JP6159616B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品に関する。
生理用ナプキン等の吸収性物品として、肌対向面を形成する表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート及び両シート間に介在された吸収体を具備し、着用時に着用者の排泄部に対向配置される排泄部対向領域を有する吸収性物品が汎用されている。また、この種の吸収性物品においては、着用中のムレを防止する等の目的で、裏面シートとして、表裏を貫通する微細孔が多数形成された液不透過性且つ透湿性の透湿フィルムが用いられる場合がある。
例えば特許文献1には、裏面シートの非肌対向面に着衣固定用のズレ止め粘着剤が設けられた吸収性物品において、ズレ止め粘着剤中の粘着成分等が裏面シート側に移行して該ズレ止め粘着剤の粘着力が低下する不都合を防止する目的で、裏面シートの非肌対向面におけるズレ止め粘着剤に対応する部位に、熱可塑性樹脂からなるバリア層を設けることが記載されている。
また特許文献2には、吸収性物品において裏面シートとして透湿フィルムを用いた場合に懸念される、裏面シートからの液の染み出し(ウエット・スルー)を防止する目的で、裏面シートを、何れも透湿性を有する第1層と第2層とから構成し、且つ相対的に吸収体に近い該第1層に、多数の毛管を、該第1層の厚み方向に対して傾斜するように形成することが記載されている。
また、吸収性物品において、吸収体としてポリウレタンフォーム等の多孔体を用いることが提案されている。多孔体からなる吸収体は、弾性回復性に優れ、吸収性物品の着用中において形態が安定し易く、ヨレ等が生じ難いという特長を有する。例えば特許文献3には、相互連結された連続気泡からなる親水性、可撓性で非イオン性のポリマーフォーム構造を、上下2層構造の吸収体における下層(下流体貯蔵/分配層)に適用することが記載されている。このような多孔体は、通常、各種ポリマー等の疎水性材料を主体としていることに起因して、本来的に疎水性であるため、そのままでは液を吸収保持する吸収体として使用することはできない。そこで、多孔体を吸収体として用いるためには、多孔体に親水化処理を施す必要がある。特許文献3には、多孔体の親水化処理に関し、親水化剤として非イオン性の界面活性剤を用い、親水化剤を含む液を多孔体の表面に塗布することが記載されている。
特開2000−140016号公報 特開2004−538019号公報 特表平8−504474号公報
生理用ナプキン等の吸収性物品には、肌対向面を形成する表面シートに液残りが生じ難く、肌対向面のドライ感に優れることが要望されるが、特許文献1〜3に記載の吸収性物品は、斯かる要望事項に対応したものではなく、肌対向面のドライ感については改良の余地がある。
また、特許文献3に記載のポリマーフォーム構造の如き、「疎水性材料を含んで構成され且つ親水化処理が施された吸収体」(以下、被親水化処理吸収体ともいう)を用いた吸収性物品は、該吸収体中に一時的に吸収保持された体液中に、該吸収体に含有されていた親水化剤が溶け出し、そうして親水化剤を含有することにより表面張力が低下し浸透性が高められた体液が、その高い浸透性により裏面シートを通り抜けて吸収性物品の外部に染み出すおそれがある。肌対向面のドライ感に優れ、且つ裏面シートから液が染み出し難い吸収性物品は未だ提供されていない。
従って本発明の課題は、肌対向面のドライ感に優れ、且つ裏面シートから液が染み出し難い吸収性物品を提供することにある。
本発明者らは、前記被親水化処理吸収体を用いた吸収性物品について種々検討した結果、該吸収体は、パルプ繊維等の親水性材料を主体とする通常の吸収体に比して液吸収速度(液透過速度)が遅い傾向があり、これを改善し、肌対向面のドライ感を一層向上させるためには、下記構成1及び2を採用するのが有効との知見(第1の知見)を得た。
・構成1:前記被親水化処理吸収体における排泄部対向領域に対応する部位に、該吸収体を厚み方向に貫通する貫通孔を複数形成する。
・構成2:前記被親水化処理吸収体は、複数の層が厚み方向に積層されてなる積層構造を有し、該積層構造において、裏面シートに最も近い下層は、表面シートに最も近い上層に比して、毛管力が高い(JIS P8141に準じて測定されたクレム吸水高さが高い)。
しかしながら、本発明者らが更に検討したところ、前記第1の知見に基づき改良された吸収性物品は、液吸収速度(液透過速度)の向上に伴い、前記被親水化処理吸収体に含まれている親水化剤の溶出が促進され、それによって裏面シート(透湿フィルム)からの液の染み出しが起こり易いということが判明した。即ち、特に液が集中する、前記被親水化処理吸収体における排泄部対向領域に位置する部分、とりわけ該部分の裏面シート側において、集中的に吸収保持された液に親水化剤が溶け出すと、該液の毛管力が下がって、微細な隙間や孔に対する該液の浸透性が高まり、その結果、液が裏面シート(透湿フィルム)の微細孔を通過して下着に染み出す危険性が高まる。
そこで、本発明者らは、この新たな課題を解決すべく種々検討した結果、裏面シートとして多数の微細孔を有する透湿フィルムを用い、且つ該透湿フィルムの肌対向面(前記被親水化処理吸収体との対向面)における排泄部対向領域(複数の貫通孔の形成領域)に対応する部位に、疎水性インクをグラビア印刷方式により塗布して撥水部を形成するのが有効との知見(第2の知見)を得た。グラビア印刷方式は、印刷領域全体にインクを隙間無く付着させる、いわゆるベタ塗りの印刷方式とは異なり、インクを部分的にドット状に付着させるため、この印刷方式を用いて透湿フィルムに疎水性インクを付着させた場合には、該透湿フィルムの透湿性を実用上十分なレベルに維持することが可能である。
本発明は、前記知見に基づきなされたもので肌対向面を形成する表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート及び両シート間に介在された吸収体を具備し、着用時に着用者の排泄部に対向配置される排泄部対向領域を有する吸収性物品であって、前記吸収体は、親水化処理された疎水性材料を含んで構成され、且つ該吸収体における前記排泄部対向領域に位置する部位に、該吸収体を厚み方向に貫通する貫通孔が複数形成されており、更に前記吸収体は、複数の層が厚み方向に積層されてなる積層構造を有し、該積層構造において、前記裏面シートに最も近い下層は、前記表面シートに最も近い上層に比して、JIS P8141に準じて測定されたクレム吸水高さが高く、前記裏面シートは、多数の微細孔を有する透湿フィルムを含んで構成されており、該透湿フィルムの肌対向面における前記排泄部対向領域に位置する部位に撥水加工が施されて、撥水部が形成されており、前記排泄部対向領域の面積に対する前記撥水加工が施された部分の総面積の割合が、30%以上60%以下である吸収性物品を提供することにより、前記課題を解決したものである。
本発明によれば、肌対向面のドライ感に優れ、且つ裏面シートから液が染み出し難い吸収性物品が提供される。
図1は、本発明の吸収性物品の好ましい一実施形態である生理用ナプキンの肌対向面側(表面シート側)を一部破断して模式的に示す平面図である。 図2は、図1のI−I線断面を模式的に示す断面図である。 図3は、グラビア印刷方式による裏面シート(透湿フィルム)の肌対向面の撥水加工の一例を模式的に示す図であり、図3(a)は、該肌対向面における撥水加工された部位の一部の平面図、図3(b)は、図3(a)の一部を拡大して示す拡大平面図である。 図4は、実施例4において裏面シート(透湿フィルム)のグラビア印刷(撥水加工)で用いた印刷パターンの説明図である。
以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい一実施形態である生理用ナプキンに基づき図面を参照して説明する。本実施形態のナプキン1は、図1及び図2に示すように、肌対向面を形成する表面シート2、非肌対向面を形成する裏面シート3及び両シート2,3間に介在された吸収体4を具備し、着用時に着用者の排泄部に対向配置される排泄部対向領域Pを有する。ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置(当該吸収性物品の正しい着用位置)が維持された状態を意味し、吸収性物品が該着用位置からずれた状態にある場合は含まない。
更に説明すると、ナプキン1は、肌対向面を形成する液透過性の表面シート2、非肌対向面を形成する液不透過性の裏面シート3、及びこれら両シート2,3間に介在された液保持性の吸収体4を具備する吸収性本体10を備え、着用者の前後方向に相当する縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有する。ナプキン1(吸収性本体10)は、図1に示す如き平面視において一方向(縦方向X)に長い形状をしており実質的に縦長である。表面シート2及び裏面シート3と吸収体4との間は、それぞれ、所定部位に塗布された接着剤によって接合されている。表面シート2及び裏面シート3は、それぞれ、吸収体4の周縁から延出し、それらの延出部の端部において、接着剤、ヒートシール等の公知の接合手段により互いに接合されてエンドシール部を形成している。
