JP6184116B2 - 移行アドバイザリー装置 - Google Patents
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実施の形態に係る移行アドバイザリー装置は、情報処理システムにおいて発生したインシデントに関する情報(以下、「インシデント情報」とよぶ)と、情報処理システムに対して実施すべき変更に関する情報(以下、「変更情報」とよぶ)とに基づいて、その情報処理システムをクラウド環境に移行させるべきか否か判定する。この装置によると、システム運用の観点から、情報処理システムをクラウド環境に移行させるべきか否か判定できる。なお、ここでいう「変更」とは、情報処理システムの業務に影響を与えうる全ての変更を指す。情報処理システムを構成するハードウェアやソフトウェアに関する設定変更がその代表例である。
分析フェーズF1は、移行判定を実施するために情報処理システム100を分析するフェーズである。分析フェーズF1は、「付加価値指数算出フェーズF11」と「維持管理負荷指数算出フェーズF12」と「変更負荷指数算出フェーズF13」の3つのフェーズに大別される。各フェーズの処理は、それぞれ、後述の付加価値指数算出部562、維持管理負荷指数算出部564、変更頻度指数算出部566によって実行される。なお、各処理の実行順序は任意である。もちろん、並列に実行されてもよい。
付加価値指数算出フェーズF11では付加価値指数を算出する。「付加価値指数」は情報処理システム100におけるナレッジ情報の活用状況を示す値であり、ナレッジ情報が活用されているほどその値は高くなる。本実施の形態では、「ナレッジ登録率」と「ナレッジ利用率」を要素として付加価値指数が算出される。ここで、「ナレッジ登録率」は、インシデントのうち、その対応内容がナレッジ情報として登録されたインシデントの割合をいう。また「ナレッジ利用率」は、インシデントのうち、その終了のためにナレッジ情報が利用されたインシデントの割合をいう。
維持管理負荷指数算出フェーズF12では維持管理負荷指数を算出する。「維持管理負荷指数」は情報処理システム100の維持管理の負荷状況を示す値であり、維持管理負荷が高いほどその値は高くなる。本実施の形態では、「故障率」と「障害インシデント率」を要素として維持管理負荷指数が算出される。ここで、「故障率」は、情報処理システム100に業務に影響がある障害が発生している確率をいう。より具体的には、情報処理システム100の全運転時間のうち、情報処理システム100の業務に影響がある障害が発生している時間の割合をいう。「障害インシデント率」は、インシデントのうち、情報処理システム100の業務に影響を与えるインシデント(以下、「障害インシデント」とよぶ)の割合をいう。
変更負荷指数算出フェーズF13では変更負荷指数を算出する。「変更負荷指数」は情報処理システム100に対する変更の負荷状況を示す値であり、変更負荷が高いほどその値は高くなる。本実施の形態では、「変更インシデント率」と「大規模変更率」と「緊急変更率」を要素として変更負荷指数が算出される。ここで、「変更インシデント率」はインシデントのうち、変更情報に関連づけられたインシデントの割合をいう。別の言い方をすると、インシデントのうち、解決のために変更を必要とするインシデントの割合をいう。「大規模変更率」は、変更のうち、業務に影響を与える時間が第1の時間以上である変更の割合をいう。例えば、業務に影響を与える時間が「1日」以上である変更の割合をいう。「緊急変更率」は、変更のうち、対応期限が第2の時間以内である変更の割合をいう。例えば、対応期限が「2日」以内である変更の割合をいう。
判定フェーズは、分析フェーズで得られた付加価値指数、維持管理負荷指数および変更負荷指数を利用して移行判定を実施するフェーズである。判定フェーズF2の処理は、後述の判定部568によって実行される。以下、移行判定の考え方について説明する。
情報処理システムをクラウド環境に移行すると、環境の違いにより、これまで蓄積されてきたナレッジ情報の少なくとも一部が活用できなくなる。付加価値指数が高い情報処理システムほど、すなわちナレッジ情報が活用されている情報処理システムほど、この傾向は高くなる。したがって、付加価値指数が比較的高い情報処理システムをクラウド環境へ移行すると、システム運用にマイナス影響を及ぼすおそれがある。よって、この場合は、クラウド環境に移行すべきでないと判定をする。一方、付加価値指数が比較的低い場合は、クラウド環境に移行すべきとの判定をする。
