図1に示すように、内視鏡システム10は、内視鏡12と、光源装置14と、プロセッサ装置16と、モニタ18と、コンソール19とを有する。内視鏡12は光源装置14と光学的に接続されるとともに、プロセッサ装置16と電気的に接続される。内視鏡12は、被検体内に挿入される挿入部12aと、挿入部12aの基端部分に設けられた操作部12bと、挿入部12aの先端側に設けられた湾曲部12c及び先端部12dを有している。操作部12bのアングルノブ12eを操作することにより、湾曲部12cは湾曲動作する。この湾曲動作によって、先端部12dが所望の方向に向けられる。
また、操作部12bには、アングルノブ12eの他、モード切り替えスイッチ(以下、モード切替SWという)13a、ズーム操作部13bが設けられている。モード切替SW13aは、観察モードの切り替え操作に用いられる。内視鏡システム10は、観察モードとして通常観察モードと特殊観察モードとを有している。通常観察モードは、白色光を観察対象に照射し、その戻り光によって観察対象を撮像して得た画像信号を用いて、自然な色合いの画像(以下、通常画像という)をモニタ18に表示する。特殊観察モードは、青色の狭帯域光Bnと緑色の狭帯域光Gnを観察対象に照射し、これらの戻り光によって観察対象を撮像して得た画像信号を用いて、観察対象に含まれる血管やピットパターン等の特定構造が強調された画像(以下、特殊画像という)をモニタ18に表示する。
プロセッサ装置16は、モニタ18及びコンソール19と電気的に接続される。モニタ18は、各観察モードの画像や画像に付帯する画像情報等を出力表示する。コンソール19は、機能設定等の入力操作を受け付けるユーザインタフェースとして機能する。なお、プロセッサ装置16には、画像や画像情報等を記録する外付けの記録部(図示省略)を接続してもよい。
図2に示すように、光源装置14は、互いに独立に制御可能な光源として、第1光源21と、第2光源22とを備える。第1光源21は、例えば中心波長445±10nmの狭帯域な光を発光するLEDである。第1光源21の発光面には蛍光体23が設けられている。図3に示すように、蛍光体23は、第1光源21が発する狭帯域な青紫光(以下、励起光BEXという)の一部を吸収し、主に緑色から赤色の波長帯域を有する蛍光FLを発する。したがって、第1光源21を点灯させた場合、蛍光体23を透過した励起光BEXと、蛍光体23が発光する蛍光FLとによって形成される白色光WLが発生する。蛍光体23は、励起光BEXの一部を吸収して、主に緑色から赤色の波長帯域を有する蛍光FLを発生するものであれば任意であるが、複数種類の蛍光体(例えばYAG系蛍光体、あるいはBAM(BaMgAl10O17)等の蛍光体)を含んで構成されるものを使用することが好ましい。
第1光源21を点灯することによって発生する白色光WLの光路中には、バンドパスフィルタ(BPF)24が挿抜自在に設けられている。図4に示すように、BPF24は、530nm〜550nmの波長帯域を透過し、それ以外の波長帯域の光をカットする特性を有する帯域制限部材である。このため、BPF24が白色光WLの光路中に挿入されると、530nm〜550nmの狭帯域な波長帯域を有する緑色光(以下、緑色狭帯域光Gnという)が白色光WLから生成される。BPF24は、特殊観察モード時に白色光WLの光路中に挿入され、通常観察モード時には白色光WLの光路から退避される。したがって、特殊観察モード時には、緑色狭帯域光Gn(第1光(または第2光))が照明光として利用され、通常観察モード時には白色光WLが照明光として利用される。第1光源21と蛍光体23とBPF24とによって、緑色狭帯域光Gnを発生する第1発光部(または第2発光部)が構成される。
第2光源22は、例えば405±10nmの狭帯域な波長帯域を有する光を発するLEDである。第1光源21とは異なり、第2光源22の発光面には蛍光体は設けられていないので、第2光源22が発する狭帯域光は、そのまま照明光として利用される。なお、第2光源22が発する狭帯域光の戻り光は、撮像センサの青色画素で受光されるので、以下、第2光源22が発する狭帯域光を青色狭帯域光Bn(第2光(または第1光))という。したがって、第2光源22は、青色狭帯域光Bnを発光する第2発光部(または第1発光部)である。
