以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、実施の形態における体位決定支援装置1の内部構成を示すブロック図である。
体位決定支援装置1は、画像診断や手術等の処置が行われる患者に対して必要なマーカーを指定する処理を行う装置である。ここでは、例えば、診断室に設けられている医用画像診断装置等のモダリティに取り付けられて使用される。但し、体位決定支援装置1自体単独で使用されても、或いは、そもそもモダリティに組み込まれた状態で使用されても良い。また、体位決定支援装置1が、例えば、病院情報管理システム(HIS:Hospital Information System)、放射線部門情報管理システム(RIS:Radiological Information System)、医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving Communication System)といった医療機関内に構築された各種管理システムの全て、或いは、その一部を構成するようにされていても良い。
さらに、体位決定支援装置1が設置される場所についても、モダリティに取り付けられている場合には、処置が行われる部屋に存在することになるが、例えば、病室にそれぞれ設置されていても、或いは、持ち運びができる状態であっても良い(可搬性を備えていても良い)。
体位決定支援装置1は、CPU(Central Processing Unit)1aと、ROM(Read Only Memory)1bと、RAM(Random Access Memory)1c及び入出力インターフェイス1dがバス1eを介して接続されている。入出力インターフェイス1dには、入力部1fと、表示部1gと、通信制御部1hと、記憶部1iと、リムーバブルディスク1jとが接続されている。さらに、体位決定支援部10と、入出力インターフェイスを介して、撮影装置Cと、センサSと、報知部Iとがそれぞれ接続されている。
CPU1aは、入力部1fからの入力信号に基づいてROM1bから体位決定支援装置1を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶部1iに格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。またCPU1aは、入力部1fや入出力インターフェイス1dを介して、図1において図示していないその他の外部機器からの入力信号に基づいて各種装置の制御を行う。さらにCPU1aは、RAM1cや記憶部1i等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAM1cにロードするとともに、RAM1cから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、マーカーの指定を行う処理やデータの計算、加工等、一連の処理を実現する処理装置である。
入力部1fは、体位決定支援装置1の操作者(例えば、医師や検査技師、或いは、看護師)が各種の操作を入力するキーボード、ダイヤル等の入力デバイスにより構成されており、操作者の操作に基づいて入力信号を作成しバス1eを介してCPU1aに送信される。
表示部1gは、例えば液晶ディスプレイである。この表示部1gは、CPU1aからバス1eを介して出力信号を受信し、例えばマーカーを指定する際に必要な条件の設定画像や撮影された患者の人体像等、或いはCPU1aの処理結果等を表示する。
通信制御部1hは、LANカードやモデム等の手段であり、体位決定支援装置1をインターネットやLAN等の通信ネットワークに接続することを可能とする手段である。通信制御部1hを介して通信ネットワークと送受信したデータは入力信号または出力信号として、入出力インターフェイス1d及びバス1eを介してCPU1aに送受信される。
なお通信ネットワーク例としては、LAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークを挙げることができる。また、この通信ネットワークNで使用される通信規格は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)等、いずれの規格であっても良い。
記憶部1iは、半導体や磁気ディスクで構成されており、CPU1aで実行されるプログラムやデータが記憶されている。
リムーバブルディスク1jは、光ディスクやフレキシブルディスクのことであり、ディスクドライブによって読み書きされた信号は、入出力インターフェイス1d及びバス1eを介してCPU1aに送受信される。
そしてさらに、体位決定支援装置1を構成する機器として、撮影装置Cと、センサSと、報知部Iが備えられており、これらを制御等する構成として体位決定支援部10が設けられている。
撮影装置Cは、例えば寝台に横臥した患者の動画像を撮影する装置であり、例えば、カメラである。撮影装置Cはカラー画像、白黒画像の一方、或いは双方の画像の読影を行うことができる。撮影装置Cは、患者の全身像を撮影することを考慮して、例えば、寝台の上方に設けられている。視野としては、例えば、患者の全身だけでなく、患者が載っている寝台の全体も入るように調整される。当該撮影装置Cは、録画の機能が付されていても、或いは、この機能自体が備えられていなくても良い。
