実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る電力増幅器100の構成例を示すブロック図である。電力増幅器100は、高周波変調信号入力端子101と、振幅信号入力端子102と、電源回路103と、高周波電力増幅器104と、高周波変調信号出力端子105を備える。電力増幅器100は、高周波変調信号入力端子101から入力された高周波変調信号を増幅する。
振幅信号入力端子102には、高周波変調信号入力端子101から入力された高周波変調信号の振幅信号(包絡線信号)が入力信号として入力される。高周波変調信号は、例えば振幅変調や位相変調が施されている。電源回路103は、振幅信号入力端子102から入力された入力信号を増幅して、高周波電力増幅器104に電源として出力する。高周波電力増幅器104(アンプ)は、電源回路103から出力された電力に基づいて、高周波変調信号入力端子101から入力された高周波変調信号を増幅し、高周波変調信号出力端子105から出力する。
以下、電源回路103の詳細について説明する。電源回路103は、リニアアンプ106と、電流検出器107と、電流出力部108と、ローパスフィルタ部109と、合成部110と、電力供給端子111と、を備える。
リニアアンプ106は、振幅信号入力端子102から入力された入力信号を増幅し、合成部110へと出力する。電流検出器107は、リニアアンプ106が合成部110へと出力した出力信号の電流値を検出して、検出結果の信号を電流出力部108へ出力する。なお電流検出器107は、リニアアンプ106が合成部110へと出力した出力信号をそのまま合成部110に出力する。
電流出力部108は、電流検出器107が検出した検出結果(すなわち検出された電流値)に応じて電流を出力する。すなわち、電流出力部108は、電源回路103の入力信号の電流を増幅する働きをする。ローパスフィルタ部109は、電流出力部108の出力信号の高周波成分を減衰させて出力する。合成部110は、リニアアンプ106の出力とローパスフィルタ部109の出力とを合成した電力を電力供給端子111に出力する。電力供給端子111は高周波電力増幅器104に接続されており、電源回路103は電力供給端子111を介して電力を高周波電力増幅器104に供給する。
以下、電力増幅器100内の電流出力部108及びローパスフィルタ部109の具体的な構成例について示す。
図2は、電流出力部108及びローパスフィルタ部109の構成の一例を示すブロック図である。電流出力部108は、第1のヒステリシスコンパレータ112と、第2のヒステリシスコンパレータ113と、インバータ114と、第1のスイッチングアンプ115と、第2のスイッチングアンプ116と、DC電源117と、を備える。ローパスフィルタ部109は、第1のローパスフィルタ122と、第2のローパスフィルタ123と、を備える。
電流検出器107は、リニアアンプ106が合成部110へと出力した出力信号の電流値を検出して、検出結果に応じた電圧を有する信号を電流出力部108へ出力する。具体的には、電流検出器107は、リニアアンプ106の出力信号の電流値が増加した場合には出力信号の電圧をそれに応じて高くし、電流値が減少した場合には出力信号の電圧をそれに応じて低くする。
第1のヒステリシスコンパレータ112は、入力された電流検出器107からの出力信号に対し所定の閾値に基づくHigh−Low判定を実行して、判定結果を第1のスイッチングアンプ115に出力する。第2のヒステリシスコンパレータ113は、入力された電流検出器107からの出力信号に対し所定の閾値に基づくHigh−Low判定を実行して、判定結果をインバータ114を介して第2のスイッチングアンプ116に出力する。
第1のスイッチングアンプ115には、第1のヒステリシスコンパレータ112からの出力が入力される。第1のスイッチングアンプ115は、その入力を増幅してローパスフィルタ部109に出力する。第2のスイッチングアンプ116には、第2のヒステリシスコンパレータ113からの出力が、インバータ114により反転されて入力される。第2のスイッチングアンプ116は、その入力を増幅してローパスフィルタ部109に出力する。
以下、第1のスイッチングアンプ115及び第2のスイッチングアンプ116の詳細について説明する。
第1のスイッチングアンプ115は、NMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)の駆動トランジスタ118とダイオード119を有する。駆動トランジスタ118は、ドレインがDC電源117、ゲートが第1のヒステリシスコンパレータ112、ソースがローパスフィルタ部109及びダイオード119にそれぞれ接続されている。
ダイオード119は、アノードが接地され、カソードが駆動トランジスタ118のソース及びローパスフィルタ部109に接続されている。第1のスイッチングアンプ115は、以上の構成を有しているため、駆動トランジスタ118のゲートに閾値電圧以上の正の電圧が入力された場合、DC電源117(駆動トランジスタ118のドレイン側)からの電流がローパスフィルタ部109(駆動トランジスタ118のソース側)に流れる。
駆動トランジスタ118のゲートに所定の閾値電圧以上の電圧が入力された場合にローパスフィルタ部109に流れる電流の時間微分値は正になり、それ以外の場合は第1のローパスフィルタ部109に流れる電流の時間微分値は負かゼロになる。つまり、駆動トランジスタ118のゲートに所定の閾値電圧以上の電圧が入力された場合に、第1のスイッチングアンプ115は出力電流を増やす。このようにして第1のスイッチングアンプ115は、第1のヒステリシスコンパレータ112からの出力信号に応じて電流を出力する。なお、駆動トランジスタ118における所定の閾値電圧は、第1のヒステリシスコンパレータ112が出力するHighの信号の電圧と、Lowの信号の電圧との間の電圧である。また、第1のスイッチングアンプ115は、正の電流値の電流を出力する(電流の吐き出しを実行する)。
第2のスイッチングアンプ116は、ダイオード120とNMOSの駆動トランジスタ121とを有する。ダイオード120は、アノードが駆動トランジスタ121のドレイン及びローパスフィルタ部109、カソードがDC電源117にそれぞれ接続されている。
駆動トランジスタ121は、ドレインがダイオード120のアノード及びローパスフィルタ部109、ゲートがインバータ114の出力にそれぞれ接続され、ソースが接地されている。第2のスイッチングアンプ116は、以上の構成を有しているため、駆動トランジスタ121のゲートに閾値電圧以上の電圧が入力された場合、ローパスフィルタ部109側から電流が駆動トランジスタ121を介してグランドに流れる。駆動トランジスタ121のゲートに所定の閾値電圧以上の電圧が入力された場合にローパスフィルタ部109に流れる電流の時間微分値は負になり、それ以外の場合は第1のローパスフィルタ部109に流れる電流の時間微分値は正かゼロになる。つまり、駆動トランジスタ121のゲートに所定の閾値電圧以上の電圧が入力された場合に、第2のスイッチングアンプ116は出力電流を減らす。このようにして第2のスイッチングアンプ116は、第2のヒステリシスコンパレータ113からの出力信号に応じて電流を出力する。なお、駆動トランジスタ121における所定の閾値電圧は、第2のスイッチングアンプ116が出力するHighの信号の電圧と、Lowの信号の電圧との間の電圧である。また、第2のスイッチングアンプ116は、負の電流値の電流を出力する(電流の吸い込みを実行する)。
DC電源117は、第1のスイッチングアンプ115〜第2のスイッチングアンプ116の共通の電源である。DC電源117は、駆動トランジスタ118のドレイン及びダイオード120のカソードに接続される。
ローパスフィルタ部109の第1のローパスフィルタ122は、第1のスイッチングアンプ115の出力信号の高周波成分を減衰させて出力する。第2のローパスフィルタ123は、第2のスイッチングアンプ116の出力信号の高周波成分を減衰させて出力する。第1のローパスフィルタ122及び第2のローパスフィルタ123の出力信号は、途中の配線の接続部(合成部)において合成されて、合成部110に出力される。
図3は、第1のヒステリシスコンパレータ112及び第2のヒステリシスコンパレータ113の入力電圧と出力電圧の関係の一例を示したグラフである。つまり、図3においては、各ヒステリシスコンパレータの閾値電圧の例が示されている。図3Aでは、第1のヒステリシスコンパレータ112の閾値の一例が示され、図3Bでは、第2のヒステリシスコンパレータ113の閾値の一例が示されている。ここで図3の横軸はヒステリシスコンパレータへの入力電圧の値を示しており、縦軸はヒステリシスコンパレータの出力電流の値を示している。
第1のヒステリシスコンパレータ112には、直前の出力状態を保持する機能(ヒステリシス機能)があり、入力電圧の閾値として、High側閾値(V_High1)とLow側閾値(V_Low1)がある。ここでV_High1>V_Low1であり、ヒステリシス幅V_hys1はV_hys1=V_High1−V_Low1である。ここでV_High1は、リニアアンプ106が合成部110へ出力した出力信号の電流値が第1の閾値Th1である場合に電流検出器107が出力する電圧値である。電流値が第1の閾値Th1以上である場合には、電流検出器107は、V_High1以上の電圧値を有する出力信号を出力し、第1の閾値Th1未満である場合には、V_High1未満の電圧値を有する出力信号を出力する。
またV_Low1は、リニアアンプ106が合成部110へ出力した出力信号の電流値が第2の閾値Th2である場合に電流検出器107が出力する電圧値である。電流値が第2の閾値Th2以上である場合には、電流検出器107は、V_Low1以上の電圧値を有する出力信号を出力し、第2の閾値Th2未満である場合には、V_Low1未満の電圧値を有する出力信号を出力する。
また、第1のヒステリシスコンパレータ112の閾値には、基準電圧(0V)からのオフセット電圧V_offset1(>0)が設定されている。V_High1はV_offset1+(V_hys1/2)であり、V_Low1はV_offset1−(V_hys1/2)である。
図3Aの通り、第1のヒステリシスコンパレータ112の直前の出力がLowの場合は、入力信号がV_High1以上になったときに出力がHighに反転する。直前の出力がHighの場合は、入力信号がV_Low1未満になったときに第1のヒステリシスコンパレータ112の出力がLowに反転する。
第2のヒステリシスコンパレータ113には、直前の出力状態を保持する機能があり、入力電圧の閾値として、High側閾値(V_High2)とLow側閾値(V_Low2)がある。ここでV_High2>V_Low2であり、ヒステリシス幅V_hys2はV_hys2=V_High2−V_Low2である。ここでV_High2は、リニアアンプ106が合成部110へ出力した出力信号の電流値が第3の閾値Th3である場合に電流検出器107が出力する電圧値である。電流値が第3の閾値Th3以上である場合には、電流検出器107は、V_High2以上の電圧値を有する出力信号を出力し、第3の閾値Th3未満である場合には、V_High2未満の電圧値を有する出力信号を出力する。
またV_Low2は、リニアアンプ106が合成部110へ出力した出力信号の電流値が第4の閾値Th4である場合に電流検出器107が出力する電圧値である。電流値が第4の閾値Th4以上である場合には、電流検出器107は、V_Low2以上の電圧値を有する出力信号を出力し、第4の閾値Th4未満である場合には、V_Low2未満の電圧値を有する出力信号を出力する。
図3Bの通り、第2のヒステリシスコンパレータ113の直前の出力がLowの場合は、入力信号がV_High2以上になったときに出力がHighに反転する。直前の出力がHighの場合は、入力信号がV_Low2未満になったときに第2のヒステリシスコンパレータ113の出力がLowに反転する。
なお、V_High2はV_hys1/2であり、V_Low1は−(V_hys1/2)である。
第1のヒステリシスコンパレータ112及び第2のヒステリシスコンパレータ113のHigh側閾値及びLow側閾値の大小関係は、V_Low2<V_Low1<V_High2<V_High1である。
まとめると、第1のヒステリシスコンパレータ112は、リニアアンプ106が合成部110へと出力した出力信号の電流値が第1の閾値Th1以上になった場合にHighの信号を出力し、電流値が第2の閾値Th2未満になった場合にLowの信号を出力する。第2のヒステリシスコンパレータ113は、電流値が第3の閾値Th3以上になった場合にHighの信号を出力し、電流値が第4の閾値Th4未満になった場合にLowの信号を出力する。
第1のスイッチングアンプ115は、電流の吐き出しのみを行う。この動作は、図2のように、第1のスイッチングアンプ115の電圧がHighである側(以降High側と記載)にスイッチである駆動トランジスタ118を設け、第1のスイッチングアンプ115の電圧がLowである側(以降Low側と記載)にダイオード119を設けることにより、簡単に実現することができる。
前述の通り、ダイオード119のアノードはグランドに繋がれ、カソードは第1のスイッチングアンプ115の出力、つまりローパスフィルタ部109の入力と同じノードに接続される。このとき、第1のスイッチングアンプ115のHigh側のスイッチ(駆動トランジスタ118)は、入力信号がHighの時はDC電源117と出力ノード間がショートになり、入力信号がLowの時はDC電源117と出力ノード間がオープンになる。
第2のスイッチングアンプ116は、電流の吸い込みのみを行う。この動作は、図2のように、第2のスイッチングアンプ116のLow側にスイッチである駆動トランジスタ121を設け、第2のスイッチングアンプ116のHigh側にダイオード120を設けることにより、簡単に実現することができる。前述の通り、ダイオード120のカソードはDC電源117に繋がれ、アノードは第2のスイッチングアンプ116の出力、つまりローパスフィルタ部109の入力の入力と同じノードに接続される。このとき、第2のスイッチングアンプ116のLow側のスイッチ(駆動トランジスタ121)は、入力信号がHighのときはグランドと出力ノード間がショートになり、入力信号がLowのときはグランドと出力ノード間がオープンになる。
このように電流出力部108が第1の閾値Th1〜第4の閾値Th4に基づいて出力電流を制御することにより、電流出力部108が出力する電流における線形性を改善することができる。そのため、電力効率の向上が可能である電源回路、これを用いた電力増幅器及び電源回路における信号増幅方法を提供することができる。
また、電流出力部108は、それぞれ異なる2つの閾値を有する第1のヒステリシスコンパレータ112及び第2のヒステリシスコンパレータ113と、それぞれのヒステリシスコンパレータに接続され、ヒステリシスコンパレータからの出力信号を増幅して出力する第1のスイッチングアンプ115及び第2のスイッチングアンプ116を備える。これにより、電流出力部108を簡単な構成で実現することができる。
第1のスイッチングアンプ115は、電源に接続された側にスイッチを、グランドに接地された側にダイオードを有している。これにより、第1のスイッチングアンプ115を簡単な構成で実現することができる。同様に、第2のスイッチングアンプ116は、電源に接続された側にダイオードを、グランドに接地された側にスイッチを有している。これにより、第2のスイッチングアンプ116を簡単な構成で実現することができる。また、スイッチをNMOSの駆動トランジスタで構成することにより、スイッチを簡単な構成で実現することができる。
なお、電流出力部108の構成は、図2に示したものに限らず、他の構成であってもよい。例えば、第2のスイッチングアンプ116におけるスイッチをNMOSの駆動トランジスタではなくPMOSの駆動トランジスタで構成してもよい。
さらに、第1のスイッチングアンプ115又は第2のスイッチングアンプ116の少なくともいずれかは、電流の吐き出し及び吸い込みの両方を行う構成であってもよい。つまり、第1のヒステリシスコンパレータ112又は第2のヒステリシスコンパレータ113の出力信号がHighのときに、そのヒステリシスコンパレータに接続されたスイッチングアンプは電流の吐き出しを行い、ゲートに入力された電圧がLowのときに、そのスイッチングアンプは電流の吸い込みを行うようにスイッチングアンプが構成されてもよい。
