JP6202030B2 - 認証システム、認証システムを制御するコンピュータプログラム、およびその認証システムに用いる読取装置 - Google Patents

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Description

本発明は、非接触通信端末のID情報に基づいてユーザ認証を行う技術に関する。
ISO/IEC 14443 TypeA、TypeB等の近接型RFID(Radio Frequency IDentification)規格(以下、まとめて「ICカード規格」と表記する)に準拠した非接触通信端末やFelica(登録商標)を利用したユーザ認証技術が知られている(以下、ICカード規格に準拠した非接触通信端末を「ICカード」と表記する)。このようなユーザ認証技術では、ICカードのID情報が、ユーザとの対応付けに用いられることが多い。
例えば、ISO/IEC 14443 TypeAのICカードはUIDというID情報を有し、Felica(登録商標)のICカードはIDmと呼ばれるID情報を有する。ユーザがこれらのICカードをカードリーダ装置にかざしたときに、カードリーダ装置がICカードからID情報を読み取ることで、ICカードのID情報をユーザ認証に用いることができる
近年ではISO/IEC 18092、ISO/IEC 21481規格(以下、「NFC(Near Field Communication)規格」)に準拠したNFCコントローラを搭載し、近接型の非接触通信端末として利用できるモバイル端末(以下、「NFC端末」)も普及しだしている。NFC規格は、ISO/IEC 14443 TypeAおよびFelica(登録商標)の上位互換性を有しており、ICカードと同様にカードリーダ装置でID情報を読み取ることが可能なカードエミュレーションモードで、NFC端末もユーザ認証に利用されている。
また、NFC端末の中には、HCE(Host-based Card Emulation)機能を実装したものがある。HCE機能では、カードエミュレーションモードに専用のハードウェアであるセキュアエレメントを必要とせず、NFC端末のCPUで実行されるNFCアプリケーションがICカードをエミュレーションする。このようにHCE機能によるカードエミュレーションモードは実装が容易であることから、その利用の拡大が見込まれている。
特開平9−171545号公報 特開平8−123919号公報
しかしながら、HCE機能では、NFCアプリケーション毎にID情報が異なる可能性があるため、カードリーダ装置からのアクセスにアプリケーションの指定等が必要である。そのため、HCE機能を利用したNFC端末からNFCアプリケーションのID情報を読み取るための読取コマンド(以下、「読取コマンドN」)は、ICカード規格でICカードからID情報を読み取るための読取コマンド(以下、「読取コマンドI」)と相違している。そこで、認証システムにおいてNFC端末とICカードとの両方を利用可能にするには、例えば、カードリーダ装置に、読取コマンドNと読取コマンドIとを交互に発行させる必要がある。
しかし、NFC端末はICカードに対し上位互換性を有しているため、読取コマンドNだけではなく、読取コマンドIに対しても応答してしまう。そのためカードリーダ装置から読取コマンドIを発行したタイミングでNFC端末がカードリーダ装置にかざされた場合、カードリーダ装置にかざされた非接触通信端末がNFC端末ではなくICカードであると認証部システムにおいて誤認する恐れがある。この場合、ID情報と非接触通信端末の種類とを結び付けてユーザ認証に利用していると、認証に失敗することになる。
特許文献1では、ICカードにカードメーカ情報を持たせて、このカードメーカ情報をカードリーダ装置が読み出すことで、異なるカードメーカが製造した複数種類のICカードを識別する技術を開示している。しかし、NFC端末やICカードは、すでに普及しているため、これらの非接触通信端末に端末の種類を示す情報を新たに追加することは、現実的ではない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、読取コマンドの異なる複数種類の非接触通信端末からID情報を読み取り、非接触通信端末の種類とID情報とを用いてユーザ認証する場合に、他の非接触端末の読取コマンドに対する互換性を有する非接触端末の種類を誤認することなく認証を行うことができる認証システム、認証システムを制御するコンピュータプログラム、およびその認証システムに用いる読取装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る認証システムは、第1の種類の非接触通信端末のみが応答する第1読取コマンドと、前記第1の種類の非接触通信端末と第2の種類の非接触通信端末との両方が応答する第2読取コマンドとを何れかの読取コマンドに応答があるまで繰り返して発行して非接触通信端末からID情報を読み取り、読み取ったID情報に基づいてユーザ認証を行う認証システムであって、非接触通信端末と通信を行う通信手段と、前記第1読取コマンドに応答してID情報が前記通信手段を介して読み取れた場合、当該ID情報を前記第1の種類の非接触通信端末のID情報として出力し、前記第2読取コマンドに応答してID情報が前記通信手段を介して読み取れた場合、第1読取コマンドを追加して発行させ、当該第1読取コマンドに応答してID情報が前記通信手段を介して読み取れた場合に、その読み取れたID情報を前記第1の種類の非接触通信端末のID情報として出力する読取手段と、ユーザ毎に非接触通信端末の種類とID情報とが対応付けて登録されたユーザリストを保持する保持手段と、前記読取手段から出力された非接触通信端末の種類とID情報との組が、前記ユーザリストにおいて登録されている場合に、前記出力された非接触通信端末の種類とID情報との組に対応付けられたユーザを認証する認証手段とを有することを特徴とする。
上記の構成によると、本発明に係る認証システムは、第2読取コマンドに応答した第1の種類の非接触通信端末に対して第1読取コマンドを追加して発行し、ID情報を読み取ることができる。そのため、本発明に係る認証システムでは、繰り返し発行中に第1読取コマンドが発行された後、第2読取コマンドが発行される前のタイミングで、通信手段と通信可能な位置に第1の種類の非接触通信端末がかざされた場合でも、第1の種類の非接触通信端末を第2の種類の非接触通信端末と誤認することなく、認証を行うことができる。
