(本発明の一態様にかかるストレージ管理システムの概要)
まず、図2を参照しながら、本発明の一態様にかかるストレージ管理システムの概要について説明する。図2は、本発明の一態様にかかるストレージ管理システムのシステム構成例を示す。
本発明の一態様にかかるストレージ管理システムは、図2に示すように、複数のデータサーバ13A〜13n(nは、任意の数を意味する)と、そのデータサーバ13A〜13nの各々に対応する各ストレージ14A〜14n(nは、任意の数を意味する)と、ストレージ管理装置15と、を有して構成している。
ストレージ管理装置15は、情報収集処理部151、データ移動判定部152、データ移動処理部153を有して構成している。
情報収集処理部151は、複数のデータサーバ13A〜13nの各々に対応する各ストレージ14A〜14nのデータ使用容量率を収集する。なお、図2では、情報収集処理部151は、各データサーバ13A〜13nから各ストレージ14A〜14nのデータ使用容量率を取得して収集するようにしている。しかし、データ使用容量率を各ストレージ14A〜14nから直接取得するようにしても良い。また、各データサーバ13A〜13n、または、各ストレージ14A〜14nからデータ使用容量を取得し、情報収集処理部151において、データ使用容量とストレージの最大記憶容量とから、データ使用容量率(データ使用容量/ストレージの最大記憶容量)を算出して取得するようにしても良い。この場合、ストレージの最大記憶容量は、データ使用容量を取得する際に各データサーバ13A〜13n、または、各ストレージ14A〜14nから取得したり、各データサーバ13A〜13n、または、各ストレージ14A〜14nから予め取得するようにしても良い。
データ移動判定部152は、各ストレージ14A〜14nのデータ使用容量率を基に、データ使用容量率が既定値よりも高いストレージがあるか否かを判定する。
データ移動処理部153は、データ移動判定部152によりデータ使用容量率が既定値よりも高いストレージがある場合に、データ使用容量率が既定値よりも高いストレージのデータをデータ使用容量率が既定値以下のストレージに移動する。
本発明の一態様にかかるストレージ管理システムは、ストレージ管理装置15が、複数のデータサーバ13A〜13nの各々に対応する各ストレージ14A〜14nのデータ使用容量率を収集する。そして、その収集した各ストレージ14A〜14nのデータ使用容量率を基に、データ使用容量率が既定値よりも高いストレージのデータをデータ使用容量率が既定値以下のストレージに移動するようにしている。これにより、各ストレージ14A〜14nのデータ使用容量率が既定値以下になるようにすることができる。その結果、各ストレージ14A〜14nの何れかのストレージのデータ空き容量が偏って少なくなるのを回避し、データサーバとストレージとの一対の装置を増設してデータ容量を確保するのを抑制することができる。また、装置の増設によるコストの発生を抑制し、システム全体の規模の増大も抑制することができる。なお、ストレージ管理装置15で行う処理は、例えば、図2に示すデータ振分装置11で行うことも可能である。また、図2に示すデータサーバ13A〜13nの中の1つのデータサーバで行うことも可能である。以下、添付図面を参照しながら、本発明の一態様にかかるストレージ管理システムについて詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、図2に示すストレージ管理システムの一実施形態である図3に示す電子メール運用管理システムを例に説明する。
<電子メール運用管理システムのシステム構成例>
まず、図3を参照しながら、本実施形態の電子メール運用管理システムのシステム構成例について説明する。図3は、本実施形態の電子メール運用管理システムのシステム構成例を示す図である。
本実施形態の電子メール運用管理システムは、ユーザ端末UE1〜UEn(nは、任意の数を意味する)、メール振分装置1、メール振分情報データベース2、メールサーバ3A〜3n(nは、任意の数を意味する)、ストレージ4A〜4n(nは、任意の数を意味する)、電子メール運用管理装置5を有して構成している。
本実施形態の電子メール運用管理システムは、ユーザ端末UE1〜UEnがネットワークNWに接続されており、そのネットワークNWにメール振分装置1が接続されている。また、メール振分装置1に複数のメールサーバ3A〜3nが接続されており、各メールサーバ3A〜3nのそれぞれに各メールサーバ3A〜3nで処理可能な上限値のデータ容量のストレージ4A〜4nが接続されている。ネットワークNWは、有線、無線を問わずあらゆる通信形態で構成することが可能である。
ユーザ端末UE1〜UEnは、各ユーザが使用する端末であり、例えば、PC、携帯電話機、スマートフォン等のネットワークNWに接続可能な各種の通信機器が適用可能である。ユーザ端末UE1〜UEnの数は、特に限定せず、任意の数で構成することが可能である。ユーザ端末UE1〜UEnは、ネットワークNWを介してメール振分装置1に電子メールを送信したりする。また、ユーザ端末UE1〜UEnは、メール振分装置1を介して該当するメールサーバ3A〜3nの何れかのメールサーバにアクセスし、ユーザ端末UE1〜UEnを使用するユーザに対応するメールボックスに格納されている当該ユーザへの受信メールや当該ユーザが送信した送信メール、当該ユーザが下書き中の下書きメールなどの電子メールを閲覧したりする。また、メールボックスには、ユーザのアドレス帳やスケジュール管理表が記憶されていても構わない。メールボックスは、メールサーバ3A〜3nに接続されているストレージ4A〜4nの何れかに格納されている。
メール振分装置1は、ユーザ端末UE1〜UEnから送信された各ユーザ宛の電子メールを該当するメールサーバ3A〜3nに振り分ける。また、メール振分装置1は、ユーザ端末UE1〜UEnと該当するメールサーバ3A〜3nの何れかとを接続する。
メール振分情報データベース2は、図4に示すように、ユーザ情報とメールサーバ情報とを対応付けたメール振分情報を記憶している。ユーザ情報は、各ユーザを特定するための情報であり、ユーザID、電子メールアドレス等で構成する。ユーザIDは、各ユーザを一意に特定するための各ユーザ固有の情報である。電子メールアドレスは、各ユーザが電子メールを送受信する際に使用する各ユーザ固有のアドレス情報である。メールサーバ情報は、メールサーバ3A〜3nを特定するための情報であり、メールサーバID、IPアドレス等で構成する。メールサーバIDは、各メールサーバを一意に特定するためのメールサーバ固有のサーバ名等の情報である。IPアドレスは、メールサーバに接続する際に使用するメールサーバ固有のアドレスである。図4に示すメールサーバ情報において、メールサーバ情報Aは、メールサーバ3Aを特定する情報である。メールサーバ情報Bは、メールサーバ3Bを特定する情報である。メールサーバ情報nは、メールサーバ3nを特定する情報である。