尚、本明細書において、肌対向面は、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収性本体10)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。また、縦方向Xは、吸収性物品又はその構成部材の長辺に沿う方向(長手方向)に一致し、横方向Yは、吸収性物品又はその構成部材の幅方向に一致する。
ナプキン1は、縦方向Xに沿う左右両側縁から延出する一対のウイング部11,11を備えている。一対のウイング部11,11は、それぞれ、表面シート2及び裏面シート3の、吸収体4の縦方向Xに沿う左右両側縁からの延出部を含んで構成されている。ナプキン1の非肌対向面を形成する、裏面シート3の非肌対向面3bは、着用時にショーツ等の着衣に向けられる面であり、該非肌対向面3bには、図2に示すように、ナプキン1を着衣に固定するための粘着部8,9が設けられている。粘着部8は、吸収性本体10の非肌対向面に設けられ、粘着部9は、一対のウイング部11,11それぞれの非肌対向面に設けられている。これらの粘着部8,9は、ホットメルト粘着剤等の各種粘着剤を所定箇所に塗布することにより設けられており、ナプキン1の使用前においてはフィルム、不織布、紙等からなる図示しない剥離シートによって被覆されている。
本発明に係る排泄部対向領域は、吸収性物品における着用者の排泄部(膣口等)に対向する部位(排泄部対向部)を中心とした、縦方向Xの長さ70mm、横方向Yの長さ30mmの平面視矩形形状の領域である。排泄部対向部は、通常、吸収性物品の縦方向Xの中央又は該中央よりもやや前側(着用者の腹側)に偏倚した部位に存する。
本発明に係る排泄部対向領域の位置は、ウイング部、あるいは吸収性物品を折り畳んで個装形態にする際に生じる折曲線によって特定することができる。本実施形態のナプキン1は、ウイング部11を備えており、その排泄部対向領域P(図1中一点鎖線で囲まれた矩形形状の領域)は、縦方向Xにおけるウイング部11の形成領域(ウイング部11の縦方向Xの一方側の付け根と他方側の付け根とに挟まれた領域)に存する。一方、ウイング部を有しない吸収性物品における排泄部対向領域は、吸収性物品が3つ折りされて個装形態とされた際に生じる、該吸収性物品を横方向に横断する互いに平行な2本の折曲線について、該吸収性物品の縦方向の前端(着用者の腹側に位置する縦方向端部)から数えて第1折曲線と第2折曲線とに囲まれた領域に存する。また、吸収性物品の縦方向の長さが長く、3本の折曲線が生じる場合には、その排泄部対向領域は、吸収性物品の縦方向の前端から数えて第1折曲線と第2折曲線とに囲まれた領域に存するか、又は該前端から数えて第1折線と第3折曲線とに囲まれた領域に存する。
吸収体4は、親水化処理された疎水性材料を含んで構成されている。吸収体4を構成する疎水性材料としては、各種合成高分子を用いることができる。吸収体4における疎水性材料の含有量は、吸収体4の全質量に対して、好ましくは60質量%以上、更に好ましくは65質量%以上であり、構成材料全てが疎水性材料からなっていても良い。
吸収体4の形態としては、3次元的な骨格構造を有する親水性の構造体が好ましく、具体的には例えば、i)親水化処理された疎水性材料からなる親水性の多孔体(発泡体)を含む形態、及びii)親水化処理された繊維状の疎水性材料からなる親水性の繊維集合体を含む形態が挙げられ、吸収体4は、これらの両方(多孔体及び繊維集合体)を含む複合体であっても良い。特に、前記i)の多孔体(親水性でオープンセル構造のフォーム材)は、a)やわらかく弾性回復性があるため、よれにくく、体にフィットしやすい、b)体圧や動作変形が加わってもセル(泡)が変形しにくいため、液戻りや液移動しにくく、安定吸収可能である、等の利点を有しており、吸収体として用いた場合には液の安定保持性・拡散抑制に優れるため、本発明に係る吸収体(後述する吸収体の積層構造を構成する各層)として好ましく用いられる。
前記i)に関し、多孔体を構成する疎水性材料(合成高分子)としては、多孔体の形成材料として公知のものを特に制限なく用いることができ、例えば、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム、アクリル酸及びその誘導体、メタクリル酸及びその誘導体、メラミン樹脂等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、多孔体の形成方法としては、例えば、ウレタンフォームのような化学発泡によるフォーム形成の他、炭酸ガスや窒素等の気体吹き込みによる物理発泡、超臨界発泡、抽出法による空隙間生成、高内相エマルジョンフォーム等のエマルジョン形成後重合する方法でのフォーム形成等、各種フォーム形成方法を用いることができる。多孔体としては、特許文献3に記載のフォーム材料を用いることもできる。
前記ii)に関し、繊維集合体の形態としては、例えば、エアスルー不織布、ヒートロール不織布、スパンボンド不織布、レジンボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布等の各種不織布が挙げられる。また、繊維集合体を構成する繊維状の疎水性材料(合成高分子)としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。繊維状の疎水性材料は、1種類の合成高分子又は2種類以上の合成高分子を混合したブレンドポリマーからなる単一繊維でも良く、あるいは複合繊維でも良い。ここでいう複合繊維は、成分の異なる2種類以上の合成高分子を紡糸口金で複合し、同時に紡糸して得られる合成繊維で、複数の成分がそれぞれ繊維の長さ方向に連続した構造で単繊維内で相互接着しているものをいう。複合繊維の形態には、芯鞘型、サイドバイサイド型等があり、特に制限されない。典型的には、繊維長4mm前後の短繊維をエアレイド積繊しエアスルー結合した不織布、三次クリンプした繊維長51mmのステープルをカード積繊しエアスルー結合した不織布は、繊維空隙が比較的三次元的に均一であり、熱圧縮(ヒートプレス)や所望のパターンでの熱エンボスによって適当に空隙調整が可能であって好ましい。また、後者において、カード積繊時に潜在捲縮繊維を適度に混合することは、エアスルー加熱時の繊維捲縮発現により、繊維密度を高めると共に不織布の弾性回復性を高めるため有利である。また、前記したどの不織布においても、親水繊維を混合することも可能である。好ましい繊維はレーヨン、リヨセル、パルプ等のセルロース繊維である。吸収体4の好ましい湿潤特性(ヨレ・ヘタリにくさ)を得るためには、親水繊維の好ましい配合比率は30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。吸水特性の観点では、親水繊維を下層側のみに配合するか、下層側配合比率を高めることも有利である。
前記ii)に関し、繊維集合体を含む吸収体4の好ましい一実施形態として、上下2枚の不織布(繊維集合体)の間に粒状の吸水性ポリマーが多数介在された構成のものが挙げられる。斯かる構成において、吸水性ポリマーの坪量は、好ましくは22g/m2以上、更に好ましくは40g/m2以上、そして、好ましくは130g/m2以下、更に好ましくは90g/m2以下、より具体的には、好ましくは22g/m2以上130g/m2以下、更に好ましくは40g/m2以上90g/m2以下である。また、吸水性ポリマーの含有量は、吸収体4の全質量に対して、好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、より具体的には、好ましくは20質量%以上50質量%以下、更に好ましくは25質量%以上40質量%以下である。
尚、吸水性ポリマーは、吸収した体液の固定保持に有利な他、平衡蒸気圧を下げムレを抑制する効果もあって、吸収体に適用するメリットも大きいが、ポリマー複合化に付随する構成の複雑化・コスト上昇のデメリットもあるため、吸収体に適用しなくとも良い。
吸収体4を構成する疎水性材料(合成高分子)の親水化処理は、1)疎水性材料から3次元的な骨格構造を有する疎水性の構造体(多孔体、繊維集合体)を形成し、該疎水性の構造体に親水化剤を付与して親水化する方法でも良く、あるいは2)疎水性材料に親水化剤を付与して親水化した後、該疎水性材料から3次元的な骨格構造を有する親水性の構造体(多孔体、繊維集合体)を形成する方法でも良い。親水化剤としては、例えば、αオレフィンスルホン酸塩に代表される各種アルキルスルホン酸塩、アクリル酸塩、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、エステルアミド、エステルアミドの塩、ポリエチレングリコール及びその誘導物、水溶性ポリエステル樹脂、各種シリコーン誘導物、各種糖類誘導物、及びこれらの混合物等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。疎水性の構造体あるいは疎水性材料への親水化剤の付与方法(親水化処理方法)としては、例えば、公知の塗布方法により親水化剤を塗布する方法、親水化剤を含む液中に浸漬する方法等が挙げられる。
