1.遊技機の構造
本発明の第1形態であるパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においてパチンコ遊技機の各部の左右方向は、そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。
図1に示すように、本形態のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取付けられた遊技盤2とを備えている。遊技機枠50のうちの前面枠51には、回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル60、遊技球を貯留する打球供給皿(上皿)61、及び打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62が設けられている。また前面枠51には、遊技の進行に伴って実行される演出時などに遊技者が操作し得る演出ボタン63が設けられている。また前面枠51には、装飾用の枠ランプ66およびスピーカ67が設けられている。
遊技盤2には、ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。また遊技盤2には装飾用の盤ランプ5(図5参照)が複数設けられている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技くぎ(図示せず)が突設されている。
また遊技領域3の中央付近には、液晶表示装置である画像表示装置7が設けられている。画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示(可変表示)に同期した演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8Rの変動表示を行う演出図柄表示領域がある。演出図柄表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなる。左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。演出図柄はそれぞれ、例えば「1」〜「9」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。画像表示装置7は、左、中、右の演出図柄の組み合わせによって、後述の第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41b(図3参照)にて表示される第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示の結果(つまりは大当たり抽選の結果)を、わかりやすく表示する。
例えば大当たりに当選した場合には「777」などのゾロ目で演出図柄を停止表示する。また小当たりに当選した場合には「135」などの予め定めたチャンス目や、「452」などのバラケ目で演出図柄を停止表示する。また、はずれであった場合には「637」などのバラケ目で演出図柄を停止表示する。これにより、遊技者にとっては遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bにより把握するのではなく、画像表示装置7にて把握する。なお、図柄表示エリアの位置は固定的でなくてもよい。また、演出図柄の変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。また、各抽選結果に応じてどのような演出図柄の組み合わせを停止表示するかは任意に変更可能であり、小当たり当選時にチャンス目のみで演出図柄を停止表示するようにしてもよい。
画像表示装置7は、上記のような演出図柄を用いた演出図柄変動演出(「演出図柄可変表示演出」や単に「変動演出」ともいう)のほか、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出などを表示画面7aに表示する。なお演出図柄可変表示演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の演出画像も表示される。
また画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留の記憶数に応じて演出保留画像(演出保留表示に相当、例えば図50(b)に示す麻雀牌を示す画像700)を表示する第1演出保留表示エリア710がある。後述するように、本形態の第1特図保留の上限記憶数は「4」である。そのため、第1演出保留表示エリア710には、図50(b)に示すように、1個目の第1特図保留に対応する第1表示領域710aと、2個目の第1特図保留に対応する第2表示領域710bと、3個目の第1特図保留に対応する第3表示領域710cと、4個目の第1特図保留に対応する第4表示領域710dとがある。
また画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第2特図保留の記憶数に応じて演出保留画像を表示する第2演出保留表示エリア720がある。後述するように、本形態の第2特図保留の上限記憶数は「1」である。そのため、この第2演出保留表示エリア720に1つの演出保留画像が表示されることがある。但し第2特図保留の上限記憶数が「1」であっても、第2演出保留表示エリアに演出保留画像が表示されないようにしても良い。なお本形態では、当該変動に対応する演出保留画像を表示する当該変動用演出保留表示エリアが設けられていないが、当該変動用演出保留表示エリアを設けても良い。
こうして、演出保留画像の表示により、後述の第1特図保留表示器43a(図3参照)にて表示される第1特図保留の記憶数および第2特図保留表示器43bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことが可能となっている。
遊技領域3の中央付近であって画像表示装置7の前方には、センター装飾体10が配されている。センター装飾体10の下部には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口20へと誘導可能なステージ部11が形成されている。またセンター装飾体10の左部には、入口から遊技球を流入させ、出口からステージ部11へ遊技球を流出させるワープ部12が設けられている。さらにセンター装飾体10の上部には、装飾部材13が配されている。
遊技領域3における画像表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが常に変わらない第1始動口(第1始動入賞口、第1入球口)20を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
また第1始動口20の右上方には、第2始動口(第2始動入賞口、第2入球口)21を備える普通可変入賞装置(いわゆる電チュー、可変入球手段)22が設けられている。第2始動口21への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
電チュー22は、前後に進退可能な可動部材(入球口開閉部材)23を備え、可動部材23の作動によって第2始動口21を開閉するものである。可動部材23は、電チューソレノイド24(図4参照)により駆動される。第2始動口21は、可動部材23が開いているとき(つまり可動部材23が開状態をとっているとき)だけ遊技球が入球可能となる。すなわち、可動部材23が閉じているとき(つまり可動部材23が閉状態をとっているとき)には遊技球が入球不可能となっている。なお、第2始動口21は、可動部材23が閉じているときには開いているときよりも遊技球が入球困難となるものであれば、可動部材23が閉じているときに完全に入球不可能となるものでなくてもよい。
また、遊技領域3における第1始動口20の下方には、第1大入賞口30を備えた第1大入賞装置(第1特別可変入賞装置、第1特別入賞手段)31が設けられている。第1大入賞装置31は、開状態と閉状態とをとる開閉部材(第1特別入賞口開閉部材)32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、第1大入賞口ソレノイド33(図4参照)により駆動される。第1大入賞口30は、開閉部材32が開いているとき(つまり開状態のとき)だけ遊技球が入球可能となる。
また、遊技領域3における第1大入賞口30の右方には、第2大入賞口(特別入賞口)35を備えた第2大入賞装置(第2特別可変入賞装置、特別入賞手段)36が設けられている。第2大入賞装置36は、開状態と閉状態とをとる開閉部材(特別入賞口開閉部材)37を備え、開閉部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。開閉部材37は、前後に進退する進退式のものであり、第2大入賞口ソレノイド38(図4参照)により駆動される。第2大入賞口35は、開閉部材37が開いているとき(つまり開状態のとき)だけ遊技球が入球可能となる。
より詳細には、図2に示すように、第2大入賞装置36の内部には、第2大入賞口35を通過した遊技球が通過可能な特定領域(V領域)39および非特定領域70が形成されている。なお、第2大入賞装置36において、特定領域39および非特定領域70の上流には、第2大入賞口35への遊技球の入賞を検知する第2大入賞口センサ35aが配されている。また、特定領域39には、特定領域39への遊技球の通過を検知する特定領域センサ39aが配されている。また、非特定領域70には、非特定領域70への遊技球の通過を検知する非特定領域センサ70aが配されている。
第2大入賞装置36は、第2大入賞口35を通過した遊技球を特定領域39または非特定領域70のいずれかに振り分ける振分部材71と、振分部材71を駆動する振分部材ソレノイド73とを備えている。なお、振分部材71は、振分部材ソレノイド73の通電時には、遊技球を特定領域39に振り分ける第1の状態(通過許容状態)をとり、振分部材ソレノイド73の非通電時には、遊技球を非特定領域70に振り分ける第2の状態(通過阻止状態)をとる。
振分部材71は、図2に二点鎖線で示すように、振分部材ソレノイド73の通電時には、特定領域39への遊技球の通過を許容する通過許容状態にある。振分部材71が通過許容状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと特定領域39を通過する。この遊技球のルートを第1のルートという。
また振分部材71は、図2に破線で示すように、振分部材ソレノイド73の非通電時には、特定領域39への遊技球の通過を妨げる通過阻止状態にある。振分部材71が通過阻止状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと振分部材71上を転動して非特定領域70を通過する。この遊技球のルートを第2のルートという。
なお本パチンコ遊技機1では、特定領域39への遊技球の通過は、後述の大当たり遊技(第2特別遊技)の実行契機となっている。つまり本形態では、特定領域39への遊技球の通過の有無によっても大当たり抽選を行っている。上述の第1特別図柄の抽選又は第2特別図柄の抽選により当選する大当たりを1種大当たりといい、特定領域39への遊技球の通過によって当選する大当たりを2種大当たりという。
また図1に示すように、遊技領域3における第2始動口21の上方には、遊技球が通過可能なゲート28が設けられている。ゲート28への遊技球の通過は、電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄抽選(すなわち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。
さらに遊技領域3の左下部には、普通入賞口27が設けられている。また遊技領域3の最下部には、遊技領域3へ打ち込まれたもののいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口9が設けられている。
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域3には、左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1遊技領域)3Aと、右側の右遊技領域(第2遊技領域)3Bとがある。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本形態のパチンコ遊技機1では、左打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第1流路R1といい、右打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第2流路R2という。
第1流路R1上には、第1始動口20と、第1大入賞装置31と、アウト口9とが設けられている。遊技者は第1流路R1を流下するように遊技球を打ち込むことで、第1始動口20への入賞を狙う。
一方、第2流路R2上には、ゲート28と、電チュー22と、第2大入賞装置36と、第1大入賞装置31と、アウト口9とが設けられている。遊技者は第2流路R2を流下するように遊技球を打ち込むことで、ゲート28への通過、電チュー22に係る第2始動口21、第1大入賞口30、又は第2大入賞口35への入賞を狙う。
なお本形態では、ゲート28と、電チュー22と、第2大入賞装置36とはユニット化されており、1つの構造体として遊技盤2に対して着脱可能となっている。また、固定入賞装置19と第1大入賞装置31とはユニット化されており、1つの構造体として遊技盤2に対して着脱可能となっている。
また図1および図3に示すように、遊技盤2の右下部には表示器類40が配置されている。表示器類40には、第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器41b、及び、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器42が含まれている。また表示器類40には、第1特別図柄表示器41aの作動保留(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43a、第2特別図柄表示器41bの作動保留(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43b、および普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44が含まれている。
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口20への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口21への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄ということがある。また、第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示器41ということがある。また、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示器43ということがある。
特別図柄表示器41では、特別図柄(識別情報)を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた大当たり停止態様の特別図柄(大当たり図柄)である場合には、停止表示された大当たり図柄の種類(つまり当選した大当たりの種類)に応じた開放パターンにて第1大入賞口30を開放させる大当たり遊技が行われる。また、停止図柄が予め定めた小当たり停止態様の特別図柄(小当たり図柄)である場合には、停止表示された小当たり図柄の種類(つまり当選した小当たりの種類)に応じた開放パターンにて第2大入賞口35を開放させる小当たり遊技(第1特別遊技)が行われる。なお、小当たり遊技又は大当たり遊技における大入賞口(第1大入賞口30及び第2大入賞口35)の開放パターンについては後述する。
具体的には特別図柄表示器41は、例えば横並びに配された8個のLEDから構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、小当たり(後述の複数種類の小当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「●●●●○○●●」というように左から5,6番目にあるLEDが点灯した小当たり図柄を表示する。また、ハズレである場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示(可変表示)がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(数値情報)は、特図保留記憶部85(図4参照)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入賞であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部(第1数値情報記憶手段)85aに記憶され、第2始動口21への入賞であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部(第2数値情報記憶手段)85bに記憶される。各々の特図保留記憶部85に記憶可能な特図保留の数には上限があり、本形態において第1特図保留記憶部85aの上限記憶数が4(第1上限数)であり、第2特図保留記憶部85bの上限記憶数が1(第2上限数)となっている。
特図保留記憶部85に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や特別遊技(大当たり遊技又は小当たり遊技)の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器43に表示される。具体的には第1特図保留表示器43aは、例えば4個のLEDで構成されており、第2特図保留表示器43bは、例えば1個のLEDで構成されている。各特図保留表示器43は、特図保留の数だけLEDを点灯させることにより特図保留の数を表示する。
普通図柄の可変表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(所定の停止態様の普通図柄すなわち普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。なお、第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的には普通図柄表示器42は、例えば2個のLEDから構成されており(図3参照)、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たりである場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示(可変表示)がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に対して取得した普通図柄乱数(当たり乱数)の値は、普図保留記憶部86(図4参照)に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部86に記憶可能な普図保留の数には上限があり、本形態における上限値は4個となっている。
普図保留記憶部86に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数(当たり乱数)を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の可変表示がその通過後にすぐに行えない場合、すなわち普通図柄の可変表示の実行中や補助遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その通過に対する普通図柄抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には普図保留表示器44は、例えば4個のLEDで構成されており、普図保留の数だけLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示するものである。
2.遊技機の電気的構成
次に図4及び図5に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。図4及び図5に示すようにパチンコ遊技機1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う主制御基板(遊技制御基板)80、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板(演出制御基板)90、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110等を備えている。主制御基板80は、メイン制御部を構成し、サブ制御基板90は、後述する画像制御基板100、ランプ制御基板107、および音声制御基板106とともにサブ制御部を構成する。なお、サブ制御部は、少なくともサブ制御基板90を備えていればよい。
主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83、ワークメモリとして使用されるRAM84、ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82が含まれている。遊技制御用マイコン81は、入出力回路(I/Oポート部)87を介して他の基板等とデータの送受信を行う。入出力回路87は、遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。また、ROM83は外付けであってもよい。
RAM84には、上述した特図保留記憶部85(第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85b)と普図保留記憶部86とが設けられている。さらに詳細には第1特図保留記憶部85aは、図6(a)に示すように、記憶可能な第1特図保留の数に対応した4つの記憶領域からなる。また図6(b)に示すように、第2特図保留記憶部85bは記憶可能な第2特図保留の数に対応した1つの記憶領域からなる。各記憶領域は図6(c)に示すように、さらに4つの記憶領域に分かれている。これらの4つの記憶領域とは、後述の大当たり乱数を記憶する領域、大当たり種別乱数を記憶する領域、リーチ乱数を記憶する領域、及び変動パターン乱数を記憶する領域である。
図4に示すように、主制御基板80には、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、非特定領域センサ70a、および普通入賞口センサ27aが接続されている。
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検出するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入賞した遊技球を検出するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入賞した遊技球を検出するものである。特定領域センサ39aは、第2大入賞口35内の特定領域39に設けられて特定領域39を通過した遊技球を検出するものである。非特定領域センサ70aは、第2大入賞口35内の非特定領域70に設けられて非特定領域70を通過した遊技球を検出するものである。普通入賞口センサ27aは、各普通入賞口27内にそれぞれ設けられて普通入賞口27に入賞した遊技球を検出するものである。
またソレノイド類としては、電チューソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38、および振分部材ソレノイド73が接続されている。電チューソレノイド24は、電チュー22の可動部材23を駆動するものである。第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するものである。第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するものである。振分部材ソレノイド73は、第2大入賞装置36の振分部材71を駆動するものである。
さらに主制御基板80には、第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄表示器41b、普通図柄表示器42、第1特図保留表示器43a、第2特図保留表示器43b、および普図保留表示器44が接続されている。すなわち、これらの表示器類40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
また主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球払出装置120、貸球払出装置130およびカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されたプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御回路111を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、ハンドル60(図1参照)が含まれる。
払出制御基板110は、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球払出装置130の球貸モータ131を駆動して貸球の払い出しを行ったりする。払い出される賞球は、その計数のため賞球センサ122により検知される。また払い出される貸球は、その計数のため球貸センサ132により検知される。なお遊技者による発射装置112のハンドル60(図1参照)の操作があった場合には、タッチスイッチ114がハンドル60への接触を検知し、発射ボリューム115がハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動されることとなる。なお本パチンコ遊技機1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。
また主制御基板80は、サブ制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との接続は、主制御基板80からサブ制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80とサブ制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
図5に示すように、サブ制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)91が実装されている。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93、ワークメモリとして使用されるRAM94、ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92が含まれている。演出制御用マイコン91は、入出力回路(I/Oポート部)97を介して他の基板等とデータの送受信を行う。入出力回路97は、演出制御用マイコン91に内蔵されていてもよい。また、ROM93は外付けであってもよい。
