JP6160496B2 - 潤滑油量調節装置 - Google Patents

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本発明は、潤滑油量調節装置に関する。
従来より、トランスミッションの性能試験装置が知られている(例えば特許文献1参照)。性能試験装置は、供試体となるトランスミッションを所定の試験条件下で駆動させ、その性能を評価する。
ところで、トランスミッションは、その内部に潤滑油が充填されている。潤滑油は、摩擦によって発熱する部分に供給されるので、トランスミッションの駆動状態に応じて温度が変わる。また、潤滑油は、トランスミッションケースを介して周囲の空気と熱を交換するので、走行風の有無によっても温度が変わる。従って、このような性能試験装置は、トランスミッションの性能を正しく評価すべく、試験条件に合わせて潤滑油の温度を調節する構造を有していた。しかし、トランスミッションから潤滑油を抜き出して温度を調節し、再びトランスミッションへ戻す構造は、潤滑油の膨張若しくは収縮により、トランスミッション内の潤滑油量が変わってしまう問題があった。そのため、潤滑油の温度を調節しても、トランスミッション(供試体)内の潤滑油量を一定にできる潤滑油量調節装置が求められていたのである。
特開2006−170681号公報
本願の発明は、潤滑油の温度を調節しても、供試体内の潤滑油量を一定にできる潤滑油量調節装置を提供することを目的としている。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
請求項1に係る発明は、
供試体から熱交換器へ潤滑油を案内する第一配管と、
前記熱交換器から前記供試体へ潤滑油を案内する第二配管と、
前記第二配管から前記第一配管へ潤滑油の一部を案内する第三配管と、
前記第三配管を流れる潤滑油量を調節できる流量調節バルブと、を備えた潤滑油量調節装置であって、
前記流量調節バルブは、前記供試体から抜き出された潤滑油量と前記供試体に入れ戻される潤滑油量が等しくなるように稼働する、ものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載した潤滑油量調節装置において、
前記第一配管を流れる潤滑油の質量流量を計測する第一流量計と、
前記第二配管を流れる潤滑油の質量流量を計測する第二流量計と、
前記流量調節バルブを制御するバルブコントローラと、を具備し、
前記バルブコントローラは、前記第一流量計の計測結果と前記第二流量計の計測結果の差異がなくなるように前記流量調節バルブを制御する、ものである。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載した潤滑油量調節装置において、
前記第一配管における該第一配管と前記第三配管の接続部よりも上流側に前記第一流量計を配置し、前記第二配管における該第二配管と前記第三配管の接続部よりも下流側に前記第二流量計を配置する、ものである。
請求項4に係る発明は、請求項2又は請求項3に記載した潤滑油量調節装置において、
前記第一配管における前記第一流量計よりも上流側に脱気装置を具備する、ものである。
請求項5に係る発明は、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載した潤滑油量調節装置において、
前記第一配管における前記接続部よりも下流側に容積可変装置を具備する、ものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1に記載した潤滑油量調節装置は、供試体から熱交換器へ潤滑油を案内する第一配管と、熱交換器から供試体へ潤滑油を案内する第二配管と、第二配管から第一配管へ潤滑油の一部を案内する第三配管と、を備える。更に、第三配管を流れる潤滑油量を調節できる流量調節バルブを備える。そして、流量調節バルブは、供試体から抜き出された潤滑油量と供試体に入れ戻される潤滑油量が等しくなるように稼働する。これにより、潤滑油量調節装置は、潤滑油の温度を調節しても、供試体内の潤滑油量を一定にすることができる。従って、供試体の評価精度を向上させることが可能となる。
請求項2に記載した潤滑油量調節装置は、第一配管を流れる潤滑油の質量流量を計測する第一流量計と、第二配管を流れる潤滑油の質量流量を計測する第二流量計と、を具備する。更に、流量調節バルブを制御するバルブコントローラを具備する。そして、バルブコントローラは、第一流量計の計測結果と第二流量計の計測結果の差異がなくなるように流量調節バルブを制御する。これにより、潤滑油量調節装置は、オペレータによる操作を不要とし、自動的に供試体内の潤滑油量を一定にすることができる。