親水化剤は、疎水性材料からなる疎水性の構造体(多孔体、繊維集合体)の全体に付与されていても良く、あるいは部分的に付与されていても良い。即ち、吸収体4は、親水化処理された疎水性材料のみから構成されていても良く、あるいは親水化処理された疎水性材料を主体とし、且つ親水化処理されていない疎水性材料を一部に含んでいても良い。後者の場合、少なくとも、吸収体4における排泄部対向領域Pに位置する部位(図1に示す如き平面視において排泄部対向領域Pと重なる部位)は、その全体に親水化剤が付与されている(親水化処理された疎水性材料のみから構成されている)ことが好ましい。
吸収体4における親水化剤の含有量は、吸収体4による安定した液吸収を実現する観点から、吸収体4の全質量に対して、好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.75質量%以上、特に好ましくは1質量%以上、そして、好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1.7質量%以下、より具体的には、好ましくは0.5質量%以上2.5質量%以下、更に好ましくは0.75質量%以上2質量%以下、特に好ましくは1質量%以上1.7質量%以下である。
また、図1及び図2に示すように、吸収体4における排泄部対向領域Pに位置する部位(図1に示す如き平面視において排泄部対向領域Pと重なる部位)には、吸収体4を厚み方向に貫通する貫通孔7が複数形成されている。貫通孔7は、多量の液や、粘性の比較的高い液を吸収体4の内部へと速やかに移動させるのに寄与する。即ち、疎水性材料を含む吸収体4は、パルプ等の親水性材料を主とする吸収性構造体と比べて、湿潤時における弾性率変化が少なく、使用環境に拘らず安定した吸収構造体を形成可能である反面、吸液による柔軟な構造変化させる特性が極めて低い。特に、前記i)の、親水化処理された疎水性材料からなる親水性の多孔体(発泡体)を含む形態の場合には、吸液時の柔軟な構造変化が殆ど得られない。そこで、貫通孔7を設けることによって、液は貫通孔7に一時貯留されると共に、液をより毛管力の高い下層側へ速やかに分配され易くなる。また、大半の使用局面で貫通孔7は液体を保持していない空孔であるため、貫通孔7の形成は、ナプキン1の肌対向面(表面シート2の肌対向面)の湿気を、直接的に裏面シート3を通じて外部に排出し、ドライ感の向上に特に有効である。
本実施形態においては、複数の貫通孔7は、それぞれ、平面視円形形状をなしている。また、後述するように、本実施形態においては、吸収体4は上層5及び下層6の積層構造からなるところ、複数の貫通孔7は、それぞれ、上層5及び下層6をそれぞれ厚み方向に貫通しており、吸収体4の肌対向面(表面シート2との対向面)と非肌対向面(裏面シートとの対向面)とは、貫通孔7によって連通している。図1に示すように、貫通孔7は、吸収体4における排泄部対向領域Pに位置する部位のみならず、排泄部対向領域Pに位置しない部位(図1に示す如き平面視において排泄部対向領域Pと重ならない部位)にも形成されている。本実施形態における貫通孔7の形成パターンは、複数の貫通孔7が縦方向Xに一定間隔をおいて形成されて貫通孔列をなすと共に、該貫通孔列が横方向Yに一定間隔をおいて複数列形成されたパターンである。
貫通孔7としては、図2に示すように、吸収体4(後述する積層構造)の厚みよりも小さい直径を有することが、貫通孔7に一時収容された液が貫通孔7の底部に到達するよりも早く周囲の吸収体4に吸収される可能性を高めるために、好ましい。貫通孔7は、貫通孔が形成されていない吸収体(積層構造)に、常法に従って熱エンボス加工する方法、加熱ピン開孔加工する方法、非加熱の圧縮状態でトリム開孔する方法等により形成することができる。貫通孔7を明瞭に開孔する好ましい加工方法は、所定形状の加熱ピン開孔、並びに非加熱の圧縮状態でトリム開孔する方法である。
貫通孔7の形成による作用効果(肌対向面のドライ感の向上等)をより確実に奏させるようにする観点から、貫通孔7の寸法等は次のように設定することが好ましい。
貫通孔7の開口直径は、好ましくは1mm以上、更に好ましくは1.5mm以上、そして、好ましくは3mm以下、更に好ましくは2mm以下、より具体的には、好ましくは1mm以上3mm以下、更に好ましくは1.5mm以上2mm以下である。
1cm四方の平面視正方形形状の単位面積に存する貫通孔7の数は、好ましくは3個以上、更に好ましくは4個以上、そして、好ましくは8個以下、更に好ましくは7個以下、より具体的には、好ましくは3個以上8個以下、更に好ましくは4個以上7個以下である。
更に、吸収体4は、図2に示すように、複数の層が厚み方向に積層されてなる積層構造を有している。より具体的には、吸収体4は、表面シート2に近い順に(裏面シート3から遠い順に)、上層5及び下層6を順次積層してなり、二層構造を有している。上層5と下層6とは、平面視における形状及び大きさ(面積)が同じであり、図1に示す如き平面視において両者は略完全に一致している。積層構造を構成する各層(上層5、下層6)は互いに接合されており、各層は一体不可分となっている。吸収体4の積層構造は、各層が一体成形されたものであっても良く、あるいは複数の別体の層を積層し、上下層一体的に(点状)エンボスを施してその層間を熱的に接合する、あるいは接着剤等の接合手段併用によって接合したものであっても良い。より具体的には、上層5と下層6とは、熱エンボスによって接合されていても良く、あるいは接着剤によって接合されていても良い。エンボスによって吸収体4を構成する各層(上層5及び下層6)を接合する場合、そのエンボスによって形成されたエンボス部は、吸収体4を貫通しないことが好ましい。
吸収体4(上層5及び下層6)の適切な坪量の範囲は、吸収体4(上層5及び下層6)の形態によって異なる。吸収体4(上層5及び下層6)が前記i)の多孔体である場合、及び前記ii)の繊維集合体である場合、何れにおいても、各層の坪量は次のように設定することが好ましい。
上層5(多孔体)の坪量は、好ましくは70g/m2以上、更に好ましくは100g/m2以上、そして、好ましくは250g/m2以下、更に好ましくは200g/m2以下、より具体的には、好ましくは70g/m2以上250g/m2以下、更に好ましくは100g/m2以上200g/m2以下である。
下層6(多孔体)の坪量は、好ましくは50g/m2以上、更に好ましくは70g/m2以上、そして、好ましくは200g/m2以下、更に好ましくは150g/m2以下、より具体的には、好ましくは50g/m2以上200g/m2以下、更に好ましくは70g/m2以上150g/m2以下である。
上層5(多孔体)と下層6(多孔体)との坪量の比(上層の坪量/下層の坪量)は、好ましくは1.3以上、更に1.5以上であり、3以下、更に好ましくは2.5以下である。具体的には、1.3以上3以下、更に1.5以上2.5以下であることが好ましい。
また、吸収体4の前記積層構造(二層構造)において、裏面シート3に最も近い下層6は、表面シート2に最も近い上層5に比して、JIS P8141に準じて測定されたクレム吸水高さが高い。即ち、下層6は上層5に比して毛管力が大きい。吸収体4に斯かる毛管力勾配が付与されていることにより、貫通孔7の作用と相俟って、表面シート2を透過して上層5に移行した経血等の体液は、相対的に毛管力の小さい上層5では、面方向(厚み方向と直交する方向)にあまり拡散されず且つ上層5にあまり残留せずに下層6に移行し、相対的に毛管力の大きい下層6でしっかり保持されるようになる。このような吸収体4の液吸収特性は、ナプキン1の肌対向面(表面シート2の肌対向面)のドライ感の向上に特に有効である。
上層5のクレム吸水高さは、好ましくは10mm以上、更に好ましくは15mm以上、そして、好ましくは50mm以下、更に好ましくは40mm以下、より具体的には、好ましくは10mm以上50mm以下、更に好ましくは15mm以上40mm以下である。
下層6のクレム吸水高さは、好ましくは30mm以上、更に好ましくは45mm以上である。一方、下層6のクレム吸水高さの上限値について制限はないが、120mm以下が好ましい。
下層6と上層5とのクレム吸水高さの比(下層6のクレム吸水高さ/上層5のクレム吸水高さ)は、好ましくは1.7以上、更に好ましくは2以上、最も好ましくは2.2以上である。
吸収体の積層構造を構成する各層(上層5、下層6)のクレム吸水高さは、以下の方法で測定される。
<クレム吸水高さの測定方法>
吸収体の積層構造から測定対象の層を、該層の厚みを変えないよう注意して取り出してサンプルとし、JIS P8141の試験方法に準じてクレム吸水高さを測定する。具体的には、サンプルを幅10mm、長さ150mm以上にカットする。カットに際しては、押し切りカッターなど、サンプルを押しつぶす可能性のある切断方法は、結果に影響を及ぼす可能性が高く、好ましくない。そのため、カットに際しては、ナイフ、カッター、剃刀等を用いてサンプルの切断面が潰れないようにカットする。尚、吸収体に形成されている貫通孔の影響を避けるため、貫通孔の無い部分でサンプリングを行うことが好ましく、やむを得ず貫通孔部分で測定を行う場合は、測定結果にその旨付記する。また、製品長、貫通孔の影響で吸収体の積層構造から十分な長さのサンプルが切り出せない場合も、可能なサンプル長さで測定を行い、測定結果にその旨付記する。次に、JIS P8141に規定する冶具にカット後のサンプルをセットし、試験液として、青色1号(染料)の濃度が0.02質量%の生理食塩水を用いて、10分後のクレム吸水高さを測定する。以上の測定を5回行い、その平均値をクレム吸水高さとする。尚、測定環境は、JIS P8141に従い20℃、65%RHであるが、20±1℃、65±3%RHの範囲で測定を行うことができる。また、測定用サンプル、治具及び試験液は、一昼夜同環境下に保管した後に測定に用いる。
