しかしながら、前述の第1の技術では、被粉砕物は、下方に傾斜した外臼の内周面や内臼の外周面の表面を摺動あるいは転動するようにして、自重により分散しながら流下して粉砕領域まで円滑に導かれるのに対し、第2の技術では、略水平な固定臼体の上面に貯溜された被粉砕物を、前述の回り止め部材と固定臼体の軸孔との間の狭い隙間を通して、臼体間の粉砕領域まで迅速に導く必要がある。
このため、粉砕領域への被粉砕物の供給速度が遅くなり、たとえ、円盤状の臼体の使用で粉砕領域が広くなって粉砕可能量が増加しても、粉砕処理全体にかかる時間が長くなって粉砕処理の処理効率が大きく低下する。
更に、固定臼体上に被粉砕物が偏在して貯溜されている場合には、隙間を通って導かれる粉砕領域内においても被粉砕物が偏在しやすくなり、局部的に蓄積された被粉砕物により臼体が傾斜する等して臼体間の圧力分布にばらつきが生じ、たとえ、被粉砕物が粉砕領域内を徐々に移動したとしても、粒度のばらつきがそれほど小さくならず、粉砕物の粒度品質が向上しない。
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、コンパクトでありながら、被粉砕物を高い処理効率で粉砕処理し、得られる粉砕物の粒度品質も優れたミル装置とその臼構造を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明のミル装置は、少なくとも一端に開口が形成されると共に、開口の近傍に所定の係止構造を有する筒状の容器本体と、容器本体内で軸心上に回動可能に支持される駆動軸と、容器本体内に係止構造を介して回動不能に係止され、駆動軸が回動可能に挿通される第1軸孔が穿孔されると共に、ミル刃を有する第1臼面が開口に向けて配置される盤状の固定臼体と、駆動軸が回動可能に挿通される第2軸孔が穿孔されると共に、ミル刃を有する第2臼面が第1臼面に臨むように配置される盤状の回転臼体と、第2軸孔と駆動軸との間に介設して、回転臼体を駆動軸に回動不能に係止すると共に、第1軸孔を貫通する軸部を有し、軸部と固定臼体との間に、第1軸孔から流入する被粉砕物を撹拌可能な撹拌構造が形成される回り止め部材と、回り止め部材を貫通して回転臼体側から突出する駆動軸の先端ネジ部に螺合される調整ナットとを備えている。
そして、少なくとも一端に開口が形成されると共に、開口の近傍に所定の係止構造を有する筒状の容器本体と、容器本体内で軸心上に回動可能に支持される駆動軸と、容器本体内に係止構造を介して回動不能に係止され、駆動軸が回動可能に挿通される第1軸孔が穿孔されると共に、ミル刃を有する第1臼面が開口に向けて配置される盤状の固定臼体と、駆動軸が回動可能に挿通される第2軸孔が穿孔されると共に、ミル刃を有する第2臼面が第1臼面に臨むように配置される盤状の回転臼体と、第2軸孔と駆動軸との間に介設して、回転臼体を駆動軸に回動不能に係止する回り止め部材を備えることによって、コンパクトでありながら、粉砕可能量が多く、しかも、粉砕物の粒度のばらつきが小さいミル装置が得られる。すなわち、容器本体内に係止構造を介して固定される盤状の固定臼体の第1臼面と、容器本体に軸支された駆動軸に回り止め部材を介して連結する盤状の回転臼体の第2臼面とが互いに面接触して相対回転し、その間に被粉砕物を供給することができ、被粉砕物の粉砕領域が広くなり、しかも、この広い破砕領域内をミル刃の溝に沿って遠心力により徐々に押し出される。
更に、回り止め部材を貫通して回転臼体側から突出する駆動軸の先端ネジ部に螺合される調整ナットを備えることによって、粉砕物の粒度を精度良く調整することができる。すなわち、調整ナットを回動すると、駆動軸の軸心上を前後進して回転臼体が押し引きされ、固定臼体と回転臼体の間隔が自在に変更される。
加えて、回り止め部材が、第1軸孔を貫通する軸部を有し、軸部と固定臼体との間に、第1軸孔から流入する被粉砕物を撹拌可能な撹拌構造が形成されることによって、粉砕処理の処理効率と粉砕物の粒度品質の著しい向上を図ることができる。すなわち、固定臼体の表面からその第1軸孔内にかけて分布する被粉砕物が撹拌され、粉砕領域への被粉砕物の供給速度が増加したため、盤状の臼体の使用で粉砕領域が広くなって粉砕可能量が増加したことと相まって、粉砕処理全体にかかる時間が著しく短縮される。しかも、撹拌によって被粉砕物の偏在が解消され、粉砕領域内における被粉砕物の偏在も軽減され、被粉砕物の蓄積による臼体の傾斜等に起因した臼体間の圧力分布のばらつきを防ぐことができるため、盤状の臼体の使用で被粉砕物が粉砕領域内を徐々に移動することと相まって、粉砕物の粒度のばらつきが著しく減少する。
