JP6201035B2 - 低侵襲外科用組立体及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、外科用器械及びこれらの使用方法に関し、特に、針の内部に設けられた作業ツールであって、当該針が当該作業ツール上でこれに沿って伸長したり引っ込んだりするよう構成された作業ツール、を有する低侵襲外科用器械及び方法に関する。
過去20年間にわたって、低侵襲手術は、開放手術により従来達成された多くの術式の基準になった。低侵襲手術では、一般に、光学要素(例えば、腹腔鏡又は内視鏡)を体内の手術用のポート(孔、腔)又は生まれつき備わったポート(孔、腔)を通して導入する一方、追加のポートを通して又は内視鏡を通して1つ又は2つ以上の外科用器械を前進させ、手術を当該外科用器械で行い、そして当該器械及びスコープ類を体から取り出す。腹腔鏡下手術(本明細書では、ポートが外科用切開創を介して作られる任意の手術であると広義に定義される。かかる手術としては、腹部腹腔鏡検査法、関節鏡検査法、脊髄腹腔鏡検査法等が挙げられるが、これらに限定されない)では、スコープのためのポートは、典型的には、外科用トロカール組立体を用いて作られる。
トロカール組立体は、ポート、当該ポートの遠位端部を通りこれを越えて延びる尖鋭な先の尖った要素(トロカール)、及び、少なくとも腹部腹腔鏡検査法の場合、前記ポートの近位部分に設けられた弁、を含む場合が多い。典型的には、小さな切開創が、患者の所望の場所の皮膚に作られる。次に、トロカール組立体をトロカールがポートから延び出た状態で切開創中に押し込み、それにより切開創を広げて、ポートが切開創を通り、任意の面を通り越し、そして体内(腔)中に延びるようにする。次に、トロカールを抜去すれば、後にはポートが定位置に残る。或る特定の状況では、手術部位にガス注入するために、ガス注入要素をトロカールポートに取り付けるのが良い。この時、トロカールポートを通して光学要素を導入するのが良い。この時、典型的には追加のポートが作られて、追加の腹腔鏡器械が体内に導入され得る。
トロカール組立体は、種々のサイズで製造される。トロカールポートのサイズとしては、典型的には、5mm、10mm、及び12mmが挙げられる。かかるトロカールポートサイズは、当該トロカールポートを通って種々のサイズの腹腔鏡器械を導入することができるよう設定されている。かかる腹腔鏡器械としては、例えば、把持器、切開用器、ステープラ、はさみ、吸引/灌注器(イルリガートル)、クランプ、鉗子、生検鉗子等が挙げられる。5mmトロカールポートは、比較的小径ではあるが、内部作業空間が限定されている幾つかの場合(例えば、子供)には、複数の5mmポートを限定された領域内に配置することは困難である。さらに、5mmトロカールポートは、腹腔内における器械の運動を大幅に制限する傾向がある。
さらに、腹腔鏡下手術は、種々の外科的処置と関連した外傷を軽減すると共に、これに伴ってこれら手術からの回復時間をも短縮したが、当該技術分野では、患者に対する外傷を更に軽減することが相変わらず要望されている。
軽減の余地があるものとして本発明者により特定される腹腔鏡下手術と関連した外傷の一領域は、用いられるトロカールポートに起因して生じる瘢痕である。多くの腹腔鏡下手術では、3つ又は4つ以上のトロカール切開創が作られる。例えば、腹腔鏡下ヘルニア修復手術では、典型的には、4つのトロカール切開創が作られる。1つの切開創は、腹にガス注入し且つ光学装置を挿入するためのものであり、他の2つの切開創は、それらを通して把持器を挿入するためのトロカールポート用であり、第4のポートは、それを通してステープラを通すためのものである。当業者並びに外科的処置を行った医師であれば理解されるように、5mmのトロカールポートであっても穴は残り、これらの穴は縫い合わせる必要があり、その結果、瘢痕が生じる。瘢痕組織は、筋膜の内側部分並びに皮膚の美的外観に悪影響を及ぼす場合があり、これは、皮膚の当該領域が将来の切開又は医学的処置を受ける場合、患者にとって又はそれどころか外科医にとっても好ましくないと言える。
腹腔鏡下手術と関連した外傷の第2の領域は、不正確な配置に起因して、当該手術を行うために必要とされるトロカールポートの操作(例えば、傾斜)の結果として生じる外傷に関する。ポートの傾斜は、切開創の周囲のところに裂けを生じさせる場合がある。かかる裂けにより、広範な瘢痕組織が生じる場合があり、一般に、切開創領域が広がる場合がある。
