JP6198199B2 - 平行線維性結合組織の製造方法 - Google Patents
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Description
[1]PRELPと接触させた状態で間葉系幹細胞を培養すること、及び培養物から平行線維性結合組織を単離することを含む、平行線維性結合組織の製造方法。
[2]PRELPと接触させた状態での間葉系幹細胞の培養が、PRELP発現ベクターが導入された間葉系幹細胞を培養することにより行われる、[1]記載の製造方法。
[3]間葉系幹細胞の培養が、3次元培養により行われる、[1]又は[2]記載の製造方法。
[4]PRELPと接触させた状態での間葉系幹細胞の培養が、TNF−αを含む培地中で行われる、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]PRELPと接触させた状態での間葉系幹細胞の培養が、亜鉛イオンを含む培地中で行われる、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法により製造された、平行線維性結合組織。
[7]PRELP発現ベクターが導入された間葉系幹細胞。
[8]PRELP発現ベクターが導入された間葉系幹細胞、及び3次元培養用担体を含む組み合わせ物。
[9](1)PRELP、又はその発現ベクター;及び
(2)間葉系幹細胞
を含む組み合わせ物。
[10]更に、3次元培養用担体を含む、[9]記載の組み合わせ物。
[11][7]記載の間葉系幹細胞、又は[8]〜[10]のいずれかに記載の組み合わせ物を含む、平行線維性結合組織製造用キット。
[12][6]記載の平行線維性結合組織、又は[7]記載の間葉系幹細胞を含む、靭帯損傷治療剤。
[13]PRELP、又はその発現ベクターを含む、平行線維性結合組織形成促進剤。
[14]平行線維性結合組織が靭帯である、[13]記載の剤。
[15]PRELP、又はその発現ベクターを含む、靭帯損傷治療剤。
[16]哺乳動物へ、[6]記載の平行線維性結合組織、又は[7]記載の間葉系幹細胞を移植することを含む、当該哺乳動物における靭帯損傷の治療方法。
[17]哺乳動物へ、PRELP、又はその発現ベクターを投与することを含む、当該哺乳動物における平行線維性結合組織の形成を促進する方法。
[18]平行線維性結合組織が靭帯である、[17]記載の方法。
[19]哺乳動物へ、PRELP、又はその発現ベクターを投与することを含む、当該哺乳動物における靭帯損傷の治療方法。
[20]靭帯損傷の治療において使用するための、[6]記載の平行線維性結合組織、又は[7]記載の間葉系幹細胞。
[21]平行線維性結合組織の形成促進において使用するための、PRELP、又はその発現ベクター。
[22]平行線維性結合組織が靭帯である、[21]記載のPRELP、又はその発現ベクター。
[23]靭帯損傷の治療において使用するための、PRELP、又はその発現ベクター。
本発明は、PRELPと接触させた状態で間葉系幹細胞を培養すること、及び培養物から線維組織を単離することを含む、平行線維性結合組織の製造方法を提供する。
[ヒトPRELP アミノ酸配列]
配列番号2(NP_002716):配列番号1(NM_002725 REGION: 201..1349)のポリヌクレオチドによりコード
配列番号4(NP_958505):配列番号3(NM_201348 REGION: 191..1339)のポリヌクレオチドによりコード
配列番号6(配列番号2からシグナル配列(1−20)を削除した(成熟型)):配列番号5(配列番号1からシグナル配列コード領域を削除)のポリヌクレオチドによりコード
配列番号8(配列番号4からシグナル配列(1−20)を削除した(成熟型)):配列番号7(配列番号3からシグナル配列コード領域を削除)のポリヌクレオチドによりコード
[マウスPRELP アミノ酸配列]
配列番号10(NP_473418):配列番号9(NM_054077 REGION: 164..1300)のポリヌクレオチドによりコード