またRAM94には、図7(a)に示すように、第1始動口20への入賞に基づいて特定された第1始動入賞コマンド(後に詳述)等を記憶可能な第1特図保留演出記憶部95aと、第2始動口21への入賞に基づいて特定された第2始動入賞コマンド(後に詳述)等を記憶可能な第2特図保留演出記憶部95bと、第1特別図柄および第2特別図柄に共通の当該変動用演出記憶部(第0記憶領域)95cとが設けられている。第1特図保留演出記憶部95aは、図7(b)に示すように、記憶可能な第1特図保留の数に対応して4つの記憶領域(第1記憶領域〜第4記憶領域)に分けられている。また第2特図保留演出記憶部95bは、図7(c)に示すように、記憶可能な第2特図保留の数に対応して1つの記憶領域(第1記憶領域)からなる。
さらに各記憶領域には、図7(d)に示すように、5つの記憶領域が含まれている。これらの5つの記憶領域とは、始動入賞コマンドを記憶する始動入賞コマンド記憶領域、後述する演出保留画像(特図保留画像)の表示態様を示すデータ(特図保留表示態様データ)を記憶する保留表示態様データ記憶領域、後述する入賞時保留変化乱数を記憶する入賞時保留変化乱数記憶領域、後述する小当たり時保留変化乱数を記憶する小当たり時保留変化乱数記憶領域、及び、後述する変化シナリオ乱数を記憶する変化シナリオ乱数記憶領域である。なお当該変動用演出記憶部95cもこれらの4つの記憶領域を含んでいる。
図5に示すようにサブ制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、ランプ制御基板107が接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100のCPU102に画像表示装置7の表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAM104は、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROM103には、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御基板100のCPU102は、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROM103から画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、サブ制御基板90のROM93に格納されている。なお、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御基板100のCPU102に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROM103に音響データを格納してもよい。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107を介して枠ランプ66、盤ランプ5等のランプの点灯制御を行う。詳細には演出制御用マイコン91は、各ランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を作成し、発光パターンデータに従って枠ランプ66、盤ランプ5等のランプの発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。
さらに演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107に中継基板108を介して接続された装飾可動体15を動作させる。なお装飾可動体15は、図1では図示を省略したが、センター装飾体10に設けられた可動式のいわゆるギミックのことである。詳細には演出制御用マイコン91は、装飾可動体15の動作態様を決める動作パターンデータ(駆動データともいう)を作成し、動作パターンデータに従って装飾可動体15の動作を制御する。動作パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。なお、ランプ制御基板107にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUにランプの点灯制御や装飾可動体15の動作制御を実行させてもよい。さらにこの場合、ランプ制御基板107にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
またサブ制御基板90には、演出ボタン63(図1参照)が押下操作されたことを検出する演出ボタン検出SW(スイッチ)63aが接続されている。従って、演出ボタン63が押下されると、演出ボタン検出SW63aからサブ制御基板90に対して信号が出力される。
3.大当たり等の説明
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として、「大当たり」、「小当たり」、「はずれ」がある。詳細には、第1特別図柄の抽選の結果としては、「大当たり」、「小当たり」、「はずれ」があり、第2特別図柄の抽選の結果としては、「大当たり」、「小当たり」がある。すなわち、第2特別図柄の抽選で「はずれ」となることはない。「大当たり」のときには、特別図柄表示器41に「大当たり図柄」が停止表示される。「小当たり」のときには、特別図柄表示器41に「小当たり図柄」が停止表示される。「はずれ」のときには、特別図柄表示器41に「ハズレ図柄」が停止表示される。
特別図柄抽選にて大当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(大当たりの種類)に応じた開放パターンにて第1大入賞口30を開放させる「大当たり遊技に相当)」が実行される。小当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(小当たりの種類)に応じた開放パターンにて第2大入賞口35を開放させる「小当たり遊技」が実行される。そして、小当たり遊技の実行中に第2大入賞口35内の特定領域39に遊技球が進入すると、当選している小当たりの種類に応じた開放パターンにて第1大入賞口30を開放させる「大当たり遊技」が実行される。なお、特別図柄抽選の結果が大当たり当選であることに基づいて実行される大当たり遊技を1種大当たり遊技と称する。また、特定領域39への通過に基づいて実行される大当たり遊技を2種大当たり遊技と称する。
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
また小当たり遊技は、本形態では、第2大入賞口35を開放する小当たり開放遊技と、小当たり開放遊技が開始される前のオープニング(開放前インターバル)と、小当たり開放遊技が終了した後のエンディング(閉鎖後インターバル)とを含んでいる。
特別図柄抽選の結果、大当たりに当選すると(つまり1種大当たりに当選すると)、第1大入賞口30を開放させる大当たり遊技(1種大当たり遊技)が実行される。より詳細には本形態では、図8に示すように、大当たりの種別として「15R(ラウンド)通常大当たり」と「4R時短大当たり」と「15R時短大当たり」とがある。「15R通常大当たり」は、15Rにわたって第1大入賞口30を開放させた後、遊技状態を後述の「非時短状態且つ低ベース状態」に制御する大当たりである。「4R時短大当たり」は、4Rにわたって第1大入賞口30を開放させた後、遊技状態を後述の「時短状態且つ高ベース状態」に制御する大当たりである。「15R時短大当たり」は、15Rにわたって第1大入賞口30を開放させた後、遊技状態を後述の「時短状態且つ高ベース状態」に制御する大当たりである。なお、いずれの大当たりも、1Rあたりの第1大入賞口30の開放回数は1回であり、その最大開放時間は29.5秒である。
また、「15R通常大当たり」及び「4R時短大当たり」は第1特別図柄(特図1)の抽選でのみ当選する可能性がある。これに対して「15R時短大当たり」は第2特別図柄(特図2)の抽選でのみ当選する可能性がある。なお、第1特別図柄の抽選によって「15R通常大当たり」に当選した場合には、第1特別図柄表示器41aに「特図1_通常図柄」が停止表示される。また、第1特別図柄の抽選によって「4R時短大当たり」に当選した場合には、第1特別図柄表示器41aに「特図1_時短図柄1」が停止表示される。また、第2特別図柄の抽選によって「15R時短大当たり」に当選した場合には、第2特別図柄表示器41bに「特図2_時短図柄2」が停止表示される。
一方特別図柄抽選の結果、小当たりに当選すると、第2大入賞口35を1回開放させる小当たり遊技が実行される。小当たり遊技によって開放された第2大入賞口35へ遊技球が入賞し、その遊技球が第2大入賞装置36内の特定領域39を通過した場合には、大当たり当選となり、続けて15Rにわたって第1大入賞口30を開放させる大当たり遊技(2種大当たり遊技)が実行される。この2種大当たり遊技が実行された場合には、小当たり遊技としての第2大入賞口35の開放が1R目に相当することになる。従ってこのときの総ラウンド数は16Rとなる。なお、大当たり遊技や小当たり遊技を特別遊技と称することもある。また、特別遊技においては1ラウンド中に複数回大入賞口を開放させるラウンドがあってもよい。
より詳細には本形態では、図8に示すように、小当たりの種別として「16R時短小当たりA」、「16R時短小当たりB」、「16R時短小当たりC」、及び「16R通常小当たり」とがある。各種別の小当たりは、小当たり遊技を行って、その小当たり遊技において特定領域39への遊技球の通過があれば大当たり遊技(2種大当たり遊技)を行うものである。小当たり遊技において特定領域39への遊技球の通過がなければ、大当たり遊技は実行されない。「16R時短小当たりA」は、特定領域39への通過(V通過ともいう)が実質的に不可能な小当たりである。これに対して、「16R時短小当たりB」、「16R時短小当たりC」、及び「16R通常小当たり」は、右打ちにて遊技をしていればV通過が必ず可能な小当たりである。小当たり遊技の実行中にV通過可能か否かは、振分部材71の作動パターンおよび開閉部材37の開放パターンによって決まる。この点については後に詳述する。
各種別の小当たり遊技では、第2大入賞口35の1.6秒開放が1回行われる。但し、各小当たり遊技におけるオープニングの時間は、小当たりの種別に応じて異なっている。具体的には図8に示すように、時短小当たりAではおよそ4.6秒、時短小当たりBでは21秒、時短小当たりCおよび通常小当たりでは0.008秒である。このように小当たりの種別に応じて小当たり遊技のオープニングの時間が異なっているのは、このオープニングの開始から一定の動作で動いている振分部材71に対する第2大入賞口35の開放タイミングを変えるためである。これにより、小当たり遊技の実行中にV通過が可能な通過開放パターンと、小当たり遊技の実行中にV通過が不可能(実質的を含む)な非通過開放パターンとをつくり出している。なお、非通過開放パターンが第1開放パターンに相当し、通過開放パターンが第2開放パターンに相当する。非通過開放パターンおよび通過開放パターンの詳細については後述する。
また特定領域39への遊技球の通過に基づいて実行される大当たり遊技(2種大当たり遊技)では、小当たりの種別に応じて定められている開放パターンで第1大入賞口30を開放する。具体的には、「16R時短小当たりA」は、1R当たりの最大開放時間を29.5秒として15Rにわたって第1大入賞口30を開放させる2種大当たり遊技の実行後、遊技状態を後述の「時短状態且つ高ベース状態」に制御する当たりである。但し、「16R時短小当たりA」は、V通過が実質的に不可能な小当たりであるため、このような2種大当たり遊技が実行されることはほとんどない。
また、「16R時短小当たりB」及び「16R時短小当たりC」は、1R当たりの最大開放時間を29.5秒として15Rにわたって第1大入賞口30を開放させる2種大当たり遊技の実行後、遊技状態を後述の「時短状態且つ高ベース状態」に制御する当たりである。また、「16R通常小当たり」は、2R目から5R目では1R当たりの最大開放時間を29.5秒として第1大入賞口30を開放させ、6R目から16R目では1R当たりの最大開放時間を0.1秒として第1大入賞口30を開放させる2種大当たり遊技の実行後、遊技状態を後述の「非時短状態且つ低ベース状態」に制御する当たりである。つまり、この「16R通常小当たり」は、6R目から16R目までは第1大入賞口30の開放時間が極めて短く、第1大入賞口30への入賞が見込めない。すなわち、2R目から5R目までの計4Rだけ第1大入賞口30への入賞が見込める実質4Rの当たりである。なお、2種大当たり遊技における1Rあたりの第1大入賞口30の開放回数は1回である。
また、「16R時短小当たりA」及び「16R時短小当たりB」は第1特別図柄の抽選でのみ当選する可能性がある。これに対して「16R時短小当たりC」及び「16R通常小当たり」は第2特別図柄の抽選でのみ当選する可能性がある。なお、第1特別図柄の抽選によって「16R時短小当たりA」に当選した場合には、第1特別図柄表示器41aに「特図1_時短有り小当たり図柄1」が停止表示される。また、第1特別図柄の抽選によって「16R時短小当たりB」に当選した場合には、第1特別図柄表示器41aに「特図1_時短有り小当たり図柄2」が停止表示される。また、第2特別図柄の抽選によって「16R時短小当たりC」に当選した場合には、第2特別図柄表示器41bに「特図2_時短有り小当たり図柄3」が停止表示される。また、第2特別図柄の抽選によって「16R通常小当たり」に当選した場合には、第2特別図柄表示器41bに「特図2_時短無し小当たり図柄」が停止表示される。なお、「16R時短小当たりA」、「16R時短小当たりB」、及び「16R時短小当たりC」は「特典付き小当たり」に相当し、「16R通常小当たり」は「特典なし小当たり」に相当する。また「16R時短小当たりA」は「非通過小当たり」に相当する。
なお、第1特別図柄(特図1)の抽選における各大当たりへの振分確率は、15R通常大当たりが50%、4R時短大当たりが50%となっている。これに対して、第2特別図柄(特図2)の抽選において当選した大当たりは、全て15R時短大当たりとなっている。また、第1特別図柄の抽選における各小当たりへの振分確率は、16R時短小当たりA(V通過実質不可の小当たり)が99%、16R時短小当たりB(V通過可能な小当たり)が1%となっている。また、第2特別図柄の抽選における各小当たりへの振分確率は、16R時短小当たりC(V通過可能な時短小当たり)が50%、16R通常小当たり(V通過可能な通常小当たり)が50%となっている。
ここで本パチンコ遊技機1では、大当たり又は小当たりか否かの抽選は「大当たり乱数」に基づいて行われ、当選した当たりの種別の抽選は「当たり種別乱数」に基づいて行われる。図9(A)に示すように、大当たり乱数は0〜65535までの範囲で値をとる。当たり種別乱数は、0〜99までの範囲で値をとる。なお、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得される乱数には、大当たり乱数および当たり種別乱数の他に、「リーチ乱数」および「変動パターン乱数」がある。
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の演出図柄のうち変動表示されている演出図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている演出図柄は、表示画面7a内で多少揺れているように表示されていてもよい。このリーチ乱数は、0〜127までの範囲で値をとる。
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0〜127までの範囲で値をとる。また、ゲート28への通過に基づいて取得される乱数には、図9(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0〜65535までの範囲で値をとる。
4.遊技状態の説明
次に、本形態のパチンコ遊技機1の遊技状態に関して説明する。パチンコ遊技機1の特別図柄表示器41および普通図柄表示器42には、変動時間短縮機能がある。
特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)が、非時短状態よりも短くなっている。すなわち、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターン判定テーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図11参照)。つまり、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の可変表示の変動時間として短い変動時間が選択されやすくなる。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことができる。
普通図柄表示器42の変動時間短縮機能は、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本形態では、普通図柄の変動時間は非時短状態では30秒であるが、時短状態では1秒である(図10(E)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている(図12参照)。すなわち、電チュー22の開放時間延長機能が作動している。
普通図柄表示器42の変動時間短縮機能、および電チュー22の開放時間延長機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー22が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。そのため、高ベース状態を電サポ制御状態ともいう。また低ベース状態を非電サポ制御状態ともいう。高ベース状態は、「特典遊技状態」に相当する。
なお、高ベース状態(時短状態が作動している状況)において、電チュー22の開放回数増加機能が作動していないが(図12参照)、電チュー22の開放回数増加機能が作動するようにしてもよい。すなわち、高ベース状態で実行される補助遊技では、電チュー22の開放回数が非時短状態で実行される補助遊技よりも多くなるようにしてもよい。また、高ベース状態において、普通図柄表示器42の確率変動機能が作動するようにしてもよい。すなわち、低ベース状態における普通図柄抽選の当選確率を相対的に低く設定し、高ベース状態における普通図柄抽選の当選確率を相対的に高く設定してもよい。この場合、低ベース状態における普通図柄抽選の当選確率を「零」に設定するとよい。なぜなら、低ベース状態において第2特別図柄の抽選が実行されないようにすることが可能となるからである。つまり、このように構成すれば、低ベース状態にも関わらず第2特別図柄の抽選に基づく小当たり遊技の実行を狙った攻略的な遊技を防止することが可能となる。
さらには、高ベース状態は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能、電チュー22の開放時間延長機能、電チュー22の開放回数増加機能、および普通図柄表示器42の確率変動機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー22が開放され易くなっていればよい。また、高ベース状態は、時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
本形態のパチンコ遊技機1では、図8に示すように、「4R時短大当たり」、「15R時短大当たり」、「16R時短小当たりA」、「16R時短小当たりB」、又は「16R時短小当たりC」に当選して実行された大当たり遊技後の遊技状態は、時短状態かつ高ベース状態である。時短状態かつ高ベース状態は、所定回数(本形態では99回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
また、「15R通常大当たり」、又は「16R通常小当たり」に当選して実行された大当たり遊技後の遊技状態は、非時短状態かつ低ベース状態である(図8参照)。この遊技状態を特に、「通常遊技状態」という。なお、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、通常遊技状態である。
高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3B(図1参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により低ベース状態と比べて電チュー22が開放されやすくなっており、第1始動口20への入賞よりも第2始動口21への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。なお本パチンコ遊技機1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3A(図1参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、高ベース状態と比べて電チュー22が開放されにくくなっており、第2始動口21への入賞よりも第1始動口20への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口20へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。
5.遊技制御用マイコン81の動作
[主制御メイン処理]次に図14〜図32に基づいて遊技制御用マイコン81の動作について説明する。なお、遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM84に設けられている。主制御基板80に備えられた遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM83から図14に示した主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず初期設定を行う(ステップS001)。初期設定では例えば、スタックの設定、定数設定、割り込み時間の設定、CPU82の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)の設定や、各種のフラグ、ステータス及びカウンタ等のリセット等を行う。フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」であり、カウンタの初期値は「0」である。なお初期設定(S001)は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
初期設定(S001)に次いで、割り込みを禁止し(S002)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)を実行する。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)では、図9に示した種々の乱数カウンタ値を1加算して更新する。各乱数カウンタ値は上限値に至ると「0」に戻って再び加算される。なお各乱数カウンタの周期初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また各乱数は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成される所謂ハードウェア乱数であってもよい。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)が終了すると、割り込みを許可する(S004)。割り込み許可中は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行が可能となる。メイン側タイマ割り込み処理(S005)は、例えば4msec周期でCPU82に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。すなわち、例えば4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割り込み処理(S005)が終了してから、次にメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)による各種カウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。なお、割り込み禁止状態のときにCPU82に割り込みパルスが入力された場合は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)はすぐには開始されず、割り込み許可(S004)がされてから開始される。
[メイン側タイマ割り込み処理]次に、メイン側タイマ割り込み処理(S005)について説明する。図15に示すように、メイン側タイマ割り込み処理(S005)では、まず出力処理(S101)を実行する。出力処理(S101)では、以下に説明する各処理において主制御基板80のRAM84に設けられた出力バッファにセットされたコマンド等を、サブ制御基板90や払出制御基板110等に出力する。
出力処理(S101)に次いで行われる入力処理(S102)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、普通入賞口センサ27a等(図4参照))が検知した検出信号を読み込み、賞球情報としてRAM84の出力バッファに記憶する。また、下皿62の満杯を検出する下皿満杯スイッチからの検出信号も取り込み、下皿満杯データとしてRAM84の出力バッファに記憶する。
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)は、図14の主制御メイン処理で行う普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)と同じである。即ち、図9に示した各種乱数カウンタ値(普通図柄乱数カウンタ値も含む)の更新処理は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割り込み処理(S005)の終了後、次のメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)に次いで、後述するセンサ検出処理(S104)、普通動作処理(S105)、特別動作処理(S106)、振分部材制御処理(S107)、特定領域センサ処理(S108)を実行する。その後、その他の処理(S109)を実行して、メイン側タイマ割り込み処理(S005)を終了する。その他の処理(S109)としては、後述の特図2保留球数に基づいて第2特図保留表示器43bをその数を示す表示態様に制御したり、後述の特図1保留球数に基づいて第1特図保留表示器43aをその数を示す表示態様に制御したりする。そして、次にCPU82に割り込みパルスが入力されるまでは主制御メイン処理のステップS002〜S004の処理が繰り返し実行され(図14参照)、割り込みパルスが入力されると(約4msec後)、再びメイン側タイマ割り込み処理(S005)が実行される。再び実行されたメイン側タイマ割り込み処理(S005)の出力処理(S101)においては、前回のメイン側タイマ割り込み処理(S005)にてRAM84の出力バッファにセットされたコマンド等が出力される。