第1のスイッチングアンプ115及び第2のスイッチングアンプ116のそれぞれのHigh側閾値とLow側閾値の大小関係は、V_Low2<V_Low1<V_High2<V_High1でなくてもよい。例えば、V_Low1<V_Low2<V_High2<V_High1でもよいし、V_Low2<V_Low1<V_High1<V_High2でもよい(いずれも、V_Low1<V_High1及びV_Low2<V_High2の関係を満たしている。)。換言すれば、第1の閾値Th1〜第4の閾値Th4の大小関係は、Th4<Th2<Th3<Th1でなくてもよい。ただし、少なくともTh1≠Th3又はTh2≠Th4のいずれかを満たす必要はある。
実施の形態2
以下、図面を参照して本発明の実施の形態2について説明する。図4は、本発明の実施形態に係る電源回路201の構成例を示すブロック図である。
電源回路201は、信号入力端子202と、リニアアンプ203と、電流検出器204と、第1のヒステリシスコンパレータ205と、第2のヒステリシスコンパレータ206と、第3のヒステリシスコンパレータ207と、インバータ208、209と、第1のスイッチングアンプ210と、第2のスイッチングアンプ211と、第3のスイッチングアンプ212と、第1のローパスフィルタ213と、第2のローパスフィルタ214と、第3のローパスフィルタ215と、DC電源216と、信号出力端子217と、を備える。
信号入力端子202には、増幅対象の信号が入力される。リニアアンプ203は、信号入力端子202から入力された信号を増幅し、信号出力端子217へと出力する。電流検出器204は、リニアアンプ203が信号出力端子217へと出力した信号の電流値を検出して、検出結果に応じた電圧を有する信号を第1のヒステリシスコンパレータ205、第2のヒステリシスコンパレータ206、第3のヒステリシスコンパレータ207へ出力する。電流検出器204は、リニアアンプ203の出力信号の電流値が増加した場合には出力信号の電圧をそれに応じて高くし、電流値が減少した場合には出力信号の電圧をそれに応じて低くする。
第1のヒステリシスコンパレータ205は、入力された電流検出器204からの出力信号のHigh−Low判定を実行して、判定結果を第1のスイッチングアンプ210に出力する。第2のヒステリシスコンパレータ206は、入力された電流検出器204からの出力信号のHigh−Low判定を実行して、判定結果をインバータ208に出力する。第3のヒステリシスコンパレータ207は、入力された電流検出器204からの出力信号のHigh−Low判定を実行して、判定結果をインバータ209に出力する。
インバータ208は、第2のヒステリシスコンパレータ206の出力を反転して、第2のスイッチングアンプ211に出力する。インバータ209は、第3のヒステリシスコンパレータ207の出力を反転して、第3のスイッチングアンプ212に出力する。
第1のスイッチングアンプ210には、第1のヒステリシスコンパレータ205からの出力が入力される。第1のスイッチングアンプ210は、その入力を増幅して第1のローパスフィルタ213に出力する。第2のスイッチングアンプ211には、インバータ208からの出力が入力される。第2のスイッチングアンプ211は、その入力を増幅して第2のローパスフィルタ214に出力する。第3のスイッチングアンプ212には、インバータ209からの出力が入力される。第3のスイッチングアンプ212は、その入力を増幅して第3のローパスフィルタ215に出力する。
以下、第1のスイッチングアンプ210、第2のスイッチングアンプ211及び第3のスイッチングアンプ212の詳細について説明する。
第1のスイッチングアンプ210は、NMOSの駆動トランジスタ218とダイオード219を有する。駆動トランジスタ218は、ドレインがDC電源216、ゲートが第1のヒステリシスコンパレータ205、ソースが第1のローパスフィルタ213及びダイオード219にそれぞれ接続されている。
ダイオード219は、アノードが接地され、カソードが駆動トランジスタ218のソース及び第1のローパスフィルタ213に接続されている。第1のスイッチングアンプ210は、以上の構成を有しているため、駆動トランジスタ218のゲートに閾値電圧以上の正の電圧が入力された場合、DC電源216(駆動トランジスタ218のドレイン側)からの電流が第1のローパスフィルタ213(駆動トランジスタ218のソース側)に流れる。
駆動トランジスタ218のゲートに所定の閾値電圧以上の電圧が入力された場合に第1のローパスフィルタ213に流れる電流の時間微分値は正になり、それ以外の場合は第1のローパスフィルタ213に流れる電流の時間微分値は負かゼロになる。つまり、駆動トランジスタ218のゲートに所定の閾値電圧以上の電圧が入力された場合に、第1のスイッチングアンプ210は出力電流を増やす。ここで第1のスイッチングアンプ210は、電流の吐き出しのみを実行する。なお、駆動トランジスタ218における所定の閾値電圧は、第1のヒステリシスコンパレータ205が出力するHighの信号の電圧と、Lowの信号の電圧との間の電圧である。
第2のスイッチングアンプ211は、PMOSの駆動トランジスタ220とNMOSの駆動トランジスタ221を有する。駆動トランジスタ220は、ソースがDC電源216、ゲートがインバータ208、ドレインが第2のローパスフィルタ214及び駆動トランジスタ221のドレインにそれぞれ接続されている。
駆動トランジスタ221は、ドレインが駆動トランジスタ220のドレイン、ゲートがインバータ208にそれぞれ接続されており、ソースが接地されている。第2のスイッチングアンプ211は、以上の構成を有しているため、駆動トランジスタ220のゲートに閾値電圧以下の電圧が入力された場合、DC電源216(駆動トランジスタ220のソース側)からの電流が第2のローパスフィルタ214(駆動トランジスタ220のドレイン側)に流れる。ここで、駆動トランジスタ220のゲートに所定の閾値電圧以下の電圧が入力された場合に第2のローパスフィルタ214に流れる電流の時間微分値は正になり、駆動トランジスタ221のゲートに所定の閾値電圧以上の電圧が入力された場合に第2のローパスフィルタ214に流れる電流の時間微分値は負になる。ここで第2のスイッチングアンプ211は、電流の吐き出し及び吸い込みを実行する。また、駆動トランジスタ220、221が同時にドレインとソースの間をショートすることは無い。なお、駆動トランジスタ220及び221における所定の閾値電圧は、インバータ208が出力するHighの信号の電圧と、Lowの信号の電圧との間の電圧である。
第3のスイッチングアンプ212は、ダイオード222とNMOSの駆動トランジスタ223とを有する。ダイオード222は、アノードが駆動トランジスタ223のドレイン及び第3のローパスフィルタ215、カソードがDC電源216にそれぞれ接続されている。
駆動トランジスタ223は、ドレインがダイオード222のアノード及び第3のローパスフィルタ215、ゲートがインバータ209にそれぞれ接続され、ソースが接地されている。第3のスイッチングアンプ212は、以上の構成を有しているため、駆動トランジスタ223のゲートに閾値電圧以上の電圧が入力された場合、第3のローパスフィルタ215側から電流が駆動トランジスタ223を介してグランドに流れる。ここで、駆動トランジスタ223のゲートに所定の閾値電圧以上の電圧が入力された場合に第3のローパスフィルタ215に流れる電流の時間微分値は負になり、それ以外の場合は第3のローパスフィルタ215に流れる電流の時間微分値は正かゼロになる。ここで第3のスイッチングアンプ212は、電流の吸い込みのみを実行する。なお、駆動トランジスタ223における所定の閾値電圧は、インバータ209が出力するHighの信号の電圧と、Lowの信号の電圧との間の電圧である。
なお、第1のヒステリシスコンパレータ205〜第3のスイッチングアンプ212は、電流検出器204が検出した電流値に応じて電流を出力する電流出力部として機能する。
図4に戻り、電源回路201の各部について説明を続ける。第1のローパスフィルタ213は、第1のスイッチングアンプ210の出力信号の高周波成分を減衰させ、信号出力端子217へと出力する。第2のローパスフィルタ214は、第2のスイッチングアンプ211の出力信号の高周波成分を減衰させ、信号出力端子217へと出力する。第3のローパスフィルタ215は、第3のスイッチングアンプ212の出力信号の高周波成分を減衰させ、信号出力端子217へと出力する。第1のローパスフィルタ213〜第3のローパスフィルタ215の出力は、途中の配線の接続部(合成部)において合成されて、信号出力端子217に出力される。
DC電源216は、第1のスイッチングアンプ210〜第3のスイッチングアンプ212の共通の電源である。DC電源216は、駆動トランジスタ218のドレイン、駆動トランジスタ220のソース及びダイオード222のカソードに接続される。
信号出力端子217からは、リニアアンプ203の出力信号と、第1のローパスフィルタ213の出力信号と、第2のローパスフィルタ214の出力信号と、第3のローパスフィルタ215の出力信号と、が電流合成された信号が出力される。このとき、信号出力端子217から出力される信号の電圧波形は、信号入力端子202から入力される信号の電圧波形と相似である。
図5は、第1のヒステリシスコンパレータ205〜第3のヒステリシスコンパレータ207の入力電圧と出力電圧の関係の一例を示したグラフである。つまり、図5においては、各ヒステリシスコンパレータの閾値電圧の例が示されている。図5Aでは、第1のヒステリシスコンパレータ205の閾値の一例が示され、図5Bでは、第2のヒステリシスコンパレータ206の閾値の一例が示され、図5Cでは、第3のヒステリシスコンパレータ207の閾値の一例が示されている。ここで図5の横軸は入力電圧の値を示しており、縦軸は出力電流の値を示している。
図5Aの通り、第1のヒステリシスコンパレータ205には、直前の出力状態を保持する機能(ヒステリシス機能)があり、入力電圧の閾値として、High側閾値(V_High1)とLow側閾値(V_Low1)がある。ここでV_High1>V_Low1であり、ヒステリシス幅V_hys1はV_hys1=V_High1−V_Low1である。第1のヒステリシスコンパレータ205の直前の出力がLowの場合は、入力信号がV_High1以上になったときに出力がHighに反転する。直前の出力がHighの場合は、入力信号がV_Low1未満になったときに第1のヒステリシスコンパレータ205の出力がLowに反転する。
ここでV_High1は、リニアアンプ203が信号出力端子217へ出力した出力信号の電流値が第1の閾値Th1である場合に電流検出器204が出力する電圧値である。電流値が第1の閾値Th1以上である場合には、電流検出器204は、V_High1以上の電圧値を有する出力信号を出力し、第1の閾値Th1未満である場合には、V_High1未満の電圧値を有する出力信号を出力する。
またV_Low1は、リニアアンプ203が信号出力端子217へ出力した出力信号の電流値が第2の閾値Th2である場合に電流検出器204が出力する電圧値である。ここで、Th2はTh2<Th1である。電流値が第2の閾値Th2以上である場合には、電流検出器204は、V_Low2以上の電圧値を有する出力信号を出力し、第2の閾値Th2未満である場合には、V_Low2未満の電圧値を有する出力信号を出力する。
また、第1のヒステリシスコンパレータ205の閾値には、基準電圧(0V)からのオフセット電圧V_offset1(>0)が設定されている。V_High1はV_offset1+(V_hys1/2)であり、V_Low1はV_offset1−(V_hys1/2)である。
図5Bの通り、第2のヒステリシスコンパレータ206には、直前の出力状態を保持する機能(ヒステリシス機能)があり、入力電圧の閾値として、High側閾値(V_High2)とLow側閾値(V_Low2)がある。ここでV_High2>V_Low2であり、ヒステリシス幅V_hys2はV_hys2=V_High2−V_Low2である。第2のヒステリシスコンパレータ206の直前の出力がLowの場合は、入力信号がV_High2以上になったときに出力がHighに反転する。直前の出力がHighの場合は、入力信号がV_Low2未満になったときに第2のヒステリシスコンパレータ206の出力がLowに反転する。
ここでV_High2は、リニアアンプ203が信号出力端子217へ出力した出力信号の電流値が第3の閾値Th3である場合に電流検出器204が出力する電圧値である。電流値が第3の閾値Th3以上である場合には、電流検出器204は、V_High2以上の電圧値を有する出力信号を出力し、第3の閾値Th3未満である場合には、V_High2未満の電圧値を有する出力信号を出力する。
またV_Low2は、リニアアンプ203が信号出力端子217へ出力した出力信号の電流値が第4の閾値Th4である場合に電流検出器204が出力する電圧値である。ここで、Th4はTh4<Th3である。電流値が第4の閾値Th4以上である場合には、電流検出器204は、V_Low2以上の電圧値を有する出力信号を出力し、第4の閾値Th4未満である場合には、V_Low2未満の電圧値を有する出力信号を出力する。
なお、V_High2はV_hys2/2であり、V_Low2は−(V_hys2/2)である。
図5Cの通り、第3のヒステリシスコンパレータ207には、直前の出力状態を保持する機能(ヒステリシス機能)があり、入力電圧の閾値として、High側閾値(V_High3)とLow側閾値(V_Low3)がある。ここでV_High3>V_Low3であり、ヒステリシス幅V_hys3はV_hys3=V_High3−V_Low3である。第3のヒステリシスコンパレータ207の直前の出力がLowの場合は、入力信号がV_High3以上になったときに出力がHighに反転する。直前の出力がHighの場合は、入力信号がV_Low3未満になったときに第3のヒステリシスコンパレータ207の出力がLowに反転する。
ここでV_High3は、リニアアンプ203が信号出力端子217へ出力した出力信号の電流値が第5の閾値Th5である場合に電流検出器204が出力する電圧値である。電流値が第5の閾値Th5以上である場合には、電流検出器204は、V_High3以上の電圧値を有する出力信号を出力し、第5の閾値Th5未満である場合には、V_High3未満の電圧値を有する出力信号を出力する。
またV_Low3は、リニアアンプ203が信号出力端子217へ出力した出力信号の電流値が第6の閾値Th6である場合に電流検出器204が出力する電圧値である。ここで、Th6はTh6<Th5である。電流値が第6の閾値Th6以上である場合には、電流検出器204は、V_Low3以上の電圧値を有する出力信号を出力し、第6の閾値Th6未満である場合には、V_Low3未満の電圧値を有する出力信号を出力する。
また、第3のヒステリシスコンパレータ207の閾値には、基準電圧(0V)からのオフセット電圧V_offset3(<0)が設定されている。V_High3はV_offset3+(V_hys3/2)であり、V_Low3はV_offset3−(V_hys3/2)である。
以上の図5A〜図5Cの第1のヒステリシスコンパレータ205〜第3のヒステリシスコンパレータ207の閾値の設定において、第1のヒステリシスコンパレータ205〜第3のヒステリシスコンパレータ207の閾値は全てずらして(異なる値で)設定されている。具体的には、V_High1>V_High2>V_Low1>V_High3>V_Low2>V_Low3と設定されている。電流値の閾値においては、Th1>Th3>Th2>Th5>Th4>Th6の関係がある。
ここで、V_Low1の値はV_High3よりも大きな値である。即ち、第2の閾値Th2は第5の閾値Th5よりも大きな値である。このように設定すると、図4に示す電源回路201において、第1のスイッチングアンプ210が吐き出す電流の増加と、第3のスイッチングアンプ212が吸い込む電流の増加が同時に起こらなくなる。このため、第1のローパスフィルタ213、第3のローパスフィルタ215や第1のスイッチングアンプ210、第3のスイッチングアンプ212の寄生抵抗による電力損失が軽減できる。
ただし、電源回路201に繋ぐ負荷の大きさや信号入力端子202から入力する信号の周波数によっては、第1のスイッチングアンプ210〜第3のスイッチングアンプ212のスイッチング周期が短くなりすぎる場合がある。この場合には、V_Low1の値をV_High3よりも小さな値とする(第2の閾値Th2を第5の閾値Th5よりも小さな値とする)ことが望ましい。
以上、図5に示した第1のヒステリシスコンパレータ205〜第3のヒステリシスコンパレータ207の閾値の設定に基づいて、第1のスイッチングアンプ210〜第3のスイッチングアンプ212は動作する。
