり、偏差eが小さいときは目標運転周波数は低くなる。
しかしながら、例えば目標高圧圧力が1.2MPaGであるときに、凝縮器ファン19の運転周波数が所定の低い値、例えば変動範囲下限に近い20Hz未満まで低下した場合、主制御装置33は目標高圧圧力を1.1MPaGに低下させ、これにより、凝縮器ファン19の運転周波数は上昇傾向となり、高圧圧力は1.1MPaGに誘導される。また、逆に凝縮器ファン19の運転周波数が所定の高い値、例えば変動範囲上限に近い50Hzより高くなったら、目標高圧圧力を1.3MPaGに上昇させる。これにより、凝縮器ファン19の運転周波数は下降傾向となり、高圧圧力は1.3MPaGに誘導される(高圧変動抑制制御)。
即ち、係る高圧変動抑制制御によれば、高圧圧力の変化によって、凝縮器ファン19の運転周波数が大きく変更されることが無くなるので、この凝縮器ファン19の運転周波数の変動に伴う高圧圧力の変動が回避、若しくは、抑制されることになる。この様子が図33の左側に示される。
このように、主制御装置33が高段側冷媒回路12の高圧圧力と目標高圧圧力との偏差eに基づくPID演算により凝縮器ファン19の目標運転周波数を決定すると共に、この凝縮器ファン19の運転周波数が所定の低い値に低下した場合、目標高圧圧力を低下させ、凝縮器ファン19の運転周波数が所定の高い値に上昇した場合、目標高圧圧力を上昇させる高圧変動抑制制御を実行することにより、図32の如く高圧圧力の値で凝縮器ファン19の運転周波数を変更する場合に比して、図33に示すように高段側冷媒回路12の高圧圧力や低圧圧力の変動を効果的に抑制することが可能となる。
尚、上記実施例では主制御装置33が各膨張弁9、16の制御指示を各ショーケース3A〜3Eや冷凍機6に送信して制御する方式で説明したが、それに限らず、主制御装置33は最も冷え難いショーケースの決定を行い、決定したショーケースに対して当該ショーケースが最も冷え難いショーケースであることを指示し、該ショーケースの庫内温度に基づいて高段側冷媒回路12の圧縮機7の運転周波数を制御すると共に、各ショーケースに目標過熱度を送信し、各ショーケースにおける電子膨張弁16の実際の制御については、各ショーケースのショーケース制御装置36が実行するようにしてもよい。
また、実施例では全てのショーケース、冷凍機において電子式膨張弁を用いた場合で説明したが、機械式膨張弁やそれらが混在する場合にも本発明は有効である。その場合には、機械式膨張弁を用いた最も冷え難いショーケースについては液電磁弁を開放し、電子式膨張弁を用いた最も冷え難いショーケースについては目標過熱度を規定値として当該膨張弁の弁開度を制御する指示を当該ショーケースのショーケース制御装置に送信する。また、冷凍機の高段側冷媒回路の圧縮機はそれらの庫内温度で制御するようにし、機械式膨張弁を用いた他の冷え易いショーケースについては液電磁弁の開閉率を、電子式膨張弁を用いた他の冷え易いショーケースについては目標過熱度をそれぞれ主制御装置が演算し、各ショーケース制御装置に対して指示するようにすればよい。
また、実施例では高段側冷媒回路12の圧縮機7の目標運転周波数と蒸発器17から出る冷媒の目標過熱度の双方を図6の制御で決定するようにしたが、それに限らず、目標過熱度は庫内温度と設定温度との偏差に基づく通常のPID演算にて決定するようにしてもよい。
また、上記では電子式や機械式の膨張弁を用いた冷媒回路に本発明を適用したが、それに限らず、キャピラリチューブで蒸発器に流入する冷媒を絞る場合にも有効である。