また、撹拌構造が、回り止め部材の軸部で第1軸孔から軸心外側に突出した柱状の突出軸部分にて、突出軸部分の外周側面から径方向外側に張り出すように形成される外羽根と、回り止め部材の軸部で第1軸孔内を通る柱状の内挿軸部分にて、内挿軸部分の外周側面から第1軸孔の内壁まで径方向外側に張り出すように形成される内羽根との少なくとも一方を有する場合は、固定臼体で第1臼面と反対側の面上に貯溜されている被粉砕物と、第1軸孔内にあって粉砕領域に達するまでの間に存在する被粉砕物とは、それぞれ、回り止め部材で同じ軸部に設けた外羽根と内羽根とによって撹拌することができる。これにより、貯溜中の被粉砕物の撹拌のために、特殊な撹拌構造を別途に設ける必要がなく、部品点数の削減による製造コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
また、撹拌構造が、回り止め部材の軸部と固定臼体との間で対向する面の少なくとも一方に、対向面の面間隔が第1軸孔側ほど減少するテーパ構造を有する場合は、外羽根や内羽根の羽根が駆動軸と一緒に回転する際、回転する羽根によって撹拌される被粉砕物が、テーパ構造により形成された隙間に向かって徐々に巻き込まれるようにして、第1軸孔内に流入し流下していく。これにより、被粉砕物の供給速度の増加や被粉砕物の偏在の解消をより確実に行うことができ、粉砕処理の処理効率と粉砕物の粒度品質の更なる向上を図ることができる。
また、テーパ構造が、第1軸孔の軸心外側の内周縁に形成されたテーパ形状の面取り部を有する場合は、回転する外羽根によって撹拌された被粉砕物が、固定臼体側の面と面取り部との間の隙間の奥に向かって徐々に巻き込まれるようにして、第1軸孔内に流入する。これにより、特殊なテーパ構造を別途に設けることなく、被粉砕物の供給速度の増加や被粉砕物の偏在の解消を確実に行うことができ、部品点数の削減による製造コストの低減やメンテナンス性の向上が図れる。
更に、面取り部の分だけ、第1軸孔内を実際に流下する距離が短くなり、被粉砕物の供給速度が一層増加して、粉砕処理の処理効率の更なる向上を図ることができる。
また、テーパ構造が、軸部の第1軸孔側に形成されたテーパ形状の切り欠き部を有する場合は、回転する外羽根によって撹拌された被粉砕物が、固定臼体側の面と切り欠き部との隙間の奥に向かって徐々に巻き込まれるようにして、第1軸孔内に流入する。これにより、軸部に設けた各羽根の形状や大きさの変更が可能となり、撹拌作用や流入作用を適正化して、粉砕処理の処理効率と粉砕物の粒度品質の更なる向上を図ることができる。例えば、外羽根に切り欠き部を形成した場合、被粉砕物が大きいと、切り欠き部を大きくして第1軸孔内への流入経路を拡大し、被粉砕物の数が多いと、逆に切り欠き部を小さくし外羽根による撹拌を促進するようにして、粉砕領域への被粉砕物の供給速度を確保することができる。
また、固定臼体で第1臼面と反対側に形成される第1被ガイド部と、係止構造にあって第1被ガイド部に対応すると共に、軸心方向視にて第1被ガイド部に外嵌可能な略相似形の略正多角形であり、かつ、第1被ガイド部よりも所定隙間だけ大きく形成される第1ガイド部とを有する第1心出し構造を備える場合は、容器本体に固定臼体を組み付ける際に、第1被ガイド部を容器本体の第1ガイド部内に挿嵌すると、両ガイド部の対応する辺同士が対向して配置される。この状態で駆動軸を所定方向に回転して回転臼体を回転させると、この回転臼体の第2臼面との間の摩擦力によって固定臼体も所定方向に回転する。すると、第1被ガイド部の各辺の角部が第1ガイド部の各辺の途中部に接触し、その反力によって第1被ガイド部の中心が軸心まで移動して心出しが行われる。これにより、容器本体に固定臼体を組み付ける際は、所定隙間があって第1ガイド部への装着が容易となり、臼挽きしている間に、自動的に固定臼体の心出しが行われるようにして、組み付け性の向上を図ることができる。
また、回動臼体で第2臼面と反対側に形成される第2被ガイド部と、回り止め部材で軸部が立設される基部にあって第2被ガイド部に対応すると共に、第2被ガイド部に所定隙間を介して嵌合可能な形状の第2ガイド部と、駆動軸の周りを回動し、基部の第2ガイド部を回動臼体の第2被ガイド部に向かって押圧して、回動臼体の中心を軸心上に移動可能な構成とした調整ナットとを有する第2心出し構造を備える場合は、容器本体に回転臼体を組み付ける際に、調整ナットを回転すると第2ガイド部が第2被ガイド部に向かって軸心上を移動する。すると、回動臼体の中心は第2ガイド部によって強制的に軸心上まで押動され心出しが行われる。これにより、容器本体に回転臼体を組み付ける際は、所定隙間があって第2被ガイド部への装着が容易となり、その後の調整ナットの締め付けでは、回り止め部材を介して自動的に回転臼体の心出しが行われるようにして、組み付け性の向上を図ることができる。
上記の目的を達成するために、本発明の臼構造は、少なくとも一端に開口が形成された容器本体内に、開口の近傍に設けた所定の係止構造を介して回動不能に係止されると共に、容器本体内で軸心上に回動可能に支持された駆動軸が回動可能に挿通される第1軸孔が穿孔され、ミル刃を有する第1臼面が前記開口に向けて配置される盤状の固定臼体と、駆動軸が回動可能に挿通される第2軸孔が穿孔されると共に、ミル刃を有する第2臼面が第1臼面に臨むように配置される盤状の回転臼体と、第2軸孔と駆動軸との間に介設して、回転臼体を駆動軸に回動不能に係止すると共に、第1軸孔を貫通する軸部を有し、軸部と固定臼体との間に、第1軸孔から流入する被粉砕物を撹拌可能な撹拌構造が形成される回り止め部材と、回り止め部材を貫通して回転臼体側から突出する駆動軸の先端ネジ部に螺合される調整ナットとを備えている。
