以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
図1から図11は、本発明の実施例に係るものである。図1は、実施例に係る生体観察システムの要部の構成を示す図である。
生体観察システム101は、図1に示すように、生体である被検体内に挿入可能な細長形状の挿入部を具備するとともに、当該被検体内の生体組織等の被写体を撮像して撮像信号を出力する内視鏡1と、内視鏡1の内部に挿通配置されたライトガイド6を介して当該被写体の観察に用いられる照明光を供給する光源装置2と、内視鏡1から出力される撮像信号に応じた観察画像等を生成して出力するプロセッサ3と、プロセッサ3から出力される観察画像等を表示する表示装置4と、ユーザの入力操作に応じた指示等をプロセッサ3に対して行うことが可能なスイッチ及び/またはボタン等を備えた入力装置5と、を有して構成されている。
内視鏡1は、ライトガイド6により伝送された光を被写体へ照射する照明光学系11と、照明光学系11から照射された光に応じて当該被写体から発せられる反射光(戻り光)を撮像して得られた撮像信号を出力する撮像部12と、を挿入部の先端部に設けて構成されている。また、内視鏡1は、ユーザの操作に応じた種々の指示をプロセッサ3に対して行うことが可能なスコープスイッチ13と、内視鏡1毎に固有の撮像光情報(後述)が格納されたメモリ14と、を有して構成されている。
撮像部12は、光源装置2から発せられる照明光により照明された被写体からの反射光(戻り光)を撮像して撮像信号を出力するように構成されている。具体的には、撮像部12は、被写体から発せられる反射光(戻り光)を結像する対物光学系12aと、原色カラーフィルタ121を備えた撮像面が対物光学系12aの結像位置に合わせて配置された撮像素子12bと、を有して構成されている。
撮像素子12bは、例えば、CCD等を具備し、プロセッサ3から出力される撮像素子駆動信号に応じて駆動するとともに、撮像面に結像された被写体からの反射光(戻り光)を撮像して得られた撮像信号を出力するように構成されている。
原色カラーフィルタ121は、赤色域、緑色域及び青色域の各波長帯域において、図2に例示するような分光感度を具備している。図2は、原色カラーフィルタの分光感度の一例を示す図である。
スコープスイッチ13には、例えば、ユーザの操作に応じ、生体観察システム101の観察モードを白色光観察モードまたは狭帯域光観察モードのいずれかに設定する(切り替える)ための指示をプロセッサ3に対して行うことが可能な観察モード切替スイッチ(不図示)が設けられている。
メモリ14には、撮像部12の撮像に好適な赤色光の波長帯域及び光量値の間の相関関係を示すスペクトルRSと、撮像部12の撮像に好適な緑色光の波長帯域及び光量値の間の相関関係を示すスペクトルGSと、撮像部12の撮像に好適な青色光の波長帯域及び光量値の間の相関関係を示すスペクトルBSと、を具備する撮像光情報が格納されている。
具体的には、前述のスペクトルRSは、例えば、白色の被写体である基準被写体CWに広帯域の赤色光を照射した際に基準被写体CWから発せられる戻り光のスペクトルを、内視鏡1の撮像素子12bの分光感度と、内視鏡1の各光学部材(ライトガイド6、照明光学系11及び対物光学系12a)の光学特性と、に基づいて調整した調整後のスペクトルとして示される。
また、前述のスペクトルGSは、例えば、基準被写体CWに広帯域の緑色光を照射した際に基準被写体CWから発せられる戻り光のスペクトルを、内視鏡1の撮像素子12bの分光感度と、内視鏡1の各光学部材(ライトガイド6、照明光学系11及び対物光学系12a)の光学特性と、に基づいて調整した調整後のスペクトルとして示される。
また、前述のスペクトルBSは、例えば、基準被写体CWに広帯域の青色光を照射した際に基準被写体CWから発せられる戻り光のスペクトルを、内視鏡1の撮像素子12bの分光感度と、内視鏡1の各光学部材(ライトガイド6、照明光学系11及び対物光学系12a)の光学特性と、に基づいて調整した調整後のスペクトルとして示される。
光源装置2は、光源駆動部21と、発光ユニット22と、メモリ23と、を有して構成されている。
光源駆動部21は、例えば、駆動回路等を具備して構成されている。また、光源駆動部21は、プロセッサ3から出力される照明制御信号に基づき、発光ユニット22の各光源の発光状態と、後述の蛍光素子22fの配置状態と、を制御するための光源駆動信号を生成し、当該生成した光源駆動信号を発光ユニット22へ出力するように構成されている。