情報処理システムに対して実施される変更の中にはクラウド環境との連携が必要なものがある。例えば、業務が開始される所定の時間までに情報処理システムが保持するデータにパッチを適用しなければならない場合を考える。この場合、業務が開始される時間までにパッチ適用が終わるよう、クラウド環境との連携が必要となる。具体的には、パッチを適用する時間帯に、クラウド環境自体のメンテナンスなど処理の遅延を引き起こしうる作業が実施されないよう連携する必要がある。プライベートクラウド環境の場合は同一企業等によって管理されているため、こうした連携が可能な場合が多い。一方、パブリッククラウド環境の場合はこうした連携ができない場合が多い。したがって、変更負荷指数が比較的高い情報処理システムについては、プライベートクラウド環境に移行させるのが得策と考えられる。よって、プライベートクラウド環境に移行すべきとの判定をする。一方、変更負荷指数が比較的低い情報処理システムをクラウド環境に移行させる場合はパブリッククラウド環境に移行すべきとの判定をする。
ユーザインタフェース部520は、入力部522と表示部524とを含む。入力部522は運用担当者からの入力を受け付け、表示部524は各種情報を画面表示させる。
データ通信部540は、インシデント情報取得部542と変更情報取得部544とを含む。インシデント情報取得部542は、運用管理支援装置300からインシデント情報を取得する。変更情報取得部544は、運用管理支援装置300から変更情報を取得する。インシデント情報取得部542および変更情報取得部544は、移行判定を実施するときにインシデント情報および変更情報を取得する。もちろん、定期的に取得するなど移行判定時以外のタイミングで取得してもよい。
データ保持部580は、インシデント情報保持部582と、変更情報保持部584と、アドバイザリー情報保持部586と、を含む。データ保持部580は、主として、メモリやハードディスクなど任意の記録媒体により構成される。データ保持部580自体は、移行アドバイザリー装置500とは物理的に分離された外部データベースとして構築されてもよい。
データ処理部560は、付加価値指数算出部562と、維持管理負荷指数算出部564と、変更負荷指数算出部566と、判定部568と、を含む。付加価値指数算出部562は、情報処理システム100の付加価値指数を算出し、アドバイザリー情報保持部586に格納する。付加価値指数は次式で算出される。
(式1)
付加価値指数=(ナレッジ登録率)×a1+(ナレッジ利用率)×b1
係数a1、b1は「0≦a1、b1≦1」かつ「a1+b1=1」を満たす値である。これらの値は、例えば複数の事例を分析することによって決定すればよい。ここでは「a1=0.2」、「b1=0.8」とする。つまり、ナレッジ利用率の重みを大きくしている。
(式2)
維持管理負荷指数=(故障率)×a2+(障害インシデント率)×b2
係数a2、b2は「0≦a2、b2≦1」かつ「a2+b2=1」を満たす値である。これらの値は、例えば複数の事例を分析することによって決定すればよい。ここでは「a2=0.5」、「b2=0.5」とする。つまり、故障率と障害インシデント率の重みを同じにしている。
(式3)
変更負荷指数=(変更インシデント率)×a3+(大規模変更率)×b3+(緊急変更率)×c3
係数a3、b3は「0≦a3、b3、c3≦1」かつ「a3+b3+c3=1」を満たす値である。これらの値は、例えば複数の事例を分析することによって決定すればよい。ここでは「a3=0.3」、「b3=0.3」、「c3=0.4」とする。つまり、緊急変更率の重みを大きくしている。
を満たす場合は、クラウド環境に移行させずに現状のままがよいと判定する。
(変更負荷指数/維持管理負荷指数)≧γ
を満たす場合は、プライベートクラウド環境に移行させるべきと判定する。
(変更負荷指数/維持管理負荷指数)<γ
を満たす場合は、パブリッククラウド環境に移行させるべきと判定する。
インシデント情報取得部542が運用管理支援装置300からインシデント情報を取得し、インシデント情報保持部582に格納する。同様に、変更情報取得部544が運用管理支援装置300から変更情報を取得し、変更情報保持部584に格納する。付加価値指数算出部562、維持管理負荷指数算出部564、変更負荷指数算出部566は、インシデント情報保持部582および変更情報保持部584を参照して、それぞれ、付加価値指数、維持管理指数、変更負荷指数を算出し、アドバイザリー情報保持部に格納する。ここでは、図6のごとく、第1情報処理システム100a(システムID:0001)の付加価値指数は「0.4」、維持管理指数は「0.8」、変更負荷指数は「0.3」である。判定部568は、これらの値を利用して利用判定を行う。「(付加価値指数/維持管理負荷指数)=0.5」、「(変更負荷指数/維持管理負荷指数)=0.375」となるため、図6のごとく、第1情報処理システム100aの判定結果は「プライベート」となる。表示部524は、アドバイザリー情報を参照して、図7のごとく移行判定の結果を表示する。
