以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
図1に示されるように、本実施形態に係る検査装置1は、被検査デバイス(DUT:Device Under Test)である半導体デバイスDにおいて故障箇所を特定する等、半導体デバイスDを検査するための装置である。より詳細には、検査装置1は、故障個所を特定するとともに、当該故障個所の周囲に、当該故障個所を示すマーキングを行う。当該マーキングによって、故障解析の後工程において、検査装置1が特定した故障個所を容易に把握することができる。
半導体デバイスDとしては、トランジスタ等のPNジャンクションを有する集積回路(例えば、小規模集積回路(SSI:Small Scale Integration)、中規模集積回路(MSI:Medium Scale Integration)、大規模集積回路(LSI:Large Scale Integration)、超大規模集積回路(VLSI:Very Large Scale Integration)、超々大規模集積回路(ULSI:Ultra Large Scale Integration)、ギガ・スケール集積回路(GSI:Giga Scale Integration))、大電流用/高圧用MOSトランジスタ、バイポーラトランジスタ、及び電力用半導体素子(パワーデバイス)等がある。半導体デバイスDは、基板上にメタル層が形成されて構成されている。半導体デバイスDの基板としては、例えばシリコン基板が用いられる。半導体デバイスDは、サンプルステージ40に載置されている。
検査装置1は、半導体デバイスDの故障個所を特定する故障個所特定処理、及び、特定した故障個所の周囲に当該故障個所を示すマーキングを行うマーキング処理を行う。まず、故障個所特定処理に係る検査装置1の機能構成について説明する。
検査装置1は、故障個所特定処理に係る機能構成として、テスタユニット11と、光源12(第2の光源)と、観察用光学系13と、XYZステージ14と、2次元カメラ15(光検出器)と、計算機21と、表示部22と、入力部23と、を備えている。
テスタユニット11は、ケーブルを介して半導体デバイスDに電気的に接続され、半導体デバイスDに刺激信号を印加する刺激信号印加部として機能する。テスタユニット11は、電源(図示せず)によって動作させられ、半導体デバイスDに所定のテストパターンなどの刺激信号を繰り返し印加する。テスタユニット11は、変調電流信号を印加するものであってもよいし、CW(continuous wave)電流信号を印加するものであってもよい。テスタユニット11は、ケーブルを介して計算機21に電気的に接続されており、計算機21から指定されたテストパターンなどの刺激信号を、半導体デバイスDに印加する。なお、テスタユニット11は、必ずしも計算機21に電気的に接続されていなくてもよい。テスタユニット11は、計算機21に電気的に接続されていない場合には、単体でテストパターンなどの刺激信号を決定し、該テストパターンなどの刺激信号を半導体デバイスDに印加する。
光源12は、電源(図示せず)によって動作させられ、半導体デバイスDを照明する光を出力する。光源12は、LED(Light Emitting Diode)及びランプ光源等である。光源12から出力される光の波長は、半導体デバイスDの基板を透過する波長であり、半導体デバイスDの基板がシリコンである場合、好ましくは1064nm以上である。光源12から出力された光は観察用光学系13に導かれる。
観察用光学系13は、光源12から出力された光を半導体デバイスDの基板側、すなわち半導体デバイスDの裏面D1側から半導体デバイスDに照射する。観察用光学系13は、ビームスプリッタ及び対物レンズを有している。対物レンズは、光源12から出力されビームスプリッタによって導かれた光を観察エリアに集光する。観察用光学系13は、XYZステージ14に載置されている。XYZステージ14は、対物レンズの光軸方向をZ軸方向とすると、Z軸方向、並びに、Z軸方向に直交するX軸方向及びY軸方向に移動可能とされている。XYZステージ14は、計算機21の制御部21b(後述)に制御されることにより上述した3軸方向に移動可能とされている。XYZステージ14の位置によって観察エリアが決定する。
観察用光学系13は、半導体デバイスDの基板を透過し、照明された光に応じて、半導体デバイスDにおいて反射された光(反射光)を、2次元カメラ15に伝達する。具体的には、観察用光学系13から照射された光は、半導体デバイスDの基板SiE(図2参照)を透過し、メタル層ME(図2参照)で反射される。そして、メタル層MEを反射した光は、再び基板SiEを透過し、観察用光学系13の対物レンズ及びビームスプリッタを介して2次元カメラ15に入力される。また、観察用光学系13は、刺激信号の印加によって半導体デバイスDで発生した発光を2次元カメラ15に伝達する。具体的には、刺激信号の印加によって主に半導体デバイスDのメタル層MEで発生した発光(例えば、エミッション光)が基板SiEを透過し、観察用光学系13の対物レンズ及びビームスプリッタを介して2次元カメラ15に入力される。
