本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他様々な実施の形態が含まれる。
まず、凹版印刷機におけるワイピング装置(M)について簡単に説明した後、本発明の泡安定機構(N1)及びその泡安定機構(N1)を有する液管理装置(S)の実施の形態について説明する。図1は、本発明のワイピング装置(M)における泡安定機構(N1)及びその泡安定機構(N1)を有する液管理装置(S)を示す模式図である。
ワイピング装置(M)は、ワイピングローラ(1)及びワイピング槽(2)により構成されている。
ワイピングローラ(1)は、凹版胴(3)に装着された図示しない凹版面上の余剰なインキを拭き取る部材であり、凹版胴(3)と対向する位置に接触して配置される。
ワイピング槽(2)は、ワイピングローラ(1)上に付着したインキを溶解及び分散させるための洗浄液(W)が貯留された槽である。ワイピング槽(2)は、さらに洗浄部材(4)及びドクターブレード(5)を有する。
洗浄部材(4)は、ワイピングローラ(1)に接触してインキを取り除くブラシ及び/又はタワシであり、ワイピングローラ(1)と面接触させる、図示しない支軸に固定される。
ドクターブレード(5)は、ワイピングローラ(1)の表面上に残存する洗浄液(W)を拭き取る鋼製又は樹脂製の部材であり、洗浄部材(4)の下流側に位置する。
印刷時において、凹版版面を装着した凹版胴(3)が反時計回りに回転駆動し、ワイピングローラ(1)が反時計回りに回転駆動する。その際、ワイピングローラ(1)により、凹版版面上の余剰インキの拭き取りを行った後、図示しない印刷部において用紙への印刷が施される。
ワイピングローラ(1)上に付着した余剰インキは、ワイピング槽(2)内の洗浄液(W)が付着した洗浄部材(4)を、ワイピングローラ(1)に接触させて動かすことで、インキを取り除く。洗浄後のワイピングローラ(1)は、ドクターブレード(5)を接触させることで、ワイピングローラ(1)の表面上に残存する洗浄液(W)が拭き取られる。
さらに、ワイピング装置(M)は、エアを用いてワイピング槽(2)内の泡を検知した後、泡を消去する装置である、泡安定機構(N1)を備える。
上方に開口部を有し、液体を貯留する槽においては、中の洗浄液(W)の高さは目視により確認することができる。しかしながら、ワイピング槽(2)においては、中の洗浄液(W)の液面高さは、ワイピングローラ(1)及びドクターブレード(5)により死角が発生することで、目視しづらくなる。
また、洗浄液(W)が界面活性剤を含むことから、印刷中においては泡が発生する。この、ワイピング槽(2)内に発生した泡により、実際の泡の高さ及び洗浄液(W)の液面高さを確認することができない。よって、ワイピング槽(2)内の泡や洗浄液が溢れだすことに起因する、不稼働時間が発生することがある。
そこで、本発明においては、泡安定機構(N1)により、エアを用いてワイピング槽(2)の泡の高さを測定することで、特許文献1の技術における、パイプ内に泡が侵入することに起因する、センサの誤作動が発生することなく、液面と区別して泡を検知することが可能となる。
また、詳細については後述するが、本発明においては、エアをワイピング槽(2)内の泡中に吐出する際に発生するエアの流量の変化により泡の量を算出する。エアの流量値は、ワイピング槽(2)内における泡の全体量に対して一定であることから、印刷中にワイピング槽(2)内の洗浄部材(4)近傍と、ワイピング槽(2)の内側面部で、泡の量に偏りが出た場合においても、泡の量を正確に測定することが可能となる。よって、エアを用いて正確な泡の量を測定し、その測定した泡の量を基に、適切な量の消泡剤を投入することが可能となる。
図2は、本発明の泡安定機構(N1)を有する液管理装置(S)の構成を示すブロック図である。なお、図2においては、泡安定機構(N1)及び液面安定機構(N2)から成る液管理装置(S)をブロック図で示しているが、まず始めに、本発明の特徴点である泡安定機構(N1)について説明し、その泡安定機構(N1)と、他の機構となる液面安定機構(N2)を有する液管理装置(S)については後述する。
図1の模式図及び図2のブロック図を基に説明する。泡安定機構(N1)は、前述のとおり、エアを用いてワイピング槽(2)内の泡の高さを測定した後、測定した泡の高さに基づき、必要に応じてワイピング槽(2)内の泡を消去する機構である。
泡安定機構(N1)は、泡の高さの測定に用いるエアを供給する泡用減圧手段(Q1)と、ワイピング槽(2)内の泡の高さを、エアを用いて測定する泡測定手段(Q2)と、ワイピング槽(2)内の泡を消去する泡消去手段(Q3)と、泡測定手段(Q2)及び泡消去手段(Q3)を構成する各手段の動作を制御する制御手段(Q4)により構成されている。
まず、泡用減圧手段(Q1)から説明することとする。泡用減圧手段(Q1)は、エアを用いて、ワイピング槽(2)内の泡の高さを測定するために、あらかじめ設定した一定量のエアを連続供給する手段であり、図示しないエア原と接続されている。
ワイピング槽(2)内の泡の高さを測定する際に用いるエアは、洗浄液(W)に比べて、密度の低い泡を測定する際に必要なエア圧を有するエアとする。なお、本発明における密度とは、ワイピング槽(2)内における、単位体積あたりの質量のことである。例えば、単位体積1cm3あたりの質量が1gであるならば、密度は1g/cm3とする。
