好ましい態様の以下の記載は、性質上、単に例示的なものであって、断じて、本発明、その応用、または使用を限定する意図ではない。
定義
本明細書中で、および特許請求の範囲で用いられるように、単数形「ある」および「該」は、文脈がそうでないことを明瞭に指示するのでなければ複数の言及を含み、例えば、「ある変種」への言及は複数の変種を含む。さらに、定義された用語は、適切な文法的文脈で用いられる用語の変形を含み、例えば、用語「特異的に結合する」は、「特異的結合」および該用語の他の形態を含む。同様に、語句「含む」、「(主語が単数の場合の)含む」、および「含んでいる」は、排他的というよりはむしろ包括的に解釈されるべきである。
用語「抗体」は、IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgE抗体を含めた、特異的抗原に結合するいずれの免疫グロブリンも意味する。該用語は、ポリクローナル、モノクローナル、一価、ヒト化、ヘテロコンジュゲート、ポリエピトープ特異性を備えた抗体組成物、キメラ、二特異的抗体、ダイアボディー、一本鎖抗体、およびFab、Fab’、F(ab’)2およびFvのような抗体断片、または他の抗原結合性断片を含む。抗体の特異性は、限定されるものではないが、競合アッセイ、およびファージ−ディスプレイ系の使用を含めた、当該分野で公知の方法およびアッセイを用いて確立することができる。従って、例えば、ネコ科動物NIS蛋白質に特異的に結合する抗体は、もう1つの種の相同蛋白質、例えば、ヒトNIS蛋白質に対するよりは、配列番号:2のペプチド、またはその部分、サブ断片、またはペプチド部分に対して実質的により大きな会合/解離速度および/または結合親和性を備えた抗体である。この文脈では、「実質的に」は、対象の会合/解離速度および/または結合親和性が、少なくとも1.1、1.2、1.5、2、5、10、50、100、1000、または10,000またはそれ以上の係数だけ異なる。
用語「アレイ」は、基板上の少なくとも2つのプローブの秩序立った配置を意味する。プローブの少なくとも1つは対照または標準であって、プローブの少なくとも1つは診断プローブである。基板上の約2〜約40,000のプローブの配置は、プローブと試料のポリヌクレオチドまたはポリペプチドとの間で形成された各標識された複合体のサイズおよびシグナルの強度が個々に区別可能であることを確実とする。アレイ上に付着された分子のコレクションは合成により、または生合成により調製することができる。アレイは、可溶性分子のライブラリー、樹脂ビーズ、シリカチップまたは他の固体支持体に連結された化合物のライブラリーを含めた種々の形態を採ることができる。核酸アレイは、実質的にいずれの長さ(例えば、長さが1〜約1,000ヌクレオチド)の核酸を基板上にスポットすることによっても調製することができる核酸のライブラリーを含むことができる。核酸プローブアレイは、好ましくは、既知の位置において基板に結合した核酸を含む。他の態様において、システムは、膜、フィルター、微視的スライド、マイクロウェル、試料管、ビーズ、ビーズアレイ等のような固体支持体または基板を含むことができる。固体支持体は、紙、セルロース、ナイロン、ポリスチレン、ポリカルボネート、プラスチック、ガラス、セラミック、ステンレス鋼等を含めた種々の材料で作成することができる。固体支持体は、好ましくは、剛体または半剛体表面を有することができ、好ましくは、適切なウェル、隆起した領域、エッチングされた溝等を備えた、球状(例えば、ビーズ)または実質的に平面状(例えば、平坦な表面)とすることができる。固体支持体は、核酸を包埋することができるゲルまたはマトリックスを含むこともできる。
用語「バイオマーカー」とは、遺伝子、および本発明の遺伝子またはそのホモログ、特に、そのネコ科動物ホモログによってコードされた遺伝子産物をいい、ここで、該遺伝子は、病気、疾患、障害、または物質、薬物、栄養素または規定食成分、またはそれらの組合せの投与の結果として異なって発現されたと判断されたものであり、ここで、そのような本発明の遺伝子および遺伝子産物は、例えば、配列番号:1において確認される。バイオマーカーは、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、蛋白質、RNA転写体またはその翻訳産物を含めたRNA、DNA、cDNA、これまでの分子の1以上の代謝産物、またはこれまでの分子のいずれか1つの有用な変種であってよく、その異なる発現はネコ科動物甲状腺機能亢進症に関連しており、ここで、試験動物から採取した試料におけるそのような異なる発現の、対照動物から採取された試料に対する相関は、それを必要とする動物において疾患、病気または障害の診断、予後、モニタリングまたは治療で用いることができる。加えて、バイオマーカーは、例えば、本発明の検定または他の方法において、全長遺伝子または蛋白質を同定し、またはそれと相関させることができるそのような遺伝子または蛋白質のいずれの部分またはセグメントに言及するのにも一般的に用いることができる。バイオマーカーの発現は、バイオマーカー翻訳の検出(すなわち、試料中のバイオマーカー蛋白質の検出)によって同定することもできる。バイオマーカー蛋白質の検出に適した方法は、細胞または細胞抽出物からの蛋白質を検出し、および/または測定するためのいずれの適切な方法も含む。そのような方法は、限定されるものではないが、免疫ブロット(例えば、ウェスタンブロット)、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫沈殿、免疫組織化学および免疫蛍光を含む。蛋白質の検出のための特に好ましい方法は、免疫組織化学および免疫蛍光アッセイを含めたいずれの細胞ベースのアッセイも含む。そのような方法は当該分野でよく知られている。
試験試料の発現を対照試料と比較するのに用いられる用語「匹敵して」は、同様な特性および量の徴候を意味し、限定されるものではないが、該比較がなされる平均値の周りの一標準偏差内の値、および試験試料および対照試料の間の異なる発現を取り囲む値を含むべきである。
相互交換可能に用いられる、用語「異なって発現された遺伝子」、「異なる遺伝子発現」、「異なる発現」または「異なって発現された」およびそれらの同義語とは、その発現が、正常なまたは対照被験者におけるその発現と比較して、病気、疾患、または障害に罹った被験者において、または物質、薬物、栄養素または規定食成分またはその組合せが投与された結果として、より高いまたはより低いレベルまで活性化される遺伝子を指す。該用語は、その発現が、同一の病気の異なる段階においてより高いまたはより低いレベルまで活性化される遺伝子も含む。また、異なって発現された遺伝子は核酸レベルまたは蛋白質レベルにおいて活性化または阻害され得るか、あるいは選択的スプライシングの影響下にあって、異なるポリペプチド産物をもたらすことができると理解される。そのような差は、例えば、ポリペプチドのmRNAレベル、表面発現、分泌または他の分割の変化によって証明することができる。異なる遺伝子発現は、2以上の遺伝子またはそれらの遺伝子産物の間の発現の比較、または2以上の遺伝子またはそれらの遺伝子産物の間の発現の比率の比較、または正常な被験者と病気、疾患、または障害に罹った被験者との間で、または物質、薬物、栄養素または規定食成分またはその組合せが投与された結果として、または同一の病気、疾患、または障害の種々の段階の間で、または異なる量の物質、薬物、栄養素または規定食成分またはその組合せが投与された結果として異なる、同一遺伝子の2つの異なってプロセッシングされた産物の比較さえ含むことができる。異なる発現は、例えば、正常および病気細胞の間での、または異なる病気事象または病気段階を受けた細胞の間での、遺伝子またはその発現産物における一時的なまたは細胞発現パターンの定量的ならびに定性的な差の双方を含む。本発明の目的では、「異なる遺伝子発現」は、試料中の転写されたポリヌクレオチドまたは翻訳された蛋白質の量の少なくとも約2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.25倍の変化がある場合に存在すると考えられる。
異なる遺伝子発現の尺度として用いる場合の用語「倍」は、比較ネコ科動物、例えば、甲状腺機能亢進症を示さない動物と比較した、そのような疾患に罹ったネコ科動物における遺伝子発現の量と比較した遺伝子発現の倍数または分率であるネコ科動物での遺伝子発現の量を意味する。例えば、比較動物におけるよりも2倍多く当該動物で発現される遺伝子は2倍異なる遺伝子発現を有し、比較動物におけるものの半分だけ当該動物で発現される遺伝子もまた2倍異なる遺伝子発現を有する。
用語「断片」は、(1)完全な配列の一部である、または該一部を含み、かつ完全なポリヌクレオチド配列としての特定の使用に対して同一または同様な活性を有するオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列、または(2)完全な配列の一部である、または該一部を含み、かつ完全なポリヌクレオチド配列と特定の使用に対して同一または同様な活性を有するペプチドまたはポリペプチド配列を意味する。そのような断片は、特定の使用に対して適切であるとみなされるいずれかの数のヌクレオチドまたはアミノ酸を含むことができる。一般に、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド断片は、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、400、600、800、または1000またはそれ以上のヌクレオチドを含有し、ポリペプチド断片は、完全な配列からの少なくとも約4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、または50またはそれ以上の連続アミノ酸を含有する。該用語は該断片のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの変種を含む。ポリヌクレオチドは、例えば、複数のセグメントに分解させ、または断片化させることができる。
核酸を断片化する種々の方法が当該分野でよく知られている。これらの方法は、例えば、性質上、化学的または物理的のいずれであってもよい。化学的断片化は、DNアーゼでの部分的分解;酸での部分的脱プリン化;制限酵素の使用;イントロンにコード化されたエンドヌクレアーゼ;切断剤を核酸分子中の特定の位置に配置させるための核酸セグメントの特異的ハイブリダイゼーションに依拠するトリプレックスおよびハイブリッド形成方法のようなDNAベースの切断方法;または公知の、または知られていない位置においてDNAを切断する他の酵素または化合物を含むことができる。物理的断片化方法は、DNAを高い剪断速度に付すことを含むことができる。高い剪断速度は、例えば、ピットまたはスパイクを備えたチャンバーまたはチャネルを通ってDNAを移動させるか、またはDNA試料を制限されたサイズの流路、例えば、ミクロンまたはサブミクロン規模の断面寸法を有する開口を無理矢理通すことによって生じさせることができる。熱およびイオン−媒介加水分解による断片化のような物理的および化学的断片化方法の組合せを同様に使用することができる。例えば、ここに引用して全ての目的で援用する、Sambrook et al.,“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”,第三版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001)(「Sambrook et al.」)参照。これらの方法は、核酸を選択されたサイズの範囲の断片に消化するように最適化することができる。有用なサイズの範囲は25、50、100、200、400、700または1000〜500、800、1500、2000、4000または10,000塩基対であってよい。しかしながら、4000、10,000または20,000〜10,000、20,000または500,000塩基対のようなより大きなサイズの範囲も有用であろう。
用語「遺伝子」または「遺伝子類」は、コーディング領域に先立ってのおよびそれに続く領域(リーダーおよびトレイラ―)および個々のコーディングセグメント(エクソン)の間の介在配列(イントロン)を含めた、ポリペプチドの生産に関与するDNAの完全なまたは部分的セグメントを意味する。該用語は、遺伝子コード配列の相補体にハイブリダイズするいずれのDNA配列も含む。
用語「ホモログ」は、(1)ポリヌクレオチドに対して30%、50%、70%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%よりも大きな配列同様性を有し、かつ同一または実質的に同一の特性を有し、かつ完全なポリヌクレオチドと同一または実質的に同一の機能を行うか、またはストリンジェントな条件下でポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする能力を有する同一または異なる動物種からのポリヌクレオチドを含めたポリヌクレオチド、または(2)ポリペプチドの発現によって同定されたポリペプチドに対して30%、50%、70%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%よりも大きな配列同様性を有し、かつ同一または実質的に同一の特性を有し、かつ完全なポリペプチドと同一または実質的に同一の機能を行うか、またはポリヌクレオチドの発現によって同定されたポリペプチドに特異的に結合する能力を有する同一または異なる動物種からのポリペプチドを含めたポリペプチドを意味する。2つのポリペプチド配列の、または2つのポリヌクレオチド配列の配列同様性は、当業者に公知の方法、例えば、KarlinおよびAltschulのアルゴリズム(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264−2268(1990))を用いて決定される。そのようなアルゴリズムは、Altschul et al.のNBLASTおよびXBLASTプログラム(J.Mol.Biol.215:403−410(1990))に取り込まれている。比較目的でギャップを入れた整列を得るためには、Altschul et al.(Nucl.Acids Res.25:3389−3402(1997))に記載されているように、ギャップドBLAST(Gapped Blast)を利用することができる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、各プログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを用いる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov参照。
用語「ハイブリダイゼーション」とは、2つの一本鎖ポリヌクレオチドが非共有結合して、安定な二本鎖ポリヌクレオチドを形成するプロセスをいう。用語「ハイブリダイゼーション」は三本鎖ハイブリダイゼーションもいうことができる。得られた(通常は)二本鎖のポリヌクレオチドは「ハイブリッド」である。安定なハイブリッドを形成するポリヌクレオチドの集団の割合を、本明細書では、「ハイブリダイゼーションの程度」と称する。
ハイブリダイゼーション反応は、絶対的または異なるハイブリダイゼーション様式で行うことができる。絶対ハイブリダイゼーション様式では、1つの試料に由来するポリヌクレオチドを核酸アレイ中のプローブにハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーション複合体の形成後に検出されたシグナルは、試料中のポリヌクレオチドレベルに相関する。異なるハイブリダイゼーション様式では、2つの試料に由来するポリヌクレオチドを異なる標識部位で標識する。これらの異なって標識されたポリヌクレオチドの混合物を核酸アレイに加える。次いで、2つの異なる標識からの発光が個々に検出可能な条件下で、核酸アレイを調べる。1つの態様において、フルオロフォアCy3およびCy5(Amersham Pharmacia Biotech,Piscataway,N.J.)を、異なるハイブリダイゼーション様式のための標識部位として用いる。
核酸アレイから集められたシグナルは、AffymetrixまたはAgilent Technologiesによって供給されたもののような商業的に入手可能なソフトウェアを用いて分析することができる。スキャン感度、プローブ標識およびcDNAまたはcRNA量子化のためのような対照が、好ましくは、ハイブリダイゼーション実験に含められる。ハイブリダイゼーションシグナルは、さらなる分析の対象となる前に、基準化または正規化することができる。例えば、1を超えるアレイを同様な試験条件下で用いる場合、各個々のプローブについてのハイブリダイゼーションシグナルを正規化して、ハイブリダイゼーション強度の変動を考慮することができる。ハイブリダイゼーションシグナルは、各アレイ上に含有された内部正規化対照に由来する強度を用いて正規化することもできる。加えて、試料に亘って比較的首尾一貫した発現レベルを備えた遺伝子を用いて、他の遺伝子の発現レベルを正規化することができる。1つの態様において、ある維持遺伝子用のプローブを、本発明の核酸アレイに含める。これらの遺伝子は組織の多様な組に亘って発現の安定なレベルを示すゆえに選択される。ハイブリダイゼーションシグナルは、これらの維持遺伝子の発現レベルに基づいて正規化し、および/または基準化することができる。
用語「ハイブリダイゼーション複合体」は、1つのポリヌクレオチドのプリンが相補的なポリヌクレオチドのピリミジンと水素結合する場合、例えば、5’−A−G−T−C−3’が3’−T−C−A−G−5’と塩基対合する場合に、試料のポリヌクレオチド間で形成される複合体を意味する。相補性の程度およびヌクレオチドアナログの使用はハイブリダイゼーション反応の効率およびストリンジェンシーに影響する。
用語「ハイブリダイゼーションプローブ」は、核酸の相補鎖に塩基特異的に結合することができる(オリゴヌクレオチドのような)核酸を含む。そのようなプローブは、Nielsen et al.,Science 254:1497−1500(1991),Nielsen Curr.Opin.Biotechnol.,10:71−75(1999)に記載されたペプチド核酸、および他の核酸アナログおよび核酸ミメティクスを含む。1996年4月3日に出願された米国特許第6,156,501号参照。
「核酸配列」は、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、およびそれらの断片または部分を意味し、一本鎖または二本鎖であってよいゲノムまたは合成起源のDNAまたはRNAにとっては、センスまたはアンチセンス鎖を表す。
用語「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」はヌクレオチドのポリマーを意味する。該用語は、一本鎖または二本鎖いずれかの(cDNAおよびmRNAを含めた)DNAおよびRNA分子、およびもし一本鎖であれば、直線状または円形形態いずれかであるその相補的配列を含む。該用語は、同一または実質的に同一の特性を有し、かつ元の配列と同一または実質的に同一の機能を行う配列について、適切であれば、断片、変種、ホモログ、および対立遺伝子も含む。整列する場合には配列は十分に相補的であり得るが(ミスマッチ無し)、あるいは配列は約30%までの配列ミスマッチを有してもよい。ポリヌクレオチドでは、鎖は、約20〜10,000、50〜8,000、100〜5000、または150〜3500のヌクレオチドを含有する。オリゴヌクレオチドでは、鎖は、約2〜100、3〜80、4〜60、5〜40、または6〜30のヌクレオチドを含有する。ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの正確なサイズは、種々の因子に、およびポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの特別な応用および使用に依存するであろう。該用語は、合成され、かつ天然源から単離および精製されたヌクレオチドポリマーを含む。用語「ポリヌクレオチド」は「オリゴヌクレオチド」を含む。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、または「蛋白質」はアミノ酸のポリマーを意味する。該用語は天然に生じるおよび天然に生じない(合成)ポリマー、および1以上のアミノ酸が人工の化学的ミメティクスで置換されたポリマーを含む。該用語は、同一または実質的に同一の特性を有し、かつ元の配列と同一または実質的に同一の機能を行う断片、変種、およびホモログも含む。該用語はいずれの長さのポリマーも、好ましくは約2〜1000、4〜800、6〜600、および8〜4000のアミノ酸を含有するポリマーを含む。該用語は、合成された、および天然源から単離および精製されたアミノ酸ポリマーを含む。いくつかの例では、本明細書中において、用語「ポリペプチド」、「ペプチド」または「蛋白質」は相互交換可能に用いられる。
用語「プローブ」は、(1)該プローブに対して相補的な配列を持つポリヌクレオチドにアニールすることができ、または該ポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズすることができる、精製された制限酵素消化物におけるように天然で生じるか、または合成により生じるかを問わず、RNAまたはDNAいずれかのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、または(2)他の蛋白質または蛋白質断片の実質的排除した、特定の蛋白質または蛋白質断片に特異的に結合することができるペプチドまたはポリペプチドを意味する。オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドプローブは一本鎖または二本鎖いずれかであってよい。プローブの正確な長さは、温度、入手源および使用を含めた多くの因子に依存するであろう。例えば、診断適用では、標的配列の複雑性に依存して、オリゴヌクレオチドプローブは、典型的には、約10〜100、15〜50、15〜25ヌクレオチドを含有する。ある診断適用においては、ポリヌクレオチドプローブは、約100〜1000ヌクレオチド、300〜600ヌクレオチド、好ましくは約300ヌクレオチドを含有する。本明細書中において、プローブは、特定の標的配列の異なるストランドに対して「実質的に」相補的であるように選択される。これは、プローブが、所定の条件の組の下で、それらの各標的配列に特異的にハイブリダイズし、またはアニールするのに十分に相補的でなければならないことを意味する。従って、プローブ配列は、標的の正確な相補的配列を反映する必要はない。例えば、非相補的ヌクレオチド断片は、プローブの5’または3’末端に付着してよく、プローブ配列の残りは標的配列に際して相補的である。別法として、非相補的塩基またはより長い塩基をプローブ中に散在でき、但し、プローブ配列は、標的ポリヌクレオチドに特異的にアニールするために、標的ポリヌクレオチドの配列に対して十分な相補性を有するものとする。ペプチドまたはポリペプチドプローブは、(DNA結合性蛋白質については)DNA、抗体、細胞膜受容体、ペプチド、補因子、レクチン、糖、多糖、細胞、細胞膜、オルガネラおよびオルガネラ膜を含めた、蛋白質またはポリペプチドが特異的に結合するいずれの分子であってもよい。
用語「試料」および「検体」は、DNAおよびRNAを含有する細胞および他の組織を含めた、ポリヌクレオチドを含有するいずれの動物組織または流体も意味する。その例としては、甲状腺、血液、結合組織、上皮、リンパ、筋肉、神経、痰等が挙げられる。試料は固体または液体であってよく、DNA、RNA、cDNA、例えば、血液または尿のような体液、細胞、細胞調製物、またはそれらの可溶性画分または培地アリコット、染色体、オルガネラ等を含有してよい。
用語「特異的に結合する」は、それらの構造、特にそれらの分子側鎖基に依存する2つの分子の間の特殊かつ正確な相互作用を意味する。例えば、規則的蛋白質の、DNA分子の主たる溝へのインターカレーション、2つの一本鎖核酸の間の骨格に沿っての水素結合、または蛋白質のエピトープと、アゴニスト、アンタゴニスト、または抗体との結合。
用語「特異的にハイブリダイズする」は、当該分野で一般的に用いられる所定の条件下でそのようなハイブリダイゼーションを可能とするのに十分に相補的な配列の2つの一本鎖ポリヌクレオチドの会合を意味する(時々、「実質的に相補的に」と称される)。例えば、該用語は、ポリヌクレオチドプローブと、本発明の実施形態による一本鎖DNAまたはRNA分子内に含有される実質的に相補的な配列とのハイブリダイゼーションを指すことができ、ポリヌクレオチドプローブと非相補的配列の一本鎖ポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションは実質的に排除される。
用語「ストリンジェントな条件」は、0.2×SSCおよび0.1%SDS中での42℃における洗浄、または50℃における、0.015M NaCl、0.0015Mクエン酸ナトリウム、0.1%Na2SO4での洗浄、または同様な低いイオン強度および高温洗浄剤および同様な変性剤を使用する同様な当該分野で認められた手法を伴う、(1)42℃における、0.1%ウシ血清アルブミンを含む50%(容量/容量)ホルムアミド、0.1%Ficoll、0.1%ポリビニルピロリドン、750mM NaCl、75mMクエン酸ナトリウムを含むpH6.5の50mMリン酸ナトリウム緩衝液中でのハイブリダイゼーション、(2)50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、音波処理された鮭精子DAN(50mg/ml)、0.1%SDS,および10%デキストラン硫酸中でのハイブリダイゼーションを意味する。
用語「有用な変異」は、(1)ポリヌクレオチドについては、該ポリヌクレオチドの相補体;該ポリヌクレオチドのホモログおよびその相補体;該ポリヌクレオチドの変種、その相補体およびそのホモログ;および該ポリヌクレオチドの断片、その相補体、そのホモログ、およびその変種、および(2)ポリペプチドについては、該ポリペプチドのホモログ;該ポリペプチドの変種およびそのホモログ;および該ポリヌクレオチドの断片、そのホモログおよびその変種を意味する。
用語「変種」は、(1)ポリヌクレオチドからの、またはそれへの1以上のヌクレオチドのいずれかの置換、変異、修飾、置き換え、欠失、または付加を含み、かつ元の配列と同一または実質的に同一の特性を有し、かつ元の配列と同一または実質的に同一な機能を行うポリヌクレオチド配列、および(2)ポリペプチド配列から、またはそれへの1以上のアミノ酸のいずれかの置換、変異、修飾、置き換え、欠失、または付加を含み、かつ元の配列と同一または実質的に同一の特性を有し、かつ元の配列と同一または実質的に同一の機能を行うポリペプチド配列を意味する。該用語は、従って、一塩基多形(SNP)および対立遺伝子変種を含み、保存的および非保存的アミノ酸置換をポリペプチド中に含む。該用語は、適切には、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの化学的誘導体化、およびヌクレオチドまたはアミノ酸の、天然に生じないヌクレオチドまたはアミノ酸での置換も含む。
特記しない限り、ここで、および明細書中の他の箇所に表された全てのパーセンテージおよび量は、乾燥重量でのパーセンテージを指すと理解されるべきである。与えられた量は、材料の有効重量に基づく。
本明細書中で用いるように、病気、障害、または疾患に罹った動物を「治療する」ための方法は、同様に、病気、障害、または疾患の有害な効果を妨げるか、または治癒し、逆行させ、減衰させ、軽減し、寛解し、最小化し、抑制し、または停止させる方法を含むことも意図される。
本明細書中に開示された組成物は、本明細書中に記載された成分のいずれかを含み、実質的にそれよりなり、またはそれよりなるものでよい。
