しかし、引用文献1の背景技術では、携帯型機器を片手(ワンハンド)で把持して操作しようとすると、オブジェクトがタッチ画面の角付近にあるので、指を無理に曲げたり伸ばしたり、さらには手の持ち位置を変えたりする必要がある。すなわち、従来のこの種の携帯端末は、ワンハンドで把持して操作するのが難しい問題点を有していた。
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、携帯端末及びユーザインターフェース制御プログラムを提供することである。
この発明の他の目的は、ワンハンドでの操作が容易に行える、携帯端末及びユーザインターフェース制御プログラムを提供することである。
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、この発明の理解を助けるために後述する実施形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
この発明の第1の態様は、携帯端末(10)であって、オブジェクト(Ob)を表示可能なタッチ画面(TS)、タッチ画面の端部から当該タッチ画面の内側へスライドする操作が行われたとき、当該操作を特定スライド操作と判断する判断部(S1,S3,S21)、および、判断部による特定スライド操作の判断に応じて、ユーザインターフェース機能に関連付けられたアイコン(FI)を、タッチ画面の当該特定スライド操作においてその後にタッチされうる領域に表示させる、アイコン表示部(S27,S35)を備える。
第1の態様によれば、タッチ画面の端部(以下単に「画面端部」:端部は「縁」,「周縁部」,「外周」,「へり」などともいう)を始点(SP)とする特定スライド操作(図2)に応じて、当該特定スライド操作においてその後にタッチされうる領域にアイコンが表示される(図3(A)−図3(D))ので、ワンハンドでの操作が容易に行える。また、アイコンは、特定スライド操作を行って初めて表示されるので、壁紙などの背景(Wp)の視認性を妨げることも少ない。なお、当該特定スライド操作においてその後にタッチされうる領域とは、たとえば、下記第5の態様における帯(Bn)またはその一部分であってもよい。
第2の態様は、第1の態様に従属し、アイコン表示部はアイコンを特定スライド操作の始点(SP)によって異なる位置に表示させる。
第2の態様によれば、携帯端末の持ち位置(より特定的にはタッチ画面に対する持ち手の親指の位置)によらず、ワンハンドでの操作が容易に行える。
第3の態様は、第1または2の態様に従属し、アイコン表示部はアイコンを特定スライド操作の始点(SP)に対して斜め下に表示させる。
第3の態様によれば、携帯端末を把持した手の親指で、当該親指の付け根(つまり画面角)ないしその周辺を中心として指先を旋回させるように特定スライド操作を行うことによって、アイコンをスムーズに選択できる。
第4の態様は、第3の態様に従属し、アイコン表示部は、複数のアイコンを、特定スライド操作の始点(SP)に対して斜め下に、特定スライド操作の軌跡に交差する線分(L)に沿って表示させる。
なお、ある実施例では、線分は、特定スライド操作の始点(SP)またはその近傍の点を中心とする円周の一部であるが、他の実施例では、円周以外の曲線の一部でも、直線の一部でもよい。
第4の態様によれば、複数のアイコンが特定スライド操作の方向に対して交差(より好ましくは直交)する方向に並ぶので、複数のアイコンから任意の1つを特定スライド操作により容易に選択できる。
第5の態様は、第4の態様に従属し、判断部による特定スライド操作の判断に応じて、当該特定スライド操作の軌跡に沿って線分の長さと同じまたは略同じ幅を有する帯(Bn)をタッチ画面にさらに表示させる、帯表示部(S34)をさらに備える。
第5の態様によれば、帯を表示することで、アイコンを選択するための特定スライド操作を容易に行わせることができる。
なお、ある実施例では、帯は、これを透かして背景が見えるように、半透明表示される。他の実施例では、半透明表示に代えて、網掛け表示でもよく、線画表示でもよい。
第6の態様は、第1ないし5のいずれかの態様に従属し、アイコン表示部は、特定スライド操作の横方向の変位量(dX)に応じて、画面端部の始点周辺を一時隆起させて当該端部の隆起(Pr)からアイコンが排出されたように見せるアニメーションを表示する(S27)。
第6の態様によれば、アニメーションを表示して、あたかもアイコンが画面端部から排出されたように演出することで、心地よい操作感を与えることができる。
第7の態様は、第6の態様に従属し、アイコンが排出されるタイミングは、スライド操作の横方向の変位量(dX)が閾値を越えたタイミング(S29:YES)である。
第7の態様によれば、特定スライド操作でアイコンがあたかも画面端部から引っ張り出されたような感覚を与えることができる。
第8の態様は、第7の態様に従属し、特定スライド操作の現タッチ位置(PTP)を示すマーク(M)をタッチ画面にさらに表示させる、マーク表示部(S25)をさらに備える。
第8の態様によれば、マークを表示して現タッチ位置を明示することで、機能アイコンFIを選択する際に、(また、後述するようにカーソルCrを利用してオブジェクトObを選択する際にも、)誤操作を減らすことができる。
第9の態様は、第8の態様に従属し、マークは、表示サイズおよび透過率の少なくとも一方が周期的に変化する。
第9の態様によれば、マークで背景が見えにくくなることを抑制できる。
第10の態様は、第7ないし9のいずれかの態様に従属し、スピーカ(22)およびバイブレータ(40)の少なくとも1つをさらに備え、アイコンが排出されるタイミングで、スピーカからの音およびバイブレータからの振動の少なくとも一方を発生させる発生部(S33)をさらに備える。
第10の態様によれば、アイコンの排出に合わせて音および/または振動を発生させることで、より心地よい操作感を与えることができる。
