JP2005335969A - 軽量多孔質体及びその製造方法並びに担体と水質浄化材 - Google Patents

軽量多孔質体及びその製造方法並びに担体と水質浄化材 Download PDF

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Abstract

【課題】 酵素、微生物等の固定対象物の固定化率を顕著に向上させることのできる軽量多孔質体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 多孔質体は、もみ殻を350〜700℃で燃焼して得られたもみ殻灰、無機質骨材及びセメントを含む組成物が焼結されてなる粉粒体からなり、その内部に多孔質構造が形成され、粉粒体の表面に外に開口した表面気孔が多数散在して形成され、これら表面気孔が内部の多孔質構造に連通した構成とする。この多孔質体は、もみ殻を350〜700℃で燃焼して得られたもみ殻灰、無機質骨材及びセメントを含む固形原料に水が加えられてなる原料組成物を成形して成形体を得る工程と、セメントの水和反応により前記成形体を硬化させる養生工程と、前記養生を行った成形体を高温で焼成して多孔質焼結体を得る焼結工程と、前記焼結体を破砕する破砕工程とを含む製造方法で製造できる。
【選択図】 なし

Description

この発明は、例えば酵素固定用担体等の担体、水質浄化材、吸着フィルター、濾過材等として用いられる軽量多孔質体及びその製造方法に関する。
従来より、食器、衛生器、或いは電気、電子材料等の工業製品として用いられている陶磁器は、粘土、セリサイト、ロウ石等の可塑性原料を用いてこれを高温焼成により焼結または溶融せしめて製造されているが、これらの可塑性原料が近年枯渇化の傾向にあり、この分野においては新たな代替原料の開発が急務となっている。また、従来の陶磁器は一般に重いものが多く、新たな用途の拡がりに伴って軽量化の要請も多くなってきている。
一方、稲の脱穀の際に生じるもみ殻は、農業廃棄物として毎年多量に排出され、その一部が燃料として用いられてはいるものの、その殆どが有効利用の途がなく、そのまま廃棄するか、或いは焼却してもみ殻灰としてからこれを廃棄処分にしているのが現状である。近年の資源の有効活用、リサイクル利用の気運の高まりの中、このようなもみ殻やもみ殻灰についても有効利用の具体的方策をたてることが強く望まれていたところである。
このような技術的背景の中、もみ殻灰、無機質骨材及びセメントを含む固形原料に水が加えられてなる原料組成物を成形して成形体を得た後、セメントの水和反応により成形体を硬化させ、更に高温で焼成することによって、軽量でかつ多孔質の焼結体を製造できることを報告している(特許文献1参照)。
一方、近年、固定化酵素を用いたバイオリアクターの研究が盛んになってきているが、このような酵素固定用の多孔質担体としては、例えばカオリナイト、ベントナイト、多孔質ガラス、シリカ、アルミナ等が知られている(特許文献2参照)。
しかるに、上記例示の多孔質担体では、酵素は、多孔質担体の表面で固定化されているのが殆どであり、内部の多孔質構造には殆ど固定化されていないので、即ち担体の単位容積当たりの酵素固定量が少ない(高密度に酵素を固定化できない)ので、酵素反応に時間を要するし、バイオリアクター装置が大型化するという問題があった。
また、このように酵素を高密度に固定化できないことから、従来では多孔質担体の粒子径を非常に小さくして用いられることもあった。粒子径を小さくすることで表面積を増大させることができて、これにより担体の単位容積当たりの酵素固定量を増大させることができる。しかしながら、バイオリアクター装置としては、酵素が固定化された粒状の多孔質担体を反応用カラム内に充填した構成とし、このカラム内に反応液を通液する方式が採用されることが多いが、この場合には、多孔質担体の粒子径が小さいために通液抵抗が大きくなり反応用カラム内の反応液の流速が顕著に低下するという問題、即ち反応処理効率が悪いという問題を抱えていた。また、多孔質担体の粒子径が小さいと、反応後の酵素固定化担体の回収が困難である。なお、勿論、多孔質担体の粒子径を大きくすれば、反応用カラム内の反応液の流速を増大できるのであるが、この場合には、担体の表面積の低下により担体の単位容積当たりの酵素固定量が顕著に低下する。このように、従来の多孔質担体では、酵素の固定化は表面が殆どであり、内部の多孔質構造には殆ど固定化されていないので、多孔質担体の粒子径によって多孔質担体の単位容積当たりの酵素固定量が大きく変化するものとなっていた。このために、バイオリアクターとして使用条件や反応条件に合わせた最適な設計を行うことは容易ではなかった。
また、前記特許文献1に記載された軽量多孔質体を酵素固定用担体として用いた場合、前記特許文献2に記載された多孔質担体と同様に、酵素は、多孔質体の表面で固定化されているのが殆どであり、内部の多孔質構造には殆ど固定化されなかった。