2次元カメラ15は、半導体デバイスDからの光を撮像し、画像データ(検出信号)を出力する。例えば、2次元カメラ15は、半導体デバイスDから反射された光を撮像し、パターン画像を作成するための画像データを出力する。当該パターン画像に基づいて、マーキング位置を把握することができる。また、2次元カメラ15は、半導体デバイスDからの発光を撮像し、発光画像を生成するための画像データを出力する。当該発光画像に基づいて、半導体デバイスDにおける発光箇所を特定することができる。発光箇所を特定することにより、半導体デバイスDの故障個所を特定することができる。発光を計測する2次元カメラ15としては、半導体デバイスDの基板SiEを透過する波長の光を検出可能なCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(ComplementaryMetal Oxide Semiconductor)イメージセンサを搭載したカメラや、InGaAsカメラ又はMCTカメラ等が用いられる。なお、発光計測の際、光源12によって照明する光は不要であるため、光源12を動作させる必要はない。
計算機21は、ケーブルを介して2次元カメラ15に電気的に接続されている。計算機21は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータである。計算機21は、2次元カメラ15から入力された画像データを基にパターン画像や発光画像を作成する。ここで、上述した発光画像だけでは、半導体デバイスDのパターンにおける発光位置を特定することが難しい。そこで、計算機21は、半導体デバイスDからの反射光に基づくパターン画像と、半導体デバイスDからの発光に基づく発光画像とを重畳させた重畳画像を解析画像として生成する。
計算機21は、作成した解析画像を表示部22に出力する。表示部22は、ユーザに解析画像等を示すためのディスプレイ等の表示装置である。表示部22は、入力された解析画像を表示する。この場合、ユーザは、表示部22に表示された解析画像から故障個所の位置を確認し、故障個所を示す情報を入力部23に入力する。入力部23は、ユーザからの入力を受け付けるキーボード及びマウス等の入力装置である。入力部23は、ユーザから受け付けた、故障個所を示す情報を計算機21に出力する。なお、計算機21、表示部22、及び入力部23は、タブレット端末であってもよい。以上が、故障個所特定処理に係る検査装置1の機能構成についての説明である。
つづいて、特定した故障個所の周囲に当該故障個所を示すマーキングを行うマーキング処理に係る検査装置1の機能構成について説明する。
検査装置1は、マーキング処理に係る機能構成として、上述した故障特定処理に係る各機能構成に加えて、レーザ光源31(第1の光源)と、レーザマーキング用光学系32と、XYZステージ33と、撮像装置34と、照明光源35と、を更に備えている。また、計算機21は、条件設定部21aと、制御部21b(マーキング制御部)と、解析部21c(画像処理部)とを有している。
マーキング処理においては、故障個所特定処理において特定された故障個所の周囲に、レーザマーキングが行われる。図2(a)(b)に示されるように、故障個所fpの周囲、例えば4箇所に、マーキング箇所mpが設定される。レーザマーキングが完了した状態においては、図2(c)に示されるように、半導体デバイスDのメタル層MEを貫通するように、レーザマーキングが行われている。レーザマーキングは、レーザマーキングにより形成される穴がメタル層MEと基板SiEとの境界面ssに達し、基板SiEにおけるメタル層MEに接する面が露出する程度まで行われる。
また、マーキング処理においては、図3に示されるように、レーザ光源31によって出力されたレーザ光が、レーザマーキング用光学系32を介して半導体デバイスDのマーキング箇所mpに照射される。すなわち、半導体デバイスDのメタル層ME側からマーキング箇所mpにレーザ光が照射される。そして、半導体デバイスDの基板SiE側において、光源12にて生成された光が半導体デバイスDに照射され、半導体デバイスDからの反射光が観察用光学系13を介して2次元カメラ15に検出される。このように、マーキング処理では、マーキング箇所mpへのレーザ光の照射をメタル層ME側で行いながら、半導体デバイスDの反射光の検出を基板SiE側で行う。以下、マーキング処理に係る検査装置1の機能構成の詳細について説明する。
図1に戻り、計算機21の条件設定部21aは、入力部23から入力された故障個所fpを示す情報に基づいて、マーキング箇所mpを設定する。マーキング箇所mpは、特定された故障個所fpの周囲数か所に設定される。数か所とは例えば4箇所である。条件設定部21aは、例えば故障個所fpを示す情報が入力されると、当該故障個所fpを中心として、当該故障個所fpの周囲4箇所に、自動的にマーキング箇所mpを設定する。具体的には、例えば平面視において、故障個所fpを中心とした十字状にマーキング箇所mpが設定される(図2(a)(b)参照)。なお、マーキング箇所mpは、表示部22に表示された解析画像を見たユーザからのマーキング箇所mpを示す情報の入力を入力部23が受け付けることより設定されてもよい。この場合、条件設定部21aは、マーキング箇所mpを自動で設定することなく、入力部23から入力されるマーキング箇所mpを示す情報に基づいて、マーキング箇所mpを設定する。条件設定部21aは、故障個所fp及びマーキング箇所mpを示した目印を解析画像に付加したリファレンス画像を生成し、当該リファレンス画像を計算機21内に保存する。
XYZステージ14,33の座標系は、基準位置が合致するように設定されている。計算機21の制御部21bは、XYZステージ14,33を制御することにより、XYZステージ14,33を3軸方向に移動させる。具体的には、制御部21bは、条件設定部21aにより設定されたマーキング箇所mpにレーザマーキングが行われるように、レーザマーキング用光学系32を載置するXYZステージ33を移動させる。制御部21bは、マーキング箇所mpが複数ある場合には、全てのマーキング箇所mpへのレーザマーキングが順次行われるように制御する。すなわち、制御部21bは、一のマーキング箇所mpへのレーザマーキングが完了すると、次のマーキング箇所mpのレーザマーキングが行われるように、XYZステージ33を移動させる。制御部21bは、XYZステージ33の移動が完了すると、レーザ光源31に出力開始信号を出力する。なお、条件設定部21aによりマーキング箇所mpが設定された後は、制御部21bはXYZステージ14を移動させないことが好ましい。