具体的には、光源駆動部21は、プロセッサ3から出力される照明制御信号に基づき、例えば、生体観察システム101の観察モードが白色光観察モードに設定された際に、後述の狭帯域光源22aの光路上に蛍光素子22fを配置させるとともに、後述の調光後の光量値に基づいて発光ユニット22の各光源を同時に発光させるための光源駆動信号を生成し、当該生成した光源駆動信号を発光ユニット22へ出力するように構成されている。
また、光源駆動部21は、プロセッサ3から出力される照明制御信号に基づき、例えば、生体観察システム101の観察モードが狭帯域光観察モードに設定された際に、後述の狭帯域光源22aの光路外に蛍光素子22fを配置させるとともに、発光ユニット22の各光源を所定の順番で発光させるための光源駆動信号を生成し、当該生成した光源駆動信号を発光ユニット22へ出力するように構成されている。
発光ユニット22は、狭帯域光源22a、22b及び22cと、緑色光源22dと、赤色光源22eと、蛍光素子22fと、を有して構成されている。
狭帯域光源22aは、例えば、青色LED(発光ダイオード)または青色LD(レーザーダイオード)等を具備し、狭帯域な青色光であるNB1光を発生するように構成されている。図3は、狭帯域光モードにおいて光源装置から発せられる光の波長の一例を説明するための図である。
NB1光は、例えば、図3に示すように、血中ヘモグロビンの酸素飽和度の変化量に対する吸収係数の変化量が後述のNB2光及びNB3光に比べて低くなるようなピーク波長及び波長帯域を具備している。
NB1光のピーク波長λP1は、酸化ヘモグロビンの吸収係数から還元ヘモグロビンの吸収係数を減じて得られる差分値ΔA1が後述の差分値ΔA2及びΔA3に比べて小さくなるような波長として設定されている。なお、本実施例においては、好適には、ピーク波長λP1が400nm付近の波長となるように設定される。
NB1光の波長帯域は、例えば、図3に示すように、青色域において、NB2光及びNB3光の波長帯域よりも短波長側に設定されている。また、NB1光の波長帯域は、例えば、図3に示すように、青色域において、NB2光及びNB3光の波長帯域とそれぞれ重複しないような波長帯域として設定されている。なお、本実施例においては、好適には、NB1光の波長帯域が415nmの波長を含むような波長帯域として設定される。
狭帯域光源22bは、例えば、青色LEDまたは青色LD等を具備し、狭帯域な青色光であるNB2光を発生するように構成されている。
NB2光は、例えば、図3に示すように、血中ヘモグロビンの酸素飽和度の変化量に対する吸収係数の変化量がNB1光に比べて高くなるようなピーク波長及び波長帯域を具備している。
NB2光のピーク波長λP2は、還元ヘモグロビンの吸収係数から酸化ヘモグロビンの吸収係数を減じて得られる差分値ΔA2が前述の差分値ΔA1に比べて大きくなるような波長として設定されている。なお、本実施例においては、好適には、ピーク波長λP2が440nm付近の波長となるように設定される。
NB2光の波長帯域は、例えば、図3に示すように、青色域において、NB1光の波長帯域よりも長波長側かつNB3光の波長帯域よりも短波長側に設定されている。また、NB2光の波長帯域は、例えば、図3に示すように、青色域において、NB1光及びNB3光の波長帯域とそれぞれ重複しないような波長帯域として設定されている。
すなわち、NB2光の波長帯域は、可視域(青色域)内において、血中ヘモグロビンの酸素飽和度に応じて吸収係数が変化するような波長帯域として設定されている。
狭帯域光源22cは、例えば、青色LEDまたは青色LD等を具備し、狭帯域な青色光であるNB3光を発生するように構成されている。
NB3光は、例えば、図3に示すように、血中ヘモグロビンの酸素飽和度の変化量に対する吸収係数の変化量がNB1光に比べて高くなるようなピーク波長及び波長帯域を具備している。
NB3光のピーク波長λP3は、酸化ヘモグロビンの吸収係数から還元ヘモグロビンの吸収係数を減じて得られる差分値ΔA3が前述の差分値ΔA1に比べて大きくなる波長として設定されている。なお、本実施例においては、好適には、ピーク波長λP3が470nm付近の波長となるように設定される。
NB3光の波長帯域は、例えば、図3に示すように、青色域において、NB2光及びNB3光の波長帯域よりも長波長側に設定されている。また、NB3光の波長帯域は、例えば、図3に示すように、青色域において、NB1光及びNB2光の波長帯域とそれぞれ重複しないような波長帯域として設定されている。
すなわち、NB3光の波長帯域は、可視域(青色域)内において、血中ヘモグロビンの酸素飽和度に応じて吸収係数が変化するような波長帯域として設定されている。
