JP6178964B2 - ラマンスペクトルデータベースの構築方法 - Google Patents

ラマンスペクトルデータベースの構築方法 Download PDF

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Description

本発明は、ラマンスペクトルデータベースの構築方法に関するものである。
ラマン分光法は物質の同定、結晶の評価、応力の測定などに用いられる光学的測定手法である。ラマンスペクトル測定装置は、測定対象試料にレーザ光を照射し、この照射により発生したラマン散乱光を光学系で集光し、集光された光を分光器で検出し、検出されたラマンスペクトルと既知のラマンスペクトルとを比較することによって試料に含まれる物質の種類を同定するものである。
既知のラマンスペクトルは、予めデータベースに蓄えられているものである。例えば特許文献1には、素材が未知の被判別試料のラマンスペクトルを測定する測定工程と、この測定工程で測定されたラマンスペクトルと既知のラマンスペクトル(データベースに蓄えられたもの)とを比較する比較工程と、比較の結果から被判別試料の素材を判定する工程とを備えた方法が記載されている。
特開平10−38807号公報
しかしながら、試料から発せられるラマン散乱光は非常に微弱であり、かつ、試料から同時に発せられる蛍光信号との分離検知が容易ではないため、ラマンスペクトルの取得と蓄積は容易なことではない。同じく分光分析である赤外吸収スペクトルのデータベースが既に10万スペクトル以上揃っていることに比べると、ラマン分光法に供されるラマンスペクトルのデータベースは現時点で未だ0.8万スペクトル程度と蓄積が少なく、ラマン分光による分析が可能な物質の種類は相対的に非常に限られている。
本発明は、ラマンスペクトルのデータベースを効率よく構築することにより、ラマン分光法の実質的利用価値が向上する速度を早め、ひいては、分析科学の早期発展を促すことを目的とするものである。
近年、コンピュータシミュレーション技術が発達しており、特定物質のラマンスペクトルをコンピュータにより求めることはデータベース構築速度を上げるための一つの手法として有用であると考えられる。しかしながら、コンピュータ資源は有限であり、やみくもに機械的にコンピュータシミュレーションを行っても、ラマン分光法の実質的な利用価値は期待以上には早く上がらない。
そこで本発明者らは、コンピュータシミュレーションの対象とする化合物の優先順位を2つの観点から定め、かつ、それぞれの観点に基づく優先順位を互いに融合した優先順位を定めることにより、ラマンスペクトルのデータベースを効率よく構築することに想到した。
上記目的を達成し得た本発明のデータベース構築方法は、
コンピュータを用いたラマンスペクトルデータベースの構築方法であって、
原子数がN個(N:2以上の自然数)の化合物の化学構造から当該化合物のラマンスペクトルを計算する第1種計算ステップを含み、Nの数を順次増加させて第1種計算ステップを繰り返し行なうことにより算出されたラマンスペクトルデータをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に蓄積する第1種蓄積ステップを有し、ユーザ端末装置から化合物を特定する情報(以下、「化合物特定情報」と記載する。)の入力を受ける入力ステップと、特定された化合物のラマンスペクトルデータが前記記録媒体に蓄積されていない場合に当該化合物の化学構造から当該化合物のラマンスペクトルを計算する第2種計算ステップを含むものであり、
算出されたラマンスペクトルデータを前記記録媒体に蓄積する第2種蓄積ステップを有し、前記第2種計算ステップは、前記第1種計算ステップ(計算が終了したものを除く)よりも優先して行うものである。
第1種計算ステップは、原子数が小さい化合物のラマンスペクトルを優先して計算するものである。原子数が小さい化合物のラマンスペクトルを早期に蓄積しておくことにより、蓄積が完了した化合物の化学構造を含む大きな化合物の化学構造を予測することを可能となるものである。
第2種計算ステップは、ユーザ端末装置からのリクエストがあった化合物のラマンスペクトルを優先して計算するものである。分析対象となる化合物のトレンドは、データベース作成者側で全てを把握することができるものでもない。そこで本発明者らは、ユーザからリクエストがあった化合物のラマンスペクトルをデータベース構築順にダイレクトに反映させることとした。
さらに、第1種計算ステップと第2種計算ステップとが競合した際には第2種計算ステップを優先して進めることにより、ラマンスペクトルニーズへの対応力を高めたデータベース構築方法を提供することができる。