第1のスイッチングアンプ210は、第1のローパスフィルタ213を介して信号出力端子217に電流の吐き出しのみを行う。この動作は、図4のように、第1のスイッチングアンプ210の電圧がHighである側(電源に接続された側のことであり、以降High側と記載)にスイッチである駆動トランジスタ218を設け、第1のスイッチングアンプ210の電圧がLowである側(グランドに接地された側であり、以降Low側と記載)にダイオード219を設けることにより、簡単に実現することができる。
このとき、第1のスイッチングアンプ210のHigh側のスイッチ(駆動トランジスタ218)は、入力信号がHighの時はDC電源216と出力ノード間がショートになり(接続され)、入力信号がLowの時はDC電源216と出力ノード間がオープンになる(開放される)。
第2のスイッチングアンプ211は、第2のローパスフィルタ214を介して信号出力端子217に電流の吐き出し及び吸い込みを行う。この動作は、図4のように、第2のスイッチングアンプ211のHigh側にスイッチである駆動トランジスタ220を設け、第2のスイッチングアンプ211のLow側に駆動トランジスタ221を設けることにより、簡単に実現することができる。
このとき、第2のスイッチングアンプ211のHigh側のスイッチ(駆動トランジスタ220)は、入力信号がHighの時はDC電源216と出力ノード間がオープンになり、入力信号がLowの時はDC電源216と出力ノード間がショートになる。つまり、駆動トランジスタ220は、第2のヒステリシスコンパレータ206からの出力信号がHighのときにDC電源216と出力ノード間とをショートし、第2のヒステリシスコンパレータ206からの出力信号がLowのときにDC電源216と出力ノード間をオープンにする。
第2のスイッチングアンプ211のLow側のスイッチ(駆動トランジスタ221)は、入力信号がHighの時はグランドと出力ノード間がショートになり、入力信号がLowの時はグランドと出力ノード間がオープンになる。つまり、駆動トランジスタ221は、第2のヒステリシスコンパレータ206からの出力信号がLowのときにグランドと出力ノード間とをショートし、第2のヒステリシスコンパレータ206からの出力信号がHighのときにグランドと出力ノード間をオープンにする。
第3のスイッチングアンプ212は、第3のローパスフィルタ215を介して信号出力端子217に電流の吸い込みのみを行う。この動作は、図4のように、第3のスイッチングアンプ212のLow側にスイッチである駆動トランジスタ223を設け、第3のスイッチングアンプ212のHigh側にダイオード222を設けることにより、簡単に実現することができる。
このとき、前述の通り、第3のスイッチングアンプ212のLow側のスイッチ(駆動トランジスタ223)は、入力信号がHighのときはグランドと出力ノード間がショートになり、入力信号がLowのときはグランドと出力ノード間がオープンになる。つまり、駆動トランジスタ223は、第3のヒステリシスコンパレータ207からの出力信号がLowのときにグランドと出力ノード間とをショートし、第3のヒステリシスコンパレータ207からの出力信号がHighのときにグランドと出力ノード間をオープンにする。
図6A〜図6Cは、電源回路の出力する信号の波形(電流値)をシミュレーションにより求めた結果を示したグラフである。特に図6A及び図6Bは、それぞれ実施の形態2にかかる電源回路201と図14における従来の電源回路903の動作を比較しているグラフである。図6A〜図6Cの横軸は、電源回路が動作してからの時間を示し、縦軸は電流値を示している。なお図6A〜図6Cでは、電源回路の動作開始から70μs〜80μsの時間帯における電流値(アンペア)を計測している。
図6Aは、電源回路201において、信号出力端子217から外部へ出力される信号の波形と、第1のスイッチングアンプ210〜第3のスイッチングアンプ212が出力する電流の合計値である信号の波形とを比較したグラフである。図6Aにおける電流波形IAは、信号出力端子217から外部へ出力される信号の波形を示し、電流波形IBは、第1のスイッチングアンプ210〜第3のスイッチングアンプ212が出力する電流の合計値である信号の波形を示している。図6Aにおいて電流波形IAは点線で示され、電流波形IBは実線で示されている。図6Aにおいて、電流波形IAの向きは、電源回路201から信号出力端子217を介して外部へ向かう方向を正と定義しており、電流波形IBの向きは、第1のスイッチングアンプ210〜第3のスイッチングアンプ212から信号出力端子217へ向かう方向を正と定義している。
図6Bは、電源回路903において、電力供給端子912から外部へ出力される信号の波形と、スイッチングアンプ910が出力する電流の波形とを比較したグラフである。図6Bにおける電流波形IAは、電源回路903から電力供給端子912を介して高周波電力増幅器904へ出力される全ての信号の波形を示す。電流波形ICは、スイッチングアンプ910がインダクタ911と電力供給端子912を介して高周波電力増幅器904へ出力する電流の波形を示している(電流波形ICには、電流検出抵抗908から電力供給端子912に出力される電流は含まれない。)。図6Bにおいて、電流波形IAの向きは、電源回路903から高周波電力増幅器904へ向かう方向を正と定義しており、電流波形ICの向きは、スイッチングアンプ910から電力供給端子912へ向かう方向を正と定義している。
なお、図6Aにおける電流波形IAと、図6Bにおける電流波形IAとは同じ波形である。つまり、図6Aにおける電流波形IBと、図6Bにおける電流波形ICとは、信号入力端子202、901から入力された同じ信号に基づいて、第1のスイッチングアンプ210〜第3のスイッチングアンプ212、スイッチングアンプ910がそれぞれ出力する電流を示している。
図6Cは、電源回路201において、第1のスイッチングアンプ210〜第3のスイッチングアンプ212がそれぞれ出力する電流の波形を示したグラフである。図6Cにおける電流波形IDは、電源回路201において、第1のスイッチングアンプ210が出力する電流の波形を示している。電流波形IEは、電源回路201において、第2のスイッチングアンプ211が出力する電流の波形を示している。電流波形IFは、電源回路201において、第3のスイッチングアンプ212が出力する電流の波形を示している。図6Cにおいて、電流波形ID〜電流波形IFの向きは、それぞれ第1のスイッチングアンプ210〜第3のスイッチングアンプ212から信号出力端子217へ向かう方向を正と定義している。
なお、第2のスイッチングアンプ211において、入力信号がLowである場合には、図6Cにおいて電流波形IEの傾きは負であるものの、第2のスイッチングアンプ211が出力する電流は正である。これは、ローパスフィルタ214はインダクタを有しており、第2のスイッチングアンプ211の入力信号がLowである場合にはそのインダクタに蓄積されるエネルギーに基づいて、駆動トランジスタ221が接続されているグランドから、ローパスフィルタ214に電流が流れこむためである。なお、第2のスイッチングアンプ211において、入力信号がHighである場合には、図6Cにおいて電流波形IEの傾きは正になる。
ここで図6Aの電流波形IBと、図6Bの電流波形ICとを比較すると、電流波形IBの方が、電流波形ICと比較して、電流波形IAとの誤差が少ない(即ち一致度が高い)ことが分かる。従って、電源回路201のリニアアンプ203は、電源回路903のリニアアンプ906に比べて、出力電流が少なくてすむ。
なお、第1のローパスフィルタ213〜第3のローパスフィルタ215は、時定数(又はカットオフ周波数)を変更することができる。第1のローパスフィルタ213〜第3のローパスフィルタ215の時定数を大きくする(又はカットオフ周波数を低くする)ことにより、第1のスイッチングアンプ210〜第3のスイッチングアンプ212のスイッチング周期を長くすることができる。また、第1のヒステリシスコンパレータ205〜第3のヒステリシスコンパレータのヒステリシス幅V_hys1〜V_hys3を広くする(電圧幅を大きくする)ことにより、第1のスイッチングアンプ210〜第3のスイッチングアンプ212のスイッチング周期を長くすることができる。
また、電源回路201における第1のスイッチングアンプ210〜第3のスイッチングアンプ212の平均スイッチング周期は、従来の電源回路903におけるスイッチングアンプ910の平均スイッチング周期と、ほぼ同じか長くなるように定数設計されている。つまり、スイッチングアンプの線形性をスイッチング周期を短くせずに改善できる。従って、第1のスイッチングアンプ210〜第3のスイッチングアンプ212の電力効率は、スイッチングアンプ910の電力効率と同等以上である。以上の特徴から、電源回路201は、従来の電源回路903に比べて、スイッチングアンプの効率を下げずに電力効率の悪いリニアアンプの出力電流を減らすことができるため、電源回路全体の電力効率を上げることができる。これにより、高い線形性、広い周波数帯域幅、大電力及び高い電力効率を両立する電源回路を構成することができる。
以上の効果は、電源回路201が図4に示す構成を備えることにより実現される。即ち、電源回路201は、入力信号を増幅するリニアアンプ203と、リニアアンプ203の出力信号の電流値を検出する電流検出器204と、電流検出器204が検出した電流値に応じて電流を出力する電流出力部と、電流出力部の出力信号の高周波成分を減衰させて出力する第1のローパスフィルタ213〜第3のローパスフィルタ215と、リニアアンプ203の出力と第1のローパスフィルタ213〜第3のローパスフィルタ215の出力とを合成した電力を出力する配線の接続部を備える。ここで電流出力部は、電流検出器204が検出した電流値が第1の閾値Th1以上になった場合にHighの信号を出力し、電流値が第2の閾値Th2未満になった場合にLowの信号を出力する第1のヒステリシスコンパレータ205と、電流値が第3の閾値Th3以上になった場合にHighの信号を出力し、電流値が第4の閾値Th4未満になった場合にLowの信号を出力する第2のヒステリシスコンパレータ206と、電流値が第5の閾値Th5以上になった場合にHighの信号を出力し、電流値が第6の閾値Th6未満になった場合にLowの信号を出力する第3のヒステリシスコンパレータ207を有する。さらに電流出力部は、電流の吐き出しのみを行い、第1のヒステリシスコンパレータ205からの出力信号がHighである場合に吐き出す電流を増加させる第1のスイッチングアンプ210と、電流の吐き出しと吸い込みの両方を行い、第2のヒステリシスコンパレータ206からの出力信号がHighである場合に吐き出す電流を増加させ、Lowである場合に吐き出す電流を減少させる(電流値が負になった場合を吸い込みと定義する)第2のスイッチングアンプ211と、電流の吸い込みのみを行い、第3のヒステリシスコンパレータ207からの出力信号がLowである場合に吸い込む電流を増加させる第3のスイッチングアンプ212と、を少なくとも有する。
ここで、第1の閾値Th1と第3の閾値Th3にはTh1>Th3の大小関係がある。これは、第2のスイッチングアンプ211の出力電流が、電源回路201から出力されるべき電流と比較して大幅に不足したとき(即ち、図6Aの電流波形IAと電流波形IBの差にあたるリニアアンプ203が出力する電流が所定の閾値以上であるとき)のみ、第1のヒステリシスコンパレータ205がHighの信号を出力するようにするためである。この設定により、リニアアンプ203の出力電流の増加に追従して第1のスイッチングアンプ210は電流を吐き出して、第1のスイッチングアンプ210〜第3のスイッチングアンプ212の出力電流の和(図6Aの電流波形IB)と電源回路201から出力される電流(図6Aの電流波形IA)との差を減少させるようにすることができる。これにより、リニアアンプ203の出力電流が軽減され、電力効率をより改善することができる。
また、第4の閾値Th4と第6の閾値Th6にはTh4>Th6の大小関係がある。これは、第2のスイッチングアンプ211の出力電流が、電源回路201から出力されるべき電流と比較して大幅に過剰であるとき(即ち、図6Aの電流波形IAと電流波形IBの差にあたるリニアアンプ203が出力する電流が所定の閾値未満であるとき)のみ、第3のヒステリシスコンパレータ207がLowの信号を出力するようにするためである。この設定により、リニアアンプ203の出力電流の減少に追従して第3のスイッチングアンプ212は電流を吸い込んで、第1のスイッチングアンプ210〜第3のスイッチングアンプ212の出力電流の和(図6Aの電流波形IB)と電源回路201から出力される電流(図6Aの電流波形IA)との差を減少させるようにすることができる。これにより、リニアアンプ203の出力電流が軽減され、電力効率をより改善することができる。
また、第2の閾値Th2は第5の閾値Th5よりも大きな値である。このため、上述の通り、第1のローパスフィルタ213、第3のローパスフィルタ215や第1のスイッチングアンプ210、第3のスイッチングアンプ212の寄生抵抗による電力損失が軽減できる。
第1のスイッチングアンプ210〜第3のスイッチングアンプ212は、上述した構成を有することにより、簡易に構成することができる。ただし第1のスイッチングアンプ210〜第3のスイッチングアンプ212の構成は、図4に示した通りに限られない。例えば、スイッチングアンプ内のスイッチは、NMOSトランジスタ又はPMOSトランジスタに限られない。
なお図4の電源回路201の回路図では、第1のスイッチングアンプ210〜第3のスイッチングアンプ212の電源は共通のDC電源216であるが、それぞれのスイッチングアンプに個別のDC電源が接続され、各DC電源から異なる電圧がそれぞれのスイッチングアンプに与えられていてもよい。
また、電源回路201は、図1の電源回路103と置き換えることで、ポーラ変調型電力増幅器の一部として使用できる。このとき、振幅信号入力端子102は信号入力端子202に相当し、電力供給端子111は信号出力端子217に相当する。このように電力増幅器を構成することにより、電力増幅器全体の電力効率を上げることができる。これにより、高い線形性、広い周波数帯域幅、大電力及び高い電力効率を両立する電力増幅器を構成することができる。
なお、実施の形態2における電流値の閾値の大小関係は、Th1>Th3>Th2>Th5>Th4>Th6の関係だけでなくてもよい。例えば、Th1>Th2>Th5>Th3>Th4>Th6でもよいし、Th1>Th3>Th5>Th2>Th4>Th6でもよい。ただし、電流値の第1の閾値Th1〜第6の閾値Th6は、Th1≠Th3かつTh4≠Th6、又は、Th3≠Th5かつTh2≠Th4、又は、Th1≠Th5かつTh4≠Th6、又は、Th3≠Th5かつTh2≠Th6、又は、Th1≠Th3かつTh2≠Th6、又は、Th1≠Th5かつTh2≠Th4の少なくともいずれかを満たす必要がある。
実施の形態3
以下、図面を参照して本発明の実施の形態3について説明する。図7は、本発明の実施形態に係る電源回路301の構成例を示すブロック図である。
電源回路301は、信号入力端子302と、リニアアンプ303と、電流検出器304と、第1のヒステリシスコンパレータ305と、第2のヒステリシスコンパレータ306と、第3のヒステリシスコンパレータ307と、インバータ308、309及び310と、第1のスイッチングアンプ311と、第2のスイッチングアンプ312と、第1のローパスフィルタ313と、第2のローパスフィルタ314と、DC電源315と、信号出力端子316と、を備える。
信号入力端子302には、増幅対象の信号が入力される。リニアアンプ303は、信号入力端子302から入力された信号を増幅し、信号出力端子316へと出力する。電流検出器304は、リニアアンプ303が信号出力端子316へと出力した信号の電流値を検出して、第1のヒステリシスコンパレータ305、第2のヒステリシスコンパレータ306、第3のヒステリシスコンパレータ307へ出力する。信号入力端子302、リニアアンプ303、電流検出器304は、それぞれ図4における信号入力端子202、リニアアンプ203、電流検出器204に対応する。
第1のヒステリシスコンパレータ305は、入力された電流検出器304からの出力信号のHigh−Low判定を実行して、判定結果をインバータ308に出力する。第2のヒステリシスコンパレータ306は、入力された電流検出器304からの出力信号のHigh−Low判定を実行して、判定結果をインバータ309に出力する。第3のヒステリシスコンパレータ307は、入力された電流検出器304からの出力信号のHigh−Low判定を実行して、判定結果をインバータ310に出力する。第1のヒステリシスコンパレータ305〜第3のヒステリシスコンパレータ307は、それぞれ図4における第1のヒステリシスコンパレータ205〜第3のヒステリシスコンパレータ207に対応する。
