JP6184628B1 - 削孔方法 - Google Patents
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また、削孔ロッドのバイブレーションが生じる可能性がある場合、専任オペレータであれば各種の手法を駆使して未然に削孔ロッドのバイブレーションを防止し、仮にバイブレーションが発生しても、直ちに適切に対処してバイブレーションによる不都合を最小限にすることができる。
そのため、従来技術では、1台のボーリングマシンを一人の専任オペレータが監視しつつボーリングを行い、削孔ロッドのバイブレーションの発生を未然に防止するべく作業を行っている。しかし、例えばダムの様に多数のボーリング孔を削孔する現場では、ボーリングマシンの台数と同数の専任オペレータが必要となり、施工コスト高騰の原因となっている。
また、近年は削孔時のトラブルに対応可能な一定水準以上の削孔技術を有する熟練オペレータの人員確保が難しく、専任オペレータの配置がさらに困難になっている。
この従来技術(特許文献1)は有用な技術ではあるが、削孔ロッドのバイブレーションを防止する技術ではなく、ボーリングマシンの台数と同数の専任オペレータが必要となるという上述した問題を解消することはできない。
本発明において、前記しきい値は、前記ボーリングマシン(1)による削孔時に削孔ロッド(2)の前記バイブレーションを生じない削孔ロッド(2)の送り速度の最大値のみならず、当該バイブレーションを生じる削孔ロッド(2)の送り速度の最小値であってもよい。また前記しきい値は、前記ボーリングマシン(1)による削孔時に削孔ロッド(2)の前記バイブレーションを生じない削孔ロッド(2)の送り速度の最大値と、当該バイブレーションを生じる削孔ロッド(2)の送り速度の最小値の間の数値を含む。そして、各種パラメータ(例えば岩盤の弾性波速度や、岩盤の割れ目の多さを表す指標RQD)から、数式を用いて前記しきい値を演算することも可能である。
また、前記削孔ロッド(2)の削孔方向側先端に取り付けられたコアバーレル(19)の長さの違いにより前記しきい値を変化することができる。
或いは、前記削孔ロッド(2)の先端の岩盤の性状により前記しきい値を決定することができる。
さらに、前記削孔ロッド(2)先端の深度により前記しきい値を変化することができる。
事前調査とは、前記しきい値を求めるために事前に実施する試験施工である。試験施工を行う場所は、本施工での施工条件と類似した試験であることが要求され、本施工での削孔作業位置にできるだけ近傍で、かつ本施工での削孔作業位置の岩盤と同質の岩盤であることが望ましい。
当該事前調査では、削孔ロッド(2)の送り速度の違いや、1本当たりのロッド長やコアバーレル長の違い、先端ビット(18)の仕様(ビット形状・材質・硬度など)、削孔深度の違いなどに応じて変化する削孔ロッド(2)の前記バイブレーションの発生状況を把握し、本施工での削孔作業に反映させる最適な削孔ロッド(2)の送り速度を決定することができる。
削孔時に生じる削孔ロッド(2)の前記バイブレーションの発生要因には、ロッド接続部(21)の箇所数の多少、材質の違いによるロッド本体の剛性、使用頻度によるロッド消耗度合い、ロッド接続部(21)のネジ山加工精度や劣化程度なども挙げられる。事前調査では、これらの発生要因も考慮し、最適な削孔ロッド(2)の送り速度を決定することもできる。
また、複数本のボーリング孔を削孔する場合において、先行したボーリング孔から得られた前記しきい値を、後行のボーリング孔で削孔する時の前記削孔ロッド(2)の送り速度のしきい値に反映することもできる。
そして本発明において、削孔ロッド先端(コアバーレル19の先端ビット18)の岩盤の性状により前記しきい値を決定するのが好ましい。
或いは、削孔ロッド(2)先端の深度により前記しきい値が変化するのが好ましい。
また本発明において、硬い岩盤を削孔する場合には、前記削孔工程では前記削孔ロッド(2)の削孔方向側先端に取り付けるコアバーレル(19)としてダブルチューブコアバーレルを使用することが好ましい。ここで、本明細書において硬い岩盤とは、岩級区分がCM級(一部、風化または弱風化のCL級岩盤を含む)以上の硬度を有する岩盤を意味する。
