以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について更に詳細に説明する。図面には本発明の好適な実施形態が示されているが、本発明は、各種形式にて実現可能であり、これらの実施形態に制限されるものではない。これらの実施形態は、本発明をより明確かつ完全に開示するために提供されたものであり、当業者は本発明を閲読後、本発明に開示されていない他の実施形態も本発明の範囲内のものとなることが明白に分かる。
図1は、本発明における車輌システムの略図である。
図1において、例えば、車輌には、車輌通行時に(例えば、図1に図示された)左画像と右画像を撮像するように、双眼カメラが搭載されている。撮像された左画像と右画像からは、視差図が生成される。ここで、撮像された左画像と右画像からの視差図の生成方法は、当業者に公知のものであるため、詳細の説明は割愛する。これにより、所定の時間間隔(例えば、25フレーム/秒の場合は、1/25の間隔)にてこのような撮像を行い、生成された2つまたはそれ以上の視差図が処理手段に入力されるようにし、道路上の通行人や車輌等の対象の、該所定時間(たとえば、1/25秒)の間の追跡マッチング関係を判定し、換言すると、道路上の通行人や車輌等の対象の、該所定時間(たとえば、1/25秒)後の追跡可否を判定する。
もちろん、車輌への本発明の対象追跡方法及びシステムの適用は、一例に過ぎない。例えば、交通監視、マシンビジョンのナビゲーション、工業製品検知、医療診断、仮想現実等の実際に需要に応じて、他の対象物に本発明の対象追跡方法及びシステムを適用し、対象追跡及び位置特定の目的を達成してもよい。
図2は、車輌の方向変換や、路面凹凸による揺れ時に撮像された視差図における対象の画像位置変化を示した図である。
背景技術に記載したように、現実には、車輌の方向変換や、路面凹凸による揺れ時に撮像された視差図における対象の画像位置に大きな変化が生じることがある。図2に示されたように、図2の上部には、現フレームの視差図が示され、上部左側の円で囲まれた部分を追跡対象と仮定する。図2の下部に示されたように、車輌の右折時、追跡の対象が左側に一定の距離分ずれていることが分かる。この場合、従来技術における対象の深度を用いた技術では、該対象の追跡を正確に行うことができない。
一方、本発明の実施例においては、前述の場合においても優れた対象追跡効果が得られる。
図3は、本発明の1実施例による、視差図における対象追跡方法のフローチャートである。
該対象追跡方法は、第1視差図における1つまたは複数の第1検知対象を検知するとともに、各第1検知対象の位置を取得する第1検知ステップS301と、各第1検知対象の位置を、第1視差図における第1所定基準点の座標による各第1検知相対位置に変換する第1変換ステップS302と、各第1検知相対位置と各第1検知対象の所定移動方向と所定移動速度により、第2視差図における各第1検知対象に対応する各第1推定対象の推定位置を推定する推定ステップS303と、第2視差図における1つまたは複数の第2検知対象を検知するとともに、各第2検知対象の位置を取得する第2検知ステップS304と、各第2検知対象の位置を、第2視差図における第2所定基準点の座標による各第2検知相対位置に変換する第2変換ステップS305と、各第1推定対象の推定位置と、前記各第2検知対象の第2検知相対位置により、各第1推定対象に対応する各第1検知対象の各第2検知対象との追跡マッチング関係を決定する決定ステップS306を有している。
1実施例においては、前記決定ステップが、マッチングしていない前記各第1推定対象の推定位置と、マッチングしていない各第2検知対象の第2検知相対位置間の最小距離を算出し、該算出した最小距離が所定閾値未満になると、該第1推定対象に対応する第1検知対象と、最小距離を有する第2検知対象とがマッチングするものと判定するステップをさらに有してもよい。
例えば、通常、追跡対象と、双眼カメラが搭載された車輌の相対通行速度が、最大で60km/h(例えば、60〜120km/hとマークされた車道の場合)であると仮定すると、所定時間間隔(例えば、1/25秒)内、最大速度と時間間隔の乗算により、追跡対象が該期間中に、車輌に対して行進した最大距離が約6mであることが得られる。この場合、前記所定閾値を6mに設定することができる。これにより、推定対象と検知対象との距離が6mを超えた場合は、推定対象と検知対象がマッチングする追跡対象となる確率が極めて小さくなり、両者はマッチングしていないものと見なすことができる。一方、推定対象と検知対象との距離が6m未満になる場合は、マッチングするものと見なすことができる。
もちろん、前記所定閾値は、最大相対行進速度による設定に限らず、経験値により設定してもよく、データ統計により設定してもよいが、これらに限られるものではない。
前記第1視差図における第1所定基準点と第2視差図における第2所定基準点は、互いに関連するものであってもよく、かつ同一の物理的意味を示すものであってもよい。例えば、該第1所定基準点と第2所定基準点は、道路の消失点であってもよいが、これに限らず、例えば、太陽の点等、他の同一の物理的意味を有する点であってもよい。
1実施例において、前記第1所定基準点の座標は、第1視差図における道路の消失点の横座標と縦座標のうちの少なくともいずれかを含んでもよく、かつ前記第2所定基準点の座標は、第2視差図における同一道路の消失点の横座標と縦座標のうちの少なくともいずれかを含んでもよい。
換言すると、該第1所定基準点や第2所定基準点を考慮する場合は、単にこれらの完全な正確な位置を考慮するものではない。例えば、車輌の左右折をメインに考える場合は、これらの所定の基準点の位置の横座標がより重要なものとなり、これらの所定の基準点の位置の横座標のみ用いてもよく、同様の理由から、車輌の上下揺れをメインに考える場合は、これらの所定の基準点の位置の縦座標がより重要なものとなり、これらの所定の基準点の位置の縦座標のみ用いてもよく、同様の理由から、車輌の左右折及び車輌の上下揺れを同時に考える場合は、これらの所定の基準点の位置の横座標と縦座標を同時に用いることができる。