下層6のクレム吸水高さを上層5のそれよりも高くする(下層6の毛管力を上層5のそれよりも大きくする)方法としては、下層6が有する多数の空間部〔多孔体におけるセル(泡)、繊維集合体における繊維間空隙等〕の空間容量を上層5のそれよりも小さくする方法(以下、クレム吸水高さ調整法Aともいう)、及び、下層6の親水性を上層5のそれよりも高くする方法(以下、クレム吸水高さ調整法Bともいう)が挙げられる。
前記クレム吸水高さ調整法Aに関し、吸収体4(上層5及び下層6)が前記i)の多孔体(発泡体)である場合には、下層6を構成する多孔体におけるセルのセル径を上層5のそれよりも小さくする。斯かるセル径の調整は、上層5と下層6とで多孔体製造時の発泡倍率を異ならせることで実施可能である。
共に多孔体からなる上層5と下層6との該多孔体におけるセルのセル径比(上層5におけるセルのセル径/下層6におけるセルのセル径)は、好ましくは1.7以上、更に好ましくは2以上、そして、好ましくは10以下、更に好ましくは8以下、より具体的には、好ましくは1.7以上10以下、更に好ましくは2以上8以下である。
上層5(多孔体)におけるセルのセル径は、好ましくは35μm以上、更に好ましくは40μm以上、そして、好ましくは120μm以下、更に好ましくは100μm以下、より具体的には、好ましくは35μm以上120μm以下、更に好ましくは40μm以上100μm以下である。
下層6(多孔体)におけるセルのセル径は、好ましくは10μm以上、更に好ましくは17μm以上、そして、好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下、より具体的には、好ましくは10μm以上40μm以下、更に好ましくは17μm以上30μm以下である。
尚、多孔体(上層5、下層6)におけるセルのセル径は、電子顕微鏡もしくはマイクロスコープ等の、実寸表示可能で好ましくは印刷可能な拡大観察システムを用いて常法に従って測定することができる。具体的には、測定対象の多孔体を、厚み方向に圧縮しないよう、カミソリ等を用いて試料台に乗る大きさにカットし、無加圧状態で前記の如くモニターに拡大表示する。測定倍率はフォーム材のセルの大きさを見て任意に選択可能であり、通常100〜500倍程度で行う。そして、セルが円形状の場合はその円形状のセルの直径を、楕円形状の場合はその楕円形状のセルの短軸径を、それぞれセル径とし、多孔体における任意の20個のセルのセル径の平均値を、当該多孔体におけるセルのセル径とする。
また、前記クレム吸水高さ調整法Aに関し、吸収体4(上層5及び下層6)が前記ii)の繊維集合体である場合には、下層6を構成する繊維集合体における繊維間空隙を上層5のそれよりも小さくする。斯かる繊維間空隙の調整は、下層6を構成する繊維状の疎水性材料(合成高分子)の太さを上層5のそれよりも小さくすることで実施可能である。
共に繊維集合体からなる上層5と下層6との繊維状の疎水性材料の太さの比(上層5における繊維状の疎水性材料の太さ/下層6における繊維状の疎水性材料の太さ)は、好ましくは2以上、更に好ましくは3.2以上、そして、好ましくは8以下、更に好ましくは6.5以下、より具体的には、好ましくは2以上8以下、更に好ましくは3.2以上6.5以下である。
上層5(繊維集合体)における繊維状の疎水性材料の太さは、好ましくは4dtex以上、更に好ましくは5dtex以上、そして、好ましくは14dtex以下、更に好ましくは11dtex以下、より具体的には、好ましくは4dtex以上14dtex以下、更に好ましくは5dtex以上11dtex以下である。
下層6(繊維集合体)における繊維状の疎水性材料の太さは、好ましくは1.2dtex以上、更に好ましくは1.8dtex以上、そして、好ましくは4dtex以下、更に好ましくは3dtex以下である。下層6(繊維集合体)の好ましい形態の具体例として、太さ3dtex以下の繊維状の疎水性材料の集合体が挙げられる。また、斯かる繊維状の疎水性材料の集合体(下層6)を予め(ドット状等の)熱エンボスにより圧縮した状態で上層5(繊維集合体)と複合することも好ましい。
一方、前記クレム吸水高さ調整法B(下層6の親水性を上層5のそれよりも高くする方法)は、吸収体4(上層5及び下層6)が、前記i)の多孔体(発泡体)であるか、又は前記ii)の繊維集合体であるかにかかわらず、適用可能であり、前記クレム吸水高さ調整法Aと併用することもできる。前記クレム吸水高さ調整法Bは、例えば、下層6における、疎水性材料の親水化処理に用いる親水化剤の含有量を、上層5のそれよりも多くすることにより実施できる。より具体的には、疎水性材料からなる疎水性の積層構造を形成し、該積層構造における、ナプキン1に組み込まれた場合に下層6(裏面シート3に最も近い層)となる側から、親水化剤をキスコート、グラビアコート等の公知の塗布方式により塗布し、乾燥する。前記積層構造における、ナプキン1に組み込まれた場合に上層5(表面シート2に最も近い層)となる側からは、親水化剤は塗布しない。斯かる親水化剤の塗布方法により、下層6は上層5よりも親水化剤の含有量が多くなり、結果として、下層6の親水性が上層5のそれよりも高くなる。
また、前記のように、疎水性材料からなる疎水性の積層構造における、ナプキン1に組み込まれた場合に下層6となる側(下層側)から親水化剤を塗布する場合、その下層側の全面に親水化剤を塗布しても良く、あるいはその下層側における、排泄部対向領域Pに対応する部位(図1に示す如き平面視において排泄部対向領域Pと重なる部位)のみに部分的に親水化剤を塗布しても良い。後者の塗布形態は、吸収体4(下層6)よりも横方向Yの長さが短い幅狭の塗布ロールを用いて親水化剤を塗布することにより実施できる。後者の塗布形態により得られた下層6においては、その横方向Yの中央部(排泄部対向領域Pに対応する部位)が相対的に強親水性を有しているのに対し、該中央部を挟む横方向Yの両側部は、それぞれ、相対的に弱親水性あるいは疎水性を有しているので、該中央部から該両側部への液の移行が一層効果的に抑制され、延いては裏面シートからの液の染み出し防止に繋がる。
本実施形態のナプキン1は、吸収体4が前述した構成(前記構成1及び2)を具備していることにより、液吸収速度(液透過速度)が速く、肌対向面(表面シート2)のドライ感に優れている。一方で、斯かる吸収体4の性能向上に伴い、前述したように、吸収体4に吸収保持された体液中への親水化剤の溶出が促進され、そうして吸収体4から溶出した親水化剤を含有することによって、表面張力が低下し浸透性が高められた体液が、裏面シート3を通り抜けてナプキン1の外部に染み出す不都合が懸念される。即ち、吸収体4は、レーヨン等の親水性材料と比較して、その使用(液の吸収保持)により親水性が低下する傾向があり、親水性の耐久性が低い。
吸収体の親水性の耐久性は、下記方法により測定される液滴吸収時間の変化の程度によって評価することができる。親水性の耐久性が低い吸収体4は、下記方法により測定される初期液滴吸収時間が3秒以内であり、且つ下記方法により測定される水洗乾燥後液滴吸収時間が30秒以上である。要するに、親水性の耐久性が低い吸収体4は、下記のように水洗され乾燥されることによって、当初含有していた親水化剤がほとんど溶出してしまうため、親水化剤による親水化処理によって付与された親水性が低下し、本来の疎水性材料の特性が顕著になり、その結果、液の吸収性が低下してしまうのである。
<液滴吸収時間の測定方法(親水性の耐久性の評価方法)>
評価対象の吸収体の肌対向面(吸収体4については上層5)に、駒込ピペット等を用いて生理食塩水を一滴(およそ0.15cc)置き、その一滴の生理食塩水を置いた直後から吸収体に吸収されて目視で確認できなくなるまでの時間を計測し、それを初期液滴吸収時間とする。また別途、評価対象の吸収体を、室温25℃の環境下25℃の流水中に完全に浸漬させ、その状態で20秒間放置した後、流水から取り出して手で絞り、再び流水中に完全に浸漬させるという一連の作業を3回繰り返した後、熱風乾燥機で設定温度60度で吸収体を1時間乾燥し、斯かる洗浄・乾燥処理によって得られた水洗乾燥後の吸収体について、前記と同様に液滴吸収時間を計測し、その計測値を水洗乾燥後液滴吸収時間とする。尚、初期液滴吸収時間及び水洗乾燥後液滴吸収時間は、それぞれ、生理食塩水の液滴を1サンプルの異なる箇所に20滴滴下し、その20箇所それぞれにおける当該吸収時間の計測値の平均を採用する。