そして、少なくとも一端に開口が形成された容器本体内に、開口の近傍に設けた所定の係止構造を介して回動不能に係止されると共に、容器本体内で軸心上に回動可能に支持された駆動軸が回動可能に挿通される第1軸孔が穿孔され、ミル刃を有する第1臼面が開口に向けて配置される盤状の固定臼体と、駆動軸が回動可能に挿通される第2軸孔が穿孔されると共に、ミル刃を有する第2臼面が第1臼面に臨むように配置される盤状の回転臼体と、第2軸孔と駆動軸との間に介設して、回転臼体を駆動軸に回動不能に係止する回り止め部材を備えることによって、コンパクトでありながら、粉砕可能量が多く、しかも、粉砕物の粒度のばらつきが小さい臼構造が得られる。すなわち、容器本体内に係止構造を介して固定される盤状の固定臼体の第1臼面と、容器本体に軸支された駆動軸に回り止め部材を介して連結する盤状の回転臼体の第2臼面とが互いに面接触して相対回転し、その間に被粉砕物を供給することができ、被粉砕物の粉砕領域が広くなり、しかも、この広い破砕領域内をミル刃の溝に沿って遠心力により徐々に押し出される。
更に、臼構造に、回り止め部材を貫通して回転臼体側から突出する駆動軸の先端ネジ部に螺合される調整ナットを備えることによって、粉砕物の粒度を精度良く調整することができる。すなわち、調整ナットを回動すると、駆動軸の軸心上を前後進して回転臼体が押し引きされ、固定臼体と回転臼体の間隔が自在に変更される。
加えて、臼構造の回り止め部材が、第1軸孔を貫通する軸部を有し、軸部と固定臼体との間に、第1軸孔から流入する被粉砕物を撹拌可能な撹拌構造が形成されることによって、粉砕処理の処理効率と粉砕物の粒度品質の著しい向上を図ることができる。すなわち、固定臼体の表面からその第1軸孔内にかけて分布する被粉砕物が撹拌され、粉砕領域への被粉砕物の供給速度が増加したため、盤状の臼体の使用で粉砕領域が広くなって粉砕可能量が増加したことと相まって、粉砕処理全体にかかる時間が著しく短縮される。しかも、撹拌によって被粉砕物の偏在が解消され、粉砕領域内における被粉砕物の偏在も軽減され、被粉砕物の蓄積による臼体の傾斜等に起因した臼体間の圧力分布のばらつきを防ぐことができるため、盤状の臼体の使用で被粉砕物が粉砕領域内を徐々に移動することと相まって、粉砕物の粒度のばらつきが著しく減少する。
また、臼構造の撹拌構造が、回り止め部材の軸部で第1軸孔から軸心外側に突出した柱状の突出軸部分にて、突出軸部分の外周側面から径方向外側に張り出すように形成される外羽根と、回り止め部材の軸部で第1軸孔内を通る柱状の内挿軸部分にて、内挿軸部分の外周側面から第1軸孔の内壁まで径方向外側に張り出すように形成される内羽根との少なくとも一方を有する場合は、固定臼体で第1臼面と反対側の面上に貯溜されている被粉砕物と、第1軸孔内にあって粉砕領域に達するまでの間に存在する被粉砕物とは、それぞれ、回り止め部材で同じ軸部に設けた外羽根と内羽根とによって撹拌することができる。これにより、貯溜中の被粉砕物の撹拌のために、特殊な撹拌構造を別途に設ける必要がなく、部品点数の削減による製造コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
また、臼構造の撹拌構造が、回り止め部材の軸部と固定臼体との間で対向する面の少なくとも一方に、対向面の面間隔が第1軸孔側ほど減少するテーパ構造する場合は、外羽根や内羽根の羽根が駆動軸と一緒に回転する際、回転する羽根によって撹拌される被粉砕物が、テーパ構造により形成された隙間に向かって徐々に巻き込まれるようにして、第1軸孔内に流入し流下していく。これにより、被粉砕物の供給速度の増加や被粉砕物の偏在の解消をより確実に行うことができ、粉砕処理の処理効率と粉砕物の粒度品質の更なる向上を図ることができる。
また、臼構造のテーパ構造が、第1軸孔の軸心外側の内周縁に形成されたテーパ形状の面取り部を有する場合は、回転する外羽根によって撹拌された被粉砕物が、固定臼体側の面と面取り部との間の隙間の奥に向かって徐々に巻き込まれるようにして、第1軸孔内に流入する。これにより、特殊なテーパ構造を別途に設けることなく、被粉砕物の供給速度の増加や被粉砕物の偏在の解消を確実に行うことができ、部品点数の削減による製造コストの低減やメンテナンス性の向上が図れる。
更に、面取り部の分だけ、第1軸孔内を実際に流下する距離が短くなり、被粉砕物の供給速度が一層増加して、粉砕処理の処理効率の更なる向上を図ることができる。