[センサ検出処理]図16に示すように、センサ検出処理(S104)ではまず、ゲート28に遊技球が通過したか否か、即ち、ゲートセンサ28aによって遊技球が検出されたか否か判定する(S201)。ゲート28を遊技球が通過していれば(S201でYES)、後述のゲート通過処理(S202)を行う。一方、遊技球がゲート28を通過していなければ(S201でNO)、ゲート通過処理(S202)をパスしてステップS203に進む。
ステップS203では、第2始動口21に遊技球が入賞したか否か、即ち、第2始動口センサ21aによって遊技球が検出されたか否か判定する(S203)。第2始動口21に遊技球が入賞していない場合(S203でNO)にはステップS209に進むが、第2始動口21に遊技球が入賞した場合には(S203でYES)、特図2保留球数(第2特図保留の数、具体的にはRAM84に設けた第2特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が1個(第2上限数)に達しているか否か判定する(S204)。そして、特図2保留球数が1個に達している場合(S204でYES)には、ステップS209に進むが、特図2保留球数が1個未満である場合(つまりない場合)には(S204でNO)、特図2保留球数に1を加算する(S205)。
続いて特図2関係乱数取得処理(S206)を行う。特図2関係乱数取得処理(S206)では、大当たり乱数カウンタの値(ラベル−TRND−Aの値)、当たり種別乱数カウンタの値(ラベル−TRND−ASの値)、リーチ乱数カウンタの値(ラベル−TRND−RCの値)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル−TRND−T1の値)を取得し(つまり図9(A)に示す乱数値群を取得し)、それら取得乱数値を第2特図保留記憶部85bの第1記憶領域に格納する。
続いて第2始動入賞コマンド特定処理(S207)を行う。第2始動入賞コマンド特定処理(S207)では、ステップS206で格納した乱数値群に基づき、図13に示す始動入賞コマンド特定テーブルを用いて第2始動入賞コマンドを特定する。具体的には、現在の特図2保留球数が「1」且つ現在の遊技状態が時短状態であり、大当たり乱数が「1」、当たり種別乱数が「1」、リーチ乱数が「1」、変動パターン乱数が「1」であれば、図13の始動入賞コマンド特定テーブルにおける第2始動口且つ時短状態の箇所を参照して、第2始動入賞コマンドとして「F2H1BH」というコマンドを特定する。なおコマンドは、2バイトの情報(1バイトの上位コマンド(例えばF2H)と1バイトの下位コマンド(例えば1BH))からなっている。
図13に示すテーブルにおける各乱数の区分けは、それぞれの乱数の判定テーブル(図10(A)の大当たり判定テーブル、図10(B)の当たり種別判定テーブル、図10(C)のリーチ判定テーブル、図11の変動パターン判定テーブル)における区分けと対応している。従って、特定された第2始動入賞コマンドには、大当たりの当否、小当たりの当否、特別図柄の種類、リーチの有無、およびSPリーチを行うか否かの情報が含まれている。ここでSPリーチ(スーパーリーチ)とは、ノーマルリーチよりもリーチ後の変動時間が長いリーチである。
なお本形態の始動入賞コマンドでは、16進数で二桁の上位コマンドのうち上の桁の値は、始動口の種類(第1始動口20への入賞か第2始動口21への入賞か)を指定する情報である。また、上位コマンドのうち下の桁の値は、遊技状態(時短状態か非時短状態か)を指定する情報である。また、16進数で二桁の下位コマンドのうち、上の桁の値は、保留球数を指定する情報である(図13の欄外の備考参照)。また、下位コマンドのうち下の桁の値は、大当たりの当否、小当たりの当否、特別図柄の種類、リーチの有無、及びSPリーチを行うか否かを指定する情報である。なお、このような始動入賞コマンドの生成に関するルールは、一例であり、任意に変更可能である。
続いて遊技制御用マイコン81は、ステップS207で特定した第2始動入賞コマンドをRAM84の出力バッファにセットする(S208)。
続いてセンサ検出処理(S104)では、第1始動口20に遊技球が入賞したか否か、即ち、第1始動口センサ20aによって遊技球が検出されたか否かを判定する(S209)。第1始動口20に遊技球が入賞していない場合(S209でNO)には本処理を終えるが、第1始動口20に遊技球が入賞した場合には(S209でYES)、特図1保留球数(第1特図保留の数、具体的にはRAM84に設けた第1特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が4個(第1上限数)に達しているか否か判定する(S210)。そして、特図2保留球数が4個に達している場合(S210でYES)には本処理を終えるが、特図1保留球数が4個未満である場合には(S210でNO)、特図1保留球数に「1」を加算する(S211)。
続いて特図1関係乱数取得処理(S212)を行う。特図1関係乱数取得処理(S212)では、特図2関係乱数取得処理(S206)と同様に、大当たり乱数カウンタの値(ラベル−TRND−Aの値)、当たり種別乱数カウンタの値(ラベル−TRND−ASの値)、リーチ乱数カウンタの値(ラベル−TRND−RCの値)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル−TRND−T1の値)を取得し(つまり図9(A)に示す乱数値群を取得し)、それら取得乱数値を第1特図保留記憶部85aのうち現在の特図1保留球数に応じた記憶領域に格納する。具体的には、特図1保留球数が「1」の場合には取得した乱数値群を第1特図保留記憶部85aの第1記憶領域に格納し、特図1保留球数が「2」の場合には取得した乱数値群を第1特図保留記憶部85aの第2記憶領域に格納し、特図1保留球数が「3」の場合には取得した乱数値群を第1特図保留記憶部85aの第3記憶領域に格納し、特図1保留球数が「4」の場合には取得した乱数値群を第1特図保留記憶部85aの第4記憶領域に格納する。
続いて第1始動入賞コマンド特定処理(S213)を行う。第1始動入賞コマンド特定処理(S213)では、ステップS212で格納した乱数値群に基づき、図13に示す始動入賞コマンド特定テーブルを用いて第1始動入賞コマンドを特定する。具体的には、現在の特図1保留球が「1」且つ現在の遊技状態が非時短状態であり、大当たり乱数が「1」、当たり種別乱数が「1」、リーチ乱数が「1」、変動パターン乱数が「1」であれば、図13の始動入賞コマンド特定テーブルにおける第1始動口且つ非時短状態の箇所を参照して、第1始動入賞コマンドとして「E1H13H」というコマンドを特定する。特定された第1始動入賞コマンドには、大当たりの当否、小当たりの当否、特別図柄の種類、リーチの有無、及びSPリーチを行うか否かを指定する情報が含まれている。
続いて遊技制御用マイコン81は、ステップS213で特定した第1始動入賞コマンドをRAM84の出力バッファにセットして(S214)、処理を終える。
[ゲート通過処理]図17に示すようにゲート通過処理(S202)では、普通図柄保留球数(普図保留の数、具体的にはRAM84に設けた普図保留の数をカウントするカウンタの値)が4以上であるか否かを判定し(S301)、普通図柄保留球数が4以上であれば(S301でYES)、処理を終了する。一方、普通図柄保留球数が4以上でなければ(S301でNO)、普通図柄保留球数に「1」を加算し(S302)、普通図柄乱数取得処理(S303)を行う。普通図柄乱数取得処理(S303)では、普通図柄乱数カウンタ値(ラベル−TRND−Hの値、図9(B))を取得し、その取得乱数値をRAM84の普図保留記憶部86のうち現在の普通図柄保留球数に応じた記憶領域に格納する。
[普通動作処理]遊技制御用マイコン81は、図15に示すように、センサ検出処理(S104)に次いで普通動作処理(S105)を行う。図18に示すように、普通動作処理(S105)ではまず、電チュー22の作動中か否かを判定する(S401)。電チューの作動中でなければ(S401でNO)、続いて、普通図柄の停止表示中か否かを判定する(S402)。普通図柄の停止表示中でなければ(S402でNO)、続いて、普通図柄の変動表示中か否かを判定する(S403)。普通図柄の変動表示中でなければ(S403でNO)、続いて、普通図柄の保留球数が「0」か否かを判定する(S404)。普通図柄の保留球数が「0」であれば(S404でYES)、本処理を終える。
ステップS404において普通図柄の保留球数が「0」でなければ(S404でNO)、当たり判定処理(S405)を行う。当たり判定処理(S405)では、普図保留記憶部86に格納されている普通図柄乱数カウンタ値(ラベル−TRND−Hの値)を読み出し、図10(D)に示す普通図柄当たり判定テーブル(当たり判定値が「1」〜「65535」)に基づいて当たりか否か判定する。そして、当たり判定の結果に応じた普図停止図柄データをRAM84の所定の記憶領域にセットする図柄決定処理を行う(S406)。つまり図柄決定処理(S406)では、「ハズレ」であれば「普図ハズレ図柄」に応じたデータをセットし、「当たり」であれば「普通当たり図柄」に応じたデータをセットする。
続いて遊技制御用マイコン81は、普通図柄変動時間決定処理(S407)を行う。普通図柄変動時間決定処理(S407)では、図10(E)に示す普通図柄変動パターン選択テーブルを参照して、遊技状態が時短状態であれば、普通図柄の変動時間が1秒の普通図柄変動パターンを選択する。一方、遊技状態が非時短状態であれば、普通図柄の変動時間が30秒の普通図柄変動パターンを選択する。
次いで遊技制御用マイコン81は、普通図柄保留球数を1ディクリメントする(S408)。そして、普図保留記憶部86における各普図保留の格納場所(記憶領域)を現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、普図保留記憶部86における保留4個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S409)。このようにして、普図保留が保留された順に消化されるようにしている。その後、遊技制御用マイコン81は、ステップS407で選択した普通図柄変動パターンにて普通図柄の変動表示を開始する(S410)。なおこれに伴い、サブ制御基板90に普通図柄の変動開始を知らせるため、普通図柄変動開始コマンドをセットする。
上述のステップS403にて普通図柄の変動表示中であれば(S403でYES)、続いて、普通図柄の変動時間が経過したか否か判定し(S411)、経過していなければ処理を終える。一方、経過していれば(S411でYES)、普通図柄の変動表示を、普通図柄乱数の判定結果に応じた表示結果(普通当たり図柄又は普通ハズレ図柄)で停止させる(S412)。そして、サブ制御基板90に普通図柄の変動停止を知らせるための普通図柄変動停止コマンドをセットするとともに(S413)、普通図柄の停止時間をセットして(S414)本処理を終える。
また、上述のステップS402にて普通図柄の停止表示中であれば(S402でYES)、続いて、ステップS414でセットした普通図柄の停止時間が経過したか否か判定し(S415)、経過していなければ処理を終える。一方、経過していれば(S415でYES)、普通当たり図柄の普図停止図柄データがセットされているか否かを判定し(S416)、普通当たり図柄のデータでなければ(つまり当たりでなければ(S416でNO))、本処理を終える。一方、普通当たり図柄のデータであれば(つまり当たりであれば(S416でYES))、電チュー22の開放パターンをセットする(S417)。詳細には、時短状態中であれば、電チュー22の開放パターンとして時短状態中の開放パターン(図12の電チュー開放TBL2参照)をセットする。これに対して、非時短状態中であれば、電チュー22の開放パターンとして非時短状態中の開放パターン(図12の電チュー開放TBL1参照)をセットする。そして、ステップS417でセットした開放パターンに従って、電チュー22を作動させる(S418)。
また、上述のステップS401にて電チュー22の作動中であれば(S401でYES)、続いて、電チュー22の作動時間が経過したか否かを判定し(S419)、経過していなければ処理を終える。一方、経過していれば(S419でYES)、電チュー22の作動を終了させる(S420)。
[特別動作処理]遊技制御用マイコン81は、図15に示すように、普通動作処理(S105)に次いで特別動作処理(S106)を行う。図19に示すように、特別動作処理(S106)では、特別図柄表示器41および大入賞口装置(第1大入賞装置31および第2大入賞装置36)に関する処理を5つの段階に分け、それらの各段階に「特別動作ステータス1,2,3,4、5」を割り当てている。そして、「特別動作ステータス」が「1」である場合には(S901でYES)、特別図柄待機処理(S902)を行い、「特別動作ステータス」が「2」である場合には(S901でNO、S903でYES)、特別図柄変動中処理(S904)を行い、「特別動作ステータス」が「3」である場合には(S901,S903で共にNO、S905でYES)、特別図柄確定処理(S906)を行い、「特別動作ステータス」が「4」である場合には(S901,S903,S905で共にNO、S907でYES)、大当たり遊技としての特別電動役物処理1(S908)を行い、「特別動作ステータス」が「5」である場合には(S901,S903,S905,S907の全てがNO)、小当たり遊技としての特別電動役物処理2(S909)を行う。なお特別動作ステータスは、初期設定では「1」である。
[特別図柄待機処理]図20に示すように、特別図柄待機処理(S902)ではまず、第2始動口21の保留球数(即ち特図2保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1001)。特図2保留球数が「0」である場合(S1001でYES)、即ち、第2始動口21への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶がない場合には、第1始動口20の保留球数(即ち特図1保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1007)。そして、特図1保留球数も「0」である場合(S1007でYES)、即ち、第1始動口20への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶もない場合には、既に画像表示装置7の表示画面7aを待機画面(客待ち用のデモ画面)としたか否かを判定し(S1013)、そうであれば(S1013でYES)処理を終え、そうでなければ(S1013でNO)、待機画面設定処理(S1014)を行う。待機画面設定処理(S1014)では、所定の待機時間の経過を待って、待機画面を表示させるための客待ち待機コマンドをセットする。
ステップS1001において特図2保留球数が「0」でない場合(S1001でNO)、即ち、第2始動口21への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特図2の保留情報)が1つ以上ある場合には、後述の特図2大当たり判定処理(S1002)及び特図2変動パターン選択処理(S1003)を行う。その後、遊技制御用マイコン81は、特図2保留球数を1ディクリメントする(S1004)。そして、第2特図保留記憶部85bにおける各種カウンタ値の格納場所(記憶領域)を、現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、第2特図保留記憶部85bにおける保留1個目に対応する記憶領域をクリアする(S1011)。続いて遊技制御用マイコン81は、特図2変動開始処理(S1006)を実行する。特図2変動開始処理(S1006)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドをRAM84の出力バッファにセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。なお、特図2変動開始処理(S1006)でセットされる変動開始コマンド(特図2変動開始コマンドともいう)には、特図2大当たり判定処理(S1002)でセットされた特図停止図柄データの情報や特図2変動パターン選択処理(S1003)でセットされた変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。
また、特図2保留球数が「0」であるが特図1保留球数が「0」でない場合(S1001でYES且つS1007でNO)、即ち、特図2の保留情報はないが、第1始動口20への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特図1の保留情報)が1つ以上ある場合には、後述の特図1大当たり判定処理(S1008)及び特図1変動パターン選択処理(S1009)を行う。その後、遊技制御用マイコン81は、特図1保留球数を1ディクリメントする(S1010)。そして、第1特図保留記憶部85aにおける各種カウンタ値の格納場所(記憶領域)を、現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、第1特図保留記憶部85aにおける保留4個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S1011)。このようにして、第1特図保留が保留された順に消化されるようにしている。続いて遊技制御用マイコン81は、特図1変動開始処理(S1012)を実行する。特図1変動開始処理(S1012)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドをRAM84の出力バッファにセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。なお、特図1変動開始処理(S1012)でセットされる変動開始コマンド(特図1変動開始コマンドともいう)には、特図1大当たり判定処理(S1008)でセットされた特図停止図柄データの情報や特図1変動パターン選択処理(S1009)でセットされた変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。
上記のように本形態では、第1特図保留に基づく特別図柄の変動表示は、第2特図保留が「0」の場合(S1001でYESの場合)に限って行われる。すなわち第2特図保留の消化は、第1特図保留の消化に優先して実行される。そして本形態では、第2特図保留に基づく抽選にはハズレがなく、大当たり当選となる場合を除けば必ず小当たり当選となる上、小当たり遊技では必ず特定領域39を通過することができるようになっている。つまり、第2特図保留に基づく抽選がなされれば必ず大当たり遊技が実行される(大当たりに当選する)ようになっている。この点については後に詳述する。
[特図2大当たり判定処理(特図1大当たり判定処理)]特図2大当たり判定処理(S1002)と特図1大当たり判定処理(S1008)とは、処理の流れが同じであるため図21に基づいてまとめて説明する。図21に示すように、特図2大当たり判定処理(S1002)又は特図1大当たり判定処理(S1008)ではまず、判定値として、大当たり乱数カウンタ値(ラベル−TRND−Aの値)を読み出す(S1101)。詳細には、特図2大当たり判定処理(S1002)では、RAM84の第2特図保留記憶部85bの第1記憶領域に記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出す。また特図1大当たり判定処理(S1008)では、RAM84の第1特図保留記憶部85aの第1記憶領域(詳しくは第1特図保留の1個目に対応する記憶領域)に記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出す。
次に、大当たり判定テーブル(図10(A))をセットする(S1102)。次いで、セットした大当たり判定テーブルに基づいて大当たりか否かを判定する(S1103)。すなわち、大当たり乱数カウンタ値(ラベル−TRND−A)が、大当たり判定値である「65300」〜「65535」の何れかと一致するか否か判定する(図10(A)参照)。大当たり判定(S1103)の結果が「大当たり」であれば、大当たりフラグをONするとともに(S1104)、当たり種別乱数カウンタ値(ラベル−TRND−ASの値)を読み出して、図10(B)に示す当たり種別判定テーブルに基づいて大当たり種別を判定する(S1105)。大当たり種別を判定(S1105)した後は、大当たり種別(大当たり図柄の種類)に応じた特図停止図柄データ(図8参照)をRAM84に設けた当たり種別バッファにセットして(S1106)処理を終える。
一方、大当たり判定(S1103)の結果が「大当たり」でなければ、小当たりか否かを判定する(S1107)。詳細には、特図2大当たり判定処理(S1002)では、大当たり乱数カウンタ値が、小当たり判定値である「0」〜「65299」の何れかと一致するか否か判定する(図10(A)の特図2の欄参照)。また特図1大当たり判定処理(S1008)では、大当たり乱数カウンタ値が、小当たり判定値である「0」〜「3500」の何れかと一致するか否か判定する(図10(A)の特図1の欄参照)。なお小当たり当選確率は、特図1の抽選よりも特図2の抽選の方が高くなっている。
小当たり判定(S1107)の結果が「小当たり」であれば、小当たりフラグをONするとともに(S1108)、当たり種別乱数カウンタ値(ラベル−TRND−ASの値)を読み出して、図10(B)に示す当たり種別判定テーブルに基づいて小当たり種別を判定する(S1109)。小当たり種別を判定(S1109)した後は、小当たり種別(小当たり図柄の種類)に応じた特図停止図柄データ(図8参照)をRAM84に設けた当たり種別バッファにセットして(S1110)処理を終える。なお、小当たりか否かを決める乱数を、大当たり乱数とは別に設けてもよい。
また、大当たりでなく(S1103でNO)、小当たりでもなければ(S1107でNO)、「ハズレ」であるので、ハズレ図柄に応じた特図停止図柄データ(01H)をセットして(S1111)、本処理を終える。本形態では、特図1の抽選ではその結果が「ハズレ」となることがある一方、特図2の抽選ではその結果が「ハズレ」となることがないように、各抽選における小当たり当選確率が設定されている(図10(A)参照)。
[特図2変動パターン選択処理(特図1変動パターン選択処理)]特図2変動パターン選択処理(S1003)と特図1変動パターン選択処理(S1009)とは、処理の流れが同じであるため図22及び図23に基づいてまとめて説明する。図22に示すように、特図2変動パターン選択処理(S1003)又は特図1変動パターン選択処理(S1009)ではまず、遊技状態が時短状態か否か(時短フラグがONか否か)を判定する(S1301)。
時短状態でなければ(S1301でNO)、すなわち非時短状態であれば、続いて大当たりフラグがONか否かを判定する(S1302)。ONであれば(S1302でYES)、非時短状態中大当たりテーブル(図11に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つ大当たりに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1の値)に基づいて変動パターンを選択する(S1303)。なお、変動パターンが決まれば変動時間も決る。
またステップS1302において、大当たりフラグがONでなければ(S1302でNO)、小当たりフラグがONか否かを判定する(S1304)。ONであれば(S1304でYES)、非時短状態中小当たりテーブル(図11に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つ小当たりに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1305)。
またステップS1304において、小当たりフラグがONでなければ(S1304でNO)、リーチ乱数カウンタ値(ラベル−TRND−RCの値)がリーチ成立乱数値か否かを判定する(S1306)。図10(C)に示すように、リーチ成立乱数値は時短状態であれば「0」〜「5」であり、非時短状態であれば「0」〜「13」である。すなわち、時短状態の方が非時短状態よりもハズレ時のリーチがかかりにくくなっている。これは、時短状態において変動時間の短いリーチ無しハズレがより多く選択されようにすることで、特図保留の消化スピードを早めるためである。リーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値である場合(S1306でYES)、即ち、リーチ有りハズレの場合には、非時短状態中リーチ有りハズレテーブル(図11に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つリーチ有りハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1307)。
一方、リーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値でない場合(S1306でNO)、即ち、リーチ無しハズレの場合には、非時短状態中リーチ無しハズレテーブル(図11に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つリーチ無しハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1308)。このリーチ無しハズレ時には、保留球数に応じた短縮変動の機能が働くようになっている。すなわち、特別図柄の保留球数が「3」又は「4」であるときは、特別図柄の保留球数が「0」〜「2」であるときに比して変動時間の短い変動パターンが選択されるようになっている。
またステップS1301において、遊技状態が時短状態であると判定した場合(S1301でYES)には、図23に示すように、参照する変動パターン判定テーブルを時短状態中のテーブル(図11に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態に該当する部分)にする事以外は上記ステップS1302〜S1308と同様の流れで処理(S1309〜S1315)を行う。すなわち、大当たりフラグがONであれば(S1309でYES)、時短状態中大当たりテーブル(図11に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態且つ大当たりに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1310)。
