以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、カメラ10の外観の一例を模式的に示す。本実施形態のカメラ10は、一眼レフレックスカメラである。カメラ10は、カメラ本体130と、レンズユニット120とを備える。レンズユニット120は交換レンズであり、レンズユニット120はカメラ本体130に対して着脱可能である。図1では、レンズユニット120がカメラ本体130に装着された状態を示す。カメラ本体130には、レリーズボタン12、マルチセレクタ13、表示ユニット53、ファインダ窓14が設けられる。
カメラ10において、後述するミラーユニット20がレンズユニット120の光軸中に進出した進出状態にある場合、レンズユニット120が有するレンズ系を通過した光による被写体の光学像は、ファインダ窓14を通じてユーザに提示される。被写体の光学像には、焦点調節の対象位置を示すフォーカスポイント枠が重畳されて、ユーザに提示される。フォーカスポイント枠は、後述するAF位置表示素子60によって表示される。
焦点調節の対象位置は画角内に複数用意されている。ユーザはマルチセレクタ13を操作して、フォーカスポイント枠の選択状態を変更することにより、焦点調節の対象位置を変更する。なお、焦点調節の対象位置のことを、単に「焦点調節位置」と呼ぶ場合がある。
レリーズボタン12が半押しされると、カメラ10は、後述する焦点検出素子40で検出された焦点状態に基づいて、選択されたフォーカスポイントに対応する焦点調節位置の被写体に対して焦点調節を行う。レリーズボタン12が全押しされると、カメラ10は、後述する撮像素子30の撮像動作で得られた画像データを、後述する外部メモリ80に記録する。このとき、カメラ10は、撮像時に選択されている焦点調節位置を示すAF位置情報を、画像データに付帯して記録する。
後述するように、カメラ10において撮像素子30と焦点検出素子40との撮像面内における相対的な位置ズレ量が光学的に測定されており、当該位置ズレ量を示す第1位置ズレ情報がカメラ10に予め記録されている。また、カメラ10において焦点検出素子40とAF位置表示素子60との相対的な位置ズレ量が光学的に測定されており、当該位置ズレ量を示す第2位置ズレ情報がカメラ10に予め記録されている。カメラ10は、例えば、第1位置ズレ情報および第2位置ズレ情報が記録された状態で出荷される。
カメラ10は、レリーズボタン12の半押し操作等に応じて焦点調節を行う場合、第2位置ズレ情報に応じて補正された位置の被写体に対して、焦点調節を行う。また、カメラ10は、画像データを外部メモリ80に記録する場合、第1位置ズレ情報に応じて補正されたAF位置情報を、画像データに付帯して記録する。カメラ10は、画像データを再生時に、画像データに付帯して記録された位置に、フォーカスポイントのマークを重畳して表示ユニット53に表示させる。
カメラ10によれば、仮に撮像素子30と焦点検出素子40とが互いに誤差をもって組み付けられていたとしても、ユーザがファインダ窓14を通じて指定した焦点調節位置の被写体に対して焦点調節を行うことができる。また、画像再生時においては、仮に撮像素子30とAF位置表示素子60とが互いに誤差をもって組み付けられていたとしても、ユーザがファインダ窓14を通じて指定した焦点調節位置の被写体の被写体像上に正しくフォーカスポイントのマークを重畳して表示することができる。
図2は、カメラ10のシステム構成を概略的に示すブロック図である。制御ユニット52は、カメラ本体130およびレンズユニット120の全体を制御する。制御ユニット52は、例えばMPU等のプロセッサにより実現される。
制御ユニット52は、レンズユニット120が有するレンズ系の焦点距離、絞り、焦点状態等の条件を決定して、決定した条件を示す制御信号をレンズ駆動部71に供給する。レンズ駆動部71は、制御ユニット52から供給された制御信号に基づいて、レンズユニット120が有するレンズ系の焦点距離、絞り、焦点状態等を制御する。なお、特に断らない限り、レンズユニット120が有するレンズ系のことを「レンズ系」と呼ぶ。
焦点検出素子40は、撮像素子30とは異なる位置に設けられ、レンズ系の焦点状態を検出する。焦点検出素子40は、被写体光を受光する複数の受光素子列を有する。焦点検出素子40が有する複数の受光素子列のそれぞれは、被写体に対して合焦状態にある場合には位相が一致した信号を出力し、前ピン状態または後ピン状態にある場合には、位相ずれした信号を出力する。位相のずれ量は、合焦状態からのずれ量に対応する。焦点検出素子40は、受光素子列の出力を相関演算して位相差を検出して、位相差を示す位相差信号を制御ユニット52へ出力する。
レンズ系の焦点状態は、制御ユニット52およびレンズ駆動部71等の制御により、焦点検出素子40からの位相差信号を用いて調節される。例えば、制御ユニット52は、位相差信号が示す焦点状態に基づいてレンズユニット120が有するレンズ内MPUを制御して、焦点状態に応じた目標位置に、レンズ系が含むフォーカスレンズの位置を制御する。
撮像素子30による撮像範囲内には、複数の焦点調節位置が設定されている。焦点検出素子40には、複数の焦点調節位置のそれぞれに対応する複数の位置にそれぞれ受光素子列が設けられている。制御ユニット52は、焦点検出素子40で検出された焦点状態に基づいて、複数の焦点調節位置のそれぞれにおいて焦点調節を制御することができる。
