JP6154924B1 - 透明カバー層分離回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 メーカー各社毎に構造が異なる多様な太陽電池モジュールであっても、1つの処理技術によってカバーガラスのガラス成分を効率的に分離、回収およびリサイクル利用可能とする新たなリサイクル処理技術を提供する。【解決手段】 リサイクル対象太陽電池パネル1のカバーガラス層などの透明カバー層2に対し、同透明カバー層2と同じ材質のガラスビーズなどの投射材Bを、高圧エアーなどの噴射流体Aを伴って投射し、該透明カバー層2下の太陽電池層3が露出するまで、該透明カバー層2を粉砕、分離した後、当該太陽電池パネル1から分離した透明カバー粉砕物Rを、それに混在する投射材B諸共回収するようにした透明カバー層分離回収方法である。【選択図】 図3

Description

この発明は、内部構造に強固に一体化した透明カバー層を効率的に分離、除去可能とする処理技術に関連するものであり、特に、太陽電池モジュールのカバーガラスなどのような内部構造部分に強固に一体化している透明カバー層を効率的に分解し、資源回収可能とするリサイクル技術を提供する分野は勿論のこと、そのリサイクル処理に利用する資材や機械装置、部品類、および、それらに必要となる素材、例えば、ガラス、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
(着目点)
太陽光発電システムは、地球温暖化や異常気象の原因とされる二酸化炭素の排出量削減や、省エネ意識の高まりに伴い、現在、急速に普及しており、今後、太陽電池モジュールのリサイクル需要が拡大する場合に備え、各メーカー毎に構造、材質が異なる太陽電池モジュールに対応可能な汎用リサイクル処理技術の開発を進める必要があり、リサイクル処理の効率化を求める意味から、自動化が可能な一貫処理設備を実現化するのが最も望ましいと言える。
リサイクル対象となる太陽電池モジュールには、例えば、図7に示すように、バックシート11上に、結晶系Siセル40および配線からなる太陽電池部4を、EVA(エチレン・ビニル・アセテート:エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)からなる封止剤30で密閉した太陽電池層3を積層し、該太陽電池層3上にカバーガラス2を積層状に一体化した上、外周縁に沿ってアルミニウム製外枠10を装着してなる結晶Si系太陽電池モジュールM、図8に示すように、バックシート11上に、基板ガラス41上面にCIS(銅、インジウム、セレン)デバイス膜40、および、EVAからなる封止剤30を積層状に一体化した太陽電池層3を設け、該太陽電池層3上にカバーガラス2を積層、一体化した上、外周縁にアルミニウム製外枠10を設けたCIS系太陽電池パネルM、および、図9に示すように、バックシート11上に、EVAからなる封止剤30、および、アモルファスSiデバイス膜40を層状に一体化して太陽電池層3を設けた上、該太陽電池層3上にカバーガラス2を積層、一体化し、外周縁にアルミニウム製外枠10を設けたCIS系太陽電池パネルMなどがあり、こうした各種太陽光電池パネルM,M,……を、1つの処理システムによって効率的にリサイクル処理するには、各社毎に構造の異なる太陽電池部4の分離・リサイクル技術の開発に先立ち、太陽電池層3に対して層状をなすよう強固に結合したカバーガラス2を効率的に分離、リサイクル処理する技術について、優先且つ速やかに技術開発する必要がある。
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、傾斜状態になった回転炉内に合わせガラスを載置して、回転炉を回転させつつ、ガラスの軟化温度以下の温度によって合わせガラスを加熱し、回転炉の回転によって両ガラス板間には剪断力が作用しており、中間膜が溶融すると各ガラス板同士がずれた状態となり、その結果、中間膜は、ガラス板から露出した状態になり、中間膜がさらに加熱されることによって、中間膜は、効率よく完全燃焼し、ガラス成分を回収するようにした技術や、同特許文献1(2)に見られるような、LCD(Liquid Crystal Display)を粉砕せずに炉に入れて酸素の無い状態で加熱する熱分解・ガス化溶融処理工程と、熱分解・ガス化溶融されたLCDからガラス基板を分離する工程と、ガラス基板にサンドブラスト処理を施して不純物を剥離除去させる工程と、ガラス基板を粉砕する工程と、洗浄する工程とを有し、サンドブラストによってガラス基板からすべての不純物を一度に剥離・除去することができ、回収されるガラスの純度を向上させることができるようにするLCDからのガラス回収技術がある。