本発明の実施の形態に係る認証システムのシステム構成を示す図である。 NFC端末の構成を示すブロック図である。 (a)〜(c)は読取コマンドに対するNFC端末の応答を模式的に示す図である。 認証システムの機能構成を示す図である。 ユーザリストの一例を示す図である。 (a)は非接触通信端末が近傍にかざされていない状態でのカードリーダ装置の通信例を示すタイミングチャートであり、(b)〜(f)はカードリーダ装置とNFC端末との通信例を示すタイミングチャートであり、(g)はカードリーダ装置とICカードとの通信例を示すタイミングチャートである。 読取部におけるID情報読取処理の流れを示すフローチャート図である。 IDn読取処理の流れを示すフローチャート図である。 認証部における認証/登録処理の流れを示すフローチャート図である。
以下、本発明に係る認証システムの実施の形態について、図を用いて説明する。
(実施の形態)
<ハードウェア構成>
図1は、本実施の形態に係る認証システム100のハードウェア構成を示す図である。認証システム100は、カードリーダ装置10、およびMFP(Multifunction Peripheral)20からなり、第1の種類の非接触通信端末であるNFC端末30、および第2の種類の非接触通信端末であるICカード40のID情報を用いてユーザを認証し、ユーザ毎にMFP20での印刷枚数を管理する。
NFC端末30は、ISO/IEC 18092、およびISO/IEC 21481の何れかの規格に準拠した非接触通信機能を有するモバイル端末である。ICカード40は、ISO/IEC 14443 TypeA、およびISO/IEC 14443 TypeBの何れかの規格に準拠した非接触通信機能を有するICカードまたはFelica(登録商標)である。NFC端末30はICカード40に対する上位互換性を有するが、ICカード40はNFC端末30に対する下位互換性を有していない。
カードリーダ装置10は、認証機能に関するハードウェア構成として、CPU11、ROM12、RAM13、I/F部14、およびRF通信部15を有する。CPU11は、ROM12に記録されているコンピュータプログラムを読み込み実行することにより、認証システム100の機能の一部分を実現している。
RF通信部15は、本実施の形態における通信手段であり、送受信信号を変復調する送受信回路と、ICカード規格に沿った強度で送受信信号を電磁界として送受信するアンテナとからなる。RF通信部15は、NFC端末30およびICカード40がRFアンテナの近傍にかざされた場合、これらの非接触通信端末との通信を行うことができる。非接触通信端末との通信では、HCE機能においてNFCアプリケーションに付されたID情報の読取コマンドN(第1読取コマンドである)、およびICカード規格に沿ったID情報の読取コマンドI(第2読取コマンドである)が送信され、その応答が受信される。
なお、本実施の形態において「近傍」とは、ISO/IEC 14443において規定された、所謂、「近接型」の非接触通信端末とカードリーダ装置との間で通信可能な距離を意味し、10cm程度の距離である。
MFP20は、認証機能に関するハードウェア構成として、CPU21、ROM22、RAM23、I/F部24、およびユーザリスト保持部25を有する。CPU21は、ROM22に記録されているコンピュータプログラムを読み込み実行することにより、認証システム100の機能の他の一部を実現している。
ユーザリスト保持部25は、本実施の形態における保持手段であり、SSD、HDD等のストレージからなる。ユーザリスト保持部25には、認証に用いるID情報等がユーザ毎に対応付けて登録されたユーザリストが記録されている。
カードリーダ装置10のI/F部14、およびMFP20のI/F部24は、それぞれUSB(Universal Serial Bus)コネクタ、USBコントローラ等からなり、USBケーブルを介して互いに接続され、カードリーダ装置10とMFP20との間のデータ通信を行う。USBケーブルの取り外しによりI/F部14とI/F部24との間の接続が切れた場合、ユーザ認証によってユーザ毎に印刷枚数を管理することができなくなるため、MFP20は印刷機能を停止する。
図2は、NFC端末30の構成を示すブロック図である。NFC端末30は、RF通信部31、NFCコントローラ32、CPU33、ROM34、およびRAM35を有する。
RF通信部31は、送受信信号を変復調する送受信回路と、ICカード規格に沿った強度で送受信信号を電磁界として送受信するアンテナとからなる。RF通信部31は、カードリーダ装置10のRFアンテナの近傍にかざされた場合、カードリーダ装置10との通信を行うことができる。
NFCコントローラ32は、NFC規格に準拠した専用チップであり、RF通信部31を介して、ICカード規格、およびNFC規格の通信を制御する。また、NFCコントローラ32は、ICカードをエミュレーションするためにICカード規格のID情報を有している(以下、IDカード規格のID情報を「IDc」と表記する)。
CPU33は、モバイル端末のホストCPUである。CPU33は、HCE機能を実装したOSをベースに、ROM34に記録されているNFCアプリケーションを実行することで、ICカードの機能をエミュレーションする。CPU33では、それぞれのID情報が異なる複数のNFCアプリケーションを切り換えて実行することができる(以下、NFCアプリケーションに付されたID情報を「IDn」と表記する)。これにより、NFC端末30は、1つの端末で複数枚のICカードをエミュレーションすることが可能になっている。
NFC端末30がカードリーダ装置10からID情報の読取コマンドを受信した場合の応答について説明する。ICカード規格に沿ったIDcの読取コマンドIを受信した場合、NFC端末30では、図3(a)に示すように、NFCコントローラ32が直接、IDcを出力し、このIDcがカードリーダ装置10へ応答として返される。
NFCアプリケーションに付されたIDnの読取コマンドNを受信した場合、NFC端末30では、図3(b)に示すように、読取コマンドNがNFCコントローラ32からCPU33に受け渡される。これに応じてCPU33は、実行しているNFCアプリケーションのIDnを出力し、このIDnがカードリーダ装置10へ応答として返される。ただし、CPU33は、カードエミュレーションのための専用ハードウェアではないため、モバイル端末としての動作によりビジー状態になる場合もある。そのため読取コマンドNが受け渡されたタイミングでCPU33がビジー状態であると、図3(c)に示すように、即座に応答できないことになる。この場合、非常に短い時間間隔(例えば0.05秒)で応答を待ち受けているカードリーダ装置30では、ID情報の読み取りに失敗することになる。