そこで、本出願人は、酵素、微生物等の固定対象物を表面だけではなく内部の多孔質構造にも十分に固定化することのできる軽量多孔質体を開発すべく鋭意研究した。その結果、もみ殻灰、無機質骨材及びセメントを含む固形原料に水が加えられてなる原料組成物を成形して成形体を得た後、セメントの水和反応により成形体を硬化させ、更に高温で焼成し、得られた多孔質焼結体を破砕することによって、上記所望の軽量多孔質体が得られることを見出すに至り、特許出願した(特願2003−53088号)。
特開2003−165783号公報(請求項1) 特開平9−313179号公報(段落0009)
前記特願2003−53088号に記載の技術で作製された軽量多孔質体では、表面だけではなく内部の気孔にも酵素、微生物等の固定対象物を固定化することができて、酵素や微生物等による作用量(活性)は粉粒体の粒径による影響を受けないものとなる。
ところで、例えば酵素固定化多孔質担体としては、担体の単位量当たりの酵素活性をさらに向上させることが要求されるような場合があり、このような場合には多孔質担体に橋架け剤等の前処理を施すことによって酵素の固定化率を増大させるようにしていたが、それでも酵素固定化率の向上はせいぜい2倍程度までであり、これ以上の性能向上は困難であった。
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、酵素、微生物等の固定対象物の固定化率を顕著に向上させることのできる軽量多孔質体及びその製造方法を提供することを目的とする。
[1]もみ殻を350〜700℃で燃焼して得られたもみ殻灰、無機質骨材及びセメントを含む組成物が焼結されてなる粉粒体からなり、前記粉粒体の内部に多孔質構造が形成され、前記粉粒体の表面に外に開口した表面気孔が多数散在して形成され、これら表面気孔が前記内部の多孔質構造に連通していることを特徴とする軽量多孔質体。
[2]前記粉粒体における、もみ殻灰の含有率が20〜95質量%、無機質骨材の含有率が2〜50質量%、セメントの含有率が2〜50質量%の範囲である前項1に記載の軽量多孔質体。
[3]前記無機質骨材は、珪石及び珪酸塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の骨材である前項1または2に記載の軽量多孔質体。
[4]前記表面気孔の平均径が10〜200μmである前項1〜3のいずれか1項に記載の軽量多孔質体。
[5]前記粉粒体の表面の少なくとも一部は、破砕により形成された破砕面である前項1〜4のいずれか1項に記載の軽量多孔質体。
[6]前項1〜5のいずれか1項に記載の軽量多孔質体からなり、酵素、酵母及び微生物からなる群より選ばれる1種または2種以上の物質の固定用として用いられることを特徴とする担体。
[7]前項1〜5のいずれか1項に記載の軽量多孔質体からなる水質浄化材。
[8]もみ殻を350〜700℃で燃焼して得られたもみ殻灰、無機質骨材及びセメントを含む固形原料に水が加えられてなる原料組成物を成形して成形体を得る工程と、セメントの水和反応により前記成形体を硬化させる養生工程と、前記養生を行った成形体を高温で焼成して多孔質焼結体を得る焼結工程と、前記多孔質焼結体を破砕する破砕工程とを含むことを特徴とする軽量多孔質体の製造方法。
[9]前記固形原料における、もみ殻灰の含有率が20〜95質量%、無機質骨材の含有率が2〜50質量%、セメントの含有率が2〜50質量%の範囲である前項8に記載の軽量多孔質体の製造方法。
[10]前記原料組成物が、前記固形原料100質量部に対して水が10〜200質量部混合されたものからなる前項8または9に記載の軽量多孔質体の製造方法。
[11]前記無機質骨材として、珪石及び珪酸塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の骨材を用いる前項8〜10のいずれか1項に記載の軽量多孔質体の製造方法。
[12]前記焼結工程での焼成温度が800〜1500℃である前項8〜11のいずれか1項に記載の軽量多孔質体の製造方法。
[13]前項8〜12のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された軽量多孔質体からなり、酵素、酵母及び微生物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の物質の固定用として用いられることを特徴とする担体。
[14]前項8〜12のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された軽量多孔質体からなる水質浄化材。