緑色光源22dは、例えば、緑色LED等を具備して構成されている。また、緑色光源22dは、図3に例示するような、NB1光、NB2光及びNB3光よりも広い波長帯域を具備する広帯域な緑色光であるG光を発生するように構成されている。なお、G光の波長帯域は、NB3光の波長帯域と重複しないように設定されているものとする。また、本実施例においては、好適には、G光の波長帯域が540nmの波長を含むような波長帯域として設定される。
赤色光源22eは、例えば、赤色LED等を具備して構成されている。また、赤色光源22eは、図3に例示するような、NB1光、NB2光及びNB3光よりも広い波長帯域を具備する広帯域な赤色光であるR光を発生するように構成されている。
蛍光素子22fは、所定の波長が入射された場合に、入射波長とは異なる波長の光を出射する波長変換部材として機能する。具体的には、蛍光素子22fは、例えば、NB1光を励起光として照射した際に、青色域においてNB1光、NB2光及びNB3光の最大強度となる波長帯域以外の波長帯域を少なくとも含むように設定された、スペクトルFWを具備する広帯域な蛍光であるFL光を発する蛍光物質を用いて形成されている。また、蛍光素子22fは、光源駆動部21から出力される光源駆動信号に基づき、狭帯域光源22aから発せられるNB1光の光路上または光路外に配置されるように構成されている。
すなわち、本実施例の広帯域光発生部は、狭帯域光源22a及び蛍光素子22fを具備して構成されている。
なお、本実施例の発光ユニット22は、前述の蛍光素子22fの代わりに、例えば、NB1光の照射に応じてFL光を発するフォトニック結晶により形成された光学素子を具備して構成されていてもよい。
メモリ23には、NB1光の波長帯域及び光量値の間の相関関係を示すスペクトルNW1と、NB2光の波長帯域及び光量値の間の相関関係を示すスペクトルNW2と、NB3光の波長帯域及び光量値の間の相関関係を示すスペクトルNW3と、G光の波長帯域及び光量値の間の相関関係を示すスペクトルGWと、R光の波長帯域及び光量値の間の相関関係を示すスペクトルRWと、を具備する光源光情報が格納されている。また、メモリ23には、蛍光素子22fの励起波長を示す励起波長情報と、当該励起波長を含む励起光であるNB1光を所定の光量値PLで照射した際に蛍光素子22fから発せられるFL光のスペクトルFWと、を具備する蛍光情報が格納されている。
プロセッサ3は、前処理部31と、画像信号処理部32と、表示画像生成部33と、制御部34と、を有して構成されている。
前処理部31は、例えば、ノイズ低減回路及びA/D変換回路等を具備し、内視鏡1から出力される撮像信号に対してノイズ除去及びA/D変換等の処理を施すことによりデジタルな画像信号を生成し、当該生成した画像信号を画像信号処理部32へ出力するように構成されている。
画像信号処理部32は、制御部34から出力されるシステム制御信号に基づいて動作するように構成されている。また、画像信号処理部32は、例えば、図4に示すように、色成分分離部32Aと、メモリ32Bと、酸素飽和度情報取得部32Cと、判定部32Dと、を有して構成されている。図4は、実施例に係る生体観察システムにおける画像信号処理部の構成の一例を示す図である。
色成分分離部32Aは、制御部34から出力されるシステム制御信号に基づき、例えば、生体観察システム101の観察モードが白色光観察モードに設定された際に、前処理部31から出力される画像信号を、白色光の反射光(戻り光)を撮像して得られるR(赤色)成分、G(緑色)成分及びB(青色)成分の色成分毎に分離して表示画像生成部33へ出力するように構成されている。
色成分分離部32Aは、制御部34から出力されるシステム制御信号に基づき、例えば、生体観察システム101の観察モードが狭帯域光観察モードに設定された際に、前処理部31から出力される画像信号を、NB1光の反射光(戻り光)を撮像して得られるNB1成分、NB2光の反射光(戻り光)を撮像して得られるNB2成分、NB3光の反射光(戻り光)を撮像して得られるNB3成分、G光の反射光(戻り光)を撮像して得られるG成分、及び、R光の反射光(戻り光)を撮像して得られるR成分の色成分毎に分離するための色分離処理を行うように構成されている。また、色成分分離部32Aは、制御部34から出力されるシステム制御信号に基づき、例えば、生体観察システム101の観察モードが狭帯域光観察モードに設定された際に、前述の色分離処理により得られた各色成分を1フレーム分ずつ酸素飽和度情報取得部32C及び表示画像生成部33へそれぞれ出力するように構成されている。
メモリ32Bには、酸素飽和度情報取得部32Cの処理に用いられるルックアップテーブル(後述)が格納されている。