第1光源21及び第2光源22の点灯(あるいは消灯)のタイミングや、点灯時の発光量、発光時間等は、光源制御部25が各々に独立した制御パルスを入力することによって制御される。第1光源21及び第2光源22は、制御パルスが入力されると点灯し、制御パルスが入力されない期間は消灯する。また、光源制御部25は、第1光源21や第2光源22に入力する制御パルスのパルス強度(駆動電圧や駆動電流)、パルス幅、またはパルス数等を調整することによって、第1光源21及び第2光源22の発光量、発光時間を制御する。また、光源制御部25は、BPF制御機構26を用いて、設定された観察モードに応じたBPF24の位置制御も行う。
より具体的には、光源制御部25は、通常観察モード時には、第1光源21を点灯させ、第2光源22を消灯させることにより、第1光源21及び蛍光体23によって白色光WLを発生させ、かつ、BPF24を白色光WLの光路から退避させる。これにより、通常観察モード時には、白色光WLが観察対象を照明する照明光として利用される。
一方、光源制御部25は、特殊観察モード時には、BPF24を白色光WLの光路中に常時挿入する。そして、光源制御部25は、緑色狭帯域光照射期間(第1光照射期間(または第2光照射期間))と、青色狭帯域光照射期間(第2光照射期間(または第1光照射期間))とに加え、重畳照射期間を設けることで光源制御を行う。緑色狭帯域光照射期間は、第1光源21を点灯し、かつ、第2光源22を消灯することにより、緑色狭帯域光Gnを観察対象に照射させる。青色狭帯域光照射期間は、第1光源21を消灯し、かつ、第2光源22を点灯することにより、青色狭帯域光Bnを観察対象に照射させる。重畳照射期間は、第1光源21及び第2光源22を点灯し、緑色狭帯域光Gnと青色狭帯域光Bn(第1光と第2光(または第2光と第1光))の両方を観察対象に照射させる。光源制御部25は、緑色狭帯域光照射期間と青色狭帯域光照射期間と重畳照射期間を設ける光源制御を行うことで、これら各光の観察対象への総照射光量を最大化する。
さらに、光源制御部25は、重畳照射期間の緑色狭帯域光Gnと青色狭帯域光Bnの光量比が、緑色狭帯域光照射期間の緑色狭帯域光Gnと青色狭帯域光照射期間の青色狭帯域光Bnの光量比とは異なる光量比になるように第1光源21と第2光源22の発光量を制御する。各照射期間の光量とは、例えば、各照射期間中の瞬間的な光量の平均値である。すなわち、緑色狭帯域光照射期間中の緑色狭帯域光Gnの平均光量をAG、青色狭帯域光照射期間中の青色狭帯域光Bnの平均光量をBB、重畳照射期間中の緑色狭帯域光Gnの平均光量をCG、重畳照射期間中の青色狭帯域光Bnの平均光量をCBとする場合、光源制御部25は、BB/AGとCB/CGとを異ならせることで、重畳照射期間中の発熱量を抑える。なお、このように本実施形態では、各照射期間中の平均光量を各照射期間の光量としているが、平均値する代わりに、中間値や中央値、分散や標準偏差等の統計量を各照射期間中の光量を用いても良い。
第1光源21や第2光源22を点灯すると、第1光源21や蛍光体23、第2光源22が発熱する。このため、光源装置14は、第1光源21や第2光源22を点灯した際に発生する熱を放熱するための放熱機構27を備えている。放熱機構27は、例えば、ヒートシンクや冷却ファン等で構成される。放熱機構27は、第1光源21または第2光源22をそれぞれ単独で発光させたときに熱を完全に放熱することが可能である。一方、第1光源21及び第2光源22を同時に、かつ、継続的に発光する場合には、最大発光量よりも低い発光量であれば、完全に放熱することが可能である。ただし、第1光源21及び第2光源22を同時に発光する場合であっても、瞬間的に最大発光量で発光したときに発生する熱であれば、完全に放熱することが可能である。したがって、第1光源21及び第2光源22の点灯や消灯の切り替えや発光量の切り替えの時点で第1光源21と第2光源22とがともに最大光量で点灯しても、光源装置14は安定して作動することができる。また、特殊観察モード時には、重畳照射期間を設けることにより、緑色狭帯域光Gnと青色狭帯域光Bnの観察対象への総照射光量を稼ぐが、重畳照射期間の緑色狭帯域光Gnと青色狭帯域光Bnの光量比は、緑色狭帯域光照射期間の緑色光狭帯域光Gnと青色狭帯域光照射期間の青色狭帯域光Bnとの光量比と異なる値になるように制御されるので、重畳照射期間中の発熱は放熱機構27で放熱性能が許容する範囲内に抑えられる。
