JP6164057B2 - 電波反射箱および電波反射箱の遅延スプレッド制御方法 - Google Patents

電波反射箱および電波反射箱の遅延スプレッド制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば被試験器の電磁波環境試験等に用いる電波反射箱および電波反射箱の遅延スプレッド制御方法に関する。
一般に、電波反射箱は、導体金属製の箱体と、箱体の内部に設けた攪拌装置とによって構成される。このような電波反射箱は、攪拌装置によって境界条件を変化させて箱体の内部に多数のモード分布を生じさせ、統計的に均一な電界分布を発生させる(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−127667号公報
ところで、特許文献1には、電波反射箱内に例えば電波吸収体のような損失性媒質を1箇所に設け、損失性媒質の露出面積を調整することで、遅延スプレッド(遅延広がり)の制御を行う構成が開示されている。このとき、損失性媒質の露出面積を5通りまたは10通り変化させて、周波数毎に遅延スプレッドをそれぞれ測定し、これにより、遅延スプレッドと損失性媒質の露出面積との関係(近似式)を求めている。
しかしながら、特許文献1の電波反射箱では、損失性媒質を電波反射箱内の1箇所だけに設けているから、電波の分布に偏りが生じ易く、被試験器の設置位置で等方性の環境を維持するのが難しい傾向がある。また、特許文献1の図13に示すように、遅延スプレッドと損失性媒質の露出面積とは、非線形な関係になっている。このため、これらの関係を把握して近似式を取得するためには、例えば損失性媒質の露出面積を5通り以上変化させて、周波数毎に遅延スプレッドをそれぞれ測定する必要があり、近似式の取得に必要な時間が長くなるという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、等方性環境を形成可能で、簡易な操作で遅延スプレッドを調整することができる電波反射箱および電波反射箱の遅延スプレッド制御方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、内面が電波反射性材料からなる箱体と、前記箱体の内部に設けられ多数のモード分布を得る攪拌装置と、前記箱体の内部に設けられ平板状をなす電波吸収体とを備えた電波反射箱であって、前記箱体の内面には、予め決められた所定面積の電波吸収体を予め決められた所定間隔で複数枚設け、前記電波吸収体の枚数を変化させて測定した遅延スプレッドの測定結果に基づいて、複数枚の前記電波吸収体の面積の合計値を対数にしたものと遅延スプレッドとの関係を示す回帰直線を求め、前記回帰直線に基づいて、所望の遅延スプレッドが得られる前記電波吸収体の面積の合計値を特定し、特定した合計値となる枚数の前記電波吸収体を前記箱体の内面に設ける構成としている。
請求項2の発明では、前記箱体の内面には、縦方向と横方向に対して前記所定間隔をもって離間して複数枚の前記電波吸収体を設けている。
請求項3の発明では、前記箱体は、複数の前記内面によって内部空間が画成され、複数枚の前記電波吸収体は、複数の前記内面に設けている。
請求項4の発明は、内面が電波反射性材料からなる箱体と、前記箱体の内部に設けられ多数のモード分布を得る攪拌装置と、前記箱体の内部に設けられ平板状をなす電波吸収体とを備えた電波反射箱の遅延スプレッド制御方法であって、前記箱体の内面には、予め決められた所定面積の電波吸収体を予め決められた所定間隔で複数枚設けて、第1の遅延スプレッドを測定し、前記箱体の内面には、前記所定面積の電波吸収体を前記所定間隔で前記第1の遅延スプレッドを測定したときと異なる枚数設けて、第2の遅延スプレッドを測定し、前記第1の遅延スプレッドの測定結果と前記第2の遅延スプレッドの測定結果とに基づいて、複数枚の前記電波吸収体の面積の合計値を対数にしたものと遅延スプレッドとの関係を示す回帰直線を求め、前記回帰直線に基づいて、所望の遅延スプレッドが得られる前記電波吸収体の面積の合計値を特定し、特定した合計値となる枚数の前記電波吸収体を前記箱体の内面に設ける構成としている。