そこで、本実施形態においては、以下に説明するように、裏面シート3に工夫を施すことにより前記懸念を払拭している。即ち、本実施形態においては、裏面シート3は、多数の微細孔を有する透湿フィルムを含んで構成されており、該透湿フィルムの肌対向面(吸収体4との対向面)3a(図2参照)における排泄部対向領域Pに位置する部位に撥水加工が施されて、撥水部30が形成されている。本実施形態においては、裏面シート3は、単層の透湿フィルムのみから構成されている。裏面シート3として好適な透湿フィルムとしては、例えば、ポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂と、これと相溶性のない無機充填剤微粒子とを溶融混練して押し出したフィルムを、所定の寸法に延伸して微細孔を形成した通気性フィルムが挙げられる。このように製造される通気性フィルムにおいては、延伸により熱可塑性樹脂と無機充填剤微粒子との界面を起点として微細孔(ミクロボイド)が多数形成されている。
撥水部30は、透湿フィルム(裏面シート3)の肌対向面3aにおける排泄部対向領域Pに位置する部位に形成されていれば良く、肌対向面3aの全面に形成されていても良いが、撥水部30の面積増加に伴い透湿フィルムの透湿性が低下する傾向があるので、透湿フィルムの透湿性を実用上十分な程度に維持する観点から、撥水部30は、肌対向面3aに部分的に形成されることが好ましく、特に、肌対向面3aにおける排泄部対向領域Pに位置する部位のみ又は該部位及びその近傍のみに形成されることが更に好ましい。撥水部30を肌対向面3aに部分的に形成する場合の撥水部形成パターンとして、一方向(例えば縦方向X)に延びる帯状の撥水部30を、該一方向と直交する方向(横方向Y)に所定間隔をおいて複数本配置してなるパターンが挙げられ、この帯状の撥水部30の幅(横方向Yの長さ)は、好ましくは50mmである。
本実施形態においては、透湿フィルム(裏面シート3)の撥水加工は、透湿フィルムの肌対向面3aにおける排泄部対向領域Pに位置する部位に、疎水性インクをグラビア印刷方式により塗布することによりなされており、撥水部30は該疎水性インクの付着部からなる。グラビア印刷方式は、疎水性インクをドット状(散点状)の印刷パターンで塗布するため、いわゆるベタ塗りの印刷方式とは異なり、そのドットの印刷面積率の調整等により、裏面シート3(透湿フィルム)における液浸透性と透湿性とを適切にコントロールするのに都合がよい上、多色印刷への適性も高く、本発明に係る裏面シート(透湿フィルム)の撥水加工法として好適に用いられる。
図3には、グラビア印刷方式による裏面シートの撥水加工の一例が示されている。図3に示す形態においては、図3(a)に示すように、透湿フィルム(裏面シート3)の肌対向面3aにおける排泄部対向領域Pに位置する部位に、グラビア印刷方式により疎水性インクが塗布されて花びら模様31及び円模様32がそれぞれ複数印刷されているところ、これらの印刷模様31,32は何れも、図3(b)に示すように、複数の平面視円形状の撥水部30(疎水性インクの付着部)の集合体であり、該集合体における各撥水部30は、疎水性インクが付着しておらず撥水加工が施されていない、非撥水部によって包囲されている。
本実施形態においては、透湿フィルム(裏面シート3)の液浸透性と透湿性とのバランスの観点から、排泄部対向領域Pの面積に対する撥水加工が施された部分の総面積の割合、即ち、排泄部対向領域Pの面積に対する疎水性インクの付着部(撥水部30)の総面積の割合(複数の撥水部30の総面積/排泄部対向領域Pの面積)は、30%以上60%以下である。斯かる割合は、好ましくは35%以上、更に好ましくは40%以上、そして、好ましくは58%以下、更に好ましくは55%以下、より具体的には、好ましくは35%以上58%以下、更に好ましくは40%以上55%以下である。
前記非撥水部が連続して存在すると、吸収体4から溶出した親水化剤を含有することによって表面張力が低下した液が、染み出す危険性が増加する。斯かる危険性を低減するためには、下記構成A及びBの何れか一方又は両方を採用することが好ましい。
・構成A:撥水部30(疎水性インクの付着部)及び前記非撥水部の両方を含んで構成される排泄部対向領域Pの各印刷模様31,32をそれぞれ1個の印刷エリアとし、それ以外の部分を非印刷エリアとした場合、排泄部対向領域Pの面積に対する非印刷エリアの面積(排泄部対向領域Pの面積から全ての印刷エリアの面積の合計値を差し引いて算出)の割合(即ち非印刷エリアの面積率)は、好ましくは42%以下、更に好ましくは35%以下である。
・構成B:排泄部対向領域Pを10mm×10mm四方の複数の分割エリアに区切って、この各分割エリア内で連続する前記非撥水部の面積を測定した場合、該面積が50mm2を超える分割エリアが、全分割エリア数の15%以下であることが好ましく、該当する分割エリアが存在しないことが更に好ましい。より好ましくは、該面積が25mm2を越える分割エリアが、全エリア数の25%以下であることが好ましく、18%以下であることが更に好ましい。
また同様の観点から、透湿フィルム(裏面シート3)の肌対向面3aに疎水性インクにより印刷された任意の1つの印刷模様(図3に示す形態においては任意の1つの花びら模様31又は任意の1つの円模様32)について、その印刷模様の面積に対する、該印刷模様を構成する疎水性インクの付着部(撥水部30)の総面積の割合(複数の撥水部30の総面積/複数の該撥水部30によって構成される1つの印刷模様の面積)は、好ましくは40%以上、更に好ましくは45%以上、そして、好ましくは80%以下、更に好ましくは60%以下、より具体的には、好ましくは40%以上80%以下、更に好ましくは45%以上60%以下である。
透湿フィルム(裏面シート3)の撥水加工に用いる疎水性インクとしては、蒸発乾燥型・2液反応型・紫外線硬化型等、通常のグラビア印刷方式に適用可能な公知の疎水性インクを特に制限無く用いることができる。疎水性インクは、有色でも無色透明でも良く、有色の疎水性インクを用いた場合には、撥水部30は有色となる。本実施形態においては、前述したように、吸収体4(上層5及び下層6)における、図1に示す如きナプキン1の平面視において撥水部30と重なる部位には、該吸収体4を厚み方向に貫通する貫通孔7が複数形成されているため、撥水部30が有色であると、ナプキン1を図1に示す如く表面シート2側から目視により視認した場合に、表面シート2と吸収体4の複数の貫通孔7とを介して、その有色の撥水部30を目視により視認することができるため、例えば、ナプキン1を下着に装着する際に、その装着位置が識別しやすくなるという効果が奏される。
透湿フィルム(裏面シート3)の坪量は18g/m2以上であり、且つ該透湿フィルムにおける排泄部対向領域Pに位置する部位の透湿量は、透湿量不足によるムレ防止と透湿量(微細孔)過多による裏面シートからの液の染み出し防止とのバランスの観点から、1.0g/(100cm2・hr)以上2.2g/(100cm2・hr)以下であることが好ましい。斯かる透湿量は、前述したグラビア印刷方式を用いた撥水加工においては、疎水性インクの印刷パターンを適宜調整し、排泄部対向領域Pの面積に対する疎水性インクの付着部(撥水部30)の総面積の割合、あるいは、透湿フィルム(裏面シート3)の肌対向面3aに疎水性インクにより印刷された任意の1つの印刷模様について、その印刷模様の面積に対する該印刷模様を構成する疎水性インクの付着部(撥水部30)の総面積の割合を適宜調整することにより、調整可能である。また、透湿フィルムの坪量が小さすぎると、使用中に破れ等のトラブルが生じる可能性があるため、透湿フィルムはある程度の坪量を有していることが好ましい。
より具体的には、裏面シート3を構成する透湿フィルムの坪量は、好ましくは18g/m2以上、更に好ましくは35g/m2以上、そして、好ましくは50g/m2以下、更に好ましくは45g/m2以下、より具体的には、好ましくは25g/m2以上50g/m2以下、更に好ましくは35g/m2以上45g/m2以下である。裏面シート3を構成する透湿フィルムの坪量を前記範囲とすることで、ナプキン1を使用後に衣類から引きはがす際、裏面シート3の非肌対向面3bに設けられた粘着部8,9の粘着力に抗して該裏面シート3が破れることを防止しつつ、裏面シート3の柔らかさを維持することが容易となる。
また、透湿フィルムにおける排泄部対向領域Pに位置する部位の透湿量は、好ましくは1.0g/(100cm2・hr)以上、更に好ましくは1.5g/(100cm2・hr)以上、そして、好ましくは2.2g/(100cm2・hr)以下、更に好ましくは2.0g/(100cm2・hr)以下、より具体的には、好ましくは1.0g/(100cm2・hr)以上2.2g/(100cm2・hr)以下、更に好ましくは1.5g/(100cm2・hr)以上2.0g/(100cm2・hr)以下である。
尚、透湿量の測定はJIS Z−0208カップ法に定めた方法(条件B 40±0.5℃、湿度90±2%)で行った。
尚、本発明の吸収性物品がナプキン1の如き生理用ナプキンである場合には、想定される吸収液量が2〜7g程度と比較的少なく、これよりも高い吸収液量が求められる他の吸収性物品(例えば使い捨ておむつ)に比べて、排泄部対向領域における吸収体配置領域の厚みが薄いため(生理用ナプキンの該厚みは好ましくは5mm以下)、透湿性の裏面シートを用いると、ナプキン内部あるいはナプキンと着用者と間に存在する蒸気が、ナプキン外部に十分に放出されやすくなる。加えて、着用者の股間部全体を覆うように設計されている使い捨ておむつに対して、生理用ナプキンは、着用者の身体に対する被覆面積が小さいため、裏面シートの透湿量を使い捨ておむつのそれに比して低く設定しても、着用者にドライ感を十分に与えることができる。従って、裏面シート3を構成する透湿フィルムにおける排泄部対向領域Pに位置する部位の透湿量を前記範囲とすることにより、親水化剤を含んだ経血であっても、その経血の裏面シート3からの滲み出しが防止されると共に、十分な透湿性が確保される。