針先端部を有する外科用器械に関するもう1つの問題は、組織内への偶発的な針穿刺であり、その結果としての瘢痕化であり、あるいは、手術中において他の組織が意図せずに傷つけられ又は穿刺された場合における一層重篤な合併症である。したがって、針先端部をも制御するエンドエフェクタを備えた外科用器械又は器具が要望されている。
当該技術分野では、利用分野を広げ、患者に対する外傷を軽減し、患者に対する合併症を軽減し、切開創領域の拡張をもたらさず、瘢痕組織形成の増大をもたらさず、製作するのも使用するのも容易であり、安全性を向上させる一方で、保健医療提供者及び患者へのコストを減少させると共に手技のための手術時間を短縮し、それによりコスト及び合併症を減少させることができるような、安価な腹腔鏡ツール及び外科用組立体が要望され続けている。本発明の器具は、作業ツール又はエンドエフェクタ上で閉じる自己挿入型針組立体、例えば、把持組立体を含み、かくしてトロカール又は他の切開創箇所が不要であり、それにより、外科的処置中の時間を短縮すると共に切開創の箇所のところでの患者への瘢痕化を減少させる。
把持組立体を含む従来型の針組立体が知られているが、当該従来技術は、針組立体からの突き出し力により作動され針組立体中に引っ込んで戻る把持組立体を有している。これは、把持組立体がいったん作動されると自由に回転して針組立体から外に出ることがあるので、組織の裂けを生じる場合がある。さらに、作業ツール、例えば把持組立体、が従来型器具内に完全に引っ込められる時、針先端部が偶発的に意図せずに組織又は器官を穿刺する場合がある。かくして、使用中及び組織又は他の物体を把持している間、自由に回転することのない把持組立体が要望されている。これら要望及び他の要望は、本発明の器具及び方法によって満たされる。
本発明の他の利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲の記載から明らかになろう。
本発明の非作動状態の器具の一実施形態を示す図であり、把持具が開放位置にある状態を示す図である。
本発明の非作動状態の器具の一実施形態の平面図であり、把持具が開放位置にある状態を示す図である。
本発明の把持組立体の一実施形態を示す図であり、把持具が開放位置にある状態を示す図である。
本発明のハンドル組立体の一実施形態、及び、本発明の針組立体の近位部分を示す図である。
本発明の導電性把持組立体の一実施形態を示す図であり、把持具が開放位置にある状態を示す図である。
本発明の導電性把持組立体の別の実施形態を示す図であり、把持具が開放位置にある状態を示す図である。
本発明の一実施形態を示す図である。
今、図面を参照するが、当該図面において、同一の参照符号は、本発明の同一の構造的特徴又は観点を示している。説明及び例示の目的のため、本発明に従う低侵襲外科用組立体の例示の実施形態、又はこれら実施形態の観点、が図1〜図7に示されているが、かかる実施形態に限定はされない。本発明の外科用組立体は、患者に対する外傷を軽減するために例えば低侵襲外科的処置の際に使用できる、安価で製造しやすい医療器具である。
低侵襲外科用組立体及び関連器機の例示が、ラビクマー(Ravikumar)に付与された米国特許第7,766,937号、ラビクマー等(Ravikumar et al)に付与された米国特許第8,230,863号、ラビクマーに付与された米国特許第8,313,507号、ラビクマー等に付与された米国特許第8,133,255号、ラビクマー等名義の米国特許出願第11/685,522号(米国特許出願公開第2007/0250112号として公開されている)、ラビクマー名義の米国特許出願第12/503,035号(米国特許出願公開第2010/0016884号として公開されている)、ラビクマー等名義の米国特許出願第12/689,352号(米国特許出願公開第2010/0292724号として公開されている)、ラビクマー等名義の米国特許出願第11/610,746号(米国特許出願公開第2007/0282170号として公開されている)、及び、ラビクマー等名義の米国特許出願第12/689,352号(米国特許出願公開第2010/0292724号として公開されている)、に記載されている。これらの特許、特許出願及び特許出願公開を当該参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