詳細については後述するが、本発明においては、エアをワイピング槽(2)内の泡に吹き付けた際に発生するエアの流量の変化により泡の高さを算出する。泡は液体に比べ密度が低いためエア圧が高くなるほど、エアの流量の変化が少なくなり、泡の高さを測定しづらくなる。
反対に、エア圧が低すぎるとエア流量が検知できなくなり、泡の高さの測定ができずにワイピング槽(2)内から泡が溢れ出てしまい、好ましくない。よって、泡に適したエアを、泡用減圧手段(Q1)から供給する必要がある。なお、エアの強さについては、あらかじめ、印刷に用いる洗浄液(W)の泡を測定しておき、その泡に合わせて適宜エア圧を設定する。
なお、エア原は、一般的にコンプレッサを用いるが、コンプレッサは、貯蔵容量によりエア圧に変動が発生しやすい。例えば、エアの貯蔵容量が小さい場合には、コンプレッサの運転停止によりエア圧の変動が起きる。よって、泡用減圧手段(Q1)によりエア原からのエアを減圧させた後、後述する泡用流量測定手段(6)に供給することで、エア圧を基に測定する泡の高さを安定して測定することが可能となる。
コンプレッサのエアの貯蔵量が大きい場合には、コンプレッサを本実施形態における泡用減圧手段(Q1)として用いることが可能である。一方、コンプレッサのエアの貯蔵量が小さい場合には、エア原と、レギュレータ、バルブ等エアの圧力を減圧させる手段とを、泡用減圧手段(Q1)として用いる。レギュレータとは、エアの圧力を、所望の圧力に下げる減圧制御弁のことである。レギュレータには汎用タイプと精密タイプがあるが、泡の高さをより正確に測定するためには、精密タイプが、好ましい。また、バルブを用いて、エアを制御することも可能である。
本実施形態においては、泡の微量な変動を測定することから、微量なエア流量値の変動を測定する必要がある。よって、コンプレッサのエア圧が、約0.01〜1.0M・Paの小さいエア圧であり、変動が少ない場合、減圧の必要はない。
一方、一般的な公知の印刷機械に用いるコンプレッサのエア圧は、約3.0〜5.0M・Paと大きい。よって、大きいエア圧では、微量なエア流量値の変動を測定することができないことから、エア圧の変動が少ない場合でも、エアを減圧させる必要がある。
次に泡測定手段(Q2)について説明する。泡測定手段(Q2)は、ワイピング槽(2)内の泡の高さを、エアを用いて測定する手段であり、泡用減圧手段(Q1)からのエアを二つに分岐し、分岐した一方をワイピング槽(2)内の泡中に放出し、ワイピング槽(2)内の泡の高さの高低に伴う二つのエアの流量値のバランス変動により、ワイピング槽(2)内の泡の高さを算出する泡用流量測定手段(6)を少なくとも有する。
泡用流量測定手段(6)は、ワイピング槽(2)内の泡の高さを測定する際に用いるエアの流量値を測定する手段であり、ワイピング槽(2)外に、エア配管を介して泡用減圧手段(Q1)と接続して設置する。なお、エア配管は、泡安定機構(N1)を構成する各手段を繋ぐ管であり、銅配管及びチューブ等のエアを供給可能な管であれば特に限定しない。
泡用流量測定手段(6)は、第一流量測定手段(6−1)及び第二流量測定手段(6−2)を少なくとも備えている。泡用減圧手段(Q1)からのエアは、エア配管により二つの経路に分岐される。その分岐した二つの経路の一方の経路に第一流量測定手段(6−1)を備え、他方の経路に第二流量測定手段(6−2)を備える。
第一流量測定手段(6−1)は、ワイピング槽(2)内の泡中に放出されるエアの流量値(以下、「エア流量値」という。)を測定する手段であり、第二流量測定手段(6−2)は、ワイピング槽(2)外である大気中に放出されるエア流量値を測定する手段である。第一流量測定手段(6−1)及び第二流量測定手段(6−2)は、いずれも泡用減圧手段(Q1)及びワイピング槽(2)とエア配管を介して接続して設置されている。
図3は、第一流量測定手段(6−1)の構成を示す模式図である。泡用減圧手段(Q1)からのエアは、エア配管により二つの経路に分岐される。その分岐した二つの経路の一方の経路に第一流量測定手段(6−1)を備える。第一流量測定手段(6−1)は、エア配管を介してワイピング槽(2)と接続されている。
図3に示すように、エア配管の先端部の実際にエアが吐出される吐出口(7)については、ワイピング槽(2)内の泡(B)中に配置されるが、エア配管の先端部の吐出口(7)からは、泡用減圧手段(Q1)から供給されたエアが連続的に放出されることから、吐出口(7)自体が泡(B)の中に配置されていても、更にはワイピング槽(2)内の泡(B)の高さが増加しても、エア配管内に泡(B)が入ることはない。
図3のように、泡(B)の中に配置されたエア配管の先端部の吐出口(7)は、ワイピング槽(2)内の泡(B)を測定するため、液面上限位置(h1)よりも上になる程度の距離(V1)を有するように配置される。
エア流量値とは、一定時間に流れている気体の量を言い、本発明においては、泡用減圧手段(Q1)及び後述する液面用減圧手段(Q5)から供給されたエアが、エア配管から放出される際に、エア配管の吐出口(7)から一定時間に流れているエアの量を言う。