また、臼構造のテーパ構造が、軸部の第1軸孔側に形成されたテーパ形状の切り欠き部を有する場合は、回転する外羽根によって撹拌された被粉砕物が、固定臼体側の面と切り欠き部との隙間の奥に向かって徐々に巻き込まれるようにして、第1軸孔内に流入する。これにより、軸部に設けた各羽根の形状や大きさの変更が可能となり、撹拌作用や流入作用を適正化して、粉砕処理の処理効率と粉砕物の粒度品質の更なる向上を図ることができる。例えば、外羽根に切り欠き部を形成した場合、被粉砕物が大きいと、切り欠き部を大きくして第1軸孔内への流入経路を拡大し、被粉砕物の数が多いと、逆に切り欠き部を小さくし外羽根による撹拌を促進するようにして、粉砕領域への被粉砕物の供給速度を確保することができる。
また、臼構造に、回動臼体で第2臼面と反対側に形成される第2被ガイド部と、回り止め部材で軸部が立設される基部にあって第2被ガイド部に対応すると共に、第2被ガイド部に所定隙間を介して嵌合可能な形状の第2ガイド部と、駆動軸の周りを回動し、基部の第2ガイド部を回動臼体の第2被ガイド部に向かって押圧して、回動臼体の中心を軸心上に移動可能な構成とした調整ナットとを有する第2心出し構造を備える場合は、容器本体に回転臼体を組み付ける際に、調整ナットを回転すると第2ガイド部が第2被ガイド部に向かって軸心上を移動する。すると、回動臼体の中心は第2ガイド部によって強制的に軸心上まで押動され心出しが行われる。これにより、容器本体に回転臼体を組み付ける際は、所定隙間があって第2被ガイド部への装着が容易となり、その後の調整ナットの締め付けでは、回り止め部材を介して自動的に回転臼体の心出しが行われるようにして、組み付け性の向上を図ることができる。
本発明に係わるミル装置とその臼構造は、コンパクトでありながら、被粉砕物を高い処理効率で粉砕処理し、得られる粉砕物の粒度品質も優れたものとなっている。
以下、ミル装置に関する本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。なお、図1の矢印Uで示す方向を上方とし、以下で述べる各部の位置や方向等はこの上方を基準とするものである。
まず、本発明を適用したミル装置の一例であるお茶ミル1の全体構成について、図1乃至図3により説明する。
このお茶ミル1は、上下が開口された筒状の容器本体6と、この容器本体6内で軸心23上に回動可能に支持される駆動軸3と、この駆動軸3の上端に一端が連結される操作ハンドル4と、同じ駆動軸3の下端に連動連結される回転臼体8によって茶葉5を粉砕し粉末茶5aにする後述の臼挽きユニット2とを備えている。
このうちの容器本体6の上端開口6aには、円盤状の蓋11が着脱可能に嵌着される一方、同容器本体6の下端開口6bには、上方に開いた有底筒状の貯溜容器12が着脱可能に嵌着されている。これら蓋11、容器本体6、貯溜容器12は、例えば合成樹脂製、金属製、セラミック製であり、このうちの蓋11の平面視略中央には、軸孔11aが開口されている。
更に、容器本体6には、軸受け筒体24を内挿して一体化できる構成となっている。この軸受け筒体24では、駆動軸3の軸心23上に筒状の軸支部13aが配置され、この軸支部13aは、固定部13bを介して容器本体6の内壁6cに固定され、これら軸支部13aと固定部13bとから軸受け13が形成されている。
そして、このうち軸支部13aの上端には、位置決め用のワッシャー14が外嵌され、軸支部13aの下端には、位置決め用のワッシャー15aとプッシュナット15bが外嵌されている。
これにより、駆動軸3は、その上端を軸孔11aに挿通して上方に突出させると共に、その途中部を、これらワッシャー14、ワッシャー15a、およびプッシュナット15bによって軸受け13に回動可能に支持するようにしている。
加えて、操作ハンドル4は、その一端の軸孔22が、蓋11の軸孔11aから突出した駆動軸3の上端部21に着脱可能に連結されると共に、操作ハンドル4の他端には、把持して操作するためのグリップ16が設けられている。
以上のような構成において、このお茶ミル1を使って粉砕処理を行う際は、まず、操作ハンドル4を駆動軸3の上端から取り外した後、蓋11を容器本体6から上方に脱着させて上端開口6aを開放し、この上端開口6aから容器本体6内へ茶葉5を投入する。すると、投入された茶葉5は容器本体6内を流下していき、前述の臼挽きユニット2より上方で軸受け13との間の空間20内に入り込む。
その後、再び蓋11で容器本体6の上端開口6aを閉止し、蓋11の軸孔11aから突出した駆動軸3の上端に操作ハンドル4の一端を連結させる。それから、容器本体6を一方の手で持ち、他方の手で操作ハンドル4のグリップ16を把持して回転させると、臼挽きユニット2が駆動されて空間20内の茶葉5がすり潰され、できた粉末茶5aは、下方の貯溜容器12の内部空間内に流下して堆積される。そして、この貯溜容器12を容器本体6から下方に脱着させて、貯溜容器12内の粉末茶5aを取り出して使用することができる。
次に、前述の臼挽きユニット2について、図2乃至図7により説明する。