インバータ308は、第1のヒステリシスコンパレータ305の出力を反転して、第1のスイッチングアンプ311に出力する。インバータ309は、第2のヒステリシスコンパレータ306の出力を反転して、第2のスイッチングアンプ312に出力する。インバータ310は、第3のヒステリシスコンパレータ307の出力を反転して、第1のスイッチングアンプ311に出力する。インバータ309〜インバータ310は、それぞれ図4におけるインバータ208〜インバータ209に対応する。
第1のスイッチングアンプ311には、インバータ308及びインバータ310からの出力が制御信号として入力される。第1のスイッチングアンプ311は、その入力信号に基づいて、スイッチング信号を第1のローパスフィルタ313に出力する。第2のスイッチングアンプ312には、インバータ309からの出力が入力される。第2のスイッチングアンプ312は、その入力を増幅して第2のローパスフィルタ314に出力する。第1のスイッチングアンプ311は、図4における第1のスイッチングアンプ210及び第3のスイッチングアンプ212に対応し、第2のスイッチングアンプ312は、図4における第2のスイッチングアンプ211に対応する。
さらに言えば、図7の電源回路301の構成は、図4の電源回路201において、第1のスイッチングアンプ210の出力ノードと第3のスイッチングアンプ212の出力ノードを接続した構成である。このとき、図4の電源回路201の第1のローパスフィルタ213と第3のローパスフィルタ215は合成され、図7の第1のローパスフィルタ313となっている。
以下、第1のスイッチングアンプ311及び第2のスイッチングアンプ312の詳細について説明する。
第1のスイッチングアンプ311は、PMOSの駆動トランジスタ317(High側スイッチ)、NMOSの駆動トランジスタ318(Low側スイッチ)、ダイオード319(High側ダイオード)及びダイオード320(Low側ダイオード)を有する。駆動トランジスタ317、318、ダイオード319及び320はそれぞれ、図4の駆動トランジスタ218、223、ダイオード222及び219に対応する。
駆動トランジスタ317は、ソースがDC電源315、ゲートがインバータ308、ドレインが第1のローパスフィルタ313、駆動トランジスタ318のドレイン、ダイオード319のアノード及びダイオード320のカソードにそれぞれ接続されている。換言すれば、駆動トランジスタ317は、DC電源315と第1のローパスフィルタ313へと繋がる出力ノードとの間に挿入されている。
ここで、駆動トランジスタ317のゲートに所定の閾値電圧未満の電圧が入力された場合に駆動トランジスタ317から第1のローパスフィルタ313に流れる電流の時間微分値は正になり、それ以外の場合は駆動トランジスタ317から第1のローパスフィルタ313に流れる電流値はゼロになる。つまり、駆動トランジスタ317のゲートに所定の閾値電圧未満の電圧が入力された場合に、第1のスイッチングアンプ311は出力電流を増やす。なお、駆動トランジスタ317における閾値電圧は、インバータ308が出力するHighの信号の電圧と、Lowの信号の電圧との間の電圧である。
駆動トランジスタ318は、ドレインが第1のローパスフィルタ313、駆動トランジスタ317のドレイン、ダイオード319のアノード及びダイオード320のカソードに接続されている。また、駆動トランジスタ318のゲートはインバータ310に接続され、ソースは接地されている。換言すれば、駆動トランジスタ318は、第1のローパスフィルタ313へと繋がる出力ノードとグランドとの間に挿入されている。
ここで、駆動トランジスタ317、318は、それぞれ第1のスイッチングアンプ311の内部にあるHigh側スイッチとLow側スイッチとしての役割を果たす。このスイッチのON及びOFFは、第1のヒステリシスコンパレータ305の出力信号と第3のヒステリシスコンパレータ307の出力信号によって制御されている。駆動トランジスタ317は、第1のヒステリシスコンパレータ305の出力信号がHighの時はONとなり、第1のヒステリシスコンパレータ305の出力信号がLowの時はOFFとなる。駆動トランジスタ318は、第3のヒステリシスコンパレータ307の出力信号がHighの時はOFFとなり、第3のヒステリシスコンパレータ307の出力信号がLowの時はONとなる。
ここで、駆動トランジスタ318のゲートに所定の閾値電圧以上の電圧が入力された場合に駆動トランジスタ318から第3のローパスフィルタ313に流れる電流の時間微分値は負になり、それ以外の場合は駆動トランジスタ318から第3のローパスフィルタ313に流れる電流はゼロになる。つまり、駆動トランジスタ318のゲートに所定の閾値電圧以上の電圧が入力された場合に、第1のスイッチングアンプ311は出力電流を減らす。なお、駆動トランジスタ318における所定の閾値電圧は、インバータ310が出力するHighの信号の電圧と、Lowの信号の電圧との間の電圧である。
ダイオード319は、アノードがダイオード320のカソード、駆動トランジスタ317及び318のドレインに接続され、カソードがDC電源315に接続されている。換言すれば、ダイオード319は、駆動トランジスタ317と同様に、DC電源315と第1のローパスフィルタ313へと繋がる出力ノードとの間に挿入されている。
ダイオード320は、アノードが接地され、カソードが第1のローパスフィルタ313、ダイオード319のアノード、駆動トランジスタ317及び318のドレインに接続されている。換言すれば、ダイオード320は、駆動トランジスタ318と同様に、第1のローパスフィルタ313へと繋がる出力ノードとグランドとの間に挿入されている。ここで、ダイオード319は第1のスイッチングアンプ311の電圧がHigh側にあるダイオード(High側ダイオード)であり、ダイオード320は第1のスイッチングアンプ311の電圧がLow側にあるダイオード(Low側ダイオード)である。
第2のスイッチングアンプ312は、PMOSの駆動トランジスタ321とNMOSの駆動トランジスタ322を有する。駆動トランジスタ321及び322はそれぞれ、図4の駆動トランジスタ220及び221に対応する。駆動トランジスタ321は、ソースがDC電源315、ゲートがインバータ309、ドレインが第2のローパスフィルタ314及び駆動トランジスタ322のドレインにそれぞれ接続されている。
駆動トランジスタ322は、ドレインが駆動トランジスタ321のドレイン、ゲートがインバータ309にそれぞれ接続されており、ソースが接地されている。
また、駆動トランジスタ321のゲートに所定の閾値電圧以下の電圧が入力された場合に第2のローパスフィルタ314に流れる電流の時間微分値は正になり、駆動トランジスタ322のゲートに所定の閾値電圧以上の電圧が入力された場合に第2のローパスフィルタ314に流れる電流の時間微分値は負になる。ここで第2のスイッチングアンプ312は、電流の吐き出し及び吸い込みを実行する。また、駆動トランジスタ321、322が同時にドレインとソースの間をショートすることは無い。なお、駆動トランジスタ321及び322における所定の閾値電圧は、インバータ309が出力するHighの信号の電圧と、Lowの信号の電圧との間の電圧である。
第1のローパスフィルタ313は、第1のスイッチングアンプ311の出力信号から高周波成分を取り除き、信号出力端子316へと出力する。第2のローパスフィルタ314は、第2のスイッチングアンプ312の出力信号から高周波成分を取り除き、信号出力端子316へと出力する。第1のローパスフィルタ313、第2のローパスフィルタ314は、それぞれ図4における第1のローパスフィルタ213及び第3のローパスフィルタ215、第2のローパスフィルタ214に対応する。
なお、第1のローパスフィルタ313と第2のローパスフィルタ314は、時定数(又はカットオフ周波数)を変更することができる。第1のローパスフィルタ313と第2のローパスフィルタ314の時定数を大きくする(又はカットオフ周波数を低くする)ことにより、第1のローパスフィルタ313と第2のローパスフィルタ314のスイッチング周期を長くすることができる。実施の形態3における電源回路301では、第1のスイッチングアンプ311および第2のスイッチングアンプ312の平均スイッチング周期は、従来の電源回路903におけるスイッチングアンプ910の平均スイッチング周期と、ほぼ同じか長くなるように定数設計されている。
DC電源315は、第1のスイッチングアンプ311〜第2のスイッチングアンプ312の共通の電源である。DC電源315は、駆動トランジスタ317のソース、ダイオード319のカソード及び駆動トランジスタ321のソースに接続される。DC電源315は、図4におけるDC電源216に対応する。
信号出力端子316からは、リニアアンプ303の出力信号と、第1のローパスフィルタ313の出力信号と、第2のローパスフィルタ314の出力信号と、が電流合成された信号が出力される。このとき、信号出力端子316から出力される信号の電圧波形は、信号入力端子302から入力される信号の電圧波形と相似である。信号出力端子316は、図4における信号出力端子217に対応する。
第1のヒステリシスコンパレータ305〜第3のヒステリシスコンパレータ307の入力電圧と出力電圧の関係は、図5A〜図5Cに示した通りである。つまり、各ヒステリシスコンパレータの閾値電圧の例が図5A〜図5Cに示されている。図5Aでは、第1のヒステリシスコンパレータ305の閾値の一例が示され、図5Bでは、第2のヒステリシスコンパレータ306の閾値の一例が示され、図5Cでは、第3のヒステリシスコンパレータ307の閾値の一例が示されている。
第1のヒステリシスコンパレータ305には、直前の出力状態を保持する機能(ヒステリシス機能)があり、入力電圧の閾値として、High側閾値(V_High1)とLow側閾値(V_Low1)がある。ここでV_High1>V_Low1である。
図5Aの通り、第1のヒステリシスコンパレータ305の直前の出力がLowの場合は、入力信号がV_High1以上になったときに出力がHighに反転する。直前の出力がHighの場合は、入力信号がV_Low1未満になったときに第1のヒステリシスコンパレータ305の出力がLowに反転する。
第2のヒステリシスコンパレータ306には、直前の出力状態を保持する機能があり、入力電圧の閾値として、High側閾値(V_High2)とLow側閾値(V_Low2)がある。ここでV_High2>V_Low2である。
図5Bの通り、第2のヒステリシスコンパレータ306の直前の出力がLowの場合は、入力信号がV_High2以上になったときに出力がHighに反転する。直前の出力がHighの場合は、入力信号がV_Low2未満になったときに第2のヒステリシスコンパレータ306の出力がLowに反転する。
第3のヒステリシスコンパレータ307には、直前の出力状態を保持する機能があり、入力電圧の閾値として、High側閾値(V_High3)とLow側閾値(V_Low3)がある。ここでV_High3>V_Low3である。
図5Cの通り、第3のヒステリシスコンパレータ307の直前の出力がLowの場合は、入力信号がV_High3以上になったときに出力がHighに反転する。直前の出力がHighの場合は、入力信号がV_Low3未満になったときに第3のヒステリシスコンパレータ307の出力がLowに反転する。
ここで、V_High1はV_High2よりも大きく、V_Low2はV_Low3よりも大きい値である。
さらに、図5A〜図5Cの第1のヒステリシスコンパレータ305〜第3のヒステリシスコンパレータ307の閾値の設定において、V_Low1の値はV_High3よりも大きな値である。このように設定すると、図7に示す電源回路301において、駆動トランジスタ317が吐き出す電流の増加と、駆動トランジスタ318が吸い込む電流の増加が同時に起こらなくなる。つまり、以上の設定により、第1のスイッチングアンプ311におけるHigh側スイッチとLow側スイッチとが同時にONになることを防ぐ。この効果は実施の形態2に記載した通りである。
以上、図5に示した第1のヒステリシスコンパレータ305〜第3のヒステリシスコンパレータ307の閾値の設定に基づいて、第1のスイッチングアンプ311及び第2のスイッチングアンプ312は動作する。電源回路301が出力する信号の波形(電流値)を示したグラフは図6Aの第3の電流波形IBの通りである。グラフの詳細な説明は実施の形態2と同様であるため、説明を省略する。
実施の形態2にて前述の通り、図6Aの電流波形IBの方が、図6Bの電流波形ICと比較して、電流波形IAとの誤差が少ない(即ち一致度が高い)ことが分かる。従って、電源回路301のリニアアンプ303は、電源回路903のリニアアンプ906に比べて、出力電流が少ない。
また、電源回路301における第1のスイッチングアンプ311及び第2のスイッチングアンプ312の平均スイッチング周期は、従来の電源回路903におけるスイッチングアンプ910の平均スイッチング周期と、ほぼ同じか長くなるように定数設計されている。従って、第1のスイッチングアンプ311及び第2のスイッチングアンプ312の電力効率は、スイッチングアンプ910の電力効率と同等以上である。以上の特徴から、電源回路301は、従来の電源回路903に比べて、電力効率が高くなる。
さらに、電源回路301特有の効果として、実施の形態2の電源回路201に比較し、必要なローパスフィルタを削減できるということが挙げられる。これにより、電源回路の小型化に寄与することができる。
その他、実施の形態3に記載した電源回路301は、実施の形態2に記載した電源回路201と同様の効果を奏する。
なお図7の電源回路301の回路図では、第1のスイッチングアンプ311及び第2のスイッチングアンプ312の電源は共通のDC電源315であるが、それぞれのスイッチングアンプに個別のDC電源が接続され、各DC電源から異なる電圧がそれぞれのスイッチングアンプに与えられていてもよい。
また、電源回路301は、図1の電源回路103と置き換えることで、ポーラ変調型電力増幅器の一部として使用できる。このとき、振幅信号入力端子102は信号入力端子302に相当し、電力供給端子111は信号出力端子316に相当する。
実施の形態4
以下、図面を参照して本発明の実施の形態4について説明する。図8は、実施の形態4に係る電源回路401の構成例を示すブロック図である。
電源回路401は、信号入力端子402と、リニアアンプ403と、電流検出器404と、並列にN個並べられたヒステリシスコンパレータ405−1〜405−Nと、並列にN−M+1個並べられたインバータ406−M〜406−Nと、並列にN個並べられたスイッチングアンプ407−1〜407−Nと、インダクタ(ローパスフィルタ)408−1〜408−Nと、DC電源409と、信号出力端子410と、を備える。なおNは2以上の整数であり、Mは1以上N以下の整数である。この詳細については後述する。
電源回路401において、ヒステリシスコンパレータ405−1〜405−Nと、スイッチングアンプ407−1〜407−Nと、インダクタ408−1〜408−Nとは、並列に動作している。以降の電源回路401の各部の説明においては、ヒステリシスコンパレータ、スイッチングアンプ及びローパスフィルタの第K列目(以降、断りがない限り、Kは1≦K≦Nの整数)の回路ブロックについて説明する。ここでN個の全ての回路ブロックは同等の機能ブロックを有している。ただし、ヒステリシスコンパレータ405−1〜405−Nと、インダクタ408−1〜408−Nのパラメータは個々に違う値として設定される。また、スイッチングアンプ407−1〜407−Nは内部構造が1種類ではない。この詳細については後述する。
信号入力端子402には、増幅対象の信号が入力される。リニアアンプ403は、信号入力端子402から入力された信号を増幅し、信号出力端子410へと出力する。電流検出器404は、リニアアンプ403が信号出力端子410へと出力した信号の電流値を検出して、ヒステリシスコンパレータ405−1〜405−Nへ出力する。信号入力端子402、リニアアンプ403、電流検出器404は、それぞれ図4における信号入力端子202、リニアアンプ203、電流検出器204に対応する。
ヒステリシスコンパレータ405−Kは、入力された電流検出器404からの出力信号のHigh−Low判定を実行する。1≦K≦M−1であれば、ヒステリシスコンパレータ405−Kは、判定を実行した結果をスイッチングアンプ407−Kに出力する。M≦K≦Nであれば、ヒステリシスコンパレータ405−Kは、判定を実行した結果をインバータ406−Kに出力する。