本発明は、細長い針組立体110及びハンドル組立体150を有する外科用器具100を含む。当該外科用器具は、手術の際の使用準備が出来た状態に連結され滅菌されてユーザ(例えば、外科医)に出荷される。当該外科用器具は、これが患者の筋膜中に切開創を形成し、それにより患者に対する外傷を軽減し、しかも大きな切開創箇所を不要にするように、自己挿入型であるという利点を有する。切開創箇所は、細長い針組立体110を作動させて遠位端部分115を作業ツール組立体上でこれに沿って押し込んだ時に、細長い針組立体110の遠位端部分115の直径に応じて、5mm以下であるのが良い。図1に示されている本発明の一実施形態では、作業ツール組立体は、把持組立体120であり、それにより上側把持具122と下側把持具124が閉じられる。
次に、図1〜図3を参照すると、把持組立体120の分解組立図が含まれた状態で外科用器具100が示されている。外科用器具100は、これを長手方向に貫通して延びる内部ルーメンを有する。細長い針組立体110は、尖った遠位端部分115を更に含む。本発明の一実施形態では、プラスチックオーバーラップ(overwrap)128が、以下に説明されるようにハンドル組立体150内の取り付け・回転箇所をもたらすべく、細長い針組立体110の針本体の近位端部の周りに配置されている。
次に、図3を参照すると、把持組立体120は、細長い針組立体110の針本体の内部ルーメンと作動的に関連付けられている。把持組立体120は、細長い針組立体110の針本体の内部ルーメンの内面に対応した外面輪郭を有するシャフトと、上側把持具122及び下側把持具124から成る一対のアーム又は把持器と、から成っている。上側及び下側把持具122,124は、細長い針組立体110の針本体のシャフトの長手方向軸線から半径方向外方に付勢されている。
下側把持具124は、細長い針組立体110の針本体内に組み付けられる時、当該細長い針組立体110の針本体の尖った遠位部分115と固定された(一定の)軸方向整列状態(アライメント)をなして維持されている。その結果、上側及び下側把持具122,124は、尖った遠位端部分115を保護して患者に対する偶発的な針先端による外傷を生じさせないようにするための細長い針組立体110の尖った遠位端部分115に対する栓子として作用するようになっている。固定された軸方向整列状態は、図4及び図5に示されているように、把持組立体オーバーラップの外側の固定された(一定の)形状、例えば外側の長方形の形状、に対応するオーバーラップ128の内側の固定された(一定の)形状、例えば内側の長方形の形状と、ハンドル組立体150内の案内ボックス140のほぼ同じ形状、例えば長方形の形状と、の摺動締り嵌めの相互作用によって維持される。
次に、図4を参照すると、ハンドル組立体150は、細長い針組立体110の近位端部分(及び当該細長い針組立体110内のシャフト)に作動的に取り付けられた状態で示されている。これにより、細長い針組立体110の全体は、ハンドル組立体150とは独立して回転され得る。細長い針組立体110及び把持組立体120の回転を助けるために、回転ノブ134が設けられている。回転ノッチ152が、把持組立体120の回転を許容すると同時に、把持組立体120の伸長又は引っ込みを阻止する。使用時、回転ノブ134は、最高358°まで回転することができる。すなわち、回転ノブは、連続的には回転しないで、かかる回転は、双極性の針組立体110内の配線が絡み合ったり引っ掛かったりするのを阻止するよう制限されている。安全上の利点として、回転ノブ134は、可聴のクリック音を伴い、これにより、ユーザ(例えば、外科医)は、細長い針組立体110が回転していることに気付くようになっている。
針前進ノッチ154が、ロックノブ158、バネ138及びプランジャ140の組み合わせを介して細長い針組立体110の回転及び伸縮の両方を許容するべく、細長い針組立体110と接触関係をなして設けられている。作用を説明すると、ロックノブ158がロック解除位置に動かされ、アクチュエータハンドル130が後方への圧縮方向に動かされ、プランジャ140が針前進ノッチ154と相互作用してバネ138を圧縮し、それにより細長い針組立体110を前方方向に伸長させて上側及び下側把持具122,124に向けて動かし、それにより把持具が閉じる。バネ138は、細長い針組立体110を反作用位置に向けて付勢している。当該反作用位置では、上側把持具122と下側把持具124が閉じ、外科用器具100の操作中の偶発的な針先端による外傷を阻止するのに役立つ。
アクチュエータハンドル130が後方への圧縮方向に完全圧縮位置まで動かされると、針先端部又は尖った遠位端部分115は、患者体内への挿入のために露出されることが許容され、あるフラグがハンドル組立体150の外部で可視状態になり、尖った遠位端部分115が露出されていることをユーザ(例えば、外科医)に視覚的に警告する。さらに、アクチュエータハンドル130が後方への圧縮方向に動かされる時、タブ146が前方方向に動かされて、回転ノブ134、細長い針組立体110及び把持組立体120の回転を阻止する。当該回転を阻止することによって、ユーザによりアクチュエータハンドル130に加えられるトルクが、閉鎖位置にある上側及び下側把持具122,124に伝達され得る。