図2、図3に示すように、この臼挽きユニット2は、容器本体6内に一体化された軸受け筒体24の所定の係止構造25を介して回動不能に係止される円盤状の固定臼体7と、前述の円盤状の回転臼体8と、この回転臼体8を駆動軸3に回動不能に外嵌する回り止め部材10と、固定臼体7側から回り止め部材10を貫通して回転臼体8側から突出する駆動軸3の先端ネジ部3aに螺合される調整ナット9とを備えている。なお、本実施例では、固定臼体7、回転臼体8をともに円盤状としているが、矩形等の多角形の盤状であってもよく、その平面視形状は特に限定されるものではない。
図2乃至図4に示すように、このうちの固定臼体7は、平面視略中央には、駆動軸3が回動可能に挿通される第1軸孔26が穿孔されると共に、第1臼面27が容器本体6の下端開口6bに向けて配置されている。そして、この固定臼体7は、例えばセラミック製、金属製であり、第1臼面27にミル刃27aが形成されている。
更に、第1軸孔26は、軸心23上に中心を有する円筒形状の円筒孔部26aと、この円筒孔部26aの内壁から径方向に突設し互いに180度反対側に位置する突状の径孔部26b、26bとから構成され、後で詳述する回り止め部材10の軸部33を下方から挿通できるようにしている。
加えて、第1臼面27と反対側にある固定臼体7の上半部7aには、軸心方向視にて、隣接する直線状の辺7a1間を短い円弧で連結した略正六角形状の第1被ガイド部30が外周に形成されている。
ここで、容器本体6に内挿された軸受け筒体24の下部には、径方向内側に向かって円環状の係止リング部24aが突設されている。そして、この係止リング部24aの下面24a1からは、第1ガイド部31が垂設され、この第1ガイド部31は、前述の第1被ガイド部30に対応しており、軸心方向視にて、隣接する直線状の辺31a間を短い円弧で連結した略正六角形状であって、第1被ガイド部30に外嵌可能な略相似形に形成されている。
これにより、前述した係止構造25を、これら係止リング部24aと第1ガイド部31とから構成すると共に、容器本体6の下端開口6bの近傍に配置することができる。詳しくは、固定臼体7を容器本体6に下方より内挿すると、固定臼体7の上面7bが係止リング部24aの下面24a1に当接すると共に、固定臼体7の外周の第1被ガイド部30が第1ガイド部31に挿嵌され、固定臼体7が、容器本体6内に、係止構造25を介して回動不能に係止される。
また、図2、図3、図7(b)に示すように、回転臼体8は、前述の固定臼体7と同様、平面視略中央には、駆動軸3が回動可能に挿通される第2軸孔28が穿孔されると共に、第2臼面29が第1臼面27に臨むように配置されている。そして、この回転臼体8も、例えばセラミック製、金属製であり、第2臼面29にミル刃29aが形成されている。
更に、第2軸孔28も、前述の第1軸孔26と同様、軸心23上に中心を有する円筒形状の円筒孔部28aと、この円筒孔部28aの内壁から径方向に突設し互いに180度反対側に位置する突状の径孔部28b、28bとから構成され、後で詳述する回り止め部材10を下方から挿通できるようにしている。
加えて、第2臼面29と反対側にある回転臼体8の下面8bには、軸心方向視円形で凹状の第2被ガイド部8b1が形成されている。
なお、この回転臼体8にも、固定臼体7と同様、下半部8aには、前述の第1被ガイド部30と同じ略正六角形状の被ガイド部が外周に形成されているが、これは、回転臼体8を上下反転して固定臼体7への使用を可能とするためである。これにより、固定臼体7と回転臼体8とを相互に利用できるようにして部品を共通化し、部品単価の低減、部品点数の削減による管理コストの低減などを図ることができる。
また、図2、図3、図5乃至図7に示すように、回り止め部材10は、例えば合成樹脂製であり、上下に貫通する軸孔10aが形成されている。そして、この軸孔10aに前述の駆動軸3が挿通され、この駆動軸3の下部側面に突設した突条3b、3bが、軸孔10aの内壁から径方向に突設し互いに180度反対側に位置する突状の径孔部10a1、10a1に係止されるようにしている。
このようにして、駆動軸3が回動不能に挿通される回り止め部材10は、円盤状の基部32と、軸心23沿いに基部32上に立設される軸部33とから構成される。
このうちの基部32は、下方に開いた円錐台形状であって、底面には、底面視で円形状の凹部32bが形成されると共に、円錐台の上平面32a1と側面32a2とから、前述した回転臼体8の第2被ガイド部8b1に挿嵌して嵌合可能な、第2ガイド部32aが形成されている。
軸部33においては、基部32側から順に、回転臼体8に係止される係止部34と、固定臼体7の第1軸孔26内を通る柱状の内挿軸部分35と、第1軸孔26から軸心外側に突出した柱状の突出軸部分36とが連設されている。
このうちの係止部34は、軸心23上に中心を有する円筒形状の円筒部34aと、この円筒部34aの外壁から径方向に突設し互いに180度反対側に位置する突状の径突部34b、34bとから構成されている。
これにより、図3に示すように、容器本体6内に固定臼体7、回転臼体8を順に挿入した後、その軸孔26、28に回り止め部材10を内挿する際には、図7(b)に示すように、前述の円筒部34a、径突部34b、34bが、それぞれ、第2軸孔28の円筒孔部28a、径孔部28b、28bと対向するようにして、係止部34を第2軸孔28内に挿嵌することにより、回転臼体8を、回り止め部材10を介して駆動軸3に回動不能に係止することができる。
