JP6169137B2 - 安定化された活性物質含有の生成物の調製方法、および同生成物含有の組成物 - Google Patents

安定化された活性物質含有の生成物の調製方法、および同生成物含有の組成物 Download PDF

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本発明は概して活性成分、特に、生物学的材料を含む生成物の調製方法であって、活性
成分が安定化されている方法に関する。本発明は更に、本生成物を含む組成物、特に、治
療的な生物学的材料を含む組成物に関する。
タンパク質および細胞全体など、ヒトおよび動物の疾患の治療および予防にまたは栄養
補助食品として有効な生物学的材料の多くは、貯蔵寿命が限られている。貯蔵寿命が限ら
れていることは、タンパク質が貯蔵温度で不安定になる結果であると考えられている。タ
ンパク質および細胞培養の貯蔵寿命の中には、低温(例えば、4℃〜8℃)で貯蔵するこ
とによって延長され得るものもあるが、貯蔵寿命は18か月未満であるのが一般的である
生物学的に活性なタンパク質は一般に、各タンパク質に固有の複雑な三次元的方法で折
り畳まれている。タンパク質は一般に、共有結合的に結合するアミノ酸残基(ペプチド鎖
)の線状鎖からなる一次構造と、ペプチド鎖が(α螺旋およびβひだ折れシートなどの)
規則的なパターンで折り畳まれる二次構造と、折り畳まれた鎖が更にそれ自体の上に折り
畳まれて小型の構造を作り上げる三次構造と、を有する3つのレベルで組織化される。加
えて、一部のタンパク質は、緊密な配列内に保持された複数のポリペプチド鎖から構成さ
れ、いわゆる四次構造を形成する。その構造は、タンパク質の究極的な生物学的活性を指
図する三次および/または四次構造である。
タンパク質の究極的な構造は、複数の環境因子、例えば、温度、pH、特定の共存因子
または金属の存在もしくは不在、酸素、酵素、酸化剤または還元剤の存在、および水また
は湿気の存在によって達成され得る。条件が最適でない場合、タンパク質が適切に形成さ
れないかまたは変性されることがあり、生物学的機能が失われるかまたは少なくとも減じ
られる。
動物、植物および微生物の細胞は、細胞膜および/または細胞壁で取り囲まれている多
数のタンパク質を含み、細胞膜または細胞壁細胞表面には付加的なタンパク質が存在する
ため、最も広義な意味では複雑なタンパク質材料であると考え得る。タンパク質と同様、
細胞の生存率は、その細胞が存在する環境に依存する。例えば、温度、pH、特定の共存
因子または金属の存在もしくは不在、特定の栄養分、代謝老廃物、酸素、酵素、酸化剤ま
たは還元剤の存在もしくは不在、および水の存在または水分率は、個別にまたは集合的に
生存率に影響し得る。
タンパク質を安定化させるための技術は、当該技術分野において複数知られている。そ
の一部を以下に概説する。
ワクチンなどに用いられるタンパク質を調製する際は一般的に、減圧下でのフリーズド
ライ(凍結乾燥)が利用される。フリーズドライは従来、生物学的タンパク質の溶液を冷
凍する工程と、氷晶を減圧下で水蒸気に変換すること(昇華)によってその溶液から除去
する工程と、を含む。このプロセスを行うと、タンパク質の天然構造にダメージを与える
結果になる場合が多い。
フリーズドライによって調製される生物学的タンパク質の安定性の増強を促すために、
緩衝剤または安定化剤などの添加物を生成物の調合物中に用いてもよい。しかしながら、
フリーズドライ中に、溶液の温度が数日間にわたってゆっくり下降してマイナス20℃に
達すると、添加物どうしがそれぞれ別々の氷点で凝固する場合がある。結果として、最終
生成物は、事実上別々の層で構成されるきめ細かなパフケーキ状の物質となり得、それぞ
れの層が別個の成分となり得る。要するに、生物学的タンパク質を保護するために添加さ
れる添加物が、物理的および化学的に分離されてしまい、保護剤として役立たなくなる場
合がある。
食品および酪農業界においては、乾果濃縮物および粉ミルクの製造に、代替の手順(例
えば、熱利用噴霧乾燥(spray−drying−using−heat))が利用さ
れるのが一般的である。このプロセスは、熱気の上昇流に対してスプレー塔の頂部から下
方へ溶液の微細ミストを噴霧することを含む。熱気によって、塔の底部に達する前の液滴
から水が除去される。噴霧乾燥は通常190℃を超える吸気温で作用し、生成物温度は6
0℃を優に超えることがあり得る。この操作環境においては、細菌細胞などの生物学的タ
ンパク質または細胞のほとんどが変性する。
当該技術分野において公知の別のタンパク質調製方法は、超臨界溶液乾燥法である。こ
のプロセスにおいて、ペプチド、タンパク質および核酸などの生物学的薬剤は、粒子形成
まで水溶性溶液で維持される。水溶性溶媒は、粒子形成の時点で、調節された水素結合溶
媒(エタノールおよびイソプロパノールなど)を利用して除去される。
流動床噴霧乾燥は、熱利用噴霧乾燥(spray−drying−using−hea
t)技術を改良したものである。本プロセスは一般的に、医薬業界および化学業界におい
て錠剤の顆粒化および/または熱安定性材料の乾燥に利用される。本方法は、スプレーヘ
ッドの頂部から活性物質含有溶液の微細ミストを、乾燥した賦形剤の塊に向かって下方へ
噴霧する工程を含む。同時に、熱気の上昇流は賦形剤の塊を通過して流動床を生じる。熱
気によって、流動床の底部にて流動化された湿った固体から水が除去される。
流動床噴霧乾燥技術は、約50℃〜60℃で熱安定性の医薬タンパク質に適用可能とな
り得る。しかしながら、タンパク質の天然構造が損なわれてしまい、それゆえ、物学的活
性の全部または少なくとも一部を失うこともあり得る。
上述のとおり、流動床噴霧乾燥には更なる問題が伴うことがあり得る。例えば、スプレ
ーノズルが処理チャンバーの頂部付近に位置する場合は、スプレーノズルに賦形剤材料が
詰まることのないよう、上記材料の流動床表面よりも上部に実質的な間隙が確保されてい
る必要がある。コーティング材料または活性成分含有の液体がかなりの分量に及ぶと、ノ
ズルフィルター系を詰まらせてしまい処理中の損失を招く恐れがあるため、そのような頂
部噴霧流動床操作は、スプレーコーティングの目的にでなく寧ろ顆粒化にのみ理想的であ
り得る。流動床噴霧乾燥工程ではまた、通常、粗大な顆粒、ならびに形状および大きさが
異なる不揃いな顆粒も提供される。顆粒どうしが接触し合うと、磨耗作用が生じ、タンパ
ク質が変性する結果になり得る。
生物学的タンパク質および細胞調製のための、本発明が開発される以前の商業利用にお
ける技術のなかでは、マイクロカプセル化の技術が、最も有用であると見なされ得る。通
常は主要な機器が一切必要とされず、しかもバッチサイズを10g〜20g程度に抑える
ことが可能なため、生物学的タンパク質の量が十分であるとは限らない場合でも、その調
製に有用である。この工程では、有機溶媒を使用して生物学的タンパク質を溶け易くして
から、水中油中水(w/o/w)型または水中油中固体(s/o/w)型のいずれかの乳
剤方法を使用してポリマー系のミクロスフィア内にカプセル化する。単純な濾過によって
水を除去した後に溶媒が留去され、タンパク質が固体ミクロスフィア中に取り込まれる。
マイクロカプセル化技術は、製紙業界においてカーボン紙または粘着紙の製造に利用さ