本発明の一実施形態では、ラチェット126が、セレクタスイッチによって選択的に動作可能にされ得る。動作可能な状態にされると、ラチェット126は、ユーザがアクチュエータハンドル130を所望の位置に動かすことを許容する。この位置は、ラチェット126が係合解除されるまで保持される。あるいは、セレクタスイッチが係合されない時、アクチュエータハンドル130は、ユーザにより望まれる動作範囲の全体にわたって自由に動くことができる。
本発明の一実施形態では、送り出しハンドル132が、使用前に所望の保管位置に外科用器具100を保管するために設けられている。さらに、送り出しハンドル132を用いると、針先端である尖った遠位端部分115を上側及び下側把持具122,124の先まで伸長させて保持することができ、患者の体内への外科用器具100の挿入を容易にすることができる。
次に、図5を参照すると、把持組立体120が示されている。例示の実施形態では、上側及び下側把持具122,124は、最初は、ロッド125,127とは別体に形成され、例えばエポキシ樹脂又は他の適当な取り付け手段のような何らかの手段によって互いに取り付けられている。別の実施形態では、上側及び下側把持具122,124は、一対の電気的に隔離された(絶縁された)導体として形成される。例えば、図6では、ロッド125は、上側把持具122を導体166に連結している。さらに、ロッド127は、下側把持具124を導体168に連結している。かかる実施形態では、プラスチックオーバーラップは、オーバーラップ162,164として示されているように、各把持具について別々であるのが良い。かくして、把持組立体120は、上側及び下側把持具122,124の使用により焼灼(cauterization)を可能にするような導電性である双極性である。別の実施形態では、把持具に代えて、他のエンドエフェクタ又は作業ツールを用いることができる。例えば、治療部位への単一の電気導体を提供するべく、上側及び下側把持具122,124に代えて、尖っていない(blunt)先端を用いることができる。
別の例示の実施形態では、把持組立体120は、一体形のロッドから形成されるのが良く、上側及び下側把持具122,124は、当該一体形ロッドからエッチングされ、一対の上側及び下側把持具122,124並びにシャフトは、一体形のシャフト素材から形成される。
理解できるように、切欠きに応じて、上側及び下側把持具122,124の任意の所望の形状が形成され用いられ得る。かかる把持具としては、例えば、外科用把持具、肺クランプ、及び、レトラクタが挙げられる。さらに、作業ツール組立体が把持組立体120であるならば、当該把持組立体は、ワニ口型ジョー、バブコップ型ジョー、クラッチ型ジョー、腸様型(bowel style)ジョー、及び、他の公知の変形例、の形状であり得る。
細長い針組立体110が双極性であれば、当該細長い針組立体は、手術のために通電される。典型的な電気外科治療器械は、組織を切断しながら、裂きながら、把持しながら、または、これに接触しながら、電気エネルギーにより生じる熱の利用によって当該組織を処置することができる。かかる器械は、治療、例えば切開や凝固等、を行うために用いられる。かかる手技中、器械ないし器具は、アクティブ状態にある電極、及び、イナクティブ状態すなわち中性の電極、を備え得る。手術時間全体にわたって単極性である場合、当該中性電極は、患者の皮膚の広い領域、例えば太腿又は上腕、に電気的に接続される。
外科用器具のインターフェースは、前記導体を外部の電気手術用発電器に接続するための電気コネクタを更に有するのが良い。電気エネルギーは、従来の電気手術用発電器によって外科用器械に供給され得る。ユーザ(例えば、外科医)は、当該電気手術用発電器に電気的に接続されたフットスイッチを介して、当該電気手術用発電器をアクティブな状態にすることができる。それにより、当該電気手術用発電器が電源コード及びコネクタを介して電気エネルギーを外科用器械に供給する。典型的には、高周波AC又はRF電流が用いられ得て、電圧は、所望の治療の形式及び程度に依存する。電圧は、或る場合には、最高では少なくとも12000ボルトまでの範囲にわたる場合があり、例えば凝固のためには約3000ボルトが典型的な値である。
