JP6190105B2 - 皮膚バリア機能改善剤のスクリーニング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、皮膚バリア機能改善剤のスクリーニング方法に関する。具体的には、ヒアルロン酸合成関連遺伝子、ヒアルロン酸レセプター関連遺伝子、ヒアルロン酸分解関連遺伝子を指標とした皮膚バリア機能改善剤のスクリーニング方法とその方法を用いて選択された皮膚バリア機能改善剤に関する。
ヒアルロン酸は皮膚の角質層や真皮に存在するムコ多糖で、皮膚の保湿や弾力性に寄与することが知られている。ヒアルロン酸の半減期は約1日と短く、皮膚内においては常に合成と分解が繰り返されて、皮膚の保湿や弾力性を維持している。
一方、加齢に伴い皮膚の弾力性やハリの低下、皮膚の乾燥や肌荒れといった変化が生じることは良く知られている。その変化の原因の一つとして皮膚におけるヒアルロン酸量の低下が考えられ、皮膚におけるヒアルロン酸については、加齢により減少することが報告されている(非特許文献1、非特許文献2)。
またヒアルロン酸分子量については、紫外線の照射により低分子化すること(非特許文献3)、角層、表皮層、真皮層で比較すると角層<表皮層<真皮層の順で小さいことが報告されていた(非特許文献4)。
そこで、これらの現象を解決するために、従来は専らヒアルロン酸量を増加あるいは維持することを目的とするヒアルロン酸生成促進剤やヒアルロン酸分解抑制剤が提案されていた。
一方、ヒアルロン酸の分解促進剤に関しては、動脈硬化、心筋梗塞、骨形成異常、乾癬、悪性腫瘍の症状悪化に密接に関連すると考えられるヒアルロン酸合成の異常亢進への対処としてヒアルロン酸分解促進剤を適用する試みがわずかに報告されている(特許文献1、2)。
しかしながら、加齢に伴う皮膚の弾力性やハリの低下、皮膚の乾燥や肌荒れといった皮膚の変化を予防・改善することを目的としてヒアルロン酸の分解促進を試みる例は全く報告されていなかった。
つまり、従来は、単にヒアルロン酸の合成を促進する、或いは分解を抑制する、或いは、異常に産生されたヒアルロン酸を分解するというように、専らヒアルロン酸の量に着目し、その量を増やす、或いは減るのを抑える、増えすぎるのを抑えると言った提案に過ぎず、ヒアルロン酸の合成関連遺伝子とレセプター関連遺伝子と分解関連遺伝子に着目し、これらを指標としたスクリーニング方法は開示されていなかった。
特許第3566043号 特許第4388444号
Meyer LJ et al. Journal of Investigative Dermatology 102: 385-389,1994. Longas MO.Carbohydrate Research 159: 127-136, 1987. 高山健一郎. 化学と生物 26: 308-315, 1988. 井上ら. 生化学 77: 1152-1164, 2005.
本発明者らは、上記背景技術に鑑み、表皮内のヒアルロン酸代謝と表皮の外部環境からの防御機能との関連について研究を進めたところ、表皮内のヒアルロン酸の量ではなく、むしろヒアルロン酸の分子量と角層水分量および水分蒸散量との間に何らかの関係があることを発見した。
そして、さらに研究を進めたところ、加齢および紫外線による表皮ケラチノサイトにおけるヒアルロン酸合成関連遺伝子(以下、単に合成関連遺伝子と言う場合がある)のみならず、ヒアルロン酸レセプター関連遺伝子(以下、単にレセプター関連遺伝子と言う場合がある)およびヒアルロン酸分解関連遺伝子(以下、単に分解関連遺伝子と言う場合がある)が、皮膚バリア機能の改善に関連していることを突き止めた。
具体的には、ヒアルロン酸合成関連遺伝子、レセプター関連遺伝子、分解関連遺伝子の発現低下、或いは上昇度低下が、表皮内に低分子ヒアルロン酸の蓄積を招き、低分子化したヒアルロン酸が表皮細胞の分化を抑制することにより、未成熟な角層を生成し、結果として皮膚バリア機能の低下に引き続く角層水分量の低下を生じさせるという悪循環を生じさせていることが判明した。
これらのことにより、表皮内に低分子化したヒアルロン酸の蓄積を抑制することが出来れば、皮膚バリア機能を改善させることが出来ると考えられる。
本願発明は、紫外線及び加齢により低下した皮膚バリア機能改善剤のスクリーニング方法を提供することを課題とし、加えてより効果の高い皮膚バリア機能改善剤を提供することを課題とする。
本発明は、若齢のヒト及び高齢のヒトのドナーから得られた培養表皮ケラチノサイトを用い、紫外線照射により培養表皮ケラチノサイトに発現するヒアルロン酸合成関連遺伝子の発現量とヒアルロン酸レセプター関連遺伝子の発現量とヒアルロン酸分解関連遺伝子の発現量を指標とし、高齢のヒトのドナーから得られた培養表皮ケラチノサイトに発現する遺伝子と若齢のヒトのドナーから得られた培養表皮ケラチノサイトに発現する遺伝子の発現量を比較することで、皮膚バリア機能改善剤をスクリーニングする方法である。
更に具体的には、下記ステップにより測定した遺伝子の発現量を指標とする、皮膚バリア機能改善剤のスクリーニング方法である。
(1)紫外線を照射した若齢のヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトのヒアルロン酸合成関連遺伝子の発現量(Cys)およびヒアルロン酸レセプター関連遺伝子の発現量(Cyr)およびヒアルロン酸分解関連遺伝子の発現量(Cyd)を測定するステップ