方法、プロトコルおよび試薬は変化し得るので、本発明は、本明細書中に記載された特定の方法、プロトコルおよび試薬に限定されない。さらに、本明細書中で用いる用語法は、特定の態様を記載する目的のためのみのものであって、本発明の範囲を限定する意図ではない。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は、甲状腺の過剰代謝および甲状腺ホルモンのトリヨードチロニン(T3)およびテトラヨードチロニン(チロキシンまたはT4)の過剰な生産によって特徴付けられる。T3およびT4のほとんどは血清蛋白質に結合している。血清中に分配され、蛋白質に会合していないT3およびT4の部分は遊離T3(fT3)およびT4(fT4)と称される。当業者であれば、甲状腺機能試験を利用し、臨床的徴候を調べ、および試験的甲状腺ホルモン投与に対する動物の応答を観察することによって、ネコ科動物における甲状腺機能亢進症を正確に診断することができる。甲状腺機能テストは当業者に知られており、例えば、全および遊離血清T3およびT4の濃度を決定するための試験、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の濃度を決定するための試験、および過テクネチウム酸ナトリウムおよびT3抑制試験を含む。例えば、Small Animal Nutrition,863−868頁(2000)参照。前記したように、本明細書中で用いられる甲状腺機能亢進症の治療は、甲状腺機能亢進症の寛解、抑制および根絶を含む。
チロキシン(T4)の生合成は、甲状腺の濾胞細胞中で行われる。このプロセスにおいては、ヨウ化物を、まず、Na+/I−(ナトリウム/ヨウ化物)共輸送体を介して濾胞細胞の基底膜を通って輸送し、次いで、ペンドリントランスポーターを介して、頂端膜を横切って濾胞のコロイド中に移動させる。ポリペプチドであるチログロブリン(TG)は濾胞細胞の小胞体で合成され、コロイドに分泌される。甲状腺ペルオキシダーゼ(PTO)はヨウ化物(I−)を、過酸化水素媒介反応においてチログロブリンポリペプチドのチロシル部位をヨウ素化するより反応性の種であるI0まで酸化する。過酸化水素の生産は甲状腺オキシダーゼ(ThOX)によって媒介されると考えられている。ヨウ素化チロシル部位のフェノール性残基の間の反応は、T4チロキシンおよびT3トリヨードチロニンの二環前駆体を提供する。この後者の反応は、甲状腺ペルオキシダーゼ/H2O2システムによって媒介するとも考えられており、そこでは、ヨウ素化されたチロシルフェノール環は開裂し、エーテル結合を介してヨウ素化チロシンに接合される。
下垂体から放出された甲状腺刺激ホルモン(TSH)は、とりわけ、cAMPの蓄積、蛋白質ヨウ素化、およびコロイドのエンドサイトーシスを刺激する、細胞の基底外側膜の膜貫通G−プロテイン結合受容体である甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)に結合する。取り込まれた小胞は細胞中のリソソームと融合し、そこでは、T
4チロキシンおよびT
3トリヨードチロニンのヨウ素化された二環前駆体を運ぶチログロブリンが蛋白質分解により分解されて、T
4チロキシンおよびT
3トリヨードチロニンを放出する。
甲状腺内5’−脱ヨウ素酵素は、T4チロキシンを活性なホルモンであるT3トリヨードチロニンに変換することができるセレン−含有酵素である。甲状腺はヨウ素を能動的に捕獲して、甲状腺ホルモンの適切な供給を確保することにも注意するべきである。
T4チロキシンおよびT3トリヨードチロニンの合成の主たるレギュレータは、前記した甲状腺刺激ホルモン(TSH)である。この刺激活性は、それを通じて、TSHのレベルが循環T4チロキシンおよびT3トリヨードチロニンによって抑制されるフィードバッグメカニズムに従う。従って、甲状腺機能亢進症の1つの生物学的バイオマーカー(循環T4チロキシンおよびT3トリヨードチロニンのより高いレベル)は、甲状腺刺激ホルモン(TSH)のより低いレベルである。化学発光アッセイは0.05U/mLにおける、またはそれ未満におけるレベルでのTSHの検出を可能とし、そのレベルは一般的には甲状腺機能亢進症の症状を示す。
トリヨードチロニンT3は身体中の組織の大部分に作用し、基礎的な代謝速度および、従って、酸素およびエネルギーの身体での消費を増大させる。トリヨードチロニン(T3)が作用する1つのメカニズムは、遺伝子発現の刺激である。例えば、その生物学的作用の中では、トリヨードチロニン(T3)は蛋白質である甲状腺ホルモン受容体アクチベーター分子に結合し、かく形成された複合体は、明らかに、甲状腺ホルモン受容体(TR)をコードする遺伝子の転写の刺激に関与している。
本明細書中に記載された方法および試薬を用い、甲状腺機能亢進症動物においては、多数の前記蛋白質およびポリペプチドの発現および活性が実質的に上昇することが観察されている(
表1参照)。
表1のデータが示すように、甲状腺機能亢進症ネコにおいて、ナトリウム/ヨウ化物トランスポーター(NIS)の発現は、2.7の係数だけ増加し、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)の活性は1.9の係数だけ増加し、甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)の活性は1.6の係数だけ増加し、ヨウ化物トランスポーター(IT;ペンドリン)の活性は1.4の係数だけ増加し、および甲状腺オキシダーゼ(ThOX)の活性は1.4の係数だけ増加する。
表1のデータを考慮すると、例えば、1つの属または種における病気または疾患に関与する同定された遺伝子、転写体、蛋白質、またはポリペプチドもまたもう1つの属または種における匹敵する病気または疾患に関与すると推測できる。そのような推測に対する裏付けは、第二の種において対応する遺伝子、転写体、蛋白質およびポリペプチドを同定し、当該分野でよく知られた方法および材料を用いて正常および罹患動物における発現のそれらのレベルを測定することによって容易に確立される。そのようなツールとしては、限定されるものではないが、ゲノム分析、および比較ゲノム分析(例えば、ヒト 対 ネコ科動物)、バイオインフォーマティックス、正常 対 罹患動物のプロテオームおよびトランスクリプトーム分析が挙げられる。相同遺伝子は、ハイブリダイゼーション方法およびポリメラーゼ鎖反応(PCR)増幅、および当業者に公知の他の方法およびアプローチを用いて同定し、および単離することができる。
病因に関与するポリペプチドの同定は文献中で見出すことができるか、あるいは、例えば、標的病気に罹った動物からの組織と比較して、健康な動物の組織に対して転写およびプロテオーム解析を行うことを含むことができる。そのような解析は、いずれの蛋白質が標的病気の病因に関与しているか、ならびに発現の減少または増加が病気または疾患の存在および重症度に相関し得るか否かを示すであろう。さらなる情報は、例えば、標的病気または疾患に罹った、または罹るように遺伝子操作された同系交配動物(マウス)を用いて入手可能であろう。さらなる実施形態において、標的病気または疾患の原因となる病因に関与するポリペプチドの同定、および該同定されたポリペプチドの活性または発現の増加または減少が標的病気または疾患を寛解するか否かの決定は、健康な組織から増殖された細胞培養物ならびに罹患動物からの対応する組織を用いて促進することができよう。そのような系においては、健康なおよび罹患した両組織における標的蛋白質の活性は、当該分野で一般的に知られた、または当該分野で一般的に知られた試薬および手法を用いて容易に開発される方法を用いて生化学アッセイによって確立することができるであろう。
本発明を実施するにおいて、組換えベクター、発現システム、およびそのような組換えベクターを含む形質転換細胞および細胞系、例えば、ネコ科動物NIS遺伝子、核甲状腺ホルモン受容体遺伝子およびレポーターポリペプチドをコードする遺伝子、特に、甲状腺ホルモン応答エレメントとの操作的関連があるものを含有し、それを発現する発現系の構築を含めた、分子生物学における多くの慣用的技術を用いることができる。実例となるレポーターポリペプチドとしては、限定されるものではないが、β−ガラクトシダーゼ、HcRed、DsRed、DsRedモノマー、ZsGreen、AmCyan、ZsYellow、ホタルルシフェラーゼ、lacZ、ウミシイタケルシフェラーゼ、SEAP、増強された緑色蛍光蛋白質(eGFP)、d2EGFP、増強された青色蛍光蛋白質(eBFP)、増強された黄色蛍光蛋白質(eYFP)、およびGFPuv、増強されたシアン蛍光蛋白質(eCFP)、シアン、緑黄、赤、および遠赤造礁サンゴ(Reef Coral)蛍光蛋白質、ヒトアルファ−1−抗トリプシン(hAAT)および/またはそれらの断片、修飾物または機能的変種が挙げられる。
ある態様において、本明細書中で用いられる「蛋白質発現レベル」、「遺伝子発現」、または「遺伝子発現レベル」の決定としては、限定されるものではないが、対応するRNA、蛋白質、またはペプチドのレベルいずれか(またはそれらの組合せ)の決定が挙げられる。本開示の方法は、その全てが当該分野でよく知られている、蛋白質、ペプチド、またはRNAレベルを決定するための特定の方法に限定されない。さらに、遺伝子発現および遺伝子発現レベルは、注目する遺伝子の発現に適したいずれの細胞または組織において評価することもできる。1つの態様において、適切な場合、遺伝子発現は血液細胞において評価される。他の細胞型としては、限定されるものではないが、甲状腺細胞、筋肉細胞、神経細胞、神経膠細胞、内皮細胞、皮膚細胞、肝臓細胞、腎臓細胞、および骨細胞が挙げられる。該細胞は、すなわち、最近吸い取られた血液または生検組織から単離された細胞のような、動物から直接採取された初代細胞であってよい。該細胞は非初代、すなわち、継代を経た樹立細胞系、または不滅化細胞系さえであってよく、その結果、遺伝子発現レベルを決定する方法は、組成物の動物への投与に先立って、樹立動物細胞系、例えば、CHO細胞について行うことができる。
甲状腺機能亢進症ならびに健康な、年齢に合致した、非−甲状腺機能亢進症ネコ科動物(ネコ)と診断されたネコ科動物(ネコ)の遺伝子発現プロフィールの多変数分析は、動物のこれらの二つの群が、異なって発現された遺伝子の組に基づいて区別できることを明らかにした。このより大きな組内には、甲状腺機能亢進症ネコにおいてより高いレベルで発現された甲状腺ホルモン生合成に関与する5つの遺伝子があった。これらの中では、甲状腺機能亢進症ネコの甲状腺組織における発現の最高レベルを持つ遺伝子はヨウ化ナトリウム共輸送体(NIS)であった。
本開示は、従って、配列番号:1のヌクレオチド配列を有し、かつ配列番号:2のアミノ酸配列を有するペプチドをコードするネコ科動物ナトリウム/ヨウ素共輸送体蛋白質(NIS蛋白質)の一部をコードする単離された遺伝子断片を提供する。
また、本明細書中において、単離されたネコ科動物NIS遺伝子断片を含む組換えベクターおよび形質転換細胞が提供される。本開示は、健康なおよび罹患動物におけるネコ科動物NIS遺伝子についての遺伝子発現プロフィール、および甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科伴侶動物への投与に適したペットフード組成物を設計するための遺伝子についての、食品材料およびその抽出物の存在および不存在下でのNIS遺伝子発現プロフィールの測定を確立するための、そのような単離されたDNA分子を使用することを含む方法も提供する。本開示は、ネコ科動物において甲状腺機能亢進症を治療するための組成物および方法も提供する。
甲状腺機能亢進症ネコ科動物におけるNIS遺伝子発現およびそれに基づく方法
本開示の方法は、部分的には、ネコ科動物における特定の遺伝子発現プロフィールが、そのような動物における正常な状態から甲状腺機能亢進症状態への変化に相関するという発見に基づいている。特定の遺伝子発現プロフィールと甲状腺機能亢進症の存在および重症度との相関は、当該分野で認められた臨床症候および臨床徴候に基づいて慣用的な臨床的診断を行うことなくネコ科動物において予測し、検出し、および診断することができる。
1つの態様において、本発明は、正常な動物と比較して異常な動物において異なって発現される1以上の遺伝子または遺伝子セグメント(本明細書中において定義される「遺伝子類」)を含む。本発明は、正常な動物と比較して異常な動物において異なって発現されるポリヌクレオチド発見に基づく。該遺伝子類は、Affymetrix GeneChip(登録商標)技術を用いて、異常と診断された動物から採取された組織試料における遺伝子の発現を、正常と診断された動物からの組織試料における遺伝子類と比較することによって同定された。
ポリヌクレオチドおよび遺伝子類は、正常と診断されたネコ科動物からの組織試料における遺伝子発現を持つ、異常、すなわち、甲状腺機能亢進症と診断されたネコ科動物から採取された組織試料からの遺伝子発現の差を測定することによって同定される。遺伝子発現の変化は、当業者に知られたいずれの方法によって決定することもできる。一般に、遺伝子発現の変化は、転写を測定し(遺伝子によって生産されたmRNAの量を決定し)、または翻訳を測定する(遺伝子によって生産された蛋白質の量を決定する)ことによって決定される。遺伝子によって生産されたRNAまたは蛋白質の量は、ポリヌクレオチドおよび蛋白質を定量するための当業者に知られたいずれの方法を用いて決定することもできる。
一般に、mRNAの発現は、(限定されるものではないが、逆転写−PCR(RT−PCR)および定量的リアル−タイムPCR(qPCR)を含めた)ポリメラーゼ鎖反応(PCR)、短または長オリゴヌクレオチドアレイ、cDNAアレイ、EST配列決定、ノーザンブロッティング、SAGE、MPSS、NS、ビーズアレイおよび他のハイブリライゼーション方法を用いて決定される。測定されたRNAは、典型的には、mRNAまたは逆転写されたmRNAの形態である。
蛋白質またはポリペプチド発現は、種々の比色および分光アッセイ、および定量的ウェスタンブロット、ELISA、2D−ゲル、気体または液体クロマトグラフィー、質量分光測定法のような方法を用いて決定される。
遺伝子チップは、ある時点における細胞内での生物学的プロセスおよび活性の測定の大規模な研究を可能とする。マイクロアレイ分析により、大規模な遺伝子ベースでの表現型の差を説明するのが可能となる。遺伝子発現産物の現実の測定は、配列それ自体を決定するよりは、遺伝子機能のより正確なインジケータである。マイクロアレイ分析は、所与の時点における細胞中の遺伝子のmRNA転写体の濃度を定量することに基づく。DNAを培地に固定化し、標識された標的mRNAをアレイ上のプローブとハイブリダイズさせる。標識されたmRNAのプローブへの結合は、レーザー分析によって測定される。測定は、放出されたフォトンのカウントである。全チップをスキャンし、デジタル的に映像化する。映像を処理して、プローブを突き止め、強度測定値を各プローブに割り当てる。このようにして、アップレギュレートされた、およびダウンレギュレートされた遺伝子類を決定することができる。該分析により、当業者が、同様な発現プロフィールを持つ遺伝子類の群を見出し、同様な発現プロフィールを持つ組織を決定するのが可能となる。このようにして、組織試料での観察された差を説明する遺伝子類を同定することができる。
Affymetrix遺伝子チップは、典型的には、特定の遺伝子またはESTに対応する25bpのプローブおよび11〜20のプローブのプローブ組を使用する。該チップは、各々25bpの完全なマッチおよびミスマッチプローブで構成され、前者は遺伝子の特異的領域に完全に相補的であり、後者はミスマッチを作り出すために置換された13番目のbpを有する。プローブ要約アルゴリズムを用いて、バックグラウンド修正、正規化、およびプローブ値のプローブ組発現値への変換であるプローブ要約を決定する。RMAは、この目的で用いることができるアルゴリズムの1つである。該アルゴリズムは、プローブ−レベル強度測定値の分析、正規化および要約の最後の2つの工程を行う。完全なマッチ値は、従って、バックグラウンド修正され、正規化され、および発現測定値の組へ要約される。
生データは、GeneSpringバージョン7.0(GS)ソフトウェア(Agilent Corporation)を用いて分析され、R−Bioconductor(RB)フリーウェアを用いて検証される。両ソフトウェアパッケージを用いて、Affymetrix Instrumentによって作成されたCELファイルからのプローブ強度を計算する。プローブ当たりのPresent/Absent/MarginalコールおよびP−値は、別々に、R−BioconductorおよびGeneSpringソフトウェアを用いて計算される。
一般に、正常な動物と比較した異常な動物での異なる遺伝子発現は、少なくとも1つの遺伝子の発現を測定することによって決定される。ある態様において、2以上の異なって発現された遺伝子類の発現を測定して、遺伝子発現パターンまたは遺伝子発現プロフィールを供する。他の態様においては、複数の異なって発現された遺伝子類の発現を測定して、より重要な遺伝子発現パターンまたはプロフィールについてのさらなる情報を供する。
もう1つの実施形態において、本開示は、正常なネコ科動物と比較して異常なネコ科動物において異なって発現された複数の遺伝子類の発現を検出するのに適したデバイスを提供する。該デバイスは、既知の位置において基板に取り付けられた本発明の複数のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドプローブを有する基板を備えている。該デバイスは、本質的には、本明細書中において記載されたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドプローブの固定化されたバージョンである。該デバイスは、遺伝子類およびポリヌクレオチド、およびそれらの発現パターンおよびプロフィールの迅速かつ特異的な検出で有用である。典型的には、そのようなプローブは基板または同様な固体支持体にリンクされており、1以上のポリヌクレオチド(例えば、遺伝子、PCR産物、リガーゼ鎖反応(LCR)産物、増幅技術を用いて合成されたDNA配列、またはそれらの混合物)を含有する試料をプローブに暴露し、その結果、試料ポリヌクレオチドはプローブにハイブリダイズすることができる。該プローブ、該試料ポリヌクレオチド、または双方は、典型的には、フルオロフォア、またはストレプトアビジンのような他のタグで標識され、当業者に知られた方法を用いて検出される。もし試料ポリヌクレオチドが標識されれば、ハイブリダイゼーションは、結合された蛍光を検出することによって検出することができる。もしプローブが標識されれば、ハイブリダイゼーションは、典型的には、標識消光によって検出される。もしプローブおよび試料ポリヌクレオチドの双方が標識されれば、ハイブリダイゼーションは、典型的には、2つの結合した標識の近くから由来する色シフトをモニターすることによって検出される。種々の標識戦略および標識が、特に蛍光標識について当業者に知られている。好ましくは、プローブは、当該分野で知られたものに匹敵する(DNAマイクロアレイ、遺伝子チップ、バイオチップ、DNAチップ、および遺伝子アレイを含めたいくつかの名称によって知られた)アレイを形成するのに適した基板上に固定化される。
試料中の蛋白質の量または濃度を決定するための方法は当業者に知られている。そのような方法としては、ラジオイムノアッセイ、競合−結合アッセイ、ウェスタンブロット分析、およびELISAアッセイが挙げられる。抗体を用いる方法では、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体が適当である。そのような抗体は、蛋白質、蛋白質エピトープ、または蛋白質断片に対して免疫学的に特異的であってよい。
本発明のいくつかの態様は、本発明のポリヌクレオチドの発現によって生産された蛋白質の検出および定量で抗体を利用する。蛋白質は免疫沈澱、アフィニティー分離、ウェスタンブロット分析、蛋白質アレイ等によって検出することができるが、好ましい方法はELISA技術を利用し、そこでは、抗体が固体支持体上に固定化され、標的蛋白質またはペプチドが固定化された抗体に暴露される。プローブ、または標的、または双方のいずれかを、公知の方法を用いて標識することができる。
さらなる実施形態において、本発明は、試料中の正常なネコ科動物と比較して、異常なネコ科動物において異なって発現された1以上の遺伝子類の異なる発現を検出する方法を提供する。該方法は、(a)正常なネコ科動物と比較して、異常なネコ科動物において異なって発現される複数のポリヌクレオチドプローブを含む組合せと試料中のポリヌクレオチドとをハイブリダイズさせて、1以上のハイブリダイゼーション複合体を形成し;(b)所望により、正常なネコ科動物と比較して、異常なネコ科動物において異なって発現される複数のポリヌクレオチドプローブを含む組合せと標準中のポリヌクレオチドとをハイブリダイズさせて、1以上のハイブリダイゼーション複合体を形成し;(c)試料および、所望により、工程(b)からの標準のからのハイブリダイゼーション複合体を検出し;次いで、(d)試料からのハイブリダイゼーション複合体を標準からのハイブリダイゼーション複合体と比較することを含み、ここに、標準および試料間のハイブリダイゼーション複合体の量の差は、試料中の正常な動物と比較して、異常な動物において異なって発現された遺伝子類の異なる発現を示す。
工程(b)および工程(c)の一部は任意であって、もし2以上の試験系の比較的同時の比較を行うべき場合には用いられる。しかしながら、好ましい態様においては、比較で用いる標準は、当該方法を用いて先に得られたデータに基づく。
これらのプローブは試料に暴露されて、ハイブリダイゼーション複合体を形成し、これは、検出され、かつ標準のそれと比較される。試料および標準からのハイブリダイゼーション複合体の間の差は、試料中の正常なネコ科動物と比較して、異常なネコ科動物において異なって発現されたポリヌクレオチドおよび、従って、遺伝子類の異なる発現を示す。ある態様においては、プローブは、本発明によって同定された1以上の遺伝子類または遺伝子断片によって生産されたポリヌクレオチドまたはその断片を特異的に検出するように作成される。ハイブリダイゼーション複合体を検出する方法は当業者に知られている。
もう1つの実施形態において、本発明は、試料中の正常なネコ科動物と比較して、異常なネコ科動物において異なって発現される遺伝子類の異なる発現を検出する方法を提供する。該方法は、(a)複数のポリペプチドプローブを含む組合せと試料中の蛋白質とを、該プローブと該蛋白質との間の特異的結合を起こさせる条件下で反応させ、ここで、該プローブによって結合された該蛋白質は、正常なネコ科動物と比較して、異常なネコ科動物において異なって発現され;(b)所望により、複数のポリペプチドプローブを含む組合せと標準中の蛋白質とを、該プローブと該蛋白質との間の特異的な結合を起こさせる条件下で反応させ、ここで、該プローブによって結合された該蛋白質は、正常なネコ科動物と比較して、異常なネコ科動物において異なって発現され;(c)試料および、所望により、工程(b)からの標準における特異的結合を検出し;次いで、(d)試料における特異的結合を標準のそれと比較することを含み、ここで、標準および試料における特異的結合の間の差は、試料における正常なネコ科動物と比較して、異常なネコ科動物において異なって発現される遺伝子類の異なる発現を示す。
これらのプローブを試料に暴露して、特異的結合を形成させ、これを検出し、標準のそれらと比較する。試料および標準からの特異的結合の間の差は、試料における、正常なネコ科動物と比較して、異常なネコ科動物において異なって発現された蛋白質および、従って、遺伝子類、特に異常−関連遺伝子類の異なる発現を示す。好ましい態様において、プローブは、本発明によって同定された遺伝子類または遺伝子断片の1以上によって生じた蛋白質またはそれらの断片を特異的に検出するように作成される。
1つの態様において、該方法は、さらに、該ポリペプチドを該蛋白質と反応させる前に、ネコ科動物または試料を試験物質に暴露することを含む。次いで、比較は、試験物質が、試料において、正常なネコ科動物と比較して、異常なネコ科動物において異なって発現された遺伝子類、特に、異常−関連遺伝子類の発現を変化させたか否かを示す。
本発明は、かくして、ネコ科動物からの生物学的試料中のNISバイオマーカーの発現のレベルを測定することを含む、ネコ科動物において甲状腺機能亢進症の存在および重症度を診断する方法を提供し、ここで、正常な動物からの試料における発現についての対照値に対するNIS遺伝子の発現の差は、以下の実例となる方法のいずれかに従って、甲状腺機能亢進症の存在を示し、甲状腺機能亢進症の重症度を反映する。
この方法に従い、NISバイオマーカーの発現のレベルは、(i)NIS遺伝子に対応するmRNAまたはcDNAに相補的な1以上のオリゴヌクレオチドを含むDNAマイクロアレイ、または(ii)NIS遺伝子に対応するmRNAまたはcDNAについてのオリゴヌクレオチドプライマーとの定量的ポリメラーゼ鎖反応のいずれかを用いて遺伝子発現を測定することによって決定される。
この方法によると、NISバイオマーカーの遺伝子発現を測定する工程は、(i)RNAを組織試料から単離し、(ii)RNAを逆転写して、対応するcDNAが得られ、(iii)かく得られたcDNAを単離し、断片化し、(iv)cDNA断片を、測定すべき1以上のバイオマーカーに対応するcDNAに相補的な1以上のオリゴヌクレオチドを含むDNAマイクロアレイと接触させ、次いで、(v)DNAマイクロアレイにおける、cDNA断片と1以上のオリゴヌクレオチドとの間のハイブリダイゼーションを検出することを含む。この態様のある実施形態においては、DNAマイクロアレイにおける、cDNA断片と1以上のオリゴヌクレオチドとの間のハイブリダイゼーションはストリンジェントな条件下にある。
もう1つの態様において、NISバイオマーカーの発現のレベルは、発現された蛋白質に対する抗体によって検出される。この態様において、NISバイオマーカーは、競合結合アッセイ、非競合結合アッセイ、ラジオイムノアッセイ、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)、サンドイッチアッセイ、沈降素反応、ゲル拡散免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、蛍光イムノアッセイ、ケミルミネセンスイムノアッセイ、イムノPCRイムノアッセイ、プロテインAまたはプロテインGイムノアッセイおよび免疫電気泳動アッセイから選択されるイムノアッセイによって検出される。
この態様の1つの実施形態において、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)、または側方流動免疫クロマトグラフィーアッセイであるこれまでの方法。この態様の他の実施形態において、バイオマーカーの発現のレベルは、生物学的試料中の発現された蛋白質を測定する定量的質量分析によって検出され、またはNISバイオマーカーは、発現された蛋白質を認識するアプタマーによって検出され、ここで、アプタマーはオリゴヌクレオチドまたはペプチドであり得る。
ある実施形態において、罹患していない動物からの試料中での発現についての対照値に対する、甲状腺機能亢進症動物の生物学的試料中のNISバイオマーカーの発現のレベルは、罹患していない動物と比較して罹患した動物において増加し、1.25、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9または3倍以上の係数だけ増加する。他の実施形態において、罹患した動物の生物学的試料中のNISバイオマーカーの発現のレベルは、例えば、1.25、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9または3倍以上の係数だけ低下する。ある態様において、NISバイオマーカーは、適切な細胞培養モデル系においてイン・ビトロで検出される。
これらの態様の他の実施形態において、生物学的試料中のNISバイオマーカーの発現のレベルは、正常な試料中のそのバイオマーカーの平均発現よりも1または少なくとも1の標準偏差より高い、またはより低い。これらの態様のさらに他の実施形態において、生物学的試料中のNISバイオマーカーの発現のレベルは、比較的一定の発現を有することが知られている1以上の遺伝子類の発現に対して正規化される。
もう1つの態様において、開示は、例えば、前記で開示された方法を用いて甲状腺機能亢進症の存在を診断し、次いで、例えば、単独、または適切な投薬と組み合わせた規定食によって、疾患を管理することを含む、それを必要とするネコ科動物において甲状腺機能亢進症を治療する方法を提供する。この態様の1つの実施形態において、規定食は、本明細書中に開示された方法によって同定された1以上の成分を含み、その成分は、甲状腺によるヨウ素摂取を低下させるのに、または甲状腺ホルモンの合成を阻害するのに有用であり、とりわけ、NIS遺伝子発現を抑制または阻害でき、またはNIS蛋白質の機能を低下または阻害できる成分を含む。