配列番号12(配列番号10からシグナル配列(1−21)を削除した(成熟型)):配列番号11(配列番号9からシグナル配列コード領域を削除)のポリヌクレオチドによりコード
[ヒトTNF−α アミノ酸配列]
配列番号14(NP_000585.2):配列番号13(NM_000594.3 REGION: 176..877)のポリヌクレオチドによりコード
[マウスPRELP アミノ酸配列]
配列番号16(NP_038721.1):配列番号15(NM_013693.2 REGION: 157..864)のポリヌクレオチドによりコード
また、本発明は、PRELP発現ベクターが導入された間葉系幹細胞、及び3次元培養用の担体を含む組み合わせ物(組み合わせ物I)を提供する。
(1)PRELP、又はその発現ベクター;及び
(2)間葉系幹細胞
を含む組み合わせ物(組み合わせ物II)を提供する。
上記本発明の製造方法により製造された平行線維性結合組織を、靭帯損傷を罹患したレシピエント哺乳動物の生体内に移植すると、該平行線維性結合組織がレシピエントの靭帯損傷部位に生着し、該部位において靭帯が再生され、靭帯損傷が治療される。また、PRELP発現ベクターが導入された間葉系幹細胞を、靭帯損傷を罹患したレシピエント哺乳動物の生体内に移植すると、該間葉系幹細胞がレシピエントの靭帯損傷部位に生着し、該部位において平行線維性結合組織を生産することにより該部位において靭帯が再生され、靭帯損傷が治療される。従って、本発明は、上記本発明の製造方法により製造された平行線維性結合組織、又はPRELP発現ベクターが導入された間葉系幹細胞を含む、靭帯損傷治療剤を提供するものである(本発明の靭帯損傷の治療剤I)。
後述の実施例に示すように、生体内においてPRELPを過剰発現させることにより、インビトロのみならず、生体内においても靭帯の形成が促進される。従って、本発明は、PRELPまたはその発現ベクターを含む、靭帯損傷の治療剤(本発明の靭帯損傷の治療剤II)を提供するものである。本発明の靭帯損傷の治療剤IIは、生体内における平行線維性結合組織の形成促進剤としても有用である。
ヒトPRELP cDNAをクローニングした。クローニングしたPRELP cDNAをXhol処理し、pCAGGS発現ベクターのXholサイトに挿入した。発現ベクターがデザイン通りに構築されているか確認するために、構築後のベクターを制限酵素で消化し、電気泳動パターンを確認した。その結果、予想されたパターンの泳動図が確認された。また、挿入されたcDNA領域のシーケンス解析を行ったところ、目的とする配列(GENBANKアクセッション番号:EAW91481.1)と一致することを確認した。
実施例1と同様に、C3H/10T1/2マウス間葉系幹細胞に、pCAGGS−PRELPベクターをトランスフェクトした。得られたトランスフェクタントをAlexa Fluor 488標識抗I型コラーゲン抗体、Alexa Fluor 568ファロイジン、及びDAPIを用いた免疫染色に付した(図6)。
ヒト前十字靭帯(ACL)、ヒト後十字靭帯(PCL)、ヒトOPLL組織及びヒト腱におけるPRELPの発現を、リアルタイムPCR及びウェスタンブロッティングによりPRELPの発現を調べた。CBB染色をコントロールとして用いた。ACL、PCL及びOPLLにおいてPRELPの高発現が観察されなかったが、腱においてはPRELPの発現は低かった(図9)。
実施例1と同様に、ヒト間葉系幹細胞及びマウス間葉系幹細胞にpCAGGS−PRELPベクターを導入し、培養することにより、靭帯様組織を形成させた。ELISA及びリアルタイムPCRによりI型コラーゲンの発現を調べた。
ELISAは、I型コラーゲン中の分解されたアテロペプチドからのアテロコラーゲンを測定できるEC1−E205を用いた。