(2)紫外線を照射しない若齢のヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトのヒアルロン酸合成関連遺伝子の発現量(Bys)およびヒアルロン酸レセプター関連遺伝子の発現量(Byr)およびヒアルロン酸分解関連遺伝子の発現量(Byd)を測定するステップ
(3)紫外線を照射した高齢のヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトのヒアルロン酸合成関連遺伝子の発現量(Cas)およびヒアルロン酸レセプター関連遺伝子の発現量(Car)およびヒアルロン酸分解関連遺伝子の発現量(Cad)を測定するステップ
(4)紫外線を照射しない高齢のヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトのヒアルロン酸合成関連遺伝子の発現量(Bas)およびヒアルロン酸レセプター関連遺伝子の発現量(Bar)およびヒアルロン酸分解関連遺伝子の発現量(Bad)を測定するステップ
(5)紫外線照射前又は、紫外線照射後又は、紫外線照射の前後に被験物質を加えた状態の高齢のヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトのヒアルロン酸合成関連遺伝子の発現量(Tas)およびヒアルロン酸レセプター関連遺伝子の発現量(Tar)およびヒアルロン酸分解関連遺伝子の発現量(Tad)を測定するステップ
(6)前記(1)〜(5)の各ステップで得られた遺伝子の発現量において、Cys/Bys≧Tas/Bas≧Cas/BasかつCyr/Byr≧Tar/Bar≧Car/BarかつCyd/Byd≧Tad/Bad>Cad/Badとなる被験物質を有効成分として選択するステップ
更には、
Cys/Bys≧Tas/Bas≧Cas/Basかつ、Cyr/Byr≧Tar/Bar≧Car/Barかつ、Cyd/Byd≧Tad/Bad≧(Cyd/Byd+Cad/Bad)/2となる被験物質を有効成分として選択することを特徴とする請求項1の皮膚バリア機能改善剤のスクリーニング方法である。
また、上記スクリーニング方法により選別された皮膚バリア機能改善剤及びそれを配合した皮膚外用剤を提供する。
本発明によれば、ヒアルロン酸合成関連遺伝子、レセプター関連遺伝子、分解関連遺伝子を指標にし、各遺伝子発現が特定の関係を示す被験物質を選別することにより、動物実験や人での試験を行わずとも、簡易的に皮膚バリア機能を高める被験物質を選別することが可能になる。
また、これまでにない新たな着想に基づく皮膚バリア機能改善剤及び皮膚外用剤が提供される。
被験者の年代と角層水分量の関係を示す図。 被験者の年代と経表皮水分蒸散量の関係を示す図。 被験者の年代と角層ヒアルロン酸量の関係を示す図。 被験者の年代と角層ヒアルロン酸分子量の関係を示す図。 培養表皮ケラチノサイトのドナーの年齢と紫外線照射後のHAS1遺伝子発現量の関係を示す図。 培養表皮ケラチノサイトのドナーの年齢と紫外線照射後のHAS2遺伝子発現量の関係を示す図。 培養表皮ケラチノサイトのドナーの年齢と紫外線照射後のHAS3遺伝子発現量の関係を示す図。 培養表皮ケラチノサイトのドナーの年齢と紫外線照射後のCD44遺伝子発現量の関係を示す図。 培養表皮ケラチノサイトのドナーの年齢と紫外線照射後のHYAL1遺伝子発現量の関係を示す図。 培養表皮ケラチノサイトのドナーの年齢と紫外線照射後のHYAL2遺伝子発現量の関係を示す図。 使用した皮膚外用剤の種類と角層水分量変化の関係を示す図。 使用した皮膚外用剤の種類と経表皮水分蒸散量の関係を示す図。 使用した皮膚外用剤の種類と角層ヒアルロン酸量の関係を示す図。 使用した皮膚外用剤の種類と角層ヒアルロン酸分子量の関係を示す図。
発明を実施する為の最良の形態
本願発明のスクリーニング方法は、低分子化したヒアルロン酸の蓄積を防止するために、単にヒアルロン酸の分解を促進して、ヒアルロン酸の合成を促進させる被験物質を選択するものではない。 単にヒアルロン酸量を増加させることは、かえって病的な状態になる場合があるからである。
本願発明のスクリーニング方法においては、加齢及び紫外線によりダメージを受けた皮膚を想定し、ヒアルロン酸の合成関連遺伝子、レセプター関連遺伝子、分解関連遺伝子の発現量を、若齢のヒトの皮膚における各遺伝子発現の状態に近づけさせる被験物質を選択する方法である。
具体的には、以下の方法による。
(1)紫外線を照射した若齢のヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトのヒアルロン酸合成関連遺伝子の発現量(Cys)およびヒアルロン酸レセプター関連遺伝子の発現量(Cyr)およびヒアルロン酸分解関連遺伝子の発現量(Cyd)を測定する。
(2)紫外線を照射しない若齢のヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトのヒアルロン酸合成関連遺伝子の発現量(Bys)およびヒアルロン酸レセプター関連遺伝子の発現量(Byr)およびヒアルロン酸分解関連遺伝子の発現量(Byd)を測定する。
