以下、本発明の例示的な一実施形態に従う駐車場用発券機20を図面に基づいて詳細に説明する。
図1には、その発券機20が設置されて使用される駐車場10が平面図で示されている。その駐車場10は、複数台の自動車の同時駐車を可能にする複数の駐車位置(駐車スペース)を有する。この駐車場10の唯一の入出庫口12(入庫口でもあるし出庫口でもある)の近傍位置に、1台の発券機(一般には、「精算機」ともいう。)20が、複数の駐車位置に共通に、集中発券機として設置されている。この駐車場10は、専従者がおらず、運転者であるユーザが駐車料金の支払いを発券機20に対して行う無人式である。
なお、「車両」なる用語の定義について付言するに、この「発明を実施するための形態」の欄においては、「車両」なる用語は、自動車のみを意味するが、本明細書の他の箇所においては、「車両」なる用語は、自動車のみならず、自転車、自動二輪車等、あらゆる種類の移動体を包含する用語として解釈すべきである。
駐車場10の敷地には、2種類の駐車区画が存在する。それは、各車両のユーザに対し、1時間単位で駐車スペースを貸し出すための区画(一時預り区画または日貸し用区画)と、各車両のユーザに対し、事前の契約を前提に、1月単位で駐車スペースを貸し出すための区画(月極用区画)とである。発券機20は、一時預り区画について使用される。以下、単に「駐車場10」というときには、この駐車場10のうち、一時預り区画、すなわち、発券機20が使用されるエリアのみを意味する。
駐車場10を利用するために、ユーザである運転者は、自己の車両を運転して、隣接道路から入出庫口12に進入し、引き続いて運転して発券機20を素通りし、さらに、自己の車両を、自身で選択したいずれかの駐車スペース(駐車位置)まで運転してそこに駐車する。その後、ユーザは、自己の車両から降りて、入出庫口12にある発券機20まで歩いていき、そこで駐車料金を発券機20に対して支払う。
図2には、発券機20が正面図で示されており、図3には、発券機20を、扉24が開いている状態で斜視図で示されており、図4には、発券機20の部品構成がブロック図で示されている。図5は、図4に示す制御基板34内のコンピュータ100によって実行される発券・精算プログラムが概念的にフローチャートで表されている。図6(a)−(d)には、図2に示す表示器36の画面上に表示される複数の画像が正面図で示されている。
ユーザは、駐車料金の支払いと引き換えに、図7(a)および図8に示す駐車券80を発券機20から受け取る。その後、ユーザは、その駐車券80を、図9および図10に示すように、自己の車両のフロントガラス110の裏面に貼り付ける。その駐車券80は、駐車車両の室内に置かれるため、雨風に曝されることはないし、紛失することもない。
駐車場10は、複数の駐車位置を有する前払い式の無人駐車場であって、車両の出庫を阻止する(駐車場10からの退出を阻止する)ための装置(例えば、出庫ゲート装置や、輪止め装置(例えば、フラップ式や、出没式))を有せず、かつ、ユーザが前記複数の駐車位置のうちのいずれかを自由に選んで自己の車両を駐車することが可能である(選択された駐車位置は、発券機20によって監視されない)。このように構成された駐車場10について発券機20が使用される。
ここで、発券機20をさらに具体的に説明する。この発券機20は、料金精算機能は有するが釣銭機能(釣銭を計算してユーザに支払う機能)も通信機能も有しない。
また、この発券機20は、ユーザが駐車料金を紙幣ではなく硬貨のみで支払うことを要求する。この発券機20は、紙幣を扱わないため、紙幣を扱う場合に発生し易い問題、例えば、紙幣投入時の紙幣詰まり、投入された紙幣の真偽を判別する偽札判別機能の追加、投入されて金庫32内に保管されている紙幣が盗難される危険性の発生、釣銭機能の追加、釣銭および投入された紙幣を保管するスペースの確保に起因する発券機20の大型化などの問題が発生せずに済む。
また、この発券機20は、ユーザに対し、ユーザ識別番号の入力も、ユーザの車両についての車両識別情報(例えば、車両番号)の入力も、複数の駐車位置のうちユーザが選択するものの特定も、要求しない。
発券機20は、図2に示すように、発券ボタン70と、料金精算ボタン74とを有する。発券機20は、ユーザが、駐車開始に先立ち、前払い駐車料金を支払った後に発券ボタン70を押すと、駐車が許可されたことを示す駐車券80(図7(a)参照)と、前払い駐車料金の精算が済んだことを示す領収書81a(図7(a)参照)とを、2枚綴りで発行する発券機能を有する。発券機20は、さらに、ユーザが、駐車終了後、追加駐車料金を支払った後に料金精算ボタン74を押すと、追加駐車料金の精算が済んだことを示す領収書81b(図7(b)参照)を発行する料金精算機能を有する。
本実施形態においては、前払い駐車料金の支払い後に発行される2枚綴りの駐車票は、駐車券80と領収書81aの2枚綴りであるが、ユーザは、それら駐車券80と領収書81aを互いに分離し、駐車券80のみ、駐車車両内に置いておき、領収書81aは、携帯することが可能である。領収書81aには、後述のように、有効駐車時間(ユーザによる駐車が許可された時間帯)の終了時刻が印刷されており、ユーザが、駐車車両から離れた場所においていつでも有効駐車時間の終了時刻を参照できるようにするために、この領収書81aをユーザが携帯することが便利である。
図3に示すように、この発券機20は、縦長で箱状を成すケーシング22に扉24がそれの一側辺において開閉可能に取り付けられて構成されている。扉24とケーシング22との間にロック機構があり、権限ある者しか使用できない固有のキーをそのロック機構のシリンダに差し込んで操作することにより、扉24の開錠および施錠が行われる。図3には、この発券機20の内部構成が、扉24が開いている状態で、斜視図で示されている。図4には、この発券機20の部品構成がブロック図で示されている。