ワイピング槽(2)は、泡の発生量の増減により泡の高さが上昇又は下降し、泡用減圧手段(Q1)からエアを供給するエア配管の吐出口(7)にかかる泡の抵抗(以下、「水圧」という。)が大きくなる。それにより、泡の水圧が、吐出口(7)への負荷となることで、ワイピング槽(2)内のエア流量値が増減する。その増減するエア流量値を測定し、あらかじめ設定した泡がオーバーフローする場合の泡の高さにおけるエア流量値と比較することで、ワイピング槽(2)内の泡の高さを測定することが可能となる。
次に、第二流量測定手段(6−2)について説明する。第二流量測定手段(6−2)は、泡用減圧手段(Q1)から供給され、エア配管により二つの経路に分岐された二つの経路の第一流量測定手段(6−1)を備えた経路とは異なる他方の経路に備える。第二流量測定手段(6−2)は、エア配管を介して第一流量測定手段(6−1)と並置となるように接続されている。
第二流量測定手段(6−2)については、エア配管の先端部の実際にエアが吐出される吐出口(7)が、大気中にエアを放出可能とする位置に配置される。例えば、ワイピング装置(M)におけるワイピング槽(2)外に配置される。
前述のとおり、泡については、泡用減圧手段(Q1)から二つに分岐されたエアの一方をワイピング槽(2)内の泡に放出した際の、エア配管の吐出口(7)にかかる泡の水圧により、エア流量値を測定していた。大気中においては、泡用減圧手段(Q1)から二つに分岐されたエアの他方を大気中に放出した際の、エア配管の吐出口(7)にかかる空気圧により、エア流量値を測定する。
第一流量測定手段(6−1)と第二流量測定手段(6−2)を設けた場合、ワイピング槽(2)内の泡の高さの高低に伴う二つのエアの流量値のバランス変動により、ワイピング槽(2)内の泡の高さを算出する事が可能となる。
例えば、第一流量測定手段(6−1)の吐出口(7)への負荷が大きくなり、ワイピング槽(2)内へのエア流量値が増えた場合には、反対に、第二流量測定手段(6−2)の吐出口(7)への負荷が小さくなり、大気中に放出されるエア流量値が減る。このように、ワイピング槽(2)内の泡の高さの高低に伴う、泡と大気中の二つのエアの流量値のバランス変動により、ワイピング槽(2)内の泡の高さを算出することが可能となる。
なお、第一流量測定手段(6−1)及び第二流量測定手段(6−2)としては、公知の流量計を用いることができ、例えば、キーエンス社製の流量計(センサヘッド:FD−A1、FD−A10、FD−A100、アンプ:FD-V40A)、SMC株式会社製の流量計(PF2A710−02−27、PF2A750−02−27、PF2A750−03−27)等を用いることができる。
また、泡用流量測定手段(6)は、さらに、泡用差圧測定手段(6−3)を備えても良い。
泡用差圧測定手段(6−3)とは、第一流量測定手段(6−1)及び第二流量測定手段(6−2)により測定したエア流量値を基に、エアの圧力差(以下、「差圧」という。)を測定する手段であり、ワイピング槽(2)外における、第一流量測定手段(6−1)及び第二流量測定手段(6−2)と、エア配管を介して接続して設置する。
前述した第一流量測定手段(6−1)及び第二流量測定手段(6−2)のみであっても、後述する制御手段(Q4)を用いて演算を行うことにより、ワイピング槽(2)内の泡の高さを算出することが可能である。しかしながら、その場合は、第一流量測定手段(6−1)と第二流量測定手段(6−2)のそれぞれのエア流量値を、二つの信号としてそれぞれ演算を行うことで泡の高さを算出することから、処理に若干の時間を要することがある。
しかし、泡用差圧測定手段(6−3)は、第一流量測定手段(6−1)及び第二流量測定手段(6−2)のエアの差圧を測定している。エアの差圧を用いて、ワイピング槽(2)内の泡の高さを算出する場合には差圧のみであり、制御手段(Q4)で一つの信号として捉えることが可能となる。
よって、二つの信号を用いて演算を行う必要はなく、短時間で処理を行い、泡の高さを算出することが可能となる。なお、泡用差圧測定手段(6−3)としては、公知の差圧計を用いることができ、例えば、横河電機社製の差圧計(微差圧センサ:JP208−DEC、JP208−DNC、JP208−DGC)や、SMC株式会社製の差圧計(PSE550)等を用いることができる。
前述のとおり、ワイピング槽(2)内の泡の高さを測定するために、泡用減圧手段(Q1)から供給されるエアを二つに分岐して、一方を第一流量測定手段(6−1)に、他方を第二流量測定手段(6−2)に供給して、その流量値により泡の高さを測定するか、又はそれぞれに対する差圧により、泡の高さを測定する方法について説明したが、二つに分岐されるエアについては、必ずしも二等分とする必要はない。
例えば、泡用減圧手段(Q1)からのエアを100%とした場合、第一流量測定手段(6−1)に40%のエアを供給し、第二流量測定手段(6−2)に60%のエアを供給しても良い。この場合、基準となる両方の測定手段における流量値であることを適切に把握してあれば問題とはならない。ただし、両方の流量値のバランスにより、泡の高さの増減を判断するため、50%ずつにエアを供給する方が、泡の高さの増減を把握することが容易となり、好ましい。
さらに、第一流量測定手段(6−1)と第二流量測定手段(6−2)に供給するエアの割合を測定する基準時については、ワイピング槽(2)内に、泡及び洗浄液がいずれもない空の状態のときを基準としても良いし、もっとも適切な泡の高さがワイピング槽(2)内にある状態時の流量値を基準としても良く、どちらにおいても、基準とした条件時に両方のエアの流量値がどのようなバランスを保っているのかを把握しておくことが重要となる。