れてきており、少なくとも日本では、人工魚卵および装飾的生成物などの食品が、魚また
は肉の香味を閉じ込めるためのゼラチンマイクロカプセルを使用して製造されている。
マイクロカプセル化は、生物学的タンパク質および細胞全体を貯蔵および将来使用する
ために調製する手段として好ましいと考えられ得るが、医薬業界およびバイオテクノロジ
ー業界において本技術は未だ開発段階にある。使用される溶媒によっても、かつ必要な乳
化/均質化方法によっても、タンパク質が変性する可能性が高いことから、本技術に難点
があることは明白である。加えて、本方法に従って製造された生成物の品質は望ましくな
いと考えられることもあり得る。これは、微量の溶媒がマイクロカプセルのコアに残留し
たままになり、本技術を使用して製造された生成物の商品化の妨げになる場合があるとい
う事実に起因する。
本発明の発明者は、熱利用噴霧乾燥(spray−drying−using−hea
t)およびマイクロカプセル化技術に基づく代替プロセスを開発した。この代替プロセス
では、タンパク質などの活性成分が長期間にわたって安定化され得る。
第1の態様において本発明は、
(i) 少なくとも1種の活性成分とサッカライドと水溶性溶媒とを含む塗液を提供す
る工程と、
(ii) 1種以上の水溶性ゲル形成化合物を含む粒子を提供する工程と、
(iii) 粒子がチャンバーの内部で螺旋形経路内を上向き方向に移動するように、
粒子を装置の処理チャンバー内で流動化する工程と、
(iv) 塗液を粒子に噴霧することによって、コーティングされた粒子を提供する工
程と、
(v) コーティングされた粒子を乾燥させる工程と、
を含む、少なくとも1種の活性成分を含む生成物の調製方法を提供する。
少なくとも1種の活性成分は、不安定であり得る。
少なくとも1種の活性成分は、光、熱、空気および/または湿気の存在下で不安定であ
り得る。
少なくとも1種の活性成分は、例えば、タンパク質、ペプチド、生細胞または微生物で
あり得る。
少なくとも1種の活性成分は、不安定な生物学的材料であり得る。
少なくとも1種の活性成分は光、熱、空気および/または湿気に対する感受性が高い生
物学的材料であり得る。
少なくとも1種の活性成分は、サイトカインであり得る。
少なくとも1種の活性成分は、インターロイキン、インターフェロン、EPO、エキセ
ナチド、G−CSF、ヒト成長ホルモン、およびチモシンからなる群から選択され得る。
少なくとも1種の活性成分は、抗癌剤、抗炎症剤、溶血薬、抗糖尿病薬、抗アレルギー
薬、および抗真菌薬からなる群から選択され得る。
本方法の実行中に処理チャンバーは、約30℃〜45℃の温度または約35℃〜40℃
の温度であり得る。
粒子に接触する前の塗液は、ミクロ液滴の形態であり得る。
塗液は、処理チャンバーに入る1秒以内に粒子上で固体状態に変換され得る。
工程(iii)に先立って粒子を処理チャンバー内で流動化し、加熱によって乾燥させ
得る。
粒子を約30℃〜80℃の温度まで加熱することにより乾燥させてもよい。
工程(iii)において、粒子は回転し得る。
上方へ移動する回転ガス流を処理チャンバーに導入することにより工程(iii)を実
施し、粒子を螺旋形経路内を上向き方向に移動させ得る。
上方へ移動する回転ガス流を処理チャンバーの底部に位置するかまたは底部に隣接して
位置するガイド部材を通してガスを引き込むことによって工程(iii)を実施し、ガス
がガイド部材から抜け出ると回転経路内の上方へ移動し、それにより粒子を螺旋形経路内
を上向き方向に移動させる。
ガイド部材は、ガスが引き込まれる入口と、ガスが排出される出口と、を含むことがで
き、このガイド部材は、入口と出口の間を通過するガスに作用することによって出口から
排出されたガスを回転経路内の上方へ移動させる、ガス方向指示要素を含む。
ガイド部材は、共通の軸の周りを回転するように適合された少なくとも2つの部材を具
備していてもよく、第1の部材が、ガスを引き込み得る入口を備え、第2の部材が、第2
の部材の表面から外側へ突出する1つ以上のガス方向指示要素を含み、第2の部材が第1
の部材より上に位置し、使用時に入口に引き込まれたガスが1つ以上のガス方向指示要素
に作用して、ガイド部材から排出されたガスが回転経路内を上向き方向に移動するように
、第2の部材を回転させる。
ガスは空気、または窒素などの不活性ガスであり得る。
ガスは処理チャンバーに入ったときに約30℃〜45℃または約35℃〜40℃の温度
であり得る。
工程(iii)または工程(iv)の開始に先立って、処理チャンバー内の空気を、例
えば窒素などの不活性ガスに置き換えてもよい。
工程(iv)は、塗液を処理チャンバーの底部から粒子に向かって噴霧する工程を含み
得る。
工程(iv)は、粒子の流れによって生じたカラムに沿って塗液が移動するように、塗
液を上向き方向に噴霧する工程を含み得る。
工程(iv)は、塗液を上向き方向に約10°〜70°の角度で、または約20°〜6
0°の角度で、または約30°〜50°の角度で、または約35°〜45°の角度で、ま
たは約40°の角度で粒子に向かって噴霧する工程を含み得る。
工程(iv)は、処理チャンバー内の複数のスプレー出口から塗液を噴霧する工程を含
み得る。
工程(iv)において塗液は、約0℃〜50℃の温度、または約10℃〜50℃の温度
、または約15℃〜45℃の温度、または約30℃〜45℃の温度、または約35℃〜4
0℃の温度であり得る。一実施形態において塗液は、室温、例えば約20℃であり得る。
工程(v)は、コーティングされた粒子を乾燥させる工程を含み得る。
平衡条件の下で工程(iv)および(v)を実施し得る。
本方法は、腸溶コーティング、フィルムコーティング、防水コーティング、および矯味
コーティングからなる群から選択されるコーティングで更に粒子をコーティングする、1
つ以上の付加的なコーティング工程を更に含んでいてもよい。
塗液は、アミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、システインおよびロイシン)、タン
パク質(例えば、ヒト血清アルブミン、卵アルブミン)、キレート化剤(例えば、EDT
AおよびEDTAナトリウム)、緩衝液(例えば、リン酸ナトリウム緩衝液、クエン酸/
クエン酸緩衝液、トリス緩衝液)、保存料(例えば、ヒドロキシ安息香酸およびその誘導
体)、安定剤、抗酸化剤(例えば、ビタミンE、アスコルビン酸)、ならびに潤滑性(例
えば、水、シリコーンおよびシリケート)からなる群から選択される追加成分を更に含ん
でもよい。
水溶性溶媒は、グリコール、例えば、グリセロールまたはプロピレングリコールであっ
てもよい。
サッカライドは、糖重合体であり得る。
サッカライドは、果糖、グルコース、転化糖、ラクチトール、乳糖、マルチトール、麦
芽糖、マンニトール、ソルビトール、蔗糖、トレハロース、マンニトール、およびこれら
の組み合わせからなる群から選択され得る。
1種以上の水溶性ゲル形成化合物は、アクリレートおよびその誘導体、アルブミン、ア
ルジネート、カルボマー、カラギーナン、セルロースおよびその誘導体、デキストラン、
デキストロース、デキストリン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、澱粉、プレゲル化澱