レーザ光源31は、電源(図示せず)によって動作させられ、半導体デバイスDに照射されるレーザ光を出力する。レーザ光源31は、制御部21bによって出力開始信号が入力されると、レーザ光の出力を開始する。レーザ光源31としては、固体レーザ光源や半導体レーザ光源等を用いることができる。レーザ光源31から出力される光の波長は、250ナノメートルから2000ナノメートルである。
レーザマーキング用光学系32は、レーザ光源31が出力したレーザ光を、半導体デバイスDのメタル層ME側、すなわち半導体デバイスDの表面D2側から半導体デバイスDのマーキング箇所mpに照射する。レーザマーキング用光学系32は、切替部及び対物レンズを有している。切替部はレーザ光源31及び撮像装置34(後述)の光路を切り替える。対物レンズは、レーザ光源31からのレーザ光をマーキング箇所mpに集光する。また、対物レンズは、半導体デバイスDの表面からの光を撮像装置34へ導光する。レーザマーキング用光学系32は、XYZステージ33に載置されている。XYZステージ33は、対物レンズの光軸方向をZ軸方向とすると、Z軸方向、並びに、Z軸方向に直交するX軸方向及びY軸方向に移動可能とされている。XYZステージ33は、制御部21bに制御されることにより上述した3軸方向に移動可能とされている。なお、XYZステージ33の代わりにレーザマーキング用光学系32が光走査部(例えばガルバノミラーやMEMSミラー等の光走査素子)を有し、半導体デバイスDの表面D2上のマーキング箇所mpに集光させるようにしてもよい。また、レーザマーキング用光学系32がシャッタを備え、制御部21bからの制御によってレーザ光源31からのレーザ光を通過させたり遮ったりすることで、レーザ光の出力を制御してもよい。
撮像装置34は、半導体デバイスDの表面D2側から、半導体デバイスDのメタル層MEを撮像する。撮像装置34が撮像した撮像画像は、計算機21に出力され、表示部22に表示される。ユーザは、当該撮像画像を確認することにより、半導体デバイスDの表面D2側から見たレーザマーキング状況を把握することができる。撮像装置34で撮像する際に照明光源35を用いて半導体デバイスDを照明する。
マーキング処理中においては、2次元カメラ15によって、半導体デバイスDの基板SiE側すなわち裏面D1側から、半導体デバイスDの様子が捉えられる。すなわち、マーキング処理中において、光源12は、半導体デバイスDの裏面D1側に照射される光を出力する。そして、観察用光学系13は、光源12から出力された光を半導体デバイスDの裏面D1に照射する。なお、上述したように、故障個所が特定されマーキング箇所が条件設定部21aにより設定された後は、XYZステージ14が固定されるので、半導体デバイスDの裏面D1における観察エリアの位置は変わらない。観察用光学系13は、照射された光に応じた半導体デバイスDからの反射光を、半導体デバイスDからの光として2次元カメラ15に伝達する。そして、2次元カメラ15は、観察用光学系13を介して伝達された反射光を検出し、画像データ(検出信号)を生成する。2次元カメラ15は、画像データを計算機21に出力する。
計算機21の解析部21cは、2次元カメラ15によって生成された画像データに基づいてパターン画像を生成する。解析部21cは、レーザ光源31が出力したレーザ光によるレーザマーキングと並行して、パターン画像を順次生成する。ここで、レーザマーキングによって、マーキング箇所mpのメタル層MEには穴が形成される。当該穴が浅いとき、すなわちレーザマーキングにより形成される穴がメタル層MEにのみ形成され基板SiEにまで到達していないときには、マーキング位置での反射光の強度変化が小さく光学反射像の変化も小さい。そのため、パターン画像にもレーザマーキングの影響は現れない。一方で、穴が深くなると、具体的には、穴がメタル層MEと基板SiEとの境界面ssに達する程度に深くなると、裏面D1側の光の屈折率、透過率、及び反射率の少なくともいずれか1つの変化が大きくなるので、マーキング位置での反射光の強度変化が大きくなり、パターン画像にはマーキング箇所を示すマーク像が現れる。
解析部21cは、例えば、上述したリファレンス画像と、パターン画像とを比較し、画像の差異が予め定めた規定値よりも大きくなっている場合に、マーク像が現れたと判断する。当該規定値を予め設定しておくことにより、マーク像が現れたと判断されるタイミングを決定することができる。当該規定値として、メタル層MEが貫通されるまでレーザマーキングが行われた場合にマーク像が現れたと判断する貫通閾値が設定される。
また、解析部21cは、ユーザからの入力内容に応じて、マーク像が現れたか否かを判断してもよい。この場合、表示部22にパターン画像が表示される。そして、当該パターン画像を目視によって確認したユーザによって、パターン画像にマーク像が現れているか否かの情報が入力部23に入力される。入力部23は、マーク像が現れているか否かの情報を計算機21に出力する。解析部21cは、マーク像が現れているか否かの情報に基づいて、マーク像が現れたか否かを判断する。
なお、解析部21cは、マーク像が現れたと判断した場合において、リファレンス画像とパターン画像とを比較し、パターン画像のマーク形成箇所が、リファレンス画像のマーキング箇所mpとずれている場合には、マーク形成ずれが生じていると判断する。この場合、制御部21bによって、XYZステージ14,33の位置移動が行われ、正しいマーキング箇所mpにマークが形成されるように制御されてもよい。
