JP6157042B1 - 始動発電装置および始動発電方法 - Google Patents
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Abstract
本発明の一実施形態に係る始動発電装置は、永久磁石からなる界磁部と、第1多相巻線および第2多相巻線が並列に配設された電機子部とを有する始動発電機と、バッテリに接続される第1正側直流端子と、前記第1多相巻線に接続された複数の第1交流端子とを有し、直流および交流間で双方向に電力を変換する第1電力変換部と、前記第2多相巻線に接続された複数の第2交流端子を有し、前記第2交流端子を介して入出力する電流を制御する第2電力変換部と、前記第2多相巻線の出力電圧に基づき前記界磁部と前記電機子部との位置関係を検知し、検知した前記位置関係に応じて前記第1電力変換部と前記第2電力変換部とを制御する制御部とを備え、前記制御部が、前記第2交流端子を介して入出力する電流をオフした状態で、前記第1多相巻線における巻線の組および電圧印加の向きで決まる複数の通電パターンを順次選択して所定の線間電圧を印加したときに検出された前記第2多相巻線の相電圧の値と、異なる前記通電パターンで前記線間電圧を印加したときに検出された前記第2多相巻線の異なる複数の相の前記相電圧の比較結果とに基づき、前記始動発電機の停止時における前記位置関係を検知する。
Description
本発明は、始動発電装置および始動発電方法に関する。
従来から、車両、特に小型二輪車などにおいては、エンジン始動時にスタータモータとして働くと共にエンジン始動後は発電機として働くACG(ACジェネレータ)スタータモータでは、三相DCブラシレスモータが用いられている(特許文献1)。この三相DCブラシレスモータのエンジン始動時および発電時におけるロータの位置検出では、三相巻線の各相の巻線の各々に対応してホールセンサを設け、このホールセンサを用いてロータの位置検出を行っていた。
一方、ホールセンサを使用せずにロータの位置を検知する技術が開発されてきた(特許文献2)。特許文献2に記載されている制御装置では、ブラシレスモータが停止している場合、3相巻線のうちの2巻線に複数パターンの直流電圧を短時間印加して、ロータ位置に応じて変化する電流の立ち上がり特性を計測することでロータの停止位置を検知していた。
しかしながら、特許文献2に記載されている制御装置には、巻線に流れる電流を検出するための回路が必要である。電流検出回路は、一般に電圧検出回路に比べ、構成が複雑であったり、損失が大きくなってしまったりするという傾向がある。そのため、特許文献2に記載されている制御装置には、小型化が難しかったり、低価格化が難しかったりするという課題があった。
本発明は、上記の課題を解決することができる始動発電装置および始動発電方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の始動発電装置の一態様は、永久磁石からなる界磁部と、第1多相巻線および第2多相巻線が並列に配設された電機子部とを有する始動発電機と、バッテリに接続される第1正側直流端子と、前記第1多相巻線に接続された複数の第1交流端子とを有し、直流および交流間で双方向に電力を変換する第1電力変換部と、前記第2多相巻線に接続された複数の第2交流端子を有し、前記第2交流端子を介して入出力する電流を制御する第2電力変換部と、前記第2多相巻線の出力電圧に基づき前記界磁部と前記電機子部との位置関係を検知し、検知した前記位置関係に応じて前記第1電力変換部と前記第2電力変換部とを制御する制御部とを備え、前記制御部が、前記第2交流端子を介して入出力する電流をオフした状態で、前記第1多相巻線における巻線の組および電圧印加の向きで決まる複数の通電パターンを順次選択して所定の線間電圧を印加したときに検出された前記第2多相巻線の相電圧の値と、異なる前記通電パターンで前記線間電圧を印加したときに検出された前記第2多相巻線の異なる複数の相の前記相電圧の比較結果とに基づき、前記始動発電機の停止時における前記位置関係を検知する。
また、本発明の一態様は、上記の始動発電装置において、前記比較結果が、前記相電圧の絶対値の大きさを比較した結果である。
また、本発明の始動発電方法の一態様は、永久磁石からなる界磁部と、第1多相巻線および第2多相巻線が並列に配設された電機子部とを有する始動発電機と、バッテリに接続される第1正側直流端子と、前記第1多相巻線に接続された複数の第1交流端子とを有し、直流および交流間で双方向に電力を変換する第1電力変換部と、前記第2多相巻線に接続された複数の第2交流端子を有し、前記第2交流端子を介して入出力する電流を制御する第2電力変換部と、前記第2多相巻線の出力電圧に基づき前記界磁部と前記電機子部との位置関係を検知し、検知した前記位置関係に応じて前記第1電力変換部と前記第2電力変換部とを制御する制御部とを用い、前記制御部が、前記第2交流端子を介して入出力する電流をオフした状態で、前記第1多相巻線における巻線の組および電圧印加の向きで決まる複数の通電パターンを順次選択して所定の線間電圧を印加したときに検出された前記第2多相巻線の相電圧の値と、異なる前記通電パターンで前記線間電圧を印加したときに検出された前記第2多相巻線の異なる複数の相の前記相電圧の比較結果とに基づき、前記始動発電機の停止時における前記位置関係を検知する。
本発明によれば、第1多相巻線に複数の通電パターンで順次、線間電圧を印加したときに、第2多相巻線に発生する相電圧を検出することで、ロータの停止位置を判定することができる。これによれば電流検出を不要とすることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図において同一または対応する構成には同一の参照符号を用いている。図1は、本発明の実施形態の始動発電制御装置100の構成例を示したブロック図である。図1に示した始動発電制御装置100は、始動発電機(ACGスタータモータ)1と、第1電力変換部61と、第2電力変換部62と、制御部7とを備える。始動発電機1は、クランクシャフト3に直結されていて、エンジン2の回転に同期して回転する。第1電力変換部61、第2電力変換部62および制御部7は、バッテリ9の正極が接続されるとともに、接地されている。バッテリ9は、負極が接地された2次電池である。また、スタータスイッチ8の一端がバッテリ9の正極に接続され、スタータスイッチ8の他端が制御部7に接続されている。スタータスイッチ8は、ユーザがエンジン2を始動する際に操作するスイッチである。また、制御部7には、エンジン水温計5の出力が接続されている。
始動発電機1は、第1電力変換部61および第2電力変換部62の制御によって、スタータモータとして動作したり、発電機として動作したりする。始動発電機1は、巻線部ACG1と巻線部ACG2と図2に示す界磁部15とを備える。巻線部ACG1はスター結線された3相巻線(多相巻線)を構成する巻線U1、V1およびW1を備える。巻線部ACG2はスター結線された3相巻線を構成する巻線U2、V2およびW2を備える。中性点N1は巻線部ACG1を構成するスター結線の中性点である。中性点N2は巻線部ACG2を構成するスター結線の中性点である。巻線U1、V1およびW1と、巻線U2、V2およびW2とは、図示してない同一の電機子鉄心に巻かれていて、電気的に絶縁されている1組の電機子巻線である。なお、巻線部ACG1と巻線部ACG2と図示してない電機子鉄心とは電機子部を構成する。なお、巻線部ACG1と巻線部ACG2とはスター結線に限らず、デルタ結線で構成されていてもよい。