以上が本実施の形態に係る認証システム100、およびNFC端末30のハードウェア構成についての説明である。
<機能構成>
続いて、カードリーダ装置10のCPU11、およびMFP20のCPU21においてコンピュータプログラムの実行により実現される認証システム100の機能について説明する。図4は、認証システム100の機能構成を示す図である。
読取部101は、本実施の形態における読取手段であり、CPU11におけるコンピュータプログラムの実行により実現される。読取部101は、アンテナ近傍にかかげられた非接触通信端末とRF通信部15を介して通信し、その非接触通信端末の種類を識別するとともにID情報を読み取り、それらを認証部102へ出力する。読取部101の動作の詳細は、ID情報読取処理として後述する。
認証部102は、本実施の形態における認証手段であり、CPU21におけるコンピュータプログラムの実行により実現される。認証部102は、読取部101から出力された非接触通信端末の種別とID情報との組に基づいて、ユーザの認証、登録を制御する。
ユーザの認証では、認証部102は、ユーザリスト保持部25に保持されているユーザリストを参照して、読取部101から出力された非接触通信端末の種別とID情報との組に対応付けられたユーザを認証する。認証されたユーザは、MFP20における印刷機能の利用が可能となる。図5は、ユーザリストの一例を示す図である。ユーザリストには、ユーザ毎に、ユーザ番号、非接触通信端末の種類、およびID情報が対応付けて登録されている。ユーザリストにはさらに、ユーザが使用した印刷枚数の管理にも利用されており、ユーザ毎の印刷枚数が登録されている。
ユーザの登録では、認証部102は、読取部101から出力された非接触通信端末の種別とID情報との組に対応付けて、新たなユーザをユーザリストに追加する。
以上が本実施の形態に係る認証システムの機能構成についての説明である。
<ID情報読取処理>
続いて、読取部101におけるID情報読取処理を説明する。図6の(a)〜(g)は、ID情報読取処理を実行した際のカードリーダ装置10の通信を示すタイミングチャートである。図6の(a)〜(g)では、それぞれの上段にカードリーダ装置10からのコマンドの発行タイミングを示し、下段にカードリーダ装置10のアンテナ近傍にかかげられた非接触通信端末からの応答タイミングを示す。また、図6(b)〜(g)で白矢印は、カードリーダ装置10のアンテナ近傍に非接触通信端末がかざされたタイミングを示す。
1.非接触通信端末からの応答がない場合
非接触通信端末からの応答がない場合、読取部101は、NFCアプリケーションに付されたIDnの読取コマンドNと、ICカード規格に沿ったIDcの読取コマンドIとの発行を、第1の間隔(本実施の形態では1秒である)の周期で繰り返して実行する。以下、非接触通信端末からの応答がない状態で、読取コマンドNと読取コマンドIとを1回ずつ、1秒周期で繰り返して発行することを「定期発行」という。
具体的には、図6(a)に示すように、1周期を0.05秒毎にt0〜t19の20個のタイムスロットに分割し、t1で読取コマンドNを発行し、t2で非接触通信端末からの応答を待つ。より詳細には、読取コマンドNは、NFC端末30において実行されるNFCアプリケーションを指定する準備コマンドN0と、準備コマンドN0に対する応答があった後に、指定のNFCアプリケーションに付されたIDnの読み取りを要求する読取実行コマンドN1とからなる。そのため、t1で実際に発行するのは、準備コマンドN0のみであり、t2で非接触通信端末からの応答がないため、続けて読取実行コマンドN1を発行することなく、t3で読取コマンドIを発行する。読取コマンドIに対してもt4で非接触通信端末からの応答がないため、t5以後は次の周期のt0まで待機する。
2.定期発行の読取コマンドNでIDnを読み取れる場合
定期発行の読取コマンドNでID情報を読み取れる例として、t0でアンテナ近傍にNFC端末30がかざされた場合を、図6(b)を参照して説明する。
NFC端末30がかざされた状態で、読取部101がt1で準備コマンドN0を発行すると、準備コマンドN0を受信したNFC端末30からt2で応答Rnが返される。ID情報読取処理では、準備コマンドN0に対する応答Rnがあった場合、次のタイムスロットで読取実行コマンドN1の発行を行う。図6(b)の通信例では、読取部101は、t3で読取実行コマンドN1を発行する。その結果、読取実行コマンドN1を受信したNFC端末30から、準備コマンドN0で指定したNFCアプリケーションのIDnがt4で返される。
このように定期発行の読取コマンドNでID情報を読み取れた場合、読取部101は、t4の応答から読み取ったIDnと、通信相手の非接触通信端末の種類がNFC端末であることを示す種別情報とを、認証部102へ出力する。その後、読取部101は、この周期における読取コマンドIの定期発行を実行せず、次の周期のt0まで待機する。
3.定期発行の読取コマンドNでIDnが読み取れず、読取コマンドIでIDcを読み取れる場合
1周期の定期発行において、読取コマンドNでIDnが読み取れず、読取コマンドNでIDcを読み取れる例には、t2でアンテナ近傍にNFC端末30がかざされるケースAと、何れかのタイムスロットでアンテナ近傍にICカード40がかざされるケースBとの2つのケースがある。
このように定期発行の読取コマンドNに応答がなく、t3の読取コマンドNに対してt4でIDcが応答された場合、読取部101は、上記2つのケースの何れの状態であるかを識別するために、応答のあった定期発行の読取コマンドIから第2の間隔(本実施の形態では0.05秒である)をあけて、読取コマンドNの発行を再度実行する。以下、定期発行で応答のあった読取コマンドNに続けて、この読取コマンドNと同じ周期内に読取コマンドNを再度発行することを「追加発行」という。なお、読取コマンドNの実態は、準備コマンドN0、および読取実行コマンドN1からなるため、これらについても追加発行と表記する。
次の周期で読取コマンドNが定期発行されるまで待たず、応答のあった読取コマンドIの発行から短い時間間隔で読取コマンドN’を追加発行するのは、次の周期までにユーザがカードリーダ装置10の近傍から非接触通信端末を離してしまう恐れがあるためである。
