JP6172691B2 - 鉄欠乏症候群と鉄欠乏性貧血の治療と予防のための鉄(iii)錯体化合物 - Google Patents

鉄欠乏症候群と鉄欠乏性貧血の治療と予防のための鉄(iii)錯体化合物 Download PDF

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Description

本発明は、医薬品、特に鉄欠乏症候群と鉄欠乏性貧血の治療及び/又は予防のための医薬品として使用される、鉄(III)−2−オキソ−ブタンジアミド錯体化合物と、これを含有する薬学的組成物に関する。
鉄は、ほとんど全ての組織に必要な微量元素であり、特に、血液の生成と増殖に関係する。鉄代謝のバランスは、主に、老廃した赤血球のヘモグロビンからの鉄の回収レベルと、十二指腸の食物に含まれる鉄の吸収に基づき調節される。遊離鉄は、腸を介して、特に特定の輸送システム(DMT−1、フェロポルチン、トランスフェリン、トランスフェリンリセプター)を介して取り込まれ、血液循環に入り、器官や組織に運ばれる。
人体において、鉄元素は、酸素の輸送、酸素の取り込み、ミトコンドリアの電子輸送等の細胞機能にとって、最終的にはエネルギー代謝全体にとって、非常に重要である。
人体は、平均して4〜5gの鉄を含み、鉄は、酵素、ヘモグロビン及びミオグロビンに存在し、フェリチン及びヘモジデリンの形で貯蔵又は保存される。
約半分、約2gの鉄は、赤血球のヘモグロビンに結合するヘム鉄として存在する。赤血球の寿命は限られている(75〜150日)ので、常に新しい赤血球は生成され、古い赤血球は排除されなくてはならない(1秒当り200万を超える赤血球が生成されている)。この高い再生能力は、マクロファージが老廃した赤血球を食べ、溶解し、このようにして得られた鉄をリサイクルし、鉄が代謝することにより、達成される。赤血球生成のために1日約25mg必要とされる鉄の大部分は、このようにして供給される。
成人が1日に必要とする鉄は、0.5〜1.5mgであり、子供や妊娠中の女性は、1日に2〜5mg必要とする。皮膚や上皮細胞の落屑等で失われる1日の鉄は少なく、大きな鉄の消失は、例えば女性の月経の出血である。2mlの血液が失われると約1mgの鉄が失われるので、一般に出血は鉄レベルを大きく低下させる。健康な成人では、通常の1日約1mgの鉄の消失は、日々の食物の摂取により普通補われる。鉄レベルは、吸収により調節される。食物にある鉄の吸収率は、6〜12%であり、鉄が欠乏している場合は、25%まで上昇する。組織が、鉄の必要性と鉄の蓄積の程度に応じて、吸収率を調節する。この過程において、ヒトの組織は、2価と3価の鉄を利用する。通常、鉄(III)化合物は、強い酸のpHで胃に溶け、吸収可能となる。小腸上部で粘膜細胞により、鉄は吸収される。この過程で、3価の非ヘム鉄は、腸細胞膜で、例えば鉄還元酵素(膜結合十二指腸サイトクロームb)により、最初に還元されて、Fe(II)となり吸収され、次いで、輸送タンパクDMT1(2価金属輸送体1)により、腸細胞の中に輸送できるようになる。これに対し、ヘム鉄は、変化することなく、細胞膜を通って赤血球に入る。赤血球で、鉄は、貯蔵鉄としてフェリチンに蓄えられるか、又は輸送タンパクフェロポルチンにより血液中に放出される。ヘプシジンは、鉄取り込みの最も重要な調節因子であるため、この過程の中心的役割を果たす。フェロポルチンにより血液に輸送された2価の鉄は、酸化酵素(セルロプラスミン、ヘファエスチン)により3価の鉄に変換される。トランスフェリンが、3価の鉄を、組織の関連部位に輸送する(「Balancing acts:molecular control of mammalian iron metabolism」M.W.Hentze,Cell 117,2004,285-297等、参照)。
哺乳類の組織は、能動的に鉄を放出できない。鉄の代謝は、ヘプシジンにより、マクロファージ、肝細胞、腸細胞から、鉄の細胞からの遊離を介して、実質的にコントロールされている。
病的な場合は、血清中の鉄レベルが減少すると、ヘモグロビンレベルが減少し、赤血球の生成が低下し、貧血となる。
貧血の外的症状は、疲労、蒼白、集中力低下等である。貧血の臨床的症状としては、赤血球数の減少、網状赤血球数の減少、溶性トランスフェリンリセプターの増加に加え、血清鉄レベルの低下(低鉄血症)、ヘモグロビンレベルの低下、ヘマトクリットレベルの低下等が挙げられる。
鉄欠乏症候群と鉄性貧血は、鉄を供給することにより治療する。この場合、鉄の供給は、経口又は静注のいずれかで行う。さらに、赤血球の生成を促進するために、エリスロポエチン及び他の赤血球生成刺激物質も、貧血の治療に使用できる。
貧血は、しばしば、栄養不良、低鉄食事又は鉄の少ないバランスの悪い食習慣に起因する。さらに、貧血は、例えばクローン病等の胃腸疾患により、鉄の吸収が低下したり弱かったりすることによっても引き起こされる。また、鉄欠乏は、怪我、重い月経出血、献血等の多量の失血の結果としても生じ得る。さらに、妊婦の他、若者や子供の成長期には、鉄の必要性が高まることが知られている。鉄の欠乏は、赤血球生成の低下を引き起こすだけでなく、それにより組織への酸素供給が不十分となり、上述した疲労、蒼白、集中力欠如等の症状の原因となり、特に若者では、認知発達に長期間悪い影響を及ぼす。従って、効果的で耐容性良好な治療に特に関心がもたれている。
本発明の鉄(III)錯体化合物の使用により、鉄欠乏症候群と鉄欠乏性貧血を、従来の薬剤であるFeSO等のFe(II)鉄塩の酸化的ストレスによる副作用が生じる恐れが少ない状態で、経口投与で効果的に治療できる可能性がある。服薬順守できないことが、しばしば鉄欠乏疾患を十分に治療できない理由であるが、本発明によれば服薬順守し得る。
先行技術として、鉄欠乏症性疾患を治療するための幾つかの鉄錯体が知られている。
これら錯体の大部分がポリマー構造体である。これら錯体化合物のほとんどは鉄ポリサッカライド錯体化合物である(WO20081455586,WO2007062546,WO20040437865,US2003236224,EP150085)。この分野から市販されている医薬品がある(Maltofer,Venofer,Ferinject,Dexferrum,Ferumoxytol等)。
ポリマー錯体化合物グループの他の大きな種類は、鉄−ペプチド錯体化合物である(CN101481404,EP939083,JP02083400)。
また、文献に記載されているFe錯体化合物もある。これらは、ヘモグロビン、クロロフィル、クルクミン、ヘパリン等のマクロ分子由来の構造を有する(US474670,CN1687089,Biometals,2009,22,701-710)。
さらに、低分子Fe錯体化合物も文献に記載されている。これらFe錯体化合物の非常に多くは、カルボン酸とアミノ酸をリガンドとして有する。これら化合物のうち、リガンドとして、アスパラテート(US2009035385)とシトレート(EP308362)が注目されている。リガンドとしてフェニルアラニン誘導体基を有するFe錯体化合物も記載されている(ES2044777)。
さらに、糖ユニットモノマー、又はモノマーユニットとポリマーユニットの組み合わせから構成されるFe錯体化合物が記載されている(FR19671016)。
US2005/0192315は、キノリン化合物を含む薬学的組成物を開示する。これは、2−(ヒドロキシメチレン)−プロパンジアミン、従ってプロパンジアミン構造要素を有する。従って、これは、2−オキソ−ブタンジアミン構造要素は含まない。
ヒドロキシピロン及びヒドロキシピリドンFe錯体化合物も文献に記載されている(EP159194,EP138420,EP107458)。これと関連して、対応する5員環系、ヒドロキリフラノンFe錯体化合物、もまた記載されている(WO2006037449)。
さらに、鉄欠乏性貧血に治療に使用できる、リガンドとしてピリミジン−2−オール−1−オキサイドを有するFe錯体化合物も文献に記載されている(WO2012130882)。WO2012163938は、鉄欠乏性貧血に治療にも使用できる、鉄(III)−2,4−ジオキソ−1−カルボニル錯体化合物を開示している。
さらに、WO2011117225は、鉄欠乏性疾患の治療のために、β−ケトアミドリガンドを有するFe錯体を提案している。この出願は、2−オキソ−ブタンジアミドリガンドを有するFe(III)錯体化合物を示していない。また、β−ケトアミドリガンドを有するFe錯体は、特にその水溶性と鉄の利用性に改善の必要がある。
その他、鉄塩(例えば、硫化鉄(II)、フマル酸鉄(II)、塩化鉄(III)、アスパラギン酸鉄(II)、コハク酸鉄(II))は、鉄欠乏症候群と鉄欠乏性貧血の治療のための、重要な物質である。
これらの鉄塩は、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、痙攣の形態で不適合が多く(〜50%)生じる点で非常に問題である。さらに、これら鉄(II)塩の使用中に、活性酸素種(ROS)の生成(とりわけフェントン反応)を触媒する遊離鉄(II)イオンが、生じる。ROSは、細胞、組織、器官に広範囲な作用を及ぼす、DNA、脂質、タンパク、カルボヒドレートに損傷を引き起こす。このような複雑な問題は知られていて、文献では、強い不適合性の大きな原因と考えられ、酸化ストレスと称されている。
本発明の目的は、良好な、効力、鉄利用性、錯体の安定性と溶解性を有する、特に中性の水性媒体のpHで良好な安定性と溶解性を有する、新規な治療効果のある化合物を提供することである。水性溶媒は、鉄欠乏症候群と鉄欠乏性貧血の経口処置のための治療に使用される。特に、良好な安定性と溶解性は、効果的な経口鉄治療のために、非常に重要である。
さらに、これら鉄錯体は、特に従来の使用されているFe(II)塩と比べて、副作用が少なく毒性も低いことが望まれた。また、これら鉄錯体は、既知のポリマー鉄錯体化合物と対照的に、決められた構造(化学量論)を有し、簡単な合成方法で製造できることが望まれた。この目的は、新規なFe(III)錯体化合物の開発により達成される。
さらに、この新規な鉄錯体は、膜を通って腸細胞に直接取り込まれ、従って、錯体に結合している鉄は、錯体のままで、直接フェリチンやトランスフェリンに放出されるか血流に達するよう設計されることが望まれた。このような特性により、新規な錯体は、遊離鉄イオンが高濃度に生じないと考えられる。遊離鉄イオンは、副作用の原因となるROSの生成につながる。
上記の要求を満たすため、本発明者らは、大きすぎない分子量、中程度の脂溶性、良好な効力と鉄利用性、高い水溶性、及び最適なpH依存性錯体安定性を有する、新規なFe(III)錯体化合物を開発した。
新規な錯体の開発において、経口用途のために溶解性は非常に重要な基準であるため、安定性の改善(特に中性水性媒体における)は、溶解性を犠牲にして達成すべきではない。このような組み合わさった目的は、本発明の錯体により達成される。本発明の錯体は、中性pHの水性媒体で安定性が良く、同時に、水で非常に溶解性が高い、従って、本発明の鉄錯体化合物は、非常に速い治療効果が可能となる。
本発明者らは、驚くべきことに、新規な、2−オキソ−ブタンジアミドリガンドを有するFe(III)錯体化合物が、上記の要求を満たすのに特に適していることを見い出した。このようなFe錯体化合物は高い鉄の吸収を示し、鉄欠乏性貧血の治療において速やかな効果が得られた。特に、鉄塩と比較すると、本発明の錯体化合物は、速く多く利用される。さらにこの新規な系は、顕著な遊離鉄イオンの生成が無いため、従来使用されている鉄塩よりも、副作用が大きく低減する。本発明の錯体化合物は、遊離ラジカルが形成されないため、ほとんど酸化ストレスがない。従って、本発明の錯体化合物は、先行技術により知られているFe塩よりも、副作用がかなり少ない。本発明の錯体化合物は、中性さらには酸性pH領域においても安定性が良く、これは経口投与で特に好ましい。錯体化合物は良好に調製でき、製剤、特に経口投与に最適である。
本発明は、鉄(III)−2−オキソ−ブタンジアミド錯体化合物又はその塩であり、特に、医薬として使用するための薬学的に許容可能な塩である。従って、また、本発明は、ヒト又は動物の治療に用いるための、鉄(III)−2−オキソ−ブタンジアミド錯体化合物又はその薬学的に許容可能な塩である。
本発明の鉄(III)−2−オキソ−ブタンジアミド錯体化合物は、例えば、少なくとも1つの式(I)で表されるリガンドを含む化合物又は薬学的に許容可能な塩である。
Figure 0006172691
式中、矢印は、それぞれ、鉄原子と結合する配位結合を示し、
とRは、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素及び置換されてもよいアルキルからなる群から選択されるか、又はRとRは、窒素原子と共に、結合して置換されてもよい3員環から6員環を形成し、この環はさらに1つのヘテロ原子を含んでいてもよい、
とRは、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素及び置換されてもよいアルキルからなる群から選択されるか、又はRとRは、窒素原子と共に、結合して置換されてもよい3員環から6員環を形成し、この環はさらに1つのヘテロ原子を含んでいてもよい。
特に好ましいのは、少なくとも1つの式(I)で表されるリガンドを含む鉄(III)−2−オキソ−ブタンジアミド錯体化合物である。
Figure 0006172691
式中、矢印は、それぞれ、1つの又は異なる鉄原子と結合する配位結合を示し、
とRは、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル及びt−ブチルからなる群から選択され、前記アルキル基は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル(HNCO−)、モノアルキルアミノカルボニル及びジアルキルアミノカルボニルからなる群から選択される置換基で置換されてもよい、又は
とRは、窒素原子と共に、結合して置換されてもよい5員環から6員環を形成し、この環はさらに1つのヘテロ原子を含んでいてもよい、
とRは、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、置換されてもよいアルキル及び置換されてもよいシクロアルキルからなる群から選択され、前記アルキル基は、1つ又は2つの炭素原子が酸素で置換されていてもよい、又は
とRは、窒素原子と共に、結合して置換されてもよい3員環から6員環を形成し、この環はさらに1つのヘテロ原子を含んでいてもよい。
さらに好ましいのは、少なくとも1つの式(I)で表されるリガンドを含む鉄(III)−2−オキソ−ブタンジアミド錯体化合物である。
Figure 0006172691
式中、矢印は、それぞれ、1つの又は異なる鉄原子と結合する配位結合を示し、
とRは、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル及びt−ブチルからなる群から選択され、前記アルキル基は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル(HNCO−)、モノアルキルアミノカルボニル及びジアルキルアミノカルボニルからなる群から選択される置換基で置換されてもよい、又は
とRは、窒素原子と共に、結合してピロリジニルを形成し、
とRは、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、アルキル及びシクロアルキルからなる群から選択され、前記アルキルとシクロアルキルは、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル(HNCO−)、モノアルキルアミノカルボニル及びジアルキルアミノカルボニルからなる群から選択される置換基で置換されてもよい、又は
とRは、窒素原子と共に結合して、置換されてもよいモルホリニル又はピロリジニルを形成し、この環はヒドロキシで置換されていてもよい。
さらに特に好ましいのは、少なくとも1つの式(I)で表されるリガンドを含む鉄(III)−2−オキソ−ブタンジアミド錯体化合物である。
Figure 0006172691
式中、矢印は、それぞれ、1つの又は異なる鉄原子と結合する配位結合を示し、
とRは、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル及びイソブチルからなる群から選択され、
とRは、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素及び置換されてもよいアルキルからなる群から選択されるか、又は
とRは、窒素原子と共に、結合して置換されてもよい3員環から6員環を形成し、この環はさらに1つのヘテロ原子を含んでいてもよい。