図2は、始動発電機1の巻線部ACG1、巻線部ACG2および界磁部15の構成例を軸方向から見て模式的に示した図である。ただし、図2では、巻線U1と巻線U2とのみを示している。図2に示した構成例では、始動発電機1は、界磁部15を複数組のN極の永久磁石15NおよびS極の永久磁石15Sから構成したアウターロータ型のブラシレスモータである。なお、以下では界磁部15をロータとも称する。巻線U1は、図示してない電機子鉄心に対して120度おきに配設された3個の巻線U1−1、U1−2およびU1−3から構成されている。巻線U1の3個の巻線U1−1、U1−2およびU1−3は各一端を中性点N1に共通に接続し、各他端を巻線U1の入出力端子に共通に接続している。巻線U2は、図示してない電機子鉄心に対して120度おきかつ巻線U1−1、U1−2およびU1−3に対して60度ずれて配設された3個の巻線U2−1、U2−2およびU2−3から構成されている。巻線U2の3個の巻線U2−1、U2−2およびU2−3は各一端を中性点N2に共通に接続し、各他端を巻線U2の入出力端子に共通に接続している。なお、以下の説明において、回路の接続先として巻線U1または巻線U2という呼称を用いた場合、中性点N1または中性点N2とは逆の端子である巻線U1の入出力端子または巻線U2の入出力端子を指し示す。巻線V1、巻線W1、巻線V2、および巻線W2についても同様とする。また、巻線U1、巻線U2、巻線V1、巻線W1、巻線V2、巻線W2、中性点N1および中性点N2を、単に符号U1、U2、V1、W1、V2、W2、N1およびN2で表す場合もある。
なお、図1において、エンジン2は例えば小型二輪車に搭載された発動機である。クランクシャフト3は、エンジン2の構成部品であり、エンジン2が備える図示していないピストンの往復運動を回転運動に変換する軸である。エンジン水温計5は、エンジン2の冷却水の温度を検知するセンサである。
次に、図3を参照して、図1に示した第1電力変換部61、第2電力変換部62および制御部7の内部構成の一例について説明する。図3に示したように、第1電力変換部61は、6個のnチャネルMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ、以下、MOSFETと記す(スイッチ素子))(Q1)〜(Q6)を備え、3相ブリッジ直交変換回路(多相ブリッジ回路)を構成する。第1電力変換部61は、直流入出力線の正側(ハイサイド)直流端子614(第1正側直流端子)をバッテリ9の正極に、負側(ローサイド)直流端子615をバッテリ9の負極に接続している。第1電力変換部61は、バッテリ9と巻線部ACG1との間、またはバッテリ9と巻線部ACG1および巻線部ACG2との間で、交流および直流間の双方向の電力変換を行う。また、第1電力変換部61の各交流端子(第1交流端子)611、612および613には、巻線部ACG1の各巻線U1、V1およびW1が接続されている。
第2電力変換部62は、3個の交流端子(第2交流端子)621、622および623と、3個のMOSFET(Q7)、(Q8)および(Q9)とを備える。交流端子621は、巻線部ACG2の巻線U2とMOSFET(Q7)のドレインとに接続されている。交流端子622は、巻線部ACG2の巻線V2とMOSFET(Q8)のドレインとに接続されている。交流端子623は、巻線部ACG2の巻線W2とMOSFET(Q9)のドレインとに接続されている。MOSFET(Q7)のソースは、第1電力変換部61の交流端子611に接続されている。MOSFET(Q8)のソースは、第1電力変換部61の交流端子612に接続されている。MOSFET(Q9)のソースは、第1電力変換部61の交流端子613に接続されている。第2電力変換部62は、MOSFET(Q7)、(Q8)および(Q9)をオンまたはオフすることで、交流端子621、622および623を介して入出力する電流を制御する。この場合、第2電力変換部62は、MOSFET(Q7)、(Q8)および(Q9)をオンまたはオフすることで、巻線部ACG2の各巻線U2、V2およびW2をそれぞれ第1電力変換部61の各交流端子611、612および613に接続したり、分離したりする。
また、この場合、3個のMOSFET(Q7)、(Q8)および(Q9)は、巻線部ACG1の各巻線U1、V1およびW1が接続されている第1電力変換部61の各交流端子611、612および613と、巻線部ACG2の各巻線U2、V2およびW2との間に介挿されている。そして、3個のMOSFET(Q7)、(Q8)および(Q9)は、巻線部ACG2の各巻線U2、V2およびW2を、オンすることで各交流端子611、612および613に対して接続したり、オフすることで各交流端子611、612および613から分離したりする。
また、各MOSFET(Q7)、(Q8)および(Q9)は、ドレイン・ソース間に寄生ダイオードD7、D8およびD9が形成されている(なお、他のMOSFETについては寄生ダイオードは不図示)。寄生ダイオードD7、D8およびD9の向きは、各交流端子611、612および613に対して同一であり、この場合、アノードが各交流端子611、612および613に接続されている。また、カソードは、巻線部ACG2の各巻線U2、V2およびW2に接続されている。このように寄生ダイオードD7、D8およびD9の向きをそろえることで、各MOSFET(Q7)、(Q8)および(Q9)をオフした場合に、モータ動作における第1電力変換部61を介したバッテリ9から巻線部ACG2への電流の流れ込みおよび発電動作における第1電力変換部61を介した巻線部ACG2からバッテリ9への電流の流れ出しを遮断することができる。なお、寄生ダイオードD7、D8およびD9の向き(すなわちMOSFET(Q7)、(Q8)および(Q9)のドレインおよびソースの向き)は、図示したものと逆向きであってもよい。
制御部7は、MOSFETゲートドライブ回路71と、CPU(中央処理装置)72と、検出・判定回路部73と、抵抗76−1〜76−4とを備える。なお、制御部7は、他に、センサやアクチュエータ等との間の入出力を接続することで、エンジン2の点火制御等を行うこともできる。検出・判定回路部73は、ゼロクロス検出回路74と、ロータ位置判定回路75とを備える。
抵抗76−1は一端を巻線U2に接続し、他端を接地する。抵抗76−2は一端を巻線V2に接続し、他端を接地する。抵抗76−3は一端を巻線W2に接続し、他端を接地する。そして、抵抗76−4は一端を中性点N2に接続し、他端を接地する。抵抗76−1〜76−4の端子電圧が、検出・判定回路部73へ入力される。
ゼロクロス検出回路74は、巻線U2、V2およびW2で発生した誘起電圧のゼロクロス点を検出する。ゼロクロス検出回路74は、ゼロクロス点を検出した場合に、ロータ位置が予め定めたどのステージにあるのかを示す信号であるステージ信号を生成してCPU72に対して出力する。
ロータ位置判定回路75は、始動発電機1の停止時に、次のようにしてロータの位置が予め定めたどのステージにあるのかを判定し、判定結果をCPU72へ出力する。ここで、始動発電機1の停止時とは、エンジン2の停止時を意味する。また、ロータの位置とは、界磁部15と、巻線部ACG1および巻線部ACG1との間の相対的な位置関係を意味する。ロータ位置判定回路75によるステージの判定は、第2電力変換部62によって、巻線部ACG2を電気的に開放した状態で行われる。ロータ位置判定回路75は、第1電力変換部61を使って巻線部ACG1に予め決められた通電パターンに従ってモータが動かない程度の短パルスを順次通電した場合に、もう一方の巻線部ACG2に誘起される電圧情報(大きさ、極性やパルス幅)をもって、ロータステージを判定する。
CPU72は、ゼロクロス検出回路74の出力、ロータ位置判定回路75の出力等に基づいて、MOSFET(Q1)〜(Q9)をオンまたはオフするための制御信号を生成してMOSFETゲートドライブ回路71へ出力する。
MOSFETゲートドライブ回路71は、CPU72から入力した制御信号に応じて、MOSFET(Q1)〜(Q9)の各ゲート信号を生成し、MOSFET(Q1)〜(Q9)の各ゲートに供給する。