粉、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
本方法は反転式流動層反応器で実施してもよい。
本装置の処理チャンバーは、囲繞(enclosed)されていてもよい。
本装置の処理チャンバーは、無菌の環境であり得る。
本装置の処理チャンバーは、不活性環境であり得る。
粒子は微粒子であり得る。
第2の態様において本発明は、第1の態様の方法で調製される場合は常に少なくとも1
種の活性成分を含む生成物を提供する。
少なくとも1種の活性成分は、インターロイキン、インターフェロン、EPO、エキセ
ナチド、G−CSF、ヒト成長ホルモン、およびチモシンからなる群から選択され得る。
少なくとも1種の活性成分は、抗癌剤、抗炎症剤、溶血薬、抗糖尿病薬、抗アレルギー
薬、および抗真菌薬からなる群から選択され得る。
第3の態様において本発明は、少なくとも1種の活性成分を被験者に送達するための、
第2の態様の生成物の使用を提供する。
被験対象は、ヒトまたは動物であり得る。
本生成物は、注射投与、経口投与、経鼻投与、舌下投与、局所投与、膣内投与、または
直腸投与用に適合され得る。
本生成物は、注射用に意図された組成物、舌下錠、経口錠、持続放出性舌下錠、カプセ
ルへの充填用に意図されたマイクロカプセル、鼻スプレー、点鼻薬、液滴、洗眼薬、点眼
薬または皮膚洗浄溶液用に意図されたマイクロカプセル、飼料プレミックス、ペッサリー
、予め構成された固体製剤(solid dose)からなる群から選択される剤形であ
り得る。
本生成物は、持続放出性錠またはマイクロカプセルからなる群から選択される剤形であ
り得る。
第4の態様において本発明は、少なくとも1種の活性成分を安定化させるための、第1
の態様の方法の使用を提供する。
第5の態様において本発明は、持続放出性剤形の調製を目的とした第1の態様の方法の
使用を提供する。
第2、第3、第4および第5の態様の目的のために、少なくとも1種の活性成分は、第
1の態様において定義されている活性成分、および本明細書において記載されている活性
成分であってもよい。
第6の態様において本発明は、少なくとも1種の活性成分を含む生成物を調製するため
の装置を提供する。本装置は、液体を処理チャンバーに導入する出口が1つ以上設けられ
ている処理チャンバーと、処理チャンバーの底部にある入口と、出口と、を具備し、それ
によりガスが処理チャンバーを通り抜けて移動できるようになっており、入口にガイド部
材が具備されており、ガスが入口を通って引き込まれると、ガイド部材を抜け出るとガス
が回転経路内を上向き方向に移動するようになっている。
ガイド部材は、本明細書に記載されているガイド部材であり得る。
ここで、添付図面を参照して、単なる例示を目的に本発明の好適な実施形態について説
明する。
本発明の方法に従って調製されたメトホルミンおよび経口(舌下)エキセナチド生成物で処置されたヒト被験対象における、空腹時血漿グルコース濃度を示す。 本発明の方法に従って調製されたメトホルミンおよび経口(舌下)エキセナチド生成物で処置されたヒト被験対象における、食後2時間血漿グルコース濃度を示す。
定義
本発明の説明を理解するうえで役立ち得る定義を、以下にいくつか示す。これらは一般
的な定義として意図された用語であり、いかなる場合も本発明の範囲をこれらの用語だけ
に限定すべきではなく、寧ろ下掲の説明の理解を助けるために記載してある。
本明細書の全体にわたって、文脈上別段の解釈を要する場合を除き、用語「含む(co
mprise)」、「含む(comprises)」または「含んでいる(compri
sing)」などの変化形は、明示された工程、要素もしくは整数、または工程、要素も
しくは整数の群を含むことを意味するが、他の工程、要素もしくは整数、または工程、要
素もしくは整数の群を一切除外するものではないことが理解されよう。したがって、本明
細書の文脈において用語「含む(comprising)」は、「主成分として含むが、
必ずしも単一成分として含むのではない」ことを意味する。
本明細書の文脈において、用語「約」は、同じ機能または結果が得られるという文脈に
おいて、列挙された値と同等であると当業者が考えるような数値範囲を指すものとして理
解される。
本明細書の文脈において、用語「a」および「an」は、文法上冠詞の係り先となる対
象が1つまたは2つ以上(即ち、少なくとも1つ)あることを指すために、本明細書に用
いられている用語である。例えば、「要素」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味
する。
本明細書の文脈において、用語「微粒子(microparticles)」とは、直
径が約50〜800マイクロメートルの粒子、好ましくは約200〜400マイクロメー
トルの粒子を含むものとして理解される。
本明細書の文脈において、用語「平衡条件」とは、湿気投入量が、熱を投入した結果と
して蒸発により粒子から失われる湿気量に等しいことを意味するものとして理解される。
本明細書の文脈において用語「活性成分」とは、最も広義の意味において解釈すべきで
あり、例えば、薬物、その一部を含む生細胞、タンパク質、ペプチド、核酸、ウイルス、
ウイルス粒子、微生物およびこれらに類するもの、または治療目的を含む何らかの目的で
ヒトもしくは動物などの被験対象に投与され得る他の任意の物質または材料を含む。
本明細書の文脈において、用語「不安定(unstable)」とは、言及されている
材料が、特定の条件(例えば、大気条件)の下で、物理的であるか化学的であるかを問わ
ず望ましくない変化に影響され易いことを意味するものとして理解される。
本発明は、概して、活性成分を含む生成物の調製方法に関する。本方法によって得られ
る生成物は、「マイクロカプセル」と呼ばれる場合もある。特定の実施形態において本発
明は、不安定な材料(例えば、光、熱、空気および/または湿気に対する感受性が高い材
料)、および特定の生物学的材料(例えば、タンパク質、ペプチド、生細胞および微生物
)を安定化/維持する方法を提供する。本発明の方法は、ヒトまたは動物への投与を意図
したタンパク質およびペプチドの安定化/保存に特定の用途を見出している。本発明の方
法によって生成される安定化された生成物を被験対象に投与した場合、成分タンパク質ま
たはペプチドの効能改善が認められる。本発明の方法は、30℃〜40℃程度の動作温度
で実施され得る。つまり、熱に対する感受性が高い多くの活性成分と適合する。
一態様において本発明は、少なくとも1種の活性成分を含む生成物の調製方法であって

(i) 少なくとも1種の活性成分とサッカライドと水溶性溶媒とを含む塗液を提供す
る工程と、
(ii) 1種以上の水溶性ゲル形成化合物を含む粒子を提供する工程と、
(iii) 粒子がチャンバーの内部で螺旋形経路内を上向き方向に移動するように、
粒子を装置の処理チャンバー内で流動化する工程と、
(iv) 塗液を粒子に噴霧することによって、コーティングされた粒子を提供する工
程と、
(v) コーティングされた粒子を乾燥させる工程と、
を含む方法を提供する。
本方法は概して、適切な処理チャンバー内で、許容可能な粒状賦形剤材料(粒子、好ま
しくは微粒子)に、少なくとも1種のサッカライドおよび水溶性溶媒に活性成分を配合し