リアルタイムPCRは、StepOnePlus real-time PCR systemを用いたTaqMan Gene Expression Assay kitにより実施した。TaqMan PCRに用いた配列は次の通り(sequences from mouse collagen, type I, alpha 1Col1a1: Mm00801666_g1; human collagen, type I, alpha 2: Hs00164099_m1; mouse 18S ribosomal RNA, hypothetical LOC790964: Mm03928990_g1; human eukaryotic 18S rRNA: Hs99999901_s1)。それぞれのサンプルについて、Mouse 18S ribosomal RNA及びhuman eukaryotic 18S rRNA mRNAをスタンダードとして用いて、マウスCol1a1(n=21)及びヒトCol1a1(n=24)を定量した。
その結果、いずれの方法においても、間葉系幹細胞よりも、誘導された靭帯様組織においてI型コラーゲンの発現が高いことが示された(図10及び11)。
pCAGGS−PRELPベクターを導入したマウス間葉系幹細胞におけるPDGF及びMMP−13の発現に対する、PRELPを標的とするshRNAの効果を調べた。
PRELPを標的とするshRNAのために、4つの遺伝子断片をpRNAi/LV-RNAiベクター(Biosettia, Inc)にクローニングし、PRELP発現の抑制を確認した後、上清中のコラーゲン及びPDGF受容体発現を抑制した
sh-NM_054077 5′- AAAAGGATTAGGCGTAAACCCAATTGGATCCAATTGGGTTTACGCCTAATCC-3′(配列番号17)
を用いた。
shRNA-lacZ, AAAAGCAGTTATCTGGAAGATCAGGTTGGATCCAACCTGATCTTCCAGATAACTGC(配列番号18)、及び
sh-scramble, AAAAGCTACACTATCGAGCAATTTTGGATCCAAAATTGCTCGATAGTGTAGC(配列番号19)
をコントロールとして作った。トランスフェクションについては、過剰発現のためにLipofectamine 2000 (Life Technology)を製造者のプロトコールに従い用い、shRNAのためにGene Porter (Genlantis)を用いた。ベクターが均一に分散するようにプレートをゆすり、4時間、37℃、5% CO2にて培養した。培養液を新鮮な培地に交換し、混合物をさらに96時間培養した。培養上清中のPRELP発現をウェスタンブロッティングにより確認し、培養液中の産物の分泌を2日毎に確認した。培養液は2日毎に交換した。7日後、細胞は靭帯線維様構造へと変換していた。
トランスフェクトした細胞はPuraMatrix Peptide Hydrogel中で培養し、24時間後にBioStation ID (GE Healthcare)で得た画像から、細胞が靭帯線維様構造に変換したことが確認された。
ELISAは、PDGF−AA(R&D systems)、MMP−13(GE Healthcare) 及びI型コラーゲン(ACEL, Japan)について行った。
その結果、PRELPを標的とするshRNA(shRNA−PRELP)の導入により、PDGF−AA、MMP−13及びI型コラーゲンの発現が抑制された(図12及び13)。
実施例1と同様に、pCAGGS−PRELPベクターをヒト間葉系幹細胞へ導入することにより作成した靭帯様組織におけるI型コラーゲンの発現を、ウェスタンブロッティングにより、ヒトPCL組織、ヒトOPLL組織及びヒトACL組織と比較した。
PCL、OPLL、ACLと同様に、靭帯様組織はI型コラーゲンを発現していた(図14)。
実施例1と同様にして作成した、マウス間葉系幹細胞由来の靭帯様組織におけるI型コラーゲン及び幹細胞マーカー(CD34)の発現を、マウス間葉系幹細胞と比較した。マウス間葉系幹細胞はCD34を高発現したが、pCAGGS−PRELPベクターを導入し、靭帯様組織に転換した後は、その発現は低下した。一方、I型コラーゲンの発現は、靭帯様組織に転換した後の方が高かった(図15)。