(3)紫外線を照射した高齢のヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトのヒアルロン酸合成関連遺伝子の発現量(Cas)およびヒアルロン酸レセプター関連遺伝子の発現量(Car)およびヒアルロン酸分解関連遺伝子の発現量(Cad)を測定する。
(4)紫外線を照射しない高齢のヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトのヒアルロン酸合成関連遺伝子の発現量(Bas)およびヒアルロン酸レセプター関連遺伝子の発現量(Bar)およびヒアルロン酸分解関連遺伝子の発現量(Bad)を測定する。
(5)紫外線照射前又は、紫外線照射後又は、紫外線照射の前後に被験物質を加えた状態の高齢のヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトのヒアルロン酸合成関連遺伝子の発現量(Tas)およびヒアルロン酸レセプター関連遺伝子の発現量(Tar)およびヒアルロン酸分解関連遺伝子の発現量(Tad)を測定する。
(6)前記(1)〜(5)で得られた遺伝子の発現量において、Cys/Bys≧Tas/Bas≧Cas/BasかつCyr/Byr≧Tar/Bar≧Car/BarかつCyd/Byd≧Tad/Bad>Cad/Badとなる被験物質を有効成分として選択する。
本発明で用いるヒアルロン酸合成関連遺伝子はHAS1、HAS2、HAS3である。HAS1、HAS2、HAS3それぞれの発現量を測定し、これらの内、少なくとも1種以上の遺伝子の発現量がCys/Bys≧Tas/Bas≧Cas/Basとなっていればよい。
具体的には、例えばヒアルロン酸合成関連遺伝子中、指標をHAS1とした際に、Cys/Bys≧Tas/Bas≧Cas/Basとなっていれば良いという意味である。この関係が、HAS2を指標とした場合、HAS3を指標にした際にも、それぞれ同様の関係であれば更に良い。 つまり、本関係を確認する場合には、遺伝子の種類は固定した上で判断する。
尚、HAS1、HAS2、HAS3それぞれの発現量の内、少なくとも1種以上の遺伝子の発現量が前記関係を満たしていれば良く、HAS1、HAS2、HAS3のいずれかの指標において、遺伝子の発現量がCys/Bys≧Tas/Bas≧Cas/Basとなっていないものがあっても差し支えない。
HASはヒアルロン酸合成酵素(Hyaluronan Synthase)をコードする遺伝子で、脊椎動物のHASファミリーにはHAS1、HAS2、HAS3の3種類がある。表皮細胞のヒアルロン酸合成では HAS3 が主に働いていることが報告されているが(Sayo T et al.
Journal of Investigative Dermatology 118: 43-48, 2002. )、ノックアウトマウスを用いた研究からHAS1とHAS3のノックアウトマウスでは目立った表現型が見られず、HASは互いに機能を補完し合っている可能性も示唆されている。
本発明で用いるヒアルロン酸レセプター関連遺伝子はCD44である。
CD44は、細胞凝集、細胞周囲のマトリックスの保持、マトリックス−細胞間のシグナリング、レセプターを介するヒアルロン酸の取り込み/分解や細胞遊走などを含む様々な細胞機能に関与するCD44
Antigenをコードする遺伝子である。
本発明で用いるヒアルロン酸分解関連遺伝子は、HYAL1、HYAL2である。HYAL1、HYAL2それぞれの発現量を測定し、これらの内、少なくとも一方の遺伝子の発現量がCyd/Byd≧Tad/Bad>Cad/Badとなっていればよい。具体的には、例えばヒアルロン酸分解関連遺伝子中、指標をHYAL1とした際に、Cyd/Byd≧Tad/Bad>Cad/Badとなっていれば良いという意味である。この関係が、HYAL2を指標とした場合にも、同様の関係であれば更に良い。
つまり、本関係を確認する場合には、遺伝子の種類は固定した上で判断する。
尚、HYAL1、HYAL2それぞれの発現量の内、少なくとも一方の遺伝子の発現量が前記関係を満たしていれば良く、HYAL1、HYAL2のいずれか一方の指標において、遺伝子の発現量がCyd/Byd≧Tad/Bad>Cad/Badなっていないものがあっても差し支えない。
HYALはヒアルロン酸分解酵素(Hyaluronoglucosaminidase)をコードする遺伝子で、HYALファミリーにはHYAL1、HYAL2、HYAL3、HYAL4の4つの遺伝子が知られている(http://omim.org/entry/607071)が、現在のところ、ヒト体細胞で発現し、HYALとして主に機能しているのはHYAL1およびHYAL2の2種類と考えられており(井上ら. 生化学 77: 1152-1164, 2005.)、HYAL2が細胞膜上で高分子ヒアルロン酸を約20kDaの分子量にまで限定分解した後、HYAL1がリソソームにおいてHAを4糖にまで分解する。HYAL2が細胞膜上で高分子ヒアルロン酸を分解する際には、ヒアルロン酸、CD44と複合体(HA−CD44−HYAL2複合体)を形成して反応が進行する。HA−CD44−HYAL2複合体は脂質ラフトの1種でカベオレ(Caveolae)と呼ばれる形質膜が陥入した所に豊富に存在し、ヒアルロン酸はここで約50個の二糖単位に相当する20kDaの大きさの限定生成物に分解される(Stern R. ほ乳類ヒアルロニダーゼ-Update-. グライコフォーラム/今日のヒアルロン酸科学-15, 2004.)。