例えば撮影装置Cは、患者の表面で反射した光を受光素子で検知し、可視光を電気信号に変換する。そして撮影装置Cは、その電気信号をデジタルデータに変換することにより、撮影範囲に対応する1フレームの画像の情報を生成する。この1フレーム分の画像情報には、例えば、撮影時刻の情報と、カラー画像の場合にはこの1フレームに含まれる各画素にRBGの値が対応づけられた情報とが含まれる。撮影装置Cは、次々に検知される可視光から連続する複数フレームの画像情報を生成することで、撮影範囲を動画撮影する。
センサSは、センサSから患者までの距離の情報を持った位置情報(以下、このような位置情報を「距離画像」と表わす)を取得する装置である。ここでセンサSが取得する距離画像の範囲は、撮影装置Cの視野と同じ範囲となるように調整される。
例えばセンサSは、赤外線を周囲に照射し、照射波が患者の表面で反射した反射波を受光素子で検知する。そしてセンサSは、照射波と反射波との位相差や照射から検知までの時間に基づいて、患者とセンサSとの距離を求め、撮影範囲に対応する1フレームの距離画像の情報を生成する。この1フレーム分の距離画像情報には、例えば、撮影時刻の情報と撮影範囲に含まれる各画素に、その画素に対応する患者とセンサSとの距離が対応づけられた情報とが含まれる。センサSは、次々に検知される反射波から連続する複数フレームの距離画像情報を生成することで、撮影範囲を動画撮影する。
報知部Iは、後述するように、例えば寝台に横臥等した患者において傷等があって注意しなければならない部位等が寝台上の補助具に接触する危険性が生じた場合に、操作者、或いは処置を行う者に対して警告を発する機能を備えている。報知の方法については、特に限定されず、例えば、表示部1g上にて視覚に訴える形で報知しても、或いは、音声やブザー等、聴覚に訴える形で報知しても良い。また、設定により報知部Iによる報知を止めることができるようにしても良い。
体位決定支援部10は、処置中に患者に対して要求する体位の決定を支援する機能を備えている。図2は、第1の実施の形態における体位決定支援部10の内部構成を示すブロック図である。体位決定支援部10は、受信部11と、動画像取得部12と、画像認識部13と、グラフィック画像生成部14と、患者情報管理部15と、マーカー指定部16と、比較部17と、送信部18とから構成される。
体位決定支援部10は、撮影装置Cよって撮影された患者の動画像を解析して、患者において注意を要する部位、領域に対応する画像上の位置を患者の動きに連動して求め、その注意を要する部位、領域にマーカーを付する機能を備える。なお、体位決定支援部10を構成する各部の詳細な機能、働きについては、以下の処置中に患者に対して要求する体位の決定を行う流れを説明する中で併せて説明する。
図3は、実施の形態における処置前に対象となる患者に対してマーカーを指定する流れを示すフローチャートである。ここでの患者へのマーカーの指定は、例えば、患者に対して処置が行われる前に行われる、いわば事前準備である。また、処置前の指定なので、例えば、患者の病室や処置室とは異なる場所において行われることを想定している。
まず、マーカーの指定は、上述したように事前準備に該当することから、患者に対して好ましくは、処置が行われる際に要求される体位を寝台やベッドの上で採ってもらう。但し、後述する補助具を利用しなければ採れない体位も考えられること、また、指定されたマーカーを追跡することで骨格等の位置を追従させることができることから、処置が行われる際に要求される体位を必ず採らなければならないものではない。この場合は、例えば、単純に寝台等の上に横臥しただけの状態であっても構わない。
患者が必要な体位を採ったら、体位決定支援部10の動画像取得部12からの指示に基づいて、撮影装置Cが患者の動画像を撮影する(ST1)。この撮影では、患者の全身像の他、患者の体位、寝台等、撮影装置Cの視野内に含まれる全てが撮影される。
次に、センサSがセンサSの位置から患者までの距離を測り、距離の情報を持った位置情報(距離画像情報)を取得する(ST2)。このセンサSの制御も動画像取得部12が行う。動画像取得部12には、撮影装置Cによって撮影された画像情報とセンサSによって取得された距離画像情報とが送信される。動画像取得部12では、取得された動画像に関する情報と距離画像情報とを画像認識部13へと送信する。画像認識部13は、動画像情報と距離画像情報を基に患者の人体像を生成する。生成された人体像は、グラフィック画像生成部14において表示部1g上に表示可能なグラフィック画像として生成され、送信部18を介して表示部1gに送信されて表示される(ST3)。
図4は、実施の形態における表示部1gに表示される人体像の一例を示す画面例である。ここでは、表示部1gに表示されている人体像から、患者は寝台等に仰向けで横たわっている。なお、表示部1gにおける表示の方法は、任意に設定することができる。図4に示すように、人体をグラフィック画像に生成して表示させても良く、或いは、撮影された患者の実際の画像をそのまま表示させるようにしても良い。図4に示されている人体のグラフィック画像(人体像)では、全身像のみが示されているが、例えば、患者が横臥している寝台等についても併せて表示させても良い。
さらに画像認識部13は、動画像の情報及び距離画像情報を利用して患者の関節と骨格、及び体表面を認識する(ST4)。この認識の方法については、例えばキネクト(Kinect:登録商標)を利用することができる。
