JP6186891B2 - 電気加温法を利用した土壌浄化装置 - Google Patents

電気加温法を利用した土壌浄化装置 Download PDF

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本発明は、土壌浄化装置に係り、特に電気加温法を用いた土壌浄化装置に関する。
汚染物質で汚染された土壌を浄化する方法には、処理場所によって区分すると、汚染土壌を掘削後、非汚染土壌と入れ替え、掘削した汚染土壌は場外の最終処分場に運搬・埋立処分する方法(掘削・場外搬出)、掘削した汚染土壌を場内に持ち込んだ処理施設で浄化し埋め戻す方法(オンサイト浄化)、ならびに掘削することなく地中にあるがままの状態で浄化する方法(原位置浄化)がある。オンサイト浄化や原位置浄化は土壌の運搬作業が不要であり、その分の費用や手間が掛からない、さらに汚染物質を場外に持ち出さないので汚染の拡散を防ぐというメリットがある。電気加温法は原位置浄化技術の一つである。
汚染物質による区分では、重金属による汚染と、VOC(揮発性有機化合物:Volatile Organic Compounds)による汚染に大別される。加えて、最近は油汚染も問題視されるようになってきている。
原位置でのVOC土壌浄化方法の一つに、加温により土壌の温度を上げる方法がある(加温法)。加温法は、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ジクロロエチレン、トリクロロエタンをはじめとするVOCなどで汚染された土壌の浄化に適する。VOCの多くは粘性が低く、水よりも比重が大きいため、地中深く浸透し易く、地下水汚染を発生させる。また、粘性土壌の粒子間隙中に吸着して土壌汚染を引き起こす。そこで加温法では、土壌の温度を上げることで土壌粒子間隙中に吸着しているVOCを脱離するとともにその流動性を高め、気化させたり周囲の地下水に混入させる。そして、そのようなVOCを多く含む気体や地下水を汲み上げることでVOCを回収し、これにより汚染地下水、及び汚染土壌を浄化する。
加温には、土壌に高温水蒸気(スチーム)を吹き込んだり、熱水を送り込んだりする方法のほか、土壌にヒータを挿入し熱伝導によってヒータ周辺の土壌や地下水を加温する方法もあるが(たとえば特許文献2、特許文献3)、エネルギー効率や制御性に優れた方法として電気加温法がある。電気加温法は、土壌に複数の電極を埋め、電極間の土壌に電流を流し、土壌自身の電気抵抗によってジュール熱を生じさせるものである。これにより、使用する電力の多くを土壌の加温に利用できる(たとえば特許文献1)。
電気加温法では、図9に示すように、汚染土壌中に汚染物質回収用の井戸(回収井戸)51と、その周囲に電気加温のための井戸(電極井戸)52を掘削(ボーリング)する。電極井戸52は、例えば汚染土壌を囲む六角形の頂点にそれぞれ設け(図9の「領域1」)、各電極井戸52の電極に3相交流電源の各相の電圧を印加する。これにより、これら電極井戸52で囲まれた領域内の土壌に電流が流れ、ジュール熱により土壌の温度が上昇して、汚染物質が土壌から脱離する。土壌から脱離した汚染物質は地下水に混入し、該地下水は回収井戸51から汲み上げられる。その結果に応じて、その領域の外側に更なる回収井戸と電極井戸を掘削してゆくことにより、浄化領域を広げてゆく(「領域2」、「領域3」)。
回収井戸51から汲み上げられた、汚染物質を含む地下水は、地上で曝気処理等を行うことにより、汚染物質を除去する(非特許文献1)。
特開平05-10083号公報 特開平11-57685号公報 特開2006-272273号公報
地盤環境技術研究会編「土壌汚染対策技術」,株式会社日科技連出版社,2003年9月24日
上記従来の電気加温法では、土壌の浄化作業を行う場所において、電極井戸52とは別に回収井戸51を設ける必要があるため、掘削すべき井戸の本数が多いという問題がある。浄化すべき領域が広い場合には、図9に示すように、回収井戸の数も多くなり、掘削のコストは大きなものとなる。
また、前述のとおりVOC等を含む汚染水は多くの場合地下深くにあるが、地上に置いた真空ポンプでは1気圧の揚程である10 mを超える深さの汚染水を汲み上げることができない。一方、真空ポンプを井戸の底に設置しようとすると、ポンプを設置するために径の大きな井戸を掘削する必要があり、井戸掘削コストが大きく跳ね上がる。また、電極井戸からの電場の影響を受けてモーターの磁束が乱れたり、金属部品に腐食(電食)を生じたりして、正常に動作しなくなるという問題もある。