メール振分装置1は、ユーザ端末UE1〜UEnから各ユーザ宛ての電子メールを受け付けた場合に、メール振分情報データベース2に格納されているメール振分情報を基に、該当する各メールサーバ3A〜3nに電子メールを振り分けて送信している。また、メール振分装置1は、ユーザ端末UE1〜UEnから各々のユーザに対応するメールボックスへの接続要求を受け付けた場合に、メール振分情報データベース2に格納されているメール振分情報を基に、該当するメールサーバ3A〜3nの何れかのメールサーバにアクセスし、そのアクセスしたメールサーバに接続されているストレージ4A〜4nの何れかのストレージに格納されているそのユーザに対応するメールボックス内の電子メールをユーザ端末UE1〜UEnから閲覧可能にしている。
メールサーバ3A〜3nは、各メールサーバ3A〜3nと個々に接続されたストレージ4A〜4nに電子メールを格納したりする。
ストレージ4A〜4nは、図5に示すように、各ユーザのメールボックスを有して構成しており、ユーザ情報に対応する電子メールをユーザ情報に対応するメールボックスに格納して各ユーザの電子メールをメールボックス単位で管理している。各ユーザ情報に対応するメールボックスは、ストレージ4A〜4nの何れか1つのストレージに格納され、1つのユーザ情報に対応するメールボックスが、複数のストレージに分割されて格納されてはいないこととする。ストレージ4A〜4nは、メールサーバ3A〜3nに内蔵されていても良い。また、メールサーバ3A〜3nと外付けで有線または無線接続されていても良い。また、メールサーバ3A〜3nとネットワーク経由で接続されていても良い。
本実施形態の電子メール運用管理システムを構成するメールサーバ3A〜3n、ストレージ4A〜4nの数は特に限定せず、任意の台数で構成することが可能である。但し、各メールサーバ3A〜3nは、各メールサーバ3A〜3nで処理可能な上限値のデータ容量で構成するストレージ4A〜4nと接続しているとする。例えば、メールサーバ3Aは、メールサーバ3Aで処理可能な上限値のデータ容量で構成するストレージ4Aと接続しているとする。また、メールサーバ3Bは、メールサーバ3Bで処理可能な上限値のデータ容量で構成するストレージ4Bと接続しているとする。また、メールサーバ3nは、メールサーバ3nで処理可能な上限値のデータ容量で構成するストレージ4nと接続しているとする。なお、本実施形態の電子メール運用管理システムは、同一機種のメールサーバ3A〜3nで構成しているとする。このため、各メールサーバ3A〜3nで処理可能な上限値のデータ容量も同一となり、各メールサーバ3A〜3nは、同一のデータ容量で構成するストレージ4A〜4nと接続しているとする。各メールサーバ3A〜3nは、各メールサーバ3A〜3nで処理可能な上限値のデータ容量で構成するストレージ4A〜4nと接続しているため、各メールサーバ3A〜3nに対して新たなストレージを増設することができないようになっているとする。
電子メール運用管理装置5は、各ストレージ4A〜4nのデータ使用容量率を収集して監視し、データ使用容量率が既定値より高いストレージのデータをデータ使用容量率が既定値以下のストレージに移動し、各ストレージ4A〜4nのデータ使用容量率が既定値以下になるように管理する。データ使用容量率は、ストレージに格納可能なデータ容量に対して既に格納したデータ使用容量の割合である。例えば、ストレージに格納可能なデータ容量が2テラバイトであり、既に1テラバイトのデータをストレージに格納した場合のデータ使用容量率は、50%(1テラバイト/2テラバイト)となる。
本実施形態の電子メール運用管理システムは、各ストレージ4A〜4nに対して例えば図5に示すようにほぼ均等に各ユーザ情報に対応するメールボックスを割り当て、各ユーザ情報に対応する電子メールをそのユーザ情報に対応するメールボックスに格納するようにしている。但し、ユーザによってメールボックスに電子メールを溜め込んだり、溜め込まなかったりするため、メールボックスに蓄積される電子メールのデータ容量も時間経過に伴ってユーザ毎に異なってくる。その結果、最初は、各ストレージ4A〜4nに対してメールボックスを均等に割り当てても、時間経過に伴って、各メールボックスに蓄積される電子メールのデータ容量がメールボックス毎に異なっていき、結果的に、各ストレージ4A〜4nのデータ使用容量が時間経過に伴ってばらついていくことになる。そして、あるストレージのデータ使用容量がfull(100%)になると、そのストレージに対して新たなデータを蓄積することができなくなり、電子メールの運用に支障をきたすことになる。このため、電子メール運用管理装置5は、各ストレージ4A〜4nのデータ使用容量率を収集して監視し、データ使用容量率が既定値より高いストレージのデータをデータ使用容量率が既定値以下のストレージに移動し、各ストレージ4A〜4nのデータ使用容量率が既定値以下になるように管理している。これにより、電子メール運用管理装置5は、各ストレージ4A〜4nの何れかのストレージのデータ使用容量が偏ってfullになるのを未然に回避するようにしている。
<電子メール運用管理装置5の構成例>
次に、図6を参照しながら、本実施形態の電子メール運用管理装置5の構成例について説明する。図6は、本実施形態の電子メール運用管理装置5の構成例を示す図である。
本実施形態の電子メール運用管理装置5は、ネットワークインタフェース51、情報収集処理部52、データ移動判定部53、データ移動処理部54を有して構成する。
ネットワークインタフェース51は、各メールサーバ3A〜3nに接続するためのインタフェースである。
情報収集処理部52は、既定のタイミングで、各メールサーバ3A〜3nからリソース情報、ユーザ利用情報を収集する。リソース情報は、各メールサーバ3A〜3nに接続されているストレージ4A〜4nのデータ使用容量率などの情報である。なお、リソース情報は、データ使用容量率ではなく、データ使用容量であり、そのデータ使用容量を取得して、データ使用容量とストレージの最大記憶容量とからデータ使用容量率(データ使用容量/ストレージの最大記憶容量)を求めるようにすることも可能である。この場合、ストレージの最大記憶容量は、データ使用容量を取得する際に各メールサーバ3A〜3nから取得したり、各メールサーバ3A〜3nから予め取得するようにしても良い。ユーザ利用情報は、各ストレージ4A〜4nに記憶されている各メールボックスに格納されている電子メールの容量であるデータ容量、各メールボックスに格納されている電子メール通数であるデータ数などの情報である。なお、メールボックスのデータ容量は、電子メール以外にメールボックスに記憶されているデータの容量を含めても構わない。また、メールボックスのデータ数は、電子メール以外にメールボックスに記憶されているデータの数を含めても構わない。情報収集処理部52が情報を収集するタイミングは、特に限定せず、任意のタイミングで行うことが可能である。例えば、1日1回午前2時に情報を収集するようにしても良い。