例えば、NFC端末30がt2でカードリーダ装置10のアンテナ近傍にかざされた場合、NFC端末30は、図6(c)に示すように、t1の準備コマンドN0を受信することができないため、t3の読取コマンドIから応答を始める。読取部101は、t3で読取コマンドIを定期発行しt4でIDcの応答を受け取ると、t5で準備コマンドN0’を追加発行する。このように定期発行の読取コマンドIの発行から0.05秒後という短い時間間隔で準備コマンドN0’が追加発行されるため、NFC端末30はまだカードリーダ装置10から離されておらず、t6で応答Rnを返す。応答Rnを受け取った読取部101は、t7で読取実行コマンドN1’を追加発行する。その結果、読取実行コマンドN1’を受信したNFC端末30から、準備コマンドN0’で指定したNFCアプリケーションのIDnがt8で返される。
このように読取コマンドN’でIDnを読み取れた場合、読取部101は、t8の応答から読み取ったIDnと、通信相手の非接触通信端末の種類がNFC端末であることを示す種別情報とを、認証部102へ出力する。その後、読取部101は、次の周期のt0まで待機する。
なお、図3(c)を用いて説明したように、NFC端末30はカードリーダ装置10のアンテナ近傍にかざされていても、CPU33がビジー状態であれば、0.05秒の応答待ちのタイムスロットの間に応答を返せない場合がある。このような場合には、定期発行の読取コマンドN、追加発行の読取コマンドN’の何れにも応答がない。そこで、読取部101は、読取コマンドNの追加発行を最大3回まで連続して実行する。図6の(c)〜(e)に示すように、読取コマンドNを3回目に追加発行するまでに、NFC端末30のCPU33のビジー状態が解消されIDnが応答された場合、読取部101は、その回で追加発行を終了して、応答から読み取ったIDnと、通信相手の非接触通信端末の種類がNFC端末であることを示す種別情報とを、認証部102へ出力し、次の周期まで待機する。
ただし、図6(f)に示すように、NFC端末30のCPU33のビジー状態が一時的に解消して、t5で追加発行された準備コマンドN0’に対してt6で応答Rnを返しても、その後、再びCPU33がビジー状態となり、t7で追加発行された読取実行コマンドN1’に応答できない場合も考えられる。このように、準備コマンドN0に対する応答Rnを受け取れたが、IDnは受け取れなかった場合、読取部101は、t3の読取コマンドIに応じてt4でIDcを読み取れていても、読み取ったIDcを認証部102へ出力せず、次の周期まで待機する。
また、CPU33のビジー状態が一時的に解消されるタイミングは、図6(f)の例に限らず、定期発行された準備コマンドN0、1回目に追加発行された準備コマンドN0’、2回目に追加発行された準備コマンドN0’’、および3回目に追加発行された準備コマンドN0’’ ’の何れのタイミングでもありえる。そこで、定期発行された準備コマンドN0、1回目に追加発行された準備コマンドN0’、2回目に追加発行された準備コマンドN0’’、および3回目に追加発行された準備コマンドN0’’ ’の少なくとも1つに対して応答Rnを受け取れたが、IDnは受け取れなかった場合にも、読取部101は、IDcを認証部102へ出力せず、次の周期まで待機する。
一方、カードリーダ装置10のアンテナ近傍にかざされたのがICカード40である場合は、図6(g)に示すように、ICカード40がt3の読取コマンドIに対してt4でIDcを応答するため、IDcを受け取った読取部101は、t5以降に準備コマンドN0の追加発行を3回行う。しかし、通信相手がICカード40であるため何れの追加発行でも準備コマンドN0にも応答がない。
このように、定期発行の読取コマンドIに応じてIDcを読み取れ、定期発行の準備コマンドN0、追加発行の準備コマンドN0’、N0’’、N0’’ ’の全てで応答を受け取れなかった場合、読取部101は、t4の応答から読み取ったIDcと、通信相手の非接触通信端末の種類がICカードであることを示す種別情報とを、認証部102へ出力する。その後、読取部101は、次の周期のt0まで待機する。
以上がID情報読取処理についての説明である。
<動作の詳細>
次に、認証システム100の動作の詳細を説明する。
1.読取部101の動作
先ず、読取部101の動作の詳細を説明する。図7は、読取部101のID情報読取処理に係る動作を示すフローチャートである。
ID情報読取処理において、読取部101は先ず、タイマ関数Tに待機時間S1(例えば、1秒)を設定し(ステップS101)、続いて応答フラグRをOFFに設定する(ステップS102)。タイマ関数Tは、待機時間を設定後に経過時間を計時し、設定された待機時間が経過したときにタイムアウトメッセージを出力するタイマ関数である。本実施の形態に係る認証システムでは、このタイマ関数Tの利用により、非接触通信端末に対するポーリング周期を1秒に設定している。応答フラグRは、NFC端末30からの応答の有無を管理するフラグである。
タイマ関数T、応答フラグRの設定後、読取部101は、IDn読取処理を実行する(ステップS103)。IDn読取処理は、NFCアプリケーションからID情報を読み取るための読取コマンドNの発行/応答により、NFC端末30に対してID情報の読み取りを試行する処理である。IDn読取処理の詳細な手順は図8を用いて後述するが、カードリーダ装置10の近傍にNFC端末30があった場合、IDn読取処理の実行によりNFC端末30からNFCアプリケーションのID情報であるIDnが取得される。ただし、NFC端末30のCUP33がビジー状態である等の理由により応答が不完全であった場合には、カードリーダ装置10の近傍にNFC端末30があったとしても、IDnの取得に失敗することもある。IDnの取得に失敗した場合にもNFC端末30との間で何らかの通信に成功していれば、IDn読取処理の実行過程で応答フラグRがONに設定される。
IDn読取処理を実行した後、読取部101は、IDnの読み取りに成功したか否かを判定する(ステップS104)。IDnの読み取りに成功したと判定した場合(ステップS104:Yes)、読取部101は、非接触通信端末の種別がNFC端末であることを示す種別情報と、読み取ったIDnとを、認証部102へ出力する(ステップS105)。
ステップS104でIDnが読み取れていないと判定した場合(ステップS104:No)、読取部101は、IDc読取処理を実行する(ステップS106)。IDc読取処理は、ICカード規格に沿った読取コマンドIの発行/応答により、NFC端末30およびICカード40に対してID情報の読み取りを試行する処理である。カードリーダ装置10の近傍にNFC端末30およびICカード40の何れかがあった場合、IDc読取処理の実行によりICカード規格のID情報であるIDcが取得される。