請求項3に記載した潤滑油量調節装置は、第一配管における該第一配管と第三配管の接続部よりも上流側に第一流量計を配置し、第二配管における該第二配管と第三配管の接続部よりも下流側に第二流量計を配置する。これにより、潤滑油量調節装置は、第一配管や第二配管、第三配管の長さに関わらず、正確に供試体内の潤滑油量を一定にすることができる。
請求項4に記載した潤滑油量調節装置は、第一配管における第一流量計よりも上流側に脱気装置を具備する。これにより、潤滑油量調節装置は、各流量計による計測結果の信頼性を高め、正確に供試体内の潤滑油量を一定にすることができる。
請求項5に記載した潤滑油量調節装置は、第一配管における接続部よりも下流側に容積可変装置を具備する。これにより、潤滑油量調節装置は、潤滑油が大きく膨張若しくは収縮するような試験条件においても、正確に供試体内の潤滑油量を一定にすることができる。
性能試験装置を示す図。 潤滑油量調節装置の構造を示す図。 潤滑油の温度と供試体内の潤滑油量の関係を示す図。
まず、性能試験装置1について簡単に説明する。
図1は、性能試験装置1を示している。
性能試験装置1は、供試体Tとなるトランスミッション(以降「トランスミッションT」とする)を所定の試験条件下で駆動させ、その性能を評価する。そのため、性能試験装置1は、トランスミッションTに負荷を与える負荷モータ11・11を備えている。
更に、本性能試験装置1は、熱交換器2と、潤滑油量調節装置3と、を備えている。
熱交換器2は、トランスミッションTに充填された潤滑油の温度を調節するものである。熱交換器2は、試験条件に合わせて発熱若しくは吸熱し、トランスミッションTの潤滑油と熱を交換する。
潤滑油量調節装置3は、潤滑油の温度を調節しても、トランスミッションT内の潤滑油量を一定にするものである。つまり、潤滑油量調節装置3は、潤滑油の温度変化に起因して該潤滑油が膨張若しくは収縮しても、トランスミッションT内の潤滑油量を一定にするものである。換言すると、トランスミッションT内における潤滑油の質量を一定にするものである。
以下に、潤滑油量調節装置3について詳しく説明する。
図2は、潤滑油量調節装置3の構造を示している。なお、図中の矢印は、トランスミッションTから抜き出された潤滑油の流動方向を示している。
潤滑油量調節装置3は、主に、第一配管31と、第二配管32と、第三配管33と、で構成されている。また、本実施形態における潤滑油量調節装置3は、流量調節バルブ34を備えている。
第一配管31は、トランスミッションTから熱交換器2へ潤滑油を案内する。第一配管31は、その一端がトランスミッションTの排油口に接続され、その他端が熱交換器2の給油口に接続される。また、第一配管31には、ポンプが配置されている。このため、トランスミッションTに充填された潤滑油は、該トランスミッションTから抜き出され、第一配管31を通じて熱交換器2へ導かれるのである。
第二配管32は、熱交換器2からトランスミッションTへ潤滑油を案内する。第二配管32は、その一端が熱交換器2の排油口に接続され、その他端がトランスミッションTの給油口に接続される。このため、熱交換器2へ導かれた潤滑油は、該熱交換器2によって温度を調節され、第二配管32を通じてトランスミッションTに入れ戻されるのである。
第三配管33は、第二配管32から第一配管32へ潤滑油の一部を案内する。第三配管33は、その一端が第二配管32の中途部分に接続され、その他端が第一配管31の中途部分に接続される。このため、第二配管32を流れる潤滑油は、その一部が第三配管33を通じて第一配管32へ向かい、再び熱交換器2へ導かれるのである。ひいては、第二配管32を流れる潤滑油は、第三配管33を通じて第一配管32へ向かう一部を除き、トランスミッションTに入れ戻されるのである。
流量調節バルブ34は、第三配管33を流れる潤滑油量を調節する。本実施形態における流量調節バルブ34は、いわゆる三方弁であり、第二配管32と第三配管33の接続部C2を構成している。このため、第三配管33を流れる潤滑油量は、流量調節バルブ34によって増減されるのである。ひいては、トランスミッションTに入れ戻される潤滑油量は、流量調節バルブ34によって増減されるのである。なお、流量調節バルブ34は、トランスミッションT内の潤滑油量が所定の値となるように稼働する。具体的に説明すると、流量調節バルブ34は、トランスミッションTから抜き出された潤滑油量とトランスミッションTに入れ戻される潤滑油量が等しくなるように稼働するのである。
