JP6166062B2 - 肝臓疾患の評価方法及び診断キット - Google Patents
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Description
また、血管平滑筋におけるLR11の機能は、uPARを介して細胞内にシグナルが伝達される経路が解析されており、LR11はuPARのリガンドになることが、報告されている(非特許文献5)が、直接この2つのマーカーの関係を検討した報告はなかった。
本発明者は、上述した知見を基に、ガラクトサミンによる急性肝障害モデルラットでの動物実験を行った結果、ガラクトサミン投与による肝障害が引き起こされたと同時に血中の可溶性LR11濃度が増加し、肝細胞障害が収束した後も増加傾向が続くことが確認され、可溶性LR11が肝繊維化を呈する初期の段階の肝臓疾患においても、病態を的確に捉えうるマーカーになりうることを見出し、本発明を完成するに至った。
〔1〕哺乳動物由来の血液由来試料中の可溶性LR11濃度を測定することを特徴とする、該動物における肝臓疾患(肝癌を除く)の重篤の程度及び予後予測の評価方法。
〔2〕可溶性LR11濃度の測定が、血液由来試料中の可溶性LR11濃度を免疫学的方法により測定し、カットオフ値を設定して、カットオフ値以上になった場合に肝硬変や肝癌へのリスクが高まりつつある肝臓疾患と判定するものである〔1〕記載の評価方法。
〔3〕肝臓疾患が、ウイルス性肝炎、肝硬変、アルコール性肝炎、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、特発性門脈圧亢進症である〔1〕又は〔2〕記載の評価方法。
〔4〕可溶性LR11測定試薬を含有する肝臓疾患(肝癌を除く)の診断キット。
1.材料と方法:
(1)治療中の各種肝臓疾患患者、ウイルス性肝炎[CH](B型42名、C型204名)、肝硬変[LC]43名、アルコール性肝炎[AL]10名、脂肪肝[FL]21名、非アルコール性脂肪肝炎[NASH]12名、自己免疫性肝炎[AIH]44名、原発性胆汁性肝硬変[PBC]88名、原発性硬化性胆管炎[PSC]3名、及び特発性門脈圧亢進症[IPH]4名から採取された血漿中の可溶性LR11(sLR11)濃度を、可溶性LR11測定試薬(積水メディカル社製)を用いて測定した。比較として、健常者ボランティア57名の血清中の可溶性LR11濃度も測定した。さらに、これら検体中の可溶性uPAR(suPAR)濃度を、以下のELISA法で測定した。その他の肝機能マーカーの測定は、臨床検査結果より引用した。
96穴ELISAプレートに、PBSで10μg/mLに希釈した抗ヒトuPARモノクローナル抗体(R&D systems社、MAB807)を1ウェルあたり50μL添加し、室温で2時間放置し、抗体を固相した。その後、0.05% Tween(登録商標)20を含むPBS(PBST)にてプレートを洗浄後、1% BSAを含むPBST(BSA−PBST)を、1ウェルあたり200μL添加し、室温で1時間放置して、プレートをBSAでブロッキングした。ブロッキング液を除去した後、検体をBSA−PBSTで5倍希釈した液を、1ウェルあたり50μL添加し、室温で1時間反応させた。別に、Recombinant Human uPAR(R&D systems社、807−UK)を用いてBSA−PBSTにて希釈系列を作成してキャリブレーターとし、検体と同じ条件で反応させた。PBSTにてプレートを洗浄後、抗ヒトuPARポリクローナル抗体(R&D systems社、AF807)にビオチン標識した標識抗体をBSA−PBSTにて0.1μg/mLとなるように希釈した液を、1ウェルあたり50μL添加し、室温で1時間反応させた。PBSTにてプレートを洗浄後、HRP標識ストレプトアビジン(Thermo Scientific社、21126)をBSA−PBSTにて0.5μg/mLとなるように希釈した液を、1ウェルあたり50μL添加し、室温で30分間反応させた。PBSTにてプレートを洗浄後、過酸化水素を含むクエン酸緩衝液を用いて、テトラメチルベンチジンを0.3mg/mLになるように溶解した基質液を、1ウェルあたり50μL添加し、室温で10分間反応させた後、希硫酸液を1ウェルあたり50μL添加し、反応を停止させた。450nmの吸光度を測定し、キャリブレーターの希釈系列より作成された検量線を用いて、検体中のsuPARの濃度を算出した。
(1)解析1:肝機能マーカーとの相関性
一般的な肝機能マーカーの検査、7項目(AST、ALT、アルカリフォスファターゼ[ALP]、コリンエステラーゼ[ChE]、アルブミン[Alb]、血小板[PLT]、IV型コラーゲン[IVc])に加えて、腎機能検査2項目(尿素窒素[UN]、クレアチニン[Cr])について、sLR11及びsuPAR濃度との相関関係を確認した。表1には、算出された相関係数並びに回帰分析結果を示した。
これに対して、suPAR濃度は腎機能マーカーと有意な正の相関関係を認めたが、sLR11濃度は全く相関関係を認めないことから、腎機能の影響を受けにくいことが新たに判明した。
また、sLR11濃度とsuPAR濃度の間でも、比較的強い正の相関関係を認め、sLR11濃度とsuPAR濃度のいずれもが肝臓疾患の有用なマーカーとなることが示された。
sLR11及びsuPARの参考基準値は、健常者ボランティア57名の血清中の濃度の平均値±2×標準偏差(2SD)として算出した。sLR11は7.8±3.2ng/mL(4.6〜11.0ng/mL)、suPARは2.4±0.7ng/mL(1.0〜3.8ng/mL)と算出された。