第11の態様は、第1ないし10のいずれかの態様に従属し、特定スライド操作の現タッチ位置(PTP)がアイコンの表示領域内に入ったとき、当該アイコンに関連付けられたインターフェース機能を起動させる起動部(S37,S39,S43,S59)をさらに備える。
第12の態様は、第1ないし10のいずれかの態様に従属し、特定スライド操作の現タッチ位置(PTP)がアイコンの表示領域内を通過したとき、当該アイコンに関連付けられたインターフェース機能を起動させる起動部をさらに備える(S37,S39,S43,S59)。
なお、ある実施例では、特定スライド操作によって一定距離指を移動させた場合に、現タッチ位置PTPの軌跡が機能アイコンFIの表示領域と交差していれば、当該機能アイコンFIに関連付けられたインターフェース機能を起動させる。他の実施例では、現タッチ位置PTPの軌跡が機能アイコンFIの表示領域の輪郭線と直交または略直交していれば、当該機能アイコンFIに関連付けられたインターフェース機能を起動させる。
第11または12の態様によれば、特定スライド操作の継続によって、所望のインターフェース機能を起動させることができる。
第13の態様は、第11の態様に従属し、アイコンは、特定スライド操作の現タッチ位置に応じて移動するカーソル(Cr)をタッチ画面にさらに表示させるカーソル機能に関連付けられており、起動部は、特定スライド操作の現タッチ位置がアイコンの表示領域に入ったとき当該カーソル機能を起動させる(S39:YES→S59)。
なお、起動部は、第12の態様に記載したように、特定スライド操作の現タッチ位置がアイコンの表示領域を通過したとき、当該カーソル機能を起動させてもよい。
第13の態様によれば、特定スライド操作によって、インターフェース機能の1つであるカーソル機能を起動させ、そして当該特定スライド操作を継続して(タッチ画面から手
を離すことなく)、カーソルを移動させることができる。
第14の態様は、第13の態様に従属し、オブジェクトはアプリケーション(58)に関連付けられており、起動部によってカーソル機能が起動された場合において、カーソルがオブジェクトの表示領域内に入った状態で特定スライド操作が終了されたとき、当該オブジェクトに関連付けられたアプリケーションを起動させるアプリケーション起動部(S63)をさらに備える。
第14の態様によれば、特定スライド操作によってカーソル機能を起動させ、そして当該特定スライド操作を継続して所望のアプリケーションに対応するオブジェクトまでカーソルを移動させることで、そのアプリケーションを起動させることができる。つまり、単一の特定スライド操作で、アイコン選択によるカーソル機能の起動から、カーソルを利用したオブジェクト選択によるアプリケーションの起動までを行えるので、ワンハンドでの操作がより快適になる。
第15の態様は、第13または14の態様に従属し、カーソルの初期表示位置は、カーソル機能が起動された時点のタッチ位置(OP)であり、その後、カーソルの表示位置は、カーソル機能が起動された時点のタッチ位置(OP)から現タッチ位置(PTP)までの距離に応じて変化する。
第15の態様によれば、カーソルは、当初、カーソル機能が起動された時点のタッチ位置(OP)に表示され、以降、現タッチ位置の変化に応じて移動するので、カーソル機能の起動のためのアイコン選択から、カーソルを利用したオブジェクト選択へと、スムーズに移行できる。
第16の態様は、第15の態様に従属し、カーソルの表示位置は、カーソル機能が起動された時点のタッチ位置(OP)から現タッチ位置(PTP)に向かう方向にある。
第16の態様によれば、カーソルを所望の向きに容易に動かせる。
第17の態様は、第16の態様に従属し、カーソルの移動距離は、カーソル機能が起動された時点のタッチ位置(OP)から現タッチ位置(PTP)までの移動距離よりも大きい。
第17の態様によれば、カーソルを少ない操作量で大きく移動させることができるので、ワンハンドでの操作がより一層快適になる。
第18の態様は、第1の態様に従属し、タッチ画面の水平面に対する傾斜を少なくとも検出するセンサ(38)をさらに備え、アイコン表示部は、センサによって検出される傾斜値が所定範囲内にない場合にはアイコン表示を行わない。
第18の態様によれば、タッチ画面(TS)が水平またはそれに近い状態で起こりやすいアイコン選択の誤操作が回避される。
第19の態様は、ユーザインターフェース制御プログラム(52)であって、オブジェクト(Ob)を表示可能なタッチ画面(TS)を有する携帯端末(10)のプロセッサ(24)を、タッチ画面の端部から当該タッチ画面の内側へスライドする操作が行われたとき、当該操作を特定スライド操作と判断する判断部(S1,S3,S21)、および、判断部による特定スライド操作の判断に応じて、ユーザインターフェース機能に関連付けられたアイコン(FI)を、タッチ画面の当該特定スライド操作においてその後にタッチさ
れうる領域に表示させる、アイコン表示部(S27,S35)として機能させる。
第20の態様は、オブジェクト(Ob)を表示可能なタッチ画面(TS)を有する携帯端末(10)によって行われるユーザインターフェース制御方法であって、タッチ画面の端部から当該タッチ画面の内側へスライドする操作が行われたとき、当該操作を特定スライド操作と判断する判断ステップ(S1,S3,S21)、および、判断ステップによる特定スライド操作の判断に応じて、ユーザインターフェース機能に関連付けられたアイコン(FI)を、タッチ画面の当該特定スライド操作においてその後にタッチされうる領域に表示させる、表示ステップ(S27,S35)を含む。
第19または20の態様によっても、第1の態様と同様に、ワンハンドでの操作が容易に行える。
この発明によれば、ワンハンドでの操作が容易行える、携帯端末及びユーザインターフェース制御プログラムが実現される。
図1には、携帯端末10のハードウエア構成が示される。図1を参照して、この発明の