本発明が解決しようとする課題は、掘削すべき井戸の本数を少なくするとともに、回収された地下水を効率よく地上に汲み上げることのできる、電気加温法による土壌浄化装置を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明の第1の態様のものは、電気加温法を利用した土壌浄化に用いる土壌浄化装置であって、
浄化するべき土壌領域の全体あるいは一部を囲むように配置された複数の井戸構造体と、
電源と、
を備え、
前記複数の井戸構造体の全てが、
a)土壌に含まれる地下水を取り込むための透水性を有する井戸枠と、
b)前記電源と接続されるとともに前記井戸枠の中に挿入された、前記井戸枠とは電気的に絶縁された電極と、
c)前記井戸枠に取り込まれる貯留水の水面下にその一端が位置するように前記井戸枠内に挿入された揚水管と、
d)前記井戸枠の中に挿入された、前記水面下において前記揚水管内に空気を送り込むための送気管と
を有することを特徴とする。
また、本発明の第2の態様のものは、電気加温法を利用した土壌浄化に用いる土壌浄化装置であって、
浄化するべき土壌領域の全体あるいは一部を囲むように配置された複数の井戸構造体と、
電源と、
を備え、
前記複数の井戸構造体の全てが、
a)前記電源と接続された、導電性と、土壌に含まれる地下水を取り込むための透水性とを有する井戸枠と、
b)前記井戸枠に取り込まれる貯留水の水面下にその一端が位置するように前記井戸枠内に挿入された揚水管と、
c)前記井戸枠の中に挿入された、前記水面下において前記揚水管内に空気を送り込むための送気管と
を有することを特徴とする。
第1の態様のもの、第2の態様のもの、共に、送気管は揚水管の外に設けてもよいし、揚水管の内部に設けてもよい(すなわち二重管構造としてもよい)。
本発明に係る土壌浄化装置では、油やVOC等の汚染物質が保持された土壌領域を囲む複数の井戸のそれぞれに井戸構造体を設ける。第1の態様のものでは各井戸構造体中の電極に電圧を印加することにより、また、第2の態様のものでは井戸枠に電圧を印加することにより、これら複数の井戸構造体を設けた井戸で囲まれた土壌領域に電流を流し、ジュール熱を発生させて加温する。これにより汚染土壌の温度を上げ、該土壌に保持されている汚染物質を該土壌から脱離させ、その流動性を高めて地下水に混入させる。本発明に係る井戸構造体の井戸枠は透水性を有するため、この地下水はその水圧により井戸枠内に入り込み、そこに貯留される。
こうして井戸枠内に取り込まれた汚染物質を含む地下水(貯留水)を、揚水管及び送気管を用いてエアリフトポンプの原理により地上に引き揚げる。すなわち、貯留水の水面下において、送気管から空気を揚水管内に送り込むことにより、空気の混入により平均的に比重が軽くなった水が、下方からの水圧(貯留水の揚程圧)により揚水管内を押し上げられてゆく。井戸枠内の貯留水の水位が低下すると、地下水は水圧により井戸枠を透過して井戸枠内に侵入し、貯留水の水位が回復する。こうして送気管から揚水管に空気を送り込み続けることにより、継続的に貯留水(汚染水)を汲み上げることができる。
本発明に係る井戸構造体では、電極井戸が回収井戸を兼ねているため、同一面積を浄化するための井戸の本数を従来よりも少なくすることができる。浄化すべき土地の面積が大きくなると、この本数の差は大きなものとなり、大きなコストダウンとなる。また、逆の見方をすれば、回収井戸の本数が従来よりも多くなるため、より効率よく汚染水を地上に引き上げることができるようになる。
本発明に係る井戸構造体はエアリフトポンプの原理を利用して汚染水を地上に汲み上げるため、ポンプを地下に置く必要がない。このため、各井戸の径を小さくすることができ、この点でも除染コスト低減に寄与する。そして、1気圧の揚程である10 mの限界がないため、どのような深さからでも汚染水を汲み上げることができる。更に、汲み上げる地下水に小さな土砂などが混入していても汲み上げることができる。従来の(地上/地下)ポンプで汲み上げる土壌浄化装置では、汲み上げる地下水に土砂等が混入しているとポンプが傷んでしまうためフィルター等を設ける必要があったが、本発明に係る井戸構造体ではフィルター自体の費用やその交換のための費用・手間を節約することができる。