図3に示すように、この発券機20は、硬貨処理ユニット30と、金庫32と、制御基板34と、表示器36と、リセットボタン37(図4参照)と、駐車券80および領収書81a,81bを印刷して発行するプリンタ40と、枚数カウンタ41(図4参照)とを有するように構成されている。それら部品のうち、硬貨処理ユニット30のみが、扉24の背面に取り付けられ、残りの部品は、ケーシング22の内部に取り付けられている。
図3に示すように、プリンタ40には、印刷前の連続シートが巻き付けられて収容されるローラ42が作業者によって着脱可能に装着されている。プリンタ40は、そのローラ42から送り込まれる連続シートに対して印刷を行う。プリンタ40は、その印刷終了後、連続シートを随時、カッタ(図示しない)によってカットしてその連続シートから、前払い駐車料金の支払い後には駐車券80と領収書81aとの2枚綴り、追加駐車料金の支払い後には1枚分の領収書81bを切り離す。ただし、2枚綴りである駐車券80と領収書81aとの間に、図7(a)に示すように、切取り線89が形成されており、ユーザは、その切取り線89に沿って、それら駐車券80と領収書81aを簡単に互いに切り離すことが可能である。
前記カッタは、切刃(図示しない)を有し、その切刃を連続シートの幅方向に移動させて連続シートを幅方向に切断する。また、前記カッタは、連続シートを幅方向に完全に切断する方式を採用したり、幅方向における一部のみ残して連続シートを幅方向に切断する方式を採用することが可能である。
枚数カウンタ41は、プリンタ40が印刷した駐車券80、領収書81aおよび81b(それらは、形態上、プリンタ40から排出されるスリップという点で互いに共通するため、以下、それらを集合的に「複数の駐車票」と称する)の枚数の累積値をカウントするために、プリンタ40から排出される連続シートの経路上に、その連続シートの背後に非接触状態で設置されている。
連続シートの裏面には、各駐車票ごとに、他の領域とは反射率が異なる領域、例えば、低反射率領域(例えば、白い駐車票の裏面に対して黒い横線)が、例えば印刷により、1つずつ局部的に形成されている。枚数カウンタ41は、発光部41aと受光部41bとを有する。発光部41aは、光を連続的にかつ局部的に連続シートの裏面に向けて発光し、一方、受光部41bは、発光部41aが発光した光のうち、連続シートで反射した部分を受光する。低反射率領域からの反射光は弱く、他の領域からの反射光は強い。受光部41bは、受光した光の強さに応じた信号を出力する。制御基板34内のコンピュータ100は、受光部41bが受光した光の強さの時間的変化の有無から、各駐車票の低反射率領域が受光部41bを通過したか否かを認識することができる。
コンピュータ100は、ローラ42に巻き付けられる1ロール分の新品の連続シートから生成できる駐車票の枚数を残り枚数の初期値(例えば、2440)として制御基板34内のメモリ104に予め記憶している。コンピュータ100は、受光部41bの出力信号に基づき、受光部41bが前記低反射率領域を通過したことを検出するごとに、残り枚数の現在値を1ずつ減算する。その結果、残り枚数の現在値は、ローラ42上に残っている未使用駐車票の枚数を反映する。残り枚数の現在値は、その値へのその後のアクセスに備えてメモリ104に保存される。
コンピュータ100は、さらに、その残り枚数が所定値(例えば、200)未満であるか否か、すなわち、現在のローラ42を、1ロール分の新品の連続シートが巻き付けられている別のローラ42に交換するタイミングが到来したか否かを判定し、その結果を、図7に例示するように、プリンタ40を介して各駐車票ごとに、後述の暗号化残り枚数200として印刷する。
作業者は、現在のローラ42を、1ロール分の新品の連続シートが巻き付けられている別のローラ42に交換したら、発券機20内に設置されているリセットボタン38を押す。リセットボタン38が押されたことをコンピュータ100が検知すると、コンピュータ100は、メモリ104において残り枚数の現在値を初期値に更新する。これにより、残り枚数の現在値が、連続シートが新品に交換された直後であることを反映することが可能となる。
要するに、本実施形態においては、枚数カウンタ41と、コンピュータ100のうち、受光部41bの出力信号に基づいて残り枚数を計算する部分とが互いに共同して、「プリンタによって発行された駐車票の枚数の累積値である発行枚数またはその発行枚数に応じて変化する物理量である発行枚数関連量を検出する検出部」の一例を構成しており、また、残り枚数が、その「発行枚数関連量」の一例を構成しているのである。
本実施形態においては、用紙カウンタ41の受光部41aの出力信号が、印刷された駐車票の枚数のカウントするという用途のみならず、前記カッタの切断位置に対する各駐車票の停止位置を調整するという用途にも使用される。受光部41aの出力信号から、各駐車票の送り方向位置を検出することが可能であるからである。
図2および図4に示すように、硬貨処理ユニット30は、硬貨投入口50と、返却レバー52と、硬貨セレクタ(投入された硬貨の種類の判別と、投入された硬貨が偽造硬貨でないか否かの判別とを行う)54と、硬貨返却口56とを有する。投入された硬貨のうち、硬貨返却口56からユーザに返却されなかったものは、金庫32に収容される。図4に示すように、硬貨セレクタ54に制御基板34がデータ通信可能に接続されており、その制御基板34は、硬貨セレクタ54から、投入された硬貨の種類(硬貨の単位と、偽造硬貨であるか否かの情報とを含む)と枚数を表す信号を受信する。
図2に示すように、扉24の前面には、表示器36(例えば、液晶ディスプレイ)の画面からの表示光が透過する透過窓60と、硬貨投入口50、返却レバー52および硬貨返却口56と、プリンタ40によって印刷されて排出される駐車券80および領収書81a,81bを排出するための排出口64とが配置されている。透過窓60は、外部から表示器36への物理的な直接アクセスを阻止することによって表示器36を機械的に保護する機能も有する。