[1]の発明の多孔質体は、軽量性に優れているが、これにはもみ殻灰を原料の1つに用いていること及び多孔質構造であることが大きく寄与しているものと考えられる。この多孔質構造は、もみ殻灰の有する「micro-shell 」と言われる独特な形状に起因して形成されるものと考えられる。従って、前記多孔質構造を形成させる上でもみ殻灰は重要な必須成分である。また、この多孔質体は、その表面に外に開口した表面気孔が多数散在して形成され、これらが内部の多孔質構造に連通しているので、表面だけではなく内部の気孔(内部の多孔質構造)にも酵素、微生物等の固定対象物を多く固定化させることができる。このように粉粒体の表面だけではなくその内部にも酵素、微生物等の固定対象物を多量に固定化できるので、これら酵素や微生物等による作用量(反応量等)が粉粒体の粒径による影響を受けないものとなる、即ち粉粒体の粒径をどのような範囲に設定しても多孔質体の単位容積当たりの作用量(反応量等)は常に大きいものとなる。従って、使用条件や反応条件等にあわせて適宜最適な粒子径のものを使用に供することが可能となる。更に、もみ殻灰として、もみ殻を350〜700℃で燃焼して得られたもみ殻灰を用いているから、もみ殻灰の多孔質性が向上し、酵素、微生物等の固定対象物の固定化率を顕著に向上させることができる。加えて、この多孔質体は、従来未利用のまま廃棄されていたもみ殻灰を主原料の1つとするものであるから、資源の有効利用を図ることができるし、もみ殻やもみ殻灰の廃棄を回避できて環境保護にも貢献できる。
[2]の発明では、粉粒体における、もみ殻灰の含有率が20〜95質量%、無機質骨材の含有率が2〜50質量%、セメントの含有率が2〜50質量%の範囲であるから、多孔質体として十分な強度が得られるものとなる。
[3]の発明では、無機質骨材として、珪石及び珪酸塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の骨材を用いているから、多孔質体としての強度をさらに向上できる。
[4]の発明では、表面気孔の平均径が10〜200μmであるので、酵素の固定化がより十分に行われ得るし、また微生物の付着が行われやすくなるし、その培養増殖においても好適な環境を形成できる。
[5]の発明では、粉粒体の表面の少なくとも一部は、破砕により形成された破砕面であるから、粉粒体の表面に形成される表面気孔の数が増大する。
[6]の発明(担体)では、固定対象物質を表面のみならず内部の多孔質構造にも固定化できる上に、もみ殻を350〜700℃で燃焼して得られたもみ殻灰を用いていることでもみ殻灰の多孔質性が向上するから、固定対象物質の固定化率を顕著に向上させることができる。従って、例えばこの担体に酵素が固定化されたもの(酵素固定化担体)は、酵素活性に優れたものとなり、例えば医薬品中間体の合成、環境汚染物質の浄化等に好適に用いられる。
[7]の発明(水質浄化材)では、微生物や藻類が表面のみならず内部の多孔質構造にも十分に付着しやすい上に、該多孔質構造が微生物や藻類に対して好適な増殖環境を提供できるので、優れた水質浄化機能が発揮される。
[8]の発明に係る製造方法によれば、軽量で多孔質の粉粒体を得ることができる。また、得られた多孔質体は、その内部に内部気孔が連通した多孔質構造を有すると共に、その表面には破砕によって多数の表面気孔が露出したものとなり、かつこれら表面気孔が内部の多孔質構造に連通したものとなる。従って、得られた多孔質体は、表面だけではなく内部の気孔(内部の多孔質構造)にも酵素、微生物等の固定対象物を十分に固定化させることができる。このように粉粒体の表面だけではなくその内部にも酵素、微生物等の固定対象物を多く固定化できるので、これら酵素や微生物等による作用量(反応量等)が粉粒体の粒径による影響を受けないものとなる、即ち粉粒体の粒径をどのような範囲に設定しても単位容積当たりの作用量(反応量等)は常に大きいものとなる。従って、使用条件や反応条件等にあわせて適宜最適な粒子径のものを使用に供することが可能となる。更に、もみ殻灰として、もみ殻を350〜700℃で燃焼して得られたもみ殻灰を用いているから、もみ殻灰の多孔質性が向上し、酵素、微生物等の固定対象物の固定化率を顕著に向上させることができる。加えて、この多孔質体は、従来未利用のまま廃棄されていたもみ殻灰を主原料の1つとするものであるから、資源の有効利用を図ることができるし、もみ殻やもみ殻灰の廃棄を回避できて環境保護にも貢献できる。
[9]の発明では、固形原料における、もみ殻灰の含有率を20〜95質量%、無機質骨材の含有率を2〜50質量%、セメントの含有率を2〜50質量%の範囲に設定するので、1500℃以下の温度で焼結を行うことができるものとなる(即ち高温の焼成温度を要しない)し、養生工程後の(焼結前の)成形体の強度が十分に得られて成形体のハンドリング性に優れ、かつ得られる焼結体の強度も十分に向上させることができる。
[10]の発明では、セメントの水和反応を十分に促進させることができると共に、成形しやすいものとなる。
[11]の発明では、多孔質体の強度をより向上できる。
[12]の発明では、焼結工程での焼成温度を800〜1500℃に設定するので、焼結体の製造効率を向上できると共に、良好な多孔質構造を備えた多孔質体を確実に製造できる。
[13]の発明(担体)では、固定対象物質を表面のみならず内部の多孔質構造にも十分に固定化できる上に、もみ殻を350〜700℃で燃焼して得られたもみ殻灰を用いていることでもみ殻灰の多孔質性が向上するから、固定対象物質の固定化率を顕著に向上させることができる。従って、例えばこの担体に酵素が固定化されたもの(酵素固定化担体)は、酵素活性に優れたものとなり、例えば医薬品中間体の合成、環境汚染物質の浄化等に好適に用いられる。