次に、図4〜図25を参照して、図1〜図3を参照して説明した始動発電制御装置100の動作例について説明する。まず、図4〜図23を参照して、始動発電機1をエンジン2の始動を行うスタータモータとして動作させる場合について説明する。次に、図24および図25を参照して、始動発電機1を発電機として動作させる場合について説明する。
図4は、図1に示した始動発電制御装置100におけるスタータモータ始動制御の一例を示したフローチャートである。エンジン2が停止している状態で図示していないイグニションスイッチがユーザによってオンされた場合、制御部7に対してバッテリ9から電力が供給され、CPU72が所定の初期処理を行った後、図4に示した処理を開始する。まず、CPU72は、スタータスイッチ8がオンされるまで待機する(ステップS11で「N」の繰り返し)。ユーザがスタータスイッチ8をオンすると、CPU72はステージ判別処理を実行する(ステップS11で「Y」からステップS12)。
ステップS12において、CPU72は、まず、第2電力変換部62のMOSFET(Q7)〜(Q9)をオフし、巻線部ACG1と巻線部ACG2とを電気的に分離する。次に、CPU72は、第1電力変換部61のMOSFET(Q1)〜(Q6)をオンまたはオフに制御することで、巻線部ACG1に予め決められた複数の通電パターンに従ってモータが動かない程度の短パルスを順次通電する。一方、ロータ位置判定回路75は、巻線部ACG2に誘起される電圧を複数の通電パターン間で比較することで、ロータステージを判定する。
ここで、図5〜図22を参照して、ステップS12におけるステージ判別処理の一例について説明する。図5は、始動発電機1における界磁部15と、電機子鉄心16と巻線部ACG1と巻線部ACG2とからなる電機子部161との構成例を示す模式図である。この場合、巻線部ACG1を構成する巻線U1、V1およびW1は、それぞれ、巻線U1−1〜U1−3、巻線V1−1〜V1−3および巻線W1−1〜W1−3から構成されている。巻線部ACG2を構成する巻線U2、V2およびW2は、それぞれ、巻線U2−1〜U2−3、巻線V2−1〜V2−3および巻線W2−1〜W2−3から構成されている。図5に示した構成例では、界磁部15の極数が12である。界磁部15は、各極が交互に配設されたN極の永久磁石15N−1、3、5、7、9および11と、S極の永久磁石15S−2、4、6、8、10および12とから構成されている(なお以下では永久磁石を単に磁石ともいう)。電機子鉄心16のスロット数は18であり、各スロットには、巻線U1−1〜U1−3、巻線V1−1〜V1−3または巻線W1−1〜W1−3のうちの1つと、巻線U2−1〜U2−3、巻線V2−1〜V2−3または巻線W2−1〜W2−3のうちの1つとが交互に巻回されている。
図6は、図5に示した界磁部15と電機子部161との組み合わせにおける6ステージのロータ位置を模式的に示している。各ステージは電気角が60°毎異なる。
図7は、通電パターンと誘起電圧とステージ判定結果との対応関係を示す。通電パターン「U1⇒V1」は、MOSFET(Q7)〜(Q9)をオフした状態で、MOSFET(Q1)とMOSFET(Q5)とをオンし、巻線U1から巻線V1へ通電するパターンである。以下の通電パターンにおいて、MOSFET(Q7)〜(Q9)はすべてオフである。通電パターン「V1⇒U1」は、MOSFET(Q2)とMOSFET(Q4)とをオンし、巻線V1から巻線U1へ通電するパターンである。通電パターン「V1⇒W1」は、MOSFET(Q2)とMOSFET(Q6)とをオンし、巻線V1から巻線W1へ通電するパターンである。通電パターン「W1⇒V1」は、MOSFET(Q3)とMOSFET(Q5)とをオンし、巻線W1から巻線V1へ通電するパターンである。通電パターン「W1⇒U1」は、MOSFET(Q3)とMOSFET(Q4)とをオンし、巻線W1から巻線U1へ通電するパターンである。そして、通電パターン「U1⇒W1」は、MOSFET(Q1)とMOSFET(Q6)とをオンし、巻線U1から巻線W1へ通電するパターンである。
誘起電圧「W2−N2」は中性点N2を基準とした巻線W2の電圧である。誘起電圧「U2−N2」は中性点N2を基準とした巻線U2の電圧である。そして、誘起電圧「V2−N2」は中性点N2を基準とした巻線V2の電圧である。ステップS12において、ロータ位置判定回路75は、通電パターン「U1⇒V1」時と通電パターン「V1⇒U1」時とに電圧「W2−N2」を、通電パターン「V1⇒W1」時と通電パターン「W1⇒V1」時とに電圧「U2−N2」を、そして、通電パターン「W1⇒U1」時と通電パターン「U1⇒W1」時とに電圧「V2−N2」を、順次計測する。そして、ロータ位置判定回路75は、各通電パターンにおける誘起電圧の計測結果に基づいてステージを判定する。
上述したように、ロータ位置判定回路75は、巻線部ACG1と巻線部ACG2とのうち巻線部ACG1をパルス通電することで、他方の巻線部ACG2に誘起される電圧の大きさと極性とによってステージを判別する。その際、ロータ位置判定回路75は、例えば、誘起電圧と所定の正および負の基準電圧+Vrefおよび−Vrefとの比較結果に基づいてステージを判定することができる。図7の例では、例えばステージ1を判別するために、「U1⇒V1」を通電して「W2−N2>+Vref」ならば「U1⇒W1」を通電し、「V2−N2>+Vref」ならばステージ4を確定することができる。
しかしながら、図7に示した誘起電圧はロータ位置が各ステージの中心付近にある場合の大きさを模式的に示したものである。したがって、特定のロータ位置では、誘起電圧が正または負の基準電圧+Vrefまたは−Vrefを超えられない場合がある。すなわち、図7に「ステージ境界」と示した2つの異なるステージの境界付近における誘起電圧は、極性が反転するため境界前後で急激に誘起電圧が減少し、基準電圧+Vrefまたは−Vrefを超えられなくなる。例えばステージ3とステージ4との境界付近にあると「U1⇒W1」の通電で「V2−N2」に電圧は誘起されない場合がある。よってステージ境界付近にロータが位置するとステージ判別が確定できない可能性がある。同じようにロータがステージ4とステージ5との境界位置にある場合は「U1⇒V1」の通電では「W2−N2」に電圧が誘起されずにステージ判別が出来ないときがある。
なお、ロータが境界付近、例えばステージ4とステージ3との境界にあった場合、「U1⇒V1」通電で「W2−N2」に電圧が誘起され、「V1⇒W1」通電で「U2−N2」に誘起される。したがって、例えば基準電圧Vrefの大きさをより小さくすることで、例えばステージ1とステージ3間の境界付近にロータが位置していることは判別することができる。しかしながら、ステージ1なのかステージ3なのかのどちらなのかは判別出来ない。そこで、本実施形態では、ロータ位置判定回路75が、誘起電圧を計測することでステージ境界付近にロータが位置していることを検知した場合、異なる1組の誘起電圧の大きさやパルス幅を比較することで境界中央なのかあるいはどちらのステージなのかを判定することとした。
図8に、図5に示した界磁部15と電機子部161との組み合わせにおけるステージ3からステージ4までのロータ位置を模式的に示した。図8は、ステージ3の始まり時のロータ位置と、ステージ3とステージ4との境界(すなわちステージ3終了またはステージ4始まり)時のロータ位置と、ステージ4の終了時のロータ位置とを並べて示している。
