JP6185953B2 - 有用微生物を含む水質浄化体 - Google Patents
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Description
2.前記有用微生物としてバチルス属(Bacillus)を含むことを特徴とする1.に記載の水質浄化体。
3.前記有用微生物としてBacillus firmus BA1株(受託番号:NITE P−02009)、またはBacillus pumilus BK1株(受託番号:NITE P−02010)を含むことを特徴とする1.または2.に記載の水質浄化体。
4.前記マグネシアセメント硬化体が、塩類として塩化マグネシウムのみを含むことを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の水質浄化体。
5.前記マグネシアセメント硬化体が、塩類として塩化マグネシウムと硫酸マグネシウムの両方を含むことを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の水質浄化体。
6.建築構造物、または土木資材であることを特徴とする1.〜5.のいずれかに記載の水質浄化体。
本発明の水質浄化体は、有用微生物を含むマグネシアセメント硬化体からなることを特徴とする。
本発明の水質浄化体に用いる有用微生物の種類は好気性であれば特に制限されず、その用途に応じて選択することができる。例えば、バチルス属(Bacillus)、アルカリゲネス属(Alcaligenes)、シュウドモナス属(Pseudomonas)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)菌、ニトロバクター属(Nitorobacter)、ニトロソモナス属(Nitrosomonas)、アシネトバクター属(Acinetobacter)等を挙げることができる。これらの細菌は、自然環境中に生存しており、廃水中の有機物を栄養源として増殖するため、水質浄化に好適に用いることができる。
マグネシアセメントとは、酸化マグネシウムと、塩化マグネシウムと硫酸マグネシウムのいずれか、または両方との混合物であり、水を加えると水和硬化してマグネシアコンクリート(以下、「マグネシアセメント硬化体」、または単に「硬化体」という。)となる。マグネシアセメントは一般的なポルトランドセメントに比べて硬化速度が速く、成形体強度が高いという好ましい特性を有するが、保存性、硬化後の安定性に問題があるため広く利用されるに至っていない。
酸化マグネシウムは、鉱石のマグネサイトや、海水にアルカリを反応させて得られる水酸化マグネシウム等を原料とし、焼成等により炭酸根又は水分子等を取り除くことで得られる。おおむね1800℃以下の温度で焼成された酸化マグネシウムは、水と接触すると等モルの水分子と結合して水酸化マグネシウムとなる水和反応を起こす。
十分な水存在下で酸化マグネシウムが水和反応を起こす際、塩化マグネシウムや硫酸マグネシウム等の塩類が存在すると、その塩類の種類や濃度によりマグネシウムオキシクロライドやマグネシウムオキシサルフェート等のいわゆる副塩を形成する。
塩化マグネシウムには、無水塩(0水塩)、1水塩、2水塩、4水塩、6水塩、8水塩、12水塩が存在する。「水塩」とは結晶として単離できる化合物を意味する。また、一般的に塩化マグネシウムと称される物は6水塩である。本発明では、上記した塩化マグネシウムの1種、または2種以上の混合物を特に制限することなく使用することができる。なお、塩化マグネシウムは空気中の水分を取り込んで水溶液となる潮解性を有する。
硫酸マグネシウムには、無水塩(0水塩)、1水塩、2水塩、4水塩、5水塩、6水塩、7水塩、12水塩が存在する。「水塩」とは結晶として単離できる化合物を意味する。また、一般的に硫酸マグネシウムと称される物は7水塩である。本発明では、上記した硫酸マグネシウムの1種、または2種以上の混合物を特に制限することなく使用することができる。なお、硫酸マグネシウム7水塩は、乾燥空気中に放置すると結晶水を失う特性、すなわち、風解性を有する。
本発明のマグネシアセメントにおいて、塩化マグネシウムと硫酸マグネシウムとは一方のみを用いてもよく、両方を用いてもよい。マグネシアセメント硬化体の組成は、塩化マグネシウムの代表的な副塩として、5MgO・MgCl2・12H2O、5MgO・MgCl2・14H2O、9MgO・MgCl2・24H2O、8MgO・MgCl2・15H2O、4MgO・Mg(OH)Cl・16H2O等が挙げられる。また、硫酸マグネシウムの代表的な副塩として、5MgO・MgSO4・8H2O、MgO・MgSO4・6H2O、3MgO・MgSO4・11H2O、5MgO・MgSO4・8H2O等が挙げられる。塩化マグネシウムと硫酸マグネシウムの両方を用いた際は、これらの混合物になっていると推測される。