また小当たりフラグがONであれば(S1311でYES)、時短状態中小当たりテーブル(図11に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態且つ小当たりに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1312)。またリーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値であれば(S1313でYES)、時短状態中リーチ有りハズレテーブル(図11に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態且つリーチ有りハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1314)。またリーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値でなければ(S1313でNO)、時短状態中リーチ無しハズレテーブル(図11に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態且つリーチ無しハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1315)。
なお、時短状態中の変動パターン判定テーブル(図11に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態に該当する部分)では、リーチ無しハズレ時の保留球数に応じた短縮変動の機能が保留球数「2」〜「4」のときに働く。すなわち、非時短状態中よりも短縮変動が選択され易くなっている。つまり、時短状態中の変動パターン判定テーブルは、非時短状態中の変動パターン判定テーブルよりも変動時間が短くなるようなテーブルとなっている。
上記のようにして変動パターンの選択を行った後は、図22に示すように、選択した変動パターンをセットして(S1316)、本処理を終える。ステップS1316でセットした変動パターンの情報は、特別図柄待機処理(S902)におけるステップS1006又はS1012でセットされる変動開始コマンドに含められる。
[特別図柄変動中処理]図24に示すように、特別図柄変動中処理(S904)ではまず、特別図柄の変動時間(ステップS1003又はS1009で選択された変動パターンに応じて決まる変動時間、図11参照)が経過したか否かを判定する(S1501)。経過していなければ(S1501でNO)、直ちにこの処理を終える。これにより特別図柄の変動表示が継続される。
一方、変動時間が経過していれば(S1501でYES)、変動停止コマンドをセットするとともに(S1502)、特別動作ステータスを「3」にセットする(S1503)。そして、特別図柄の変動表示を、セットされている特図停止図柄データに応じた図柄(大当たり図柄、小当たり図柄又はハズレ図柄)で停止させる等のその他の処理を行ってから(S1504)、この処理を終える。
[特別図柄確定処理]図25に示すように、特別図柄確定処理(S906)ではまず、特別図柄の停止時間が経過したか否かを判定する(S1601)。経過していなければ(S1601でNO)、直ちにこの処理を終える。一方、停止時間が経過していれば(S1601でYES)、後述の遊技状態管理処理を行う(S1602)。
次に、大当たりフラグがONであるか否かを判定する(S1603)。大当たりフラグがONであれば(S1603でYES)、特別動作ステータスを「4」にセットする(S1604)。そして、遊技制御用マイコン81は、時短フラグがONか否かを判定し(S1605)、ONでなければステップS1607に進むが、ONであれば時短フラグをOFFして(S1606)ステップS1607に進む。これにより、大当たり遊技の実行中は非時短状態に制御される。本形態では非時短状態時は常に低ベース状態であるので、大当たり遊技の実行中は低ベース状態に制御されることにもなる。
その後、大当たり遊技を開始するべく、大当たりのオープニングコマンドをセットして(S1607)、大当たり遊技のオープニングを開始する(S1608)。ステップS1608に続いて、遊技制御用マイコン81は、当選した大当たりの種類に応じた開放パターン(詳しくは図8を参照)をセットする(S1609)。このときに、特別遊技中の大入賞口の開放回数をカウントする大入賞口開放カウンタの値を、当選した大当たりの種類に応じた値にセットする。なお、開放パターンのセット(開放パターンに応じたデータのセット)は、ラウンド毎に行うようにしてもよい。
一方、ステップS1603において大当たりフラグがONでなければ(S1603でNO)、続いて小当たりフラグがONであるか否かを判定する(S1610)。小当たりフラグがONであれば(S1610でYES)、特別動作ステータスを「5」にセットする(S1611)。なお小当たりフラグがONである場合には、時短フラグがONであってもOFFにはしない。その後、小当たり遊技を開始するべく、小当たりのオープニングコマンドをセットして(S1612)、小当たり遊技のオープニングを開始する(S1613)。
ステップS1613に続いて、遊技制御用マイコン81は、当選した小当たりの種類に応じた開放パターン(詳しくは図8を参照)をセットする(S1614)。なおこのときに、大入賞口開放カウンタの値を、当選した小当たりの種類に応じた値にセットする。その後遊技制御用マイコン81は、振分部材作動フラグをONにして(S1615)、本処理を終える。振分部材作動フラグは、振分部材71を作動させる期間であることを示すフラグである。つまり本形態では、振分部材71の作動は小当たり遊技のオープニングとともに開始される。なお、振分部材の作動パターンについては後に詳述する。
ステップS1610において小当たりフラグがONでなければ(S1610でNO)、大当たり遊技も小当たり遊技も開始しないため、特別動作ステータスを「1」にセットして(S1616)、本処理を終える。
[遊技状態管理処理]図26に示すように、遊技状態管理処理(S1602)ではまず、時短フラグがONか否か判定し(S1701)、ONであれば、時短状態中に実行した特別図柄変動の回数をカウントする時短カウンタの値を1ディクリメントするとともに(S1702)、時短カウンタの値が「0」か否か判定する(S1703)。そして「0」であれば、時短フラグをOFFして(S1704)、本処理を終える。一方、ステップS1701又はステップS1703の判定結果がNOであれば、そのまま処理を終える。なお、本パチンコ遊技機1では、時短状態への移行時には時短カウンタの値が「99」にセットされるようになっている。この点については後述する。
[特別電動役物処理1(大当たり遊技)]特別電動役物処理1は、1種大当たり遊技や2種大当たり遊技といった大当たり遊技の実行のための処理である。図27に示すように、特別電動役物処理1(S908)ではまず、大当たり終了フラグがONであるか否かを判定する(S2001)。大当たり終了フラグは、当選した大当たり遊技において第1大入賞装置31の開放が全て終了したことを示すフラグである。
大当たり終了フラグがONでなければ(S2001でNO)、第1大入賞口30の開放中か否か(すなわち第1大入賞装置31の開放中か否か)を判定する(S2002)。開放中でなければ(S2002でNO)、第1大入賞口30を開放させる時間に至ったか否か、すなわち大当たりのオープニングの時間が経過して第1大入賞口30の開放を開始する時間に至ったか、又は、開放間のインターバルの時間が経過して次の開放を開始する時間に至ったか否かを判定する(S2003)。
ステップS2003の判定結果がNOであれば、そのまま処理を終える。一方、ステップS2003の判定結果がYESであれば、セットされている開放パターンに従って第1大入賞口30を開放させる(S2004)。
ステップS2002において第1大入賞口30の開放中であれば(S2002でYES)、その単位開放遊技における第1大入賞口30への入賞個数が規定の最大入賞個数(本形態では8個)に達しているか否かを判定する(S2005)。規定入賞個数に達していなければ(S2005でNO)、第1大入賞口30を閉鎖させる時間に至ったか否か(すなわち第1大入賞口30を開放してから所定の開放時間(図8参照)が経過したか否か)を判定する(S2006)。そして、第1大入賞口30の開放時間が経過していなければ(S2006でNO)、本処理を終える。
これに対して、規定入賞個数に達している場合(S2005でYES)又は第1大入賞口30の開放時間が経過した場合(S2006でYES)、すなわち2つの開放終了条件のうちのいずれかが満たされている場合には、第1大入賞口30を閉鎖(閉塞)する(S2007)。そして、大入賞口開放カウンタの値を1ディクリメントし(S2008)、大入賞口開放カウンタの値が「0」であるか否か判定する(S2009)。「0」でなければ(S2009でNO)、次の開放を開始するためにそのまま処理を終える。
一方「0」であれば(S2009でYES)、大当たり遊技を終了させるべく、大当たりのエンディングコマンドをセットするとともに(S2010)、大当たりのエンディングを開始する(S2011)。そして、大当たり終了フラグをセットして処理を終える(S2012)。
またステップS2001において大当たり終了フラグがONであれば(S2001でYES)、大当たり遊技における第1大入賞口30の開放が全て終了しているので、大当たりのエンディングの時間が経過したか否かを判定し(S2013)、エンディング時間が経過していなければ(S2013でNO)処理を終える。一方、エンディング時間が経過していれば(S2013でYES)、大当たり終了フラグをOFFするとともに(S2014)、大当たりフラグをOFFする(S2015)。そして、特別動作ステータスを「1」にセットした後(S2016)、後述の遊技状態設定処理(S2017)を行って、本処理を終える。
[遊技状態設定処理]図28に示すように、遊技状態設定処理(S2017)ではまず、今回実行した大当たり遊技が時短当たり(すなわち「4R時短大当たり」、「16R時短小当たりA」、「16R時短小当たりB」、「15R時短大当たり」、又は「16R時短小当たりC」)への当選を契機として実行された大当たり遊技であるか否か判定する(S2101)。ステップS2101の判定結果がYESであれば、時短フラグをONするとともに(S2102)、時短カウンタに「99」をセットして(S2103)、本処理を終える。これにより、今回の大当たり遊技後の遊技状態が時短状態且つ高ベース状態(特典遊技状態)になる。この特典遊技状態は、特別図柄の変動表示が99回行われること、又は次の大当たりに当選することのいずれかの条件の成立により終了する。これに対して、ステップS2101の判定結果がNOであれば、ステップS2102及びS2103を行うことなく、本処理を終える。
[特別電動役物処理2(小当たり遊技)]特別電動役物処理2は、特定領域39を備えた第2大入賞装置36を開放させる小当たり遊技の実行のための処理である。図29及び図30に示すように、特別電動役物処理2(S909)ではまず、小当たり終了フラグがONであるか否かを判定する(S2301)。小当たり終了フラグは、小当たり遊技において第2大入賞装置36の開放が終了したことを示すフラグである。
小当たり終了フラグがONでなければ(S2301でNO)、第2大入賞口35の開放中か否か(すなわち第2大入賞装置36の開放中か否か)を判定する(S2302)。開放中でなければ(S2302でNO)、第2大入賞口35を開放させる時間に至ったか否か、すなわち所定の開放前インターバル(小当たりのオープニング)の時間が経過して第2大入賞口35の開放を開始する時間に至ったか否かを判定する(S2303)。
ステップS2303の判定結果がNOであれば、そのまま処理を終える。一方、ステップS2303の判定結果がYESであれば、当選している小当たりの種類に応じた開放パターン(図8参照)に従って第2大入賞口35を開放させる(S2304)。
ステップS2302において第2大入賞口35の開放中であれば(S2302でYES)、第2大入賞口35への入賞個数が規定の最大入賞個数(本形態では8個)に達しているか否かを判定する(S2305)。規定入賞個数に達していなければ(S2305でNO)、第2大入賞口35を閉鎖させる時間に至ったか否か(すなわち第2大入賞口35を開放してから所定の開放時間(図8に示すように本形態では1.6秒)が経過したか否か)を判定する(S2306)。そして、第2大入賞口35の開放時間が経過していなければ(S2306でNO)、本処理を終える。
これに対して、規定入賞個数に達している場合(S2305でYES)又は第2大入賞口35の開放時間が経過した場合(S2306でYES)、すなわち2つの開放終了条件のうちのいずれかが満たされている場合には、第2大入賞口35を閉鎖(閉塞)する(S2307)。そして、大入賞口開放カウンタの値を1ディクリメントするとともに(S2308)、小当たり終了フラグをセットして(S2309)、本処理を終える。
またステップS2301において小当たり終了フラグがONであれば(S2301でYES)、図30に示すように、小当たり遊技における第2大入賞口35の閉鎖後の所定時間(閉鎖後インターバルの時間)が経過したか否かを判定し(S2310)、閉鎖後インターバルの時間が経過していなければ(S2310でNO)処理を終える。なお、小当たり遊技の閉鎖後インターバルの時間については後述する。一方、閉鎖後インターバルの時間が経過していれば(S2310でYES)、小当たり終了フラグをOFFするとともに(S2311)、小当たりフラグをOFFして(S2312)、ステップS2313に進む。
ステップS2313では、VフラグがONか否かを判定する。Vフラグは、小当たり遊技の実行中に特定領域39への遊技球の通過があったことを示すフラグであり、後述するステップS2603(図32参照)でONされるフラグである。このVフラグがONでなければ(S2313でNO)、2種大当たり遊技を実行しないため、大入賞口開放カウンタの値を「0」にクリアするとともに(S2314)、特別動作ステータスを「1」にセットして(S2315)処理を終える。
一方、VフラグがONであれば(S2313でYES)、2種大当たり遊技を実行するため、遊技制御用マイコン81は、VフラグをOFFするとともに(S2317)、大当たりフラグをONして(S2318)、特別動作ステータスを「4」にセットする(S2319)。続いて、時短フラグがONであれば(S2320でYES)時短フラグをOFFする(S2321)。そして、大当たりのオープニングコマンドをセットするとともに(S2322)、大当たりのオープニングを開始する(S2323)。これにより、第2大入賞口35を短時間にわたって開放する小当たり遊技から2種大当たり遊技に移行する。
[振分部材制御処理]遊技制御用マイコン81は、図15に示すように、特別動作処理(S106)に次いで振分部材制御処理(S107)を行う。振分部材制御処理(S107)では図31に示すように、まず、振分部材作動フラグがONか否かを判定する(S2501)。振分部材作動フラグがONでなければ本処理を終える。一方、振分部材作動フラグがONであれば、小当たり遊技のオープニングが開始しているため(図25参照)、振分部材71を所定の作動パターンにて作動させるべく振分部材作動処理(S2502)を行うとともに、V有効期間設定処理(S2503)を行う。
振分部材作動処理(S2502)では、振分部材71の作動時間を計測するためのタイマをセットし、そのタイマを用いた計時に基づいて、振分部材71の開放タイミングになったら振分部材ソレノイド73をONし、振分部材71の閉鎖タイミングになったら振分部材ソレノイド73をOFFする。これにより、振分部材71は、小当たり遊技のオープニングの開始から一定の動作で動くこととなる。
図46(c)に示すように、振分部材71をまず、小当たり遊技のオープニングの開始から8msにわたって通過阻止状態(図2に破線で示す状態)に制御する。これを開放前インターバルという。続いて、4600msにわたって通過許容状態(図2に二点鎖線で示す状態)に制御する。これを、第1V開放という。次いで、16392msにわたって通過阻止状態に制御する。これを、開放間インターバルという。その後、再び4600msにわたって通過許容状態に制御する。これを第2V開放という。そして、3000msにわたって通過阻止状態に制御する。これを閉鎖後インターバルという。このような、「開放前インターバル⇒第1V開放⇒開放間インターバル⇒第2V開放⇒閉鎖後インターバル」からなる一連の動作が振分部材71の一定動作である。
また、V有効期間設定処理(S2503)では、上記のような振分部材71の一定動作に対してV有効期間を設定する。V有効期間とは、特定領域センサ39aによる検知があった場合にその検知を有効なものとみてVフラグをONにする期間である。図46(d)に示すように、V有効期間は、特定領域39の開放開始(振分部材71を通過許容状態に制御した時点)から所定の時間が経過するまでである。所定の時間は、特定領域39の開放時間(振分部材71を通過許容状態に制御している時間)よりも長い時間に設定されている。これは、振分部材71の配置位置を通過した遊技球が特定領域39に至るまでのタイムラグを考慮してのことである。
具体的にはV有効期間設定処理(S2503)では、V有効期間を計測するためのタイマをセットし、そのタイマを用いた計時に基づいて、特定領域39を有効にするタイミングになったらV有効フラグをONし、特定領域39を無効にするタイミングになったらV有効フラグをOFFする。なお、後述する特定領域センサ検出処理(S108)のステップS2602では、このV有効フラグがONか否かを判断することにより、V有効期間中か否かを判定する。
V有効期間設定処理(S2503)に続いて遊技制御用マイコン81は、振分部材71の動作が終了したか否かを判定する(S2504)。具体的には、ステップS2502でセットした振分部材71の作動時間を計測するためのタイマに基づいて、振分部材71が一定動作を開始してから終了するまでの総作動時間(28600ms(図46(c)参照))が経過したか否かを判定する。そして、振分部材71の動作が終了していなければそのまま本処理を終える。これに対して、振分部材71の動作が終了していれば、振分部材作動フラグをOFFしてから(S2505)本処理を終える。
ここで図46に基づいて、上記のような振分部材71の一定動作と、小当たり遊技における第2大入賞口35(開閉部材37)の開放パターンとの関係について説明する。本形態では、小当たり遊技における第2大入賞口35の開放パターンとして、図46(b),(e),及び(f)に示す3つの開放パターンがある。なお、図46(a)は、小当たり遊技の開始のタイミングをわかりやすくするために、特別図柄の変動表示および停止表示のタイミングを示したものである。
図46(b)に示す開放パターンは、特図2の抽選にて小当たりに当選した場合に選択される開放パターンである。つまり、「16R時短小当たりC」又は「16R通常小当たり」(図8参照)に当選した場合に選択される開放パターンである。この開放パターンは、特定領域39への通過が可能な通過開放パターン(第1通過開放パターン、本発明の「第2開放パターン」)である。
より詳細には、この第1通過開放パターンは、8msにわたって第2大入賞口35を閉塞した後に1600msにわたって第2大入賞口35を開放し、その後、6000msにわたって第2大入賞口35を閉塞する開放パターンである。言い換えれば、この開放パターンにて実行される小当たり遊技は、8msにわたって第2大入賞口35が閉塞されるオープニングと、1600msにわたって第2大入賞口35が開放される小当たり開放遊技と、6000msにわたって第2大入賞口35が閉塞される閉鎖後インターバルとを含んでいる。
このような開放パターンで第2大入賞口35が開放された場合、1600msにわたる第2大入賞口35の開放期間中および第2大入賞口35の閉鎖後の3000msの期間中は、振分部材71の第1V開放にあたり、振分部材71が通過許容状態をとっている(図46(b)及び(c)参照)。従って、どのような入賞タイミングで第2大入賞口35へ遊技球が入賞したとしても、その遊技球は特定領域39を通過することが可能である。なお本形態では、右打ちにて遊技球を連続的に発射し続けていれば、1.6秒にわたる開放期間中に必ず第2大入賞口35へ遊技球が入賞するように、第2大入賞装置36等の各装置が配されている。また、第2大入賞口35を通過した遊技球が振分部材71の配置位置に至るまでの所要時間は3000ms(第2大入賞口35が閉鎖したタイミングから振分部材71の第1V開放が終了するタイミングまでの時間)よりも短い。
図46(e)に示す開放パターンは、特図1の抽選にて「16R時短小当たりB」(図8参照)に当選した場合に選択される開放パターンである。この開放パターンも、特定領域39への通過が可能な通過開放パターン(第2通過開放パターン、本発明の「第2開放パターン」)である。この第2通過開放パターンと、上述の第1通過開放パターンとはオープニングの時間が異なっている。
より詳細には、この第2通過開放パターンは、21000msにわたって第2大入賞口35を閉塞した後に1600msにわたって第2大入賞口35を開放し、その後、6000msにわたって第2大入賞口35を閉塞する開放パターンである。言い換えれば、この開放パターンにて実行される小当たり遊技は、21000msにわたって第2大入賞口35が閉塞されるオープニングと、1600msにわたって第2大入賞口35が開放される小当たり開放遊技と、6000msにわたって第2大入賞口35が閉塞される閉鎖後インターバルとを含んでいる。
このような開放パターンで第2大入賞口35が開放された場合、1600msにわたる第2大入賞口35の開放期間中および第2大入賞口35の閉鎖後の3000msの期間中は、振分部材71の第2V開放にあたり、振分部材71が通過許容状態をとっている(図46(e)及び(c)参照)。従って、どのような入賞タイミングで第2大入賞口35へ遊技球が入賞したとしても、その遊技球は特定領域39を通過することが可能である。
図46(f)に示す開放パターンは、特図1の抽選にて「16R時短小当たりA」(図8参照)に当選した場合に選択される開放パターンである。この開放パターンは、特定領域39への通過が実質的に不可能な非通過開放パターン(本発明の「第1開放パターン」)である。
より詳細には、この非通過開放パターンは、4568msにわたって第2大入賞口35を閉塞した後に1600msにわたって第2大入賞口35を開放し、その後、2008msにわたって第2大入賞口35を閉塞する開放パターンである。言い換えれば、この開放パターンにて実行される小当たり遊技は、4568msにわたって第2大入賞口35が閉塞されるオープニングと、1600msにわたって第2大入賞口35が開放される小当たり開放遊技と、2008msにわたって第2大入賞口35が閉塞される閉鎖後インターバルとを含んでいる。
このような開放パターンで第2大入賞口35が開放された場合、オープニング中に振分部材71の第1V開放がほぼ終了する(図46(f)及び(c)参照)。振分部材71の第1V開放と、第2大入賞口35の開放とが一致している期間は、第2大入賞口35の開放開始直後のわずか40msだけである。従って、仮に第2大入賞口35の開放開始とともに遊技球が入球しても、その遊技球が振分部材71の位置に到達する頃には振分部材71は通過阻止状態に制御されている。よって、この開放パターンが選択された場合には、遊技球が特定領域39を通過することはほぼない。つまり、遊技球が特定領域39を通過することは実質的に不可能となっている。
以上、図46に基づいて説明したように、本形態では小当たり遊技のオープニングの開始に伴って振分部材71の動作を開始するようにしている。そして、小当たりの種類に応じた3つの開放パターンのいずれかにて小当たり遊技が実行される。各開放パターンは、オープニングの時間が異なっている。従って、それぞれの開放パターンでは、振分部材71の変位タイミングに対する第2大入賞口35の開放タイミングが異なることとなる。かくして、第2大入賞口35への入賞タイミングにかかわらず特定領域39を通過可能な小当たり遊技(図46(b)の特2V通過小当たり及び図46(e)の特1V通過小当たり)と、どのようなタイミングで第2大入賞口35に入賞しても特定領域39を通過することができない小当たり遊技(図46(f)の特1V非通過小当たり)とを実行することが可能となっている。
また本形態では、小当たり遊技中は、第2大入賞装置36内に入球した遊技球の数を第2大入賞口センサ35aによる検知に基づいてカウントしているとともに、第2大入賞装置36外へ排出された遊技球の数を特定領域センサ39a又は非特定領域センサ70aによる検知に基づいてカウントしている。つまり本形態では、特定領域センサ39a及び非特定領域センサ70aは、第2大入賞装置36外へ排出された遊技球の数をカウントする排出口センサとしても機能している。そして、振分部材71の一定動作の終了時点で、両カウント値が一致していないときにはエラー報知を行うようにしている。なお第2大入賞口35の閉鎖後、両カウント値が一致したときに振分部材71の作動を停止するようにしてもよい。このようにすれば、第2大入賞口35の閉鎖後に特別図柄の変動表示をスムーズに開始することが可能となる。
[特定領域センサ検出処理]遊技制御用マイコン81の動作の説明に戻る。遊技制御用マイコン81は、図15に示すように、振分部材制御処理(S107)に次いで特定領域センサ検出処理(S108)を行う。特定領域センサ検出処理(S108)では図32に示すように、まず、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったか否かを判定する(S2601)。検知がなければ(S2601でNO)処理を終了するが、検知があれば(S2601でYES)V有効期間中か否かを判定する(S2602)。V有効期間は、前述の振分部材制御処理(図31)におけるV有効期間設定処理(S2503)にて設定される期間である。具体的にはV有効期間は、図46(d)に示す期間である。
ステップS2602でV有効期間中であると判定した場合には(S2602でYES)、VフラグをONするとともに(S2603)、V通過コマンドをセットして(S2604)処理を終える。一方、ステップS2602でV有効期間中でないと判定した場合には(S2602でNO)、ステップS2603及びS2604の処理を行うことなく、特定領域センサ検出処理を終える。なお、V通過コマンドは、サブ制御基板90にV通過(特定領域39の通過)の報知を行わせるためのコマンドである。
6.本形態における遊技の流れ
ここで、演出制御用マイコン91の動作を説明する前に、本形態のパチンコ遊技機1における遊技の進行の流れについて、図47に基づいて先に説明しておく。図47に示すように、まず、通常遊技状態においては左打ちにて遊技を進行する。これにより、特図1の抽選に基づく大当たりの当選を狙う。なお、当選確率は低いが、特図1の抽選によって、「16R時短小当たりB」(図8参照)に当選すれば、V通過に基づく2種大当たり遊技を獲得することができる。