光源装置14は、第1光源21及び第2光源22等の光源装置14の各部に電力を供給する電源28を備える。本実施形態では、電源28は、第1光源21及び第2光源22を同時に、かつ、継続的に最大光量で点灯させることが可能な電力容量を有する。このため、第1光源21及び第2光源22の発光量には、電源28の電力容量による制限はない。
光源装置14は、上記の他、反射部材29aやダイクロイック部材29b等の光路結合部材を備えている。反射部材29aは、第2光源22が発する青色狭帯域光Bnの光路中に配置され、少なくとも青色狭帯域光Bnを反射して、ダイクロイック部材29bに導光するミラーまたはプリズムである。
図5に示すように、ダイクロイック部材29bは、白色光WLを透過し、青色狭帯域光Bnを反射する特性を有するミラーまたはプリズムであり、BPF24から透過した緑色狭帯域光Gn(BPF24が退避されている場合は白色光WL)の光路中に配置される。通常観察モード時には、第1光源21が点灯され、かつBPF24は退避されるので、ダイクロイック部材29bには白色光WLが入射する。ダイクロイック部材29bでは、入射した白色光WLをほぼ全て透過し、ライトガイド41に導光する。一方、特殊観察モード時には、第1光源21と第2光源22の点灯タイミングに応じて、ダイクロイック部材29bには青色狭帯域光Bnと緑色狭帯域光Gnが入射する。ダイクロイック部材29bでは、緑色狭帯域光Gnを透過し、青色狭帯域光Bnを反射するため、緑色狭帯域光Gnと青色狭帯域光Bnの少なくとも一方が、ダイクロイック部材29bを出射する。出射した緑色狭帯域光Gnと青色狭帯域光Bnとは、ライトガイド41に入射する。この他、ダイクロイック部材29bとライトガイド41の間には、ライトガイド41に効率良く各光を入射させるためのレンズ等(図示しない)が設けられている。
ライトガイド41は、内視鏡12及びユニバーサルコード(内視鏡12と光源装置14及びプロセッサ装置16とを接続するコード)内に内蔵されており、ダイクロイック部材29b等の光路結合部材から導光される照明光を内視鏡12の先端部12dまで伝搬する。なお、ライトガイド41としては、マルチモードファイバを使用することができる。一例として、コア径105μm、クラッド径125μm、外皮となる保護層を含めた経がφ0.3〜0.5mmの細径なファイバケーブルを使用することができる。
図2に示すように、内視鏡12の先端部12dには、照明光学系30aと撮像光学系30bが設けられている。照明光学系30aは照明レンズ45を有しており、この照明レンズ45を介して、ライトガイド41によって伝搬された照明光は観察対象に照射される。したがって、照明光学系30a(あるいは照明レンズ45)は、白色光WL、緑色狭帯域光Gn、青色狭帯域光Bn、または、緑色狭帯域光Gnと青色狭帯域光Bnの両方(緑色狭帯域光Gnと青色狭帯域光Bnの混合光)を照明光として観察対象に照射する照射部を構成する。撮像光学系30bは、対物レンズ46、ズームレンズ47、撮像センサ48を有している。観察対象からの戻り光は、対物レンズ46及びズームレンズ47を介して撮像センサ48に入射する。これにより、撮像センサ48に観察対象の像が結像される。なお、ズームレンズ47は、ズーム操作部13bを操作することで、テレ端とワイド端の間で自在に移動され、撮像センサ48に結像する観察対象の像を拡大または縮小する。
撮像センサ48は、各種照明光が照射された観察対象から戻り光を撮像する。すなわち、戻り光の光量に対応する信号電荷を画素毎に蓄積することによって、観察対象を撮像する。戻り光とは、照明光の反射光や散乱光、あるいは照明光によって発生する蛍光等である。撮像センサ48はカラー撮像センサであり、図6に示すR(赤色)カラーフィルタ,G(緑色)カラーフィルタ,及びB(青色)カラーフィルタの三色のカラーフィルタが画素毎に設けられており、観察対象を撮像して色毎の画像信号を出力する。また、図7に示すように、撮像センサ48の画素配列は例えばベイヤ配列であり、青色画素(B画素)と緑色画素(G画素)と赤色画素(R画素)の個数比は、B:G:R=1:2:1である。青色狭帯域光BnはB画素(第2画素(または第1画素))で受光され、緑色狭帯域光GnはG画素(第1画素(または第2画素))で受光される。撮像センサ48としては、CCD(Charge Coupled Device)撮像センサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)撮像センサを利用可能である。本実施形態では、撮像センサ48は、任意の画素毎に(あるいは各色の画素毎に)、信号電荷を蓄積する蓄積動作、蓄積した信号電荷の総量に対応する信号を読み出す読み出し動作、信号電荷を破棄するリセット動作の各動作を実行可能なCMOS撮像センサである。