一実施例である携帯端末10はCPU24を含む。CPU24には、キー入力装置26、タッチパネル32、メインメモリ34、フラッシュメモリ36、方向/傾斜センサ38およびバイブレータ40が接続され、さらに、無線通信回路14を介してアンテナ12が、A/Dコンバータ16を介してマイク18が、D/Aコンバータ20を介してスピーカ22が、そしてドライバ28を介してディスプレイ30が、それぞれ接続される。
アンテナ12は、図示しない基地局からの無線信号を受信する。また、アンテナ12は、無線通信回路14からの無線信号を送信する。無線通信回路14は、アンテナ12で受信された無線信号を復調および復号化し、また、CPU24からの信号を符号化および変調する。マイク18は、音波をアナログの音声信号に変換し、A/Dコンバータ16は、マイク18からの音声信号をディジタルの音声データに変換する。D/Aコンバータ20は、CPU24からの音声データをアナログの音声信号に変換し、スピーカ22は、D/Aコンバータ20からの音声信号を音波に変換する。
キー入力装置26は、ユーザ(使用者)によって操作される各種のキー,ボタン(図示せず)などで構成され、操作に応じた信号(コマンド)をCPU24に入力する。ドライバ28は、CPU24からの信号に応じた画像をディスプレイ30に表示する。タッチパネル32は、ディスプレイ30の表示面30aに設けられ、タッチ点の位置を示す信号(X,Y座標:図2参照)をCPU24に入力する。なお、以下では、タッチパネル32が設けられたディスプレイ30の表示面30aであって、アイコン,ウィジェットなどのオブジェクトを表示可能な画面を「タッチ画面TS」と呼ぶ。
メインメモリ34は、たとえばSDRAMなどで構成され、CPU24に各種の処理を実行させるためのプログラム,データなど(図9参照)を記憶すると共に、CPU24に必要な作業領域を提供する。フラッシュメモリ36は、たとえばNAND型のフラッシュメモリで構成され、プログラムなどの保存領域や画像などのデータの記録領域として利用される。
方向/傾斜センサ38は、ジャイロスコープおよび加速度センサなどで構成され、携帯端末10の方向(たとえば縦持ち/横持ちの区別)および傾斜(たとえばディスプレイ30の表示面30aの水平面に対する傾斜角)などを示すデータをCPU24に入力する。バイブレータ40は、偏心モータなどで構成され、CPU24からの命令に応じて携帯端末10を振動させる。
CPU24は、メインメモリ34に記憶されたプログラム(52〜58)に従って、他のハードウエア(12〜22,26〜40)を利用しつつ、各種の処理を実行する。
以上のように構成された携帯端末10では、たとえば図2に示すようなタッチ画面TSを通して、電話発信を行うための電話アプリケーションや、Webページの閲覧を行うためのブラウザアプリケーションといった、各種のアプリケーションを選択することができる。
詳しくは、タッチ画面TSでは、電話アプリケーションやデータ通信アプリケーションと関連付けられた各種のオブジェクト(アイコンやウィジェット)Obが背景(人物写真などの壁紙)Wp上に配置されており、いずれかのオブジェクトObへのタッチ操作を行うことで、所望のアプリケーションが選択され、電話発信やデータ通信を行うことができる。
電話アプリケーションが選択されると、携帯端末10は、電話発信を行うための表示をディスプレイ30に表示させる。タッチパネル32によって番号入力が行われると、CP
U24は、無線通信回路14を制御して発呼信号を出力する。出力された発呼信号は、アンテナ12を介して出力され、図示しない移動通信網を経て相手の電話機に伝達される。相手の電話機は、着信音などによる呼び出しを開始する。着信を受けた相手が電話機に対して着呼操作を行うと、CPU24は通話処理を開始する。一方、相手からの発呼信号がアンテナ12によって捕捉されると、無線通信回路14は着信をCPU24に通知し、CPU24は、スピーカ22からの着信音やバイブレータ40の振動などによる呼び出しを開始する。キー入力装置26によって着呼操作が行われると、CPU24は通話処理を開始する。
通話処理は、たとえば、次のように行われる。相手から送られてきた受話音声信号は、アンテナ12によって捕捉され、無線通信回路14によって復調および復号化を施された後、D/Aコンバータ20を経てスピーカ22に与えられる。これにより、スピーカ22から受話音声が出力される。一方、マイク18によって取り込まれた送話音声信号は、A/Dコンバータ16を経て無線通信回路14に送られ、無線通信回路14によって符号化および変調を施された後、アンテナ12を通して相手に送信される。相手の電話機でも、送話音声信号の復調および復号化が行われ、送話音声が出力される。
ブラウザアプリケーションが選択されると、携帯端末10は、Webページの閲覧を行うための表示をディスプレイ30に表示させる。詳しくは、タッチパネル32によってアドレス入力操作が行われると、CPU24は、無線通信回路14を制御してネットワーク(図示せず)に接続し、その入力アドレスに対応するWebサーバ(図示せず)からHTML文書を受信する。そして、ドライバ28を制御して、そのHTML文書に基づくWebページをディスプレイ30に表示させる。
以上のように構成された携帯端末10では、特徴的なGUI(Graphical User Interface)によって、ワンハンドに適した操作性(快適な片手操作)が実現される。このGUIでは、図2に示されるような、画面端部(右端部,左端部,上端部または下端部)を始点SPとするスライド操作(これを「特定スライド操作」と呼ぶ)が利用される。
詳しくは、ユーザは、携帯端末10を右手で縦持ちした場合、専ら右手の親指でタッチ画面TSを操作することになるが、そのとき、親指の付け根がタッチ画面TSの右下に位置するので、親指の先端(現タッチ点PTP)の動きは、タッチ画面TSの右端部上の始点SPから(好ましくは親指の付け根を中心とする円周に沿って)左斜め下に向かうのが自然である。