上記データベース構築方法において、同一または異なるユーザ端末装置から2以上の化合物特定情報が入力された場合には、先に入力ステップが完了した化合物特定情報に対する第2種計算ステップが優先して行うことが好ましい。
上記データベース構築方法において、前記ラマンスペクトルデータは、(波数,当該波数におけるラマン散乱強度)から構成されるデータを複数有するデータ列により構成される態様とすることができる。
上記データベース構築方法において、前記第2種計算ステップの計算が実行されている間は、第1種計算ステップの計算を新たには開始しない態様、或いは、実行中の第1種計算ステップの計算を中断する態様とすることができる。
上記データベース構築方法において、前記化合物特定情報として、化合物の名称または化学式を用いる態様とすることができる。
上記データベース構築方法において、前記第1種計算ステップおよび第2種計算ステップは、第一原理計算を用いた量子化学計算によって行うことが好ましい。
上記データベース構築方法において、実測により得られたラマンスペクトルデータを前記データ列の形式に変換して前記記録媒体に追加する態様を好ましく実施することができる。
また、上記目的を達成し得た本発明の記録媒体は、上記のデータベース構築方法により構築されたデータベースが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
また、上記記録媒体を用いることにより、同定可能な化学物質の種類が従来よりも多い同定システムを提供することができる。
本発明は、ラマンスペクトルデータを使用するユーザのニーズを反映するという要素と、原子数の小さな化合物を優先するという要素の2つを融合することにより、ユーザにとって、より有用性の高いラマンスペクトルデータベースを早期に構築することができるものである。
本発明の実施形態に係るラマンスペクトルデータベースの構築システムの構成図である。 計算装置において実行されるラマンスペクトルデータの計算処理の流れを示すメインチャートである。 第1種蓄積サブルーチンの詳細な処理方法の流れを示すチャートである。 第2種蓄積サブルーチンの詳細な処理方法の流れを示すチャートである。
以下、本発明の実施形態にかかるデータベース構築方法について具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(1)本実施の形態に係るデータベース構築方法の概要
ラマンスペクトルのデータベースは、分光実験の積み重ねにより蓄積されていくものである。しかし、実験により得られるスペクトルデータは連続的なものであるのでピーク位置を明確には特定しにくい。また、実験対象となる試料には不純物を含まれていたり、実験環境上避けられない空気中の窒素や水分によるラマン散乱の情報が含まれていたり、実験装置の特質による雑音が含まれていたりするため、S/N比の高いラマンスペクトルを得にくい。
従って、ラマンスペクトルを用いた物質の同定には、実験により得られるラマンスペクトルを用いるよりも、計算を行って得られるデータを用いた方が的確に分析を行うことができる。また、計算によりスペクトルデータを作成すれば逐一試料を揃える必要はないので、低コストでデータベースを構築することができる。
そのような利点のある計算的手法を用いることを前提として、本発明の実施形態に係るラマンスペクトルデータベースの構築方法は、コンピュータを用いたラマンスペクトルデータベースの構築方法であって、原子数がN個(N:2以上の自然数)の化合物の化学構造から当該化合物のラマンスペクトルを計算する第1種計算ステップを含み、Nの数を順次増加させて第1種計算ステップを繰り返し行なうことにより算出されたラマンスペクトルデータをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に蓄積する第1種蓄積ステップを有する。さらに本構築方法は、ユーザ端末装置から化合物特定情報の入力を受ける入力ステップと、特定された化合物のラマンスペクトルデータが前記記録媒体に蓄積されていない場合に当該化合物の化学構造から当該化合物のラマンスペクトルを計算する第2種計算ステップとを含み、算出されたラマンスペクトルデータを前記記録媒体に蓄積する第2種蓄積ステップを有する。第2種計算ステップは、第1種計算ステップ(計算が終了したものを除く)よりも優先して行われる。
上記のステップを最低限経ることにより、ラマンスペクトルニーズへの対応力を高めたデータベース構築方法を提供することができる。各ステップの詳細、好ましい態様について以下に説明する。
(2)第1種蓄積ステップ