さらには、同特許文献1(3)に示されるような、ガラスの表面に焼き付けられた重金属含有被覆上にアルカリ液を塗布し70から200℃に加温して被膜と反応を行わせた後に、酸処理によって反応物を分離、除去するようにした自動車ガラス回収における重金属除去技術があり、また、同特許文献1(4)に見られるように、ガラス基板の一部を破砕してガラス破砕片を作製する工程と、前記ガラス破砕片を前記付着物に衝突させて、前記付着物を前記ガラス基板から剥離除去する工程とを含み、ガラス基板に付着した付着物を低コストで除去することができると共に、ガラス基板の高収率化が可能になるようにした材料回収技術などが散見される。
しかし、前者特許文献1(1)に示されているようなガラス回収技術は、ガラス中間膜を熔融する温度まで加熱するため、多くの電力や化石エネルギーなどを必要とし、二酸化炭素排出量を増加し、自然環境に悪影響を及ぼす虞がある外、経済的負担が大きいという欠点があり、特許文献1(2)に見られるようなLCDからのガラス回収技術も同様に、LCDを無酸素状態で加熱し、熱分解およびガス化熔融処理するために、電力や化石エネルギーを大量に消費するという課題を残すものであり、そして、特許文献1(3)の自動車ガラス回収における重金属除去技術などは、アルカリ液を塗布して加温し、酸処理によってガラス表面に焼き付けられた重金属を除去する過程で、苛性ソーダ、硝酸、塩酸など厳重な管理を要する化学薬品を使用しなければならず、使用済みの薬液処理や器材の洗浄にもコストが嵩むという難点を抱えており、特許文献1(4)の材料回収技術などは、付着物が付着したガラス基板の一部から製作したガラス破砕片を、ガラス基板の付着物に衝突させ、ガラス基板から付着物を剥離除去して純ガラス板を回収再利用するものであって、プラズマディスプレイパネルなどのガラス基板を有する表示装置のリサイクル処理に適してはいるものの、こうした表示装置とは構造が大きく異なる太陽電池モジュールは、ショットブラスト加工にも高い耐久性を有するEVA(エチレン・ビニル・アセテート:エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)からなる封止剤に対し、カバーガラスが強固に接着、一体化したものとなっているから、太陽電池モジュールからカバーガラスを分離する行程に、そのまま適用することができないという問題があった。
(1)特開平7−138053号公報 (2)特開2001−350137号公報 (3)特開2004−182578号公報 (4)再公表特2008/38665号公報
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種ガラス回収技術は、何れもガラス板に付着した不純物を除去するのに、大量の熱エネルギーや、化学薬品類を必要とし、環境への負荷が大きく、処理コストの削減が困難なものや、太陽電池モジュール特有の構造故、既存のプラズマディスプレイパネルなどの表示装置のリサイクル処理技術をそのまま採用することができないという課題を残すものであって、メーカー各社毎に構造の異なる複数種類の太陽電池モジュールから、太陽電池部封止用のEVA製などの封止剤と強固に一体化したカバーガラスを効率的に分離、回収する技術は、これまで開発されておらず、今後増加が見込まれる廃棄太陽電池モジュールのリサイクル処理を効率化するための技術について、更なる改善の必要性を痛感するに至ったものである。
(発明の目的)
そこで、この発明は、メーカー各社毎に構造が異なる多様な太陽電池モジュールであっても、1つの処理技術によってカバーガラスのガラス成分を効率的に分離、回収およびリサイクル利用可能とする新たなリサイクル処理技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の透明カバー層分離回収方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の透明カバー層分離回収方法は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、リサイクル対象太陽電池パネルの透明カバー層に対し、同透明カバー層と同じ材質の投射材を、噴射流体と共に投射し、該透明カバー層下の太陽電池層が露出するまで、該透明カバー層を粉砕、分離した後、当該太陽電池パネルから分離した透明カバー粉砕物を、それに混在する投射材諸共回収してリサイクル利用するようにした、構成を要旨とする透明カバー層分離回収方法である。