IDc読取処理を実行した後、読取部101は、IDcの読み取りに成功したか否かを判定する(ステップS107)。IDcの読み取りに成功したと判定した場合(ステップS107:Yes)、読取部101は、読取コマンドNの追加発行回数を管理するための変数Cを0に初期化(ステップS108)してから、ステップS109〜ステップS112のループ処理により、読取コマンドNの追加発行を行う。
読取コマンドNの追加発行では、IDn読取処理を実行(ステップS109)し、さらに変数Cを1増加させる(ステップS110)。続けて、ステップS109のIDn読取処理によるIDnの読み取りに成功したか否かを判定する(ステップS111)。IDnの読み取りに成功していれば(ステップS111:Yes)、読取部101は、ループ処理を抜けて、非接触通信端末の種別がNFC端末であることを示す種別情報と、読み取ったIDnとを、認証部102へ出力する(ステップS105)。
ステップS109のIDn読取処理によるIDnの読み取りに成功していなければ(ステップS111:No)、変数Cが3未満、即ち読取コマンドNの追加発行回数が3回未満であるかを判定する(ステップS112)。
読取コマンドNの追加発行回数が3回未満であれば(ステップS112:Yes)、ステップS109〜ステップS112のループ処理をステップS109のIDn読取処理から繰り返し実行する。
読取コマンドNの追加発行回数が3回に達した場合(ステップS112:No)、読取部101は、応答フラグRがONに設定されているか否かを判定する(ステップS113)。応答フラグRは、ステップS103、およびステップS119で実行されるIDn読取処理においてIDnの読み取りに失敗していた場合であっても、IDn読取処理中で発行される準備コマンドN0に対してNFC端末30からの応答があった場合には、IDn読取処理中にONに設定されている。
ステップS113の判定で応答フラグRがOFFに設定されていた場合(ステップS113:No)、読取部101は、非接触通信端末の種別がICカードであることを示す種別情報と、ステップS106のIDc読取処理で読み取ったIDcとを、認証部102へ出力する(ステップS114)。
ステップS113の判定で応答フラグRがONに設定されていた場合(ステップS113:Yes)、読取部101は、種別情報とID情報との出力を抑制する(ステップS115)。
ここまでの処理手順で読取部101は、ステップS105、ステップS114、およびステップS115の何れかで、種別情報とID情報との組の出力を、実行もしくは抑制している。これらのステップで種別情報とID情報との組の出力を実行もしくは抑制した後、読取部101は、タイマ関数Tがタイムアウトメッセージを出力するまで待機し(ステップS116:No)、タイムアウトメッセージが出力されると(ステップS116:Yes)、ステップS101に戻り次の周期の処理を開始する。
以上が、読取部101によるID情報読取処理の動作の説明である。
続いて、図7のステップS103、およびステップS109で実行されるIDn読取処理の詳細を説明する。図8は、IDn読取処理に係る動作を示すフローチャートである。
IDn読取処理において、読取部101は、NFC規格に沿った読取コマンドNの発行/応答により、NFC端末30に対してID情報の読み取りを試行する。
具体的には読取部101は、先ず、準備コマンドN0の発行をRF通信部15に指示する(ステップS201)。準備コマンドN0に対するNFC端末30からの応答メッセージRnが、RF通信部15において受信された場合(ステップS202:Yes)読取部101は、応答フラグRをONに設定し(ステップS203)、その後、読取実行コマンドN1の発行をRF通信部15に指示する(ステップS204)。
読取実行コマンドN1に対するNFC端末30からの応答としてIDnが、RF通信部15において受信された場合(ステップS205)、読取部101は、NFC端末30からの応答であるIDnを取得し(ステップS206)、IDn読取処理を終了する。
準備コマンドN0に対する応答メッセージRが受信されなかった場合(ステップS202:No)、または、読取実行コマンドN1に対する応答のIDnが受信されなかった場合(ステップS205:No)には、読取部101は、IDnの取得失敗を示すエラーメッセージを返して(ステップS207)、IDn読取処理を終了する。
以上が、IDn読取処理の動作の説明である。
2.認証部102の動作
次に、認証部102の動作の詳細を説明する。図9は、認証部102の認証/登録処理に係る動作を示すフローチャートである。
認証/登録処理において、認証部102は、先ず、認証モード、および登録モードの何れのモードが選択されているか判定する(ステップS301)。なお、モードの選択は、MFP20が備える操作ボタン、タッチパネル等の入力手段を介して、ユーザによる操作によって設定される。
ステップS301の判定で、認証モードが選択されていた場合(ステップS301:Yes)、認証部102は、読取部101から種別情報とID情報とが出力されるまで待機する(ステップS302:No)。読取部101が出力した種別情報とID情報とを取得すると(ステップS302:Yes)、認証部102は、取得した種別情報とID情報との組み合わせが、ユーザリスト保持部25に保持されたユーザリストに登録されているかを検索する(ステップS303)。
取得した種別情報とID情報との組み合わせがユーザリストに登録されている場合(ステップS304:Yes)、この組み合わせに対応付けられているユーザ番号のユーザを認証し(ステップS305)、このユーザに印刷を許可して認証モードの動作を終了する。取得した種別情報とID情報との組み合わせがユーザリストに登録されていない場合(ステップS304:No)、ユーザ認証のエラー処理を実行し(ステップS306)、認証モードの動作を終了する。ユーザ認証のエラー処理では、例えば、MFP20が備えるディスプレイに、エラーメッセージを表示する手法や、スピーカから音声を発する手法によってユーザ認証の失敗を通知してもよいし、明示的にエラーを通知せずそのまま処理を終了してもよい。
ステップS301の判定で、登録モードが選択されていた場合(ステップS301:No)、認証部102は、ユーザが入力したユーザ番号を取得する(ステップS307)。ユーザ番号は、例えば、MFP20が備える操作ボタン、タッチパネル等の入力手段を介したユーザ操作により入力される。ユーザ番号の取得後、認証部102は、読取部101から種別情報とID情報とが出力されるまで待機する(ステップS308:No)。読取部101が出力した種別情報とID情報とを取得すると(ステップS308:Yes)、認証部102は、取得した種別情報とID情報との組み合わせが、ユーザリスト保持部25に保持されたユーザリストに登録されているかを検索する(ステップS309)。