発券機20は、さらに、ユーザが前払い駐車料金を支払った後に押される前述の発券ボタン70と、ユーザが追加駐車料金を支払った後に押される前述の料金精算ボタン74とを有するように構成されている。それら発券ボタン70および料金精算ボタン74は、図2に示すように、発券機20の扉24の前面に装着されている。それら発券ボタン70および料金精算ボタン74は、図4に示すように、制御基板34に電気的に接続されている。
それら発券ボタン70および料金精算ボタン74は、いずれも、実在する物理的なスイッチとして構成されているが、これに限定されず、例えば、表示器36の画面上に表示される仮想的なスイッチ(例えば、ボタン、キー、アイコン)として構成してもよい。
制御基板34は、コンピュータ100を主体として構成されている。この制御基板34は、時計102を内蔵しており、常に現在日時(例えば、発券ボタン70が押された日時、料金精算ボタン74が押された日時)を取得可能となっている。この制御基板34は、さらに、メモリ104を内蔵している。そのメモリ104には、後述の暗号化テーブルが、権限を有する者のみが書き換え可能である状態で保存されている。
なお付言するに、制御基板34は、コンピュータ100と同じ機能をシーケンサ(シーケンス制御)によって実現する形式とすることが可能である。
図5に示す発券・精算プログラムがコンピュータ100によって実行されると、まず、ステップS1において、図6(a)に示す初期画面が表示器36の画面上に表示される。この際、暗号化時刻202も表示器36の画面上に表示される。
次に、ステップS2において、硬貨セレクタ54からの信号に基づき、ユーザによる硬貨の投入があったか否かが判定される。硬貨が未投入であると、ステップS2に戻るが、硬貨の投入があると、ステップS3において、それまでにユーザが投入した硬貨の合計金額が投入金額として計算される。
続いて、ステップS4において、その計算された投入金額から、その投入金額に見合った駐車時間が駐車時間(今回支払われた駐車料金が前払い駐車料金である場合には、有効駐車時間を意味する一方、今回支払われた駐車料金が追加駐車料金である場合には、延長駐車時間を意味する)として計算される。投入金額と駐車時間の長さとの関係、すなわち、時間単位の料金設定は、コンピュータ100にとって既知であるから、コンピュータ100は、その料金設定に従い、投入金額から駐車時間を計算することができる。料金設定については、例えば、駐車場管理者が、表示器36のタッチパネルを操作することにより、各時間単位で個別に入力することが可能である。
上記料金設定の一例によれば、連続駐車時間が2時間までは300円、4時間までは400円であり、6時間までは500円、12時間までは1000円、24時間までは1500円である。この例の料金設定のもとでは、例えば、図7に示す例のように、ユーザが400円を前払い駐車料金として支払うと、コンピュータ100は、4時間を有効駐車時間として計算することになる。また、ユーザが300円を追加駐車料金として支払うと、2時間を延長駐車時間として計算することになる。
その後、ステップS5において、図6(b)に示す硬貨投入中画面が表示器36の画面上に表示される。このとき、前記計算された投入金額および駐車時間(有効駐車時間または延長駐車時間)の長さが表示される。
続いて、ステップS6において、発券ボタン70が押されたか否かが判定される。発券ボタン70が未だ押されていない場合には、ステップS7において、料金精算ボタン74が押されたか否かが判定される。料金精算ボタン74も未だ押されていない場合には、ステップS2に戻る。
硬貨投入開始後、発券ボタン70と料金精算ボタン74とのいずれかが押されるまで、ステップS2−S7の実行が反復される。その結果、ユーザが硬貨を硬貨投入口50に投入するごとに、投入開始時から現時点までにユーザが投入した硬貨の合計金額を投入金額として計算することと、その計算された投入金額から、その投入金額に見合った駐車時間を計算することと、前記計算された投入金額および駐車時間(有効駐車時間または延長駐車時間)を表示器36の画面上に表示することとが行われる。
発券ボタン70が押されると、ステップS8において、図6(c)に示す駐車券/領収書発行画面が表示器36の画面上に表示される。このとき、ユーザによる発券ボタン70の操作によって確定された駐車料金の額が、前払い駐車料金の額として表示される。この場合には、先行するステップS4において計算された駐車時間は、有効駐車時間を意味することになる。
続いて、ステップS9において、入庫時刻および有効駐車時間の暗号化と、残り枚数の暗号化と、投入金額の暗号化とが行われる。
1.入庫時刻および有効駐車時間の暗号化
ユーザが駐車場10に入庫した入庫時刻(またはユーザが前払い駐車料金を支払った日時、駐車券80を発券した時刻、駐車時間の開始時刻など)および前記有効駐車時間の長さ(またはユーザが支払った前払い駐車料金の額など)を表す実データであってユーザが直接的に解読可能であるものが、前記暗号化テーブルを参照することにより、ユーザが解読することはできないが一義的に発音することはできる暗号データ130に変換される。暗号化が行われるのであり、これにより、暗号データ130が作成される。
本実施形態においては、暗号データ130が、図11(a)に示すように、一列に並んだ9桁(それより多い桁数としても、それより少ない桁数としてもよい。)の記号で定義されている。各桁の記号は、例えば、0から9までの10個の数字と複数のアルファベットとのうちのいずれかとして選択される。その複数桁の記号は、複数のグループに分割されて領収書81a上に印刷され、隣接するグループ同士がハイフンでつながれており、これにより、ユーザは、複数桁の記号を、一息で一気に発音するのではなく、いくつかの区切りを入れて、より楽にかつ正確に発音できるようになっている。
実データの一般的な構成の一例(実データの桁数削減のため、西暦の表記を省略した)は、図11(b)に示すように、「MM月DD日のhh時mm分に入庫し、有効駐車時間の長さは、TT時間である。」というデータである。この実データは、図11(c)に示すように、月を表す数字MMと、日を表す数字DDと、時刻のうちの時間を表す数字hhと、時刻のうちの分を表す数字mmと、駐車時間(該当する領収書が前払い用である場合には、有効駐車時間を意味する一方、該当する領収書が追加駐車料金用である場合には、延長駐車時間を意味する)の長さを表す数字TTという、5つの要素を有している。
