JP6199577B2 - 皮膚機能判定マーカー、皮膚機能判定方法、及び経口皮膚機能改善剤の探索方法 - Google Patents

皮膚機能判定マーカー、皮膚機能判定方法、及び経口皮膚機能改善剤の探索方法 Download PDF

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Description

本発明は、皮膚バリア機能、皮膚保湿機能等の皮膚機能を判定するためのマーカー、ならびに当該マーカーを用いた皮膚機能の判定方法及び経口皮膚機能改善剤の探索方法に関する。
皮膚は、生体の最外層を覆い、外界との境界を形成して外界物質の侵入防止、水分蒸散防止などの生命維持に必須なバリア機能を担っている。皮膚のバリア機能が紫外線、界面活性剤、乾燥、機械的刺激、活性酸素、水道水中の残留塩素等により損なわれると、乾燥肌、アトピー性皮膚炎、肌あれ等を誘発することが知られている。
従来、皮膚のバリア機能や保湿機能を改善する手段としては、油分や保湿成分を含むローションやクリーム等の経皮投与が一般的である。さらに近年では、経口製剤の摂取を介して体液の成分を制御することにより、皮膚機能を調整する試みが行われている。特許文献1には、コール酸等の胆汁酸又はその塩からなる津液改善剤を含有する経口投与用組成物が、美肌作用、アトピー性皮膚炎治療作用、皮膚炎群治療作用を奏することが記載されている。また非特許文献1、及び特許文献2〜3には、セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン、又はコンドロイチン硫酸の経口摂取により、皮膚の保湿機能が改善されることが記載されている。
アポリポタンパク質CI(以下、apoCI)は、血中でリポタンパク質を構成するタンパク質として知られている。apoCI過剰発現マウスでは、血中の総コレステロール、トリグリセリド、遊離脂肪酸の値が上昇することが知られている(非特許文献2)。他方、apoCIが皮膚で局所的に過剰発現する場合、皮膚異常、経皮水分蒸散量(TEWL)の上昇、アトピー性皮膚炎様症状が起こることが報告されている(非特許文献3〜5)。しかし、血中のapoCI濃度と皮膚機能とを結びつける試みは、これまで行われていなかった。
特開平10−114665号公報 特開2002−356432号公報 特開2009−073775号公報
Fragrance Journal 123(1), 81(1995) J. Clin. Invest., 101(1), 145-152 (1998) J. Lipid Res., 48, 1353-1361 (2007) J. Invest. Dermatol., 128(5), 1165-1172 (2008) B. J. Dermatol., 160, 54-61 (2009)
本発明は、皮膚バリア機能、皮膚保湿機能等の皮膚機能を判定するためのマーカー、ならびに当該マーカーを用いた皮膚機能の判定方法に関する。また本発明は、経口摂取することにより皮膚バリア機能、皮膚保湿機能等を改善することができる経口皮膚機能改善剤を探索する方法に関する。
本発明者らは、皮膚バリア機能、皮膚保湿機能等の皮膚機能と、各種血中タンパク質濃度との関係を調べ、血中のapoCIの濃度が皮膚機能に影響していることを見出した。
すなわち本発明は、以下:
試験物質を経口投与された被験動物から採取された血中におけるapoCI濃度を測定すること;及び、
当該試験物質による血中のapoCI濃度の低下作用を評価すること、
を含む経口皮膚機能改善剤の探索方法を提供する。
また本発明は、個体から採取された血液由来のapoCIの皮膚機能判定マーカーとしての使用を提供する。
また本発明は、血液由来のapoCIを含む皮膚機能判定マーカーを提供する。
また本発明は、個体から採取された血中におけるapoCI濃度を測定することを特徴とする、皮膚機能が高い又は低い個体から採取された血液の判定方法を提供する。
本発明のマーカーは、皮膚バリア機能、皮膚保湿機能等の皮膚機能の判定に有用である。また本発明のマーカーは、経口投与により皮膚バリア機能、皮膚保湿機能等の皮膚機能を改善することができる物質の探索に有用である。
皮膚低バリア群と高バリア群における経皮水分蒸散量(TEWL)値(A)、及び血中のapoCI濃度(B)。*:p<0.05、***:p<0.001。 試験物質投与群における血中の相対apoCI濃度。 デオキシコール酸ナトリウム投与マウスにおける経皮水分蒸散量(TEWL)値(A)、及び血中の相対apoCI濃度(B)。**:p<0.01。
〔定義〕
本明細書において、疾患、症状又は状態の「改善」とは、疾患、症状又は状態の好転、疾患、症状又は状態の悪化の防止又は遅延、疾患、症状又は状態の進行の防止又は遅延、あるいは疾患、症状又は状態からの回復をいう。
本明細書において、「予防」とは、個体における疾患、症状又は状態の発症の防止又は遅延、あるいは個体の疾患、症状又は状態の発症の危険性を低下させることをいう。