図4及び図7に示されているように、本発明の器具は、上述したような電源に接続された、1つの接触ポスト136又は複数の接触ポスト136を有する。
本発明の器具は、主として針とジョーエンドエフェクタ付きロッドとからなる小径(約3mm以下、好ましくは2.3mm以下)のニードルスコピック(needlescopic)器具(細径器具)であるという利点を有する。当該針は、体腔に入る経皮能力を有し、かくして、トロカールを介する導入を必要としない。かくして、より小さな切開創箇所と場合によってはより少ない切開創とが手術の際に組み合わさって、患者に対する外傷が軽減される。
挿入針は、患者の体への、例えば腹腔内への、時間のかからない導入を許容すると共に、各手技の終了時における単一切開創の閉鎖(の必要性)をなくす。本発明の器具の極めてスリムな設計と切開創無しの導入可能性とが、患者の瘢痕化を軽減するのを助けることができる。
特に、本発明の器具は、バネ付勢されていて外側針の作動によって閉じられるエンドエフェクタを有する。かくして、本発明の器具のための追加の安全上の特徴が設けられる。例えば、エンドエフェクタ、例えば開いた状態のジョー、に沿っての針の閉鎖である。これは、開き状態のジョーを閉じ、組織を強制的に守る(secure)ための力を加える。さらに、ジョーが閉じられている時、患者に対する偶発的な針による外傷の発生が少ない。
本発明の別の利点は、針先端、例えば尖った遠位端部分115が作業ツール又はエンドエフェクタ、例えば把持組立体120、と常時回転整列状態にある、ということにある。かくして、外科医は、ハンドル組立体150及び外科用器具100全体を動かしている時、エンドエフェクタの回転整列状態が得られていることを確信する。
加うるに、本発明の器具のステンレス鋼の計装化(instrumentation)先端部及び安定化回動ディスクは、人間の組織及び器官を守ったりレトラクトしたり操作したりするために、最大の強度をもたらす。針組立体に取り付けられる選択されたエンドエフェクタに応じて、本発明の器具は、多種多様な腹腔鏡下手技における経皮接近のために使用できる。本発明の別の実施形態では、尖った遠位端部分115は、尖っていない(blunt)形状、斜切された(beveled)形状、又は、他の形状、であって良い。
本発明の更なる安全上の特徴は、ラチェット126が、作動中に可聴且つ触知可能なクリック感を有することである。ラチェット126は、把持具122,124の閉鎖ストローク全体にわたって、最低でも例えば約3個〜約10個の範囲のロック位置を有するのが良い。最終ラチェット126の位置は、完全に閉鎖した把持組立体120が尖った遠位端部分115と重なり合う状態に対応し得る。本発明の一実施形態では、ラチェットスイッチが、ラチェット126が作動されたりラチェット126を離脱させるべく作動解除されることを許容して、ユーザによるアクチュエータハンドル130の手動の解放時に、把持組立体120又は他のエンドエフェクタを有する任意の他の組立体の自由開放を許容する。当該ラチェットスイッチは、ハンドル組立体150の両側部上に位置するのが良く、この場合、ユーザの親指でラチェットスイッチを作動させることができる。本発明の一実施形態では、ラチェットスイッチの上スイッチ位置が、ラチェットモードに対応し、下スイッチ位置が、自由モードに対応する。ラチェットバネが、ラチェットスイッチを、その最終ラチェット位置か自由位置かのいずれかに駆動し、それによりラチェットスイッチが中間位置に留まるのを阻止する。かかるラチェットスイッチ作動は、ユーザにとっての更なる安全上の特徴としての、可聴且つ触知可能なクリック感を有するのが良い。本発明の一実施形態では、一時的ラチェット解除トリガがアクチュエータハンドル130の前方に位置し得て、ユーザの人差し指で作動され得る。かかる一時的解除トリガにより、器具がラチェット126モードにある使用時に解除トリガを引くことで、ラチェット126を解除することができる。かかる実施形態は、スプリングリターンを有するのが良く、一時的解除トリガが解除されたときにラチェット126を再び係合させるのが良い。
更なる利点は、腹部手術中に腹部内圧力が保持されることである。また、本発明の器具は、手術中における使用の際、ガス注入圧力を損なうことが無いセルフシール性であるのが良い。最後に、使用の際の外科医にとっては、本発明の器具の保持及び回動ディスクを介して、従来分からなかった導入深さの制御が可能である。
以下の利益、構造、及び利点、即ち、手術時間の短縮並びにその結果としての患者に対する外傷の軽減及び場合によっては瘢痕化の減少、ロック状態の回転ハブ及び複数のタイプのエンドエフェクタを介するユーザによる器具の容易な取り扱い、及び、その他の利益、もまた本発明によって想定される。