PRELPトランスジェニックマウスの製造及びゲノタイピング
PRELP遺伝子(3.4kb)をpCAGGSのXhoIサイトにライゲートし、マイクロキャピラリー及び倒立顕微鏡を用いて、C57BL/6の受精卵の前核中に注入した。得られた新生マウスの尾組織から抽出したDNAをPCR増幅し、ゲノタイピングを行うことによりトランスジェニックマウスが製造されたことを確認した。
R5′-GTCGAGGGATCTCCATAAGAGAAGAGGGACA-3′(配列番号20)
F5′-GTCGACATTGATTATTGACTAGTTATTAATAGTAATC-3′(配列番号21)
以下のPCR条件を用いた:94℃を2分間、98℃を10秒、及び68℃を4分間を30サイクル。
トランスジェニックマウス及び野生型の同腹仔を70%エタノールで固定し、皮膚及び内組織を分離した。マウスを更に2日間70%エタノールで固定した。99.5%エタノール中で2日間脱水を行った。マウスを、アルシアンブルーを0.05%の最終濃度で含む染色溶液である、alcian blue 8GX (JANSSEN、40%酢酸及び60%エタノール 容量比)中で37℃にて55時間インキュベートした。マウスを、99.5%エタノール中に、室温にて2日間、浸漬し、次に2%水酸化カリウム中に、室温にて24時間、透明になるまで浸漬した。アリザリンレッドを0.005%の最終濃度で含む染色溶液であるalizarin red S (Kodak, C1051) 1% KOH中で、室温にて4時間インキュベートし、次に脱色液(1% KOH、20% グリセロール)中に、室温にて一晩浸漬した。マウスは保存液(50%エタノール及び50%グリセロール)中で保存した。エタノール、酢酸、グリセロール、及び水酸化カリウムの高級試薬は岸田化学から購入した。
トランスジェニックマウスを吸入麻酔している間に、骨密度及び骨ミネラル密度計測を、3D微計算断層撮影(Rigaku)を用いて行い、RATOCソフトウェア(RATOC System Engineering)により解析した。ファントム(S/N: 1101-52)を、コントロールとして用いた。骨密度解析を大腿骨の3D−CTを行うことにより実施したが、野生型マウスとPRELPトランスジェニックマウスとの間に、BMD、BMC及びTVの差は認められなかった。トランスジェニックマウスからの骨格サンプルについては、骨組織の変化は観察されなかった(図17)。
本発明者らは、PRELP遺伝子トランスジェニックマウスを作出した(n=4)。脊髄靭帯、膝靭帯、歯周靭帯、及び皮膚組織の画像から、PRELP遺伝子トランスジェニックマウスにおいては、対応する野生型マウスからの組織よりも、より完全な靭帯であることが明らかとなった(図18)。ウサギ抗PRELP抗体(Sigma Aldrich; SAB1100370)を一次抗体、Alexa Fluor 488標識ヤギ抗ウサギIgG抗体を二次抗体として用いた免疫組織染色を行った。DAPIを核染色に用いた。染色後、組織をCSLM(Olympus FluoView FV 1000-D)下で観察した。
トランスジェニックマウス及び野生型マウスからの脊髄靭帯組織をSTB-CH-10ストレッチングシステム(Strex Inc)を用いて、固定負荷条件下で伸ばし、三分の一、二分の一、及び完全に靭帯断裂するまでの時間を計測した。靭帯断裂までの時間は、野生型マウスの靭帯線維よりも、トランスジェニックの方が長く、トランスジェニックマウスの靭帯組織の方がより強かった(図19)。
血液及び尿解析の結果、血液中のI型コラーゲンの量はトランスジェニックマウスと野生型マウスとで同等であることが判明した。しかしながら、トランスジェニックマウスの尿においてアテロコラーゲン濃度が高かった(図20)。この結果から、PRELPの過剰発現により、I型コラーゲンの高発現が生じ、尿への排泄が増えたことが示唆された。また、MMP−13の濃度は、血中及び尿中とも、トランスジェニックマウスの方が高かった(図20)。
骨性癒着及び靭帯再構築