特に好ましいのは、少なくとも1つの式(I)で表されるリガンドを含む鉄(III)錯体化合物である。
Figure 0006172691
式中、矢印は、それぞれ、1つの又は異なる鉄原子と結合する配位結合を示し、
とRは、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素及びメチルからなる群から選択され、
とRは、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素及び置換されてもよいアルキルからなる群から選択される。
特に好ましいのは、式(II)で表される鉄(III)錯体化合物である。
Figure 0006172691
式中、R、R、R、Rは、上記の通りである。
好ましくは、本発明の鉄(III)−2−オキソ−ブタンジアミド錯体化合物の分子量は、1000g/モル未満であり、より好ましくは800g/モル未満である(いずれの場合も構造式から得られる)。
本発明において、置換されてもよいアルキルとして、特にRからRについては、好ましくは、炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル、炭素数3〜6、好ましくは炭素数5又は6のシクロアルキル、又はシクロアルキルで置換された炭素数1〜4のアルキルが例示される。これらの例で、アルキル基は置換されていてもよい。
上記のアルキル基は、各々、好ましくは、1〜3の置換基で置換されていてもよい。より好ましくは置換されない。
好ましくは、アルキルの置換基は、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル(HNCO−)、モノアルキルアミノカルボニル及びジアルキルアミノカルボニルからなる群から選択され、特にこれらは以下に定義されるものである。前記アルコキシ、アルコキシカルボニル、モノアルキルアミノカルボニル及びジアルキルアミノカルボニルのアルキル基については、上記及び下記のアルキルの定義を参照できる。
アルキルの置換基は、好ましくは、ヒドロキシ及び置換されてもよいアルコキシからなる群から選択され、特にこれらは以下に定義されるものである。
上記のアルキル基は、1以上の炭素原子が、さらに酸素で置換されてもよい。これは、アルキル基において、1以上のメチレン基(−CH−)が−O−で置換され得ることを意味する。
炭素数1〜6のアルキル残基の例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、sec−ペンチル基、t−ペンチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基等が挙げられる。炭素数1〜4が好ましい。メチル、エチル、n−プロピル及びn−ブチルが最も好ましい。
3〜6の炭素原子を有するシクロアルキル基として、好ましくは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等が挙げられる。シクロアルキル残基は置換されていてもよく、好ましくはヒドロキシ、メチル又はメトキシ等の1つの置換基で置換される。
また、置換されていてもよいアルキル基として、例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル又はシクロヘキシルメチル等の上記のシクロアルキル基で置換されたアルキル基が挙げられる。
ヒドロキシで置換されたアルキル残基として、例えば、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル等の1〜2のヒドロキシ残基を含む上記のアルキル残基が挙げられる。
置換されていてもよいアルキコキシ(RO−)として、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、及びi−プロピルオキシ基等の鎖状又は分岐アルキコキシ残基(好ましくは4までの炭素原子を含む)が挙げられる。アルキコキシ基は、例えばアルキルについて置換可能な基として挙げた基で、1〜3、好ましくは1の置換基で、置換されていてもよい。
メトキシ及びエトキシが、好ましいアルキコキシである。
アルキコキシカルボニルとして、例えば、上記のカルボニル基が結合したアルキコキシ(構造:RO(C=O)−、式中、Rは上記のアルキルである)が挙げられる。その例として、メトキシカルボニルとエトキシカルボニルが挙げられる。
モノアルキルアミノカルボニル及びジアルキルアミノカルボニルとして、例えば、式HRN−C(=O)−及びRN−C(=O)−(式中、アルキル基(R)は、上記で定義したアルキルである)で表される残基が挙げられる。例として、メチルアミノカルボニル及びジメチルアミノカルボニルが挙げられる。
本発明では、2−オキソ−ブタンジアミド錯体リガンドは、以下の基本構造、及び1以上の水素原子が他の原子や基と置換した全ての化合物を含む。ここで、後述するケト−エノール−互変異性の形成のためには、少なくとも1つの水素原子が、2つの配位するC=O基の間に存在しなければならない。
Figure 0006172691
当業者は、本発明の2−オキソ−ブタンジアミド錯体リガンド、特に式(I)のリガンドが、対応する2−オキソ−ブタンジアミド化合物(III)から得られることを理解する。
Figure 0006172691
これは、以下のように知られるケト−エノール−互変異性である。
Figure 0006172691
メソメリー形A及びCは、分析しても区別できない。本発明では、全ての形態が含まれるが、リガンドはケト形だけ記載する。
リガンドは、対応するエノール形A又はCからプロトンを失い、負の荷電となる。
Figure 0006172691
本発明において、鉄錯体化合物は、常に、以下の局在した共鳴構造式のうちの1つだけが示される。しかし、ケト基に対し1,3位にあるアミド基のアミド酸素原子の電荷密度が低いので、共鳴構造式Cが優勢と考えられる。
Figure 0006172691
上述したように、共鳴構造式A,Cを分析して区別することはできない。ケト基に対し1,2位にある他のアミド基は、分析データによれば、鉄結合モードに含まれていないようである。錯体のIR測定では、アミド基について、遊離リガンドと錯体の間にIRバンドの非常に小さいシフトしか観察されなかった。これは、鉄錯体のカルボニル基の結合関与に反して議論される。
本発明で使用される2−オキソ−ブタンジアミドリガンドは以下に示される。
Figure 0006172691
本発明は、さらに、本発明の鉄(III)錯体化合物の製造方法に関し、2−オキソ−ブタンジアミド(III)と鉄(III)塩(IV)を反応させる。
2−オキソ−ブタンジアミドとして、特に式(III)の化合物が例示される。
Figure 0006172691
式中、R〜Rは上記で定義した通りである。
好適な鉄(III)塩の例として、例えば、塩化鉄(III)、酢酸鉄(III)、硫酸鉄、硝酸鉄(III)及びアセチル酢酸鉄(III)が挙げられ、塩化鉄(III)が好ましい。
好適な方法を以下に示す。
Figure 0006172691
式中、R〜Rは上記で定義した通りである。Xは、塩化物等のハロゲン化物、アセテート等のカルボキシレート、サルフェート、ニトレート、アセチルアセテート等のアニオンである。塩基は、一般的な有機又は無機塩基である。
本発明の方法では、好ましくは、3〜5のリガンド(III)と適当な鉄(III)塩(IV)が、標準的条件で反応して、一般式(II)の対応する錯体を生成する。鉄(III)塩(IV)は、塩化鉄(III)、酢酸鉄(III)、硫酸鉄及びアセチル酢酸鉄(III)が特に好ましい。合成は、錯体形成に最適なpHで実施する。最適pHは、塩基(V)を添加して調整してもよい。この場合、酢酸ナトリウム、トリエチルアミン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウムメタノレート、ナトリウムエタノレート、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、カルシウムメタノレートが特に好ましい。
錯体の作製に必要なリガンド(III)は、市販のものを購入するか、以下の合成方法により製造する。以下の合成ルートはこの目的ため使用できた。
アミド(III)が、一部置換されている場合(Rは水素であり、Rは水素であるか水素ではなく、RとRは水素ではない)、最初のエステル6は、一般式4のシュウ酸エステルと一般式5のジアルキルアセトアミドから、塩基縮合反応により製造する。(R. J. Gobeil et al, Journal of the American Chemical Society, 1945, 67, 511)塩基として、例えば、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミン、ナトリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、ナトリウムアルコシド、カリウム、水素化カリウム、カリウムアミド及びカリウムアルコシド等の多くの縮合塩基が好適である。カリウムt−ブトキシドが好ましい。
Figure 0006172691
アミド(III)を製造するために、エステル6を金属錯体7に変換する。好適な金属は銅であるが、他の遷移金属も好ましい。続いて、金属錯体7を、反応性アミンと反応させて、アミド(III)の金属錯体とする。アミド(III)は、希鉱酸により対応する金属錯体から遊離する(A. Ichiba et al, Journal of the Scientific Research Institute, Tokyo, 1948, 23, 23-29)。銅の場合は、希硫酸が好ましい。アミド(III)が、非常に水溶性であるとき、有機溶媒中の硫化水素でも遊離できる。この場合、メタノールが好ましい。
Figure 0006172691
別の方法では、エステル6を、オルトギ酸アルキルエステルと反応させて、ケタール8とすることができる。(J. Perronnet et al, Journal of Heterocyclic Chemistry, 1980, 17, 727-731)いずれの場合も、その後、アミンと反応させて、対応するジアミド錯体とする。ジアミド錯体は、水性酸性処理で加水分解してアミド(III)となる。(W. Kantlehner et al, Liebigs Annalen der Chemie, 1980, 9, 1448-1454)
Figure 0006172691
どのような置換でもよいアミド(III)(Rは水素であるか水素ではなく、Rは水素であるか水素ではなく、Rは水素であるか水素ではなく、Rは水素であるか水素ではない)を製造する別の方法として、(2Z)−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)アセチルクロライドから合成を開始する。ここで、塩酸10はアミンと反応して、アセトニド11となる。次の工程で、アセトニド11は開環してアミド(III)となる。(J. Banville et al, Tetrahedron Letters, 2010, 51, 3170-3173)
Figure 0006172691
最終工程の収率を高くするために、アセトニド11は最初に金属錯体7a(Rは水素であるか水素ではなく、Rは水素であるか水素ではない)と反応させてもよい。好適な金属は銅であるが、他の遷移金属も好ましい。続いて、金属錯体7aを、アミンと反応させて、アミド(III)の金属錯体とする。アミド(III)は、希鉱酸により対応する金属錯体から遊離する(A. Ichiba et al, Journal of the Scientific Research Institute, Tokyo, 1948, 23, 23-29)。銅の場合は、希硫酸が好ましい。アミド(III)が、非常に水溶性であるとき、有機溶媒中の硫化水素でも遊離できる。この場合、メタノールが好ましい。
Figure 0006172691
全て置換されている場合(R、R、R及びRは水素ではない)、合成は単純に従来の縮合反応となる。ここでは、市販のアルキルN,N−ジアルキルオキサメート9とジアルキルアセトアミド5を、適当な縮合塩基とともに直接反応させて、アミド(III)を得る。塩基として、例えば、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミン、ナトリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、ナトリウムアルコシド、カリウム、水素化カリウム、カリウムアミド及びカリウムアルコシド等の多くの縮合塩基が好適である。カリウムt−ブトキシドが好ましい。
Figure 0006172691
ここで、残基RからRは、上記で定義した通りである。
正の荷電を有する鉄(III)錯体である、本発明の化合物の薬学的に許容できる塩として、例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、塩化物、臭化物、沃化物、リン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホネート、ヒドロキシエタンスルホネート、グリシン酸塩、マレイン酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、トルエンスルホネート、ベンセンスルホネート、トリフルオロアセテート、ナフタレンジスルホネート−1,5、サリチル酸塩、ベンゾエート、乳酸塩、リンゴ酸塩、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸−2の塩、クエン酸塩、酢酸塩等の適当なアニオンとの塩が挙げられる。
負の荷電を有する鉄(III)錯体である、本発明の化合物の薬学的に許容できる塩として、例えば、NaOH,KOH,Ca(OH),Mg(OH)等の水酸化アルカリ又は水酸アルカリ土類金属、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルグルカミン、シセシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルフォリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミン、N−メチルピペリジン、2−アミノ−2−メチル−プロパノール−(1)、2−アミノ−2−メチル−プロパンジオール−(1,3)、2−アミノ−2−ヒドロキシ−メチル−プロパンジオール−(1,3)(TRIS)等のアミン化合物等の適当な薬学的に許容できる塩基との塩が挙げられる。
本発明の化合物の、水に対する溶解性又は生理食塩水に対する溶解性、従って場合によっては効き目は、一般に塩の形成、特に対イオンの選択により、大きく影響を受ける。
好ましくは、本発明の化合物は、中性の錯体化合物を形成する。
[薬学的効果]
驚くべきことに、本発明者らは、鉄(III)2−オキソ−ブタンジアミド錯体化合物が、安定した生物学的に利用可能な鉄錯体であり、鉄欠乏症候群、鉄欠乏性貧血及びこれらを伴う疾患の治療と予防のための薬剤として好適であることを見い出した。鉄(III)2−オキソ−ブタンジアミドは本発明の主題であり、特に一般式(II)で表される。
本発明の化合物を含有する薬剤は、ヒトでの使用に適し、獣医医薬でもある。
また、本発明の化合物は、鉄欠乏性貧血の症状がある患者を治療するための薬剤の製造に適する。鉄欠乏性貧血の症状としては、例えば、疲労、蒼白、集中力低下、認知能力低下、正しい言葉を見い出すことの困難性、忘れやすさ、不自然な青白さ、怒りやすさ、動悸促進(頻脈)、舌の痛み又は腫れ、脾臓拡大、奇妙なものへの食欲(異食症)、頭痛、食欲不振、感染し易さ、抑鬱感が挙げられる。
さらに、本発明の鉄(III)錯体化合物は、妊婦の鉄欠乏性貧血、子供と若者の潜在的な鉄欠乏性貧血、胃腸疾患により引き起こされる鉄欠乏性貧血、胃腸出血(例えば、潰瘍、がん、痔、炎症、アセチルサリチル酸の摂取に起因する)等の失血により引き起こされる鉄欠乏性貧血、月経により引き起こされる鉄欠乏性貧血、怪我により引き起こされる鉄欠乏性貧血、スプルーにより引き起こされる鉄欠乏性貧血、食餌による鉄の摂取の低下(特に偏食な子供と若者)による鉄欠乏性貧血、鉄欠乏性貧血により引き起こされる免疫不全、鉄欠乏性貧血により引き起こされる脳機能障害、鉄欠乏性貧血により引き起こされるむずむず脚症候群、がんの鉄欠乏性貧血、化学療法により引き起こされる鉄欠乏性貧血、炎症をきっかけとする鉄欠乏性貧血(Al)、鬱血性心臓機能不全(CHF;鬱血性心不全)の鉄欠乏性貧血、慢性腎不全ステージ3〜5(CDK 3〜5;慢性腎疾患ステージ3〜5)の鉄欠乏性貧血、腎炎(ACD)をきっかけとする鉄欠乏性貧血(Al)、リウマチ(RA)の鉄欠乏性貧血、全身性エリテマトーデス(SLE)の鉄欠乏性貧血、及び炎症性腸疾患(IBD)の鉄欠乏性貧血、の治療に適する。本発明の鉄(III)錯体化合物は、ヘモグロビンレベルが正常範囲の鉄欠乏の治療にも有効である。即ち、鉄欠乏は、ヘモグロビンレベルが正常範囲であっても生じ得る。一般に、正常範囲は、全ての健康な人の96%のヘモグロビンレベルの範囲である。ヒトのヘモグロビンレベルの正常範囲は以下の通りである(ウィキペディア参照)。