この基本的な構成からなる透明カバー層分離回収方法は、その表現を変えて示すならば、リサイクル対象太陽電池パネルの透明カバー層に対し、同透明カバー層と同じ材質の投射材を、噴射流体と共に投射し、該透明カバー層下の太陽電池層が露出するまで、該透明カバー層を粉砕、分離した後、当該太陽電池パネルから分離した透明カバー粉砕物を、それに混在する投射材諸共回収し、該回収した透明カバー粉砕物および投射材の一部を遠心分離処理し、投射材として利用する上に、投射材として利用しない該回収した透明カバー粉砕物および投射材の他部をリサイクル利用するようにした、構成からなる透明カバー層分離回収方法となる。
以上のとおり、この発明の透明カバー層分離回収方法によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、従前までのプラズマディスプレイパネルなどの表示装置のリサイクル処理技術をそのまま採用することがでは解決することができなかった、太陽電池部特有のEVA製などの封止剤と強固に一体化した透明カバー層を効率的に分離、回収できるものとし、さらに、その分離処理を既存のショットブラスト処理技術によって実現化したから、過大な熱エネルギーや大量の化学薬品類などを使用することなく、格段に経済的且つ安全で、自然環境にも優しいリサイクル処理を実現化する上、透明カバー層と同じ材質の投射材を採用したから、分離回収後の透明カバー粉砕物と、それに混在状となってしまった投射材とを分離する必要がなく、回収後にそのままリサイクル利用することができ、分離精製工程および分離装置を不要とし、大幅な作業工数およびリサイクルコストの削減を達成することができ、そして、太陽電池モジュール以外のものであっても、同様に内部部品と強固に一体化して分離処理が困難な透明カバー層を効率的に分離可能とする技術として幅広く利用可能な技術になるという秀でた特徴が得られるものである。
加えて、分離回収後の透明カバー粉砕物、および、それに混在状となった投射材の一部を遠心分離処理し、投射材として利用するものとすれば、投射材の購入量を大幅に削減し、より経済性に優れたリサイクル処理を実現化することができ、しかも、最終的には、全ての分離回収後の透明カバー粉砕物、および、それに混在状となった投射材をそのままリサイクル利用することができるから、自然環境に優しく、しかも高い作業効率を実現化できるものになるという特徴が得られる。
さらに、リサイクル対象太陽電池パネルのカバーガラス層に対し、同カバーガラス層の主成分であるガラスと同じガラスを主成分とするガラス製投射材を、圧縮空気を伴って投射するようにすれば、太陽電池パネルから分離したカバーガラス粉砕物を、それに混在するガラス製投射材諸共回収し、噴射流体として圧縮空気を利用するから、液体や半個体などを利用した場合に必要となる分離工程や乾燥工程などを一切不要とし、そのまま回収ガラス粉砕物として効率的にリサイクル利用することができるという格段の効果を発揮するものとなる。
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
リサイクル対象太陽電池モジュールは、老朽化や破損など様々な理由によって撤去や廃棄することとなった太陽電池モジュールであり、太陽電池部を封止剤で封止した太陽電池層に透明カバー層を積層してなる発電パネルに、バックシートや外枠を装着したものであり、例えば、結晶Si系、CIS系、薄膜Si系、その他の型式のものということができる。
透明カバー層分離回収装置は、リサイクル対象太陽電池パネルから透明カバー層を分離、回収する機能を担い、リサイクル対象太陽電池パネルの透明カバー層に対し、同透明カバー層と同じ材質の投射材を、噴射流体を伴って投射し、該透明カバー層下の太陽電池層が露出するまで、該透明カバー層を粉砕、分離した後、当該太陽電池パネルから分離した透明カバー粉砕物を、それに混在する投射材諸共回収するものとしなければならず、リサイクル対象太陽電池モジュールから外枠およびバックシートを除去したリサイクル対象太陽電池パネルを収容し、ショットブラスト処理可能なブラストブースとすることができ、リサイクル対象太陽電池パネルをブラストブース内に供給するコンベア機構を有するものとするのが望ましく、ブラストノズルを作業員が操作するものとすることができる外、ブラストノズルをロボットアームによって駆動するものとし、ショットブラストの噴射圧力や投射材の供給量、および、ブラストノズルの三次元位置や姿勢などを自動制御可能なものとし、リサイクル対象太陽電池パネルの加工状態を検知するカメラ、およびそのカメラ画像に基づき、ブラスト処理範囲を演算処理し、ブラストノズルの三次元位置や姿勢などを自動的にフィードバック制御可能とする自動制御装置を有するものなどである。