そして本発明では、一人のオペレータが複数台(例えば2〜3台)の前記ボーリングマシン(1)を操作することが好ましい。
本発明は、例えばダムグラウトにおいてグラウトを注入するための削孔作業に適用することができる。
ここで、前記ボーリングマシンはロータリー式のコアドリルタイプのボーリングマシン、スピンドルタイプのボーリングマシンを用いることができる。
前記自動送り装置(3)は削孔ロッド(2)の送り速度を一定にする機能を有しているのが好ましい。
また、削孔ロッド(2)の送り速度が削孔ロッド(2)のバイブレーションを生じない様な速度に設定される結果として、ジャミングやコア詰まりも抑制することが可能である。
例えば自動送り装置(3)は、コアドリルタイプの自動ボーリングの場合、ロッド1本分の長さを1ストローク長とした削孔区間を、オペレータの人為的操作を行うことなく、自動送り装置(3)の機械制御により、1ストローク長分だけ自動で削孔する機能を有している。そして、1ストローク長分の削孔が完了した時点で自動停止する制御機能を併せ持っている。
それに対し、本発明において、硬い岩盤を削孔する場合にダブルチューブコアバーレルを使用すれば、所定の削孔ロッド(2)の送り速度で削孔することにより、インチングを行わなくてもジャミングを発生させずに自動送り装置(3)で自動ボーリングを行うことが容易となる。
これに加えて、自動ボーリングにより人がボーリングマシン(1)に直接触れて機械操作をする時間が少なくなるため、従来に比べて機械操作時の災害発生リスクを低下させることができる。
例えば岩盤グラウト工事などの場合、岩盤部の亀裂にグラウトを注入し良質な基盤を構築することが要求されるが、削孔ロッド(2)のバイブレーションを生じたことで、削孔ロッド(2)のジャミングを誘発し岩盤の亀裂を切削粉で目詰まりさせてしまい注入効果を下げる場合がある。亀裂を乱さずに削孔することにより、岩盤内部に存在する亀裂に効果的にグラウトを注入することが可能となるため、注入効率が高まる。
そして副次的効果として、機械・ツールスの振動による疲労を緩和することができる。削孔ロッド(2)にバイブレーションが生じることは、ボーリングマシン(1)にも不要な振動を付加させることになり、機械・ツールスの疲労度合いを過度に速めてしまう要因になる。削孔ロッド(2)のバイブレーションを生じさせない本発明によれば、機械・ツールスの疲労を緩和して、長期に亘る使用を可能ならしめるという効果を奏する。
図示の実施形態は、例えばダムグラウトにおいてグラウトを注入するために削孔作業に本発明を適用する場合を示している。ここで、ボーリングマシンはロータリー式のコアドリルタイプのボーリングマシン、スピンドルタイプのボーリングマシンが用いられる。図示の実施形態では、コアドリルタイプのボーリングマシン1が例示されている。
図1において、実施形態の削孔方法で用いられる削孔装置100は、ボーリングマシン1を有しており、ボーリングマシン1ではロッド20を用いており、支柱4を有している。
支柱4にはロッド20を地中側に進行させる機能を有する自動送り装置3(削孔ロッド自動送り装置)が設けられている。自動送り装置3は、図示しない駆動機構により、支柱4に沿って削孔方向(図1で上下方向)に移動可能に構成されている。
ロッド20の各々については、図5(B)で示されている。
しきい値×0.6≦削孔ロッド2の送り速度≦しきい値 の範囲となる様に、
好ましくは、 削孔ロッド2の送り速度=しきい値×0.8 となる様に保持する機能を有している。ここで、しきい値は、削孔ロッド2のバイブレーションが生じない削孔ロッド2の送り速度の最大値である。
また削孔速度制御信号発生ブロック16−6から削孔ロッド2の送り速度を低下する必要がある旨の信号が入力された場合には、削孔ロッド2の送り速度を所定速度だけ低下する機能を有している。
実施形態で用いられるボーリングマシン1は、従来のボーリングマシンに比較してサイズが小さく、軽量である。そのため、実施形態で用いられるボーリングマシン1は搬送が容易であり、所望の施工現場に簡単に設置することができ、例えばダムの監査廊の様な狭い作業現場において使用することができる。