次に、図9を参照して、図8に示したステージ3とステージ4との境界時のロータ位置において巻線V2−中性点N2間に発生する誘起電圧について詳細に説明する。図9ならびに後述する図10〜図13および図15〜図18は、巻線部ACG1にパルス通電する前の磁力線を白抜きの矢線で示し、通電時の磁力線を黒矢線で示している。また、各図では磁力線の本数の違いを模式的に表すため、1本の磁力線を太線の矢線を用いて示し、0.5本の磁力線を細線の矢線を用いて示している。図9に示したように、通電前は、ロータ位置がステージ境界上にあると、巻線V2−1が巻かれた電機子鉄心16(以下、巻線V2−1が巻かれた電機子鉄心16の歯の部分を巻線V2−1の磁極と呼ぶ(他の巻線についても同様とする))がS極の磁石15S−2とN極の磁石15N−3との中央に位置するため磁極を貫通する磁力線が存在しない。一方、「U1→N1→W1」と通電すると巻線U1−1の磁極は磁石15−S2と対向する磁極がN極に、巻線W1−1の磁極は磁石15−N3と対向する磁極がS極に磁化される。巻線V2−1の磁極は巻線U1−1および巻線W1−1からの磁力線が互いに反対向きとなるため巻線V2−1の磁極に巻線U1−1または巻線W1−1からの磁力線が貫通することがない。よってステージ境界上に位置した巻線V2−1の磁極は通電前後において磁力線の変化がない為、巻線V2と中性点N2間には誘起電圧が発生しない。以上のように、ステージ境界の中央に位置した場合、誘起電圧が全く発生しないことがあるためステージ判定を行うことが出来ない場合がある。
次に図10を参照して、ロータ位置が、ステージ3およびステージ4の境界中央に対しステージ3側によっている場合に巻線U2−中性点N2間に発生する誘起電圧について説明する。この場合、通電前の磁束は白抜きの矢印で示した分布である。そして、「V1→N1→W1」と通電すると巻線W1−1の磁極がS極に磁化され磁力線は通電前に比べて2本増加する。巻線U2−1の磁極を貫通する磁力線は巻線W1−1からの磁力線により1本増加するため中性点N2から巻線U2−1に向かう方向に網掛けした矢印で示した誘起電圧を生じる。
次に図11を参照して、ロータ位置が、ステージ3およびステージ4の境界中央の場合に巻線U2−中性点N2間に発生する誘起電圧について説明する。この場合、通電前の磁束は白抜きの矢印で示した分布である。そして、「V1→N1→W1」と通電すると巻線W1−1の磁極がS極に磁化され磁力線は1本増加する。巻線U2−1の磁極を貫通する磁力線は巻線W1−1からの磁力線により1本増加するため中性点N2から巻線U2−1に向かう方向に網掛けした矢印で示した誘起電圧を生じる。
次に図12を参照して、ロータ位置が、ステージ3およびステージ4の境界中央に対しステージ4側に少しよっている場合に巻線U2−中性点N2間に発生する誘起電圧について説明する。この場合、通電前は、白抜きの矢印で示した磁束分布であり、図11と比較して、巻線U2−1の磁極は磁石15−S4の中央に近づくため磁力線が0.5本増加し、巻線V1−1の磁極は磁石15−N5によりS極に磁化される。そして、「V1→N1→W1」と通電すると巻線W1−1の磁極はS極に磁化され磁力線が1本増加する。巻線V1−1の磁極はN極に磁化されるため減磁され磁力線が減少する。従って巻線W1−1で発生した磁力線は全て巻線U2−1の磁極を通過することになる。このため巻線U2−1の磁極における通電前後において磁力線数の変化は0.5本となり、巻線U2に誘起される電圧は境界中央にある場合より小さくなる。
次に図13を参照して、ロータ位置が、ステージ3およびステージ4の境界中央に対しステージ4側によっている場合に巻線U2−中性点N2間に発生する誘起電圧について説明する。この場合、通電前の磁束は白抜きの矢印で示した分布である。図12と比較して、巻線U2−1の磁極は磁石15S−4の中央に近づくため磁力線が増加し、巻線V1−1の磁極は磁石15N−5によりS極に磁化される。そして、「V1→N1→W1」と通電すると巻線W1−1の磁極はS極に磁化され磁力線が1本増加する。巻線V1−1の磁極はN極に磁化されるため減磁され磁力線が減少する。従って巻線W1−1で発生した磁力線は全て巻線U2−1の磁極を通過することになる。このため巻線U2−1の磁極に通電前後において磁力線数の変化が殆ど生じないため巻線U2に誘起電圧が生じない。
次に図14を参照してステージ境界付近で「U2−N2」間に発生する誘起電圧の波形の変化について説明する。図14は横軸を時間、縦軸を電圧として、巻線U2と中性点N2との間に発生する誘起電圧の波形を模式的に示している。図14(a)はロータ位置がステージ3にある場合、図14(b)はロータ位置がステージ3およびステージ4の境界中央にある場合、そして、図14(c)はロータ位置がステージ3およびステージ4の境界からステージ4方向へ遠ざかった場合の誘起電圧の波形である。ステージ3およびステージ4の境界からステージ4方向へ遠ざかるに従い誘起電圧の大きさ(例えば、波高値、絶対値の平均値、実効値など)とパルス幅とは減少する。
次に図15を参照して、ロータ位置が、ステージ3およびステージ4の境界中央に対しステージ4側によっている場合に巻線W2−中性点N2間に発生する誘起電圧について説明する。この場合、通電前の磁束は白抜きの矢印で示した分布である。そして、「U1→N1→V1」と通電すると巻線U1−2の磁極はN極に磁化され磁力線は2本増加する。巻線W2−1の磁極を貫通する磁力線は巻線U1−2からの磁力線により1本増加するため巻線W2から中性点N2に向かう方向に網掛けした矢印で示した誘起電圧を生じる。
次に図16を参照して、ロータ位置が、ステージ3およびステージ4の境界中央にある場合に巻線W2−中性点N2間に発生する誘起電圧について説明する。この場合、通電前の磁束は白抜きの矢印で示した分布である。そして、「U1→N1→V1」と通電すると巻線U1−2の磁極がN極に磁化され磁力線は1本増加する。巻線W2−1の磁極を貫通する磁力線は巻線U1−2からの磁力線により1本増加するため巻線W2から中性点N2に向かう方向に網掛けした矢印で示した誘起電圧を生じる。
次に図17を参照して、ロータ位置が、ステージ3およびステージ4の境界中央に対しステージ3側に少しよっている場合に巻線W2−中性点N2間に発生する誘起電圧について説明する。この場合、通電前の磁束は白抜きの矢印で示した分布である。図16と比較して、巻線W2−1の磁極は磁石15N−5の中央に近づくため磁力線が0.5本増加し、巻線V1−1の磁極は磁石15S−4によりN極に磁化される。そして、「U1→N1→V1」と通電するとU1−2の磁極はN極に磁化され磁力線が1本増加する。巻線V1−1の磁極はS極に磁化されるため減磁され磁力線が減少する。従って巻線U1−2で発生した磁力線は全て巻線W2−1の磁極を通過することになる。このため巻線W2−1の磁極に通電前後において磁力線数の変化は0.5本となり、巻線W2に誘起される電圧は境界中央にある場合より小さくなる。
次に図18を参照して、ロータ位置が、ステージ3およびステージ4の境界中央に対しステージ3側によっている場合に巻線W2−中性点N2間に発生する誘起電圧について説明する。この場合、通電前の磁束は白抜きの矢印で示した分布である。図17と比較して、巻線W2−1の磁極は磁石15N−5の中央に近づくため磁力線が増加し、巻線V1−1の磁極は磁石15S−4によりN極に磁化される。そして、「U1→N1→V1」と通電すると巻線U1−2の磁極はN極に磁化され磁力線が1本増加する。巻線V1−1の磁極はS極に磁化されるため減磁され磁力線が減少する。従って巻線U1で発生した磁力線は全て巻線W2−1の磁極を通過することになる。このため巻線W2−1の磁極に通電前後において磁力線数の変化が殆ど生じないため巻線W2に誘起電圧が生じない。
次に図19を参照してステージ境界付近で「W2−N2」間に発生する誘起電圧の波形の変化について説明する。図19は横軸を時間、縦軸を電圧として、巻線W2と中性点N2との間に発生する誘起電圧の波形を模式的に示している。図19(a)はロータ位置がステージ4にある場合、図19(b)はロータ位置がステージ3およびステージ4の境界中央にある場合、そして、図19(c)はロータ位置がステージ3およびステージ4の境界からステージ3方向へ遠ざかった場合の誘起電圧の波形である。ステージ3およびステージ4の境界からステージ3方向へ遠ざかるに従い従い誘起電圧の大きさ(例えば、波高値、絶対値の平均値、実効値など)やパルス幅は減少する。