このように、本実施形態に係る潤滑油量調節装置3は、トランスミッションT(供試体)から熱交換器2へ潤滑油を案内する第一配管31と、熱交換器2からトランスミッションT(供試体)へ潤滑油を案内する第二配管32と、第二配管32から第一配管31へ潤滑油の一部を案内する第三配管33と、を備える。更に、第三配管33を流れる潤滑油量を調節できる流量調節バルブ34を備える。そして、流量調節バルブ34は、トランスミッションT(供試体)から抜き出された潤滑油量とトランスミッションT(供試体)に入れ戻される潤滑油量が等しくなるように稼働する。これにより、潤滑油量調節装置3は、潤滑油の温度を調節しても、トランスミッションT(供試体)内の潤滑油量を一定にすることができる。従って、トランスミッションT(供試体)の評価精度を向上させることが可能となる。
次に、潤滑油量調節装置3について更に詳しく説明する。
本実施形態に係る潤滑油量調節装置3は、第一流量計35と、第二流量計36と、バルブコントローラ37と、を具備する。
第一流量計35は、第一配管31を流れる潤滑油の質量流量を計測する。第一流量計35は、いわゆる質量流量計であり、第一配管31と第三配管33の接続部C1よりも上流側に配置されている(詳しくはトランスミッションTと接続部C1の間に配置されている)。このため、第一流量計35は、トランスミッションTから抜き出された潤滑油量を計測することができる。
第二流量計36は、第二配管32を流れる潤滑油の質量流量を計測する。第二流量計36は、いわゆる質量流量計であり、第二配管32と第三配管33の接続部C2よりも下流側に配置されている(詳しくは接続部C2とトランスミッションTの間に配置されている)。このため、第二流量計36は、トランスミッションTに入れ戻される潤滑油量を計測することができる。
バルブコントローラ37は、流量調節バルブ34を制御する。バルブコントローラ37は、第一流量計35と第二流量計36の計測結果に基づいて流量調節バルブ34へ制御信号を送信する。このため、バルブコントローラ37は、流量調節バルブ34を介して第三配管33を流れる潤滑油量を調節できるのである。ひいては、バルブコントローラ37は、流量調節バルブ34を介してトランスミッションTに入れ戻す潤滑油量を調節できるのである。なお、バルブコントローラ37は、第一流量計35の計測結果と第二流量計36の計測結果に基づいて流量調節バルブ34を制御する。具体的に説明すると、バルブコントローラ37は、第一流量計35の計測結果と第二流量計36の計測結果の差異がなくなるように流量調節バルブ34を制御するのである。
このように本実施形態に係る潤滑油量調節装置3は、第一配管31を流れる潤滑油の質量流量を計測する第一流量計35と、第二配管32を流れる潤滑油の質量流量を計測する第二流量計36と、を具備する。更に、流量調節バルブ34を制御するバルブコントローラ37を具備する。そして、バルブコントローラ37は、第一流量計35の計測結果と第二流量計36の計測結果の差異がなくなるように流量調節バルブ34を制御する。これにより、潤滑油量調節装置3は、オペレータによる操作を不要とし、自動的にトランスミッションT(供試体)内の潤滑油量を一定にすることができる。
更に、本実施形態に係る潤滑油量調節装置3は、第一配管31における該第一配管31と第三配管33の接続部C1よりも上流側に第一流量計35を配置し、第二配管32における該第二配管32と第三配管33の接続部C2よりも下流側に第二流量計36を配置する。これにより、潤滑油量調節装置3は、第一配管31や第二配管32、第三配管33の長さに関わらず、正確にトランスミッションT(供試体)内の潤滑油量を一定にすることができる。
次に、潤滑油量調節装置3の他の特徴点について説明する。
本潤滑油量調節装置3は、脱気装置38を備えている。
脱気装置38は、潤滑油に含まれる気泡を除去する。脱気装置38は、いわゆる減圧式脱気装置であり、第一流量計35よりも上流側に配置されている(詳しくはトランスミッションTと第一流量計35の間に配置されている)。このため、脱気装置38は、気泡が含まれない潤滑油を第一流量計35へ送ることを可能としている。また、脱気装置38は、気泡が含まれない潤滑油を第二流量計36へ送ることを可能としている。
