JP6150648B2 - 被検体情報取得装置及び被検体情報取得システム - Google Patents

被検体情報取得装置及び被検体情報取得システム Download PDF

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Description

本発明は被検体情報取得装置及び被検体情報取得システムに関する。
X線位相イメージングは、被検体によるX線の位相変化を検出し、その検出結果に基づいて被検体に関する画像を得る方法である。X線位相イメージングの1つの方法として、特許文献1に記載されているような、被検体によるX線の位相変化によってX線が屈折することを利用し、被検体によるX線の屈折量を検出することでX線の位相変化に関する情報を取得する方法が提案されている。
この方法の原理を簡単に説明する。この方法は、まずX線を遮蔽する遮蔽部とX線を透過する透過部とを有する分割素子により空間的にX線を分割する。分割されたX線はX線ビームになる。このX線ビームを被検体に照射し、被検体を透過したX線ビームをX線検出器(以下、単に検出器という場合がある。)で検出する。これにより、検出器上に入射するX線ビームの位置が被検体によってどれだけ移動したかが分かり、その移動量から被検体によるX線の屈折に関する情報を求めることができる。尚、被検体をX線源と分割素子の間に配置し、被検体によって屈折したX線を分割素子により分割しても良い。
上述の方法でX線位相イメージングを行う場合、一般的に小さい幅のX線ビームを用いた方がX線位相検出感度が向上する。それは、被検体により生じるX線の屈折量はX線ビームの幅に依存しないため、X線ビームの幅に対するX線ビームの移動量はX線ビームの幅が小さいほど大きいからである。
X線ビームの幅を小さくするためには、X線源の実効焦点(以下、単に焦点というときは実効焦点を指す。)サイズを小さくすれば良い。しかし、一般的なX線源ではX線発生中に焦点(以下、X線焦点ともいう)が振動する。このX線焦点の振動は見かけ上のX線焦点面積の増大につながる。X線焦点の振動は、対陰極に電子が印加される際に発生する熱による対陰極の膨張及び冷却による収縮、回転対陰極を支える回転軸のブレ、X線源本体の振動などに起因しているため、完全に取り除くことは難しい。本明細書では、X線源の経年劣化などによる特定の周期を持たないX線焦点の移動も振動として扱う。また、対陰極に電子を印加すると、対陰極を構成する原子と印加電子との相互作用で、印加電子が対陰極の内部で散乱する。印加電子の散乱でX線焦点に輝度斑が生じるため、実効焦点サイズが小さくなるほど強度分布が矩形型から正規分布型に近づいていく。本明細書ではX線焦点の輝度が弱い部分を裾と呼ぶ。裾の影響で、検出器上に投影される個々のX線ビームの幅が広がり、隣り合うX線ビームに重なる部分が生じる。検出器上に投影される隣り合うX線ビームが重なると、個々のX線ビームの移動量を検出する妨げとなる。X線焦点の裾も振動量と同様に実効焦点サイズに依存しないため、実効焦点サイズが小さくなるほど、X線焦点の裾がX線ビームの幅に与える影響は相対的に大きくなる。
特許文献2には、X線焦点の振動によるX線焦点面積の見かけ上の増大を軽減するために、対陰極に印加している電子の印加周期を対陰極の回転周期と同期させたX線撮像装置が開示されている。また、特許文献2には、X線源の外に対陰極の回転周期と同じ周期で開閉するシャッターを設けたX線撮像装置が開示されている。
特表2010−502977 特開2011−200532
しかしながら、特許文献2に開示されているX線撮像装置は、X線源の対陰極の回転周期と等しい焦点の振動に関しては解決するが、対陰極への印加電子の散乱による影響について考慮していない。
そこで本発明は、X線ビームを用いて被検体の情報を取得する装置において、X線源の対陰極へ印加された電子の散乱によるX線ビームの幅の増大を軽減することを目的とする。
その目的を達成するために、本発明の一側面としての被検体情報取得装置は、X線透過部とX線遮蔽部とを有し、X線源からの発散X線を分割して複数の1次X線ビームを形成する第1分割素子と、X線透過部とX線遮蔽部とを有し、前記複数の1次X線ビームのそれぞれの少なくとも一部を遮蔽して複数の2次X線ビームを形成する第2分割素子と、前記複数の2次X線ビームを検出するX線検出器とを備え、前記複数の1次X線ビームのそれぞれは前記第2分割素子の前記複数のX線透過部のそれぞれにおいて重ならず、前記複数の1次X線ビームのそれぞれの端部は前記第2分割素子の前記X線遮蔽部に入射するように、前記第1の分割素子と前記第2の分割素子とが配置されることを特徴する。
本発明のその他の側面については、以下で説明する実施の形態で明らかにする。
X線ビームを用いて被検体の情報を取得する撮像装置において、X線源の対陰極へ印加された電子の散乱によるX線ビームの幅の増大を軽減することができる。
本発明の実施形態1に係る被検体情報取得装置の模式図。 本発明の実施形態1に係るX線焦点と分割素子の位置関係の模式図。 本発明の実施形態1係るX線焦点と分割素子の位置関係の模式図。 本発明の比較例に係るX線焦点と分割素子の位置関係の模式図。 本発明の比較例に係るX線焦点と分割素子の位置関係の模式図。 本発明の実施形態1に係るX線焦点と分割素子の位置関係の拡大図。 本発明の実施形態2に係る被検体情報取得装置の模式図。 本発明の実施形態2に係る被検体情報取得装置の模式図。 本発明の実施形態2に係るX線焦点と分割素子の位置関係の拡大図。 本発明の比較例に係るX線焦点と分割素子の位置関係の拡大図。 本発明の実施例2に係る分割素子とX線ビームの模式図。 コリメータを導入した被検体情報取得装置の模式図。