本明細書において、「皮膚機能の向上」及び「皮膚機能の低下」とは、それぞれ、皮膚の保湿機能、皮膚のバリア機能及び表皮の免疫機能を含む各種皮膚機能の向上及び低下をいう。また本明細書における「皮膚機能の向上」及び「皮膚機能の低下」には、それぞれ、各種の皮膚の疾患や状態が改善すること及び悪化することが包含される。より具体的な例において、皮膚の水分保持量が増加すること又は経皮水分蒸散量が減少することは、本明細書における「皮膚機能の向上」の一例であり、一方、皮膚の水分保持量が減少すること又は経皮水分蒸散量が増加することは、本明細書における「皮膚機能の低下」の一例である。
本明細書において、データ又は測定値等に関する「評価」とは、当該データ又は測定値を、所定の目的に応じて分析することをいう。より詳細には、あるサンプル(群)から集められたデータ又は測定値について、当該サンプル(群)が特定の性状、動向、傾向を有するか否かの結論又は判定結果を得るために必要な情報を取得することであり得る。
本明細書において、「判定」とは、あるサンプル(群)に関する情報に基づいて、当該サンプル(群)が特定の性状、動向、傾向を有するか否かの結論を得ることであり得る。例えば、「判定」とは、あるサンプル(群)に関して、上述した「評価」工程により取得された情報に基づいて、当該サンプル(群)が特定の性状、動向、傾向等を有しているか否かの予備的又は最終的な結論を下すことであり得る。
ある場合には、「判定」工程は「評価」工程と組み合わせて行われるか、又は「判定」工程の中に「評価」工程が含まれている。そのような場合、サンプル(群)から集められたデータ又は測定値を目的に応じて分析することと、それにより得られた情報に基づいて当該サンプル(群)の特定の性状、動向、傾向に関する結論を得ることとが一連の工程として行われる。但し、この一連の工程とは、「評価」と「判定」とが、必ずしもこの順序で連続的且つ直列的に行われる場合だけでなく、「評価」と「判定」の間に時間があり、両工程が断続的に行われる場合や、「判定」の後に再度「評価」を行い、それに基づいて再度「判定」を行う場合を包含する。またある場合には、「評価」工程の一部に「判定」工程が含まれていることがある。そのような場合、「評価」の過程で予備的な判定を行うことによって、最終的に目的とする「判定」に必要な情報が取得される。
例えば、本明細書において「皮膚機能の評価」とは、個体の皮膚機能の状態を判定するために必要な情報を取得することであり得る。皮膚機能の評価は、当該皮膚機能を反映する種々の指標を調べることによって間接的に行うことができる。そのような指標の一例としては、皮膚のバリア機能や保湿機能の指標である経皮水分蒸散量(TEWL)値を挙げることができる(HY. Jeon, JK Kim, WG Kim SJ Lee, Skin Pharmacol Physiol 2009, 22: 137-141)。TEWL値が高い場合は、皮膚がバリア機能を失い、水分量が減少していることを表し、逆にTEWL値が低い場合は、皮膚が高いバリア機能を保持し、保湿機能が向上していることを表す。したがって、当該「皮膚機能の評価」の例は、個体のTEWL値の高さについての情報を得ることであり得る。より詳細には、個体のTEWL値を測定し、測定された当該個体のTEWL値が、予め設定されているか、又は並行して若しくは別途に測定された基準値に対して高いか低いかを調べる。当該基準値との比較により、当該個体のTEWL値が基準値と比べて低い、高い、又は同等などの情報を取得することができる。
上記評価により取得された情報に基づいて、皮膚機能の状態を「判定」することができる。本明細書において、「皮膚機能の状態の判定」とは、上記「皮膚機能の評価」で得た情報に基づいて、個体の皮膚機能が特定の状態、動向、傾向を有するか否かの結論を得ることであり得る。例えば、上記評価により得られたTEWL値の情報に基づいて皮膚のバリア機能や保湿機能を判定する場合、上記個体のTEWL値が参照値や対照値と比べて統計学的に有意に低ければ、当該個体の皮膚のバリア機能や保湿機能は高いと判定することができる。逆に、上記個体のTEWL値が参照値や対照値と比べて統計学的に有意に高ければ、当該個体の皮膚のバリア機能や保湿機能は低いと判定することができる。さらに、皮膚のバリア機能や保湿機能の状態は、種々の皮膚機能の状態、例えば、表皮の免疫機能、肌荒れの状態、皮膚老化の状態、皮膚劣化の状態、アトピー性皮膚炎の状態、及び表皮の免疫機能の低下に起因する各種疾患の状態、などを反映する指標となり得る。したがって、上記評価により得られたTEWL値の情報に基づいて、さらに、表皮の免疫機能の状態の良さ又は悪さ、肌荒れの状態の良さ又は悪さ、皮膚老化の状態の良さ又は悪さ、皮膚劣化の状態の良さ又は悪さ、アトピー性皮膚炎の状態の良さ又は悪さ、及び表皮の免疫機能の低下に起因する各種疾患の状態の良さ又は悪さ、などを判定することも可能である。