一定の時間間隔で、視差図を2回撮像した場合の2つの所定の基準点により、2回撮像した視差図をそれぞれ該2つの所定の基準点による視差図に変換することで、対象の追跡関係の判定時の、撮像した視差図に対する、車輌の左右折及び/または上下揺れによる、ずれの影響を解消することができる。
1実施例において、前記第1検知ステップでは、さらに、第1検知対象のサイズを得ることができ、各第1検知対象のサイズが各第1推定対象の第1推定サイズとなり、かつ、第2検知ステップでは、さらに、各第2検知対象のサイズを得ることができる。
例えば、このようなサイズは、対象の幅、高さ、深度を含むことで、立体サイズを表すことができる。
1実施例においては、前記決定ステップが、各第1推定対象の推定位置とサイズ及び各第2検知対象の第2検知相対位置とサイズにより、各第1推定対象の各第2検知対象の追跡マッチング関係を判定することができる。
対象のサイズをも、追跡マッチング関係の判定時の1条件とすると、対象のマッチング有無をより正確に判定することができる。
1実施例においては、前記決定ステップが、各第1推定対象の推定位置とサイズ及び各第2検知対象の第2検知相対位置とサイズにより、各第1推定対象の各第2検知対象との水平面における重畳面積を算出し、1つの第1推定対象の1つの第2検知対象との前記水平面における重畳面積が最大になると、該第1推定対象に対応する第1検知対象と前記1つの第2検知対象とがマッチングするものと判定するステップを含むことができる。
各第1推定対象の各第2検知対象との水平面における重畳面積の算出は、各対象の幅と深度のみ考慮し、高さは考慮しないことを意味するものであってもよい。
1実施例においては、前記決定ステップが、1つの第1推定対象の2つ以上の第2検知対象との前記水平面における重畳面積のいずれも最大になると、該第1推定対象の2つ以上の第2検知対象との深度面における重畳面積を算出し、該第1推定対象の前記2つ以上の第2検知対象のいずれかとの深度面における重畳面積が最大になると、該第1推定対象に対応する第1検知対象と前記2つ以上の第2検知対象のいずれかがマッチングするものと判定するステップを含むようにしてもよい。
各第1推定対象の各第2検知対象との深度面における重畳面積の算出は、各対象の幅と高さのみ考慮し、深度は考慮しないことを意味するものであってもよい。
1実施例において、前記決定ステップが、マッチングしていない前記各第1推定対象の推定位置と、マッチングしていない各第2検知対象の第2検知相対位置間の最小距離を算出し、該算出した最小距離が所定閾値未満になると、該第1推定対象に対応する第1検知対象と、最小距離を有する第2検知対象とがマッチングするものと判定するステップをさらに含むことができる。
この時、水平面と深度面における重畳面積による対象マッチングの判定ステップ後も、マッチング対象が検知されない場合は、以下のステップを実施する。
例えば、通常、例えば、追跡対象の、例えば双眼カメラが搭載された車輌との相対行進速度が最大で60 km/h(例えば、60-120km/h とマークされた車道において)であると、所定の時間間隔(例えば、1/25秒)内で、最大速度に時間間隔を乗算することにより、追跡対象の該期間における、車輌に対して行進した最大距離が略6mであることが得られる。この場合、前記所定の閾値は、6mに設定することができる。すると、推定対象の検知対象との距離が6mを超えた場合は、推定対象が検知対象とはマッチングする追跡対象である確率が極めて小さくなり、両者はマッチングしないものと認定することができる。
換言すると、1実施例において、前記所定の閾値は、前記第1推定対象に対応する第1検知対象の最大移動速度によって決められるものであってもよい。
ここで、本文における対象の移動速度、移動方向、移動距離等は、いずれも視差図を撮像するための物体(例えば、双眼カメラ)との相対移動速度、移動方法、移動距離となる。
1実施例において、前記決定ステップは、1つの第1検知対象がいずれかの第2検知対象とマッチングしていないと、該第1検知対象が第2視差図から消失したと判定し、1つの第2検知対象がいずれかの第1検知対象とマッチングしていないと、該第2検知対象が第2視差図では新規対象であると判定する。
このように、第2視差図における1対象が第1視差図における既存の対象とマッチングしていると、第2視差図において第1視差図に既存の対象を追跡したことになり、第2視差図における1対象が第1視差図に既存の対象にマッチングしていないと、これらの対象が第2視差図に新たに出現した対象となり、第1視差図に既存の1対象が第2視差図にマッチングするものがないと、これらの対象が第2視差図から消失したことになる。
1実施例において、本方法では、各第1検知対象と各第2検知対象間の追跡マッチング関係の判定後、各第1検知対象の第1相対検知位置と、該位置にマッチングする各第2検知対象の第2相対検知位置により、各第1検知対象の所定の移動方向と所定の移動速度を補正し、それにマッチングする各第2検知対象の所定の移動方向と所定の移動速度とする。
このように、第1視差図における各対象と第2視差図における各対象のマッチング関係が得られると、マッチングする対象の該所定時間間隔における、例えば双眼カメラが搭載された車輌に対する移動距離が得られ、マッチングする各対象の移動方向と移動速度を補正することで、次の所定の時間間隔の期間中に、補正された移動方向と移動速度に応じて各対象の該車両に対する移動距離を算出し、次の所定時間間隔後の各対象の車両に対する位置を推定できるようになる。このように、繰り返し次の所定時間間隔期間中の各対象の追跡を継続することができる。
このように、本発明の実施例においては、対象追跡を正確に行うことが可能になる。
図4は、本発明の他の実施例による、視差図における対象追跡システム400のブロック図である。