前記暗号化テーブルは、図11(c)に示すように、月を表す数字MMを暗号化するために参照される月単位暗号化テーブルと、日を表す数字DDを暗号化するために参照される日単位暗号化テーブルと、時刻のうちの時間を表す数字hhを暗号化するために参照される時間単位暗号化テーブルと、時刻のうちの分を表す数字mmを暗号化するために参照される分単位暗号化テーブルと、駐車時間の長さを表す数字TTを暗号化するために参照される時間用暗号化テーブルとを有する。上述の5つの要素は、それぞれ、対応する暗号化テーブルを参照することにより、暗号化され、それにより、9桁の暗号データ130が作成される。
要するに、暗号データ130は、入庫時刻が暗号化されたデータと、有効駐車時間の長さが暗号化されたデータとを有しているのである。
本実施形態においては、暗号化テーブルが、毎日、更新されるが、24時間より長い期間が経過するごとに更新する方式(同じ期間内においては、暗号化テーブルは更新されない)を採用したり、24時間より長い期間を1周期として、同じ周期内においては、毎日、暗号化テーブルを更新する方式(ある周期内の期間と、別の周期内の期間との間では、暗号化テーブルが日々更新されるパターンが共通する)を採用することが可能である。
一例においては、メモリ104において、暗号化テーブルが毎日更新される場合に、一月分の暗号化テーブルである暗号化テーブルセットが一月ごとに更新される。この場合、暗号化テーブルセットは、例えば、毎月、管理者が駐車場10に出向くごとに、管理者によって更新される。
また、一例においては、前述の5つの要素MM,DD,hh,mmおよびTTのそれぞれにつき、暗号化テーブルにおける実データと暗号化データとの関係、すなわち、暗号化前の数字(例えば、「2月」を表す「2」)と暗号化後の符号との間の対応関係が、暗号化前の各数字ごとに乱数を発生させ、その乱数を暗号化後の符号として採用することにより、生成される。
2.残り枚数の暗号化
前記残り枚数の暗号化のため、図5に示すステップS9においては、まず、前記残り枚数がメモリ104から読み出され、続いて、その読み出された残り枚数が所定値(例えば、200)未満であるか否か、すなわち、現在のローラ42を、1ロール分の新品の連続シートが巻き付けられている別のローラ42に交換するタイミングが到来したか否かが判定される。その判定結果を表す情報が、図11(d)に例示するように、枚数用暗号テーブルであってメモリ104に予め保存されているものに従い、前述の暗号データ130と同様にして、暗号化残り枚数200(例えば、2桁の数字または記号として表現される)として暗号化される。
暗号化残り枚数200は、駐車場10のユーザがこれから行うかまたは既に行った駐車の内容とは無関係な情報であるが、そのユーザによってアクセスされる情報である。暗号化残り枚数200は、上述のように、駐車場10のユーザによって所有される駐車票上に印刷されるが、ユーザが解読することができない暗号である。暗号化残り枚数200は、そのユーザの、通信機器(例えば、携帯電話機、スマートホン、携帯情報端末、公衆電話機など)を介した操作により、図12に示す管理センタに送信される。
したがって、管理センタは、遠隔地に居ながらにして、あたかも駐車場10に居るかのごとく、連続シートの残り枚数の不足、ひいては、作業者を駐車場10に派遣して現在のローラ42を、新品の連続シートが巻き付けられている新品のローラ42に交換させる作業を作業者に指示することが可能となる。
3.投入金額の暗号化
コンピュータ100は、ユーザが、少なくとも1種類の硬貨を少なくとも1枚、発券機20に投入した後、発券ボタン70を押すと、硬貨の投入開始時から発券ボタン70が押下された時期までに投入された硬貨の金額の合計値を今回のユーザの投入金額として計算し、その投入金額を表すデータをメモリ104に保存する。
前記投入金額の暗号化のため、図5に示すステップS9においては、前記投入金額がメモリ104から読み出され、その投入金額が、図11(f)に例示するように、金額用暗号テーブルであってメモリ104に予め保存されているものに従い、前述の暗号データ130と同様にして、暗号化される。この例においては、その暗号化された情報である暗号化投入金額204が、4桁の数字または記号として表現される。
図5に示すステップS9において暗号化が終了すると、ステップS10において、駐車券80および領収書81aがプリンタ40によって印刷されて発行される。領収書81aには、図7(a)に示すように、駐車料金の支払いまたは駐車時間に関する日時と金額と駐車時間の長さとのうちの少なくとも一つに関する同じ情報が、ユーザが解読できる実データと、ユーザが解読できない暗号データ130との双方として印刷されるのである。
さらに、領収書81aには、図7(a)に示すように、暗号化残り枚数200が、それの実際の残り枚数を表す実データを伴うことなく単独で印刷され、さらに、暗号化投入金額204が、実際の投入金額を表す実データと一緒に印刷される。以上で、この発券・精算プログラムの今回の実行が終了する。
具体的には、図7(a)に示すように、駐車券80には、ユーザが支払った前払い駐車料金の額に見合った有効駐車時間の終了時刻と、駐車場10の場所を特定するための表示とが印刷される。また、領収書81aには、入庫時刻と、ユーザが支払った前払い駐車料金の額と、前記有効駐車時間の終了時刻と、駐車場10の場所を特定するための表示とが印刷される。領収書81aには、さらに、「ABC−DEF−ABC」で例示された暗号データ130も併せて印刷される。この暗号データ130は、図11(b)に文章化して示すように、前記入庫時刻(これは、前払い駐車料金を支払った時刻とも、駐車時間の開始時刻とも、駐車券80および領収書81aが発券された時刻とも等価である。)と前記有効駐車時間の長さ(これは、支払った前払い駐車料金の額と等価である。)とを表す実データが暗号化されたものである。領収書81aには、さらに、暗号化残り枚数200および暗号化投入金額204も印刷される。