ナプキン1のその他の形成材料について説明すると、表面シート2としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、親水化処理が施された各種不織布や開孔フィルム等の液透過性のシートを用いることができる。表面シート2としては、排泄された体液を速やかに吸収し、吸収体に伝達する観点と肌触りのよさの観点とから親水性のサーマルボンド不織布が好ましく、特にエアスルー不織布が好ましい。表面シート2は、親水化処理された熱可塑性樹脂繊維であり、且つ、該繊維が2次クリンプ又は3次クリンプのような立体捲縮がなされた繊維であることが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、及びこれらの複合繊維を作成し、所定の長さにカットしてステープルを形成する前の段階で、各種親水化剤を塗布する。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、貫通孔の平面視形状は円形形状に制限されず、四角形形状等、種々の形状にすることができ、また、貫通孔の形成パターンも特に制限されず、千鳥状等でも良い。また、吸収体4は、その肌対向面(表面シート2との対向面)及び非肌対向面(裏面シート3との対向面)が、ティッシュペーパー等の紙、各種不織布、開孔フィルム等の透水性シートで被覆されていても良い。また、前記実施形態では、本発明の吸収性物品の適用例の一つとして生理用ナプキンを挙げたが、例えば、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド、使い捨ておむつ等にも適用できる。また、前記i)の多孔体(フォーム材)の形態の吸収体に対しても、前記ii)の繊維集合体の形態の吸収体の場合と同様の考え方で、吸水性ポリマーを組み合わせることも可能である。
前述した本発明の実施態様に関し、更に以下の付記(吸収性物品)を開示する。
<1> 肌対向面を形成する表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート及び両シート間に介在された吸収体を具備し、着用時に着用者の排泄部に対向配置される排泄部対向領域を有する吸収性物品であって、前記吸収体は、親水化処理された疎水性材料を含んで構成され、且つ該吸収体における前記排泄部対向領域に位置する部位に、該吸収体を厚み方向に貫通する貫通孔が複数形成されており、更に前記吸収体は、複数の層が厚み方向に積層されてなる積層構造を有し、該積層構造において、前記裏面シートに最も近い下層は、前記表面シートに最も近い上層に比して、JIS P8141に準じて測定されたクレム吸水高さが高く、前記裏面シートは、多数の微細孔を有する透湿フィルムを含んで構成されており、該透湿フィルムの肌対向面における前記排泄部対向領域に位置する部位に撥水加工が施されて、撥水部が形成されており、前記排泄部対向領域の面積に対する前記撥水加工が施された部分の総面積の割合が、30%以上60%以下である吸収性物品。
<2> 前記撥水加工は、前記透湿フィルムの肌対向面における前記排泄部対向領域に位置する部位に、疎水性インクをグラビア印刷方式により塗布することによりなされており、前記撥水部は、該疎水性インクの付着部からなる前記<1>記載の吸収性物品。
<3> 前記透湿フィルムの坪量が18g/m2以上であり、且つ該透湿フィルムにおける前記排泄部対向領域に位置する部位の透湿量が1.0g/(100cm2・hr)以上2.2g/(100cm2・hr)以下である前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4> 前記吸収体は、3次元的な骨格構造を有する親水性の構造体である前記<1>〜<3>の何れか1に記載の吸収性物品。
<5> 前記吸収体は、親水化処理された疎水性材料からなる親水性の多孔体を含む形態である前記<4>記載の吸収性物品。
<6> 前記多孔体を構成する疎水性材料は、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム、アクリル酸及びその誘導体、メタクリル酸及びその誘導体、メラミン樹脂から選ばれる1種又は2種以上である前記<5>記載の吸収性物品。
<7> 前記上層の坪量は、70g/m2以上250g/m2以下である前記<6>又は<6>記載の吸収性物品。
<8> 前記下層の坪量は、50g/m2以上200g/m2以下である前記<5>〜<7>の何れか1に記載の吸収性物品。
<9> 前記上層と前記下層との坪量の比(上層の坪量/下層の坪量)は、1.3以上3以下である前記<5>〜<8>の何れか1に記載の吸収性物品。
<10> 前記上層と前記下層との前記多孔体におけるセルのセル径比(上層におけるセルのセル径/下層におけるセルのセル径)は、1.7以上10以下である前記<5>〜<9>の何れか1に記載の吸収性物品。
<11> 前記吸収体は、親水化処理された繊維状の疎水性材料からなる親水性の繊維集合体を含む形態である前記<4>記載の吸収性物品。
<12> 前記繊維集合体からなる前記上層と前記下層との繊維状の疎水性材料の太さの比(上層における繊維状の疎水性材料の太さ/下層における繊維状の疎水性材料の太さ)は、2以上8以下である前記<11>記載の吸収性物品。
<13> 前記上層のクレム吸水高さは10mm以上50mm以下である前記<1>〜<12>の何れか1に記載の吸収性物品。
<14> 前記下層のクレム吸水高さは30mm以上である前記<1>〜<13>の何れか1に記載の吸収性物品。
<15> 前記親水化処理に用いる親水化剤は、疎水性材料からなる疎水性の構造体(多孔体、繊維集合体)の全体に付与されている前記<1>〜<15>の何れか1に記載の吸収性物品。
<16> 前記吸収体は、その前記排泄部対向領域に位置する部位が、親水化処理された疎水性材料のみから構成されている前記<1>〜<15>の何れか1に記載の吸収性物品。
<17> 前記貫通孔は、前記吸収体(前記積層構造)の厚みよりも小さい直径を有する前記<1>〜<16>の何れか1に記載の吸収性物品。
<18> 前記上層と前記下層とは熱エンボスによって接合されている前記<1>〜<17>の何れか1に記載の吸収性物品。
<19> 前記熱エンボスによって形成されたエンボス部は、前記吸収体を貫通していない前記<19>記載の吸収性物品。
<20> 前記上層と前記下層とは接着剤によって接合されている前記<1>〜<17>の何れか1に記載の吸収性物品。
<21> 前記吸収性物品が生理用ナプキンである前記<1>〜<20>の何れか1に記載の吸収性物品。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
図1及び図2に示すものと同様の構成の生理用ナプキンを作製し、実施例1のサンプルとした。尚、表面シート及び裏面シートとしては以下の構成のものを用い、吸収体としては積層構造(二層構造)の下記多孔体Aを用いた。
・表面シート: 坪量25g/m2の親水性のエアスルー不織布。
・裏面シート: 坪量40g/m2、透湿量(撥水加工前の透湿量)2.1g/(100cm2・hr)の多数の微細孔を有する単層の透湿フィルムの一面(生理用ナプキンに組み込まれた場合に肌対向面となる面)に、撥水加工を施して撥水部を形成したもの。撥水加工は次のようにして行った。即ち、透湿フィルムの一面の全域に、疎水性(撥水性)グラビア印刷用インクとして大日精化工業(株)製インク「ハイプリントJ」シアンを用いて、グラビア印刷方式により、線数(印刷密度)50lpi、印刷面積率50%の網点印刷を施し、該疎水性インクの付着部からなる撥水部を形成した。尚、印刷網点設定に際してはレトラセットのスクリーントーンNo.55(エセルテ社)を採用した。ここでいう「印刷面積率」は、前述した、「任意の1つの印刷模様の面積に対する、該印刷模様を構成する疎水性インクの付着部(撥水部)の総面積の割合」(複数の撥水部30の総面積/複数の該撥水部30によって構成される1つの印刷模様の面積)」に相当するもので、前述した、「排泄部対向領域の面積に対する疎水性インクの付着部(撥水部)の総面積の割合」(複数の撥水部30の総面積/排泄部対向領域Pの面積)、即ち、「排泄部対向領域の面積に対する撥水加工が施された部分の総面積の割合」に一致する。
(多孔体Aの調製)