AF位置表示素子60は、レンズ系を通過した光で形成される光学像に重畳して、焦点調節位置を示すマークを表示する。AF位置表示素子60は、複数の焦点調節位置に対応する位置に設けられた複数の発光素子を有する。制御ユニット52は、マルチセレクタ13を含む操作入力部47に対して予め定められた操作がなされた場合、複数の焦点調節位置のうち現在設定されている焦点調節位置に対応する位置の発光素子を発光させる。これにより、ユーザは、現在設定されている焦点調節位置を、ファインダ窓14を通じて認識することができる。
ユーザは、操作入力部47の一部としてのマルチセレクタ13を操作して、複数の焦点調節位置の中から一つの焦点調節位置を選択することができる。制御ユニット52は、レリーズボタン12が半押しされたことを検出すると、焦点検出素子40が有する複数の受光素子列のうち、現在選択されている焦点調節位置に対応する位置に設けられた受光素子列で検出された焦点状態に基づいて焦点調節を制御する。これにより、ユーザが選択した焦点調節位置の被写体に対して焦点調節が行われる。このように、制御ユニット52は、光学像が形成される面内においてマークが表示される位置に光学的に対応する位置に設けられた、レンズ系の焦点状態を検出する焦点検出素子40の焦点状態に基づいて、焦点調節を制御する。
撮像素子30は、カメラ本体130に装着されたレンズユニット120を通過した光により、被写体を撮像する。撮像素子30の撮像動作は、制御ユニット52によって制御される。撮像素子30は、CMOSセンサ、CCDセンサ等の固体撮像素子を有する。撮像素子30が撮像動作によって生成された画素信号は、制御ユニット52の制御に従って画像処理部51に出力される。
画像処理部51は、例えばASICにより実現される。画像処理部51は、制御ユニット52の制御に従って、撮像素子30から出力された画素信号を処理して画像データを生成する。生成された画像データは、例えば撮像後の一定時間の間、表示ユニット53に画像として表示される。また、画像処理部51は、生成した画像データを、予め定められた画像フォーマットに加工する。例えば、画像処理部51は、静止画用の画像フォーマットとしてのJPEGファイル、動画用の画像フォーマットとしてのMPEGファイル等に画像データを加工する。
制御ユニット52は、画像処理部51が生成した画像ファイルを、外部メモリ80に記録する。外部メモリ80は、不揮発性の記録媒体である。外部メモリ80は、カメラ本体130に着脱可能に設けられる。外部メモリ80は、半導体メモリ等のメモリカードであってよい。
なお、カメラ10においてライブビューの撮像動作を行う場合、画像処理部51は、撮像素子30から出力された画素信号に基づく画像を表示ユニット53に順次表示させる。このとき、画像処理部51は、制御ユニット52からの制御に従って、撮像素子30から出力された画素信号を処理して、被写体像のコントラスト量を示すコントラスト評価値を生成する。制御ユニット52は、コントラスト評価値に基づき、焦点調節用の制御信号を生成して、レンズ駆動部71に供給する。
外部接続IF56は、外部機器との間の通信を担う。画像処理部51において生成された画像データは、外部接続IF56を介して外部機器に出力される。外部接続IF56は、USBインタフェース、HDMI(登録商標)インタフェース、無線通信インタフェース等であってよい。外部機器としては、パーソナルコンピュータ、プリンタ、デジタルフォトスタンド等を例示することができる。外部機器が映像機器である場合、映像データとしての画像データは、外部接続IF56を介して映像信号として送信される。
システムメモリ57は、不揮発性のメモリの一例である。システムメモリ57は、例えばフラッシュメモリである。システムメモリ57は、不揮発性メモリの一例であり、カメラ10を制御するプログラム、各種パラメータなどを格納する役割を担う。プログラムは、オペレーティングシステム(OS)を含む。システムメモリ57には、後述する第1位置ズレ情報および第2位置ズレ情報が記録される。
SDRAM58は、揮発性メモリの一例である。SDRAM58は、システムメモリ57よりも、高速にアクセスできるメモリである。SDRAM58は、システムメモリ57から転送されたOSを記憶する。SDRAM58は、画像処理部51による処理中の画像データを一時的に保管するワークメモリとしての役割も担う。
操作入力部47は、レリーズボタン12、マルチセレクタ13等を含む。制御ユニット52は、操作入力部47に対するユーザ操作を示す信号を操作入力部47から取得して、ユーザ操作に応じて各種の処理を行う。
カメラ本体130の各部、レンズユニット120の各部および外部メモリ80は、電源ユニット90から電力供給を受ける。電源ユニット90としては、カメラ本体130に対して着脱できるリチウムイオン電池等の二次電池、系統電源等を例示することができる。二次電池は電池の一例であり、電池とは、実質的に充電することができない一次電池を含む。
図3は、ファインダ窓14を通じてユーザに提示されるAFエリア表示を示す。AFエリア表示では、11個のフォーカスポイント300がフォーカスポイント枠で提示される。11個のフォーカスポイント300を、aからkの添え字で区別する。フォーカスポイント300aは、レンズ系の光軸中心に対応するべき焦点調節位置を示す。フォーカスポイント300のそれぞれは、1つの焦点調節位置に対応する。
各フォーカスポイント300は、AF位置表示素子60が有する複数の発光素子のうちの対応する一つの発光素子によって表示される。図3には、AF位置表示素子60の物理的な位置の基準となる基準位置65が示されている。基準位置65については後述する。