すなわち、携帯端末10を右手で縦持ちした場合の特定スライド操作は、タッチ画面TSの右端部上の始点SPから左斜め下に向かう軌跡を描く。同様に、左手縦持ちの場合の特定スライド操作は、タッチ画面TSの左端部上の始点SPから右斜め下に向かう軌跡を描く。したがって、特定スライド操作を行うにあたって、ユーザは、特殊な持ち方をしたり、指を無理に曲げたり伸ばしたり、把持位置を途中で変えたりする必要性が少ない。
このような特定スライド操作を利用して、所望のアプリケーションを選択する場合のGUI制御は、たとえば図3〜図8のようになる。なお、図3〜図6に示されているのは、右手縦持ちの場合のタッチ画面TSであり、図7に示されているのは左手縦持ちの場合の
タッチ画面TSであり、そして図8に示されているのは、右手横持ちの場合のタッチ画面TSである。また、タッチ画面TSには、たとえば図2に示すような、画面左上隅を原点Oとする(X,Y)座標系が定義されているものとする。
まず図3(A)−図3(B)を参照して、指先がタッチ画面TSの右端部に接触し、接触状態のまま真横または斜め下に動き出す(X方向の変位が検出される)と、CPU24
は、特定スライド操作の開始と判断して、現タッチ点PTPを示すマークMを表示する一方、右端部の始点SP周辺を一時隆起させて当該右端部の隆起Prから機能アイコンFI(後述)が排出されたように見せるアニメーションを開始する。
なお、マークMを表示するにあたっては、壁紙Wpが見えにくくならないように、表示サイズおよび透過率の少なくとも一方を周期的に変化させることが好ましい。
次に、図3(B)−図3(C)を参照して、特定スライド操作のX方向の変位量(dX)が閾値(たとえばタッチ画面TSの横幅の1/10)に達したとき、右端部の隆起Prは最大となり、そして、この右端部の隆起Prから1つ以上(ここでは3個)の機能アイコンFIが排出される。なお、隆起Prから排出される時点では機能アイコンは1個で、これが途中で複数個に分離するような演出を加えてもよい。より好ましくは、機能アイコンFIの飛び出しを強調ないし見易くするために、機能アイコンFIの軌跡を含む半透明の帯Bnを表示してもよい。また、3個の機能アイコンFIは、特定スライド操作の軌跡に交差(たとえば直交)する線分L(たとえば、始点SPを中心とし、タッチ画面TSの対角線の半分程度の半径を有する円周の一部)に沿って配置される。
また、こうして機能アイコンFIが排出されるタイミングで、スピーカ22から「ぽん」といった効果音が出力され、かつバイブレータ40が数分の1秒間振動する。こうして、アニメーション表示と連動して音および振動を発生させることで、機能アイコンFIが排出される実感をユーザに視覚,聴覚および触覚を通して与えることができる。なお、音または振動のいずれか一方だけでも、排出感を増す効果は得られる。
次に、図3(C)−図3(D)を参照して、機能アイコンFIが排出された後、右端部の隆起Prは減衰していき、消滅する。排出された機能アイコンFIは、始点SPに対して所定の位置まで、たとえば親指の付け根を中心とする円周に沿って移動した後、その位置に停止表示される。
したがって、機能アイコンFIは、特定スライド操作においてその後にタッチされうる領域(たとえば帯Bnの表示領域内)に表示される(移動表示され、その後停止表示される)ことになる。または、機能アイコンFIは、当該特定スライド操作の現タッチ点PTPが進むと予測される方向(これを単に「当該特定スライド操作の方向」という場合もある)に表示される、と言い換えてもよい。
次に、図3(D)−図4(A)を参照して、特定スライド操作の現タッチ点PTPがいずれか1つの機能アイコンFIの表示領域内に入ると、CPU24は、その機能アイコンFIが選択されたと判断して、これに関連付けられた機能を起動する。ここでは、タッチ画面TS内の3個の機能アイコンが左上から順に“音声入力”,“カーソル”,“ルーペ”であり、真ん中の“カーソル”アイコンが選択されたとする。
次に、図4(A)−図4(B)を参照して、“カーソル”アイコンの選択に応じてカーソル機能が起動されると、3個の機能アイコンFIは帯Bnと共に消去され、現タッチ点PTPの位置に、マークMと同一または略同一サイズ(ここではマークMよりもやや大きいサイズ)のカーソルCrが出現する。または、選択された以外の機能アイコンFIを帯Bnと共に消去する一方、選択された機能アイコンつまり“カーソル”アイコンを“カーソルCr”に変化させて、これを現タッチ点PTPの位置まで移動させるような演出を行ってもよい。
このように、カーソルCrは当初、マークMと同じ位置に表示されるが、マークMのサイズまたは透過率が周期的に変化するため、両者の識別は可能である。なお、ここで説明
したマークMおよびカーソルCrの表示態様は一例であり、適宜変更されてよい。たとえば、両者の形状や表示色を異ならせれば、識別はより容易になる。
次に、図4(B)−図4(C)を参照して、上記のようなカーソルCrの初期表示位置は、カーソル原点OPとして記憶される。その後、特定スライド操作が継続されて、現タッチ点PTPがカーソル原点OPを離れると、カーソルCrは、カーソル原点OPに対する現タッチ点PTPの位置に応じて移動する。具体的には、カーソルCrは、カーソル原点OPから現タッチ点PTPに向かう直線を一定比率で延長した位置(たとえばカーソル原点OPから現タッチ点PTPまでの距離と、現タッチ点PTPからカーソルCrまでの距離との比率が3:4となるような位置)に配置される。なお、ここで挙げた比率は一例に過ぎず、適宜変更されてよい。
こうしてカーソルCrを、カーソル原点OPから現タッチ点PTPに向かう直線を一定比率で延長した位置に表示することで、タッチ画面TSの上端付近に位置するオブジェクトObも容易に(親指を無理に伸ばしたりしなくても)選択できる。
そして、カーソルCrがいずれか1つのオブジェクトObに当たった状態で、特定スライド操作が終了される(指先がタッチ画面TSから離れる)と、CPU24は、そのオブジェクトObに関連付けられたアプリケーションが選択されたと判断し、このアプリケーションに対応するプログラム(58)を起動する。