酸素飽和度情報取得部32Cは、色成分分離部32Aから1フレーム分ずつ出力される各色成分と、メモリ32Bに格納されたルックアップテーブルと、に基づき、1フレーム分の画像に含まれる各画素毎に酸素飽和度値を取得するための処理(後述)を行うように構成されている。また、酸素飽和度情報取得部32Cは、前述の処理により取得した酸素飽和度値に基づき、光源装置2から発せられる照明光により照明された被写体の酸素飽和度の大きさを示す酸素飽和度情報を取得し、当該取得した酸素飽和度情報を判定部32Dへ出力するための処理を行うように構成されている。また、酸素飽和度情報取得部32Cは、生体観察システム101の観察モードが狭帯域光観察モードに設定された際に、酸素飽和度情報の取得及び判定部32Dへの出力に係る処理を各フレーム毎に行うように構成されている。
判定部32Dは、酸素飽和度情報取得部32Cから出力される酸素飽和度情報に基づき、酸素飽和度の大きさが所定の閾値TH未満の領域である低酸素領域が画像内に存在するか否かを判定するための判定処理を行うように構成されている。また、判定部32Dは、生体観察システム101の観察モードが狭帯域光観察モードに設定された際に、前述の判定処理を各フレーム毎に行うとともに、前述の判定処理により得られた判定結果を表示画像生成部33へ出力するように構成されている。
表示画像生成部33は、観察画像生成部としての機能を具備し、制御部34から出力されるシステム制御信号と、画像信号処理部32から出力される各色成分(色成分分離部32Aから出力される各色成分に対応する画像)と、に基づいて観察画像を生成し、当該生成した観察画像を表示装置4へ出力するように構成されている。
表示画像生成部33は、制御部34から出力されるシステム制御信号に基づき、例えば、生体観察システム101の観察モードが白色光観察モードに設定された際に、画像信号処理部32から出力されるR成分の輝度値を表示装置4の赤色に対応するRチャンネルに割り当て、画像信号処理部32から出力されるG成分の輝度値を表示装置4の緑色に対応するGチャンネルに割り当て、画像信号処理部32から出力されるB成分の輝度値を表示装置4の青色に対応するBチャンネルに割り当てることにより白色光観察画像を生成するように構成されている。
表示画像生成部33は、制御部34から出力されるシステム制御信号に基づき、例えば、生体観察システム101の観察モードが狭帯域光観察モードに設定された際に、画像信号処理部32から出力されるG成分の輝度値をRチャンネルに割り当て、画像信号処理部32から出力されるNB1成分及びNB2成分を加算して得られる輝度値をGチャンネルに割り当て、画像信号処理部32から出力されるNB1成分及びNB2成分を加算して得られる輝度値をBチャンネルに割り当てることにより狭帯域光観察画像を生成するように構成されている。
表示画像生成部33は、制御部34から出力されるシステム制御信号と、判定部32Dから出力される判定結果と、に基づき、例えば、狭帯域光観察モードにおいて画像内に低酸素領域が存在しないことを検出した場合には、前述のように生成した狭帯域光観察画像をそのまま表示装置4へ出力するように構成されている。
表示画像生成部33は、制御部34から出力されるシステム制御信号と、判定部32Dから出力される判定結果と、に基づき、例えば、狭帯域光観察モードにおいて画像内に低酸素領域が存在することを検出した場合には、当該画像内における低酸素領域の存在を報知するための所定の記号または所定の文字列を含む視覚情報を生成し、当該生成した視覚情報を狭帯域光観察画像と併せて表示装置4へ出力するための処理を行うように構成されている。
制御部34は、撮像素子12bを駆動するための撮像素子駆動信号を生成して出力するように構成されている。
制御部34は、スコープスイッチ13の操作に基づき、例えば、生体観察システム101の観察モードが白色光観察モードに設定されたことを検出した際に、メモリ14から読み込んだ撮像光情報と、メモリ23から読み込んだ光源光情報及び蛍光情報と、に基づいて調光処理(後述)を行うように構成されている。また、制御部34は、生体観察システム101の観察モードが白色光観察モードに設定されたことを検出した際に、狭帯域光源22aの光路上に蛍光素子22fを配置させるとともに、前述の調光処理により得られた調光後の光量値を用いて発光ユニット22の各光源から同時に光を発生させるための照明制御信号を生成して光源駆動部21へ出力するように構成されている。