データ移動判定部53は、情報収集処理部52で収集した情報を基に、各メールサーバ3A〜3nのデータの移動要否を判定する。データ移動判定部53は、データの移動要と判定したメールサーバがある場合は、そのメールサーバを移動元メールサーバとする。また、データ移動判定部53は、移動元メールサーバに接続されているストレージに格納されているメールボックスの中から移動対象のメールボックスを選択する。また、データ移動判定部53は、データの移動否と判定したメールサーバの中からデータを移動する移動先メールサーバを選択する。
データ移動処理部54は、移動元メールサーバに対してデータの移動指示を行い、移動元メールサーバに接続されているストレージに格納されている移動対象のメールボックスのデータを移動先メールサーバに接続されているストレージに移動させるようにする。
<電子メール運用管理システムの処理動作例>
次に、図7〜図10を参照しながら、本実施形態の電子メール運用管理システムの処理動作例について説明する。図7は、本実施形態の電子メール運用管理システムの一連の処理動作例を示す。図8は、図7に示すステップS3の具体的な処理動作例を示す。図9は、データ移動を行う際に使用する移動対象のメールボックスのリストを示す。図10は、図7に示すステップS4〜S7の具体的な処理動作例を示す。なお、図7では、メールサーバ3Aを移動元メールサーバとし、メールサーバ3Bを移動先メールサーバとしている。また、図10では、メールサーバ3Aを移動元メールサーバとしている。
電子メール運用管理装置5の情報収集処理部52は、既定のタイミングで、各メールサーバ3A〜3nに対し、リソース情報と、ユーザ利用情報と、を要求する(ステップS1)。
各メールサーバ3A〜3nは、リソース情報とユーザ利用情報との要求を受け付けた場合に、各メールサーバ3A〜3nに接続されているストレージ4A〜4nのリソース情報、ユーザ利用情報を収集し、電子メール運用管理装置5に送信する(ステップS2)。
これにより、電子メール運用管理装置5の情報収集処理部52は、既定のタイミングで、各メールサーバ3A〜3nからリソース情報、ユーザ利用情報を収集することになる。
電子メール運用管理装置5のデータ移動判定部53は、情報収集処理部52によって各メールサーバ3A〜3nから収集したリソース情報を基に、各メールサーバ3A〜3nのデータ移動要否の判定を行う(ステップS3)。データ移動判定部53は、データ移動要と判定したメールサーバがある場合は、そのメールサーバを移動元メールサーバとする。また、データ移動判定部53は、移動元メールサーバに接続されたストレージに格納されているメールボックスの中から移動対象のメールボックスを選択する。また、データ移動判定部53は、データ移動否と判定したメールサーバの中からデータを移動する移動先メールサーバを選択する。ステップS3の具体的な処理動作例については図8を参照しながら詳細に説明する。
データ移動判定部53は、図8に示すように、情報収集処理部52によって各メールサーバ3A〜3nから収集したリソース情報に含まれる各ストレージ4A〜4nのデータ使用容量率を基に、各メールサーバ3A〜3nのデータ移動要否を判定する(ステップA1)。具体的には、データ移動判定部53は、ストレージのデータ使用容量率が既定の第1閾値より高いメールサーバを、データ移動要のメールサーバと判定し、移動元メールサーバとする。第1閾値は、例えば、データ使用容量率80%を第1閾値として用いることが可能である。また、各ストレージ4A〜4nのデータ使用容量率の平均値を算出し、その算出した平均値+20%を第1閾値として用いることも可能である。
データ移動判定部53は、データ移動要と判定したメールサーバがある場合は(ステップA2/Yes)、そのメールサーバを移動元メールサーバとする。また、データ移動判定部53は、移動元メールサーバから情報収集処理部52が収集したユーザ利用情報を基に、移動元メールサーバに接続されているストレージに格納されている各メールボックスのデータ移動時間を算出する(ステップA3)。そして、その算出した各メールボックスのデータ移動時間を基に、移動対象のメールボックスを選択する(ステップA4)。
データ移動時間は、メールボックスのデータを移動する際にかかる時間であり、各メールボックスのデータ移動時間は、移動元メールサーバから収集したユーザ利用情報に含まれる各メールボックスのデータ容量と各メールボックスのデータ数とを基に、例えば、以下の式で求めることができる。
データ移動時間(秒)=S+A×T+B×U
S:データ移動で発生する各システムの変更処理と複数台メールサーバへの反映を待つためのオーバーヘッドタイム(秒)。Sは、既定値で設定変更可能。
A:メールボックスのデータ容量(GB)。
T:データ容量1GBあたりの処理時間(秒)。Tは、既定値で設定変更可能。
B:メールボックスのデータ数。
U:データ数1つあたりの処理時間(秒)。Uは、既定値で設定変更可能。
なお、S、T、Uは、本実施形態の電子メール運用管理システムを構成するメールサーバ3A〜3nやストレージ4A〜4nの性能やネットワークの伝送効率に応じて、または実測値に基づいて、設定することが可能である。
また、メールボックスのデータ容量は、メールボックスに格納されている電子メールのデータ容量であったり、電子メール以外にメールボックスに記憶されているデータの容量を含めたデータ容量であっても構わない。
また、メールボックスのデータ数は、メールボックスに格納されている電子メール通数であったり、電子メール以外にメールボックスに記憶されているデータの数を含めたデータ数であっても構わない。
データ移動判定部53は、各メールボックスのデータ移動時間を基に、データ移動時間が既定の第2閾値以下であるメールボックスの中から、データ容量が一番大きいメールボックスから順番に移動対象のメールボックスを選択する。第2閾値は、任意に設定することが可能であり、例えば、240秒を第2閾値として用いることが可能である。
移動対象のメールボックスを選択する他の方法としては、データ移動時間が既定の第2閾値以下であるメールボックスの中から、メールボックスのデータ容量が大きく、メールボックスのデータ数が少ないメールボックスから順番に移動対象のメールボックスを選択することも可能である。例えば、計算式(メールボックスのデータ容量/メールボックスのデータ数)にて算出された値が一番高いメールボックスから順番に移動対象のメールボックスとして選択することも可能である。また、計算式(メールボックスのデータ数/メールボックスのデータ容量)にて算出された値が一番低いメールボックスから順番に移動対象のメールボックスとして選択することも可能である。また、他の方法としては、データ移動時間が既定の第2閾値以下であるメールボックスの中から、メールボックスのデータ容量が既定の第3閾値以上、かつ、メールボックスのデータ数が既定の第4閾値未満のメールボックスを移動対象のメールボックスとして選択することも可能である。第3閾値、第4閾値は、任意に設定することが可能である。