[14]の発明(水質浄化材)では、微生物や藻類が表面のみならず内部の多孔質構造にも十分に付着しやすい上に、該多孔質構造がこれら微生物や藻類に対して好適な増殖環境を提供できるので、優れた水質浄化機能が発揮される。
この発明に係る軽量多孔質体は、もみ殻を350〜700℃で燃焼して得られたもみ殻灰、無機質骨材及びセメントを含む組成物が焼結されてなる粉粒体(粉体又は/及び粒体)からなるものであり、前記粉粒体の内部に内部気孔が連通した多孔質構造が形成され、前記粉粒体の表面に外に開口した表面気孔が多数散在すると共に、これら表面気孔が前記内部の多孔質構造に連通した構成からなる。
この発明の一実施形態に係る軽量多孔質体の表面の電子顕微鏡写真を図1に示す。図1に示されるように、多孔質体の表面には、外に開口した表面気孔が多数散在した構成になっているから、この多孔質体では、その表面だけではなく内部の気孔(内部の多孔質構造)にも酵素、微生物等の固定対象物を十分に固定化させることができる。このように表面のみならずその内部にも酵素、微生物等の固定対象物を多く固定化できるので、これら酵素や微生物等による作用量(反応量等)が粉粒体の粒径による影響を受けないものとなる、即ち粉粒体の粒径をどのような範囲に設定しても、多孔質体の単位容積当たりの作用量(反応量等)は常に大きいものとなる。従って、使用条件や反応条件等にあわせて適宜最適な粒子径のものを使用に供することが可能となる。更に、もみ殻灰として、もみ殻を350〜700℃で燃焼して得られたもみ殻灰を用いており、これによりもみ殻灰の多孔質性が向上するので、酵素、微生物等の固定対象物の固定化率を顕著に向上させることができる。
前記表面気孔の平均径は10〜200μmであるのが好ましい。10μm未満では、酵素の内部多孔質構造への固定化が容易でなくなるし、微生物の内部多孔質構造への付着が行われ難くなる傾向があるので好ましくないし、一方200μmを超えると多孔質体の強度が低下するので好ましくない。
また、多孔質体(粉粒体)の径は、特に限定されないものの、通常は0.1〜10mmに設定される。中でも、酵素固定用担体として用いる場合には、粒径を2〜5mmの範囲に設定するのが好ましい。
この発明の軽量多孔質体は、例えば次のような製造方法で製造できる。即ち、この発明の軽量多孔質体の製造方法は、もみ殻を350〜700℃で燃焼して得られたもみ殻灰、無機質骨材及びセメントを含む固形原料に水が加えられてなる原料組成物を成形して成形体を得る工程と、セメントの水和反応により前記成形体を硬化させる養生工程と、前記養生を行った成形体を高温で焼成して多孔質焼結体を得る焼結工程と、前記多孔質焼結体を破砕する破砕工程とを含むことを特徴とする。
本製造方法によれば、もみ殻灰を原料の1つに用いると共に、得られたものが多孔質構造を呈するので、非常に軽量化された多孔質体を製造することができる。また、多孔質焼結体を破砕する破砕工程を設けているから、表面気孔がより多く外に露出した多孔質粉粒体を製造することができる。また、もみ殻灰を原料に用いているので、焼結による収縮が非常に小さく、従って歪みが小さく強度に優れた多孔質構造を形成できる。更に、従来は廃棄されていたもみ殻灰を有効利用しているので、低コストで軽量多孔質体を製造できるし、もみ殻やもみ殻灰の廃棄を回避できて環境保護にも貢献できる。
この発明において、製造原料として用いるもみ殻灰は、精米脱穀等によって得られるもみ殻を350〜700℃で燃焼して得られる灰であれば、どのようなものでも用いることができる。もみ殻を350〜700℃で燃焼することで、得られるもみ殻灰の多孔質性が非常に向上するので、酵素、微生物等の固定対象物の固定化率を顕著に向上させることができる。これに対し、350℃未満又は700℃を超えた温度で燃焼して得られたもみ殻灰を用いた場合には、酵素、微生物等の固定対象物の固定化率を十分に向上させることができない。中でも、もみ殻を400〜650℃で燃焼して得られたもみ殻灰を用いるのが固定化率をより向上できる点で好ましく、特に好ましいのは450〜600℃で燃焼して得られたもみ殻灰である。なお、燃焼の雰囲気は、都市ガス:空気=1.0:1.0〜1.6(体積比)に設定するのが好ましい。
前記固形原料中のもみ殻灰の含有率は20〜95質量%の範囲とするのが好ましい。20質量%未満では、養生後の成形体の耐火度が高くなって焼結するのに著しく高温の焼成温度が必要となる上に、軽量化を十分に図ることができなくなるし、焼結時の収縮の抑制が不十分となって多孔質構造の形成割合が低下するので、好ましくない。一方、95質量%を超えると、十分な強度を確保するのが困難となって、例えば手で触れても表面がぼろぼろと欠落する恐れがあるので、好ましくない。