制御部21bは、レーザ光源31を制御することによって、レーザマーキングを制御する。制御部21bは、解析部21cによってマーク像が現れたと判断されると、レーザ光源31に対して出力停止信号を出力する。レーザ光源31は、出力停止信号が入力されると、レーザ光の出力を停止する。このため、レーザ光源31は、制御部21bによって出力開始信号が入力されてから出力停止信号が入力されるまでの間レーザ光を出力する。以上より、制御部21bは、レーザマーキングによって形成されるマーク像がパターン画像に現れるまでレーザマーキングが行われるように、レーザ光源31を制御する。また、上述した貫通閾値が設定されているので、制御部21bは、レーザ光がメタル層MEを貫通するまでレーザマーキングが行われるように、レーザ光源31を制御する。
解析部21cは、マーク像を含むパターン画像に発光画像を重畳し、マーキング画像を作成する。作成されたマーキング画像は、計算機21内に保存される。また、解析部21cは、マーキング画像を表示部22に表示する。マーキング画像により、ユーザは、後工程において、故障個所の位置に対するマーキング位置を正確に把握することができる。また、解析部21cは、マーキング位置と故障個所の位置の距離や故障個所の位置からのマーキング位置の方位など故障個所の位置に対するマーキング位置を把握するために必要なマーキング情報を取得する。取得されたマーキング情報は、リストとして表示したり、マーキング画像に付加されて表示されてもよい。また、これらの情報を紙媒体で出力してもよい。
次に、検査装置1のマーキング処理について図4を用いて説明する。
マーキング処理が行われる前提として、XYZステージ14,33の座標系の基準位置が合致するように設定する(ステップS0)。具体的には、サンプルステージ40上に目印が記されたチャートCtを配置し、撮像装置34及び2次元カメラ15でチャートCtを撮像する。取得された画像に基づいて、XYZステージ14,33の座標系が合致する(シンクロする)ように設定する。チャートCtは、図9のように、ガラス板やシリコン板の一方の面に基準点bpを中心に放射状に伸びるパターンが設けられている。このパターンは例えば、アルミの薄膜によって作成される。ガラス板やシリコン板は、半導体デバイスDの基板SiEを透過する波長の光を透過するため、照明光源35や光源12から出力される光も透過する。そのため、ガラス板やシリコン板の一面に設けられたパターンの像を撮像装置34と2次元カメラ15で取得することができる。なお、後述する熱線観察の場合、熱線がガラス板によって吸収されることがあるため、パターンを設けた面が観察用光学系13側になるようにチャートCtをサンプルステージ40上に配置する。なお、パターンは板の両面に設けられてもよい。
続いて、半導体デバイスDの故障個所が特定される(ステップS1)。具体的には、まず、観察したいエリアに観察用光学系13の視野が位置するように、XYZステージ14を制御する。そして、観察したいエリアに対物レンズの焦点があうように、XYZステージ14を制御する。観察したいエリアに観察用光学系13の視野が位置したら、光源12によって出力された光が観察用光学系13によって半導体デバイスDの裏面D1側から半導体デバイスDに照射され、2次元カメラ15によって生成された光学反射像を取得する。続いて、テスタユニット11を用いて、半導体デバイスDに刺激信号を印加し、2次元カメラ15によって発光像を取得する。そして、取得された光学反射画像と発光画像を重畳して、解析画像を作成し、該解析画像に基づき故障個所fpを特定する。
つづいて、故障個所fpの位置に応じてマーキング箇所mpが設定され、計算機21の制御部21bにより当該マーキング箇所mpに応じた位置にXYZステージ33が移動させられる。これにより、XYZステージ33に載置されたレーザマーキング用光学系32は、マーキング箇所mpに応じた適切な位置に移動する(ステップS2)。
つづいて、レーザ光源31によってレーザ光が出力されてマーキング箇所mpへのレーザマーキングが実行されるとともに、解析部21cによってパターン画像が生成される(ステップS3)。そして、解析部21cによってパターン画像上にマーク像が現れたか否かが判定される(ステップS4)。
S4においてパターン画像上にマーク像が現れていないと判定された場合には、再度S3の処理が実行される。一方で、S4においてマーク像が現れたと判定された場合には、レーザマーキングを行っていないマーキング箇所mpがあるか否かが判定される(ステップS5)。S5において、レーザマーキングを行っていないマーキング箇所mpがあると判定された場合には、再度S2の処理が実行される。一方で、S5において、レーザマーキングを行っていないマーキング箇所mpがないと判定された場合には、マーキング処理が完了する。
次に、検査装置1の作用効果について説明する。
検査装置1では、レーザ光源31から出力されたレーザ光が、半導体デバイスDのメタル層MEすなわち表面D2のマーキング箇所mpに照射される。また、半導体デバイスDの基板SiE側すなわち裏面D1側において、半導体デバイスDからの反射光が2次元カメラ15によって検出され、光学反射像が生成される。そして、解析部21cによって、当該光学反射像に基づきパターン画像が生成される。
当該パターン画像にマーク像が現れたと解析部21cに判断されるまでは、制御部21bによって、レーザマーキングが行われるようにレーザ光源31が制御される。このように、半導体デバイスDの基板SiE側において検出された反射光に応じたパターン画像にマーク像が現れるまでレーザマーキングが行われるので、レーザ光が照射されるメタル層ME側だけでなく、基板SiE側からもマーキング位置が確認可能となる。これによって、故障解析における後工程において、メタル層ME側及び基板SiEの双方から故障個所を容易に把握することができる。