本実施形態では、メールボックス単位でデータの移動を行うことにしている。メールボックス単位でデータの移動を行うと、データを移動している間は、その移動対象のメールボックスに対応するユーザは、ユーザ端末を用いて該当するメールボックスにアクセスすることができず、メールボックスを使用することができなくなる。その結果、ユーザは、データを移動している間は、移動対象のメールボックスに電子メールを蓄積したり、メールボックスに格納されている電子メールを閲覧したりすることができなくなってしまう。このため、本実施形態では、各メールボックスのデータ移動時間を基に、短時間で大容量のデータを移動することができるメールボックスを優先的に移動対象のメールボックスとして選択するようにしている。これにより、移動対象のメールボックスのデータを短時間で移動することができるため、移動対象のメールボックスのユーザがメールボックスを利用できない期間を短くすることができる。その結果、電子メールの運用に支障をきたさずに、メールボックス単位でデータを移動させることができる。
データ移動判定部53は、移動対象のメールボックスの選択を移動元メールサーバのストレージのデータ使用容量率が第1閾値以下になるまで繰り返し行う。具体的には、データ移動判定部53は、移動対象のメールボックスのデータ容量の合計を、移動元メールサーバのストレージのデータ使用容量から減算し、移動元メールサーバのストレージのデータ使用容量率が第1閾値以下になったか否かを判定し、データ使用容量率が第1閾値以下でない場合は、移動対象のメールボックスとして選択していない残りのメールボックスの中から上述した選択方法を用いて移動対象のメールボックスを選択し、データ使用容量率が第1閾値以下になるまで移動対象のメールボックスの選択を繰り返し行う。
但し、移動対象のメールボックスのデータ容量の合計が既定の第5閾値(例えば、5GB)を超えると、既定のデータ移動時間帯の範囲内で移動可能なデータ容量を超えることもある。このため、移動対象のメールボックスのデータ容量が第5閾値を超えない最大値になるように移動対象のメールボックスを選択するようにすることが好ましい。移動対象のメールボックスのデータ容量が第5閾値を超えない最大値にする方法としては、例えば、データ移動時間が既定の第2閾値以下であるメールボックスの中から、メールボックスのデータ容量の大きい順にメールボックスを選択していき、選択したメールボックスのデータ容量の合計値が第5閾値(例えば、5GB)を超えた場合に、最後に選択したメールボックスは移動対象外にし、残りのメールボックスの中で、第5閾値を超えない最大値になるメールボックスのデータ容量のメールボックスを選択するようにする。これにより、移動対象のメールボックスのデータ容量が第5閾値を超えない最大値にすることができる。第5閾値は、既定のデータ移動時間帯に応じて任意に設定変更可能である。なお、移動対象のメールボックスの件数が既定の第6閾値(例えば、250件)を超えると、既定のデータ移動時間帯の範囲内で移動可能なデータ件数を超えることもある。このため、移動対象のメールボックスの件数が第6閾値を超えないように移動対象のメールボックスを選択することようにすることも可能である。第6閾値は、既定のデータ移動時間帯に応じて任意に設定変更可能である。
データ移動判定部53は、移動元メールサーバのストレージのデータ使用容量率が第1閾値以下になるか(ステップA6/Yes)、または、移動元メールサーバのストレージのデータ使用容量率が第1閾値以下になっていなくても(ステップA6/No)、移動対象のメールボックスのデータ容量の合計が既定の第5閾値を超えるまで、または、移動対象のメールボックスの件数が既定の第6閾値を超えるまで(ステップA7/Yes)、ステップA4〜A7の処理を繰り返し行い、移動対象のメールボックスを選択する。そして、データ移動判定部53は、移動元メールサーバのストレージのデータ使用容量率が第1閾値以下になった場合(ステップA6/Yes)、または、移動元メールサーバのストレージのデータ使用容量率が第1閾値以下になっていなくても(ステップA6/No)、移動対象のメールボックスのデータ容量の合計が既定の第5閾値を超えた場合、または、移動対象のメールボックスの件数が既定の第6閾値を超えた場合は(ステップA7/Yes)、移動対象のメールボックスの選択を終了する。そして、データ移動判定部53は、データ移動否と判定したメールサーバの中から、ストレージのデータ使用容量率が一番低いメールサーバを選択し、移動先メールサーバとする。そして、データ移動判定部53は、移動対象のメールボックスを移動先メールサーバに振り分ける(ステップA8)。この場合、データ移動判定部53は、移動対象のメールボックスのデータ容量を移動先メールサーバに接続されているストレージのデータ使用容量に加算しても、移動先メールサーバのストレージのデータ使用容量率が既定の第7閾値(第1閾値でも可)を超えないように、移動対象のメールボックスを移動先メールサーバに振り分けるようにする。例えば、移動対象のメールボックスのデータ容量の合計値を移動先メールサーバのストレージのデータ使用容量に加算すると、移動先メールサーバのストレージのデータ使用容量率が第7閾値(第1閾値でも可)を超える場合は、データ使用容量率が第7閾値(第1閾値でも可)を超えない範囲で移動対象のメールボックスを移動先メールサーバに振り分ける。そして、残りの移動対象のメールボックスを、データ使用容量率が次に低い移動先メールサーバに振り分けるようにする。これにより、全ての移動対象のメールボックスを移動先メールサーバに振り分けることができる。第7閾値は、任意に設定変更可能である。データ移動判定部53は、全ての移動対象のメールボックスを移動先メールサーバに振り分けた場合は(ステップA9/Yes)、移動対象のメールボックスのリストを作成する(ステップA10)。例えば、図9に示すリストを作成する。図9に示すリストは、順番、メールボックス情報、移動先メールサーバ情報が対応付けられている。順番は、データ移動処理を行う順番である。メールボックス情報は、移動対象となるメールボックスを特定するための情報である。移動先メールサーバ情報は、移動先メールサーバを特定するための情報である。本実施形態では、短時間で大容量のデータを移動することができるメールボックスを優先的に移動対象のメールボックスにしている。このため、図9に示すリストは、メールボックスA→D→Cの順番で移動対象のメールボックスに選択されたことになる。
データ移動判定部53は、図8に示す一連の処理を行うことで、データ移動要と判定したメールサーバがある場合は、そのメールサーバを移動元メールサーバとし、移動対象のメールボックスの選択、移動先メールサーバの選択を行うことになる。そして、ステップS3の処理を終了し、図7に示すステップS4に移行することになる。