第1種蓄積ステップは、原子数が少ない分子(化合物)から順に、例えば第一原理計算を行ってラマンスペクトルデータを得る。第一原理計算とは、一般に量子力学の原理に基づいて、基本物理量(時間、長さ、質量、電流、温度、質量等の他の物理量だけでは導けない量)から目的の物性量を理論的に計算することをいう。第一原理計算は、近年のコンピュータの性能向上と低価格化により、複雑な計算を安価にかつ迅速に行うことができるようになったため急速に普及しつつあり、様々な物質における物性を知るために欠くことのできない手法の1つとなっている。本発明において、計算によって得られるラマンスペクトルデータは、波数(Wavenumber)と、該波数毎の強度(Intensity)とから構成されるデータの組を1つ以上有するデータ列の形で与えられることが望ましい。
本発明に係るラマンスペクトルデータベースの構築方法では計算を行ってラマンスペクトルデータを得るので、スペクトルのピーク位置を明確に特定することができ、不純物が含まれない純粋な化合物のスペクトルデータを得ることができる。
原子数の少ない分子は、原子数が多い分子と較べて、短い時間で計算を完了することができるので、第1種計算ステップにおいて原子数が少ない分子から順に計算を行うことにより、早期にラマンスペクトルデータベースの蓄積データ数を増やすことができる。例えば、原子数が22個の分子(4−Methylbenzenesulfonohydrazide)の計算時間(第一原理計算によるもの)はおよそ144分であるのに対し、原子数4個の分子(過酸化水素水)の計算時間は1秒程度である。計算ツールとしては、例えばクラウドコンピュータ(AmazonEC2のcc.8xlarge)上で市販の「GAMESS(ゲイムス)」や「Gaussian(ガウシアン)」等のソフトウェアを用いることができる。「GAMESS(General Atomic and Molecular Electronic Structure System)」および「Gaussian」は、ともに分子の量子化学計算を、ハートリー・フォック法、密度汎関数法などによって行なうソフトウェアである。
上記のように、第1種蓄積ステップでは原子数が少ない化合物のデータをまずは優先的に蓄積しておくことにより、これらの化合物の化学構造を一部に含む大きな化合物のスペクトル計算を行う際に、先に計算した化合物のスペクトルデータを利用することができる。
(3)第2種蓄積ステップ
第2種蓄積ステップは、ユーザ端末装置から入力を受けた特定化合物のラマンスペクトルデータがラマンスペクトルデータベースに蓄積されていない場合に、当該ラマンスペクトルの計算を行って該ラマンスペクトルデータを得るものである。
ユーザがリクエストした化合物は、ユーザがラマンスペクトルデータ等の情報を利用しようとしている化合物であるか、或いは、少なくともユーザにとって興味のある化合物(市場のトレンドを反映した化合物)であるので、第2種計算ステップにおいて、原子数の多少に関係なく優先的にラマンスペクトルの計算を行うことによって、他のユーザにとっても有用なデータベースを早期に構築することができる。
この第2種計算ステップは、第1種計算ステップ(計算が終了したものを除く)よりも優先して行われる。突発的にユーザがリクエストした化合物に関する計算(第2種計算ステップ)を、計画的な計算(第1種計算ステップ)よりも優先させることにより、ニーズが不明なラマンスペクトルデータの数を機械的に増やすよりも、ニーズが高いラマンスペクトルデータの数を早期に増やすことを優先するものである。
(4)ラマンスペクトルデータベースの構築システム例
図1は、本発明の実施形態に係るラマンスペクトルデータベースの構築方法を実現するための、データベース構築システムの構成図である。ラマンスペクトルデータベースの構築システム1は、計算装置2、ラマンスペクトルデータ蓄積装置3を備える。計算装置2は、化学構造データ保持部7及び演算部8を含む。ラマンスペクトルデータ蓄積装置3は、計算装置2の演算部8により計算されるラマンスペクトルデータを蓄積するコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
演算部8は、ユーザ端末装置4〜6との通信が可能となっており、ユーザ端末装置4〜6から化合物の名称や化学式等の化合物特定情報の入力を受け付ける。また、提供可能となったラマンスペクトルデータは演算部8からユーザ端末装置に送信される。