g/dl mmol/l
男性 13.5〜17.5 8.4〜10.9
女性 12〜16 7.4〜9.9
新生児 19 11.8
(ヘモグロビンレベルは、例えば、DIN58931により測定できる。)
投与は、鉄状態が改善するまで又は鉄欠乏性貧血により悪影響を受けた健康状態の所望の改善が見られるまで、数か月にわたることができる。鉄状態の改善は、例えば、患者のヘモグロビンレベル、トランスフェリン飽和率、及び血清フェリチンレベルに反映される。
本発明による製剤は、子供、若者、及び成人が摂取できる。
本発明により投与される化合物は、非経口に加え、経口でも投与できる。経口投与が好ましい。
本発明の化合物、及び本発明の化合物と他の活性物質又は薬剤との組み合わせは、特に、鉄欠乏性貧血の治療用薬剤の製造に使用できる。鉄欠乏性貧血には、妊婦の鉄欠乏性貧血、子供や若者の潜在的鉄欠乏性貧血、胃腸疾患により引き起こされる鉄欠乏性貧血、胃腸出血(例えば、潰瘍、がん、痔、炎症、アセチルサリチル酸の摂取に起因する)、月経、怪我等の失血により引き起こされる鉄欠乏性貧血、スプルーにより引き起こされる鉄欠乏性貧血、食餌による鉄の摂取の低下(特に偏食な子供と若者)による鉄欠乏性貧血、鉄欠乏性貧血により引き起こされる免疫不全、鉄欠乏性貧血により引き起こされる脳機能障害、むずむず脚症候群等がある。
本発明の化合物の投与は、鉄、ヘモグロビン、フェリチン、トランスフェリンレベルを改善し、特に子供と若者において、しかし大人においても、短期間記憶テスト(STM)、長期間記憶テスト(LTM)、レーヴン斬新的マトリックステスト、ウェクスラー成人知能検査(WAIS)、及び/又は感情的知能検査(Baron EQ−i,YVテスト、青年版)、又は好中球レベル、抗体レベル及び/又はリンパ球機能も改善する。
さらに、本発明は、本発明の化合物、特に式(II)の化合物を1以上含む製薬的組成物に関する。この組成物は、任意に1以上の薬学的に効果のある化合物、任意に1以上の薬学的に許容できる担体及び/又は補助剤及び/又は溶媒を含むことができる。この製薬的組成物は、例えば、99重量%まで、90重量%まで、80重量%まで、70重量%までを、本発明の化合物で占めてもよく、残りは、薬学的に許容できる担体及び/又は補助剤及び/又は溶媒である。
薬学的担体、補助剤又は溶媒は、一般のものを使用できる。製薬的組成物は、例えば、静注、腹腔内投与、筋注、膣内投与、口腔内投与、経皮投与、皮下投与、皮膚粘膜投与、経口投与、直腸内投与、局所投与、皮内投与、又は胃内投与に適し、例えば、錠剤、タブレット、腸溶コーティングタブレット、フィルムタブレット、層状タブレット、経口、皮下又は経皮用の持続放出製剤(特に軟膏として)、デポー製剤、ドラジェ、坐薬、ジェル、軟膏、シロップ、顆粒、エマルジョン、分散液、マイクロカプセル、マイクロ製剤、ナノ製剤、リポソーム製剤、カプセル、腸溶コーティングカプセル、粉末、吸入粉末、微結晶製剤、吸入スプレー、散布、ドロップ、鼻ドロップ、鼻スプレー、エアロゾル、アンプル、溶液、ジュース、懸濁液、輸液、注射液等の形態にできる。
本発明の好適な実施形態では、鉄錯体化合物は、タブレット又はカプセルで投与する。これらは、例えば酸耐性の形態としてもよく、pH依存コーティングでコートしてもよい。
本発明の化合物及びこの化合物を含む薬学的組成物は、非経口、特に静注等の他の形態も可能であるが、好ましくは経口投与する。
このため、本発明の化合物は、好ましくは、錠剤、タブレット、腸溶コーティングタブレット、フィルムタブレット、層状タブレット、経口投与用の持続放出製剤、デポー製剤、ドラジェ、顆粒、エマルジョン、分散液、マイクロカプセル、マイクロ製剤、ナノ製剤、リポソーム製剤、カプセル、腸溶コーティングカプセル、粉末、微結晶製剤、散布、ドロップ、アンプル、溶液、懸濁液、輸液、又は注射液の形状の薬学的組成物で提供される。
本発明の化合物は、薬学的組成物として投与できる。この組成物は、製薬目的(特に固形製剤)に通常使用される様々な有機又は無機担体及び/又は補助物質を含むことができる。例えば、賦形剤(サッカロース、澱粉、マニトール、ソルビトール、ラクトース、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等)、結合剤(セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、サッカラーゼ、澱粉等)、崩壊剤(澱粉、加水分解澱粉、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのカルシウム塩、ヒドロキシプロピル澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム等)、潤滑油(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム等)、香料(クエン酸、メントール、グリシン、オレンジパウダー等)、保存剤(安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン等)、安定化剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸、ジエチレントリアミン四酢酸(DTPA)等のチトリプレックスシリーズのマルチカルボン酸等)、懸濁剤(メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸アルミニウム等)、分散剤、希釈剤(水、有機溶媒等)、蜜蝋、ココアバター、ポリエチレングリコール、白色ワセリン等が挙げられる。
溶液、懸濁液、ジェル等の液状薬剤は、通常、水及び/又は薬学的に許容できる有機溶媒等の液状担体を含む。さらに、このような液状薬剤は、pH調整剤、乳化剤又は分散剤、緩衝剤、保存剤、湿潤剤、ゲル化剤(メチルセルロース等)、着色料及び/又は香料も含むことができる。組成物は、等張でもよい、即ち、血液と同じ浸透圧を有することができる。組成物の浸透圧は、塩化ナトリウム、及び他の薬学的に許容可能な物質、例えばデキストロース、マルトース、ホウ酸、酒石酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、他の無機又は有機物質等により調整できる。液状組成物の粘度は、メチルセルロース等の薬学的に許容可能な増粘剤により調整できる。他の好適な増粘剤として、例えば、キサンタンゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー等が挙げられる。増粘剤の好適な濃度は、物質の種類による。薬学的に許容可能な保存剤は、液状組成物の保存期間を長くするために用いることができる。ベンジルアルコールは、複数の保存剤(パラベン、チメロサール、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウム等)の使用であっても、好適に使用できる。
活性物質は、例えば、0.001mg/体重kg〜500mg/体重kgの単位用量で、一日1〜4回投与する。しかし、用量は、患者の年齢、体重、症状、疾患の程度、又は投与方法により、増減できる。
本発明を、以下の実施例により、より詳細に説明する。実施例は単に例示であり、当業者は、特定の実施例をクレームされた他の化合物に拡張できる。実施例における命名は、コンピュータプログラムACD/ネームバージョン12を用いて定義又は決定した。
(原料化合物)
実施例で使用した原料化合物は以下のようにして得た。
A.N,N−ジメチル−2−オキソブタンジアミド
Figure 0006172691
53.30g(0.475mol)のカリウムt−ブトキシドを、300mlのジエチルエーテルに懸濁した。73.07g(0.500mol)のジエチルオキサレートを、アイスバスで冷却しながら加えた。30分間冷却しながら撹拌した後、43.57g(0.500mol)のN,N−ジメチルアセトアミドを添加して、得られた混合物を2時間撹拌した。次に、固体をろ過して、260mlの4N塩酸と750mlのエチルアセテートに溶かした。相分離の後、水相を300mlのエチルアセテートで2回抽出した。有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで蒸発した。エチル 4−(ジメチルアミノ)−2,4−ジオキソブタノエートの収率は54.3g(58%)であった。
IR(実測値,cm−1):2984,2941,1738,1620,1507,1467,1393,1370,1355,1313,1260,1170,1126,1016,927,860,823,772,723,628.
H−NMR(CDCl,400MHz):δ[ppm]=1.38(3H),3.06(6H),4.33(2H),6.25(1H).
32.56g(163.1mmol)の酢酸銅一水和物を、470mlのエタノールに懸濁し、75℃まで加熱した。61.06g(326.2mmol)のエチル 4−(ジメチルアミノ)−2,4−ジオキソブタノエートを加えた。得られた混合物を75℃で40分間撹拌した。銅錯体を4℃で析出させた。32.42g(74.4mmol)の銅錯体を530mlのメタノールアンモニア溶液(7N)に懸濁し、10mlのエタノールを加えながら室温で4時間撹拌し、その後ろ過した。続いて、銅錯体を960mlのクロロホルムに懸濁し室温で撹拌した。266mlの10%硫酸を加えて30分間撹拌した。相分離させ、水相を960mlのクロロホルムで2回抽出した。有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで蒸発した。残渣を156mlのエチルアセテートと共に沸騰させ、4℃で一晩結晶化させた。結晶をろ過し真空乾燥した。N,N−ジメチル−2−オキソブタンジアミドの収率は15.5g(66%)であった。
IR(実測値,cm−1):3392,3154,2950,2799,1699,1633,1600,1576,1502,1427,1378,1344,1253,1170,1122,1097,1054,990,925,908,811,761,730,665.
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=3.0(6H),6.2(1H),7.7(2H),15.3(1H).
B.4−(モルホリン−4−イル)−2,4−ジオキソブタンアミド
Figure 0006172691
10.2gのジイソプロピルアミン(0.1mol)を、窒素下で、100mlの乾燥THFに加え、得られた混合物を冷却した。40mlのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.5M,0.1mol)を徐々に滴下して加えた。添加した後、60分間撹拌し、続いて12.9gのアセチルモルホリン(0.1mol)を滴下して加えた。反応混合物をさらに20分間寒剤中で撹拌した。第2のフラスコで、43.7gのジエチルオキサレート(0.3mol)を、寒剤中の50mlの乾燥THFで冷却し、冷却した反応混合物を、撹拌しながら、少量カニューレで加えた。室温まで温め、一晩撹拌した。THFを回転エバポレータで蒸発させ、残渣を80mlの半濃縮した塩酸で集めた。水相を各々150mlのエチルアセテートで5回抽出し、有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで蒸発した。過剰のジエチルオキサレートを蒸留した(2〜3mbar,80℃)。5.0gのエチル−4−(モルホリン−4−イル)−2,4−ジオキソブタノエートの白色結晶を、PEから結晶化させて得た。融点は60℃であった。
H−NMR(CDCl,400MHz):δ[ppm]=1.35(3H),3.50−3.73(8H),4.33(2H),6.20(1H),14.32(1H).
7.68g(38.5mmol)の酢酸銅一水和物を、110mlのエタノールに懸濁し、75℃まで加熱した。17.63g(76.96mmol)のエチル−4−(モルホリン−4−イル)−2,4−ジオキソブタノエートを加えた。混合物を72℃で15分間撹拌した。続いて、19.86gの銅錯体を4℃で析出させた。
15.7g(30.2mmol)の銅錯体を240mlのメタノールアンモニア溶液(7N)に懸濁し、80mlのエタノールを加えながら室温で4時間撹拌し、その後ろ過した。続いて、銅錯体を410mlのクロロホルムに懸濁し室温で撹拌した。122mlの10%硫酸を加えて35分撹拌した。相分離させ、水相を400mlのクロロホルムで2回抽出した。有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで蒸発した。残渣を80mlのエチルアセテートと共に沸騰させ、4℃で一晩結晶化させた。結晶をろ過し真空乾燥した。4−(モルホリン−4−イル)−2,4−ジオキソブタンアミドの収率は5.3g(34%)であった。
IR(実測値,cm−1):3453,3342,3285,3180,2985,2932,2873,1716,1635,1576,1485,1463,1442,1381,1330,1303,1272,1243,1195,1132,1103,1066,1049,978,940,905,850,819,795,767,726,665.
エノール形
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=3.6(4H),6.2(1H),7.8(2H),15.0(1H).
C.N,N−ジエチル−2−オキソブタンジアミド
Figure 0006172691
18.5g(0.165mol)のナトリウムt−ブトキシドを、100mlのジエチルエーテルに懸濁した。25.4g(0.174mol)のジエチルオキサレートを、アイスバスで冷却しながら加えた。30分間冷却しながら撹拌した後、20.0g(0.174mol)のN,N−ジエチルアセトアミドを添加して、得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。次に、260mlのジエチルエーテルを添加して、固体をろ過した。この固体を、35mlの6N塩酸と174mlのエチルアセテートと20mlの水に溶かした。相分離の後、水相を100mlのエチルアセテートで2回抽出した。有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで蒸発した。粗生成物を石油エーテル/ジエチルエーテルで4℃で結晶化した。エチル 4−(ジエチルアミノ)−2,4−ジオキソブタノエートの収率は17.6g(47%)であった。
エノール形
H−NMR(CDCl3,400MHz):δ[ppm]=1.2(6H),1.4(3H),3.4(4H),4.4(2H),6.2(1H)
8.16g(40.9mmol)の酢酸銅一水和物を、100mlのエタノールに懸濁し、73℃まで加熱した。17.6g(81.7mmol)のエチル 4−(ジエチルアミノ)−2,4−ジオキソブタノエートを加えた。得られた混合物を72℃で40分間撹拌した。続いて50mlのトルエンを添加して、溶媒を回転エバポレータで除去した。残渣を、50mlトルエンで2回抽出した。19.9gの銅錯体が粗生成物して得られ、これをさらに精製することなく使用した。
9.0g(18mmol)の銅錯体を25mlのメタノールアンモニア溶液(7N)に溶解し、室温で4時間撹拌した。続いて、回転エバポレータで溶媒を完全に除去した。その後、銅錯体を190mlのジクロロメタンに懸濁し室温で撹拌した。53mlの10%硫酸を加えて5分撹拌した。相分離させ、水相を90mlのジクロロメタンで2回抽出した。有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで蒸発した。残渣をカラムクロマトグラフィで精製した(シリカゲル、エチルアセテート)。N,N−ジエチル−2−オキソブタンジアミドの収率は6.3g(94%)であった。
IR(実測値,cm−1):3371,3193,2974,2935,2875,2324,2051,1982,1787,1741,1683,1635,1586,1495,1459,1400,1380,1362,1308,1269,1239,1218,1158,1130,1098,1081,1048,960,896,827,782.