データ移動処理部54は、データ移動判定部53においてデータ移動要と判定した移動元メールサーバがあり、移動対象のメールボックスの選択、移動先メールサーバの選択が行われた場合は、移動元メールサーバに対してデータ移動指示を送信する(ステップS4)。この場合、データ移動処理部54は、図9に示す移動対象のメールボックスのリストを基に、優先順位の高いメールボックスから順番にデータ移動処理を行うように移動元メールサーバにデータ移動指示を送信する。最初は、データ移動処理部54は、図9に示す移動対象のメールボックスのリストを基に、最も優先順位の高い移動対象のメールボックスのデータ移動指示を移動元メールサーバに送信する。
移動元メールサーバは、電子メール運用管理装置5からデータ移動指示を受け付けた場合に、移動対象のメールボックスのデータを移動先メールサーバのストレージへ移動するデータ移動処理を行う(ステップS5)。そして、移動対象のメールボックスのデータ移動終了通知を電子メール運用管理装置5に送信する(ステップS6)。
電子メール運用管理装置5がデータ移動終了通知を受信すると、データ移動処理部54は、図9に示す移動対象のメールボックスのリストを基に、2番目に優先順位の高い移動対象のメールボックスのデータ移動指示を移動元メールサーバに送信する。データ移動指示を受信した移動元メールサーバは、移動対象のメールボックスのデータ移動処理を行い(ステップS5)、データ移動終了通知を電子メール運用管理装置5に送信する(ステップS6)。電子メール運用管理装置5と移動元メールサーバは、このステップS4〜ステップS6の処理をメールボックス単位で繰り返し行い、図9に示すリスト上の全ての移動対象のメールボックスのデータ移動処理が終了するまで繰り返し行うことになる。データ移動処理部54は、図9に示すリスト上の全ての移動対象のメールボックスのデータ移動終了通知を受け付けた場合に、全データ移動終了と判定する(ステップS7)。ステップS4〜S7の具体的な処理動作例については図10を参照しながら詳細に説明する。
電子メール運用管理装置5のデータ移動処理部54は、図9に示す移動対象のメールボックスのリストを基に、移動対象のメールボックス情報を1つ選択し、移動対象のメールボックス情報と移動先メールサーバ情報とを含むデータ移動指示を対象の移動元メールサーバに送信する(ステップB1)。図9に示すリストの場合は、データ移動処理部54は、順番が1のメールボックスAを選択し、メールボックスAをメールサーバ3Bに移動するデータ移動指示を、現在メールボックスAが対応付けられているメールサーバ3Aに送信する。
移動元メールサーバは、電子メール運用管理装置5からデータ移動指示を受け付けた場合に、そのデータ移動指示に含まれる移動対象のメールボックスのデータを移動先メールサーバのストレージに移動する(ステップB2)。図9に示すリストの場合は、移動元メールサーバであるメールサーバ3Aは、メールボックスAをメールサーバ3Bに移動するデータ移動指示を受け付けるため、移動元メールサーバであるメールサーバ3Aは、メールボックスAのデータをメールサーバ3Bのストレージ4Bに移動する。これにより、ユーザ情報AのメールボックスAがストレージ3Aからストレージ4Bに移動することになる。移動元メールサーバは、データの移動が完了した場合に(ステップB3/Yes)、メール振分情報データベース2にアクセスし、データの移動が完了した移動対象のメールボックスに該当するメール振分情報を更新する(ステップB4)。メール振分情報の更新は、データ移動処理が完了した移動対象のメールボックスのユーザ情報に対応付けられたメールサーバ情報を移動元メールサーバの情報から移動先メールサーバの情報に変更する。図9に示すリストの場合は、メールボックスAのユーザ情報Aに対応付けられたメールサーバ情報Aを移動元メールサーバの情報であるメールサーバ情報Aから移動先メールサーバの情報であるメールサーバ情報Bに変更する。また、移動元メールサーバは、移動対象のメールボックスのデータ移動終了通知を電子メール運用管理装置5に送信する(ステップB5)。図9に示すリストの場合は、メールボックスAのデータ移動終了通知を電子メール運用管理装置5に送信する。これにより、図9に示すリストの順番1のメールボックスAのデータ移動が完了することになる。電子メール運用管理装置5のデータ移動処理部54は、図9に示す移動対象のメールボックスのリストを基に、移動対象のメールボックス毎にデータ移動終了通知の有無を対応付けして記憶し、データ移動終了通知の有無を基に、全ての移動対象のメールボックスのデータ移動が完了したかを判定する(ステップB6)。データ移動処理部54は、全ての移動対象のメールボックスのデータ移動が完了していない場合は(ステップB6/No)、ステップB1に移行し、図9に示すリストを基に、次の移動対象のメールボックス情報を1つ選択し、移動対象のメールボックス情報と移動先メールサーバ情報とを含むデータ移動指示を対象の移動元メールサーバに送信する(ステップB1)。データ移動処理部54は、全ての移動対象のメールボックスのデータ移動が完了するまで、図9に示すリストを基に、データ移動指示を移動元メールサーバに送信し、ステップB1〜B6の処理を繰り返し行うことになる。データ移動処理部54は、全ての移動対象のメールボックスのデータ移動終了通知を移動元メールサーバから受信した場合に、全ての移動対象のメールボックスのデータ移動が完了したと判定し(ステップB6/Yes)、全データ移動終了と判定する(ステップB7)。
このように、電子メール運用管理装置5のデータ移動処理部54は、図9に示す移動対象のメールボックスのリストを基に、移動対象のメールボックスのデータ移動指示をメールボックス毎に行い、移動元メールサーバは、1つの移動対象のメールボックスのデータ移動処理が完了する度に、メール振分情報データベース2にアクセスし、データ移動処理が完了した移動対象のメールボックスに該当するメール振分情報を更新する。これにより、メール振分情報データベース2で管理するメール振分情報が更新された段階で、データ移動が完了したメールボックスをユーザが使用することができるようになる。