次に、図20から図22を参照して、図4のステップS12におけるステージ判別処理のフローについて説明する。ステージ判定処理においてロータ位置判定回路75は、まず、U1からV1へ通電する(図20:ステージ判別1のステップS101)。次に、ロータ位置判定回路75は、U1からV1への通電時に計測した電圧W2−N2と正の基準電圧+Vrefとを比較する(ステップS102)。電圧W2−N2が+Vrefより大きくない場合(ステップS102:N)、ロータ位置判定回路75は、電圧W2−N2と負の基準電圧−Vrefとを比較する(ステップS103)。電圧W2−N2が−Vrefより小さくない場合(ステップS103:N)、ロータ位置判定回路75は、図21に示したステージ判別2へ処理を進める(ステップS104)。
一方、電圧W2−N2が−Vrefより小さい場合(ステップS103:Y)、ロータ位置判定回路75は、W1からU1へ通電する(ステップS105)。続いて、ロータ位置判定回路75は、W1からU1への通電時に計測した電圧V2−N2と正の基準電圧+Vrefとを比較する(ステップS106)。電圧V2−N2が+Vrefより大きくない場合(ステップS106:N)、ロータ位置判定回路75は、位置関係(ロータ位置)がステージ5であると確定し(ステップS111)、処理を終了する(ステップS110)。一方、電圧V2−N2が+Vrefより大きい場合(ステップS106:Y)、ロータ位置判定回路75は、ステップS101でU1からV1への通電時に計測した電圧W2−N2の絶対値と、ステップS105でW1からU1への通電時に計測した電圧V2−N2の絶対値とを比較する(ステップS107)。ただし、図20に示したフローでは、ステップS107で比較される電圧V2−N2の正負の符号は、ステップS106の判定で正であることが確定しているので、ステップS107の判定処理では電圧W2−N2の絶対値と電圧V2−N2とを比較する。電圧W2−N2の絶対値が電圧V2−N2の絶対値以上である場合(ステップS107:Y)、ロータ位置判定回路75は、位置関係がステージ5であると確定し(ステップS108)、処理を終了する(ステップS110)。他方、電圧W2−N2の絶対値が電圧V2−N2の絶対値以上でない場合(ステップS107:N)、ロータ位置判定回路75は、位置関係がステージ6であると確定し(ステップS109)、処理を終了する(ステップS110)。
一方、ステップS102において、電圧W2−N2が+Vrefより大きい場合(ステップS102:Y)、ロータ位置判定回路75は、V1からW1へ通電する(ステップS112)。続いて、ロータ位置判定回路75は、V1からW1への通電時に計測した電圧U2−N2と負の基準電圧−Vrefとを比較する(ステップS113)。電圧V2−N2が−Vrefより小さくない場合(ステップS113:N)、ロータ位置判定回路75は、位置関係がステージ4であると確定し(ステップS114)、処理を終了する(ステップS110)。一方、電圧U2−N2が−Vrefより小さい場合(ステップS113:Y)、ロータ位置判定回路75は、ステップS101でU1からV1への通電時に計測した電圧W2−N2の絶対値と、ステップS112でV1からW1への通電時に計測した電圧U2−N2の絶対値とを比較する(ステップS115)。ただし、図20に示したフローでは、ステップS115で比較される電圧W2−N2の正負の符号は、ステップS102の判定で正であることが確定しているので、ステップS115の判定処理では電圧U2−N2の絶対値と電圧W2−N2とを比較している。電圧W2−N2の絶対値が電圧U2−N2の絶対値以上である場合(ステップS115:Y)、ロータ位置判定回路75は、位置関係がステージ4であると確定し(ステップS116)、処理を終了する(ステップS110)。他方、電圧W2−N2の絶対値が電圧U2−N2の絶対値以上でない場合(ステップS116:N)、ロータ位置判定回路75は、位置関係がステージ3であると確定し(ステップS117)、処理を終了する(ステップS110)。
ここで図20に示したステージ判別1の処理の概要をまとめると次のようになる。すなわち、「U1⇒V1」の通電にて「W2−N2」に電圧が誘起されればその極性と大きさから分岐する。「W2−N2」に誘起された電圧が「+」極性ならば、さらに「V1⇒W1」通電する。そして、「U2−N2」の電圧が、−Vrefより小さければステージ4が確定する。他方、「U2−N2」の電圧が、−Vrefより小さくなければ、「W2−N2」と絶対値比較して、「U2−N2」の電圧が大きくなければステージ4が確定し、大きければステージ3が確定する。また、「W2−N2」の極性が「−」で、−Vrefより小さければ、さらに「W1⇒U1」通電にて「V2−N2」の電圧が+Vref以下ならばステージ5が確定する。他方、「V2−N2」の電圧が、+Vrefより大きければ、「W2−N2」と絶対値比較し、「V2−N2」の電圧が大きければステージ6が確定し、大きくなければステージ5が確定する。また、「U1⇒V1」の通電にて「W2−N2」に電圧が誘起されなければステージ判別2を実行する。
一方、図21に示したステージ判別2では、ロータ位置判定回路75は、まず、U1からW1へ通電する(ステップS201)。次に、ロータ位置判定回路75は、U1からV1への通電時に計測した電圧V2−N2と正の基準電圧+Vrefとを比較する(ステップS202)。電圧V2−N2が+Vrefより大きくない場合(ステップS202:N)、ロータ位置判定回路75は、電圧V2−N2と負の基準電圧−Vrefとを比較する(ステップS203)。電圧V2−N2が−Vrefより小さくない場合(ステップS203:N)、ロータ位置判定回路75は、図22に示したステージ判別3へ処理を進める(ステップS204)。他方、電圧V2−N2が−Vrefより小さい場合(ステップS203:Y)、ロータ位置判定回路75は、位置関係がステージ3であると確定し(ステップS205)、処理を終了する(ステップS206)。
一方、ステップS202において、電圧V2−N2が+Vrefより大きい場合(ステップS202:Y)、ロータ位置判定回路75は、W1からV1へ通電する(ステップS207)。続いて、ロータ位置判定回路75は、ステップS201でU1からW1への通電時に計測した電圧V2−N2の絶対値と、ステップS207でW1からV1への通電時に計測した電圧U2−N2の絶対値とを比較する(ステップS208)。ただし、図21に示したフローでは、ステップS208で比較される電圧W2−N2の正負の符号は、ステップS202の判定で正であることが確定しているので、ステップS208の判定処理では電圧U2−N2の絶対値と電圧V2−N2とを比較している。電圧V2−N2の絶対値が電圧U2−N2の絶対値以上である場合(ステップS208:Y)、ロータ位置判定回路75は、位置関係がステージ5であると確定し(ステップS210)、処理を終了する(ステップS206)。他方、電圧V2−N2の絶対値が電圧U2−N2の絶対値以上でない場合(ステップS208:N)、ロータ位置判定回路75は、位置関係がステージ4であると確定し(ステップS209)、処理を終了する(ステップS206)。
ここで図21に示したステージ判別2の処理の概要をまとめると次のようになる。なお、ステージ判別2の処理が前提とする事項は次のとおりである。すなわち、「U1⇒V1」の通電にて「W2−N2」に誘起電圧が発生しなければ以下のことが判明する。すなわち、ロータ位置は、ステージ4とステージ5との境界上にある可能性がある。また、ロータ位置は、ステージ3とステージ4との境界上またはステージ5とステージ6との境界上にはない。上記を考慮し、ステージ判別2では、「U1⇒W1」に通電し「V2−N2」の誘起電圧を調べることで以下のことが分かる。