本発明に係る井戸構造体ではエアリフトポンプの原理を応用しているため、次のような付随的効果も得られる。汚染物質を含む地下水はエアリフトポンプの原理で揚水管中を上昇して行く間に送気管からの空気と混合され続けているため、VOC等の気化しやすい汚染物質は地下水から容易に脱離する。このため、本発明に係る井戸構造体を用いた土壌浄化処理では、地上での曝気処理が不要となる。
本発明の第1の態様の土壌浄化装置に係る井戸構造体では、井戸枠内の貯留水には、土壌と同様に、電極間の電流が流れ、この電流によりジュール加熱される。貯留水は電極のすぐ近くにあるため、電流密度が大きく、また、水は一般に土壌よりも比抵抗値が高いため、土壌よりも早く高温に達する。この高温の貯留水の熱が熱伝導で周囲の土壌に与えられることによっても、汚染土壌の加温が促進される。更に、前記のエアリフト中の地下水からの汚染物質の脱離も促進される。
なお、このような原理を利用するため、第1の態様の土壌浄化装置に係る井戸構造体においては、井戸枠は電極から絶縁されている必要があるが、井戸枠自体は絶縁体であってもよいし、導電体(例えば金属製)であってもよい。
第2の態様の土壌浄化装置に係る井戸構造体は、電極を使用しないため、井戸径を細くすることができ、低コストで土壌汚染の除去を行うことができる。
本発明による井戸構造体の一実施例の概略構成図。 実施例の井戸構造体の井戸枠に設けられた2種のスリットを示す斜視図。 本発明による井戸構造体を用いた井戸の配置例の図。 本発明の別の実施例による井戸構造体の概略構成を示す図。 本発明の更に別の実施例による井戸構造体の概略構成を示す図。 本発明の井戸構造体を用いた土壌浄化装置の実験データであり、(a)は地表における各井戸の位置及び土壌温度の測定位置を示す平面図、(b)は各測定位置における温度の時間推移を示すグラフ。 本発明の井戸構造体を用いた別の実験の井戸配置の図。 前記実験による、通電開始からの経過日数とVOC回収量累計の推移を示すグラフ。 従来の電気加温法による回収井戸と電極井戸の配置を示す概略構成図。
本発明の井戸構造体の一実施例について図1〜図3を参照しつつ説明する。
図1は、本実施例の井戸構造体10の概略構成を示す断面図である。井戸構造体10は、井戸枠11とその上下に設けられた井戸蓋12及び井戸底13、そして、井戸蓋12から井戸枠11の中に気密に挿入された電極14、揚水管15、送気管16、吸引管17等から構成される。送気管16の先端は揚水管15の下端付近で揚水管15の側面に接続され、揚水管15内に空気を送給するようになっている。本実施例では井戸枠11は鋼製となっているため、電極14が井戸枠11と電気的に接触しないように、井戸蓋12と電極14の間には絶縁部材18が介装されている。
図2(a)や(b)に示すように、井戸枠11の下方側面には多数のスリット19を形成し、土壌に含まれている地下水を透過させるようにする。スリット19の幅は、土壌粒子が通過しない大きさ(例えば3 mm程度)としておく。スリットの長さや配置は、井戸枠11の強度が保持されれば任意であり、図2(a)、(b)に示すような態様に限られない。
送気管16の地上側には、空気を送るための送気ポンプ20を接続する。また、吸引管17の地上側には、吸引管17から空気(ガス)を吸引するための吸引ポンプ21を接続する。
このような井戸構造体10を、図3に示すように、除染すべき土壌の周囲に掘削した井戸に設置する。図3の例では、3本の井戸10-1〜10-3を正三角形の頂点に設け、各井戸の電極を、3相交流電源23の各相の端子(Φ1〜Φ3)に接続する。この三角形の大きさは、3相交流電源23の電圧及び電源容量と土壌の電気抵抗により適宜設定するが、3相交流電源23の出力電圧が80〜250 V、出力電流が10〜100 Aの場合、一般的には各辺の長さを3〜10 m程度とするとよい。各井戸の深さは、汚染物質及び地下水の存在する深さに応じて設定するが、例えば地下10〜30 m程度まで掘削することが多い。なお、井戸の直径は、上記のように電極や揚水管、送気管等を挿入しなければならないことから、50 mm以上は必要であるが、あまりに大きいと井戸の掘削コストが非常に大きくなることから、200 mm程度以下とするのがよい。
地下水が含まれている土壌の存在する深さまで掘削して設けた井戸では、土壌に含まれる地下水が水圧により井戸枠内に侵入し、貯留水となる(図1)。この地下水の状態を予め調査しておくことにより、電極14、揚水管15、送気管16は、この貯留水の水面下に位置する深さまで挿入しておく。なお、井戸枠11が金属製である場合は特に問題はないが、井戸枠11が非金属製(絶縁体)である場合、隣接井戸の電極間の電流はスリット19を通してしか流れないため、井戸枠11に設けるスリット19も、予め調査の上、加温したい深さのところに設けておく。