エノール形
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=1.1(6H),3.4(4H),6.1(1H),7.8(2H),15.4(1H).
D.2,4−ジオキソ−4−(ピロリジン−1−イル)ブタンアミド
Figure 0006172691
8.33g(74.4mmol)のナトリウムt−ブトキシドを、47mlのジエチルエーテルに懸濁した。11.4g(78.3mmol)のジエチルオキサレートを、アイスバスで冷却しながら加えた。60分間冷却しながら撹拌した後、8.86g(78.3mol)のN−アセチルピロリジンを添加して、得られた反応混合物を室温で3時間撹拌した。次に、懸濁液をろ過して、得られた固体を25mlの6N塩酸と120mlのエチルアセテートと15mlの水に溶かした。相分離の後、水相を50mlのエチルアセテートで2回抽出した。有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで蒸発した。粗生成物をカラムクロマトグラフィで精製した(シリカゲル、石油エーテル/エチルアセテートを2/1)。エチル2,4−ジオキソ−4−(ピロリジン−1−イル)ブタノエートの収率は7.7g(46%)であった。
エノール形
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=1.3(3H),1.9(4H),3.4(2H),3.5(2H),4.3(2H),6.1(1H),14.9(1H).
3.59g(18.0mmol)の酢酸銅一水和物を、10mlのエタノールに懸濁し、73℃まで加熱した。7.66g(35.9mmol)のエチル2,4−ジオキソ−4−(ピロリジン−1−イル)ブタノエートを加えた。得られた混合物を72℃で30分間撹拌した。続いて20mlのエタノールと10mlの水を加え、さらに20分間撹拌した。熱ろ過の後、溶液を4℃で保存した。有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで蒸発した。4.4gの銅錯体が結晶の形状で得られ、これをさらに精製することなく用いた。
4.4g(9.0mmol)の銅錯体を64mlのメタノールアンモニア溶液(7N)に溶解し、4時間室温で撹拌した。懸濁液をろ過して、固体を50℃で3日間真空乾燥した。銅錯体を100mlのジクロロメタンに懸濁し、53mlの10%硫酸を添加した。撹拌を、2つの透明な相ができるまで続けた。相を分離し、水相を2回100mlのジクロロメタンで抽出した。有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで蒸発した。残渣を熱エチルアセテートで結晶化した。2,4−ジオキソ−4−(ピロリジン−1−イル)ブタンアミドの収率は1.7g(51%)であった。
IR(実測値,cm−1):3444,3293,3146,2976,2890,1688,1628,1586,1482,1460,1399,1343,1301,1230,1187,1164,1128,1107,1052,1019,970,913,852,819,748.
エノール形
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=1.9(4H),3.4(4H),6.0(1H),7.8(2H),15.3(1H).
E.N,N,N’,N’−テトラメチル−2−オキソブタンジアミド
Figure 0006172691
18.65g(166.3mmol)のナトリウムt−ブトキシドを、170mlのジエチルエーテルに懸濁した。25.58g(175.0mmol)のエチルN,N−ジメチルオキサメートを、アイスバスで冷却しながら加え、30分間撹拌した。有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで蒸発した。15.25g(175.0mmol)のN,N−ジメチルアセトアミドを添加して、得られた反応混合物を室温で2時間撹拌した。得られた反応混合物に、90mlの6N塩酸と420mlのエチルアセテートと15mlの水を加え、5分間撹拌した。相分離の後、水相を200mlのエチルアセテートで抽出した。有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで蒸発した。粗生成物をカラムクロマトグラフィで精製した(シリカゲル、ジクロロメタン/アセトンを5/1)。N,N,N’,N’−テトラメチル−2−オキソブタンジアミドの収率は5.3g(16%)であった。
IR(実測値,cm−1):2936,1720,1635,1496,1456,1397,1352,1259,1237,1203,1130,1107,1077,951, 892,849,807,774,753,720.
ケト形
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=2.8〜3.0(12H),3.9(2H).
F.4−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−2,4−ジオキソブタンアミド
Figure 0006172691
120g(1.19mol)の4−ヒドロキシピペリジンを、1700mlのジクロロメタン及び132g(1.03mol)のトリエチルアミンに滴下して加えた。得られた反応混合物を−40℃に冷却し、93.4g(1.19mol)のアセチルクロリドを滴下して加えた。続いて、室温で1時間攪拌した。懸濁液をろ過し、得られたろ過物を回転エバポレータで乾燥するまで濃縮した。得られた残渣を1700mlのエチルアセテート中に回収し、再度ろ過した。得られたろ過物を乾燥するまで濃縮した。生成物として、120g(71%)の1−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)エタノンを得た。
H−NMR(CDCl,400MHz):δ[ppm]=1.5(2H),1.8(2H),2.1(3H),2.7(1H),3.2(2H),3.7(1H),3.9(1H),4.1(1H).
120g(839mmol)の1−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)エタノンを、1.5lのジクロロメタンに懸濁し、アイスバスで冷却した。85.9g(839mmol)のトリエチルアミンを滴下して加え、10分間撹拌した。続いて、101g(839mmol)のトリメチルアセチルクロリドを加え、得られた反応混合物を、室温で3日間攪拌した。反応混合物を200mlまで濃縮し、ろ過した。続いて、得られたろ過物を乾燥するまで濃縮した。得られた残渣を200mlのエチルアセテート中に回収し、30分間撹拌した。ろ過を行い、得られたろ過物を回転エバポレータで乾燥するまで濃縮した。精製として、生成物をn−ヘプタンで結晶化した。56g(29%)の1−アセチルピペリジン−4−イル−2,2−ジメチルプロパネートの白色結晶を得た。
H−NMR(CDCl,400MHz):δ[ppm]=1.2(9H),1.6(2H),1.8(2H),2.1(3H),3.4(1H),3.6(2H),3.7(1H),5.0(1H).
9.88g(88.0mmol)のナトリウムt−ブトキシドを、80mlのジエチルエーテルに懸濁した。12.9g(88.0mmol)のジエチルオキサレートを加えた。20.0g(88.0mmol)の1−アセチルピペリジン−4−イル−2,2−ジメチルプロパネートを80mlのジエチルエーテルに溶解し、反応混合物に滴下して加えた。20分間撹拌し、続いて、得られた混合物を撹拌しないで一晩置いた。次に、160mlの石油エーテルを加え、懸濁液をろ過した。得られた残渣を60mlの1Nの塩酸中に回収し、水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整した。続いて、200mlのエチルアセテートで3回抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで乾燥するまで濃縮した。15.3g(53%)のエチル−4−{4−[(2,2−ジメチルプロパノイル)オキシ]ピペリジン−1−イル}−2,4−ジオキソブタノエートを得た。得られたものはさらに精製することなく用いた。
エノール形
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=1.2(9H),1.4(3H),1.7(2H),1.9(2H),3.5−3.8(4H),4.3(2H),5.0(1H),6.3(1H),14.5(1H).
189g(577mmol)のエチル−4−{4−[(2,2−ジメチルプロパノイル)オキシ]ピペリジン−1−イル}−2,4−ジオキソブタノエートを、900mlの乾燥エタノールに溶解し、50℃まで昇温した。393gの21%ナトリウムエトキシド溶液(1.21mol)を滴下して加え、50℃で一晩撹拌した。得られた反応混合物を回転エバポレータで乾燥するまで濃縮し、得られた残渣を2lの1N塩酸中に回収した。抽出は2lのエチルアセテートで3回行い、硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥するまで濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィで精製した(シリカゲル、アセトン/ジクロロメタン、1/1)。74.9g(53%)のエチル4−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル}−2,4−ジオキソブタノエートを得た。
エノール形
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=1.3(3H),1.4 (2H),1.8(2H),3.3(2H),3.7(1H),3.8(2H),4.2(2H),4.8(1H),6.3(1H),14.9(1H).
8.78g(44.0mmol)の酢酸銅一水和物を、125mlのエタノールに懸濁し、沸騰するまで加熱した。21.3g(88.0mmol)のエチル4−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル}−2,4−ジオキソブタノエートを小分けで加えた。得られた混合物を還流しながら40分沸騰させた。ろ過後、得られた溶液を2.2℃で一晩撹拌した。13.2gの銅錯体の結晶を得た。さらに精製することなく、次工程で用いた。
7.18g(13.8mmol)の銅錯体を98mlのメタノールアンモニア溶液(7N)に溶解し、室温で4時間撹拌した。得られた懸濁液をろ過し、得られた残渣を50℃高真空で乾燥した。続いて、銅錯体を125mlのメタノールに懸濁し、HSを30分間懸濁液に通過させた。2つの透明な相ができるまで撹拌した。セリート(登録商標)で2回ろ過し、得られたろ過物を回転エバポレータで濃縮した。得られた残渣をエチルアセテートで再結晶化した。4−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−2,4−ジオキソブタンアミドの収率は0.5g(8%)であった。
IR(実測値,cm−1):3282,3118,2981,2324,2164,2051,1981,1797,1546,1413,1349,1264,1161,1138,1086,1043,962,925,899,821,786,728,676.
エノール形
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=1.3(2H),1.7(2H),3.3(2H),3.7−3.9(3H),4.8(1H),6.2(1H),7.7(2H),15.3(1H).
G.N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミド
Figure 0006172691
53.30g(0.475mol)のナトリウムt−ブトキシドを、300mlのジエチルエーテルに懸濁した。73.07g(0.500mol)のジエチルオキサレートをアイスバス中冷却下で添加した。30分間冷却下しながら撹拌した後、43.57g(0.500mol)のN,N−ジメチルアセトアミドを添加し、反応混合物を2時間撹拌した。さらなる処理のために、ろ別し、固体を260mlの4N塩酸及び750mlのエチルアセテートに溶かした。相分離後、水相を300mlのエチルアセテートでさらに2回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで蒸発した。エチル4−(ジメチルアミノ)−2,4−ジオキソブタノエートの収率は54.3g(58%)であった。
H−NMR(CDCl3、400MHz):δ[ppm]=1.38(3H),3.06(6H),4.33(2H),6.25(1H)
32.56g(163.1mmol)の酢酸銅一水和物を470mlのエタノールに懸濁し、最高75℃まで加熱した。61.06g(326.2mmol)のエチル 4−(ジメチルアミノ)−2,4−ジオキソブタノエートを一度に添加した。得られた混合物を75℃で40分間撹拌した。銅錯体を4℃で析出させた。10.0g(23.0mmol)の銅錯体を57mlのエタノール性メチルアミン溶液(33%)に懸濁し、室温で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮乾固した。さらなる処理のために、銅錯体を100mlクロロホルムに溶解した。170mlの10%硫酸を添加し、両相を十分に撹拌した。相分離後、水相を50mlのクロロホルムでさらに2回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで濃縮乾固した。N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミドの収率は4.1g(52%)であった。
IR(実測値,cm−1):3398,3315,3105,2931,2324,1783,1671,1632,1599,1526,1500,1405,1361,1347,1252,1160,1063,1018,935,907,838,776,726.
エノール形:
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=2.7(3H),3.0(6H),6.1(1H),8.4(1H),15.5(1H).
H.N,N’−ジメチル−2−オキソブタンジアミド
Figure 0006172691
38.2g(0.556mol)のメチルアミン塩酸塩を70mlのジクロロメタンに懸濁し、57.3g(0.556mol)のトリエチルアミンを添加した。反応混合物を−60℃に冷却し、70mlのジクロロメタンに溶解した108g(0.556mol)の(2Z)−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)アセチルクロリド(J.Banvilleら、Tetrahedron Letters,2010,51,3170〜3173により調製)を滴下した。その後、撹拌を室温で一晩行い、最後に還流下で4時間沸騰させた。反応混合物を濃縮乾固し、残渣を400mlのエチルアセテートに回収した。懸濁液をろ過し、ろ液を濃縮乾固した。残渣を600mlのジエチルエーテルに回収した。懸濁液をろ過し、ろ液を濃縮乾固した。49.1g(47%)の(2Z)−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−N−メチルアセトアミドが得られた。
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=1.7(6H),2.6(3H),5.8(1H),8.0(1H).
13.1g(66.0mmol)の酢酸銅一水和物を600mlのエタノールに懸濁し、25.7g(132mmol)の(2Z)−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−N−メチルアセトアミドを添加した。混合物を還流下で4時間沸騰させた。懸濁液を濃縮乾固し、残渣をトルエンで3回ストリッピングして酢酸を除去した。10.6g(25.9mmol)の銅錯体を31mlのエタノール性メチルアミン溶液(33%)に懸濁し、室温で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮乾固した。さらなる処理のために、銅錯体を200mlのジクロロメタンに溶解した。60mlの10%硫酸及び30mlの水を添加し、2相を十分に撹拌した。相分離後、水相を100mlのジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで濃縮乾固した。生成物を熱エチルアセテートから結晶化した。N,N’−ジメチル−2−オキソブタンジアミドの収率は0.4g(5%)であった。
IR(実測値,cm−1):3367,3310,3133,2942,2051,1624,1584,1532,1396,1275,1247,1133,1078,946,838,776,752,674.
エノール形:
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=2.7(6H),5.9(1H),8.4(2H),14.3(1H).
I.N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミド
Figure 0006172691
38.2g(0.556mol)のメチルアミン塩酸塩を70mlのジクロロメタンに懸濁し、57.3g(0.556mol)のトリエチルアミンを添加した。反応混合物を−60℃に冷却し、70mlのジクロロメタンに溶解した108g(0.556mol)の(2Z)−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)アセチルクロリド(J.Banvilleら、Tetrahedron Letters,2010,51,3170〜3173により調製)を滴下した。その後、室温での撹拌を一晩行い、最後に還流下で4時間沸騰させた。反応混合物を濃縮乾固し、残渣を400mlのエチルアセテートに回収した。懸濁液をろ過し、ろ液を濃縮乾固した。残渣を600mlのジエチルエーテルに回収した。懸濁液をろ過し、ろ液を濃縮乾固した。49.1g(47%)の(2Z)−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−N−メチルアセトアミドが得られた。
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=1.7(6H),2.6(3H),5.8(1H),8.0(1H).