該対象追跡システム400は、第1視差図における1つまたは複数の第1検知対象を検知するとともに、各第1検知対象の位置を取得する第1検知装置401と、各第1検知対象の位置を、第1視差図における第1所定基準点の座標による各第1検知相対位置に変換する第1変換装置402と、各第1検知相対位置と各第1検知対象の所定移動方向と所定移動速度により、第2視差図における各第1検知対象に対応する各第1推定対象の推定位置を推定する推定装置403と、第2視差図における1つまたは複数の第2検知対象を検知するとともに、各第2検知対象の位置を取得する第2検知装置404と、各第2検知対象の位置を、第2視差図における第2所定基準点の座標による各第2検知相対位置に変換する第2変換装置405と、各第1推定対象の推定位置と前記各第2検知対象の第2検知相対位置により、各第1推定対象に対応する各第1検知対象の各第2検知対象との追跡マッチング関係を決定する決定装置と、を備えている。
もちろん、該対象追跡システム400は、さらに、前記対象追跡方法の他の各ステップにそれぞれ対応する装置を有してよいが、ここでは、詳細説明は割愛する。
このように、本発明の実施例においては、正確な対象追跡を行うことが可能になる。
以下、具体的な例により、本発明の対象追跡方法の各ステップについて、さらに詳細に説明する。
図5(a)〜5(c)は、双眼カメラにより、それぞれ第t−1フレーム、第tフレーム、第t+1フレームで撮像された(図の左側の)視差図と(図の右側の)階調図を示したものである。
車輌に搭載された双眼カメラが所定の時間間隔(例えば、1/25秒)で、第t-1フレーム、第tフレーム、第t+1フレームの3つのフレームを連続撮像したと仮定する。もちろん、異なる時間間隔で撮像してもよく、本発明は、該所定の時間間隔に制限されるものではなく、該所定の時間間隔は変化可能なものであってもよいが、本公開においては、説明の便宜上、該所定の時間間隔は、固定のものと仮定し、これにより、対象の相対移動速度、方向から、対象の相対移動距離が求められ、次の時間間隔における対象の位置推定に用いられる。これについては、詳細に後述する。
次に、第t-1フレーム、第tフレーム、第t+1フレーム間の対象のマッチング及び追跡について、詳細に説明する。
図6(a)〜6(d)は、第t-1フレームにおける、検知された対象領域の、道路消失点による対象領域への変換を示す図である。
先ず、図6(a)は、第t-1フレームにおける、検知された対象領域を示し、該対象領域は、図6(a)において、四角フレームでマークされている。検知された11の対象は、それぞれ図番1〜10で記されている。
ここで、視差図からの対象領域の1検知方法としては、同一出願人が2011年11月18日に中国特許庁へ提出した出願番号201110369183.0、名称「道路対象検知方法及びシステム」の現在未公開の特許出願により得られる。ここで、該特許出願を引用することにする。もちろん、当業者は、他の、または将来出現し得る対象検知方法を用いて、第t-1フレームからの対象検知を行ってもよい。
図6(b)は、第t-1フレームから検知された該11の対象の領域の詳細位置とサイズ(x (pixel), y(pixel), z (mm), w (mm), h(mm), l(mm))を示し、ここで、x、yは、該対象の左上コーナーの頂点の撮像画像中の横座標及び縦座標を表し、zは、該対象の深度を表し、即ち、該対象と撮像用の例えば双眼カメラ間の距離を表し、wは、該対象の幅を表し、hは、該対象の高さを表し、lは、該対象自身の深度を表している。このように、該x、y、zは、該対象の詳細位置を表し、該w、h、lは、該対象のサイズを表すことができる。
ここで、本発明においては、対象の詳細位置のみによる追跡を行ってもよく、詳細位置とサイズの両方による追跡を行ってもよいが(詳細は後述)、図6(b)においては、説明と理解の便宜上、これらの対象の領域の詳細位置とサイズの両方を示しているものの、本発明はこれに限られるものではない。
具体的に、例えば、対象0の領域が、(391, 494, 21455,495, 721, 609)であると、該対象0の左上コーナーの頂点の位置が、( x=391 (pixel), y=494(pixel),z=21455(mm))であり、かつ、該対象のサイズが、w=495(mm), h =721(mm), l=609(mm))であることになる。もちろん、本公開の図面には、対象の左上コーナーの位置のみが対象の位置と示されているが、当業者であれば、対象の中心点、右下コーナー頂点等の他の点の位置を対象の位置としてもよいことが容易に想到できる。なお、対象1、対象2、対象3、対象4、対象5、対象6、対象7、対象8、対象9、対象10のそれぞれの詳細位置及びサイズは、図6(b)に示されており、これらの詳細の説明は割愛する。
図6(c)は、第t-1フレームにおける道路消失点を示した例である。
前述したように、本発明の方法に用いられる所定の基準点は、必ず道路消失点である必要はなく、例えば、太陽を基準点にする等、他の物理的意味を有する点を用いてもよい。
ここで、道路消失点の取得方法は、同一出願人が2011年12月9日付にて中国特許庁へ提出した出願番号201110409269.1 、名称「視差情報による道路分割体検知方法」の現在未公開の特許出願、及び、2005年6月8日に発表されたZhencheng Hu、Francisco Lamosa、Keiichi Uchimura の、名称「U-V-disparity: an efficient algorithm for stereovision based scene analysis”(ISBN: 0-7695-2327-7)から得ることができ、ここで、これらの文献を引用することにする。もちろん、当業者は、他の、または将来出現し得る対象検知方法を用いて、第t-1フレーム中の道路消失点の横座標及び縦座標を取得してもよい。
図6(d)は、第t-1フレームから検知された対象領域を該道路消失点による対象領域に変換する例を示した図である。
前述のように、車輌の左右折をメインに考える場合は、これらの所定の基準点の位置の横座標がより重要なものとなり、これらの所定の基準点の位置の横座標のみ用いてもよく、同様の理由から、車輌の上下揺れをメインに考える場合は、これらの所定の基準点の位置の縦座標がより重要なものとなり、これらの所定の基準点の位置の縦座標のみ用いてもよく、同様の理由から、車輌の左右折及び車輌の上下揺れを同時に考える場合は、これらの所定の基準点の位置の横座標と縦座標を同時に用いることができる。