更に、パターン画像にマーク像が現れるまでレーザマーキングが行われるので、パターン画像を確認することによって、故障個所に対するマーキング位置を正確に把握することができる。
また、制御部21bは、レーザ光がメタル層MEを貫通するまでレーザマーキングが行われるように、レーザ光源31によるレーザ光の照射を制御するので、例えば故障解析における後工程すなわちレーザマーキング後において、メタル層MEを削って故障個所を解析する場合であっても、確実にマーキング位置を確認することができる。
また、解析部21cは、レーザ光によるレーザマーキングが行われている間にパターン画像を生成するので、パターン画像によってマーキング位置が把握できるまでレーザマーキングを実行することができる。
また、照明光を出力する光源12を備え、2次元カメラ15が半導体デバイスDにおいて反射された当該照明光を撮像することにより、発光計測など、半導体デバイスDからの発光を検出する手法を利用することができる。当該手法を利用することによって、マーク像を確実に確認することができる。
また、光源12を備え、観察用光学系13は、光源12から出力された光を基板SiE側から半導体デバイスDに照射するとともに、照射された光に応じて半導体デバイスDから反射された光を2次元カメラ15に伝達している。これにより、半導体デバイスDに光を照射してパターン画像を生成する手法を利用することができる。当該手法を利用することによって、マーク像を確実に確認することができる。
[第1実施形態の変形例]
次に、図7を参照して、第1実施形態の変形例に係る検査装置1Cについて説明する。なお、本実施形態の説明では上述した第1実施形態と異なる点について主に説明する。
図7に示されるように、第1実施形態の変形例に係る検査装置1Cは、検査装置1に比較して光源12(第2の光源)を備えず、2次元カメラ15の代わりに赤外カメラ15B(光検出器)を備えている点で異なる。また光源12を備えないため、観察用光学系13Cはビームスプリッタを備えなくともよい。赤外カメラ15Bは、半導体デバイスDからの熱線を撮像し、測定画像を生成する。当該測定画像に応じた赤外画像により、半導体デバイスDにおける発熱箇所を特定することができる。発熱箇所を特定することにより、半導体デバイスDの故障個所を特定することができる。熱線を計測する場合には、赤外カメラ15BとしてInSbカメラ等が用いられる。なお、熱線とは、波長2μm〜10μmの光である。また、半導体デバイスDからの熱線を撮像することで、半導体デバイスDの輻射率の分布を示す画像を取得することができる。
計算機21Cの解析部21zは、上述した測定画像に基づいて赤外画像を生成する。また、解析部21zは、検出信号に基づいてパターン像を生成する。そして、解析部21zは、パターン像に赤外画像を重畳させた重畳画像を解析画像として生成する。解析画像から故障個所を特定する処理については、第1実施形態と同様である。
赤外カメラ15Bによって半導体デバイスDからの熱線を計測し、解析部21zにおいて赤外画像を生成する手順の詳細について説明する。まず、テスタユニット11によってテストパターンなどの刺激信号が印加されている状態で、赤外カメラ15Bによって半導体デバイスDの発熱を含む第1の測定画像が取得される。この第1の測定画像は、所定の露光時間で連続的に撮像された複数枚の画像データが計算機21Cに送られ、解析部21zにおいて当該複数枚の画像データが加算されることにより生成される。第1の測定画像は半導体デバイスDの発熱と半導体デバイスDを形成する素子の形状の情報を併せ持つ。次に、テスタユニット11による刺激信号の印加が停止された状態で、赤外カメラ15Bによって半導体デバイスDの形成する素子の形状の情報のみを含む第2の測定画像が取得される。第2の測定画像も、第1の測定画像と同様に、所定の露光時間で連続的に撮像された複数枚の画像データが計算機21Cに送られ、解析部21zにおいて当該複数枚の画像データが加算されることにより生成される。第2の測定画像は半導体デバイスDを形成する素子の形状の情報のみを持つ。そして、解析部21zにおいて第1の測定画像から第2の測定画像を差分処理することにより、半導体デバイスDの発熱のみを含む赤外画像を生成する。解析部21zは、第2の測定画像に赤外画像を重畳させた重畳画像又は第1の測定画像を解析画像として、第2の測定画像をパターン像として生成する。解析画像から故障個所を特定する処理については、第1実施形態と同様である。
マーキング処理中においては、観察用光学系13は半導体デバイスDからの熱線を赤外カメラ15Bに伝達する。赤外カメラ15Bは、熱線を検出し画像データ(検出信号)を計算機21Cに出力する。そして、解析部21zは上述したように、画像データに基づいてパターン画像を生成する。パターン画像を生成した後の処理については、第1実施形態と同様である。
[第2実施形態]
次に、図5を参照して、第2実施形態に係る検査装置1Aについて説明する。なお、本実施形態の説明では上述した第1実施形態と異なる点について主に説明する。
図5に示されるように、第2実施形態に係る検査装置1Aでは、半導体デバイスDに対して電源51から電圧が印加されている。そして、光源12Aから光が出力され、当該光が観察用光学系13Aを介して半導体デバイスDの基板SiEすなわち裏面D1に照射される。