た液体を、噴霧する工程を含む。ここで、粒子はコーティングされている場合、チャンバ
ーを通って螺旋形経路/軌道内を上方へ移動する。処理チャンバー内における粒子の動き
は、ハリケーンの気動に似ている。粒子はコーティングを施すと、マイクロカプセル化さ
れ、このため、活性成分が安定化/維持される。処理チャンバー内では、粒子の軌跡が螺
旋状になるため、塗液が滑らかかつ均一にコーティングされるようになり、活性成分、お
よび糖およびアミノ酸などの他の水溶性材料を含んでなるヒドロゲルを生ずる。
塗液および粒子の本質は、本方法によって生成される生成物が、治療活性成分の粘膜送
達および舌下送達などの持続放出送達の適用分野において特定の用途を見出せるようにす
るものである。そのような用途において、水溶性材料は唾液に接触すると溶解し、コーテ
ィング表面に微小孔が生じるため、マイクロカプセルが液体ゲルに崩壊し易くなる。ゲル
によって粘膜表面が調整され、それにより活性成分が送達されて吸収が最適化される。し
たがって、本発明の方法に従って調製される生成物は、注射の必要性に取って代わり得る
、治療上活性な成分の便利な固体経口送達形態である。
本発明の方法はまた、内部に10億分の1の活性成分が均一に分散された剤形をうまく
調製できるようにするものでもある。サイトカインのin vivo作用は多くの場合、
触媒的であるため、所望の生物学的活性を得るための所要量はわずかナノグラムまたはピ
コグラムに抑えられる。そのような微量の固体塊を均一に分散させることは特に困難であ
り、製薬業界においては先例がない。
本発明の方法を利用することによって、水、光、酸素および微生物を除外した被保護環
境内に活性成分をカプセル化できる。例えばタンパク質およびペプチドなどの生物学的材
料の場合、冷蔵しなくても安定した状態を達成できる期間は最大4年間である。
少なくとも1種の活性成分は、不安定であり得る。一実施形態において、少なくとも1
種の活性成分は光、熱、空気および/または湿気に対する感受性が高い。少なくとも1種
の活性成分は任意の生物学的材料であってよく、タンパク質、ペプチド、生細胞、微生物
および核酸を含むがそれらに限定されない。生物学的材料は、例えば光、熱、空気および
/または湿気に対する感受性が高く、不安定であり得る。一実施形態において、少なくと
も1種の活性成分はインターロイキンまたはインターフェロンなどのサイトカインである
。代替実施形態において、少なくとも1種の活性成分が抗癌剤、抗炎症剤、溶血薬、抗ア
レルギー薬、抗糖尿病薬、または抗真菌薬である。少なくとも1種の活性成分は、ペプチ
ド(例えば、エキセナチド)であり得る。本発明の方法はまた、前述した活性成分以外に
も、多様な他の活性成分(例えば、理由の如何を問わず安定化/保護を必要とする任意の
材料)に適用できることは、当業者であれば認識されるであろう。特に、本発明の方法は
、ヒトまたは動物への投与を意図した任意の不安定な治療材料に適用できる。
塗液は、少なくとも1種の活性成分とサッカライドと水溶性溶媒とを含む。サッカライ
ドは、例えば、マンニトール、トレハロース、イソマルト、キシリトール、デキストロー
ス、デキストラン、果糖、グルコース、転化糖、ラクチトール、乳糖、マルチトール、麦
芽糖、マルトデキストリン、ソルビトール、蔗糖、またはこれらの任意の組み合わせであ
り得る。しかしながら、例えば、溶液中に含まれる活性物質/成分の本質、および意図さ
れた生成物用途によっては、代替のサッカライドを使用し得ることは、当業者によって認
識されよう。本明細書において使用されている用語「サッカライド」は糖アルコールを含
み、そのため用語「サッカライド」が「サッカライドまたは糖アルコール」と同義である
ことを理解すべきである。
本発明のいくつかの実施形態においては、種々の成分を含む複数のコーティングを塗布
し得る。例えば、インターフェロン含有のマイクロカプセルを調製する場合、塗布される
第1の塗液は、ゼラチンまたは卵白アルブミン含有のプロピレングリコールおよび水を含
み得る。第2(または活性物質)のコーティングは、インターフェロン、グリシン、ロイ
シン、デキストラン、リン酸緩衝液、アルブミン、グルコース、トレハロースおよびマル
トデキストリンを含み得る。
本発明の方法において使用するのに好適な水溶性溶媒は、妥当なリスク/便益比に基づ
いて、ヒトまたは動物の身体の組織に接触しても安全と考えられる任意の水溶性溶媒を含
む。好ましくは、水溶性溶媒は、グリセロールもしくはプロピレングリコールなどのグリ
コール、またはその混合物であってもよい。他の好適な水溶性溶媒は、本生成物の意図さ
れた用途を考慮することにより、当業者にとって明白となるであろう。
塗液は追加成分を含んでいてもよく、この追加成分は、限定はされないが、更なるタン
パク質、アミノ酸、希釈液、キレート化剤、緩衝液、保存料、安定剤、抗酸化剤、潤滑剤
、およびその塗液に含まれる特定の活性物質を安定化させるかまたはその機能を補足すべ
く作用し得る他の添加物を含む。当業者であれば、存在する追加成分の本質が、主に活性
成分および生成物の意図された用途に依存することを認識するであろう。特定の追加成分
の更なる例としては、限定はされないが、リシン、グリシン、ロイシン、イソロイシン、
アルギニンおよびシステイン;ヒト血清タンパク質、アルブミン、卵アルブミンおよびゼ
ラチン;リン酸ナトリウム緩衝液、クエン酸/クエン酸塩緩衝液、トリス緩衝液;ヒドロ
キシ安息香酸の誘導体;ビタミンE、アスコルビン酸;水溶性シリコーン/シリケート;
クエン酸、EDTAおよびEGTAが挙げられる。
前述したように、活性成分の本質および生成物の意図された用途に応じて、様々な代替
タンパク質、アミノ酸、希釈液、キレート化薬剤、緩衝液、保存料、安定剤、抗酸化剤お
よび潤滑剤もまた、本発明における使用に好適であり得る。このことは、当業者に認識さ
れるであろう。
粒子には、天然もしくは合成ポリマーまたはモノマーであり得る水溶性ゲル形成化合物
が含まれる。この水溶性ゲル形成化合物は、比較的高い湿分の存在下で液体または半固体
にならないものであることが好ましい。好適な水溶性ゲル形成化合物としては、アクリレ
ートもしくはその誘導体、アルブミン、アルジネート、カルボマー、カラギーナン、セル
ロースもしくはその誘導体、デキストラン、デキストリン、ゼラチン、ポリビニルピロリ
ドン、スターチ、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されるものでは
ない。一実施形態において、水溶性ゲル形成化合物は、ゼラチン、プレゲル化澱粉、カル
ボキシメチルセルロース、またはそれらの組み合わせである。水溶性ゲル形成化合物は、
粒子のコアの部分を形成し得る。そのようなコアは、本明細書において「ヒドロゲル」コ
アと呼ばれる場合もある。粒子は、水溶性環境にさらされたときに生成物の溶解速度に影
響するように働き得る、1つ以上の単糖を更に含み得る。生成物の溶解速度は、粒子のコ
ア内に存在する単糖のパーセンテージを増加して加速させることも、粒子のコア内に存在
する単糖のパーセンテージを減少させることによって減速させることもできる。加えて、
1つまたは複数の水溶性ゲル形成化合物をコア内に取り込むことによって、および/また
は水溶性ゲル形成化合物の分子量を増加させることによっても、最適化された持続放出性