制御部34は、スコープスイッチ13の操作に基づき、例えば、生体観察システム101の観察モードが狭帯域光観察モードに設定されたことを検出した際に、狭帯域光源22aの光路外に蛍光素子22fを配置させるとともに、NB1光、NB2光、NB3光、G光、及び、R光を所定の順番で発生させるための照明制御信号を生成して光源駆動部21へ出力するように構成されている。
制御部34は、例えば、CPUまたは制御回路等を具備し、スコープスイッチ13の観察モード切替スイッチにおいて設定された観察モードに対応する動作を行わせるためのシステム制御信号を生成して画像信号処理部32及び表示画像生成部33へ出力するように構成されている。
続いて、本実施例に係る生体観察システム101の作用について説明する。なお、以降においては、簡単のため、色成分分離部32Aの色分離処理により、前述の各色成分に対応するNB1画像、NB2画像、NB3画像、B画像、G画像、及び、R画像が得られるものとして説明を進める。
ユーザは、生体観察システム101の各部の電源を投入した後、生体観察システム101の観察モードを白色光観察モードに設定するための操作をスコープスイッチ13において行う。
制御部34は、プロセッサ3の電源投入に伴い、プロセッサ3に接続されている内視鏡1のメモリ14から撮像光情報を読み込むとともに、プロセッサ3に接続されている光源装置2のメモリ23から光源光情報及び蛍光情報を読み込む。
制御部34は、メモリ23から読み込んだ光源光情報及び蛍光情報に基づき、スペクトルNW1を具備するNB1光が所定の光量値PLで照射された際に、スペクトルFWを具備するFL光が蛍光素子22fから発せられることを検出する。
調光対象設定部としての機能を備えた制御部34は、メモリ23から読み込んだ光源光情報及び蛍光情報に基づき、当該光源光情報に含まれる各スペクトルのうち、FL光の発生に関与せず、かつ、少なくとも一部がスペクトルFWに重複しているものを調光対象のスペクトルとして設定する。
具体的には、制御部34は、スペクトルNW1を具備するNB1光が所定の光量値PLで照射された際に、例えば、図5に示すような、青色域のスペクトルFW1を具備するFL光が蛍光素子22fから発せられることを検出した場合には、メモリ23から読み込んだ光源光情報に含まれるスペクトルNW2及びNW3を調光対象のスペクトルとして設定する。図5は、スペクトルFW1の一例を説明するための図である。
また、制御部34は、スペクトルNW1を具備するNB1光の照射に応じ、例えば、図6に示すような、青色域から緑色域に至るスペクトルFW2を具備するFL光が蛍光素子22fから発せられることを検出した場合には、メモリ23から読み込んだ光源光情報に含まれるスペクトルNW2、NW3及びGWを調光対象のスペクトルとして設定する。図6は、スペクトルFW2の一例を説明するための図である。
制御部34は、メモリ14から読み込んだ撮像光情報に基づき、当該撮像光情報に含まれる各スペクトルのうち、調光対象のスペクトルの色域に対応するものを調光目標のスペクトルとして設定する。
具体的には、制御部34は、例えば、スペクトルNW2及びNW3を調光対象のスペクトルとして設定した場合には、メモリ14から読み込んだ撮像光情報に含まれるスペクトルBSを調光目標のスペクトルとして設定する。
また、制御部34は、例えば、スペクトルNW2、NW3及びGWを調光対象のスペクトルとして設定した場合には、メモリ14から読み込んだ撮像光情報に含まれるスペクトルBS及びGSを調光目標のスペクトルとして設定する。
すなわち、調光目標値設定部としての機能を備えた制御部34は、メモリ14から読み込んだ撮像光情報に基づき、調光対象の光の波長帯域に対応する調光目標値を設定する。
調光部としての機能を備えた制御部34は、調光対象の各スペクトルのピーク波長における調光目標のスペクトルの光量値からスペクトルFWの光量値を減じる演算を行うことにより、当該調光対象のスペクトルに対応する光の調光後の光量値を取得し、当該取得した調光後の光量値を含む照明制御信号を生成して光源駆動部21へ出力する。
具体的には、制御部34は、例えば、スペクトルFW1を具備するFL光が蛍光素子22fから発せられることを検出した際に、スペクトルNW2のピーク波長λP2におけるスペクトルBSの光量値からスペクトルFW1の光量値を減じる演算を行うことにより、NB2光の調光後の光量値PN2を取得し、スペクトルNW3のピーク波長λP3におけるスペクトルBSの光量値からスペクトルFW1の光量値を減じる演算を行うことにより、NB3光の調光後の光量値PN3を取得する(図7参照)。その後、制御部34は、前述のように取得した光量値PN2及びPN3と、NB1光の光量値PLと、を含む照明制御信号を生成して光源駆動部21へ出力する。図7は、スペクトルFW1に応じた調光処理の一例を説明するための図である。