また、無機質骨材は、強度の向上のために必須の原料成分である。この無機質骨材としては、特に限定されるものではないが、例えば二酸化珪素を主成分とする珪石(石英等)、川砂、山砂、海砂、或いは珪酸塩等が挙げられる。前記珪酸塩としては、例えば粘土、長石、高炉滓(スラッグ)、フライアッシュ等が挙げられる。これらの中でも、珪石や珪酸塩を用いるのが、多孔質体の強度をより向上できる点で、好ましい。特に好ましいのは無機質骨材として珪石を用いる構成であり、多孔質体の強度をより一層向上できる利点がある。
前記固形原料中の無機質骨材の含有率は2〜50質量%の範囲とするのが好ましい。2質量%未満では、十分な強度を確保するのが困難となって、例えば手で触れても表面がぼろぼろと欠落する恐れがあるので、好ましくない。一方、50質量%を超えると、養生後の成形体の耐火度が高くなって焼結するのに著しく高温の焼成温度が必要となるので好ましくない。
また、製造原料として用いるセメントとしては、どのような種類のものでも用いることができ、例えばポルトランドセメント、マグネシアセメント、アルミナセメント、混合セメント、天然セメント等を例示でき、これらの1種を単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。このようなセメントを必須成分として含有せしめることで、セメントと、もみ殻灰及び無機質骨材との間の水和反応により、養生工程後の(焼結前の)成形体の強度を確保することができ、該成形体のハンドリング性が良好なものとなる。中でも、アルミナセメントを用いるのが好ましい。
前記固形原料中のセメントの含有率は2〜50質量%の範囲とするのが好ましい。2質量%未満では、養生工程後の(焼結前の)成形体の強度が低下してハンドリング性が悪くなるので、好ましくない。一方、50質量%を超えると、養生後の成形体の耐火度が高くなって焼結するのに著しく高温の焼成温度が必要となるので好ましくない。
前記原料組成物には、更に、パルプ繊維、合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維及び鉱物繊維からなる群より選ばれる1種または2種以上の繊維を含有せしめるのが好ましく、かつ前記もみ殻灰、無機質骨材及びセメントの総量100質量部に対して前記繊維の配合量を2〜5質量部に設定するのが好ましい。このような特定繊維を特定量含有せしめることで、養生前の成形体の保形性を向上できるし、養生工程後の(焼結前の)成形体の強度、更には多孔質体の強度や軽量性を向上できると共に、多孔質体の寸法安定性も向上できる。配合量が2質量部未満では前記効果(強度の向上等)が殆ど得られないし、配合量が5質量部を超えても同様に前記効果が期待できないので、好ましくない。
更に、前記原料組成物に、水溶性繊維素類及び水溶性ポリマーからなる群より選ばれる1種または2種以上の粘性付与剤を含有せしめるものとし、前記もみ殻灰、無機質骨材及びセメントの総量100質量部に対して前記粘性付与剤の配合量を0.5〜4質量部に設定する場合には、成形性を顕著に向上できる利点がある。即ち、成形を押出成形で行う場合等には原料組成物に粘性や滑性が不足していると成形が困難になって良好な成形体が得られがたいのであるが、このような場合であっても、前記特定の粘性付与剤を特定量含有せしめることで、成形性良く成形体を得ることができ、ひいては高品質の多孔質体を製造できる。また、前記粘性付与剤は、焼成時に燃えて揮散してしまうので、より多孔度の大きい多孔質体を製造することができ、ひいては得られる多孔質体のかさ密度をより小さく設計できるし、多孔質体の吸水率もより大きいものとなる。配合量が0.5質量部未満では前記効果(成形性向上)が殆ど得られないし、配合量が4質量部を超えても同様に前記効果が期待できないので、好ましくない。
前記水溶性繊維素類としては、特に限定されるものではないが、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、微小パルプ等を例示できる。また、前記水溶性ポリマーとしては、特に限定されるものではないが、例えばポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルのケン化物等を例示できる。
前記原料組成物中における水の配合量は、前記固形原料(もみ殻灰、無機質骨材、セメント等)100質量部に対して10〜200質量部に設定するのが好ましい。10質量部未満では十分な成形体が得られないばかりでなく、セメントの水和反応の進行が遅くなるので、好ましくない。また200質量部を超えると余剰水が多くなって養生前の成形体の保形性が低下するので、好ましくない。
なお、前記原料組成物を成形する際の成形法として押出成形法を採用する場合には、原料組成物中における水の配合量は、前記固形原料100質量部に対して30〜50質量部に設定するのが特に好ましい。
前記原料組成物を作成するに際しては、各材料成分の配合順序は特に限定されない。例えば、水を最後に配合せしめるようにしても良いし、途中段階で配合せしめるようにしても良い。
また、前記原料組成物には、必要に応じて、この発明の効果を阻害しない範囲で、その他の添加剤等を配合せしめることもできる。