インバータ406−K(M≦K≦N)は、入力信号の論理レベルを反転して、スイッチングアンプ407−Kに出力する。
スイッチングアンプ407−Kには、ヒステリシスコンパレータ405−Kからの出力(1≦K≦M−1のとき)またはインバータ406−Kからの出力(M≦K≦Nのとき)が入力される。スイッチングアンプ407−Kは、その入力を増幅してインダクタ408−Kに出力する。
以下、ヒステリシスコンパレータ405−Kの詳細について説明する。ヒステリシスコンパレータ405−Kには、直前の出力状態を保持する機能(ヒステリシス機能)があり、入力電圧の閾値として、High側閾値(V_HighK)とLow側閾値(V_LowK)がある。ここでV_HighK>V_LowKである。
ヒステリシスコンパレータ405−Kの直前の出力がLowの場合は、入力信号がV_HighK以上になったときに出力がHighに反転する。直前の出力がHighの場合は、入力信号がV_LowK未満になったときにヒステリシスコンパレータ405−Kの出力がLowに反転する。
さらに、電源回路401の設計においては、ある共通の整数M(1≦M≦N)が予め設定される。N個のヒステリシスコンパレータ405−1〜405−Nのうち、M個のヒステリシスコンパレータ405−1〜405−Mにおいては、M番目のヒステリシスコンパレータにおける閾値V_HighMは、他のヒステリシスコンパレータの閾値V_High1〜V_High(M−1)よりも小さい。また、N個のヒステリシスコンパレータ405−1〜405−Nのうち、N−M+1個のヒステリシスコンパレータ405−M〜405−Nにおいては、M番目のヒステリシスコンパレータにおける閾値V_LowMは、他のヒステリシスコンパレータにおける閾値V_Low(M+1)〜V_LowNよりも大きい。
また、ヒステリシスコンパレータ405−1〜405−Nの閾値は、Kが1以上M以下の条件においては、全てのHigh側閾値V_HighKが異なる値を持つことが望ましい。さらに、KがM以上N以下の条件においては、全てのLow側閾値V_LowKが異なる値を持つことが望ましい。
N個のスイッチングアンプ407−1〜407−Nのうち、M−1個のスイッチングアンプ407−1〜407−(M−1)は、インダクタ408−1〜408−(M−1)を介して信号出力端子410に電流吐出しのみを実行する。このスイッチングアンプの具体的な構成例が、図8にスイッチングアンプ407−1の構成として記載されている。なおスイッチングアンプ407−1〜407−(M−1)は、図4の第1のスイッチングアンプ210に対応する。
スイッチングアンプ407−1は、NMOSの駆動トランジスタ411とダイオード412を有する。駆動トランジスタ411は、ドレインがDC電源409、ゲートがヒステリシスコンパレータ405−1、ソースがインダクタ408−1及びダイオード412にそれぞれ接続されている。ダイオード412は、アノードが接地され、カソードが駆動トランジスタ411のソース及びスイッチングアンプ407−1の出力(つまりインダクタ408−1の入力)と同じノードに接続されている。このように、スイッチングアンプ407−1のHigh側にスイッチである駆動トランジスタ411を設け、スイッチングアンプ407−1のLow側にダイオード412を設けることにより、スイッチングアンプ407−1が電流の吐き出しのみを行うようにすることを簡単に実現することができる。ここで、スイッチングアンプ407−1におけるHigh側のスイッチ(駆動トランジスタ411)は、入力信号がHighの時はDC電源409と出力ノード間がショートになり、入力信号がLowの時はDC電源409と出力ノード間がオープンになる。スイッチングアンプ407−2〜407−(M−1)も、スイッチングアンプ407−1と同様の構成を有する。なお駆動トランジスタ411、ダイオード412は、それぞれ図4の駆動トランジスタ218、ダイオード219に対応する。
ここで、駆動トランジスタ411のゲートに所定の閾値電圧以上の電圧が入力された場合にインダクタ408−1に流れる電流の時間微分値は正になり、それ以外の場合はインダクタ408−1に流れる電流の時間微分値は負かゼロになる。つまり、駆動トランジスタ411のゲートに所定の閾値電圧以上の電圧が入力された場合に、スイッチングアンプ407−1は出力電流を増やす。なお、駆動トランジスタ411における所定の閾値電圧は、ヒステリシスコンパレータ405−1が出力するHighの信号の電圧と、Lowの信号の電圧との間の電圧である。
一方で、N個のスイッチングアンプ407−1〜407−Nのうち、N−M個のスイッチングアンプ407−(M+1)〜407−Nは、電流吸い込みのみを実行する。このスイッチングアンプの具体的な構成例が、図8にスイッチングアンプ407−Nの構成として記載されている。なおスイッチングアンプ407−(M+1)〜407−Nは、図4の第3のスイッチングアンプ212に対応する。
スイッチングアンプ407−Nは、ダイオード415とNMOSの駆動トランジスタ416とを有する。ダイオード415は、アノードが駆動トランジスタ416のドレイン及びスイッチングアンプ407−Nの出力(つまりインダクタ408−Nの入力)と同じノードに接続され、カソードがDC電源409にそれぞれ接続されている。
駆動トランジスタ416は、ドレインがダイオード415のアノード及びインダクタ408−N、ゲートがインバータ406−Nにそれぞれ接続され、ソースが接地されている。このように、スイッチングアンプ407−NのLow側にスイッチである駆動トランジスタ416を設け、スイッチングアンプ407−NのHigh側にダイオード415を設けることにより、スイッチングアンプ407−Nが電流の吸い込みのみを行うようにすることを簡単に実現することができる。ここで、スイッチングアンプ407−NにおけるLow側のスイッチ(駆動トランジスタ416)は、入力信号がLowの時はグランドと出力ノード間がオープンになり、入力信号がHighの時はグランドと出力ノード間がショートになる。つまり、スイッチングアンプ407−NにおけるLow側のスイッチは、ヒステリシスコンパレータ405−Nの出力信号がHighの時はグランドと出力ノード間がオープンになり、入力信号がLowの時はグランドと出力ノード間がショートになる。
ここで、駆動トランジスタ416のゲートに所定の閾値電圧以上の電圧が入力された場合にインダクタ408−Nに流れる電流の時間微分値は負になり、それ以外の場合はインダクタ408−Nに流れる電流の時間微分値は正かゼロになる。なお、駆動トランジスタ416における所定の閾値電圧は、インバータ406−Nが出力するHighの信号の電圧と、Lowの信号の電圧との間の電圧である。
スイッチングアンプ407−(M+1)〜407−(N−1)も、スイッチングアンプ407−Nと同様の構成を有する。なおダイオード415、駆動トランジスタ416は、それぞれ図4のダイオード222、駆動トランジスタ223に対応する。
スイッチングアンプ407−Mは、PMOSの駆動トランジスタ413とNMOSの駆動トランジスタ414を有する。駆動トランジスタ413は、ソースがDC電源409、ゲートがインバータ406−M、ドレインがインダクタ408−M及び駆動トランジスタ414のドレインにそれぞれ接続されている。なおスイッチングアンプ407−Mは、図4の第2のスイッチングアンプ211に対応する。
駆動トランジスタ414は、ドレインが駆動トランジスタ413のドレイン、ゲートがインバータ406−Mにそれぞれ接続されており、ソースが接地されている。なお駆動トランジスタ413、414は、それぞれ図4の駆動トランジスタ220、221に対応する。
スイッチングアンプ407−Mは、以上の構成を有しているため、駆動トランジスタ413のゲートに閾値電圧未満の電圧が入力された場合、DC電源409(駆動トランジスタ413のソース側)からの電流がインダクタ408−Mに流れる。つまり、駆動トランジスタ413のゲートに所定の閾値電圧以下の電圧が入力された場合にインダクタ408−Mに流れる電流の時間微分値は正になり、駆動トランジスタ414のゲートに所定の閾値電圧以上の電圧が入力された場合にインダクタ408−Mに流れる電流の時間微分値は負になる。また、駆動トランジスタ413、414が同時にドレインとソースの間をショートすることは無い。なお、駆動トランジスタ413及び414における所定の閾値電圧は、インバータ406−Mが出力するHighの信号の電圧と、Lowの信号の電圧との間の電圧である。
スイッチングアンプ407−Mは、インダクタ408−Mを介して信号出力端子410に電流の吐き出し及び吸い込みを行う。この動作は、図8のように、スイッチングアンプ407−MのHigh側にスイッチである駆動トランジスタ413を設け、スイッチングアンプ407−MのLow側に駆動トランジスタ414を設けることにより、簡単に実現することができる。
このとき、スイッチングアンプ407−MのHigh側のスイッチ(駆動トランジスタ413)は、入力信号がHighの時はDC電源409と出力ノード間がオープンになり、入力信号がLowの時はDC電源409と出力ノード間がショートになる。つまり、駆動トランジスタ413は、ヒステリシスコンパレータ405−Mからの出力信号がHighのときにDC電源409と出力ノード間とをショートし、ヒステリシスコンパレータ405−Mからの出力信号がLowのときにDC電源409と出力ノード間をオープンにする。
スイッチングアンプ407−MのLow側のスイッチ(駆動トランジスタ414)は、入力信号がHighの時はグランドと出力ノード間がショートになり、入力信号がLowの時はグランドと出力ノード間がオープンになる。つまり、駆動トランジスタ414は、ヒステリシスコンパレータ405−Mからの出力信号がLowのときにグランドと出力ノード間とをショートし、ヒステリシスコンパレータ405−Mからの出力信号がHighのときにグランドと出力ノード間をオープンにする。
インダクタ408−Kは、スイッチングアンプ407−Kの出力信号から高周波成分を取り除き、信号出力端子410へと出力する。なおインダクタ408−Kは、図4のローパスフィルタ213〜215に対応する。なお、インダクタ408−Kは、時定数(又はカットオフ周波数)を変更することができる。インダクタ408−Kの時定数を大きくする(又はカットオフ周波数を低くする)ことにより、インダクタ408−Kのスイッチング周期を長くすることができる。実施の形態4における電源回路401では、インダクタ408−Kの平均スイッチング周期は、従来の電源回路903におけるスイッチングアンプ910の平均スイッチング周期と、ほぼ同じか長くなるように定数設計されている。
DC電源409は、並列にN個並べられたスイッチングアンプ407−1〜407−Nの共通の電源である。DC電源409は、駆動トランジスタ411のドレイン、駆動トランジスタ413のソース及びダイオード415のカソードに接続される。なおDC電源409は、図4のDC電源216に対応する。
信号出力端子410からは、リニアアンプ403の出力信号と、並列にN個並べられたインダクタ408−1〜408−Nの出力信号と、が電流合成された信号が出力される。このとき、信号出力端子410から出力される信号の電圧波形は、信号入力端子402から入力される信号の電圧波形と相似である。なお信号出力端子410は、図4の信号出力端子217に対応する。
なお、以上に示したヒステリシスコンパレータ405−P(Pは1≦P<Mの整数)とヒステリシスコンパレータ405−Q(QはM<P≦Nの整数)の閾値の設定は、全ての組み合わせのP、Qに対して、V_LowPの値をV_HighQよりも大きな値とすることが考えられる。このように設定すると、全てのP、Qの組み合わせにおいて、スイッチングアンプ407−Pが吐き出す電流の増加と、スイッチングアンプ407−Qが吸い込む電流の増加が同時に起こらなくなる。このため、余計な電流が流れなくなり、スイッチングアンプ407−1〜407−Nとインダクタ408−1〜408−Nの寄生抵抗による電力損失が軽減できる。
ただし、電源回路401に繋ぐ負荷の大きさや信号入力端子402から入力する信号の周波数によっては、スイッチングアンプ407−1〜407−Nのスイッチング周期が短くなりすぎる場合があるため、この閾値設定は必ずしも行われるとは限らない。これは、ヒステリシスコンパレータ405−K(1≦K≦N)のヒステリシス幅(V_HighK-V_LowK)の値が、小さくなるとスイッチングアンプ407−Kのスイッチング周期が短くなり、大きくなるとスイッチングアンプ407−Kのスイッチング周期が長くなるためである。
以上の特徴から、電源回路401は、従来の電源回路903に比べて、スイッチングアンプの効率を下げずに電力効率の悪いリニアアンプの出力電流を減らすことができるため、実施の形態2と同様、電源回路全体の電力効率を上げることができる。これにより、高い線形性、広い周波数帯域幅、大電力及び高い電力効率を両立する電源回路を構成することができる。
さらに、実施の形態4にかかる電源回路401は、スイッチングアンプ407を4個以上備える構成にもできる。この場合、実施の形態2にかかる電源回路201と比較して、より広い周波数帯域幅を有する電源回路を構成することができる。
このような電源回路は、実施の形態2の電源回路と比較して、ヒステリシスコンパレータ及びスイッチングアンプを少なくとも1個さらに備えることにより実現できる。ここで新たに設けられたヒステリシスコンパレータは、例えば電流検出器が検出した電流値が第7の閾値Th7以上になった場合にHighの信号を出力し、電流値が第8の閾値Th8未満になった場合にLowの信号を出力する。新たに設けられたスイッチングアンプは、そのヒステリシスコンパレータからの出力信号がHighである場合に増幅した電流を吐き出す。
あるいは、新たに設けられたヒステリシスコンパレータは、電流検出器が検出した電流値が第9の閾値Th9以上になった場合にHighの信号を出力し、電流値が第10の閾値Th10未満になった場合にLowの信号を出力してもよい。ここで新たに設けられたスイッチングアンプは、そのヒステリシスコンパレータからの出力信号がLowである場合に増幅した電流を吸い込む。このように電源回路においてヒステリシスコンパレータ及びスイッチングアンプを1組以上新たに設けることにより、より広い周波数帯域幅を有する電源回路を構成することができる。
同様に、High側の閾値及びLow側の閾値が設定されたヒステリシスコンパレータと、ヒステリシスコンパレータの出力がHighであれば電流の吐き出しを行い、Lowであれば吸い込みを行うスイッチングアンプが、電源回路にさらに設けられていてもよい。
その他の実施の形態4における電源回路401の効果は、実施の形態2における電源回路201の効果と同様であるため、説明を省略する。
なお図8の電源回路401の回路図では、スイッチングアンプ407−1〜407−Nの電源は共通のDC電源409であるが、それぞれのスイッチングアンプに個別のDC電源が接続され、各DC電源から異なる電圧がそれぞれのスイッチングアンプに与えられていてもよい。
電源回路401において、N=2のとき、Mは1でも2でもよい。あるいは、N=2のとき、電源回路401は、ヒステリシスコンパレータ、インバータ、スイッチングアンプ及びインダクタとして、ヒステリシスコンパレータ405−1及び405−N、インバータ406−N、スイッチングアンプ407−1及び407−N、インダクタ408−1及び408−Nを備えてもよい(他の構成要素については上述と同様に電源回路401に備えられている。)。このとき、ヒステリシスコンパレータ405−1及び405−Nは実施の形態1における第1のヒステリシスコンパレータ112及び第2のヒステリシスコンパレータ113に対応し、インバータ406−Nは実施の形態1におけるインバータ114に対応し、スイッチングアンプ407−1及び407−Nは実施の形態1における第1のスイッチングアンプ115及び第2のスイッチングアンプ116に対応する。このときのヒステリシスコンパレータ405−1及び405−Nにおける入力電圧の閾値の大小関係と、スイッチングアンプ407−1及び407−Nの駆動トランジスタにおける入力電圧の閾値については、実施の形態1において説明した通りである。
また電源回路401において、N=3のとき、Mは1、2、3のいずれの値でもよい。例えばM=2の場合において、ヒステリシスコンパレータ405−1、405−M及び405−Nにおける入力電圧の閾値の大小関係と、スイッチングアンプ407−1、407−M及び407−Nにおける入力電圧の閾値については、実施の形態2において説明した通りである。
また、電源回路401は、図1の電源回路103と置き換えることで、ポーラ変調型電力増幅器の一部として使用できる。このとき、振幅信号入力端子102は信号入力端子402に相当し、電力供給端子111は信号出力端子410に相当する。