本願発明の皮膚バリア機能改善剤は、前記スクリーニング方法により選択される。
本発明におけるヒアルロン酸合成関連遺伝子、レセプター関連遺伝子、分解関連遺伝子(以下、総称して代謝関連遺伝子と言う場合がある。)の発現量は、回収した細胞からまずTotal
RNAを抽出し、このTotal RNA中におけるヒアルロン酸代謝関連遺伝子(mRNA)の発現量を測定する。
Total RNAの抽出方法は特に限定されず、たとえば、チオシアン酸グアニジン・塩化セシウム超遠心法、チオシアン酸グアニジン・ホットフェノール法、グアニジン塩酸法、酸性チオシアン酸グアニジン・フェノール・クロロホルム法(Chomczynski P et
al. Anal. Biochem, 162, 156-159, 1987.)等を採用することができる。例えば、市販品であるRNeasy
MINI Kit(QIAGEN)などが使用でき、抽出された全RNAは、必要に応じてさらにmRNAのみに精製して用いてもよい。
各遺伝子の発現量は、遺伝子チップ、アレイ等の固相化試料を用いた核酸ハイブリダイゼーション法、RT-PCR法、リアルタイムPCR法、サブトラクション法、ディファレンシャル・ディスプレイ法、ディファレンシャル・ハイブリダイゼーション法、ならびにクロスハイブリダイゼーション法など公知の方法を用いて測定することができる。
本発明に用いる高齢のヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトは、健常な50歳以上のヒトをドナーとするものが望ましく、継代数が5以下のものが望ましい。30〜40歳代のヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトではヒアルロン酸代謝関連遺伝子の紫外線による明確な低下が認められず、また、継代数が6以上では被験物質による紫外線によるヒアルロン酸代謝関連遺伝子の発現量低下あるいは上昇度低下の抑制が明確でなくなる。例えば、市販品であるEpidercell
Human Epidermal Keratinocyte(クラボウ社)やHEK(東洋紡社)を使用することができ、培養に用いる好適な培地も各社がそれぞれの細胞種に対して推奨している培地を使用して差し支えない。
本発明に用いる若齢のヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトは、健常な10〜20歳代のヒトをドナーとするものが望ましく、継代数が5以下のものが望ましい。9歳以下のヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトではヒアルロン酸代謝関連遺伝子の紫外線による変動に被験者間のバラツキがあり、また、継代数が6以上では被験物質による紫外線によるヒアルロン酸代謝関連遺伝子の発現量低下あるいは上昇度低下の抑制が明確でなくなる。例えば、市販品であるEpidercell
Human Epidermal Keratinocyte(クラボウ社)やHEK(東洋紡社)を使用することができ、培養に用いる好適な培地も各社がそれぞれの細胞種に対して推奨している培地を使用して差し支えない。
本発明に用いる紫外線を照射した培養表皮ケラチノサイトは、上記の培養表皮ケラチノサイトに紫外線を照射することにより得られる。この際に使用する光源としては、例えば、TOREX
FL20S・E−30/DMR(TOSHIBA社)が好適に使用でき、紫外線照射量は15〜25mJ/cmが望ましい。15mJ/cmより少ないと紫外線による影響が明確に観察できず、25mJ/cmより多いと培養表皮ケラチノサイトの生存率が著しく低下し、遺伝子発現量の変化が正しく観察できない。
本願発明のスクリーニング方法より選別された皮膚バリア機能改善効果が期待できる成分は、サルビア抽出物及びザクロ抽出物である。
前記サルビアは、シソ科サルビア属のサルビア(Salvia officinalis)で、部位は特に限定されないが、例えば、葉が好適に使用できる。
前記ザクロは、ミソハギ科ザクロ属のザクロ(Punica granatum)で、部位は特に限定されないが、例えば、果皮および/または花が好適に使用できる。
これらの植物抽出物の調製は特に限定されないが、例えば種々の適当な有機溶媒を用いて、低温下から加温下で抽出される。抽出溶媒としては、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール等の低級1価アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸エチルなどのアルキルエステル;ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素;ジエチルエーテル等のエーテル類;ジクロルメタン、クロロホルム等のハロゲン化アルカン等の1種または2種以上を用いることが出来る。就中、水、エチルアルコール、1,3−ブチレングリコールの1種または2種以上の混合溶媒が特に好適である。