具体的には、画像認識部13は、人体パターンを用いたパターンマッチングにより、動画像取得部12において取得された距離画像情報から人体(患者)の骨格を形成する各関節の座標を得る。距離画像情報から得られた各関節の座標は距離画像の座標系(以下、適宜「距離画像座標系」と表わす。)で表わされる値である。
このため画像認識部13は、次に距離画像座標系における各関節の座標を患者に対して処置が行われる3次元空間の座標系(以下、適宜「世界座標系」と表わす。)で表わされる値に変換する。この世界座標系で表わされる各関節の座標が、1フレーム分の骨格座標となる。また、複数フレーム分の骨格座標が動作情報に該当する。以下、さらに具体的に説明する。
画像認識部13は、患者の様々な体位に対応する人体パターンを予め記憶している。或いは、患者情報管理部15に記憶されていても、或いは、体位決定支援装置1の記憶部1i内に記憶されていても良い。画像認識部13は、動画像取得部12によって距離画像情報が取得されるたびにこれら各フレームの距離画像情報を取得する。画像認識部13は、取得した各フレームの距離画像情報に対して人体パターンを用いたパターンマッチングを行う。
ここで「人体パターン」は、上述したように距離画像情報との間でパターンマッチングを行うことになるため、距離画像座標系で表現されている。また、距離画像に抽出される患者と同様、患者の表面(体表面)の情報を備えている。例えば、体表面は、その患者の皮膚や衣服の表面である。また、「人体パターン」は、人体の骨格を形成する各関節の情報も有している。従って、人体パターンにおいて、体表面と各関節との相対的な位置関係は既知のものである。
図5は、図4に示す人体像を示す画面例に患者の関節を重ねて表示した例を示す画面例である。図5において、黒丸で示されているのが関節である。ここでは、両腕に関して、肩、肘、手首と3つの関節に対して1つずつ黒丸で示されている。また首、顔、腹部、腰にそれぞれ1つずつ、両足について、臀部、膝、足首にそれぞれ1つずつ関節(黒丸)が示されている。なお、関節の表示の方法については、図5に示されるような方法に限らない。また、黒丸で表示する関節の位置、数についても同様である。
画像認識部13は、上述した人体パターンを用いて、各フレームの距離画像情報とのパターンマッチングを行う。パターンマッチングを行うことで距離画像情報から患者の姿勢を抽出することができる。こうして抽出された患者の体表面の座標を得る。また、上述したように人体パターンにおいて体表面と各関節との相対的な位置関係は既知である。このため画像認識部13は、距離顔図に抽出された患者の体表面の座標から、当該患者内の各関節の座標を算出することができる。このように画像認識部13は、距離画像情報から患者の骨格を形成する各関節の座標を取得する。ここで得られる各関節の座標は、距離座標系である。
なお、画像認識部13は、パターンマッチングを行う際、各関節の位置関係を示す情報を補助的に用いても良い。当該各関節の位置関係を示す情報には、例えば、関節同士の連結関係や各関節の可動域が含まれる。関節は、複数の骨を連結する部位である。体位の変化に応じて骨と骨とがなす角度は変化し、関節によって可動域は異なる。当該可動域は、例えば、各関節が連結する骨同士がなす角の最大値及び最小値等で表わすことが可能である。
次に画像認識部13は、距離画像座標系における各関節の座標を、世界座標系で表わされる値に変換する。世界座標系は、上述したように、患者に対して処置が行われる部屋(以下、このような部屋をまとめて「処置室」と表わす)。の3次元空間の座標を示すものである。例えば、処置室に設置されている寝台の角を原点とした場合に、例えば水平方向をx軸、鉛直方向をy軸、x軸及びy軸それぞれに直交する方向をz軸とする。画像認識部13における距離画像座標系から世界座標系への変換処理は、例えば、変換式を予め自身で、或いは、患者情報管理部15等において記憶しておき、当該変換式を利用することで行われる。
その上で、画像認識部13は、世界座標系で表わされる各関節の座標から骨格情報を生成する。この骨格情報とは、予め設定されている各関節を識別するための識別情報と変換されて算出された世界座標系の情報とを組み合わせた情報である。当該骨格情報を用いれば、関節がどの位置(座標)にあるかをすぐに把握することができる。
このように、画像認識部13は動画像取得部12から各フレームの距離画像情報を取得するごとに各フレームの距離画像情報に対してパターンマッチングを行う。さらに距離画像座標系から世界座標系へと変換を行うことで、各フレームの骨格情報を生成する。そして画像認識部13からグラフィック画像生成部14へと送信される。なお、画像認識部13において行われる骨格情報の取得といった方法は、上述した方法に限られるものではない。
画像認識部13において骨格情報が取得されると、その情報がグラフィック画像生成部14へと送信され、骨格情報に基づいて関節の位置を表わす画像が生成される。そして、表示部1gにおいて表示されている人体像に重ねて骨格(関節)を表示する(ST5)。この状態を示すのが、図5である。図5に示す表示部1gには、人体像と関節の位置が重複して示されている。
なお、上述したように動画像取得部12には、撮影装置C及びセンサSから随時取得された情報が入力される。そして画像認識部13においても常に上述した骨格情報の生成等を行っていることから、図5に示す人体像と関節の位置を示す表示は時間の経過に従って変化する。