撮像制御部49は、撮像センサ48に上記各動作を行わせるタイミングや蓄積時間の長さ、動作周期の長さ等を制御する。より具体的には、通常観察モードの場合、撮像制御部49は、白色光WLの照射期間中は全画素で信号電荷を蓄積させ、白色光WLの照射期間の終了とともに蓄積した信号電荷を読み出させる。信号電荷の読み出し完了後は、次の白色光WLの照射期間までの間に、全画素のリセット動作を行わせる。
一方、特殊観察モードの場合、撮像制御部49は、緑色狭帯域光照射期間と重畳照射期間の間、G画素に蓄積動作を行わせ、青色狭帯域光照射期間と重畳照射期間の間、B画素に蓄積動作を行わせる。そして、緑色狭帯域光Gnの戻り光によって蓄積された信号電荷を青色狭帯域光照射期間に読み出させ、青色狭帯域光Bnの戻り光によって蓄積された信号電荷を緑色狭帯域光照射期間に読み出させる。リセット動作は各色の画素の読み出しが完了した後、次の蓄積動作までの間に行わせる。
なお、原色のカラー撮像センサである撮像センサ48の代わりに、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びG(緑)の補色フィルタを備えた補色撮像センサを用いても良い。補色撮像センサを用いる場合には、CMYGの四色の画像信号が出力されるので、補色−原色色変換によって、CMYGの四色の画像信号をRGBの三色の画像信号に変換することにより、撮像センサ48と同様のRGB画像信号を得ることができる。
撮像センサ48から出力される各色の画像信号は、CDS/AGC回路50に送信される。CDS/AGC回路50は、アナログ信号である画像信号に相関二重サンプリング(CDS;Correlated Double Sampling)や自動利得制御(AGC;Automatic Gain Control)を行う。CDS/AGC回路50を経た画像信号は、A/Dコンバータ52により、デジタル画像信号に変換される。A/D変換後のデジタル画像信号がプロセッサ装置16に入力される。
プロセッサ装置16は、画像信号取得部53と、DSP(Digital Signal Processor)56と、ノイズ除去部58と、画像処理切替部60と、通常画像処理部62と、特殊画像処理部63と、映像信号生成部66と、プロセッサ制御部68とを備えている。画像信号取得部53は、内視鏡12からのデジタルのRGB画像信号を取得する。
DSP56は、受信した画像信号に対して、欠陥補正処理、オフセット処理、ゲイン補正処理、リニアマトリクス処理、ガンマ変換処理、デモザイク処理等の各種信号処理を施す。欠陥補正処理では、撮像センサ48の欠陥画素の信号が補正される。オフセット処理では、欠陥補正処理が施されたRGB画像信号から暗電流成分が除かれ、正確な零レベルが設定される。ゲイン補正処理では、オフセット処理後のRGB画像信号に特定のゲインを乗じることにより信号レベルが整えられる。ゲイン補正処理後のRGB画像信号には、色再現性を高めるためのリニアマトリクス処理が施される。その後、ガンマ変換処理によって明るさや彩度が整えられる。リニアマトリクス処理後のRGB画像信号には、デモザイク処理(等方化処理、または同時化処理とも言う)が施され、各画素で不足した色の信号が補間によって生成される。このデモザイク処理によって、全画素がRGB各色の信号を有するようになる。
ノイズ除去部58は、DSP56でデモザイク処理等が施されたRGB画像信号に対してノイズ除去処理(例えば移動平均法やメディアンフィルタ法等による)を施すことによって、RGB画像信号からノイズを除去する。ノイズが除去されたRGB画像信号は、画像処理切替部60に送信される。画像処理切替部60は、モード切替SW13aによって通常観察モードにセットされている場合には、RGB画像信号を通常画像処理部62に送信し、特殊観察モードにセットされている場合には、RGB画像信号を特殊画像処理部63に送信する。