実施の形態5
以下、図面を参照して本発明の実施の形態5について説明する。図9は、本発明の実施形態に係る電源回路501の構成例を示すブロック図である。電源回路501は、信号入力端子502と、遅延器503と、デジタル変調器504と、増幅回路ブロック505と、信号出力端子512と、を備える。なお、実施の形態4と同様の説明については適宜省略する。
信号入力端子502には、増幅対象の信号が入力される。遅延器503は、信号入力端子502から入力された信号をリニアアンプ506及びデジタル変調器504に出力する。ここでデジタル変調器504に分配された入力信号を第1の信号とし、リニアアンプ506に分配された入力信号を第2の信号とする。ここで遅延器503は、第1の信号及び第2の信号に、それぞれ異なる所定の遅延時間を与えて出力する。この所定の時間遅延は、第1の信号がデジタル変調器504に入力されてから電流検出器508から出力されるまでの第1の経路と、第2の信号がリニアアンプ506に入力されてから電流検出器508から出力されるまでの第2の経路とで、時間差が生じないように設定される。
デジタル変調器504には、遅延器503が出力した第1の信号が入力される。デジタル変調器504は、第1の信号を内部のADコンバータを通して数Nの1ビット・デジタル信号に変換する(Nは2以上の整数)。デジタル変調器504の詳細な構成については後述する。
増幅回路ブロック505には、デジタル変調器504からの数Nの1ビット・デジタル信号と、遅延器503からの第2の信号が入力される。増幅回路ブロック505は、信号入力端子502から入力した信号の電圧波形と相似の電圧波形を信号出力端子512から出力する。ここで増幅回路ブロック505は、リニアアンプ506と、ハイパスフィルタ507と、電流検出器508と、ローパスフィルタ509と、信号合成器列510と、スイッチングアンプ列511と、を有する。
リニアアンプ506は、遅延器503が出力した第2の信号を増幅し、ハイパスフィルタ507を介して信号出力端子512へと出力する。ハイパスフィルタ507は、リニアアンプ506が出力した信号における低周波信号を減衰させて、信号出力端子512へと出力する。電流検出器508は、リニアアンプ506がハイパスフィルタ507を介して信号出力端子512へと出力した信号の電流値を、ハイパスフィルタ507と信号出力端子512の間で検出して、ローパスフィルタ509に出力する。ローパスフィルタ509は、電流検出器508が検出したリニアアンプ506の出力電流を示す信号における高周波信号を減衰させて出力する。なおリニアアンプ506は、図8におけるリニアアンプ403に対応し、ほぼ同じように動作する(即ち、出力電流を同じように出力する)。
信号合成器列510は、ローパスフィルタ509の出力信号とデジタル変調器504から出力された数Nのデジタル信号を合成することにより、数Nの合成信号を出力する。スイッチングアンプ列511は、信号合成器列510から出力された数Nの合成信号が入力される。スイッチングアンプ列511は、入力された信号を増幅して、信号出力端子512に出力する。信号合成器列510及びスイッチングアンプ列511の詳細な構成については後述する。
ハイパスフィルタ507の出力とスイッチングアンプ列511の出力とは同じノードに接続されている(ただし、この間には電流検出器508のプローブ部分が接続されている)。このようにして、リニアアンプ506がハイパスフィルタ507を介して信号出力端子512へ出力した信号は、スイッチングアンプ列511の出力信号と電流合成され、信号出力端子512から外部へ出力される。
なお、図9の電源回路501において、ハイパスフィルタ507のカットオフ周波数を、スイッチングアンプ列511内にあるローパスフィルタ553−1〜553−Nのカットオフ周波数よりも低い周波数に設計する。
図10は、デジタル変調器504の構成例を示したブロック図である。デジタル変調器504は、第1の減算器521−1〜521−Nと、第1の増幅器522−1〜522−Nと、積分器523−1〜523−Nと、加算器524と、第2の減算器525と、ヒステリシスコンパレータ526−1〜526−Nと、第2の増幅器527−1〜527−Nと、第3の増幅器528と、を備える。ここで第1の減算器521−K(以降、断りがない限り、Kは1≦K≦Nの整数)と、第1の増幅器522−Kと、積分器523−Kと、加算器524と、第2の減算器525と、ヒステリシスコンパレータ526−Kと、第2の増幅器527−Kと、第3の増幅器528とは、K番目の信号のADコンバータとして機能する。
デジタル変調器504においては、第1の減算器521−1〜521−N、第1の増幅器522−1〜522−N、積分器523−1〜523−N、ヒステリシスコンパレータ526−1〜526−N及び第2の増幅器527−1〜527−Nは並列に同じ動作をする。ここでは、第K列目の回路ブロックについて説明する。ここでN個の全ての回路ブロックは同等の機能ブロックを有している。ただし、第1の増幅器522−1〜522−N、第2の増幅器527−1〜527−N、ヒステリシスコンパレータ526−1〜526−Nのパラメータは個々に違う値として設定する。
以下、デジタル変調器504の構成の詳細について説明する。第1の減算器521−Kには、第2の増幅器527−Kの出力信号と遅延器503から出力された第1の信号が入力される。第1の減算器521−Kは、第2の増幅器527−Kの出力信号から、第1の信号を減算して出力する。
第1の増幅器522−Kには、第1の減算器521−Kの出力信号が入力されている。第1の増幅器522−Kは、その入力信号を予め定められた利得で増幅して出力する。積分器523−Kには、第1の増幅器522−Kの出力信号が入力されており、積分器523−Kは、入力された信号を時間積分して出力する。なお積分器523−Kの詳細な構成については後述する。
加算器524には、N個の全ての積分器523−1〜523−Nの出力信号が入力されており、加算器524はその全ての信号を加算して出力する。
第3の増幅器528には、遅延器503から入力された第1の信号が入力されており、第3の増幅器528は入力された信号を予め定められた利得で増幅して出力する。
第2の減算器525には、加算器524の出力信号と第3の増幅器528の出力信号が入力される。第2の減算器525は、第3の増幅器528の出力信号から、加算器524の出力信号を減算して出力する。なお第2の減算器525が出力する出力信号は、リニアアンプ506(又はハイパスフィルタ507)の出力電流の推測値を、演算により求めたものといえる。
ヒステリシスコンパレータ526−Kには、第2の減算器525の出力信号が入力される。ヒステリシスコンパレータ526−Kは、第2の減算器525の出力信号(デジタル信号)の数値と所定の閾値とのHigh−Low判定を実行して、その結果を信号合成器列510へ出力する。出力信号の数値とは、例えば16ビットの数値であり、ヒステリシスコンパレータ526−Kはその数値と所定の閾値との数値とのHigh−Low判定を実行する。
ヒステリシスコンパレータ526−Kには、直前の出力状態を保持する機能(ヒステリシス機能)があり、入力電圧の閾値として、High側閾値(V_HighK)とLow側閾値(V_LowK)がある。ここでV_HighK>V_LowKである。ヒステリシスコンパレータ526−Kの直前の出力がLowの場合は、入力信号がV_HighK以上になったときに出力がHighに反転する。直前の出力がHighの場合は、入力信号がV_LowK未満になったときにヒステリシスコンパレータ526−Kの出力がLowに反転する。
さらに、デジタル変調器504の設計においては、ある共通の整数M(1≦M≦N)が予め設定される。N個のヒステリシスコンパレータ526−1〜526−Nのうち、M個のヒステリシスコンパレータ526−1〜526−Mにおいては、M番目のヒステリシスコンパレータにおける閾値V_HighMは、他のヒステリシスコンパレータの閾値V_High1〜V_High(M−1)よりも小さい。また、N個のヒステリシスコンパレータ526−1〜526−Nのうち、N−M+1個のヒステリシスコンパレータ526−M〜806−Nにおいては、M番目のヒステリシスコンパレータにおける閾値V_LowMは、他のヒステリシスコンパレータにおける閾値V_Low(M+1)〜V_LowNよりも大きい。
また、ヒステリシスコンパレータ526−1〜526−Nの閾値は、Kが1以上M以下の条件においては、全てのHigh側閾値V_HighKが異なる値を持つことが望ましい。さらに、KがM以上N以下の条件においては、全てのLow側閾値V_LowKが異なる値を持つことが望ましい。
第2の増幅器527−Kには、ヒステリシスコンパレータ526−Kの出力信号が入力される。第2の増幅器527−Kは、ヒステリシスコンパレータ526−Kの出力信号を、予め定められた利得で増幅して第1の減算器521−Kに出力する。
なお、第1の減算器521−K〜積分器523−Kは、第1の信号の大きさと、第2の増幅器527−Kを介してヒステリシスコンパレータ526−Kから出力された信号(N=2の場合は第3の信号又は第4の信号であり、N=3の場合は第3の信号、第4の信号又は第5の信号)の大きさとを比較し、比較結果を積分して出力する比較部として機能する。この比較部はデジタル変調器504においてN個備えられる。例えばN=2であればデジタル変調器504は第1の減算器521−K〜積分器523−Kの組として第1の比較部及び第2の比較部を備え、N=3であれば第1の減算器521−K〜積分器523−Kの組として第1の比較部、第2の比較部及び第3の比較部を備える。
さらに、第2の減算器525は、加算器524の出力信号の大きさと第3の増幅器528が出力した第1の信号の大きさとを比較し、比較結果の信号(N=2の場合は第5の信号、N=3の場合は第6の信号)を出力する比較部として機能する。例えばN=2であれば、デジタル変調器504は第2の減算器525として第3の比較部を備え、N=3であれば第2の減算器525として第4の比較部を備える。
以上に示した図10のデジタル変調器504の構成は、図8に示した電源回路401の動作を、デジタル演算で再現したものである。図10の回路から出力される数Nの1ビット・デジタル信号は、図8のN個のヒステリシスコンパレータ405−1〜405−Nから出力される数Nの信号と等価である。また、第2の減算器525は電流検出器404に、ヒステリシスコンパレータ526−1〜526−Nはヒステリシスコンパレータ405−1〜405−Nに、第1の増幅器522−1〜522−Nおよび積分器523−1〜523−Nはインダクタ408−1〜408−Nに対応する。
図11A〜図11Cは、積分器523−1〜523−Nの構成例を示したブロック図である。以下、積分器の詳細な構成について説明する。
積分器523−Kは、1≦K<Mの時は図11Aの構成を有し、K=Mの時は図13Bの構成を有し、M<K≦Nの時は図11Cの構成を有する。
図11Aの構成の積分器523−1は、加算器531a、遅延器532a及びセレクタ533aを有する。加算器531aには、第1の増幅器522−1から出力された信号と、積分器523−1が加算器524へ出力する信号が入力される。加算器531aは、それらの信号の和を遅延器532aに出力する。
遅延器532aには、加算器531aからの出力信号が入力される。遅延器532aは、入力された信号を1クロック遅らせて出力する。
セレクタ533aは、遅延器532aから入力された出力信号が0以上か否かを判定する。セレクタ533aは、遅延器532aの出力信号が0以上の場合は遅延器532aの出力信号をそのまま出力する。セレクタ533aは、遅延器532aの出力信号が0よりも小さい場合は0を出力する。セレクタ533aは、出力信号を加算器531aと加算器524へ出力する。
図11Bの構成の積分器523−Mは、加算器531b及び遅延器532bを有する。加算器531bには、第1の増幅器522−Mから出力された信号と、積分器523−Mが加算器524へ出力する信号が入力される。加算器531bは、それらの信号の和を遅延器532bに出力する。
遅延器532bには、加算器531bからの出力信号が入力される。遅延器532bは、入力された信号を1クロック遅らせて出力する。遅延器532bは、出力信号を加算器531bと加算器524へ出力する。
図11Cの構成の積分器523−Nは、加算器531c、遅延器532c及びセレクタ533cを有する。加算器531cには、第1の増幅器522−Nから出力された信号と、積分器523−Nが加算器524へ出力する信号が入力される。加算器531cは、それらの信号の和を遅延器532cに出力する。
遅延器532cには、加算器531cからの出力信号が入力される。遅延器532cは、入力された信号を1クロック遅らせて出力する。
セレクタ533cは、遅延器532cから入力された出力信号が0以下か否かを判定する。セレクタ533cは、遅延器532cの出力信号が0以下の場合は遅延器532cの出力信号をそのまま出力する。セレクタ533cは、遅延器532cの出力信号が0よりも大きい場合は0を出力する。セレクタ533cは、出力信号を加算器531cと加算器524へ出力する。
次に、信号合成器列510の詳細な構成について説明する。図12は、信号合成器列510の構成例を示したブロック図である。信号合成器列510は、N個の信号合成器541−1〜541−Nを有する。信号合成器列510においては、信号合成器541−1〜541−Nは並列に同じ動作をする。ここでは、第K列目(Kは1≦K≦Nの整数)の回路ブロックについて説明するが、N個の全ての回路ブロックは同等の機能ブロックを有している。ただし、信号合成器541−1〜541−Nのパラメータは個々に違う値として設定する。さらに、信号合成器列510の設計においては、デジタル変調器504と同様の整数M(1≦M≦N)が予め設定される。
信号合成器541−Kは、スロープ生成回路542−K、加算器543−K及びコンパレータ544−Kを有する。
スロープ生成回路542−Kには、ヒステリシスコンパレータ526−Kから出力された、1ビットのデジタル信号が入力される。スロープ生成回路542−Kは、入力された1ビットのデジタル信号の信号波形にスルーレートの制限を加えることにより、デジタル信号のHighとLowの状態を遷移する期間を長くして信号波形に傾斜をつける。加算器543−Kは、スロープ生成回路542−Kの出力信号と、ローパスフィルタ509の出力信号とをアナログ加算してコンパレータ544−Kに出力する。コンパレータ544−Kは、加算器543−Kの出力信号を、所定の閾値電圧と比較し、出力信号の電圧が閾値電圧よりも高いときはHighの信号を出力し、逆に出力信号の電圧がその閾値電圧よりも低いときはLowの信号を出力する。
以上に示した構成により、信号合成器541−Kは、ヒステリシスコンパレータ526−Kが出力した信号とローパスフィルタ509が出力した信号とを合成して出力する。
次に、スイッチングアンプ列511の詳細な構成について説明する。図13は、スイッチングアンプ列511の構成例を示したブロック図である。スイッチングアンプ列511は、インバータ551−M〜551−Nと、スイッチングアンプ552−1〜552−Nと、ローパスフィルタ553−1〜553−Nと、DC電源554と、を有する。
以降のスイッチングアンプ列511の各部の説明においては、スイッチングアンプ及びローパスフィルタの第K列目(Kは1≦K≦Nの整数)の回路ブロックについて説明する。ここでN個の全ての回路ブロックは同等の機能ブロックを有している。ただし、ローパスフィルタ553−1〜553−Nのパラメータは個々に違う値として設定される。また、スイッチングアンプ552−1〜552−Nは内部構造が1種類ではない。この詳細については後述する。さらに、スイッチングアンプ列511の設計においては、デジタル変調器504、信号合成器列510と同様の整数M(1≦M≦N)が予め設定される。
インバータ551−K(M≦K≦N)は、信号合成器541−K(コンパレータ544−K)からの入力信号の論理レベルを反転して、スイッチングアンプ552−K(M≦K≦N)に出力する。
スイッチングアンプ552−K(1≦K≦M−1)には、信号合成器541−K(コンパレータ544−K)からの出力信号が入力される。スイッチングアンプ552−K(M≦K≦N)には、インバータ551−Kからの出力信号が入力される。スイッチングアンプ552−Kは、その入力された信号を増幅してローパスフィルタ553−Kに出力する。
N個のスイッチングアンプ552−1〜552−Nのうち、M−1個のスイッチングアンプ552−1〜552−(M−1)は、ローパスフィルタ553−1〜553−(M−1)を介して信号出力端子512に電流吐出しのみを実行する。このスイッチングアンプの具体的な構成例が、図13にスイッチングアンプ552−1の構成として記載されている。なおスイッチングアンプ552−1〜552−(M−1)は、図8のスイッチングアンプ407−1〜407−(M−1)に対応する。