固体剤形を生成し得る。
本発明の方法に使用される粒子は好ましくは、直径が約50〜800マイクロメートル
、または約100〜600マイクロメートル、または約200〜400マイクロメートル
の微粒子であるが、活性成分および生成物の意図された用途に応じて代替サイズを有する
粒子もまた利用され得ることは明らかである。粒子が小さい場合は、水が表面からコアに
より速く浸透してゲルを形成できるため、粒子が大きい場合よりも速く溶解する。このよ
うに、様々なサイズの粒子の混合物を使用することによって、連続的な持続放出作用が最
適化され得る。
本方法に使用される粒子の組成物によって、活性成分を含む塗液が、有意な凝塊形成ま
たは消失なしに粒子の表面に効率的に確実に結合できる。
本発明の方法は、粒子がチャンバーの内部で螺旋形経路内を上向き方向に移動させるよ
うに粒子を本装置の処理チャンバー内で流動化する工程を含む。粒子どうしが同時に回転
することもあり得る。処理チャンバー内では、粒子の軌跡が螺旋状になるため、粒子上に
塗液が滑らかかつ均一にコーティングされるようになる。滑らかで均一なコーティングは
、粗く不規則にコーティングされた粒子間で起こり得る相互磨耗作用(abrasive
interactions)を最小限に抑えるため、有利である。そのような磨耗作用
は、特に活性成分がタンパク質またはペプチドである場合、活性成分に対して悪影響を及
ぼし得る。
粒子の螺旋形の動きは、処理チャンバー内で(空気または不活性ガスを含み得る)ガス
に螺旋形経路を移動させることによって達成され得るものである。これは、上方へ移動す
る回転ガス流を処理チャンバー内に導入することにより達成される。上方へ移動する回転
ガス流によって、粒子が処理チャンバーの底部から離昇し、螺旋形経路内を上向き方向に
移動する。一実施形態においては、処理チャンバーの底部に位置するかまたは処理チャン
バーの底部に隣接して位置するガイド部材を通してガスを引き込むことによって、粒子の
螺旋形の動きが達成される。処理チャンバーを負の圧力条件下に置くことによって、ガイ
ド部材を通してガスを引き込むことができる。ガイド部材は、そのガイド部材から引き込
まれたガスを回転経路内の上方へ移動させ、粒子を離昇させて螺旋形経路内の上向き方向
に移動させるように適合されている。
一実施形態においてガイド部材は、ガスが引き込まれる入口と、ガスが排出される出口
と、を含み、このガイド部材は、入口と出口の間を通過するガスに作用することによって
出口から排出されたガスを回転経路内の上方へ移動させる、ガス方向指示要素を含む。
代替実施形態において、ガイド部材は、共通の軸の周りを回転するように適合された少
なくとも2つの部材を具備し、第1の部材が、ガスを引き込み得る入口を備え、第2の部
材が、第2の部材の表面から外側へ突出する1つ以上のガス方向指示要素を含み、第2の
部材が第1の部材より上に位置し、使用時に入口に引き込まれたガスが1つ以上のガス方
向指示要素に作用して、ガイド部材から排出されたガスが回転経路内を上向き方向に移動
するように、第2の部材を回転させる。この実施形態において、第1部材は円盤の形態で
あってもよく、第2部材は円盤または円錐体形の形態であってもよい。使用時に、第2の
部材が離昇し、それにより、第1の部材から間隔を置いて離間されて回転し、結果として
、ガイド部材から排出されたガスが回転経路内を上向き方向に移動し得る。入口は、第1
の部材の中心部に位置し得る。1つ以上のガス方向指示要素は、第1の部材に面する第2
の部材の下側表面上に位置し得る。ガス方向指示要素は、複数の湾曲状ブレードであり得
る。第1の部材の直径は、第2の部材の直径より長くてもよい。ガイド部材は、第1の部
材と第2の部材との間に位置する第3の部材を更に含んでもよく、この第3の部材は、第
1の部材の入口と連通している入口を備え、更に、第3の部材の表面から外側へ突出する
1つ以上のガス方向指示要素を含み、使用時に各入口に引き込まれたガスが1つ以上のガ
ス方向指示要素に作用して、ガイド部材から排出されたガスが回転経路内を上向き方向に
移動するように、第2の部材および第3の部材を回転させる。使用時に、第2の部材およ
び第3の部材が離昇し、それにより、第1の部材、第2の部材および第3の部材がそれぞ
れ間隔を置いて離間されて回転し、結果として、ガイド部材から排出されたガスが回転経
路内を上向き方向に移動し得る。第3の部材のガス方向指示要素は、複数の湾曲状ブレー
ドであり得る。第3の部材は、円盤の形態であってもよい。第3の部材の直径は、第2の
部材の直径より長くてもよく、かつ第1の部材の直径より短くてもよい。1つ以上のガス
方向指示要素は、第1の部材に面する第3の部材の下側表面上に位置し得る。
代替実施形態においてガイド部材は、第1の円盤、第2の円盤、第3の円盤および円錐
体の形態で提供される少なくとも4つの部材を、共通の軸の周りに回転可能な積層構造に
て具備し、第1の円盤、第2の円盤および第3の円盤がそれぞれガスを引き込み得る、そ
れらにとって中心的な入口を備え、第2の円盤、第3の円盤および円錐体が、その表面か
ら外側へ突出する複数のガス方向指示要素を含み、使用時に各入口に引き込まれたガスが
1つ以上のガス方向指示要素に作用して、ガイド部材から排出されたガスが回転経路内を
上向き方向に移動するように、第2の円盤、第3の円盤および円錐体を回転させる。この
実施形態において、第1の円盤は直径が第2の円盤より大きくてもよく、第2の円盤は直
径が第3の円盤より大きくてもよく、第3の円盤は直径が円錐体の端面より大きくてもよ
く、円盤および円錐体が積み重ねられているときに、ガイド部材が全体として円錐体の外
観を有し、基部が第1の円盤によって提供され、先端部が円錐体によって提供される。1
つ以上のガス方向指示要素は、第2の円盤および第3の円盤の下側表面上、ならびに第3
の円盤に面する円錐体の表面上に位置し得る。ガス方向指示要素は、複数の湾曲状ブレー
ドであり得る。使用時に、第2の円盤、第3の円盤および円錐体が離昇することができ、
それにより、第1の円盤、第2の円盤、第3の円盤および円錐体がそれぞれ間隔を置いて
離間されて回転し、結果として、ガイド部材から排出されたガスが回転経路内を上向き方
向に移動し得る。
本発明の更なる実施形態において、ガイド部材は、経路を画定している中央穴が設けら
れた3つの環状部材を具備する。それらの環状部材は、共通の軸の周りを回転するように
適合されており、処理チャンバーの最下位の地点に位置する部材ほど直径が短くなってい
る。環状部材の直径の比は、約2:1.5:1である。環状部材の頂上には固体円錐形の
部材があり、これは環状部材と同じ軸の周りを回転するように適合されている。円錐形の
部材の直径は、その直下にある環状部材の直径より小さい。円錐形部材の直下に位置する
2つの環状部材の端は傾斜している。そのため、2つの環状部材および円錐形部材を共に
配置した場合、それら3つのセクションはサイズが増加し、連続した扁平表面を有する円
錐体形状を成すようになる。処理チャンバーの最下位点に位置する環状部材を除いて、環
状部材の下側には外縁から中央穴に向かって延在している複数の略湾曲状ブレードが含ま
れる。ブレードは、気流を穴の方へ向けるように作用する。使用中には負の圧力が処理チ