本明細書において、物質の「探索」とは、所与の物質の集団から、所望の性質を有する物質又は所望の性質を有すると期待される物質を選択する目的で、当該所与の物質の集団を当該所望の性質に関して分析することをいう。例えば、本明細書における、物質の「探索方法」には、所与の物質の集団から所望の性質を有すると期待される一群をふるい分ける又は絞り込むことを目的として、当該所与の物質の集団を分析する方法、及び、所与の物質の集団から所望の性質を有する1つ又は少数の物質を選択することを目的として、当該所与の物質の集団を分析する方法が含まれる。当該探索において、所与の物質の集団の所望の性質に関する分析は、上述した評価や判定の工程に基づいて行うことができる。例えば、所望の性質を有する物質を探索する場合、所与の物質の集団を、まとめて又は個別に、当該所望の性質に関して評価するか、又はさらに当該所望の性質を有するか否かについて判定する。この評価で得た情報又は判定の結果は、当該所望の性質を有する物質の選択、又は所望の性質を有すると期待される物質の選択のために利用される。あるいは、所望の性質を有する物質を探索する場合、所与の物質の集団を、まとめて又は個別に、当該所望の性質に関して評価し、又はさらに当該所望の性質を有する可能性が高いか否かを判定する。さらに、この評価で得た情報又は判定の結果に基づいて、当該所望の性質を有する可能性が高いと判定された物質を、所望の性質を有すると期待される候補物質として絞り込むことができる。必要に応じて、絞り込まれた候補物質についてさらに厳しい基準で評価又は判定を行い、その中から所望の性質を有する物質を選択してもよい。さらに、このような絞り込み及び選択の工程を繰り返してもよい。
上記探索に供される所与の物質の集団としては、天然に存在する無機物、有機物、タンパク質、核酸、若しくは植物、動物、菌類、細菌類等に含まれる任意の他の化合物、又はそれらの組成物若しくは混合物の集団、化学的又は生物学的方法で人工的に合成した化合物、組成物若しくは混合物の集団、天然物質や薬物候補物質のライブラリ、あるいはそれらの組み合わせ、などであり得るが、これらに限定されず、任意の物質の集合を採用することができる。よって、本明細書における「探索」に供されて選択される物質は、上記集団を構成する。
〔皮膚機能の判定方法〕
本発明者らは、個体の皮膚機能が血中apoCI濃度に反映されていることを見出した。図1に示すように、TEWL値が高い群では血中apoCI濃度も高く、一方TEWL値が低い群では血中apoCI濃度も低い。TEWL値が低い群から測定した血中apoCI濃度は、TEWL値が高い群から測定した血中apoCI濃度と比べて有意に低い。また図3に示すように、個体の血中apoCI濃度が低下した場合、TEWL値もまた低下する。このように、個体の血中におけるapoCI濃度は、上述した皮膚機能の指標であるTEWL値と並行的に増減している。したがって、血中apoCI濃度は、TEWL値と同様に、皮膚のバリア機能や保湿機能を反映する指標となり得、ひいては、TEWL値と同様に、表皮の免疫機能、肌荒れの状態、皮膚老化の状態、皮膚劣化の状態、アトピー性皮膚炎の状態、表皮の免疫機能の低下に起因する各種疾患の状態、などの各種皮膚機能を反映する指標にもなり得る。したがって、血中apoCI濃度に基づいて皮膚機能に関する各種判定を行うことができる。例えば、血中apoCI濃度に基づいて、皮膚保湿機能や皮膚バリア機能の高さの高さ、又はそれらの機能が向上若しくは低下しているか否かを判定することができ、さらには、表皮の免疫機能の高さ又はそれらの機能が向上若しくは低下しているか否か、乾燥や化学物質による肌荒れの有無又はその悪化若しくは改善、皮膚老化の有無又はその悪化若しくは改善、皮膚劣化の有無又はその悪化若しくは改善、アトピー性皮膚炎の有無又はその悪化若しくは改善、あるいは表皮の免疫機能の低下に起因する各種疾患の有無又はその悪化若しくは改善、などを判定することも可能になる。
したがって、本発明は、個体の血中apoCI濃度を測定することを特徴とする、当該個体の皮膚機能を判定する方法を提供する。当該方法において判定される皮膚機能としては、皮膚のバリア機能及び皮膚の保湿機能が挙げられ、さらなる例としては、表皮の免疫機能、乾燥や化学物質等による肌荒れの状態、皮膚老化の状態、皮膚劣化の状態、アトピー性皮膚炎の状態、及び表皮の免疫機能の低下に起因する各種疾患の状態、などが挙げられる。当該本発明の方法においては、個体から採取された血液中におけるapoCI濃度を測定する。上記個体は、哺乳動物であればよいが、ヒトが好ましい。血液中のapoCI濃度は、個体から採取された全血中、又は採取された血液から調製された血清若しくは血漿中、又は当該全血、血清若しくは血漿からさらに精製若しくは単離された検体中のapoCI濃度を測定することで得ることができる。個体からの採血方法、血液からの血清又は血漿の分離方法は、通常の手順に従って行えばよい。例えば、血中のapoCI濃度の測定は、ELISA、ウェスタンブロッティング、トリプル四重極型質量分析装置を用いたSRM(Selected Reaction Monitoring)分析等の方法によって行うことができる。
上記本発明の皮膚機能を判定する方法の一実施形態は、皮膚機能が高い又は低い個体の判定方法である。当該方法は、個体から採取された血中におけるapoCI濃度を測定すること、当該測定値に基づいて皮膚機能を評価すること、及び、当該評価に基づき、当該個体の皮膚機能が高い又は低いかを判定すること、を包含する。個体の種類及び血中apoCI濃度の測定の手順は、上述したとおりである。