通常画像処理部62は、通常観察モードにセットされている場合に作動し、RGB画像信号に対して、色変換処理、色彩強調処理、及び構造強調処理を行い、通常画像を生成する。色変換処理では、RGB画像信号に対して3×3のマトリックス処理、階調変換処理、及び3次元LUT(Look Up Table,ルックアップテーブル)処理などにより色変換処理を行う。色彩強調処理は、色変換処理済みのRGB画像信号に対して行われる。構造強調処理は、例えば表層血管やピットパターン等の観察対象の構造を強調する処理であり、色彩強調処理後のRGB画像信号に対して行われる。上記のように、構造強調処理まで各種画像処理等を施したRGB画像信号を、RGBの対応する各チャンネルに用いたカラー画像が通常画像である。
特殊画像処理部63は、特殊観察モードにセットされている場合に作動し、RGB画像信号に対して、色変換処理、色彩強調処理、及び構造強調処理を行って、特殊画像を生成する。特殊画像処理部63が行う色変換処理、色彩強調処理、及び構造強調処理は、パラメータ等が異なるが通常画像処理部62で行うものと同類の処理である。特殊画像処理部63が生成する特殊画像は、B画像信号をBチャンネルとGチャンネルに割り当て、G画像信号をRチャンネルに割り当てたカラー画像であり、通常画像よりもさらに血管等の観察対象の構造が強調される。
通常画像処理部62が生成する通常画像、及び、特殊画像処理部63が生成する特殊画像は、映像信号生成部66に入力される。映像信号生成部66は通常画像や特殊画像をモニタ18で表示可能な画像として表示するための映像信号に変換する。この映像信号を用いて、モニタ18は、通常画像や特殊画像を表示する。
プロセッサ制御部68は、プロセッサ装置16の各部を統括的に制御する。例えば、プロセッサ制御部68は、モード切替SW13aからの切り替え信号を取得し、選択された観察モードに応じて、画像処理切替部60が画像信号を送信する画像処理部を切り替える。また、プロセッサ制御部68は、光源装置14の光源制御部25や内視鏡12の撮像制御部49に制御信号を入力することにより、光源装置14や内視鏡12の動作内容や同タイミングを制御する。例えば、プロセッサ制御部68は、選択された観察モードに応じて光源制御部25や撮像センサ48の動作の仕方を変更させる。
また、プロセッサ制御部68は、画像信号取得部53が取得した画像信号、画像処理切替部60に入力される画像信号、通常画像処理部62が生成した通常画像、または特殊画像処理部63が生成した特殊画像のいずれかを用いて、通常画像または特殊画像の明るさを検出する明るさ検出部(図示しない)を備える。プロセッサ制御部68は、明るさ検出部が検出した通常画像または特殊画像の明るさに基づいて、光源装置14で発生させる照明光の光量または撮像センサ48の蓄積時間の長さを制御する。
次に、本実施形態における一連の流れを説明する。まず、モード切替SW13aの操作によって観察モードが通常観察モードにセットされると、内視鏡システム10は、図8に示すフローチャート及び図9に示すタイミングチャートに沿って作動する。観察モードが通常観察モードの場合、光源制御部25は、BPF24を白色光WLの光路中から退避させる。そして、放熱機構27の放熱性能が許す範囲内で、第1光源21を最大発光量で点灯させ、第2光源22を消灯することにより(S11)、白色光WLを観察対象に照射させる。これにより、光源制御部25は、白色光WLの光量LWLは、最大光量LWL(MAX)で観察対象に照射させる。また、光源制御部25は、プロセッサ制御部68からの制御信号に基づいて白色光WLの照射期間の長さを調節する。これにより、照明光の照射及び撮像の周期Tsのうち、撮像センサ48が蓄積動作を行う期間(蓄積期間)と白色光WLの照射期間が一致される。光源制御部25は、読み出し動作を行う期間(読出期間)及びリセット動作時において、光源制御部25は第1光源21を消灯することにより、白色光WLの照射を停止する。
また、撮像制御部49は、プロセッサ制御部68からの制御信号に基づいて撮像センサ48の各種動作の作動タイミングを制御することにより、白色光WLの照射タイミングに応じて観察対象を周期Ts毎に撮像する。具体的には、撮像制御部49は、白色光WLの照射期間に撮像センサ48に蓄積動作を行わせ(S12)、白色光WLの消灯期間に読み出し動作及びリセット動作を行わせる(S13)。通常観察モード時の蓄積、読み出し、リセットは、色の区別なく、全ての画素で共通に行う。