なお、径突部34bの側面には、突片37が長手方向を軸心方向にして固設されており、突片37の厚みを調整することで、係止部34を第2軸孔28内に確実に挿嵌できるようにしている。
内挿軸部分35は、係止部34の円筒部34aよりも小径で軸心23上に中心を有する円筒部35aと、この円筒部35aの外壁から径方向に突設し互いに180度反対側に位置する突状の内羽根35b、35bとから構成されている。
この内羽根35b、35bは、前述の軸孔10a内に形成された径孔部10a1、10a1の膨出部分として、係止部34の径突部34b、34bの上方延長上にあって、第1軸孔26の内壁26cよりも小径に形成される。
これにより、軸孔26、28に回り止め部材10を内挿した後、前述した操作ハンドル4を回転して駆動軸3を回転すると、図7(c)に示すように、容器本体6内に回動不能に係止された固定臼体7はそのままで、回り止め部材10の内挿軸部分35より張り出した内羽根35b、35bが、駆動軸3の回転に伴って矢印41の方向に回転する。すると、第1軸孔26内にあって第1臼面27と第2臼面29との間の粉砕領域42に達するまでの間に存在する茶葉5が、内羽根35b、35bによって充分に撹拌される。
突出軸部分36は、内挿軸部分35の円筒部35aの上方延長上にあって、同径で軸心23上に中心を有する円筒部36aと、この円筒部36aの下部外壁から径方向に突設し互いに180度反対側に位置すると共に、軸心方向視で前述の係止部34の径突部34b、34bと略同形の突状の主外羽根36b、36bと、円筒部36aの上部外壁から径方向に突設し互いに180度反対側に位置すると共に、軸心方向視で前述の内挿軸部分35の内羽根35b、35bと略同形の突状の副外羽根36c、36cとから構成されている。
これにより、操作ハンドル4を回転して駆動軸3を回転すると、図7(d)に示すように、容器本体6内に回動不能に係止された固定臼体7はそのままで、回り止め部材10の突出軸部分36より張り出した主外羽根36b、36b、副外羽根36c、36cが、駆動軸3の回転に伴って、内羽根35b、35bと同様に矢印41の方向に回転する。すると、固定臼体7で第1臼面27と反対側の面である上面7b上に貯溜されている茶葉5が、主外羽根36b、36bと副外羽根36c、36cによって充分に撹拌される。
すなわち、このように、回り止め部材10が、第1軸孔26を貫通する軸部33を有し、この軸部33と固定臼体7との間に、第1軸孔26から流入する茶葉5を撹拌可能な、内羽根35bと外羽根36b、36cとを有する撹拌構造43が形成されると、固定臼体7の上面7bからその第1軸孔26内にかけて存在する茶葉5が撹拌され、粉砕領域42への茶葉5の供給速度が増加する。
このため、円盤状の臼体7、8の使用で粉砕領域42が広くなって粉砕可能量が増加したことと相まって、粉砕処理全体にかかる時間が著しく短縮される。しかも、撹拌によって茶葉5の偏在が解消され、粉砕領域42内における茶葉5の偏在も軽減され、茶葉5の蓄積による臼体7、8の傾斜等に起因した臼体7、8間の圧力分布のばらつきを防ぐことができるため、円盤状の臼体7、8の使用で茶葉5が粉砕領域42内を徐々に移動することと相まって、粉末茶5aの粒度のばらつきが著しく減少する。
更に、固定臼体7で第1臼面27と反対側の面の上面7b上に貯溜されている茶葉5と、第1軸孔26内にあって粉砕領域42に達するまでの間に存在する茶葉5とは、それぞれ、回り止め部材10で同じ軸部33に設けた外羽根36b、36cと内羽根35bとによって撹拌することができる。これにより、貯溜中の茶葉5の撹拌のために、特殊な撹拌構造を別途に設ける必要がなく、部品点数の削減による製造コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
加えて、以上述べたように、臼構造である臼挽きユニット2が、少なくとも一端に開口6a、6bが形成された容器本体6内に、下端開口6bの近傍に設けた所定の係止構造25を介して回動不能に係止されると共に、容器本体6内で軸心23上に回動可能に支持された駆動軸3が回動可能に挿通される第1軸孔26が穿孔され、ミル刃27aを有する第1臼面27が下端開口6bに向けて配置される円盤状の固定臼体7と、駆動軸3が回動可能に挿通される第2軸孔28が穿孔されると共に、ミル刃29aを有する第2臼面29が第1臼面27に臨むように配置される円盤状の回転臼体8と、第2軸孔28と駆動軸3との間に介設して、回転臼体8を駆動軸3に回動不能に係止する回り止め部材10を備える場合、更には、本実施例の如く、お茶ミル1がこのような臼挽きユニット2を搭載する場合は、いずれも、第1臼面27と第2臼面29とが互いに面接触して相対回転し、その間に茶葉5を供給することができるため、茶葉5の粉砕領域42が広く、しかも、この広い破砕領域42内をミル刃27a、29aの溝に沿って遠心力により徐々に押し出される。このため、コンパクトでありながら、粉砕可能量が多く、しかも、粉末茶5aの粒度のばらつきが小さい、お茶ミル1とその臼挽きユニット2を得ることができるのである。