さらなる態様において、本発明は、ネコ科動物におけるNISバイオマーカーの発現のレベルの検出で有用な、所望により標識されていてもよい試薬を提供する。そのような試薬としては、例えば、ネコ科動物NIS蛋白質を選択的に認識する抗体、例えば、モノクローナル抗体、一本鎖抗体、および機能的な抗体断片、例えば、配列番号:2のペプチドを選択的に認識する抗体、例えば、モノクローナル抗体、一本鎖抗体、および機能的な抗体断片を挙げることができる。他のそのような試薬としては、ネコ科動物NIS蛋白質または配列番号:2のペプチドを選択的に認識するアプタマー、例えば、核酸またはペプチドアプタマー、ならびにネコ科動物NIS遺伝子に、または配列番号:1のヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドプローブを挙げることができる。
さらなる態様において、本開示は、ネコ科動物からの生物学的試料におけるネコ科動物NIS遺伝子の発現を測定するための手段、およびネコ科動物からの生物学的試料中のNIS遺伝子の発現を測定するためのそのような手段を用い、ネコ科動物における甲状腺機能亢進症に導くプロセスの存在を評価するための説明書を含む、ネコ科動物おいて甲状腺機能亢進症を診断し、予後し、またはモニターするためのキット(キット1)を提供する。1以上のバイオマーカーを測定するキット手段は、NIS遺伝子の遺伝子発現を検出することができる1以上の核酸プローブであり、そのプローブは、ストリンジェントな条件下で、配列番号:1の核酸に選択的にハイブリダイズすることができる。
これらの態様の他の実施形態において、1以上のバイオマーカーを測定するための手段は、発現されたNIS蛋白質を選択的に認識することによって、または配列番号:2のペプチドを選択的に認識することによって、NIS遺伝子の遺伝子発現を検出することができる1以上の抗体である。そのようなキットは、発現された蛋白質または配列番号:2のペプチド配列に対応する単離された、精製された、または組換えられたNIS蛋白質を含めた、NIS蛋白質を検出することができる抗体、および緩衝液を含むELISA形態であってよい。
この態様のさらに他の実施形態において、NISバイオマーカーを測定するための手段は、例えば、NIS蛋白質の遺伝子発現を検出することができる、または発現されたNIS蛋白質を認識することによる、前記した1以上のアプタマーである。
1つの態様において、本開示は、対象ネコ科動物において甲状腺機能亢進症を診断する方法を提供する。この方法は、甲状腺機能亢進症について試験されるべきネコ科動物の生物学的試料中で見出される配列番号:2のペプチドのレベルを決定し、次いで、そのレベルを、健康なネコ科動物、すなわち、甲状腺機能亢進症に罹ったことが知られていないものにおいて確立されたそのペプチドの参照レベルと比較することを含む。試験されたネコ科動物における配列番号:2のペプチドの増大したレベルは、甲状腺機能亢進症の診断に役立ち、その増加の程度は疾患の重症度を示す。
この態様のある実施形態において、配列番号:2のペプチドのレベルは、本明細書中に記載された方法によって、ならびに当該分野で公知の方法に従って、決定することができる。この態様の特別な実施形態において、配列番号:2のペプチドのレベルの決定は、インジケータとして抗体、抗体断片、またはアプタマーを用いて行われる。特別な実施形態において、インジケータはモノクローナル抗体であり、他方、他の実施形態においては、それはFab断片、F(ab’)2断片、Fv断片、またはアプタマーである。
さらなる態様において、本開示は対象ネコ科動物において甲状腺機能亢進症を診断する方法を提供し、それは、対象ネコ科動物の生物学的試料中の配列番号:2のペプチドをコードする核酸のレベルを決定し、次いで、その値を、甲状腺機能亢進症がない対照ネコ科動物において確立されたその核酸の参照レベルと比較することを含む。この方法によると、参照レベルと比較した、対象ネコ科動物試料中の核酸の増大したレベルは、対象ネコ科動物における甲状腺機能亢進症の症状を示す。この態様のある実施形態において、核酸のレベルは、定量的RT−PCRを用いることを含む方法を用いて決定される。この態様のもう1つの実施形態において、核酸のレベルは、マイクロアレイがRNA、DNA、cDNA、PCR産物、またはESTよりなる群から選択される複数の単離されたポリヌクレオチドを含む方法を含めた、マイクロアレイを用いることを含む方法を用いて決定され、ここで、ポリヌクレオチドは配列番号:2のペプチドの少なくとも一部をコードする。この態様の特別な実施形態において、核酸はRNAである。
本開示は、罹患したネコ科動物において甲状腺機能亢進症をモニターする方法も提供する。この方法は、第一の時点において、対象ネコ科動物からの生物学的試料中の配列番号:2のペプチドの第一のレベルを決定し、続いて、第二の引き続いての時点において、対象ネコ科動物からの生物学的試料中の配列番号:2のペプチドの第二のレベルを決定することを含む。2つのレベルを比較し、経時的な配列番号:2のペプチドのレベルの増加は、甲状腺機能亢進症の進行を示し、経時的な配列番号:2のペプチドのレベルの減少は甲状腺機能亢進症の退行を示す。
もう1つの態様において、本開示は罹患したネコ科動物において甲状腺機能亢進症をモニターする方法も提供し、それは、対象ネコ科動物からの生物学的試料中の配列番号:2のペプチドをコードする核酸の第一のレベルを決定し、続いて、第二の後の時点において、対象ネコ科動物からの生物学的試料中の配列番号:2のペプチドをコードする核酸の第二のレベルを決定することを含む。2つの値を比較し、経時的な配列番号:2のペプチドをコードする核酸のレベルの増加は甲状腺機能亢進症の進行を示し、経時的な配列番号:2のペプチドをコードする核酸のレベルの減少は甲状腺機能亢進症の退行を示す。
本開示は、これらの方法で有用なキットも提供する。1つの態様において、本開示は、対象ネコ科動物からの生物学的試料中のネコ科動物NIS遺伝子の発現レベルを測定する手段を含むキットを提供する。この決定で用いられる手段は、核酸プローブ、抗体、抗体断片、およびアプタマーよりなる群から選択される少なくとも1つのインジケータを含むことができ、ここで、インジケータは、本明細書中に記載された方法、ならびに当該分野で知られた方法を用い、対象ネコ科動物からの生物学的試料中のネコ科動物NIS遺伝子の発現を検出することができる。この態様の1つの実施形態において、キットは、該ネコ科動物からの生物学的試料中のネコ科動物NIS遺伝子の発現を測定するための前記手段を用いるための説明書を含む。この態様の特別な実施形態において、使用される手段としては、配列番号:2のペプチドを特異的に認識する抗体または抗体断片が挙げられる。この態様のもう1つの実施形態において、使用される手段は第一および第二のオリゴヌクレオチドを含み、ここで、第一のオリゴヌクレオチドは配列番号:1の核酸のノンコーディングストランドに選択的にハイブリダイズし、第二のオリゴヌクレオチドは、配列番号:1の核酸のコーディングストランドに特異的にハイブリダイズする。これらの2つのオリゴヌクレオチドの組合せは、配列番号:2のペプチドをコードする配列番号:1のDNA分子の一部のPCR増幅で用いることができる。
現在開示された核酸およびペプチド配列に基づき、共にここに引用してその全体を援用する、同一出願人が所有する出願第12/600,064号および出願第13/054,745号に記載された試薬および手法を用いて、さらなる診断方法、キット、および組成物を開発することができる。
本発明の利用性のさらなる分野は、以下に提供される詳細な記載から明らかとなるであろう。詳細な記載および具体的な実施例は、本発明の好ましい態様を示しつつ、説明のみを目的とすることを意図し、本発明の範囲を制限する意図ではない。
機能的遺伝子プロフィール
本開示は、単離された遺伝子、および甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科伴侶動物の健康を改善するのに有用な組成物を合理的に設計するための遺伝子の使用方法を提供する。
栄養ゲノム情報科学(「ニュートリゲノミクス」)は、栄養的環境と細胞および遺伝過程との間の接点として出現したヒトにおけるゲノム研究の比較的新しい部門である。ニュートリゲノミクスは、例えば、個々の遺伝的構成の発現および/または構造を改変することによって、どのようにして規定食成分および/または栄養が健康と病気との間のバランスに影響するかの遺伝子的理解を提供することを試みる。いくつかの規定食成分は、多数の方法で遺伝子発現を改変することが示されている。例えば、それらは転写因子または受容体のような蛋白質に対するリガンドとして作用することができ、一次または二次代謝経路によって代謝でき、それにより、基質または中間体の濃度を変化させることができ、または単一の経路に関与することができる。
機能的ゲノムプロフィール:本明細書中で用いられる用語「表現型」とは、生物の遺伝子型によって決定された生物の、機能的であるかそうでないかを問わず、観察可能な特徴の全体、またはそのいずれかの部分をいう。用語「遺伝子型」とは、生物の全遺伝子構成、またはそのいずれかの一部をいう。遺伝子型は、染色体または染色体外双方において運ばれた遺伝情報を含む。
本明細書中でそれが用いられるように、フレーズ「機能的遺伝子プロフィール」とは、特定の遺伝子の活性に関連するmRNA、蛋白質および代謝産物の生産および機能を含めた、定義された遺伝子配列の発現の機能的な結果の全てまたはいずれかの部分をいう。機能的遺伝子プロフィール(FGP)は、ゲノミクス、プロテオミクスまたはメタボロミクスアプローチ、またはこれらのいずれかの組合せを用いて確立することができる。
本明細書中に開示された遺伝子、ネコ科動物NIS遺伝子の各々の機能的遺伝子プロフィールは、従って、その転写されたmRNAにおいて反映されたその発現および活性、コードされた蛋白質の量、その蛋白質の生物学的活性およびその活性によって生じた代謝産物によって定義することができる。これらのインジケータの各々は、本明細書中に開示された方法、ならびに当該分野で知られた方法を用いて測定することができる。これらの遺伝子プロフィールは、健康なネコ科動物ならびに甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物の双方で確立されており、遺伝子発現とネコ科動物における甲状腺機能亢進症の存在および重症度との間の相関を可能とする。これらの遺伝子プロフィールは、生物活性規定食成分の投与により、およびそれ無くして、健康なネコ科動物ならびに甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物の双方においても確立されている。
機能的遺伝子プロフィールの基礎をなすデータは、機能的ゲノミクスの分野で知られたいずれかの技術によって生体液および/または組織試料から作成することができる。機能的ゲノム分析を生み出すのに有用な技術の例としては、限定されるものではないが、個々にまたは組み合わせて用いることができる以下の技術:(a)例えば、ノーザンブロット分析およびウェスタンブロット分析を含めた、例えば、ガラス、シリカ、プラスチック、膜またはビーズ支持体またはそれらの組合せ上での、低および高密度様式の単色および多色遺伝子および蛋白質アレイおよびマイクロアレイ;(b)限定されるものではないが、マトリックス−援助レーザー脱着イオン化、エレクトロスプレイイオン化、ナノスプレイイオン化および表面増強レーザー脱着イオン化を含めた、種々のイオン化源での、四極、飛行時間、四極イオントラップまたはフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析器またはそれらの組合せを用いる質量分析技術;(c)一重および多重定量的リアルタイムPCR技術を含めたポリメラーゼ鎖反応(PCR)技術;(d)二色2Dゲル方法、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、および2D PAGEを含めたゲル電気泳動(一次元または多次元);および(e)それ自体の、または質量分析技術と直列にした液体クロマトグラフィー(一次元または多次元)が挙げられる。
機能的遺伝子プロフィールは、典型的には、データのノイズを低下させまたは除去するための正規化および予備処理の後に、生映像、数値および/またはテキストデータセットから生じさせることができる。機能的遺伝子プロフィールを認識するのに用いることができる技術としては、限定されるものではないが、最近傍パターン認識、神経ネットワーク、隠れマルコフモデル、ベイジアンネットワーク、遺伝子アルゴリズム、サポート・ベクター・マシーンおよびそれらの組合せが挙げられる。
健康なネコ科動物、軽度の甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物、重度の甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物、またはその組織または細胞の動物モデルにおいて測定することができる、本明細書中に開示されたネコ科動物遺伝子の機能的遺伝子プロフィールは、従って、「正常」または「正常外」状態であり得る。開示された遺伝子類についての「正常な」機能的遺伝子プロフィールは、本明細書中で定義されたウエルネスの状態を呈する、一般には、そのような状態を示す動物において決定されたものである。典型的には、「正常な」機能的遺伝子プロフィールは、ホメオスタシス、すなわち、例えば、負のフィードバックによって活性化された内部制御システムから生じる身体の機能における安定性に対する傾向に関連する。「正常外」機能的遺伝子プロフィールは、「正常」と確認同定された範囲外にあるもの、および試験されたネコ科動物における甲状腺機能亢進症の存在に相関させることができるものである。そのような「正常外」機能的遺伝子プロフィールは、ホメオスタシスの崩壊に関連させることができ、かくして、しばしば、ドリフトを停止させ、または逆行させるための(例えば、本発明の方法による)介入無しに、「正常外」機能的遺伝子プロフィールが、例えば、軽度から重度の、甲状腺機能亢進症の経過および進行に伴って正常からさらにドリフトする傾向がある。もしチェックされなければ、正常から離れていく進行性ドリフトは最終的には死亡に至り得る。従って、「正常外」機能的遺伝子プロフィールは、しばしば、本文脈では、甲状腺機能亢進症である動物において、ウエルネスに有害な状態、例えば、病気または生理学的障害の状態を示し、かつそれに関連する。そのような状態は、表面上は明らかであり得るか、または潜在的(すなわち、無徴候)であり得る。「正常外」機能的遺伝子プロフィールは、いくつかの状況においては、遺伝によるかまたはそうでないかを問わず、病気、例えば、甲状腺機能亢進症に対する素因を示すことができ、そのような状況においては、(例えば、本発明の方法による)より正常な状態に向けての機能的遺伝子プロフィールのシフトは、病気の防止または予防において効果的であり得る。
ある態様においては、ネコ科動物の亜集団は、少なくとも部分的には、生理学的状態によって、例えば、甲状腺機能亢進症に軽度に、または重度に罹っていると同定することができる。本明細書中において、用語「生理学的状態」とは、例えば、トリヨードチロニン(T3)およびテトラヨードチロニン(チロキシンまたはT4)のいずれかまたは双方のレベルによって定義して、そのサイズ、体重、年齢、活動レベル、素質、およびウエルネスまたは病気の状態を含めた、動物の身体的、病理学的、挙動的および生化学的属性のいずれか1つ、または組合せをいう。生理学的状態は、遺伝子型と動物の環境との相互作用の積である。
生体液および組織試料:本明細書中で有用な生体液または組織試料は、遺伝子、プロテオミクスおよび/またはメタボロミクス分析で検査することができるいずれの試料でもあり得る。遺伝子分析では、試料は、例えば、PCR技術を介して増幅する必要がある、またはないかも知れない量でDNAを提供しなければならない。例えば、尿試料の場合にしばしば当て嵌まるように、DNAまたはRNAを欠如する試料は、それにも拘わらず、有用なプロテオミクスおよび/またはメタボロミクス情報を提供することができる。
サンプリングすることができる生体液としては、分泌物(便および尿)、血液、唾液、羊水等が挙げられる。組織試料は、動物の身体のいずれかの部分から、本発明の目的ではより有用には生きた動物から、例えば、バイオプシーによって、(例えば、他の目的で行われている外科的処置の間における)外科的取り出しによって、頬綿棒によって、または数本の毛髪を引き抜くことによって、死後に、得ることができる。
第一のデータセット:前記した開示のシステムおよび方法は、本明細書中においては、「第一の」(または試料)および「第二の」(または試験)データセットといわれる少なくとも2つのデータセットを含む。これらのデータセットは、典型的には、デジタル形態で格納され、1から複数のデータベースに組織化され、これはいずれかのコンピュータまたは周辺メモリまたはデータ格納デバイスのようなユーザーがインターフェース接続可能な媒体に保持される。データは「バーチャル」であり得るが、すなわち、複数のデバイスのネットワークを通じてのみ存在する。
第一および第二のデータセットは単一のデータベースの一部であり得るか、または別々のデータベース中にあり得る。第一および第二のデータセットいずれかまたは双方は、所望すれば、データが後により十分に議論されるように、処理のためにアクセスできる限り、1を超えるデータベース中に構成することができる。
第一のデータセット(試料データセット)は、(典型的には「正常な」機能的遺伝子プロフィールを呈する)健康な動物、および種々の疾患状態にある、例えば、軽度なまたは重度な甲状腺機能亢進症の状態にあり、従って、ネコ科動物NIS遺伝子に関する「正常外」機能的遺伝子プロフィールを呈する動物を含めた、広い範囲のネコ科動物遺伝子型および表現型、または生理学的状態を表す動物から得られた多数の生体液および/または組織試料の機能的遺伝子分析に由来するデータを含む。該データは、関係的に、すなわち、機能的遺伝子パラメータの遺伝子型および表現型属性との相関を可能とするように構成されている。このように、第一のデータセットは、健康なネコ科動物についてのみならず、甲状腺機能亢進症に軽度におよび重度に罹ったネコ科動物についての、すなわち、データセットによって含まれる遺伝子型および生理学的状態を有する特別な亜集団についての機能的遺伝子プロフィールを規定するのに用いることができる。第一のデータセットの広さの増大として、利点の中でも、多数の有益な結果を実現することができる:(1)データセットがより包括的になるにつれて含まれる、例えば、甲状腺機能亢進症疾患の重症度によって規定される亜集団の範囲;(2)特定の亜集団についての機能的遺伝子プロフィールのデータはより信頼性があるものとなる;および(3)より大きな信頼性でもってデータを用いて、データにおいて具体的に表されていない亜集団についての予測される機能的遺伝子プロフィールを開発することができる。このように、甲状腺機能亢進症の存在および程度以外の変数の結果としてのネコ科動物NIS遺伝子の発現の変動を同定することができ、疾患、例えば、ネコ科動物甲状腺機能亢進症の存在および重症度に相関する機能的遺伝子プロフィールの態様を規定する場合にそれを可能とすることができる。
第一のデータセットにおいて反映されている、各試料中の本明細書中に開示された遺伝子の機能的遺伝子分析としては、DNA、RNA(例えば、mRNA)、蛋白質、代謝産物、および酵素のようなバイオマーカーのうちの1以上に関する分析を挙げることができる。
本明細書中に開示されたネコ科動物NIS遺伝子についての予測される機能的遺伝子プロフィールを開発するのに用いることができるデータは、前記したように、生体液および/または組織試料の機能的遺伝子分析以外の入手源からの情報およびデータから由来するものであってよく、またはそれらが補足されていてよい。例えば、いくつかの態様においては、データは文献で公表された研究から由来することができる。ある態様において、データは、例えば、ウェブサイトを通じてアクセス可能な公にまたは商業的にアクセス可能なデータバンクから得ることができる。いくつかの態様において、データは、対象動物の種のゲノムの検索に由来することができ、さらに他の態様において、相同な機能的ゲノムデータは、ヒト、ラットまたはマウスのような対象動物以外の種から得ることができる。ある態様では、データは、対象動物のそれ以外の種のゲノムの検索を通じて得ることができる。
当該方法が比較的狭い標的、例えば、ネコ科動物における甲状腺機能亢進症に焦点を当てているある態様において、データセットは、比較的少数の試料を用いて確立することができる。かくして、第一のデータセットは、態様の1つのシリーズにおいては、注目する亜集団、例えば、甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物を含むように十分に広い遺伝子型および生理学的状態の一定範囲を表す多数の動物から収集された試料に由来する。
ある態様において、第一のデータセットは、本明細書中に開示された遺伝子類についての正常および正常外機能的遺伝子プロフィールが、入力データが提出される動物対象の、各々、遺伝子型および生理学的状態を含む遺伝子型および生理学的状態の範囲を有する動物について同定されるのを可能とする。本文脈における生理学的状態に関しては、用語「含む」は、当該対象に対する同様な生理学的状態を個々におよび集合的に有する動物が、たとえ生理学的条件の対象の特定の組合せがデータセットにおける単一の動物で見出されなくとも、データセットにおいて表されていることを意味する。同様に、第一のデータセットにおいて表される遺伝子型および生理学的状態の範囲は、本明細書中においては、もしそのような遺伝子型および生理学的状態が独立してデータセットに見出されれば、たとえ単一の動物におけるものでなくても、対象の遺伝子型および生理学的状態を「含む」と考えられる。
有用であるべき、個々の動物からの各試料は、第一のデータセットの一部となる起源記録に関連しなければならない。起源記録(provenance record)は、試料が収集された時点における試料を提供した動物の遺伝子型および生理学的状態の規定に関連する動物誌学的データを含む。
本明細書中において、用語「動物誌学的データ(zoographical data)」とは、定量的または定性的であるかを問わず、試料それ自体についての分析または実験以外の入手源からの生体液または組織試料を提供する動物に対して集められたいずれかのおよび全ての情報をいう。動物誌学的データの入手源としては、例えば、質問に対する応答として捕獲された所有者の知識ベース、ウエルネスまたは病気の過去および現在の状態を示すものを含めた獣医学的記録、もし動物が有するとすれば動物の血統、試料獲得時のバイオメトリクス(高さ、体重等)が挙げられる。
第一のデータセットに含まれる動物誌学的データは、遺伝子型に関連する1以上のデータ項目を含むことができる。そのようなデータ項目の例としては、限定されるものではないが:AKCその他のような団体によって登録された、血統を問わず、動物の品種;もし知られていれば、血統;混血品種の動物の場合には、その親および、もし入手可能であれば、より先の世代の先祖の品種を含めた動物の品種遺伝形質;性別;および毛皮タイプ(例えば、長い、短い、針金状、巻毛状、平滑な)および着色;限定されるものではないが、甲状腺機能亢進症を含めた明白な遺伝的疾患および障害が挙げられる。
第一のデータセットに含まれた動物誌学的データは、生理学的状態に関連する1以上のデータ項目を含むことができる。そのようなデータ項目の例としては、限定されるものではないが:年齢(年代学的および、もし決定可能であれば、生理学的);体重;寸法(例えば、肩の高さ、脚の長さ、背中の長さ等);獣医学的な履歴;去勢したかを問わず、同腹子の数およびサイズを含めた繁殖歴;診断がなされたか否かを問わず、診断されたいずれかの疾患または障害、およびいずれかの徴候を含めた、現在のウエルネスまたは疾患状態、およびそこでの何れかの最近の変化;ノミを含めた、寄生虫の存在;食欲、およびそこでのいずれかの最近の変化;身体的活動のレベル;知力;行動異常性;および気質(例えば、臆病な、攻撃的、従順な、神経質)が挙げられる。そのようなデータは、甲状腺機能亢進症の存在および程度以外の変数によって影響される、または悪影響されるいずれかのネコ科動物NIS遺伝子の発現における変動の同定、ならびに甲状腺機能亢進症の存在または重症度に相関させることができる表現型特性の同定を容易とすることができる。
動物の「年代学的年齢」は誕生以来経過した(例えば、年または月で表した)現実の時間である。動物の「生理学的年齢」は、動物としての同一の年齢に関連する生理学的状態(運動性、精神的な鋭敏さ、歯の摩耗等)を呈する同様な品種の動物の平均的な年代学的年齢の見積もりである。
動物誌学的データは、さらに、試験された動物が生きている環境の状況に関することができる。そのような状況としては、限定されるものではないが、気候、季節、地理学的な位置、および居住地が挙げられる。例えば、動物が温かいまたは乾燥した気候、または苛酷なまたは湿潤気候で住んでいるか;現在春、夏、秋または冬であるか;動物が屋内または屋外に収容されているか;動物が家庭、板小屋、(例えば、介護犬、警察犬等の場合には)活動する場所または幾つかの他の生息場所にいるか;それが一匹で、または他の動物と共に収容されているか;それが都会または田舎の地域に住んでいるか;住居の郵便番号、州および/または国;その居住地が汚染物質(例えば、煙草の煙)によって悪影響されるか、および悪影響される程度;等を知るのは動物用の食品組成物を開発するのに重要であり得る。
第二のデータセット:第二のデータセット(試験データセット)は基本的な遺伝子発現に対する、すなわち、本明細書中に開示された遺伝子の機能的遺伝子発現に対する、単独および組み合わせた、生物活性規定食組成物(BDC)の影響についてのデータを含む。これらのデータは、いずれかの供給源からの公にまたは商業的に入手可能な情報および/または第二のデータセットを形成する明確な目的で行われた研究の結果を含むことができる。
歴史的には、ウエルネスに対する特定の生物活性規定食成分の全効果は、注目する種の生きた動物、例えば、イヌまたはネコを用いて餌を与える実験によって決定されてきた。本発明によると、細胞レベル下における、すなわち、細胞の本明細書中に開示された遺伝子の機能的遺伝子発現に対する生物活性規定食成分の効果は、動物モデルが1以上の生物活性規定食成分の異なるレベルおよび/または1以上の生物活性規定食成分への暴露の異なる持続に暴露される、管理実験によって決定することができる。本文脈における生物活性規定食成分の「異なるレベル」は、生物活性規定食成分の0レベルを含む。もし生物活性規定食成分の多数のレベルが試験に含まれるならば、用量応答を解明するのは可能であろう。
ある態様において、動物モデルは注目する種の生きた動物であり得る。しかしながら、広範なデータセットを、以下に例示される1以上の代替試験モデルを用いることによって、より迅速にかつ経済的に組み立てることができる。
1つの態様において、代替試験モデルは脊椎動物モデル、例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサバまたはニワトリのような基本的ゲノム実験によく適合された小さな種である。もう1つの態様において、代替試験モデルは、そのゲノムが実質的に解明されている、無脊椎動物モデル、例えば、回虫Caenorhabditis elegansまたはキイロショウジョウバエDrosophila melanogasterのような無脊椎動物種である。さらなる態様において、代替試験モデルは、非動物モデル、特に、例えば、Candida albicans、またはSaccharomyces cerevisieaのような酵母、またはEscherichia coliのような細菌に基づいた、遺伝子組換えモデルにおいて確立することができる。もう1つの代替試験モデルは、例えば、注目するネコ科動物種からの、またはヒトを含めたもう1つの種からの初代および/または不滅化細胞系を用いる細胞培養モデルである。もう1つの態様において、代替試験モデルは、動物から得られ、かつ動物の体外で維持された組織外植体を用いる生体外モデルである。