特図1の抽選にて大当たりに当選した場合、その大当たりが「15R通常大当たり」(図8参照)であれば、大当たり遊技の終了後の遊技状態は通常遊技状態に制御される。一方、「4R時短大当たり」(図8参照)であれば、大当たり遊技の終了後の遊技状態は時短状態に制御される。この振分率は各50%である。なお本明細書においては、V通過を経ないで当選する大当たりを、直撃大当たりと記載することがある。当選した大当たりが「15R通常大当たり」であった場合には、再び通常遊技状態において特図1の抽選に基づく大当たりの当選を狙って遊技を進行する。
これに対して、「4R時短大当たり」であった場合には、時短状態且つ高ベース状態に制御される。この時短状態且つ高ベース状態では、遊技者は右打ちにて遊技を進行する。これにより、特図2の抽選に基づく大当たりの当選を狙う。特図2の抽選にハズレはなく(図10(A)参照)、大当たり当選となる場合を除けば全て小当たり当選となる。しかも、特図2の抽選にて当選する小当たりは、その小当たり遊技における開放パターンを通過開放パターン(第2大入賞口35への入賞タイミングにかかわらず特定領域39を通過可能な開放パターン)とする小当たりである(「16時短小当たりC」,「16R通常小当たり」(図8参照)、図46(b),(c)参照)。従って、遊技者が正しく遊技を実行している限り(つまり右打ちを継続している限り)、特図2の抽選が実行されれば必ず大当たり遊技が実行されることとなる。なお、特図2の抽選にて当選する大当たり(直撃大当たり)は、必ず「15R時短大当たり」(図8参照)である。
また、この時短状態では、第2特別図柄の変動表示中に第2特図保留を上限記憶数まで貯めることができる。本形態の第2特図保留の上限記憶数は「1」である。つまり、特図2の変動表示中に第2特図保留を1つ貯めることができる。この1つの第2特図保留は、大当たり遊技を経たその後の遊技において消化されることとなる。
時短状態で特図2の抽選にて小当たりに当選した場合、その小当たりが「16R通常小当たり」(図8参照)であれば、V通過に基づく2種大当たり遊技の終了後の遊技状態は通常遊技状態に制御される。一方、「16R時短小当たりC」(図8参照)であれば、V通過に基づく2種大当たり遊技の終了後の遊技状態は時短状態に制御される。この振分率は各50%である。時短当たり(「16時短小当たりC」又は「15R時短大当たり」)に当選した場合には、再び時短状態に制御されるため、さらに追加的に第2特図保留を1つ貯めることができる。従って、前回の時短状態で貯めた第2特図保留に基づいて再び大当たり遊技を実行させることができる上、さらに今回の時短状態で発生させた第2特図保留に基づいても大当たり遊技を実行させることができる。つまり本形態のパチンコ遊技機1は、一度、時短図柄(時短状態に制御されることとなる図柄)に基づいて大当たり遊技が実行されると、それ以降で2回の大当たり遊技の実行が見込める遊技機となっている。言い換えれば、時短状態に制御されると所謂2回ループの遊技機となっている。
これに対して、特図2の抽選にて当選した小当たりが「16R通常小当たり」であった場合には、通常遊技状態に制御される。この場合には、追加的に第2特図保留を貯めることはできない。しかし、前回の時短状態において貯めた第2特図保留が1つ残っている。よって、この第2特図保留に基づいて再び大当たり遊技を実行させることができる。つまり、この状況は、通常遊技状態ではあるものの1つ残っている第2特図保留によりまだ大当たり遊技を実行させ易い状況(遊技者に有利な状況)である。この通常遊技状態での第2特図保留に基づく抽選の結果、時短当たりに当選すれば、大当たり遊技の終了後には時短状態に制御される。よって、第2特図保留を貯めることにより、再び特図2の抽選の機会を得ることが可能となり、以降2回の大当たりが確定することになる。
これに対して、通常遊技状態での第2特図保留に基づく抽選の結果、「16R通常小当たり」に当選した場合には、もう第2特図保留も残っておらず、電サポ制御が実行されていないため新たに第2特図保留を発生させることもできない。よって、大当たり遊技の実行され易さの点で遊技者にとって有利な状況は終了したこととなる。
なお図47に示すように、時短状態において第2特図保留を貯めていない状態で「16R通常小当たり」に基づく大当たり遊技を実行させてしまうと、その後は、第2特図保留のない通常遊技状態となる。よってこの場合には、第2特図保留に基づいて大当たり遊技を実行させることができないため、遊技者にとって有利な状況が終了したことになる。
また、時短状態から通常遊技状態に移行した後、第2特図保留に基づく処理が終了したものの大当たり遊技を実行させられなかった場合(つまり特定領域39へ遊技球を通過させなかった場合)にも、その後は、第2特図保留のない通常遊技状態となる。よって、この場合にも、遊技者にとって有利な状況が終了したことになる。
こうして本形態のパチンコ遊技機1では、時短状態且つ高ベース状態(特典遊技状態)では第2始動口21への入球が容易となる。そして、第2始動口21への入球に基づく当否判定(S1002)において小当たりに当選した場合には、第2大入賞口35へ入賞した遊技球はその入賞タイミングに拘わらず特定領域39を通過する(図46(b),(c)参照)。つまり、特図2の抽選において小当たりに当選すれば、必ず遊技者に有利な大当たり遊技が実行される。従って、第2始動口21への入球に基づく小当たり当選は、大当たり当選と同等の遊技上の意味を持つことになる。
即ち、第2始動口21への入球に基づく小当たり当選は、実質的には大当たり当選確定である。よって、大当たりの当選確率に依らず、特図2の抽選における小当たりの当選確率の設定次第で、高ベース状態における大当たり当選確定(実質的を含む)の第2特図保留の発生確率を自在に高めることが可能である。つまり、高ベース状態において従来よりも早いスピードで次の大当たりを引き当てられる従来にない斬新な遊技性を創出することが可能である。言い換えれば、高ベース状態において小当たりに当選するものの、なかなか特定領域39に遊技球を通過させることができずに大当たり遊技が実行されず、大当たり遊技の実行という利益を獲得するまでの遊技期間が長くなるのを防ぐことが可能である。
そして本形態のパチンコ遊技機1では、特図2の抽選にはハズレがない(図8(A)参照)。つまり、特図2の抽選による小当たり当選確率を最大限に高めている。そのため、特図2の抽選がなされれば実質的には必ず大当たり遊技が実行されることとなる。従って、一旦高ベース状態に制御されれば原則的には、特図2の当該変動分と第2特図保留の全てが16R通常小当たりに振分けられない限り、大当たり遊技の実行という利益を獲得し続けられる(大当たりに当選し続けられる)という新たな遊技性を提供することが可能である。つまり、第2特図保留の上限記憶数+1回(特図2の当該変動分)のループ機を提供することが可能である。なお本形態では、第2特図保留の上限記憶数は「1」である。よって、一旦高ベース状態に制御されればその後2回の大当たり遊技の実行が確定する所謂2回ループの遊技機を、所謂1種2種混合機として好適に実現することが可能である。ちなみに本形態では、大当たり遊技後の特図2の抽選による連チャンは、所謂1G連(大当たり遊技の終了後の1変動目で再び大当たりに当選する連チャン)となる。このことも本形態のパチンコ遊技機1における斬新な遊技性の1つである。
ここで本形態では、上述した斬新な遊技性を実現するために、特図2の抽選にて小当たりに当選した場合には、第2大入賞口35への入賞タイミングに拘わらず特定領域39を通過可能な第1通過開放パターン(図46(b)参照)に設定される一方、特図1の抽選にて小当たりに当選した場合には、第2大入賞口35へ入賞しても特定領域39を通過することが実質的に不可能な非通過開放パターン(図46(f)参照)にほとんど設定されるようにしている。これにより、遊技機全体として第2大入賞口35へ入賞した遊技球の特定領域39への通過率(V通過率)が不当に高くなるのを抑制することとしている。
要するに本形態では、特図2の抽選で小当たりに当選すると第2大入賞口35への入賞タイミングに拘わらず特定領域39をすぐに通過できるようにする代わりに、特図1の抽選における小当たり当選確率をおよそ1/20に設定することで、特図1の抽選で比較的頻繁に小当たりに当選するようにしている。そして、特図1の抽選で当選した小当たりにおいて、16R時短小当たりB(特1V通過小当たり)と、16R時短小当たりA(特1V非通過小当たり)との振分率を1:99に設定している。そのため、特図1の抽選で小当たりに当選しても、ほとんど(99%の確率で)小当たり遊技中に特定領域39を通過させることができない。このような設定によって、本パチンコ遊技機1におけるV通過率が1/10を超えないようにしている。
しかしながら本形態では、上述した遊技性により、特図1の抽選で16R時短小当たりAに比較的頻繁に当選する。16R時短小当たりAの当選に基づく小当たり遊技の実行時間は、8176ms(図46参照)であり、この小当たり遊技中には特図1の変動表示が開始されるわけではなく、且つ遊技球が特定領域39を通過することはない。そのため遊技者が、特図1の抽選に基づいて比較的頻繁に生じる小当たり遊技を無駄な遊技停止期間と感じるおそれがある。そこで本形態では、16R時短小当たりAの当選に基づく小当たり遊技中の遊技興趣を向上させるべく、演出制御用マイコン91を以下のように動作させることとしている。
7.演出制御用マイコン91の動作
[サブ制御メイン処理]次に図33〜図45に基づいて演出制御用マイコン91の動作について説明する。なお、演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM94に設けられている。サブ制御基板90に備えられた演出制御用マイコン91は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM93から図33に示したサブ制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、まずCPU初期化処理を行う(S4001)。CPU初期化処理(S4001)では、スタックの設定、定数設定、CPU92の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定等を行う。
続いて、電源断信号がONで且つRAM94の内容が正常であるか否かを判定する(S4002)。そしてこの判定結果がNOであれば、RAM94の初期化をして(S4003)、ステップS4004に進む。一方、判定結果がYESであれば(S4002でYES)、RAM94の初期化をせずにステップS4004に進む。すなわち、電源断信号がONでない場合、又は電源断信号がONであってもRAM94内容が正常でない場合には(S4002でNO)、RAM94を初期化するが、停電などで電源断信号がONとなったがRAM94内容が正常に保たれている場合には(S4002でYES)、RAM94を初期化しない。なお、RAM94を初期化すれば、各種のフラグ、ステータス及びカウンタ等の値はリセットされる。また、このステップS4001〜S4003は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
ステップS4004では、割り込みを禁止する。次いで、乱数シード更新処理を実行する(S4005)。乱数シード更新処理(S4005)では、種々の演出決定用乱数カウンタの値を更新する。なお、演出決定用乱数には、後述の入賞時保留変化乱数、後述の小当たり時保留変化乱数、後述の変化シナリオ乱数、演出図柄を決定するための演出図柄決定用乱数、変動演出パターンを決定するための変動演出パターン決定用乱数、種々の予告演出を決定するための予告演出決定用乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。これは、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理においても同様である。
乱数シード更新処理(S4005)が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S4006)。コマンド送信処理では、サブ制御基板90のRAM94内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板100に送信する。コマンドを受信した画像制御基板100は、コマンドに従い画像表示装置7を用いて各種の演出(演出図柄変動演出や、大当たり遊技に伴う大当たり演出(オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出)、後述する入賞時先読み保留演出、後述する小当たり時先読み保留演出)、客待ち演出等を実行する。なお、画像制御基板100による各種の演出の実行に伴ってサブ制御基板90は、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声を出力したり、ランプ制御基板107を介して枠ランプ66、盤ランプ5を発光させたり、装飾可動体15を駆動させたりする。演出制御用マイコン91は続いて、割り込みを許可する(S4007)。以降、ステップS4004〜S4007をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4008)、1msタイマ割り込み処理(S4009)、および10msタイマ割り込み処理(S4010)の実行が可能となる。
[受信割り込み処理]受信割り込み処理(S4008)では、図34に示すように、ストローブ信号(STB信号)がONか否か、すなわち主制御基板80から送られたストローブ信号が演出制御用マイコン91の外部INT入力部に入力されたか否かを判定する(S4101)。そして、ストローブ信号がONでなければ処理を終え、ONであれば主制御基板80から送信されてきた各種のコマンドをRAM94の受信バッファに格納する(S4102)。この受信割り込み処理は、他の割り込み処理(S4009、S4010)に優先して実行される処理である。
[1msタイマ割り込み処理]1msタイマ割り込み処理(S4009)は、サブ制御基板90に1msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。図35に示すように、1msタイマ割り込み処理(S4009)ではまず、入力処理(S4201)を行う。入力処理(S4201)では、演出ボタン検出スイッチ63a(図5参照)からの検知信号に基づいてスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する。
続いて、ランプデータ出力処理(S4202)を行う。ランプデータ出力処理(S4202)では、演出に合うタイミングで枠ランプ66、盤ランプ5を発光させるべく、後述の10msタイマ割り込み処理におけるその他の処理(S4304)で作成したランプデータをランプ制御基板107に出力する。つまり、ランプデータに従って、枠ランプ66を所定の発光態様で発光させる。
次いで、駆動制御処理(S4203)を行う。駆動制御処理(S4203)では、演出に合うタイミングで装飾可動体15を駆動させるべく、駆動データ(装飾可動体15の駆動ためのデータ)を作成したり、出力したりする。後述の10msタイマ割り込み処理における処理でセットされた駆動データもこの処理で出力される。つまり、駆動データに従って、装飾可動体15を所定の動作態様で駆動させる。
そして、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行うウォッチドッグタイマ処理(S4204)を行って、本処理を終える。
[10msタイマ割り込み処理]10msタイマ割り込み処理(S4010)は、サブ制御基板90に10msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。図36に示すように、10msタイマ割り込み処理(S4010)ではまず、後述する受信コマンド解析処理を行う(S4301,図37)。次に、後述する特図保留演出制御処理を行う(S4302,図45)。続いて、1msタイマ割り込み処理で作成したスイッチデータを10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとしてRAM94に格納するスイッチ状態取得処理を行う(S4303)。次に、スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて表示画面7aの表示内容等を設定するスイッチ処理を行う(S4304)。
その後、演出制御用マイコン91は、ランプ処理(S4305)を行う。ランプ処理(S4305)では、ランプデータ(枠ランプ66、盤ランプ5の点灯を制御するデータ)の作成や発光演出の時間管理等を行う。続いて、音声制御処理(S4306)を行う。音声制御処理(S4306)では、音声データ(スピーカ67からの音声の出力を制御するデータ)の作成及び音声制御基板106への出力や、音声演出の時間管理等を行う。これにより、実行する演出に合った音声がスピーカ67から出力される。例えば、装飾可動体15が所定の待機位置から動作位置へ変位するときには、所定の効果音(SE)が出力される。これにより、装飾可動体15が変位することを遊技者に報知することとしている。そして、各種の演出決定用乱数を更新したりするなどのその他の処理を実行して(S4307)、本処理を終える。
[受信コマンド解析処理]図37に示すように、受信コマンド解析処理(S4301)ではまず、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から始動入賞コマンド(第1始動入賞コマンド又は第2始動入賞コマンド)を受信したか否かを判定し(S4401)、受信していれば後述する保留数加算処理(S4402)および先読み演出判定処理(S4403)を行う。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動開始コマンドを受信したか否か判定し(S4404)、受信していれば後述する変動演出開始処理(S4405)および保留数減算処理(S4406)を行う。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動停止コマンドを受信したか否か判定し(S4407)、受信していれば後述する変動演出終了処理を行う(S4408)。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からオープニングコマンドを受信したか否か判定し(S4409)、受信していれば後述する特別遊技演出選択処理を行う(S4410)。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からエンディングコマンドを受信したか否か判定し(S4411)、受信していればエンディング演出選択処理を行う(S4412)。エンディング演出選択処理(S4412)では、エンディングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のエンディング中に実行するエンディング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したエンディング演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からV通過コマンドを受信したか否か判定し(S4413)、受信していればV通過報知演出開始処理(S4414)を行う。V通過報知演出開始処理(S4414)では、V通過報知演出を開始するためのV通過報知演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。V通過報知演出とは、V通過(特定領域39への通過)があったことを遊技者に報知するための演出である。本形態では、所定のV通過報知画像(例えば「V」の文字を示す文字画像)を表示画面7aに表示する演出である。なお、V通過報知演出は、特別の効果音をスピーカ67から出力するなど、他の態様であってもよい。
続いて、その他の処理(S4415)として上記のコマンド以外の受信コマンド(例えば普通図柄変動開始コマンドや普通図柄変動停止コマンド)に基づく処理を行って、受信コマンド解析処理を終える。
[保留数加算処理]図38に示すように、保留数加算処理(S4402)ではまず、演出制御用マイコン91は、RAM94の受信バッファに格納されている始動入賞コマンドをRAM94の特図保留演出記憶部(第1特図保留演出記憶部95a又は第2特図保留演出記憶部95b)に記憶する(S4501)。すなわち、始動入賞コマンドに係る始動口の種類を確認して、第1始動口20への入賞に基づいて生成された第1始動入賞コマンドであれば、その第1始動入賞コマンドを第1特図保留演出記憶部95a(図7(b)参照)に記憶する。また、第2始動口21への入賞に基づいて生成された第2始動入賞コマンドであれば、その第2始動入賞コマンドを第2特図保留演出記憶部95bの第1記憶領域(図7(c)参照)に記憶する。なお、第1始動入賞コマンドは、第1〜第4まである記憶領域のうち当該コマンドが記憶されていない最も番号の小さい記憶領域に記憶される。これにより、特図保留の記憶順に対応した順で始動入賞コマンドが記憶されていくことになる。
続いて演出制御用マイコン91は、ステップS4501で始動入賞コマンドを記憶した記憶領域の保留表示態様データ記憶領域(図7(d)参照)に、特図保留表示態様データとして、演出保留画像の通常の表示態様(通常態様)に対応する通常態様データ(01H)を記憶する(S4502)。なお、本形態における通常態様の演出保留画像(通常の演出保留表示)とは、図50(b)に示す表示色が白色である麻雀牌の画像700である。その後、演出制御用マイコン91は、ステップS4501で記憶した始動入賞コマンドを解析し(S4503)、その始動入賞コマンドが第1始動口20への入賞に基づき特定された第1始動入賞コマンドであるか否かを判定する(S4504)。第1始動入賞コマンドであれば(4504でYES)、RAM94に設けられた第1特図保留演出カウンタの値を「1」加算して更新するとともに(S4505)、第1特図保留発生フラグをONにして(S4506)、処理を終える。一方、第2始動口21への入賞に基づき特定された第2始動入賞コマンドであれば(S4504でNO)、RAM94に設けられた第2特図保留演出カウンタの値を「1」加算して更新するとともに(S4507)、第2特図保留発生フラグをONにして(S4508)、処理を終える。
なお、第1特図保留演出カウンタは、第1始動入賞コマンドが受信され、RAM94の第1特図保留演出記憶部95aに記憶される度に「1」加算される。すなわち、第1特図保留演出カウンタは、RAM84の第1特図保留記憶部85aに記憶されている乱数値群(数値情報)の個数である第1特図保留(U1)を計数するカウンタである。同様に、第2特図保留演出カウンタは、第2始動入賞コマンドが受信され、RAM94の第2特図保留演出記憶部95bに記憶される度に「1」加算される。すなわち、第2特図保留演出カウンタは、RAM84の第2特図保留記憶部85bに記憶されている乱数値群の個数である第2特図保留(U2)を計数するカウンタである。
[先読み演出判定処理]図39に示すように、先読み演出判定処理(S4403)ではまず、演出制御用マイコン91は、受信した始動入賞コマンドが第1始動入賞コマンドであるか否を判定し(S4601)、第1始動入賞コマンドでなければ(S4601でNO)、処理を終える。一方、第1始動入賞コマンドであれば(S4601でYES)、後述する入賞時先読み保留演出を実行するか否かを判断するために、ステップS4602に進む。こうして本形態では、第1特図保留に関しては入賞時先読み保留演出が実行されることがあり得るものの、第2特図保留に関しては入賞時先読み保留演出が実行されることはない。
次にステップS4602では、演出制御用マイコン91は、RAM94に設けられている所定の記憶領域に、後述する変化シナリオデータ又は小当たり保留表示データのいずれかがセットされているか否かを判定する(S4602)。いずれかがセットされていれば(S4602でYES)、処理を終える。ここで変化シナリオデータは、後述する入賞時先読み保留演出において特別演出保留画像700a,700b,700c(図51参照)を表示するためにセットされるデータである。小当たり保留表示データは、後述する小当たり時先読み保留演出において特別演出保留画像700a,700b,700c(図52参照)を表示するためにセットされるデータである。なお特別演出保留画像700a,700b,700cは、大当たり当選であることへの期待度を示唆する演出保留画像であり、後に詳しく説明する。
ステップS4602の処理により、特別演出保留画像700a,700b,700cが既に表示されている、又は特別演出保留画像700a,700b,700cが表示される予定になっている場合には、入賞時先読み保留演出の実行に関する処理(S4603〜S4610の処理)を実行しないことになる。こうして本形態では、第1演出保留表示エリア710で特別演出保留画像700a,700b,700cが既に1つ表示されている状態において、更にもう1つ特別演出保留画像700a,700b,700cを表示しないようにしている。
ステップS4602において、変化シナリオデータ又は小当たり保留表示データのいずれもセットされていなければ(S4602でNO)、図38のステップS4501で記憶した入賞コマンド(第1始動入賞コマンド)を解析する(S4603)。既に述べたように、第1始動入賞コマンドには、図13のテーブルのコマンド解析内容の欄に示した情報や保留個数の情報などが含まれている。従って、第1始動入賞コマンドを解析すれば、演出制御用マイコン91は、その第1始動入賞コマンドに係る数値情報(その第1始動入賞コマンドの特定に利用した各種乱数値の情報)が大当たりと判定される数値情報(特別の数値情報)であるか否かや、SPリーチを行うと判定される数値情報であるか否か等がわかる。
続いて演出制御用マイコン91は、ステップS4603で解析した第1始動入賞コマンドがSPリーチの実行を示すコマンドであるか否かを判定する(S4604)。具体的には図13に示すように、始動入賞コマンドは、その下位コマンドの下の桁が「1」、「2」、又は「7」であればSPリーチを実行することを示している。そのため、ここでは第1始動入賞コマンドの下位コマンドの下の桁に基づいてSPリーチの実行の有無を判定する。
なお本形態では、数値情報に基づいて第1始動入賞コマンドを特定する遊技制御用マイコン81と、特定された第1始動入賞コマンドを解析することでその第1始動入賞コマンドに係る数値情報が大当たりとなるか否かを判定する演出制御用マイコン91とによって、「第1始動入賞コマンドに基づいて、その第1始動入賞コマンドに対応する数値情報(乱数値)が特別の数値情報(大当たりと判定される乱数値)であるか否かを、その数値情報の記憶を示す演出保留画像を表示する前に判定する入賞時判定手段」が構成されている。なお、遊技制御用マイコン81が大当たりと判定されるか否かの情報を含む第1始動入賞コマンドを生成しているという点に鑑みれば、実質的には遊技制御用マイコン81のみにより入賞時判定手段が構成されているともいえる。