前記原料組成物を成形する際の成形法は、特に限定されず、例えば型枠成形、加圧成形、押出成形、造粒成形等を例示できる。中でも、高品質の多孔質体を生産性良く製造できる点で、加圧成形又は押出成形で成形するのが好ましい。
また、養生工程での養生法についても特に限定されず、例えば自然養生、水中養生、蒸気養生、オートクレーブ養生等を例示できる。このような養生工程を経てセメントの水和反応を進行させて凝結、硬化させることによってハンドリングに必要な強度を確保する。
また、焼結工程における焼成温度は、高温であれば特に限定されないものの、800〜1500℃の範囲とするのが好ましい。800℃未満では焼結を完了させるのに時間を要して多孔質体の製造効率が低下するので好ましくない。一方、1500℃を超えると原料が溶融して多孔質構造が得られなくなるので好ましくない。中でも、焼成温度は1000〜1300℃の範囲に設定するのがより好ましく、この焼成温度で1〜2時間保持するのが最も良い。
なお、前記焼成温度に到達するまでの昇温速度は5〜10℃/分に設定するのが好ましい。また、一般に陶磁器原料を焼成して陶磁器を製造する時には、焼成温度から常温にまで降温する際の降温速度は、その際のひび割れ、クラック発生を防止するために、極力遅くする必要があるが、本発明の多孔質体では焼結時の収縮率が非常に小さいので、例えば5〜10℃/分程度の速い降温速度で降温してもひび割れ等が発生しない。従って、焼成後の降温速度を大きく設定することもできるので、生産効率良く軽量多孔質体を製造できる利点もある。
また、破砕工程における破砕手法としては、焼成して得られた焼結体を小さくする手法であれば特に限定されない。このような破砕手法としては、例えば破砕、粉砕、表面切削(表面を薄く削る等)等を例示できる。
この発明の製造法で得られた軽量多孔質体は、酵素固定用担体等の担体、水質浄化材、吸着フィルター、断熱材、遮音材、調湿性建材、土木材、濾過材等として用いることができる。なお、この発明の軽量多孔質体の用途は、前記例示の用途に特に限定されるものではない。
次に、この発明の具体的実施例について説明する。
<実施例1>
もみ殻を空気中で400℃で燃焼して得られたもみ殻灰(平均粒径500μm)60質量部、珪石(平均粒径200μm)20質量部、アルミナセメント(平均粒径500μm)20質量部、水15質量部を十分に混合して均一な原料組成物を得た。次に、この原料組成物を金型に入れ、20Paの圧力で加圧成形することによって、成形体を得た。この成形体を、25℃、湿度90%の養生槽中で24時間保持して水和反応により硬化させた(養生工程)。次いで、50℃において24時間乾燥させた後、成形体を大気中において1300℃の焼成温度で1時間焼成して焼結体を得た。なお、1300℃に到達するまでの昇温速度は10℃/分とし、この後の降温速度は10℃/分とした。次いで、得られた焼結体をスタンプミルを用いて粉砕して、平均粒径3mmの多孔質粉粒体を得た。
(酵素の固定化)
市販されているリパーゼ(酵素)は安定保存のために珪藻土との混合品になっていることから、酵素単体に精製するために、市販のリパーゼ酵素(天野エンザイムリパーゼPS)0.1gを6mLのリン酸緩衝液(0.1M、pH7)に溶解させて10分間放置した後、遠心分離(2500rpm、900G)を10分間行い、その上澄み液をNo.2濾紙で濾過してリパーゼ溶液を作成した。このリパーゼ溶液3mL中に、前記多孔質粉粒体0.3gを浸漬して1時間撹拌を行った後、多孔質粉粒体を取り出してアセトン溶媒で水を置換し、次いで真空ポンプにより24時間乾燥処理を行うことによって、酵素固定化担体を得た。
<実施例2>
もみ殻灰として、もみ殻を空気中で450℃で燃焼して得られたもみ殻灰(平均粒径500μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして酵素固定化担体を得た。
<実施例3>
もみ殻灰として、もみ殻を空気中で500℃で燃焼して得られたもみ殻灰(平均粒径500μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして酵素固定化担体を得た。
<実施例4>
もみ殻灰として、もみ殻を空気中で550℃で燃焼して得られたもみ殻灰(平均粒径500μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして酵素固定化担体を得た。
<実施例5>
もみ殻灰として、もみ殻を空気中で650℃で燃焼して得られたもみ殻灰(平均粒径500μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして酵素固定化担体を得た。
<比較例1>
もみ殻灰として、もみ殻を空気中で300℃で燃焼して得られたもみ殻灰(平均粒径500μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして酵素固定化担体を得た。
<比較例2>