このため、ここでは、車輌の左右折現象が比較的によく見られ、かつそれによる対象のずれ距離が比較的に大きいことから、例として、道路消失点の横座標のみ考慮する。ここで、引用した出願番号201110409269.1の特許出願により得られる道路消失点の横座標は、xv=450 (pixel)となる。(もちろん、V−視差図から、即ち、画像座標系中のV座標方向における道路消失点を表すy座標、即ち、V−視差図における道路線の視差値0時のyの値を取得し、道路消失点の縦座標としてもよい。ここで、本公開においては、道路消失点の横座標の取得を例に説明したが、これに限られるものではない。)
図6(d)から分かるように、図6(b)から得られた、検知された各対象領域の横座標xから道路消失点の横座標xv=450 (pixel)を減算することで、該道路消失点による各対象領域(x’, y, z, w, h, l)= (x-xv, y, z, w, h, l)を得ることができる。具体的に、例えば、対象0において、(391, 494, 21455,495, 721, 609)からxv=450 (pixel)を減算することで、(-59 ,494, 21455, 495,721,609)が得られる。
もちろん、他の実施例として、本発明は、道路消失点の横座標のみによる双眼カメラの左右ずれの解消のみならず、道路消失点の縦座標のみによる双眼カメラの上下ずれの解消や、道路消失点の横座標と縦座標の両方による双眼カメラの左右ずれと上下ずれの解消も可能である。道路消失点の縦座標や、道路消失点の横座標と縦座標の両方を考慮する場合の、該道路消失点による各対象領域の取得方法は、当業者に明らかな方法であるため、詳細の説明は割愛する。
道路消失点による対象領域に変換することで、双眼カメラが搭載された車輌の左右折及び/または上下揺れ等による、撮像画像中の検知対象の位置への影響を解消し、より正確な対象追跡マッチング関係の判定を実現することができる。
図7は、第t-1フレームにおける道路消失点による対象領域から推定した第tフレームにおける道路消失点による対象領域を示した図である。
第t-1フレームにおける各対象の移動方向及び移動速度が予め決められていると、第t-1フレームと第tフレーム間の時間間隔により、各対象のx、y、z方向における各自の移動距離(Δx, Δy, Δz)を推定することができる。該Δx, Δy, Δzのうちのいずれかの値、例えば、Δxが、プラス値であると、対象のx軸における移動方向が、x軸のプラス方向であることが分かり、例えば、Δxが、マイナス値であると、対象のx軸における移動方向が、x軸のマイナス方向であることが分かる。これらの各対象の移動方向及び移動速度は、予め設定されてもよく、公知の方式から算出、推定されてもよいが、詳細については割愛する。なお、ここでは、所定の移動方向と移動速度による移動距離の算出のみ説明したが、実施例で、直接、移動距離を予め決めてもよい。本公開においては、移動速度と移動方向は、(プラス値やマイナス値の)移動距離と代用されてもよい。
なお、第t-1フレームにおける道路消失点の対象は、推定した第tフレームにおける道路消失点による対象と同サイズ、即ち、wp =w,hp =h,かつlp = lであると仮定する。
これにより、第t-1フレーム中の道路消失点による対象領域から推定した第tフレーム中の道路消失点による対象領域は、(x’p, yp, zp, wp, hp, lp)=(x’+Δx, y+Δy, z+Δz, w, h,l)となる。
本公開においては、算出の簡略化と、本発明の原理の明確な記述のために、第t-1フレームにおいて、各対象の所定の移動方向と移動速度を、(0, 0, 0)に初期化し、即ち、初期時の各対象は、双眼カメラに対して静止したものとする。
これにより、第t-1フレームにおける道路消失点による対象領域から推定した第tフレーム中の道路消失点による対象領域は、(x’p, yp, zp, wp, hp, lp)=(x’+0, y+0, z+0, w, h,l)となる。図7から分かるように、推定した第tフレームにおける道路消失点による対象領域は、図6(d)の対象領域と同一のものとなる。
図8(a)〜8(d)は、第tフレームにおける、検知された対象領域の、道路消失点による対象領域への変換を示す図である。
図8(a)は、第tフレームから検知された対象領域を示し、該対象領域は、図8(a)の四角フレームでマークされている。検知された5つの対象は、それぞれ図番A〜Eで記されている。
前述のように、ここで、視差図からの対象領域の1検知方法としては、同一出願人が2011年11月18日に中国特許庁へ提出した出願番号201110369183.0、名称「道路対象検知方法及びシステム」の現在未公開の特許出願により得られる。ここで、該特許出願を引用することにする。もちろん、当業者は、他の、または将来出現し得る対象検知方法を用いて、第tフレームからの対象検知を行ってもよい。
図8(b)は、第tフレームから検知された該5つの対象の領域の詳細位置とサイズ(x (pixel), y(pixel), z (mm), w (mm), h(mm), l(mm))を示し、ここで、前述のように、x、yは、該対象の左上コーナーの頂点の撮像画像中の横座標及び縦座標を表し、zは、該対象の深度を表し、即ち、該対象と撮像用の例えば双眼カメラ間の距離を表し、wは、該対象の幅を表し、hは、該対象の高さを表し、lは、該対象自身の深度を表している。このように、該x、y、zは、該対象の詳細位置を表し、該w、h、lは、該対象のサイズを表すことができる。
ここで、本発明においては、対象の詳細位置のみによる追跡を行ってもよく、詳細位置とサイズの両方による追跡を行ってもよく、図8(b)においては、説明と理解の便宜上、これらの対象の領域の詳細位置とサイズの両方を示しているが、本発明はこれに限られるものではない。
図8(c)は、第tフレームにおける道路消失点を示した例である。
前述したように、本発明の方法に用いられる所定の基準点は、必ず道路消失点である必要はなく、例えば、太陽を基準点にする等、他の物理的意味を有する点を用いてもよい。