上記皮膚機能が高い又は低い個体の判定方法の一実施形態において、皮膚機能の評価は、測定された個体の血中apoCI濃度が参照値と比べて高いか低いかの情報を得ることである。参照値は、無作為に選出した集団からの測定値の平均値、皮膚機能に異常がある集団からの測定値の平均値、皮膚機能に異常が確認されていない集団からの測定値の平均値、などであり得る。例えば、測定された個体の血中apoCI濃度が、予め設定された参照値に対して高いか低いかを調べる。当該参照値との比較により、当該個体の血中apoCI濃度が当該参照値と比べて低い、高い、又は同等などの情報を取得する。個体の血中apoCI濃度と参照値との比較は、好ましくは統計学的に行われる。次いで、上記評価により取得された情報は、個体の皮膚機能が高い又は低いかを判定するために用いられる。一実施形態においては、個体の血中apoCI濃度が参照値(皮膚機能に異常が確認されていない集団からの測定値の平均値)と比べて同等または相対的に低い場合、当該個体の皮膚機能は高いと判定され、一方、個体の血中apoCI濃度が当該参照値と比べて相対的に高い場合、当該個体の皮膚機能は低いと判定される。別の実施形態においては、個体の血中apoCI濃度が参照値(皮膚機能に異常がある集団からの測定値の平均値)と比べて相対的に低い場合、当該個体の皮膚機能は高いと判定され、一方、個体の血中apoCI濃度が当該参照値と比べて同等又は相対的に高い場合、当該個体の皮膚機能は低いと判定される。
別の実施形態において、皮膚機能の評価は、個体の血中apoCI濃度の経時的変化についての情報を得ることである。この場合、同じ個体から血液サンプルを継続的に採取し、その各々について血中apoCI濃度を測定し、測定された血中apoCI濃度の経時的データを得る。さらに、この経時的データをもとに、当該個体の血中apoCI濃度が以前と比べて上昇した、低下した、又は同等などの情報を取得することができる。個体の血中apoCI濃度の経時比較は、好ましくは統計学的に行われる。次いで、上記評価により取得された情報は、個体の皮膚機能が高い又は低いかを判定するために用いられる。個体の血中apoCI濃度が経時的に低下している場合、当該個体の皮膚機能は向上していると判定され、一方、個体の血中apoCI濃度が経時的に上昇している場合、当該個体の皮膚機能は低下していると判定される。
上記本発明の皮膚機能を判定する方法の別の実施形態は、皮膚機能が高い又は低い個体から採取された血液の判定方法である。当該方法は、個体から採取された血液中におけるapoCI濃度を測定すること、当該測定値に基づいて皮膚機能を評価すること、及び、当該評価に基づき、当該血液を、皮膚機能が高い個体から採取されたものであるか、又は皮膚機能が低い個体から採取されたものであると判定すること、を包含する。個体の種類、血中apoCI濃度の測定の手順、及び皮膚機能の評価の手順は、上述したとおりである。次いで、当該評価により取得された情報に基づいて、血液の由来を判定する。一実施形態においては、血液中のapoCI濃度が参照値(皮膚機能に異常が確認されていない集団からの測定値の平均値)と比べて同等または相対的に低い場合、その血液は、皮膚機能が高い個体から採取されたものであると判定され、一方、血液中のapoCI濃度が当該参照値と比べて相対的に高い場合、その血液は、皮膚機能が低い個体から採取されたものであると判定される。別の実施形態においては、血液中のapoCI濃度が参照値(皮膚機能に異常がある集団からの測定値の平均値)と比べて相対的に低い場合、その血液は、皮膚機能が高い個体から採取されたものであると判定され、一方、血液中のapoCI濃度が当該参照値と比べて同等又は相対的に高い場合、その血液は、皮膚機能が低い個体から採取されたものであると判定される。さらに別の実施形態においては、同じ個体から採取された血液中のapoCI濃度が経時的に低下している場合、その血液は、皮膚機能が向上している個体から採取されたものと判定され、一方、同じ個体から採取された血液中のapoCI濃度が経時的に上昇している場合、その血液は、皮膚機能が低下している個体から採取されたものと判定される。
〔皮膚機能改善剤の探索方法〕
図3に示すように、個体の血中apoCI濃度が低下した場合にはTEWL値もまた低下することから、血中apoCI濃度を低下させる作用を有する物質であれば、皮膚機能を改善することができることが分かる。よって、血中apoCIの濃度を低下させることができる物質は、皮膚機能改善剤として有用である。
したがって、本発明はまた、個体の血中apoCI濃度を測定することを特徴とする、経口皮膚機能改善剤の探索方法を提供する。本発明の経口皮膚機能改善剤の探索方法は、好ましくは、試験物質を経口投与された被験動物から採取された血中におけるapoCI濃度を測定すること、及び、当該試験物質による血中のapoCI濃度の低下作用を評価することを包含する。