上記周期Tsでの白色光WLの照射及び撮像は、観察モードが特殊観察モードに切り替えられるまで繰り返し行われる(S14)。また、撮像センサ48が1周期Tsの撮像によって出力する画像信号を用いて、プロセッサ装置16では周期Ts毎に通常画像が生成される。通常画像は、モニタ18にリアルタイムに表示される。
次に、モード切替SW13aの操作によって観察モードが特殊観察モードにセットされると、内視鏡システム10は、図10に示すフローチャート及び図11に示すタイミングチャートに沿って作動する。観察モードが特殊観察モードの場合、光源制御部25は、BPF24を白色光WLの光路中に挿入する。その後、第1光源21を消灯し、かつ、第2光源22を点灯することにより、青色狭帯域光Bnを照明光として観察対象に照射させる青色狭帯域光照射期間PBを設ける(S21:第2光照射ステップ(または第1光照射ステップ))。
この青色狭帯域光照射期間PBでは、光源制御部25は、第2光源22を一定の光量を維持して点灯する。このため、青色狭帯域光期間PBの間に観察対象に照射される青色狭帯域光Bnの光量LBnは一定の光量BB(平均光量BB)である。また、撮像制御部49は、青色狭帯域光照射期間PBの間、撮像センサ48のB画素には照射中の青色狭帯域光Bnの戻り光による信号電荷の蓄積を行わせ(S22)、G画素には直前の周期Tsで緑色狭帯域光Gnの戻り光によって蓄積された信号電荷の読み出しを行わせる。
次いで、光源制御部25は、第1光源21を点灯し、かつ、第2光源22を点灯させることにより、青色狭帯域光Bnと緑色狭帯域光Gnの混合光を観察対象に照射させる重畳照射期間PMを設ける(S23:重複照射ステップ)。
この重畳照射期間PMでは、光源制御部25は、第2光源22の発光量を時間とともに減少(漸減)させ、重畳重複期間PMの終了時点で零にする。このため、青色狭帯域光Bnの光量LBnは、青色狭帯域光照射期間PBの光量BBから漸減して零になる。この間の青色狭帯域光Bnの平均光量はCBである。また、重畳照射期間PMでは、光源制御部25は、第1光源21を一定の光量を維持して点灯させる。このため、重畳照射期間PMの緑色狭帯域光Gnの光量LGnは一定の光量AG(平均光量AG)である。また、撮像制御部49は、重畳照射期間PMの間、撮像センサ48のB画素には、照射中の青色狭帯域光Bnの戻り光による信号電荷の蓄積を行わせ、かつ、G画素には緑色狭帯域光Gnの戻り光による信号電荷の蓄積を行わせる(S24)。
その後、光源制御部25は、第1光源21を点灯し、かつ、第2光源22を消灯させることにより、緑色狭帯域光Gnを観察対象に照射させる緑色狭帯域光照射期間PGを設ける(S25:第1光照射ステップ(または第2光照射ステップ))。
この緑色狭帯域光照射期間PGでは、光源制御部25は、重畳照射期間PMから継続して、第1光源21を一定の光量を維持して点灯する。このため、緑色狭帯域光照射期間PGの間に観察対象に照射される緑色狭帯域光Gnの光量LGnは一定の光量AG(平均光量AG)である。また、撮像制御部49は、1周期Ts分の蓄積が完了したB画素には信号電荷の読み出しを行わせ(S26)、G画素には照射中の緑色狭帯域光Gnの戻り光による蓄積動作を継続させる(S27)。
上記特殊観察モード時の1周期Ts分の動作は、観察モードが通常観察モードに切り替えられるまで繰り返し行われる(S28)。また、リセット動作は、B画素またはG画素毎に、読み出し動作の完了後、次の蓄積動作の開始までの間に行う。なお、撮像センサ48が1周期Tsの撮像によって出力する画像信号を用いて、プロセッサ装置16では周期Ts毎に特殊画像が生成される。特殊画像は、モニタ18にリアルタイムに表示される。
上述のように、内視鏡システム10では、照明光の照射及び撮像の周期Tsの中に、観察対象に緑色狭帯域光Gnを照射する緑色狭帯域光照射期間PGと、観察対象に青色狭帯域光Bnを照射する青色狭帯域光PBとに加え、緑色狭帯域光Gnと青色狭帯域光Bnの混合光を観察対象に照射する重畳照射期間PMを設けることにより、緑色狭帯域光Gnと青色狭帯域光Bnの観察対象への1周期Ts内での総照射光量を稼いでいる。そして、さらに重畳照射期間PMの緑色狭帯域光Gnと青色狭帯域光Bnの光量比(CB/AG)が、緑色狭帯域光照射期間PGの緑色狭帯域光Gnと青色狭帯域光照射期間PBの青色狭帯域光Bnとの光量比(BB/AG)に対して異なる値になるように第1光源21及び第2光源22の発光量を制御している。このため、放熱機構27によって第1光源21や第2光源22の発光量に制限があっても、重畳照射期間PM中の発熱量を、放熱機構27の放熱性能で許容される範囲内に抑えることができる。