請求項1,4の発明によれば、箱体の内面には、所定面積の電波吸収体を所定間隔で複数枚設けると共に、電波吸収体の枚数を変化させて遅延スプレッドをそれぞれ測定する。ここで、発明者等が鋭意検討した結果、電波吸収体の面積と間隔を一定に保つと、複数枚の電波吸収体の面積の合計値を対数にしたものと、遅延スプレッドとの間には、ほぼ比例した関係が成り立つことを見出した。このため、電波吸収体の面積と間隔を一定に保持しつつ、電波吸収体の枚数を少なくとも2通り変化させるだけで、遅延スプレッドと複数枚の電波吸収体の面積の合計値との関係を、直線回帰によって求めることができる。この結果、回帰直線から所望の遅延スプレッドが得られる電波吸収体の面積の合計値を特定することができるから、特定した合計値となる枚数の電波吸収体を箱体の内面に設けることによって、遅延スプレッドを所望の値に調整することができる。
また、電波吸収体は所定間隔を空けて箱体の内面に設けるから、1箇所だけに集中して設けた場合に比べて、広い範囲に亘って電波吸収体を配置することができる。このため、電波分布の偏りを緩和することができ、被試験器の設置位置を等方性の環境に近付けることができる。
請求項2の発明によれば、箱体の内面には、縦方向と横方向に対して所定間隔をもって離間して複数枚の電波吸収体を設ける。このため、箱体の内面には、平面状に広がってほぼ均等な密度で複数枚の電波吸収体を配置することができ、電波分布の偏りを抑えることができる。
請求項3の発明によれば、複数枚の電波吸収体は複数の内面に設けたから、1面だけに設けた場合に比べて、電波分布の偏りを抑えて、被試験器の設置位置を等方性の環境に近付けることができる。
本発明の遅延スプレッド制御方法が適用される電波反射箱を、天井面を省いた状態で示す斜視図である。 図1中の電波反射箱を示す縦断面図である。 電波反射箱を図2中の矢示III−III方向からみた断面図である。 電波反射箱の遅延スプレッド制御方法を示す流れ図である。 箱体の1面の内面に合計8枚の電波吸収体を貼り付けた状態を示す模式図である。 箱体の2面の内面に合計32枚の電波吸収体を貼り付けた状態を示す模式図である。 箱体の4面の内面に合計36枚の電波吸収体を貼り付けた状態を示す模式図である。 電波吸収体の面積の合計値と遅延スプレッドとの関係を示す特性線図である。
以下、本発明の実施の形態による電波反射箱の遅延スプレッド制御方法について添付図面に従って詳細に説明する。
図1ないし図3に、本発明による遅延スプレッド制御方法が適用される電波反射箱1を示す。電波反射箱1は、箱体2および攪拌装置9を備える。箱体2は、例えば直方体状に形成され、前,後,左,右の壁面2A〜2D、床面2Eおよび天井面2Fの6面の内面を有している。これらの壁面2A〜2D、床面2Eおよび天井面2Fは、例えば導電性金属材料によって形成されている。これにより、箱体2は、外部からの電磁波を遮断すると共に、内部の電磁波を反射する。
箱体2の前側の壁面2Aには、開,閉可能な扉3が設けられる。この扉3も、壁面2Aと同じ材料を用いて形成される。扉3を開くことにより、電波反射箱1内に被試験器(EUT:Equipment Under Test)等の設置や交換を行うことができる。
箱体2の床面2Eには、左,右方向の一側(図2中の左側)に位置してターンテーブル4が設けられている。例えば携帯電話等の被試験器(図示せず)の電磁波環境試験を行うときには、ターンテーブル4上に被試験器が載置される。ターンテーブル4は、被試験器と一緒に、上,下方向に延びる回転軸Oを中心に任意の設定した速度で回転する。また、電波反射箱1の遅延スプレッドを測定するときには、ターンテーブル4上に基準アンテナ5が設置される。