また、透明カバー層分離回収装置は、投射材を利用したショットブラスト加工により、太陽電池パネルから分離した透明カバー粉砕物を、それに混在する投射材諸共回収し、該回収した透明カバー粉砕物および投射材の一部を遠心分離処理し、投射材として再度、ブラストノズルに供給可能とする、投射材用の加圧タンク、遠心分離器などを有するものとすることができる。
投射材は、リサイクル対象太陽電池パネルの透明カバー層に対し、噴射流体を伴って投射し、該透明カバー層を粉砕、分離し、当該太陽電池パネルから分離した透明カバー層粉砕物を、それに混在する投射材諸共回収し、リサイクル利用可能とする機能を担っており、リサイクル対象太陽電池パネルの透明カバー層の主成分と主成分が同じ材質からなるものとしなければならず、後述する実施例にも示してあるとおり、カバーガラス層の主成分であるガラスと同じガラスを主成分とするガラス製投射材とすることができ、例えば、主成分がケイ酸塩、ケイ酸化合物、ケイ酸塩鉱物、ケイ酸ガラス、ケイ酸塩ガラス、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどであるガラスや、主成分がアクリルガラス、カルコゲンガラス、金属ガラス、有機ガラスなどであるガラス質物質が相当する。
さらに、投射材は、粒径が大きいほど作業時間を短縮することが可能であり、従来型のショットブラスト工法に用いることのできる最大粒径のものを用いるのが望ましく、例えば、粒番号#10ないし#1500(粒度範囲2000〜20μm)とすることができ、市場に多く流通している#20(粒度範囲1000〜710μm)または#30(粒度範囲710〜500μm)を選択するようにするのが望ましいと言える。
噴射流体は、投射材をリサイクル対象太陽電池パネルの透明カバー層に対し、該透明カバー層を粉砕、分離可能とする強さ(速度)で衝突するよう噴射可能とする機能を担うもので、加圧した気体、圧送する液体、半個体などとすることが可能であり、粉砕、分離後のリサイクル処理作業の効率を考慮すると各種圧縮ガスまたは圧縮空気とするのが望ましく、ショットブラスト処理をより経済的に行うには、コンプレッサーやエアーポンプ、空気ボンベなどから供給する圧縮空気とすることができる。
リサイクル対象太陽電池パネルの封止剤は、太陽電池部を防水性、透光性を確保するよう密封して外力を緩衝するものとなり、耐候性、耐衝撃性を確保する機能を担い、この発明の実施に際しては、透明カバー層に投射材を衝突させて粉砕、回収する行程において、太陽電池部を保護する機能を担うものとなり、耐久性に優れた合成樹脂製のものとすべきであり、一般的には、後述する実施例にも示すように、EVA(エチレン・ビニル・アセテート)製、PVB(ポリビニルブチラール)、シリコーン樹脂などとしたものが多く、投射材の衝突にも容易に分離しないから、ショットブラスト加工中に太陽電池部を保護するのに好都合な材質である。
リサイクル対象太陽電池モジュールのバックシートは、太陽電池層の背面を保護する機能を担っており、例えば、PVF(ポリフッ化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂膜、および、AL、SiO2などの無機材料膜、金属膜などを組み合わせた多積層膜としたものがあり、何れの素材もリサイクル利用可能なものである。
透明カバー層分離回収方法は、内部構造物に強固に一体化した透明カバー層を効率的に分離回収可能とする技術であり、より具体的に示すと、リサイクル対象太陽電池パネルの透明カバー層下の太陽電池層が露出するまで、投射材を、噴射流体を伴って投射し、該透明カバー層を粉砕、分離した後、当該太陽電池パネルから分離した透明カバー粉砕物を、それに混在する投射材諸共回収し、リサイクル利用するものであり、該回収した透明カバー粉砕物および投射材の一部を遠心分離処理し、投射材として利用する上、投射材として利用しない透明カバー粉砕物および投射材の他部をリサイクル利用することが可能であり、太陽電池層が露出する状態とは、太陽電池層における封止剤、太陽電池素子、薄膜太陽電池デバイス部の少なくとも1つが露出する状態であるということができ、透明カバー層を除去した状態である。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