ャンバーに印加されるため、結果として環状セクションを通って上方へガスが引き込まれ
る。連続したガス流の存在下では、環状セクションおよび円錐形セクションが離昇し、相
互に間隔を空けて離間されて回転する。回転セクションおよび湾曲状ブレードの複合効果
によって、ガイド部材からガスが抜け出て、回転経路(または換言すれば、ハリケーンの
気動に似た経路)内を上方へ移動する。上方へ移動する回転ガス流によって、粒子が処理
チャンバーの底部から離昇し、螺旋形経路内を上向き方向に移動する。
前段落に記載されているガイド部材は、本明細書において「ロケットドライブ(Roc
ket Drive)」と呼ばれる場合もある。
塗液を噴霧する工程は、通常は、処理チャンバーの底部から上向き方向に発生する。し
たがって、塗液は、処理チャンバーを通る粒子の移動方向と同じ方向に噴霧される。一実
施形態においては、処理チャンバー内の粒子の流れによって生じたカラムに沿って塗液が
移動するように、塗液を上向き方向に噴霧する。処理チャンバー内の螺旋形経路内におけ
る粒子の動きによって、外周表面を有するカラム形状が生じる。この実施形態においては
、粒子からなるカラムの外周表面に沿って塗液が移動するように、塗液を上向き方向に噴
霧する。代替実施形態において、塗液は(処理チャンバーの底部に対して)上向き方向に
約20°〜60°の角度で、または約30°〜50°の角度で、または約35°〜45°
の角度で粒子に向かって噴霧される。塗液が噴霧される正確な角度は、処理チャンバーの
寸法に依存する。例えば、長尺かつ幅狭の処理チャンバーを使用した場合、所要角度は4
0°〜50°程度になる可能性が高い。代わりに、幅広かつ短尺の処理チャンバーを使用
した場合、所要角度は40°未満になる可能性が高い。当業者であれば、処理チャンバー
の寸法を考慮し、通常の試験および実験によって、塗液を噴霧する最も適切な角度を定量
できる。
塗液は約0℃〜50℃の温度、または約10℃〜50℃,の温度、または約15℃〜4
5℃の温度、または約30℃〜45℃の温度、または約35℃〜40℃の温度であり得る
。代わりに、塗液は処理チャンバーに入るときに室温であってもよい。
意図されたバッチサイズに応じて、処理チャンバーに塗液が噴射される1つまたは複数
のスプレー式吹き付け器を具備してもよい。複数の噴射器を使用する際は、数種のコーテ
ィングを別々の吹き付け器に充填できる。スプレー式吹き付け器は、方法の実行中にいつ
でも同時並行的に、連続的に、または順番に作動させ得る。これにより、複数のコーティ
ング層および様々な活性成分を有する生成物を生成するうえで、有意な柔軟性が得られる
。本発明の方法では、バイアル瓶入りの凍結乾燥パウダーとは対照的な、単一の固形製剤
に多くの活性成分を含んだ生成物を生成できる。本発明の方法は、化学的におよび/また
は物理的に適合しない成分どうしを単一製剤に化合できる。
本発明の方法に使用されるスプレー式吹き付け器は、塗液がミクロ液滴に変換されてか
ら粒子に接触するように適合させることが可能である。ミクロ液滴のサイズは、スプレー
速度および処理チャンバーに入るガスの体積を調節することによって変更し得る。
噴霧の後、塗液を、粒子を包む連続的なガラス質のフィルム(「生体ガラス」)に変換
する。液体からガラス質の固体への変換は、迅速(1秒未満)であるため、活性成分の安
定性を損なわずに済む。活性成分は水の蒸発の潜熱によって放散するため、熱によるダメ
ージを受けない。
必要に応じて、特定の特性を有する生成物を得るため、更なるコーティング工程を実施
してもよい。例えば、乾燥工程の前または後に、得られた生成物を更なるコーティングで
コーティングしてもよい。例えば、生成物を経口投与することが望まれる場合に胃で生成
物が分解されないよう保護するための腸溶コーティングを利用し得る場合は有利になり得
るということは、当業者であれば認識されるであろう。一般に、そのような更なるコーテ
ィングは、粒子を初期塗液でコーティングする場合に用いられるのと同様のコーティング
速度で実施される。
本発明の方法は、囲繞された無菌の環境(または言い換えれば、汚染物質を含まないか
または実質的に含まない環境)で実施するのが好ましい。汚染物質は一般に、微生物およ
びこれらに類するものを含むが、本発明の方法を実施するときはまた、それ以外の有害な
汚染物質をすべて除外することも望ましい。このことは、当業者であれば容易に認識され
るであろう。
本発明の方法を実施する環境は、活性成分が酸化されてしまう可能性を最小限に抑える
ことができるよう、酸素を含まないかまたは実質的に含まないことが好ましい。酸素を含
まないかまたは実質的に含まない環境は、処理チャンバー内に含まれる空気を例えば窒素
などの不活性ガスに置き換えることによって達成され得る。例えば二酸化炭素またはアル
ゴンなどの代替の不活性ガスを利用してもよいことは明らかである。
本発明の方法は、処理チャンバー内における粒子の重量超過を伴うことがあり得る。機
器製造業者は、通常の流動床操作において処理チャンバーの容量の50%w/vを超過し
ないように推奨している。例えば、処理チャンバーが100Lの場合は、処理材料重量が
50kgを超えないようにすべきであるが、本発明の方法はチャンバー体積に対する処理
重量が100%w/vを超過する場合を許容している。したがって、いずれか1つのバッ
チ内の粒子の処理重量は、少なくとも2倍またはさらには3倍であり得るため、結果とし
て生産効率が有意に改善されるだけでなく、通常の流動床スプレーコーティング系と比べ
て大幅な資本の節約になる。
活性成分へのダメージを最小限に抑えるために、平衡条件の下でプロセスを実施しても
よい。この点に関して、湿気投入量は、熱を投入した結果として蒸発により粒子から失わ
れる湿気量に等しい。したがって、湿気および熱に対して中立な環境で方法を実行しても
よい。「湿気および熱に対して中立な環境」において、微粒子の表面は湿気を含まない状
態にある。湿気を含まない環境は、噴霧を常温で蒸発速度に等しい速度に設定することに
よって達成され得る。
本発明の方法は、任意の適切な流動体床スプレー装置で実施してもよい。Vitaph
arm Technology Development Co.Ltd(BDA,中国
、北京)が設計したHinge Engineering製「ロケットドライブ(Roc
ket Drive)」搭載のCPU駆動式Turbojet(商標)に従う実施例にお
いては、BWI Huttlin(Daimlerstrasse 7,D−79585
,ドイツ、シュタイネン(Steinen))製Fluid Bed Coaterが使
用されている。当業者であれば、BWI Huttlin装置をよく理解するであろう。
装置に効率的かつ効果的なマイクロカプセル化を促すための修正を施してもよいことは
明らかである。例えば、本明細書に記載の実施例に使用されている装置は、次のようにカ
スタム修正できる。
− 装置の作動中にクリーニングまたは詰まり除去の目的で、(処理チャンバーに塗液
を供給するための)ノズルの中央部を取り外せるように、スプレーノズルを再設計した。
この修正により、装置の連続運用が可能になる。
− 標準の定置洗浄(Cleaning−In−Place)サイクル後、すべての接
触面の熱滅菌が容易になるよう網羅的に鏡面磨きした。