基準アンテナ5は、例えばディスコーンアンテナ、標準ダイポールアンテナ等の基準アンテナによって構成される。この基準アンテナ5は、測定用アンテナ6Aから放射された電磁波を受信する。なお、基準アンテナ5は、その位置が変更可能となるように、アンテナポジショナ(図示せず)に取付けてもよい。
測定用アンテナ装置6は、ターンテーブル4から離れた位置で箱体2の内部に設けられる。具体的には、測定用アンテナ装置6は、箱体2の左,右方向の他側(図2中の右側)に配置される。この測定用アンテナ装置6は、例えば送信可能な周波数帯が同一の複数個(例えば4個)の測定用アンテナ6Aを備える。これらの測定用アンテナ6Aは、例えばバイコニカルアンテナ等の広帯域アンテナによって構成され、箱体2の内部に電磁波を放射する。また、測定用アンテナ6Aは、必要に応じて被試験器から放射される電磁波を受信する。
図2に示すように、測定用アンテナ6Aおよび基準アンテナ5には、ネットワークアナライザ7が接続される。ネットワークアナライザ7は、基準アンテナ5によって受信した電磁波の電界強度、遅延プロファイル等を測定する。
なお、測定用アンテナ6Aは、2個または3個設けてもよく、5個以上設けてもよい。また、測定用アンテナ6Aは、必ずしも複数個設ける必要はなく、例えば測定用アンテナ6Aを1個だけ設けてもよい。
箱体2の内部には、ターンテーブル4と測定用アンテナ装置6との間に位置して遮蔽部材8が設けられる。遮蔽部材8は、例えば箱体2と同じ導電性金属材料を用いて形成され、測定用アンテナ6Aからの電磁波が直接的に基準アンテナ5に到達するのを遮断する。遮蔽部材8は、例えばL字状に折り曲げたアルミ板からなる衝立であり、前,後方向および左,右方向から傾斜した2枚の板体8Aを備える。この遮蔽部材8は、箱体2の床面2Eに固定され、測定用アンテナ6Aからの基準アンテナ5に直接向かう電磁波を反射する。これにより、遮蔽部材8は、測定用アンテナ6Aからの直接的な電磁波(直接波)の受信レベルを減衰させる。なお、直接波の影響が少ない場合には、遮蔽部材8を省いてもよい。
攪拌装置9は、箱体2の天井面2Fに設けられ左,右方向に移動する反射板9Aと、箱体2の右側の壁面2Dに設けられ上,下方向に移動する反射板9Bとを備える。反射板9Aは、水平面から傾斜すると共に、スライド機構(図示せず)等によって左,右方向に移動する。一方、反射板9Bは、垂直面から傾斜すると共に、スライド機構(図示せず)等によって上,下方向に移動する。
これらの反射板9A,9Bは、例えば箱体2と同じ導電性金属材料を用いて形成され、箱体2内の電界を攪拌して激しいフェージングを起こす機能を果たす。この攪拌装置9によって、箱体2の内部に多数のモード分布を得ることができ、例えばレイリーフェージング環境を形成することができる。
電波吸収体10は、箱体2の壁面2A〜2D、床面2Eおよび天井面2Fよりも電磁波の反射率が低下した材料によって平板状に形成される。電波吸収体10の表面は、平面に限らず、ピラミッド形状、楔形形状等のように、凹凸を持つ形状でもよい。この電波吸収体10は、電磁波の一部を吸収・反射し、残余を透過させる。
電波吸収体10は、箱体2の壁面2A〜2D、床面2Eおよび天井面2Fに対して、複数枚取り付けられる。このとき、電波吸収体10は、着脱可能な手段によって箱体2に取り付けられる。なお、電波吸収体10を箱体2に固定的に取り付け、不要な電波吸収体10を例えば導電性の金属板等によって覆ってもよい。
ここで、複数枚の電波吸収体10は、いずれも同じ所定面積Sをもった同じ形状に形成される。図2には、電波吸収体10を正方形状に形成した場合を例示した。しかし、本発明では、電波吸収体10の形状は正方形状に限らず、例えば長方形状、多角形状、円形状、楕円形状でもよい。