したがって、1回の特定スライド操作によって、所望のユーザインターフェース機能(たとえばカーソル機能)を選択し、さらに、その機能を利用してアプリケーションを選択できるので、ワンハンドにより適したGUIが実現される。特に、“カーソル”機能を選択した場合、指先の動きに応じてカーソルCrが大きく移動するので、画面上端付近のオブジェクトObも容易に選択できる。
なお、図示は省略するが、特定スライド操作で選択した機能アイコンFIが“音声入力”アイコンの場合、音声入力機能が起動され、ユーザは、所望のアプリケーション名を音声入力することで、そのアプリケーションを選択できる。また、特定スライド操作で選択した機能アイコンFIが“ルーペ”アイコンの場合には、ルーペ機能が起動されて、たとえば現タッチ点PTPの周辺が拡大表示される。これにより、ユーザは、オブジェクトObが小さくて密集していても、特定スライド操作の継続によりアプリケーションを容易に選択できる。
また、変形例として、アイコンやウィジェットなどのオブジェクトObが表示されている画面に限らずWeb画面上で特定スライド操作を行った場合にも、機能アイコンFIを表示させることができる。例えば、カーソル機能や音声入力機能を利用してブラウザアプリを起動した後、Web画面上に“ルーペ”アイコンを表示させるような制御も可能である。
また、上述の例では、タッチ画面TS内の3個の機能アイコンFIが“音声入力”,“カーソル”,“ルーペ”であったが、これらに限られない。例えば、特定スライド操作で機能アイコンFIを選択することにより、ワンハンドで操作をする際には確認しづらいノーティフィケーションバーを表示させてもよい。また、特定スライド操作を行うことにより、ランチャー画面には通常表示されない機能アイコンFIを表示させて、その機能アイコンFIを選択することにより、ユーザがホーム画面にアイコンを表示させたくない秘密のアプリケーション起動させるといったことも可能である。さらに、特定スライド操作によって表示させる機能アイコンFIをユーザによって設定(変更)可能であってもよい。
また、図5(A),図5(B)に示すように、機能アイコンFIの表示位置は、特定スライド操作の始点SPの位置によって変化する。たとえば、始点SPの位置が上寄りなら、機能アイコンンFIの表示位置も上寄りとなる。他方、始点SPの位置と機能アイコンFIの表示位置との関係は、固定的である(ただし適宜変化させてもよい)。
また、図6に示すように、特定スライド操作に応じて画面端部に生じる隆起Prを、特定スライド操作の方向に応じて変形させてもよい。図示された例では、特定スライド操作が斜め下を向いているので、隆起Prも先端側が下向きに垂れ下がっている。
また、図7に示すように、携帯端末10を左手で縦持ちし、左手の親指でタッチ画面TSの左端部を始点SPとする特定スライド操作が行われた場合にも、左右が入れ替わる点を除き、図3−図6で説明したもと同様のGUI制御が行われる。
また、図8に示すように、携帯端末10を右手で横持ちし、右手の親指でタッチ画面TSの右端部を始点SPとする特定スライド操作が行われた場合にも、図3−図6で説明したもと同様のGUI制御が行われる。ただし、タッチ画面TSの縦横比が変化するので、X方向の変位量と比較される閾値や、始点SPに対する機能アイコンFIの配置等は、縦持ちの場合とは異なるもの(たとえば横方向に伸長したもの)となる。
また、図示は省略するが、携帯端末10を左手で横持ちして特定スライド操作が行われた場合にも、左右が入れ替わる点を除き、上述した右手横持ちの場合と同様のGUI制御が行われる。
以上のようなGUI制御は、たとえば、メインメモリ34に記憶された図9および図10に示す各種のプログラム(52〜58)およびデータ(62〜72)に基づいて、CPU24が図11〜図13に示すフローチャートに従う処理を実行することにより実現される。
図9を参照して、メインメモリ34の構成について説明する。メインメモリ34はプログラム領域50およびデータ領域60を含み、プログラム領域50にはGUI制御プログラム52,タッチ検出プログラム54,アニメーションプログラム56およびアプリケーションプログラム58などが、データ領域60にはタッチ情報62,特定スライド操作情報64,機能アイコン情報66,カーソル情報68,マーク位置70およびオブジェクト情報72などが、それぞれ記憶される。
GUI制御プログラム52は、特定スライド操作を利用したGUI制御(図3〜図8)を行うためのメインのプログラムであり、タッチ検出プログラム54およびアニメーションプログラム56と共働して、データ領域60を参照しつつ図11〜図13のフローに従う処理をCPU24に実行させる。
タッチ検出プログラム54は、GUI制御プログラム52によって利用されるプログラムであり、タッチパネル32の出力に基づくタッチ検出処理(図示せず)をCPU24に実行させる。アニメーションプログラム56は、GUI制御プログラム52によって利用されるプログラムであり、タッチ画面TSの端部からの機能アイコンFIの排出に関するアニメーション処理をCPU24に実行させる。アプリケーションプログラム58は、電話,ブラウザといった各種のアプリケーションに関する処理をCPU24に実行させる。
タッチ情報62は、タッチ検出処理の結果を示す情報であり、タッチ検出プログラム56によって所定の周期で(たとえば1/60秒毎に)更新される。タッチ情報62には、現時点のタッチ状態(たとえば表示面30aに何も接触していない状態か、手などが接触
している状態か),現時点のタッチ座標,タッチの態様(タップかスライドか),およびタッチ軌跡などを示す情報が含まれる。
特定スライド操作情報64は、特定スライド操作の始点SPおよび現タッチ点PTPを示す位置情報であり、特定スライド操作が検出されたときGUI制御プログラム54によって作成され、特定スライド操作の継続中GUI制御プログラム54によって更新される。