操作者は、表示部1gに表示されている、例えば図5に示す画像を基にマーカー指定部16を介して行う(ST6)。具体的にマーカーの指定は、操作者が注意部位設定部として機能する入力部1fを構成する、例えば、マウスやポインタ等を利用して行う。ここで「マーカー」とは、これから処置を受ける患者において、注意を要する部位、領域を示すマークのことである。「注意を要する部位、領域」とは、例えば、処置の対象となる部位以外に受傷している部分、直接触れてはいけない部分や例えば、床ずれ等があり処置中において絶えず気を配っておく必要のある場所である。操作者は自身が把握している患者における上記注意を要する部位、領域にマーカーを指定する。マーカーとしては、事前に複数用意されており、状態に応じて適宜所定の場所に指定する。指定されたマーカーは表示部1gに表示されている人体像等に重ねて表示される。
例えば、図6は、操作者がマーカーを指定した状態を示す画面例である。この画面例においては、仰向けに表示される患者の人体像及び骨格が示されている。そこに、3種類のマーカーが指定されている。マーカーにはそれぞれ意味が与えられており、例えば、「丸」はアレルギーの位置を示し、「三角」は処置の対象となっている部位以外で怪我等で動かせない位置を示している。「三角」は、或いは、動かすと痛みの出る部分(位置)を併せて示していても良い。そして「四角」は、皮膚に傷やすれ等がある位置を示している。
また、患者の体の表面(お腹側)と裏面(背中側)とでマーカーを変更することも可能である。変更は、マーカーの形状そのものを代える他、表示部1gに表示される際の色等を変更することも考えられる。図6以下、実施の形態においては、体の表裏でハッチングを変更して表示させている。なお、どの形状のマーカーにどのような意味を付与するかについては、任意に設定することができる。
図6に示されているマーカーを見ると、当該患者は、左肩の付け根の部分に三角のマーカーが指定されている。ということは、この患者は左肩を傷等により動かすことができない状態にあることがわかる。一方、右足の膝の付近には四角のマーカーが指定されている。このマークは、この部分を動かすことは可能であるが、皮膚に傷やすれ等があることを示している。従って、例えば、この上に毛布等を掛ける場合には注意が必要となる。
さらに、患者の左胸の部分には、丸のマーカーが指定されている。但しこのマーカーは、三角や四角のマーカーとハッチングが異なる。ここでは、丸のマーカーに付されているハッチングは体の裏面を表わすものとされている。従って、この丸のマーカーは左側の胸の後ろ(背中側)にアレルギーがあることを示している。そこで、例えば、この部分に補助具が当たらないようにする等の配慮が必要となる。
なお、操作者によって指定されたマーカーは、マーカー指定部16においてその種類等が選択され、当該選択に基づいてグラフィック画像生成部14においてマーカーとして生成されて表示部1gにて表示される。但し、その表示方法は任意に選択、変更することも当然可能である。例えばこれまでは図6に示すように、人体像と関節の位置とを示す画像にマークを示した例を挙げて説明したが、図7ないし図9のような画面を表示させることもできる。
図7は、関節の位置を表示させず、人体像のみを示している。この表示の場合、例えば右膝に示されている四角のマーカーをそもそも操作者が意図した位置に表示させることができる。図6では、関節の位置も同時に示されていたので、右膝の関節を示すマークとの重複を避けるべく、四角のマーカーは右膝の部分には示されているものの、すこしずれた位置に示されていた。図7に示すように、人材像のみの場合には重複を避ける表示を行う必要がないことから、操作者の意図通りに表示させることができる。
図8は患者を右側面から表示した画面例、図9は患者を左側面から表示した画面例である。撮影装置CとセンサSは、ともに寝台等に載った患者を俯瞰して撮影等ができるように、例えば、患者の上方に設けられている。従って動画像取得部12が取得する動画像情報や距離画像情報は患者を上方から把握した場合の情報である。但し、これらの情報を利用して画像認識部13やグラフィック画像生成部14が画像処理、画像生成を行うことで仰向けに寝た患者を側面から撮影したかのように表示させることができる。なお、そもそも寝台の側方に撮影装置CとセンサSとを配置しておき、それら側方からの情報も動画像取得部12に入力するような装置構成を採用することも当然可能である。
図8,9に示すように患者を側面から表示させることによって、操作者によって指定されたマーカーの位置関係が一層はっきりとする。図8には、右膝に指定された四角のマーカーが右膝の表面における傷等を示すものであることが明確に示されている。一方患者を左側面から示す図9では、背中にアレルギーがあること、及び左肩を動かすことができないことが明示される。なお、人体像、或いは、関節の位置を含めて、グラフィック画像生成部14において生成された画像をどの方向から表示させるかについては、操作者が任意に設定することができる。
操作者によって人体像の所定の場所に指定されたマーカーについて、その位置情報が保存される(ST8)。保存先は、患者情報管理部15であっても、或いは、体位決定支援装置1の記憶部1iであっても良い。また、当該位置情報の保存は、具体的には操作者が入力部1fを介して、例えば表示部1g上に表示されている「登録ボタン」をクリックすることによって行われる。
ここで保存される位置情報については、例えば、以下のようにその位置を特定して保存する。マーカー指定部16は、操作者によってマーカーが指定された場合に、全身に複数把握できる両端を関節とする線分のうち、当該マーカーからいずれかの線分に対して垂線を下ろした際に、その垂線の距離が最も短い距離を把握する。但し、体表面を跨ぐ垂線の距離が最も短い場合には、当該垂線の距離を保存することはしない。この場合、次に距離が短く、体表面を跨がない線分に対する垂線の距離を保存する。