光源12Aから出力される光は、レーザ光のようなコヒーレントな光でもよい。コヒーレントな光を出力する光源12Aとしては、固体レーザ光源や半導体レーザ光源等を用いることができる。OBIRCH(Optical Beam Induced Resistance Change)画像やSDL(Soft Defect Localization)画像を取得する場合の光源12Aは、半導体デバイスDが電荷(キャリア)を発生しない波長帯のレーザ光を出力し、例えば半導体デバイス2がシリコンを材料とするものである場合の光源12Aは、1200nmより大きく、好ましくは1300nm程度の波長帯のレーザ光を出力する。また、OBIC画像やLADA(Laser Assisted Device Alteration)画像を取得する場合の光源12Aは、半導体デバイス2が電荷(キャリア)を発生する波長域の光を出力する必要があり、1200nm以下の光を出力し、例えば1064nm程度の波長帯のレーザ光を出力する。光源12Aから出力される光は、インコヒーレント(非コヒーレント)な光でもよい。インコヒーレントな光を出力する光源12Aとしては、SLD(Super Luminescent Diode)、ASE(AmplifiedSpontaneous Emission)、及びLED(Light Emitting Diode)等を用いることができる。光源12Aから出力された光は、偏光保存シングルモード光カプラ(図示せず)、及び、プローブ光用の偏光保存シングルモード光ファイバを介して観察用光学系13Aに導かれ、半導体デバイスDに照射される。観察用光学系13Aは、光走査部16及び対物レンズを有している。光走査部16は、半導体デバイスDの裏面D1上の照射スポットを走査する。光走査部16は、例えばガルバノミラーやMEMSミラー等の光走査素子によって構成されている。対物レンズは、光走査部16によって導かれた光を照射スポットに集光する。
半導体デバイスDに電気的に接続された電気信号検出器52では、レーザ光に応じて半導体デバイスDで生じた電気信号が検出される。電気信号検出器52は、検出した電気信号に応じた電気信号特性値を計算機21Aに出力する。また、光センサ15A(光検出器)は、レーザ光に応じた半導体デバイスDの反射光を検出し、検出信号を計算機21Aに出力する。光センサ15Aは、例えば、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、光電子増倍管、又はエリアイメージセンサ等である。
計算機21Aの解析部21xは、電気信号特性値を、制御部21bが制御する光走査部16に応じたレーザ光の走査位置に関連づけて画像化した電気信号画像を生成する。また、解析部21xは、検出信号に基づいて光学反射像を生成する。そして、解析部21xは、光学反射像に電気信号画像を重畳させた重畳画像を解析画像として生成する。解析画像から故障個所を特定する処理については、第1実施形態と同様である。
電気信号画像とは、例えば、光起電流画像であるOBIC画像、電気量変化画像であるOBIRCH画像、正誤情報画像であるSDL画像、及びLADA画像等である。OBIC画像とは、レーザ照射によって生じた光起電流を検出し、光起電流の電流値又は電流変化値を電気信号特性値として画像化した画像である。OBIRCH画像とは、半導体デバイスDに一定の電流を印加した状態でレーザ照射することにより、半導体デバイスDにおける照射位置の抵抗値を変化させ、当該抵抗値の変化に応じた電圧値又は電圧の変化値を電気信号特性値として画像化した画像である。なお、OBIRCH画像は、半導体デバイスDに一定の電圧を印加した状態でレーザ照射することにより、半導体デバイスDにおける照射位置の抵抗値を変化させ、当該抵抗値の変化に応じた電流の変化値を電気信号特性値として画像化した画像であってもよい。SDL画像は、半導体デバイスDにテストパターンなどの刺激信号を印加した状態でキャリアが励起されない波長のレーザを照射して誤動作状態を検出し、当該誤作動状態に係る情報(例えばPASS/FAIL信号)を電気信号特性値として輝度カウントに変換し、情報画像化した画像である。LADA画像は、半導体デバイスDにテストパターンなどの刺激信号を印加した状態でキャリアを励起するような波長のレーザを照射して誤動作状態を検出し、当該誤作動状態に係る情報(例えばPASS/FAIL信号)を電気信号特性値として輝度カウントに変換し、情報画像化した画像である。
マーキング処理中においては、光源12Aが、半導体デバイスDの裏面D1側に照射される光を出力する。そして、観察用光学系13は、光源12Aから出力された光を半導体デバイスDの裏面D1に照射する。観察用光学系13は、照射された光に応じた半導体デバイスDからの反射光を光センサ15Aに伝達する。光センサ15Aは、反射光を検出し検出信号を計算機21Aに出力する。そして、解析部21xは、検出信号に基づいて光学反射像であるパターン画像を生成する。パターン画像を生成した後の処理については、第1実施形態と同様である。
[第3実施形態]
次に、図6を参照して、第3実施形態に係る検査装置1Bについて説明する。なお、本実施形態の説明では上述した第1実施形態及び第2実施形態と異なる点について主に説明する。
第3実施形態に係る検査装置1Bは、EOP又はEOFM(Electro-Optical Frequency Mapping)と称される光プロービング技術により故障位置を特定する。