ただし、エア配管の長さや大きさ等により、エアの流量値は微妙に異なるため、洗浄液がワイピング槽(2)内にある状態で流量値を図っても、正確なエアの流量値となっているか、疑問を生じることもあるため、前者のワイピング槽(2)内に泡及び洗浄液が空の状態のときに両方のエアの流量値を測定し、それを基準としておくことが、好ましい。
泡安定機構(N1)は、さらに、泡用基準流量測定手段(8)を備えても良い。
泡用基準流量測定手段(8)とは、泡用減圧手段(Q1)から供給されたエアを、泡用流量測定手段(Q2)で測定する前に、泡用減圧手段(Q1)からのエアが、あらかじめ設定した基準のエア流量値であるか否かを測定する手段であり、泡用減圧手段(Q1)と泡用流量測定手段(Q2)の間に、エア配管を介して接続して設置する。
泡用減圧手段(Q1)においては、コンプレッサ及びエアタンク等の圧縮されたエアを供給する手段からのエアを用いている。
したがって、コンプレッサの駆動開始時及び終了時のようにコンプレッサのエア貯蔵容量に起因する泡用減圧手段(Q1)から供給されたエアに変動がある場合は、泡用流量測定手段(Q2)に供給されるエア量は一定ではなく、上下に変動したエア量が供給されることから、ワイピング槽(2)内に送られるエア量も上下に変動したエア量が供給されてしまう。そうなるとワイピング槽(2)内の泡の高さを正確に測定することができなくなる。
よって、泡用流量測定手段(Q2)にエアを供給する前に、エア変動の有無を測定し、エア変動が激しい場合には、泡用減圧手段(Q1)を調整して、より正確にワイピング槽(2)内の泡の高さを測定することが可能となる。なお、泡用減圧手段(Q1)の調整については、手動で行っても良いし、泡用基準流量測定手段(8)と泡用減圧手段(Q1)とが連動してエア変動を常に一定に保つことでも良い。
なお、エア配管の先端部の実際にエアが吐出される吐出口(7)については、図3に示すように、エア配管と同径であったが、これに限らない。
図4は、エア配管の吐出口(7)の他の形状を示す模式図である。図4に示すように、ワイピング槽(2)内の泡中にエアを放出するエア配管の吐出口(7)は、拡径するラッパ状に形成されても良い。
吐出口(7)をラッパ状にすることで、前述したエア配管と同径とした場合と比較し、泡と吐出口(7)との接地面積が増える。それにより、泡の検出がしやすくなるというメリットがある。しかしながら、ラッパ状とした場合には、エア流量の変動が鈍くなることに起因してエア変動の検知が鈍くなることから、エアの流量に合わせて適宜設置面積を設定する。
次に、泡消去手段(Q3)について説明する。泡消去手段(Q3)は、印刷中において発生したワイピング槽(2)内の泡を消去する手段である。従来、ワイピング槽(2)内に発生していた泡は、作業員が目視により監視をして、その都度除去していた。よって、監視を怠り、ワイピング槽(2)から泡が溢れ出た場合には、印刷機械の運転を停止し、清掃作業及び泡の除去作業を行うという問題が発生していた。
泡消去手段(Q2)を設けることで、洗浄液の品質低下や、作業員の負荷を低減させるだけではなく、常に安定した泡の高さを維持することが可能となる。よって、不稼働時間を発生させることなく、連続して印刷を行うことが可能となる。
泡消去手段(Q3)は、泡消去剤タンク(9)及び泡消去剤供給ポンプ(10)を少なくとも備えており、それぞれが液配管(図示せず)を介して接続している。なお、液配管は、泡消去手段(Q3)を構成する各手段を繋ぐ管であり、銅配管及びチューブ等の液体を供給可能な管であれば特に限定しない。
泡消去剤タンク(9)は、泡を消去する液体を貯蔵する手段であり、ワイピング槽(2)外の近傍に泡消去剤供給ポンプ(10)と液配管を介し、接続して配置する。洗浄液に発生した泡は、水を霧状に吹き付ける、シリコン乳濁液(KM−73E)である消泡剤をワイピング槽(2)内に投入する等により消去することが可能である。
よって、水を用いて泡を消去する際には、泡消去剤タンク(9)は水を貯蔵する手段であり、消泡剤を用いて泡を消去する際には、泡消去剤タンク(9)は消泡剤を貯蔵する手段となる。以下、消泡剤を用いて泡を消去する場合として説明する。
泡消去剤供給ポンプ(10)は、泡消去剤タンク(9)内の消泡剤を、ワイピング槽(2)へ供給する手段であり、ワイピング槽(2)外に、液配管を介して泡消去剤タンク(9)及びワイピング槽(2)と接続して配置される。なお、この泡消去剤供給ポンプ(10)は、ダイアフラム式ポンプ等、公知のポンプを用いることが可能である。
なお、泡消去剤供給ポンプ(10)は、泡測定手段(Q2)において測定したワイピング槽(2)内の泡の高さに応じて、後述する制御手段(Q4)により動作を制御しながら、ワイピング槽(2)へ消泡剤を供給する。
ワイピング槽(2)内の泡の高さが、あらかじめ設定した高さ以上となったときに、制御手段(Q4)により泡消去剤供給ポンプ(10)を動作することで、泡消去剤タンク(9)から消泡剤が泡消去剤供給ポンプ(10)を介して、ワイピング槽(2)内へと供給することが可能となる。
その後、ワイピング槽(2)内の泡の高さが、あらかじめ設定した量以下となった場合には、制御手段(Q4)により泡消去剤供給ポンプ(10)の動作を停止することで、消泡剤の供給が停止される。この動作を繰り返すことで、必要量の消泡剤をワイピング槽(2)内に連続供給することが可能となる。