1.0g(5.4mmol)の(2Z)−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−N−メチルアセトアミドを9.6mlのエタノール性ジメチルアミン溶液(33%)に溶解し、室温で5分間撹拌した。6mlの6N塩酸を添加し、再度5分間撹拌した。反応混合物を濃縮乾固し、残渣を15mlの水に回収した。水相を50mlのエチルアセテートで2回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで濃縮乾固した。粗生成物をカラムクロマトグラフィで精製した(シリカゲル、エチルアセテート)。N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミドの収率は280mg(30%)であった。
IR(実測値,cm−1):3303,3099,2941,1766,1719,1624,1561,1502,1449,1405,1338,1255,1227,1160,1079,1041,947,910,829,773,657.
ケト形:
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=2.6(3H),2.9(6H),3.6(2H),8.1(1H).
J.N,N−ジエチル−N,N−ジメチル−2−オキソブタンジアミド
Figure 0006172691
8.0g(71mmol)のナトリウムt−ブトキシドを、60mlのジエチルエーテルに懸濁した。10.9g(75.0mmol)のエチルN,N−ジメチルオキサメートをアイスバス中冷却下で添加した。30分間室温で撹拌した後、、8.6g(75mmol)のN,N−ジエチルアセトアミドを添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。45mlの6N塩酸及び200mlのエチルアセテートを反応混合物に添加した。相分離後、水相を50mlのエチルアセテートでさらに2回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで濃縮乾固した。粗生成物をカラムクロマトグラフィで精製した(シリカゲル、石油エーテル/エチルアセテート)。N,N−ジエチル−N,N−ジメチル−2−オキソブタンジアミドの収率は3.5g(22%)であった。
IR(実測値,cm−1):3496,2975,2936,1721,1626,1487,1448,1400,1380,1362,1308,1271,1217,1200,1141,1100,1077,954,927,789,771,734.
ケト形
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=1.1(6H),3.0(6H),3.3(4H),3.9(2H).
K.N,N−ジメチル−3,4−ジオキソ−4−(ピロリジン−1−イル)ブタンアミド
Figure 0006172691
19.2g(270mmol)のピロリジンと27.3g(270mmol)のトリエチルアミンを400mlのジエチルエーテルに溶解し、アイスバス中で冷却した。36.9g(270mmol)のエチルクロロオキソアセテートを滴下し、続いて室温まで加熱した。懸濁液をろ過し、ろ液を回転エバポレータで濃縮した。46.6gの黄色油の形態のエチル−オキソ(ピロリジン−1−イル)アセテートが得られ、これをさらに精製することなくさらなる処理に使用した。27.2g(242mmol)のナトリウムt−ブトキシドを200mlのジエチルエーテルに懸濁した。43.6g(255mmol)のエチル−オキソ(ピロリジン−1−イル)アセテートをアイスバス中冷却下で添加した。撹拌を室温で30分間行い、22.2g(255mmol)のN,N−ジメチルアセトアミドを添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。136mlの6N塩酸、170mlの酢酸エチル及び70mlの水を反応混合物に添加した。相分離後、水相を100mlの酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで濃縮乾固した。粗生成物をカラムクロマトグラフィで精製した(シリカゲル、石油エーテル/エチルアセテート)。N,N−ジメチル−3,4−ジオキソ−4−(ピロリジン−1−イル)ブタンアミドの収率は37.1g(69%)であった。
IR(実測値,cm−1):2952,2880,1722,1632,1602,1503,1445,1415,1354,1338,1253,1224,1163,1141,1060,1033,975,952,915,890,870,848,812,765,728,695.
エノール形
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=1.8(4H),3.0(6H),3.4(2H),3.6(2H),5.9(1H),15.6(1H).
L.N−[2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチル]−N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミド
Figure 0006172691
17.1g(0.112mol)のN,N−ジメチル−2−(メチルアミノ)アセトアミド塩酸塩(Sigma−Aldrich:CDS007544)を300mlのジクロロメタンに懸濁し、22.6g(0.224mol)のトリエチルアミンを添加した。21.3g(0.112mol)の(2Z)−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)アセチルクロリド(J.Banvilleら、Tetrahedron Letters,2010,51,3170〜3173により調製)を小分けで添加した。その後、30分間室温で撹拌した後、続いて還流下で4時間沸騰させた。懸濁液を濃縮乾固し、残渣を300mlのエチルアセテートに回収した。懸濁液をろ過し、ろ液を濃縮乾固した。9.8g(32%)のN−[(2Z)−2−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)アセチル]−N,N,N−トリメチルグリシンアミドが得られた。
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=1.7(6H),2.8〜3.0(9H),4.2〜4.3(2H),5.8〜6.1(1H).
8.8g(32mmol)のN−[(2Z)−2−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)アセチル]−N,N,N−トリメチルグリシンアミドを、58mlのエタノール性ジメチルアミン溶液(33%)に溶解し、室温で30分間撹拌した。反応混合物を濃縮乾固した。粗生成物をカラムクロマトグラフィで精製した(シリカゲル、ジクロロメタン:メタノール20:1)。N−[2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチル]−N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミドの収率は3.0g(36%)であった。
IR(実測値,cm−1):3492,2936,1720,1631,1492,1398,1364,1332,1261,1239,1217,1139,1106,1078,951,898,860,812,762,720,675.
ケト形:
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=2.7〜3.0(15H),3.7〜4.0(2H),4.1〜4.3(2H).
M.N−(2−メトキシエチル)−N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミド
Figure 0006172691
9.09g(102mmol)の(2−メトキシエチル)メチルアミンと10.3g(102mmol)のトリエチルアミンを110mlのジエチルエーテルに溶解し、アイスバス中で冷却した。8.01g(102mmol)の塩化アセチルを滴加し、引き続いて室温に加熱した。懸濁液をろ過し、ろ液を回転エバポレータで濃縮した。10gの無色油の形態のN−(2−メトキシエチル)−N−メチルアセトアミドが得られ、これをさらに精製することなくさらなる処理に使用した。8.08g(72.0mmol)のナトリウムt−ブトキシドを100mlのジエチルエーテルに懸濁した。10.5g(72.0mmol)のエチルN,N−ジメチルオキサメートをアイスバス中冷却下で添加した。15分間室温で撹拌した後、9.44g(72.0mmol)のN−(2−メトキシエチル)−N−メチルアセトアミドを添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。140mlの6N塩酸、180mlのエチルアセテートと45mlの水を反応混合物に添加した。相分離後、水相を80mlのエチルアセテートで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで濃縮乾固した。粗生成物をカラムクロマトグラフィで精製した(シリカゲル、石油エーテル/エチルアセテート)。N−(2−メトキシエチル)−N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミドの収率は2.98g(18%)であった。
IR(実測値,cm−1):2935,1612,1498,1458,1427,1362,1260,1193,1153,1114,1062,1022,950,842,814,787,724,694,674.
ケト形
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=2.8〜3.0(9H),3.2〜3.3(3H),3.4〜3.6(4H)、3.9〜4.0(2H).
N.N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチル−2−オキソブタンジアミド
Figure 0006172691
7.1g(94mmol)の2−メトキシエチルアミンを300mlのジクロロメタンに懸濁し、19.0g(188mmol)のトリエチルアミンを添加した。70mlのジクロロメタンに溶解した18.0g(94mmol)の(2Z)−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)アセチルクロリド(J.Banvilleら、Tetrahedron Letters,2010,51,3170〜3173により調製)。その後、室温で30分間撹拌し、続いて還流下で4時間沸騰させた。懸濁液を濃縮乾固し、残渣を300mlのエチルアセテートに回収した。懸濁液をろ過し、ろ液を濃縮乾固した。残渣を350mlのジエチルエーテルに回収し、撹拌した。懸濁液をろ過し、ろ液を濃縮乾固した。15.4g(71%)の(2Z)−2−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−N−(2−メトキシエチル)アセトアミドが得られた。
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=1.7(6H),3.3(3H),3.3〜3.4(4H)、5.9(1H),8.2(1H).
3.0g(13mmol)の(2Z)−2−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−N−(2−メトキシエチル)アセトアミドを、23mlのエタノール性ジメチルアミン溶液(33%)に溶解し、室温で5分間撹拌した。18mlの6N HCl溶液を添加し、5分間撹拌し、回転エバポレータで濃縮乾固した。N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチル−2−オキソブタンジアミドの収率は2.3g(82%)であった。
IR(実測値,cm−1):3307,3086,2932,2884,1720,1634,1548,1503,1452,1401,1324,1266,1195,1121,1084,1041,948,819,772,718.
ケト形:
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=2.9(6H),3.3(3H),3.2〜3.4(4H)、3.6(2H),8.2(1H).
O.エチル−N−[4−(ジメチルアミノ)−3,4−ジオキソブタノイル]−N−メチルグリシネート
Figure 0006172691
15.0g(97.7mmol)のサルコシンエチルエステル塩酸塩を300mlのジクロロメタンに懸濁し、19.8g(195mmol)のトリエチルアミンを添加した。70mlのジクロロメタンに溶解した18.8g(98.7mmol)の(2Z)−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)アセチルクロリド(J.Banvilleら、Tetrahedron Letters,2010,51,3170〜3173により調製)を添加した。その後、室温で30分間撹拌し、続いて還流下で4時間沸騰させた。懸濁液を濃縮乾固し、残渣を300mlのエチルアセテートに回収した。懸濁液をろ過し、ろ液を濃縮乾固した。12g(45%)のエチル−N−[(2Z)−2−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)アセチル]−N−メチルグリシネートが得られた。
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=1.2(3H),1.8(6H),3.1(3H)、4.1(2H),4.1〜4.3(2H).
3.0g(11mmol)のエチル−N−[(2Z)−2−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)アセチル]−N−メチルグリシネートを、20mlのエタノール性ジメチルアミン溶液(33%)に溶解し、室温で5分間撹拌した。18mlの6N HCl溶液を添加し、5分間撹拌し、反応混合物を濃縮乾固した。残渣を50mlの水に回収し、150mlのエチルアセテートで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥した。エチル−N−[4−(ジメチルアミノ)−3,4−ジオキソブタノイル]−N−メチルグリシネートの収率は2.3g(81%)であった。
IR(実測値,cm−1):2938,1743,1638,1489,1399,1374,1354,1197,1107,1077,1031,950,900,851,811,765,717.
ケト形:
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=1.2(3H),2.8〜3.1(9H),3.8〜4.0(2H)、4.1(2H),4.1〜4.3(2H).
P.N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチル−2−オキソブタンアミド
Figure 0006172691
53.30g(0.475mol)のナトリウムtert−ブトキシドを、300mlのジエチルエーテルに懸濁した。73.07g(0.500mol)のジエチルオキサレートをアイスバス中冷却下で添加した。30分間撹拌した後、43.57g(0.500mol)のN,N−ジメチルアセトアミドを添加し、反応混合物を2時間撹拌した。さらなる処理のために、ろ過し、固体を260mlの4N塩酸と750mlのエチルアセテートに溶解した。相分離後、水相を300mlのエチルアセテートで2回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで濃縮乾固した。エチル4−(ジメチルアミノ)−2,4−ジオキソブタノエートの収率は54.3g(58%)であった。
H−NMR(CDCl3、400MHz):δ[ppm]=1.38(3H),3.06(6H),4.33(2H),6.25(1H)
32.56g(163.1mmol)の酢酸銅一水和物を470mlのエタノールに懸濁し、75℃まで加熱した。61.06g(326.2mmol)のエチル4−(ジメチルアミノ)−2,4−ジオキソブタノエートを一度に添加した。混合物を75℃で40分間撹拌した。銅錯体を4℃で析出させた。
10.0g(22.9mmol)の銅錯体を40mlのエタノールに溶解し、17.2g(229mmol)の2−メトキシエチルアミンを添加し、室温で2時間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮乾固した。さらなる処理のために、銅錯体を80mlのジクロロメタンに懸濁し、70mlの10%硫酸を添加した。激しい撹拌の後、相を分離させ、水相を50mlのジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで濃縮乾固した。残渣をジエチルエーテル/石油エーテルで再結晶した。結晶性生成物をろ過し、真空下で乾燥した。N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチル−2−オキソブタンアミドの収率は5.96g(60%)であった。
IR(実測値,cm−1):3372,3311,3202,2974,2934,2879,2830,1787,1741,1674,1634,1530,1495,1473,1439,1400,1358,1267,1193,1176,1158,1124,1107,1064,1016,960,901,825,815,767,715.
エノール形
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=3.0(6H),3.2(3H),3.3〜3.4(4H),6.1(1H),8.2(1H),15.5(1H).
Q.エチル−N−[4−(ジメチルアミノ)−2,4−ジオキソブタノイル]−N−メチルグリシネート
Figure 0006172691
4.73g(58.0mmol)のジメチルアミン塩酸塩を100mlのジクロロメタンに懸濁し、100mlのジクロロメタンに溶解した11.1g(58.0mmol)の(2Z)−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)アセチルクロリド(J.Banvilleら、Tetrahedron Letters,2010,51,3170〜3173により調製)を滴下した。室温で一晩撹拌し、その後、11.7g(116mmol)のトリエチルアミンを添加し、続いて還流下で2時間沸騰させた。懸濁液をろ過し、ろ液を濃縮乾固した。残渣を170mlのエチルアセテートに回収し、ろ過し、再度濃縮乾固した。11g(55%)の(2Z)−2−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−N,N−ジメチルアセトアミドを得た。
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=1.7(6H),2.9(3H),3.0(3H),6.0(1H).
15.4(100mmol)のサルコシンエチルエステル塩酸塩と10.1g(100mmol)のトリエチルアミンを、100mlのジクロロメタンに懸濁した。5.0g(25mmol)の(2Z)−2−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−N,N−ジメチルアセトアミドを添加し、続いて還流下で1時間沸騰させた。反応混合物を濃縮乾固し、残渣を20mlのエチルアセテートに回収した。ろ過後、ろ液を濃縮乾固した。粗生成物をカラムクロマトグラフィで精製した(シリカゲル、エチルアセテート)。エチル−N−[4−(ジメチルアミノ)−2,4−ジオキソブタノイル]−N−メチルグリシネートの収率は2.7g(42%)であった。
IR(実測値,cm−1):3351,2982,2939,1729,1682,1634,1508,1397,1375,1353,1257,1198,1096,1021,982,916,864,822,771.