ボーリングマシン1によるボーリング作業においては、掘削したコアがコアチューブ内に残るため、オペレータが所定距離(所定深度)毎に削孔ロッド2を引き上げ、コアを回収(取り除く)する。それと共に、所定の削孔距離(深度)毎に削孔ロッド2を継ぎ足しながら、施工予定距離(予定深度)までボーリングを行う。
なお、スピンドルタイプのボーリングマシンの場合では、ロッド20の長さは通常150cmであるが、長尺ロッド20の長さは例えば300cmである。
図示の実施形態では、例えばダムの監査廊でボーリングを行うことを想定している。監査廊の高さ寸法は250cm程度であり、図示の実施形態におけるロッド20の長さは、そのロッド20を自動送り装置3で送るため機構(支柱4、底盤7、8等を含む)全体の高さ寸法が、施工現場の高さ寸法(例えば、監査廊の高さ寸法250cm程度)を超えない範囲で設定される。
ロッド20及び支柱4を長尺化したので、ロッド20切り継ぎ作業を効率化することができる。そして、上述したコア回収作業に費やされる時間を短縮することが可能である。
第2の底盤8の設置面積は大きくしているため、長尺化した支柱4を確実に支えることができる。
そして、長尺化された支柱4を有する削孔装置100は岩盤Gに強固に固定されるので、削孔装置100の支持力が強化され、削孔の推進力がより一層確保され、削孔ロッド2のバイブレーションやジャミングの可能性を低減することができる。
補助支柱10には、削孔ロッド2を引き上げるためのワイヤ5を巻き上げる手動ウインチ6が設けられており、手動ウインチ6は操作ハンドル6Aを有している。
明確には図示されていないが、手動ウインチ6により巻き上げられるワイヤ5は削孔ロッド2の地上側端部に接続されている。
コア回収時には、手動ウインチ6の操作ハンドル6Aを操作してワイヤ5を巻き上げることにより、削孔ロッド2が地上側に引き上げられるのが促進される。削孔ロッド2の引上げ速度を増加して、コア回収の時間を短縮化するためである。
制御装置16は、自動送り装置3による削孔ロッド2の送り速度がしきい値を超えない様に制御する機能を有している。
ボーリングマシン1の削孔速度が前記しきい値を超えない様に制御することにより、岩盤の硬さが不均一で且つ深度の異なる岩盤を削孔する場合において、削孔ロッド2のバイブレーションを起こすことなく削孔することが可能となる。そのため、オペレータが始終ボーリングマシン1近傍で監視する必要が無くなる。
発明者の実験によれば、削孔ロッド2の送り速度がしきい値以下であれば削孔ロッド2にバイブレーションが生じないことが確認されている。そのため、自動送り装置3にしきい値を入力することにより、オペレータが監視しない場合でも、ボーリングマシン1は削孔ロッド2のバイブレーションを起こすことなく、削孔することができる。
その結果、従来、一人のオペレータが1台のボーリングマシン1に配置されていた場合に比較して、オペレータ一人当りの施工量が増加し、施工効率が向上して、施工コスト(特に人件費)を低減することができる。以下において、従来技術と実施形態におけるオペレータ一人当りの施工量について、例示して比較する。
発明者の実験によれば、削孔距離1m当りのボーリング時間は50分であった。その場合には、5m(いわゆる「1ステージ」)ボーリングするのに要した時間は、
50(分/m)×5m=250分=4時間10分
となる。
ボーリング孔間の移動、その度に行われるボーリングマシンの据付等による損失時間(ロス)を考慮して、「据付等ロス加算係数」を1.2と設定すれば、オペレータ一人当りの施工量(10時間のボーリング量)は、
10時間÷(250分×据付等加算係数1.2)×5m
=10時間÷5時間×5m
=10m
であり、従来技術では、オペレータのオペレータ一人当りの施工量は、10時間で10mであった。
この場合には、発明者の実験では、1台のボーリングマシンで1m施工するのに60分かかった。したがって、1台のボーリングマシンで5m(いわゆる「1ステージ」)ボーリングするのに要した時間は
60分/m×5m×1.2=360分=6時間
となる。