フォーム材A(イノアック(株)製ウレタンフォームHSS−2000の所定坪量サンプル)及びフォーム材B(イノアック(株)製ポリオレフィンフォーム(溶出法)ST−15の所定坪量サンプル)を原料とした。フォーム材Aは、吸収体を構成する積層構造(二層構造)の上層の原料であり、フォーム材Bは、該積層構造の下層の原料である。尚、材付着の残存物・工程油剤等の影響を除くため、フォーム材A及びBの何れも、前記<液滴吸収時間の測定方法(親水性の耐久性の評価方法)>に記載の洗浄・乾燥処理に準じて洗浄・乾燥した後、以下の調製に供した。多孔体Aの調製は次のようにして行った。先ず、フォーム材A(坪量100g/m2)及びフォーム材B(坪量120g/m2)を、それぞれ長さ195mm×幅75mmにカットして重ね合わせた後、温度140℃、接圧15kg、1秒間の条件で、ピン直径1.5mmφ、ピン間ピッチ8mmのピン状部材によって、重ね合わせたフォーム材A及びBの全面に、均一に熱エンボスを施し圧縮一体化し、多孔体前駆体を得た。この前駆体を、別途調製した親水化剤水溶液(アルキルグリコシドの0.75質量%水溶液)中に全体が浸かるようにして十分な時間浸漬した。前記前駆体を水溶液から引き上げた後に絞って、該前駆体と略同重量の液が付着した状態とし、60℃で8時間電乾乾燥した。乾燥後の前記前駆体を、その排泄部対向領域対応位置で、縦方向Xの長さ80mm、横方向Yの長さ40mmの平面視矩形形状の領域に、1cm2正方形内に孔数が4個となるように、直径1.5mm貫通孔を穴あけポンチを用いて均一にトリム開孔した。こうして前記前駆体に貫通孔を形成したものを、多孔体Aとした。尚、アルキルグルリコシドとしては、花王(株)製マイドール10(有効成分40%)を使用した。
〔実施例2〕
吸収体として積層構造(二層構造)の下記多孔体Bを用いた以外は実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、実施例2のサンプルとした。
(多孔体Bの調製)
前記(多孔体Aの調製)において、以下に説明するように、フォーム材A(坪量100g/m2)及びフォーム材B(坪量120g/m2)を熱エンボス接合で圧縮一体化する代わりに、特定の条件でホットメルト接着剤で非圧縮一体化して多孔体前駆体を得、且つ該多孔体前駆体の非肌対向面側から親水化処理を実施した以外は前記(多孔体Aの調製)と同様にして多孔体Bを得た。フォーム材Aとフォーム材Bとの接着は、フォーム材Aの片面上にゴム系ホットメルト接着剤を坪量15g/m2になるように直接スパイラルスプレー塗布した後、その接着剤塗布面にフォーム材Bを貼り合せることにより行い、多孔体前駆体を得た。また、こうして得られた多孔体前駆体の親水化処理は、前記(多孔体Aの調製)で用いた親水化剤水溶液においてアルキルグリコシド濃度を7.5質量%に変更したものを、グラビアロールを用いて前記前駆体のフォーム材B面側の全面に、該親水化剤水溶液が多孔体前駆体質量の1/10質量分付着するように均一に塗布し、そのまま60℃で8時間電乾乾燥することにより行った。その他の処理は前記(多孔体Aの調製)と同様にした。
〔実施例3〕
実施例1において、裏面シート(透湿フィルム)のグラビア印刷(撥水加工)の印刷パターンを、線数(印刷密度)50lpi、印刷面積率40%の網点印刷とした以外は実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、実施例3のサンプルとした。尚、印刷網点設定に際してはレトラセットのスクリーントーンNo.54(エセルテ社)を採用した。
〔実施例4〕
実施例1において、裏面シート(透湿フィルム)のグラビア印刷(撥水加工)の印刷パターンとして、図4に示す印刷パターンの、抜きのある全面印刷を行った以外は実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、実施例4のサンプルとした。印刷網点設定に際しては元版としてJトーン「J65」(有限会社ジェイ社製)を参照し、線数(印刷密度)60lpi、印刷面積率70%の均一網点の印刷パターンを元に、印刷面の全域を、図4に示すように10mm×10mm四方の複数の領域100に区分し、各領域100における四隅のうちの一隅(図4に示す形態では左下隅)の4mm×4mm四方のエリアを非印刷エリア101として、この非印刷エリア101に網点(疎水性インク)が乗らないように版を新たに作製した。
〔比較例1〕
貫通孔が設けられていない以外は多孔体Aと同様の構成の多孔体を吸収体とし、それ以外は実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、比較例1のサンプルとした。
〔比較例2〕
裏面シートを構成する透湿フィルムのグラビア印刷(撥水加工)を、肌対向面ではなく、非肌対向面に施した以外は実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、比較例2のサンプルとした。
〔比較例3〕
フォーム材A(坪量150g/m2)のみを吸収体として用いた(即ち単層構造の吸収体を用いた)以外は実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、比較例3のサンプルとした。尚、このフォーム材Aのみからなる吸収体に対しては、前記(多孔体Aの調製)においてフォーム材Aとフォーム材Bとを圧縮一体化するのに用いた熱エンボスと同条件の熱エンボス圧縮処理を施した。
〔比較例4〕
実施例1において、吸収体を上下逆にした(即ちフォーム材Bを上層、フォーム材Aを下層とした)以外は実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、比較例4のサンプルとした。
〔比較例5〕
裏面シートとして、坪量20g/m2、透湿量(撥水加工前の透湿量)2.7g/(100cm2・hr)の多数の微細孔を有する単層の透湿フィルムを用いグラビア印刷(撥水加工)の印刷パターンを、線数27.5lpi、印刷面積率20%の網点印刷とした以外は実施例3と同様にして生理用ナプキンを作製し、比較例5のサンプルとした。尚、印刷網点設定に際しては元版としてレトラセットのスクリーントーンNo.12(エセルテ社)を採用した。
〔比較例6〕
裏面シートとして、坪量20g/m2、透湿量(撥水加工前の透湿量)0g/(100cm2・hr)の非透湿フィルム(ポリエチレン単層フィルム)を用いた以外は、裏面シートへの印刷パターンも含め実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、比較例6のサンプルとした。
〔比較例7〕
実施例1において、裏面シート(透湿フィルム)のグラビア印刷(撥水加工)の印刷パターンを、線数(印刷密度)60lpi、印刷面積率70%の網点印刷とした以外は実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、実施例7のサンプルとした。尚、印刷網点設定に際しては元版としてJトーン「J65」(有限会社ジェイ社製)を参照し、各点の膨張調整を行って印刷面積率70%に調整した。
〔評価〕
実施例及び比較例のサンプル(生理用ナプキン)について、吸収体における各層(上層、下層)のクレム吸水高さ、及び、裏面シートにおける排泄部対向領域に位置する部位の透湿量を、それぞれ、前記方法により評価した。また、各サンプルについて、液吸収時間、液残り量、裏面シート染み出し性、並びに使用感(肌対向面ドライ感、ムレ感、染み出し性)を、それぞれ下記方法により評価した。それらの結果を下記表1及び表2に示す。
<液吸収時間>
実施例及び比較例の各サンプルを広げて実験台に置き、該サンプルの上に、筒内径22mmφ、筒高さ50mmのアクリル製円筒部が10mmφの注液用開口部上に位置するよう一体成形されたアクリル製注液プレートを、その注液孔が該サンプルの肌対向面(表面シート側)における排泄部対向領域の中央に位置するように重ねて置き、適当な重り板を乗せて(注液プレート自身を含む)荷重が5g/m2となるよう調整する。日本バイオテスト(株)製馬脱繊維血を予め室温(23℃)で馴化させておき、10ccの注液ビーカーに6g測り取る。この血液を前記注液プレートの筒内に一気に注ぎ込み、注ぎ終わった瞬間から、筒内の血液が無くなってサンプルの表面シートが露出するまでの時間(秒)を計測する。各サンプルについて3回計測を行い、その平均値を当該サンプルの液吸収時間とする。液吸収時間が短いほど、液吸収速度が速いと判断され、高評価となる。
<液残り量>
前記液吸収時間の測定直後のサンプルから直ちに注液プレートを重りごと取り除き、各サンプルをそのまま1分間放置する。その後直ちにサンプルの液吸収部(前記液吸収時間の測定において液が注ぎ込まれた部分)に予め秤量済みの吸収紙(日本製紙クレシア製キムワイプS−200)3枚と、幅40mm×長さ70mm、重量300gの直方体の重りとを載せて30秒静置し、30秒後の吸収紙重量より、該吸収紙が吸い取った液量(g)を算出する。各サンプルについて3回計測を行い、その平均値を当該サンプルの液残り量とする。液残り量の値は、表面シートに残った馬血の量に対応し、値が小さいほど液残りが少なく、表面がさらっとしていて肌対向面のドライ感に優れることを示す。
<裏面シート染み出し性>
試験液を調製し、室温(23℃)に馴化させておく。試験液は、グリセリン30質量%、塩化ナトリウム0.9質量%及びイオン交換水約69.1質量%を完全に混合し、更に、染み出しが確認しやすいよう食用色素(青色1号)0.03質量%を混合して着色することにより調製した。各サンプルの下に、その排泄部対向領域が中心になるように、直径185mmのろ紙(No.2)1枚を配置し、前記液吸収時間の測定で用いた注液プレートを用いて、該測定と同様の加圧条件下、前記試験液5gを注入し、1分そのまま静置後、該プレート及び重りを外し、液吸収面にできるだけ重なるように長さ80mm×幅50mm、重量1kgの重りを静かに載せて1時間静置する。その後、前記ろ紙を取り外し、該ろ紙に青色が染み出していないか確認する。各サンプルについて5回評価を行い、染み出し回数0回を○、少量(青色の染み出し部分が直径5mm以下の点状)の染み出しが生じた場合は△、これら以外の場合は×と判定した。尚、△の場合には、染み出しが生じた回数を下記表2の括弧内に記した。