上記本発明の探索方法に用いられる被験動物としては、哺乳動物であれば特に限定されないが、例えばマウス、ラット、ヒトが挙げられる。当該被験動物には、予め試験物質を経口投与する。試験物質は、経口投与することができ、且つ皮膚機能改善剤として使用することを所望する物質であれば、特に制限されない。試験物質としては、天然に存在する物質であっても、化学的又は生物学的方法等で人工的に合成した物質であってもよく、また化合物であっても、組成物又は混合物であってもよい。例えば、試験物質としては、天然に存在する無機物、有機物、タンパク質、核酸、及び植物、動物、菌類、細菌類等に含まれる任意の他の化合物、ならびにそれらの組成物及び混合物、化学的又は生物学的方法で人工的に合成した化合物、組成物及び混合物、天然物質や薬物候補物質のライブラリから選ばれたもの、などが挙げられる。上記被験動物への試験物質の経口投与は、任意の量、回数、間隔、及び期間で行うことができる。例えば、試験物質は単回投与されても複数回投与されてもよい。複数回投与の場合、試験物質は、例えば、1週間に1回、3日に1回、2日に1回、1日1回、1日2回、1日3回又はそれ以上の間隔で、数時間から数か月までの間の任意の期間で投与することができる。
次いで、試験物質を経口投与した被験動物から採血して、全血、血清又は血漿等のサンプルを調製し、続いて得られたサンプル中のapoCI濃度を測定する。採血は、単回又は複数回の一連の経口投与が終了した後に行うことが好ましいが、該一連の経口投与を行いながら、それと並行して経時的に採血を行ってもよい。採血、採取した血液からの血清又は血漿の調製、及びapoCI濃度の測定手順は、上記〔皮膚機能の判定方法〕の項で上述したとおりである。
次いで、測定された血中apoCI濃度に基づいて、試験物質による血中apoCI濃度の低下作用を評価する。上記本発明の探索方法における「試験物質による血中apoCI濃度の低下作用の評価」とは、当該試験物質を適用された個体より採取された血液中のapoCI濃度が、試験物質により低下したか否かの結論を得るために必要な情報を取得することであり得る。
本発明の探索方法の一実施形態において、試験物質による血中のapoCI濃度の低下作用の評価は、試験物質を経口投与された個体より採取された血液(試験群)について測定された血中apoCI濃度が、対照群について測定された血中apoCI濃度と比べて高いか低いかについての情報を得ることである。対照群としては、当該試験物質を経口投与されていない個体より採取された血液、より高濃度又は低濃度の当該試験物質を経口投与された個体より採取された血液、当該試験物質とは別の血中apoCI濃度に影響を与えない物質(対照物質)を経口投与された個体より採取された血液、当該試験物質を経口投与される前の個体より採取された血液などが挙げられるが、これらに限定されない。対照群との比較により、試験群の値が対照群の値と比べて低い、高い、又は同等などの情報を取得することができる。試験群と対照群との比較は、好ましくは統計学的に行われる。より具体的な例においては、試験物質を経口投与されていない個体より採取された血液(対照群)でのapoCI濃度に対して、試験物質を経口投与された個体より採取された血液(試験群)でのapoCI濃度が統計学的に有意に低下したか否かを調べる。別の具体的な例においては、試験物質を経口投与する前の個体より採取された血液(対照群)に対して、試験物質を経口投与された同じ個体より採取された血液(試験群)でのapoCI濃度が統計学的に有意に低下したか否かを調べる。さらに別の具体的な例においては、対照物質を経口投与した個体より採取された血液(対照群)でのapoCI濃度に対して、試験物質を経口投与された個体より採取された血液(試験群)でのapoCI濃度が統計学的に有意に低下したか否かを調べる。なお別の具体的な例においては、所定濃度の試験物質を経口投与された個体より採取された血液(試験群)と、同じ試験物質をより低濃度または高濃度で経口投与された個体より採取された血液(対照群)との間で、血中apoCI濃度を比較して、当該所定濃度の投与により血中apoCI濃度が統計学的に有意に低下したか否かを調べる。なお別の具体的な例においては、種々の異なる用量の試験物質を経口投与された個体より採取された血液の間で血中apoCI濃度を比較して、試験物質の用量に依存して血中apoCI濃度が低下したか否かを調べる。
必要に応じてさらに、上記評価により取得された情報に基づいて、試験物質により血中のapoCI濃度が低下したか否かを判定してもよい。例えば、試験群での血中apoCI濃度が対照群での値と比べて統計学的に有意に低ければ、試験物質により血中のapoCI濃度が低下したと判定する。あるいは、試験群での血中apoCI濃度が対照群での値に対して統計学的な有意差がないか、又は対照群での値と比べて統計学的に有意に高ければ、試験物質により血中のapoCI濃度が低下していないと判定する。これによって、試験物質が血中apoCI濃度を低下させる作用を有するか否かについての情報を取得することができる。