理論に拘束されるものではないが、細胞レベルでは、生物活性規定食成分は転写因子または受容体のような蛋白質に対するリガンドとして作用することができ、一次または二次代謝経路によって代謝でき、それにより、遺伝子調節または細胞シグナリングに関与する基質および/または中間体の濃度を変化させることができ、またはシグナル経路に正または負に影響することによって、シグナル伝達経路およびシグナリングを変えることができる。
第二のデータセットは、生物活性規定食成分として知られた化学的または生物学的構成要素のみならず、栄養、機能性食品または薬理学的な効果を有することが従前には知られていなかった種々の物質についてのデータを含むことができる。全てのそのような物質は、もし少なくとも1つの遺伝子の発現、少なくとも1つの蛋白質の機能、または少なくとも1つの代謝産物の生産に対する有用な効果がネコ科動物NIS遺伝子について見出されれば、本明細書中においては、生物活性規定食成分と考えられる。1つの態様において、本明細書中においては、注目する生物活性規定食成分は、米国FDA(食品医薬品局)の規制、または他の国における対応する規制下で(一般に安全とみなされる)GRASまたは同等の状態を有する物質であるか、そのような状態に対して適格なものである。他の態様において、生物活性規定食成分は、治療的にまたは薬理学的に有効な化合物、例えば、薬物または薬草医薬品であり得る。
多くの生物活性規定食成分は、一般には、それらを抽出することができる食品の天然に生じる化学物質である。生物活性規定食成分は、多くの場合、微生物学的(例えば、発酵)または合成プロセスによって調製することもできる。その例は、限定されるものではないが:アミノ酸;単糖;複合糖;中鎖トリグリセリド(MCT);トリアシルグリセリド(TAG);α−リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を含めたn−3(オメガ−3)脂肪酸;リノール酸(LA)、γ−リノレン酸(GLA)およびアラキドン酸(ARA)を含めたn−6(オメガ−6)脂肪酸;レシチンのようなコリン源;ビタミンAおよびカロテノイドのようなその前駆体(例えば、β−カロテン)、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)およびビタミンD3(コレカルシフェロール)のようなビタミンD源、トコフェロール(例えば、α−トコフェロール)およびトコトリエノールのようなビタミンE源、およびビタミンK1(フィロキノリン)およびビタミンK2(メナジオン)のようなビタミンK源を含めた脂溶性ビタミン;リボフラビン、(ニコチンアミドおよびニコチン酸を含めた)ナイアシン、ピリドキシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンおよびコバラミンのようなBビタミンを含めた水溶性ビタミン;およびビタミンC(アスコルビン酸);前記でリストしたビタミンの幾つかを含めた抗酸化剤、特に、ビタミンEおよびC;カテキン、ケルセチンおよびテアフラビンのようなビオフラボノイド;ユビキノンのようなキノン;リコペンおよびリコキサンチンのようなカロテノイド;レスベラトロル;およびα−リポ酸;L−カルニチン;D−リモネン;グルコサミン;S−アデノシルメチオニン;およびキトサンを含む化学物質である。
生物活性規定食成分の前記説明的リストにアミノ酸を含めることに関しては、ほとんど全ての食品は、典型的には、全ての必須アミノ酸を供給する蛋白質を含有する。しかしながら、食品の蛋白質含有量は、特定の動物亜集団のウエルネスに最適な割合で必須アミノ酸を必ずしも供給せず、かくして、1以上のアミノ酸、またはそのようなアミノ酸が豊富な蛋白質供給源の補充は望ましくあり得る。
同様な考慮は、生物活性規定食成分であり、かつ食品の炭水化物画分の成分であってよい、またはなくてもよい単糖および複合糖、および生物活性規定食成分であり、かつ食品の脂質画分の成分であってよい、またはなくてもよい、n−3およびn−6脂肪酸を含めたある種の脂肪酸の場合に当て嵌まる。
そうでなければ、バランスのとれた動物規定食に必要な主要栄養素(蛋白質、炭水化物、脂肪および繊維)は、以下に議論するように、栄養配合を設計するにおいて前記でリストしたもののような生物活性規定食成分とは別々に考慮される。
ある種の生物学的物質、特に植物物質は、生物活性規定食成分と考えることができ、もし望むならば、第二のデータセットに含めることができる。これらのうち多くにおいて、生物活性化学物質は同定されており;生物活性成分が知られている場合さえ、他の知られていない生物活性成分を存在させ、生物学的物質の生物活性効果に寄与することができる。
生物活性規定食成分として有用であり得る実例となる植物としては、限定されるものではないが、アロエベラ、ドンクアイ、エキナセア、マツヨイグサ、亜麻仁、ニンニク、ショウガ、イチョウ、チョウセンニンジン、緑茶、大豆、ウコン、カモジグサおよびイェルバ・マテが挙げられる。
第二のデータセットは、かくして、動物モデルにおける機能的遺伝子プロフィール効果を動物モデルで試験された生物活性規定食成分に関連付けるデータを含む。このデータセットから、適当なアルゴリズムを用いることによって、機能的な遺伝子プロフィール、例えば、ネコ科動物NIS遺伝子の発現および活性のいずれかまたは双方に対して所望の効果を有する生物活性規定食成分または生物活性規定食成分の組合せを選択することができる。
入力データ:開示の方法に従って処理された入力データは、規定食が設計される亜集団の遺伝子型および生理学的状態、規定された栄養配合または調製された食品組成物を規定するデータを含む。入力データは、第一のデータセットにおける試料の起源記録の一部として前記した動物誌学的データのタイプのいずれかを含めた動物誌学的データを含むことができる。ある態様において、動物対象についての入力データは、対象によって提供された1以上の組織および/または生体液試料に由来する機能的遺伝子プロフィールデータを含む。これらの態様によると、入力データは、正常または正常外範囲にある機能的遺伝子プロフィールを示すことができる。
本発明のコンピュータ援助システムは、典型的には、入力データの入力を可能とするユーザーインターフェースを含む。
動物誌学的入力データのシステムへの入力は、動物対象の所有者によって書き込まれたハードコピーまたは電子的質問に基づいてインターフェースオペレーターがなすことができる。別法として、そのようなデータの入力は所有者によって直接的にインターフェースにおいて実行され得る。
動物誌学的データの入力用のユーザーインターフェースは、(入力データが本発明の方法に従って処理される)メインプロセッサから遠隔とすることができるが、インターネットのようなネットワークを介してそれに連結させることができる、別法として、ユーザーインターフェースは、例えば、小売店または獣医のオフィスにおいて、メインプロセッサに対してローカル(例えば、結線で接続)であり得る。種々の態様において、ユーザーインターフェースは、実例として、かつ限定されることなく、キーボードおよびモニター;例えば、所有者の家庭におけるパーソナルコンピュータ;タッチ−スクリーン端末;プッシュホン式電話;または音声で作動するシステムを備えることができる。別法として、動物誌学的データは、印刷されたバーコードまたはコンピュータ可読英数字文字のようなコンピュータ可読媒体;フロッピーディスク(登録商標);CD−ROM;メモリーカード;チップ等に予め入力し;そのような媒体から読み出すために備えられた端末においてスキャンし、またはアップロードすることができる。媒体は、いくつかの態様では、対象動物の、例えば、首輪、耳標または首輪付鑑札に付けることができ、またはある種のタイプのチップの場合には、動物皮膚下に外科的に移植される。なおもう1つの選択肢として、動物誌学的データはコンピュータ援助システムそれ自体に予め入力し、データベースに格納することができ、そこから、それは動物誌学的データが元来入力されるための、対象動物にユニークなコードの入力によって検索することができる。そのようなコードは、いずれかのインターフェースタイプを介して、かつ先に示したものを含めたいずれかの適当な媒体に入力することができる。
栄養配合を導き出すための入力データの処理:(前記したように、単一の動物対象、例えば、甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物であり得る)亜集団についての入力データの処理は、前記した第一および/または第二のデータセットを利用して、亜集団の1以上の動物のウエルネスを促進する栄養配合を入力データから導く、ここでは時々は、「第一の」アルゴリズムと称されるアルゴリズムによって達成される。
少なくとも、アルゴリズムが前記した第一および第二のデータセット双方を利用する本発明の態様のためのアルゴリズムは、実例として、少なくとも以下のタスクを組み込むコンピュータプログラムに具現化することができる。処理は、以下に示されたシークエンスで必ずしも行われない。本発明のコンピュータ援助システムは、所望により、平行処理を使用することもでき、ここで、2以上のタスクは同時に取り扱われる。
1つのタスクにおいて、対象からの入力データはメモリに読み込まれる。もう1つにおいて、可能な限り入力データに密接に対応する動物誌学的および/または機能的遺伝子プロフィールデータに対する第一のデータセットにつきサーチを行う。当該分野で公知のサーチおよび統計学的技術を用いて、1から複数の「ヒット」を確立することができ、これは、対象の遺伝子型および生理学的状態に対する最良適合を一括的に提供する。機能的遺伝子プロフィールが対象についての入力データの一部として供される場合、アルゴリズムは、再度、正常な状態からのいずれかの逸脱を同定する。さらなるタスクにおいて、対象について前記で確立された機能的遺伝子プロフィールに関する試験データに対する第二のデータセットにつきサーチを行う。例えば、対象の機能的遺伝子プロフィールに対して最良適合を提供するための当該分野で公知のサーチおよび統計学的技術を用い、そのような機能的遺伝子プロフィールを正常な状態に維持し、またはそのような機能的遺伝子プロフィールを正常外状態からより大きな正常性にシフトさせるのに有効な生物活性規定食成分または生物活性規定食成分の組合せを示す試験データを検索する。もう1つのタスクにおいて、有効量の前記で同定された1以上の生物活性規定食成分を配合する栄養配合を計算する。栄養配合は、同定された生物活性規定食成分と共に、(入力した動物誌学的データから容易に確立することができる)基礎エネルギー、蛋白質および繊維の要件を取り込んだ完全な規定食の形態で計算することができる。別法として、栄養配合は、基礎エネルギー、蛋白質および繊維要件を排除した規定食サプリメントの形態で計算することができる。
所望により、栄養配合は、コンピュータ・ビデオ・スクリーン、プリンター、音声合成器等のようなユーザーインターフェースを介して出力することもできる。栄養配合を表すコードは、ユーザー可読またはコンピュータ可読媒体、例えば、印刷されたバーコード、印刷された数字コード、カードのデータストリップ、メモリデバイス、ディスク、チップ等にダウンロードすることができる。1つの態様において、そのようなコードは、動物、特に伴侶動物における移植に適合したチップにダウンロードされる。
栄養配合がさらに処理されて、例えば、食品組成物を得る態様において、栄養配合それ自体の出力は全く要求されなくてよい。
ある態様では、食品組成物は、以下に記載されるように、第一のアルゴリズムを第二の(配合)アルゴリズムと合体させことによって直接的に配合される。そのような態様によると、中間ステップとしての栄養配合の計算は行っても、行わなくてもよい。
栄養配合が出力される場合、生物活性規定食成分および他の成分をいずれかの適切な形態で表すことができる。例えば、成分は、(例えば、通常は乾燥物に基づいて%またはmg/gで表した)食品組成物中のそれらの含有量換算で、(例えば、g/日で表した)日量または許容量の換算で、所望により、(例えば、mg/kg/日で表した)生きた体重ベースに基づいて、表すことができる。
栄養配合を設計するための実例となる本発明の方法によれば、鍵となるステップは、例えば、直前に記載された、栄養配合を得るための入力データの処理である。3つのサブシステムが処理ステップに供される。
第一のサブシステムにおいては、ウエルネスおよび病気の種々の状態の動物、すなわち、健康なネコ科動物および軽度のまたは重度の甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物が同定される。前記で示唆されたように、動物のこの組は可能な限り大きく、可能な限り広い範囲の病気および生理学的障害の状態、ならびに広い範囲の遺伝子型を含むのがしばしば望ましい。動物誌学的データの組は各動物について収集される。各動物は、1から複数の組織および/または生体液試料の入手源である。例えば、試料を提供した動物についての機能的遺伝子プロフィールを確立するための確立されたマイクロアレイ技術を用い、本明細書中に開示されたネコ科動物遺伝子、すなわち、ネコ科動物NIS遺伝子に関して、試料が収集された時点における動物の遺伝子型および生理学的状態を反映させて、各試料を、(遺伝子発現、プロテオミクスおよびメタボロミクス分析の1以上を含めた)機能的遺伝子分析に付す。機能的遺伝子プロフィールを規定するデータは、動物に関連する動物誌学的データと関連して、本明細書中に規定された第一のデータセットの一部となる。
第二のサブシステムにおいて、生物活性規定食成分を、前記した1以上の動物モデルにおいて試験する。試験された生物活性規定食成分がより多いと良好であり;試験された各生物活性規定食成分の量が多いと、より良好である。試験は、生物活性規定食成分の組合せならびに個々の生物活性規定食成分を含むことができる。全てのこの試験から、動物モデルの機能的遺伝子発現に対する生物活性規定食成分の効果を確立することができる。試験結果を進めて、本明細書中で規定された第二のデータセットを構成する。
第一および第二のデータセットは、典型的には、第一のアルゴリズムが入力データを処理するので、該第一のアルゴリズムによる情報のサーチおよび検索に適合された1以上の関係データベースに組織化される。
第三のサブシステムにおいて、入力データが動物対象または亜集団について入力される。先に示されたように、入力データは、典型的には、動物誌学的データを含み、機能的遺伝子プロフィールデータを含んでいても、含んでいなくてもよい。栄養配合を生じさせるための入力データの処理は、第一および第二のデータセットにアクセスするための処理アルゴリズムを必要とする。得られた栄養配合は、システムに格納されたデータが、対象動物、または亜集団の1以上の動物のウエルネスの促進を示すか、または示唆し、例えば、甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物の治療で有用であろう。「ウエルネスの促進」の幾つかの側面を本明細書中においてより詳しく記載する。所望により、動物誌学的および機能的遺伝子プロフィールデータを共に含む入力データを第一のデータセットに加え、これは、当該方法の将来の反復においてアクセス可能とできる。
1つの態様において、そのような入力データは、それらが関する特定の動物についての識別子またはコードに関連付けられる。もし同一の動物が当該方法の引き続いての反復の対象であれば、データ処理アルゴリズムは、その動物についての以前の機能的遺伝子プロフィールデータを検索するようにプログラムすることができる。このようにして、動物の機能的遺伝子プロフィールの傾向および変化を追跡することができる。利点の中でも、そのような追跡は、正常な機能的遺伝子プロフィールを維持するにおいて、より大きな正常性に向けて正常外機能的遺伝子プロフィールをシフトさせるにおいて、および/または本明細書中により十分に記載されるウエルネスの促進のいずれかの側面において、栄養配合の有効性の周期的モニタリングを可能とすることができる。
特定の動物のための方法の反復使用は、該動物の寿命の全部または実質的部分を通じてモニターされる栄養計画の基礎を形成することができる。例えば、甲状腺機能亢進症の進行を示すものだが、動物のウエルネス状態が低下し、またはその機能的遺伝子プロフィールが正常外状態に移動する場合は常に、栄養配合を調製することによって修正動作を取ることができる。
食品組成物の調製:本発明の1つの態様の最終生成物は、前記したように導かれた栄養配合である。例えば、獣医または栄養士は、本明細書中に記載された方法によって対象動物のための栄養配合を作成することができる。栄養配合は、病気または生理学的障害の状態に対する全面的な解決を提供するように設計することができるか、あるいは、それは、後に記載されるような医薬(例えば、薬物の投与または他の投薬)、または外科的介入と連動して用いるのに適合させることができる。
もう1つの態様において、栄養配合は、食品組成物を調製する基礎として用いられ、これはこの態様の最終生成物となる。第二の、または配合するアルゴリズムを用いて、栄養配合から食品組成物を導き出すことができる。先に述べたように、そのようなアルゴリズムは第一のアルゴリズムと統合させて、入力データを処理することによって直接的に食品組成物を得ることができる。食品組成物を得るにおける中間段階としての栄養配合のここでの開示は、本発明を、そのような段階が確認可能な場合の方法およびシステムに制限するものではない。
栄養配合に基づいて食品組成物を配合するためのアルゴリズムは当該分野でよく知られている。そのようなアルゴリズムは、種々の食品成分の分析を有するデータセットにアクセスし、そのデータセットを利用して、所望の栄養配合を有する食品組成物におけるそのような成分の量を計算する。
所望により、第二のアルゴリズムが引き出すデータセットは、さらに、種々の食品成分についてのコストデータを含み、第二のアルゴリズムは、成分の選択における基準としてのコストを含めるためのルーチンを取り込む。これは、食品組成物が、低下したコストで、例えば、所望の栄養配合を提供するに合致する最低価格で調製されるのを可能とする。
所望であれば、他の基準を形成することができる。例えば、成分は「有機的」またはその他として同定することができ、その結果、もし「有機的」食品製品が望まれるのであれば、「有機的」成分のみが選択される。
1つの態様において、食品組成物は、一定範囲の予め存在する選択肢、例えば、現存のペットフード製品ラインから選択して、本発明の実施によって導き出された栄養配合に最良にフィットまたはマッチさせることができる。例えば、計算された食品組成物または栄養配合を入手可能な製品のそれと比較し、その組成物または配合に最も密接にマッチするようになる製品を選択するアルゴリズムを用いることができる。
もう1つの態様において、前記したように導き出された組成物に従ってペットフードが製造される。そのようなペットフードは、従って、入力データを提供する個々の動物、または入力データを提供する動物によって表された動物亜集団にカスタマイズされる。そのような製造はオフラインとすることができ、すなわち、コンピュータ援助システムによって制御されない。別法として、そのような製造は、部分的に、または全体が、栄養配合を生じさせ、前記したような食品に対する組成を計算するコンピュータ援助システムの延長の制御下とすることができるか、または該延長によって御することができる。
かくして製造された製品は完全な食品であるか、または基礎食品への添加のための、または基礎食品との混合するための、完全な食品を形成するのに適合したサプリメントであり得る。製品は液体、半固体または固体とすることができ;もし固体であれば、それは湿ったもの(例えば、レトルト可能な湿ったペットフード)、半湿潤または乾燥(例えば、キブル)とすることができる。サプリメントは、例えば、基礎食品に伴うグレービーとして、またはベースのキブルのためのコーティングとして用いられるように設計することができる。
規定された組成を有する食品製品を製造するための適切なコンピュータ制御装置は当該分野で知られている。
所望により、本発明の方法に従って一旦調製された食品は適切な容器中に包装される。例えば、湿潤食品は缶、ジャーまたは密封されたパウチ中に包装することができ;乾燥食品は袋、箱、または箱中の袋中に包装することができる。この工程は、もし望めば、コンピュータ援助のシステムの制御下に置くこともできる。
本発明のコンピュータ援助システムをさらに活用して、政府の取締によって、および慣例的商業プラクティスによって要求されるいずれかのまたは全ての情報を有する、食品製品についてのラベルまたは添付文書を印刷することができる。例えば、ラベルまたは添付文書は、成分のリストおよび/または保証された分析を含むことができる。
包装およびラベリングを含めた食品製造は、工場のような慣用的な現場で行うことができる。別法として、例えば、ペットフード店のような配給業者または小売業者の店内における販売の時点に、食品の製造が、最終使用者のより近くで行われるよう手配するのは便利であり得る。1つの態様において、食品組成物は配給現場で調製され、電話による、またはインターネットを通じてアクセスされたウェブサイトを介するなど、最終使用者によってなされた注文に応じて、最終使用者に配達される。
食品組成物は、1つの態様において、第一のアルゴリズムによって導き出された栄養配合を記載する獣医または栄養士からの配合(prescription)が受け取られると配合業者によって調製される。
もう1つの態様において、売り場専用端末で最終使用者は、例えば、カードを通すことによって、またはそのようなコードを含むチップをスキャンすることによって、特定の動物について予め選択された栄養配合を表すコードを入力する。コンピュータ援助混合装置、例えば、売り場に配置した混合および販売装置は、次いで、かく暗号化された栄養配合に基づいて食品組成物を調製し、それを最終使用者に配達する。
本発明のいずれかの態様の方法によって調製された食品組成物は、それ自体、本発明のさらなる態様である。
1つの態様において、本発明の方法は、亜集団の1以上の個々の動物について間隔を置いて反復し、栄養配合は、必要に応じて、経時的な生理学的状態または機能的遺伝子プロフィールの変化に対して調整される。そのような変化は、当該方法の従前の反復によって調製された食品組成物の栄養配合によって少なくとも一部は実現することができる。反復方法は、例えば、ウエルネスの問題を改善から問題の再発の防止に移すための栄養補給計画を提供することができる。
データバンク:本明細書中において、用語「データバンク」とは、1から複数のデータベースにおいて構成することができる1から複数のデータセットを含むデータのコレクションの物理的具体例をいう。データバンクは、かくして、そのようなデータがその中に、またはその上に格納された媒体を含む。データバンクは1を超えるそのような媒体を含むことができ;しかしながら、そのような場合、媒体は機能的にリンクされている。ここに有用な媒体は、印刷されたスプレッドシートの場合におけるように、使用者可読であり得るが、典型的には、特に、大きな容量の現在考えられるデータを考慮すると、そのような媒体はコンピュータ可読である。
本発明のデータバンクは、コンピュータに存在する、またはコンピュータに電子的にリンクされた1から複数の媒体を含むことができ、該媒体は動物の種またはモデルの機能的なゲノムプロフィールを、(a)機能的ゲノムプロフィールがそれから決定される1以上の組織および/または生体液試料を提供する動物の遺伝子型および/または生理学的条件;および(b)動物の種またはモデルの1以上の生物活性規定食成分への暴露のうちの1つに関係付けるデータをその中にまたはその上に格納している。データは、1から複数のデータベースとして構成される。コンピュータを介して機能的ゲノムプロフィールおよび/または生物活性規定食成分に関する質問が提出されると、該質問に適切に応答した情報が1以上のデータベースから検索可能である。
1つの態様によると、そのような質問は、動物対象の遺伝子型および/または生理学的状態についての入力データに関連する機能的ゲノムプロフィールデータの出力を要求する。もう1つの態様によると、そのような質問は、動物対象の機能的ゲノムプロフィールについての入力データに関連する生物活性規定食成分の出力を要求する。そのような質問に適切に応答して検索可能な情報は、動物対象に対する栄養配合として表すことができる。
本発明の典型的なデータバンクにおいて、データは、機能的ゲノムプロフィールを、それから該機能的ゲノムプロフィールが決定される1以上の組織および/または生体液試料を提供する動物の遺伝子型および/または生理学的状態に関連付ける第一のデータセット;および機能的ゲノムプロフィールを、動物モデルの1以上の生物活性規定食成分への暴露に関連付ける第二のデータセットを含む。この態様によると、情報は、対象の遺伝子型および/または生理学的状態についての入力データに適切な動物対象についての栄養配合の出力を要求する質問に適切に応答して検索可能である。
そのようなデータバンク中のデータは、所望により、さらに、食品組成物についての材料中の生物活性規定食成分の含有量を含む第三のデータセットを含んでよい。この態様によると、情報は対象の遺伝子型および/または生理学的状態についての入力データに適した動物対象についての食品組成物の出力を要求する質問に適切に応答して検索可能である。
関連態様によると、第三のデータセットは、さらに、材料のコストを含み、情報は、対象の遺伝子型および/または生理学的状態についての入力データに適切な動物対象についてのコストが最適化された食品組成物の出力を要求する質問に適切に応答して検索可能である。
さらなる態様のデータバンクにおいて、情報は、動物対象の機能的ゲノムプロフィールについての入力データを正常な機能的ゲノムプロフィールに関連付ける出力を要求する質問に適切に応答して検索可能である。
さらなる態様のデータバンクにおいて、情報は(a)正常な機能的ゲノムプロフィールを維持し、または(b)正常外機能的ゲノムプロフィールをより正常な状態に修飾するのに有効な動物対象についての栄養配合の出力を要求する質問に適切に応答して検索可能である。
本発明のさらなる態様は以下にリストされたものである。1つのそのような態様は、動物対象、好ましくは、伴侶動物対象についての食品組成物を選択する方法である。該方法は、(a)正常および正常外機能的ゲノムデータが取り込まれたデータベースにアクセスし;(b)該データを参照して、正常なプロフィールに対する対象の機能的遺伝子プロフィールを評価し;(c)少なくとも1つの生物活性規定食成分に暴露された動物モデルにおける機能的遺伝子プロフィールに対する試験結果が取り込まれたデータベースから、機能的遺伝子プロフィールをより正常な状態にシフトさせる傾向がある1以上の生物活性規定食成分を同定し;次いで、(d)該1以上の生物活性規定食成分を含む食品組成物を選択することを含む。
本発明の1つの実施形態において、食品組成物は、食品材料および生物活性規定食成分のコストについてのデータが取り込まれたデータベースを参照して選択される。もう1つの実施形態において、食品組成物は機能的遺伝子プロフィールをより正常な状態にシフトさせるのに有効であって、目標のコストにおいて、または目標のコスト未満で配合される。もう1つの実施形態において、データベースは1以上の媒体に格納される。もう1つの実施形態において、1以上の媒体にアクセスすることができるコンピュータを用いて、機能的ゲノムデータを評価することができる。さらなる実施形態において、該方法は、さらに、該組成物を動物対象に与えて、該対象において疾患状態の発生を予防し、対象の健康を増進し、対象の機能的遺伝子プロフィールを正常外から正常な状態にシフトさせ、または対象の機能的遺伝子プロフィールの変化をもたらす。もう1つの実施形態において、正常および正常外機能的ゲノムデータは、ウエルネスおよび病気の状態にある動物の集団の組織および/または生体液の分析から導かれる。そのような集団は、甲状腺機能亢進症の重症度を含めた表現型パラメータによって少なくとも部分的には規定することができる。
もう1つの態様は、動物対象用の食品組成物を配合する方法である。該方法は、(a)1以上の組織および/または生体液試料から決定されたいずれかのネコ科動物NIS遺伝子についての対象の機能的遺伝子プロフィールを正常な状態に関連付けるデータを含有する第一のデータセットにアクセスし;(b)1以上のモデル試験システムにおける機能的遺伝子プロフィールに対する個々の生物活性規定食成分および/またはそれらの組合せの効果についての情報を含む第二のデータセットにアクセスし;次いで、(c)正常な機能的遺伝子プロフィールからの対象の機能的遺伝子プロフィールの置き換えを逆行または減衰させるために食品組成物として用いる場合に有効な、生物活性規定食成分またはその組合せを含む配合を計算することを含む。