なお、泡消去剤タンク(9)においては、泡消去剤タンク(9)内の消泡剤の量を測定する重量計を更に有しても良い。重量計により消泡剤の残量を測定し、残量が少ない場合には、泡消去剤タンク(9)内に新規の消泡剤を投入することで、安定して泡を消去することを可能とする。
制御手段(Q4)とは、泡用減圧手段(Q1)、泡測定手段(Q2)及び泡消去手段(Q3)を構成する各手段の動作を制御する部位である。なお、制御手段(Q4)においては、後述する液面安定機構(N2)を用いた液管理装置(S)を構成する各手段の動作についても制御を行うが、その点については後述する。
制御手段(Q4)は、演算手段(11)、比較手段(12)、A−D変換手段(13)、記憶手段(14)を少なくとも備えている。
演算手段(11)は、泡測定手段(Q2)を構成する各手段で測定した測定値を、あらかじめ設定した演算方法により演算する手段である。例えば、第一流量測定手段(6−1)において測定したエア流量値を、演算手段(11)により、あらかじめ設定した演算方法により演算することで、ワイピング槽(2)内の泡の高さを算出する。
比較手段(12)は、演算手段(11)における演算結果である泡の高さと、あらかじめ設定した基準となる値である泡の高さとを比較する手段である。また、比較手段(12)においては、その比較結果を基に、各手段の動作の制御を行う命令機能を有する。例えば、演算手段(11)により算出したワイピング槽(2)内の泡の高さと、あらかじめ設定した基準となる泡の高さとを比較し、ワイピング槽(2)内の泡の高さが基準となる泡の高さ以上である場合には、ワイピング槽(2)内の泡を消去する。
A−D変換手段(13)は、泡測定手段(Q2)を構成する各手段で測定した測定値を、アナログ信号からデジタル信号に変換する手段である。泡測定手段(Q2)を構成する各手段で測定した測定値が、アナログ信号であった場合には、演算手段(11)において演算可能とするために、A−D変換手段(13)でデジタル信号に変換する。
前述した第一流量測定手段(6−1)、第二流量測定手段(6−2)及び泡用差圧測定手段(6−3)が図示しないセンサアンプを有している場合、各手段で測定する数値は、電流又は電圧の変化としてアナログ信号により出力される。よって、A−D変換手段(13)によりアナログで出力された信号を、デジタル信号に変換する。
記憶手段(14)は、ワイピング槽(2)内の泡の高さを測定する際に用いる、あらかじめ設定した基準値や、泡測定手段(Q2)を構成する各手段において測定及び設定した値を記憶しておく手段である。
以上のように、ワイピング槽(1)内における泡の高さを、泡測定手段(Q2)によりエアを用いて測定した結果を用いて、制御手段(Q4)において泡を消去する命令が発せられ、泡消去手段(Q3)から、ワイピング槽(2)に消泡剤が供給される。したがって、ワイピング装置(M)の運転を停止することなく泡を消去することが可能となる。
また、本発明は、ワイピング装置(M)の運転を停止しない状態で、泡の高さを検知して消泡剤の自動供給を行う点が特徴ではあるが、さらに、液面安定機構(N2)を設けることで、泡の高さに加え、ワイピング槽(2)内の洗浄液の液面高さを検知し、運転中のワイピング槽(2)から余剰な洗浄液を連続的に回収し、回収した洗浄液を新規の洗浄液とともにワイピング装置(M)のワイピング槽(2)に供給する機構とすることが可能となる。
次に、液管理装置(S)に設ける液面安定機構(N2)について説明する。液面安定機構(N2)は、ワイピング槽(2)の洗浄液の液面高さを一定にするために、ワイピング槽(2)内の洗浄液の液面高さを測定する機構であり、液面用減圧手段(Q5)、液面測定手段(Q6)及び洗浄液循環手段(Q7)から成る。
まず、液面用減圧手段(Q5)から説明する。液面用減圧手段(Q5)は、エアを用いて、ワイピング槽(2)内の洗浄液の液面高さを測定するために、あらかじめ設定した一定量のエアを連続供給する手段であり、図示しないエア原と接続されている。
ワイピング槽(2)内の液面高さを測定する際に用いるエアは、ワイピング槽(2)の洗浄液(W)の測定深さに対して測定に必要なエア圧を有するエアとする。
詳細については後述するが、本発明においては、エアをワイピング槽(2)内の洗浄液に吹き付けた際に発生するエアの流量の変化により液面高さを算出する。洗浄液(W)の水位によってエア流量が変化することから、水位が高くなるほど、エア流量が減少する。
反対に、洗浄液(W)の水位が低い場合はエア流量が増加する。供給するエア圧が高すぎると洗浄液(W)の水位変動が小さく(鈍く)なることから、正確な液面を測定することが出来なくなる。よって、測定範囲に適したエアを、液面用減圧手段(Q5)から供給する必要がある。なお、印刷に用いる洗浄液(W)の水位を測定しておき、その水位に合わせて適宜エア圧を設定する。
なお、エア原は、前述した液面用減圧手段(Q1)と同様であることから説明を省略する。
本実施形態においては、液面の微量な変動を測定することから、微量なエア流量値の変動を測定する必要がある。よって、コンプレッサのエア圧が、約0.05〜1.0M・Paの小さいエア圧であり、変動が少ない場合、減圧の必要はない。
一方、一般的な公知の印刷機械に用いるコンプレッサのエア圧は、約3.0〜5.0M・Paと大きい。よって、大きいエア圧では、微量なエア流量値の変動を測定することができないことから、エア圧の変動が少ない場合でも、エアを減圧させる必要がある。