第3実施形態に係る検査装置1Bでは、光源12Aからの光が半導体デバイスDに走査され、半導体デバイスDからの反射光が光センサ15Aに検出される。当該反射光が計算機21Bに出力され、解析部21yによって光学反射像が生成される。次に、テスタユニット11から半導体デバイスDに対してテストパターンなどの刺激信号が繰り返し印加された状態において、表示部22に表示された光学反射像に基づきユーザが選択して入力部23により入力された照射スポットに、光源12Aから出力された光が照射される。光源12Aから出力される光の波長は、例えば530nm以上であり、好ましくは1064nm以上である。そして、半導体デバイスD内の素子の動作に伴って変調された反射光が光センサ15Aにおいて検出され、検出信号として計算機21Bに出力される。解析部21yでは、検出信号に基づき信号波形が生成され、表示部22に当該信号波形が表示される。そして、上述した光学反射像に基づき照射スポットを変えながら観察した当該信号波形から故障個所を探すことによって、上述した光学反射像を解析画像として用いることができる。
また、解析部21yは、検出信号とテストパターンなどの刺激信号との位相差情報を、照射位置に関連づけて画像化した電気光学周波数マッピング画像(EOFM画像)を生成してもよい。この場合、位相差情報は、検出信号から抽出したAC成分から求めることができる。また、AC成分と同時に抽出したDC成分を照射位置に関連づけて画像化することにより光学反射像を得ることができる。そして、光学反射像にEOFM画像を重畳させた重畳画像を解析画像として用いることができる。
[第3実施形態の変形例]
次に、図8を参照して、第3実施形態の変形例に係る検査装置1Dについて説明する。なお、本実施形態の説明では上述した第3実施形態と異なる点について主に説明する。
第3実施形態の変形例に係る検査装置1Dは、光磁気プロービング技術により故障位置を特定する。図8に示されるように、第3実施形態の変形例に係る検査装置1Dは、検査装置1Bに比較して、磁気光学結晶(MO結晶)17を備え、また、観察用光学系13Bが光分割光学系18を備えている点で異なる。磁気光学結晶17は半導体デバイスDに対して任意に配置できる構成となっている。初めに、検査装置1Dでは、磁気光学結晶17を対物レンズ及び半導体デバイスDの間に配置しない構成に切り替え、第2実施例や第3実施例のように、光学反射像を生成することができる。次に、磁気光学結晶17を対物レンズ及び半導体デバイスDの間に配置する構成に切り替え、テストパターンなどの刺激信号が印加されている半導体デバイスDに磁気光学結晶17を当接させる。そして、光源12Aからの光が、光分割光学系18および光走査部16を介して磁気光学結晶17に照射され、その反射光が光センサ15Aに検出される。半導体デバイスDでは、テストパターンなどの刺激信号の印加によって電流が流れると、周囲の磁界が変化して磁気光学結晶17で反射される光の偏光状態が変化する。偏光状態の変化に応じて強度が変化した光は、光分割光学系18を介して光センサ15Aに入力される。このように、偏光状態の変化に応じて強度が変化した光が光センサ15Aによって検出され、検出信号として計算機21Bに出力されることにより、磁気光学画像が生成される。そして、光学反射像に磁器光学画像を重畳させた重畳画像を解析画像として用いてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、レーザ光がメタル層MEを貫通し、基板SiEにおけるメタル層MEに接する面が露出する程度までレーザマーキングが行われるとして説明したがこれに限定されず、レーザマーキングによる穴の深さはマーク像がパターン画像に現れる程度であればよい。具体的には、例えば、メタル層MEを貫通し基板SiEにおけるメタル層MEに接する面が露出した後も更にレーザマーキングが行われてもよい。例えばメタル層MEの厚さが10μm、基板SiEの厚さが500μmである場合に、基板SiEにおけるメタル層MEに接する面から更に1μm程度深く、レーザマーキングによる穴が形成されてもよい。また、レーザマーキングは必ずしもメタル層MEを貫通するように行われなくてもよい。例えばメタル層MEの厚さが10μm、基板SiEの厚さが500μmである場合に、レーザマーキングによる穴が形成された箇所のメタル層MEの厚さが50nm程度となり、穴が基板SiEにおけるメタル層MEに接する面に到達しなくてもよい。
また、パターン画像の生成はレーザマーキングが行われている間に行われるとして説明したがこれに限定されない。すなわち、例えば、レーザ光の出力が停止しているときに、パターン画像が生成されてもよい。この場合、レーザ光の出力と、レーザ光の停止すなわちパターン画像の生成とが、所定の間隔で交互に行われてもよい。
また、レーザ光源31から出力されるレーザ光の波長が1000ナノメートル以上の場合は、観察用光学系13(13A、13B)は、当該波長のレーザ光のみを遮る光学フィルタを有してもよい。このため、レーザ光源31から出力されたレーザ光が半導体デバイスDの基板SiEを透過した場合であっても、当該レーザ光が観察用光学系13において遮光されるので、レーザ光によって2次元カメラ15等の光検出器が破壊されることを抑制することができる。
また、レーザ光源31から出力されるレーザ光の波長が1000ナノメートル未満であってもよい。この場合、例えば半導体デバイスDがシリコン基板などの基板により構成されている場合には、基板にレーザ光が吸収されることとなるので、上記光学フィルタ等を備えることなく、2次元カメラ15等の光検出器がレーザ光により破壊されることを抑制することができる。
また、テスタユニット11を用いて半導体デバイスDに刺激信号を印加することに限らず、半導体デバイスDに電圧や電流を印加する装置を刺激信号印加部として用いて半導体デバイスDに刺激信号を印加してもよい。