また、隣合う2枚の電波吸収体10は、互いに直交する2つの方向として、縦方向と横方向に対して予め決められた所定間隔Lx,Lyだけ離間して配置される。複数枚(例えば4枚以上)の電波吸収体10を2次元的に配置するときには、縦方向の所定間隔Lyと横方向の所定間隔Lxは、ほぼ同じ値に設定される。これにより、箱体2のうち電波吸収体10が設けられた部位では、電波吸収体10の面密度はほぼ一定に保持される。複数枚の電波吸収体10は、箱体2の6面の内面のうち例えば壁面2Bの1面だけに設けてもよく、例えば壁面2B,2Cのように連続した複数面に亘って設けてもよい。電波吸収体10は、その枚数に応じて、遅延スプレッドを調整する。
なお、箱体2の内面を磁性体材料によって形成した場合には、電波吸収体10は、例えばフェライト磁石、NdFeB系磁石、SmCo系磁石等の硬質磁性材料を含むマグネットシートであってもよい。この場合、電波吸収体10は、軟質な樹脂製シートに、磁力を帯びた硬質磁性材料を混入することによって形成される。硬質磁性材料の磁力によって、箱体2の壁面2A〜2D、床面2E、天井面2Fに電波吸収体10を容易に貼り付けることができる。また、不要な電波吸収体10は容易に取り外すことができる。
本発明が適用される電波反射箱1は上述のような構成を有するもので、次に、実施の形態による電波反射箱の遅延スプレッド制御方法について、図4に示す手順に従って説明する。なお、第1,第2の遅延スプレッドDS1,DS2を求める際には、例えば以下の文献に記載された内容に基づいて遅延スプレッドDS1,DS2を算出する。
X.Chen, P.-S.Kildal, C.Orlenius, and J.Carlsson, "Channel sounding of loaded reverberation chamber for Over-the-Air testing of wireless devices - coherence bandwidth and delay spread versus average mode bandwidth", IEEE Antennas Wireless Propag. Lett., vol. 8, pp. 678-681, 2009.
図4中のステップ1では、第1の遅延スプレッド測定工程として、以下の操作によって第1の遅延スプレッドDS1を測定する。まず、遅延スプレッドを測定するときは、ターンテーブル4上に基準アンテナ5を設置する。図5に示すように、箱体2の内面(例えば壁面2B)には、比較的少ない枚数として例えば8枚の電波吸収体10を貼り付ける。この状態で、測定用アンテナ6Aから電磁波を放射させると共に、攪拌装置9を連続的に動作させる。これにより、箱体2内の電磁界が攪拌され、激しいフェージングが起こる。基準アンテナ5は、箱体2の内面(各壁面2A〜2D、床面2E、天井面2F)や攪拌装置9で反射した多重波を受信する。これにより、ネットワークアナライザ7を用いて基準アンテナ5と測定用アンテナ6Aとの間の伝搬損を測定し、第1の遅延スプレッドDS1を求める。
ステップ2では、第2の遅延スプレッド測定工程として、以下の操作によって第2の遅延スプレッドDS2を測定する。このとき、図6に示すように、電波吸収体10の貼り付け枚数を、第1の遅延スプレッドを測定したときとは異なる枚数に変更する。具体的には、第1の遅延スプレッドDS1を測定したときよりも電波吸収体10の枚数を増加させて、箱体2の内面(例えば壁面2B,2C)に、例えば32枚の電波吸収体10を貼り付ける。このとき、電波吸収体10を貼り付ける箱体2の内面は、第1の遅延スプレッドDS1を測定したときと同じ内面でもよく、異なる内面でもよい。また、電波吸収体10を貼り付ける箱体2の内面は、1面に限らず連続した複数面でもよい。
この状態で、測定用アンテナ6Aから電磁波を放射させると共に、攪拌装置9を連続的に動作させる。基準アンテナ5は、箱体2の内面(各壁面2A〜2D、床面2E、天井面2F)や攪拌装置9で反射した多重波を受信する。これにより、ネットワークアナライザ7を用いて基準アンテナ5と測定用アンテナ6Aとの間の伝搬損を測定し、第2の遅延スプレッドDS2を求める。