洗浄液(W)は前述のとおり、泡と比べて密度が大きい。よって。ワイピング槽(2)内の洗浄液の高さを測定する際に用いるエアは、泡(B)に比べて、密度の大きい洗浄液を測定する際に必要なエア圧を有するエアとする。
次に、液面測定手段(Q6)について説明する。液面測定手段(Q2)は、ワイピング槽(2)内の洗浄液の液面高さを、エアを用いて測定する手段であり、液面用減圧手段(Q5)からのエアを二つに分岐し、分岐した一方をワイピング槽(2)内の洗浄液中に放出し、ワイピング槽(2)内の液面高さの高低に伴う二つのエアの流量値のバランス変動により、ワイピング槽(2)内の液面高さを算出する液面用流量測定手段(15)を少なくとも有する。
液面用流量測定手段(15)は、ワイピング槽(2)内の液面高さを測定する際に用いるエアの流量値を測定する手段であり、ワイピング槽(2)外に、エア配管を介して液面用減圧手段(Q5)と接続して設置する。なお、エア配管は、前述の泡測定手段(Q2)と同様であることから説明を省略する。
液面用流量測定手段(15)は、第三流量測定手段(15−1)及び第四流量測定手段(15−2)を少なくとも備えている。液面用減圧手段(Q5)からのエアは、エア配管により二つの経路に分岐される。その分岐した二つの経路の一方の経路に第三流量測定手段(15−1)を備え、他方の経路に第四流量測定手段(15−2)を備える。
第三流量測定手段(15−1)は、ワイピング槽(2)内の洗浄液中に放出されるエア流量値を測定する手段であり、第四流量測定手段(15−2)は、ワイピング槽(2)外である大気中に放出されるエア流量値を測定する手段である。第三流量測定手段(15−1)及び第四流量測定手段(15−2)は、いずれも液面用減圧手段(Q5)及びワイピング槽(2)とエア配管を介して接続して設置されている。
図5は、第三流量測定手段(15−1)の構成を示す模式図である。液面用減圧手段(Q5)からのエアは、エア配管により二つの経路に分岐される。その分岐した二つの経路の一方の経路に第三流量測定手段(15−1)を備える。第三流量測定手段(15−1)は、エア配管を介してワイピング槽(2)と接続している。
前述のとおり、泡の高さを測定する際には、エア配管の先端部の実際にエアが吐出される吐出口(7)が、ワイピング槽(2)内の泡中に配置されていた。
図5に示すように、液面高さを測定する際には、吐出口(7)が、ワイピング槽(2)内の洗浄液中に配置される。なお、液面高さの測定においても、エア配管の先端部の吐出口(7)からは、液面用減圧手段(Q5)から供給されたエアが連続的に放出されることから、吐出口(7)自体が洗浄液(W)の中に配置されていても、更にはワイピング槽(2)内の液面高さが増加しても、エア配管内に洗浄液(W)が入ることはない。
図5のように、洗浄液(W)の中に配置されたエア配管の先端部の吐出口(7)は、ワイピング槽(2)内の洗浄液(W)が減少しても必ず洗浄液(W)の中に配置されなければならないため、ワイピング槽(2)の底部にほぼ近接(接しない)する程度の距離(V2)を有するように配置することとなる。
ワイピング槽(2)は、洗浄液(W)の増減により液面高さが上昇又は下降し、液面用減圧手段(Q5)からエアを供給するエア配管の吐出口にかかる水圧が大きくなる。それにより、水圧が負荷となることで、ワイピング槽(2)内のエア流量値が増減する。その増減するエア流量値を測定し、あらかじめ設定したオーバーフローになる液面高さにおけるエア流量値と比較することで、ワイピング槽(2)内の液面高さを測定することが可能となる。
なお、オーバーフローとなる液面高さとは、図5に示すように、ワイピング槽(2)において、洗浄液(W)がワイピング槽(2)外へ溢れ出ない液面高さ(h3)のことであり、例えば、ワイピング槽(2)上部(V3)からの水位が0.5〜1cmとなる高さのことである。
一例として、ワイピング槽(2)の深さを21cmとし、オーバーフローとなる液面高さを、ワイピング槽(2)上部(V3)からの水位が1cmとなる高さとした場合の液面高さの測定方法について説明する。まず、ワイピング槽(2)の水位上昇によるエア流量値を決定するために、ワイピング槽(2)が空の状態である液面高さ(h3)が0cmの時における、ワイピング槽(2)内のエア流量値を測定する。
次に、ワイピング槽(2)内の液面高さ(h3)が1cmの時における、ワイピング槽(2)内のエア流量値とする。
次に、ワイピング槽(2)内の液面高さ(h3)が1cmの時におけるエア流量値が、空の状態の時におけるエア流量値の何%であるかを計算する。例えば、第三流量測定手段(15−1)で測定した液面高さ(h3)が1cmの時のエア流量値が、空の状態のエア流量値の98%であるなら、水位1cmあたりのエア流量値が2%となる。よって、液面高さ(h3)の1cmの変動に伴い、エア流量値の変動が2%ある。
ワイピング槽(2)の深さを21cmとし、オーバーフローとなる液面高さを、ワイピング槽(2)上部(V3)からの水位が1cmである液面高さ(h3)20cmとした場合、先の測定した、水位1cmあたりのエア流量値2%を、20cm分として20倍としたエア流量値40%を、空の状態のエア流量値である100%から引いた、60%のエア流量値になる値を、オーバーフローとなるエア流量値として決定する。