誘起電圧の発生があれば、ロータ位置は、誘起電圧が+極性の電圧ならばステージ4からステージ5上にあり、−極性の電圧ならばステージ3上にある。誘起電圧が発生しなければ、ロータ位置は、ステージ4とステージ5との境界上にはない。あるいは、ロータ位置は、ステージ2とステージ3との境界上にはない。あるいは、ロータ位置は、残る可能性として、ステージ1、2、6か、ステージ1とステージ2との境界、ステージ6とステージ1との境界上のどれかに絞り込まれる。この可能性については、ステージ判別3の処理で判定する。
一方、図22に示したステージ判別3では、ロータ位置判定回路75は、まず、V1からU1へ通電する(ステップ301)。次に、ロータ位置判定回路75は、V1からU1への通電時に計測した電圧W2−N2と正の基準電圧+Vrefとを比較する(ステップS302)。電圧W2−N2が+Vrefより大きい場合(ステップS302:Y)、ロータ位置判定回路75は、位置関係がステージ2であると確定し(ステップS303)、処理を終了する(ステップS304)。
他方、電圧W2−N2が+Vrefより大きくない場合(ステップS302:N)、ロータ位置判定回路75は、電圧W2−N2と負の基準電圧−Vrefとを比較する(ステップS305)。電圧W2−N2が−Vrefより小さくない場合(ステップS305:N)、ロータ位置判定回路75は、W1からV1へ通電する(ステップS306)。続いて、ロータ位置判定回路75は、ステップS301でV1からU1への通電時に計測した電圧W2−N2の絶対値と、ステップS306でW1からV1への通電時に計測した電圧U2−N2の絶対値とを比較する(ステップS307)。ここで、ステップS301の判定処理は、位置関係がステージ1とステージ6との境界付近にある場合に、位置関係がステージ1またはステージ6のどちらなのかを判定する処理である。また、ステージ1とステージ6との境界付近では、図7に示したように、W1からV1への通電時の電圧U2−N2は正であり、V1からU1への通電時の電圧W2−N2は負である。そこで、ステップS301の判定処理では電圧W2−N2の絶対値と電圧U2−N2とを比較する。電圧U2−N2の絶対値が電圧W2−N2の絶対値以上でない場合(ステップS307:N)、ロータ位置判定回路75は、位置関係がステージ1であると確定し(ステップS308)、処理を終了する(ステップS304)。他方、電圧W2−N2の絶対値が電圧V2−N2の絶対値以上である場合(ステップS307:Y)、ロータ位置判定回路75は、位置関係がステージ6であると確定し(ステップS309)、処理を終了する(ステップS304)。
一方、ステップS305において、電圧W2−N2が−Vrefより小さい場合(ステップS305:Y)、ロータ位置判定回路75は、W1からU1へ通電する(ステップS310)。続いて、ロータ位置判定回路75は、W1からU1への通電時に計測した電圧V2−N2と正の基準電圧+Vrefとを比較する(ステップS311)。電圧V2−N2が+Vrefより大きい場合(ステップS311Y)、ロータ位置判定回路75は、位置関係がステージ6であると確定し(ステップS312)、処理を終了する(ステップS304)。一方、電圧V2−N2が+Vrefより大きくない場合(ステップS311:N)、ロータ位置判定回路75は、位置関係がステージ1であると確定し(ステップS313)、処理を終了する(ステップS304)。
ここで図22に示したステージ判別3の処理の概要をまとめると次のようになる。「V1⇒U1」の通電にて「W2−N2」に誘起される電圧を調べることで以下のことが判明する。すなわち、ロータ位置は、誘起電圧の発生があれば、誘起電圧が+極性ならばステージ2上にあり、−極性ならばステージ1上またはステージ6とステージ1との境界上にある。一方、ロータ位置は、誘起電圧の発生がなければ、ステージ6とステージ1との境界上にはなく、ステージ1とステージ2との境界上またはステージ6上にある。
以上のようにして、ロータ位置判定回路75は図4のステップS12におけるステージ判別処理を実行する。
次に、図4において、CPU72は、ロータ位置判定回路75においてステージ判別処理が正常に終了したか否かを判定する(ステップS13)。一方、ステージ判別処理が正常に終了していない場合(ステップS13で「N」の場合)、CPU72は、ステップS12の判別処理を再度、実行する(ステップS11で「Y」からステップS12)。他方、ステージ判別処理が正常に終了していた場合(ステップS13で「Y」の場合)、CPU72は、ロータ位置判定回路75が判定したステージに対応した通電パターンで第1電力変換部61および第2電力変換部62のMOSFET(Q1)〜(Q9)の通電制御を開始する(ステップS14)。その際、CPU72は、例えば、第1電力変換部61の通電角を180°に設定し、第2電力変換部62の通電角を120°以上180°未満に設定する。
次に、始動発電機1が回転を開始した後、ゼロクロス検出回路74が巻線部ACG2の出力電圧のゼロクロス点に基づきステージ信号を生成してCPU72に対して出力する(ステップS15)。そして、CPU72が、第1電力変換部および第2電力変換部に対して、ゼロクロス検出回路74によって検出されたステージに対応したパターンにて通電制御を行う(ステップS15)。
ここで、図23を参照して、スタータモータ始動制御時の回転時における巻線部ACG2の電圧波形について説明する。図23は、巻線部ACG2の巻線U2の出力電圧波形と、ロータ位置判定回路75による巻線U2の出力電圧のゼロクロス点の検出波形とを模式的に示した波形図である。この場合、ステップS14およびステップS15における第2電力変換部62の通電角は120°に設定している。図23において、ゼロクロス点の検出波形は、出力電圧のゼロクロス点において出力電圧の変化と同一方向で立ち上がりまたは立ち下がる。なお、巻線部ACG2の電圧波形には、相を切り替えるタイミング(破線の領域A1)でノイズが発生する。そのため、ロータ位置判定回路75では、切り替えタイミングでノイズをマスクしゼロクロス検出に支障が出ないようにすることが望ましい。ゼロクロス検出回路74は、巻線U2、V2およびW2の各出力電圧波形から各相の検出波形を生成し、各相の検出波形に基づきロータ位置を表すステージ信号を生成してCPU72に対して出力する。
次に、図4において、CPU72は、エンジンの始動が完了したか否かを判定する(ステップS16)。エンジンの始動が完了していない場合(ステップS16で「N」の場合)、CPU72は、ステップS15へ戻り、ゼロクロス検出回路74が検出したステージに対応したパターンにて通電制御を続行する(ステップS15)。エンジンの始動が完了していた場合(ステップS16で「Y」の場合)、CPU72は、モータ通電を停止し、スタータモータ始動制御を終了する(ステップS17)。
以上のように、スタータモータ制御においては、まず、第2電力変換部62のMOSFETを全てオフする。そして、第1電力変換部61を使って、巻線部ACG1に予め決められた通電パターンに従って、モータが動かない程度の短パルスを順次通電する。そして、もう一方の巻線部ACG2の巻線両端に誘起される電圧情報をもって、ロータ位置判定回路75が停止時におけるロータステージを判定する。次に、CPU72が、ロータ位置判定回路75により特定されたロータステージに対応した通電パターンを、巻線部ACG1および巻線部ACG2の各相に接続された第1電力変換部61と第2電力変換部62とのうち、第1電力変換部61に対しては180°、第2電力変換部62は120°以上180°未満の何れかの角度にて通電を開始する。そして、通電開始後は、ゼロクロス検出回路74が検出した巻線部ACG2のゼロクロスポイントから導出されるロータ位置情報に基づいてCPU72が巻線部ACG1および巻線部ACG2にエンジンの始動が完了するまで通電する。これによって、本実施形態では、始動時に、巻線部ACG2をゼロクロスポイント検出用に使用することが可能になるとともに、巻線部ACG1と巻線部ACG2との両方を始動巻線として使用することが可能になる。また、巻線部ACG1の通電モードを180°とし、巻線部ACG2の通電モードをゼロクロスポイントの検出が可能なできるだけ大きな通電角とすることで、巻線部ACG1と巻線部ACG2との両方を180°通電モードとする場合からの始動トルクの低減を極力抑えることができる。