そして、第1始動入賞コマンドがSPリーチの実行を示すものでなければ(S4604でNO)、入賞時先読み保留演出を実行しないため、処理を終える。一方、第1始動入賞コマンドがSPリーチの実行を示すものであれば(S4604でYES)、入賞時保留変化乱数を取得する(S4605)。すなわち、入賞時保留変化乱数に係る乱数カウンタが示す乱数値を、第1特図保留演出記憶部95aにおけるステップS4603で解析した第1始動入賞コマンドが記憶されている記憶領域の入賞時保留変化乱数記憶領域(図7(d)参照)に記憶する。
続いて演出制御用マイコン91は、ステップS4605で取得した入賞時保留変化乱数を、図48(a)に示す入賞時保留変化乱数判定テーブルを用いて判定する(S4606)。この判定により、入賞時先読み保留演出(入賞時保留予告演出)を実行するか否かを決定する。入賞時先読み保留演出とは、第1始動口20への入賞時における先読み判定結果(第1始動入賞コマンドの解析結果)に基づいて、通常態様の演出保留画像(通常演出保留画像700(図50(b)参照))とは異なる特別態様の演出保留画像(特別演出保留画像700a,700b,700c(図51参照))を表示する演出である。
本形態では、表示色が緑色である麻雀牌の画像(図51(a)の第4表示領域710d参照)が、第1特別態様の演出保留画像(特別演出保留画像)700aである。この特別演出保留画像700aを緑保留画像700aともいう。また、表示色が赤色である麻雀牌の画像(図51(c)の第2表示領域710b参照)が、第2特別態様の演出保留画像(特別演出保留画像)710bである。この特別演出保留画像700bを赤保留画像700bともいう。また、表示色が虹色である麻雀牌の画像(図51(d)の第1表示領域710a参照)が、第3特別態様の演出保留画像(特別演出保留画像)710cである。この特別演出保留画像700cを虹保留画像700cともいう。
なお本形態では、特別演出保留画像による表示色として、緑色と赤色と虹色の3色が設定されているが、表示色の種類は適宜変化可能であり、例えば更に青色と金色が設定されていても良い。また通常演出保留画像及び特別演出保留画像は、麻雀牌に限られるものではなく、通常演出保留画像と特別演出保留画像とが異なる態様のものであれば適宜変更可能である。これら特別演出保留画像700a,700b,700cが、本発明の「特別の演出保留表示」に相当する。以下では、「特別演出保留画像700a,700b,700c」を意味する場合に、符号を省略して単に「特別演出保留画像」として説明することがある。
図39に戻り、ステップS4606の判定結果においては、ステップS4603での第1始動入賞コマンドの解析結果が大当たりであるか否かに応じて、異なる入賞時保留変化乱数テーブル(図48(a)参照)を用いることとしている。即ち、第1始動入賞コマンドの解析結果が大当たりである場合に用いる入賞時保留変化乱数テーブルでは、10%の確率で特別演出保留画像への保留変化(表示変化)が生じないように設定されていて、第1始動入賞コマンドの解析結果がSPリーチハズレである場合に用いる入賞時保留変化乱数テーブルでは、30%の確率で特別演出保留画像への保留変化が生じないように設定されている。これにより、大当たりである場合の方が、SPリーチハズレである場合よりも入賞時先読み保留演出が実行され易くしている。
ステップS4606の判定結果が、入賞時先読み保留演出を実行する(保留変化あり)と判定されれば(S4606でYES)、演出保留画像の最終態様は、特別態様(表示色が緑色、又は赤色、或いは虹色である特別演出保留画像)となる。そのため、最終態様データとして、「02H」、「03H」、又は「04H」をRAM94の所定の記憶領域にセットすると共に、続いて変化シナリオ乱数を取得する(S4607)。一方、ステップS4606の判定結果が、入賞時先読み保留演出を実行しない(保留変化なし)と判定されれば(S4606でNO)、処理を終える。
ここで、緑保留画像700aの特図保留表示態様データは、特別態様データ「02H」である。赤保留画像700bの特図保留表示態様データは、特別態様データ「03H」である。虹保留画像700cの特図保留表示態様データは、特別態様データ「04H」である。なお、緑色→赤色→虹色の順に大当たり当選であることへの期待度(信頼度)が高くなるように各画像の選択比率が設定されている(図48(a)参照)。
ステップS4607の変化シナリオ乱数の取得処理では、変化シナリオ乱数に係る乱数カウンタが示す乱数値を、第1特図保留演出記憶部95aにおけるステップS4603で解析した第1始動入賞コマンドが記憶されている記憶領域の変化シナリオ乱数記憶領域(図7(d))参照)に、記憶する。そして続くステップS4608では、ステップS4607で取得した変化シナリオ乱数を、図49に示す変化シナリオ乱数判定テーブルを用いて判定する。これにより、演出保留画像の変化態様(変化シナリオ)を決定する(S4608)。演出保留画像の変化シナリオとは、第1特図保留(第1特別図柄の変動表示を実行する権利)が発生してから消滅するまでの間におけるその第1特図保留に対応する演出保留画像の表示態様の推移の様子のことである。
この変化態様の判定においては、図49に示すように、ステップS4606の判定の結果としてセットされた最終態様データの種類と、ステップS4603での第1始動入賞コマンドの解析結果である第1特図保留の数(特1保留球数)の情報に応じて、異なる判定テーブルを用いることとしている。なお第1特図保留の数の情報は、第1始動入賞コマンドの解析に基づいて取得する方法以外に、第1特図保留演出カウンタのカウンタ値に基づいて取得しても良い。具体的な変化シナリオの内容については後述する。
次いで、演出制御用マイコン91は、ステップS4608で決定した変化シナリオに対応する変化シナリオデータ(図49参照)を、RAM94の所定の記憶領域にセットする(S4609)。その後、入賞時先読み保留演出の実行回数をカウントする先読み保留演出カウンタに、現在の第1特図保留演出カウンタのカウンタ値をセットして(S4610)、本処理を終える。
[変動演出開始処理]図40に示すように、変動演出開始処理(S4405)ではまず、演出制御用マイコン91は、変動開始コマンド(特図1変動開始コマンド又は特図2変動開始コマンド)を解析する(S4701)。変動開始コマンドには、特図2変動パターン選択処理(S1003)又は特図1変動パターン選択処理(S1009)でセットされた変動パターンの情報が含まれている。変動パターンの情報には、現在の遊技状態を指定する遊技状態情報や、特図1又は特図2の大当たり判定処理の判定結果としての図柄を指定する図柄情報等が含まれている(図8参照)。なお、ここで演出制御用マイコン91が取得した遊技状態情報や図柄情報等は、これ以降に実行する処理においても適宜利用可能である。
次に演出制御用マイコン91は、変動演出パターンの選択を行う(S4702)。具体的には、変動演出パターン決定乱数を取得するとともに、変動パターンの種類(図11のP1等)に応じて分類されている複数のテーブルの中から、変動開始コマンドの解析結果に基づいて一つのテーブルを選択する。そして、その選択したテーブルを用いて、取得した変動演出パターン決定乱数を判定することにより、変動演出パターンを選択する。これにより、変動演出パターンが決まれば、変動演出の時間、演出図柄の変動表示態様、リーチ演出の有無、リーチ演出の内容、SW演出(演出ボタン演出)の有無、SWの内容、演出展開構成、演出図柄の背景の種類等からなる変動演出の内容の詳細が決まることとなる。
続いて演出制御用マイコン91は、変動演出において最終的に停止表示する演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8Rの選択を行う(S4703)。具体的には、演出図柄決定用乱数を取得するとともに、特別図柄の種類やリーチの有無に応じて分類されている複数のテーブルの中から、変動開始コマンドの解析結果に基づいて一つのテーブルを選択する。そして、その選択したテーブルを用いて、取得した演出図柄決定用乱数を判定することにより、演出図柄を選択する。これにより、最終的に停止表示される演出図柄8L,8C,8Rの組み合わせ(例えば「777」等)が決定される。
続いて演出制御用マイコン91は、予告演出の選択を行う(S4704)。具体的には、予告演出決定用乱数を取得するとともに、特別図柄の種類やリーチの有無に応じて分類されている複数のテーブルの中から、変動開始コマンドの解析結果に基づいて一つのテーブルを選択する。そして、そのテーブルを用いて、取得した予告演出決定用乱数を判定することにより、予告演出を選択する。これにより、いわゆるステップアップ予告演出やチャンスアップ予告演出などの予告演出の内容が決定される。
そして、選択した変動演出パターン、演出図柄、及び予告演出にて変動演出を開始するための変動演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットして(S4705)、変動演出開始処理を終了する。ここで変動演出開始コマンドのうち、特図1の変動表示の開始に対応して変動演出を開始するための変動演出開始コマンドを特図1変動演出開始コマンドと呼び、特図2の変動表示の開始に対応して変動演出を開始するための変動演出開始コマンドを特図2変動演出開始コマンドと呼ぶことにする。
ステップS4705でセットされた変動演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、所定の演出画像をROMから読み出して、画像表示装置7の表示画面7aにて変動演出を行う。
[保留数減算処理]図41に示すように、保留数減算処理(S4406)ではまず、演出制御用マイコン91は、RAM94の受信バッファに格納されている変動開始コマンドを解析する(S4801)。そして、解析した変動開始コマンドが特図1変動開始コマンド(第1始動口20への入賞に基づくコマンド)であるか否かを判定する(S4802)。特図1変動開始コマンドである場合には(S4802でYES)、RAM94に設けられている第1特図保留演出カウンタのカウンタ値を「1」減算するとともに(S4803)、第1特図保留消滅フラグをONにして(S4804)、ステップS4807に進む。
一方、ステップS4802において特図1変動開始コマンドでない場合(S4802でNO)、即ち特図2変動開始コマンドである場合には、RAM94に設けられている第2特図保留演出カウンタのカウンタ値を「1」減算するとともに(S4805)、第2特図保留消滅フラグをONにして(S4806)、ステップS4807に進む。
ステップS4807では、演出制御用マイコン91は、RAM94の所定の特図保留演出記憶部(第1特図保留演出記憶部95a又は第2特図保留演出記憶部95b)に記憶されているデータのシフト処理を行う。第1特図保留演出記憶部95aにおけるシフト処理では、第1記憶領域〜第4記憶領域に記憶されている各データを1つ前の記憶領域にシフトさせるとともに、第4記憶領域をクリアする。例えば、第1特図保留演出記憶部95aの第4記憶領域に記憶されている各データは、第1特図保留演出記憶部95aの第3記憶領域にシフトされ、第4記憶領域はクリアされる。また、第1特図保留演出記憶部95aの第1記憶領域に記憶されている各データは、第1特図保留演出記憶部95a及び第2特図保留演出記憶部95bに共通の当該変動用演出記憶部(第0記憶領域)95c(図7(a)参照)にシフトされ、当該変動用演出記憶部95cに記憶されていたデータは消去される。一方、第2特図保留演出記憶部95bにおけるシフト処理では、第2特図保留演出記憶部95bの第1記憶領域に記憶されている各データは、当該変動用演出記憶部95cにシフトされ、第1記憶領域はクリアされると共に、当該変動用演出記憶部95cに記憶されていたデータは消去される。こうして、前回の変動演出に係るデータは消去される。
次に演出制御用マイコン91は、RAM94の所定の記憶領域に変化シナリオデータがセットされているか否かを判定する(S4808)。変化シナリオデータがセットされていなければ(S4808でNO)、ステップS4810に進む。一方、変化シナリオデータがセットされていれば(S4808でYES)、入賞時先読み保留演出の実行中であるので、先読み保留演出カウンタのカウンタ値を「1」減算して(S4809)、ステップS4810に進む。
続いて演出制御用マイコン91は、RAM94の所定の記憶領域に、後述する小当たり保留表示データがセットされているか否かを判定する(S4810)。小当たり保留表示データがセットされていなければ(S4810でNO)、処理を終える。一方、小当たり保留表示データがセットされていれば(S4810でYES)、後述する小当たり時先読み保留演出の実行中であるので、先読み保留演出カウンタのカウンタ値を「1」減算して(S4809)、処理を終える。
なお本形態では、入賞時先読み保留演出と小当たり時先読み保留演出とが同時に実行されることがない(変化シナリオデータと小当たり保留表示データとが共にセットされている状態がない)ため、それぞれの先読み保留演出の実行回数をカウントする先読み保留演出カウンタを共通にしている。しかしながら、入賞時先読み保留演出の実行回数をカウントするカウンタと、小当たり時先読み保留演出の実行回数をカウントするカウントとを別々に設けても良い。
[変動演出終了処理]図42に示すように、変動演出終了処理(S4408)ではまず、演出制御用マイコン91は、変動停止コマンドを解析する(S4901)。そして、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドをRAM94の出力バッファにセットして(S4902)、処理を終える。
[特別遊技演出選択処理]図43に示す特別遊技演出選択処理(S4410)は、特別遊技(大当たり遊技又は小当たり遊技)時に実行する特別遊技演出のパターン(内容)を選択する処理である。ここで選択される特別遊技演出には、大当たり遊技又は小当たり遊技のオープニング中に実行するオープニング演出と、大入賞口の開放中および開放間のインターバル中に実行する開放遊技演出が含まれている。
図43に示すように、特別遊技演出選択処理(S4410)ではまず、オープニングコマンドを解析する(S5001)。なお本形態では、オープニングコマンドには、大当たり又は小当たりへの当選判定時にセットされた特図停止図柄データ(図8参照)に関する情報が含まれている。
続いて演出制御用マイコン91は、解析したオープニングコマンドが示す当たり種別が「16R時短小当たりA」であるか否か、すなわち、特1V非通過小当たりか否かを判定する(S5002)。「16R時短小当たりA」であれば(S5002でYES)、後述する特1V非通過小当たり演出選択処理(S5003)を行って、ステップS5007に進む。
一方、「16R時短小当たりA」でなければ(S5002でNO)、演出制御用マイコン91は、解析したオープニングコマンドが示す当たり種別が「16R時短小当たりB」であるか否か、すなわち、特1V通過小当たりか否かを判定する(S5004)。「16R時短小当たりB」であれば(S5004でYES)、演出制御用マイコン91は、オープニング演出として打込報知演出を伴う特1小当たり演出パターンを選択して(S5005)、ステップS5007に進む。ここで打込報知演出とは、図50(a)に示す打込演出画像7Zを表示画面7aに表示する演出である。打込演出画像7Zは、第2大入賞装置36を狙って右打ちにて遊技球を発射すべき旨を示唆する演出画像であり、遊技領域のうち第2大入賞装置36付近が光った画像になっている。これにより、遊技者は第2大入賞装置36(特定領域39)に遊技球を打込む状況であることを認識し易くなっている。
この打込報知演出は、「16R時短小当たりB」のオープニング中に表示される。つまり、「16R時短小当たりB」(特1V通過小当たり)に当選すると、21000msにわたるオープニングの期間中に(図46(e)参照)、遊技者に対して遊技方法が示されることとなる。このため、遊技者はV通過の機会を逃すことなく、確実に2種大当たりを獲得することが可能である。なお、右打ち報知を小当たり当選時の変動演出の一部として行う構成も考えられる。しかしこのような構成とすると、まだ小当たり遊技も開始されていないのに遊技者が右打ちを始め、所謂ムダ球(第2大入賞口35に入ることのない遊技球)を多数生じさせてしまうおそれがある。これに対して本形態では、小当たり遊技のオープニング中に右打ち報知を行うため、そのような構成よりもムダ球の発生を抑えることが可能となっている。
ステップS5004において「16R時短小当たりB」でないと判定した場合には、各当たりの種別に応じて予め定められている通常の特別遊技演出の演出パターンを選択して(S5006)、ステップS5007に進む。ステップS5007では演出制御用マイコン91は、ステップS5005又はステップS5006にて選択した演出パターン、或いは後述する特1V非通過小当たり演出選択処理(S5003)にて選択した演出パターンにて、特別遊技演出を開始するための特別遊技演出開始コマンドを、RAM94の出力バッファにセットする。
ステップS5007でセットされた特別遊技演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、所定の特別遊技演出画像をROM103から読み出して、画像表示装置7の表示画面7aに表示する。
[特1V非通過小当たり演出選択処理]図44に示す特1V非通過小当たり演出選択処理(S5003)は、16R時短小当たりA(特1V非通過小当たり)の当選に基づく小当たり遊技中に、小当たり時先読み保留演出を行うか否かを選択する処理である。小当たり時先読み保留演出とは、特1V非通過小当たりの当選時における先読み判定結果(第1始動入賞コマンドの解析結果)に基づいて、通常演出保留画像700とは異なる特別演出保留画像(図52参照)を表示する演出である。
図44に示すように、演出制御用マイコン91はまず、特図1保留演出カウンタのカウンタ値が「1」以上であるか否かを判定する(S5101)。即ち、第1特図保留が1つ以上発生しているか否かを判定する。第1特図保留が1つも発生していなければ(S5101でNO)、小当たり時先読み保留演出を実行しないため、通常の小当たり演出パターンを選択して(S5113)、処理を終える。
ここで通常の小当たり演出パターンが選択されたときに実行される特別遊技演出では、図50(b)に示すように、キャラクタの画像6Aが表示画面7aに表示され、そのキャラクタが所定の動作を行う画像(図示省略)が表示される。これにより、特1V非通過小当たりの当選に基づく小当たり遊技中の時間を消費することとしている。但し、キャラクタが所定の動作を行う画像が表示されるだけでは、遊技者が比較的多く発生する特1V非通過小当たりの当選に基づく小当たり遊技中の演出に飽きるおそれがある。そのため本形態では、以下に示すように小当たり時先読み保留演出が実行され得るようにしている。
ステップS5101において第1特図保留が1つ以上発生していれば(S5101でYES)、次に演出制御用マイコン91は、変化シナリオデータ(図39のステップS4609参照)又は小当たり保留表示データのいずれかがセットされているか否かを判定する(S5102)。いずれかがセットされていれば(S5102でYES)、既に入賞時先読み保留演出又は小当たり時先読み保留演出の実行中であるため、通常の小当たり演出パターンを選択して(S5113)、処理を終える。一方、変化シナリオデータ又は小当たり保留表示データのいずれもセットされていなければ(S5102でNO)、ステップS5103に進む。
ステップS5103では、演出制御用マイコン91は、現在発生している全ての第1特図保留について、発生したのが新しい第1特図保留から順番に、後述するステップS5104以降の処理を実行したか否かを判定する。例えば、第1特図保留が4つ発生している状態においては先ず、RAM94の第1特図保留演出記憶部95aの第4記憶領域に格納されている第1始動入賞コマンドに基づいてステップS5105でNOと判定されるか、図48(b)に示す小当たり時保留変化乱数テーブルの判定に基づいてステップS5107でNOと判定されると、ステップS5103に戻ることになる。次に、第1特図保留演出記憶部95aの第3記憶領域に格納されている第1始動入賞コマンドに基づいてステップS5105でNOと判定されるか、図48(b)に示す小当たり時保留変化乱数テーブルの判定に基づいてステップS5107でNOと判定されると、ステップS5103に戻ることになる。
続いて、第1特図保留演出記憶部95aの第2記憶領域に格納されている第1始動入賞コマンドに基づいてステップS5105でNOと判定されるか、図48(b)に示す小当たり時保留変化乱数テーブルの判定に基づいてステップS5107でNOと判定されると、ステップS5103に戻ることになる。最後に、第1特図保留演出記憶部95aの第1記憶領域に格納されている第1始動入賞コマンドに基づいてステップS5105でNOと判定されるか、図48(b)に示す小当たり時保留変化乱数テーブルの判定に基づいてステップS5107でNOと判定されると、ステップS5103に戻ることになる。このときステップS5103でYESと判定されて、通常の小当たり演出パターンを選択することになる(S5113)。一方、上述したように4回ループする中で1回でもステップS5105及びS5107で共にYESと判定されると、ステップS5103に戻ることなくステップS5108に進むことになる。
要するにステップS5103〜S5107の処理では、演出制御用マイコン91が、現在発生している第1特図保留のうち、新しく発生した第1特図保留から順番に小当たり時先読み保留演出を実行するか否かを判定していて、実行すると判定したら(S5107でYES)、ステップS5108に進むことになる。一方、発生している第1特図保留の全てで小当たり時先読み保留演出を実行しないと判定したら(S5103でYES)、通常の小当たり演出パターンを選択することになる(S5113)。なお本形態では上述したように、発生している全ての第1特図保留について、発生したのが新しい第1特図保留から順番にステップS5104以降の処理を実行するようにしたが、発生したのが古い第1特図保留から順番にステップS5104以降の処理を実行するようにしても良く、処理の順番は適宜変更可能である。
ステップS5103以降の説明に戻る。ステップS5103でNOと判定されると、順番に処理を行うこととなる記憶領域に格納されている第1始動入賞コマンドを解析する(S5104)。既に述べたように、第1始動入賞コマンドにより、その第1始動入賞コマンドに係る数値情報が大当たりと判定される数値情報か否かや、SPリーチを行うと判定される数値情報であるか否か等がわかる。続いて演出制御用マイコン91は、ステップS5104で解析した第1始動入賞コマンドがSPリーチを示すコマンドであるか否かを判定する(S5105)。
なお本形態では、数値情報に基づいて第1始動入賞コマンドを特定する遊技制御用マイコン81と、特定された第1始動入賞コマンドを解析することでその第1始動入賞コマンドに係る数値情報が大当たりとなるか否かを判定する演出制御用マイコン91とによって、「小当たり遊技の実行時に、第1始動入賞コマンドに基づいて、数値情報記憶手段(第1特図保留記憶部85a)に記憶されている数値情報(乱数値)の中に特別の数値情報(大当たりと判定される乱数値)があるか否かを判定する小当たり実行時判定手段」が構成されている。なお、遊技制御用マイコン81が大当たりと判定されるか否かの情報を含む第1始動入賞コマンドを生成しているという点に鑑みれば、実質的には遊技制御用マイコン81のみにより小当たり実行時判定手段が構成されているともいえる。
そして、第1始動入賞コマンドがSPリーチの実行を示すものでなければ(S5105でNO)、ステップS5103に戻る。一方、第1始動入賞コマンドがSPリーチの実行を示すものであれば(S5105でYES)、小当たり時保留変化乱数を取得する(S5106)。すなわち、小当たり時保留変化乱数に係る乱数カウンタが示す乱数値を、第1特図保留演出記憶部95aにおけるステップS5104で解析した第1始動入賞コマンドが記憶されている記憶領域の小当たり時保留変化乱数記憶領域(図7(d)参照)に記憶する。
続いて演出制御用マイコン91は、ステップS5106で取得した小当たり時保留変化乱数を、図48(b)に示す小当たり時保留変化乱数テーブルを用いて判定する(S5107)。この判定により、小当たり時先読み保留演出(小当たり時保留予告演出)を実行するか否かを決定する。ステップS5107の判定においては、ステップS5104での第1始動入賞コマンドの解析結果が大当たりか否かに応じて、異なる小当たり時保留変化乱数テーブル(図48(b)参照)を用いることとしている。
即ち図48(b)に示すように、第1始動入賞コマンドの解析結果が大当たりである場合に用いる小当たり時保留変化乱数テーブルでは、10%の確率で特別演出保留画像への保留変化が生じないように設定されていて、第1始動入賞コマンドの解析結果がSPリーチハズレである場合に用いる小当たり時保留変化乱数テーブルでは、30%の確率で特別演出保留画像への保留変化が生じないように設定されている。これにより、大当たりである場合の方が、SPリーチハズレである場合よりも小当たり時先読み保留演出が実行され易くなるようにしている。
ここで本形態における小当たり時先読み保留演出では、上述した入賞時先読み演出と同様に、第1演出保留表示エリア710の各表示領域710a,710b,710c,710dにて、緑保留画像(第1特別態様の演出保留画像)700a、赤保留画像(第2特別態様の演出保留画像)700b、虹保留画像(第3特別態様の演出保留画像)700cが表示され得るようになっている。そして緑色→赤色→虹色の順に大当たり当選に対する期待度(信頼度)が高くなるように各画像の選択比率が設定されている(図48(b)参照)。
また本形態では図48(a)と図48(b)との比較から分かるように、解析結果が大当たりである場合には、小当たり時保留変化乱テーブルの方が、虹保留画像700cが表示される振分率が高くなっている一方、緑保留画像700aが表示される振分率が低くなっている。また解析結果がSPリーチハズレである場合には、小当たり時保留変化テーブルの方が、緑保留画像700aが表示される振分率が高くなっている一方、虹保留画像700cが表示される振分率が低くなっている。従って、小当たり時先読み保留演出の方が、入賞時先読み保留演出よりも、特別演出保留画像に基づく大当たり当選であることへの信頼度が高く(正確に)なっている。即ち遊技者にとっては、小当たり時先読み保留演出が実行される方が、入賞時先読み演出が実行されるよりも、大当たり当選に対する期待度をより正確に把握することが可能である。