これに対し、発券ボタン70に代えて料金精算ボタン74が押されると、ステップS11において、図6(d)に示す精算領収書発行画面が表示器36の画面上に表示される。このとき、ユーザによる料金精算ボタン74の操作によって確定された駐車料金の額が、追加駐車料金の額として表示される。この場合には、先行するステップS4において計算された駐車時間は、延長駐車時間を意味することになる。
続いて、ステップS12において、ステップS9と同様にして、ユーザが追加駐車料金を支払ったために領収書81bが発券された時刻(これは、追加駐車料金を支払った時刻と等価である。)と前記延長駐車時間の長さ(これは、支払った追加駐車料金の額と等価である。)とを表す実データが、前記暗号化テーブルを参照することにより、暗号データ140に変換される。このステップS12においては、さらに、ステップS9と同様にして、残り枚数の暗号化と、追加駐車料金の暗号化とが行われる。
その後、ステップS13において、領収書81bがプリンタ40によって印刷されて発行される。領収書81bには、図7(b)に示すように、駐車料金の支払いまたは駐車時間に関する日時と金額と駐車時間の長さとのうちの少なくとも一つに関する同じ情報が、ユーザが解読できる実データと、ユーザが解読できない暗号データ140との双方として印刷されるのである。領収書81aには、さらに、暗号化残り枚数200および追加駐車料金が暗号化された暗号化投入金額204も印刷される。以上で、この発券・精算プログラムの今回の実行が終了する。
具体的には、図7(b)に示すように、領収書81bには、領収書81bが発券された日時と、前記追加駐車料金の額と、駐車場10の場所を特定するための表示とが印刷される。
さらに、領収書81bには、「123−456−789」で例示された暗号データ140も併せて印刷される。この暗号データ140は、領収書81bが発券された日時と前記延長駐車時間の長さとを表す実データが暗号化されたものである。領収書81bには、さらに、暗号化残り枚数200および暗号化投入金額204も印刷される。
図7(a)には、駐車券80および領収書81aの2枚綴りが正面図で示される一方、図7(b)には、領収書81bが正面図で示されている。駐車券80および領収書81aの2枚綴りは、駐車券80の2枚分に相当し、その2枚綴りにおいては、駐車券80と領収書81aとは、サイズも構成も、互いに共通する。また、領収書81bは、駐車券80の1枚分に相当し、駐車券80に対し、サイズも構成も共通する。以下、説明を簡単にするために、駐車券80の構成のみを代表的に説明する。
駐車券80は、表層としての表示シート(印刷用紙)82と、中間層としての粘着層83(糊の層)と、裏層としてのセパレータ(分離シート、剥離紙)84とがそれらの順に積層されて構成されている。粘着層83は、表示シート82の裏面に、容易には剥離しないように、塗布されており、表示シート82をセパレータ84の表面から剥がした状態では、粘着層83の糊は、セパレータ84の表面には付着しない。
図7(a)に示すように、1枚分の駐車券80においては、表示シート82の外周が、セパレータ84の外周より内側に位置するようになっている。ローラ42に巻き付けられる原反は、連続したセパレータ84に、隙間を隔てて一列に並んだ複数枚の表示シート82(空白の状態)が接着されて構成されている。
プリンタ40における連続シート(連続したセパレータ84)は、前記カッタにより切断され、その切断は、表示シート82間の隙間の位置において行われ、表示シート82に対する切断は行われない。一方、セパレータ84のうち、表示シート82間の隙間において露出する部分の表面には糊が付着していない。
したがって、本実施形態によれば、連続シートの切断時に、前記切刃に粘着層83の糊が付着せずに済み、一日に1回または数回、現場に派遣される管理者(例えば、サービス担当者、複数の駐車場を巡回して作業する作業者、見回りの監視員)による前記カッタのメンテナンスの頻度が減少し、ひいては、管理者にかかる人件費が低減される。
ただし、本実施形態においては、領収書81bについては、前記カッタにより、セパレータ84が1枚分の長さで完全に切断されるのに対し、前記2枚綴りについては、セパレータ84が2枚分の長さで完全に切断される。ただし、前述のように、前記2枚綴りについては、図7(a)に示すように、前記カッタにより、セパレータ84が、駐車券80と領収書81aとの間において、部分的に切断され、それにより、切取り線89が形成される。
図7(a)に示すように、駐車券80の表示シート82には、さらに、「駐車券」という文字列のすぐ上方に、両端を有する(閉じていない)切断線90が存在する。その切断線90は、ユーザが、表示シート82のうちの一部を、残りの部分はセパレータ84に接着されたままで、セパレータ84から剥がすことを可能にするために存在する。図8(b)に示すように、ユーザが、表示シート82の一部(切断線90によって包囲される領域)をセパレータ84から剥がして、切断線90の両端をつなぐ直線に沿って折り曲げると、その結果形成される折曲げ部92の表面(粘着層83のうち、その折曲げ部92の裏面に塗布されている部分)が、糊面として露出する。図9(a)には、その折曲げ部92が斜視図で示されている。
本実施形態においては、ユーザによる駐車が不正駐車ではないことを証明するために、ユーザは、硬貨投入と引き換えに受領した駐車券80を、図9(b)に示すように、駐車車両のフロントガラス110の裏面に貼付することを要求される。そのため、ユーザは、図9(a)に示すように、駐車券80のうちの指定箇所(切断線90によって包囲された領域であって、最終的に折曲げ部92となる部分)を局部的に剥がして折り曲げたうえで、その折曲げ部92の表面を、図9(b)に示すように、駐車車両のフロントガラス110の裏面に貼付する。これにより、図10に示すように、駐車券80の内容(特に、ユーザに対して許可された駐車時間帯の終了時刻を特定するための情報と、この駐車券80が有効である駐車場10の場所を特定するための表示)を、外部からいつでも目視することが可能となる。