本発明の探索方法の別の実施形態において、試験物質による血中のapoCI濃度の低下作用の評価は、試験物質を経口投与された個体より採取された血液(試験群)について測定された血中apoCI濃度が、対照群から測定された血中apoCI濃度に対してどの程度低下したかの情報を得ることである。比較対象となる対照群は、上述のとおりである。試験群と対照群の血中apoCI濃度を対比して、対照群の濃度に対して試験群の濃度がどの程度低下したかを算出する。例えば、試験群での濃度が、対照群での濃度を100%としたときに何%であるかを求める。より具体的な例においては、試験物質を経口投与されていない個体より採取された血液(対照群)でのapoCI濃度を100%としたときに、試験物質を経口投与された個体より採取された血液(試験群)でのapoCI濃度が何%であるかを求める。別の具体的な例においては、試験物質を経口投与する前の個体より採取された血液(対照群)でのapoCI濃度を100%としたときに、試験物質を経口投与された同じ個体より採取された血液(試験群)でのapoCI濃度が何%であるかを求める。さらに別の具体的な例においては、血中apoCI濃度に影響を与えない物質(対照物質)を経口投与した個体より採取された血液(対照群)でのapoCI濃度を100%としたときに、試験物質を経口投与された個体より採取された血液(試験群)でのapoCI濃度が何%であるかを求める。
好ましくは、本発明の経口皮膚機能改善剤の探索方法はさらに、上記試験物質による血中のapoCI濃度の低下作用の評価で得た情報に基づいて、当該試験物質が皮膚機能改善効果を有するか否かを判定することを包含する。一実施形態において、上記評価工程で、試験群での血中apoCI濃度が対照群に対して有意に低いという結果が得られていれば、当該試験群に投与された試験物質は、皮膚機能改善効果を有すると判定される。別の実施形態において、上記評価工程で、血中apoCI濃度を低下させる作用を有するとされた試験物質は、皮膚機能改善効果を有すると判定される。また別の実施形態において、上記評価工程で、試験群での血中apoCI濃度が対照群の90%以下、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下であれば、当該試験群に投与された試験物質は、皮膚機能改善効果を有すると判定される。
また好ましくは、本発明の経口皮膚機能改善剤の探索方法はさらに、上記判定工程にて皮膚機能改善効果を有すると判定された試験物質を、経口皮膚機能改善剤として選択することを包含する。当該経口皮膚機能改善剤は、個体に経口投与又は摂取されることによって、当該個体の血中apoCI濃度を低下させ、またその低下作用によって、当該個体の皮膚のバリア機能や保湿機能等の皮膚機能を改善し、乾燥や化学物質等による肌荒れや、皮膚老化、皮膚劣化等を予防及び/又は改善することができる。また当該経口皮膚機能改善剤は、個体の血中apoCI濃度を低下させる作用によって、当該個体の表皮の免疫機能を向上させ、アトピー性皮膚炎や、表皮の免疫機能の低下に起因する各種疾患を予防及び/又は改善することができる。
上記本発明の探索方法により得られた当該経口皮膚機能改善剤は、皮膚のバリア機能や保湿機能等の皮膚機能を改善し、乾燥や化学物質等による肌荒れや、皮膚老化、皮膚劣化等を予防及び/又は改善するための、あるいは、表皮の免疫機能を向上させ、アトピー性皮膚炎や、表皮の免疫機能の低下に起因する各種疾患を予防及び/又は改善するための、経口製剤、例えば、医薬品、医薬部外品、飲食品、飼料等の製造に使用することができる。
〔皮膚機能判定マーカー〕
上記で述べてきたとおり、血中apoCI濃度は、その血液が採取された個体の皮膚機能を反映している。血中apoCI濃度は、皮膚機能の高い又は低い個体の判定や、個体の皮膚機能が向上しているか又は低下しているかの判定において、皮膚機能の高さの指標として用いることができる。また血中apoCI濃度は、皮膚機能改善剤の探索においても、試験物質による皮膚機能の変化を判定する際に、皮膚機能の高さの指標として用いることができる。血中apoCI濃度は、個体から採取された全血、採取された血液から調製された血清若しくは血漿、又は当該全血、血清若しくは血漿から精製若しくは単離された検体等の血液由来の検体を用いて測定することができる。これらの検体で測定されたapoCI濃度は、いずれも、皮膚機能の高さの指標となる。
このように、個体から採取された血液由来のapoCIは、各種皮膚機能を反映する指標として、皮膚機能を判定するために用いることができる。したがって、本発明はまた、個体から採取された血液由来のapoCIを含む皮膚機能判定マーカーを提供する。当該血液由来のapoCIとしては、個体から採取された全血、血清、若しくは血漿、又はそれらから精製若しくは単離された検体から測定されたapoCIを挙げることができる。また、当該皮膚機能としては、皮膚のバリア機能及び皮膚の保湿機能が挙げられ、さらなる例としては、表皮の免疫機能、肌荒れの状態、皮膚老化の状態、皮膚劣化の状態、アトピー性皮膚炎の状態、表皮の免疫機能の低下に起因する各種疾患の状態、などを挙げることができる。本発明の皮膚機能判定マーカーは、血液由来のapoCIからなるものであってもよいが、当該apoCIを蛍光標識や色素標識などで標識したものであってもよい。当該標識apoCIは、例えば、既知濃度のapoCIを含む試薬として提供され、試験個体のapoCI濃度を測定する際に、濃度校正のための標準として使用することができる。