このことを図6を利用して説明する。ここでは、背中側の左胸の付近に指定された丸のマーカーを例に挙げる。両端に関節とする線分のうち、当該マーカーに近い線分としては、当該マーカーを囲む、a,b,cの線分を挙げることができる。これら3本の線分に対してマーカーから破線で示す垂線をそれぞれ下ろす。このうち、aの線分とbの線分に対する垂線を比較すると、当該マーカーからはaの線分に対する垂線の距離の方が短いことがわかる。そこで、マーカー指定部16では、当該マーカーから線分aに対して下ろした垂線の長さを当該線分に対する距離として保存する。
一方、図6に示す例では、当該マーカーから線分cに対して下ろされた垂線の長さは線分aに対するそれより長いので、ここでは保存される距離としては採択されない。さらに、当該マーカーから線分cに対して垂線を下ろした際、この垂線は、当該マーカーから出て患者の胴体を示す体表面を通り左腕を示す体表面へと伸びて線分cに到達する。この胴体を示す体表面から左腕を示す体表面へと伸びる際、一旦体表面のない領域を通過することになる。この体表面のない領域を通過することを、ここでは「体表面を跨ぐ」と表わしている。センサSにおいて患者の体表面までの距離である距離画像情報が取得されていることから、当該情報を利用することによって体表面のない領域を把握することができる。
このように体表面を跨いでしまうと、当該マーカーから胴体の体表面上の距離は変わらないものの、例えば、左腕を動かすことによって、垂線が体表面を跨ぐ領域(距離)が変化してしまう。これでは当該マーカーの位置を特定して保存することは困難である。そこで、例えば、上述したような方法をもってマーカーの位置情報を保存する。なお、マーカーの位置情報の保存に関してここで説明した方法は、あくまでも一例に過ぎず、その方法はどのような方法を採用しても構わない。
このマーカーの位置情報は、実際に患者に対して処置が行われる際にも表示させる必要があることから保存されるが、さらに、患者の動き(変化)に追随してその表示が移動する(ST9)。
すなわち、上述したように動画像取得部12は随時撮影装置C及びセンサSから動画像情報及び距離画像情報を取得しており、患者の動きを常に把握している。そこで、マーカーの位置情報が把握、保存された後は、当該マーカーも患者の動きに従って(追随して)動かす必要がある。患者の動きに合わせて表示部1gに表示される人体像や関節の位置が移動するのに、指定されたマーカーが移動しないとせっかく指定したマーカーの意味を成さない。そこで、グラフィック画像生成部14においては、画像認識部13からの情報を基に表示部1gに表示させるグラフィック画像を生成すると同時に、患者情報管理部15からマーカーの位置情報を受けて生成されるグラフィック画像に反映させる。これによって、患者が動いたとしても、指定されたマーカーも患者の動きに合わせてその位置を適宜変化させて、操作者が指定した位置からずれることが防止される。そして画面上はあたかもマーカーが人体像の動きに追随するかのように移動することになる。
マーカー指定部16では、操作者がマーカーの指定を終了させるか否かを確認する(ST10)。その結果、操作者がマーカーの指定を継続する場合には(ST10のNO)、撮影装置C及びセンサSからの情報に基づく動画像情報及び距離画像情報が動画像取得部12において取得され、画像認識部13で骨格情報の取得が行われる一連の流れが最初から繰り返され、マーカーの指定が続けられる。なお、ステップST1ないしステップST5までの人体像及び関節の位置の表示については、随時行われていることから、マーカーの指定がない場合であっても(ST6のNO)、継続して行われている。
以上で処置前の患者へのマーカー指定が終了する。上述したように、指定されたマーカーの位置は保存されているので、処置室で寝台等を含め患者等のマーカーを表示部1gに表示させる場合、当該保存されている指定済みのマーカーの位置も併せて表示されるとともに、患者の動きに追随してその位置の変化も表示される。
次に、処置室におけるマーカーの表示等について、図10、図11のフローチャートや表示部1gにおける画面例等を適宜参照しながら説明する。図10、図11は、第1の実施の形態における処置中に対象となる患者に対してマーカーを指定するとともに、患者のマーカーと寝台や補助具を示すガイドマーカーとの関係を基に報知する流れを示すフローチャートである。なお、処置室における表示部1gは、処置室に設置されている体位決定支援装置1の表示部1gである。
例えば、病室から処置室に運ばれた患者は、処置を受けるために寝台に載る。図12は、第1の実施の形態における処置中に患者が接する寝台、補助具を示す画面例である。図11では、患者が載る寝台を画面上破線で示している。図12に示している画像では、患者が載った際に負担が掛からないように腕を置くことができる位置にも別途腕置きとなる寝台が設置されている。
また、処置中の患者の体を動かないように、或いは、寝台に載った患者の負担を軽減するために利用される補助具については実線で示している。補助具は、図11では3つ示されており、2種類ある。一方は幅の狭い長方形で四隅にプラスのマーカー(以下、補助具のマーカーを特に「ガイドマーカー」と表わす)が備え付けられている。また、他方は、一方よりも幅の広い長方形で、こちらは四隅にダイヤのガイドマーカーが備え付けられている。