図4は、レンズ系の光軸方向に沿って撮像素子30を見た撮像面を示す。図4においては、フォーカスポイント300に光学的に対応する位置が点線で示されている。図4には、AF位置表示素子60の基準位置65とともに、撮像素子30の物理的な位置の基準となる基準位置35が示されている。基準位置35については後述する。
図5は、焦点検出素子40が有する受光素子の配置例を示す。図5においては、フォーカスポイント300を提供する発光素子と光学的に対応する位置が点線で示されている。また、図5には、AF位置表示素子60の基準位置65が示されている。
焦点検出素子40は、12個のラインセンサ400を有する。12個のラインセンサ400を、aからlの添え字で区別する。ラインセンサ400a、ラインセンサ400b、ラインセンサ400c、ラインセンサ400d、ラインセンサ400e、ラインセンサ400f、ラインセンサ400gは、それぞれx方向に配列された複数の受光素子410を有する。ラインセンサ400h、ラインセンサ400i、ラインセンサ400j、ラインセンサ400kおよびラインセンサ400lは、それぞれy方向に配列された複数の受光素子420を有する。受光素子410および受光素子420については、図6に関連して後述する。同一のラインセンサ400に設けられた複数の受光素子の出力を位相相関することによって、対応する位置の焦点状態が検出される。
撮像素子30、AF位置表示素子60および焦点検出素子40は、組み付け工程で実質的に位置合わせして組み付けられるが、実際には多少の誤差を含んで組み付けられる。したがって、焦点検出素子40の撮像面内の対応位置と撮像素子30とは、撮像面内において相対的に位置ズレして組み付けられている。また、撮像面内におけるAF位置表示素子60の対応位置と撮像素子30とは、撮像面内において相対的に位置ズレして組み付けられている。また、被写体の光学像が形成される面である光学像面においては、光学像面におけるAF位置表示素子60の対応位置と光学像面における焦点検出素子40の対応位置とは、相対的に位置ズレして組み付けられている。カメラ10においては、これらの位置ズレを考慮した処理を行う。なお、本実施形態では、位置ズレを分かりやすく表すために、大きく位置ズレした状態を示す。
本実施形態の説明においては、撮像素子30、焦点検出素子40、AF位置表示素子60の相互の相対的な位置ズレを、撮像素子30における基準位置と、焦点検出素子40における基準位置と、AF位置表示素子60における基準位置とを用いて表す。ここでは、基準位置として、レンズ系の光軸に対応する点を用いる。具体的には、撮像素子30の基準位置35を、撮像素子30が有する有効画素領域の中心に設定する。焦点検出素子40の基準位置45を、ラインセンサ400aにおける受光素子410の配列方向に沿う中心軸411と、ラインセンサ400hにおける受光素子420の配列方向に沿う中心軸412との交点に設定する。AF位置表示素子60の基準位置65を、フォーカスポイント300aを提供する発光素子の中心位置に設定する。基準位置は、相対的な位置ズレを表すことができる位置であれば、どのような位置を採用してもよい。
図4に示されるように、AF位置表示素子60と撮像素子30とは、撮像面内においてx方向にΔX、y方向にΔYだけずれて組み付けられている。また、図5に示されるように、焦点検出素子40とAF位置表示素子60とは、光学像面においてx方向にΔx、y方向にΔyだけずれて組み付けられている。
撮像素子30、焦点検出素子40およびAF位置表示素子60の相互の位置ズレ量は、後述するように撮像素子30、焦点検出素子40およびAF位置表示素子60が組み付けられた後に光学的に測定され、システムメモリ57に位置ズレ量を示す情報が記録される。具体的には、複数のフォーカスポイント300のそれぞれを識別する識別情報に対応づけて、位置ズレ量を示す情報が記録されている。例えば、システムメモリ57には、フォーカスポイント300の識別情報に対応づけて、それぞれのフォーカスポイント300が光学的に対応する撮像面内の位置を示す第1位置ズレ情報が記録されている。また、システムメモリ57には、フォーカスポイント300の識別情報に対応づけて、光学的に対応する位置に存在する受光素子410および受光素子420の識別情報を含む第2位置ズレ情報が記録されている。
図6は、焦点検出素子40の基準位置の近傍を拡大して示す。フォーカスポイント300aで焦点調節を行う場合、制御ユニット52は、ラインセンサ400aが有する受光素子410a、受光素子410b、受光素子410c、受光素子410d、受光素子410e、受光素子410f、受光素子410g、受光素子410h、受光素子410i、受光素子410j、受光素子410k・・・のうち、位置ズレΔxに応じた位置にある予め定められた数の受光素子(受光素子410c、受光素子410d、受光素子410e、受光素子410f、受光素子410g、受光素子410h、受光素子410i、受光素子410j)で焦点状態を検出させる。また、制御ユニット52は、ラインセンサ400hが有する受光素子420a、受光素子420b、受光素子420c、受光素子420d、受光素子420e、受光素子420f、受光素子420g、受光素子420h・・・のうち、位置ズレΔyに応じた位置にある予め定められた数の受光素子420(受光素子420b、受光素子420c、受光素子420d、受光素子420e、受光素子420f)で焦点状態を検出させる。