ユーザは、実際に駐車した時間が前記有効駐車時間を超過した場合には、追加駐車料金を支払うことを要求される。しかし、駐車場10は、前述のように、無人式であり、かつ、必要な追加駐車料金を支払わない限り駐車車両の出庫を阻止する装置を有しないため、図12に示すように、ユーザは、必要な追加駐車料金を支払った事実を、駐車場10、車内、自宅などの場所から、携帯電話機や固定電話機などの通信機器により、遠隔地にある管理センタに居る駐車場管理者に通知することを要求される。
この際、ユーザは、入庫時に発行された領収書81aに印刷されている暗号データ130と、出庫時に発行された領収書81bに印刷されている暗号データ140と、暗号化残り枚数200と、暗号化投入金額204とを読み上げて音声を発し、その音声を、上記通信機器により、駐車場管理者に送信することを要求される。
前記管理センタに居る駐車場管理者は、ユーザが発した、暗号データ130,140、暗号化残り枚数200および暗号化投入金額204をそれぞれ表す音声を受信すると、暗号解読器180の入力装置(例えば、キーボード、タッチスクリーン、マウスなど)を操作して、ユーザの音声に対応する記号を入力する。暗号データ130,140、暗号化残り枚数200および暗号化投入金額204を入力するのであり、すると、暗号解読器180は、その入力された暗号データ130,140、暗号化残り枚数200および暗号化投入金額204を、前記暗号化テーブルに適合する暗号解読テーブルであって暗号解読器180に搭載されたものに従い、実データに復元する。
これにより、駐車場管理者は、管理対象である駐車場10から場所的に離れた前記管理センタに居ながらにして、ユーザが実際に駐車していた時間である実際駐車時間の長さ(例えば、暗号データ130により特定される入庫時刻から、暗号データ140により特定される、追加駐車料金を支払った時刻までの経過時間の長さ)を知ることができる。
さらに、駐車場管理者は、ユーザが支払った駐車料金の合計額(例えば、暗号データ130により推定されるか、または暗号化投入金額204から分かる前払い駐車料金の額と、暗号データ140により推定されるか、または暗号化投入金額204から分かる追加駐車料金の額との和)を知ることもでき、ひいては、その駐車料金の合計額が、前記実際駐車時間の長さとの関係で不足していないか否かを正しく判断することができる。
暗号解読器180に収容されている暗号解読テーブルは、駐車場管理者といえども、権限を有しない限り、知ることができないようになっているため、暗号解読テーブルに対するセキュリティが高い。
さらに、駐車場管理者は、暗号化残り枚数200から、残り枚数が不足しているか否かに関する情報を、ユーザによる意図的なデータ操作の影響を受けることなく、取得することが可能である。さらに、ユーザには、駐車票上において暗号化残り枚数200を表現する部分(例えば、複数桁の数字やアルファベットの列)が残り枚数に関する情報であることを知らされないため、駐車場管理者は、ユーザが自身の駐車という行為とは直接関係しない情報をも駐車場管理者に報告することを要求されているという事実に起因した不快感をユーザに与えることなく、ユーザから情報を取得することが可能である。
前述のように、本実施形態においては、図7に例示するように、ユーザが発券機20に対して実際に支払った駐車料金(前払い駐車料金および追加駐車料金の双方を含む広義の概念)の額、すなわち、ユーザが発券機20に投入した投入金額が、入庫時刻および有効駐車時間と同様に、実データとしてのみならず、暗号データすなわち暗号化投入金額204としても、駐車票に印刷される。
具体的には、駐車票に駐車料金の実データと投入金額の暗号データとが一緒に印刷され、それら駐車料金の額と投入金額とは、通常は、互いに一致するが、後述のように、互いに一致しない場合がある。
発券機20は、前述のように、図5に示すステップS4において、実際の投入金額を基準に、有効駐車時間の長さが決定される。例えば、前述の料金設定の例に従えば、ユーザが500円を投入し、その後に発券ボタン70を押すと、発券機20は、有効駐車時間の長さについての複数の候補値(以下、「有効駐車時間候補値」という)の中から、投入金額にちょうど一致する駐車料金に対応する6時間の有効駐車時間を指定していると認識し、6時間分の駐車料金をユーザに対して請求する。この場合、投入金額と駐車料金の額とが互いに一致する。
これに対し、同じ料金設定のもと、ユーザが600円を投入し、その後に発券ボタン70を押すと、発券機20は、前記複数の有効駐車時間候補値の中に、その投入金額にちょうど対応する駐車料金に対応するものが存在しないため、その駐車料金に最も近く、かつ、その駐車料金を超えない別の駐車料金に対応する候補有効駐車時間、すなわち、500円分の有効駐車時間を自動的に選択する。この場合、駐車票には、駐車料金が500円として印刷されるとともに、6時間分の有効駐車時間も印刷されるが、投入金額が600円であったことは印刷されない。この場合、投入金額と駐車料金の額とが互いに一致せず、具体的には、投入金額が、許可された有効駐車時間の長さに見合った駐車料金の額を超えている。
このように、投入金額が駐車料金を超えていた場合、ユーザは、駐車場10からの出庫時に、駐車場管理者に対し、「入庫時に誤って600円分の硬貨を発券機20に投入し、100円を余分に支払った。したがって、駐車場管理者は100円を釣銭としてユーザに返還すべきである。」との返金請求を行う可能性がある。
このとき、駐車場管理者は、そのユーザの主張が真実であるのか虚偽であるのかを判断することが必要となる。なぜなら、駐車料金が500円であったためにユーザが500円をちょうど支払ったにもかかわらず、「600円分の硬貨を投入したのに、100円の釣銭が出なかった」と駐車場管理者に虚偽の主張をする可能性があるからである。一方、発券機20は、ユーザが発券機20に実際に投入した金額をそのユーザに関連付けて駐車場管理者に通信する機能も有していない。