次に、図24および図25を参照して、始動発電機1を発電機として動作させる場合について説明する。図24は、図1に示した始動発電制御装置100における発電制御の一例を示したフローチャートである。エンジン2の始動完了後、CPU72は、第2電力変換部62の各MOSFET(Q7)〜(Q9)をオフする(ステップS21)。
次に、CPU72は、ゼロクロス検出回路74が巻線部ACG2の出力電圧のゼロクロス点に基づいて生成したステージ信号を入力する(ステップS22)。
ここで、図25を参照して、発電制御時の巻線部ACG2の電圧波形について説明する。図25は、巻線部ACG2の巻線U2の出力電圧波形と、ロータ位置判定回路75による巻線U2の出力電圧のゼロクロス点の検出波形とを模式的に示した波形図である。この場合、第2電力変換部62はオフ状態に制御されている。ゼロクロス点の検出波形は、出力電圧のゼロクロス点において出力電圧の変化と同一方向で立ち上がりまたは立ち下がる。ゼロクロス検出回路74は、図25に示したような巻線U2、V2およびW2の各出力電圧波形から各相の検出波形を生成し、各相の検出波形に基づきロータ位置を段階的に表すステージ信号を生成してCPU72に対して出力する。
次に、CPU72は、バッテリ9の電圧値に基づき第1電力制御部61の通電角を計算する(ステップS23)。 次に、CPU72は、第1電力変換部61から巻線部ACG1へステップS23で計算した遅角量に基づく遅角パターンを出力する(ステップS24)。そして、CPU72は、ステップS22へ戻り、上述した処理を再度実行する。
以上のように、発電制御においては、エンジン始動後に第2電力変換部62のMOSFETを全オフとすることで、余剰な発電電力の発生を防いでいる。また、ゼロクロス検出回路74によって、巻線部ACG2の巻線両端に発生する無負荷電圧のゼロクロスポイントからロータ位置を導出することで、巻線部ACG1の交流電圧を第1電力変換部61にて位相制御するに必要なタイミングを生成する。これによって、本実施形態によれば、バッテリ9や図示していない電装負荷に最適な電力を供給することができる。
以上のように、本実施形態によれば高価なセンサを用いず、かつサブコイルを用いることなく、簡易な方法で安価にロータの位置決めが可能となる。
また、本実施形態は、3相巻線(多相巻線)である巻線部ACG1と巻線部ACG2とが並列に配設された電機子部と、永久磁石からなる界磁部とを備えた始動発電機1(ACGスタータモータ)と、巻線部ACG1または巻線部ACG1および巻線部ACG2に接続され、交流および直流間の電力変換を行う第1電力変換部61と、巻線部ACG1の各端部に接続されている第1電力変換部61の各交流端子611、612および613と、巻線部ACG2の各端部との間に介挿され、各交流端子611、612および613に対して巻線部ACG2の各端部の接続および分離を行う複数のMOSFET(スイッチ素子)(Q7)〜(Q9)とを備えている。この構成によれば、電力損失の低減等、始動発電機1の制御特性を容易に向上させることができる。
また、以上のように、本実施形態によれば、巻線部を例えば2分割して両方を使用する場合と片方を使用する場合とで使い分けることで、発電と電気負荷とのバランスを適正化することができる。この構成によれば、スタータモータのトルク特性を満たすように巻線仕様を設計したモータを、発電機として使用したときに電気負荷とのアンバランスによって発生する余剰電力を低減することができる。すなわち、巻線部の環流電流を減らし、巻線やパワーデバイス素子の発熱(電力損失)を小さくすることができる。よって、モータトルクを損なうことなく発電時の余剰電力を容易に削減することができる。これによってエンジン2の燃費向上やフリクションの低減が可能となる。
また、発電制御時に、環流電流を減らすことで電機子巻線とパワーデバイスの発熱を低減することができる。
次に、図26を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。図26は、本発明の第2の実施形態の始動発電制御装置100bの構成例を示したブロック図である。なお、図26において、図3に示したものと同一の構成には同一の符号を付けて説明を省略する。また、図26において、図3に示したものと基本的な機能が同一の構成には同一の符号の末尾に文字「a」を付加した符号を付けている。検出・判定回路部73の構成と動作は上記の実施形態と同一である。
第2の実施形態の始動発電制御装置100aは、図3に示した始動発電制御装置100と比較して次の点が異なる。すなわち、第2電力変換部62aが、MOSFET(Q10)〜(Q12)を新たに備える。この場合、MOSFET(Q10)のドレインはMOSFET(Q7)のドレインに接続されている。MOSFET(Q11)のドレインはMOSFET(Q8)のドレインに接続されている。MOSFET(Q12)のドレインはMOSFET(Q9)のドレインに接続されている。そして、MOSFET(Q10)、MOSFET(Q11)およびMOSFET(Q12)の各ソースは、接地されている。
また、制御部7aにおいて、MOSFETゲートドライブ回路71aは、図3に示したMOSFETゲートドライブ回路71に対して、新たに設けたMOSFET(Q10)〜(Q12)用の回路が追加されている。また、CPU72aは、図3に示したCPU72に対して、新たに設けたMOSFET(Q10)〜(Q12)用にプログラムが追加されている。
第2の実施形態の始動発電制御装置100aによれば、負側のMOSFETを巻線部ACG1用と巻線部ACG2用とに2組設けることで、負側のMOSFETに流れる電流を制限し、各MOSFETの発熱を減らすことができる。
次に、図27を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。図27は、本発明の第3の実施形態の始動発電制御装置100bの構成例を示したブロック図である。なお、図27において、図3または図26に示したものと同一の構成には同一の符号を付けて説明を省略する。また、図27において、図3に示したものと基本的な機能が同一の構成には同一の符号の末尾に文字「b」を付加した符号を付けている。検出・判定回路部73の構成と動作は上記の各実施形態と同一である。
第3の実施形態の始動発電制御装置100bは、図3に示した始動発電制御装置100と比較して次の点が異なる。すなわち、第1電力変換部61bは、図3に示した第1電力変換部61に対して、MOSFET(Q13)(第1スイッチ素子)を新たに備えている。このMOSFET(Q13)は、正側直流端子614とバッテリ9に接続されている正側直流端子616との間に介挿されている。MOSFET(Q13)のドレインは正側直流端子614に接続され、MOSFET(Q13)のソースは正側直流端子616に接続されている。
第2電力変換部62bは、6個のMOSFET(Q17)〜(Q19)および(Q10)〜(Q12)を備え、3相ブリッジ直交変換部回路を構成する。また、直交変換部62bは、MOSFET(Q17)〜(Q19)および(Q10)〜(Q12)からなる3相ブリッジ直交変換部回路の直流入出力線の正側に正側直流端子624を備えるとともに、負側に負側直流端子625を備える。このMOSFET(Q17)〜(Q19)および(Q10)〜(Q12)からなる3相ブリッジ直交変換部回路は、巻線部ACG2の巻線U2、巻線V2および巻線W2を各交流端子621、622および623に接続し、直流および交流間の双方向に電力を変換する。