具体的には、システムメモリ57には、フォーカスポイント300aを識別する情報に対応づけて、測定された位置ズレΔxに応じて選択された受光素子410c、受光素子410d、受光素子410e、受光素子410f、受光素子410g、受光素子410h、受光素子410iおよび受光素子410jを識別する識別情報と、受光素子420b、受光素子420c、受光素子420d、受光素子420eおよび受光素子420fを識別する識別情報とが、第2位置ズレ情報として記録されている。制御ユニット52は、フォーカスポイント300aで焦点調節することが選択されている場合、システムメモリ57に記録されている検出素子情報においてフォーカスポイント300aに対応づけられた受光素子の識別情報に基づいて、受光素子410c、受光素子410d、受光素子410e、受光素子410f、受光素子410g、受光素子410h、受光素子410iおよび受光素子410jを選択して、選択した受光素子410および受光素子420から出力された位相差信号に基づいて、焦点状態を算出する。
フォーカスポイント300b〜kについても同様に、フォーカスポイント300b〜kを識別する識別情報に対応づけて、位置ズレに応じて決定された受光素子410および受光素子420の識別情報が、検出素子情報としてシステムメモリ57に記録されている。制御ユニット52は、システムメモリ57に記録されている検出素子情報において、ユーザが選択したフォーカスポイント300に対応づけられた受光素子の識別情報に基づいて受光素子410および受光素子420を選択して、選択した受光素子410および受光素子420から出力された位相差信号に基づいて、焦点状態を算出する。これにより、制御ユニット52は、ユーザが選択したフォーカスポイント300に対応づけられた適切な受光素子410および受光素子420を選択して、焦点状態を算出することができる。
図7は、ユーザによって撮影前にファインダ内で観察されるファインダ像700の一例を示す。図7は、フォーカスポイント300aが選択されている場合を示す。図7に示されるフォーカスポイントを示すマーク710は、マルチセレクタ13で選択されたフォーカスポイント300に対応する発光素子が発光することによって形成され、被写体の光学像720に重畳されてユーザに提示される。レリーズボタンが押し込まれると、制御ユニット52は、画像処理部51で生成された画像データの付帯情報として、第1位置ズレ情報に基づいて、フォーカスポイント300aに対応する画像上の位置を示すAF位置情報を付帯して、外部メモリ80を記録する。このように、制御ユニット52は、撮像素子30で得られた画像データに対応づけて、焦点調節の対象位置を示す、位置ズレに応じた情報を記録する。
図8は、表示ユニット53に表示される再生画像の一例を示す。制御ユニット52は、画像データに格納されているAF位置情報に基づいて、画像800に重畳して、マーク810を表示する。画像データに付帯して記録されているAF位置情報は、撮像素子30の基準位置35に対応する位置に対して、撮像素子30との相対的な位置ズレを示す第1位置ズレ情報で補正された値である。このため、マーク810は、ユーザがファインダ窓14を通じて選択したフォーカスポイント300aに光学的に対応する画像上の位置に表示される。このように、制御ユニット52は、画像に重畳して、焦点調節の対象位置を示すマークを、位置ズレに応じた位置に表示させる。
なお、制御ユニット52は、画像データに位置ズレ情報を記録したり表示ユニット53に位置ズレ情報に基づくマーク810を表示したりするだけでなく、種々の形態で位置ズレ情報を出力してよい。すなわち、制御ユニット52は、撮像素子30で得られた画像における、焦点状態に基づく焦点調節の対象位置を示す情報を、位置ズレに応じて出力してよい。
以上に説明したように、カメラ10によれば、ユーザがファインダ窓14を通じて選択したフォーカスポイント300に光学的に正しく対応する被写体位置に対して、焦点調節を行うことができる。また、画像の再生画面上においても、ユーザがファインダ窓14を通じて選択したフォーカスポイント300に光学的に対応する画像上の位置に、フォーカスポイントを示すマークを表示することができる。このように、カメラ10によれば、撮像素子30、焦点検出素子40およびAF位置表示素子60が相互に位置ズレして組み付けられている場合でも、位置ズレを考慮した正しい被写体位置に対して焦点調節を行うことができる。また、画像の再生画面上に表示されるフォーカスポイントの位置が、ユーザが選択した位置と大きくずれることがない。
図9は、カメラの調整工程において用いられる調整装置1000とカメラ10とを含む調整システムを示す図である。調整装置1000は、制御装置1010と、撮像装置1020と、表示装置1030とを備える。撮像装置1020および表示装置1030は、カメラ10に対して位置決めして固定される。撮像装置1020は、ペンタプリズムおよびAF位置表示素子60で形成される光学像を、ファインダ窓を通じて撮像できるように設けられる。表示装置1030は、表示装置1030の表示面に表示された画像を撮像素子30で撮像できるように、撮像素子30の撮像面に表示面が対向するように設けられる。
図9においては、カメラ10のカメラ本体130が有するミラーユニット20は、レンズユニット120の光軸中に進出した状態にある。メインミラー21に入射して反射された光の一部で形成される光学像は、ペンタプリズム24、接眼光学系25およびファインダ窓14を通じて、撮像装置1020で撮像される。AF位置表示素子60が有する発光素子によってフォーカスポイント300の光学像が、メインミラー21に入射した光による光学像に重畳されて、撮像装置1020でファインダ画像として撮像される。撮像装置1020で撮像されたファインダ画像は、制御装置1010に出力される。