光源駆動部21は、制御部34から出力される照明制御信号に基づき、狭帯域光源22aの光路上に蛍光素子22fを配置させるとともに、光量値PLのNB1光と、光量値PN2のNB2光と、光量値PN3のNB3光と、スペクトルGSに応じた光量値のG光と、スペクトルRSに応じた光量値のR光と、を同時に発生させるための光源駆動信号を生成して発光ユニット22へ出力する。
一方、制御部34は、例えば、スペクトルFW2を具備するFL光が蛍光素子22fから発せられることを検出した際に、スペクトルNW2のピーク波長λP2において、スペクトルBSの光量値からスペクトルFW2の光量値を減じる演算を行うことにより、NB2光の調光後の光量値PN2を取得し、スペクトルNW3のピーク波長λP3において、スペクトルBSの光量値からスペクトルFW2の光量値を減じる演算を行うことにより、NB3光の調光後の光量値PN3を取得し、スペクトルGWのピーク波長λPGにおいて、スペクトルGSの光量値からスペクトルFW2の光量値を減じる演算を行うことにより、G光の調光後の光量値PGを取得する(図8参照)。その後、制御部34は、前述のように取得した光量値PN2、PN3及びPGと、NB1光の光量値PLと、を含む照明制御信号を生成して光源駆動部21へ出力する。図8は、スペクトルFW2に応じた調光処理の一例を説明するための図である。
光源駆動部21は、制御部34から出力される照明制御信号に基づき、狭帯域光源22aの光路上に蛍光素子22fを配置させるとともに、光量値PLのNB1光と、光量値PN2のNB2光と、光量値PN3のNB3光と、光量値PGのG光と、スペクトルRSに応じた光量値のR光と、を同時に発生させるための光源駆動信号を生成して発光ユニット22へ出力する。
そして、本実施例によれば、白色光観察モードにおいて、以上に述べたような調光処理を施された各光を具備する白色光が照明光として被写体に照射され、当該被写体からの反射光(戻り光)を撮像して得られた撮像信号が撮像素子12bから出力され、当該撮像信号に基づいて生成された画像信号が前処理部31から出力され、当該画像信号を分離して得られたR画像、G画像及びB画像に基づく白色光観察画像が生成される。そのため、本実施例によれば、狭帯域光が被写体に照射された際に、観察に適した色調を具備する白色光画像を生成することができる。
なお、本実施例によれば、例えば、白色光観察モードにおいて、NB1光、NB2光及びNB3光が光源装置2から同時に発せられるとともに、スペクトルBSに対するスペクトルNW1、NW2及びNW3の欠落部分を補完するような分光推定処理が表示画像生成部33により行われるようにしてもよい。
一方、ユーザは、内視鏡1の挿入部の先端部を被検体内の所望の観察部位の近傍に配置した状態において、生体観察システム101の観察モードを狭帯域光観察モードに設定するための操作をスコープスイッチ13において行う。
制御部34は、生体観察システム101の観察モードが狭帯域光観察モードに設定されたことを検出した際に、狭帯域光源22aの光路外に蛍光素子22fを配置させるとともに、第1のタイミングtaでNB1光及びG光を同時に発生させ、当該第1のタイミングtaの後の第2のタイミングtbでNB2光及びR光を同時に発生させ、当該第2のタイミングtbの後の第3のタイミングtcでNB3光を発生させるような動作を順次繰り返し行わせるための照明制御信号を生成して光源駆動部21へ出力する。
光源駆動部21は、制御部34から出力される照明制御信号に基づき、例えば、第1のタイミングtaで狭帯域光源22a及び緑色光源22dのみを発光させ、第2のタイミングtbで狭帯域光源22b及び赤色光源22eのみを発光させ、第3のタイミングtcで狭帯域光源22cのみを発光させるような光源駆動信号を生成して発光ユニット22へ出力する。そして、このような光源駆動部21の動作に応じ、狭帯域光観察モードにおいて、NB1光及びG光と、NB2光及びR光と、NB3光と、が照明光学系11を経て順次照射され、当該被写体からの反射光(戻り光)を撮像して得られた撮像信号が撮像素子12bから出力され、撮像素子12bからの撮像信号に基づいて生成された画像信号が前処理部31から出力される。
色成分分離部32Aは、前処理部31から出力される画像信号を、NB1画像、NB2画像、NB3画像、G画像、及び、R画像に分離するための色分離処理を行い、当該色分離処理により得られた各画像を1フレーム分ずつ酸素飽和度情報取得部32C及び表示画像生成部33へそれぞれ出力する。