マグネシアセメントを硬化させる際の水に、有用微生物を含む菌液を含ませることで、本発明の有用微生物を含むマグネシアセメント硬化体からなる水質浄化体を得ることができる。また、マグネシアセメント硬化体を多孔質として、菌液に浸漬することで本発明の水質浄化体を得ることもできる。菌液は、培養液をそのまま、または希釈して用いることができる。本発明のマグネシアセメント硬化体は、pH9〜10の弱アルカリ性であるため、硬化体と有用微生物とが直接接触しても、有用微生物のアルカリによる減少を防ぐことができる。
表1に示す2種のバチルス菌の菌液を用いた。また、菌液を段階希釈した10000倍希釈液を、標準寒天培地に0.1ml塗布し、培養槽(アズワン株式会社製定温乾燥機、装置名:ON−450S)で30℃、24時間培養した後のコロニーの数を示す。なお、菌液中でバチルス菌は芽胞を形成している。
マグネシアセメントとして、下記表2に示す重量比で配合した3種のマグネシアセメントを用いた。また、比較例として、市販のポルトランドセメント(株式会社コメリ製 商品名:コメリ ポルトランドセメント)を用いた。また、粉体である各セメント1.00gを100mlの水に入れて撹拌し、上澄のpHをpHメータ(堀場製作所株式会社製、装置名:D−51)を用いて測定した。測定結果を表2に示す。
水1000mLに対して、酵母エキス2.5g、トリプトン5.0g、グルコース1.0g、寒天粉末15.0gを加えて混合し、高圧蒸気殺菌した。この混合物20mlを、50度に保温した滅菌シャーレに加えて室温で放置し、寒天を凝固させて標準寒天培地とした。
215ml容量のプラスチック容器に、100gのマグネシアセメント1と、純水50mlを加え撹拌した。撹拌しながら、BA1株の菌液を1ml添加し、さらに3分撹拌した。撹拌後、22℃で2日間静置して硬化させた。なお、静置時には内部に気泡が形成されないようにした。
プラスチック容器から取り出した硬化体をハンマーで細かく砕き、この破砕物0.1gを滅菌済みの1.5ml用蓋付マイクロチューブに量り取り、0.9mlの生理食塩水に懸濁した。標準寒天培地に懸濁液0.1ml塗布し、培養槽(アズワン株式会社製定温乾燥機、装置名:ON−450S)で30℃、24時間培養した後、コロニーの数を計測した。
また、室内で45日放置した後の硬化体をハンマーで砕き、上記と同様にしてコロニーの数を計測した。
有用微生物とマグネシアセメントとを、下記表3に示すように組み合わせて、上記実施例1と同様にして、硬化体を作製し、コロニー数を計測した。試験結果を表3に示す。
市販のポルトランドセメントを用い、硬化時に加える水を40mlとした以外は、上記実施例1と同様にして、硬化体を作製し、コロニー数を計測した。試験結果を表4に示す。
マグネシアセメント1〜3を用い、バチルス菌の菌液を加えなかった以外は、上記実施例1と同様にして、硬化体を作製し、コロニー数を計測した。試験結果を表4に示す。なお、比較例3〜5では、45日放置後のコロニー数の計測は行っていない。
マグネシアセメント硬化体のpHは9.22〜9.44であった。ポルトランドセメント硬化体のpHは11.76であり、マグネシアセメント硬化体のアルカリ性は、ポルトランドセメント硬化体の100分の1以下であった。
Claims (5)
- 有用微生物を含むマグネシアセメント硬化体からなり、
前記マグネシアセメント硬化体が、塩類として塩化マグネシウムのみを含むことを特徴とする水質浄化体。 - 有用微生物を含むマグネシアセメント硬化体からなり、
前記マグネシアセメント硬化体が、塩類として塩化マグネシウムと硫酸マグネシウムの両方を含み、
前記塩化マグネシウムと前記硫酸マグネシウムとの無水塩換算重量比が、1:0.05〜1:1.4であることを特徴とする水質浄化体。 - 前記有用微生物としてバチルス属(Bacillus)を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の水質浄化体。
- 前記有用微生物としてBacillus firmus BA1株(受託番号:NITE P−02009)、またはBacillus pumilus BK1株(受託番号:NITE P−02010)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水質浄化体。
- 建築構造物、または土木資材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
水質浄化体。
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