なお、上述した図10に示す処理動作例ではなく、例えば、図11に示す処理動作例を行うことも可能である。この場合、まず、電子メール運用管理装置5のデータ移動処理部54は、図9に示す移動対象のメールボックスのリストを含むデータ移動指示を移動元メールサーバに送信する(ステップC1)。移動元メールサーバは、電子メール運用管理装置5からデータ移動指示を受け付けた場合に、電子メール運用管理装置5から受信した図9に示す移動対象のメールボックスのリストを基に、移動対象のメールボックスを1つ選択し、その選択した移動対象のメールボックスのデータを移動先メールサーバのストレージに移動する(ステップC2)。図9のリストの場合は、順番が1のメールボックスAを選択し、その選択したメールボックスAのデータをメールサーバ3Bのストレージ4Bに移動する。これにより、ユーザ情報AのメールボックスAがストレージ3Aからストレージ4Bに移動することになる。移動元メールサーバは、データの移動が完了した場合に(ステップC3/Yes)、メール振分情報データベース2にアクセスし、データの移動が完了した移動対象のメールボックスに該当するメール振分情報を更新する(ステップC4)。図9のリストの場合は、メールボックスAのユーザ情報Aに対応付けられたメールサーバ情報Aを移動元メールサーバの情報であるメールサーバ情報Aから移動先メールサーバの情報であるメールサーバ情報Bに変更する。また、移動元メールサーバは、移動対象のメールボックスのデータ移動終了通知を電子メール運用管理装置5に送信する(ステップC5)。図9のリストの場合は、メールボックスAのデータ移動終了通知を電子メール運用管理装置5に送信する。これにより、図9のリストの順番1のメールボックスAのデータ移動が完了することになる。移動元メールサーバは、図9に示すリストを基に、全ての移動対象のメールボックスのデータ移動が完了するまで、ステップC2〜C6の処理を繰り返し行い、全ての移動対象のメールボックスのデータ移動が完了した場合に(ステップC6/Yes)、全データ移動終了通知を電子メール運用管理装置5に送信し(ステップC7)、処理を終了する。電子メール運用管理装置5のデータ移動処理部54は、全データ移動終了通知を移動元メールサーバから受信した場合に、全ての移動対象のメールボックスのデータ移動が完了したと判定し、全データ移動終了と判定する(ステップC8)。このように、電子メール運用管理装置5は、図9に示す移動対象のメールボックスのリストを移動元メールサーバに送信し、移動元メールサーバは、図9に示す移動対象のメールボックスのリストを基に、移動対象のメールボックスのデータ移動処理を行い(ステップC2)、1つの移動対象のメールボックスのデータ移動処理が完了する度に(ステップC3/Yes)、メール振分情報データベース2にアクセスし、データ移動処理が完了した移動対象のメールボックスに該当するメール振分情報を更新し(ステップC4)、移動対象のメールボックスのデータ移動終了通知を電子メール運用管理装置5に送信するようにすることも可能である(ステップC5)。この場合も、メール振分情報データベース2で管理するメール振分情報が更新された段階で、データ移動が完了したメールボックスをユーザが使用することができるようになる。なお、図11では、移動元メールサーバが全データ移動終了通知を電子メール運用管理装置5に送信し(ステップC7)、電子メール運用管理装置5のデータ移動処理部54が全データ移動終了通知を受信した場合に、全ての移動対象のメールボックスのデータ移動が完了したと判定し、全データ移動終了と判定することにしている(ステップC8)。しかし、ステップC7の全データ移動終了通知を行わず、ステップC5のデータ移動終了通知により、データ移動処理部54が全ての移動対象のメールボックスのデータ移動終了通知を移動元メールサーバから受け付けた場合に、全データ移動終了と判定するようにすることも可能である(ステップC8)。
データ移動処理部54は、全データ移動終了と判定した後、移動元メールサーバに対して、移動済みのメールボックスのデータを削除する移動済データ削除指示を送信する(ステップS8)。
移動元メールサーバは、電子メール運用管理装置5から移動済データ削除指示を受け付けた場合に、移動済みのメールボックスのデータを削除する。これにより、移動済みのメールボックスをストレージから削除することになる。そして、移動元メールサーバは、削除終了時にデータ削除終了通知を電子メール運用管理装置5に送信する(ステップS9)。
データ移動処理部54は、データ削除終了通知を受け付けた場合に、移動済みのメールボックスのデータの削除が完了したと判定し、一連の処理を終了する(ステップS10)。
<本実施形態の電子メール運用管理システムの作用・効果>
このように、本実施形態の電子メール運用管理システムは、電子メール運用管理装置5が、既定のタイミングで、各メールサーバ3A〜3nからリソース情報、ユーザ利用情報を収集する(ステップS1、S2)。そして、電子メール運用管理装置5は、各メールサーバ3A〜3nから収集したリソース情報に含まれる各ストレージ4A〜4nのデータ使用容量率を基に、各メールサーバ3A〜3nのデータ移動要否を判定する(ステップA1)。具体的には、ストレージのデータ使用容量率が既定の第1閾値より高いメールサーバを、データ移動要のメールサーバと判定する。そして、データ移動要と判定したメールサーバがある場合は(ステップA2/Yes)、そのメールサーバを移動元メールサーバとし、移動元メールサーバの各メールボックスのデータ移動時間を算出する(ステップA3)。そして、各メールボックスのデータ移動時間を基に、移動対象のメールボックスを選択し(ステップA4)、移動対象のメールボックスを移動先メールサーバに振り分け(ステップA8)、移動対象のメールボックスのリストを作成する(ステップA10)。次に、電子メール運用管理装置5は、移動元メールサーバに対してデータ移動指示を行い(ステップS4)、移動元メールサーバは、移動先メールサーバのストレージに移動対象のメールボックスのデータを移動する処理を行う(ステップS5)。本実施形態の電子メール運用管理システムは、この一連の処理を既定のタイミング毎に行うことで、各ストレージ4A〜4nのデータ使用容量率を既定の第1閾値以下になるようにすることができる。その結果、各ストレージ4A〜4nの何れかのストレージのデータ空き容量が偏って少なくなるのを回避し、メールサーバとストレージとの一対の装置を増設してデータ容量を確保するのを抑制することができる。また、装置の増設によるコストの発生を抑制し、システム全体の規模の増大も抑制することができる。
なお、上記の処理動作例では、1つの移動元メールサーバに対する処理動作例について説明した。しかし、移動要と判定したメールサーバが複数ある場合は、複数の移動元メールサーバにおいて上記の処理動作例を行うことになる。但し、各移動元メールサーバにおいて移動対象としたメールボックスのデータ容量の合計が既定の第5閾値を超えたり、各移動元メールサーバにおいて移動対象としたメールボックスの件数が既定の第6閾値を超えたりした場合は、既定のデータ移動時間帯の範囲内で移動可能なデータ容量またはデータ件数を超えることになる。このため、移動要と判定したメールサーバが複数ある場合は、各移動元メールサーバにおいて移動対象としたメールボックスのデータ容量の合計が既定の第5閾値を超えない最大値になるようにする必要がある。または、各移動元メールサーバにおいて移動対象としたメールボックスの合計件数が既定の第6閾値を超えない最大値になるようにする必要がある。