取得した種別情報とID情報との組み合わせがユーザリストに登録されていない場合(ステップS310:No)、この組み合わせを、ステップS307で取得したユーザ番号に対応付けて、ユーザリストに新たに登録し(ステップS311)、登録モードの動作を終了する。
取得した種別情報とID情報との組み合わせがユーザリストに登録されている場合(ステップS310:Yes)、ユーザ登録のエラー処理を実行し(ステップS306)、認証モードの動作を終了する。ユーザ登録のエラー処理では、MFP20のディスプレイにエラーメッセージを表示する手法や、スピーカから音声を発する手法によって失敗を通知してもよい。エラーメッセージを表示する場合には、非接触通信端末が登録積みであることをテキスト等により明示することが好ましい。あるいは、ユーザ登録のエラー処理では、種別情報とID情報との組みに対応づけてユーザリストに登録済みであったユーザ番号でユーザを認証し、このユーザに印刷を許可してもよい。
以上が、認証部102による認証/登録処理の動作の説明である。
<まとめ>
以上説明したように実施の形態に係る認証システム100は、読取コマンドIに応答したNFC端末30に対して読取コマンドNを追加発行し、NFCアプリケーションのID情報を読み取ることができる。そのため、認証システム100では、定期発行の第1読取コマンドが発行された後、第2読取コマンドが発行される前のタイミングで、アンテナ近傍にNFC端末30がかざされた場合でも、NFC端末30の種類をICカードであると誤認することなく、ユーザ認証を行うことができる。
また、本実施の形態に係る認証システム100は、追加発行した読取コマンドNに応じてNFCアプリケーションのID情報が読み取れなかった場合に、定期発行における読取コマンドIに応じて読み取れたID情報と、通信相手の種類がICカードであることを示す種別情報を出力する。そのため、本実施の形態に係る認証システム100では、NFC端末、ICカードの何れを用いるユーザの認証にも利用することができる。
また、本実施の形態に係る認証システム100は、読取コマンドNの追加発行において、非接触端末からの応答があるまで3回連続して読取コマンドNを発行し、3回発行した全ての読取コマンドNに応答がなかった場合に、定期発行における読取コマンドIに応じて読み取れたID情報と、通信相手の種類がICカードであることを示す種別情報を出力する。そのため、NFC端末30のCPU33がビジー状態であるために読取コマンドNに応答できない場合に、読取コマンドNを3回追加発行する間はビジー状態の解消を待つことができる。従って、本実施の形態に係る認証システム100では、NFC端末30のCPU33がビジー状態であることが原因となって非接触通信端末の種類を誤認する可能性を低減することができる。これによりユーザ認証の成功率を高める効果が得られる。
また、本実施の形態に係る認証システム100は、追加発行した読取コマンドNに応じてNFCアプリケーションのID情報を読み取れなかった場合でも、定期発行および追加発行の何れかでの読取コマンドNにおける準備コマンドN0に応答があった場合には、読取コマンドIに応じて読み取れたICカードのID情報の出力を抑制する。そのため本実施の形態に係る認証システム100では、非接触通信端末の種類の誤認を抑制し、これによりユーザ認証の不要な失敗処理の実行を避けることができる。
また、本実施の形態に係る認証システム100は、読取コマンドNと読取コマンドIとの定期発行を1秒間隔で実行し、読取コマンドNの追加発行を読取コマンドIの発行後に0.05秒の間隔をあけて実行する。そのため本実施の形態に係る認証システム100では、読取コマンドIに応じてICカードのID情報が読み取れたときに、次の周期での読取コマンドNの定期発行を待つことなく、素早く通信相手の非接触通信端末の種別を識別することができる。従って、読取コマンドIに応じてID情報が読み取れた後、次に読取コマンドNが発行される前に、ユーザがカードリーダ装置10のアンテナ近傍からNFC端末30をどけてしまうことで、通信相手の種類がICカードであると誤認する可能性を低減することができる。
また、本実施の形態に係る認証システム100では、読取部101から出力された非接触通信端末の種類とID情報との組が、ユーザリストに登録されていない場合、出力された非接触通信端末の種類とID情報との組を新たなユーザに対応付けて、ユーザリストに登録する。このような処理により、新規ユーザを簡易な手続きで登録することができる。
また、本実施の形態で、NFC端末30として用いるISO/IEC 18092、およびISO/IEC 21481の何れかの規格に準拠した非接触通信機能を有するモバイル端末や、ICカード40として用いるISO/IEC 14443 TypeA、およびISO/IEC 14443 TypeBの何れかの規格に準拠した非接触通信機能を有するICカードやFelica(登録商標)は、広く普及している。このような広く普及し、ユーザがすでに所有している可能性が高い非接触通信端末を認証に利用することで、本実施の形態に係る認証システム100は、導入時の初期コストを低減することが期待できる。
また、以上説明したように実施の形態に係る認証システム100を制御するコンピュータプログラムは、読取コマンドIに応答したNFC端末30に対して読取コマンドNを追加発行し、NFCアプリケーションのID情報を読み取るようにCPUを動作させることができる。そのため、このコンピュータプログラムは、定期発行の第1読取コマンドが発行された後、第2読取コマンドが発行される前のタイミングで、アンテナ近傍にNFC端末30がかざされた場合でも、NFC端末30の種類をICカードであると誤認することなく、ユーザ認証するように認証システムを制御することができる。
また、以上説明したように実施の形態に係る認証システム100における読取装置であるカードリーダ装置10は、読取コマンドIに応答したNFC端末30に対して読取コマンドNを追加発行し、NFCアプリケーションのID情報を読み取ることができる。そのため、カードリーダ装置10は、定期発行の第1読取コマンドが発行された後、第2読取コマンドが発行される前のタイミングで、アンテナ近傍にNFC端末30がかざされた場合でも、NFC端末30の種類をICカードであると誤認することなく、ID情報を取得することができる。
(補足)
尚、本発明を上記の実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施形態に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も本発明に含まれる。