本発明の方法及びシステムは、上述されると共に図面に示されたように、組み立て、使用及び操作が容易であることを含む優れた特性を備えた低侵襲外科用組立体を提供する。本発明の器械及び方法は、好ましい実施形態により図示されると共に説明されたが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、かかる実施形態に対して変更及び/又は改造がなされ得る。
100 外科用器具
110 細長い針組立体
115 尖った遠位端部分
120 把持組立体
122 上側把持具
124 下側把持具
125 ロッド
126 ラチェット
127 ロッド
128 オーバーラップ(overwrap)
130 アクチュエータハンドル
132 送り出しハンドル
134 回転ノブ
136 接触ポスト
138 バネ
140 プランジャ
142 案内ボックス
146 タブ
150 ハンドル組立体
152 回転ノッチ
154 針前進ノッチ
158 ロックノブ
162 オーバーラップ
164 オーバーラップ
166 導体
168 導体

Claims (10)

  1. 外科用器具であって、
    a)当該針本体を長手方向に貫通する内部ルーメンを規定する細長い針本体を備え、当該針本体は、尖った遠位端部分を有し、
    b)前記針本体の前記内部ルーメンと作動的に関連付けられた組立体を備え、当該組立体は、
    i)前記針本体の前記内部ルーメンの内面に対応する外面輪郭を有するシャフトと、
    ii)前記シャフトから遠位方向に延びると共に前記シャフトの長手方向軸線から半径方向外方に付勢された一対のアームと、
    を含み、
    前記一対のアームのうちの少なくとも一方は、前記針本体の前記尖った遠位端部分を超えて軸方向に延びるように動作可能であり、当該少なくとも一方のアームは、前記針本体を保護して偶発的な針先端による外傷を生じさせないようにするべく前記針本体の前記尖った遠位端部分に対する栓子として作用するようになっており、
    c)ハンドル部分であって、前記細長い針本体と前記シャフトの両方の近位端部分が当該ハンドル部分内において回動可能に支持されている、というハンドル部分を備え、
    前記ハンドル部分は、更に、前記細長い針本体を前記一対のアーム及び前記シャフト上でこれに沿って前進させたり引っ込めたりするように構成されており、
    前記細長い針本体は、当該針本体を更に保護して偶発的な針による外傷を生じさせないよう引っ込み位置に向かって付勢されており、
    前記シャフトは、一対の分離したロッドを有しており、
    前記一対のロッドは、互いに電気的に絶縁された導電体として形成されており、
    前記一対のアームは、互いに電気的に絶縁された導電体として形成されており、
    前記一対のアームの各々は、前記一対のロッドの各々の遠位端部分に電気的に接続されている、外科用器具。
  2. 前記一対のアームと前記一対のロッドとは、同一の素材から作られている、請求項1記載の外科用器具。
  3. 前記ハンドル部分は、前記一対のアームが前記細長い針本体の伸長によって閉鎖位置に向かって位置決めされる時、当該ハンドル部分に対する前記細長い針本体及び前記組立体の回転を阻止する、というように構成されている、請求項1記載の外科用器具。
  4. 前記ハンドル部分は、選択的に動作可能とされるラチェット機構体を更に有する、請求項1記載の外科用器具。
  5. 前記ハンドル部分は、針アーム表示を更に有する、請求項1記載の外科用器具。
  6. 通電可能な弾性ワイヤを更に有する、請求項1記載の外科用器具。
  7. 前記組立体に対する前記細長い針本体の作業範囲を定める安全機構体を更に有し、
    前記一対のアームは、前記作業範囲内において、前記針本体の前記尖った遠位端部分を超えて延びることができ、
    前記安全機構体は、前記尖った遠位端部分が前記一対のアームを越えて延びるのを防ぐ停止部を含む、請求項1記載の外科用器具。
  8. 前記アームは、外科用把持器として構成されている、請求項1記載の外科用器具。
  9. 前記アームは、肺クランプ(lung clamp)として構成されている、請求項1記載の外科用器具。
  10. 前記アームは、レトラクタ(retractor)として構成されている、請求項1記載の外科用器具。
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