よって、第三流量測定手段(15−1)で測定したエア流量値が、第三流量測定手段(15−1)で測定したエア流量値の60%となった場合、ワイピング槽(2)が、オーバーフローとなる液面高さに達したといえる。
次に、第四流量測定手段(15−2)について説明する。第四流量測定手段(15−2)は、液面用減圧手段(Q5)から供給され、エア配管により二つの経路に分岐された二つの経路の第三流量測定手段(15−1)を備えた経路とは異なる他方の経路に備える。第四流量測定手段(15−2)は、エア配管を介して第三流量測定手段(15−1)と並置となるように接続されている。
第四流量測定手段(15−2)については、エア配管の先端部の実際にエアが吐出される吐出口(7)が、大気中にエアを放出可能とする位置に配置される。例えば、ワイピング装置(M)におけるワイピング槽(2)外に配置される。
前述のとおり、洗浄液については、液面用減圧手段(Q5)から二つに分岐されたエアの一方をワイピング槽(2)内の洗浄液に放出した際の、エア配管の吐出口(7)にかかる洗浄液の水圧により、エア流量値を測定していた。大気中においては、液面用減圧手段(Q5)から二つに分岐されたエアの他方を大気中に放出した際の、エア配管の吐出口(7)にかかる空気圧により、エア流量値を測定する。
第三流量測定手段(15−1)と第四流量測定手段(15−2)を設けた場合、前述したワイピング槽(2)内の泡の高さの算出と同様に、ワイピング槽(2)内の液面高さの高低に伴う二つのエアの流量値のバランス変動により、ワイピング槽(2)内の液面高さを算出する事が可能となる。
なお、第三流量測定手段(15−1)及び第四流量測定手段(15−2)としては、公知の流量計を用いることができ、例えば、キーエンス社製の流量計(センサヘッド:D−A1、FD−A10、FD−A100、アンプ:FD-V40A)、SMC株式会社製の流量計(PF2A710−02−27、PF2A750−02−27、PF2A750−03−27)等を用いることができる。
また、液面用流量測定手段(15)は、さらに、液面用差圧測定手段(15−3)を備えても良い。
液面用差圧測定手段(15−3)とは、第三流量測定手段(15−1)及び第四流量測定手段(15−2)により測定したエア流量値を基に、差圧を測定する手段であり、ワイピング槽(2)外における、第三流量測定手段(15−1)及び第四流量測定手段(15−2)と、エア配管を介して接続して設置する。
前述した第三流量測定手段(15−1)及び第四流量測定手段(15−2)のみであっても、後述する制御手段(Q4)を用いて演算を行うことにより、ワイピング槽(2)内の液面高さを算出することが可能であるが、液面用差圧測定手段(15−3)を設置することで、前述した泡用差圧測定手段(6−3)と同様に、二つの信号を用いて演算を行う必要はなく、短時間で処理を行い、液面高さを算出することが可能となる。
なお、液面用差圧測定手段(15−3)としては、公知の差圧計を用いることができ、例えば、横河電機社製の差圧計(微差圧センサ:JP208−DEC、JP208−DNC、JP208−DGC)や、SMC株式会社製の差圧計(PSE550)等を用いることができる。
前述のとおり、ワイピング槽(2)内の液面高さを測定するために、液面用減圧手段(Q5)から供給されるエアを二つに分岐して、一方を第三流量測定手段(15−1)に、他方を第四流量測定手段(15−2)に供給して、その流量値により液面高さを測定するか、又はそれぞれに対する差圧により、液面高さを測定する方法について説明したが、二つに分岐されるエアについては、泡測定手段(Q2)と同様に、必ずしも二等分とする必要はないことから、適宜割合を設定する。
なお、液面高さにおける、第三流量測定手段(15−1)と第四流量測定手段(15−2)に供給するエアの割合を測定する基準時については、ワイピング槽(2)内に泡も洗浄液もない空の状態のときを基準としても良いし、もっとも適切な液面高さがワイピング槽(2)内に供給されている状態時の流量値を基準としても良く、どちらにおいても、基準とした条件時に両方のエアの流量値がどのようなバランスを保っているのかを把握しておくことが重要となる。
液面安定機構(N2)は、さらに、液面用基準流量測定手段(16)を備えても良い。
泡用基準流量測定手段(16)とは、液面用減圧手段(Q5)から供給されたエアを、液面用流量測定手段(Q6)で測定する前に、液面用減圧手段(Q5)からのエアが、あらかじめ設定した基準のエア流量値であるか否かを測定する手段であり、液面用減圧手段(Q5)と液面用流量測定手段(Q6)の間に、エア配管を介して接続して設置する。
なお、泡用基準流量測定手段(16)を測定する利点については、前述した泡用基準流量測定手段(8)と同様であることから、説明を省略する。
次に、液管理装置(S)に設ける液面安定機構(N2)を構成するもう一つの手段である、洗浄液循環手段(Q7)について説明する。
洗浄液循環手段(Q7)は、ワイピング槽(2)内の洗浄液を回収し、再供給をする手段であり、洗浄液回収ポンプ(17)、洗浄液タンク(18)及び洗浄液供給ポンプ(19)を少なくとも備えており、それぞれが液配管(図示せず)を介して接続している。なお、液配管は、前述の泡消去手段(Q3)と同様であることから説明を省略する。