これに対し、本実施形態においては、駐車場管理者が、返金請求を行うユーザに対し、駐車票に印刷されている暗号であって、駐車場管理者は、その暗号が暗号化投入金額204であることを知っているが、ユーザはそのことを知らないものを駐車場管理者に対して送信することを要求する。駐車場管理者は、ユーザから受信した暗号化投入金額204を暗号解読器180を用いて解読し、その結果、ユーザが実際に発券機20に投入した硬貨の合計額(真正な投入金額)を推定することが可能である。よって、駐車場管理者は、ユーザの返金請求が妥当であるか否かを、遠隔地にいながらにして、正しく判断することが可能となり、真実を根拠に返金を請求しているユーザを誤って疑わずに済む。
ところで、本実施形態においては、暗号データ130,140(暗号化入庫時刻および暗号化有効駐車時間を含む)、暗号化残り枚数200および暗号化投入金額204が、ユーザの音声(例えば、電話での通話、音声認識機能を搭載したスマートホンや携帯情報端末への音声入力)を媒介として前記管理センタに送信されるようになっているため、ユーザが解読することができない暗号であるのみならず、ユーザが一義的に発音することができる暗号であるように生成される。
本発明の別の例示的な実施形態においては、暗号データ130,140、暗号化残り枚数200および暗号化投入金額204が、ユーザが手入力で作成した電子メッセージを媒介として前記管理センタに送信される。この場合には、それら暗号は、ユーザによって発音されることが不要であるため、ユーザが解読することができない暗号であれば足り、ユーザが一義的に発音することができる暗号であることは不要である。
<現在時刻の暗号化および表示>
本実施形態においては、さらに、現在時刻も暗号化され、その暗号化時刻202は、駐車票に印刷されるのではなく、表示器36の画面上に表示される。
具体的には、コンピュータ100は、時計102を用いて取得した現在時刻(実データ)を、図11(e)に例示するように、現在時刻用暗号テーブルであってメモリ104に予め保存されているものに従い、暗号化する。コンピュータ100は、さらに、その暗号化された現在時刻(暗号データ)を暗号化時刻202として、図6に示すように、表示器36の画面上に表示する。
暗号化時刻202は、駐車場10に来た作業者がこれから行うかまたは既に行った作業の内容とは直接関係しない情報であるが、その作業者によってアクセスされる情報である。暗号化時刻202は、上述のように、表示器36の画面上に表示されるが、作業者が解読することができない暗号である。暗号化時刻202は、その作業者の、通信機器(例えば、携帯電話機、スマートホン、携帯情報端末、公衆電話機など)を介した操作により、図12に示す管理センタに送信される。
暗号化時刻202の送信のために作業者が行うべき操作が、作業者の手入力で作成した電子メッセージを前記管理センタに伝送するための通信機器の操作であって、作業者が暗号化時刻202を発音することが不要である場合には、暗号化時刻202は、作業者が解読することができない暗号であれば足り、作業者が一義的に発音することができる暗号であることは不要である。
これに対し、暗号化時刻202の送信のために作業者が行うべき操作が、作業者の音声で作成したメッセージを前記管理センタに伝送するための通信機器の操作(例えば、電話での通話、音声認識機能を搭載したスマートホンや携帯情報端末への音声入力)であって、作業者が暗号化時刻202を発音することが必要である場合には、暗号化時刻202は、作業者が解読することができない暗号であるのみならず、作業者が一義的に発音することができる暗号であることも必要である。
コンピュータ100は、その暗号化時刻202を常時、表示器36の画面上に表示してもよいが、暗号化時刻202は、駐車場10のユーザによってアクセスされるべき情報ではなく、駐車場10に来た作業者によってアクセスされるべき情報であるため、少なくとも図6(a)に示す初期画面(すなわち、ユーザによる駐車のための操作の開始前に常時、表示器36の画面上に表示されている画面イメージ)上に表示すれば足りる。
コンピュータ100は、その暗号化時刻202を、所定の更新時間周期が経過するごとに、更新する。その更新時間周期は、例えば、24時間としたり、24時間より短い時間としたり、24時間より長い時間としたり、1時間としたり、1時間より長い時間としたり、1時間より短い時間とすることが可能である。
暗号化時刻202は、発券機20の点検や、不正駐車車両の発見・警告などの作業を行うために駐車場10に来た作業者によってアクセスされる情報である。作業者は、表示器36の画面上の暗号化時刻202を見ると、その暗号化時刻202を、通信機器(例えば、自身の携帯電話機、スマートホン、携帯情報端末、公衆電話機など)を介して、図12に示す管理センタに送信する。
その管理センタ内の駐車場管理者は、前記送信された暗号化時刻202(暗号データ)を、前記現在時刻用暗号化テーブルに適合する暗号解読テーブルを有する暗号解読器180を用いて解読し、その解読された現在時刻(実データへの復元)の、実際の現在時刻(真正な現在時刻)からの隔たりが許容範囲内にあるか否かをリアルタイムで判断し、それにより、駐車場管理者は、遠隔地にいながらにして、その作業者が現在、実際に駐車場10に居るか否かを判断することが可能である。
作業者は、駐車場10に実際に行かない限り、暗号化時刻202を取得することができない。これにより、作業者は、駐車場10に実際に行かない限り、現在、駐車場10に居ることを駐車場管理者に対して証明することができない。
作業者は、1日数回、同じ発券機20を点検したり、毎日、同じ発券機20を点検するというように、点検を行う主体が毎回同一である可能性がある。そのため、暗号化時刻202の実際の内容と現在時刻の実際の内容との対応関係に変化がないと、暗号化時刻202を作業者によって解読されてしまうおそれがある。