− 処理チャンバーに導入された空気を、窒素などの再循環用の不活性ガスに置き換え
た。この不活性ガスは、空気とは対照的に流動化に使用され得る。この修正により、感受
性の活性成分の酸化を最小限に抑え、嫌気性細菌の安定性を増強し得る。
− 標準装置内に存在する中央エアリターンカラム(central air ret
urn column)を、上述のロケットドライブ(Rocket Drive)ガイ
ド部材で置き換える。
一実施形態において、本発明の方法(2〜3Kgのバッチに対応した)は、以下のとお
り実施され得る。
1.好適な組成物を有する固体ヒドロゲル粒子(微粒子)を、減圧によってロケットド
ライブ(Rocket Drive)搭載のHuttlin Turbojet(商標)
Fluid Bed Coaterに充填し、流動化する。流動化は空気500〜100
0m3/時の速度にて発生する。
2.(ロケットドライブ(Rocket Drive)を介して処理チャンバーに入る
)低速の処理空気を用い、微粒子を約30℃〜80℃の温度になるまで、より好ましくは
約60℃の温度になるまで約1時間加熱し、それにより、スローモーションで流動化され
るようにする。スローモーションでの流動化によって、微粒子の内側部が乾燥し、微粒子
間摩擦が最小限に抑えられることが保証される。
3.その後、微粒子の温度が約35℃〜45℃に下がり、微粒子が螺旋形軌跡内を上方
へ移動するまで、処理チャンバーに入る処理空気の速度が増していく。
4.微粒子の温度が約35℃〜45℃に達すると、処理空気は窒素などの不活性ガスに
置き換えられる。この工程を少なくとも約5分間実施することによって、処理チャンバー
内に存在する空気全部が確実に不活性ガスに置き換えられ得る。
5.活性成分は適切な塗液で不動化される。完全に固体が溶解されるよう、基礎液を約
38℃まで加熱する。スプレーコーティングの直前に活性成分を基礎液に添加(約60r
pmにて混合)し、十分に混合する。
6.その後、好ましくはできるだけ高速に、必要量の塗液を流動化された微粒子に対し
て噴霧すると、その間中、微粒子は螺旋形軌道内を上方へ移動する。コーティングは1分
につき塗液約20g〜40gの速度で行われる。塗液は、処理チャンバーの底部から可動
微粒子に向かって、(処理チャンバーの底部に対して)約40°〜50°の角度で噴霧さ
れる
7.微粒子が過剰な湿気を含まない場合は、コーティングが1分につき塗液約25g〜
35gの速度で行われ、それにより、微粒子が継続的に螺旋形に移動することが保証され
る。したがって、(タンパク質またはペプチドなどの活性成分を含む)塗液は、湿気を含
まない窒素環境において継続的に脱水される。生成物は通常は水分活性0.25未満にな
るまで乾燥する。
上記の処理工程およびパラメータは、異なる活性物質を含む多様な生成物または生成物
の製造に対応するように変更できることは明らかである。例えば、入口方法空気温度、生
成物温度、流動化空気体積、液体噴霧速度、塗液の温度、塗液の粘度、塗液の固形分、微
粒子のコアの総表面積、微粒子のコアの水溶性、入口空気の湿度、圧搾空気のスプレー圧
、装置のフィルター孔径、および自動除塵の頻度に対して変更を行うこともできる。1つ
のパラメータに変更が行われている場合、初期変更の補正を行ううえで別のパラメータに
対応する何らかの調整が必要とされ得るときは、当業者であればその調整を容易に特定で
きるであろう。
本発明の方法においてバッチサイズは、処理チャンバーの体積、および過負荷(ove
rloading)が必要とされるかどうかに応じて変動し得る。本明細書に記載されて
いる実施例において、バッチサイズは、通常3kgである。この文脈において「バッチサ
イズ」は本方法で使用される全固形物を指し、両方の微粒子中に含まれる固体、塗液、お
よび追加で使用される任意の塗液を含む。したがって、本明細書中で使用されているよう
に、特定の成分のパーセンテージは、総バッチサイズのパーセンテージに換算して表され
る。
本発明は更に、本発明の方法によって調製される少なくとも1種の活性成分を含む生成
物に関する。好ましくは、本生成物は生物学的材料を含むが、光、熱、湿気または空気に
対する感受性が高い可能性のある任意の材料、または理由の如何を問わず安定化/保護を
必要とする任意の材料を含み得ることは、当業者であれば認識されるであろう。本発明は
更に、少なくとも1種の活性成分を安定化させるための、本発明の方法の使用に関する。
本発明は更に、少なくとも1種の活性成分をヒトまたは動物に送達するための、第2の
態様の生成物の使用に関する。本発明の方法に従って生成される生成物は、活性成分、好
ましくは生物学的に活性な成分をヒトおよび動物に送達することに特定の用途を見出して
いる。本生成物は、注射投与、経口投与、経鼻投与、舌下投与、局所投与、膣内投与、ま
たは直腸投与用に適合され得る。本生成物は、注射用に意図された組成物、舌下錠、経口
錠、持続放出性舌下錠、カプセルへの充填用に意図されたマイクロカプセル、鼻スプレー
、点鼻薬、液滴、洗眼薬、点眼薬または皮膚洗浄溶液用に意図されたマイクロカプセル、
飼料プレミックス、ペッサリー、予め構成された固体製剤(solid dose)から
なる群から選択される剤形であり得る。水溶性ゲル形成化合物を使用することによって、
本発明に従って生成される生成物は、舌下経路および粘膜経路を経由する活性成分の持続
放出送達に非常に有効となる。したがって、本発明の更なる態様は、本発明における持続
放出性剤形を調製するための方法の使用を含む。一実施形態において、本発明に従う送達
製剤は、タンパク質およびペプチド、好ましくは治療上の用途を意図したタンパク質およ
びペプチド(例えば、インターロイキンおよびインターフェロンなどのサイトカイン)を
含む。
本発明はまた、少なくとも1種の活性成分を含む生成物を調製するための装置に関する
。本装置は:液体を処理チャンバーに導入する出口が1つ以上設けられている処理チャン
バーと、処理チャンバーの底部にある入口と、出口と、を具備し、それによりガスが処理
チャンバーを通り抜けて移動できるようになっており、入口にガイド部材が具備されてお
り、ガスが入口を通って引き込まれたときに、ガイド部材を抜け出ると回転経路内を上向
き方向に移動するようになっている。本装置は、本発明の方法を実施する目的に使用でき
る。本発明の装置に使用されるガイド部材は、先に本明細書において第1の態様に関連し
て述べたガイド部材であってもよい。出口は、処理チャンバーの頂部に位置し得る。
実施例1 − 錠剤200mgにつき350ngのヒト組み換えインターロイキン2(I
L2)を含む徐放性インターロイキン2錠
バッチサイズ:3kg
容器サイズ:1.5L
コーティング温度:38℃±2℃
スプレー速度:30グラム/分
通常の微粒子コアサイズ:700μm〜425μm(30%)、425μm〜180μ
m(55%)、180μm未満(15%)
ヒドロゲル微粒子コア:マンニトール(70%)、カルボキシメチルセルロースナトリ
ウム(2%)、ポリビニルピロリドン(2%)、ゼラチン(13%)および澱粉(13%

塗液:マンニトール(10%)、プロピレングリコール(3.5%)、サクシニル化ゼ
ラチン(0.6%)、グリシン(0.3%)、アスコルビン酸(0.3%)、アルブミン