1つの態様において、該配合は、対象の機能的遺伝子プロフィールの正常な機能的遺伝子プロフィールへの移行を促進するのに有効である。もう1つの態様において、該方法は、さらに、対象の表現型に関する情報を含むデータセットにアクセスすることを含む。そのような情報は、例えば、年齢、毛皮タイプ、サイズおよび体重よりなる群から選択される。さらなる実施形態において、該方法は、さらに、配合における各生物活性規定食成分の活性な形態、前駆体または代謝産物の入手源およびコストについての情報を含むデータセットにアクセスすることを含む。もう1つの実施形態において、そのような方法によって計算された配合はコスト的に有効である。もう1つの実施形態において、正常な機能的遺伝子プロフィールは、動物の集団からの組織および/または生体液の分析から確立される。そのような集団は、再度、少なくとも部分的には、遺伝子型パラメータによって、少なくとも部分的には、表現型パラメータによって規定することができる。さらなる実施形態において、データセットの少なくとも1つは1以上の媒体に格納される。もう1つの実施形態において、1以上の媒体にアクセスすることができるコンピュータを用いて、配合を計算する。
甲状腺機能亢進症ネコ科動物のための動物食品組成物の設計
1つの態様において、本開示は、動物用食品組成物を設計する方法を記載する。本態様の1つの実施形態は、伴侶動物の標的の病気または疾患の選択、および限定されるものではないが、ネコ科動物NIS遺伝子を含めた、その病気または疾患に関与する、またはその基礎をなす蛋白質およびポリペプチドの同定を含む。これに続いて、それらの蛋白質およびポリペプチドの1以上の発現または活性の増加または減少が、標的の病気または疾患を寛解し、変調し、または排除することが予測されるか否かの決定を行う。本明細書中に記載されたペットフード組成物の成分(多量栄養素)をスクリーニングすることにより、例えば、ネコ科動物NIS遺伝子の発現または活性を効果的に減少させることによって、標的の病気または疾患の治療のために伴侶動物に与えることができる生物活性規定食成分を同定することが可能となった。
従って、1つの態様において、本開示は、動物において病気または疾患を治療するのに適した食品組成物を設計する方法を提供し、その方法は:(a)標的の病気または疾患を同定し、(b)その病気の基礎をなす病因、例えば、ネコ科動物NIS遺伝子に関与するポリペプチドを同定し、(c)該同定されたポリペプチドの活性または発現の増加または減少が標的の病気または疾患を寛解するか否かを判断し、(d)少なくとも1つの多変数分析を行って、標的の病気または疾患を寛解するように、該同定されたポリペプチドの活性または発現を変調することができる生物活性規定食成分を同定し、次いで、(e)該生物活性規定食成分を含む食品組成物を配合することを含む。この関係では、例えば、甲状腺機能亢進症を、ネコ科動物NIS遺伝子の発現のレベルの実質的増加に関連付けることができる。
本開示は、甲状腺によるヨウ素取込みを低下させ、かつ甲状腺ホルモンの合成を阻害する規定食成分の同定のための方法および試薬を提供する。本明細書中に開示される該方法は、試験物質の存在および不存在下で遺伝子発現プロフィールデータを開発するための、ネコ科動物ナトリウム/ヨウ素共輸送体蛋白質(NIS蛋白質)の一部をコードする単離された遺伝子断片の使用を含む。それらの方法を用い、その疾患を治療するために甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物の規定食に含めることができる物質を同定するのが可能となった。
本開示は、甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科伴侶動物への投与に適したペットフード組成物を設計する方法も提供し、該方法は:(a)動物からの生体液または組織試料の機能的遺伝子プロフィールを、動物の生理学的状態および、所望により、遺伝子型に関連付ける第一のデータセットを含む少なくとも1つの第一のデータベースにアクセスし、ここに、該機能的遺伝子プロフィールはネコ科動物NIS遺伝子のそれであり、(b)工程(a)の機能的遺伝子プロフィールに対する生物活性規定食成分の効果に関する第二のデータセットを含む少なくとも1つの第二のデータベースにアクセスし;(c)該第一および第二のデータセットを利用する第一のアルゴリズムを用い、亜集団、例えば、甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物の生理学的状態および、所望により、遺伝子型を規定する入力データを処理して、その動物亜集団のための食品組成物を選択および調製するのに有用な栄養配合を導き出し、次いで、(d)該栄養配合に基づいて食品組成物を調製することを含み、ここで、該食品組成物は甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科伴侶動物への投与に適している。
本発明は、ネコ科動物において甲状腺機能亢進症を診断するための組成物および方法、ならびにネコ科動物において甲状腺機能亢進症の治療に有用な物質を同定し、それらの物質を含有する食品組成物を配合する方法にも関する。
本態様のある実施形態において、第一のデータセットは、甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科伴侶動物を含む、一定範囲の遺伝子型および生理学的条件を表す多数の動物の各々から収集した試料に由来する。1つの実施態様において、個々の動物からの該試料の各々を、試料が収集された時点における個々の動物の遺伝子型および生理学的状態の規定に関連する動物誌学的データを含む起源記録に関連付けられる。本態様のもう1つの実施形態において、動物誌学的データは、品種、親の品種、血統、性別、毛皮タイプ、および明白な遺伝的疾患および障害よりなる群から選択される、遺伝子型に関する1以上のデータの項目を含む。本態様のもう1つの実施形態において、動物誌学的データは、年齢、体重、獣医学的病歴、繁殖歴、現在のウエルネスまたは病気の状態、食欲、身体的な活動レベル、精神的な鋭敏さ、行動異常および気質、特に、甲状腺機能亢進症の罹患の存在および程度よりなる群から選択される、生理学的状態に関する1以上のデータ項目を含む。
この方法の特別な実施形態において、第一のデータセットは、DNA、RNA、蛋白質、代謝産物およびバイオマーカーよりなる群から選択される1以上の成分に関する試料の分析に関連するデータを含み、他方、第二のデータセットは、動物モデルを、異なるレベルの1以上の生物活性規定食成分に暴露することを含む管理実験に由来する。
この方法のもう1つの特別な実施形態において、入力データは、甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科伴侶動物の遺伝子型および生理学的状態の規定に関する動物誌学的データを含む。本方法のさらにもう1つの実施形態において、入力データは、甲状腺機能亢進症に罹っていないネコ科伴侶動物から得られた生体液または組織試料からの分析データを含む。この方法の他の具体的な実施形態において、入力データは、軽度の甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科伴侶動物から、ならびに重度の甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科伴侶動物から得られた生体液または組織試料からの分析データを含む。
本開示は、甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科伴侶動物への投与で有用な、その実例を以下に記載する、ペットフード組成物を設計するための前記方法によって調製された食品組成物にも向けられる。
従って、本明細書中において、動物が罹っている病気または疾患の効果を改善するにおいて有用な生物活性規定食成分を同定することを含む、病気または疾患に罹った動物のための食品組成物を設計する方法が提供される。特に、この態様の実例となる実施形態において、該病気または疾患は甲状腺機能亢進症であって、罹患した動物はネコ科伴侶動物である。
1つの態様において、本開示は、伴侶動物において甲状腺機能亢進症を治療する方法を提供する。1つの実施形態において、本開示は、ネコ科伴侶動物において甲状腺機能亢進症を治療する方法を提供する。
もう1つの態様において、本開示は、伴侶動物において甲状腺機能亢進症を治療する方法で有用な組成物を提供する。1つの実施形態において、本開示は、ネコ科伴侶動物において甲状腺機能亢進症を治療する方法において有用な組成物を提供する。
これらの態様の特別な実施形態において、治療を必要とする甲状腺機能亢進症伴侶動物に、限定されるものではないが、本明細書中に記載されたネコ科動物NIS遺伝子の活性のような、チロキシンおよびトリヨードチロキシンのいずれかまたは双方の生合成、輸送または活性に必要な少なくとも1つのポリペプチドの発現または活性を発現するのに十分な、有効量の生物活性規定食成分を含むペットフード組成物を与える。
ある態様において、生物活性規定食成分によって阻害されるペプチドは、甲状腺ペルオキシダーゼ、ナトリウム/ヨウ化物共輸送体(NIS)、甲状腺オキシダーゼ、甲状腺内I型5’−脱ヨウ素酵素、甲状腺刺激ホルモン受容体、ペンドリン、モノカルボキシレートトランスポーター8、およびそれらの組合せよりなる群から選択される。
また、動物において病気または疾患を治療するのに適した食品組成物を設計する方法が提供される。
プローブ
本発明の実施で有用であって、ネコ科動物試料中のネコ科動物バイオマーカーの同定で利用されるプローブは、配列番号:1の10〜50、15〜40、20〜30の連続ヌクレオチド、またはその相補体を含む。特別な態様において、プローブは、配列番号:1の約25ヌクレオチドの連続ヌクレオチド、またはその相補体を含む。プローブの配列は、本明細書中においてより十分に記載される、Affymetrix Feline GeneChip(登録商標)として確認される、Affymetrixによって製造された専売ネコ科動物遺伝子チップで用いられるプローブ識別番号に対応する。HP06947は、配列番号:1に対応し、これは、ネコ科動物NIS遺伝子mRNA配列にハイブリダイズするのに有用である。
バイオマーカー
本発明の実施で有用なバイオマーカーは、以下に、および本明細書に添付された配列表においてより十分に記載されるように、配列番号:1のネコ科動物NIS遺伝子断片および配列番号:2のそのコードされたペプチドである。
本発明のある態様において、ネコ科動物は、当該分野で認められた臨床測定によって規定された、正常な甲状腺機能を有することができ、本発明の方法を用いて、そのようなネコ科動物において、甲状腺機能亢進症疾患に至る、正常な状態から異常な状態への変化を予測し、検出し、および診断することができる。
もう1つの態様において、本発明の方法は、遺伝子発現の変化、例えば、NIS遺伝子の発現のレベルの変化を検出するアレイを用いることによって実施することができる。1つの方法において、そのようなアレイはDNAマイクロアレイである。活性または発現のレベルは、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドまたは蛋白質であってよいその遺伝子の発現産物を測定することによって決定することができる。
もう1つの態様において、本発明の方法は、ナトリウム/ヨウ化物トランスポーター(NIS)、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)、ヨウ化物トランスポーター(IT;ペンドリン)、甲状腺オキシダーゼ(ThOX)、T4チロキシン脱ヨウ素酵素(例えば、甲状腺内I型5’−脱ヨウ素酵素)、モノカルボキシレートトランスポーター(例えば、モノカルボキシレートトランスポーター−8)、および甲状腺ホルモン受容体アクチベーター分子よりなる群から選択される、1以上の遺伝子、またはそれらの発現産物の、遺伝子発現の変化、または活性のレベルを検出するアレイを用いることによって実施することができる。この方法の1つの実施形態において、そのようなアレイはDNAマイクロアレイである。1以上の遺伝子の活性または発現のレベルは、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドまたは蛋白質であってよいそのような遺伝子の発現産物を測定することによって決定することができる。
1つの実施形態において、本発明は、組織試料または体液検体を、ネコ科動物の1以上の遺伝子、またはナトリウム/ヨウ化物トランスポーター(NIS)、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)、ヨウ化物トランスポーター(IT;ペンドリン)、甲状腺オキシダーゼ(ThOX)、T4チロキシン脱ヨウ素酵素(例えば、甲状腺内I型5’−脱ヨウ素酵素)、モノカルボキシレートトランスポーター(例えば、モノカルボキシレートトランスポーター−8)、および甲状腺ホルモン受容体アクチベーター分子よりなる群から選択されるそのような1以上の遺伝子の発現産物を検出する剤と接触させることを含む。該剤は、固相、マイクロタイターウェル、チューブ、ディップスティックまたは他の慣用的な手段上への固定化のような慣用的なアッセイ手段と連動して用いられる抗体または核酸プローブとすることができる。
もう1つの実施形態において、本発明は、組織試料または体液検体を、ネコ科動物の1以上の遺伝子、またはナトリウム/ヨウ化物トランスポーター(NIS)、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)、ヨウ化物トランスポーター(IT;ペンドリン)、甲状腺オキシダーゼ(ThOX)、T4チロキシン脱ヨウ素酵素(例えば、甲状腺内I型5’−脱ヨウ素酵素)、モノカルボキシレートトランスポーター(例えば、モノカルボキシレートトランスポーター−8)、および甲状腺ホルモン受容体アクチベーター分子よりなる群から選択されるそのような1以上の遺伝子の発現産物を検出する剤と接触させることを含む。該剤は、固相、マイクロタイターウェル、チューブ、ディップスティックまたは他の慣用的な手段上への固定化のような慣用的なアッセイ手段と連動させて用いられる抗体または核酸プローブとすることができる。
本発明の方法のもう1つの態様は、慣用的なアッセイ手段の、単独での、またはポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドを使用する遺伝子発現アレイディスプレイと連動させての、ネコ科動物において遺伝子発現を決定するための使用を含み、そのような慣用的なアレイ手段は、ELISA、RIA、イムノブロットアッセイ、イン・サイチュハイブリダイゼーション、ノーザンブロット分析、ウェスタンブロット分析、およびLuminex X−Map(登録商標)分析のうちの1以上を含む。
さらなる実施形態において、本発明は、本発明のバイオマーカーをコードする核酸、例えば、配列番号:1、またはその断片に特異的にハイブリダイズする1以上の核酸プローブを含む組成物に関する。この態様の特別な実施形態において、核酸プローブは、配列番号:1のコード配列(またはその相補体)に特異的にハイブリダイズする、すなわち、配列番号:2のそれによって含まれるペプチド配列をコードする。この態様のもう1つの実施形態において、開示は、NIS蛋白質またはその一部をコードする、核酸またはその断片に特異的にハイブリダイズするそのような核酸プローブの1以上を含む組成物を提供する。
さらなる実施形態において、本開示は、本発明のバイオマーカーを発現する遺伝子によってコードされたポリペプチドに特異的に結合する抗体を含む組成物を提供する。特に、本開示は、例えば、ヒトまたはそのイヌ科動物ホモログと比較して、ネコ科動物NIS遺伝子に選択的に結合する抗体を含む組成物を提供する。もう1つの実施形態において、本開示は、例えば、そのヒトまたはイヌ科動物ホモログと比較して、配列番号:2のペプチド配列に選択的に結合する抗体を含む組成物を提供する。
さらに、本明細書中においては、本発明の方法は、甲状腺機能亢進症の物理的および形態学的特徴を検出することができる伝統的な診断技術と組み合わせて用いることができると考えられる。
該開示のさらなる実施形態は、ネコ科動物において甲状腺機能亢進症を診断し、および/または予後する方法であり、ここで、該方法は:動物から少なくとも1つの組織試料または体液検体を入手し;該動物から得られた該少なくとも1つの試料または検体において、1以上のバイオマーカーの量、例えば、NIS遺伝子のそれを決定する工程を含み、ここで、該バイオマーカーはポリペプチド、蛋白質、RNA、DNA、ポリヌクレオチドまたはその代謝産物である。
本発明の他のおよびさらなる目的、特徴、および利点は当業者に容易に明らかとなるであろう。
本発明の実施は、特記しない限り、当該分野の技量内にある、有機化学、ポリマー技術、(組み換え技術を含めた)分子生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の慣用的な技術および記載を使用することができる。そのような慣用的な技術は、ポリマーアレイ合成、ハイブリダイゼーション、結紮、および標識を用いてのハイブリダイゼーションの検出を含む。適切な技術の具体的な説明は、本明細書中の実施例を参照して手に入れることができる。しかしながら、他の同等な慣用的手法もまた勿論用いることができる。
本発明では、固体基板に付着されたポリマーについての多くの使用も考えられる。これらの使用は、遺伝子発現モニタリング、プロファイリング、ライブラリースクリーニング、遺伝子型決定および診断を含む。遺伝子発現モニタリングおよびプロファイリング方法は、米国特許第5,800,992号、第6,013,449号、第6,020,135号、第6,033,860号、第6,040,138号、第6,177,248号、第6,309,822号および第6,344,316号にて示され得る。従って、遺伝子型決定および使用は、米国特許出願第60/319,253号、第10/013,598号、および米国特許第5,856,092号、第6,300,063号、第5,858,659号、第6,284,460号、第6,361,947号、第6,368,799号および第6,333,179号に示されている。他の使用は、米国特許第5,871,928号、第5,902,723号、第6,045,996号、第5,541,061号、および第6,197,506号において具体化されている。
当業者であれば、本発明で具体化された製品および方法は、当該分野で公知の種々の方法を用いて種々の材料で構築された、核酸プローブアレイ、膜ブロット、マイクロウェル、ビーズおよび試料チューブを含む商業的に入手可能な遺伝子発現モニタリングシステムを含めた、種々のシステムに適用することができる。従って、本発明はいずれかの特定の態様に限定されず、本発明の特別な態様の以下の記載は単に例示的な目的である。
遺伝子発現モニタリングシステムは、好ましい態様において、(オリゴヌクレオチドアレイ、cDNAアレイ、スポットされたアレイ等を含めた)核酸プローブアレイ、(ノーザン、サザン、ドット等のようなハイブリダイゼーション分析で用いるような)膜ブロット、あるいはマイクロウェル、試料管、ビーズまたは繊維(または結合した核酸を含むいずれかの固体支持体)を含むことができる。遺伝子発現モニタリングシステムは、溶液中の核酸プローブを含むこともできる。
本発明では、増幅を含む試料調製も考えられる。ゲノム試料は、そのうちのいくつかはPCRを使用することができる種々のメカニズムによって増幅することができる。試料は、アレイ上で増幅することができる。例えば、米国特許第6,300,070号、および米国特許出願第09/513,300号参照。
他の適当な増幅方法は、リガーゼ鎖反応(LCR)(例えば、Wu and Wallace,Genomics 4,560(1989),Landegren et al.,Science 241,1077(1988)およびBarringer et al.,Gene 89:117(1990)),転写増幅(Kwoh et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,1173(1989)およびWO 88/10315)、自立した配列複製(Guatelli et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA,87,1874(1990)およびWO 90/06995)、標的ポリヌクレオチド配列の選択的増幅(米国特許第6,410,276号)、コンセンサス配列起点ポリメラーゼ鎖反応(CP−PCR)(米国特許第4,437,975号)、任意起点ポリメラーゼ鎖反応(AP−PCR)(米国特許第5,413,909号、第5,861,245号)、および核酸ベースの配列増幅(NABSA)を含む。(その各々が引用して援用される、米国特許第5,409,818号、第5,554,517号および第6,063,603号参照)。用いることができる他の増幅方法は、その各々をここに引用して援用する、米国特許第5,242,794号、第5,494,810号、第4,988,617号、第6,344,316号、および米国特許出願第09/854,317号に記載されている。
試料の調製および技術のさらなる方法は、Dong et al.,Genome Research 11,1418(2001)、米国特許第6,361,947号、第6,391,592号、および米国特許出願第09/916,135号、第09/920,491号、第09/910,292号、および第10/013,598号に記載されている。
本発明による遺伝子発現モニタリングシステムを用いて、異なる細胞または組織、同一の細胞または組織の異なる亜集団、同一の細胞または組織の異なる生理学的状態、同一の細胞または組織の異なる発生段階、または同一の組織の異なる細胞集団における発現の比較分析を容易とすることができる。好ましい態様においては、本発明の比例増幅方法は、試験された試料における定量的ならびに定性的差の測定を容易とするのに十分な再現性がある結果(すなわち、誤差または信頼性の程度の統計的に有意な限界内)を提供することができる。
ポリヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイは、当該分野でよく知られている。ハイブリダイゼーションアッセイの手法および条件は、適用に依存して変化し、Maniatis et al. Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第二版 Cold Spring Harbor,N.Y.,1989);Berger and Kimmel Methods in Enzymology,Vol.152,Guide to Molecular Cloning Techniques (Academic Press,Inc.,San Diego,Calif.,1987);Young and Davis,P.N.A.S,80:1194(1983)中に言及されたものを含めた公知の一般的な結合方法に従って選択される。反復され制御されたハイブリダイゼーション反応を行うための方法および装置は、その各々をここに引用して援用する、米国特許第5,871,928号、第5,874,219号、第6,045,996号、第6,386,749号および第6,391,623号に記載されている。ある好ましい態様におけるリガンド間のハイブリダイゼーションのシグナル検出。その各々がやはりここに引用して全ての目的でその全体が援用される、米国特許第5,143,854号、第5,578,832号、第5,631,734号、第5,834,758号、第5,936,324号、第5,981,956号、第6,025,601号、第6,141,096号、第6,185,030号、第6,201,639号、第6,218,803号および第6,225,625号、米国特許出願第60/364,731号、および(WO 99/47964として公開された)PCT出願PCT/US99/06097参照。強度データのシグナル検出および処理のための方法および装置は、やはりその各々がここに引用して全ての目的でその全体が援用される、例えば、米国特許第5,143,854号、第5,547,839号、第5,578,832号、第5,631,734号、第5,800,992号、第5,834,758号、第5,856,092号、第5,902,723号、第5,936,324号、第5,981,956号、第6,025,601号、第6,090,555号、第6,141,096号、第6,185,030号、第6,201,639号、第6,218,803号および第6,225,625号、米国特許出願第60/364,731号、および(WO 99/47964として公開された)PCT出願PCT/US99/06097に開示されている。
動物食品組成物の設計
本明細書中において、動物が罹っている病気または疾患の効果を改善するのに有用な生物活性規定成分を同定することを含む、病気または疾患に罹っている動物用の食品組成物を設計する方法が提供される。この態様の特別な実例となる実施形態おいて、病気または疾患は甲状腺機能亢進症であって、罹った動物はネコ科伴侶動物である。本明細書中に記載され、および実施例に記載される方法は、生物活性規定食成分を同定するための方法および材料を提供する。また、本明細書中においては、生物活性規定食成分を含む実例となるペットフード組成物が記載され、その組成物は、その病気を治療するために甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に投与することができる。
甲状腺機能亢進症ネコ科動物のための治療ペットフード組成物
罹患した動物用の食品組成物の1つの実例となる態様において、甲状腺機能亢進症と診断されたネコ科伴侶動物がT4の基礎レベルと同定される。加えて、各々の甲状腺バイオプシーが採取され、基礎発現レベルが、ナトリウム/ヨウ化物トランスポーター(NIS)、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)、ヨウ化物トランスポーター(IT;ペンドリン)、甲状腺オキシダーゼ(ThOX)、T4チロキシン脱ヨウ素酵素(例えば、甲状腺内I型5’−脱ヨウ素酵素)、モノカルボキシレートトランスポーター(例えば、モノカルボキシレートトランスポーター−8)、および甲状腺ホルモン受容体アクチベーター分子の各々について決定される。一連の食品組成物を配合し、適切な時間の間に動物の各々に与え、甲状腺刺激ホルモン(TSH)レベルの決定のために血液試料を採取する。食品組成物を調製し、主成分分析、すなわち、多変数分析の形態を用いてレビューして、循環T4チロキシンおよびT3トリヨードチロニンレベルの減少を示す、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の増加に相関する食品多量栄養素を同定する。甲状腺刺激ホルモン(TSH)レベルの実質的な増加を呈する処理された動物をバイオプシーに付し、発現レベルを、ナトリウム/ヨウ化物トランスポーター(NIS)、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)、ヨウ化物トランスポーター(IT;ペンドリン)、甲状腺オキシダーゼ(ThOX)、T4チロキシン脱ヨウ素酵素(例えば、甲状腺内I型5’−脱ヨウ素酵素)、モノカルボキシレートトランスポーター(例えば、モノカルボキシレートトランスポーター−8)、および甲状腺ホルモン受容体アクチベーター分子の各々について決定する。TSH、TPO、TSHR、IT/ペンドリン、ThOX、T4チロキシン脱ヨウ素酵素(例えば、甲状腺内I型5’−脱ヨウ素酵素)、モノカルボキシレートトランスポーター(例えば、モノカルボキシレートトランスポーター−8)の1以上の発現の増加に相関したペットフード成分(多量栄養素)を本明細書中においては生物活性規定食成分と称する。