(1)本発明は、実施の形態で説明したフローチャートの処理手順でコンピュータを動作させるプログラムコードを含むコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
また、本発明は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなど、に記録したものとしてもよい。
また、本発明は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送するものとしてもよい。
また、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、又は前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
(2)上記の実施の形態では、カードリーダ装置10のCPU11でプログラムを実行することで読取部101の機能を実現し、MFP20のCPU21でプログラムを実行することで認証部102の機能を実現するとした。しかし、本発明に係る認証部システムにおいて読取手段と認証手段との機能は、必ずしも異なる装置に実装する必要はない。
例えば、図4において破線で囲んだ読取部101および認証部102を、何れもカードリーダ装置10のCPU11でプログラムを実行することで、その機能を実現してもよい。この場合には、カードリーダ装置10からMFP20へユーザ認証の結果のみを通知すればよい。
あるいは、読取部101および認証部102を、何れもMFP20のCPU21でプログラムを実行することで、その機能を実現してもよい。この場合、カードリーダ装置10からは、RF通信部15における送受信データをそのままMFP20へ出力すればよい。
(3)上記の実施の形態では、認証システム100を、カードリーダ装置10とMFP20で構成したが、本発明に係る認証システムは他の機器を用いて構成してもよい。
例えば、非接触通信端末と通信する機器には、書き込み機能も有するカードリーダライタ装置を用いてもよい。
認証結果を利用する機器にはMFPに限らず、複数人で利用するPC、家庭用体重計等の機器を用いてもよい。また、認証結果を利用する機器自体にカードリーダ機能を組み込み、このような機器単体で本発明に係る認証システムを構成してもよい。
(4)NFC端末用の読取コマンドNとICカード用の読取コマンドIとの組を定期的に発行する周期は、1秒に限らず、例えば0.5秒、1.5秒等、任意に設定可能である。ただし、定期発行の周期が長すぎると、レスポンスの遅さにより使い勝手が悪化するおそれがあり、定期発行の周期が短すぎると、認証システムのCPUリソースを過剰に占有したり、カードリーダ装置がバッテリ駆動である場合にバッテリの消耗を過剰に早めたりするおそれがある。従って、これらの問題を引き起こさない程度の長さで定期発行の周期を設定することが好ましい。
また、1周期中で読取コマンドNの発行/応答待ち受けや、読取コマンドIの発行/応答待ち受け等を実行するタイムスロットの長さも、0.05秒に限らず、定期発行の周期の長さに合わせて任意に設定可能なものである。
(5)上記の実施の形態では、定期発行時に読取コマンドNを先に発行し、次に読取コマンドIを発行するとした。しかし、定期発行で読取コマンドを発行する順番は、この順番に限らず、先に読取コマンドIを発行し、次に読取コマンドNを発行してもよい。
(6)上記の実施の形態では、ICカードのID情報の読取コマンドIに続けて、NFCアプリケーションのID情報の読取コマンドNを追加発行する最大回数を3回とした。しかし、読取コマンドNの追加発行の最大回数は3回に限らず、1回、2回、4回、5回等、次の定期発行の周期までに発行できる回数であれば何回であってもよい。
(7)上記の実施の形態では、第1読取コマンドである読取コマンドNを、NFCアプリケーションを指定する準備コマンドN0と、読取実行コマンドN1との発行により実現するとした。しかし、第1読取コマンドは、異なるコマンド構成で実装してもよい。例えば、読取実行コマンドに先行して、アプリケーションを指定するコマンド、暗号鍵を交換するコマンド、ID情報を格納したファイルへのアクセスを要求するコマンド等、複数の準備コマンドを発行するよう構成してもよい。また、第2読取コマンドについても、第1読取コマンドと同様に複数のコマンドで構成するように実装してもよい。
(8)本発明に係る認証システムが通信相手とする非接触通信端末は、上記の実施の形態で用いたNFC端末30、およびICカード40に限らず、他の機器を通信相手としてもよい。例えば、第1の種類の非接触通信端末としてNFC規格に準拠したモバイル端末を使う場合に、第2の種類の非接触通信端末として、ISO/IEC 15693の規格に準拠したICタグ等を用いてもよい。
あるいは、第1の種類の非接触通信端として、NFC規格に準拠したモバイル端末とは異なる非接触通信端末を用い、この非接触通信端末が上位互換を有する他の非接触通信規格に準拠した他の非接触通信端末を第2の種類の非接触通信端として用いてもよい。
本発明は、例えば、MFPで実行するジョブの管理に用いる認証システムとして利用可能である。
10 カードリーダ装置
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 I/F部
15 RF通信部
20 MFP
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 I/F部
25 ユーザリスト保持部
30 NFC端末
31 RF通信部
32 NFCコントローラ
33 CPU
34 ROM
35 RAM
40 ICカード
100 認証システム
101 読取部
102 認証部

Claims (10)

  1. 第1の種類の非接触通信端末のみが応答する第1読取コマンドと、前記第1の種類の非接触通信端末と第2の種類の非接触通信端末との両方が応答する第2読取コマンドとを何れかの読取コマンドに応答があるまで繰り返して発行して非接触通信端末からID情報を読み取り、読み取ったID情報に基づいてユーザ認証を行う認証システムであって、
    非接触通信端末と通信を行う通信手段と、
    前記第1読取コマンドに応答してID情報が前記通信手段を介して読み取れた場合、当該ID情報を前記第1の種類の非接触通信端末のID情報として出力し、