靭帯は骨組織と連結し、骨−骨連結を形成するので、実施例1と同様の方法により製造されたマウス間葉系幹細胞由来靭帯様組織をヒト骨芽細胞と組み合わせることにより、PRELP由来靭帯様組織の骨癒合を調べた。染色体蛍光染色により、ヒト染色体(ロダミン)とマウス染色体(FITC)との融合が示された(図21)。核型分析により、マウス間葉系幹細胞由来靭帯組織がヒト骨芽細胞と融合したことが確認された。プローブとしては、ヒトCot-1 DNA(ジゴキシゲニン、ロダミンスペクトラムオレンジ標識)及びマウスCot-1 DNA(ビオチン、FITCスペクトラムグリーン標識)を用いた。セルサイクルの静止期(A)及び分裂中期(B)を示す(図21)。
アレイ−CGH
RNAをAllPrep DNA/RNA mini kit (Qiagen)を用いて抽出し、RNAの完全性を解析した(Agilent 2100 Bioanalyzer)。9.0以上の値の完全性を有するRNAをSuperscript VILO cDNA synthesis kit(Life Technologies)を用いて逆転写し、Agilent Human Genome Microarray Kit 244 K (Agilent Technologies)を用いてアレイ−CGHを実施した。アレイ−CGHプラットフォームは、それぞれ、メジアン長が7.4kb及び16.5kbのコーディング及びノンコーディングゲノム配列に及ぶ約244400個のプローブを含む、高解像度60merオリゴヌクレオチドベースのマイクロアレイである。標識化及びハイブリダイゼーションは、Agilentにより提供されたプロトコール(Protocol v4.0, June 2006)に従って実施した。アレイは、Agilent DNA microarray scannerを用いて解析した。マウス間葉系幹細胞、野生型マウスの靭帯組織、PRELPトランスジェニックマウスの靭帯組織、及びマウス間葉系幹細胞にPRELPを導入することにより調製した(実施例1)幹細胞由来靭帯組織について遺伝子発現を解析した。
PRELPタンパク質及び遺伝子相互作用
IPAソフトウェアを用いてRNA遺伝子発現及びPRELPタンパク質相互作用に基づき、新たなパスウェイの解析を行った。これらのネットワークは機能的及び遺伝子的関連を明らかにする。IPAツールは、公知の生物学的パスウェイとのつながりを示さなかった。この試験から、PRELPと有意に関連する新たなネットワークの可能性が明らかとなった(図26)。
PRELPの発現ルート
マウス間葉系幹細胞をZnCl2で処理すると、高いNF-κB-p65発現を示したが、LY294002の影響はほとんど無かった。*P < 0.001, n = 4(図27A)。PRELP遺伝子を導入したマウス間葉系幹細胞に10 ng/mLのTNF−αを加えると、24時間後に靭帯様組織が現れた。10 ng/mLのTNF−α及びLY294002を加えても、同様に靭帯様組織への転換が生じた(図27B)。NFκB(Alexa Fluor 555)及びPRELP(Alexa Fluor 350)について、免疫蛍光組織染色を実施した。TNF-αを加えて3時間後、細胞内ERの境界が画定し(図27C)、6時間後、PRELPタンパク質発現が、ER内で確認され(図27D)、12時間後に、線維状への転換が生じ、PRELP発現が確認された(図27E)。NfκB発現があるので、PRELPは30 μm/mL ZnCl2により影響される核内転写因子として機能することが示唆された。PRELP遺伝子を導入したマウス間葉系幹細胞に、10 μM, 30 μM, 及び50 μMのZnCl2を加えたときのNFκB p65(Alexa Fluor 488)及びDAPI蛍光イメージを図27F、G及びHに示す。PRELP遺伝子を導入したマウス間葉系幹細胞に10 ng/mL TNF-αを加えて12時間後に靭帯様組織が現れ(I)、30 μMのZnCl2を加えた場合にも、同様の靭帯様組織への転換が生じた(J)。