メインミラー21に入射して透過した光の一部は、サブミラー22で反射して焦点検出素子40に入射する。制御装置1010は、焦点検出素子40が有する受光素子410および受光素子420が受光した光量を示す信号は、制御装置1010に出力される。
表示装置1030は、制御装置1010の制御に基づき、縦長の矩形ラインの画像と、横長の矩形ラインの画像とを切り替えて表示する。なお、縦方向とは、撮像素子30上においてy方向に対応する。また、横方向は、撮像素子30上においてx方向に対応する。
制御装置1010は、表示装置1030に縦長の矩形ラインの画像を表示させている状態で、撮像装置1020に第1ファインダ画像を撮像させて、第1ファインダ画像の画像データを取得する。また、制御装置1010は、表示装置1030に縦長の矩形ラインの画像を表示させている状態で、焦点検出素子40が有する受光素子410および受光素子420からの信号を取得する。
また、制御装置1010は、表示装置1030に横長の矩形ラインの画像を表示させている状態で、撮像装置1020に第2ファインダ画像を撮像させて、第2ファインダ画像の画像データを取得する。また、制御装置1010は、表示装置1030に横長の矩形ラインの画像を表示させている状態で、焦点検出素子40が有する受光素子410および受光素子420からの信号を取得する。
図10は、第1ファインダ画像1080の一例を示す。第1ファインダ画像1080には、フォーカスポイント300aのフォーカスポイント像1110a、フォーカスポイント300bのフォーカスポイント像1110b、フォーカスポイント300cのフォーカスポイント像1110cおよび表示装置1030から発せられた光線で形成された矩形のライン像1120が含まれる。
制御装置1010は、撮像装置1020で撮像された第1ファインダ画像1080を解析して、第1ファインダ画像1080上におけるx方向のズレ量1150を算出する。具体的には、制御装置1010は、フォーカスポイント像1110a、フォーカスポイント像1110bおよびフォーカスポイント像1110cの位置と、表示ライン像1120の位置とに基づいて、ズレ量1150を算出する。例えば、制御装置1010は、フォーカスポイント像1110aのx座標、フォーカスポイント像1110bのx座標およびフォーカスポイント像1110cのx座標の平均値と、表示ライン像1120の中心位置のx座標との差に基づいて、ズレ量1150を算出する。
図11は、表示装置1030が縦長の矩形ラインを表示している場合に焦点検出素子40に光線1100が入射している様子を模式的に示す。制御装置1010は、ラインセンサ400aが有する受光素子410のそれぞれからの信号が示す受光量に基づいて、表示装置1030から発せられた光線1100の中心軸のx座標を算出する。制御装置1010は、算出した中心軸のx座標と焦点検出素子40の基準位置45のx座標とのズレ量1160を算出する。
図12は、第2ファインダ画像1280の一例を示す。第2ファインダ画像1280には、フォーカスポイント300aのフォーカスポイント像1210a、フォーカスポイント300dのフォーカスポイント像1210d、フォーカスポイント300gのフォーカスポイント像1210g、フォーカスポイント300jのフォーカスポイント像1210j、フォーカスポイント300kのフォーカスポイント像1210kおよび表示装置1030から発した光線で形成されたライン像1220が含まれる。
制御装置1010は、撮像装置1020で撮像された第2ファインダ画像1280を解析して、第2ファインダ画像1280上におけるy方向のズレ量1250を算出する。具体的には、制御装置1010は、フォーカスポイント像1210a、フォーカスポイント像1210d、フォーカスポイント像1210g、フォーカスポイント像1210jおよびフォーカスポイント像1210kの位置と、表示ライン像1220の位置とに基づいて、ズレ量1250を算出する。例えば、制御装置1010は、フォーカスポイント像1210aのy座標、フォーカスポイント像1210dのy座標、フォーカスポイント像1210gのy座標、フォーカスポイント像1210jのy座標およびフォーカスポイント像1210kのy座標の平均値と、矩形ライン像1220の中心位置のy座標との差に基づいて、ズレ量1250を算出する。
図13は、表示装置1030が横長の矩形ラインを表示している場合に焦点検出素子40に光線1300が入射している様子を模式的に示す。制御装置1010は、ラインセンサ400hが有する受光素子420のそれぞれからの信号が示す受光量に基づいて、表示装置1030から発せられた光線1300の中心軸のy座標を算出する。制御装置1010は、算出した中心軸のy座標と焦点検出素子40の基準位置45のy座標とのズレ量1260を算出する。
制御装置1010は、ズレ量1150とズレ量1160とに基づいて、フォーカスポイント300aが選択されている場合に焦点状態の検出に使用するべき受光素子410を選択する。例えば、制御装置1010は、ズレ量1150とズレ量1160とに基づいて、AF位置表示素子60の基準位置65と焦点検出素子40の基準位置45との位置ズレ量Δxを算出する。制御装置1010は、位置ズレ量Δxに基づいて、焦点状態の検出に使用するべき受光素子410として、AF位置表示素子60の基準位置65に光学的に対応する位置を中心とする予め定められた数の受光素子410を選択する。同様に、制御装置1010は、フォーカスポイント300b〜kのそれぞれについて、それぞれのフォーカスポイント300が選択されている場合に焦点状態の検出に使用するべき受光素子410を選択する。