<使用感>
サンプルとして、実施例1及び2並びに比較例1〜5の生理用ナプキンを用い、非生理期間中の5人の女性モニターに、これらのサンプルを生理用ショーツ(花王(株)製の「ロリエアクティブガード:おでかけモード」)と共に着用してもらい、その際の各サンプルの使用感(肌対向面ドライ感、ムレ感、染み出し性)を下記評価基準に基づき評価してもらった。着用時間は、1つのサンプルにつき30分間とし、また、生理用ショーツは、各モニターに適切なサイズのものを用意し、サンプル毎に取り替えてもらった。着用するサンプルには、その着用直前に、前記裏面シート染み出し性と同様の条件で試験液を5g注入し、該サンプルを3分間静置した後で、着用に供した。ここで用いた試験液は、食用色素(青色1号)を用いずに透明な液とした以外は、前記裏面シート染み出し性で用いた試験液と同じである。
(使用感の評価基準)
1.肌対向面ドライ感
30分間着用後にサンプル(生理用ナプキン)に対して感じる「べたつきのなさ」を、肌対向面ドライ感の指標とし、「べたつかない」を1、「ややべたつかない」を2、「どちらとも言えない」を3、「ややべたつく」を4、「べたつく」を5として、各モニターの気持ちに最も近い数字を選択してもらい、各サンプルについて5人の平均値を求めた。この平均値が小さいほど、生理用ナプキンの肌対向面のドライ感が高いことを示す。
2.ムレ感
30分間着用後のサンプル(生理用ナプキン)に対して感じるムレ感について、「ムレない」を1、「ややムレない」を2、「どちらとも言えない」を3、「ややムレる」を4、「ムレる」を5として、各モニターの気持ちに最も近い数字を選択してもらい、各サンプルについて5人の平均値を求めた。この平均値が小さいほど、生理用ナプキンはムレ難く、ドライ感が高いことを示す。
3.染み出し性
前記1及び2の各評価終了後、サンプル(生理用ナプキン)を生理用ショーツから取り外し、該ショーツのクロッチ部を指で触ったときに、濡れ感がなければ○、濡れ感があれば×、やや湿り気を感じたが問題ないと判断した場合を△(問題ありと判断した場合は、湿り気の程度によらず×としてもらった)として、各モニターに判定してもらった。モニター全員の判定が○の場合のみを「○」、全モニターが出した複数の判定中に△が1つでもあれば「△」、全モニターが出した複数の判定中に×が1つでもあれば「×」とした。尚、△の場合には、湿り気感を感じたモニターの人数を下記表2の括弧内に記した。
Figure 0006159616
Figure 0006159616
表1及び表2に示す結果から明らかなように、各実施例は、液吸収時間が短く(液吸収速度が速く)、液残り量が少なくて肌対向面のドライ感に優れ、且つ裏面シートから液が染み出し難いものであり、また、モニターによる実使用に近い形態での使用感についての評価においても、良好な結果が得られた。これに対し、比較例1は、主として、吸収体に貫通孔が形成されていないため、特に、液吸収時間が長く且つ液残り量が多く、肌対向面のドライ感及びムレ感に劣る結果となった。また、比較例2は、主として、裏面シート(透湿フィルム)に対する撥水加工(疎水性インクによるグラビア印刷)が、肌対向面ではなく非肌対向面に施されているため、特に、裏面シートの染み出し性に劣る結果となった。また、比較例3は、主として、吸収体が単層構造であるため、また、比較例4は、主として、上層の方が下層よりもクレム吸水高さが高いため、何れも比較例1と同様に、特に肌対向面のドライ感及びムレ感に劣る結果となった。また、「排泄部対向領域の面積に対する疎水性インクの付着部(撥水部)の総面積の割合」(排泄部対向領域の面積に対する撥水加工が施された部分の総面積の割合)に関し、比較例5は、主として該割合が30%未満であるため、特に裏面シートの染み出し性に劣る結果となり、また、比較例7は、主として該割合が60%を超えるため、特に肌対向面のドライ感及びムレ感に劣る結果となった。また、比較例6は、裏面シートとして非透湿フィルムを用いたため、裏面シートにおける排泄部対向領域に位置する部位の透湿量がゼロとなり、それによって、特に肌対向面のドライ感及びムレ感に劣る結果となった。以上の結果から、液吸収速度が速く、液残り量が少なくて肌対向面のドライ感に優れ、且つ裏面シートから液が染み出し難い吸収性物品(生理用ナプキン)を得るためには、1)吸収体として、少なくとも排泄部対向領域に位置する部位に貫通孔が形成され且つ積層構造(上下二層構造)を有し且つ下層が上層に比してクレム吸水高さが高い、特定の吸収体を用い、且つ、2)裏面シートとして、透湿フィルムからなり且つ肌対向面に撥水加工(疎水性インクによるグラビア印刷)が施された、特定の裏面シートを用いることが有効であることが明らかである。
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート(透湿フィルム)
3a 裏面シートの肌対向面
3b 裏面シートの非肌対向面
30 撥水部
4 吸収体
5 上層
6 下層
7 貫通孔
8,9 粘着部
10 吸収性本体
11 ウイング部
P 排泄部対向領域
X 縦方向
Y 横方向

Claims (6)

  1. 肌対向面を形成する表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート及び両シート間に介在された吸収体を具備し、着用時に着用者の排泄部に対向配置される排泄部対向領域を有する吸収性物品であって、
    前記吸収体は、親水化処理された疎水性材料を含んで構成され、且つ該吸収体における前記排泄部対向領域に位置する部位に、該吸収体を厚み方向に貫通する貫通孔が複数形成されており、
    更に前記吸収体は、上層及び下層が厚み方向に積層されてなる二層構造の積層構造を有し、該積層構造において、前記裏面シートに最も近い下層は、前記表面シートに最も近い上層に比して、JIS P8141に準じて測定されたクレム吸水高さが高く、
    前記裏面シートは、多数の微細孔を有する透湿フィルムを含んで構成されており、該透湿フィルムの肌対向面における前記排泄部対向領域に位置する部位に撥水加工が施されて、撥水部が形成されており、
    前記撥水加工は、前記透湿フィルムの肌対向面における前記排泄部対向領域に位置する部位に、疎水性インクを部分的にドット状に付着させることによりなされており、
    前記排泄部対向領域の面積に対する前記撥水加工が施された部分の総面積の割合が、30%以上60%以下である吸収性物品。
  2. 肌対向面を形成する表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート及び両シート間に介在された吸収体を具備し、着用時に着用者の排泄部に対向配置される排泄部対向領域を有する吸収性物品であって、
    前記吸収体は、親水化処理された疎水性材料を含んで構成され、且つ該吸収体における前記排泄部対向領域に位置する部位に、該吸収体を厚み方向に貫通する貫通孔が複数形成されており、
    更に前記吸収体は、上層及び下層が厚み方向に積層されてなる二層構造の積層構造を有し、該積層構造において、前記裏面シートに最も近い該下層は、前記表面シートに最も近い該上層に比して、JIS P8141に準じて測定されたクレム吸水高さが高く、
    前記裏面シートは、多数の微細孔を有する透湿フィルムを含んで構成されており、該透湿フィルムの肌対向面における前記排泄部対向領域に位置する部位に撥水加工が施されて、複数の平面視円形状の撥水部の集合体が形成されており、該集合体における各該撥水部は、撥水加工が施されていない非撥水部によって包囲されており、
    前記排泄部対向領域の面積に対する前記撥水加工が施された部分の総面積の割合が、30%以上60%以下である吸収性物品。
  3. 前記撥水加工は、前記透湿フィルムの肌対向面における前記排泄部対向領域に位置する部位に、疎水性インクをグラビア印刷方式により塗布することによりなされており、前記撥水部は、該疎水性インクの付着部からなる請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記透湿フィルムの坪量が18g/m2以上であり、且つ該透湿フィルムにおける前記排泄部対向領域に位置する部位の透湿量が1.0g/(100cm2・hr)以上2.2g/(100cm2・hr)以下である請求項1〜3の何れか一項に記載の吸収性物品。
  5. 前記吸収体は、親水化処理された疎水性材料からなる親水性の多孔体を含む形態である請求項1〜の何れか一項に記載の吸収性物品。
  6. 前記上層と前記下層との坪量の比(上層の坪量/下層の坪量)は、1.3以上3以下である請求項1〜の何れか一項に記載の吸収性物品。
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