図面は、この発明の透明カバー層分離回収方法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
透明カバー層分離回収方法を示すフローチャートである。 透明カバー層分離回収方法の変形例を示すフローチャートである。 透明カバー層分離回収装置の一例を示す概念図である。 透明カバー層分離回収装置の他の例を示す概念図である。 結晶Si系太陽電池モジュールの要部を示す断面図である。 CIS系太陽電池モジュールの要部を示す断面図である。 薄膜Si系太陽電池モジュールの要部を示す断面図である。 結晶Si系太陽電池モジュールを示す断面図である。 外枠を分離した結晶Si系太陽電池パネルを示す断面図である。 バックシートを分離した結晶Si系太陽電池パネルを示す断面図である。 ショットブラスト加工中の結晶Si系太陽電池パネルを示す断面図である。
図1ないし図11に示す事例は、リサイクル対象太陽電池パネル1の透明カバー層2
に対し、同透明カバー層2と同じ材質の投射材Bを、噴射流体Aを伴って投射し、該透明カバー層2下の太陽電池層3が露出するまで、該透明カバー層2を粉砕、分離した後、当該太陽電池パネル1から分離した透明カバー粉砕物Rを、それに混在する投射材B諸共回収するようにした、この発明の透明カバー層分離回収方法における代表的な一実施例を示すものである。
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の透明カバー層分離回収方法は、供給したリサイクル対象太陽電池モジュールMを仮固定し、アルミニウム製外枠10を工具類を用いて分解し、裁断し、溶断し、および、ロボットアームなどが強制的に引き剥がすなどの少なくとも何れかの工程を経て分離して得た太陽電池パネル1からバックシート11を除去した上、太陽電池パネル1からカバーガラス層2を分離、回収する透明カバー層分離回収装置5に供給する。
図3に示すように、前記透明カバー層分離回収装置5は、噴射圧力の高い直圧式であって直圧弁51を有する加圧タンク50に、市場に多く流通している#20(粒度範囲1000〜710μm)または#30(粒度範囲710〜500μm)のガラスビーズからなる投射材Bを収容し、同加圧タンク50下部のブラストホース53基端より、図示しないコンプレッサーからの高圧エアーAを、同図3中の実線矢印に示すよう供給する乾式のものとし、該ブラストホース53先端がわを、ブラストブース56内に引き込み、ブラストノズル52に接続したものとし、該ブラストブース56内には、ベルトコンベアやローラーコンベアなどの自動搬入機構を設け、太陽電池パネル1を搬入、搬出可能なものとしている。
図4に示すように、透明カバー層分離回収装置5は、遠心分離機能を有するタンク50にガラスビーズからなる投射材Bを収容し、該タンク50下端より延伸したブラストホース53をブラストノズル52に接続すると共に、コンプレッサー54のエアホース55を該ブラストノズル52に接続したものとし、ブラストブース56から回収した、カバーガラス粉砕物(回収ガラス粉砕物R)、および、それに混在するガラス製投射材Bの一部を、該タンク50に供給し、遠心分離処理によって塵埃Dを集塵、除去し、また、遠心分離処理によってカバーガラス粉砕物(回収ガラス粉砕物R)、および、それに混在するガラス製投射材Bの一部の粒度を選別するなどした上、投射材Bとして再利用するようにしたものとすることができ、該ブラストノズル52は、作業員が操作することができる外、ロボットアームなどを利用し、自動的にカバーガラス層2を粉砕、分離するようにしたものとすることが可能である。
一般的な太陽電池モジュールMカバーガラス層2の主な成分は、例えばSiO2(65〜70%),Na2O(10〜15%),CaO(4〜15%),MgO(2〜4%),Al2O3(0.5〜2%),Fe2O3(<150ppm)であり、一般的なガラス製投射材Bの主成分は、SiO2(60〜70%)であり、両者の成分が混在した回収ガラス粉砕物Rは、そのままガラス材料としてリサイクル利用することが可能である。
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の透明カバー層分離回収方法は、図8ないし図10に示すように、リサイクル対象太陽電池モジュールMから外枠10を取り外して発電パネル1とすると共にバックシート11を分離した後、図1、図3および図11に示すように、透明カバー層分離回収装置5に供給し、発電パネル本体1カバーガラス層2に向けて、#20(粒度範囲1000〜710μm)および#30(粒度範囲710〜500μm)の少なくとも一方のガラスビーズからなる投射材Bを、圧縮空気である高圧エアーAを伴って投射(a)し、カバーガラス層2を粉砕、分離(b)し、太陽電池層3における封止剤30が露出するまで、該ショットブラスト加工を継続(c)し、カバーガラス粉砕物Rを回収ガラス粉砕物Rおよび回収ガラスカレットRとして回収(d)し、リサイクル処理する(e)するものとする。