また、制御装置1010は、ズレ量1250とズレ量1260とに基づいて、フォーカスポイント300aが選択されている場合に焦点状態の検出に使用するべき受光素子420を選択する。例えば、制御装置1010は、ズレ量1250とズレ量1260とに基づいて、AF位置表示素子60の基準位置65と焦点検出素子40の基準位置45との位置ズレ量Δyを算出する。制御装置1010は、位置ズレ量Δyに基づいて、焦点状態の検出に使用するべき受光素子420として、AF位置表示素子60の基準位置65に光学的に対応する位置を中心とする予め定められた数の受光素子420を選択する。同様に、制御装置1010は、フォーカスポイント300b〜kのそれぞれについて、それぞれのフォーカスポイント300が選択されている場合に焦点状態の検出に使用するべき受光素子420を選択する。
制御装置1010は、フォーカスポイント300aについて選択した受光素子410の識別情報および受光素子420の識別情報を、フォーカスポイント300aの識別情報に対応づけてシステムメモリ57に記録する。同様に、制御装置1010は、フォーカスポイント300b〜kのそれぞれについて選択した受光素子410の識別情報および受光素子420の識別情報を、それぞれのフォーカスポイント300の識別情報に対応づけてシステムメモリ57に記録する。
図14は、カメラ本体130が有するミラーユニット20が、レンズユニット120の光軸中から退避した退避状態を示す。制御装置1010は、カメラ10を制御して、レンズユニット120の光軸中からミラーユニット20を退避状態させる。この場合、レンズユニット120のレンズ系を通過した光は、撮像素子30に入射する。撮像素子30に入射した光に基づく画像は、制御装置1010に出力される。
ミラーユニット20が退避状態にある場合において、表示装置1030は、制御装置1010の制御に基づき、上述した縦長の矩形ラインの画像と、上述した横長の矩形ラインの画像とを切り替えて表示する。制御装置1010は、表示装置1030に縦長の矩形ラインの画像を表示させている状態で、撮像素子30で撮像動作を行わせ、当該撮像動作で得られた第1撮像画像の画像データを、カメラ10から取得する。また、制御装置1010は、表示装置1030に横長の矩形ラインの画像を表示させている状態で、撮像素子30に撮像動作を行わせ、当該撮像動作で得られた第2撮像画像の画像データをカメラ10から取得する。
図15は、表示装置1030が縦長の矩形ラインを表示している場合に撮像素子30に光線1500が入射している様子を模式的に示す。制御装置1010は、カメラ10から出力された第1撮像画像を解析して、第1撮像画像上における矩形ライン像の中心軸のx座標を算出する。制御装置1010は、算出した中心軸のx座標を、撮像素子30による撮像面上のx座標に変換する。制御装置1010は、撮像面上における中心軸のx座標と、撮像素子30の基準位置のx座標とのズレ量1550を算出する。
図16は、表示装置1030が横長の矩形ラインを表示している場合に撮像素子30に光線1600が入射している様子を模式的に示す。制御装置1010は、カメラ10から出力された第2撮像画像を解析して、第2撮像画像上における矩形ライン像の中心軸のy座標を算出する。制御装置1010は、算出した中心軸のy座標を、撮像素子30による撮像面上のy座標に変換する。制御装置1010は、撮像面上における中心軸のy座標と、撮像素子30の基準位置のy座標とのズレ量1560を算出する。
制御装置1010は、図10等に関連して説明したズレ量1150と、図15等に関連して説明したズレ量1550とに基づいて、フォーカスポイント300aに光学的に対応する撮像面上のx座標を算出する。また、制御装置1010は、図12等に関連して説明したズレ量1260と図16等に関連して説明したズレ量1560とに基づいて、フォーカスポイント300aに光学的に対応する撮像面上のy座標を算出する。同様に、制御装置1010は、ズレ量1150とズレ量1550とに基づいて、フォーカスポイント300b〜kのそれぞれについて、それぞれのフォーカスポイント300に光学的に対応する撮像面上のx座標を算出する。また、制御装置1010は、ズレ量1260とズレ量1560とに基づいて、フォーカスポイント300b〜kのそれぞれについて、それぞれのフォーカスポイント300に光学的に対応する撮像面上のy座標を算出する。
制御装置1010は、フォーカスポイント300aについて算出した、フォーカスポイント300aに光学的に対応する撮像面上のx座標およびy座標を示す情報を、フォーカスポイント300aの識別情報に対応づけて、カメラ10のシステムメモリ57に第1位置ズレ情報として記録する。同様に、制御装置1010は、フォーカスポイント300b〜kのそれぞれについて算出した、それぞれのフォーカスポイント300に光学的に対応する撮像面上のx座標およびy座標を、それぞれのフォーカスポイント300の識別情報に対応づけて、カメラ10のシステムメモリ57に第1位置ズレ情報として記録する。