よって、更新時間周期は、そのようなおそれができる限り軽減される長さであるように設定することが望ましい。一方、発券機20は、外部との通信機能を有しないことから、更新時間周期を短くするほど、メモリ104に予め記憶させるべき暗号化テーブルの数が増加し、これは、メモリ104の容量増加という問題を生じさせる。
よって、更新時間周期の長さは、作業者によって暗号を解読されるおそれの増加という問題と、メモリ104の容量の増加という問題との間のトレードオフを考慮して設定することが望ましく、例えば、2時間に設定される。
図13には、現在時刻を暗号化し、その暗号化時刻202を表示器36の画面上に表示するためにコンピュータ100によって実行される現在時刻暗号化プログラムが概念的にフローチャートで表されている。
この現在時刻暗号化プログラムが実行されると、まず、ステップS101において、時計102を用いて現在時刻が計測される。次に、ステップS102において、その計測された現在時刻が、前記現在時刻用暗号化テーブルを用いることにより、暗号データ、すなわち、暗号化時刻202に変換される。続いて、ステップS103において、その暗号化時刻202が、図6に例示するように、表示器36の画面上に表示される。
その後、ステップS104において、カウンタiの値が0にリセットされ、続いて、ステップS105において、そのカウンタiの最大値imaxがメモリ104から読み込まれる。続いて、ステップS106において、カウンタiの現在値が1だけインクリメントされ、その後、ステップS107において、カウンタiの現在値が最大値imaxより大きいか否かが判定される。
カウンタiの現在値が最大値imaxより大きくはない場合には、再びステップS106が実行され、その結果、カウンタiの現在値が1だけインクリメントされる。それらステップS106および107の実行が何回か繰り返された結果、カウンタiの現在値が最大値imaxより大きくなると、ステップS101ないしS103の再度の実行により、表示器36の画面上においてい暗号化現在時刻202が更新される。これは、最大値imaxの大きさが暗号化時刻202の更新周期の長さを定義していることを意味している。
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、領収書81aおよび81bを発行する時点で、領収書81aおよび81bのそれぞれに、暗号データ130(暗号化された入庫時刻)、暗号データ140(暗号化された有効駐車時間)、暗号化残り枚数200および暗号化投入金額204から成る1セットの暗号を、ユーザが発音可能である記号で印刷し、さらに、その暗号データ130,140、暗号化残り枚数200および暗号化投入金額204を音声で駐車場管理者に送信することをユーザに要求するだけで、駐車管理者は、駐車料金の不足の有無を正しく判断できる。よって、ユーザは、大きな負担を課されることなく、前記有効駐車時間を超過した駐車を安心して行うことが可能となり、駐車場10の使い勝手ひいては稼動率が向上する。
以上要するに、本実施形態においては、図4に示すコンピュータ100のうち、図5に示すステップS9およびS10並びに図13に示すステップS102を実行する部分と、メモリ104のうち、複数種類の暗号化テーブルを記憶する部分とが互いに共同して、「暗号化部」の一例を構成しているのである。
なお付言するに、本実施形態においては、ユーザが、暗号データ130および140、暗号化残り枚数200および暗号化投入金額204の送信を、音声入力によって行うが、例えば、その音声入力に代えて、データ入力(例えば、実在するかまたは仮想的なキーを用いたキー入力、イメージリーダを用いた画像入力)によって行うことが可能である。
ところで、駐車場10に自己の車両を駐車したユーザが、そのときに受領した駐車票に印刷されている各種暗号を前記管理センタに提供する行為を促進するために、いくつかのサービスが提案される。
その一例は、会員割引サービスである。このサービスにおいては、会員登録を希望する申請者(駐車場10にとっての潜在的なユーザ)が、通信機器(例えば、自身が携帯している通信機器(例えば、携帯電話機、スマートホン、PDA、タブレット型PCなどの携帯情報端末)や、自宅にあるパソコンなどの通信機器、公衆電話機など)を介して、必要な情報を、前記管理センタが管理または運営するサイトまたはそれに関連するサイト(以下、単に「関連サイト」と総称する)に対して送信することにより、入会を申請し、その申請者は、上述のようにして送信した情報が所定の条件を満たせば、会員として登録されるというサービスである。
このサービスにおいては、さらに、各会員が、駐車場10の利用の対価として駐車料金を支払った後に、前記管理センタが要求する情報であって、その駐車料金の支払いに付随して会員が取得した駐車票80,81aおよび81bに記載されている複数の暗号130,140,200,204を、前記通信機器を介して、前記関連サイトに送信することを条件に、会員が支払った駐車料金のうちの少なくとも一部が会員に還元される。
したがって、会員の視点から見れば、このサービスによれば、会員は、前記管理センタが要求する情報を前記管理センタに提供した行為に対する対価として、駐車料金の割引きという特典を得ることができるという利点を得られる。
一方、駐車場管理者の視点から見れば、このサービスによれば、会員が、前記管理センタが要求する情報を前記管理センタに提供する行為が促進され、その結果、前記管理センタは、会員にとっては無関係であるが、前記管理センタにとっては重要であるものを、会員の行為を媒介とすることにより、遠隔地にいながらにして取得することが可能となるという利点を得られる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の概要]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。