また、図2,図3、図6に示すように、調整ナット9は、例えば合成樹脂製であり、上下に貫通するネジ孔9aが形成され、このネジ孔9aに前述の駆動軸3の先端ネジ部3aが螺挿されると共に、この調整ナット9の上部には、回り止め部材10の下面の凹部32bに回転摺動可能な環状部9bが形成されている。
ここで、前述の如く、容器本体6内に係止構造25を介して固定臼体7を回動不能に係止した後、この固定臼体7に回転臼体8を重ね、その後、軸孔26、28に回り止め部材10の軸部33を挿通することにより、係止部34を介して、回り止め部材10を回転臼体8に回動不能に取り付けて一体化させることができる。同時に、回り止め部材10の軸孔10aに駆動軸3の下端を挿通させ、この軸孔10a内の径孔部10a1に駆動軸3の突条3b、3bを係止することにより、回り止め部材10を駆動軸3に回動不能に取り付けることができ、その結果、回り止め部材10を介して、回転臼体8が駆動軸3に回動不能に挿通される。
その上で、回り止め部材10を貫通して回転臼体8側から突出する駆動軸3の先端ネジ部3aをネジ孔9aに螺挿して、調整ナット9を先端ネジ部3aに螺合すると、容器本体6内に回動不能に固着した固定臼体7のミル刃27aと、駆動軸3を回動不能に挿通した回転臼体8のミル刃29aとを、互いに対面させた状態で配置させる。
これにより、この配置状態で、調整ナット9を回動すると、回り止め部材10と一体化した回転臼体が、駆動軸3の軸心23上を前後進して押し引きされて、固定臼体7と回転臼体8の間隔が変更され、ミル刃27a、29a間の間隔を精密に変更して粉末茶5aの粒度の細かな調整が可能となる。
次に、前述の撹拌構造43、係止構造25などの組み付け構成の詳細について、図2、図4、図7乃至図10により説明する。
図7、図8(a)に示すように、本実施例では、固定臼体7の上面7bには、軸心方向視円形の凹部7b1が形成されている。なお、この凹部7b1は、回転臼体8の第2被ガイド部8b1と略同形に形成されており、前述の如く、回転臼体8を上下反転して固定臼体7への使用を可能としている。
そして、この凹部7b1の底面7b2において、その平面視略中央に前述の第1軸孔26が穿孔され、この第1軸孔26の軸心外側の内周縁にあって、第1軸孔26から底面7b2にかけての角部には、テーパ状の面取り部7b3が形成されている。
この面取り部7b3は、回り止め部材10の軸部33における内挿軸部分35の外周面35cに対向すると共に、この外周面35cと面取り部7b3との間に形成される隙間40では、面間隔38が第1軸孔26側ほど減少する構成となっている。
このようなテーパ構造39によると、外羽根36b、36cや内羽根35bの羽根が駆動軸3と一緒に回転する際、回転する羽根によって撹拌される茶葉5が、テーパ構造39により形成された隙間40に向かって徐々に巻き込まれるようにして、第1軸孔26内に流入し流下していく。これにより、茶葉5の供給速度の増加や茶葉5の偏在の解消をより確実に行うことができ、粉砕処理の処理効率と粉末茶5aの粒度品質の更なる向上を図ることができる。
特に、テーパ構造39が、本実施例のようなテーパ形状の面取り部7b3を有する場合は、回転する外羽根36b、36cによって撹拌された茶葉5が、隙間40の奥に向かって徐々に巻き込まれるようにして、第1軸孔内に流入する。これにより、特殊なテーパ構造を別途に設けることなく、茶葉5の供給速度の増加や茶葉5の偏在の解消を確実に行うことができ、部品点数の削減による製造コストの低減やメンテナンス性の向上が図れる。
しかも、面取り部7b3の分だけ、第1軸孔26内を実際に流下する距離が短くなり、茶葉5の供給速度が一層増加して、粉砕処理の処理効率の更なる向上を図ることができる。
また、別形態のテーパ構造39Aについて、図8(b)により説明する。
このテーパ構造39Aは、前述のテーパ構造39における固定臼体7の面取り部7b3に替えて、軸部33の第1軸孔26側に形成されたテーパ形状の切り欠き部45を設けることにより、撹拌作用や流入作用の適正化を可能としたものである。
この切り欠き部45は、回り止め部材10Aの主外羽根44に形成され、固定臼体7Aの上面7bにおける凹部7b1の底面7b2に対向すると共に、この底面7b2と切り欠き部45との間に形成される隙間46では、面間隔47が第1軸孔26側ほど減少する構成となっている。
このようなテーパ構造39Aによると、回転する主外羽根44によって撹拌された茶葉5が、隙間46の奥に向かって徐々に巻き込まれるようにして、第1軸孔26内に流入する。この際、軸部33に設けた主外羽根44の形状や大きさの変更が可能となり、撹拌作用や流入作用を適正化して、粉砕処理の処理効率と粉砕物の粒度品質の更なる向上を図ることができる。