もみ殻灰として、もみ殻を空気中で800℃で燃焼して得られたもみ殻灰(平均粒径500μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして酵素固定化担体を得た。
<比較例3>
もみ殻灰として、もみ殻の燻炭を用いた以外は、実施例1と同様にして酵素固定化担体を得た。
<実施例6〜9>
原料組成物の組成及び組成比、成形圧力、焼成温度を表2に示すような条件に設定した以外は、実施例1と同様にして酵素固定化担体を得た。
<実施例10>
もみ殻を空気中で450℃で燃焼して得られたもみ殻灰(平均粒径500μm)60質量部、珪石(平均粒径200μm)20質量部、アルミナセメント(平均粒径50μm)20質量部、パルプ繊維2質量部、カルボキシメチルセルロース(信越化学製、商品名「メトロース90SH15000」)2.5質量部、水50質量部を十分に混合して均一な原料組成物を得、該原料組成物を混練して押出圧力2.0〜2.1Paで押出成形して成形体を得た。この成形体を、25℃、湿度90%の養生槽中で24時間保持して水和反応により硬化させた(養生工程)。次いで、50℃において24時間乾燥させた後、成形体を大気中において1300℃の焼成温度で1時間焼成して焼結体を得た。なお、1300℃に到達するまでの昇温速度は10℃/分とし、この後の降温速度は10℃/分とした。次いで、得られた焼結体をスタンプミルを用いて粉砕して、平均粒径3mmの多孔質粉粒体を得た。この多孔質粉粒体に対して実施例1と同様に酵素固定化を行うことによって、酵素固定化担体を得た。
<実施例11、12>
原料組成物の組成比を表2に示すような割合に設定した以外は、実施例10と同様にして酵素固定化担体を得た。
<実施例13>
実施例1で得られた多孔質粉粒体を篩にかけることによって、粒径2mm未満のものだけを分級し、これに実施例1と同様に酵素固定化を行うことによって、酵素固定化担体を得た。
<実施例14>
実施例1で得られた多孔質粉粒体を篩にかけることによって、粒径2〜4.75mmのものだけを分級し、これに実施例1と同様に酵素固定化を行うことによって、酵素固定化担体を得た。
<実施例15>
実施例1で得られた多孔質粉粒体を篩にかけることによって、粒径4.75mm以上のものだけを分級し、これに実施例1と同様に酵素固定化を行うことによって、酵素固定化担体を得た。
<比較例4>
もみ殻を空気中で450℃で燃焼して得られたもみ殻灰(平均粒径500μm)60質量部、珪石(平均粒径200μm)20質量部、アルミナセメント(平均粒径50μm)20質量部、水15質量部を十分に混合して均一な原料組成物を得、該原料組成物を混練して押出圧力2.0〜2.1Paで押出成形して成形体を得た。この成形体を、25℃、湿度90%の養生槽中で24時間保持して水和反応により硬化させた(養生工程)。次いで、50℃において24時間乾燥させた後、成形体を大気中において1300℃の焼成温度で1時間焼成して焼結体(直径2.5mmの多孔質円柱体)を得た。なお、1300℃に到達するまでの昇温速度は10℃/分とし、この後の降温速度は10℃/分とした。この焼結体に対して実施例1と同様に酵素固定化を行うことによって、酵素固定化担体を得た。
<比較例5>
多孔質円柱体の直径を5mmに設計した以外は、比較例4と同様にして酵素固定化担体を得た。
実施例1〜15の多孔質粉粒体の表面を電子顕微鏡で観察するといずれも図1に示すように、表面に外に開口した表面気孔が多数散在して形成されていた。
上記のようにして得られた各酵素固定化担体に対し下記評価を行った。これらの結果を表1〜3に示す。
<酵素固定化担体の酵素反応速度の評価>
キャップ付試験管に、ヘキサン5mL、モレキュラーシーブ0.05g、酢酸ビニルモノマー50μL、1−フェニルエタノール20μL、酵素固定化担体0.1gを入れて、30℃で撹拌しながら60分間反応させた。次に、試験管内の液に対してエーテル抽出を行い、その抽出液をガスクロマトグラフ(カラム:DEX−CB、25m×0.25mm径、インジェクション温度:200℃、検出器温度:200℃、カラム温度:160℃、ヘリウム流量:2mL/分)で分析した。反応率は、1−フェニルエタノールのエステル化を指標にして算出した。即ち、
反応率(%)=アセテートの面積/(アセテートの面積+アルコールの面積×1.2)/固定化担体の質量×100
表から明らかなように、この発明の酵素固定用担体を用いて構成された実施例1〜15の酵素固定化担体の単位量当たりの酵素反応率(酵素活性)は、比較例1〜3のそれと比較して格段に優れていた。
また、表3の実施例13〜15の結果から明らかなように、この発明の酵素固定用担体を用いて構成された酵素固定化担体の単位量当たりの酵素反応率は、粒径による影響を受けない、即ち粒径をどのような範囲に設定しても単位量当たりの酵素反応率は格段に大きい。この結果から、この発明の多孔質体では、酵素が表面だけではなく内部の多孔質構造にも多量に固定化されることが確認された。
これに対し、表3の比較例4、5の結果から明らかなように、破砕がなされていないものでは、その単位量当たりの酵素反応率は、径による影響を大きく受けるものであった。