前述のように、道路消失点の取得方法は、同一出願人が2011年12月9日付にて中国特許庁へ提出した出願番号201110409269.1 、名称「視差情報による道路分割体検知方法」の現在未公開の特許出願、及び、2005年6月8日に発表されたZhencheng Hu、Francisco Lamosa、Keiichi Uchimura の、名称「U-V-disparity: an efficient algorithm for stereovision based scene analysis”(ISBN: 0-7695-2327-7)から得ることができ、ここで、これらの文献を引用することにする。もちろん、当業者は、他の、または将来出現し得る対象検知方法を用いて、第tフレーム中の道路消失点の横座標及び縦座標を取得してもよい。
図8(d)は、第tフレームから検知された対象領域を該道路消失点による対象領域に変換する例を示した図である。
前述のように、車輌の左右折をメインに考える場合は、これらの所定の基準点の位置の横座標がより重要なものとなり、これらの所定の基準点の位置の横座標のみ用いてもよく、同様の理由から、車輌の上下揺れをメインに考える場合は、これらの所定の基準点の位置の縦座標がより重要なものとなり、これらの所定の基準点の位置の縦座標のみ用いてもよく、同様の理由から、車輌の左右折及び車輌の上下揺れを同時に考える場合は、これらの所定の基準点の位置の横座標と縦座標を同時に用いることができる。
このため、ここでは、車輌の左右折現象が比較的よく見られ、かつそれによる対象のずれ距離が比較的に大きいことから、例として、道路消失点の横座標のみ考慮する。ここで、引用した出願番号201110409269.1の特許出願により得られる道路消失点の横座標は、xv=450(pixel)となる。(もちろん、V−視差図により、即ち、画像座標系中のV座標方向(縦座標方向)から、上下に走査し、同一視差値を有する画素点の数を累積して構築されたV−視差図により、道路消失点を表すy座標、即ち、V−視差図における道路線の視差値0時のyの値を取得し、道路消失点の縦座標としてもよい。ここで、本公開においては、道路消失点の横座標の取得を例に説明したが、これに限られるものではない。)
図8(d)から分かるように、図8(b)から得られた、検知された各対象領域の横座標xから道路消失点の横座標xv=287(pixel)を減算することで、該道路消失点の各対象領域(x’,y,z,w,h,l)=(x-xv,y,z,w,h,l)を得ることができる。具体的に、例えば、対象Bにおいて、(340,347,16248,2988,2227,5816)から、xv=287(pixel)を減算することで、(53,347,16248,2988,2227,5816)が得られる。
もちろん、他の実施例としては、本発明は、道路消失点の横座標のみによる双眼カメラの左右ずれの解消に限らず、道路消失点の縦座標のみによる双眼カメラの上下ずれの解消や、道路消失点の横座標と縦座標の両方による双眼カメラの左右ずれと上下ずれの解消を考慮してもよい。道路消失点の縦座標や、道路消失点の横座標と縦座標の両方を考慮する場合の、該道路消失点による各対象領域の取得方法は、当業者に明らかな方法であるため、詳細の説明は割愛する。
図9(a)、9(b)は、第t−1フレームから検知された各対象の、第tフレームから検知された各対象との追跡マッチング関係の決定時に用いられる2つの方法の略図である。
先ず、図9(a)において、図8(d)に示された実際検知された第tフレームの道路消失点による対象領域(x’,y,z,w,h,l)(例えば、対象領域1)から、図9(a)の左上の立方体が得られ、ここで、左上コーナーの頂点の座標が、(x’,y,z)であり、かつ、該対象の立方体の幅がw(mm)、高さがh(mm)、かつ深度がl(mm)となる。
図7に示された、第t-1フレームにより推定された第tフレームの道路消失点による対象領域(x’p,yp,zp,wp,hp,lp)(例えば、対象領域B)から、図9(a)の右下の立方体が得られ、ここで、左上コーナーの頂点の座標が(x’p,yp,zp)であり、かつ、該対象の立方体の幅がwp(mm)、高さがhp(mm)、かつ深度がlp(mm)となる。
対象のサイズを考慮しない場合、即ち、(w,h,l)及び(wp,hp,lp)を考慮せず、対象の位置のみ考慮する場合、即ち、対象の左上コーナーの頂点の位置(x’,y,z)と(x’p,yp,zp)のみ考慮する場合、該方法においては、各第t-1フレームから推定した第tフレームの対象の位置(x’p,yp,zp)と、各tフレームから実際に検知された対象の位置(x’,y,z)との最小距離を算出し、該算出した最小距離が所定の閾値未満になる場合、第t-1フレームから検知された該対象と、第tフレームから検知した該対象とはマッチングするものと判定することができる。
換言すると、具体的に、例えば、
により、第t-1フレームから推定した第tフレームの対象1の1位置(x’p, yp, zp)と、各第tフレームから実際に検知された各対象B、C、E、A、Dの位置(x’, y, z)との距離dを算出する。次に、これらの距離dにおける最小距離dmin(例えば、対象1と対象Bの左上コーナー頂点の距離dが最小になると仮定する)を取得するとともに、これらの距離における最小距離dminと所定の閾値との比較を行い、該最小距離dminが所定の閾値未満になる場合、第t-1フレームにおける該対象1と、該第tフレームにおける最小距離dminを有する対象(例えば、対象B)とはマッチングするものと判定する。
もちろん、2対象間の距離を算出する方式は、これに限らず、左上コーナー頂点以外の他の点間の距離により算出してもよいが、ここでは詳細については割愛する。
換言すると、対象の位置のみ考慮した場合でも、本公開で実施される対象追跡方法を行うことができる。
図9(b)は、対象の左上コーナー頂点の位置(x’, y, z)及び(x’p, yp, zp)のみならず、対象のサイズ(w, h, l)及び(wp, hp, lp)も考慮した場合の、2対象間の距離の算出を示した略図である。