なお、複数の移動元メールサーバがある場合は、データ使用容量率が最も高いストレージの移動元メールサーバから優先的にメールボックスのデータ移動を行うようにすることが好ましい。データ使用容量率が最も高いストレージは、ストレージのデータ空き容量が最もはやく少なくなる確率が高い。このため、データ使用容量率が最も高いストレージの移動元メールサーバから優先的にメールボックスのデータ移動を行うようにすることが好ましい。また、複数の移動元メールサーバがある場合は、各移動元メールサーバのメモリの使用率を参照し、メモリの使用率が高い移動元メールサーバから優先的にメールボックスのデータ移動を行うようにすることが好ましい。メモリの使用率が高いメールサーバは、ストレージへのアクセス頻度が高く、ストレージに格納されるデータ容量やデータ数が多く、時間経過と共にストレージのデータ使用容量率が高くなる確率が高い。このため、メモリの使用率が高い移動元メールサーバから優先的にメールボックスのデータ移動を行うようにすることが好ましい。これにより、ストレージのデータ使用容量率が高くなる確率が高いストレージから優先的にデータを移動することができる。なお、メールサーバのメモリの使用率を用いる場合は、各メールサーバが、リソース情報にメモリの使用率を含めるようにし、電子メール運用管理装置5が各メールサーバからメモリの使用率を収集することになる。または、各メールサーバが、リソース情報にメモリ使用容量とメモリの最大記憶容量とを含めるようにし、電子メール運用管理装置5が各メールサーバからメモリ使用容量とメモリの最大記憶容量とを収集し、その収集したメモリ使用容量とメモリの最大記憶容量とからメモリの使用率(メモリ使用容量/メモリの最大記憶容量)を算出するようにしても良い。なお、複数の移動元メールサーバがある場合は、データ使用容量率とメモリの使用率とを用いて優先的にデータ移動を行う移動元メールサーバを決定するようにすることも可能である。例えば、データ使用容量率が最も高いストレージの移動元メールサーバから優先的にメールボックスのデータ移動を行うようにし、データ使用容量率が同等の移動元メールサーバが複数存在する場合は、メモリの使用率が高い移動元メールサーバから優先的にメールボックスのデータ移動を行うようにすることも可能である。
また、上記の処理動作例では、各メールボックスのデータ移動時間を基に、移動対象のメールボックスを選択するようにしている。しかし、各ユーザの属性情報を踏まえて、移動対象のメールボックスを選択するようにすることも可能である。属性情報としては、例えば、会員情報(個人会員、法人会員等)があげられる。法人会員のユーザは、個人会員のユーザよりも頻繁にメールを使用する確率が高い傾向にある。このため、法人会員のユーザのメールボックスのデータを移動してしまうと、そのデータ移動の間は、メールを使用することができなくなってしまう。このため、法人会員のユーザのメールボックスを移動対象のメールボックスから除外して移動対象のメールボックスを選択するようにすることが好ましい。これにより、頻繁にメールを使用するユーザに支障をきたさずにデータを移動するようにすることができる。各ユーザの属性情報を踏まえて、移動対象のメールボックスを選択(あるいは除外)するようにするには、各メールボックスに対応するユーザの属性情報を図12に示すようにリスト化して電子メール運用管理装置5の記憶部に記憶しておく。図12は、ユーザ情報とユーザの属性情報とを対応付けたリストを示しており、この図12に示すリストを電子メール運用管理装置5の記憶部に記憶しておく。属性情報は、各ユーザの属性を特定するための情報であり、例えば、会員情報(個人会員、法人会員等)、性別情報(男性、女性等)、年齢情報(20代、30代、40代等)があげられる。これにより、電子メール運用管理装置5は、各ユーザの属性情報を利用することができるため、各ユーザの属性情報を踏まえて、移動対象のメールボックスを選択することができる。この場合、電子メール運用管理装置5は、移動対象のメールボックスから除外する属性情報の除外リストを管理し、その除外リストに該当する属性情報のメールボックスを移動対象のメールボックスから除外するようにしたり、移動対象のメールボックスにする属性情報の対象リストを管理し、その対象リストに該当する属性情報のメールボックスの中からデータ移動時間を基に移動対象のメールボックスを選択したりするようにすることになる。また、対象リストに該当する属性情報のメールボックスを優先的に移動対象のメールボックスにしたりすることになる。また、属性情報に応じた重み付けのリストを管理し、そのリストを基に、データ移動時間を算出する際に用いる既定値S、T、Uに対する重み付けを変更してデータ移動時間を算出し、その算出したデータ移動時間を基に移動対象のメールサーバを選択するようにすることも可能である。この場合、例えば、法人会員のユーザに対しては重み付けを大きくし、個人会員のユーザに対しては重み付けを小さくし、メールボックスのデータ容量とメールボックスのデータ数とが同等の場合に、法人会員のユーザのメールボックスのデータ移動時間が個人会員のユーザのメールボックスのデータ移動時間よりも長くなるようなリストにする必要がある。これにより、法人会員のユーザのメールボックスよりも個人会員のユーザのメールボックスを優先的に移動対象のメールサーバとして選択するようにすることができる。
また、移動対象のメールボックスとして選択する指標となる優先度を属性情報に含め、その優先度を基に、データ移動時間を算出する際に用いる既定値S、T、Uに対する重み付けを変更してデータ移動時間を算出し、その算出したデータ移動時間を基に移動対象のメールサーバを選択するようにすることも可能である。この場合、例えば、移動対象のメールボックスとして選択する優先度の低いユーザに対しては重み付けを大きくし、移動対象のメールボックスとして選択する優先度の高いユーザに対しては重み付けを小さくし、メールボックスのデータ容量とメールボックスのデータ数とが同等の場合に、移動対象のメールボックスとして選択する優先度の低いユーザのメールボックスのデータ移動時間が移動対象のメールボックスとして選択する優先度の高いユーザのメールボックスのデータ移動時間よりも長くなるようなリストにする必要がある。これにより、移動対象のメールボックスとして選択する優先度の低いユーザのメールボックスよりも移動対象のメールボックスとして選択する優先度の高いユーザのメールボックスを優先的に移動対象のメールサーバとして選択するようにすることができる。