図2、図4および図11に示すように、透明カバー層分離回収装置5が、ガラスビーズからなる投射材Bを投射、衝突(a)させて、当該太陽電池パネル1から分離(b)し、太陽電池層3における封止剤30が露出するまで該ショットブラスト加工を継続(c1)し、当該太陽電池パネル1から分離したカバーガラス粉砕物Rを、それに混在するガラス製投射材B諸共分離、回収(d)し、該回収したカバーガラス粉砕物Rおよびガラス製投射材Bの中に混入する塵埃Dをタンク7がもつ遠心分離機能により除去すると共に、必要に応じて該遠心分離機能によって投射材Bの粒度を所望範囲のものに選別(f)するように設定したものとすることが可能であり、タンク7内に収容して再度ガラス製投射材Bとして利用する(c1)ようにし、タンク7内に供給しなかったカバーガラス粉砕物Rおよびガラス製投射材Bは、回収ガラス粉砕物Rおよび回収ガラスカレットRとしてリサイクル処理する(e)するようにしたものとすることができる。
以上のような図1または図2に示す透明カバー層分離回収方法によると、図5ないし図7に示すように、結晶Si系太陽電池モジュールM、CIS系太陽電池モジュールMおよび薄膜Si系太陽電池モジュールMなどのメーカー毎に異なる構造の各種太陽電池モジュールM,M,……を、図3または図4に示す、何れか一方の透明カバー層分離回収装置5に対して一括して連続供給し、各々の太陽電池パネル1からカバーガラス層2を効率的に分離回収するようにしてリサイクル処理できる。
(結 び)
叙述の如く、この発明の透明カバー層分離回収方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、従前までの技術であれば、加熱熔解や化学薬品を利用した溶解、機械的破砕などの後に、素材毎に分離、回収しなければならなかったが、ショットブラスト技術の採用によって素材を選択的に分離、回収可能としたから、リサイクル処理の作業工数および処理コストを大幅削減することができ、しかもシステムの製造および設置も容易で、ランニングコストを格段に抑制できるものとなるから、産業廃棄物処理業界やリサイクル業界はもとより、廃棄太陽電池モジュールの有効なリサイクル処理を希望する太陽光発電業界や太陽電池モジュール販売・設置業界、および、資材の安定供給を求める製造業界においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
M 太陽電池モジュール
1 太陽電池パネル
10 同 外枠
11 同 バックシート
2 カバーガラス層
3 太陽電池層
30 同 封止剤
4 太陽電池部
40 同 太陽電池セル(素子)、(薄膜太陽電池デバイス、デバイス部)
41 同 基板ガラス
5 透明カバー層分離回収装置
B 投射材
50 同 タンク(加圧タンク)
51 同 直圧弁
52 同 ブラストノズル
53 同 ブラストホース
54 同 コンプレッサー
55 同 エアホース
56 同 ブラストブース
A 高圧エアー
D 塵埃
R 回収有価物(回収ガラス粉砕物(ガラス破片)、回収ガラスカレット)

Claims (2)

  1. リサイクル対象太陽電池パネルの透明カバー層に対し、同透明カバー層と同じ材質の投射材を、噴射流体と共に投射し、該透明カバー層下の太陽電池層が露出するまで、該透明カバー層を粉砕、分離した後、当該太陽電池パネルから分離した透明カバー粉砕物を、それに混在する投射材諸共回収するようにしたことを特徴とする透明カバー層分離回収方法。
  2. リサイクル対象太陽電池パネルの透明カバー層に対し、同透明カバー層と同じ材質の投射材を、噴射流体と共に投射し、該透明カバー層下の太陽電池層が露出するまで、該透明カバー層を粉砕、分離した後、当該太陽電池パネルから分離した透明カバー粉砕物を、それに混在する投射材諸共回収し、該回収した透明カバー粉砕物および投射材の一部を遠心分離処理し、投射材として利用する上に、投射材として利用しない該回収した透明カバー粉砕物および投射材の他部をリサイクル利用するようにしたことを特徴とする透明カバー層分離回収方法。
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