患者が寝台に載った状態で、処置室に設けられているモダリティ体位決定支援装置1を構成する撮影装置C及びセンサSを利用して寝台上の患者を撮影して動画像の情報を取得する(ST21)。また、同時に動画像取得部12では、患者までの距離を計測して距離画像情報を取得する(ST22)。画像認識部13では、動画像取得部12が取得した情報を基に人体像等を生成し、グラフィック画像生成部14を介して表示部1gに人体像を表示させる(ST23)。
但し、事前に撮影等された情報を利用して表示される人体像と処置室において上記手順を経て表示される人体像とでは、情報を取得する状況が異なることも多いことから、必ずしも両方の人体像を重ねても一致しないことが考えられる。両者が一致しないとせっかく指定されたマーカーの位置もずれてしまうことになる。そこで、画像認識部13において、事前準備において把握され表示された人体像と処置室において把握される情報に基づいて生成される人体像との大きさを合わせる処理を行う(ST24)。
このような処理を行っておくことで、事前準備において指定されたマーカーを利用することができる。すなわち、病室で指定されたマーカーの利用が可能ということは、病室で把握されている患者に関する各種情報を漏れなく処置室に伝えることが可能となることにつながる。このようにすれば、病室から処置室への患者に関する情報の伝達漏れを減らすことができる。
なお、このような事前準備において把握され表示された人体像と処置室において把握される情報に基づいて生成される人体像との大きさを合わせる処理は、一方を他方に合わせることで一致させても、或いは、それぞれ患者を撮影する際に物差しのような比較となる物を一緒に映り込ませておき、この物の大きさを合わせることで両者を一致させる方法を採用しても良い。
処置室では、設置されている体位決定支援装置1を使用して、その画像認識部13が取得された動画像情報と距離画像情報とを利用して患者の関節と骨格、及び体表面を認識し、表示させる(ST25)。また、表示部1gに表示されている人体像に認識した骨格を重ねて表示させる(ST26)。その上でグラフィック画像生成部14は、患者情報管理部15から事前準備で指定されたマーカーの位置情報を取得して、表示される人体像に重ねて表示させる(ST27)。これで、処置室における患者に合わせてマーカーを表示させることができる。
さらに、撮影装置C及びセンサSは、寝台及び補助具に関する動画像情報を取得して動画像取得部12に送信する(ST28)。画像認識部13では、当該動画像取得部12に送信された各情報を取得して、寝台や補助具の位置を把握するとともに、表示部1gに寝台等を表示させる(ST29)。これで寝台、補助具、及び、寝台等に載った患者に関する画像、マーカーを重ねて表示させることができる。そしてマーカーは患者が動くたびに追随してその位置を移動させる(ST30)。
図13は、第1の実施の形態における処置中に患者が寝台、補助具の上に患者がうつぶせに横たわった状態を示す画面例である。図12に示す寝台上には、患者が右腕をのばし、左腕は曲げた状態でうつぶせに横たわっている。
また、右膝の表面にある皮膚の傷やすれ等については、患者がうつぶせになっていることから患者を俯瞰した場合には体の裏側に存在することになる。そのため、図12において示されるように、当該傷等を示すマーカーは、体の裏側にあることを示すハッチングが付されている。一方、体の裏側、すなわち背中側にあったアレルギーの部分は、患者がうつぶせになることにより、体の表側に出てきている。従って、アレルギーを示すマーカーは、体の表側にあることを示すハッチングが付されている。なお、動かすことのできない部位を示す三角のマーカーに関しては、このマーカーが示す部位は体の表裏に関係なく動かせないことから、例えば図6に示すように患者が仰向けのときに示されているのと同様のハッチングが付されている。
処置が開始されると同時に、体位決定支援部10の比較部17は、患者に対して指定されているマーカーと補助具に示されているガイドマーカーとの位置(距離)を比較する(図11のST31)。ここで比較部17が両者の位置(距離)を比較するのは、例えば、処置中に患者が動いて、傷がある部分やアレルギーである部分が補助具のガイドマーカーで示される部分に近づいて、結果として接触等してしまうことで傷等が悪化してしまうことを防止するためである。比較部17は、両者の位置を比較してその距離が予め設定されている閾値以下になったか否かを判断する(ST32)。
なお、ここでは、患者に対して指定されたマーカーの位置を補助具に示されているガイドマーカー自体の位置と比較をしている。但し、比較部17における比較はこれら両者の比較に限られない。例えば、複数のガイドマーカーを結んでできる多角形と患者に対して指定されたマーカーの位置との比較を行うことも考えられる。この場合、多角形を形成する複数のガイドマーカーを結ぶ線分にマーカーから垂線を下ろし、当該垂線の長さ(距離)をもって患者のマーカーが注意を要する多角形に近づいたか否かの判断を行う。
比較部17が判断した結果、患者に対して指定されたマーカーの位置と補助具のガイドマーカーの位置とが閾値よりも大きな値(距離)を示す場合には(ST31のNO)、ステップST21に戻り、患者の動きを継続して把握する処理を行う。当然患者に対して指定されたマーカーは患者の動きに追随して動く。