野菜ブレンド、キビ、およびトマト搾りかすの各々は、ナトリウム/ヨウ化物トランスポーター(NIS)の減少した発現に導く生物活性規定食成分を含むものとして同定される。すなわち、この態様のもう1つの実施形態において、前記した生物活性規定食成分を精製し、または分画して、標的分子の活性の変調に対して増大した特異的活性を持つ1以上の分子または副次成分を同定する。さらにもう1つの実施形態において、適切な細胞系を使用するイン・ビトロ組織培養系を用い、全動物試験を補充し、増加させ、または恐らくは置き換えることができる。そのような細胞系またはインジケーターシステムは、例えば、1以上の遺伝子およびそれらのコードされた蛋白質の発現レベルまたは活性の阻害または刺激に際して容易に測定されるシグナルを提供するように遺伝子改変されていてよい。特別な実施形態において、生物活性規定食成分を抽出し、および/または分画して、調製物を供し、これを、遺伝子発現を改変する、例えば、組織培養細胞におけるネコ科動物NIS遺伝子発現を改変するその能力について試験する。
ある態様において、甲状腺機能亢進症伴侶動物に、チロキシンおよびトリヨードチロリンのいずれかまたは双方の生合成、輸送、または活性に必要な第一のポリペプチドの発現または活性を抑制するのに十分な有効量の第一の生物学的に有効な栄養素を含む食品組成物を投与する。この態様のもう1つの実施形態において、食品組成物は、さらに、チロキシンおよびトリヨードチロリンのいずれかまたは双方の生合成、輸送または活性に必要な第二のポリペプチドの発現または活性を抑制するのに十分な有効量の第二の生物学的に有効な栄養素を含む。これらの態様のさらなる実施形態において、食品組成物は、ヨウ化物およびセレン塩のいずれかまたは双方の限定的な量を含む。なおさらなる実施形態において、罹患した伴侶動物に、例えば、メチマゾール、プロピルチオウラシル、カルビマゾール、およびそれらの組合せから選択することができる抗甲状腺剤も投与する。
いくつかの態様において、従って、本発明の食品組成物は、乾燥物ベースで、約0.1〜約1mg/kg未満のヨウ素を含む。いくつかのそのような態様において、食品組成物は、乾燥物ベースで、約0.1〜約0.5mg/kgヨウ素を含む。他のそのような態様において、本発明の食品組成物は、乾燥物ベースで、約0.1〜約0.3mg/kgのヨウ素を含む。なお他のそのような態様において、本発明の食品組成物は、乾燥物ベースで、約0.15〜約0.25mg/kgのヨウ素を含む。また、さらなるそのような態様において、本発明の食品組成物は、乾燥物ベースで、約0.1〜約0.2mg/kgのヨウ素を含む。先に議論したように、ヨウ素はT3およびT4の構成要素である。本明細書中で用いるヨウ素とは、その分子またはイオン形態への言及なくしてヨウ素原子をいい、例えば、ヨウ化物、ヨウ素酸塩、および過ヨウ素酸塩のような1以上の化学的形態で存在するヨウ素を含む。
さらに他の態様において、本発明の食品組成物は、乾燥物ベースで、約0.1〜約1mg/kg未満のセレンを含む。いくつかのそのような態様において、食品組成物は、乾燥物ベースで、約0.1〜約0.8mg/kgのセレンを含む。他のそのような態様において、食品組成物は、乾燥物ベースで、約0.15〜約0.65mg/kgのセレンを含む。なお他のそのような態様において、食品組成物は、乾燥物ベースで、約0.4〜約0.7mg/kgのセレンを含む。さらなるそのような態様において、食品組成物は、乾燥物ベースで、約0.3〜約0.65mg/kgのセレンを含む。前記したように、セレンは、特に、T4のT3への変換を調節する脱ヨウ素酵素の制御を介して正常な甲状腺およびヨウ素代謝を維持するにおいて役割を有する。本明細書中で用いるセレンとは、その分子またはイオン形態への言及なくしてセレン原子をいい、例えば、セレン化物、亜セレン酸塩、およびセレン酸塩のような、1以上の化学的形態で存在するセレンを含む。
なおさらなる態様において、本発明の食品組成物は、乾燥物ベースで、約0.1〜約1mg/kg未満のヨウ素、および乾燥物ベースで、約0.1〜約1mg/kg未満のセレンを含む。いくつかのそのような態様において、食品組成物は、乾燥物ベースで、約0.1〜約0.5mg/kgのヨウ素、および乾燥物ベースで、約0.1〜約0.8mg/kgのセレンを含む。他のそのような態様において、食品組成物は、乾燥物ベースで、約0.1〜約0.3mg/kgのヨウ素、および乾燥物ベースで、約0.15〜約0.65mg/kgのセレンを含む。さらなるそのような態様において、食品組成物は、(1)乾燥物ベースで、約0.1、約0.15、または約0.2〜約0.25、約0.3、または約0.5mg/kgのヨウ素、および(2)乾燥物ベースで、約0.1、約0.15、約0.3、または約0.4〜約0.65、約0.7、または約0.8mg/kgのセレンを含む。
前記したように、動物、特に、甲状腺機能亢進症伴侶動物には、抗甲状腺剤を投与することもできる。先に議論した治療の方法に適した抗甲状腺剤としては、例えば、チオウレイレン、アニリン誘導体、多価フェノール、およびリチウム塩が挙げられる。いくつかの態様において、該方法は、チオウレイレンを含む抗甲状腺剤をネコ科動物に投与することを含む。いくつかの態様において、該方法は、メチマゾールを含む抗甲状腺剤を投与することを含む。いくつかの態様において、該方法は、プロピルチオウラシルを含む抗甲状腺剤をネコ科動物に投与することを含む。いくつかの態様において、該方法は、カルビマゾールを含む抗甲状腺剤を投与することを含む。いくつかの態様において、該方法は、本発明のペットフード組成物をネコ科動物に与えることと組み合わせて治療上有効量の抗甲状腺剤を投与することを含む。いくつかの態様において、ネコ科動物に与えられるペットフード組成物は、ネコ科動物に投与される抗甲状腺剤を含む。いくつかのそのような態様において、該方法は、治療上有効量の抗甲状腺剤を含む本発明の食品組成物をネコ科動物に与えることを含む。抗甲状腺剤は、例えば、無機または有機酸に由来する塩の形態で投与することができる。特定の化合物に依存して、化合物の塩は、塩の物理的特性、例えば、異なる温度および湿度における高められた医薬安定性、または水または油への望ましい可溶性の1以上のため有利であろう。塩は、好ましくは、医薬上許容される塩である。
(単回または分割量で投与される)抗甲状腺剤の好ましい合計日量は、典型的には、約0.001〜約100mg/kg体重、より好ましくは約0.01〜約30mg/kg体重、なおより好ましくは約0.01〜約10mg/kg体重である。投与単位組成物は、日量をなすそのような量およびそれ分の1を含むことができる。多くの場合において、抗甲状腺剤の投与は複数回反復されるであろう。日当たり多数回量は、典型的には、もし望まれるならば、合計日量を増加させるのに用いることができる。好ましい投与計画に影響する因子としては、例えば、ネコ科動物の年齢、体重、および状態;病気の重症度;投与の経路;用いる特定の抗甲状腺剤の活性、効力、薬物動態学、および毒物学的プロフィールのような薬理学的考慮;薬物送達系が利用されるか否か;および抗甲状腺剤が薬物組合せの一部として投与されるか否かが挙げられる。かくして、投与計画は広く変化させることができ、従って、先に議論した好ましい投与計画と異なり得る。
特別な態様において、治療方法は、病気の重症度、および罹患した動物の回復速度に対して適合させることができる。例えば、甲状腺機能亢進症伴侶ネコ科動物の治療に関しては、そのような適合は、本明細書中に開示された生物活性規定食成分の1以上の選択、食品組成物における各々の濃度、食品組成物中のヨウ素およびセレンのレベル、および罹患した動物に抗甲状腺化合物も投与するか否かを考慮することができる。これは、伴侶ネコ科動物における甲状腺機能亢進症の発病に寄与する1以上の基礎となる因子を、各々が、緩和し、変調し、または除去すると予測される介入の多くの点を提供する本発明の方法の使用を介して予測される相乗効果に徴して特に明らかである。
従って、本発明の治療方法は実施するのが便利かつ容易である。いくつかの態様において、本発明の組成物を甲状腺機能亢進症と診断されたネコ科動物に与えるのは十分である。いくつかのそのような態様において、組成物はいずれの抗甲状腺剤も含有せず、ネコ科動物に組成物を与えるのに組み合わせてそのような剤をネコ科動物に投与しない。かくして、そのような方法は、抗甲状腺剤での治療に対するコスト的に有利な代替法を提供する。加えて、そのような方法は、抗甲状腺剤での治療に帰せられる副作用、例えば、腎臓損傷を引き起こさない。最後に、そのような結果はより良好なコンプライアンスをもたらす。なぜならば、例えば、経口または局所抗甲状腺薬物を投与するよりはむしろ、本発明の組成物をネコ科動物に与えるだけでよいからである。先に議論したように、幾つかの態様においては、本発明の治療の方法は、抗甲状腺剤を含む組成物をネコ科動物に与えることを含む。そのような治療の方法は、実施するのがより便宜であってより容易である。なぜならば、それらは、例えば、抗甲状腺剤の経口または局所投与を排除するからである。いくつかの態様においては、本発明の治療の方法は、薬物のみの治療において投与されるであろうよりも少ない抗甲状腺剤の投与を可能とする。なぜならば、本発明の組成物をネコ科動物に与えることと組み合わせて抗甲状腺剤を投与する結果、ネコ科動物に投与される抗甲状腺剤とネコ科動物に与えられる本発明の組成物との間に相乗的な協力関係がもたらされるからである。加えて、当業者であれば、本発明のいずれかの単一の組成物をネコ科動物に与えることができ、または本発明の異なる組成物を、時間間隔を変えてネコ科動物に与えることができるのを知っているであろう。
1つの態様において、本発明の方法は、チロキシンまたはトリヨードチロニンのいずれかまたは双方の生合成、輸送、または活性に必要な少なくとも1つのポリペプチドの発現または活性を抑制するのに十分な有効量の生物活性規定食成分を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含み、その組成物は:
(a)約0.1%〜約20%、約0.25%〜約15%、約0.75%〜約12.5%、約1%〜約10%、約2%〜約8%、約3%〜約7%、約4%〜約6%、または約5%の野菜ブレンド;
(b)約10%〜約50%、約15%〜約45%、約20%〜約40%、または約25%〜約35%の蛋白質;
(c)約10%〜約50%、約15%〜約45%、約20%〜約40%、または約25%〜約35%の脂肪;および
(d)約10%〜約60%、約20%〜約50%、約25%〜約45%、または約30%〜約40%の炭水化物を含む。
特定の態様において、本発明の方法は、約5%の野菜ブレンド、約30%の蛋白質、約27%の脂肪、および約35%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
もう1つの特定の態様において、本発明の方法は、約5%の野菜ブレンド、約35%の蛋白質、約20%の脂肪、および約35%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
さらにもう1つの特定の態様において、本発明の方法は、約5%の野菜ブレンド、約20%の蛋白質、約15%の脂肪、および約57%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
もう1つの態様において、本発明の方法は、チロキシンまたはトリヨードチロニンのいずれかまたは双方の生合成、輸送、または活性に必要な少なくとも1つのポリペプチドの発現または活性を抑制するのに十分な有効量の生物活性規定食成分を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含み、その組成物は:
(a)約0.1%〜約20%、約0.25%〜約15%、約0.75%〜約12.5%、約1%〜約10%、約2%〜約8%、約3%〜約7%、約7%〜約6%、または約5%のトマト搾りかす;
(b)約10%〜約50%、約15%〜約45%、約20%〜約40%、または約25%〜約35%の蛋白質;
(c)約10%〜約50%、約15%〜約45%、約20%〜約40%、または約25%〜約35%の脂肪;および
(d)約10%〜約60%、約20%〜約50%、約25%〜約45%、または約30%〜約40%の炭水化物を含む。
特定の態様において、本発明の方法は、約5%のトマト搾りかす、約30%の蛋白質、約27%の脂肪、および約35%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
もう1つの特定の態様において、本発明の方法は、約5%のトマト搾りかす、約35%の蛋白質、約20%の脂肪、および約35%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
さらにもう1つの特定の態様において、本発明の方法は、約5%のトマト搾りかす、約20%の蛋白質、約15%の脂肪、および約57%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
1つの態様において、本発明の方法は、チロキシンまたはトリヨードチロニンのいずれかまたは双方の生合成、輸送、または活性に必要な少なくとも1つのポリペプチドの発現または活性を抑制するのに十分な有効量の生物活性規定食成分を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含み、その組成物は:
(a)約0.1%〜約20%、約0.25%〜約15%、約0.75%〜約12.5%、約1%〜約10%、約2%〜約8%、約3%〜約7%、約4%〜約6%、または約5%のキビ;
(b)約10%〜約50%、約15%〜約45%、約20%〜約40%、または約25%〜約35%の蛋白質;
(c)約10%〜約50%、約15%〜約45%、約20%〜約40%、または約25%〜約35%の脂肪;および
(d)約10%〜約60%、約20%〜約50%、約25%〜約45%、または約30%〜約40%の炭水化物を含む。
特定の態様において、本発明の方法は、約5%のキビ、約30%の蛋白質、約27%の脂肪、および約35%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
もう1つの特定の態様において、本発明の方法は、約5%のキビ、約35%の蛋白質、約20%の脂肪、および約35%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
さらにもう1つの特定の態様において、本発明の方法は、約5%のキビ、約20%の蛋白質、約15%の脂肪および約57%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
1つの態様において、本発明の方法は、チロキシンまたはトリヨードチロニンのいずれかまたは双方の生合成、輸送、または活性に必要な少なくとも1つのポリペプチドの発現または活性を抑制するのに十分な有効量の生物活性規定食成分を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含み、その組成物は:
(a)約0.1%〜約20%、約0.25%〜約15%、約0.75%〜約12.5%、約1%〜約10%、約2%〜約8%、約3%〜約7%、約4%〜約6%、または約5%の野菜ブレンド、および約0.1%〜約20%、約0.25%〜約15%、約0.75%〜約12.5%、約1%〜約10%、約2%〜約8%、約3%〜約7%、約4%〜約6%、または約5%の大豆ミール;
(b)約10%〜約50%、約15%〜約45%、約20%〜約40%、または約25%〜約35%の蛋白質;
(c)約10%〜約50%、約15%〜約45%、約20%〜約40%、または約25%〜約35%の脂肪;および
(d)約10%〜約60%、約20%〜約50%、約25%〜約45%、また約30%〜約40%の炭水化物を含む。
特定の態様において、本発明の方法は、約5%の野菜ブレンド、約5%の大豆ミール、約30%の蛋白質、約27%の脂肪、および約35%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
もう1つの特定の態様において、本発明の方法は、約5%の野菜ブレンド、約5%の大豆ミール、約35%の蛋白質、約20%の脂肪、および約35%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
さらにもう1つの特定の態様において、本発明の方法は、約5%の野菜ブレンド、約5%の大豆ミール、約20%の蛋白質、約15%の脂肪、および約57%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
もう1つの態様において、本発明の方法は、チロキシンまたはトリヨードチロニンのいずれかまたは双方の生合成、輸送、または活性に必要な少なくとも1つのポリペプチドの発現または活性を抑制するのに十分な有効量の生物活性規定食成分を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含み、その組成物は:
(a)約0.1%〜約20%、約0.25%〜約15%、約0.75%〜約12.5%、約1%〜約10%、約2%〜約8%、約3%〜約7%、約4%〜約6%、または約5%のトマト搾りかす;および約0.1%〜約20%、約0.25%〜約15%、約0.75%〜約12.5%、約1%〜約10%、約2%〜約8%、約3%〜約7%、約4%〜約6%、または約5%の大豆ミール;
(b)約10%〜約50%、約15%〜約45%、約20%〜約40%、または約25%〜約35%の蛋白質;
(c)約10%〜約50%、約15%〜約45%、約20%〜約40%、または約25%〜約35%の脂肪;および
(d)約10%〜約60%、約20%〜約50%、約25%〜約45%、または約30%〜約40%の炭水化物を含む。
特定の態様において、本発明の方法は、約5%のトマト搾りかす、約5%の大豆ミール、約30%の蛋白質、約27%の脂肪、および約35%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
もう1つの特定の態様において、本発明の方法は、約5%のトマト搾りかす、約5%の大豆ミール、約35%の大豆、約20%の脂肪、および約35%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
さらにもう1つの特定の態様において、本発明の方法は、約5%のトマト搾りかす、約5%の大豆ミール、約20%の蛋白質、約15%の脂肪、および約57%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
1つの態様において、本発明の方法は、チロキシンまたはトリヨードチロニンのいずれかまたは双方の生合成、輸送、または活性に必要な少なくとも1つのポリペプチドの発現または活性を抑制するのに十分な有効量の生物活性規定食成分を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含み、その組成物は:
(a)約0.1%〜約20%、約0.25%〜約15%、約0.75%〜約12.5%、約1%〜約10%、約2%〜約8%、約3%〜約7%、約4%〜約6%、または約5%のキビ;および約0.1%〜約20%、約0.25%〜約15%、約0.75%〜約12.5%、約1%〜約10%、約2%〜約8%、約3%〜約7%、約4%〜約6%、または約5%の大豆ミール;
(b)約10%〜約50%、約15%〜約45%、約20%〜約40%、または約25%〜約35%の蛋白質;
(c)約10%〜約50%、約15%〜約45%、約20%〜約40%、または約25%〜約35%の脂肪;および
(d)約10%〜約60%、約20%〜約50%、約25%〜約45%、または約30%〜約40%の炭水化物を含む。
特定の態様において、本発明の方法は、約5%のキビ、約5%の大豆ミール、約30%の蛋白質、約27%の脂肪、および約35%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
もう1つの特定の態様において、本発明の方法は、約5%のキビ、約5%の大豆ミール、約35%の蛋白質、約20%の脂肪、および約35%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
さらにもう1つの特定の態様において、本発明の方法は、約5%のキビ、約5%の大豆ミール、約20%の蛋白質、約15%の脂肪、および約57%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
もう1つの態様において、本発明の方法は、チロキシンまたはトリヨードチロニンのいずれかまたは双方の生合成、輸送、または活性に必要な少なくとも1つのポリペプチドの発現または活性を抑制するのに十分な有効量の生物活性規定食成分を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に供給することを含み、その組成物は:
(a)約0.1%〜約20%、約0.25%〜約15%、約0.75%〜約12.5%、約1%〜約10%、約2%〜約8%、約3%〜約7%、約4%〜約6%、または約5%の植物ブレンド、および約0.1%〜約20%、約0.25%〜約15%、約0.75%〜約12.5%、約1%〜約10%、約2%〜約8%、約3%〜約7%、約4%〜約6%、または約5%のジャガイモ濃縮物;
(b)約10%〜約50%、約15%〜約45%、約20%〜約40%、または約20%〜約35%の蛋白質;
(c)約10%〜約50%、約15%〜約45%、約20%〜約40%、または約25%〜約35%の脂肪;および
(d)約10%〜約60%、約20%〜約50%、約25%〜約45%、または約30%〜約40%の炭水化物を含む。
特定の態様において、本発明の方法は、約5%の野菜ブレンド、約5%のジャガイモ濃縮物、約30%の蛋白質、約27%の脂肪、約35%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
もう1つの特定の態様において、本発明の方法は、約5%の野菜ブレンド、約5%のジャガイモ濃縮物、約35%の蛋白質、約20%の脂肪、および約35%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
さらにもう1つの特定の態様において、本発明の方法は、約5%の野菜ブレンド、約5%のジャガイモ濃縮物、約20%の蛋白質、約15%の脂肪、および約57%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
もう1つの態様において、本発明の方法は、チロキシンまたはトリヨードチロニンのいずれかまたは双方の生合成、輸送、または活性に必要な少なくとも1つのポリペプチドの発現または活性を抑制するのに十分な有効量の生物活性規定食成分を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含み、その組成物は:
(a)約0.1%〜約20%、約0.25%〜約15%、約0.75%〜約12.5%、約1%〜約10%、約2%〜約8%、約3%〜約7%、約4%〜約6%、または約5%のトマト搾りかす;および約0.1%〜約20%、約0.25%〜約15%、約0.75%〜約12.5%、約1%〜約10%、約2%〜約8%、約3%〜約7%、約4%〜約6%、または約5%のジャガイモ濃縮物;
(b)約10%〜約50%、約15%〜約45%、約20%〜約40%、または約25%〜約35%の蛋白質;
(c)約10%〜約50%、約15%〜約45%、約20%〜約40%、または約25%〜約35%の脂肪;および
(d)約10%〜約60%、約20%〜約50%、約25%〜約45%、または約30%〜約40%の炭水化物を含む。
特定の態様において、本発明の方法は、約5%のトマト搾りかす、約5%のジャガイモ濃縮物、約30%の蛋白質、約27%の脂肪、および約35%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
もう1つの特定の実施形態において、本発明の方法は、約5%のトマト搾りかす、約5%のジャガイモ濃縮物、約35%の蛋白質、約20%の脂肪、および約35%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
さらにもう1つの特定の態様において、本発明の方法は、約5%トマト搾りかす、約5%のトマト濃縮物、約20%の蛋白質、約15%の脂肪、および約57%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
1つの態様において、本発明の方法は、チロキシンまたはトリヨードチロニンのいずれかまたは双方の生合成、輸送、または活性に必要な少なくとも1つのポリペプチドの発現または活性を抑制するのに十分な有効量の生物活性規定食成分を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含み、その組成物は:
(a)約0.1%〜約20%、約0.25%〜約15%、約0.75%〜約12.5%、約1%〜約10%、約2%〜約8%、約3%〜約7%、約4%〜約6%、または約5%のキビ;および約0.1%〜約20%、約0.25%〜約15%、約0.75%〜約12.5%、約1%〜約10%、約2%〜約8%、約3%〜約7%、約4%〜約6%、または約5%のジャガイモ濃縮物;
(b)約10%〜約50%、約15%〜約45%、約20%〜約40%、または約25%〜約35%の蛋白質;
(c)約10%〜約50%、約15%〜約45%、約20%〜約40%、または約25%〜約35%の脂肪;および
(d)約10%〜約60%、約20%〜約50%、約25%〜約45%、または約30%〜約40%の炭水化物を含む。
特定の態様において、本発明の方法は、約5%のキビ、約35%のジャガイモ濃縮物、約30%の蛋白質、約27%の脂肪、および約35%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
もう1つの特定の態様において、本発明の方法は、約5%のキビ、約5%のジャガイモ濃縮物、約35%の蛋白質、約20%の脂肪、および約35%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
さらにもう1つの特定の態様において、本発明の方法は、約5%のキビ、約5%のジャガイモ濃縮物、約20%の蛋白質、約15%の脂肪、約57%の炭水化物を含む組成物を甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物に与えることを含む。
前記した野菜ブレンドは、以下の野菜:芽キャベツ、キャベツ、カリフラワー、緑葉カンラン、カブカンラン、ルタバガ、カブ、大根、およびそれらの組合せのいずれかまたは全てから調製された材料を含むことができる。この態様の1つの実施形態において、野菜ブレンドは、さらに、カラシ、モモ、落花生、およびイチゴを含んでよい。
他の態様において、本発明は、伴侶動物において甲状腺機能亢進症を治療する方法で用いるのに適した食品組成物に向けられ、該組成物は、チロキシンおよびトリヨードチロリンのいずれかまたは双方の生合成、輸送、または活性に必要な少なくとも1つのポリペプチドを発現または活性を抑制するのに十分な有効量の生物活性規定食成分を含む。従って、食品組成物は、これまでの方法で有用な前記組成物の各々を含む。
さらに他の態様において、前記したように、本発明の組成物はペットフード組成物である(すなわち、該組成物は1以上の食品組成物を含むことができる)。いくつかのそのような態様において、生殖または維持のためのAAFCOの最小栄養素レベルの要件を満たす。AAFCO機関紙、頁159−162(2005)参照。他のそのような態様において、ペットフード組成物は、生殖または維持のためのAAFCOの最小要件未満を含む(例えば、ペットフード組成物は、AAFCOによって推奨された量未満のヨウ素および/またはセレンを含む)。いくつかの態様において、ペットフード組成物は乾燥食品として配合される。いくつかの態様において、ペットフード組成物は半湿り食品として配合される。いくつかの態様において、ペットフード組成物は、湿り食品として配合される。いくつかの態様において、ペットフード組成物は、サプリメント、特選食品、スナック、または一部または全体を食べることができるおもちゃとして配合および調製される。いくつかの態様において、ペットフード組成物は2以上の食品の混合物を含む。
これらの態様のある実施形態において、当該開示のペットフード組成物は、必須アミノ酸および栄養素を含めた追加の成分を含んでもよい。1つの態様において、本明細書中で用いられる「必須アミノ酸」とは、生物によってデノボ合成することができないアミノ酸をいい、かくして、規定食中に供給しなければならない。必須アミノ酸は、生物の代謝に応じて、種間で変化することは当業者に理解される。例えば、一般に、イヌおよびネコのための必須アミノ酸はフェニルアラニン、ロイシン、メチオニン、リシン、イソロイシン、バリン、スレオニン、トリプトファン、ヒスチジンおよびアルギニンであるのは理解される。他の態様において、本明細書中に開示されるペットフード組成物はアミノ酸リシンも補われている。