ケト形:
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=1.2(3H),2.8〜3.1(9H),3.8〜4.0(2H),4.1(2H),4.1〜4.3(2H).
R.N−[2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチル]−N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミド
Figure 0006172691
4.73g(58.0mmol)のジメチルアミン塩酸塩を100mlのジクロロメタンに懸濁し、100mlのジクロロメタンに溶解した11.1g(58.0mmol)の(2Z)−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)アセチルクロリド(J.Banvilleら、Tetrahedron Letters,2010,51,3170〜3173により調製)を滴下した。室温で一晩撹拌し、その後、11.7g(116mmol)のトリエチルアミンを添加し、続いて還流下で2時間沸騰させた。懸濁液をろ過し、ろ液を濃縮乾固した。残渣を170mlのエチルアセテートに回収し、ろ過し、再度濃縮乾固した。11g(55%)の(2Z)−2−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−N,N−ジメチルアセトアミドが得られた。
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=1.7(6H),2.9(3H),3.0(3H),6.0(1H).
3.83g(25.1mmol)のN,N−ジメチル−2−(メチルアミノ)アセトアミド塩酸塩(Sigma−Aldrich:CDS007544)と2.79g(27.6mmol)のトリエチルアミンを8mlのエタノールに懸濁した。1.00g(5.02mmol)の(2Z)−2−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−N,N−ジメチルアセトアミドを添加し、室温で30分間撹拌した。5mlの6N HCl溶液を添加し、反応混合物を濃縮乾固した。残渣を10mlの水と20mlのエチルアセテートに回収した。相を分離させ、水相をエチルアセテートで2回抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。粗生成物をカラムクロマトグラフィで精製した(シリカゲル、ジクロロメタン/エタノール)。N−[2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチル]−N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミドの収率は0.94g(77%)であった。
IR(実測値,cm−1):3487,2935,1780,1721,1632,1492,1397,1354,1335,1305,1259,1144,1095,1054,981,942,857,813,760.
ケト形:
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=2.9〜3.1(15H),3.9(2H),4.1〜4.3(2H).
S.エチル−N−[4−(ジメチルアミノ)−2,4−ジオキソブタノイル]グリシネート
Figure 0006172691
53.30g(0.475mol)のナトリウムt−ブトキシドを300mlのジエチルエーテルに懸濁した。73.07g(0.500mol)のジエチルオキサレートをアイスバス中冷却下で添加した。30分間冷却しながら撹拌した後、43.57g(0.500mol)のN,N−ジメチルアセトアミドを添加し、反応混合物を2時間撹拌した。さらなる処理のために、ろ過を行い、固体を260mlの4N塩酸と750mlのエチルアセテートに分解した。相分離後、水相を300mlのエチルアセテートで2回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで濃縮乾固した。エチル4−(ジメチルアミノ)−2,4−ジオキソブタノエートの収率は54.3g(58%)であった。
H−NMR(CDCl3、400MHz):δ[ppm]=1.38(3H),3.06(6H),4.33(2H),6.25(1H)
32.56g(163.1mmol)の酢酸銅一水和物を470mlのエタノールに懸濁し、75℃まで加熱した。61.06g(326.2mmol)のエチル4−(ジメチルアミノ)−2,4−ジオキソブタノエートを一度に添加した。混合物を75℃で40分間撹拌した。銅錯体を4℃で析出させた。
7.0g(68mmol)のグリシンエチルエステル(E.Fischer,Chemische Berichte,1906,第39巻,541頁により調製)を13mlのエタノールに溶解し、1.0g(2.3mmol)の銅錯体を添加し、室温で1時間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮乾固した。さらなる処理のために、銅錯体を80mlのジクロロメタンに懸濁し、50mlの10%硫酸を添加した。激しい撹拌の後、相を分離させ、水相を50mlジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで濃縮乾固した。粗生成物をカラムクロマトグラフィで精製した(シリカゲル、エチルアセテート/石油エーテル)。エチル−N−[4−(ジメチルアミノ)−2,4−ジオキソブタノイル]グリシネートの収率は0.5g(45%)であった。
IR(実測値,cm−1):3389,2983,2942,2324,2083,1982,1739,1678,1631,1608,1520,1404,1354,1278,1255,1179,1144,1097,1084,1065,1023,973,915,860,819,773,717.
エノール形
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=1.2(3H),3.0(6H),3.9(2H),4.1(2H),6.2(1H),8.7(1H),15.5(1H).
T.N−(2−メトキシエチル)−N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミド
Figure 0006172691
19.5g(219mmol)のN−(2−メトキシエチル)メチルアミンと22.2g(219mmol)のトリエチルアミンを400mlのジエチルエーテルに溶解し、アイスバス中で冷却した。30.0g(219mmol)のエチルクロロオキソアセテートを滴下し、反応混合物を室温まで加温した。懸濁液をろ過し、ろ液を濃縮乾固した。36.9gの黄色油の形態のエチル−[(2−メトキシエチル)(メチル)アミノ](オキソ)アセテートが得られ、これをさらに精製することなくさらなる処理に使用した。
20.8g(185mmol)のナトリウムt−ブトキシドを200mlのジエチルエーテルに懸濁した。36.9g(195mmol)のエチル−[(2−メトキシエチル)(メチル)アミノ](オキソ)アセテートをアイスバス中冷却下で添加した。室温で30分間撹拌した。17.0g(195mmol)のN,N−ジメチルアセトアミドを添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。123mlの6N塩酸、130mlのエチルアセテート及び30mlの水を反応混合物に添加した。相分離後、水相を100mlのエチルアセテートで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、回転エバポレータで濃縮乾固した。粗生成物をカラムクロマトグラフィで精製した(シリカゲル、ジクロロメタン/アセトン)。N−(2−メトキシエチル)−N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミドの収率は4.5g(10%)であった。
IR(実測値,cm−1):3482,2935,1720,1631,1492,1454,1401,1355,1293,1260,1198,1115,1069,1014,972,828,772,721.
ケト形
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=2.8〜3.0(9H),3.3(3H),3.4〜3.5(4H),3.9(2H).
U.N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミド
Figure 0006172691
1.18g(15.7mmol)の2−(メチルアミノ)エタノールを50mlのジクロロメタンに溶解し、2.39g(23.6mmol)のトリエチルアミンを添加した。3.00g(15.7mmol)の(2Z)−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)アセチルクロリド(J.Banvilleら、Tetrahedron Letters,2010,51,3170〜3173により調製)を添加し、室温で30分間撹拌した。その後、還流下で4時間の沸騰を続けた。反応混合物を濃縮乾固し、残渣を300mlのエチルアセテートに回収した。懸濁液をろ過し、ろ液を濃縮乾固した。残渣をカラムクロマトグラフィで精製した(シリカゲル、ジクロロメタン/エタノール)。1.5g(42%)の(2Z)−2−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアセトアミドが得られた。
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=1.7(6H),3.0(3H),3.4〜3.6(4H),4.7〜4.9(1H),6.0〜6.2(1H).
1.0g(4.4mmol)の(2Z)−2−(2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアセトアミドを、8mlのエタノール性ジメチルアミン溶液(33%)に溶解し、室温で15分間撹拌した。続いて濃縮乾固を行い、0.95g(99%)のN−(2−ヒドロキシエチル)−N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミドが得られた。
IR(実測値,cm−1):3401,2935,1720,1626,1490,1448,1401,1359,1297,1261,1208,1110,1074,1047,950,880,863,806,773,719.
ケト形:
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ[ppm]=2.8〜3.1(9H),3.3〜3.5(4H),3.9〜4.0(2H),4.9(1H).
試験法:
本発明によるFe錯体を通して達成することができる優れたFe利用を、以下のマウスモデルを用いて測定した。
(各場合で、1物質当たり6匹の動物を用いた。6匹の動物を用いた陰性群(水)が存在し、同様に陽性群としてFeSOを、6匹の動物とともに用いた。)
雄NMRI(SPF)マウス(約3週齢)に低鉄食(約5ppmの鉄)を約3週間与えた。次いで、胃管を用いて(2mg鉄/体重1kg/1日)、鉄錯体をこれらのマウスに2日の中断を含む5日間、2回(1〜5日及び8〜12日)投与した。15日における利用を、以下の式にしたがってヘモグロビン増加及び体重増加から計算した。
Figure 0006172691
=[(Hb2(3)×BW9(14)−Hb×BW)×0.07×0.0034−(Hb2(3)対照×BW9(14)対照−Hb1対照×BW4対照)×0.07×0.0034]×100/Fe Dos.
=[(Hb2(3)×BW9(14)−Hb×BW)×0.000238−(Hb2(3)対照×BW9(14)対照−Hb1対照×BW4対照)×0.000238]×100/Fe Dos.
=(Hb2(3)×BW9(14)−Hb×BW−Hb2(3)対照×BW9(14)対照+Hb1対照×BW4対照)×0.0238/Fe Dos.

0.07=血液70ml/体重1kg(BW)についての係数
0.0034=Fe0.0034g/Hb1gについての係数
Hb=1日目のヘモグロビンレベル(g/l)
Hb2(3)=8日目(又は15日目)のヘモグロビンレベル(g/l)
BW=1日目の体重(g)
BW9(14)=8日目(又は15日目)の体重(g)
Hb1対照=対照群における1日目の平均ヘモグロビンレベル(g/l)
Hb2(3)対照=対照群における8日目(又は15日目)の平均ヘモグロビンレベル(g/l)
BW4対照=対照群における1日目の平均体重(g)
BW9(14)対照=対照群における8日目(又は15日目)の平均体重(g)
Fe Dos.=5日間又は10日間にわたって投与した全鉄(mgFe)
Fe ut.=(Hb2(3)×BW9(14)−Hb×BW)×0.07×0.0034(mgFe)
Δ利用=利用した全鉄(試験群)−Fe ut.対照群、食餌から利用した(mgFe)
以下の表1は、実施例1の化合物の鉄利用を示しており、これを国際公開第11117225A1号パンフレットの実施例32の化合物で得られた対応する値と比較している。
Figure 0006172691
Figure 0006172691
以下の表は、国際公開第11117225号と比較した場合、構造変化が一般的に鉄利用の改善をもたらすことを示している。
Figure 0006172691
Figure 0006172691
測定された鉄利用値は鉄欠乏症と鉄欠乏性貧血の治療の指標に関する重要なパラメータを表す。というのは、このパラメータは鉄の吸収だけでなく、動物モデルで成長中の動物を用いる場合に特に重要となる体重と鉄摂取との間の関係も反映するからである。真に吸収及び使用された鉄についての値を表すヘモグロビン値のみを考慮する場合、動物の成長から生じる部分は考慮されないままとなるだろう。したがって、鉄利用及びヘモグロビンレベルは通常互いに相関するが、鉄利用がより正確な尺度となる。同様に測定可能な純粋な鉄血清レベルは体内に入る鉄の量について示すが、体によって使用され得る量については示さないので、その考察はあまり有用でない。
試験結果は、本発明の鉄錯体化合物が優れた鉄利用を有し、その結果としてこれらが鉄欠乏性貧血と関連する症状の治療のための薬剤として有用となることを証明している。
試験結果はさらに、本出願の実施例1による化合物が国際公開第11117225A1号パンフレットの実施例32と比較して顕著に改善した鉄利用を示すことを証明している。
pH依存性溶解度の比較:
この目的のために、一般的には鉄錯体中の鉄の量基準で0.4〜0.8mg/mlの濃度範囲の試験する一定量の鉄(III)錯体(試料重量)を、pH値を調整した(pH6.5)水性媒体(水)に入れ、25℃で指示された時間(4時間)撹拌した。フタル酸緩衝液(0.1m)を用いてpHを6.5に調整した。その後、鉄基準で溶液中の鉄含量(mg/ml)を測光法で測定した(キュベット:使い捨てキュベット1cm Plastibrand PS 2.5ml ISO認証9001 14001;装置:UV装置型SPECORD205 製造業者Jena Analytik)。この値は、鉄錯体の溶解度を表す。秤量した量の鉄錯体が完全に溶解した場合、測定値を接頭辞「>」によって示した。結果を以下の表2に示す。この表は、本発明による化合物が国際公開第11117225号パンフレットの実施例32の化合物よりも顕著に高い溶解度を示すことを示している。
本発明による鉄(III)錯体化合物は、好ましくは、上記のように測光法で測定される、鉄基準で少なくとも0.3mg/mlの、25℃及びpH6.5での水への溶解度を有する。好ましい鉄(III)錯体化合物は、鉄基準で少なくとも0.4mg/mlの、25℃及びpH6.5での水への溶解度を有する。特に好ましい鉄(III)錯体化合物は、鉄基準で少なくとも0.5mg/mlの、25℃及びpH6.5での水への溶解度を有する。
鉄(III)錯体化合物の優れた水溶解度は、改善した経口吸収の必要条件である。より優れた溶解度を有する経口薬剤は、より優れた鉄摂取をもたらす。事実上吸収が起こらないので、水不溶性化合物は、一般的に、経口投与に使用され得ない。
pH依存性溶解度の比較:
Figure 0006172691
調製実施例
実施例1
トリス−(N,N−ジメチル−2−オキソブタンジアミド)・鉄(III)錯体:
Figure 0006172691
1.75g(8.78mmol)の酢酸鉄(III)を160mlの94%エタノールに溶解し、5.01g(31.6mmol)のN,N−ジメチル−2−オキソブタンジアミドを添加し、還流下で1時間沸騰させた。得られた鉄錯体を4℃で析出させた。析出した鉄錯体をろ過し、真空下50℃で1日乾燥した。赤色固体として3.74g(収率81%)の生成物が得られた。
IR(実測値,cm−1):3437,3405,3153,2931,2323,1680,1594,1567,1498,1403,1352,1258,1171,1142,1058,1001,936,814,766,735,686.
元素分析:C41.17%,H5.2%,N15.9%.
Fe含量:10.3%[m/m].
2.トリス−(4−(モルホリン−4−イル)−2,4−ジオキソブタンアミド)・鉄(III)錯体
Figure 0006172691
0.60g(3.1mmol)の酢酸鉄(III)を150mlの94%エタノールに溶解し、2.00g(10.0mmol)の4−(モルホリン−4−イル)−2,4−ジオキソブタンアミドを添加した。還流下で沸騰させた。種結晶の添加後、最終的な鉄錯体を4℃で析出させ、ろ別した。生成物を高真空下50℃で1日乾燥した。1.1g(収率54%)の赤色固体の形態の生成物が得られた。
IR(実測値,cm−1):3608,3352,3135,2960,2918,2850,2324,2050,1981,1685,1570,1498,1460,1443,1373,1301,1273,1245,1145,1112,1050,1017,986,936,850,817,764,737,676.
元素分析:C42.71%,H5.7%,N11.94%.