各種肝臓疾患検体中のsLR11及びsuPAR濃度測定結果を、疾患別に解析2で得られた健常者ボランティア(normal)のそれぞれの濃度と比較した。その結果を表2、図1並びに表3、図2に示す。
解析1で得られたsLR11及びsuPARの参考基準範囲(4.6〜11.0ng/mL、1.0〜3.8ng/mL)、加えて、解析で強い正の相関関係を認めたIVcのカットオフ値を150ng/mLと定め、それぞれその上限を超えた検体を陽性として、肝臓疾患別に各検査項目の陽性率を算出した(表4)。さらに、sLR11とIVcを組合わせた場合(いずれかが陽性である場合)の陽性率も求めた。
1.材料と方法:
(1)Fischer344ラット(体重100〜110g)4匹を4時間絶食させた後、その内の2匹に、PBSに溶解させたD(+)−ガラクトサミン塩酸塩(和光純薬工業社、075−05013)を、800mg/kgとなるように腹腔内に投与した。残りの2匹には、PBSを同量(約1mL)腹腔内投与し、対照群とした。投与後、さらに4時間絶食させた後、通常の飼育に切り替えた。ガラクトサミン投与前及び投与後3、6、9、24、48、72時間及び13日間経過時点で尾静脈から採血し、血清を得た。その血清中のsLR11は、以下のELISA法にて測定した。肝臓細胞の障害の程度は、オートセラAST試薬(積水メディカル社)を用いて、ラット血清中のASTを測定することで確認した。それぞれの結果を、図3及び図4に示す。
特異抗体の作製:
大阪大学蛋白質研究所より供与されたLR11部分蛋白質(Actacryst. 2011, F67, 129−132)を、千葉大学から提供を受けたLR11ノックアウトマウス(J.Clin.Invest.,2008、118:2733−2746)に免疫後、通常の方法に基づいて、特異抗体を作製した。その中から、ラットを含めた動物由来のLR11に反応する抗体を選択し、サンドイッチELISA系が成立する組み合わせで、ラット血清中のsLR11を定量できる測定系を構築した。測定条件の詳細を以下に示す。
サンドイッチELISA:
96穴ELISAプレートに、PBSで10μg/mLに希釈した抗LR11モノクローナル抗体(クローンNo.93222)を1ウェルあたり50μL添加し、室温で2時間放置し、抗体を固相した。その後、PBSTにてプレートを洗浄後、BSA−PBSTを、1ウェルあたり200μL添加し、室温で1時間放置して、プレートをBSAでブロッキングした。ブロッキング液を除去した後、検体をBSA−PBSTで5倍希釈した液を、1ウェルあたり50μL添加し、室温で2時間反応させた。別に、キャリブレーターとして、市販ウサギ血清(ジャパンバイオシーラム社)のBSA−PBSTによる希釈系列を作成し、検体と同じ条件で反応させた。PBSTにてプレートを洗浄後、抗LR11モノクローナル抗体(クローンNo.93213)にビオチン標識したものを調製し、BSA−PBSTにて1μg/mLとなるように希釈した液を、1ウェルあたり50μL添加し、室温で1時間反応させた。PBSTにてプレートを洗浄後、HRP標識ストレプトアビジン(Thermo Scientific社、21126)をBSA−PBSTにて0.5μg/mLとなるように希釈した液を、1ウェルあたり50μL添加し、室温で30分間反応させた。PBSTにてプレートを洗浄後、過酸化水素を含むクエン酸緩衝液を用いて、テトラメチルベンチジンを0.3mg/mLになるように溶解した基質液を、1ウェルあたり50μL添加し、室温で10分間反応させた後、希硫酸液を1ウェルあたり50μL添加し、反応を停止させた。450nmの吸光度を測定し、キャリブレーターの希釈系列より作成された検量線を用いて、ラット血清中のsLR11の濃度を算出した。
図4の結果より、ガラクトサミン投与ラットの血清AST活性の著明な増加が認められ、24時間後でピークとなった。一方、血清中のsLR11濃度は、投与後24時間から序々に増加しはじめ、AST活性を指標とした肝臓細胞障害がほぼ収束した72時間後でも、まだ増加傾向にあった。その後、13日を経過した段階では、sLR11濃度は初期値まで戻っていた(図3)。この結果から、急性期の状態において、血液中のsLR11濃度増加を認めることから、肝繊維化を呈する初期の段階の肝炎においても、病態を的確に捉えうる優れたマーカーになりうることが示唆された。
ガラクトサミン誘発肝障害ラットは、ヒトのウイルス性肝炎に類似した病態を呈するモデルと言われている。ウイルス性肝炎では、ウイルスが感染した肝細胞を宿主のリンパ球が破壊して、ウイルスを排除する状態が継続する。破壊された細胞は直ぐに再生されるが、上記データよると肝細胞が再生される状態とsLR11濃度の上昇がほぼ一致していることから、血液中のsLR11濃度は、肝細胞の障害並びに修復再生状況を反映する指標となる可能性が考えられた。
Claims (3)
- 哺乳動物におけるウイルス性肝炎、肝硬変、アルコール性肝炎、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、又は特発性門脈圧亢進症の重篤の程度及び予後予測を評価するために、該哺乳動物由来の血液由来試料中の可溶性LR11濃度を測定する方法。
- 前記重篤の程度及び予後予測の評価が、血液由来試料中の可溶性LR11濃度を免疫学的方法により測定し、カットオフ値を設定して、該測定値を該カットオフ値と比較するものである請求項1記載の方法。
- 可溶性LR11測定試薬を含有するウイルス性肝炎、肝硬変、アルコール性肝炎、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、又は特発性門脈圧亢進症の診断キット。
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