このように本実施形態に係る潤滑油量調節装置3は、第一配管31における第一流量計35よりも上流側に脱気装置38を具備する。これにより、潤滑油量調節装置3は、各流量計35・36による計測結果の信頼性を高め、正確にトランスミッションT(供試体)内の潤滑油量を一定にすることができる。
更に、本潤滑油量調節装置3は、容積可変装置39を備えている。
容積可変装置39は、第一配管31の内部容積を可変とする。容積可変装置39は、いわゆるピストン式容積可変装置であり、接続部C1よりも下流側に配置されている(詳しくは接続部C1と熱交換器2の間に配置されている)。このため、容積可変装置39は、膨張による潤滑油の体積増加分を一時的に貯溜することを可能としている。また、容積可変装置39は、収縮による潤滑油の体積減少分を一時的に供給することを可能としている。
このように本実施形態に係る潤滑油量調節装置3は、第一配管31における接続部C1よりも下流側に容積可変装置39を具備する。これにより、潤滑油量調節装置3は、潤滑油が大きく膨張若しくは収縮するような試験条件においても、正確にトランスミッションT(供試体)内の潤滑油量を一定にすることができる。
以下に、トランスミッションT内の潤滑油量が一定になる効果ついて具体的に説明する。
図3は、潤滑油の温度とトランスミッションT内の潤滑油量の関係を示している。図3の(A)は、潤滑油温度tの経時変化を示している。図3の(B)は、トランスミッションT内の潤滑油体積vの経時変化を示している。そして、図3の(C)は、トランスミッションT内の潤滑油質量mの経時変化を示している。
図3の(B)より、トランスミッションT内の潤滑油体積vは、潤滑油温度tの経時変化に応じて変化していることが分かる。これは、潤滑油の温度上昇に伴い、該潤滑油が膨張したことを示している。なお、従来の性能試験装置においては、第二配管内の体積増加分がトランスミッションT内に流れ込むので潤滑油体積vが大きくなる(破線参照)。
一方、図3の(C)より、トランスミッションT内の潤滑油質量mは、潤滑油温度tの経時変化に応じて変化していないことが分かる。これは、潤滑油の温度上昇によっても、トランスミッションT内の潤滑油量が変わらなかったことを示している。なお、従来の性能試験装置においては、第二配管内の体積増加分がトランスミッションT内に流れ込むので潤滑油質量vが大きくなる(破線参照)。
1 性能試験装置
2 熱交換器
3 潤滑油量調節装置
31 第一配管
32 第二配管
33 第三配管
34 流量調節バルブ
35 第一流量計
36 第二流量計
37 バルブコントローラ
38 脱気装置
39 容積可変装置
T 供試体(トランスミッション)

Claims (4)

  1. 供試体から熱交換器へ潤滑油を案内する第一配管と、
    前記熱交換器から前記供試体へ潤滑油を案内する第二配管と、
    前記第二配管から前記第一配管へ潤滑油の一部を案内する第三配管と、
    前記第三配管を流れる潤滑油量を調節できる流量調節バルブと、を備えた潤滑油量調節装置であって、
    前記流量調節バルブは、前記供試体から抜き出された潤滑油量と前記供試体に入れ戻される潤滑油量が等しくなるように稼働し、
    前記第一配管を流れる潤滑油の質量流量を計測する第一流量計と、
    前記第二配管を流れる潤滑油の質量流量を計測する第二流量計と、
    前記流量調節バルブを制御するバルブコントローラと、を具備し、
    前記バルブコントローラは、前記第一流量計の計測結果と前記第二流量計の計測結果の差異がなくなるように前記流量調節バルブを制御する、ことを特徴とした潤滑油量調節装置。
  2. 前記第一配管における該第一配管と前記第三配管の接続部よりも上流側に前記第一流量計を配置し、
    前記第二配管における該第二配管と前記第三配管の接続部よりも下流側に前記第二流量計を配置する、ことを特徴とした請求項に記載の潤滑油量調節装置。
  3. 前記第一配管における前記第一流量計よりも上流側に脱気装置を具備する、ことを特徴とした請求項又は請求項に記載の潤滑油量調節装置。
  4. 前記第一配管における該第一配管と前記第三配管の接続部よりも下流側に容積可変装置を具備する、ことを特徴とした請求項から請求項のいずれか一項に記載の潤滑油量調節装置。
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