なお、小当たり時先読み保留演出と入賞時先読み保留演出とにおいて、特別演出保留画像に基づく大当たり当選に対する信頼度が同じになるように、小当たり時保留変化乱数テーブルと入賞時保留変化乱数テーブルとを設定しても良い。又は、小当たり時先読み保留演出の方が、入賞時先読み保留演出よりも、特別演出保留画像に基づく大当たり当選に対する信頼度が低くなるように、小当たり時保留変化乱数テーブルと入賞時保留変化乱数テーブルとを設定しても良い。
こうしてステップS5107で小当たり時先読み演出を実行しないと判定されると(S5107でNO)、ステップS5103に戻る。一方、小当たり時先読み保留演出を実行すると判定されれば(S5107でYES)、小当たり保留表示データとして、「02H」、「03H」、又は「04H」をRAMの所定の記憶領域にセットする(S5108)。そして演出制御用マイコン91は、ステップS5104で解析した第1始動入賞コマンドが格納されている第1特図保留演出記憶部95aにおける記憶領域の場所と、セットされている小当たり保留表示データに基づいて、どの通常演出保留画像700をどのような特別演出保留画像へ表示変化(保留変化)させるのかの内容を示す特図保留演出制御コマンドを生成する(S5109)。続いて、この特図保留演出制御コマンドをRAM94の所定の出力バッファにセットする(S5110)。
ステップS5110でセットされた特図保留演出制御コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、所定の演出画像をROM103から読み出して、小当たり遊技中に画像表示装置7の表示画面7aにて通常演出保留画像700から特別演出保留画像への表示制御を行う。この表示制御の詳細については後述する。
次いで、演出制御用マイコン91は、小当たり時先読み保留演出の実行回数をカウントする先読み保留演出カウンタに、ステップS5104で解析した第1始動入賞コマンドが格納されている第1特図保留演出記憶部95aにおける記憶領域が示す値(例えば第4記憶領域であれば「4」)をセットする(S5111)。そして小当たり時先読み保留演出を伴う小当たり演出パターンを選択して(S5112)、本処理を終える。
ここで小当たり時先読み保留演出を伴う小当たり演出パターンが選択されたときに実行される特別遊技演出では、図52(b)に示すように、キャラクタの画像6Aが表示画面7aに表示され、そのキャラクタが手に持つカードを捲り上げる動作の画像(図示省略)が表示される。そして、図52(c)に示すように、捲り上げられたカードには「変化」の文字が表示されていて、そのカードを手に持つキャラクタの画像6Bが表示されることとなる。そしてキャラクタの画像6Bが表示されるのに伴って、通常演出保留画像700から特別演出保留画像への表示変化が行われることとなる。
なお、サブ制御基板90は、小当たり保留表示データを画像制御基板100に送信することとし、その小当たり保留表示データに従った演出保留画像の表示制御を、画像制御基板100に実行させても良い。この場合、ステップS5104で解析した第1始動入賞コマンドが格納されている第1特図保留演出記憶部95aにおける記憶領域の場所の情報を、サブ制御基板90から画像制御基板100に送るようにし、その情報を受信した画像制御基板100が、小当たり保留表示データに従って特別演出保留画像を表示するようにすれば良い。
[特図保留演出制御処理]演出制御用マイコン91は、図36に示すように、受信コマンド解析処理(S4301)に次いで特図保留演出制御処理(S4302)を行う。特図保留演出制御処理(S4302)ではまず、演出制御用マイコン91は、第1特図保留発生フラグ、第2特図保留発生フラグ、第1特図保留消滅フラグ、又は第2特図保留消滅フラグのいずれかがONされているか否かを判定する(S6001)。これらのフラグのいずれかがONされていることは、第1特図保留の数(U1)や第2特図保留の数(U2)の変化に基づく演出保留画像の表示の変更のタイミングであることを意味する。
演出制御用マイコン91は、上記のいずれのフラグもONされていない場合には(S6001でNO)、処理を終了する。一方、上記のいずれかのフラグがONされている場合には(S6001でYES)、フラグの内容を確認する(S6002)。すなわち、第1特図保留発生フラグ、第2特図保留発生フラグ、第1特図保留消滅フラグ、又は第2特図保留消滅フラグのいずれがONされているかを確認する。これにより、変化する特図保留は第1特図保留なのか第2特図保留なのかを確認するとともに、特図保留の数が増加するのか減少するのかを確認する。
続いて演出制御用マイコン91は、第1特図保留演出カウンタのカウンタ値及び第2特図保留演出カウンタのカウンタ値を確認する(S6003)。これにより、特図保留の数の変化によって、特図保留の数がいくつになるのかを確認する。
さらに演出制御用マイコン91は、変化シナリオデータがセットされているか否かを判定する(S6004)。セットされていないければ(S6004でNO)、次に小当たり保留表示データがセットされているかを判定する(S6006)。こうして変化シナリオデータ及び小当たり保留表示データが共にセットされていないければ(S6004及びS6006で共にNO)、ステップS6008に進む。一方、変化シナリオデータがセットされていれば(S6004でYES)、セットされている変化シナリオデータ及び先読み保留演出カウンタのカウンタ値を確認して(S6005)、表示すべき態様に応じた特図保留表示態様データを保留表示態様データ(図7(d)参照)に上書きする。
また小当たり保留表示データがセットされていれば(S6006でYES)、セットされている小当たり保留表示データ及び先読み保留演出カウンタのカウンタ値を確認して(S6006)、表示すべき態様に応じた特図保留表示態様データを保留表示態様データ(図7(d)参照)に上書きする。なおステップS6006及びS6007の処理を実行しない代わりに、以下のように処理しても良い。即ち、上述した特1V非通過小当たり演出選択処理(S5003、図44参照)におけるステップS5108の処理で、セットする小当たり保留表示データに基づいて、ステップS5104で解析した第1始動入賞コマンドが格納されている記憶領域の保留表示態様データに、表示すべき態様に応じた特図保留表示態様データを上書きしても良い。
続いてステップS6008では、演出制御用マイコン91は、ステップS6002で確認したフラグの内容、ステップS6003で確認した第1特図保留演出カウンタ及び第2特図保留演出カウンタのカウンタ値、並びに、ステップS6005で確認した変化シナリオデータ及び先読み保留演出カウンタのカウンタ値、又はステップS6007で確認した小当たり保留表示データ及び先読み保留演出カウンタ値(つまり保留表示態様データ記憶領域に上書きされた特図保留表示態様データ)に基づいて、演出保留画像の表示制御の内容を示す特図保留演出制御コマンドを生成する(S6008)。そして、この特図保留演出制御コマンドをRAM94の出力バッファにセットする(S6009)。
ステップS6009でセットされた特図保留演出制御コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、所定の演出画像をROM103から読み出して、画像表示装置7の表示画面7aにて、第1特図保留の数(U1)や第2特図保留の数(U2)が変化するときに演出保留画像の表示制御を行う。この表示制御の詳細については後述する。
続いて演出制御用マイコン91は、先読み保留演出カウンタのカウンタ値が「0」であるか否かを判定する(S6010)。先読み保留演出カウンタのカウンタ値が「0」でない場合には(S6010でNO)、そのままステップS6013に進む。これに対して、先読み保留演出カウンタのカウンタ値が「0」である場合には(S6010でYES)、変化シナリオに基づく特別演出保留画像の表示、又は小当たり保留表示データに基づく特別演出保留画像の表示を終了するタイミングであるため、変化シナリオデータ及び最終態様データをクリアするとともに(S6011)、小当たり保留表示データをクリアする(S6012)。ステップS6013では、ステップS6002で確認したフラグをOFFする。そして本処理を終える。
なお、サブ制御基板90は、変化シナリオデータを画像制御基板100に送信することとし、その変化シナリオデータに従った演出保留画像の詳細な表示制御を、画像制御基板100に実行させても良い。この場合、特図保留の増減に関する情報をサブ制御基板90から画像制御基板100に送るようにし、特図保留の増減に関する情報を受信した画像制御基板100が、変化シナリオデータに従った演出保留画像を表示するようにすれば良い。
8.演出保留画像の表示制御
次に演出保留画像の表示制御について詳細に説明する。本形態では、図52に示す小当たり時先読み保留演出に特徴があるが、小当たり時先読み保留演出を説明する前に、図51に示す入賞時先読み保留演出について説明しておく。
(8−1.入賞時先読み保留演出)
ここで前提条件として、第1特別図柄の変動表示(変動演出)が開始されている状態で第1特図保留の数が「3」であり、これらについて既に入賞時先読み保留演出(変化シナリオデータのセット)及び小当たり時先読み保留演出(小当たり保留表示データのセット)が実行されていないとする。また第2特図保留が無く、以後第2始動口21に遊技球が入賞しないこととする。
この前提条件から、第1始動口20に遊技球が入賞すると、主制御基板80は第1始動入賞コマンドを特定してサブ制御基板90に送信する(S213,S214,S101)。この第1始動入賞コマンドを受信したサブ制御基板90は、第1特図保留演出カウンタのカウンタ値を「3」から「4」に更新するとともに(S4505)、第1特図保留発生フラグをONにする(S4506)。ここで主制御基板80により特定された第1始動入賞コマンドが「E1H41H」(15R通常大当たり+SPリーチ、図13参照)であったとする。なお第1始動入賞コマンドの下位コマンドの上の桁が「4」であることは、特図保留の数が「4」であることを示している。
そして、サブ制御基板90による先読み演出判定処理(図39参照)において、上述した第1始動口20への入賞に係る演出保留画像の最終態様として、「虹保留画像700c、最終態様データは04H、図48(a)参照)」が選択され(S4606)、演出保留画像の変化シナリオとして変化シナリオデータ「42H(図49参照)」が選択されたとする(S4608)。この場合には、演出保留画像の変化シナリオデータとして「42H」がセットされ(S4609)、先読み保留演出カウンタに入賞時先読み保留演出の実行回数として「4」がセットされる(S4610)。
なお変化シナリオデータ「42H」は、4個目の特図保留として緑保留画像700aを表示し、3個目の特図保留にシフトしたときにも緑保留画像700aを表示し、2個目の特図保留にシフトしたときに赤保留画像700cを表示し、1個目の特図保留にシフトしたときに虹保留画像700cを表示するシナリオデータである(図49参照)。
こうしてサブ制御基板90は、特図保留演出制御処理(S4302)において、変化シナリオデータ「42」及び先読み保留演出カウンタのカウンタ値「4」に基づいて、特図保留演出制御コマンドを生成する(S6005,S6008)。そしてこの特図保留演出制御コマンドが画像制御基板100に出力されることにより(S4006)、図51(a)に示すように、第1演出保留表示エリア710の第4表示領域710dに、緑保留画像700aが表示されることとなる。
続いて、第1特別図柄の変動表示が終わると、第1特別図柄のうち最先の記憶に基づいて次の第1特別図柄の変動表示が実行される。このとき、特図1変動開始コマンドを受信したサブ制御基板90は、保留減算処理(S4406)において、第1特図保留演出カウンタのカウンタ値を「4」から「3」に更新するとともに(S4803)、第1特図保留消滅フラグをONにし(S4804)、さらに先読み保留演出カウンタのカウンタ値を「4」から「3」に更新する(S4809)。
そしてサブ制御基板90は、特図保留演出制御処理(S4302)において、変化シナリオデータ「42H」及び先読み保留演出カウンタのカウンタ値「3」に基づいて、特図保留演出制御コマンドを生成する(S6005,S6008)。そしてこの特図保留演出制御コマンドが画像制御基板100に出力されることにより(S4006)、図51(b)に示すように、第1演出保留表示エリア710の第3表示領域710cに、緑保留画像700aが表示されることとなる。
以後、第1始動口20への新たな入賞がなければ、第1特別図柄の変動表示(変動演出)が開始される度に、上述したような処理が実行される。つまり、第1演出保留表示エリア710の第3表示領域710cに表示されている緑保留画像700aが、第2表示領域710bにシフト表示される際には、図51(c)に示すように、第2表示領域710bに赤保留画像700bが表示されることとなる。また、第2表示領域710bに表示されている赤保留画像700bが第1表示領域710aにシフト表示される際には、図51(d)に示すように、第1表示領域710aに虹保留画像700cが表示されることとなる。
そして、虹保留画像700cに対応する第1特図保留に基づく第1特別図柄の変動表示が開始されると、特図1変動開始コマンドを受信したサブ制御基板90は、保留減算処理(S4406)において、第1特図保留演出カウンタのカウンタ値を「1」から「0」に更新するとともに(S4803)、第1特図保留消滅フラグをONにし(S4804)、さらに先読み保留演出カウンタのカウンタ値を「1」から「0」に更新する(S4809)。
このとき、本形態では当該変動用演出保留表示エリアが設けられていないため、当該変動に対応する演出保留画像が表示されることがない。しかしながら変形例として当該変動用演出保留表示エリアを設けて、サブ制御基板90が変化シナリオデータ及び第1特図保留演出カウンタのカウンタ値「0」に基づいて、虹保留画像700c等の特別演出保留画像を表示するための特図保留演出制御コマンド生成するようにしても良い(S6008)。こうして先読み保留演出カウンタのカウンタ値が「0」になった後、変化シナリオデータがクリアされる(S6011)。またこのときに最終態様データもクリアされる。なお、他の変化シナリオが選択された場合についての詳しい説明は省略する。上記の処理によって、図49に示すような演出保留表示の変化がなされるに過ぎないからである。
(8−2.小当たり時先読み保留演出)
次に本形態の特徴である小当たり時先読み保留演出について説明する。前提条件として、図52(a)に示すように、第1特別図柄の変動表示(変動演出)が開始されている状態で第1特図保留の数が「4」であり、これらについて既に入賞時先読み保留演出(変化シナリオデータのセット)及び小当たり時先読み保留演出(小当たり保留表示データのセット)が実行されていないとする。また第2特図保留が無く、以後第2始動口21に遊技球が入賞しないこととする。
この前提条件から、図52(b)に示すように、第1特別図柄(演出図柄)が停止表示されて、16R時短小当たりA(特1V非通過小当たり)に当選したこととする(S1107,S1109)。これにより、主制御基板80はオープニングコマンドをサブ制御基板90に送信する(S1612,S101)。このオープニングコマンドを受信したサブ制御基板90は、特別遊技演出選択処理(S4410)において、オープニングコマンドの解析に基づいて(S5001)、特1V非通過小当たり演出選択処理(S5003)を実行する。
そしてサブ制御基板90は、特1V非通過小当たり演出選択処理(S5003)において、ステップS5103に進むと、4つの第1特図保留のうち新しく発生した第1特図保留から順番に、ステップS5104以降の処理を実行する。即ち、先ず第1特図保留演出記憶部95aの第4記憶領域に格納されている第1始動入賞コマンドを解析する(S5104)。ここで、第4記憶領域に格納されている第1始動入賞コマンドが「E1H42H」(4R時短大当たり+SPリーチ、図13参照)であったとする。そのため、サブ制御基板90は、その第1始動入賞コマンドがSPリーチの実行を示すものであると判定する(S5105でYES)。
そして、図48(b)に示す小当たり時保留変化乱数テーブルの判定に基づいて、小当たり保留表示データとして、「04H(虹保留画像700cを表示するためのデータ、図48(b)参照)」が選択されたとする(S5107)。この場合には、小当たり保留表示データとして「04H」がセットされる(S5108)。こうして小当たり保留表示データ「04H」、及び解析した第1始動入賞コマンドが格納されている第1特図保留演出記憶部95aの第4記憶領域の場所に基づいて、第4表示領域710dに表示されている通常演出保留画像700を虹保留画像700cに表示変化させる特図保留演出制御コマンドが生成される(S5109)。また、先読み保留演出カウンタに小当たり時先読み保留演出の実行回数として「4」がセットされる(S5111)。
こうして小当たり時先読み保留演出を伴う小当たり演出パターンが選択され(S5112)、特別遊技演出(16R時短小当たりAの当選に基づく小当たり遊技のオープニング)が開始される。これにより、図52(b)に示す状態から図52(c)に示すように、キャラクタがカードを捲り上げて、「変化」の文字が表示されたカードを持つキャラクタの画像6Bが表示される。そして、上述したステップS5110で生成された特図保留演出制御コマンドが画像制御基板100に出力されているため(S4006)、キャラクタの画像6Bが表示されるのに伴って、第4表示領域710dに表示されている通常演出保留画像700が虹保留画像700cに変化する。このようにして小当たり時先読み保留演出が実行されて、4個目の第1特図保留に基づく抽選で大当たり当選であることへの期待度が高いことを遊技者に把握させることが可能である。
その後、小当たり遊技が終わると、図52(d)に示すように、第1特別図柄のうち最先の記憶に基づいて次の第1特別図柄(演出図柄)の変動表示が実行される。このとき、特図1変動開始コマンドを受信したサブ制御基板90は、保留減算処理(S4406)において、第1特図保留演出カウンタのカウンタ値を「4」から「3」に更新するとともに(S4803)、第1特図保留消滅フラグをONにし(S4804)、さらに先読み保留演出カウンタのカウンタ値を「4」から「3」に更新する(S4811)。
そしてサブ制御基板90は、特図保留演出制御処理(S4302)において、小当たり保留表示データ「04H」及び先読み保留演出カウンタのカウンタ値「3」に基づいて、特図保留演出制御コマンドを生成する(S6007,S6008)。そしてこの特図保留演出制御コマンドが画像制御基板100に出力されることにより(S4006)、図52(d)に示すように、第1演出保留表示エリア710の第3表示領域710cに、虹保留画像700cが表示されることとなる。
以後、第1始動口20への新たな入賞がなければ、第1特別図柄の変動表示(変動演出)が開始される度に、上述したような処理が実行される。つまり図示していないが、第3表示領域710cに表示されている虹保留画像700cは、第1特別図柄の変動表示の開始に伴って、第2表示領域710bにシフト表示される。続いて、第2表示領域710bに表示されている虹保留画像700cは、第1特別図柄の変動表示の開始に伴って、第1表示領域710aにシフト表示される。つまり、第3表示領域710cから第1表示領域710aまで虹保留画像700cが変化しないままシフト表示されることとなる。
そして、虹保留画像700cに対応する第1特図保留に基づく第1特別図柄の変動表示が開始されると、特図1変動開始コマンドを受信したサブ制御基板90は、保留減算処理(S4406)において、第1特図保留演出カウンタのカウンタ値を「1」から「0」に更新するとともに(S4803)、第1特図保留消滅フラグをONにし(S4804)、さらに先読み保留演出カウンタのカウンタ値を「1」から「0」に更新する(S4811)。こうして先読み保留演出カウンタのカウンタ値が「0」になった後、小当たり保留表示データがクリアされる(S6012)。なお、他の小当たり保留表示データが選択された場合については、通常演出保留画像700から特別演出保留画像へ表示変化する表示領域の場所と、特別演出保留画像の表示色が異なること以外は同様であるため、詳しい説明は省略する。
9.本形態の効果
以上詳細に説明したように本形態のパチンコ遊技機1によれば、特図1の抽選で比較的頻繁に小当たりに当選し、当選した小当たりの種別では、ほとんど(99%の確率で)特定領域39を通過させることができない特1V非通過小当たり(16R時短小当たりA)となる。そのため遊技者が、特図1の抽選に基づいて比較的頻繁に生じる小当たり遊技に煩わしさを感じ、小当たり遊技中を無駄な遊技停止期間と感じるおそれがある。そこで本形態では、特1V非通過小当たりに当選した場合には、発生している第1特図保留に基づいて、小当たり遊技中に図52に示すように、小当たり時先読み演出が実行され得る。つまり、小当たり遊技の実行時に通常演出保留画像700から、大当たり当選への期待度を示唆する特別演出保留画像への表示変化が実行され得る。そのため小当たり遊技中に、小当たり時先読み演出が実行されることを遊技者に期待させることが可能である。よって無駄な遊技停止期間となり易い小当たり遊技中であっても、遊技興趣を向上させることが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、演出制御用マイコン91は、変化シナリオデータが既にセットされている場合や、小当たり保留表示データが既にセットされている場合には小当たり時先読み演出を実行せず、変化シナリオデータ及び小当たり保留表示データのいずれもセットされていないければ小当たり時先読み保留演出を実行し得る。つまり、通常演出保留画像700が変化シナリオデータ又は小当たり保留表示データに基づいて既に特別演出保留画像に変化している場合や、変化シナリオデータに基づいて特別演出保留画像に変化する予定である場合には、小当たり時先読み保留演出が実行されることはない。要するに、第1演出保留表示エリア710の各表示領域710a,710b,710c,710cにおいて、2つ以上の特別演出保留画像が表示されることはない。よって、演出制御用マイコン91による演出保留画像の表示制御が複雑になるのを回避することが可能である。
10.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、上記形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、上記形態と同じ符号を付して説明を省略する。
<第2形態>
図53〜図56に基づいて第2形態について説明する。上記の第1形態では、入賞時先読み保留演出が既に実行(変化シナリオデータがセット)されている場合には、小当たり時先読み保留演出が実行されることがないように構成した。しかしながら第2形態では、入賞時先読み保留演出が実行(変化シナリオデータがセット)されているときでも、小当たり時先読み保留演出が実行され得るように構成されている。以下、図53及び図54に示す特1V非通過小当たり演出選択処理(S5003)において、第1形態と異なる処理を中心に説明する。
[特1V非通過小当たり演出選択処理]図53に示すように、特1V非通過小当たり演出選択処理(S5003)において、ステップS5101で第1特図保留演出カウンタのカウンタ値が1以上であると判定されると(S5101でYES)、小当たり保留表示データがセットされているか否かを判定する(S5114)。小当たり保留表示データが既にセットされていれば(S5114でYES)、小当たり時先読み保留演出を実行しないため、通常の小当たり演出パターンを選択する(S5113)。一方、小当たり保留表示データがセットされていなければ(S5114でNO)、ステップS5103に進む。その後のステップS5113〜S5107までの処理は、上記した第1形態と同様であるため説明を省略する。
ここで、ステップS5107で小当たり時先読み保留演出を実行すると判定されると(S5107でYES)、図54に示すようにステップS5115で変化シナリオデータがセットされているか否かを判定する(S5115)。変化シナリオデータがセットされていなければ(S5115でNO)、上記した第1形態と同様に、小当たり保留表示データをセットして(S5118)、ステップS5109〜S5112の処理を実行する。
一方、変化シナリオデータがセットされていれば(S5115でYES)、即ち入賞時先読み保留演出の実行中であれば、S4606でRAM94の所定の記憶領域に既にセットされている最終態様データ(図48参照、「02H」、「03H」、又は「04H」)を、先読み保留演出カウンタのカウンタ値に対応する記憶領域の保留表示態様データ記憶領域(図7(d)参照)にセットする(S5116)。このステップS5116で最終態様データがセットされることにより、変化シナリオデータに基づく特別演出保留画像への表示変化が途中の段階であっても、最終態様データに基づく特別演出保留画像が表示されることとなる。
ステップS5117の後、セットされている変化シナリオデータをクリアする(S5117)。ここで変化シナリオデータをクリアするのは、最終態様データに基づく特別演出保留画像が表示されることになるため、変化シナリオデータに基づく特別演出保留画像への表示変化を行う必要がないためである。こうして、ステップS5117からステップS5109に進んだ場合には、演出制御用マイコン91は、ステップS5116で最終態様データがセットされた記憶領域の場所と、保留表示態様データ記憶領域にセットされている最終態様データに基づいて、どの表示領域710a〜710dでどのような特別演出保留画像を表示させるのかの内容を示す特図保留演出制御コマンドを生成する(S5109)。その後のステップS5110〜S5112までの処理は、上記した第1形態と同様であるため説明を省略する。
次に第2形態における小当たり時先読み保留演出の特徴について、図55に基づいて説明する。前提条件として、上記した第1形態の入賞時先読み保留演出(図51参照)と同じように、第1特別図柄の変動表示が開始されている状態で第1特図保留の数が「4」になったときに、変化シナリオとして変化シナリオデータ「42H(図49参照)」が選択されたこととする。そのため図55(a)に示すように、第1演出保留表示エリア710の第4表示領域710dに緑保留画像700aが表示される。その後、第1特別図柄の変動表示が終わると、図55(b)に示すように、第1特別図柄のうち最先の記憶に基づいて次の第1特別図柄の変動表示が実行され、第4表示領域710dに表示されていた緑保留画像700aが第3表示領域710cにシフト表示される。
この状況において第1形態においては、変化シナリオデータ「42H」に基づいて、第3表示領域710cに表示されていた緑保留画像700aが第2表示領域710bにシフト表示される際には、第2表示領域710bに赤保留画像700bが表示され、第2表示領域710bに表示されていた赤保留画像700bが第1表示領域710aにシフト表示される際には、第1表示領域710aに虹保留画像700cが表示されることとなっていた(図51参照)。