なお、この実施例で「特定スライド操作が検出された」とは、「タッチ画面TSの端部から内側へスライドする操作が行われたとき、CPU24が当該操作を特定スライド操作と判断した」ことをいう。
機能アイコン情報66は、機能アイコンFIの表示位置および表示サイズなどを示す情報であり、特定スライド操作情報64に基づき作成される。機能アイコン情報66の具体例が図10に示される。図10の機能アイコン情報66には、“音声入力”,“カーソル”および“ルーペ”の3種類の機能アイコンそれぞれについて、表示位置(たとえば中心座標(x1,y1,),(x2,y2,),(x3,y3,))および表示サイズ(たとえば半径R1,R2,R3)を示す情報が含まれる。
カーソル情報68は、カーソルCrの表示位置および表示サイズなどを示す情報であり、機能アイコンFIの1つである“カーソル”アイコンが選択されたときGUI制御プログラム54によって作成され、特定スライド操作の継続中GUI制御プログラム54によって更新される。マーク情報70は、マークMの表示位置,表示サイズおよび/または透過係数,ならびに表示サイズおよび/または透過係数を変化させる周期などを示す情報であり、特定スライド操作が検出されたときGUI制御プログラム54によって作成され、特定スライド操作の継続中GUI制御プログラム54によって更新される。オブジェクト情報72は、オブジェクトObの表示位置および表示サイズなどを示す情報であり、アプリケーションプログラム58によって作成される。
次に、以上のようなプログラムおよびデータに基づくCPU24の動作を図11〜図13により説明する。図11を参照して、CPU24は、最初、ステップS1で、タッチ画面TSへのタッチがあったか否かをタッチ情報62に基づき判別し、ここでNOであれば、所定の待機時間を経て同様の判別を繰り返す。
ステップS1でYESであれば、ステップS3に進んで、当該タッチが画面端部へのタッチであるか否かをタッチ情報62に基づき判別する。ステップS3でNOであれば、ステップS11に移って、当該タッチの態様および/または位置に応じた処理を実行する。たとえば、当該タッチがオブジェクトObへのタップ操作であればアプリケーションプログラム58を起動し、当該タッチが縦(Y)方向または横(X)方向のスライド操作であれば頁めくりを実行する。その後、ステップS1に戻る。
ステップS3でYESであれば、ステップS5に進み、当該タッチの位置座標を特定スライド操作の始点SPとして記憶する。すなわち、データ領域60に特定スライド操作情報64を作成して、これに画面端部で検出されたタッチ点を特定スライド操作の始点SPとして書き込む。
次に、ステップS7で、携帯端末10(のタッチ画面TS)の傾斜が所定範囲内か否かを方向/傾斜センサ38の出力に基づき判別する。そして、ステップS7でYESであれば、ステップS9に進んで、図3(A)−図3(D)で説明したような機能アイコン制御を実行した後、ステップS1に戻る。ステップS7でNOであれば、誤操作の可能性が高
くなるため、機能アイコン制御を実行することなく、ステップS1に戻る。
上記ステップS9の機能アイコン制御は、図12に示すサブルーチンに従って実行される。CPU24は、最初、ステップS21で、タッチ位置がX方向に変位したか否かをタッチ情報62に基づいて判別する。ステップS21であれば、ステップS23に移り、ユーザがタッチ画面TSから手を離したか否かをタッチ情報62に基づいてさらに判別する。ステップS23でもNOであれば、ステップS21に戻り、所定の待機期間を経て同様の判別を繰り返す。
ステップS23でYESであれば、予想した特定スライド操作が開始されなかったので、上位のフロー(図11)に戻る。
ステップS21でYESあれば、ステップS25に進み、サイズおよび/または透過率が周期的に変化するマークMをタッチ情報62およびマーク情報70に基づきタッチ位置に表示する(図3(A)参照)。次に、ステップS27で、アニメーションプログラム58を呼び出し、図3(A)−図3(C)に示したように画面端部を隆起させて当該隆起Prから機能アイコンFIを排出させるアニメーション処理を開始する。
その後、X方向の変位量が閾値を越えたか否かを次のステップS29で判別し、ここでNOであれば、ユーザがタッチ画面TSから手を離したか否かをステップS31でさらに判別する。ステップS31でもNOであれば、ステップS29に戻り、所定の待機期間を経て同様の判別を繰り返す。
ステップS31でYESであれば、開始した特定スライド操作が継続されなかったので、ステップS47にジャンプしてマークMを消去した後、上位のフロー(図11)に戻る。これに伴い、先にステップS27で開始されたアニメーションは、途中で終了される。
ステップS29でYESあれば、ステップS33に進み、画面端部の隆起Prから機能アイコンFIが排出されるのと同時に、スピーカ22から効果音を、バイブレータ40から振動をそれぞれ発生させる。なお、効果音または振動のいずれか一方だけを発生させてもよい。併せて、機能アイコンFIの排出を強調して見えやすくするための帯Bnを、ステップS34でタッチ画面TSにさらに表示させる。排出された機能アイコンFIは、次のステップS35で、特定スライド情報64に基づき、始点SPに応じた位置に停止表示される(図3(C)−図3(D)参照)。
次に、ステップS37で、タッチ位置(現タッチ点PTP)が“カーソル”以外の機能アイコンFIの表示領域内に入ったか否かを特定スライド操作情報64および機能アイコン情報66に基づいて判別する。ステップS37でNOであれば、ステップS39に移って、タッチ位置が“カーソル”アイコンの表示領域内に入ったか否かをさらに判別する。ステップS39でNOであれば、ステップS41に移って、ユーザがタッチ画面TSから手を離したか否かをタッチ情報62に基づいてさらに判別する。ステップS41でもNOであれば、ステップS37に戻り、所定の待機期間を経て同様の判別を繰り返す。