また、第2電力変換部62bは、正側直流端子624とバッテリ9に接続されている正側直流端子626との間にMOSFET(Q14)(第2スイッチ素子)を備えている。MOSFET(Q14)のドレインは正側直流端子624に接続され、MOSFET(Q14)のソースは正側直流端子626に接続されている。
なお、第2電力変換部62bは、図3に示した第2電力変換部62と比較して、MOSFET(Q7)〜(Q9)が省略されている。
また、制御部7bにおいて、MOSFETゲートドライブ回路71bは、図3に示したMOSFETゲートドライブ回路71に対して、新たに設けたMOSFET(Q10)〜(Q14)および(Q17)〜(Q19)用の回路が追加されている。また、CPU72bは、図3に示したCPU72に対して、新たに設けたMOSFET(Q10)〜(Q14)および(Q17)〜(Q19)用にプログラムが変更されている。
第3の実施形態の始動発電制御装置100bでは、MOSFET(Q13)およびMOSFET(Q14)をオンまたはオフすることで、発電制御時に、巻線部ACG1のみから発電電力を出力させたり、巻線部ACG2のみから発電電力を出力させたり、あるいは、巻線部ACG1と巻線部ACG2との両方から発電電力を出力させたりという制御を行うことができる。
以上のように、第3の実施形態の始動発電制御装置100bによれば、巻線部を例えば2分割して両方を使用する場合と片方を使用する場合とで使い分けることで、発電と電気負荷とのバランスを適正化することができる。この構成によれば、スタータモータのトルク特性を満たすように巻線仕様を設計したモータを、発電機として使用したときに電気負荷とのアンバランスによって発生す余剰電力を低減することができる。すなわち、巻線部の環流電流を減らし、巻線やパワーデバイス素子の発熱(電力損失)を小さくすることができる。よって、モータトルクを損なうことなく発電時の余剰電力を容易に削減することができる。これによってエンジン2の燃費向上やフリクションの低減が可能となる。
また、巻線部ACG1と巻線部ACG2との仕様(ターン数、線径等)を異ならせることでモータ制御における発生トルクや発電制御における発電出力を、例えば、巻線部ACG1を使用する場合と、巻線部ACG2を使用する場合と、巻線部ACG1および巻線部ACG2を使用する場合の3段階で選択することができる。
以上のように、本発明の各実施形態によれば、巻線部ACG1および巻線部ACG2が並列に配置された始動発電機1が、エンジン2の始動に用いられる場合、および発電機として用いられる場合の双方において、巻線部ACG2をロータの位置を検出する検出巻線として用いるため、ホールセンサを設けずに、ロータの位置を高い精度で検出することができる。このため、高価なホールセンサを高い取付精度に対応して配置する必要がないため、価格が安くかつ高い精度でロータの検出が可能な始動発電機を提供することができる。
また、本発明の各実施形態によれば、巻線部ACG1(第1多相巻線)に複数の通電パターンで順次、線間電圧を印加したときに、巻線部ACG2(第2多相巻線)に発生する相電圧の値を検出することで、ロータの停止位置を判定することができる。これによれば電流検出を不要とすることができる。また、隣り合うステージの境界で電圧検出が困難になり、ステージ判定ができなくなる場合があるという課題に対しては、2つの異なる通電パターンを印加したときにそれぞれ検出された2つの異なる相電圧どうしを比較した結果に基づいてステージを判定するようにしたことで、境界上でも精度良くステージ判定することができる。
なお、本発明の実施形態は上記のものに限定されず、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
例えば、ロータ位置判定回路75は、巻線部ACG1に対して異なる通電パターンで線間電圧を印加したときに検出された巻線部ACG2の異なる複数の相の相電圧を比較する際に、波高値の絶対値、相電圧の平均値の絶対値、相電圧の実効値などの相電圧の大きさを比較することができる。また、ロータ位置判定回路75は、異なる複数の相の相電圧を比較する際に、大きさに加えてパルス幅の長さを比較したり、あるいは、大きさに代えてパルス幅の長さを比較したりするようにしてもよい。
100、100a、100b 始動発電制御装置
1 始動発電機
ACG1、ACG2 巻線部
61、61b 第1電力変換部
62、62a 第2電力変換部
7、7a、7b 制御部
U1、V1、W1、U2、V2、W2 巻線
72 CPU
73 検出・判定回路部
74 ゼロクロス検出回路
75 ロータ位置判定回路
Q1〜Q14、Q17〜Q19 MOSFET
1 始動発電機
ACG1、ACG2 巻線部
61、61b 第1電力変換部
62、62a 第2電力変換部
7、7a、7b 制御部
U1、V1、W1、U2、V2、W2 巻線
72 CPU
73 検出・判定回路部
74 ゼロクロス検出回路
75 ロータ位置判定回路
Q1〜Q14、Q17〜Q19 MOSFET
Claims (3)
- 永久磁石からなる界磁部と、第1多相巻線および第2多相巻線が並列に配設された電機子部とを有する始動発電機と、
バッテリに接続される第1正側直流端子と、前記第1多相巻線に接続された複数の第1交流端子とを有し、直流および交流間で双方向に電力を変換する第1電力変換部と、
前記第2多相巻線に接続された複数の第2交流端子を有し、前記第2交流端子を介して入出力する電流を制御する第2電力変換部と、
前記第2多相巻線の出力電圧に基づき前記界磁部と前記電機子部との位置関係を検知し、検知した前記位置関係に応じて前記第1電力変換部と前記第2電力変換部とを制御する制御部と
を備え、
前記制御部が、前記第2交流端子を介して入出力する電流をオフした状態で、前記第1多相巻線における巻線の組および電圧印加の向きで決まる複数の通電パターンを順次選択して所定の線間電圧を印加したときに検出された前記第2多相巻線の相電圧の値と、異なる前記通電パターンで前記線間電圧を印加したときに検出された前記第2多相巻線の異なる複数の相の前記相電圧の比較結果とに基づき、前記始動発電機の停止時における前記位置関係を検知する
始動発電装置。 - 前記比較結果が、前記相電圧の絶対値の大きさを比較した結果である
請求項1に記載の始動発電装置。 - 永久磁石からなる界磁部と、第1多相巻線および第2多相巻線が並列に配設された電機子部とを有する始動発電機と、
バッテリに接続される第1正側直流端子と、前記第1多相巻線に接続された複数の第1交流端子とを有し、直流および交流間で双方向に電力を変換する第1電力変換部と、
前記第2多相巻線に接続された複数の第2交流端子を有し、前記第2交流端子を介して入出力する電流を制御する第2電力変換部と、
前記第2多相巻線の出力電圧に基づき前記界磁部と前記電機子部との位置関係を検知し、検知した前記位置関係に応じて前記第1電力変換部と前記第2電力変換部とを制御する制御部と
を用い、
前記制御部が、前記第2交流端子を介して入出力する電流をオフした状態で、前記第1多相巻線における巻線の組および電圧印加の向きで決まる複数の通電パターンを順次選択して所定の線間電圧を印加したときに検出された前記第2多相巻線の相電圧の値と、異なる前記通電パターンで前記線間電圧を印加したときに検出された前記第2多相巻線の異なる複数の相の前記相電圧の比較結果とに基づき、前記始動発電機の停止時における前記位置関係を検知する
始動発電方法。
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JP2002186274A (ja) * | 2000-12-15 | 2002-06-28 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | ブラシレスdcモータの制御装置 |
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