化学構造データ保持部7は分子の化学構造データ(分子を構成する各々の原子の種類とそれらの位置(座標))を保有しているものであり、必要に応じて演算部8に受け渡すことができる。化学構造データ保持部7に存在しない化学構造データが必要になった場合には化学構造データを外部から取得することもできる。化学構造データは現在約5000万種程度が一般に供されており、理論的には5000万種のラマンスペクトルデータを計算することが可能である。さらには、化学構造データを計算によって新たに作成することも可能であるので、5000万種以上のラマンスペクトルデータを得ることもできる。
演算部8には、ラマンスペクトルデータを計算するパーソナルコンピュータや、ワークステーション等のビジネスコンピュータの中央演算装置(CPU)を用いることができる。そのほか、外部のスーパーコンピュータ等を利用するものであってもよい。また、ラマンスペクトルデータの計算では化合物単位で計算が独立しているので、計算を複数の部分計算に分ける必要がないため、ネットワークを介して複数のコンピュータを利用する分散コンピューティングを行わせることが比較的容易である。例えば一般に参加者を募る分散コンピューティングプロジェクトを立ち上げれば、高価なスーパーコンピュータ等を用いなくても、スループットを高めることが可能となる。
図2は、演算部8において実行されるラマンスペクトルデータの計算処理の流れを示すメインチャートである。ラマンスペクトルデータの計算処理は、第1種蓄積サブルーチン10、第2種蓄積サブルーチン20及び中断ステップ30を含んで構成される。
第1種蓄積サブルーチン10は、上記第1種蓄積ステップにおける処理方法を実現するプログラムであり、第2種蓄積サブルーチン20は、上記第2種蓄積ステップにおける処理方法を実現するプログラムである。
中断ステップ30は、メンテナンス時やトラブル発生時などにおいて、処理を中断する指示が管理者等からなされたか否かを判断するものであり、該指示がなされない限りは第1種蓄積サブルーチン10或いは第2種蓄積サブルーチン20を繰り返す。
図3は、第1種蓄積サブルーチン10の詳細な処理方法の流れを示すチャートである。第1種蓄積サブルーチン10は、化学構造データ要求サブステップ11、化学構造データ受信サブステップ12、第1種計算サブステップ13及び第1種蓄積サブステップ14を含むものである。
化学構造データ要求サブステップ11において、原子数が少ない分子から順に、化学構造データ保持部7へ分子の化学構造データを要求する。例えば化学構造データ要求サブステップ11は、化学構造データ保持部7が化学構造データを出力可能な分子の分子量と原子数との組の一覧を、予め内部に保持するリストからあるいは外部から受信し、原子数が2(原子数を2以上の自然数Nで表すとN=2)である分子(例えばH、CO、N、Oなど)を分子量が少ない順に化学構造データを1つずつ要求する。原子数が2である分子の要求が完了すると、今度は原子数を1つ追加して、原子数が3である分子(例えばHO,CO、Oなど)を分子量が少ない順に化学構造データを1つずつ要求する。以下同様に原子数を順次増加しながら(N=N+1)、分子の分子量が少ない順に化学構造データを1つずつ要求する。ここで原子数が同数の分子について、分子量が少ない順に化学構造データを要求しているが、分子量が少ない順に化学構造データを要求する代わりに、分子量が多い順や他の物理量の大きさの順序、あるいは分子の学術名のアルファベット順のような物理量以外の順序で、化学構造データを要求することもできる。なお、化学構造データ要求サブステップ11において化学構造データを要求する前に、該化学構造データに基づいて得られたラマンスペクトルデータがラマンスペクトルデータ蓄積装置3に蓄積されているか否かを検索し、既に蓄積されていることが判明した場合には、該化学構造データの要求を取りやめることができる。
化学構造データ受信サブステップ12において、化学構造データ要求サブステップ11により要求された化学構造データを化学構造データ保持部7から受信する。
第1種計算サブステップ13において、化学構造データ受信サブステップ12により受信された化学構造データを入力とし、これを構造最適化した後に第一原理計算を行ってラマンスペクトルデータを得る(なお、構造最適化とは、分子を構成する結合について、結合距離、結合角、および二面角を変えた様々な配座分子の全エネルギーを計算し、最も低いエネルギーを有する配座を探し出す作業である)。化学構造データ受信サブステップ12において化学構造データを受信できない場合には、例えば類似度の高い分子の化学構造データを元にして目的の化学構造データを生成することもできる。
第1種蓄積サブステップ14において、第1種計算サブステップ13により算出されたラマンスペクトルデータをラマンスペクトルデータ蓄積装置3に蓄積して第1種蓄積サブルーチン10を終了し、図2のメインチャートにリターン(復帰)して、第2種蓄積サブルーチン20に移行する。