本発明に用いることのできる植物抽出物の抽出方法は特に限定されないが、例えば乾燥したものであれば重量比で1〜1000倍量、特に10〜100倍量の溶媒を用い、常温抽出の場合には、0℃以上、特に20℃〜40℃で1時間以上、特に3〜7日間行うのが好ましい。また、60〜100℃で1時間、加熱抽出しても良い。
以上のような条件で得られる上記各抽出物は、抽出された溶液のまま用いても良いが、さらに必要により、濾過等の処理をして、濃縮、粉末化したものを適宜使い分けて用いることが出来る。
本発明の皮膚外用剤における植物抽出物の配合量は、蒸発乾燥分に換算して0.00001〜20.0重量%が好ましく、特に0.01〜10.0重量%の範囲が最適である。
また、本発明のスクリーニング方法で選別される被験物質は、植物抽出物に限定されない。本願発明のスクリーニング方法で選別されたものであればよく、植物抽出物以外に、菌類、動物等の抽出物は勿論、化合物であっても差し支えない。
本発明の皮膚外用剤は皮膚に適用される組成物を意味する。例えば、化粧水、乳液、クリーム、オイル、化粧下地、ファンデーション等の化粧品や医薬部外品、分散液、軟膏、クリーム、外用液等の外用医薬品等の皮膚外用剤として適用可能な組成物のことを言う。液体、クリーム状、粉末状、固体状等の皮膚外用剤の形態も問わない。
皮膚外用剤は、公知である従来の皮膚外用剤と同様な基剤成分が用いられ、常法により製造される。本発明の皮膚外用剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、皮膚外用剤に通常用いられている他の成分を配合することができる。例えば、油脂、ロウ類、炭化水素油、エステル油、高級アルコール、シリコーン油、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、保湿剤、界面活性剤、水溶性高分子、増粘剤、粉体、皮膚保護剤、美白剤、シワ改善剤、老化防止剤、植物抽出物、防腐剤、消炎剤、pH調整剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤などが挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<実験例1>角層状態および角層ヒアルロン酸状態の評価
試験に同意を得た20歳代の男性5名および50歳代の男性5名にて下記項目について評価した。露光部皮膚としては顔面、非露光部皮膚としては上腕内側部を測定部位とし、測定部位を洗顔料で洗浄後、20±1℃、湿度50±2%の環境下で10分間順化した後測定を行った。
1.角層状態の評価
1−1.角層水分量の測定
露光部皮膚および非露光部皮膚の角層水分量を角層水分量測定装置(Corneometer CM825,
Courage+Khazaka)にて測定した。各部位5点を測定し、平均値を各被験者の当該部位における角層水分量値とした。
1−2.経表皮水分蒸散量の測定
露光部皮膚および非露光部皮膚の経表皮水分蒸散量を経表皮水分蒸散量測定装置(Tewameter TM210, Courage+Khazaka)にて測定した。各部位1点を測定し、1分間を超えて測定値が安定した時間帯の測定値を平均した値を各被験者の当該部位における経表皮水分蒸散量値とした。
2.角層ヒアルロン酸状態の評価
2−1.角層ヒアルロン酸の採取
露光部皮膚および非露光部皮膚の3.6×4cmの範囲の角層を5回のテープストリッピングにより採取し、テープを15mLチューブに入れて0.5N
NaOH水溶液 3mLを添加し、一晩室温下で静置した。その後1N HCl水溶液1.5mLを添加して中和し、緩衝液(100mM Tris−HCl,5.0mM CaCl,pH7.8)4.5mLを加えて10分間煮沸した。次いでプロテアーゼ
6mgを添加して50℃にて24時間インキュベートし、その後再度プロテアーゼ 6mgを添加した。さらに50℃にて24時間インキュベートした後、トリクロロ酢酸1mLを加え、4℃で1時間静置後、遠心分離(3500rpm,15分)してタンパクを沈殿させた。次に上清を採取して蒸留水に対して透析し、凍結乾燥した。得られた乾燥物に蒸留水
1mLを添加して溶解し、500μLずつ分注して再度凍結乾燥した。
2−2.角層ヒアルロン酸量の測定
2−1で調製された凍結乾燥物中に含まれるヒアルロン酸量を市販のELISA
Kit(QnE
Hyaluronic Acid(HA)ELISA Assay, Biotech Trading Partners)を使用し、Kitの指示通りに測定した。
2−3.角層ヒアルロン酸分子量の測定
2−1で調製された凍結乾燥物に蒸留水 10μLとLoading
Buffer(2Mスクロース,100mM Tris−borate,1mM EDTA, pH8.3) 10μLを添加した。これを試料として4%TBEポリアクリルアミドゲルを作製し、TBEバッファー中400Vで12分間電気泳動を行い、ゲルを0.005%
Stains−All 50%エタノール溶液(Sigma社)を用いて一晩染色後、10%エタノール水溶液中で脱色し、電気泳動像をスキャナーで取り込んだ。各試料のゲル上での移動距離を基に分子量を5段階に分類し(分子量の小さい方から1,2,3,4,5)、分子量スコアとした。具体的には、ヒアルロン酸の電気泳動は、タンパク質とは異なりテーリングをするので、陽極方向のテーリング最先端部(到達点側)の位置をスコアリングしている。つまり、本分子量スコアが上がるということは、低分子化したヒアルロン酸の蓄積がなくなり、正常分子量のヒアルロン酸が合成されていることが示される。