上式における「1.2」という数値は、3台のボーリングマシンを同時に取り扱うことにより生じた損失時間(ロス)を考慮した「同時取扱加算係数」であり、例えば、1台のボーリングマシンについてロッド継ぎ足しやコアの回収を行っている間に、他のボーリングマシンの削孔ストロークが終了して、時間待ちをしなければならない様な時間的損失を見込んでいる。
10時間÷(6時間×据付等加算係数1.2)×5m×3台
=10時間÷(432分≒7.5時間)×5m×3台
=20m
である。
すなわち、発明者の実験では、図示の実施形態におけるオペレータ一人当りの施工量(10時間のボーリング量)は20mであり、従来技術の場合(施工量10m)の約2倍となった。
図2において、制御装置16は操作盤16A(図1では図示せず)を有しており、オペレータ(図示せず)は操作盤16Aを操作して、ボーリングマシン1の必要な操作を行う。オペレータが操作盤16Aに対して行った操作であって、自動送り装置3に関する操作に関する信号は、信号伝達ラインSL1を介して、操作信号として自動送り装置3に送られる。
自動送り装置3による削孔ロッド2の送り速度のしきい値(削孔ロッド2のバイブレーションを生じないで削孔をすることができる最高速度)については、信号伝達ラインSL2及びインターフェース16−2を介して、制御装置16内のしきい値設定ブロック16−2に送られる。
また、削孔中に削孔ロッド2のバイブレーションが生じた場合には、オペレータが操作盤16Aを操作して、削孔ロッド2にバイブレーションが生じた旨の信号を、信号伝達ラインSL3を介して、しきい値設定ブロック16−2へ送信する。
例えば、しきい値以下の削孔ロッド2の送り速度でありながら削孔ロッド2のバイブレーションを生じた場合には、しきい値設定ブロック16−2は、削孔ロッド2のバイブレーションを生じた時点におけるしきい値よりも所定値だけ低速の削孔ロッド2の送り速度を、新たなしきい値として決定し、新たに決定されたしきい値を、信号伝達ラインSL4を介して比較ブロック16−3へ送信し、信号伝達ラインSL5を介して記憶ブロック16−4へ送信する機能を有している。
そして比較ブロック16−3は、ボーリングマシン1の削孔ロッド2の送り速度がしきい値を上回っている場合には、削孔ロッド2の送り速度を低下する必要がある旨の信号を、信号伝達ラインSLを介して、削孔速度制御信号発生ブロック16−6に送信する機能を有している。その場合(削孔ロッド2の送り速度を低下する必要がある旨の信号が送信された場合)、削孔速度制御信号発生ブロック16−6は、削孔ロッド2の送り速度を低下する制御信号を、信号伝達ラインSL8、インターフェース16−1を介して、自動送り装置3へ送信する。
しきい値×0.6≦削孔ロッド2の送り速度≦しきい値 の範囲となる様に、好ましくは、 削孔ロッド2の送り速度=しきい値×0.8 となる様に、削孔ロッド2の送り速度の制御信号を自動送り装置3へ送信する機能を有している。それと共に、削孔ロッド2の送り速度が一定となる様に、制御信号を自動送り装置3へ送信する機能を有している。
また削孔速度制御信号発生ブロック16−6は、比較ブロック16−3から削孔ロッド2の送り速度を低下する必要がある旨の信号が入力された場合には、削孔ロッド2の送り速度を低下する制御信号を自動送り装置3へ送信する機能を有している。
後述するように、他の施工現場における削孔のデータを取得、蓄積して構成されたデータベースからしきい値を選択する場合には、機能ブロック16−4により当該データベースを構築することが可能である。記憶ブロック16−4がデータベースとしての機能を有する場合には、ボーリングマシン1の削孔当初の段階では、操作盤16Aからではなく、データベース(機能ブロック16−4)で選択されたしきい値が、情報伝達ラインSL9を介して比較ブロック16−3に送信される。
なお、制御装置16は図2で示す以外のブロックを有する(機能を発揮する)様に構成されているが、図2で示す以外の構成や機能については、従来技術と同様であり、図示及び説明は省略する。
図3において、ステップS1において、自動送り装置3による削孔ロッド2の送り速度のしきい値(削孔ロッド2のバイブレーションが生じない削孔ロッド2の送り速度の最大値)を決定する。しきい値を決定したら、ステップS2に進む。