スイッチングアンプ552−1は、NMOSの駆動トランジスタ555とダイオード556を有する。駆動トランジスタ555は、ドレインがDC電源554、ゲートが信号合成器541−1、ソースがローパスフィルタ553−1及びダイオード556にそれぞれ接続されている。ダイオード556は、アノードが接地され、カソードが駆動トランジスタ555のソース及びスイッチングアンプ552−1の出力(つまりローパスフィルタ553−1の入力)と同じノードに接続されている。このように、スイッチングアンプ552−1のHigh側にスイッチである駆動トランジスタ555を設け、スイッチングアンプ552−1のLow側にダイオード556を設けることにより、スイッチングアンプ552−1が電流の吐き出しのみを行うようにすることを簡単に実現することができる。換言すれば、スイッチングアンプ552−1は、信号合成器510を介してヒステリシスコンパレータ526−1(第1のヒステリシスコンパレータ)から出力された信号がHighである場合に出力電流を増やす。
ここで、スイッチングアンプ552−1におけるHigh側のスイッチ(駆動トランジスタ555)は、入力信号がHighの時はDC電源554と出力ノード間がショートになり、入力信号がLowの時はDC電源554と出力ノード間がオープンになる。スイッチングアンプ552−2〜552−(M−1)も、スイッチングアンプ552−1と同様の構成を有する。なお駆動トランジスタ555、ダイオード556は、それぞれ図8の駆動トランジスタ411、ダイオード412に対応する。
なお、駆動トランジスタ555のゲートに所定の閾値電圧以上の電圧が入力された場合にローパスフィルタ553−1に流れる電流の時間微分値は正になり、それ以外の場合はローパスフィルタ553−1に流れる電流の時間微分値は負かゼロになる。つまり、駆動トランジスタ555のゲートに所定の閾値電圧以上の電圧が入力された場合に、スイッチングアンプ552−1は出力電流を増やす。ここでスイッチングアンプ552−1は、電流の吐き出しのみを実行する。なお、駆動トランジスタ555における所定の閾値電圧は、コンパレータ544−1が出力するHighの信号の電圧と、Lowの信号の電圧との間の電圧である。
一方で、N個のスイッチングアンプ552−1〜552−Nのうち、N−M個のスイッチングアンプ552−(M+1)〜552−Nは、電流吸い込みのみを実行する。このスイッチングアンプの具体的な構成例が、図13にスイッチングアンプ552−Nの構成として記載されている。なおスイッチングアンプ552−(M+1)〜552−Nは、図8のスイッチングアンプ407−(M+1)〜407−Nに対応する。
スイッチングアンプ552−Nは、ダイオード559とNMOSの駆動トランジスタ560とを有する。ダイオード559は、アノードが駆動トランジスタ560のドレイン及びスイッチングアンプ552−Nの出力(つまりローパスフィルタ553−Nの入力)と同じノードに接続され、カソードがDC電源554にそれぞれ接続されている。
駆動トランジスタ560は、ドレインがダイオード559のアノード及びローパスフィルタ553−N、ゲートがインバータ551−Nにそれぞれ接続され、ソースが接地されている。このように、スイッチングアンプ552−NのLow側にスイッチである駆動トランジスタ560を設け、スイッチングアンプ407−NのHigh側にダイオード559を設けることにより、スイッチングアンプ552−Nが電流の吸い込みのみを行うようにすることを簡単に実現することができる。換言すれば、スイッチングアンプ552−Nは、信号合成器510を介してヒステリシスコンパレータ526−N(第3のヒステリシスコンパレータ)から出力された信号がLowである場合に出力電流を減らす。
ここで、スイッチングアンプ552−NにおけるLow側のスイッチ(駆動トランジスタ560)は、入力信号がHighの時はグランドと出力ノード間がショートになり、入力信号がLowの時はグランドと出力ノード間がオープンになる。スイッチングアンプ552−(M+1)〜552−(N−1)も、スイッチングアンプ552−1と同様の構成を有する。なおダイオード559、駆動トランジスタ560は、それぞれ図8のダイオード415、駆動トランジスタ416に対応する。
なお、駆動トランジスタ560のゲートに所定の閾値電圧以上の電圧が入力された場合にローパスフィルタ553−Nに流れる電流の時間微分値は負になり、それ以外の場合はローパスフィルタ553−Nに流れる電流の時間微分値は正かゼロになる。ここでスイッチングアンプ552−Nは、電流の吸い込みのみを実行する。なお、駆動トランジスタ560における所定の閾値電圧は、インバータ551−Nが出力するHighの信号の電圧と、Lowの信号の電圧との間の電圧である。
スイッチングアンプ552−Mは、PMOSの駆動トランジスタ557とNMOSの駆動トランジスタ558を有する。駆動トランジスタ557は、ソースがDC電源554、ゲートがインバータ551−M、ドレインがローパスフィルタ553−M及び駆動トランジスタ558のドレインにそれぞれ接続されている。なおスイッチングアンプ552−Mは、図8の第2のスイッチングアンプ407−Mに対応する。
駆動トランジスタ558は、ドレインが駆動トランジスタ557のドレイン、ゲートがインバータ551−Mにそれぞれ接続されており、ソースが接地されている。なお駆動トランジスタ557、558は、それぞれ図8の駆動トランジスタ413、414に対応する。
スイッチングアンプ552−MのHigh側にスイッチである駆動トランジスタ557を設け、スイッチングアンプ552−MのLow側に駆動トランジスタ558を設けることにより、スイッチングアンプ552−Mが電流の吐き出し及び吸い込みを行うようにすることを簡単に実現することができる。換言すれば、スイッチングアンプ552−Mは、信号合成器510を介してヒステリシスコンパレータ526−M(第2のヒステリシスコンパレータ)から出力された信号がHighである場合に出力電流を増やし、Lowである場合に出力電流を減らす。
ここで、スイッチングアンプ552−MのHigh側のスイッチ(駆動トランジスタ557)は、入力信号がHighの時はDC電源554と出力ノード間がオープンになり、入力信号がLowの時はDC電源554と出力ノード間がショートになる。つまり、駆動トランジスタ557は、信号合成器541−Mからの出力信号がHighのときにDC電源554と出力ノード間とをショートし、信号合成器541−Mからの出力信号がLowのときにDC電源554と出力ノード間をオープンにする。
また、スイッチングアンプ552−MのLow側のスイッチ(駆動トランジスタ558)は、入力信号がHighの時はグランドと出力ノード間がショートになり、入力信号がLowの時はグランドと出力ノード間がオープンになる。つまり、駆動トランジスタ558は、信号合成器541−Mからの出力信号がLowのときにグランドと出力ノード間とをショートし、信号合成器541−Mからの出力信号がHighのときにグランドと出力ノード間をオープンにする。
なお、駆動トランジスタ557のゲートに所定の閾値電圧以下の電圧が入力された場合にローパスフィルタ553−Mに流れる電流の時間微分値は正になり、駆動トランジスタ558のゲートに所定の閾値電圧以上の電圧が入力された場合にローパスフィルタ553−Mに流れる電流の時間微分値は負になる。ここでスイッチングアンプ552−Mは、電流の吐き出し及び吸い込みを実行する。また、駆動トランジスタ557、558が同時にドレインとソースの間をショートすることは無い。なお、駆動トランジスタ557及び558における所定の閾値電圧は、インバータ551−Mが出力するHighの信号の電圧と、Lowの信号の電圧との間の電圧である。
ローパスフィルタ553−Kは、スイッチングアンプ552−Kの出力信号から高周波のノイズ成分を取り除き、信号出力端子512へと出力する。なおローパスフィルタ553−Kは、図8のインダクタ408−Kに対応する。
DC電源554は、並列にN個並べられたスイッチングアンプ552−1〜552−Nの共通の電源である。DC電源554は、駆動トランジスタ555のドレイン、駆動トランジスタ557のソース及びダイオード559のカソードに接続される。なおDC電源554は、図8のDC電源409に対応する。
信号出力端子512からは、ハイパスフィルタ507の出力信号と、並列にN個並べられたスイッチングアンプ552−1〜552−Nの出力信号と、が電流合成された信号が出力される。なお信号出力端子512は、図8の信号出力端子410に対応する。
また、スイッチングアンプ552−K(1≦K≦N)のスイッチング周期は、第1の増幅器522−Kの利得と、ヒステリシスコンパレータ526−Kのヒステリシス幅によって決まる。前述の通り、第1の増幅器522−Kは図8のインダクタ408−Kに対応し(第1の増幅器522−Kの利得は、インダクタ408−Kのインダクタンス値に反比例する)、ヒステリシスコンパレータ526−Kは図8のヒステリシスコンパレータ405−Kに対応する。第1の増幅器522−Kの利得が大きくなるとスイッチングアンプ552−Kのスイッチング周期は短くなり、利得が小さくなるとスイッチング周期が長くなる。ヒステリシスコンパレータ526−Kのヒステリシス幅が大きくなるとスイッチングアンプ552−Kのスイッチング周期が長くなり、ヒステリシス幅が小さくなるとスイッチング周期が短くなる。この特性を利用し、実施の形態5における電源回路501では、ローパスフィルタ553−Kの平均スイッチング周期は、従来の電源回路903におけるスイッチングアンプ910の平均スイッチング周期と、ほぼ同じか長くなるように定数設計されている。
なお、以上に示したヒステリシスコンパレータ526−P(Pは1≦P<Mの整数)とヒステリシスコンパレータ526−Q(QはM<Q≦Nの整数)の閾値の設定は、全ての組み合わせのP、Qに対して、V_LowP(−(Vhys_P/2)+Voffset_P)の値をV_HighQ(Vhys_Q/2+Voffset_Q)よりも大きな値とすることが考えられる。Vhys及びVoffsetの定義については上述の通りである。このように設定すると、全てのP、Qの組み合わせにおいて、スイッチングアンプ552−Pが吐き出す電流の増加と、スイッチングアンプ552−Qが吸い込む電流の増加が同時に起こらなくなる。このため、余計な電流が流れなくなり、スイッチングアンプ552−1〜552−Nとローパスフィルタ553−1〜553−Nの寄生抵抗による電力損失が軽減できる。
ただし、電源回路501に繋ぐ負荷の大きさや信号入力端子502から入力する信号の周波数によっては、スイッチングアンプ552−1〜552−Nのスイッチング周期が短くなりすぎる場合があるため、この閾値設定は必ずしも行われるとは限らない。
電源回路501は、実施の形態4における電源回路401の動作を、デジタル演算で再現することができる。その他の実施の形態5における電源回路501の効果は、実施の形態4における電源回路401の効果と同様であるため、説明を省略する。
なお電源回路501では、信号合成器列510のうち信号合成器541−1〜541−Nは必ずしも全て設けられていなくともよい。換言すれば、デジタル変調器504からの入力信号すべてに対して信号合成器が設けられていなくともよい。つまり、デジタル変調器504からの入力される数Nの信号のうち、少なくとも1つの信号が信号合成器によってローパスフィルタ509の出力信号と合成されているだけで良い。ヒステリシスコンパレータ526−Kから入力した信号に対して信号合成器による演算処理が加えられない場合は、1≦K≦M−1ではスイッチングアンプ552−Kにヒステリシスコンパレータ526−Kの出力信号が直結して入力され、M≦K≦Nではインバータ551−Kにヒステリシスコンパレータ526−Kの出力信号が直結して入力される。
電源回路501においてスイッチングアンプ552−1〜552−Nの電源は共通のDC電源554であるが、それぞれのスイッチングアンプに個別のDC電源が接続され、各DC電源から異なる電圧がそれぞれのスイッチングアンプに与えられていてもよい。
電源回路501において、N=2のとき、Mは1でも2でもよい。あるいは、N=2のとき、電源回路501のデジタル変調器504は、第1の減算器、第1の増幅器、積分器、ヒステリシスコンパレータとして、第1の減算器521−1及び521−N、第1の増幅器522−1及び522−N、積分器523−1及び523−N、ヒステリシスコンパレータ526−1及び526−Nを備えてもよい(他の構成要素については上述と同様にデジタル変調器504に備えられている。)。このとき、ヒステリシスコンパレータ526−1及び526−Nは実施の形態1における第1のヒステリシスコンパレータ112及び第2のヒステリシスコンパレータ113に対応する。
このとき、信号合成器510は信号合成器541−1及び541−Nのみを備える。また、スイッチングアンプ列511は、インバータ、スイッチングアンプ及びローパスフィルタとして、インバータ551−N、スイッチングアンプ552−1及び552−N、ローパスフィルタ553−1及び553−Nを備えてもよい(他の構成要素については上述と同様にスイッチングアンプ列511に備えられている。)。ここでインバータ551−Nは実施の形態1におけるインバータ114に対応し、スイッチングアンプ552−1及び552−Nは実施の形態1における第1のスイッチングアンプ115及び第2のスイッチングアンプ116に対応する。このときのヒステリシスコンパレータ526−1及び526−Nにおける入力電圧の閾値の大小関係については、実施の形態1において説明した通りである。
また電源回路401において、N=3のとき、Mは1、2、3のいずれの値でもよい。例えばM=2の場合において、ヒステリシスコンパレータ405−1、405−M及び405−Nにおける入力電圧の閾値の大小関係については、実施の形態2において説明した通りである。
また、電源回路501は、図1の電源回路103と置き換えることで、ポーラ変調型電力増幅器の一部として使用できる。このとき、振幅信号入力端子102は信号入力端子502に相当し、電力供給端子111は信号出力端子512に相当する。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、ヒステリシスコンパレータは、入力信号の電圧が所定の閾値以上になった場合にHighの信号を出力し、入力信号の電圧が所定の閾値未満になった場合にLowの信号を出力するが、出力する信号のレベルは逆でもよい。つまり、ヒステリシスコンパレータは、入力信号の電圧が所定の閾値以上になった場合にLowの信号を出力し、入力信号の電圧が所定の閾値未満になった場合にHighの信号を出力してもよい。このヒステリシスコンパレータに接続されたスイッチングアンプは、ヒステリシスコンパレータからの出力信号に応じて、上記実施の形態に記載した通り電流を出力する。
なお、実施の形態1の電源回路103において、V_Low1>V_High2(即ち第4の閾値Th4は第2の閾値Th2よりも大きい値)であるならば、実施の形態3と同様に、第1のスイッチングアンプ115の出力ノードと第2のスイッチングアンプ116の出力ノードとを接続した構成にすることができる。このとき、ローパスフィルタ部109に必要なローパスフィルタは1個で済み、電源回路103を小型化することができる。
同様に、実施の形態4においても、ヒステリシスコンパレータ405−Pの閾値V_LowP(1≦P<M)とヒステリシスコンパレータ405−Qの閾値V_HighQ(M<Q≦N)との間に、V_LowP>V_HighQの関係がある場合、スイッチングアンプ407−Pの出力ノードとスイッチングアンプ407−Qの出力ノードとを接続した構成にすることができる。この接続は、1組のヒステリシスコンパレータのペアだけではなく、同様な閾値の大小関係があるならば、2組以上のヒステリシスコンパレータのペアについても実行することができる。これにより、電源回路401に必要なローパスフィルタを1個以上削減することができる。
実施の形態5におけるスイッチングアンプ列511のヒステリシスコンパレータ552においても、上述と同様の閾値の大小関係があれば、出力ノードの接続をすることができる。
実施の形態1〜5に示した処理は、制御方法の1つとして、コンピュータに備えられた電源回路に実行させることができる。例えば、実施の形態1〜5に示した処理のフローを、制御プログラムとして電源回路を備えたコンピュータに実行させてもよい。
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