(0.05%)、pH7に調整するための標準リン酸ナトリウム緩衝液、および注射用水
で100%とした。
本方法は、下掲の手順で実施された。
1.グリシン、マンニトール、サクシニル化ゼラチン、プロピレングリコール、アスコ
ルビン酸および緩衝液を注射用水に溶解し、次いで、0.2マイクロメートルの膜フィル
ターに通して濾過した。アルブミンを添加し、続いて注射用水で重量を調整する。
2.製造業者の指示に従い、ロケットドライブ(Rocket Drive)搭載Hu
ttlin Turbojet(商標)Fluid Bed Coaterの処理チャン
バーを1時間加熱処理して殺菌する。
3.その後、装置を濾過された窒素が循環するモードに切り替える。
4.微粒子を減圧により処理チャンバーに充填し、流動化した後、約60℃の温度まで
1時間加熱した。
5.その後、微粒子の温度を40℃まで下げる。
6.その後、処理チャンバーの内容を空気300m3/時の速度で流動化し、必要に応
じてこの速度を空気900m3/時の速度までゆっくり加速する。この結果、微粒子が螺
旋形経路内を上向き方向に移動する。
7.続いて、無菌IL2(組み換えヒトIL2(2.25mg))を塗液に添加し、そ
の後、平衡条件下で処理チャンバーの底部から上方へ微粒子に向かって30g/分の速度
で噴霧する。
8.得られた生成物を0.25%未満の水分活性含量になるまで乾燥させる。
9.続いて、当該技術分野における標準手順に従い、生成物を圧縮して200mgの錠
剤にする。
10.その後、窒素を吹き付けたアルミニウム/アルミニウムホイルパックで錠剤を包
装し、25℃以下の温度で保管した。
プロセス検証の結果
同じ日に同じ機器、操作パラメータ、ならびに活性物質および賦形剤材料の同じバッチ
を使用して、IL2(350ng)の錠剤のバッチ2つを処理した。午前および午後に生
成されたバッチに、それぞれバッチコードBX20100831−1およびBX2010
0831−2を割り当てた。また、IL2マイクロカプセルのバッチ2つを使用して、錠
剤を作製した。各錠剤は、質量が200mgである。錠剤のスペック=IL2(350n
g)±30%。
Figure 0006169137
ELISAおよびバイオアッセイによる検証の結果
別の両日に同じ機器、操作パラメータ、ならびに活性物質および賦形剤材料の同じバッ
チを使用して、IL2(250ng)の錠剤のバッチ2つを処理した。1日目および2日
目に生成されたバッチにそれぞれ、バッチコードBX20100414−1およびBX2
0100422−1を割り当てた。また、IL2マイクロカプセルのバッチ2つを使用し
て、錠剤を作製した。各錠剤は、質量が200mgである。錠剤のスペック=IL2(2
50ng)±30%。
Figure 0006169137
実施例2 − 200mgの錠剤につき20マイクログラムのエキセナチドを含む徐放性
エキセナチド錠
バッチサイズ:3kg
容器サイズ:1.5L
コーティング温度:38℃±2℃
スプレー速度:30グラム/分
通常の微粒子コアサイズ:700μm〜425μm(30%)、425μm〜180μ
m(55%)、180μm未満(15%)
ヒドロゲル微粒子コア:マンニトール(66%)、カルボキシメチルセルロースナトリ
ウム(4%)、ポリビニルピロリドン(2%)、ゼラチン(13%)および澱粉(15%

塗液:マンニトール(10%)、プロピレングリコール(3.5%)、サクシニル化ゼ
ラチン(0.6%)、グリシン(0.3%)、デキストラン(0.3%)、アルブミン(
0.05%)、pH7に調整するための標準リン酸ナトリウム緩衝液、および注射用水で
100%とした。
本方法は、下掲の手順で実施された。
1.グリシン、マンニトール、サクシニル化ゼラチン、プロピレングリコール、デキス
トランおよび緩衝液を注射用水に溶解し、次いで、0.2マイクロメートルの膜フィルタ
ーに通して濾過した。アルブミンを添加し、続いて注射用水で重量を調整する。
2.製造業者の指示に従い、ロケットドライブ(Rocket Drive)搭載Hu
ttlin Turbojet(商標)Fluid Bed Coaterの処理チャン
バーを1時間加熱処理して殺菌する。
3.その後、装置を濾過された窒素が循環するモードに切り替える。
4.微粒子を減圧により処理チャンバーに充填し、流動化した後、約60℃の温度まで
1時間加熱した。
5.その後、微粒子の温度を40℃まで下げる。
6.その後、処理チャンバーの内容を空気300m3/時の速度で流動化し、必要に応
じてこの速度を空気900m3/時の速度までゆっくり加速する。この結果、微粒子が螺
旋形経路内を上向き方向に移動する。
7.続いて、無菌エキセナチド(300mg)を塗液に添加し、その後、平衡条件下で
処理チャンバーの底部から上方へ微粒子に向かって30g/分の速度で噴霧する。
8.得られた生成物を0.25%未満の水分活性含量になるまで乾燥させる。
9.続いて、当該技術分野における標準手順に従い、生成物を圧縮して200mgの錠
剤にする。
10.その後、窒素を吹き付けたアルミニウム/アルミニウムホイルパックで錠剤を包
装し、25℃以下の温度で保管した。
ヒトのデータ
メトホルミンで治療を受けた糖尿病患者を1日1回徐放性エキセナチド20μgでの治
療に切り替えた。このエキセナチドは、実施例2に従って調製された舌下錠である。空腹
時血漿グルコース濃度を測定した。それらは、図1および図2に示すとおりである。患者
の血中グルコース濃度は、メトホルミンを摂取してから不安定になり調節が困難になった
。その後、患者は(医師の管理下で)エキセナチド舌下錠での治療を開始した。それによ
り、血中グルコースプロファイルが極めて安定するようになった。
本明細書において記載されている発明には、具体的に記載されている以外の変形および
修正を容易に施せることは、当業者であれば認識されるであろう。そのようなあらゆる変
形形態および修正形態が本発明に含まれていることを、理解すべきである。

Claims (6)

  1. 以下の工程を含む、エキセナチドを被験対象に送達するための、医薬製剤の製造方法。
    (i) エキセナチドとサッカライドと水溶性溶媒とを含む塗液を提供する工程と、
    (ii) 1種以上の水溶性ゲル形成化合物を含む粒子を提供する工程と、
    (iii) 前記粒子がチャンバーの内部で螺旋形経路内を上向き方向に移動するように前記粒子を装置の前記処理チャンバー内で流動化する工程と、
    (iv) 前記塗液を前記粒子に噴霧することによって、コーティングされた粒子を提供する工程と、
    (v) 前記コーティングされた粒子を乾燥させる工程
  2. 医薬製剤が、持続放出性剤形である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 被験対象が、糖尿病患者である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 医薬製剤が、被験対象の血中グルコース濃度の調節のためのものである請求項1又は2に記載の製造方法。
  5. 送達が、粘膜送達である請求項1〜4のいずれかの請求項に記載の製造方法
  6. 前記送達が舌下送達である、請求項5に記載の製造方法。
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