しかしながら第2形態では、図55(c)に示すように、第1特図保留の数が「3」である状態で、変動表示していた第1特別図柄(演出図柄)が停止表示されて、特1V非通過小当たりに当選したこととする(S1107,S1109)。これによりサブ制御基板90は、図53及び図54に示す特1V非通過小当たり演出選択処理(S5003)において、3つの第1特図保留のうち最も新しく発生した第1特図保留に対応する第1始動入賞コマンドを解析する(S5104)。解析した第1始動入賞コマンドはSPリーチの実行を示すものであると判定され(S5105でYES)、小当たり時先読み保留演出を実行すると判定されたこととする(S5107でYES)。
このときステップS5115では、変化シナリオデータが既にセットされていることによりYESと判定される。そしてステップS5116において、既にセットされている最終態様データ「04H」が、先読み保留演出カウンタのカウンタ値「3」に対応する第3記憶領域の保留表示態様データ記憶領域(図7(d)参照)にセットされる(S5116)。続いて、変化シナリオデータ「42H」がクリアされる(S5117)。続いて、演出制御用マイコン91は、ステップS5116で最終態様データ「04H」がセットされた記憶領域(第3記憶領域)の場所と、保留表示態様データ記憶領域にセットされている最終態様データ「04H」に基づいて、第3表示領域710cで虹保留画像700cを表示させる内容を示す特図保留演出制御コマンドを生成する(S5109)。
こうして生成された特図保留演出制御コマンドが画像制御基板100に送信されることにより(S4006)、図55(d)に示すように小当たり遊技中に、キャラクタの画像6Bが表示されるのに伴って、第3表示領域710cに表示されている緑保留画像700aが虹保留画像700cに表示変化する。その後小当たり遊技が終わって、図55(e)に示すように、第1特別図柄の変動表示が開始されると、第3表示領域710cに表示されていた虹保留画像700cが第2表示領域710bにシフト表示される。そして、変動表示していた第1特別図柄(演出図柄)が停止表示して、図55(f)に示すように、再び第1特別図柄の変動表示が開始されると、第2表示領域710bに表示されていた虹保留画像700cは第1表示領域710aにシフト表示されることとなる。
第2形態のパチンコ遊技機1によれば、入賞時先読み保留演出の実行中であっても(変化シナリオデータがセットされていても)、図55(d)に示すように、小当たり遊技中の小当たり時先読み保留演出により、緑保留画像700aから虹保留画像700cへ表示変化させることが可能である。特にこの場合において、変化シナリオデータに基づいて保留変化の対象となっている表示領域710a〜710dにて、最終態様データに基づく特別演出保留画像を表示させることが可能である。従って、入賞時先読み保留演出による保留変化が途中であった場合に、小当たり時先読み保留演出の実行によって、特別演出保留画像の最終態様を遊技者に把握させることが可能である。つまり、大当たり当選への正確な期待度を遊技者により早く把握させることが可能であり、小当たり時先読み保留演出が実行されることをより期待させることが可能である。第2形態のその他の作用効果は、第1形態と同様であるため説明を省略する。
<第3形態>
図56及び図57に基づいて第3形態の遊技機について説明する。上記の第1形態では、入賞時先読み保留演出で表示される特別演出保留画像700a,700b,700cの種類と、小当たり時先読み保留演出で表示される特別演出保留画像700a,700b,700cの種類とが全く同じであった(図48(a)(b)参照)。しかしながら第3形態の小当たり時先読み保留演出では、入賞時先読み保留演出では表示されることがない特別演出保留画像700d(図57(c)参照)が表示されることがあるように構成されている(図56(b)参照)。
即ち図56(b)に示すように、第3形態の小当たり時保留変化乱数判定テーブルでは、小当たり保留表示データ「05H」が抽選されることが有り得るように設定されている。小当たり保留表示データ「05H」は、点棒の画像700dを表示するためのデータである。ここで、第1形態で説明した緑保留画像700aと赤保留画像700bと虹保留画像700cはそれぞれ表示色が異なるだけであるため、第1特別演出保留画像とし、点棒の画像700dは、第1特別演出保留画像(麻雀牌の画像)とは形態が大きく異なるため、第2特別演出保留画像として区別することができる。なお図56(b)に示すように、点棒の画像700dは、大当たり当選に対する期待度が最も高くなるように、各画像の選択比率が設定されている。
第3形態のパチンコ遊技機1によれば、例えば図57(b)に示す状態から図57(c)に示すように、小当たり遊技中に通常演出保留画像700が、入賞時先読み保留演出では表示されることがない点棒の画像700dへ表示変化し得る。そのため、点棒の画像700dを見た遊技者に驚きを与えることが可能であり、小当たり遊技中に生じる保留変化(小当たり時先読み保留演出)を飽き難くさせることが可能である。第3形態のその他の作用効果は、第1形態と同様であるため説明を省略する。
なお第3形態の小当たり時先読み保留演出において、第2特別演出保留画像700dの他にも、入賞時先読み保留演出では表示されることがない演出保留画像(第2特別演出保留画像)を表示可能にしても良い。更に入賞時先読み保留演出では表示されることがない第2特別演出保留画像のみを表示し得るように構成しても良い。
<その他の変形例>
上記した各形態では、小当たり時先読み保留演出の実行に基づく特別演出保留画像が表示された後、同じ特別演出保留画像がシフト表示されたが、異なる特別演出保留画像がシフト表示されるようにしても良い。この場合には、図49に示す変化シナリオデータのような小当たり保留変化シナリオデータを設けて、ステップS5108では小当たり保留表示データのセットに換えて、小当たり保留変化シナリオデータをセットする。そして、ステップS6006では小当たり保留変化シナリオデータがセットされているか否かを判定する。そしてステップS5109又はS6008で生成する特図保留演出制御コマンドを、小当たり保留変化シナリオデータに基づいて生成するようにする。こうして小当たり時先読み保留演出が実行された後でも、緑保留画像700aから赤保留画像700b、赤保留画像700bから虹保留画像700cのように特別演出保留画像が昇格し得ることを期待させることが可能である。
また上記した各形態では、小当たり保留表示データがセットされているとき(小当たり時先読み保留演出の実行中)には、更に小当たり時先読み保留演出が実行されることがなかったが、更に小当たり時先読み保留演出が実行されるようにしても良い。これにより小当たり時先読み保留演出の実行に基づく特別演出保留画像が表示されていても、更なる小当たり時先読み保留演出の実行を期待させることが可能である。なおこの場合には、第1特図保留演出記憶部95aの各記憶領域(図7(d)参照)のそれぞれに、小当たり保留表示データが記憶される小当たり保留表示データ記憶領域を設ける。そして、既に小当たり保留表示データがセットされている記憶領域に基づく特図保留に関しては、図44のステップS5104〜S5107の処理を実行しないようにする。
また上記した各形態では、変化シナリオデータがセットされているとき(入賞時先読み保留演出の実行中)には、更に入賞時先読み保留演出が実行されることがなかったが、入賞時先読み保留演出が実行されるようにしても良い。これにより入賞時先読み保留演出の実行に基づく特別演出保留画像が表示されていても、更なる入賞時先読み保留演出の実行を期待させることが可能である。なおこの場合には、第1特図保留演出記憶部95aの各記憶領域(図7(d)参照)のそれぞれに、変化シナリオデータが記憶される変化シナリオデータ記憶領域を設ける。そして、既に変化シナリオデータがセットされている記憶領域に基づく特図保留に関しては、図39のステップS4603〜S4606の処理を実行しないようにする。
また上記した第2形態では、入賞時先読み保留演出による保留変化が途中であった場合に、小当たり時先読み保留演出の実行によって、保留変化が途中である特別演出保留画像の最終態様を遊技者が把握できるように構成した。そこで更に、2つ以上の入賞時先読み保留演出による保留変化が途中であった場合には、小当たり時先読み保留演出の実行によって、保留変化が途中である全ての特別演出保留画像の最終態様を遊技者が把握できるように構成しても良い。この場合には、上述したように第1特図保留演出記憶部95aの各記憶領域(図7(d)参照)のそれぞれに、変化シナリオデータが記憶される変化シナリオデータ記憶領域を設けることとなる。
上記した各形態では、小当たり時先読み保留演出を実行するか否かを判断する際に、ステップS5105で第1始動入賞コマンドがSPリーチの実行を示すものか否かを判定した。しかしながら、第1始動入賞コマンドがその他の演出(例えばSPSPリーチや、単なるリーチ)の実行を示すものか否かを判定するようにしても良い。また入賞時先読み保留演出を実行するか否かを判断する際に、ステップS4604で第1始動入賞コマンドがSPリーチの実行を示すものか否かを判定した。しかしながら、第1始動入賞コマンドがその他の演出(例えばSPSPリーチや、単なるリーチ)の実行を示すものか否かを判定するようにしても良い。
また上記した各形態では、特図2の抽選(第2当否判定)の結果は、小当たり当選又は大当たり当選のいずれかであり、ハズレを全く含まない構成であったが、実質的にハズレを含まない構成であっても良い。ここで実質的にハズレを含まない構成とは、ハズレの確率が例えば1/2000以下であるなど、ハズレとなることがほとんどない構成である。又は、特図2の抽選(第2当否判定)の結果は、小当たり当選又は大当たり当選の他に、ハズレを含む構成としても良い。
また上記した各形態では第1特図保留の上限記憶数を「4」としたが、3以下としても良い。また第2特図保留の上限記憶数を「1」としたが、2以上としても良い。例えば、第2特図保留の上限記憶数を「2」とすれば、3回ループのパチンコ遊技機(特図1の抽選にて時短図柄で当選した場合の初当たりを含む大当たりの連チャン回数が最低4回となる遊技機)を構成することができる。また、第2特図保留の上限記憶数を「3」とすれば、4回ループのパチンコ遊技機(特図1の抽選にて時短図柄で当選した場合の初当たりを含む大当たりの連チャン回数が最低5回となる遊技機)を構成することができる。また、第2特図保留の上限記憶数を「4」とすれば、5回ループのパチンコ遊技機(特図1の抽選にて時短図柄で当選した場合の初当たりを含む大当たりの連チャン回数が最低6回となる遊技機)を構成することができる。なお特図2の抽選の結果では、上述したようにハズレを含むように構成して、ループしないパチンコ遊技機として構成しつつ、第2特図保留の上限記憶数を「2」以上にしても良い。
また上記した各形態では、特図2の抽選で小当たりに当選した場合には、第2大入賞口35へ入賞した遊技球はその入賞タイミングに関わらず特定領域39を通過できる開放パターンに設定したが(図46(b),(c)参照)、第2大入賞口35へ入賞した遊技球の入賞タイミングによっては特定領域39を通過しないことがあり得るような開放パターンや、第2大入賞口35に入賞した遊技球が特定領域39を実質的に通過することができない開放パターン(特2非通過開放パターン)に設定されるようにしても良い。この場合には、高ベース状態においてなかなか特定領域39に遊技球を通過させることができなくて、上記した各形態よりも次の大当たりを引き当てられるスピードが遅くなり得るものの、遊技機全体として第2大入賞口35へ入賞した遊技球の特定領域39への通過率(V通過率)が不当に高くなるのを抑制することが可能である。
また上記した各形態では、特図1の抽選で当選した小当たり(16R時短小当たりA)に基づく小当たり遊技中にのみ、小当たり時先読み保留演出が実行され得るように構成した。しかしながら、特図2の抽選で当選した小当たりに基づく小当たり遊技中に、小当たり時先読み保留演出が実行され得るように構成しても良い。この場合、特図2の抽選で当選する小当たりの種別として、特定領域39を実質的に通過することができない開放パターン(特2非通過開放パターン)に設定される小当たり(特2V非通過小当たり)を含み、この特2V非通過小当たりに基づく小当たり遊技中に、小当たり時先読み保留演出が実行され得るように構成すると良い。
また上記した各形態では、特図1の抽選又は特図2の抽選で小当たりに当選し、小当たり遊技中に遊技球が特定領域39を通過すれば大当たり遊技が実行されるパチンコ遊技機(所謂1種2種混合機)として構成した。しかしながら、小当たり遊技中の通過で大当たり遊技の実行の契機となる特定領域がないパチンコ遊技機(所謂1種)として構成しても良い。なお1種のパチンコ遊技機として構成した場合、通常確率状態よりも大当たり当選確率が高い高確率状態への移行の契機となる特定領域があるパチンコ遊技機(V確機)として構成しても良い。また停止される特別図柄の種類に応じて、高確率状態に移行するパチンコ遊技機として構成しても良い。
また上記した各形態では、特図1の抽選で当選した小当たりにおいて、16R時短小当たりA(特1V非通過小当たり)と16R時短小当たりB(特1V通過小当たり)との振分率を、99:1に設定した。しかしながら、遊技機全体として第2大入賞口35へ入賞した遊技球の特定領域39への通過率(V通過率)が1/10を超えない範囲において、例えば90:10のように適宜変更可能である。
また上記した各形態では、第1特別図柄の抽選にて当選し得る小当たりとして、V通過不可能な「16R時短小当たりA」と、V通過可能な「16R時短小当たりB」とを設けたが、V通過不可能な小当たりだけとしてもよい。
また上記した各形態では、大当たり遊技においては第1大入賞口30を開放し、小当たり遊技においては第2大入賞口35を開放するように構成した。これに対して、大当たり遊技の少なくとも一部のラウンドに、第2大入賞口35を開放するラウンドがある構成としてもよい。この場合には、大当たり遊技の実行中のV通過によってさらに大当たり遊技が実行されることがないように構成する。
また上記した各形態では、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得する乱数(数値情報)として、大当たり乱数等の4つの乱数を取得することとしたが、一つの乱数を取得してその乱数に基づいて、大当たり又は小当たりか否か、大当たり又は小当たりの種類、リーチの有無、及び変動パターンの種類を決めるようにしてもよい。すなわち、始動入賞に基づいて取得する乱数の個数および各乱数において何を決定するようにするかは任意に設定可能である。
また上記した各形態では、普図保留の上限記憶数を4個としたが、普図保留のない構成としてもよい。この場合、ゲート28への遊技球の通過検知時に、普通図柄の変動表示の実行中でなく、補助遊技の実行中(電チュー22の作動中)でもなければ、普通図柄乱数を取得するように構成すればよい。
なお、本発明の「第1の判定条件」とは、上記実施形態では、特別図柄の変動中および小当たり遊技の実行中でなく、第2特図保留の数が「0」であり、第1特図保留の数が「0」でないことである。
また、本発明の「第2の判定条件」とは、上記実施形態では、特別図柄の変動中および小当たり遊技の実行中でなく、第2特図保留の数が「0」でないことである。
また、本発明の「所定の終了条件」とは、上記実施形態では、大当たり遊技の実行が開始されること、又は、予め定めた上限実行回数に及ぶ特別図柄の変動表示の実行が終了することである。
また上記した各形態の特徴及び上記した変形例の特徴をそれぞれ組み合わせて実施することは勿論可能である。
なお、この[発明を実施するための形態]における上記までの記載内容には、以下の手段1〜5の発明が示されている。以下に記す手段の説明では、上記までの記載内容における対応する構成名や表現、図面に使用した符号等を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
手段1に係る発明は、
遊技領域に配された入球口(第1始動口20)と、
前記遊技領域(3)に配された特別入賞口(第2大入賞口35)と、前記特別入賞口を開閉する特別入賞口開閉部材(開閉部材37)と、を有する特別入賞手段(第2大入賞装置36)と、
前記入球口への入球に基づいて数値情報(大当たり乱数等の乱数値)を取得する数値情報取得手段(ステップS212を実行する遊技制御用マイコン81)と、
前記数値情報取得手段により取得された数値情報を所定の上限数(4)まで記憶可能な数値情報記憶手段(第1特図保留記憶部85a)と、
予め定めた判定条件が成立すると、前記数値情報記憶手段に記憶された数値情報に基づいて大当たり及び小当たりの当否判定を含む当否判定を行う当否判定手段(ステップS1008を実行する遊技制御用マイコン81)と、
前記当否判定手段による判定結果が小当たり当選である場合に、当選した小当たりの種別に応じて前記特別入賞口開閉部材の開放パターンを設定する小当たり開放パターン設定手段(ステップS1614を実行する遊技制御用マイコン81)と、
前記小当たり開放パターン設定手段により設定された開放パターンにて前記特別入賞口開閉部材を開放する小当たり遊技を実行する小当たり遊技実行手段(ステップS909を実行する遊技制御用マイコン81)と、
前記当否判定手段による判定結果が大当たり当選である場合に、遊技者に有利な大当たり遊技を実行する大当たり遊技実行手段(ステップS908を実行する遊技制御用マイコン81)と、
前記上限数に応じた数の表示領域(710a〜710d)を含む演出保留表示部(第1演出保留表示エリア710)と、
前記演出保留表示部の表示領域の各々にて前記数値情報の記憶順となるように前記数値情報の記憶があることを示す演出保留表示(演出保留画像)を表示可能な演出保留表示手段(ステップS6008,S6009を実行する遊技制御用マイコン81)と、を備える遊技機において、
前記数値情報記憶手段に記憶された前記数値情報に基づいて、その数値情報が特別の数値情報(例えば大当たりと判定される乱数値)であるか否かの情報を含む入賞情報(第1始動入賞コマンド)を、その数値情報の記憶の際に生成する入賞情報生成手段(ステップS213を実行する遊技制御用マイコン81)と、
前記小当たり遊技の実行時に、前記入賞情報生成手段により生成された前記入賞情報に基づいて、前記数値情報記憶手段に記憶されている数値情報の中に前記特別の数値情報があるか否かを判定する小当たり実行時判定手段(ステップS5105を実行する演出制御用マイコン91)と、を備え、
前記演出保留表示手段は、前記小当たり実行時判定手段による判定結果に基づいて、大当たり当選であることへの期待度を示唆する特別の演出保留表示(特別演出保留画像700a,700b,700c)への表示変化を、前記小当たり遊技の実行時に実行可能(ステップS5109,S5110)なものであることを特徴とする遊技機である。
手段1に係る発明によれば、小当たり遊技の実行時に特別の演出保留表示への表示変化が実行されると、遊技者は大当たり当選であることへの期待度を把握することが可能である。そのため、小当たり遊技中に特別の演出保留表示が表示されることを遊技者に期待させることが可能である。よって無駄な遊技停止時間となり易い小当たり遊技中であっても、遊技興趣を向上させることが可能である。
手段2に係る発明は、
手段1に記載の遊技機であって、
前記入賞情報生成手段により生成された前記入賞情報に基づいて、その入賞情報に対応する数値情報が前記特別の数値情報であるか否かを、その入賞情報に対応する数値情報の記憶を示す演出保留表示を表示する前に判定する入賞時判定手段(ステップS4604を実行する演出制御用マイコン91)と、
前記入賞時判定手段による判定結果に基づいて、通常の演出保留表示(通常演出保留画像700)を前記特別の演出保留表示に変化させる保留変化パターン(変化シナリオデータ)を設定可能な保留変化パターン設定手段(S4609を実行する演出制御用マイコン91)と、を備え、
前記演出保留表示手段は、
前記保留変化パターン設定手段により前記保留変化パターンが設定されている場合には(ステップS4602でYES)、前記小当たり遊技の実行時に前記特別の演出保留表示の表示変化を実行しない一方、
前記保留変化パターン設定手段により前記保留変化パターンが設定されていない場合には(ステップS4602でNO)、前記小当たり遊技の実行時に前記特別の演出保留表示への表示変化を実行可能なものであることを特徴とする遊技機である。
手段2に係る発明によれば、演出保留表示手段は、通常の演出保留表示が保留変化パターンに基づいて既に特別の演出保留表示に変化している場合や、特別の演出保留表示に変化する予定である場合には、小当たり遊技の実行時に特別の演出保留表示への表示変化を実行しない。つまり、演出保留表示手段は、保留変化パターンが設定されていない場合にのみ小当たり遊技中に特別の演出保留表示への表示変化を実行し得る。よって、演出保留表示手段による表示制御が複雑になるのを回避することが可能である。
手段3に係る発明は、
手段1又は手段2に記載の遊技機であって、
前記入球口として、第1入球口(第1始動口20)及び第2入球口(第2始動口21)を備え、
前記第2入球口へ遊技球が入球可能な開状態と、前記第2入球口への入球が不可能又は前記開状態よりも困難な閉状態とをとる入球口開閉部材(可動部材23)を備え、
前記特別入賞手段は、前記特別入賞口に入賞した遊技球が通過可能であって、その通過の可否が予め定められたタイミングで切り替えられる特定領域(39)を備え、
前記数値情報取得手段は、前記第1入球口への入球に基づいて前記数値情報を取得する第1数値情報取得手段(ステップS212を実行する遊技制御用マイコン81)と、前記第2入球口への入球に基づいて前記数値情報を取得する第2数値情報取得手段(ステップS206を実行する遊技制御用マイコン81)と、を備え、
前記数値情報記憶手段は、前記第1数値情報取得手段により取得された数値情報を所定の第1上限数(4)まで記憶可能な第1数値情報記憶手段(第1特図保留記憶部85a)と、前記第2数値情報取得手段により取得された数値情報を所定の第2上限数(1)まで記憶可能な第2数値情報記憶手段(第2特図保留記憶部85b)と、を備え、
前記当否判定手段は、前記判定条件として第1の判定条件が成立すると、前記第1数値情報記憶手段に記憶された数値情報に基づいて大当たり及び小当たりの当否判定を含む第1当否判定(ステップS1008)を行い、前記判定条件として第2の判定条件が成立すると、前記第2数値情報記憶手段に記憶された数値情報に基づいて大当たり及び小当たりの当否判定を含む第2当否判定(ステップS1002)を行うものであり、
前記大当たり遊技後の遊技状態を、所定の終了条件が成立するまで、通常遊技状態よりも前記第2入球口へ遊技球が入球し易い特典遊技状態(高ベース状態)に制御可能な遊技状態制御手段(S2102を実行する遊技制御用マイコン81)を備え、
前記大当たり遊技実行手段は、前記当否判定手段による判定結果が大当たり当選である場合、又は前記特定領域へ遊技球が通過した場合に前記大当たり遊技を実行するものであり、
前記小当たり開放パターン設定手段は、前記小当たり遊技における前記特別入賞口開閉部材の開放パターンを、遊技球が前記特別入賞口へ入賞しても前記特定領域を通過することが不可能又は実質的に不可能な第1開放パターン(図46(f)参照)を少なくとも含む開放パターンの中から選択した開放パターンに設定するものであり、
前記第1当否判定にて当選する小当たりの種別には、前記小当たり開放パターン設定手段により設定される開放パターンが前記第1開放パターンに設定される非通過小当たり(図8の16R時短小当たりA)が含まれていて、
前記演出保留表示手段は、前記第1当否判定にて前記非通過小当たりに当選したと判定された場合に、前記特別の演出保留表示を表示可能なものであることを特徴とする遊技機である。
手段3に係る発明によれば、第1入球口への入球に基づく第1当否判定において、非通過小当たりに多く当選する仕様にすれば、遊技機全体として特別入賞口へ入賞した遊技球の特定領域への通過率が不当に高くなるのを抑制することが可能である。しかしながらこの仕様の場合、非通過小当たりに当選したときに、遊技球が特定領域を通過することがないため、小当たり遊技を無駄な遊技と感じ易くなる。そこで、非通過小当たりに当選した場合には、特別の演出保留表示が表示され得るようにすることで、遊技球が特定領域を通過しない小当たり遊技であっても、遊技興趣を向上させることが可能である。
手段4に係る発明は、
手段3に記載の遊技機であって、
前記小当たり開放パターン設定手段は、前記第2当否判定にて小当たり当選と判定された場合には、その小当たり当選に基づく前記小当たり遊技における前記特別入賞口開閉部材の開放パターンを、前記特別入賞口への入賞が可能であって、前記特別入賞口へ入賞した遊技球がその入賞タイミングに拘わらず前記特定領域を通過可能な第2開放パターン(図46(b)参照)に設定するものであることを特徴とする遊技機である。
手段4に係る発明によれば、特典遊技状態では第2入球口への入球が容易となる。そして、第2入球口への入球に基づく第2当否判定において、小当たりに当選した場合には、特別入賞口へ入賞した遊技球はその入賞タイミングに拘わらず特定領域を通過する。つまり、第2当否判定において小当たりに当選すれば、その後すぐに必ず大当たり遊技が実行される。従って、第2入球口への入球に基づく小当たり当選は、大当たり当選と同等の遊技上の意味を持つこととなる。よって、特典遊技状態において従来よりも早いスピードで次の大当たりを引き当てられる従来にない斬新な遊技性を創出することが可能である。
手段5に係る発明は、
手段4に記載の遊技機であって、
前記第2当否判定の結果は、小当たり当選又は大当たり当選のいずれかであり(図10(A)参照)、
前記第2当否判定にて当選する小当たりの種別には、その小当たり当選に基づく小当たり遊技中の前記特定領域への通過を実行契機とする大当たり遊技後の遊技状態が前記特典遊技状態に制御される特典付き小当たりと(図8の16R時短小当たりC)、前記通常遊技状態に制御される特典なし小当たり(図8の16R通常小当たり)とがあることを特徴とする遊技機である。
手段5に係る発明によれば、特典遊技状態では第2入球口への入球が容易となる。そして、第2入球口への入球に基づく第2当否判定の結果は、小当たり当選又は大当たり当選のいずれかであるため、小当たり当選に基づいて特別入賞口に入賞した遊技球が特定領域を通過できれば、第2当否判定がなされることが実質的にほぼ大当たり遊技が実行されることになる。従って、一旦特典遊技状態に制御されれば、第2数値情報記憶手段に記憶された数値情報の全てが特典なし小当たりに振分けられない限り、大当たり遊技の実行という利益を獲得し続けられる(大当たりに当選し続けられる)という新たな遊技性を提供することが可能となる。
ここで、手段5に記載の遊技機において、第2数値情報記憶手段の第2上限数を「1」とするとよい。このようにすれば、特典なし小当たりへの当選を契機とする大当たり遊技が実行されてその後に通常遊技状態に制御された場合でも、その大当たり遊技の実行前の特典遊技状態において第2数値情報記憶手段に記憶された数値情報に基づいて小当たりに当選することが可能である。よって、その小当たり当選に基づく小当たり遊技中に特定領域へ遊技球を通過させれば、再び大当たり遊技を実行させることが可能となる。つまり、一旦、特典遊技状態に制御されればその後2回の大当たり遊技の実行が確定し得る所謂2回ループの遊技機を好適に実現することが可能となる。