〔さらなる実施形態〕
本発明の例示的実施形態として、さらに以下の組成物、製造方法、用途、又は方法を本明細書に開示する。但し、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
<1>以下を含む経口皮膚機能改善剤の探索方法:
試験物質を経口投与された被験動物から採取された血中におけるapoCI濃度を測定すること;及び、
当該試験物質による血中のapoCI濃度の低下作用を評価すること。
<2>試験物質を経口投与されていない被験動物の血中のapoCI濃度を測定することをさらに含む<1>記載の方法。
<3>対照物質を経口投与された被験動物の血中のapoCI濃度を測定することをさらに含む<1>記載の方法。
<4>試験物質の経口投与前に被験動物の血中のapoCI濃度を測定することを含む<1>記載の方法。
<5>試験物質投与により血中のapoCI濃度が低下した場合に、当該試験物質を経口皮膚機能改善剤として選択することを含む<1>〜<4>のいずれか1に記載の方法。
<6>試験物質投与動物における血中のapoCI濃度が、試験物質投与前の動物、試験物質非投与動物、又は対照物質投与動物での血中のapoCI濃度と比較して90%以下であれば、当該試験物質を経口皮膚機能改善剤として選択することを含む<1>〜<5>のいずれか1に記載の方法。
<7>異なる用量の試験物質を経口投与された同じ又は別の被験動物から血中apoCI濃度を測定することを含む<1>記載の方法。
<8>より高用量の試験物質の投与により血中のapoCI濃度が低下した場合に、当該試験物質を経口皮膚機能改善剤として選択することを含む<7>記載の方法。
<9>上記皮膚機能改善剤が、皮膚バリア機能改善剤、皮膚保湿機能改善剤、乾燥や化学物質による肌荒れの改善剤、皮膚老化の改善剤、皮膚劣化の改善剤、表皮の免疫機能の向上剤、アトピー性皮膚炎の予防剤若しくは改善剤、又は表皮の免疫機能の低下に起因する各種疾患の予防剤若しくは改善剤であり、好ましくは皮膚バリア機能改善剤又は皮膚保湿機能改善剤である、<1>〜<8>のいずれか1に記載の方法。
<10>上記被験動物から採取された血中apoCI濃度の測定が、当該被験動物から採取された血液から調製された血清中のapoCI濃度の測定である<1>〜<9>のいずれか1に記載の方法。
<11>血液由来のapoCIを含む皮膚機能判定マーカー。
<12>血液由来のapoCIである皮膚機能判定マーカー。
<13>血液由来のapoCIからなる皮膚機能判定マーカー。
<14>個体から採取された血液由来のapoCIの皮膚機能判定マーカーとしての使用。
<15>皮膚機能判定マーカーとして使用するための血液由来のapoCI。
<16>皮膚機能判定マーカーを製造するための血液由来のapoCIの使用。
<17>上記<11>〜<16>において、上記皮膚機能判定マーカーは、皮膚バリア機能、皮膚保湿機能、表皮の免疫機能、乾燥や化学物質による肌荒れの状態、皮膚老化の状態、皮膚劣化の状態、アトピー性皮膚炎の状態、又は表皮の免疫機能の低下に起因する各種疾患の状態を判定するためのマーカーであり得、好ましくは皮膚バリア機能又は皮膚保湿機能を判定するためのマーカーであり得る。
<18>上記<11>〜<17>において、血液由来のapoCIは血清apoCIであり得る。
<19>個体から採取された血中におけるapoCI濃度を測定することを特徴とする、皮膚機能が高い又は低い個体から採取された血液の判定方法。
<20>測定された血中apoCI濃度が、予め設定した参照値と比べて小さい場合、前記血液を皮膚機能が高い個体から採取されたものと判定し、他方、測定された血中apoCI濃度が当該予め設定した参照値と比べて高ければ、当該血液を皮膚機能が低い個体から採取されたものと判定することを含む<19>記載の方法。
<21>個体から採取された血中のapoCI濃度を経時的に測定し、測定された血中apoCI濃度が経時的に低下する場合、当該血液を皮膚機能が向上している個体から採取されたものであると判定し、他方、測定された血中apoCI濃度が経時的に上昇する場合、当該血液を皮膚機能が低下している個体から採取されたものであると判定することを含む<19>記載の方法。
<22>個体から採取された血中におけるapoCI濃度を測定することを特徴とする、皮膚機能が高い又は低い個体の判定方法。
<23>測定された血中apoCI濃度が、予め設定した参照値と比べて小さい場合、前記個体を皮膚機能が高い個体と判定し、他方、測定された血中apoCI濃度が当該予め設定した参照値と比べて高ければ、当該個体を皮膚機能が低い個体と判定することを含む<22>記載の方法。
<24>個体から採取された血液由来の血中のapoCI濃度を経時的に測定し、測定された血中apoCI濃度が経時的に低下する場合、当該個体を皮膚機能が向上している個体と判定し、他方、測定された血中apoCI濃度が経時的に上昇する場合、当該個体を皮膚機能が低下している個体と判定することを含む<22>記載の方法。