もう1つの態様において、本明細書中に開示されたペットフード組成物は、本明細書中で用いられるように、身体によって合成することができない正常な身体の機能に必要な栄養素を指す「必須栄養素」を含んでもよい。必須栄養素のカテゴリーとしては、ビタミン規定食ミネラル、脂肪酸、およびアミノ酸が挙げられる。必須であると見なされる栄養素は、生物の代謝に応じて、種間で変化するのは当業者によって理解される。例えば、イヌおよびネコのための必須の栄養素としては、ビタミンA、D、E、K、B1、B6、B12、リボフラビン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、カルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、塩素、鉄、銅、亜鉛、マンガン、セレンおよびヨウ素が挙げられる。前記したように、本明細書中に開示されたペットフード組成物中のヨウ素およびセレンの量は、AAFCOによって記載された推奨レベルよりも低くてよい。
一般的にB複合ビタミンとみなされるコリンは、半必須栄養素の中に含まれるであろう。加えて、タウリンは、技術的にはアミノ酸ではなくシステインの誘導体であるが、ネコにとっては必須の栄養素である。さらにもう1つの実施形態において、本開示のペットフード組成物は、アミノ酸のリシンおよびメチオニンから合成される第四級アンモニウム化合物であるL−カルニチン(レボカルニチン)としても知られたカルニチンを含んでもよく、これは、脂肪酸のサイトゾルからミトコンドリアへの輸送を担っている。
従って、1つのある態様においては、甲状腺機能亢進症を治療するための開示された方法で有用なペットフード組成物は、開示された量の先に確認された生物活性規定食成分の1以上、ならびに先に確認されたレベルの(例えば、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ素添加塩、亜セレン酸ナトリウムとしての)ヨウ素およびセレンを含有してもよく、さらに:ブタ肝臓、ニワトリ、ブタ副産物、醸造米、コーンスターチ、グルコース、(混合されたトコフェロールおよびクエン酸で保存された)ニワトリ脂肪、クエン酸カリウム、炭酸カルシウム、魚油、硫酸カルシウム、DL−メチオニン、塩化コリン、タウリン、ビタミンEサプリメント、L−システイン、グリシン、一硝酸チアミン、アスコルビン酸、酸化亜鉛、硫酸第一鉄、ナイアシン、ベータカロテン、酸化マンガン、硫酸銅、塩酸ピリドキシン、パントテン酸カルシウム、ビタミンB12サプリメント、リボフラビン、ビオチン、ビタミンD3サプリメント、および葉酸を含んでよい。
もう1つの態様において、甲状腺機能亢進症を治療するための開示された方法で有用なペットフード組成物は、開示された量の前記した生物活性規定食成分の1以上、ならびに先に確認されたレベルの(例えば、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ素添加塩、亜セレン酸ナトリウムとしての)ヨウ素およびセレンを含有してもよく、さらに:ブタ肝臓、ニワトリ、ブタ副産物、醸造米、コーンスターチ、グルコース、(混合されたトコフェロールおよびクエン酸で保存された)ニワトリ脂肪、クエン酸カリウム、炭酸カルシウム、魚油、硫酸カルシウム、DL−メチオニン、塩化コリン、タウリン、ビタミンEサプリメント、L−システイン、グリシン、一硝酸チアミン、アスコルビン酸、酸化亜鉛、硫酸第一鉄、ナイアシン、ベータカロテン、酸化マンガン、硫酸銅、塩酸ピリドキシン、パントテン酸カルシウム、ビタミンB12サプリメント、リボフラビン、ビオチン、ビタミンD3サプリメント、および葉酸を含有してよい。
もう1つのある態様において、甲状腺機能亢進症を治療するための開示された方法で有用なペットフード組成物は、開示された量の前記した生物活性規定食成分の1以上、ならびに前記したレベルの(例えば、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ素添加塩、亜セレン酸ナトリウムとしての)ヨウ素およびセレンを含有してよく、さらに、ニワトリ副産物ミール、トウモロコシ・グルテン・ミール、醸造米、(混合されたトコフェロールおよびクエン酸で保存された)動物脂肪、L−リシン、乳酸、ニワトリ肝臓フレーバー、塩化カリウム、塩化コリン、ビタミンEサプリメント、硫酸カルシウム、ビタミン類(L−アスコルビル−2−ポリホスフェート(ビタミンCの源)、ビタミンEサプリメント、ナイアシン、一硝酸チアミン、ビタミンAサプリメント、パントテン酸カルシウム、リボフラビン、ビオチン、ビタミンB12サプリメント、塩酸ピリドキシン、葉酸、ビタミンD3サプリメント)、タウリン、天然着香剤、炭酸カルシウム、魚油、ミネラル(硫酸第一鉄、酸化亜鉛、硫酸銅、酸化マンガン)、混合されたトコフェロールおよびクエン酸で保存された、L−カルニチン、リン酸、ベータ−カロテン、およびローズマリーエキスを含有することができる。
さらにもう1つのある態様において、甲状腺機能亢進症を治療するための開示された方法で有用なペットフード組成物は、開示された量の先に確認された生物活性規定食成分の1以上、ならびに先に確認されたレベルの(例えば、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ素添加塩、亜セレン酸ナトリウムとしての)ヨウ素およびセレンを含有することができ、さらに、ニワトリ副産物ミール、(混合されたトコフェロールおよびクエン酸で保存された)動物脂肪、ニワトリ肝臓フレーバー、乳酸、トウモロコシ・グルテン・ミール、塩化カリウム、L−リシン、塩化コリン、ビタミンEサプリメント、ビタミン類(L−アスコルビル−2−ポリホスフェート(ビタミンCの源)、ビタミンEサプリメント、ナイアシン、一硝酸チアミン、ビタミンAサプリメント、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ビタミンB12サプリメント、塩酸ピリドキシン、リボフラビン、葉酸、ビタミンD3サプリメント)、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、ミネラル類(硫酸第一鉄、酸化亜鉛、硫酸銅、および酸化マンガン)、L−トリプトファン、タウリン、グルコサミン塩酸塩、混合されたトコフェロールおよびクエン酸で保存された、L−カルニチン、コンドロイチン硫酸、リン酸、ベータ−カロテン、およびローズマリーエキスを含むことができる。
本明細書中に記載された組成物に含めることができる適当な蛋白質源の例としては、限定されるものではないが、肉蛋白質単離物、ホエイ蛋白質単離物、それらの混合物等のような動物源、ならびにトウモロコシ・グルテン・ミール、小麦グルテン、それらの混合物等のような野菜源が挙げられる。本明細書中に記載された組成物に含めることができる脂肪の適当な源の例としては、限定されるものではないが、家禽脂肪、牛脂、ラード、上質ホワイトグリース、大豆油、トウモロコシ油、キャノーラ油、ヒマワリ油、それらの混合物等が挙げられる。脂肪は、食品組成物の外側に沈積して、食品組成物内に完全に配合することができ、あるいは2つの方法による混合物であってよい。本明細書中に記載された組成物に含めることができる適当な炭水化物源の例としては、限定されるものではないが、蛋白質源、ならびにトウモロコシ、小麦、ソルガム、大麦、米、それらの混合物などの、澱粉および穀粒、のようなもう1つの材料の成分が挙げられる。
特別な態様において、本明細書中で開示された方法で有用なペットフード組成物は、一般に、該組成物の約1%〜約5%を含む繊維サプリメントを含有することもできる。そのような繊維の適当な源としては、限定されるものではないが、全粒トウモロコシ、オート麦繊維、オオバコ種子外皮、グアーガム、亜麻仁、大豆ミルラン、およびそれらの組合せが挙げられる。
治療の開示された方法およびペットフード組成物の実例としての態様を以下の段落に記載する。
1つの態様において、本開示は伴侶動物において甲状腺機能亢進症を治療する方法を提供し、該方法は、チロキシンおよびトリヨードチロニンのいずれかまたは双方の生合成、輸送、または活性に必要な少なくとも1つのポリペプチドの発現または活性を抑制するのに十分な有効量の生物活性規定食成分を含むペットフード組成物をそれを必要とする伴侶動物に与えることを含む。
この態様の1つの実施形態において、該ポリペプチドは甲状腺ペルオキシダーゼ、ナトリウム/ヨウ素共輸送体、甲状腺オキシダーゼ、および甲状腺内I型5’脱ヨウ素酵素、およびそれらの組合せよりなる群から選択される生合成酵素である。
本態様の1つの実施形態において、該ポリペプチドは甲状腺刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン受容体、甲状腺ホルモン受容体アクチベーター分子、ペンドリン、およびモノカルボキシレートトランスポーター8、およびそれらの組合せよりなる群から選択される。
本態様の1つの実施形態において、伴侶動物はネコ科動物である。
本態様の1つの実施形態において、投与されるペットフード組成物は、トマト搾りかす、野菜ブレンド、キビ、大豆ミール、ジャガイモ濃縮物、およびそれらの組合せよりなる群から選択される生物活性規定食成分を含む。本態様の1つの実施形態において、生物学的に活性な物質は、乾燥物ベースでペットフード組成物の約0.1%〜約20%を含む。本態様のもう1つの実施形態において、生物学的に活性な物質は、乾燥物ベースで、ペットフード組成物の約1%〜約10%を含む。
本態様の1つの実施形態において、投与されるペットフード組成物は、乾燥物ベースで、約15〜約45%の蛋白質、約15〜約45%の脂肪、約20〜50%の炭水化物、および乾燥物ベースで、約2〜約8%の生物学的に活性な物質を含む。
本態様の1つの実施形態において、投与されるペットフード組成物は、乾燥物ベースで、約25〜約35%の蛋白質、約25〜約35%の脂肪、約30〜40%の炭水化物、および約2〜約8%の生物学的に活性な物質を含む。
本態様の1つの実施形態において、投与されるペットフード組成物は、乾燥物ベースで、0.1〜約1mg/kg未満のヨウ素を含む。
本態様の1つの実施形態において、投与されるペットフード組成物は、乾燥物ベースで、0.1〜約1mg/kgのセレンを含む。
本態様の1つの実施形態において、該方法は、さらに、治療上有効量の抗甲状腺剤を投与することを含み、例えば、ここで、該抗甲状腺剤は、メチマゾール、プロピルチオウラシル、カルビマゾール、およびその組合せよりなる群から選択される。
もう1つの態様において、本開示は、ペットフード組成物を提供し、ここで、該ペットフード組成物は伴侶動物において甲状腺機能亢進症を治療する方法で用いるのに適しており、該組成物は、チロキシンおよびトリヨードチロリンのいずれかまたは双方の生合成、輸送、または活性に必要な少なくとも1つのポリペプチドの発現または活性を抑制するのに十分な有効量の生物活性規定食成分を含む。
本態様の1つの実施形態において、該ポリペプチドは、甲状腺ペルオキシダーゼ、ナトリウム/ヨウ化物共輸送体、甲状腺オキシダーゼ、および甲状腺内I型5’脱ヨウ素酵素、およびそれらの組合せよりなる群から選択される生合成酵素である。
本態様の1つの実施形態において、該ポリペプチドは、甲状腺ホルモン受容体アクチベーター分子、甲状腺刺激ホルモン受容体、ペンドリン、モノカルボキシレートトランスポーター8、およびそれらの組合せよりなる群から選択される。
本態様の1つの実施形態において、伴侶動物はネコ科動物である。
本態様の1つの実施形態において、生物活性規定食成分は、トマト搾りかす、野菜ブレンド、キビ、大豆ミール、ジャガイモ濃縮物、およびそれらの組合せよりなる群から選択される。
本態様の1つの実施形態において、生物学的に活性な物質は、乾燥物ベースで、ペットフード組成物の約0.1%〜約20%を含む。
本態様の1つの実施形態において、生物学的に活性な物質は、乾燥物ベースで、ペットフード組成物の約1%〜約10%を含む。
本態様の1つの実施形態において、組成物は、乾燥物ベースで、約15〜約45%の蛋白質、約15〜約45%の脂肪、約20〜50%の炭水化物、および約2〜約8%の生物学的に活性な物質を含む。
本態様の1つの実施形態において、組成物は、乾燥物ベースで、約25〜約35%の蛋白質、約25〜約35%の脂肪、約30〜40%の炭水化物、および約2〜約8%の生物学的に活性な物質を含む。
本態様の1つの実施形態において、組成物は、乾燥物ベースで、約0.1〜約1mg/kg未満のヨウ素を含む。
本態様の1つの実施形態において、組成物は、乾燥物ベースで、約0.1〜約1mg/kgのセレンを含む。
本態様の1つの実施形態において、組成物は治療上有効量の抗甲状腺剤を含み、ここで、該抗甲状腺剤はメチマゾール、プロピルチオウラシル、カルビマゾール、およびそれらの組合せよりなる群から選択される。
本開示は、従って、動物において病気または疾患を治療するのに適した食品組成物を設計する方法を含み、該方法は:(a)対象となる病気または疾患を同定し;(b)その病気の原因となる病因に関与するポリペプチドを同定し;(c)該同定されたポリペプチドの活性または発現の増加または減少が対象となる病気または疾患を寛解するか否かを判断し;(d)少なくとも1つの多変数分析を行って、対象となる病気または疾患を寛解するのに必要なように、該同定されたポリペプチドの活性または発現を変調することができる生物活性規定食成分を同定し;次いで、(e)該生物活性規定食成分を含む食品組成物を配合することを含む。
本発明は本明細書中に記載された特定の方法、プロトコル、および試薬に限定されない。なぜならば、それらは変化し得るからである。さらに、本明細書中で用いる用語法は、特別な態様を記載する目的に過ぎず、本発明の範囲を限定する意図ではない。
本明細書中において引用され、または言及された全ての特許、特許出願、刊行物および他の文献は、法律によって許容される程度までここに引用して援用する。それらの文献の議論は、その中でなされた主張を単にまとめる意図である。
本明細書全体を通じて用いられるように、範囲は、当該範囲内にある各々のおよびあらゆる値を記載するための簡便な表記法として用いられる。該範囲内のいずれの値も、該範囲の目標として選択することができる。加えて、本明細書中で引用された全ての文献はここに引用してその全体が援用される。本開示における定義および引用された文献の定義がコンフリクトする場合、本開示が優先する。
実施例1:甲状腺機能亢進症ネコ科動物(ネコ)における発現が改変された遺伝子の同定
遺伝子発現データがDNAマイクロアレイ分析によって得られるネコについて報告する以下の実施例においては、ネコ科動物(ネコ)における甲状腺機能亢進症の適当な生物学的マーカーとしてのある種の遺伝子および発現された蛋白質を同定するために選択基準を確立する。当業者であれば、遺伝子チップデータを分析するための多数のアルゴリズムの中から選択することができる。これらは、MASS統計学的アルゴリズム、プローブ対数強度誤差見積もり(PLIER)および頑強なマルチ−チップ分析(RMA)を含む。処理アルゴリズムは以下の文献:Li,C.Mo,2001.Model−based analysis of oligonucleotide arrays:expression index computation and outlier detection(オリゴヌクレオチドアレイのモデルベースの分析:発現指標の計算および異常値検出),Proc.Acad.Sci.USA,Vol.98:31−36;Irizarry R.A.et al.,Exploration,normalization and summaries of high density oligonucleotide array probe level data(高密度オリゴヌクレオチド・アレイ・プローブ・レベル・データの探索、正規化および要約),Biostatistics,2003,Vol.4:249−264;Irizarry et al.,Summaries of Affymetrix GeneChip probe level data(Affymetrix GeneChipプローブ・レベル・データの要約),Nucleic Acid Res.,2003,Vol.31(4) e15;およびFan,W.,A.et al.,A class of models for analyzing GeneChip gene expression analysis array data(GeneChip発現分析アレイデータを分析するためのモデルのクラス),BMC Genomics,2005,Vol.16:6−16;Zhou,L.et al.,An expression index for Affymetrix GeneChips based on the generalized logarithm(一般化された対数に基づくAffymetrix GeneChipsについての発現指数),Bioinformatics,2005,Vol.21(21):3983−3989およびHein A.K.et al.,BGX:a fully Bayesian integrated approach to the analysis of Affymetrix GeneChips data(Affymetrix GeneChipsデータの分析に対する全ベイズ理論統合アプローチ),Biostatics,2005,Vol.6:349−373に詳細に議論されている。
以下の実施例における生データは、GeneSpringバージョン7.0(GS)ソフトウェア(Agilent Corporation)を用いて分析し、R−Bioconductor(RB)フリーウェアを用いて検証する。両ソフトウェアパッケージを用いて、Affymetrix Instrumentによって作られたCLEファイルからプローブ強度を計算する。プローブ当たりのPresent/Absent/MarginalコールおよびP−値は、別々に、R−BioconductorおよびGeneSpringソフトウェアを用いて計算する。
遺伝子発現データは、いずれかの所与の分析につき「アップ」または「ダウン」レギュレートされると判断される。遺伝子が「アップ」または「ダウン」であるかの決定は、各個々のプローブについての処理強度/対照強度として計算される倍変化に基づく。もしその値が約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%以上の値だけ低下すれば、倍変化はダウンレギュレートされたと考えられ、もしそれが約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%以上の値だけ増加すれば、アップレギュレートされると考えられる。また、プローブは、もしそれが比較される条件(処理または対照)の唯一つにおいて存在すると言われれば、他のものにおいては「不存在」または「極めて小」であり、かつ倍変化が用いるソフトウェアによると有意であるならば、さらなる精密検査で有意と考えられる。
実施例2:血液試料収集およびRNA単離
血液は、PAX遺伝子マニュアル中の製造業者の説明書に従って収集し、処理する。PAX遺伝子管を、RNAが単離される前に、−20℃で貯蔵する。製造業者の説明書に従い、PAGgene Blood RNA単離キット(Qiagen、p/n 762164)を用い、RNAをPAXgene RNA血液管(VWR、p/n 77776−026)から単離する。RNAの量および質は、製造業者の説明書に従って、Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies)およびRNA 6000 Nano チップキット(Agilent、p/n 5067−1511)を用いて決定する。RNAの完全性は、28S:18SリボソームRNA比率およびRNA完全性数によって決定する(RIN;Agilent 2100 RIN Betaバージョンソフトウェア)によって決定する。精製されたRNA試料を−80℃で保存する。
実施例3:組織からのRNA単離
組織はネコ科動物から収集し、細かく切り裂き、低温バイアルに入れ、直ちに液体窒素中で凍結させる。組織試料を組織溶解器(SOP Number.バージョン:LAB−LS−028.3)を用いてホモゲナイズする。製造業者の説明書に従って、RNAはRNeasy RNA単離キットで単離する。全ての抽出されたRNA試料は、NanoDrop 1000分光光度計(Thermo Scientific)での260および280nmにおける吸光度の読みによって定量する。RNAの質は、製造業者の説明書に従って、2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies)で決定する。RNAの完全性は、28S:18SリボソームRNA比率およびRNA完全性番号(RIN;Agilant 2100 RIN Bataバージョン・ソフトウェア)によって決定される。精製されたRNA試料を−80℃で保存する。
実施例4:プローブの調製
標識および増幅試薬はNuGEN Technologies,Inc.(San Carlos,CA,USA)から入手し、それは、Ovation RNA増幅システムV2(p/n 3100−A01)、Ovation(登録商標)全血溶液(p/n 1300−A01)およびEncoreビオチンモジュール(p/n 4200−A01)を含む。ビオチン化cDNA標的は、製造業者の説明書に従って調製する。二本鎖cDNAは50ngの全RNAから合成し、続いて、直線状等温増幅(SPIA Amplification(登録商標))工程を行って、一本鎖cDNAを得る。断片化に続いて、ビオチンを増幅されたプローブに付着させる直接的標識プロセスを行う。プローブ増幅は、合成されたcDNA(Beckman Genomics、p/n A63987)を精製し、洗浄するのに用いられる磁性ビーズ製品であるRNAClean XPを用いて行う。
実施例5:アレイハイブリダイゼーションおよびプロセッシング
45℃における10分間のプレ−ハイブリダイゼーションの後、4.4μgの各標的cDNAを、ハイブリダイゼーション緩衝液中のAffymetryxハイブリダイゼーション対照(Affymetrix、p/n 900454)と混合し、Affymetrix Feline−2 GeneChip(登録商標)と45℃で16〜18時間ハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーションカクテルを除去した後、GeneChip(登録商標)を、低ストリンジェンシー緩衝液(EDTA、0.01%Tween20を含む6×標準リン酸生理食塩水)および高ストリンジェンシー緩衝液(100mM N−モルホリノ−エタンスルホン酸(MES)、0.1M NaCl、および0.01%Tween20)でのFluidics Stationで洗浄し、SAPE(ストレプトアビジンフィコエリスリン、Invitroge、p/n S−866)で染色する。このプロセスに続いて、正常なヤギIgGおよびビオチニル化マウス抗−ストレプトフビジン(Vector Lab、BA−0500)とのインキュベーションを行い、続いてSAPEで再染色する。チップをGeneChip(登録商標)スキャナー3000 7G(Affymetrix Inc.,Santa Clara,CA)でスキャンして、ハイブリダイゼーションシグナルを検出する。画像検査を各スキャン直後に手動で行う(GeneChip(登録商標)Expression Analysis Technical Mannual.P/N 702232 Rev.3,第IIおよびIII章)。
実施例6:データの分析
遺伝子発現データソフトウエア(Partek Incorporated,12747 Olive Blvd.,Suite 205,St.Louis,Missouri 63141,U.S.A.http://www.partek.com/partekgs_genexpression)のためのPartek(登録商標)GS(Partek Inc.,St.Charles,MO)をデータ分析のために用いる。頑強なマルチチップ平均(RMA)アルゴリズム(Rafael.A.Irizarry,Benjamin M.Bolstad,Francois Collin, Leslie M.Cope,Bridget Hobbs and Terence P.Speed(2003),Summaries of Affymetrix GeneChip Probe level data(Affymetrix GeneChipプローブ・レベル・データの要約)Nucleic Acids Rsearch 31(4):e15)を、GeneChip(登録商標)試料のバックグラウンド調整、正規化、およびプローブ−レベル要約のために用いる。ANOVA分析を行って、いずれかの2つの群の間で有意に異なって発現された遺伝子が見出され、各方向において、最小FDR対照は0.1である、および倍変化は1.25である。経験的な実験により、Feline−2 GeneChips(登録商標)が1.3倍の関連するバックグラウンドノイズレベルを有することが明らかとなる。従って、全ての分析が提示した報告は+/−1.25倍カット―オフを使用する。さらに、0.1の偽発見率閾値(観察の10%が偶然によることを示す)を、許容される統計学的有意性の最小レベルとして選択する。
実施例7:詳細なRNA単離手法
材料および方法。以下の一般的な手法を用いて、本明細書の実施例にさらに記載されるように、ネコ科動物および遺伝子チップを利用する遺伝子発現プロファイリング用のネコ科動物の組織試料からRNAを単離する。当該分野で認識されるように、これらの手法またはその修飾を適用して、当該分野、特に、マイクロアレイ技術における当業者に利用可能な種々の分析手法を用いて、さらなる遺伝子発現分析のために、組織または体液試料からRNAを単離することができる。
リボ核酸(RNA)の組織からの単離。組織試料を収集し、液体窒素中で凍結し、解凍し、次いで、乳鉢および乳棒で粉砕し、ホモゲナイズし、50mlの円錐フラスコに移すことができる。次いで、製造業者の説明書に従って、TRIzol(登録商標)RNA抽出方法を用い、ホモゲナイズされた組織試料を処理して、良好な品質のRNAが得られ、次いで、これをさらなるゲノム分析に付す。
材料:Ambionからの、氷、液体窒素、凍結されたネコ科動物組織、TRIzol(登録商標)溶解試薬、クロロホルム最小99%、イソプロピルアルコール、(エタノール、無水および脱イオン化、RNアーゼ−フリーの水で調製された)70%エタノール、RNase Zap(登録商標)、脱イオン水、RNA Storage Solusion(登録商標)
機器:Ultra−Turrax T25パワーホモゲナイザー(Power Homogenizer)、Beckman Coulter Allegra 25R遠心機、Eppendorf遠心機、ピンセット、メス、硬い切断表面、すなわち、切断ボード、1.5mLのDNアーゼおよびRNアーゼフリー/滅菌マイクロ遠心分離管、50mLのDNアーゼおよびRNアーゼフリー/滅菌使い捨てポリプロピレン管、P1000、P200、P20、P10およびP2 Rainin Pipetmanピペット、P1000、P200、P20、P10およびP2ピペット用のフィルター・ピペット・チップ、DNアーゼおよびRNアーゼフリー/滅菌、およびリントフリー拭き取り繊維。
調製物:4mLのTRIzol(登録商標)を含む50mLのポリプロピレンチューブ(RNA単離のために選択された各組織について1つの管)
組織ホモゲナイゼーション:液体窒素を保持することができる容器に3〜4杯掬った液体窒素を充填する。直ちに、凍結された組織片を前記した容器に入れ(組織はほぼ豆のサイズとすべきである)、組織を(既に4mLのTRIzol(登録商標)を含有する)で適切に標識された50mLのポリプロピレン管に入れる。直ちに、Ultra−Turrax T25パワーホモゲナイザーを用いてホモゲナイゼーションを開始する。10から15秒の間、最高の設定(6)でホモゲナイズする。試料を氷上でさらに10から15秒冷却し、次いで、反復する。組織が十分にホモゲナイズされ、溶液が濁るまで継続する。ホモゲナイゼーションが完了すると、50mLの管にキャップをし、氷に戻す。ホモゲナイズされた組織を室温で5分間インキュベートし、その後、単離手法を進める。