    前記第2読取コマンドに応答してID情報が前記通信手段を介して読み取れた場合、第1読取コマンドを追加して発行させ、当該第1読取コマンドに応答してID情報が前記通信手段を介して読み取れた場合に、その読み取れたID情報を前記第1の種類の非接触通信端末のID情報として出力する読取手段と、
    ユーザ毎に非接触通信端末の種類とID情報とが対応付けて登録されたユーザリストを保持する保持手段と、
    前記読取手段から出力された非接触通信端末の種類とID情報との組が、前記ユーザリストにおいて登録されている場合に、前記出力された非接触通信端末の種類とID情報との組に対応付けられたユーザを認証する認証手段とを有する
    認証システム。
  2. 前記読取手段は、
    前記追加して発行した第1読取コマンドに応答する状態ではID情報が読み取れなかった場合に、直前の第2読取コマンドに応答して読み取れたID情報を前記第2の種類の非接触通信端末体のID情報として出力する
    請求項1に記載の認証システム。
  3. 前記読取手段は、前記第1読取コマンドの追加発行において、非接触端末からの応答があるまで所定の回数連続して前記第1読取コマンドを発行し、前記所定の回数発行した何れの前記第1読取コマンドに応答する状態でもID情報が読み取れなかった場合に、その前に発行した第2読取コマンドに応答して読み取れたID情報を前記第2の種類の非接触通信端末体のID情報として出力する
    請求項2に記載の認証システム。
  4. 前記第1読取コマンドは、準備コマンドと、前記準備コマンドに対する応答があった場合にのみ発行され応答としてID情報が返される読取実行コマンドとからなり、
    前記読取手段は、前記第2読取コマンドに応答してID情報が読み取れた後に前記追加して発行した第1読取コマンドに応答する状態ではID情報が読み取れなかった場合でも、何れかの第1読取コマンドにおける前記準備コマンドに対して応答があった場合には、前記第2読取コマンドに応答して読み取れたID情報の出力を抑制する
    請求項2に記載の認証システム。
  5. 前記読取手段は、前記第1読取コマンドと前記第2読取コマンドとの発行の前記繰り返しを、第1の時間間隔で実行し、前記第2読取コマンドに応答してID情報が読み取れた場合の前記第1読取コマンドの追加発行を、前記第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で前記第2読取コマンドに続けて実行する
    請求項1に記載の認証システム。
  6. 前記認証手段は、前記読取手段から出力された非接触通信端末の種類とID情報との組が、前記ユーザリストにおいて登録されていない場合、前記出力された非接触通信端末の種類とID情報との組を新たなユーザに対応付けて、前記ユーザリストに登録する
    請求項1に記載の認証システム。
  7. 前記第2の種類の非接触通信端末は、近接型の非接触通信機能を有するICカードであり、
    前記第1の種類の非接触通信端末は、前記ICカードとの上位互換性を有する通信規格に準拠した非接触通信機能を有するモバイル端末である
    請求項1に記載の認証システム。
  8. 前記第1の種類の非接触通信端末は、ISO/IEC 18092、およびISO/IEC 21481の何れかの規格に準拠した非接触通信機能を有するモバイル端末であり、
    前記第2の種類の非接触通信端末は、ISO/IEC 14443 TypeA、およびISO/IEC 14443 TypeBの何れかの規格に準拠した非接触通信機能を有するICカード、またはFelica(登録商標)である
    請求項7に記載の認証システム。
  9. 非接触通信端末と通信を行う通信手段と、ユーザ毎に非接触通信端末の種類とID情報とが対応付けて登録されたユーザリストを保持する保持手段と、コンピュータとを有する機器において、複数の種類の非接触通信端末からID情報を読み取り、読み取ったID情報に基づいてユーザ認証を行うためのコンピュータプログラムであって、
    前記通信手段を介して、第1の種類の非接触通信端末のみが応答する第1読取コマンドと、前記第1の種類の非接触通信端末と第2の種類の非接触通信端末との両方が応答する第2読取コマンドとを、何れかの読取コマンドに応答があるまで繰り返して発行する繰り返し発行ステップと、
    前記第1読取コマンドに応答してID情報が前記通信手段を介して読み取れた場合、当該ID情報を前記第1の種類の非接触通信端末のID情報として出力する第1出力ステップと、
    前記第2読取コマンドに応答してID情報が前記通信手段を介して読み取れた場合、前記通信手段を介して、第1読取コマンドを発行する追加発行ステップと、
    前記追加発行ステップで発行した前記第1読取コマンドに応答してID情報が前記通信手段を介して読み取れた場合に、そのID情報を前記第1の種類の非接触通信端末のID情報として出力する第2出力ステップと、
    前記追加発行ステップで発行した前記第1読取コマンドに応答する状態ではID情報が読み取れなかった場合に、直前の第2読取コマンドに応答して読み取れたID情報を前記第2の種類の非接触通信端末体のID情報として出力する第3出力ステップと、
    前記第1出力ステップ、前記第2出力ステップ、および前記第3出力ステップの何れかで出力した非接触通信端末の種類とID情報との組が、前記保持手段に保持されるユーザリストに登録されている場合に、前記出力した非接触通信端末の種類とID情報との組に対応付けられたユーザを認証する認証ステップと
    を前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
  10. 第1の種類の非接触通信端末のみが応答する第1読取コマンドと、前記第1の種類の非接触通信端末と第2の種類の非接触通信端末との両方が応答する第2読取コマンドとを何れかの読取コマンドに応答があるまで繰り返して発行して非接触通信端末からID情報を読み取る読取装置であって、
    非接触通信端末と通信を行う通信手段と、
    前記第1読取コマンドに応答してID情報が前記通信手段を介して読み取れた場合、当該ID情報を前記第1の種類の非接触通信端末のID情報として出力し、
    前記第2読取コマンドに応答してID情報が前記通信手段を介して読み取れた場合、第1読取コマンドを追加して発行させ、当該第1読取コマンドに応答してID情報が前記通信手段を介して読み取れた場合に、その読み取れたID情報を前記第1の種類の非接触通信端末のID情報として出力する読取手段とを有する
    読取装置。
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