一方、患者のマーカーと補助具のガイドマーカーとの間の距離が閾値以下である場合には(ST31のYES)、比較部17は、送信部18を介して報知部Iに患者のマーカーが指定された部位が補助部のガイドマーカーに近づきすぎている旨、報知するよう指示し、報知部Iはその旨報知する(ST32)。なお、操作者に報知するに当たって、報知部Iは、視覚、或いは、聴覚に訴える等、どのような方法を採用しても良い。操作者は報知部Iからの報知に基づいて、該当する部位を補助具から離すといった処置を採る。
体位決定支援装置1は、患者に対しての処置が終了したか否かを判断し(ST33)、終了の指示が出されない場合には(ST33のNO)、引き続き患者の動きを把握し、当該動きに合わせてマーカーも追随する(ST21以下)。
一方、患者に対する処置が終了した場合には(TS33のYES)、一連の処理が終了する。具体的には、操作者が処置が終了したか否かを判断し、処置が終了した場合には、その旨体位決定支援装置1にその旨入力されることによって把握する。
以上説明した通り、患者固有の状態を処置前に確認して、誰であっても処置中における患者の適切な体位を採ることができるようにするとともに、処置中の体位の変化をチェックして必要に応じて報知することのできる体位決定支援装置及び医用画像診断装置を提供することができる。
特に事前に患者に対するマーカーを指定して、そのマーカーの位置情報を処置が行われる場において参照することができることから、病室から処置室への情報の伝達を確実に行うことができる。
さらに、常に患者の動きを把握し、その動きに追随してマーカーを移動させることにより、リアルタイムにマーカーと補助具との距離を把握し、接触の可能性がある場合に報知することで、操作者に注意を促すことができる。
また、事前準備において指定されたマーカーをそのまま処置中にも利用する。従って、処置が終了した後に、患者において新たな注目点(事前準備の段階で把握されていればマーカーの指定がなされたであろう現象)が把握された場合に、マーカーの指定忘れであるのか、或いは、処置中に新たに付加されたものであるのかの判断が容易に行える。このことは、以後、患者への処置等が行われる際に引き継ぐことのできる情報となり、より一層患者への対応を適切なものとすることができる。
(第2の実施の形態)
次に本発明における第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
第2の実施の形態においては、上記第1の実施の形態において説明した機能を利用してさらに、操作者に対して有効な情報を提供する。すなわち、処置室において患者が採る大意をガイドする(教える)機能の付加である。
図14は、第2の実施の形態における体位決定支援部10Aの内部構成を示すブロック図である。図15、及び図16は第2の実施の形態における処置中の患者の体位をガイドする流れを示すフローチャートである。これら図14ないし図16を基に以下、説明する。
体位決定支援部10Aは、新たに術中体位ガイド選択部19を備える。ここでの「術中体位ガイド」とは、操作者に案内する、処置の際(術中)に採るべき患者の体位のことである。この「術中体位ガイド」は、予め例えば、患者情報管理部15内に記憶されており、処置の対象となる部位を勘案して操作者が適宜適切な体位を選択できるようにするものである。また、後述するように、適宜新たな体位を術中体位ガイドとして登録、保存することも可能である。
寝台上の患者を撮影して動画像及び距離画像を取得し、これらの情報を基に、患者の人体像及び骨格、関節の位置を表示部1gに表示させる点はこれまでと同様である(ST1ないしST5)。ここまでで処置の対象となる患者に関するグラフィック画像が表示されることになり、操作者は当該画像を随時参照しながら患者の体位に注意を払う。
但し、この状態は患者の現在の状況をその動きも含めそのままグラフィック画像として表示部1gに表示させたに過ぎない。従ってこれでは受ける処置に対して患者にとっても処置を行う者にとっても適切な体位を患者に採ってもらうには不十分な場合も考えられる。
そこで、第2の実施の形態においては、より適切な体位の案内をするべく、操作者による術中体位ガイドの表示の要求がなされたか否かの確認が術中体位ガイド選択部19において行われる(ST41)。ここで術中体位ガイドの表示要求がなされない場合には(ST41のNO)、図10のステップST26に移り、事前準備において指定された患者のマーカーを表示させ、以下、処置中患者の動きに追随してマーカーを移動させる。
一方、操作者から術中体位ガイドの表示要求が出された場合には(ST41のYES)、術中体位ガイド選択部19は、表示部1gに表示されるグラフィック画像に重ねて、患者に対して行われる処置に合った体位の例を操作者に対して提示するべく、まず、基本となる術中体位ガイドの種類を表示させる(ST42)。表示に関して具体的には、例えば、表示部1g上にプルダウンメニュー等を表示させることにより複数の術中体位ガイド(例えば、「仰臥位」や「背臥位」、或いは、「手術タイプA」といった表示)を表示させる。これによって操作者は表示された複数の術中体位ガイドの中から適切な術中に求められる体位のガイドを選択することが可能となる。
術中体位ガイド選択部19では、操作者によって術中体位ガイドの選択があったか否かの判断を行い(ST43)、なければそのまま待機(ST43のNO)、選択された旨の信号を受けた場合には、患者情報管理部15から該当する術中体位ガイドを選択して、選択された術中体位ガイドを表示させる(ST44)。