実施例8:RNA調製手法
RNAの単離:TRIzol(登録商標)試薬を備えたInvitrogenの説明書にて与えられた手法に一般的に従う。ホモゲナイズされた試料を4つの1.5mLの微小遠心管中に4つの1mlのアリコットに分ける。200μLのクロロホルムを各1mLのアリコットに加える。管にキャップをし、15秒間渦巻かせ、次いで、上下に振盪する。結果は、ピンク色の乳白色液体となるはずである。管を室温にて2〜3分間インキュベートする。管を14,000rpmおよび4℃で15分間遠心する。水性相(頂部層)を滅菌された1.5mLの微小遠心管に移す。新しい管に移すべき水性相の典型的な容量は約500μLである。中間または下方相のいずれも移動させないことを確実とする。500μLのイソプロピルアルコールを、水性層を含有する各微小遠心管に加えることによって、RNAを溶液から沈殿させる。管を少なくとも20秒間上下に振盪する。試料液を室温にて10分間インキュベートする。試料を4℃にて14,000rpmおよび4℃で10分間遠心する。液体を吸引することによって上清を注意深く除去し、ペレットを失わないことを確実とする。1mLの70%エタノールを加えて、ペレットを洗浄する。管を軽く打つ(または管をベンチトップ上で軽く叩く)ことによってペレットを取り出し、振盪して、混合する。4℃にて8,200rpmで5分間遠心する。液体を吸引することによって上清を注意深く除去し、ペレットを失わないことを確実とする。リントフリー拭き取り繊維を用いて過剰のエタノールを浸漬させて、ペレットが乾燥していることを確実とする。各ペレットを30μLのRNA貯蔵溶液に再懸濁させる。RNAが溶液に戻るまでピペッティングにより穏やかに混合し、次いで、−80℃で貯蔵する。低速で試料を数秒間渦巻かせて、RNAの再懸濁を容易とすることが必要であろう。もしこれが必要であれば、凍結に先立って、微小遠心機を用いて試料を回転沈降させる。
実施例9:RNAの洗浄:RNeasy(登録商標)ミニハンドブックに従った手法
RNeasyミニキットを用いる、OptiCellチャンバー中で培養した細胞からのRNAの単離。哺乳動物細胞系から培養した細胞を用いて、良質のRNAを単離し、次いで、これを、将来の下流ゲノム分析のために用いる。細胞の培養に関連した全ての操作は、厳密な無菌状態下で行われるべきである。
試薬:10× PBS、脱イオン水、無水アルコール、RNA貯蔵溶液、β−メルカプトエタノール、RNアーゼZap(登録商標)、緩衝液RLT、および(RNeasyミニキット中に供された)緩衝液RW1および緩衝液RPE。
機器/材料:RNeasyミニキット、QIAshredder回転カラム、OptiCellナイフ、20mLの滅菌シリンジ、OptiCellチップ、細胞スクレーパー、P1000 Pipetmanピペット、Rainin、P200 Pipetmanマンピペット、Rainin、100〜100μLの濾過されたピペットチップ、1〜200μLの濾過されたピペットチップ、滅菌移動ピペット、55mLの滅菌溶液深皿、1.5mLの滅菌微小遠心管、およびEppendorf微小遠心機。
溶液:緩衝液RLT(RNeasyミニキット中に供された原液);プトロコルを開始するに先立って10mLの緩衝液RLT当たり100μLのβ−メルカプトエタノールを加える。70%エタノール:35mLの無水エタノールを10mLの脱イオン化されたRNアーゼ−フリー水に加えることによって50mLの70%エタノールを作成する。1× PBS RNアーゼ−フリー水。0.22μmフィルターを用いて溶液を濾過する。
手法:OptiCellチャンバーからの細胞の除去(一度に1つのOptiCellを進める)。顕微鏡下で細胞をチェックして、細胞がRNAを単離する前に生きていることを確実とする。細胞培養基を除去し、捨てる。OptiCellナイフを用い、下部膜上に細胞を露出する頂部膜を切断して除去する。細胞が付着した膜を1× PBSで3回洗浄する。(β−メルカプトエタノールを含有する)600μLの緩衝液RLT溶液をピペットで細胞が付着した膜中央に与える。細胞スクレーパーを用い、緩衝液RLTを膜の全表面に穏やかに広げ、次いで、液体を一隅に集める。緩衝液RLTの全容量をピペッティングで取り出し、QIAshredder回転カラムに入れる。
RNA単離:QIAshredder回転カラムを14,000rpmで2分間遠心する。回転カラムは捨てるが、収集管およびその内容物は保持する。600μLの70%エタノールを収集管に加え、ピペッティングによってよく混合する(今や全容量は1.2mLである)。600μLの細胞溶解物をRNeasyミニカラムに移し、14,000rpmにて15秒間遠心する。素通り画分は捨てるが、収集管および回転カラムを保持する。残りの容量の細胞溶解物(〜600μL)を回転カラムに移し、遠心を反復する。素通り画分は捨てるが、収集管および回転カラムを保持する。700μLの緩衝液RW1を回転カラムに加える。14,000rpmにて15秒間遠心して。カラムを洗浄する。素通り画分および収集管を捨てる。回転カラムを新しい2mLの収集管に移し、500μLの緩衝液RPEをカラムに加える。14、000rpmで15秒間遠心する。素通り画分は捨て、収集管/カラムは保持する。さらに500μLの緩衝液RPEをカラムに加える。14,000rpmで2分間遠心する。回転カラムを1.5mLの収集管に移す。30μLのRNA貯蔵溶液をシリカゲル膜に直接加え、14,000rpmにて1分間遠心して、RNAを溶出させる。最終RNAを―70℃で貯蔵する。
RNA6000 Nanoアッセイ。Agilent 2100バイオアナライザーおよびRNA6000 Nanoアッセイを用いて、培養された哺乳動物細胞、リンパ球または組織から単離されたRNAを品質について分析する。
試薬:Ambionからの、RNA6000 Nanoゲルマトリックス、RNA6000 Nao色素濃縮物、RNA6000 Nanoマーカー、(前記試薬の全てはRNA6000 Nanoアッセイキット、Agilent中に含有される)、RNA6000ラダー、RNアーゼZap、およびRNアーゼ−フリー水。
機器/他の材料:Aglilentチップ・プライミング・ステーション、Agilent、RNA6000チップ、Agilent、電極クリーナー、P2、P10、P200、およびP1000 Rainin Pipetmanピペット、滅菌、DNアーゼ/RNアーゼフリーの濾過されたピペットチップ、1.5mLの微小遠心管、滅菌、渦巻き、IKAボルテックスミキサー、微小遠心機および加熱ブロック。
手法:該手法は、Agilent Technologiesによる、試薬キット手引き、RNA6000 Nanoアッセイ、2003年11月版に与えられる。該手法は、以下の修飾を施して、手引きに与えられるように行われる:ゲルの調製(17頁)−濾過されたゲルを各々65μLのアリコットに分離するよりはむしろ、元の微小遠心管中で原液濾過ゲルを維持し、必要に応じて、65μLに分割する。RAN6000 Nanoマーカーの充填(22頁)−(RNA6000 Nanoマーカーの代わりに)1μLのRNアーゼ−フリー水を試料を含有しないことになるであろう各試料ウェルに加える。これは用いるマーカーの量を保存するのみならず、RNアーゼ−フリー水を含めて、試薬のいずれも汚染されないことを見るための陰性対照としても働く。ラダーおよび試料の充填(23頁)−試料およびRNA6000ラダーを71℃にてさらに30秒間(合計2.5分間)加熱変性する。チップ実行の開始(26頁)−アッセイメニューから「真核生物全RNA Nano」の選択肢を選択する。
実施例10:Affymetrix GeneChip発現分析
遺伝子発現は、専売のAffymetrix Feline GeneChip(登録商標)を用いて分析する。全RNAをcDNAに逆転写する。該cDNAを用いてcRNAを生じさせ、これを断片化し、GeneChipハイブリダイゼーション用のプローブとして用いる。遺伝子チップを洗浄し、ハイブリダイゼーションシグナルをAffymetrixレーザースキャナーで測定する。次いで、ハイブリダイゼーションデータを、製造業者の説明書に従ってさらなる分析のために検証し、正規化する。
機器:Eppendorf微小遠心機、1.5mLのDNアーゼおよびRNアーゼフリー/滅菌微小遠心管、50mLのDNアーゼおよびRNアーゼフリー/滅菌使い捨てポリプロピレン管、P1000、P200、P20、P10およびP2 Rainin Pipetmanピペット、P1000、P200、P20、P10およびP2ピペット用のフィルター・ピペット・チップ、DNアーゼおよびRNアーゼフリー/滅菌、およびペルティエ・サーマル・サイクラーPTC−200。
手法:GeneChip発現分析技術マニュアル(Affynetrix、著作権1999−2003)に正確に記載された全ての手法に従う。5マイクログラムの全RNAを第一ストランドcDNA合成のために用いる。ペルティエ・サーマル・サイクラーPTC−200または熱ブロックのいずれかを、反応およびプローブ変性についての温度制御のために用いる。品質制御は、BioAnalyzer 2100を備えたRNA NanoDropチップを用いて行う。100フォーマット(Midiアレイ)をネコ科動物遺伝子チップのために用いる。
実施例11:甲状腺機能亢進症ネコ科動物における遺伝子発現
実験は、軽度および重度の甲状腺機能亢進症に罹ったネコ科動物を用い、先の実施例に従って行って、これらの動物と正常なネコ科動物との間の原因となる遺伝子発現の差を判断する。本明細書の実施例に記載された手法を用いて、健康である、軽度の甲状腺機能亢進症に罹った、および重度の甲状腺機能亢進症に罹った統計学的に適切な数のネコ科動物からの組織および体液試料を調製する。これらの実験は、とりわけ、ナトリウム/ヨウ化物トランスポーター(NIS)、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)、ヨウ化物トランスポーター(IT;ペンドリン)、甲状腺オキシダーゼ(ThOX)、T4チロキシン脱ヨウ素酵素(例えば、甲状腺内I型5’―脱ヨウ素酵素)、モノカルボキシレートトランスポーター(例えば、モノカルボキシレートトランスポーター−8)、および甲状腺ホルモン受容体アクチベーター分子の1以上の発現に関して、正常なネコ科動物を罹患したネコ科動物と比較する遺伝子発現データの測定を含む。特別な態様においては、これらの実験は、ネコ科動物NIS遺伝子の発現に関して正常なネコ科動物を罹患したネコ科動物と比較する遺伝子発現データの測定を含む。
実施例12:生物活性規定食成分の同定のための細胞培養方法
生物活性規定食成分は、甲状腺ホルモンのレベル、または甲状腺機能亢進症の効果を低下させる他の生物学的効果の低下に導くように、1以上の遺伝子の発現を改変することができる食品成分である。これらの生物活性規定食成分は、例えば、組織培養中の適切な細胞を、例えば、食品成分の抽出物と接触させ、とりわけ、限定されるものではないが、ナトリウム/ヨウ化物トランスポーター(NIS)、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)、ヨウ化物トランスポーター(IT;ペンドリン)、甲状腺オキシダーゼ(ThOX)、T4チロキシン脱ヨウ素酵素(例えば甲状腺内I型5’−脱ヨウ素酵素)、モノカルボキシレートトランスポーター(例えば、モノカルボキシレートトランスポーター−8)、および甲状腺ホルモン受容体アクチベーター分子を含めた甲状腺ホルモンの生産、輸送、または利用に関与する1以上の遺伝子の発現のレベルを測定することによって同定することができる。本開示においては、ネコ科動物NIS遺伝子の発現を測定し、前記した遺伝子発現方法を用いて3つの生物活性規定食成分を同定する。
新しい細胞系のシーディング
試薬:(各個々の細胞系に特異的な)完全な培地;室内で調製された70%エタノール:室内で調製された70%プロパノール。イヌ科またはネコ科動物細胞の1つの原液アリコット、ATCC(先の工程からの凍結された細胞のアリコット)。
材料/機器:一方向気流フード;血清学ピペット、滅菌、VWR自動ピペットエイド;OptiCellユニット、BioCrystal 1004−01;OptiCellチップ、BioCrystal 1011−01;OpticCellラック、BioCrystal 1006−01;溶液深皿、滅菌、VWR;50mLの滅菌円錐管、VWR 21008−736;37℃の水浴;油性マーカー。
手法:シードすべき細胞系のための適切なタイプの培地を調製する。培地を37℃の水溶中で20〜30分間温める。一方向気流フードおよび全ての試薬/機器を滅菌し、それを70%プロパノールでの手法の間に用いる。OptiCellユニットを細胞系、細胞型、日付、およびパスワードで標識する。液体窒素タンクからの細胞を含有するバイアルを取り出し、37℃の水浴中で迅速に解凍する(ほぼ2分の解凍時間)。少量の70%エタノールを含有するビーカー中に細胞を含有するバイアルを入れて、外部を洗浄し、いずれの細菌および/または汚染物も除去する。70%エタノールからバイアルを取り出し、一方向気流フード下で風乾する。細胞の解凍されたアリコットを適切な量の完全培地と混合して、OptiCellユニットを各々10mLの最大容量まで満たす。例:もし細胞の容量が1.5mL(であって、細胞が2つのOptiCellユニットにシードされるならば)、滅菌50mLの管中の18.5mLの完全培地に細胞を加える。徹底的にではあるが、注意深く混合し、10mLの細胞/培地混合物を2つのOptiCellユニットの各々に注入する。過剰の空気をOptiCellユニットの各々から除去する。OptiCellユニットの外部ポートを70%エタノールで拭い、OptiCellラックに入れる。OptiCellラックを、正しい温度およびCO2条件下でインキュベーターに入れる。
OptiCellチャンバーを用いる細胞培養
材料:OptiCellユニット、BioCrystal 1004−01;OptiCellラック、BioCrystal 1006−01;OptiCellチップ、滅菌、BioCrystal 1011−01;10cc/20cc滅菌シリンジ、VWR53548−006/53548−008;血清学ピペット、滅菌、VWR;廃棄物容器;溶液深皿、滅菌、VWR21007−972;50mLの滅菌円錐管;2mLの滅菌低温バイアル、VWR 66021−944;管ラック、共に50mLおよび2mL管用;完全培地;トリプシン−EDTA、Gibco 25200−056;1× PBS、Gibco 20012−027;室内で調製された70%アルコール;水浴、37℃;Beckman Coulter Allegra 25R遠心機、SN AJC01J015;Accujet自動ピペットエイド;Vi−Cell XR細胞生存率アナライザー、Beckman Coulter、SN AH391。
手法:培地の交換:新しいOptiCellチップを滅菌シリンジに取り付け、10mLの空気で満たす。空気をOptiCellチャンバーに注入し、チップを取り除くことなく、チャンバーをひっくり返し、培地を除去する。培地を適当な廃棄物容器中に捨てる。新しいOptiCellチップを用い、新しいシリンジを10mLの完全培地で満たし、OptiCellチャンバーに注入する。チップを取り除くことなく、チャンバーをひっくり返し、いずれの空気も除去する。OptiCellチャンバーを、適切なCO2条件下で37℃のインキュベーター中のOptiCellラックに貯蔵する。
収穫/シーディング
新しいOptiCellチップをシリンジに取り付け、10mLの空気で満たす。空気をOptiCellチャンバーに注入する。チップを取り除くことなく、OptiCellチャンバーをひっくり返し、培地を除去する。培地を捨てる。新しいOptiCellチップおよび新しいシリンジを用い、10mLの滅菌1× PBS(室温)をOptiCellチャンバーに注入する。チップを取り除くことなく、チャンバーを数回ひっくり返して、細胞を洗浄し、次いで、PBSを除去する。PBSを捨てる。新しいOptiCellチップおよび新しいシリンジを用い、4mLのトリプシン−EDTAをOptiCellチャンバーに注入する。チップを取り出し、チャンバーを数回ひっくり返して、細胞をコートする。OptiCellチャンバーを貯蔵ラックに戻す。OptiCellチャンバーを37℃にて2〜2.5分間インキュベートする。全ての細胞が脱着したことを顕微鏡を用いて確認する。チャンバーを穏やかに振盪して、細胞の脱着を助ける必要があろう。新しいOptiCellチップおよびシリンジを用い、10mLの完全培地をOptiCellチャンバーに注入する。チップを取り除くことなく、チャンバーを数回ひっくり返して、トリプシン−EDTAの効果を中和させ、次いで、細胞懸濁液を除去する。懸濁液を滅菌50mL円錐管に入れる。全ての細胞がOptiCellチャンバーの全てから除去された後、50mLの管の各々における容量が等しいことを確認し、次いで、800×gにて室温で5分間遠心する。上清を注意深く除去し、細胞ペレットを完全培地に再懸濁させる。細胞カウンターを用い、収穫された細胞の合計数および生きた細胞数/mLを決定する。適切な数の細胞を新しいOptiCellチャンバー中にシードする。前記工程において細胞を再懸濁させるのに用いた培地の量は変化させることができ、それは、行うべきアッセイに依存するであろうことに注意されたし。
イヌ科動物およびネコ科動物細胞の収穫、凍結および継代培養
材料:(各細胞系に特異的な)完全培地;室内で調製された70%アルコール;トリプシン−EDTA、Gibco 25200−056;ジメチルスルホキシド、Fisher;培養されたイヌ科動物および/またはネコ科動物細胞系、ATCC;一方向気流フード;血清学ピペット、滅菌(50mL、25mL、10mL、5mLおよび2mL)、VWR;自動ピペットエイド;50mLの滅菌円錐管、VWR 21008−736;2mLの滅菌低温バイアル、VWR 66021−944;150cm2の滅菌培養フラスコ、VWR 15705−074;水浴、37℃;Beckman Coulter Allegra 25R遠心機、SN AJC01J015;50mLの管ラック;低温−バイアル管ラック;および油性マーカー。
手法:細胞の収穫。適切な完全培地およびトリプシン−EDTAを37℃の水浴中で25〜30分間温め、その後、プロトコルを続ける。収穫すべき細胞を含有するフラスコの各々から完全培地を除去し、廃棄物容器に入れる。7mLのトリプシン−EDTAをフラスコの各々に加える。トリプシン−EDTAがフラスコの底(細胞が付着している面)を覆っていることを確認し、37℃のインキュベーターに2.5分間で入れる。フラスコをインキュベーターから取り出し、顕微鏡下で調べて、脱着の進行を判断する。各フラスコを「叩き」、顕微鏡下で再度調べる。細胞の全てがフラスコの底から脱着するまで「叩く」のを続ける。トリプシン−EDTA/細胞懸濁液を各フラスコから取り出し、50mLの円錐管に入れる。50mLのチューブを完全培地で容量まで満たして、トリプシン−EDTAの効果を中和する。50mLの管の各々を800×gにて室温で5分間遠心する。上清を除去し、細胞ペレットを48mLの完全培地に再懸濁させる。完全培地中で継代培養に用いるのは再懸濁させた細胞のみである。後に用いるために凍結し、貯蔵される細胞については、「凍結」手法に従う。
凍結:完全培地溶液中で5%ジメチルスルホキシド(DMSO)を調製する(ほとんどの細胞系は5%溶液を必要とするが、各細胞系について個々の要件をチェックするのが重要である)。細胞ペレットを再懸濁させて、培地溶液中の5%DMSOの5mLに(工程1.10からの)凍結させるべき細胞ペレットを再懸濁させる。DMSO/細胞混合物を2mLの低温バイアル中にて1.5mLアリコットに分ける。これらのアリコットを、−70℃のフリーザー中のStyrofoam(登録商標)クーラー中に一晩入れる。アリコットを翌日の朝に−70℃のフリーザーから取り出し、液体窒素中に移す。
継代培養:細胞系についての適切な継代培養比率を決定し、フラスコの正しい数を標識する。(このプロトコルは、1:8の継代培養比率について設計され、全ての容量はその比率を反映する)。14mLの完全培地を、垂直な位置に保ちつつ、前記したフラスコの各々に加える。6mLの細胞懸濁液(工程1:10)を、依然として垂直な位置に保ちつつ、フラスコの各々に加える。細胞懸濁液をフラスコ中に「落とさず」−その代り、懸濁液をフラスコの側面を滴り落とす。培地/細胞混合物がフラスコの底を完全に覆うことを確実とする。培地をフラスコの頸に入れないようにする。フラスコを適切な条件下で37℃のインキュベーターに入れる。細胞培養フラスコのための適切な標識は以下の情報を含むであろう:細胞系、細胞型、日付、工程番号、培地およびCO2の要件。低温バイアルについての適切な標識は以下の同定情報を含むであろう:細胞系、細胞型、日付、工程番号、および実験者のイニシャル。
細胞培養における試験のための材料の可溶化および抽出
以下の方法は、細胞培養における試験のために特定の濃度において材料を可溶化するための実例となるアプローチである。一般に、材料は乾燥した化学物質、液体、または粒いずれかとして受容する。各材料の活性な成分を特定の溶媒を用いて抽出する。該プロセスで用いる溶媒としては、例えば、Millipore H2O、緩衝化Millipore H2O、(Millipore H2O中の)DMSO、0.1%DMSO、メタノールおよびエタノールを挙げることができる。乾燥した化学物質を特定の溶媒に直接加え、目で検査して、それらが所望の原液濃度で完全に溶解したことを確認する。既知の濃度の液体を特定の溶媒に直接加えて、最終の所望の原液濃度を得る。コーヒー粉砕機を用いて粒を粉砕し、音波処理し(レベル:008ワット)、所望の原液濃度で濾過する(0.45μm)。
材料/機器:渦巻き;AT200 Mettler天秤;AR15 Accumet pHメーター;VirSonic 100ソニケーター;コーヒー粉砕機(Krups);20mLの滅菌シリンジ(Norm−Ject);VRW 53548−008;シリンジチップ、18G、11/2”針、滅菌、VWR BD305196;Acrodisc 25mmシリンジフィルター(w/0.45μm HT Tuffryn膜)、VWR 28144−007;50mLの遠心管(Corning)、Fisher 06−443−19;P10、P20、P100、P200、P1000 Raininピペット;フィルター・ピペット・チップ、滅菌、USA Scientific。
溶液:Millipore H2O、Milli−Q Synthesis A10;DMSO、EMD MX1458−6;(Millipore H2O中の)0.1%DMSO;1M HEPES緩衝液、Gibco 15630−080;緩衝化Millipore H2O(pH:7);メタノール(99.93%HPLCグレード)、Sigma−Aldrich 439193;エタノール(200標準強度)、Sigma−Aldrich E7023;注意:純粋なH2Oは、1M HEPES緩衝液を用いて7のpHに緩衝化すべきである。
手法:
溶解性試験:乾燥した化学物質。50mLの遠心管をMettler天秤上に置く。一旦分銅得たならば、天秤をゼロ合わせする。最初の工程で秤量した遠心管に、少量の試験すべき乾燥した化学物質を加え、管w/キャップを天秤上に戻す。加えた乾燥した化学物質の重量を書き留める。特定の溶媒を加え、所望の原液濃度(mg/mL)を得る。渦巻かせ、完全な溶解について目で検査する。
溶解性試験:液体材料。必要に応じ、所望の量の液体材料を50mLの遠心管に加える。Raininピペット。溶媒を加え、所望の原液濃度(C1V1=C2V2)とする。渦巻かせて、徹底的に混合し、溶液が均一であることをチェックする。
溶解性試験:粒。試験すべきいずれかの量の粒をコーヒー粉砕機中で徹底的に粉砕する。いずれかの大きな破片の存在についてチェックし、必要であれば、再粉砕する。50mLの遠心管w/キャップをMettler天秤に乗せる。一旦分銅を得れば、天秤をゼロ合わせする。第二工程で秤量された遠心管に、所望の量の粉砕された材料を加え、管w/キャップを天秤に乗せる。材料の重量を記録する。特定の溶媒を加えて、所望の原液濃度(mg/mL)を得る。読み取り時に30〜60秒音波処理する:008ワット。20mLのシリンジおよび0.45μmフィルターを用いて音波処理した溶液を新しい50mL遠心管中に濾過する。もし音波処理された溶液が0.45μmを通って濾過されなければ、超遠心機を用いて、材料のより小さな破片をペレット化し、上清をデカントする。
結果
生物活性規定食を含む3つの食品材料を前記した方法を用いて同定する。それらはトマト搾りかす、野菜ブレンドおよびキビを含む。使用した遺伝子チップによって運ばれる分析で用いたプローブは、配列番号:1のヌクレオチド配列に由来する25量体オリゴヌクレオチドの組を含む。組織培養中の細胞の、各々の抽出物への暴露に際してのネコ科動物NIS遺伝子の発現レベルの変化を以下の表に掲げる。
表2のデータは、本明細書中で開示された方法を用いて、ネコ科動物遺伝子の発現を低下させることができ、従って、ネコ科動物甲状腺機能亢進症を治療するのに有用であろう生物活性規定食成分を同定することができることを証明する。これらのデータは、特定の食品材料およびその抽出物の組成の変動性も示す。その変動性にも拘わらず、本明細書中に開示された抽出および検定方法を用いて、例えば、生物活性規定食成分の量および濃度につき所与の材料ロットを「検定」することができる。そのデータでもって、ネコ科動物ペットフード組成物は、一定量の食品材料を含んで、有効量の生物活性規定食成分を提供するように配合することができる。本明細書中に開示されたペットフード組成物は生物活性規定食成分の様々なレベルを記載するが、含まれる現実の量は、好ましくは、説明目的のためであり;現実の量は、本明細書中に開示された方法に従って決定された治療上有効量となろう。
他の実施形態において、食品材料のより多くの広範な抽出、分画、単離、および精製において前記で開示された方法および試薬を用いると、観察された活性を担う分子種の定義を可能とする。従って、それらの同定された化合物は、ペットフード組成物または規定食サプリメントに、より正確に配合して、ネコ科動物甲状腺機能亢進症の治療で用いることができよう。
なおさらなる実施形態において、治療上有効量の、生物活性規定食成分、または単離され精製された剤を含む商品材料は、それ自体、低レベルのヨウ化物配合物を含むペットフード組成物に配合されて、甲状腺機能亢進症を治療中の動物による外来ヨウ素消費に対してさらなる保護を備えた改良された食品を提供する。
もう1つの実施形態において、治療上有効量の、生物活性規定食成分、または単離され精製された剤を含む食品材料は、それ自体、甲状腺機能亢進症以外の病気または疾患を治療するように設計されたペットフード組成物に配合されて、甲状腺機能亢進症ならびに第二の同定された病気または疾患の治療で有用な規定食を提供する。
なおさらなる実施形態において、当該開示は、少なくとも添加剤、およびある実施形態においては、相乗作用量の1を超える生物活性規定食成分、または1を超える単離され精製された剤を含むペットフード組成物または食品サプリメントを提供して、それ自体、甲状腺ホルモン生産を低下させるのに、および/または甲状腺機能亢進症を治療するのに有用なペットフード組成物またはペットフードサプリメントを提供する。
以下に提供されるそのようなネコ科動物ペットフード組成物の実例となる例;生物活性規定食成分の量を通じて、生物学的に活性な物質のレベルを測定するための前記方法および手法を用い、それらのレベルは必要な、または「標準化された」ユニットまたは生物学的活性レベルを達成するように調整することができ、かつ調整すべきである。
本明細書中に記載された発明は、特定の方法、プロトコルおよび試薬に限定されないと考えられる。というのは、それらは変動し得るからである。また、本明細書中で用いられる用語法は、特別な態様を記載するのを目的とするに過ぎず、断じて、本発明の範囲を限定する意図ではないことが理解されるべきである。
明細書中において、本発明の典型的な、例示的な、かつ好ましい態様を開示してきたが、具体的な用語が使用され、それらは上位概念的かつ記載的意味のみで用いられ、特許請求の範囲に記載される発明の範囲を限定する目的ではない。本発明の多くの修飾および変形は、前記教示に徴して可能である。従って、特許請求の範囲内において、本発明は具体的に記載された以外で実施することができることが理解されるべきである。