pCAGGS−PRELPを導入したヒト間葉系幹細胞に由来する靭帯様組織におけるNF-kBIA、MEKK3、TAK-1及びTRAF6遺伝子発現をリアルタイムPCRにより解析した。これらの遺伝子の発現は、30 μM ZnCl2、TNF-αにより上昇した(図28)。
実施例1と同様に、PRELPを導入したマウス間葉系幹細胞から靭帯様組織を製造した。これを破壊された歯周ポケットに移植すると、歯周ポケットが再建された(図31)。
Claims (20)
- PRELPと接触させた状態で間葉系幹細胞を培養すること、及び培養物から平行線維性結合組織を単離することを含む、平行線維性結合組織の製造方法(但し、PRELP発現ベクターが導入された間葉系幹細胞を3次元培養に付すこと、及び培養物から平行線維性結合組織を単離することを含む態様を除く)。
- PRELPと接触させた状態での間葉系幹細胞の培養が、PRELP発現ベクターが導入された間葉系幹細胞を培養することにより行われる、請求項1記載の製造方法。
- 間葉系幹細胞の培養が、3次元培養により行われる、請求項1記載の製造方法。
- PRELPと接触させた状態で間葉系幹細胞をTNF−αを含む培地中で培養すること、及び培養物から平行線維性結合組織を単離することを含む、平行線維性結合組織の製造方法。
- PRELPと接触させた状態で間葉系幹細胞を亜鉛イオンを含む培地中で培養すること、及び培養物から平行線維性結合組織を単離することを含む、平行線維性結合組織の製造方法。
- PRELPと接触させた状態で間葉系幹細胞をTNF−α及び亜鉛イオンを含む培地中で培養すること、及び培養物から平行線維性結合組織を単離することを含む、平行線維性結合組織の製造方法。
- PRELPと接触させた状態での間葉系幹細胞の培養が、PRELP発現ベクターが導入された間葉系幹細胞を培養することにより行われる、請求項4〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 間葉系幹細胞の培養が、3次元培養により行われる、請求項4〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
- PRELP発現ベクターが導入された間葉系幹細胞。
- (1)PRELP、又はその発現ベクター;及び
(2)間葉系幹細胞
を含む組み合わせ物(但し、PRELP発現ベクター、間葉系幹細胞、及び3次元培養用担体を含む態様を除く)。 - 更に、3次元培養用担体を含む、請求項10記載の組み合わせ物。
- 請求項9記載の間葉系幹細胞、或いは請求項10又は11記載の組み合わせ物を含む、平行線維性結合組織製造用キット(但し、PRELP発現ベクターが導入された間葉系幹細胞及び3次元培養用担体を含む態様を除く)。
- (I)(a)PRELP発現ベクターが導入された間葉系幹細胞;或いは
(b)(1)PRELP、又はその発現ベクター;及び
(2)間葉系幹細胞
を含む組み合わせ物;並びに
(II)TNF−αを含む培地
を含む、平行線維性結合組織製造用キット。 - (I)(a)PRELP発現ベクターが導入された間葉系幹細胞;或いは
(b)(1)PRELP、又はその発現ベクター;及び
(2)間葉系幹細胞
を含む組み合わせ物;並びに
(II)亜鉛イオンを含む培地
を含む、平行線維性結合組織製造用キット。 - (I)(a)PRELP発現ベクターが導入された間葉系幹細胞;或いは
(b)(1)PRELP、又はその発現ベクター;及び
(2)間葉系幹細胞
を含む組み合わせ物;並びに
(II)TNF−α及び亜鉛イオンを含む培地
を含む、平行線維性結合組織製造用キット。 - 3次元培養用担体を更に含む、請求項13〜15のいずれか1項に記載のキット。
- 請求項9記載の間葉系幹細胞を含む、靭帯損傷治療剤。
- PRELP、又はその発現ベクターを含む、平行線維性結合組織形成促進剤。
- 平行線維性結合組織が靭帯である、請求項18記載の剤。
- PRELP、又はその発現ベクターを含む、靭帯損傷治療剤。
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