酵素が内部の気孔にまで付着していることを確認すべく、実施例1の多孔質粉粒体の中心部の断面SEM写真を観察したが、酵素は微細であるために内部への固定化を確認することはできなかった。そこで、実施例1の多孔質粉粒体に酵母を担持した後、この多孔質粉粒体の中心部の断面SEM写真を観察した。このSEM写真(電子顕微鏡写真)を図2に示す。このSEM写真から、3μm程度の酵母が、多孔質粉粒体の中心部の多孔質構造にまで浸透して固定化されていることを確認できた。
<水質浄化効果の評価>
実施例1〜15で得られた多孔質粉粒体(酵素固定化が行われていないもの)に酵母菌(微生物)を担持した。この酵母固定化担体による水質浄化効果を調べた。メチレンブルー水溶液(濃度0.1mmol/L)500mLをカラム(300mm×20mm径)に流し込み、カラムから出てきた溶液の吸光度を分光光度計により測定した。カラムに、酵母を担持していない多孔質粉粒体を充填した場合には、吸光度の変化は認められなかったが、カラムに酵母を担持した多孔質粉粒体を充填した場合には、その吸光度が約60%低下した(脱色された)。このように本発明の多孔質体に酵母を固定化したものは、優れた水質浄化効果を備えていることがわかった。
この発明の製造方法で得られた多孔質体の表面の電子顕微鏡写真である。 実施例1で用いられた多孔質粉粒体に酵母を担持せしめたものの中心部の断面の電子顕微鏡写真である。

Claims (14)

  1. もみ殻を350〜700℃で燃焼して得られたもみ殻灰、無機質骨材及びセメントを含む組成物が焼結されてなる粉粒体からなり、
    前記粉粒体の内部に多孔質構造が形成され、前記粉粒体の表面に外に開口した表面気孔が多数散在して形成され、これら表面気孔が前記内部の多孔質構造に連通していることを特徴とする軽量多孔質体。
  2. 前記粉粒体における、もみ殻灰の含有率が20〜95質量%、無機質骨材の含有率が2〜50質量%、セメントの含有率が2〜50質量%の範囲である請求項1に記載の軽量多孔質体。
  3. 前記無機質骨材は、珪石及び珪酸塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の骨材である請求項1または2に記載の軽量多孔質体。
  4. 前記表面気孔の平均径が10〜200μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の軽量多孔質体。
  5. 前記粉粒体の表面の少なくとも一部は、破砕により形成された破砕面である請求項1〜4のいずれか1項に記載の軽量多孔質体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の軽量多孔質体からなり、酵素、酵母及び微生物からなる群より選ばれる1種または2種以上の物質の固定用として用いられることを特徴とする担体。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の軽量多孔質体からなる水質浄化材。
  8. もみ殻を350〜700℃で燃焼して得られたもみ殻灰、無機質骨材及びセメントを含む固形原料に水が加えられてなる原料組成物を成形して成形体を得る工程と、
    セメントの水和反応により前記成形体を硬化させる養生工程と、
    前記養生を行った成形体を高温で焼成して多孔質焼結体を得る焼結工程と、
    前記多孔質焼結体を破砕する破砕工程とを含むことを特徴とする軽量多孔質体の製造方法。
  9. 前記固形原料における、もみ殻灰の含有率が20〜95質量%、無機質骨材の含有率が2〜50質量%、セメントの含有率が2〜50質量%の範囲である請求項8に記載の軽量多孔質体の製造方法。
  10. 前記原料組成物が、前記固形原料100質量部に対して水が10〜200質量部混合されたものからなる請求項8または9に記載の軽量多孔質体の製造方法。
  11. 前記無機質骨材として、珪石及び珪酸塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の骨材を用いる請求項8〜10のいずれか1項に記載の軽量多孔質体の製造方法。
  12. 前記焼結工程での焼成温度が800〜1500℃である請求項8〜11のいずれか1項に記載の軽量多孔質体の製造方法。
  13. 請求項8〜12のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された軽量多孔質体からなり、酵素、酵母及び微生物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の物質の固定用として用いられることを特徴とする担体。
  14. 請求項8〜12のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された軽量多孔質体からなる水質浄化材。
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