酸素飽和度情報取得部32Cは、色成分分離部32Aから出力されるNB1画像及びNB2画像に基づき、NB2画像における注目画素Piの輝度値からNB1画像における当該注目画素Piの輝度値を除することにより除算値DAを算出する処理を行う。また、酸素飽和度情報取得部32Cは、色成分分離部32Aから出力されるNB1画像及びNB3画像に基づき、NB3画像における注目画素Piの輝度値からNB1画像における当該注目画素Piの輝度値を除することにより除算値DBを算出するための処理を行う。
ここで、メモリ32Bに格納されているルックアップテーブルは、例えば、図9のような、除算値DAをX座標値として規定したX軸と、除算値DBをY座標値として規定したY軸と、を具備する直交座標系(以降、XY座標系と略記する)に対し、0%〜100%の値として示される酸素飽和度値をV座標値として規定したV軸を加えたものとして表される。また、図9のV軸は、XY座標系において負の傾きを具備する線分として表される。そのため、図9に例示したルックアップテーブルによれば、例えば、除算値DAが除算値DBに比べて大きい場合には相対的に大きな酸素飽和度値が取得される一方で、除算値DAが除算値DBに比べて小さい場合には相対的に小さな酸素飽和度値が取得される。図9は、酸素飽和度値の取得に係る処理に用いられるルックアップテーブルの一例を示す図である。
酸素飽和度情報取得部32Cは、除算値DA及びDBと、図9のようなXY座標系及びV軸を含むルックアップテーブルと、に基づき、除算値DA及びDBに対応する座標(Xd,Yd)をXY座標系内において特定し、さらに、当該特定した座標(Xd,Yd)からV軸へ向かう垂線とV軸との交点のV座標値を注目画素Piの酸素飽和度値Vdiとして取得するような処理を行う(図10参照)。図10は、図9のルックアップテーブルを用いて酸素飽和度を取得する際に行われる処理を説明するための図である。
酸素飽和度情報取得部32Cは、以上に述べたような処理を、注目画素Piを変更しながら繰り返し行うことにより、1フレーム分の画像に含まれる各画素毎に酸素飽和度値Vdを取得する。
そして、酸素飽和度情報取得部32Cは、1フレーム分の画像に含まれる各画素毎の酸素飽和度値Vdを酸素飽和度情報として判定部32Dへ出力する。または、酸素飽和度情報取得部32Cは、1フレーム分の画像に含まれる各画素毎の酸素飽和度値Vdの平均値である平均酸素飽和度値AVdを算出し、当該算出した平均酸素飽和度値AVdを酸素飽和度情報として判定部32Dへ出力する。あるいは、酸素飽和度情報取得部32Cは、1フレーム分の画像内に設定された所定の関心領域に含まれる各画素毎の酸素飽和度値Vdの平均値である平均酸素飽和度値RVdを算出し、当該算出した平均酸素飽和度値RVdを酸素飽和度情報として判定部32Dへ出力する。なお、本実施例においては、好適には、前記所定の関心領域が画像の中央部を含むような領域として設定される。
判定部32Dは、狭帯域光観察モードにおいて、酸素飽和度情報取得部32Cから出力される酸素飽和度情報に基づき、画像内に低酸素領域が存在するか否かを判定するための判定処理を行う。
具体的には、判定部32Dは、酸素飽和度情報取得部32Cから出力される酸素飽和度情報に基づき、例えば、当該酸素飽和度情報における各酸素飽和度値Vdの中に閾値TH未満を満たすものが1つ以上含まれていることを検出した場合には、画像内に低酸素領域が存在するものと判定するとともに、当該酸素飽和度情報における各酸素飽和度値Vdの中に閾値TH未満のものが存在しないことを検出した場合には、画像内に低酸素領域が存在しないものと判定する。
または、判定部32Dは、酸素飽和度情報取得部32Cから出力される酸素飽和度情報に基づき、例えば、当該酸素飽和度情報に含まれる平均酸素飽和度値AVdあるいは平均酸素飽和度値RVdの一方の値が閾値TH未満である場合には、画像内に低酸素領域が存在するものと判定するとともに、当該酸素飽和度情報に含まれる当該一方の値が閾値TH以上である場合には、画像内に低酸素領域が存在しないものと判定する。
そして、判定部32Dは、以上に述べたような判定処理を行うことにより得られた判定結果を表示画像生成部33へ出力する。
なお、本実施例においては、例えば、判定部32Dの判定処理に用いられる閾値THを30%に設定することにより、20〜30%程度の酸素飽和度を示す癌等の病変の有無を好適に検出することができる。
表示画像生成部33は、狭帯域光観察モードにおいて、判定部32Dから出力される判定結果に基づき、画像内に低酸素領域が存在しないことを検出した場合には、狭帯域光観察画像をそのまま表示装置4へ出力する。