ステップ3では、回帰直線演算工程として、第1,第2の遅延スプレッドDS1,DS2の測定データを用いて、複数枚の電波吸収体10の面積の合計値を対数にしたものと遅延スプレッドとの関係を示す回帰直線11を求める。具体的には、図8に示すように、複数枚の電波吸収体10の面積の合計値を対数にしたものを横軸とし、遅延スプレッドを縦軸としたときに、第1,第2の遅延スプレッドDS1,DS2を結ぶ直線を回帰直線11とする。この操作を周波数毎に行い、それぞれの周波数に対する回帰直線11を特定する。
ステップ4では、遅延スプレッド設定工程として、以下の操作によって所望の遅延スプレッドDSaとなるように電波吸収体10の枚数を調整する。具体的には、回帰直線11に基づいて、所望の遅延スプレッドDSaが得られる電波吸収体10の面積の合計値Saを特定する。そして、特定した合計値Saとなる枚数の電波吸収体10を箱体2の内面に設ける。このとき、合計値Saが単一の電波吸収体10の面積(所定面積S)で割り切れず、枚数に端数が生じるときには、複数枚の電波吸収体10の面積の合計値ができるだけ合計値Saに近い値となるように、例えば端数の切り上げ、または切り捨てを行う。なお、複数枚の電波吸収体10のうち外縁側に位置する1枚は、その一部を削除して、端数に応じた面積に調整してもよい。
これにより、電波反射箱1の遅延スプレッドを、所望の遅延スプレッドDSaに近い値に設定することができる。この状態で、ターンテーブル4上に携帯電話等の被試験器を載置することによって、遅延スプレッドDSaに調整された状態で、被試験器の各種の特性を測定することができる。
測定に用いる周波数を変更する場合には、その周波数に応じた回帰直線11に基づいて、改めて電波吸収体10の枚数を求める。そして、測定周波数に応じて、電波吸収体10の枚数を変更する。
電波吸収体10の面積の合計値と遅延スプレッドとの関係の一例として、箱体2に貼り付ける電波吸収体10の枚数を複数通りに変更して、それぞれの枚数における遅延スプレッドを測定した。その結果を、図8に示す。なお、測定に用いた電磁波の周波数は1.9GHzとした。電波反射箱1は、前,後の長さ寸法が125cm、左,右の長さ寸法が190cm、高さ寸法が180cm、ターンテーブル4の直径寸法が60cmのものを使用した。また、図8中の三角形のマークは、一辺が15cmの正方形の電波吸収体10を、縦方向および横方向に対してそれぞれ15cmの隙間を空けながら配置した場合の測定結果を示している。
図8に示すように、複数枚の電波吸収体10の面積の合計値を対数にしたものを横軸とし、遅延スプレッドを縦軸とすると、両者は、ほぼ比例関係にあることが分かる。このとき、比例定数は負の値になり、電波吸収体10の面積の合計値が増加するに従って、遅延スプレッドは減少する。このため、例えば8枚の電波吸収体10を貼り付けたときの第1の遅延スプレッドDS1と、32枚の電波吸収体10を貼り付けたときの第2の遅延スプレッドDS2との2点の測定データを計測することによって、これらの比例関係に応じた回帰直線11を求めることができる。
この結果、2点の測定データに基づく回帰直線11を用いて、所望の遅延スプレッドDSaが得られる電波吸収体10の枚数を容易に特定することができる。例えば所望の遅延スプレッドDSaとして90nsに設定する場合には、回帰直線11に基づいて、電波吸収体10の面積の合計値を0.5m2程度に設定すればよいことが分かる。そこで、22枚の電波吸収体10を箱体2の内面に設けると、電波吸収体10の面積の合計値が0.495m2になるため、遅延スプレッドを所望の値である90ns程度の値に設定することができる。