なお、ステップS39では、タッチ位置が“カーソル”アイコンの表示領域内に入ったか否かを判別する代わりに、タッチ位置が“カーソル”アイコンの表示領域内を通過したか否かを判別してもよい。好ましくは、特定スライド操作によって一定距離指を移動させた場合に、タッチ位置が“カーソル”アイコンの表示領域内を通過したか否か(言い換えると、タッチ軌跡が“カーソル”アイコンの表示領域と交差したか否か:より特定的には、タッチ軌跡が“カーソル”アイコンの表示領域の輪郭線と直交または略直交したか否か)を判断してもよい。
ステップS37でYESであれば、ステップS43に進んで、当該機能アイコンFIに対応する処理(音声入力,ルーペ表示などの処理)を実行する。その後、上位のフロー(図11)に戻って同様の処理を繰り返す。ステップS41でYESであれば、いずれの機能アイコンFIも選択することなく特定スライド操作が終了されたので、ステップS45で機能アイコンFIを消去し、さらにステップS47でマークMを消去した後、上位のフロー(図11)に戻って同様の処理を繰り返す。そして、ステップS39でYESであれば、CPU24の処理は、図13に示すカーソル制御に移行する。
図13を参照して、CPU24は、最初、ステップS51で、ステップS39の判別結果がNOからYESに変化した時点のタッチ位置(つまり図4(A)に示される現タッチ点PTP)をカーソル原点OPとして記憶する(PTP→OP)。次に、ステップS53で、タッチ位置が変化したか否かを判別し、ここでNOであれば、ステップS55に移って、ユーザがタッチ画面TSから手を離したか否かをさらに判別する。ステップS55でもNOであれば、ステップS53に戻り、所定の待機期間を経て同様の判別を繰り返す。
ステップS55でYESであれば、このカーソル制御は終了され、再びGUI制御(図11)が開始される。ステップS53でYESであれば、ステップS57で、カーソル原点OPと現タッチ点PTPとの位置関係に基づきカーソルCrの位置を算出した後、ステップS59で、この算出位置にカーソルCrを表示する。具体的には、カーソル原点OPから現タッチ点PTPに向かう直線を一定比率で延長した位置(たとえばカーソル原点OPから現タッチ点PTPまでの距離と、現タッチ点PTPからカーソルCrまでの距離との比率が3:4となるような位置)をカーソル位置として算出し、この算出位置にカーソルCrを表示する。なお、ここで挙げた算出方法は一例に過ぎず、適宜変更されてよい。
その後、ステップS61に進み、ユーザがいずれかのオブジェクトObの表示領域内でタッチ画面TSから手を離したか否かをオブジェクト情報72およびタッチ情報62に基づいてさらに判別する。ステップS61でNOであれば、ステップS53に戻って上記と同様の処理を繰り返す。ステップS61でYESであれば、ステップS63に進み、当該オブジェクトObに対応するアプリケーションプログラム58を呼び出して、選択されたアプリケーションを起動する。その後、このカーソル制御は終了され、アプリケーションプログラム58に基づくアプリケーション処理が開始される。
以上から明らかなように、この実施例では、携帯端末10は、アイコン,ウィジェットなどのオブジェクトObを表示可能なタッチ画面TSを有する。携帯端末10のCPU24は、タッチ画面TSの端部から当該タッチ画面TSの内側へスライドする操作が行われたとき、当該操作を特定スライド操作と判断し(S1,S3,S21)、特定スライド操作の判断に応じて、ユーザインターフェース機能に関連付けられた機能アイコンFIを、タッチ画面TSの当該特定スライド操作においてその後にタッチされうる領域に表示させる(S27,S35)。
したがって、タッチ画面TSの端部(画面端部)を始点SPとする特定スライド操作(図2)に応じて、当該特定スライド操作においてその後にタッチされうる領域(言い換えると、当該特定スライド操作の現タッチ点PTPが進むと予測される方向:これを単に「当該特定スライド操作の方向」という場合もある)に機能アイコンFIが表示される(図3(A)−図3(D))ので、ワンハンドでの操作が容易に行える。また、機能アイコンFIは、特定スライド操作を行って初めて表示されるので、壁紙Wpなどの背景の視認性を妨げることも少ない。なお、当該特定スライド操作においてその後にタッチされうる領域とは、たとえば、帯(Bn)またはその一部分であってもよい。
また、CPU24は、機能アイコンFIを特定スライド操作の始点SPによって異なる位置に表示させる。これにより、携帯端末10の持ち位置(より特定的にはタッチ画面TSに対する持ち手の親指の位置)によらず、ワンハンドでの操作が容易に行える。
また、CPU24は、機能アイコンFIを特定スライド操作の始点SPに対して斜め下に表示させる。これにより、携帯端末10を把持した手の親指で、当該親指の付け根(つまり画面角)ないしその周辺を中心として特定スライド操作を行うことによって、機能アイコンFIをスムーズに選択できる。
また、CPU24は、複数の機能アイコンFIを、特定スライド操作の始点SPに対して斜め下に、特定スライド操作の軌跡に交差する線分Lに沿って表示させる。なお、この実施例では、線分Lは、特定スライド操作の始点SPまたはその近傍の点を中心とする円周の一部であるが、他の実施例では、円周以外の曲線の一部でも、直線の一部でもよい。これにより、複数の機能アイコンFIが特定スライド操作の方向に対して交差(より好ましくは直交)する方向に並ぶので、複数の機能アイコンFIから任意の1つを特定スライド操作により容易に選択できる。
また、CPU24は、特定スライド操作の検出に応じて、当該特定スライド操作の軌跡に沿って線分Lの長さと同じまたは略同じ幅(ここではやや大きい幅)を有する帯Bnをタッチ画面TSにさらに表示させる(S34)。こうして、帯Bnを表示することで、機能アイコンFIを選択するための特定スライド操作を容易に行わせることができる。なお、この実施例では、帯Bnは、これを透かして背景が見えるように、半透明表示されるが、他の実施例では、半透明表示に代えて、網掛け表示でもよく、線画表示でもよい。