本発明の一側面に係る検査装置は、基板上にメタル層が形成された半導体デバイスにレーザマーキングを行う装置であって、レーザ光を出力する第1の光源と、第1の光源が出力したレーザ光を、メタル層側から半導体デバイスに照射するレーザマーキング用光学系と、レーザマーキングを制御するマーキング制御部と、半導体デバイスの基板側に配置され、半導体デバイスからの光を伝達する観察用光学系と、観察用光学系を介して半導体デバイスからの光を検出して検出信号を出力する光検出器と、検出信号に基づいて半導体デバイスのパターン画像を生成する画像処理部と、を備え、マーキング制御部は、レーザマーキングによって形成されるマーク像がパターン画像に現れるまでレーザマーキングが行われるように、レーザ光の照射を制御する。
また、本発明の一側面に係る検査方法は、基板上にメタル層が形成された半導体デバイスにレーザマーキングを行う方法であって、メタル層側から半導体デバイスにレーザ光を照射してレーザマーキングを行うステップと、半導体デバイスの基板側に配置された観察用光学系を用いて、半導体デバイスからの光を光検出器に導くステップと、半導体デバイスからの光に応じて光検出器から出力された検出信号に基づいて、半導体デバイスのパターン画像を生成するステップと、を含み、レーザマーキングを行うステップでは、レーザマーキングによって形成されるマーク像がパターン画像に現れるまで、レーザ光の照射が実行される。
この検査装置及び検査方法では、半導体デバイスのメタル層側からレーザ光が照射される。また、半導体デバイスの基板側に配置された観察用光学系を用いて、半導体デバイスからの光が検出され、当該検出に係る検出信号から半導体デバイスのパターン画像が生成される。そして、パターン画像に、レーザマーキングによって形成されるマーク像が現れるまで、レーザマーキングが実行される。このように、基板側において検出された半導体デバイスからの光に応じたパターン画像にマーク像が現れるまでレーザマーキングが行われるので、基板側からもマーキング位置を確認することが可能となる。また、パターン画像にマーク像が現れるまでレーザマーキングが行われるので、パターン画像を確認することによって、故障個所の位置に対するマーキング位置を正確に把握することができる。従って、半導体デバイスのメタル層側からレーザマーキングを行う場合でも、基板側からマーキング位置を観察可能とすることで、故障個所の位置に対するマーキング位置を正確に把握することができる検査装置及び検査方法を提供することができる。
また、本発明の一側面に係る検査装置において、マーキング制御部は、レーザ光がメタル層を貫通するまでレーザマーキングが行われるように、レーザ光の照射を制御してもよい。また、本発明の一側面に係る検査方法において、レーザマーキングを行うステップは、レーザ光がメタル層を貫通するまでレーザマーキングを行うことを含んでもよい。これにより、例えば故障解析における後工程すなわちレーザマーキング後において、メタル層を削って故障個所を解析する場合であっても、確実にマーキング位置を確認することができる。
また、本発明の一側面に係る検査装置において、画像処理部は、レーザ光によるレーザマーキングが行われている間にパターン画像を生成してもよい。また、本発明の一側面に係る検査方法において、パターン画像を生成するステップは、レーザマーキングが行われている間にパターン画像を生成することを含んでもよい。これにより、レーザマーキングを行いながらマーク像の形成を確認することができ、パターン画像によってマーキング位置が把握できるまでレーザマーキングを実行することができる。
また、本発明の一側面に係る検査装置において、照明光を出力する第2の光源を更に備え、光検出器は、観察用光学系を介して半導体デバイスにおいて反射された当該照明光を撮像する2次元カメラであってもよい。これにより、半導体デバイスからの発光などを検出するための光学系や光検出器を用いて、半導体デバイスのパターン画像を取得することができるので、パターン画像において故障個所の位置に対するマーキング位置を正確に把握することができる。
また、本発明の一側面に係る検査装置において、光検出器は、半導体デバイスからの熱線を撮像する赤外カメラであってもよい。赤外カメラを有することにより、発熱計測など、半導体デバイスからの熱線を検出するための光検出器を用いて、半導体デバイスのパターン画像を取得できるので、パターン画像において故障個所の位置に対するマーキング位置を正確に把握することができる。
また、本発明の一側面に係る検査装置において、光を出力する第2の光源を更に備え、観察用光学系は光走査部を有し、第2の光源から出力された光を基板側から半導体デバイスに走査するとともに、当該走査された光に応じて半導体デバイスから反射された光を光検出器に伝達してもよい。これにより、OBIC計測及びEOP(Electro Optical Probing)計測など、半導体デバイスに光を照射するための観察用光学系や光検出器を用いて、半導体デバイスのパターン画像を取得できるので、パターン画像において故障個所の位置に対するマーキング位置を正確に把握することができる。
また、本発明の一側面に係る検査装置及び検査方法において、レーザ光の波長は、1000ナノメートル以上であり、観察用光学系は、レーザ光の波長を含む光を遮る光学フィルタを有してもよい。これにより、第1の光源から出力されたレーザ光が半導体デバイスの基板を透過した場合であっても、当該レーザ光が観察用光学系において遮光されるので、レーザ光によって光検出器が破壊されることを抑制することができる。
また、本発明の一側面に係る検査装置及び検査方法において、レーザ光の波長は、1000ナノメートル未満であってもよい。これにより、例えば半導体デバイスがシリコン基板などの基板により構成されている場合には、基板にレーザ光が吸収されることとなるので、レーザ光により光検出器が破壊されることを抑制することができる。