図4は、第2種蓄積サブルーチン20の詳細な処理方法の流れを示すチャートである。
第2種蓄積サブルーチン20は、入力サブステップ21、判断サブステップ22、化学構造データ要求サブステップ23、化学構造データ受信サブステップ24、第2種計算サブステップ25及び第2種蓄積サブステップ26を含むものである。
入力サブステップ21において、まず、いずれかのユーザ端末装置4〜6から化合物特定情報を受信したか否かを判断する。化合物特定情報を受信していない場合には、第2種蓄積サブルーチン20を終了し、図2のメインチャートにリターン(復帰)して中断ステップ30へ行く。ここで、同一または異なるユーザ端末装置から2以上の化合物特定情報が受信されている場合には、先に受信した化合物特定情報に関する処理を優先して行う。なお、受信されている複数の化合物特定情報について、受信した順序で処理を行う代わりに、各化合物特定情報から特定される化合物の原子数が少ない順や分子量が少ない順などのように、化学構造データ要求サブステップ11が化学構造データを要求する際と同様の順序で処理を行ってもよい。
なお、図4には、判断サブステップ22が第2種蓄積サブルーチン20の中に組み込まれているが、第1種蓄積サブルーチン10の処理中においてもユーザ端末装置4〜6から化合物特定情報を受信したか否かを判断しても良い。例えば、第1種蓄積サブルーチン10の処理中に化合物特定情報を受信した場合には、第1種蓄積サブルーチン10の処理に割り込みをかけて、図4に示した判断サブステップ22、化学構造データ要求サブステップ23、化学構造データ受信サブステップ24、第2種計算サブステップ25及び第2種蓄積サブステップ26を実行させてもよい。
次に判断サブステップ22では、入力サブステップ21により受信した化合物特定情報から特定される化合物のラマンスペクトルデータがラマンスペクトルデータ蓄積装置3に既に蓄積されているものであるか否かを判断する。既に蓄積されている場合には、ラマンスペクトルの計算を行う必要がないので、化合物特定情報に対する処理を止めて、入力サブステップ21に戻る。
化学構造データ要求サブステップ23は、入力サブステップ21により受信した化合物特定情報から特定される分子の化学構造データを化学構造データ保持部7に要求するものである。
続いて化学構造データ受信サブステップ24では、化学構造データ要求サブステップ23において要求された化学構造データを化学構造データ保持部7から演算部8に移行させる。
第2種計算サブステップ25では、化学構造データ受信サブステップ24により移行された化学構造データを入力とし、これを構造最適化した後に第一原理計算を行ってラマンスペクトルデータを得る。なお、第2種計算サブステップ25による第一原理計算が実行されている間は、第2種計算サブステップ25における計算速度を向上させるため、新たな分子に対する第1種計算サブステップ13による第一原理計算を開始しないことが好ましい。
また第2種計算サブステップ25による第一原理計算が実行されている間は、第2種計算サブステップ25における計算速度を向上させるため、先に実行を開始した第1種計算サブステップ13による第一原理計算を中断することが好ましい。中断の方法としては、(a)計算途中の成果を一時退避させておき、第2種計算サブステップ25による第一原理計算が終了した際に、第1種計算サブステップ13が中断した箇所から計算を再開する方法、或いは、(b)再開に必要なデータを一時退避せず、第2種計算サブステップ25による第一原理計算が終了した際に、第1種計算サブステップ13が中断された分子に対する計算を最初からやり直す方法を採ることができる。上記(b)の方法であれば計算が即座に中断されるメリットがあるが、計算の進行度合いに応じて上記(a)のように計算途中の成果を温存してもよい。
第2種蓄積サブステップ26において、第2種計算サブステップ25により算出されたラマンスペクトルデータをラマンスペクトルデータ蓄積装置3に蓄積し、入力サブステップ21に戻る。ここで、ユーザが検索したラマンスペクトルデータに基づいて、管理者などが市場のトレンドを予想して、該市場に関連する他の化合物についてラマンスペクトルデータを計算して蓄積することにより、いっそう汎用性の高いデータベースを構築することができる。
また、第2種蓄積サブルーチン20において、ユーザがリクエストした化合物のラマンスペクトルデータを計算した際に、該化合物と分子構造や特性等が類似する化合物(例えば化学式が同一で化学構造が違うもの)や、これらの化合物と同時に利用されるような関連性の高い化合物のラマンスペクトルデータを、第1種蓄積サブルーチン10よりも優先して計算してラマンスペクトルデータ蓄積装置3に蓄積してもよい。