また、CPU24は、特定スライド操作の横方向の変位量dXに応じて、画面端部の始点SP周辺を一時隆起させて当該端部の隆起Prから機能アイコンFIが排出されたように見せるアニメーションをタッチ画面TSにさらに表示させる(S27)。こうしてアニメーションを表示して、あたかも機能アイコンFIが画面端部から排出されたように演出することで、心地よい操作感を与えることができる。なお、上記アニメーションを表示させなくても、特定スライド操作の横方向の変位量dXに応じて、そのまま(直ちに)機能アイコンFIを特定スライド操作の軌跡に交差する線分Lに沿って表示させてもよい。
ここで、機能アイコンFIが排出されるタイミングは、特定スライド操作の横方向の変位量dXが閾値を越えたタイミング(S29:YES)である。これにより、特定スライド操作で機能アイコンがFIあたかも画面端部から引っ張り出されたような感覚を与えることができる。
また、CPU24は、特定スライド操作の現タッチ位置PTPを示すマークMをタッチ画面TSにさらに表示させる(S25)。こうしてマークMを表示して、現タッチ位置PTPを明示することで、機能アイコンFIを選択する際に、またはカーソルCrを利用してオブジェクトObを選択する際に、誤操作を減らすことができる。
好ましくは、マークMは、表示サイズおよび透過率の少なくとも一方が周期的に変化する。これにより、マークMで背景が見えにくくなることを抑制できる。
また、携帯端末10は、スピーカ22およびバイブレータ40をさらに備え、CPU24は、機能アイコンFIが排出されるタイミングで、スピーカ22からの効果音およびバイブレータ40からの振動を発生させる(S33)。こうして、機能アイコンFIの排出に合わせて効果音および振動を発生させることで、より心地よい操作感を与えることができる。なお、効果音または振動の一方だけを発生させても、操作時の心地よさは向上する
。
また、CPU24は、特定スライド操作の現タッチ位置PTPが機能アイコンFIの表示領域内に入ったとき、当該機能アイコンFIに関連付けられたインターフェース機能を起動させる(S37,S39,S43,S59)。または、特定スライド操作の現タッチ位置PTPが機能アイコンFIの表示領域内を通過したとき、当該機能アイコンFIに関連付けられたインターフェース機能を起動させてもよい。したがって、特定スライド操作の継続によって、所望のインターフェース機能を起動させることができる。
たとえば、1つの機能アイコンFIは、特定スライド操作の現タッチ位置PTPに応じて移動するカーソルCrをタッチ画面TSにさらに表示させるカーソル機能に関連付けられており、CPU24は、特定スライド操作の現タッチ位置PTPがこの機能アイコンFIの表示領域に入ったとき当該カーソル機能を起動させる(S39:YES→S59)。
したがって、特定スライド操作によって、インターフェース機能の1つであるカーソル機能を起動させ、そして当該特定スライド操作を継続して(タッチ画面TSから手を離すことなく)、カーソルCrを移動させることができる。
また、タッチ画面TSに表示されたオブジェクトはアプリケーションプログラム58に関連付けられており、上記のようにしてカーソル機能が起動された場合において、CPU24は、カーソルCrがオブジェクトObの表示領域内に入った状態で特定スライド操作が終了されたとき、当該オブジェクトObに関連付けられたアプリケーションプログラム58を起動させる(S63)。したがって、特定スライド操作によってカーソル機能を起動させ、そして当該特定スライド操作を継続して所望のアプリケーションに対応するオブジェクトObまでカーソルCrを移動させることで、そのアプリケーションを起動させることができる。つまり、単一の特定スライド操作で、機能アイコン選択によるカーソル機能の起動から、カーソルCrを利用したオブジェクト選択によるアプリケーションの起動までを行えるので、ワンハンドでの操作がより快適になる。
ここで、カーソルCrの初期表示位置は、カーソル機能が起動された時点のタッチ位置(つまりカーソル原点OP)であり、その後、カーソルCrの表示位置は、カーソル原点OPから現タッチ位置PTPまでの距離に応じて変化する。このように、カーソルCrは、当初、カーソル機能が起動された時点のタッチ位置であるカーソル原点OPに表示され、以降、現タッチ位置PTPの変化に応じて移動するので、カーソル機能の起動のための機能アイコン選択から、カーソルCrを利用したオブジェクト選択へと、スムーズに移行できる。
また、カーソルCrの表示位置は、カーソル原点OPから現タッチ位置PTPに向かう方向にある。したがって、カーソルCrを所望の向きに容易に動かせる。そして特に、カーソルCrの移動距離は、カーソル原点OPから現タッチ位置PTPまでの移動距離よりも大きい。したがって、カーソルCrを少ない操作量で大きく移動させることができるので、ワンハンドでの操作がより一層快適になる。
また、携帯端末10は、方向/傾斜センサ38をさらに備え、CPU24は、方向/傾斜センサ30からの傾斜に関する出力値(たとえばタッチ画面TSの水平面に対する傾斜角)が所定範囲内にない場合にはアイコン表示を行わない。これにより、タッチ画面TSが水平またはそれに近い状態で起こりやすいアイコン選択の誤操作が回避される。
以上では、携帯端末10について説明したが、この発明は、アイコン,ウィジェットなどのオブジェクトを表示可能なタッチ画面(ディスプレイの表示面にタッチパネル,タッチスクリーンなどのタッチデバイスを設けたもの)を有する携帯端末(たとえばスマート
フォン,タブレットPC,各種の情報端末)、ならびに、このような携帯端末のプロセッサ(CPU)によって実行されるユーザインターフェース制御プログラムに適用できる。