洗浄液回収ポンプ(17)はワイピング槽(2)に貯まった洗浄液を洗浄液タンク(18)に送る手段である。なおこの回収ポンプは渦巻き式ポンプ等、公知のポンプを用いることが可能である。
洗浄液回収ポンプ(17)は、ワイピング装置(M)外の近傍に、洗浄液タンク(18)と液配管を介して接続し、設置される。
洗浄液タンク(18)は、回収または供給する洗浄液を貯蔵する手段である。洗浄液タンク(18)においては、洗浄液を供給時に最適なph値及び温度とするために、Ph管理と温度管理を常時行っている。
洗浄液タンク(18)は、図示しない温度管理を行うためのヒータと、ph値を測定するためにph計を有する。洗浄液タンク(18)を設置することで、洗浄液を常に最適な状態で保ちながら、貯蔵することが可能となる。なお、洗浄液タンク(18)は、さらに回収した洗浄液に混入したインキカス等の不純物を除去する機構を設けても良い。
また、洗浄液タンク(18)においては、複数設置しても良い。複数設置することで、洗浄液が古くなったり、残量が少なくなったりした場合に、切り替えて使用することで、安定して洗浄液の供給を行うことを可能とする。
なお、洗浄液タンク(18)は、ワイピング装置(M)外の近傍に洗浄液回収ポンプ(17)及び後述する洗浄液供給ポンプ(19)を、それぞれ液配管を介し、接続して配置する。
洗浄液供給ポンプ(19)とは、洗浄液タンク(18)の洗浄液をワイピング槽(2)へ供給する手段であり、ワイピング槽(2)外に、液配管を介して貯蔵手段(11)及びワイピング槽(2)と接続して配置される。なお、この洗浄液供給ポンプ(19)は、渦巻きポンプ等、公知のポンプを用いることが可能である。
なお、液管理装置(S)に液面安定機構(N2)を設けた場合、前述した制御手段(Q4)において、さらに、液面測定手段(Q6)及び洗浄液循環手段(Q7)の動作制御も併せて行う。次に、液面安定機構(N2)の動作制御について説明する。
演算手段(11)では、前述した泡測定手段(Q2)で測定した測定値の演算に加え、液面測定手段(Q6)を構成する各手段で測定した測定値を、あらかじめ設定した演算方法により演算する手段である。例えば、第三流量測定手段(15−1)において測定したエア流量値を、演算手段(11)により、あらかじめ設定した演算方法により演算することで、ワイピング槽(2)内の液面の高さを算出する。
比較手段(12)では、前述した泡測定手段(Q2)で比較した泡の高さに加え、演算手段(11)における演算結果であるワイピング槽(2)内の液面高さの値と、あらかじめ設定した基準となる液面高さの値とを比較する。
なお、比較手段(12)においては、前述した泡安定機構(N1)の各手段の動作制御に加え、液面安定機構(N2)の各手段の動作制御も行う。例えば、演算手段(11)により算出したワイピング槽(2)内の液面の高さと、あらかじめ設定した基準となる液面の高さとを比較し、ワイピング槽(2)内の液面の高さが基準となる液面の高さ以下である場合には、ワイピング槽(2)内に洗浄液を投入する。
A−D変換手段(13)においては、前述した泡測定手段(Q2)における測定値の変換に加え、液面測定手段(Q6)を構成する各手段で測定した測定値を、アナログ信号からデジタル信号に変換する。
記憶手段(14)においては、前述した泡の高さ測定に用いる、測定値、設定値等の記憶に加え、ワイピング槽(2)内の液面の高さを測定する際に用いる、あらかじめ設定した基準値や、液面測定手段(Q6)を構成する各手段において測定及び設定した値を記憶しておく。
以上のように、ワイピング槽(1)内における液面の高さを、液面測定手段(Q6)によりエアを用いて測定した結果を用いて、制御手段(Q4)において洗浄液を増減する命令が発せられ、洗浄液循環手段(Q7)から、ワイピング槽(2)に洗浄液を供給または回収される。したがって、ワイピング装置(M)の運転を停止することなく洗浄液を増減させることが可能となる。
次に、洗浄液循環手段(Q7)の動作について説明する。まず、洗浄液回収ポンプ(17)において、泡安定機構(N2)で測定したワイピング槽(2)内の液面の高さに応じ、制御手段(Q4)により動作を制御しながら、ワイピング槽(2)の洗浄液を回収する。
ワイピング槽(2)内の液面の高さが、あらかじめ設定した上限水位となった場合、制御手段(Q4)により洗浄液回収ポンプ(17)を動作することで、ワイピング槽(2)内の洗浄液を洗浄液タンク(18)へ回収する。また、ワイピング槽(2)内の液面の高さが、あらかじめ設定した下限水位となった場合には、制御手段(Q4)により洗浄液回収ポンプ(17)の動作を停止することで、洗浄液の回収を停止させる。この動作を繰り返すことで、ワイピング槽(2)内の水位を制御することが可能となる。
なお、液管理装置(S)を構成する泡安定機構(N1)及び液面安定機構(N2)と、各機構(N1、N2)構成している各手段(Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6、Q7)については、液配管(図示せず)を介して接続している。液配管は、前述の泡消去手段(Q3)と同様であることから説明を省略する。
以上、液管理装置(S)においては、泡安定機構(N1)に加え、液面安定機構(N2)を設置することで、ワイピング装置(M)におけるワイピング槽(2)内の泡の高さと、洗浄液の液面高さを検知した後、適切な量の消泡剤と洗浄液を、ワイピング槽(2)内に供給することが可能となった。