図9(b)において、図8(d)に示された実際検知された第tフレームの道路消失点による対象領域(x’, y, z, w, h, l)(例えば、対象領域1)から、図9(b)の左上の立方体が得られ、ここで、左上コーナーの頂点の座標が、(x’, y, z)であり,かつ、該対象の立方体の幅がw(mm)、高さがh(mm)、かつ深度がl(mm)となる。該実際検知された第tフレームの対象領域の中心点は、cとなる。
図7に示された、第t-1フレームにより推定された第tフレームの道路消失点による対象領域(x’p, yp, zp, wp, hp, lp)(例えば、対象領域B)から、図9(b)の右下の立方体が得られ、ここで、左上コーナーの頂点の座標が(x’p, yp, zp)であり、かつ、該対象の立方体の幅がwp(mm)、高さがhp(mm)、かつ深度がlp(mm)となる。該推定された第tフレームの対象領域の中心点は、cpとなる。
例えば、cとcp 間の距離を算出するために、次式
により、2つの立体対象(例えば、対象1と、各対象B、C、E、A、D)の立体中心点間の距離dを算出する。次に、これらの距離dにおける最小距離dmin(例えば、対象1と対象Bの中心点の距離dが最小になると仮定する)を取得するとともに、これらの距離における最小距離dminと所定の閾値との比較を行い、該最小距離dminが所定の閾値未満になる場合、第t-1フレームにおける該対象1と、該第tフレームにおける最小距離dminを有する対象(例えば、対象B)とはマッチングするものと判定する。
もちろん、2対象間の距離を算出する方式は、これに限らず、立体中心点以外の他の点間の距離による算出でもよいが、ここでは詳細については割愛する。
全推定対象1、2……10 と検知対象A、B……E 間のマッチング関係の判定後は、1推定対象がいずれの検知対象ともマッチングしない場合は、該推定対象に対応する検知対象が第tフレームから消失したと判定し、1検知対象がいずれの推定対象ともマッチングしない場合は、該検知対象が第tフレームでは新規対象であると判定する。
このように、図9(a)に示された方法に比べて、より正確に2つの対象の立体空間における距離を判定することができ、追跡マッチング関係を判定することができる。
以上、簡単な算出により、第tフレームから推定した対象と実際検知した対象の追跡マッチング関係を算出し、第tフレームから推定した対象に対応する第t-1フレームから実際検知した対象の追跡マッチング関係とすることができる。
以下、多少複雑な算出により、第t-1フレームにおける実際検知対象と、第tフレームにおける実際検知対象の追跡マッチング関係をより正確に得る他の方法を説明する。
図10(a)〜10(c)は、第t−1フレームから検知された各対象の、第tフレームから検知された各対象との追跡マッチング関係の決定時に用いられる他の方法の略図である。
図9(b)に示された実際検知された第tフレームの道路消失点による対象領域(x’, y, z, w, h, l)(例えば、対象領域1)において、左上コーナーの頂点の座標が、(x’, y, z)であり、かつ、該対象の立方体の幅がw(mm)、高さがh(mm)、かつ深度がl(mm)となり、第t-1フレームにより推定された第tフレームの道路消失点による対象領域(x’p, yp, zp, wp, hp, lp)(例えば、対象領域B)において、左上コーナーの頂点の座標が(x’p, yp, zp)であり、かつ、該対象の立方体の幅がwp(mm)、高さがhp(mm)、かつ深度がlp(mm)となる。
実際検知された第tフレームの道路消失点による対象領域(例えば、対象1)と、第t-1フレームにより推定された第tフレームの道路消失点による対象領域(例えば、対象B)の追跡マッチング関係を判定するためには、それぞれ下記ステップを用いることができる(もちろん、下記ステップのいずれかのみ用いてもよい。また、これらのステップの順番に制約されるものでもない。)
各推定対象の推定位置(例えば、x’p, yp, zp)とサイズ(例えば、wp, hp, lp)、及び、前記各検知対象の相対位置(例えば、x’, y, z)とサイズ(例えば、w, h, l)により、各推定対象(例えば、対象0、1、2……10)の、各検知対象(例えば、対象B、C、E、A、D)とのU-視差図(即ち、水平面)における重畳面積を算出する。
ここで、U-視差図とは、水平面上の、上から下を見たときの各対象の状況を表し、図10(a)に示したように、上から下を見たとき、水平面では対象の高さhとhpは見ることができないことから、考慮せず、対象の幅wとwp 、及び対象の深度lとlpのみ考慮可能なことが分かる。
次に、1推定対象(例えば、対象1)と検知対象(例えば、対象B、C、E、A、D)のいずれか(例えば、対象B)のU−視差図における重畳面積が最大になると、該推定対象(例えば、対象1)に対応する第t-1フレームにおける検知対象(例えば、依然として対象1)と、第tフレームにおける検知対象のいずれか(例えば、対象B)は、マッチングするものと判定する。
具体的に、図10(a)において、例えば、対象1と対象BのU−視差図における重畳面積(例えば、図10(a)における陰影部分の面積)を算出する場合は、次式のSu=(x’+w−x’p)×(zp+lp-z)により、算出する。対象1と対象B、対象1と対象C、対象1と対象E、対象1と対象A、対象1と対象Dの全てのU−視差図における重畳面積が、それぞれ算出された後は、U−視差図における重畳面積が最大になる対象(例えば、対象B)が、対象1にマッチングする対象と判定される。
このように、U−視差図における重畳面積の算出のみで、これらの対象のマッチング有無を判定することができる。このようなU−視差図では、上から下を見たときの対象の状況のみ考慮することから、双眼カメラの上下ずれによる誤差を適切に解消することができる。また、該実施例では、前述の道路消失点による変換で双眼カメラの左右ずれによる誤差解消と組み合わせると、双眼カメラの上下ずれと左右ずれによる影響を同時に解消することができる。