3相交流電源23の電源をオンにして各井戸構造体10の電極14に電圧を印加すると、3相交流電源23の電圧は、井戸枠11内の貯留水、井戸間の汚染土壌、隣接井戸構造体10の井戸枠11内の貯留水の間に印加される。これにより、まず、電流密度の高い、井戸枠11内の貯留水がジュール熱により加熱される。この貯留水の熱が周囲の汚染土壌を加温するとともに、汚染土壌は電極間の電流によってもそれ自身でジュール発熱する。
こうして土壌を加温すると、土壌粒子に吸着しているVOCが脱離するとともにその流動性が高まり、土壌に含まれている地下水に混入する。この地下水は前記の通り井戸枠11内に侵入する。この井戸枠11内に侵入した地下水(貯留水)は、次のようにエアリフトポンプの原理により地上に汲み上げられる。
まず、送気ポンプ20により空気を送気管16に送る。送気管16の下方先端は、貯留水の水面下において揚水管15に接続しているため、空気は揚水管15に送り込まれる。送り込まれた空気は揚水管15内の貯留水に混入し、これにより、平均的に比重が軽くなった貯留水が、下方からの水圧(貯留水の揚程圧)により、井戸枠11内に立設された揚水管15の内部を押し上げられて浮上する。汲み上げる貯留水の量は、送気ポンプ20の出力により調整することができる。
井戸枠11の内部の貯留水を汲み上げていくと、その水位は一旦低下するが、土壌中の地下水がその水圧で井戸枠11のスリット19を通過して侵入するため、井戸枠11内に貯留された貯留水の水位は回復する。このようにして、送気ポンプ20で送気を行っている間、VOCが混入した地下水(貯留水)を継続して回収することができる。
以上のとおり、本実施例の土壌浄化装置では、各井戸が土壌(及び貯留水)加温のための電極井戸とVOC汚染水を回収する回収井戸の両方の機能を備える。したがって、従来のように、電極井戸とは別の回収井戸を設ける必要がなく、井戸の本数を減らし、井戸掘削に掛かる費用ひいては土壌浄化に要するトータルのコストも下げることが可能となる。
さらに、本発明の土壌浄化装置では、貯留水の汲み上げにエアリフトポンプを利用したことで、以下のような効果も得られる。すなわち、貯留水に空気を送り込むことで貯留水が曝気され、その内部に混入していたVOCの一部が気化する。こうして気化したVOCは、揚水管15と共に地上に引き上げられる他、揚水管15の外部にも放出される。揚水管15中を貯留水と共に引き上げられたVOCガスは、地上で水と分離され、活性炭吸着等の排ガス処理装置へ送られ、無害化される。また、揚水管15の外部の井戸枠11内に放出されたVOCガスは、吸引ポンプ21により吸引管17を通して吸引され、同様に排ガス処理装置へ送られ無害化される。これらにより、VOCの回収効率を向上させることが可能となる。また、貯留水の温度が高いほどより多くのVOCが爆気によって気化するため、このような理由からも貯留水を加温するメリットがある。加えて、排ガス処理装置は、汲み上げたVOC汚染水を処理する水処理施設よりも安価なため、エアリフトポンプによるガス化促進は、処理のコスト削減メリットがある。
上記実施例では、井戸枠11の中に電極14を設けたが、井戸枠11を金属製とし、井戸枠11を電極として用いることもできる。この、本発明の第2の態様に係る井戸構造体30の実施例を図4に示す。この井戸構造体30は、電極が無い他は、基本的な構造は前記第1実施例の井戸構造体10とほぼ同じである。ただ、電極を挿入しないため、井戸枠31(すなわち、掘削すべき井戸)の太さを小さくすることができる。
本発明の更に別の実施例を図5(a)に示す。この実施例の井戸構造体40では、送気管46を揚水管45の内側に配置し、二重管構造としている。なお、図5(a)の井戸構造体40では送気管46の下端から揚水管45内に空気を放出しているが、図5(b)に示すように、送気管48の下端を閉塞し、その側面から空気を放出するようにしてもよい。これにより、送気管48内への土壌粒等の侵入を防ぐことができる。