すなわち、内視鏡システム10では、放熱機構27の放熱性能によって第1光源21や第2光源22の発光量に制限がある場合でも、放熱機構27の放熱性能で許容される範囲内に発熱量を抑えつつ、緑色狭帯域光Gnと青色狭帯域光Bnの各々の総照射光量を最大限にすることができるので、血管等が強調され、かつ、明るい特殊画像を安定して取得しやすくなっている。
なお、光源制御部25は、G画素の読み出しを行う青色狭帯域光照射期間PBと、B画素の読み出しを行う緑色狭帯域光照射期間PGとの長さの比を、撮像センサ48の画素配列における個数比(特定個数比)に相関する比率で設定することが好ましい。本実施形態の場合には、撮像センサ48の画素配列はベイヤ配列であり、G画素とB画素の個数比は、G:B=2:1なので、信号の読み出しにかかる時間の長さもG画素:B画素=2:1である。したがって、光源制御部25は、G画素の読み出しを行う青色狭帯域光照射期間PBと、B画素の読み出しを行う緑色狭帯域光照射期間PGとの長さの比を2:1に設定することが好ましい。
なお、上記実施形態では、重畳照射期間PMにおいて、青色狭帯域光Bnの光量を漸減させ、緑色狭帯域光Gnの光量を一定光量に維持しているが、これとは逆に、図12に示すように、青色狭帯域光Bnの光量を一定光量に維持し、緑色狭帯域光Gnの光量を時間とともに増大(漸増)させても良い。この場合、重畳照射期間PMの青色狭帯域光Bnの光量(平均光量)はBBで一定であり、重畳照射期間PMの緑色狭帯域光Gnの光量(平均光量)はCG(<AG)である。このため、重畳照射期間PMの青色狭帯域光Bnと緑色狭帯域光Gnの光量比BB/CGは、緑色狭帯域光照射期間PGの緑色狭帯域光Gnと青色狭帯域光照射期間PBの青色狭帯域光Bnとの光量比(BB/AG)に対して異なる値になる。したがって、上記実施形態と同様に、放熱機構27の放熱性能で許容される範囲内に発熱量を抑えつつ、緑色狭帯域光Gnと青色狭帯域光Bnの各々の総照射光量を最大限にすることができる。
なお、ヘモグロビンによる吸収は概ね短波長帯域の光ほど大きく、画像信号が暗くなりやすい。このため、緑色狭帯域光Gnと青色狭帯域光Bnとを比較した場合に、より短波長帯域を有する青色狭帯域光Bnの光量確保を優先して、上記実施形態のように、青色狭帯域光照射期間PBでできる限り大光量で青色狭帯域光Bnの照射光量を確保した上で、重畳照射期間PMにおいて光量を漸減させながら青色狭帯域光Bnの照射光量を上乗せすることにより、総照射光量を最大化すると良い。
また、緑色狭帯域光照射期間PG、青色狭帯域光照射期間PB、重畳照射期間PMの順序は順不同であるので、図13に示すように、緑色狭帯域光照射期間PG、青色狭帯域光照射期間PB、重畳照射期間PMの順序を入れ替えることによって、重畳照射期間PMにおいて、青色狭帯域光Bnの光量を漸増させ、緑色狭帯域光Gnを一定光量に維持しても良い。また、同様にして、重畳照射期間PMにおいて、青色狭帯域光Bnを一定光量に維持し、かつ、緑色狭帯域光Gnの光量を漸減させるようにしても良い。
さらに、上記実施形態では、重畳照射期間PMにおいて青色狭帯域光Bnを漸減させているが、重畳照射期間PMの青色狭帯域光Bnの光量は、青色狭帯域光照射期間の青色狭帯域光Bnの光量BBに対して段階的に変化させても良い。例えば、図14に示すように、重畳照射期間PMの青色狭帯域光Bnの光量を2段階で減少させる場合には、1段階目で変化させたときの光量を、平均光量CBに一定に維持してもよい。また、緑色狭帯域光照射期間PG、重畳照射期間PM、青色狭帯域光照射期間PBの順序で照射を行う場合(図13参照)には、重畳照射期間PMにおいて、緑色狭帯域光Gnの光量を一定に維持した状態で、青色狭帯域光Bnの光量を段階的に変化させても良い。なお、図14の変形例では重畳照射期間PMの青色狭帯域光Bnの光量は、青色狭帯域光照射期間の青色狭帯域光Bnの光量BBに対して2段階変化しているが、複数段階に重畳照射期間PMの青色狭帯域光Bnの光量を変化させても良い。変化の段階を細かくすれば、上記実施形態のように青色狭帯域光Bnを漸減する例に近づくのは言うまでもない。