しかしながら、このようなU−視差図における重畳面積は、必ずしも最大値が1つのみではないことがあり、1推定対象と2つ以上の検知対象の前記U−視差図における重畳面積のいずれも最大になる場合は、該推定対象と2つ以上の検知対象のX−Y−視差図(即ち、深度面)における重畳面積を算出することができる。ここで、X−Y−視差図とは、深度面における、前から奥を見たときの各対象の状況を表し、図10(b)に示されたように、前から奥を見たとき、深度面では対象の深度lとlpは見ることができないことから、考慮せず、対象の幅wとwp 、及び対象の高さhとhpのみ考慮可能なことが分かる。
該推定対象と前記2以上の検知対象のいずれかのX−Y−視差図における重畳面積が最大になると、該推定対象に対応する第t-1フレームにおける検知対象と、第tフレームにおける前記2以上の検知対象のいずれかは、マッチングするものと判定する。
具体的に、図10(b)において、例えば、推定対象と検知対象のX−Y−視差図における重畳面積(例えば、図10(b)における陰影部分の面積)を算出する場合は、次式のSx-y=(x’+w−x’p)×(yp+hp-y)により、算出することができる。推定対象と該2つ以上の検知対象のX−Y−視差図における重畳面積が、それぞれ算出された後は、X−Y−視差図における重畳面積が最大になる1検知対象が、推定対象にマッチングする対象と判定される。即ち、該推定対象に対応する第t-1フレーム中の検知対象と、第tフレームにおける該検知対象とは、マッチングするものと判定される。
例えば、U−視差図及びX−Y−視差図における重畳面積の算出後は、本発明における各対象領域の詳細数値により、対象Bと対象1、対象Cと対象2のU−視差図及び/またはX−Y−視差図における重畳面積が、いずれも0を超えたものであり、他の重畳面積は、いずれも0であることが得られ、これにより、対象1と対象Bがマッチングし、対象2と対象Cがマッチングするものであることが得られる。
もちろん、本公開においては、先ず、U−視差図の重畳面積を算出し、重畳面積に2つの最大面積が存在する場合に、X−Y−視差図の重畳面積を用いているが、本公開は、これに限らず、X−Y−視差図の重畳面積を単独に用いて、対象の追跡マッチングを行ってもよく、さらには、V−視差図(即ち、左から右を見たときの対象の状況)を単独に用いるか、組み合わせて用いて、対象の追跡マッチングを行ってもよい。
図10(a)と図10(b)のU−視差図と、X−Y−視差図の重畳面積による算出後、第tフレームの一部の推定対象(例えば、対象3、4、・・・10)と、第tフレームの一部の検知対象(例えば、対象A、E、D)が依然としてマッチングしていない場合、マッチングしていない前記各推定対象の推定位置と、マッチングしていない前記各検知対象の位置間の最小距離を算出し、該算出された最小距離が所定の閾値(例えば、前述の所定の6m)未満になると、該所定対象に対応する第t-1フレームの検知対象と、最小距離を有する第tフレームの検知対象とは、マッチングするものと判定することができる。
本公開における各対象領域の詳細数値により、対象3と、最小距離を有する対象E間の距離が2mであることが算出され、所定の閾値6m未満になるため、対象3と対象Eは、マッチングするものである。
具体的な2つの対象間の距離の算出方法は、前述の図9(a)、9(b)に示された方法を用いることができるため、ここでは、重複説明は割愛する。もちろん、本公開は、これに限られるものではない。
図10(c)には、例として、2つの対象の立体中心点間の距離の算出方式のみ示されているが、これは、単に、追跡マッチング関係の判定をより正確にするためのものであり、制限的なものではない。
最後に、1推定対象がいずれの検知対象ともマッチングしていないと、該推定対象に対応する検知対象が第tフレームから消失したと判定し、1検知対象が、いずれの推定対象ともマッチングしていないと、該検知対象が第tフレームでは新規対象であると判定する。
具体的に、該例において、対象4、5・・・・・・10ともマッチングするものが存在しないと、これらの対象4、5・・・・・・10は、第tフレームから消失したことになる。一方、第tフレームから検知された対象における2つの検知対象が、いずれの推定対象ともマッチングしていないと、第tフレームに、それぞれ対象11と対象12と記された2つの新規対象が出現したことになる。
図11(a)、11(b)は、第t−1フレームから検知された各対象の、第tフレームから検知された各対象との追跡マッチング関係の判定後に得られたマッチング対象の領域の略図である。
図11(a)は、前述の算出から得られた、第tフレームで検知された対象B、C、E、A、Dと、第t−1フレームで検知された対象0、1、2、・・・・・・10間の追跡マッチング関係を示している。対象Bと対象1とがマッチングし、対象Cと対象2とがマッチングし、対象Eと対象3とがマッチングする一方、対象11と対象12が第tフレームに新規出現した2つの対象となり、それぞれ新規図番11、12で示されていることが分かる。
図11(b)は、第tフレームの画像から最後に判定されたマッチング対象領域を具体的に示したブロック図である。
このように、単独或いは組み合わせてU−視差図、X−Y−視差図における重畳面積及び距離を用いることで、図9(a)、図9(b)に示された、距離のみ用いる方法に比べて、より正確に2つの対象の追跡マッチング関係を判定することができる。
このように、該1つまたは複数の実施例によると、第tフレームから推定された対象と、実際検知された対象の追跡マッチング関係をより正確に得ることができ、第tフレームから推定された対象に対応する第t-1フレームにおける実際検知対象と、第tフレームから実際検知された対象の追跡マッチング関係とすることができる。
図12は、第t−1フレームから検知された各対象の所定移動方向と所定移動速度(或いは、移動距離)を補正して、それとマッチングする第tフレームから検知された各対象の所定移動方向と所定移動速度(或いは、所定移動距離)とする例を示した図である。
第t-1フレームにおける各検知対象と、第tフレームにおける各検知対象間の追跡マッチング関係の判定後に、第t-1フレームにおける各検知対象の道路消失点による位置及びそれとマッチングする第tフレームにおける各検知対象の道路消失点による位置に基づき、第t-1フレームにおける各検知対象の所定移動方向及び所定移動速度を補正し、それとマッチングする第tフレームにおける各検知対象の所定移動方向と所定移動速度とする。