図1〜4に示した実験の結果より、加齢したヒトの露光部皮膚の角層より抽出されたヒアルロン酸は非露光部皮膚のものよりも分子量が小さく、また、若齢ヒトの同部位ものと比較しても分子量が小さかった。一方、ヒアルロン酸量も若齢ヒトの同部位との比較では少ないが、年代に関わらず露光部皮膚のヒアルロン酸量の方が多いということ、この際加齢したヒトの露光部皮膚では非露光部皮膚と比較して角層水分量が低く、経表皮水分蒸散量が高いという結果が得られた。すなわち、露光部皮膚と非露光部皮膚では露光部皮膚の角層ヒアルロン酸量が多いにも関わらず、角層水分量が低く、経表皮水分蒸散量が高い。この結果から、角層水分量と皮膚バリア機能の向上には、ヒアルロン酸の量よりもむしろ分子量が重要であることが示された。また、露光部皮膚と非露光部皮膚の経表皮水分蒸散量は年代に関わらず露光部皮膚の経表皮水分蒸散量が高いが、角層水分量については若齢のヒトでは部位による差が小さいのに対して、加齢したヒトの露光部皮膚では非露光部皮膚に比較して著しく小さく、加齢したヒト皮膚における低分子ヒアルロン酸の蓄積が継続的な皮膚バリア機能の低下を招き、角層水分量を低下させている可能性が示唆された。
<実験例2>培養表皮ケラチノサイトのヒアルロン酸代謝関連遺伝子発現量に対する紫外線の影響
19歳および57歳健常ヒト由来ケラチノサイト(HEK, 東洋紡社)をそれぞれ7.5×10Cells/mLとなるようにKeratinocyte Growth Medium Kit(Cell Applications)に分散し、24ウェル細胞培養プレートの各ウェルに500μLずつ播種した。37℃、5%CO下で24時間インキュベートした後、Keratinocyte Growth Medium Kitを除いてPBSに置換し、UVB 20mJ/cmを照射した。その後PBSを取り除いて新しいKeratinocyte Growth Medium Kitに置換し、さらに37℃、5%CO下で6時間インキュベートした。次に、市販のTotal RNA抽出Kit(RNeasy Mini Kit,QIAGEN)を使用し、Kitの指示通りにTotal RNAを抽出した。得られたTotal RNAは、市販の逆転写Kit(PrimeScript RT
Reagent Kit (Perfect Real Time), TaKaRa)を用い、GeneAmp PCR System
2700 (Applied Biosystems)にてKitの指示通りに逆転写した。ヒアルロン酸代謝関連遺伝子の発現量は、市販のReal−time PCR試薬(Power SYBR Green PCR Master Mix, Applied Biosystems)を用い、7500 Real Time PCR System (Applied Biosystems)にてKitの指示通りに測定した。この際に使用したプライマー配列は下記の通りである。
(1)GAPDH
forward primer: 5‘−CCACATCGCTCAGACACCAT−3’
reverse primer: 5‘−TGACCAGGCGCCCAATA−3’
(2)HAS1
forward primer:5‘−ATATAGGAATAACCTCTTGCAGCAGTT−3’
reverse primer:5‘−TGGAGGTGTACTTGGTAGCATAACC−3’
(3)HAS2
forward primer:5‘−TGGATGACCTACGAAGCGATAA−3’
reverse primer:5‘−GCTGGATTACTGTGGCAATGAG−3’
(4)HAS3
forward primer: 5‘−CCTGCACCATCGAGATGCTT−3’
reverse primer: 5‘−CGTACTTGTTGAGGATCTGGACAT−3’
(5)CD44
forward primer: 5‘−CCTGGCGCAGATCGATTT−3’
reverse primer: 5‘−TGCTGTAGCGACCATTTTTCTC−3’
(6)HYAL1
forward primer: 5‘−TCTGGGTGAGCTGGGAAAATA−3’
reverse primer: 5‘−GCCCCAGTGTAGTGTCCATATACTC−3’
(7)HYAL2
forward primer: 5‘−GCACTCCCAGTCTACGTCTTCA−3’
reverse primer: 5‘−CGCACTCTCGCCAATGGTA−3’
図5〜10に示すように、紫外線を照射した高齢ヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトにおいて、ヒアルロン酸代謝関連遺伝子のうち、ヒアルロン酸合成関連遺伝子であるHAS1、HAS2、HAS3、ヒアルロン酸レセプター関連遺伝子であるCD44、ヒアルロン酸分解関連遺伝子であるHYAL1、HYAL2のそれぞれの発現量が低下あるいは若齢のヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトと比較して発現量の上昇度が低下していることが示された。この結果から、加齢および紫外線による表皮ケラチノサイトにおけるヒアルロン酸合成関連遺伝子のみならず、ヒアルロン酸レセプター関連遺伝子およびヒアルロン酸分解関連遺伝子を含むヒアルロン酸代謝関連遺伝子の発現量低下あるいは上昇度低下が低分子ヒアルロン酸の蓄積を招いている可能性が示唆された。