Claims (6)
- 情報処理システムにおいて発生した複数のインシデントの情報を保持するインシデント情報保持部と、
前記複数のインシデントの情報を参照して、インシデントを終了へと向けて進展させることを支援するナレッジ情報の前記情報処理システムにおける活用状況を示す付加価値指数であって、前記情報処理システムをクラウド環境に移行させるべきか否かの判定に用いる指標である付加価値指数を算出する算出部と、を備え、
前記複数のインシデントの情報のそれぞれには、インシデントに対する対応内容がナレッジ情報として登録されたか否かを示す情報と、インシデントを終了へと向けて進展させるためにナレッジ情報を利用したか否かを示す情報とが含まれることを特徴とする移行アドバイザリー装置。 - 前記算出部は、前記複数のインシデントのうちインシデントに対する対応内容がナレッジ情報として登録されたインシデントの割合と、前記複数のインシデントのうちナレッジ情報が利用されたインシデントの割合とを求め、これらに基づき付加価値指数を算出することを特徴とする請求項1に記載の移行アドバイザリー装置。
- 前記情報処理システムに対して実施すべき変更に関する情報を保持する変更情報保持部をさらに備え、
前記複数のインシデントの情報のそれぞれには、インシデントの発生日時と終了日時に関する情報と、インシデントが業務に影響を与える障害インシデントであるか否かを示す情報とが含まれ、
前記変更に関する情報は、前記複数のインシデントのうち、その終了のために変更を必要とするインシデントと関連づけられており、
前記変更に関する情報には、変更が業務に影響を与える時間に関する情報と、変更の対応期限に関する情報とが含まれ、
前記算出部はさらに、前記情報処理システムをプライベートクラウド環境に移行させるべきかパブリッククラウド環境に移行させるべきかを判定に用いる指標である維持管理負荷指数と変更負荷指数とを算出し、
維持管理負荷指数は、前記複数のインシデントの情報を参照して求められる、前記情報処理システムの故障率と、前記複数のインシデントのうちの障害インシデントの割合とに基づいて算出され、
変更負荷指数は、前記複数のインシデントと前記変更に関する情報とを参照して求められる、前記複数のインシデントのうち変更に関する情報に関連づけられたインシデントの割合と、前記変更のうち業務に影響を与える時間が第1の時間以上である変更の割合と、前記変更のうち対応期限が第2の時間以内である緊急変更の割合とに基づいて算出されることを特徴とする請求項1または2に記載の移行アドバイザリー装置。 - 付加価値指数が所定の値以上である場合に、クラウド環境に移行しないことを推奨する判定部をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の移行アドバイザリー装置。
- プライベートクラウド環境に移行させるべきかパブリッククラウド環境に移行させるべきかを判定する判定部をさらに備え、
前記判定部は、(A)維持管理付加指数に対する付加価値指数の比が第1のしきい値以上である場合にクラウド環境に移行しないことを推奨し、(B)維持管理付加指数に対する付加価値指数の比が前記第1のしきい値より小さく、かつ、維持管理付加指数に対する変更負荷指数の比が第2のしきい値以上である場合にプライベートクラウド環境に移行することを推奨し、(C)維持管理付加指数に対する付加価値指数の比が前記第1のしきい値より小さく、かつ、維持管理付加指数に対する変更負荷指数の比が前記第2のしきい値より小さい場合にパブリッククラウド環境に移行することを推奨することを特徴とする請求項3に記載の移行アドバイザリー装置。 - 情報処理システムにおいて発生した複数のインシデントの情報を保持する機能と、
前記複数のインシデントの情報を参照して、インシデントを終了へと向けて進展させることを支援するナレッジ情報の前記情報処理システムにおける活用状況を示す付加価値指数であって、前記情報処理システムをクラウド環境に移行させるべきか否かの判定に用いる指標である付加価値指数を算出する機能と、をコンピュータに実現させ、
前記複数のインシデントの情報のそれぞれには、インシデントに対する対応内容がナレッジ情報として登録されたか否かを示す情報と、インシデントを終了へと向けて進展させるためにナレッジ情報を利用したか否かを示す情報とが含まれていることを特徴とするコンピュータプログラム。
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