そのような3本の電極井戸を用いた場合の土壌の加温効果を実験により確認したので、そのデータを図6に示す。図6(a)は、地表における各電極井戸の位置及び土壌温度の測定位置を示す。今回の実験では、3本の電極井戸A〜Cを、一辺の長さが3.5 mの正三角形の頂点に設け、各電極の深さは地下25 mとした。土壌は関東ロームであり、各電極への電圧印加には、出力電圧が110 V、出力電流が20 A、周波数50 Hzの3相交流電源を用いた。図6(b)は、横軸を経過日数(日)、縦軸を土壌温度(℃)として、各測定位置(1)〜(3)の地下24 mにおける土壌温度の測定値をプロットしたものである。土壌温度の測定は、測定位置(1)〜(3)にボーリングで地下24 mの深さの穴を形成し、各穴の底に温度計を配置して行った。
図6(b)のグラフのとおり、初日には約20℃であった土壌温度は、日数の経過とともに上昇し、90日後には40℃近くまで上昇している。この値は、シミュレーション結果の示す傾向に一致しており、本発明に係る土壌浄化装置に用いる電極井戸は、十分な土壌の加温効果を有することを確認できた。その間の貯留水の水位は地下18 m程度であった。
次に、別の井戸配置により実験を行った結果を図7及び図8により説明する。VOC実汚染現場において、図7に示すように6本の井戸を設け、各井戸に図1に示す井戸構造体を設置して、加温機能およびVOC回収機能の検証を実施した。現場の条件は次の通りである。
汚染物質:VOC(パークロロエチレン(PCE),トリクロロエチレン(TCE),ジクロロエチレン(DCE),塩化ビニルモノマ(VCM;但し、VCMはDCEの分解生成物))
土質:砂質シルト(粘性土)
地下水位:地表から2 m
電極深度:10 m
電極本数:6 本
出力電圧:三相交流110 V
出力電流:30〜40 A
通電開始から50日後に土壌温度が50℃に達したので、その時点でガス吸引とエアリフト揚水を開始した。図8のグラフは、エアリフト揚水曝気によって気化したVOC回収量の累計である。土壌温度の上昇は計画通りであり、また、この土壌からのVOCの回収も有効に行われていることが示されている。これにより、本発明による井戸構造体により電極井戸と回収井戸の両方の機能が有効に得られることが証明できた。
10、30、40…井戸構造体
11、31…井戸枠
12…井戸蓋
13…井戸底
14…電極
15、45…揚水管
16、46、48…送気管
17…吸引管
18…絶縁部材
19…スリット
20…送気ポンプ
21…吸引ポンプ
23…3相交流電源
51…回収井戸
52…電極井戸

Claims (5)

  1. 電気加温法を利用した土壌浄化に用いる土壌浄化装置であって、
    浄化するべき土壌領域の全体あるいは一部を囲むように配置された複数の井戸構造体と、
    電源と、
    を備え、
    前記複数の井戸構造体の全てが、
    a)土壌に含まれる地下水を取り込むための透水性を有する井戸枠と、
    b)前記電源と接続されるとともに前記井戸枠の中に挿入された、前記井戸枠とは電気的に絶縁された電極と、
    c)前記井戸枠に取り込まれる貯留水の水面下にその一端が位置するように前記井戸枠内に挿入された揚水管と、
    d)前記井戸枠の中に挿入された、前記水面下において前記揚水管内に空気を送り込むための送気管と
    を有することを特徴とする土壌浄化装置。
  2. 電気加温法を利用した土壌浄化に用いる土壌浄化装置であって、
    浄化するべき土壌領域の全体あるいは一部を囲むように配置された複数の井戸構造体と、
    電源と、
    を備え、
    前記複数の井戸構造体の全てが、
    a)前記電源と接続された、導電性と、土壌に含まれる地下水を取り込むための透水性とを有する井戸枠と、
    b)前記井戸枠に取り込まれる貯留水の水面下にその一端が位置するように前記井戸枠内に挿入された揚水管と、
    c)前記井戸枠の中に挿入された、前記水面下において前記揚水管内に空気を送り込むための送気管と
    を有することを特徴とする土壌浄化装置。
  3. 前記送気管が前記揚水管の外に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の土壌浄化装置。
  4. 前記送気管が前記揚水管の中に設けられ、揚水管と送気管が二重管構造となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の土壌浄化装置。
  5. 前記送気管の下端が封止され、側面に開口が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の土壌浄化装置。
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