例えば、茶葉5が大きい場合は、切り欠き部45を大きくして第1軸孔26内への流入経路を拡大し、茶葉5の大きさは通常であるが数が多い場合は、逆に切り欠き部45を小さくし主外羽根44による撹拌を促進するようにして、粉砕領域42への茶葉5の供給速度を確保する。
また、図2、図4、図9(a)に示すように、本実施例では、前述の如く、固定臼体7の上半部7aには、軸心方向視にて、隣接する直線状の辺7a1間を短い円弧で連結した略正六角形状の第1被ガイド部30が外周に形成されている。
一方、前述の如く、容器本体6に内挿された軸受け筒体24の下部には、係止構造25を構成する係止リング部24aと第1ガイド部31が形成され、この第1ガイド部31は、前述の第1被ガイド部30に対応しており、軸心方向視にて、隣接する直線状の辺31a間を短い円弧で連結した略正六角形状であって、第1被ガイド部30に外嵌可能な略相似形に形成されている。
そして、このような第1ガイド部31は、前述の固定臼体7の第1被ガイド部30よりも所定の隙間50だけ大きく形成され、容器本体6に対して固定臼体7の心出しを行うための第1心出し構造48が構成されている。
これにより、容器本体6に固定臼体7を組み付ける際には、固定臼体7の第1被ガイド部30を容器本体6の第1ガイド部31内に挿嵌すると、両ガイド部30、31の対応する辺である辺7a1と辺31a同士が対向して配置される。
そして、この対向状態で駆動軸3を矢印49に示す所定方向に回転して回転臼体8を回転させると、この回転臼体8の第2臼面29との間の摩擦力によって、固定臼体7も矢印49の方向に若干回転する。
すると、第1被ガイド部30の各辺7a1の角部7a2が、第1ガイド部31の各辺31aの途中部に接触し、その反力により、略正六角形状の第1被ガイド部30の中心7cが駆動軸3の軸心23まで移動されて心出しが行われる。
このため、容器本体6に固定臼体7を組み付ける際は、所定の隙間50があって第1ガイド部31への装着が容易となり、臼挽きしている間に、自動的に固定臼体7の心出しが行われるようにして、組み付け性の向上を図ることができる。
また、ここで別形態の係止構造51について、図9(b)により説明する。
この係止構造51は、前述の係止構造25のように固定臼体7との間で心出し作用が生じないものの、加工が容易で部品コストを低減可能としたものである。
この係止構造51では、固定臼体52の上半部の外周には、軸心方向視にて、径方向外側に開いた3個の凹部52aが周方向等間隔で形成されており、これら3個の凹部52aより第1被ガイド部53が構成される。
一方、容器本体6に内挿された軸受け筒体54の下部には、径方向内側に向かって円環状の係止リング部54aが突設されている。そして、この係止リング部54aの下面54a1からは、第1ガイド部55が垂設され、この第1ガイド部55では、軸心方向視にて、3本の略正五角柱状の短柱55aが周方向略等間隔で形成されており、これら係止リング部54aと第1ガイド部55とから係止構造51が構成される。
これにより、固定臼体52を容器本体6に下方より内挿すると、固定臼体52の上面が係止リング部54aの下面54a1に当接すると共に、固定臼体52の外周の第1被ガイド部53の凹部52aが、第1ガイド部55の短柱55aに嵌合され、固定臼体52が、容器本体6内に、係止構造51を介して回動不能に係止される。
また、図2、図10に示すように、本実施例では、前述の如く、回転臼体8の下面8bには、軸心方向視円形で凹状の第2被ガイド部8b1が形成される一方、回り止め部材10の基部32は、下方に開いた円錐台形状であって、円錐台の上平面32a1と側面32a2とから第2ガイド部32aが形成されており、この第2ガイド部32aは、所定の隙間57を介して第2被ガイド部8b1に挿嵌し嵌合可能に形成されている。
更に、前述の如く、駆動軸3の周りを回動し、基部32の第2ガイド部32aを回動臼体8の第2被ガイド部8b1に向かって押圧して、回動臼体8の中心を軸心23上に移動可能な構成とした調整ナット9を有している。そして、これら第2被ガイド部8b1、第2ガイド部32a、及び調整ナット9とから、容器本体6に対して回転臼体8の心出しを行うための第2心出し構造56が構成されている。
これにより、容器本体6に回転臼体8を組み付ける際は、調整ナット9を回転すると、第2ガイド部32aが第2被ガイド部8b1に向かって軸心23上を移動する。すると、回転臼体8の中心は、第2ガイド部32aによって強制的に軸心23上まで押動されて心出しが行われる。
このため、容器本体6に回転臼体8を組み付ける際は、所定の隙間57があって第2被ガイド部8b1への装着が容易となり、その後の調整ナット9の締め付けでは、回り止め部材10を介して自動的に回転臼体8の心出しが行われるようにして、組み付け性の向上を図ることができる。
以上のように、本発明を適用したミル装置とその臼構造は、コンパクトでありながら、被粉砕物を高い処理効率で粉砕処理し、得られる粉砕物の粒度品質も優れたものとなっている。