ここで、AF位置表示素子60の基準位置65と撮像素子30の基準位置35との位置ズレ量ΔXは、各フォーカスポイント300に光学的に対応する撮像面上のx座標と撮像素子30の基準位置35のx座標との差に対応する。また、AF位置表示素子60の基準位置65と撮像素子30の基準位置35との位置ズレ量ΔYは、各フォーカスポイント300に光学的に対応する撮像面上のy座標と撮像素子30の基準位置35のy座標との差に対応する。したがって、各フォーカスポイント300aについて算出した撮像面上のx座標およびy座標は、AF位置表示素子60の基準位置65と撮像素子30の基準位置35との位置ズレΔXおよびΔYを示す情報といえる。なお、位置ズレΔXおよび位置ズレΔYを示す情報は、撮像面上における絶対的な座標値の他に、撮像素子30の有効画素の横幅および縦幅に対する相対値として記録されてよい。また、位置ズレΔXおよび位置ズレΔYを示す情報は、撮像素子30の有効画素のうち、各フォーカスポイント300が光学的に対応するx座標およびy座標の位置に最も近い位置に存在する画素を識別する情報として記録されてよい。
このように、カメラ10のシステムメモリ57は、撮像素子30の撮像面内における焦点検出素子40の対応位置と撮像素子30の位置との相対的な位置ズレを示す情報を記録する位置情報記録部として機能する。また、システムメモリ57は、焦点検出素子40が有する複数の受光素子のうち、焦点状態の検出に用いるべき、位置ズレに応じた位置に設けられた受光素子を識別する情報を記録する素子情報記録部として機能する。
図17は、カメラ10の調整工程におけるフローの一例を示す。
本フローが開始すると、ステップS1700において、調整対象のカメラ10を用意して、調整装置1000に対して位置決めされた状態に固定する。ステップS1702において、制御装置1010は、カメラ10のミラーユニット20を、レンズユニット120のレンズ系の光軸中に進出状態にして維持する。
ステップS1704において、制御装置1010は、縦長の矩形ラインを表示装置1030に表示させる。表示装置1030から発せられる画像を形成する光は、焦点検出素子40が有する複数の受光素子に測定光として受光される。
ステップS1706において、制御装置1010は、撮像装置1020に第1ファインダ画像を撮像させて、撮像装置1020から第1ファインダ画像の画像データを取得して、第1ファインダ画像を解析する。制御装置1010は、第1ファインダ画像を解析することにより、図10等に関連して説明したx方向のズレ量1150を算出する。
ステップS1708において、制御装置1010は、焦点検出素子40の出力を取得して解析する。ステップS1708において、制御装置1010は、図11等に関連して説明したx方向のズレ量1160を算出する。
続いて、ステップS1710において、制御装置1010は、横長の矩形ラインを表示装置1030に表示させる。
ステップS1712において、制御装置1010は、撮像装置1020に第2ファインダ画像を撮像させて、撮像装置1020から第2ファインダ画像の画像データを取得して、第2ファインダ画像を解析する。制御装置1010は、第2ファインダ画像を解析することにより、図12等に関連して説明したy方向のズレ量1250を算出する。ステップS1706およびステップS1712に関連して説明したように、制御装置1010は、測定光で形成される光学像と測定光で形成される光学像に重畳されたマークの位置との相対的な位置ズレを検出する。
ステップS1714において、制御装置1010は、焦点検出素子40の出力を取得して解析する。ステップS1714において、制御装置1010は、図13等に関連して説明したy方向のズレ量1260を算出する。
ステップS1716において、制御装置1010は、各フォーカスポイント300のそれぞれについて、焦点検出素子40が有する使用する受光素子410および受光素子420を選択する。上述したように、制御装置1010は、ズレ量1150およびズレ量1160に基づいて、各フォーカスポイント300のそれぞれについて、それぞれのフォーカスポイント300が選択された場合に焦点状態の検出に使用する受光素子410を選択する。また、制御装置1010は、ズレ量1250およびズレ量1260に基づいて、各フォーカスポイント300のそれぞれについて、それぞれのフォーカスポイント300が選択された場合に焦点状態の検出に使用する受光素子420を選択する。
ステップS1718において、制御装置1010は、ステップS1716で選択した受光素子410および受光素子420の識別情報を、対応するフォーカスポイント300の識別情報に対応付けてカメラ10のシステムメモリ57に記録する。これにより、第2位置ズレ情報がカメラ10に記録される。このように、制御装置1010は、ステップS1706およびステップS1712に関連して説明した位置ズレに基づいて、焦点検出素子40が有する複数の受光素子のうち、光学像が形成される面内においてマークが表示される位置に光学的に対応する位置に設けられた受光素子を、焦点状態の検出に用いるべき焦点検出素子40として選択して、選択した受光素子を識別する情報を、撮像装置に記録する。
ステップS1722において、制御装置1010は、カメラ10のミラーユニット20を退避状態にさせる。
ステップS1724において、制御装置1010は、縦長の矩形ラインを表示装置1030に表示させる。表示装置1030から発せられる画像を形成する光は、測定光として撮像素子30画有する複数の受光素子に受光される。