Fe含量:8.3%[m/m].
3.トリス−(N,N−ジエチル−2−オキソブタンジアミド)・鉄(III)錯体
Figure 0006172691
0.13g(0.83mmol)の塩化鉄(III)を10mlの水に溶解し、0.50g(2.5mmol)のN,N−ジエチル−2−オキソブタンジアミドを添加した。室温で15分間撹拌し、その後、反応混合物をアイスバス中で冷却した。0.45g(3.3mmol)の酢酸ナトリウム三水和物を添加し、続いてアイスバス中でさらに15分間撹拌した。析出した鉄錯体をろ別し、高真空下50℃で一晩乾燥した。0.5g(収率92%)のオレンジ色固体の形態の生成物が得られた固体であった。
IR(実測値,cm−1):3458,3301,2975,2935,1681,1618,1566,1496,1453,1437,1376,1355,1307,1270,1215,1160,1078,1035,964,925,818,771,743,659.
元素分析:C46.31%,H6.5%,N13.56%.
Fe含量:9.1%[m/m].
4.トリス−(2,4−ジオキソ−4−(ピロリジン−1−イル)ブタンアミド)・鉄(III)錯体
Figure 0006172691
0.28g(1.4mmol)の酢酸鉄(III)を10mlのエチルアセテートに懸濁し、0.80g(4.3mmol)の2,4−ジオキソ−4−(ピロリジン−1−イル)ブタンアミドを添加した。反応混合物を50℃まで加熱した。その後、30mlのエチルアセテート及び20mlのエタノールを添加し、懸濁液を90℃まで加熱した。その後、反応混合物をアイスバス中で冷却した。析出した錯体をろ別し、3日間乾燥した。析出した錯体をろ別し、高真空下50℃で乾燥した。0.67g(収率62%)の赤色固体の形態の生成物が得られた。
IR(実測値,cm−1):3454,3367,3178,2968,2877,1685,1627,1560,1493,1474,1457,1367,1254,1225,1182,1134,1116,1059,1026,972,938,916,856,814,769,717,659.
元素分析:C47.45%,H5.6%,N13.32%.
Fe含量:8.8%[m/m].
5.トリス−(N,N,N’,N’−テトラメチル−2−オキソブタンジアミド)・鉄(III)錯体
Figure 0006172691
0.54g(3.3mmol)の塩化鉄(III)を20mlの水に溶解し、2.0g(10mmol)のN,N,N’,N’−テトラメチル−2−オキソブタンジアミドを添加した。室温で15分間撹拌し、その後、反応混合物をアイスバス中で冷却した。1.8g(13mmol)の酢酸ナトリウム三水和物を添加し、アイスバス中でさらに10分間撹拌した。水性反応混合物を50mlのクロロホルムで3回抽出した。合わせた有機相を回転エバポレータで濃縮乾固し、50mlのトルエンと共にさらに2回蒸発させた。鉄錯体を高真空下50℃で一晩乾燥した。1.6g(収率73%)の赤色固体の形態の生成物が得られた。
IR(実測値,cm−1):3496,2929,1634,1568,1486,1392,1354,1259,1203,1174,1118,1059,1006,962,900,811,771,710,665.
元素分析:C45.95%,H6.4%,N13.19%.
Fe含量:9.1%[m/m].
6.トリス−(4−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−2,4−ジオキソブタンアミド)・鉄(III)錯体
Figure 0006172691
144mg(0.734mmol)の酢酸鉄(III)を50mlのエタノールに懸濁し、471mg(2.20mmol)の4−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−2,4−ジオキソブタンアミドを添加した。反応混合物を還流下で1時間沸騰させた。60mlのトルエンを添加し、濃縮乾固した。残渣をエタノール/トルエン混合物(40ml/60ml)にさらに2回回収し、濃縮乾固した。残渣を高真空下50℃で乾燥した。0.5g(収率98%)の赤色固体の形態の生成物が得られた。
IR(実測値,cm−1):3445,3298,2946,2924,2324,2051,1981,1687,1666,1598,1561,1493,1448,1370,1262,1227,1138,1075,1050,1023,985,928,834,816,767,664.
元素分析:C46.26%,H5.8%,N11.60%.
Fe含量:7.7%[m/m].
7.トリス−(N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミド)・鉄(III)錯体
Figure 0006172691
0.784g(4.83mmol)の塩化鉄(III)を20mlの水に溶解し、2.55g(14.5mmol)のN,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミドを添加した。室温で15分間撹拌し、続いて反応混合物をアイスバス中で冷却した。2.16g(19.2mmol)の酢酸ナトリウム三水和物を添加し、アイスバス中で15分間撹拌した。析出した錯体をろ別し、高真空下50℃で一晩乾燥した。1.5g(収率53%)の橙色固体の形態の生成物が得られた。
IR(実測値,cm−1):3352,2934,2877,2324,1674,1598,1566,1504,1405,1356,1253,1176,1152,1063,992,980,961,930,896,847,813,769,748,736,706.
元素分析:C43.74%,H5.9%,N14.53%.
Fe含量:9.5%[m/m].
8.トリス−(N,N’−ジメチル−2−オキソブタンジアミド)・鉄(III)錯体
Figure 0006172691
242mg(1.49mmol)の塩化鉄(III)を10mlの水に溶解し、707mg(4.47mmol)のN,N’−ジメチル−2−オキソブタンジアミドを添加した。室温で15分間撹拌した。812mg(5.97mmol)の酢酸ナトリウム三水和物を添加し、さらに30分間撹拌した。析出した鉄錯体をろ別し、高真空下50℃で4日間乾燥した。587mg(収率74%)のオレンジ色固体の形態の生成物が得られた。
IR(実測値,cm−1):3334,3256,3129,2940,1673,1603,1546,1507,1407,1278,1239,1160,1139,1087,1028,963,897,817,800,777,724,691.
元素分析:C40.04%,H5.1%,N15.49%.
Fe含量:10.2%[m/m].
9.トリス−(N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミド)・鉄(III)錯体
Figure 0006172691
75mg(0.46mmol)の塩化鉄(III)を3mlの水に溶解し、239mg(1.39mmol)のN,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミドを添加した。室温で15分間撹拌し、252mg(1.85mmol)の酢酸ナトリウム三水和物を添加し、さらに30分間撹拌した。反応混合物を濃縮乾固し、残渣を20mlのクロロホルムに回収した。不要部分をろ別し、ろ液を濃縮乾固した。高真空下50℃で一晩乾燥し行った。純度78%の230mgの生成物が得られた。
IR(実測値,cm−1):3270,3118,2932,2051,1578,1491,1433,1395,1278,1192,1157,1123,1076,966,902,778.
元素分析:C41.89%,H6.1%,N11.20%.
Fe含量:7.7%[m/m].
10.トリス−(N,N−ジエチル−N,N−ジメチル−2−オキソブタンジアミド)・鉄(III)錯体
Figure 0006172691
0.49g(3.0mmol)の塩化鉄(III)を20mlの水に溶解し、2.0g(9.0mmol)のN,N−ジエチル−N,N−ジメチル−2−オキソブタンジアミドを添加した。室温で15分間撹拌し、続いて反応混合物をアイスバス中で冷却した。1.63g(11.8mmol)の酢酸ナトリウム三水和物を添加し、30分間撹拌した。反応混合物を50mlのクロロホルムで3回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。残渣を50mlのトルエンで3回ストリッピングして酢酸を除去した。残渣を高真空下50℃で一晩乾燥し、1.8g(83%)のワインレッド色固体の形態の生成物が得られた。
IR(実測値,cm−1):3481,2973,2933,2050,1636,1602,1563,1511,1487,1435,1392,1376,1357,1308,1274,1218,1198,1160,1120,1080,1036,964,929,887,808,789,767,707.
元素分析:C51.12%,H7.2%,N11.68%.
Fe含量:8.0%[m/m].
11.トリス−(N,N−ジメチル−3,4−ジオキソ−4−(ピロリジン−1−イル)ブタンアミド)・鉄(III)錯体
Figure 0006172691
0.48g(3.0mmol)の塩化鉄(III)を20mlの水に溶解し、2.0g(8.9mmol)のN,N−ジメチル−3,4−ジオキソ−4−(ピロリジン−1−イル)ブタンアミドを添加した。室温で15分間撹拌し、続いて反応混合物をアイスバス中で冷却した。1.61g(11.8mmol)の酢酸ナトリウム三水和物を添加し、さらに30分間撹拌した。反応混合物を50mlのクロロホルムで3回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。残渣を50mlのトルエンで3回ストリッピングした。残渣を高真空下50℃で一晩乾燥し、2.1g(97%)のワインレッド色固体の形態の生成物が得られた。
IR(実測値,cm−1):3465,2949,2875,2324,2051,1694,1605,1563,1504,1402,1357,1294,1255,1225,1162,1061,1012,980,960,920,896,850,809,762,705.
元素分析:C51.51%,H6.4%,N11.73%.
Fe含量:8.1%[m/m].
12.トリス−(N−[2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチル]−N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミド)・鉄(III)錯体
Figure 0006172691
0.40g(2.5mmol)の塩化鉄(III)を20mlの水に溶解し、3mlのエタノールに溶解した2.0g(7.5mmol)のN−[2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチル]−N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミドを添加した。室温で15分間撹拌し、1.4g(9.9mmol)の酢酸ナトリウム三水和物を添加し、さらに30分間撹拌した。反応混合物を50mlのクロロホルムで3回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。残渣を50mlのトルエンで2回ストリッピングした。高真空下50℃で一晩乾燥し、2.1g(98%)の赤色固体の形態の生成物が得られた。
IR(実測値,cm−1):3453,2933,2324,2164,2051,1981,1628,1566,1510,1485,1395,1364,1335,1298,1254,1218,1143,1112,1060,1039,964,905,825,808,763,713,668.
元素分析:C46.06%,H6.8%,N14.46%.
Fe含量:6.2%[m/m].
13.トリス−(N−(2−メトキシエチル)−N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミド)・鉄(III)錯体
Figure 0006172691
0.44g(2.7mmol)の塩化鉄(III)を20mlの水に溶解し、1.9g(8.1mmol)のN−(2−メトキシエチル)−N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミドを添加した。室温で15分間撹拌し、1.47g(10.8mmol)の酢酸ナトリウム三水和物を添加し、さらに20分間撹拌した。反応混合物を50mlのクロロホルムで3回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。残渣を50mlのトルエンで2回ストリッピングした。乾燥を高真空下50℃で3日間行った。純度80%の1.8gの生成物が得られた。
IR(実測値,cm−1):3487,2929,1719,1635,1602,1564,1514,1486,1391,1359,1302,1261,1197,1164,1112,1064,1033,1004,964,906,889,827,807,770,713,664.
元素分析:C48.17%,H6.9%,N10.98%.
Fe含量:6.0%[m/m].
14.トリス−(N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチル−2−オキソブタンジアミド)・鉄(III)錯体
Figure 0006172691
358mg(2.20mmol)の塩化鉄(III)を16mlの水に溶解し、1.43g(6.61mmol)のN−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチル−2−オキソブタンジアミドを添加した。室温で15分間撹拌し、1.20g(8.82mmol)の酢酸ナトリウム三水和物を添加し、さらに30分間撹拌した。反応混合物をクロロホルムで5回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。残渣を50mlのトルエンで2回ストリッピングした。高真空下50℃で3日間乾燥した。純度83%の1.39gの生成物が得られた。
IR(実測値,cm−1):3274,3119,2930,1720,1622,1569,1523,1491,1437,1393,1273,1193,1118,1085,1025,962,861,777,721,691.
元素分析:C45.27%,H6.5%,N11.64%.
Fe含量:6.6%[m/m].
15.トリス−(エチル−N−[4−(ジメチルアミノ)−3,4−ジオキソブタノイル]−N−メチルグリシネート)・鉄(III)錯体
Figure 0006172691
237mg(1.46mmol)の塩化鉄(III)を16mlの水に溶解し、1.13g(4.38mmol)のエチル−N−[4−(ジメチルアミノ)−3,4−ジオキソブタノイル]−N−メチルグリシネートを添加した。室温で15分間撹拌し、794mg(5.84mmol)の酢酸ナトリウム三水和物を添加し、さらに30分間撹拌した。反応混合物をクロロホルムで5回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。残渣を50mlのトルエンで2回ストリッピングした。高真空下50℃で3日間乾燥し、860mg(71%)の生成物が得られた。
IR(実測値,cm−1):3468,2936,2324,2051,1981,1739,1634,1603,1563,1515,1487,1444,1392,1362,1294,1256,1195,1149,1113,1044,1022,964,905,861,817,764,707,667.
元素分析:C46.67%,H6.1%,N9.80%.
Fe含量:6.6%[m/m].
16.トリス−(N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチル−2−オキソブタンアミド)・鉄(III)錯体
Figure 0006172691
0.49g(3.0mmol)の塩化鉄(III)を10mlの水に溶解し、2.0g(9.1mmol)のN−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチル−2−オキソブタンアミドを添加した。撹拌を室温で15分間撹拌し、続いて反応混合物をアイスバス中で冷却した。1.66g(12.2mmol)の酢酸ナトリウム三水和物を添加し、さらに15分間撹拌した。反応混合物をクロロホルムで3回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。残渣を50mlのトルエンで2回ストリッピングした。高真空下50℃で一晩乾燥した。1.5g(70%)の赤色固体の形態の生成物が得られた。
IR(実測値,cm−1):3397,2929,2885,1671,1619,1580,1516,1480,1403,1353,1259,1173,1149,1117,1088,1026,1001,941,901,881,815,769,734.
元素分析:C44.99%,H6.6%,N11.43%.
Fe含量:7.7%[m/m].
17.トリス−(エチル−N−[4−(ジメチルアミノ)−2,4−ジオキソブタノイル]−N−メチルグリシネート)・鉄(III)錯体
Figure 0006172691
0.21g(1.3mmol)の塩化鉄(III)を10mlの水に溶解し、1.02g(3.8mmol)のエチル−N−[4−(ジメチルアミノ)−2,4−ジオキソブタノイル]−N−メチルグリシネートを添加した。室温で15分間撹拌し、続いて反応混合物をアイスバス中で冷却した。0.71g(5.2mmol)の酢酸ナトリウム三水和物を添加し、さらに15分間撹拌した。反応混合物を50mlのクロロホルムで3回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。残渣を50mlのトルエンで2回ストリッピングした。高真空下50℃で一晩乾燥した。0.9g(82%)の赤色油の形態の生成物が得られた。
IR(実測値,cm−1):3485,2981,2936,1738,1641,1601,1571,1508,1477,1444,1397,1357,1297,1258,1199,1176,1105,1027,989,951,905,865,814,766,723,662.