また、図8中に菱形のマークは、30cmの正方形の電波吸収体を、縦方向および横方向に対してそれぞれ10cmの隙間を空けながら8枚配置した場合の測定結果を示している。この結果から明らかなように、電波吸収体10の所定面積Sや所定間隔Lx,Lyとは異なる条件で遅延スプレッドを測定すると、このときの遅延スプレッドは、回帰直線11から外れた値になる。この理由は、例えば電波吸収体の面密度が変わると、箱体2内での電波の吸収割合が変わること等が考えられる。
従って、回帰直線11を求めたときと同じ面積の電波吸収体10を、同じ間隔で箱体2の内面に貼り付ける必要がある。即ち、電波吸収体10の面密度は、回帰直線11を求めたときと同じ状態に保持する必要がある。一方、電波吸収体10の面密度を一定に保持できれば、箱体2の内面のうち1面だけに電波吸収体10を設ける必要はなく、複数の内面に電波吸収体10を設けることができる。このため、図7に示すように、例えば箱体2の壁面2A〜2Cおよび天井面2Fのように複数の内面に電波吸収体10を設けることができる。この結果、電波吸収体10を1箇所に集中して設けた場合に比べて、電波吸収の偏りを抑制することができ、例えばターンテーブル4の上側に位置する試験領域で等方性環境を確保することができる。
また、特許文献1に記載された遅延スプレッドの制御方法では、予め設置した損失性媒質の面積で遅延スプレッドが決定されるため、制御可能な遅延スプレッドの範囲が制限されるという問題がある。これに対し、本実施の形態では、電波吸収体10の枚数は、回帰直線11を求めたときの2点の測定データの範囲に限らず、これらの範囲外でもよい。
例えば8枚の電波吸収体10を貼り付けて第1の遅延スプレッドDS1を測定し、32枚の電波吸収体10を貼り付けて第2の遅延スプレッドDS2を測定したときであっても、電波吸収体10の枚数は7枚以下にしてもよく、33枚以上にしてもよい。即ち、遅延スプレッドと電波吸収体10の面積の合計値との関係が回帰直線11に従う限り、電波吸収体10の枚数は特に制限されない。このため、遅延スプレッドの制御範囲を広げることができ、遅延スプレッドの設定自由度を高めることができる。
なお、電波吸収体10の枚数が第1,第2の遅延スプレッドDS1,DS2に比べて大きく異なるときには、遅延スプレッドと電波吸収体10の面積の合計値との関係が回帰直線11から外れる傾向がある。図8に示すように、例えば8枚の電波吸収体10による測定データと、32枚の電波吸収体10による測定データとを用いて回帰直線11を求めた場合、32枚の倍以上の枚数である70枚の電波吸収体10を貼り付けたとき(電波吸収体10の面積の合計値が1.575m2)の遅延スプレッドの測定データは、回帰直線11による遅延スプレッドとの差ΔDSが大きくなる。このため、設定誤差(差ΔDS)を小さくするためには、第1,第2の遅延スプレッドDS1,DS2のうち小さい値(例えば第2の遅延スプレッドDS2)を測定したときの電波吸収体10の枚数(例えば32枚)を基準枚数として、回帰直線11によって特定する電波吸収体10の最大枚数は、基準枚数の1.5倍程度の範囲内に収めるのが好ましい。
かくして、実施の形態では、箱体2の内面には、一定サイズ(所定面積S)の電波吸収体10を一定の間隔(所定間隔Lx,Ly)を空けて複数枚設けると共に、電波吸収体10の枚数が異なる状態で遅延スプレッドDS1,DS2をそれぞれ測定する。これにより、2点の測定データに基づいて、遅延スプレッドと複数枚の電波吸収体10の面積の合計値との関係式を、直線回帰によって求めることができる。この結果、回帰直線11から所望の遅延スプレッドDSaとなる電波吸収体10の面積の合計値Saを特定することができるから、特定した合計値Saとなる枚数の電波吸収体10を箱体2の内面に設けることによって、遅延スプレッドを所望の値に調整することができる。
また、電波吸収体10は所定間隔Lx,Lyを空けて箱体2の内面に設けるから、1箇所だけに設けた場合に比べて、広い範囲に亘って電波吸収体10を配置することができる。このため、電波分布の偏りを緩和することができ、被試験器の設置位置(試験領域)を等方性の環境に近付けることができる。これに加えて、複数枚の電波吸収体10は箱体2の複数の内面に設けた場合には、電波分布の偏りの抑制効果を高めることができる。