ステップS1726において、制御装置1010は、カメラ10に第1撮像画像を撮像させて、カメラ10から第1撮像画像の画像データを取得して、第1撮像画像を解析する。制御装置1010は、第1撮像画像を解析することにより、図15等に関連して説明したx方向のズレ量1550を算出する。
ステップS1728において、制御装置1010は、横長の矩形ラインを表示装置1030に表示させる。
ステップS1730において、制御装置1010は、カメラ10に第2撮像画像を撮像させて、カメラ10から第2撮像画像の画像データを取得して、第2撮像画像を解析する。制御装置1010は、第2撮像画像を解析することにより、図16等に関連して説明したx方向のズレ量1560を算出する。
ステップS1732において、制御装置1010は、フォーカスポイント300のそれぞれについて、それぞれのフォーカスポイント300が光学的に対応する撮像面上のx座標およびy座標を算出する。上述したように、制御装置1010は、ズレ量1150およびズレ量1550に基づいて、それぞれのフォーカスポイント300が光学的に対応する撮像面上のx座標を算出する。また、制御装置1010は、ズレ量1250およびズレ量1560に基づいて、それぞれのフォーカスポイント300が光学的に対応する撮像面上のy座標を算出する。
ステップS1734において、制御装置1010は、それぞれのフォーカスポイント300に光学的に対応する撮像面上のx座標およびy座標を、対応するフォーカスポイント300の識別情報に対応付けてカメラ10のシステムメモリ57に記録する。これにより、第1位置ズレ情報がカメラ10に記録される。このように、制御装置1010は、焦点検出素子40が有する複数の受光素子のうち測定光を検出した受光素子の位置と、撮像素子30が有する複数の受光素子のうち測定光を検出した受光素子の位置とに基づいて、撮像素子30の撮像面内における焦点検出素子40の対応位置と撮像素子30の位置との相対的な位置ズレを検出して、当該位置ズレを示す情報を、撮像装置に記録する。
ステップS1736において、制御装置1010は、カメラ10のミラーユニット20を進出状態にさせる。ステップS1738において、制御装置1010は、カメラ10を調整装置1000から取り外して、本フローを終了する。他のカメラを調整する場合は、他のカメラを選択して、本フローで説明した各ステップを繰り返す。
なお、カメラ10においては、AF位置表示素子60が有する発光素子で表示されるフォーカスポイント300を示すマークは、被写体の光学像上において固定された位置に表示される。しかし、AF位置表示素子60を例えばドットマトリクス方式で実現すれば、撮像素子30、焦点検出素子40およびAF位置表示素子60が組み付けられた後に、フォーカスポイント300を示すマークの位置を変更することができる。この場合、制御ユニット52は、上述した調整結果に基づいて、レンズ系を通過した光で形成される光学像に重畳して、光学像が形成される面内における焦点検出素子40の対応位置に、焦点状態に基づく焦点調節の対象位置を示すマークを表示させてもよい。
また、AF位置表示素子60は、レンズ系を通過した光で形成される光学像に重畳して情報を表示する表示素子の一例である。AF位置表示素子60に代えて、またはAF位置表示素子60に加えて、様々な情報を表示する表示素子を、撮像素子30や焦点検出素子40との間の相対的な位置ズレの調整対象としてよい。
また、カメラ10は、AF位置表示素子60を有しなくてもよい。また、カメラ10は、焦点検出素子40を有しなくてもよい。また、本実施形態では焦点検出素子40が複数の受光素子から形成され、各フォーカスポイント300に対応する受光素子を選択する。他の形態としては、それぞれ複数の受光素子を有する焦点検出素子を別々の位置に複数設けて、各フォーカスポイント300に対応する焦点検出素子を選択してもよい。
上記の説明において、制御ユニット52の動作として説明した処理は、制御ユニット52がプログラムに従ってカメラ10が有する各ハードウェアを制御することにより実現される。同様に、上記の説明において画像処理部51により実現される処理は、プロセッサによって実現することができる。このように、本実施形態のカメラ10に関連して説明したカメラ10の処理は、プロセッサがプログラムに従って動作して各ハードウェアを制御することにより、プロセッサ、メモリ等を含む各ハードウェアとプログラムとが協働して動作することにより実現することができる。すなわち、当該処理を、いわゆるコンピュータによって実現することができる。同様に、制御装置1010が実行する処理を、いわゆるコンピュータによって実現することができる。コンピュータは、上述した処理の実行を制御するプログラムをロードして、読み込んだプログラムに従って動作して、当該処理を実行してよい。コンピュータは、当該プログラムを記憶しているコンピュータ読取可能な記録媒体から当該プログラムをロードすることができる。
本実施形態において、撮像装置の一例として、レンズユニット120およびカメラ本体130を備えるカメラ10を取り上げた。しかし、撮像装置とは、レンズユニット120を備えないカメラ本体130を含む概念である。撮像装置は、一眼レフレックスカメラ等のレンズ交換式カメラであってよいし、レンズ非交換式カメラであってもよい。撮像装置は、ビデオカメラであってよい。撮像装置とは、撮像機能付きの携帯電話機、撮像機能付きの携帯情報端末等、撮像機能を有する種々の機器を含む概念である。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。