<実験例3>加齢および紫外線によるヒアルロン酸代謝関連遺伝子の発現量低下あるいは上昇度低下を抑制する物質のスクリーニング
1.被験物質の調製
オトギリソウ地上部、サルビア葉、ザクロ果皮、ザクロ花、アルテア葉、クレマティス葉、トウキンセンカ花を用いて、次の製造方法に従い、各植物抽出物(粉末)を得た。
乾燥したオトギリソウ地上部、サルビア葉、ザクロ果皮、ザクロ花、アルテア葉、クレマティス葉トウキンセンカ花に、10倍の重量の50%エタノール水溶液を加えて室温で1週間静置し、各植物の50%エタノール抽出液を得た。次に、得られた抽出液をフィルター(ADVANTEC
Cellulose acetate, 0.45μm, 47mm)を用いて吸引ろ過後、エバポレーターにてエタノールを留去し、凍結乾燥することによって各植物抽出物(粉末)を得た。
2.培養表皮ケラチノサイトに対する被験物質の適用
57歳健常ヒト由来ケラチノサイト(HEK, 東洋紡社)を7.5×10Cells/mLとなるようにKeratinocyte Growth Medium Kitに分散し、24ウェル細胞培養プレートの各ウェルに500μLずつ播種した。37℃、5%CO下で24時間インキュベートした後、被験物質を添加し、さらに37℃、5%CO下で24時間インキュベートした。その後Keratinocyte Growth Medium Kitを除いてPBSに置換し、UVB 20mJ/cmを照射した後、PBSを取り除いて新しいKeratinocyte Growth Medium Kitに置換し、再度被験物質を添加して37℃、5%CO下で6時間インキュベートした。その後Total
RNAを調製して<実験例2>と同様の方法でヒアルロン酸代謝関連遺伝子の発現量を測定した。
尚、本実験では、紫外線照射の前後に被験物質の添加を行ったが、紫外線照射前のみ被験物質の添加を行っても良いし、紫外線照射後にのみ被験物質を添加して実験を行っても、遺伝子の発現量と皮膚バリア機能改善作用との関係は同様の傾向を示すので、被験物質に合わせて、適宜調整することが可能である。
表1に示したように、サルビア葉から得られた抽出物でヒアルロン酸合成関連遺伝子であるHAS1およびHAS3、ヒアルロン酸レセプター関連遺伝子であるCD44、ヒアルロン酸分解関連遺伝子であるHYAL1およびHYAL2、ザクロ果皮および花から得られた各抽出物でヒアルロン酸合成関連遺伝子であるHAS1およびHAS2およびHAS3、ヒアルロン酸レセプター関連遺伝子であるCD44、ヒアルロン酸分解関連遺伝子であるHYAL1およびHYAL2についてCys/Bys≧Tas/Bas≧Cas/BasかつCyr/Byr≧Tar/Bar≧Car/BarかつCyd/Byd≧Tad/Bad>Cad/Badとなり、本発明の皮膚バリア機能改善剤の有効成分として選択された。さらに、サルビア葉から得られた抽出物ではヒアルロン酸分解関連遺伝子であるHYAL2についてCyd/Byd≧Tad/Bad≧(Cyd/Byd+Cad/Bad)/2になっており、特に有効な有効成分として選択された。一方、オトギリソウ地上部、アルテア葉、クレマティス葉、トウキンセンカ花から得られた抽出物では、Cys/Bys≧Tas/Bas≧Cas/BasかつCyr/Byr≧Tar/Bar≧Car/BarかつCyd/Byd≧Tad/Bad>Cad/Badが満たされておらず、本発明の皮膚バリア機能改善剤の有効成分として選択されなかった。
<実験例4>実使用試験
サルビア葉抽出物、ザクロ花抽出物、あるいはクレマティス葉抽出物を用いて「表2」の処方により皮膚外用剤を調製し、試験に同意を得た50代男性5名を1群とし、第1群に実施例1と比較例2、第2群に実施例2と比較例2、第3群に比較例1と比較例2のテストサンプルを半顔に1日2回塗布してもらい、使用開始前、使用開始4週間後に<実験例1>と同様の方法で角層水分量、経表皮水分蒸散量、ヒアルロン酸分子量の測定を行った。試験結果は各測定日の比較例2使用部位の測定により得られた値を100%として表した。試験結果を図11〜14に示す。
図11〜14に示したように、本発明のスクリーニング法により選択された加齢および紫外線によるヒアルロン酸代謝関連遺伝子の発現量低下あるいは上昇度低下を抑制する成分を含有する皮膚バリア機能改善剤であるサルビア葉抽出物を配合した実施例1あるいはザクロ花抽出物を配合した実施例2では角層ヒアルロン酸量には大きな変化が認められなかったが、角層ヒアルロン酸分子量スコアの上昇と経表皮水分蒸散量の低下、角層水分量の向上が認められた。一方、本発明のスクリーニング法において良好な成績を与えなかったクレマティス葉抽出物では、各測定項目において明確な変化は見られなかった。
以下、本発明に係る紫外線防御用皮膚外用剤の処方例を示す。なお、含有量は重量%である。尚、製法は常法による。
処方例1:クリーム
サルビア葉抽出物 0.02
ステアリルアルコール 6.00
ステアリン酸 2.00
ワセリン 4.00
スクワラン 9.00
オクチルドデカノール 10.00
1,3−ブチレングリコール 6.00