また、表示画像生成部33は、狭帯域光観察モードにおいて、判定部32Dから出力される判定結果に基づき、画像内に低酸素領域が存在することを検出した場合には、当該画像内における低酸素領域の存在を報知するための所定の記号または所定の文字列を含む視覚情報を生成し、当該生成した視覚情報を狭帯域光観察画像と併せて表示装置4へ出力するための処理を行う。そして、このような表示画像生成部33の処理によれば、例えば、図11に示すように、狭帯域光観察画像と、当該狭帯域光観察画像の外部の所定の位置において点灯または点滅するアイコン71と、が表示装置4の画面内に併せて表示される。図11は、低酸素領域の存在を報知する際の表示態様の一例を示す図である。
なお、本実施例の表示画像生成部33は、狭帯域光観察モードにおいて、画像内に低酸素領域が存在することを検出した際に、当該画像内の低酸素領域の存在を報知するための視覚情報を生成し、当該生成した視覚情報を狭帯域光観察画像と併せて表示装置4へ出力するための処理を行うものに限らず、例えば、当該画像内の低酸素領域の存在を報知するための音声情報を生成し、当該生成した音声情報をスピーカ等の音声出力装置へ出力しつつ、狭帯域光観察画像を表示装置4へ出力するための処理を行うようにしてもよい。
以上に述べたように、本実施例によれば、狭帯域光観察モードにおいて、狭帯域光観察画像における画像全域の色調を変更することなく、動脈血及び静脈血に比べて低い酸素飽和度を示す病変の存在の有無を術者に報知することができる。そのため、本実施例によれば、狭帯域光観察モードにおいて、病変の診断の際の術者の負担を軽減することができる。
一方、本実施例によれば、狭帯域観察モードにおいて、狭帯域光観察画像及びアイコン71の代わりに、例えば、低酸素領域の存在を報知するための視覚情報として、1フレーム分の画像に含まれる各画素毎の酸素飽和度値Vdを視覚的に認識可能な酸素飽和度画像が表示装置4に表示されるようにしてもよい。このような場合における具体的な処理の一例について以下に説明する。
制御部34は、生体観察システム101の観察モードが狭帯域光観察モードに設定されたことを検出した際に、狭帯域光源22aの光路外に蛍光素子22fを配置させるとともに、第1のタイミングtaでNB1光を発生させ、当該第1のタイミングtaの後の第2のタイミングtbでNB2光を発生させ、当該第2のタイミングtbの後の第3のタイミングtcでNB3光を発生させるような動作を順次繰り返し行わせるための照明制御信号を生成して光源駆動部21へ出力する。
光源駆動部21は、制御部34から出力される照明制御信号に基づき、例えば、第1のタイミングtaで狭帯域光源22aのみを発光させ、第2のタイミングtbで狭帯域光源22bのみを発光させ、第3のタイミングtcで狭帯域光源22cのみを発光させるような光源駆動信号を生成して発光ユニット22へ出力する。そして、このような光源駆動部21の動作に応じ、狭帯域光観察モードにおいて、NB1光と、NB2光と、NB3光と、が照明光学系11を経て順次照射され、当該被写体からの反射光(戻り光)を撮像して得られた撮像信号が撮像素子12bから出力され、撮像素子12bからの撮像信号に基づいて生成された画像信号が前処理部31から出力される。
酸素飽和度情報取得部32Cは、前述のような処理を行うことにより、1フレーム分の画像に含まれる各画素毎に酸素飽和度値Vdを取得する。そして、酸素飽和度情報取得部32Cは、1フレーム分の画像に含まれる各画素毎の酸素飽和度値Vdを酸素飽和度情報として判定部32Dへ出力する。
判定部32Dは、前述のような、画像内の低酸素領域の有無に係る判定処理を行わずに、酸素飽和度情報取得部32Cから出力される酸素飽和度情報をそのまま表示画像生成部33へ出力する。
表示画像生成部33は、狭帯域光観察モードにおいて、判定部32Dから出力される酸素飽和度情報に基づき、1フレーム分の画像に含まれる各画素毎の酸素飽和度値Vdを視覚的に認識可能な酸素飽和度画像を生成して表示装置4へ出力する。
具体的には、表示画像生成部33は、例えば、前処理部31のA/D変換処理における階調値の最大値に対して酸素飽和度値Vdを乗じて得られる乗算値に応じた輝度値を具備する画像を、前述の酸素飽和度画像として生成する。そして、このような処理によれば、例えば、前処理部31のA/D変換処理における階調値の最大値が255である場合には、酸素飽和度値Vd=98%の画素の輝度値が250となるような酸素飽和度画像が生成される。
本発明は、上述した各実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更や応用が可能であることは勿論である。