図17は、第2の実施の形態における寝台、補助具上に表示される術中体位ガイドGを示す画面例である。図17においては、術中体位ガイドGは一点鎖線で示されており、白ヌキの丸で関節の位置を示している。当該表示された術中体位ガイドGを見ると、患者がうつぶせに横たわった状態で、さらに両腕を、万歳しているように前に投げ出すようにガイドしていることが読み取れる。
この状態で、比較部15において表示された術中体位ガイドを基に寝台上にいる患者の体位との比較を行う。具体的には、患者の関節位置、骨格位置を目印にする。その結果、両者のズレが予め定められている閾値以下である場合には、おおよそ患者の体位が術中体位ガイドに沿っていると確認することできる。従ってこの場合には(ST46のYES)、患者は術中体位ガイドに沿った体位を取っているとして、引き続き患者の動画像情報及び距離画像情報を取得し、患者の動きに合わせて指定されているマーカーの位置を移動させる(ST1以下)。そしてこの状態であれば、通常は重ねて術中体位ガイドを表示部1gに表示させる必要はないので、そのような表示要求はないものとして(ST41のNO)、患者を示す人体像に指定されたマーカーを表示させる(図10、ST26以下参照)。もちろん、再度術中体位ガイドを表示させて新たな体位のガイドを表示させることとしても良い。
一方比較の結果、閾値以下ではない、と判断された場合には(ST46のNO)、表示された術中体位ガイドで示される体位と実際の患者の体位とで、そのズレが大きく、患者はガイドされた体位と異なる体位を取っていることになる。そこで、比較部15は、報知部Iに対して、術中体位ガイドと患者の体位とが一致しない旨報知するよう指示する(図16のST47)。
図18は、第2の実施の形態における寝台、補助具上に表示される術中体位ガイドと実際にうつぶせに横たわった患者とを重複して示す画面例である。この画面例にも示されている通り、患者は概ね表示された術中体位ガイドに沿った体位を取っているが、左腕のみ術中体位ガイドから外れていることがわかる。ここでは、実際の患者の体位と術中体位ガイドでガイドしている体位とで異なる部分については、実線で示している。なお、ここでは図面の描画の都合上、実線で実際の患者の体位が術中体位ガイドと異なることを示しているが、例えば、表示部1g上で異なる部分を色違いで表示させたり、点滅させたり、或いは、画面上に注意書きを表示させたり、様々な方法で報知部Iは操作者に対して報知することができる。
報知を受けた操作者は、患者の体位を術中体位ガイドに沿って変更するか否か、対応する。体位決定支援装置1では、比較部15が患者の体位が変更されたか否かを確認する(ST48)。その結果、術中体位ガイドに沿って患者の体位が変更された場合には(ST48のYES)、その後の患者の動きを把握するとともに、マーカーも表示させる(図15のST1からST40のNOへと遷移し、さらに図10のST26以下へと遷移)。
一方、患者の体位が変更されない場合には、図13の体位決定支援部10Aに図示しない計時部における所定時間の計測が開始され、所定の時間が経過したか否かが判断される(ST49)。なお、実際には、操作者への報知が行われた時(ST47)から計時が開始され、患者の体位が変更された場合には、その時点で計時が止まる。患者の体位が術中体位ガイドに沿って変更されない場合には、計時が継続され、所定の時間が経過するまでは患者の体位が変更されるか否かの確認の待機が行われる(ST49のNO)。
所定の時間が経過しても患者の体位が変更されない場合には(ST49のYES)、現在寝台上にいる患者の体位を保存するか否か、患者情報管理部15が操作者に尋ねる(ST50)。保存しないとの処理が選択された場合には(ST50のNO)、現状の患者の体位のままで処置を受ける、と判断できるので、この場合には、その後の患者の動きを把握するとともに、マーカーも表示させる(図15のST1からST40のNOへと遷移し、さらに図10のST26以下へと遷移)。
操作者への体位保存の伺いに応じて現在の患者の体位を保存するとの要求がなされた場合には(ST50のYES)、新たな術中体位の1つとして登録、保存される(ST51)。その後、体位決定支援装置1から操作者に対して処置が終了したか否かの問いかけを行い(ST52)、終了するのであれば、患者の人体像等及びマーカーの表示等を終了する(ST52のYES)。終了しない場合には、処置が開始、或いは継続するものとして、その後の患者の動きを把握するとともに、マーカーも表示させる(図15のST1からST40のNOへと遷移し、さらに図10のST26以下へと遷移)。
以上説明した通り、患者固有の状態を処置前に確認して、誰であっても処置中における患者の適切な体位を採ることができるようにするとともに、処置中の体位の変化をチェックして必要に応じて報知することのできる体位決定支援装置及び医用画像診断装置を提供することができる。
さらに、操作者が選択した術中体位ガイドを表示し、そのガイドに沿って患者の体位を整えることができるため、たとえ経験が浅くともベテランと同じように患者の体位を決定することができる。このことは体位に関するノウハウを伝えることにもつながるため、経験が浅くても自信をもって体位の決定を行うことができノウハウの吸収も可能である。さらには、処置室での体位決定について迅速、適切に行われることになる。
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。