また、電子メール運用管理装置5は、各ユーザがメールボックスにアクセスした際のログを基に、データを移動する時間帯にメールを使用する確率の高いユーザのメールボックスを移動対象のメールボックスから除外するようにすることも可能である。この場合、ログとしては、各ユーザがメールボックスにアクセスした日時等の使用履歴情報が含まれることが必須である。これにより、電子メール運用管理装置5は、データを移動する時間帯にメールを頻繁に使用するユーザに支障をきたさずにデータを移動するようにすることができる。データを移動する時間帯にメールを使用する確率の高いユーザのメールボックスを移動対象のメールボックスから除外するようにするには、各ユーザがメールボックスにアクセスした際のログを各メールサーバ3A〜3nにおいて管理し、そのログをユーザ利用情報に含めて電子メール運用管理装置5に送信する。これにより、電子メール運用管理装置5は、各ユーザがメールボックスにアクセスした際のログを基に、データを移動する時間帯にメールを使用する確率の高いユーザのメールボックスを特定し、移動対象のメールボックスから除外するようにすることができる。なお、各ユーザがメールボックスにアクセスした際のログを基に、各ユーザのメールボックスへのアクセス頻度を求めることができる。メールボックスへのアクセス頻度が高いユーザは、メールボックスへのアクセス頻度が低いユーザよりも頻繁にメールを使用する確率が高い傾向にある。このため、メールボックスへのアクセス頻度が高いユーザのメールボックスのデータを移動してしまうと、そのデータ移動の間は、メールを使用することができなくなってしまう。このため、メールボックスへのアクセス頻度が高いユーザのメールボックスを移動対象のメールボックスから除外して移動対象のメールボックスを選択するようにすることが好ましい。このため、メールボックスへのアクセス頻度に応じた重み付けのリストを管理し、そのリストを基に、データ移動時間を算出する際に用いる既定値S、T、Uに対する重み付けを変更してデータ移動時間を算出するようにすることも可能である。この場合、メールボックスへのアクセス頻度が高いユーザに対しては重み付けを大きくし、メールボックスへのアクセス頻度が低いユーザに対しては重み付けを小さくし、メールボックスのデータ容量とメールボックスのデータ数とが同等の場合に、アクセス頻度が低いユーザのメールボックスのデータ移動時間がアクセス頻度が高いユーザのメールボックスのデータ移動時間よりも短くなるようなリストにする必要がある。これにより、アクセス頻度の高いユーザのメールボックスよりもアクセス頻度の低いユーザのメールボックスを優先的に移動対象のメールサーバとして選択するようにすることができる。
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
例えば、上記実施形態の電子メール運用管理システムを構成する各メールサーバ3A〜3nは、各メールサーバ3A〜3nで処理可能な上限値のデータ容量で構成するストレージ4A〜4nと予め接続していることにしている。しかし、各メールサーバ3A〜3nは、各メールサーバ3A〜3nで処理可能な上限値未満のデータ容量で構成するストレージと接続するようにすることも可能である。この場合は、時間経過と共に、各メールサーバ3A〜3nに対して、各メールサーバ3A〜3nで処理可能な上限値のデータ容量の範囲内でストレージを増設することが可能となるため、電子メール運用管理装置5は、上記実施形態の処理動作においてデータ移動要と判定したメールサーバにおいてストレージを増設可能な場合は、ストレージを増設する旨の警告を電子メール運用管理システムの管理者の端末に通知するようにすることも可能である。この場合、電子メール運用管理装置5は、各メールサーバ3A〜3nにおいて処理可能な上限値のデータ容量と、現在各メールサーバ3A〜3nに接続されているストレージのデータ容量と、を管理することになる。これにより、電子メール運用管理装置5は、各メールサーバ3A〜3nに対してストレージを増設可能か否かを判定することができる。
また、上記実施形態では、電子メール運用管理装置5は、各メールサーバ3A〜3nから各ストレージ4A〜4nのデータ使用容量率を定期的に収集している。このため、定期的に収集した各ストレージ4A〜4nのデータ使用容量率を基に、電子メール運用管理システム全体のストレージ4A〜4nの使用容量率を時間軸で管理し、ストレージの使用容量率がfull(100%)になる時期を予測し、ストレージの増設時期を電子メール運用管理システムの管理者の端末に通知するようにすることも可能である。
また、上記実施形態の電子メール運用管理システムを構成する各装置における制御動作は、ハードウェア、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実行することも可能である。
なお、ソフトウェアを用いて処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、リムーバブル記録媒体に一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。リムーバブル記録媒体は、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種記録媒体があげられる。
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールすることになる。また、ダウンロードサイトからコンピュータに無線転送することになる。また、ネットワークを介してコンピュータに有線で転送することになる。
プログラムの形態としては、クラウド等によるネット上のサーバからの利用もありえる。一部のプログラムのみをコンピュータに転送して利用する形態もありえる。
また、上記実施形態の電子メール運用管理システムを構成する各装置は、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に処理を実行するだけに限定するものでない。例えば、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に処理を実行するように構築することも可能である。
また、上記実施形態の電子メール運用管理装置5で行った処理動作をメール振分装置1で行っても良く、また、メールサーバ3A〜3nの中の1つのメールサーバで行っても良い。
また、上記実施形態では、図3に示す電子メール運用管理システムを例に説明した。しかし、本発明の技術思想は、電子メール運用に限定せず、ユーザ単位で各種のデータを格納する各種のデータシステムにも適用可能であり、例えば、図2に示すストレージ管理システムにおいて上記実施形態と同様な処理動作を行うようにすることも可能である。この場合、図2に示すデータ振分装置11は、図3に示すメール振分装置1と同様な処理を行うことになる。また、図2に示すデータ振分情報データベース12は、図3に示すメール振分情報データベース2と同様な情報を管理することになる。また、図2に示すデータサーバ13A〜13nは、図3に示すメールサーバ3A〜3nと同様な処理を行うことになる。また、図2に示すストレージ14A〜14nは、図3に示すストレージ4A〜4nと同様なデータを格納することになる。また、図2に示すストレージ管理装置15は、図3に示す電子メール運用管理装置5と同様な処理を行うことになり、図2に示す情報収集処理部151は、図6に示す情報収集処理部52と同様な処理を行い、図2に示すデータ移動判定部152は、図6に示すデータ移動判定部53と同様な処理を行い、図2に示すデータ移動処理部153は、図6に示すデータ移動処理部54と同様な処理を行うことになる。これにより、本実施形態で説明した技術思想は、図3に示すように、ユーザ毎に電子メールを格納するシステムに限定せず、ユーザ毎に各種のデータを格納するシステムにも適用することができる。