以下、本発明の各種形態を付記する。
(付記1)
入力信号を増幅するリニアアンプと、
前記リニアアンプの出力信号の電流値を検出する電流検出器と、
前記電流検出器が検出した前記電流値に応じて電流を出力する電流出力部と、
前記電流出力部の出力信号の高周波成分を減衰させて出力するローパスフィルタ部と、
前記リニアアンプの出力と前記ローパスフィルタ部の出力とを合成した電力を出力する合成部を備え、
前記電流出力部は、前記電流検出器が検出した前記電流値が第1の閾値Th1以上になった場合にHigh又はLowの一方の信号を出力し、当該電流値が第2の閾値Th2未満になった場合にHigh又はLowの他方の信号を出力する第1のヒステリシスコンパレータと、当該電流値が第3の閾値Th3以上になった場合にHigh又はLowの一方の信号を出力し、当該電流値が第4の閾値Th4(少なくともTh1≠Th3又はTh2≠Th4のいずれかを満たす)未満になった場合にHigh又はLowの他方の信号を出力する第2のヒステリシスコンパレータと、
当該第1のヒステリシスコンパレータからの出力信号に応じて電流を出力する第1のスイッチングアンプと、当該第2のヒステリシスコンパレータからの出力信号に応じて電流を出力する第2のスイッチングアンプと、を少なくとも有する、
電源回路。
(付記2)
入力信号を増幅するリニアアンプと、
前記リニアアンプの出力信号の電流値を検出する電流検出器と、
前記電流検出器が検出した前記電流値に応じて電流を出力する電流出力部と、
前記電流出力部の出力信号の高周波成分を減衰させて出力するローパスフィルタ部と、
前記リニアアンプの出力と前記ローパスフィルタ部の出力とを合成した電力を出力する合成部を備え、
前記電流出力部は、前記電流検出器が検出した前記電流値が第1の閾値Th1以上になった場合にHigh又はLowの一方の信号を出力し、当該電流値が第2の閾値Th2未満になった場合にHigh又はLowの他方の信号を出力する第1のヒステリシスコンパレータと、当該電流値が第3の閾値Th3以上になった場合にHigh又はLowの一方の信号を出力し、当該電流値が第4の閾値Th4未満になった場合にHigh又はLowの他方の信号を出力する第2のヒステリシスコンパレータと、当該電流値が第5の閾値Th5以上になった場合にHigh又はLowの一方の信号を出力し、当該電流値が第6の閾値Th6(Th1≠Th3かつTh4≠Th6、又は、Th3≠Th5かつTh2≠Th4、又は、Th1≠Th5かつTh4≠Th6、又は、Th3≠Th5かつTh2≠Th6、又は、Th1≠Th3かつTh2≠Th6、又は、Th1≠Th5かつTh2≠Th4の少なくともいずれかを満たす)未満になった場合にHigh又はLowの他方の信号を出力する第3のヒステリシスコンパレータと、
前記第1のヒステリシスコンパレータからの出力信号がHigh又はLowの一方である場合に出力電流を増やす第1のスイッチングアンプと、前記第2のヒステリシスコンパレータからの出力信号がHigh又はLowの一方である場合に出力電流を増やし、High又はLowの他方である場合に出力電流を減らす第2のスイッチングアンプと、前記第3のヒステリシスコンパレータからの出力信号がHigh又はLowの他方である場合に出力電流を減らす第3のスイッチングアンプと、を少なくとも有する、
電源回路。
(付記3)
前記第1の閾値Th1は前記第3の閾値Th3よりも大きい値である、
付記2に記載の電源回路。
(付記4)
前記第4の閾値Th4は前記第6の閾値Th6よりも大きい値である、
付記2又は3に記載の電源回路。
(付記5)
前記第2の閾値Th2は前記第5の閾値Th5よりも大きい値である、
付記2ないし4のいずれか一項に記載の電源回路。
(付記6)
前記第1のスイッチングアンプの出力ノードは前記第3のスイッチングアンプの出力ノードと接続され、
前記ローパスフィルタ部は、前記第1のスイッチングアンプの出力及び前記第3のヒスイッチングアンプの出力を合成した信号の高周波成分を減衰させて出力する第1のローパスフィルタと、前記第2のスイッチングアンプの出力信号の高周波成分を減衰させて出力する第2のローパスフィルタと、を少なくとも有する、
付記5に記載の電源回路。
(付記7)
付記1ないし6のいずれか一項に記載の電源回路を有し、高周波変調信号を増幅する電力増幅器であって、
前記高周波変調信号の包絡線信号が前記入力信号として入力される前記電源回路と、
前記電源回路が出力する電力に基づいて前記高周波変調信号を増幅するアンプと、
を備える電力増幅器。
(付記8)
入力信号にそれぞれ所定の遅延時間を与え、第1の信号及び第2の信号として出力する遅延器と、
前記第1の信号を2並列の1ビット・デジタル信号に変換するデジタル変調器と、
前記第2の信号と前記2並列の1ビット・デジタル信号とが入力され、当該第2の信号と当該2並列の1ビット・デジタル信号とをそれぞれ増幅した後に電力合成して出力する電力増幅回路ブロックと、を備え、
前記電力増幅回路ブロックは、
前記第2の信号を増幅して出力するリニアアンプと、
前記リニアアンプの出力信号の低周波成分を除去して出力するハイパスフィルタと、
前記ハイパスフィルタの出力信号のうち、電流成分を検出して出力する電流検出器と、
前記電流検出器の出力信号の高周波成分を減衰させて出力するローパスフィルタと、
前記2並列の1ビット・デジタル信号のうち少なくとも1つの1ビット・デジタル信号と前記ローパスフィルタとの出力信号とを合成して出力する信号合成器と、
前記信号合成器から出力された2並列の合成信号をそれぞれ増幅し、高周波成分を取り除いた後に合成して1つの信号として出力するスイッチングアンプ列と、
前記スイッチングアンプ列から出力された信号と前記ハイパスフィルタの出力信号とを合成して出力する合成出力部とを有し、
前記デジタル変調器は、
前記第1の信号の大きさと第3の信号の大きさとを比較し、比較結果を積分して出力する第1の比較部と、
前記第1の信号の大きさと第4の信号の大きさとを比較し、比較結果を積分して出力する第2の比較部と、
前記第1及び第2の比較部の出力信号を加算する加算器と、
前記加算器の出力信号の大きさと前記第1の信号の大きさとを比較し、比較結果を第5の信号として出力する第3の比較部と、
前記第5の信号の値が第1の閾値Th1以上になった場合にHigh又はLowの一方の信号を前記第3の信号として出力し、当該第5の信号の値が第2の閾値Th2未満になった場合にHigh又はLowの他方の信号を前記第3の信号として出力する第1のヒステリシスコンパレータと、当該第5の信号の値が第3の閾値Th3以上になった場合にHigh又はLowの一方の信号を前記第4の信号として出力し、当該第5の信号の値が第4の閾値Th4(少なくともTh1≠Th3又はTh2≠Th4のいずれかを満たす)未満になった場合にHigh又はLowの他方の信号を前記第4の信号として出力する第2のヒステリシスコンパレータと、を有し、
前記スイッチングアンプ列は、前記信号合成器を介して前記第1のヒステリシスコンパレータから出力された前記第3の信号に応じて電流を出力する第1のスイッチングアンプと、当該信号合成器を介して前記第2のヒステリシスコンパレータから出力された前記第4の信号に応じて電流を出力する第2のスイッチングアンプと、を有する、
電源回路。
(付記9)
付記8に記載の電源回路を有し、高周波変調信号を増幅する電力増幅器であって、
前記高周波変調信号の包絡線信号が前記入力信号として入力される前記電源回路と、
前記電源回路が出力する電力に基づいて前記高周波変調信号を増幅するアンプと、
を備える電力増幅器。
(付記10)
電源回路における信号増幅方法であって、
入力信号を増幅するステップと、
増幅した前記入力信号の電流値を検出するステップと、
検出した前記電流値に応じた電流値を有する信号を出力するステップと、
出力した前記信号の高周波成分を除去して出力するステップと、
高周波成分が除去された前記信号と増幅した前記入力信号とを合成するステップと、を備え、
検出した前記電流値に応じた電流値を有する信号を出力するステップにおいて、前記電源回路の備える第1のヒステリシスコンパレータは、当該電流値が第1の閾値Th1以上になった場合にHigh又はLowの一方の信号を出力するとともに当該電流値が第2の閾値Th2未満になった場合にHigh又はLowの他方の信号を出力し、当該電源回路の備える第2のヒステリシスコンパレータは、当該電流値が第3の閾値Th3以上になった場合にHigh又はLowの一方の信号を出力するとともに当該電流値が第4の閾値Th4(Th1≠Th3又はTh2≠Th4の少なくともいずれかを満たす)未満になった場合にHigh又はLowの他方の信号を出力し、
前記電源回路の備える第1のスイッチングアンプは、当該第1のヒステリシスコンパレータからの出力信号に応じて電流を出力し、当該電源回路の備える第2のスイッチングアンプは、当該第2のヒステリシスコンパレータからの出力信号に応じて電流を出力する、
電源回路における信号増幅方法。
(付記11)
前記電流出力部は、前記電流検出器が検出した前記電流値が第7の閾値Th7以上になった場合にHigh又はLowの一方の信号を出力し、当該電流値が第8の閾値Th8未満になった場合にHigh又はLowの他方の信号を出力する第4のヒステリシスコンパレータと、当該第4のヒステリシスコンパレータからの出力信号がHigh又はLowの一方である場合に出力電流を増やす第4のスイッチングアンプと、をさらに有する、
付記2ないし6のいずれか一項に記載の電源回路。
(付記12)
前記第1の閾値Th1、前記第3の閾値Th3及び前記第7の閾値Th7はそれぞれ異なる値である、
付記11に記載の電源回路。
(付記13)
前記第2の閾値Th2及び前記第8の閾値Th8は、前記第5の閾値Th5よりも大きな値である、
付記11又は12に記載の電源回路。
(付記14)
前記電流出力部は、前記電流検出器が検出した前記電流値が第9の閾値Th9以上になった場合にHigh又はLowの一方の信号を出力し、当該電流値が第10の閾値Th10未満になった場合にHigh又はLowの他方の信号を出力する第5のヒステリシスコンパレータと、当該第5のヒステリシスコンパレータからの出力信号がHigh又はLowの他方の信号である場合に出力電流を減らす第5のスイッチングアンプと、をさらに有する、
付記2ないし6のいずれか一項に記載の電源回路。
(付記15)
前記第4の閾値Th4、前記第6の閾値Th6及び前記第10の閾値Th10はそれぞれ異なる値である、
付記14に記載の電源回路。
(付記16)
前記第2の閾値Th2は、前記第5の閾値Th5及び前記第9の閾値Th9よりも大きな値である、
付記14又は15に記載の電源回路。
(付記17)
前記第1のスイッチングアンプは、電源に接続された側にスイッチを、グランドに接地された側にダイオードを有し、
前記ダイオードのアノードは接地され、カソードは前記第1のスイッチングアンプの出力ノードに接続され、
前記スイッチは、前記第1のヒステリシスコンパレータからの出力信号がHigh又はLowの一方の信号のときに前記電源と前記出力ノードとを接続し、前記第1のヒステリシスコンパレータからの出力信号がHigh又はLowの他方の信号のときに前記電源と前記出力ノードとの間を開放する、
付記2ないし6のいずれか一項に記載の電源回路。
(付記18)
前記第2のスイッチングアンプは、電源に接続された側に当該第2のスイッチングアンプの出力ノードに接続された第1のスイッチを、グランドに接地された側に当該出力ノードに接続された第2のスイッチを有し、
前記第1のスイッチは、前記第2のヒステリシスコンパレータからの出力信号がHigh又はLowの一方の信号のときに前記電源と前記出力ノードとを接続し、当該第2のヒステリシスコンパレータからの出力信号がHigh又はLowの他方の信号のときに当該電源と当該出力ノードとの間を開放し、
前記第2のスイッチは、前記第2のヒステリシスコンパレータからの出力信号がHigh又はLowの他方の信号のときにグランドと前記出力ノードとを接続し、当該第2のヒステリシスコンパレータからの出力信号がHigh又はLowの一方の信号のときにグランドと当該出力ノードとの間を開放する、
付記2ないし6のいずれか一項に記載の電源回路。
(付記19)
前記第3のスイッチングアンプは、電源に接続された側にダイオードを、グランドに接地された側にスイッチを有し、
前記ダイオードのアノードは前記第3のスイッチングアンプの出力ノードに接続され、カソードは前記電源に接続され、
前記スイッチは、前記第3のヒステリシスコンパレータからの出力信号がHigh又はLowの他方の信号のときにグランドと前記第3のスイッチングアンプの前記出力ノードとを接続し、当該第3のヒステリシスコンパレータからの出力信号がHigh又はLowの一方の信号のときにグランドと当該第3のスイッチングアンプの前記出力ノードとの間を開放する、
付記2ないし6のいずれか一項に記載の電源回路。
(付記20)
前記第1のスイッチングアンプ、前記第2のスイッチングアンプ及び前記第3のスイッチングアンプのうち、少なくとも2個のスイッチングアンプの電源が共通である、
付記2ないし6のいずれか一項に記載の電源回路。
(付記21)
入力信号にそれぞれ所定の遅延時間を与え、第1の信号及び第2の信号として出力する遅延器と、
前記第1の信号を3並列の1ビット・デジタル信号に変換するデジタル変調器と、
前記第2の信号と前記3並列の1ビット・デジタル信号とが入力され、前記第2の信号と前記3並列の1ビット・デジタル信号とをそれぞれ増幅した後に電力合成して出力する電力増幅回路ブロックと、を備え、
前記電力増幅回路ブロックは、
前記第2の信号を増幅して出力するリニアアンプと、
前記リニアアンプの出力信号の低周波成分を除去して出力するハイパスフィルタと、
前記ハイパスフィルタの出力信号のうち、電流成分を検出して出力する電流検出器と、
前記電流検出器の出力信号の高周波成分を減衰させて出力するローパスフィルタと、
前記3並列の1ビット・デジタル信号のうち少なくとも1つの1ビット・デジタル信号と前記ローパスフィルタとの出力信号とを合成して出力する信号合成器と、
前記信号合成器から出力された3並列の合成信号をそれぞれ増幅し、高周波成分を取り除いた後に合成して1つの信号として出力するスイッチングアンプ列と、
前記スイッチングアンプ列の出力信号と前記第2の信号とを合成して出力する合成出力部とを有し、
前記デジタル変調器は、
前記第1の信号の大きさと第3の信号の大きさとを比較し、比較結果を積分して出力する第1の比較部と、
前記第1の信号の大きさと第4の信号の大きさとを比較し、比較結果を積分して出力する第2の比較部と、
前記第1の信号の大きさと第5の信号の大きさとを比較し、比較結果を積分して出力する第3の比較部と、
前記第1、第2及び第3の比較部の出力を加算する加算器と、
前記加算器の出力信号と前記第1の信号の大きさとを比較し、比較結果を第6の信号として出力する第4の比較部と、
前記第6の信号の値が第1の閾値Th1以上になった場合にHigh又はLowの一方の信号を前記第3の信号として出力し、当該第6の信号の値が第2の閾値Th2未満になった場合にHigh又はLowの他方の信号を前記第3の信号として出力する第1のヒステリシスコンパレータと、当該第6の信号の値が第3の閾値Th3以上になった場合にHigh又はLowの一方の信号を前記第4の信号として出力し、当該第6の信号の値が第4の閾値Th4未満になった場合にHigh又はLowの他方の信号を前記第4の信号として出力する第2のヒステリシスコンパレータと、当該第6の信号の値が第5の閾値Th5以上になった場合にHigh又はLowの一方の信号を出力し、当該第6の信号の値が第6の閾値Th6(Th1≠Th3かつTh4≠Th6、又は、Th3≠Th5かつTh2≠Th4、又は、Th1≠Th5かつTh4≠Th6、又は、Th3≠Th5かつTh2≠Th6、又は、Th1≠Th3かつTh2≠Th6、又は、Th1≠Th5かつTh2≠Th4の少なくともいずれかを満たす)未満になった場合にHigh又はLowの他方の信号を出力する第3のヒステリシスコンパレータと、を有し、
前記スイッチングアンプ列は、前記信号合成器を介して前記第1のヒステリシスコンパレータから出力された前記第3の信号がHigh又はLowの一方である場合に出力電流を増やす第1のスイッチングアンプと、当該信号合成器を介して前記第2のヒステリシスコンパレータから出力された前記第4の信号がHigh又はLowの一方である場合に出力電流を増やし、当該第4の信号がHigh又はLowの他方である場合に出力電流を減らす第2のスイッチングアンプと、当該信号合成器を介して前記第3のヒステリシスコンパレータから出力された前記第5の信号がHigh又はLowの他方である場合に出力電流を減らす第3のスイッチングアンプと、を有する、
電源回路。