もちろん、本公開においては、計算の簡略化のために、各フレーム間の時間間隔を等間隔に仮定した場合は、移動距離のみにより、移動方向と移動速度の概念を表すことができる。Δx=x’t−x’t-1、Δy=yt−yt-1、Δz=zt−zt-1となる。新規対象11と12については、(Δx,Δy,Δz)=(0,0,0)となる。ここで、x’tは、第tフレームにおける検知対象の道路消失点による位置の横座標を表す。また、x’t-1は、第t-1フレームにおける検知対象の道路消失点による位置の横座標を表す。ytは、第tフレームにおける検知対象の道路消失点による位置の縦座標を表す。また、yt-1は、第t-1フレームにおける検知対象の道路消失点による位置の縦座標を表す。zt は、第tフレームにおける検知対象の道路消失点による位置の深度座標を表す。また、zt-1は、第t-1フレームにおける検知対象の道路消失点による位置の深度座標を表す。
(Δx,Δy,Δz)が算出されると、第t-1フレームと第tフレーム間の時間間隔により、第tフレーム中の各検知対象の移動方向及び移動速度を予測することができる。ここで、該Δx,Δy,Δzのうちのいずれかの値、例えば、Δxが、プラス値であると、対象のx軸における移動方向が、x軸のプラス方向であることが分かり、例えば、Δxが、マイナス値であると、対象のx軸における移動方向が、x軸のマイナス方向であることが分かる。
図12に示されたように、例えば、補正後、第tフレームにおける1とマークされた対象の移動距離は、(3,-18,-1730)となり、第tフレームに新たに出現した新規対象11の移動距離は、(0,0,0)となる。ここで、本公開においては、(プラス値またはマイナス値の)移動距離は、移動速度と移動方向の代わりに用いることができる。
以下、補正後の第tフレームの各対象の移動距離による、第t+1フレームで検知される各対象への追跡マッチング例について説明する。もちろん、当業者は、本公開における第t-1フレーム及び第tフレームの対象の追跡マッチング方法への詳細な説明から、第t+1で検知される各対象への追跡マッチング方式を予測することが可能であるが、本公開がより明確なものとなるように、以下、これらについて説明するものの、これらの説明は、制約的なものではない。
図13(a)〜13(e)は、補正後の所定距離を用いて、第t+1フレームに対する追跡マッチング関係を決定する例を示した略図である。
図13(a)は、補正後の第tフレームの対象(例えば、対象1、2、3、11、12)の移動距離と、第tフレームの対象の道路消失点による対象領域(x’、y、z、w、5h、l)を用いた、第t+1フレーム中の推定対象の道路消失点による対象領域(x’p、yp、zp、wp、hp、lp)の推定例を示したものである。ここで、x’p=x’+Δx、yp=yt+Δy、zp=zt+Δz、wp=w、hp=h、lp=lであり、即ち、(x’p、yp、zp、wp、hp、lp)=(x’+Δx、y+Δy、z+Δz、w、h、l)である。
次に、前述の出願番号201110369183.0 、名称「道路対象検知方法及びシステム」である、現在未公開の特許出願(或いは、他の従来技術に開示された、或いは将来出現し得る対象検知方法)を用いて、第t+1フレームにおける実際検知された対象(例えば、対象A、B、C、D、E、F、G、H)の対象領域(位置及びサイズ)を検知する。図13(b)及び図13(c)に示された通りである。
次に、前述の出願番号201110409269.1、名称「視差情報による道路分割体検知方法」である、現在未公開の特許出願(或いは、他の従来技術に開示された、或いは将来出現し得る対象検知方法)を用いて、道路消失点の横座標xv=122(pixel)を得ることができる。
同様に、第t+1フレームにおける検知された各対象(例えば、対象A、B、C、D、E、F、G、H)の対象領域の横座標xから、道路消失点の横座標xv=122(pixel)を減算することにより、第t+1フレームの該道路消失点による各対象領域(x’,y,z,w,h,l)=(x-xv,y,z,w,h,l)が得られる。図13(d)に示した通りである。
次に、図9(a)または図9(b)に示された方法、或いは、図10(a)〜(c)に示された方法により、対象1、2、3、11、12と、対象A、B、C、D、E、F、G、Hの追跡マッチング関係を判定する。ここでは、詳細の説明は割愛する。
これにより、図13(e)に示された、マッチング対象領域が得られる。
このため、第t+1フレームの各マッチング対象の移動距離をさらに補正し、次フレーム(第t+2フレーム)の追跡マッチングに用いることができる。このような工程を繰り返すことにより、連続した対象追跡を行うことができ、交通監視、補助運転、自動車検知及び追跡、運転警報システム、マシンビジョンナビゲーション、工業製品検知、医療診断、仮想現実等の各実際の分野に用いることができる。
本公開においては、主に対象追跡方法の各ステップ及び変形ステップについて説明したが、当業者であれば、これらのステップ及び変形ステップにそれぞれ対応する装置も、本公開範囲内のものであることが理解できるため、ここでは、詳細な説明は割愛する。
ここで引用している全ての特許、特許出願、文章、他の公開物、文書及び物事は、全体の目的のために、該引用によりここにその全文が統合されることになる。統合される公開物、文書や、物事と、本公開との間に、用語の不一致や矛盾が生じる場合は、本公開を基準とする。
もちろん、当業者は、本公開により、各用語の本質的意味を理解することができ、本公開の内容は、具体的な用語に表される狭い意味に限定されるものではなく、本公開の精神及び原理内の広い意味を示すものである。
以上、視差図による正確な対象追跡方法及びシステムの各実施例について説明したが、前述の説明は、例示的なものであり、限定的なものではなく、開示された各実施例に限られるものでもない。各実施例の範囲及び精神を逸脱しない範囲内の、多種多様な補正、変更が可能なことは、当業者に自明である。添付された特許請求範囲または同等物の範囲内で、設計需要や他の要素による、各種補正、組み合わせ、サブ組み合わせ、変更が可能なことは、当業者に理解できる。