グリセリン 4.00
POE(20)セチルアルコールエーテル 3.00
モノステアリン酸グリセリン 2.00
酸化防止剤 適量
防腐剤 適量
精製水 残部
合計 100.0
処方例2:ファンデーション
ザクロ葉抽出物 0.01
サルビア葉抽出物 0.01
タルク 5.00
セリサイト 8.00
酸化チタン 5.00
色顔料 適量
モノイソステアリン酸ポリグリセリル 3.00
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.50
イソノナン酸イソトリデシル 10.00
1,3−ブチレングリコール 5.00
酸化防止剤 適量
防腐剤 適量
精製水 残部
合計 100.0
処方例3:サンスクリーン
ザクロ花抽出物 0.01
サルビア葉抽出物 0.01
酸化チタン 10.00
酸化亜鉛 10.00
PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 1.50
ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 1.50
シクロペンタシロキサン 20.00
ジメチコン 10.00
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー
0.50
セチルジメチコン 0.25
グリチルレチン酸エステル 0.05
メチルグルセス−20 1.00
1,3−ブチレングリコール 10.00
塩化ナトリウム 適量
酸化防止剤 適量
防腐剤 適量
精製水 残部
合計 100.0











Claims (2)

  1. 培養表皮ケラチノサイトについて、培養表皮ケラチノサイトに発現する遺伝子の発現量を比較することで、皮膚水分バリア機能改善剤をスクリーニングする方法であって、
    (1)紫外線を照射した健常な10〜20歳代(以下若齢)のヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトのヒアルロン酸合成関連遺伝子(HAS1、HAS2およびHAS3から選ばれる1種以上)の発現量(Cys)およびヒアルロン酸レセプター関連遺伝子(CD44)の発現量(Cyr)およびヒアルロン酸分解関連遺伝子(HYAL1およびHYAL2から選ばれる1種以上)の発現量(Cyd)を測定するステップ
    (2)紫外線を照射しない若齢のヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトのヒアルロン酸合成関連遺伝子(HAS1、HAS2およびHAS3から選ばれる1種以上)の発現量(Bys)およびヒアルロン酸レセプター関連遺伝子(CD44)の発現量(Byr)およびヒアルロン酸分解関連遺伝子(HYAL1およびHYAL2から選ばれる1種以上)の発現量(Byd)を測定するステップ
    (3)紫外線を照射した健常な50歳以上(以下高齢)のヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトのヒアルロン酸合成関連遺伝子(HAS1、HAS2およびHAS3から選ばれる1種以上)の発現量(Cas)およびヒアルロン酸レセプター関連遺伝子(CD44)の発現量(Car)およびヒアルロン酸分解関連遺伝子(HYAL1およびHYAL2から選ばれる1種以上)の発現量(Cad)を測定するステップ
    (4)紫外線を照射しない高齢のヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトのヒアルロン酸合成関連遺伝子(HAS1、HAS2およびHAS3から選ばれる1種以上)の発現量(Bas)およびヒアルロン酸レセプター関連遺伝子(CD44)の発現量(Bar)およびヒアルロン酸分解関連遺伝子(HYAL1およびHYAL2から選ばれる1種以上)の発現量(Bad)を測定するステップ
    (5)紫外線照射前又は、紫外線照射後又は、紫外線照射の前後に被験物質を加えた状態の高齢のヒトをドナーとする培養表皮ケラチノサイトのヒアルロン酸合成関連遺伝子(HAS1、HAS2およびHAS3から選ばれる1種以上)の発現量(Tas)およびヒアルロン酸レセプター関連遺伝子(CD44)の発現量(Tar)およびヒアルロン酸分解関連遺伝子(HYAL1およびHYAL2から選ばれる1種以上)の発現量(Tad)を測定するステップ
    (6)前記(1)〜(5)の各ステップで得られた遺伝子の発現量において、
    (Cys/Bys≧Tas/Bas>Cas/BasまたはCys/Bys>Tas/Bas>Cas/Bas)
    かつ(Cyr/Byr≧Tar/Bar>Car/BarまたはCyr/Byr>Tar/Bar≧Car/Bar)、
    かつCyd/Byd≧Tad/Bad>Cad/Bad
    となる被験物質を有効成分として選択することを特徴とする皮膚水分バリア機能改善剤のスクリーニング方法。
  2. Cyd/Byd≧Tad/Bad>(Cyd/Byd+Cad/Bad)/2となる被験物質を有効成分として選択することを特徴とする請求項1の皮膚水分バリア機能改善剤のスクリーニング方法。

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