ここで、ボーリングマシン1による削孔に先立って、削孔するべき岩盤の硬軟により、シングルチューブコアバーレルによる削孔とするべきか、ダブルチューブコアバーレルによる削孔とするべきかが判断される。硬い岩盤を削孔する場合には、ボーリングマシン1としては、コアバーレル19を上げ下げする作業(いわゆる「インチング」)が不要であり、自動ボーリングに適しているダブルチューブコアバーレルを選択するべきである。
そしてステップS3に進む。
削孔ロッド2のバイブレーションが生じた場合(ステップS3が「Yes」)にはステップS4に進み、バイブレーションが生じていなければ(ステップS3が「No」)ステップS6に進む。
具体的には、現在のしきい値(削孔ロッド2のバイブレーションが生じたしきい値)よりも所定速度だけ低速な削孔ロッド2の送り速度を、新たにしきい値として設定する。ここで、所定値については、施工条件その他により、ケース・バイ・ケースで決定され、制御装置16の記憶ブロック16−4(図2)に記憶されている。新たに設定されたしきい値は、記憶ブロック16−4と比較ブロック16−3に送信される。そしてステップS2〜S4を繰り返す。
ステップS7では、所定の深度まで削孔が行われた否かを判断する。
所定深度まで削孔されていない場合(ステップS7が「No」)には、ステップS2以下の処理を繰り返す(ステップS7が「No」のループ)。
所定深度に到達していれば(ステップS7が「Yes」)ステップS8に進み、削孔作業を終了して、削孔ロッド2引上げ等を行う。
(1) 削孔するべき現場において事前調査を行い、当該事前調査で得られたデータにより、しきい値を決定する。この場合、事前調査(試験施工)は、本施工での施工条件と類似した条件で行われる。
(2) 削孔ロッド2の送り速度の違いや、1本当たりのロッド長やコアバーレル長の違い、削孔深度の違いなどに応じて変化する削孔ロッド2のバイブレーションの発生状況を把握し、しきい値を決定した上で、本施工での削孔作業に反映させる最適な削孔ロッド2の送り速度を決定する。
(3) 削孔時に生じる削孔ロッド2のバイブレーションの発生要因、すなわちロッド接続部21の箇所数の多少、材質の違いによるロッド本体の剛性、使用頻度によるロッド消耗度合い、ロッド接続部21のネジ山加工精度や劣化程度なども考慮して事前調査を行い、しきい値を決定する。
(4) 複数本のボーリング孔を削孔する作業現場の場合に、先行するボーリング孔のボーリングマシン1による削孔において、先行する削孔作業の際に削孔ロッド2のバイブレーションを生じない削孔ロッド2の送り速度の最大値を計測し、しきい値を決定する。そのしきい値に安全係数等を考慮した削孔ロッド2の送り速度を、後続の削孔作業に反映させる。
(5) 他の施工現場であって、削孔するべき現場における岩盤と同様な性状の岩盤の施工現場における削孔のデータを取得、蓄積して、(例えば、制御装置16内の記憶ブロック16−4に)データベースを構築する。そして、当該データベースから、しきい値を決定するべき削孔現場の岩盤と同様な性状の岩盤の現場における削孔データ(削孔ロッド2のバイブレーションを生じない削孔ロッド2の送り速度の最大値等)を選択し、選択された削孔データから当該削孔現場におけるしきい値を決定する。
図示の実施形態は、上記(1)〜(5)の何れの態様でも適用可能である。
ボーリングマシン1で削孔している最中において、図4のステップS11では、削孔ロッド2の先端位置(コアバーレル19の先端ビット18で削孔している深さ方向位置)を決定する。そしてステップS12に進み、当該先端位置が所定位置に達したか否かを判断する。
ここで削孔に際しては、事前の調査ボーリングにより深さ方向の岩盤の状況は分かっている。そのため、削孔ロッド2の先端位置を特定することができれば、当該先端位置における岩盤の性状も分かる。ステップS12において、「所定位置」とは、岩盤の性状が変化する深さ方向の境界位置を意味している。
一方、ステップS12で「所定位置」に達していないと判断された場合(ステップS12が「No」)にはステップS14に進み、岩盤の性状が変化する深さには到達していないと判断して、削孔ロッド2の送り速度のしきい値を変化せず、同一の数値に保持してステップS15に進む。
ステップS15では、削孔が終了したか否かを判断し、削孔を続行する場合には(ステップS15が「No」)ステップS11以下のサイクルを繰り返す。