また、箱体2の内面には、縦方向と横方向に対して所定間隔Lx,Lyをもって離間して複数枚の電波吸収体10を設ける。このため、箱体2の内面に、平面状に広がってほぼ均等な密度で複数枚の電波吸収体10を配置することができ、電波分布の偏りを抑えることができる。
さらに、電波吸収体10の所定面積Sおよび所定間隔Lx,Lyはいずれも任意の値に設定することができるから、箱体2の大きさや形状に応じて、電波吸収体10を選定し、配置することができる。
なお、前記実施の形態では、箱体2の壁面2A〜2Cおよび天井面2Fに電波吸収体10を設けた場合を例示したが、他の内面である壁面2Dや床面2Eに電波吸収体10を設けてもよい。また、箱体2は直方体状に形成された場合を例に挙げて説明したが、他の形状でもよい。
また、前記実施の形態では、第1の遅延スプレッドDS1と第2の遅延スプレッドDS2との2点の測定データに基づいて回帰直線11を求めるものとした。しかし、本発明はこれに限らず、複数枚の電波吸収体の面積の合計値と遅延スプレッドとの関係を精度よく求めるために、例えば3点または4点の測定データに基づいて回帰直線を求めてもよい。
また、前記実施の形態では、攪拌装置9は、反射板9A,9Bを水平方向や垂直方向にスライド移動させる構成としたが、羽根状の反射板を回転させる構成としてもよい。
1 電波反射箱
2 箱体
3 扉
4 ターンテーブル
5 基準アンテナ
6 測定用アンテナ装置
6A 測定用アンテナ
7 ネットワークアナライザ
8 遮蔽部材
9 攪拌装置
10 電波吸収体

Claims (4)

  1. 内面が電波反射性材料からなる箱体と、前記箱体の内部に設けられ多数のモード分布を得る攪拌装置と、前記箱体の内部に設けられ平板状をなす電波吸収体とを備えた電波反射箱であって、
    前記箱体の内面には、予め決められた所定面積の電波吸収体を予め決められた所定間隔で複数枚設け、
    前記電波吸収体の枚数を変化させて測定した遅延スプレッドの測定結果に基づいて、複数枚の前記電波吸収体の面積の合計値を対数にしたものと遅延スプレッドとの関係を示す回帰直線を求め、
    前記回帰直線に基づいて、所望の遅延スプレッドが得られる前記電波吸収体の面積の合計値を特定し、特定した合計値となる枚数の前記電波吸収体を前記箱体の内面に設けた電波反射箱。
  2. 前記箱体の内面には、縦方向と横方向に対して前記所定間隔をもって離間して複数枚の前記電波吸収体を設けてなる請求項1に記載の電波反射箱。
  3. 前記箱体は、複数の前記内面によって内部空間が画成され、
    複数枚の前記電波吸収体は、複数の前記内面に設けてなる請求項1または2に記載の電波反射箱。
  4. 内面が電波反射性材料からなる箱体と、前記箱体の内部に設けられ多数のモード分布を得る攪拌装置と、前記箱体の内部に設けられ平板状をなす電波吸収体とを備えた電波反射箱の遅延スプレッド制御方法であって、
    前記箱体の内面には、予め決められた所定面積の電波吸収体を予め決められた所定間隔で複数枚設けて、第1の遅延スプレッドを測定し、
    前記箱体の内面には、前記所定面積の電波吸収体を前記所定間隔で前記第1の遅延スプレッドを測定したときと異なる枚数設けて、第2の遅延スプレッドを測定し、
    前記第1の遅延スプレッドの測定結果と前記第2の遅延スプレッドの測定結果とに基づいて、複数枚の前記電波吸収体の面積の合計値を対数にしたものと遅延スプレッドとの関係を示す回帰直線を求め、
    前記回帰直線に基づいて、所望の遅延スプレッドが得られる前記電波吸収体の面積の合計値を特定し、特定した合計値となる枚数の前記電波吸収体を前記箱体の内面に設ける電波反射箱の遅延スプレッド制御方法。
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