元素分析:C47.10%,H6.7%,N9.11%.
Fe含量:6.6%[m/m].
18.トリス−(N−[2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチル]−N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミド)・鉄(III)錯体
Figure 0006172691
0.11g(0.70mmol)の塩化鉄(III)を10mlの水に溶解し、0.1mlのエタノールに溶解した0.54g(2.1mmol)のN−[2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチル]−N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミドを添加した。撹拌を室温で15分間撹拌し、0.38g(2.8mmol)の酢酸ナトリウム三水和物を添加し、さらに15分間撹拌した。反応混合物を50mlのクロロホルムで5回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。残渣を50mlのトルエンで2回ストリッピングした。乾燥を高真空下50℃で一晩乾燥した。純度85%の0.52gの生成物が得られた。
IR(実測値,cm−1):3455,2934,1779,1630,1572,1508,1479,1398,1357,1303,1259,1178,1152,1106,1060,1027,989,945,905,823,804,765,720.
元素分析:C43.02%,H6.9%,N13.05%.
Fe含量:5.8%[m/m].
19.トリス−(エチル−N−[4−(ジメチルアミノ)−2,4−ジオキソブタノイル]グリシネート)・鉄(III)錯体
Figure 0006172691
97mg(0.60mmol)の塩化鉄(III)を10mlの水に溶解し、459mg(1.80mmol)のエチル−N−[4−(ジメチルアミノ)−2,4−ジオキソブタノイル]グリシネートを添加した。撹拌を室温で15分間撹拌し、続いて反応混合物をアイスバス中で冷却した。327mg(2.40mmol)の酢酸ナトリウム三水和物を添加し、さらに20分間撹拌した。析出した固体をろ別し、高真空下50℃で一晩乾燥した。0.35g(71%)のオレンジ色固体の形態の生成物が得られた。
IR(実測値,cm−1):3396,3317,2983,2938,2289,2051,1760,1743,1723,1668,1625,1588,1483,1428,1406,1361,1280,1256,1201,1178,1095,1061,1022,994,931,873,853,822,770,751.
元素分析:C44.88%,H5.9%,N10.4%.
Fe含量:6.8%[m/m].
20.トリス−(N−(2−メトキシエチル)−N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミド)・鉄(III)錯体
Figure 0006172691
0.46g(2.8mmol)の塩化鉄(III)を20mlの水に溶解し、2.0g(8.5mmol)のN−(2−メトキシエチル)−N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミドを添加した。室温で15分間撹拌し、続いて反応混合物をアイスバス中で冷却した。1.5g(11mmol)の酢酸ナトリウム三水和物を添加し、さらに20分間撹拌した。反応混合物を50mlのクロロホルムで3回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。残渣を50mlのトルエンで2回ストリッピングした。高真空下50℃で一晩乾燥した。2.0g(93%)の赤色固体の形態の生成物が得られた。
IR(実測値,cm−1):3492,2929,1633,1605,1568,1510,1479,1449,1427,1398,1354,1287,1260,1200,1175,1108,1067,1006,977,938,904,892,827,809,769,712,662.
元素分析:C48.06%,H7.0%,N11.0%.
Fe含量:6.9%[m/m].
21.トリス−(N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミド)・鉄(III)錯体
Figure 0006172691
0.20g(1.0mmol)の酢酸鉄(III)を10mlのエチルアセテートに懸濁し、0.65g(3.0mmol)のN−(2−ヒドロキシエチル)−N,N,N−トリメチル−2−オキソブタンジアミドを添加した。反応混合物を50℃まで加熱し、20mlのエタノールを添加した。20分間撹拌し、反応混合物を濃縮乾固した。残渣をエタノール/トルエン混合物(5ml/50ml)に2回回収し、濃縮乾固した。残渣を高真空下50℃で乾燥した。0.7g(収率99%)の赤色固体の形態の生成物が得られた。
IR(実測値,cm−1):3380,2931,1621,1604,1567,1516,1485,1441,1396,1358,1298,1260,1207,1117,1051,1013,964,940,906,889,860,805,770,713,663.
元素分析:C44.50%,H6.7%,N10.85%.
Fe含量:8.3%[m/m].

Claims (21)

  1. 式(I)で表される少なくとも1つのリガンドを含む鉄(III)−2−オキソ−ブタンジアミド錯体化合物又はその薬学的に許容可能な塩の、鉄欠乏症候群と鉄欠乏性貧血の治療及び予防用の薬剤の調製のための使用:
    Figure 0006172691
    式中、
    矢印は、それぞれ、1つの又は異なる鉄原子と結合する配位結合を示し、
    とRは、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、置換されてもよいアルキル及び置換されてもよいシクロアルキルからなる群から選択され、前記アルキル基は、1つ又は2つの炭素原子が酸素で置換されていてもよく、又は
    とRは、窒素原子と共に結合して、置換されてもよい3員環から6員環を形成し、この環はさらに1つのヘテロ原子を含んでいてもよく、
    とRは、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、置換されてもよいアルキル及び置換されてもよいシクロアルキルからなる群から選択され、前記アルキル基は、1つ又は2つの炭素原子が酸素で置換されていてもよく、又は
    とRは、窒素原子と共に結合して、置換されてもよい3員環から6員環を形成し、この環はさらに1つのヘテロ原子を含んでいてもよい。
  2. 前記式(I)で表される少なくとも1つのリガンドにおいて、
    Figure 0006172691
    式中、矢印は、それぞれ、1つの又は異なる鉄原子と結合する配位結合を示し、
    とRは、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル及びt−ブチルからなる群から選択され、前記アルキル基は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル(HNCO−)、モノアルキルアミノカルボニル及びジアルキルアミノカルボニルからなる群から選択される置換基で置換されてもよく、又は
    とRは、窒素原子と共に結合して、置換されてもよい5員環から6員環を形成し、この環はさらに1つのヘテロ原子を含んでいてもよく、
    とRは、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、置換されてもよいアルキル及び置換されてもよいシクロアルキルからなる群から選択され、前記アルキル基は、1つ又は2つの炭素原子が酸素で置換されていてもよく、又は
    とRは、窒素原子と共に結合して、置換されてもよい3員環から6員環を形成し、この環はさらに1つのヘテロ原子を含んでいてもよい
    請求項1に記載の使用。
  3. 前記式(I)で表される少なくとも1つのリガンドにおいて、
    Figure 0006172691
    式中、矢印は、それぞれ、1つの又は異なる鉄原子と結合する配位結合を示し、
    とRは、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル及びt−ブチルからなる群から選択され、前記アルキル基は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル(HNCO−)、モノアルキルアミノカルボニル及びジアルキルアミノカルボニルからなる群から選択される置換基で置換されてもよく、又は
    とRは、窒素原子と共に結合して、ピロリジニルを形成し、
    とRは、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、アルキル及びシクロアルキルからなる群から選択され、前記アルキルとシクロアルキルは、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル(HNCO−)、モノアルキルアミノカルボニル及びジアルキルアミノカルボニルからなる群から選択される置換基で置換されてもよく、又は
    とRは、窒素原子と共に結合して、モルホリニル又はピロリジニルを形成し、前記環はヒドロキシで置換されていてもよい
    請求項1又は2に記載の使用。
  4. 前記式(I)で表される少なくとも1つのリガンドにおいて、
    Figure 0006172691
    式中、矢印は、それぞれ、1つの又は異なる鉄原子と結合する配位結合を示し、
    とRは、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル及びt−ブチルからなる群から選択され、
    とRは、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、置換されてもよいアルキル及び置換されてもよいシクロアルキルからなる群から選択され、前記アルキル基は、1つ又は2つの炭素原子が酸素で置換されていてもよく、又は
    とRは、窒素原子と共に結合して、置換されてもよい3員環から6員環を形成し、この環はさらに1つのヘテロ原子を含んでいてもよい
    請求項1又は2に記載の使用。
  5. 前記式(I)で表される少なくとも1つのリガンドにおいて、
    Figure 0006172691
    式中、矢印は、それぞれ、1つの又は異なる鉄原子と結合する配位結合を示し、
    とRは、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素およびメチルからなる群から選択され、
    とRは、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、置換されてもよいアルキル及び置換されてもよいシクロアルキルからなる群から選択され、前記アルキル基は、1つ又は2つの炭素原子が酸素で置換されていてもよい
    請求項1又は4に記載の使用。
  6. 前記鉄(III)−2−オキソ−ブタンジアミド錯体化合物が下記式(II)で表される請求項1から5のいずれかに記載の使用:
    Figure 0006172691
    式中、R、R、R及びRは、上記の通りである。
  7. 式中、
    とRはそれぞれ水素であり、
    とRは、同じでも異なってもよく、メチル及びエチルからなる群から選択される
    請求項1および4〜6のいずれかに記載の使用。
  8. 前記鉄(III)−2−オキソ−ブタンジアミド錯体化合物が下記の群から選択される、請求項1から7のいずれかに記載の使用。
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    および
    Figure 0006172691
  9. 前記鉄(III)−2−オキソ−ブタンジアミド錯体化合物が下記の群から選択される、請求項1から8のいずれかに記載の使用。
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    および
    Figure 0006172691
  10. 前記鉄(III)−2−オキソ−ブタンジアミド錯体化合物が下記の群から選択される、請求項1から8のいずれかに記載の使用。
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    および
    Figure 0006172691
  11. 前記鉄(III)−2−オキソ−ブタンジアミド錯体化合物が、鉄基準で少なくとも0.3mg/mlの、25℃及びpH6.5での水への溶解度を有する、請求項1から10のいずれかに記載の使用。
  12. 請求項1から11のいずれかに定義される前記鉄(III)−2−オキソ−ブタンジアミド錯体化合物の、鉄欠乏症候群と鉄欠乏性貧血の症状の治療及び予防用の薬剤の調製のための使用。
  13. 前記症状が疲労、気力低下、集中力欠如、認知能力低下、正しい言葉を見い出すことの困難さ、忘れやすさ、不自然な青白さ、易刺激性、動悸促進(頻脈)、舌の痛み又は腫れ、脾臓拡大、奇妙なものへの食欲(異食症)、頭痛、食欲不振、感染し易さ、抑鬱感を含む、請求項12に記載の使用。
  14. 妊婦の鉄欠乏性貧血、子供と青年の潜在的な鉄欠乏性貧血、胃腸疾患により引き起こされる鉄欠乏性貧血、胃腸出血(例えば、潰瘍、がん、痔、炎症、アセチルサリチル酸の摂取に起因する)等の失血により引き起こされる鉄欠乏性貧血、月経により引き起こされる鉄欠乏性貧血、怪我により引き起こされる鉄欠乏性貧血、スプルーにより引き起こされる鉄欠乏性貧血、食事による鉄摂取の低下(特に偏食な子供と青年)による鉄欠乏性貧血、鉄欠乏性貧血により引き起こされる免疫不全、鉄欠乏性貧血により引き起こされる脳機能障害、鉄欠乏性貧血により引き起こされるむずむず脚症候群、がんの鉄欠乏性貧血、化学療法により引き起こされる鉄欠乏性貧血、炎症により誘発される鉄欠乏性貧血(Al)、鬱血性心機能不全(CHF;鬱血性心不全)の鉄欠乏性貧血、慢性腎不全ステージ3〜5(CDK 3〜5;慢性腎疾患ステージ3〜5)の鉄欠乏性貧血、慢性炎症(ACD)により誘発される鉄欠乏性貧血、関節リウマチ(RA)の鉄欠乏性貧血、全身性エリテマトーデス(SLE)の鉄欠乏性貧血、炎症性腸疾患(IBD)の鉄欠乏性貧血、ヘモグロビンレベルが正常範囲の鉄欠乏の治療及び予防のための、請求項1〜13のいずれかに記載の使用。
  15. 前記薬剤が経口投与用である請求項1から14のいずれかに記載の使用。
  16. 前記経口投与用の薬剤が、錠剤又はカプセルの形態である請求項15に記載の使用。
  17. 式(I)で表される少なくとも1つのリガンドを含む鉄(III)−2−オキソ−ブタンジアミド錯体化合物を含有する、鉄欠乏症候群、鉄欠乏性貧血及びその症候群の治療及び予防に使用するための薬剤
    Figure 0006172691
    式中、
    矢印は、それぞれ、1つの又は異なる鉄原子と結合する配位結合を示し、
    とR は、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、置換されてもよいアルキル及び置換されてもよいシクロアルキルからなる群から選択され、前記アルキル基は、1つ又は2つの炭素原子が酸素で置換されていてもよく、又は
    とR は、窒素原子と共に結合して、置換されてもよい3員環から6員環を形成し、この環はさらに1つのヘテロ原子を含んでいてもよく、
    とR は、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、置換されてもよいアルキル及び置換されてもよいシクロアルキルからなる群から選択され、前記アルキル基は、1つ又は2つの炭素原子が酸素で置換されていてもよく、又は
    とR は、窒素原子と共に結合して、置換されてもよい3員環から6員環を形成し、この環はさらに1つのヘテロ原子を含んでいてもよい
  18. 前記鉄(III)−2−オキソ−ブタンジアミド錯体化合物が下記の群から選択される、請求項17に記載の薬剤。
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    および
    Figure 0006172691
  19. 少なくとも1種の生理学的に許容可能な担体又は賦形剤をさらに含有する、請求項17又は18に記載の薬剤。
  20. 鉄代謝に作用する少なくとも1種のさらなる薬剤と組み合わせて、式(I)で表される少なくとも1つのリガンドを含む鉄(III)−2−オキソ−ブタンジアミド錯体化合物を含有する、鉄欠乏症候群と鉄欠乏性貧血の治療及び予防に使用するための組成物
    Figure 0006172691
    式中、
    矢印は、それぞれ、1つの又は異なる鉄原子と結合する配位結合を示し、
    とR は、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、置換されてもよいアルキル及び置換されてもよいシクロアルキルからなる群から選択され、前記アルキル基は、1つ又は2つの炭素原子が酸素で置換されていてもよく、又は
    とR は、窒素原子と共に結合して、置換されてもよい3員環から6員環を形成し、この環はさらに1つのヘテロ原子を含んでいてもよく、
    とR は、同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、置換されてもよいアルキル及び置換されてもよいシクロアルキルからなる群から選択され、前記アルキル基は、1つ又は2つの炭素原子が酸素で置換されていてもよく、又は
    とR は、窒素原子と共に結合して、置換されてもよい3員環から6員環を形成し、この環はさらに1つのヘテロ原子を含んでいてもよい
  21. 前記鉄(III)−2−オキソ−ブタンジアミド錯体化合物が下記の群から選択される、請求項20に記載の組成物。
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
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    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    Figure 0006172691
    および
    Figure 0006172691
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