図示の実施形態において、削孔工程の全てが自動制御である必要は無い。削孔工程の一部を人手による操作で実行しても良い。もちろん、削孔工程の全てを自動制御にすることも可能である。
それと共に、ジャミングも抑制することができる。
その結果、オペレータ一人当りの施工量が大幅に増加し(約2倍)、作業効率が向上し、作業コスト(特に人件費)が節減される。
例えば、図示の実施形態では、削孔ロッド2の送り速度のしきい値として、ボーリングマシン1による削孔時に削孔ロッド2のバイブレーションを生じない送り速度の最大値としているが、ボーリングマシン1による削孔時に削孔ロッド2のバイブレーションを生じる削孔ロッド2の送り速度の最小値を送り速度のしきい値に設定しても良い。また前記しきい値は、ボーリングマシン1による削孔時に削孔ロッド2のバイブレーションを生じない削孔ロッド2の送り速度の最大値と、削孔ロッド2のバイブレーションを生じる削孔ロッド2の送り速度の最小値の間の数値としても良い。さらに前記しきい値として、各種パラメータ(例えば岩盤の弾性波速度や、岩盤の割れ目の多さを表す指標RQD)から、数式を用いて演算して求めた値を採用することも可能である。
また、図示の実施形態では、ボーリングマシン1として、ロータリー式のコアドリルタイプのボーリングマシンが示されているが、スピンドルタイプのボーリングマシンを用いることも可能である。
2・・・削孔ロッド
3・・・自動送り装置
4・・・支柱
5・・・ワイヤ
6・・・ウインチ
10・・・補助支柱
16・・・制御装置
17・・・カバー
18・・・先端ビット
19・・・コアバーレル
20・・・ロッド
21・・・ロッド接続部
100・・・削孔装置
Claims (10)
- ロッド(20)を繋ぎ合せて構成した削孔ロッド(2)と、削孔ロッド(2)を地中側に進行させる自動送り装置(3)を備えたボーリングマシンを用いて、当該ボーリングマシンの前記削孔ロッド(2)により岩盤(G)を削孔する削孔方法において、削孔時に、削孔ロッド(2)が削孔ロッド(2)の芯ズレにより孔壁に削孔ロッド(2)が当たり振動するバイブレーションを生じない削孔ロッド(2)の送り速度の最大値を削孔ロッド(2)の送り速度のしきい値に設定する工程(S1)と、前記削孔ロッド(2)の送り速度が決定されたしきい値を超えない様に、前記自動送り装置(3)で削孔ロッド(2)の送り速度を一定として岩盤(G)を削孔する削孔工程(S7)を有することを特徴とする削孔方法
- 前記ロッド(20)1本当りの長さの違いにより前記しきい値が変化する請求項1の削孔方法
- 前記削孔ロッド(2)の削孔方向側先端に取り付けられたコアバーレル(19)の長さの違いにより前記しきい値が変化する請求項1、2の何れかの削孔方法
- 前記削孔ロッド(2)の先端の岩盤の性状により前記しきい値を決定する請求項1〜3の何れか1項の削孔方法
- 前記削孔ロッド(2)先端の深度により前記しきい値が変化する請求項1〜4の何れか1項の削孔方法
- 前記しきい値は、削孔作業現場において事前調査を行い、当該事前調査で得られたデータにより決定する請求項1〜5の何れか1項の削孔方法
- 複数本のボーリング孔を削孔する場合において、先行したボーリング孔から得られた前記しきい値を、後行のボーリング孔で削孔する時の前記削孔ロッド(2)の送り速度のしきい値に反映させる工程を有する請求項1〜5の何れか1項の削孔方法
- 前記しきい値は、複数の削孔作業現場における作業現場の岩盤の性状と削孔データを収集、蓄積してデータベースを構築し、当該データベースから、作業現場の岩盤と同様な性状のデータを選択して決定する請求項1〜7の何れか1項の削孔方法
- 前記削孔ロッド(2)の前記送り速度は、前記しきい値の0.6倍〜1.0倍の範囲に設定される請求項1〜8の何れか1項の削孔方法
- 硬い岩盤を削孔する場合には、前記削孔工程では前記削孔ロッド(2)の削孔方向側先端に取り付けるコアバーレル(19)としてダブルチューブコアバーレルを使用する請求項1〜9の何れか1項の削孔方法
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