上記実施形態及び各変形例では、重畳照射期間PMにおいて、青色狭帯域光Bnまたは緑色狭帯域光Gnのいずれか一方の光量を変化させているが、図15に示すように、重畳照射期間PMにおいて、青色狭帯域光Bn及び緑色狭帯域光Gnの両方の光量を変化させても良い。こうすると、重畳照射期間PMにおける発熱量を特に抑えやすく、かつ、青色狭帯域光Bn及び緑色狭帯域光Gnの各総照射光量を稼ぎやすい。もちろん、図14の変形例のように、光量を段階的に変化させる場合も同様である。また、ヘモグロビンによる吸収は概ね短波長帯域の光ほど大きく、画像信号が暗くなりやすいことから、青色狭帯域光照射期間PBでできる限り大光量で青色狭帯域光Bnの照射光量を確保した上で、重畳照射期間PMにおいて光量を漸減させながら青色狭帯域光Bnの照射光量を上乗せして総照射光量を最大化することが好ましい。そして、相対的に明るさを確保しやすい長波長帯域を有する緑色狭帯域光Gnは重畳照射期間PM中に光量を漸増させて総照射光量の最大化することが好ましい。
上記実施形態及び変形例では、撮像センサ48としてCMOS撮像センサを用いているが、代わりにCCD撮像センサを用いても良い。撮像センサ48にCCD撮像センサを用いる場合、信号電荷を蓄積しながら、直前の周期Tsで蓄積した信号電荷を読み出すことができる。このため、撮像制御部49は、各色の画素で蓄積した信号電荷の読み出しを、1セットの緑色狭帯域光照射期間PG、青色狭帯域光照射期間PB、及び重畳照射期間PMの完了後、次の照明光の照射及び撮像の周期Tsの動作の実行中にまとめて行わせることができる。
上記実施形態及び変形例では、放熱機構27の放熱性能によって第1光源21や第2光源22の発光量が制限されているが、電源28の電力容量によって第1光源21や第2光源22の発光量が制限される場合にも本発明は好適である。
なお、上記実施形態及び変形例では、撮像センサ48が設けられた内視鏡12を被検体内に挿入して観察を行う内視鏡システム10によって本発明を実施しているが、カプセル内視鏡システムでも本発明は好適である。例えば、図16に示すように、カプセル内視鏡システムでは、カプセル内視鏡300と、プロセッサ装置(図示しない)とを少なくとも有する。
カプセル内視鏡300は、光源302と、光源制御部303と、撮像センサ304と、信号処理部306と、送受信アンテナ308とを備えている。光源302は、白色光WLを発生させるための第1光源及び蛍光体、白色光WLから緑色狭帯域光Gnを生成するBPF、及び青色狭帯域光Bnを発生させる第2光源を有している。また、BPFは常に蛍光体上に配置されているので、光源302は、上記実施形態の内視鏡システム10が特殊観察モードに設定されている状態に対応する。
光源制御部303は、上記実施形態の光源制御部25と同様にして光源302の駆動を制御する。また、光源制御部303は、送受信アンテナ308によって、カプセル内視鏡システムのプロセッサ装置と無線で通信可能である。カプセル内視鏡システムのプロセッサ装置は、上記実施形態のプロセッサ装置16とほぼ同様であるが、特殊画像処理部63の機能を有する信号処理部306はカプセル内視鏡300に設けられている。信号処理部306が生成した特殊画像は、送受信アンテナ308を介してプロセッサ装置に送信される。撮像センサ304は上記実施形態の撮像センサ48と同様に構成される。また、バッテリ309は、カプセル内視鏡300の各部に電力を供給する電源であり、放熱板310は、上記実施形態の放熱機構27に対応する。
カプセル内視鏡300は、光源302で発生する熱の放熱先が被検体内であるため、発熱量による光量の制限が大きい。また、カプセル内視鏡300は、保有電力に限りがあるバッテリ309で駆動されるので、バッテリ309の保有電力によっても光源302の発光量に制限を受けやすい。したがって、本発明はカプセル内視鏡300に特に好適である。
なお、上記実施形態及び変形例では、特殊観察モードにおいて、530nm〜550nmの緑色狭帯域光Gnと、405±10nmの青色狭帯域光Bnとを用いているが、これとは異なる波長帯域を有する緑色狭帯域光と青色狭帯域光を用いても良い。例えば、図17に示すように、中心波長が415±10nmであり、概ね390nmから450nmの波長帯域を有する青色狭帯域光Bn2を、上記実施形態の青色狭帯域光Bnの代わりに用いることができる。また、概ね520nmから570nmの波長帯域を有する緑色狭帯域光Gn2を、上記実施形態の緑色狭帯域光Gnの代わりに用いることができる。