<25>上記皮膚機能が、皮膚バリア機能、皮膚保湿機能、表皮の免疫機能、乾燥や化学物質による肌荒れの状態、皮膚老化の状態、皮膚劣化の状態、アトピー性皮膚炎の状態、又は表皮の免疫機能の低下に起因する各種疾患の状態であり、好ましくは皮膚バリア機能又は皮膚保湿機能である、<19>〜<24>のいずれか1に記載の方法。
<26>前記血中におけるapoCI濃度の測定が、血清apoCI濃度の測定である<19>〜<25>のいずれか1に記載の方法。
実施例1 ヒトの経皮水分蒸散量及び血中apoCI濃度の測定
30〜40歳代日本人女性、326名について、上腕の経皮水分蒸散量(TEWL)値を測定した。測定されたTEWL値が高い順に、上位50名を高TEWL群(皮膚低バリア群)、下位50名を低TEWL群(皮膚高バリア群)として選出し、各群の血清中のapoCI濃度を定量した。ヒト血清50μLを、アルブミン・IgG除去キット(Calbiochem)を用いて添付のプロトコルに準じて処理した後、脱塩・濃縮・溶媒置換処理を行った。その後、還元アルキル化処理、トリプシン消化処理を施した。定量には、トリプル四重極型質量分析装置を用いてSRM(Selected Reaction Monitoring)分析を実施した。試料中のapoCI由来ペプチドのピークエリア値を求め、標準ペプチドによる検量線を基準として絶対定量値を算出し、血清中のapoCI濃度とした。選出した2群のTEWL値(A)、及び血清中apoCI濃度(B)を図1に示す。経皮水分蒸散量が低い皮膚高バリア群では、血清中のapoCI濃度が有意に低下していた。
実施例2 試験物質投与マウスの血中apoCI濃度の測定
ヘアレスマウス(HR−1、雄、7−9週齢)を、試験物質投与群とコントロール群(各群n=4)とに分け、1日1回、試験物質投与群にはエマルジョン形態に調製した表1記載の試験物質を、コントロール群には生理食塩水を、それぞれ経口投与した(100mg/kg体重/day)。2週間後、各個体から採血し、血清中のapoCI濃度を測定した。血清は還元アルキル化、トリプシン消化処理を施した。血清中のapoCI濃度は、トリプル四重極型質量分析装置を用いたSRM(Selected Reaction Monitoring)分析により測定した。試料中に内部標準として一定量の安定同位体標識ペプチドを添加し、apoCI由来ペプチドのピークエリア値を安定同位体標識ペプチドのピークエリア値で補正し、エリア比を算出した。コントロール群の血清中のapoCI濃度を100%として、被験物質投与群の血清中のapoCI濃度を相対値として求めた。被験物質投与群における血清中の相対apoCI濃度を図2に示す。
実施例3 デオキシコール酸ナトリウム投与マウスの経皮水分蒸散量及び血中apoCI濃度の測定
ヘアレスマウス(HR−1、雄、7週齢)を、デオキシコール酸ナトリウム投与群と生理食塩水を投与するコントロール群(各群n=7)に分け、各群、1日1回の経口投与(100mg/kg体重/day)を継続した。2週間後、背部皮膚の経皮水分蒸散量(TEWL)値を測定するとともに、血清中のapoCI濃度を測定した。血清は還元アルキル化、トリプシン消化処理を施した。apoCI濃度は、トリプル四重極型質量分析装置を用いたSRM(Selected Reaction Monitoring)分析により測定した。試料中に内部標準として一定量の安定同位体標識ペプチドを添加し、apoCI由来ペプチドのピークエリア値を安定同位体標識ペプチドのピークエリア値で補正し、エリア比を算出した。コントロール群の血清中のapoCI濃度を100%として、デオキシコール酸ナトリウム投与群の血清中のapoCI濃度を相対値として求めた。各群のTEWL値及び血清中の相対apoCI濃度を図3に示す。投与開始から2週間後の相対apoCI濃度及びTEWL値は、コントロール群と比較してデオキシコール酸ナトリウム投与群で有意に低下した。

Claims (4)

  1. 以下を含む経口皮膚バリア機能改善剤(但し、界面活性剤、機械的刺激又は水道中の残留塩素による皮膚バリア機能低下の改善剤に限る)の探索方法:
    試験物質を経口投与された被験動物から採取された血中におけるapoCI濃度を測定すること
    試験物質を経口投与された被験動物から採取された血中におけるapoCI濃度が、対照群について測定された血中apoCI濃度と比べて高いか低いかについての情報を得ること;及び
    当該情報を基に当該試験物質による血中のapoCI濃度の低下作用を判定すること。
  2. 個体から採取された血液由来のapoCIの皮膚バリア機能判定マーカーとしての使用(但し、界面活性剤、機械的刺激又は水道中の残留塩素による皮膚バリア機能低下及び/又はその改善の判定マーカーとしての使用に限る)。
  3. 血液由来のapoCIを含む皮膚バリア機能判定マーカー(但し、界面活性剤、機械的刺激又は水道中の残留塩素による皮膚バリア機能低下及び/又はその改善の判定マーカーに限る)。
  4. 皮膚バリア機能を判定(但し、界面活性剤、機械的刺激又は水道中の残留塩素による皮膚バリア機能低下及び/又はその改善の判定に限る)するための、個体から採取された血中におけるapoCI濃度を測定する方法。
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