(5)その他
第1種蓄積サブルーチン10や第2種蓄積サブルーチン20によるラマンスペクトルデータの生成とは別に、実測により得られたラマンスペクトルデータを別途入手し、これを、(波数,当該波数におけるラマン散乱強度)から構成されるデータ列の形式に変換して、ラマンスペクトルデータ蓄積装置3に追加してもよい。このように既存のデータベース資産を活かすことにより、データベースの蓄積数を早期に増やすこともできる。
また、ラマンスペクトルの測定装置(図示せず)と、ラマンスペクトルデータ蓄積装置3とを用いて化学物質の同定システムを構築すれば、測定装置により検出されたラマンスペクトルとラマンスペクトルデータ蓄積装置3に蓄積されたラマンスペクトルデータとを比較することによって、試料に含まれる化合物の種類を同定することができる。
以上説明したように本発明に係るラマンスペクトルデータベースの構築方法は、原子数が少ない化合物に対する計算を優先させることにより、早期にラマンスペクトルデータベースの蓄積データ数を増やすことができる。また、ユーザ端末装置から入力を受けた化合物に対する計算を優先させることにより、ユーザにとって有用な汎用性の高いラマンスペクトルデータベースを早期に構築することができるものである。
1 ラマンスペクトルデータベースの構築システム
2 計算装置
3 ラマンスペクトルデータ蓄積装置
4〜6 ユーザ端末装置
7 化学構造データ保持部
8 演算部
10 第1種蓄積サブルーチン
11 化学構造データ要求サブステップ
12 化学構造データ受信サブステップ
13 第1種計算サブステップ
14 第1種蓄積サブステップ
20 第2種蓄積サブルーチン
21 入力サブステップ
22 判断サブステップ
23 化学構造データ要求サブステップ
24 化学構造データ受信サブステップ
25 第2種計算サブステップ
26 第2種蓄積サブステップ
30 中断ステップ

Claims (8)

  1. コンピュータを用いたラマンスペクトルデータベースの構築方法であって、
    原子数がN個(N:2以上の自然数)の化合物の化学構造から当該化合物のラマンスペクトルを計算する第1種計算ステップを含み、Nの数を順次増加させて第1種計算ステップを繰り返し行なうことにより算出されたラマンスペクトルデータをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に蓄積する第1種蓄積ステップを有し、
    ユーザ端末装置から化合物を特定する情報(化合物特定情報)の入力を受ける入力ステップと、特定された化合物のラマンスペクトルデータが前記記録媒体に蓄積されていない場合に当該化合物の化学構造から当該化合物のラマンスペクトルを計算する第2種計算ステップとを含み、算出されたラマンスペクトルデータを前記記録媒体に蓄積する第2種蓄積ステップを有し、
    前記第2種計算ステップは、前記第1種計算ステップ(計算が終了したものを除く)よりも優先して行われることを特徴とするラマンスペクトルデータベースの構築方法。
  2. 同一または異なるユーザ端末装置から2以上の化合物特定情報が入力された場合には、先に入力ステップが完了した化合物特定情報に対する第2種計算ステップが優先して行なわれる請求項1に記載のラマンスペクトルデータベースの構築方法。
  3. 前記ラマンスペクトルデータは、(波数,当該波数におけるラマン散乱強度)から構成されるデータを複数有するデータ列により構成される請求項1または2に記載のラマンスペクトルデータベースの構築方法。
  4. 前記第2種計算ステップの計算が実行されている間は、第1種計算ステップの計算を新たには開始しない請求項1〜3のいずれかに記載のラマンスペクトルデータベースの構築方法。
  5. 前記第2種計算ステップの計算が実行されている間は、実行中の第1種計算ステップの計算を中断する請求項1〜3のいずれかに記載のラマンスペクトルデータベースの構築方法。
  6. 前記化合物特定情報が化合物の名称または化学式である請求項1〜5のいずれかに記載のラマンスペクトルデータベースの構築方法。
  7. 前記第1種計算ステップおよび第2種計算ステップは、第一原理計算を用いた量子化学計算によって行われる請求項1〜6のいずれかに記載のラマンスペクトルデータベースの構築方法。
  8. 実測により得られたラマンスペクトルデータを前記データ列の形式に変換して前記記録媒体に追加する請求項3に記載のラマンスペクトルデータベースの構築方法。
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