本願の発明者は、X線焦点の振動による見かけ上のX線焦点面積の増大と、X線源の対陰極に印加した電子の散乱によるX線発生領域の増大によるX線ビーム幅の増大を軽減するために、図12に示すような被検体情報取得装置を考えた。図12の被検体情報取得装置は、X線焦点116と分割素子103の間にコリメータ301を導入したものである。尚、本明細書では、コリメータは1つの開口を有するものとする。コリメータ301を導入することで、X線検出器108上に入射するX線ビーム127に寄与するX線を射出するX線焦点116の領域を狭くすることができる。これにより、X線焦点の振動と印加電子の散乱によるX線ビーム幅の増大を軽減することができる。
焦点と印加電子の散乱によりX線を発生する領域から射出されるX線の強度分布を考えたとき、印加電子の散乱によりX線を発生する領域から射出されるX線の強度分布は焦点から射出されるX線の強度分布の裾のような形になることが多いためである。本明細書では、X線焦点116の強度分布の最大値に対して強度が50%以上の範囲を焦点とし、強度が50%より小さく、0%より大きい範囲を裾と呼ぶ。従来の被検体情報取得装置ではこの裾の影響により、X線照射ムラが生じたりすることもあった。
また、この手法を用いれば、特許文献2に記載されているような回転型対陰極を有するX線源だけでなく、固定型対陰極又は透過型対陰極有するX線源を用いることができる。
しかしながら、開口が1つしかないコリメータ301で写野(撮像範囲)を稼ぐには、X線焦点116からコリメータ301までの距離を数mm程度に設計する必要がある。例えば、X線焦点116の実効焦点サイズが300um、X線焦点116から分割素子103までの距離を100cm、写野を30cmと仮定すると、X線焦点116からコリメータ301までの距離は約1mmとなる。
しかし、固定型対陰極や回転型対陰極のX線源101においてX線焦点116から1mmの位置にコリメータ301を設置すると、X線源101の印加電子の集束を妨げたり放電が発生したりする可能性がある。これらを防ぐためには、X線焦点116からコリメータ301の距離は、管球の大きさにもよるが、たとえば5cm以上にする必要があり、その時の写野は5mm程度まで小さくなってしまう。
そこで、本願の発明者は、開口部を1つ有するコリメータではなく、複数有する分割素子をX線焦点と分割素子の間に配置する被検体情報取得装置を発明した。これにより、X線焦点の振動と印加電子の散乱に起因するX線ビーム幅の増大を軽減しつつ、コリメータを用いたときよりも写野を拡大することができる。
以下に、本発明の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて説明する。なお、各図において、同一の参照番号を付してあるものは同一の部材であり、重複する説明は省略する。
尚、本発明及び本明細書では実施形態の計算及びモデルを単純化するために分割素子をX線が透過するときのフレネル回折は考慮しない。また、1つの被検体情報取得装置の中に複数の分割素子を用いるときは、X線源およびX線焦点に近い順に第1分割素子、第2分割素子、第3分割素子、第4分割素子と呼ぶ。
(実施形態1)
実施形態1に係る被検体情報取得装置の模式図を図1に示す。尚、被検体情報取得装置は、被検体の情報を取得すればよく、被検体の像を取得するものに限られない。
被検体情報取得装置100は、X線源101からの発散X線102を分割して1次X線ビーム104(104a〜g)を形成する第1分割素子103、1次X線ビーム104から2次X線ビーム107(107a〜g)を形成する第2分割素子105を備える。更に、被検体情報取得装置100は第2分割素子105により形成された2次X線ビーム107を検出する検出器108を備える。尚、図1の被検体情報取得装置100は分割素子を2つのみ備えるため、2次X線ビーム107が検出器108に入射する。しかし、被検体情報取得装置が3つ以上の分割素子を備える場合は、検出器に最も近い分割素子により形成されたX線ビームが検出器に直接入射する。本発明及び本明細書においては、このように、2次X線ビームが検出器に直接入射しない場合であっても、検出器は間接的に2次X線ビームを検出しているとみなす。よって、本発明及び本明細書において、2次X線ビームを検出するとは、2次ビームを用いて形成された3次X線ビーム又は3次以上のX線ビームを検出することも含む。また、被検体情報取得装置100は、第1分割素子103と第2分割素子105それぞれの移動手段として第1の移動部111と第2の移動部112も備えている。尚、図1では被検体106は第2分割素子105と検出器108の間に配置しているが、X線源101と検出器108の間であればどこに配置しても良く、第1分割素子103と第2分割素子105の間やX線源101と第1分割素子103の間に配置しても良い。
また、この被検体情報取得装置100と、X線源101と、検出器による検出結果に基づいて被検体の情報を算出する演算装置としての計算機114とが、本実施形態に係る被検体情報取得システムを構築している。
X線源101はX線焦点116を有し、発散X線を第1分割素子に照射するものであれば良い。上述のように、対陰極として回転型対陰極、固定型対陰極又は透過型対陰極のいずれも用いることができる。また、本明細書では、X線源101が有するX線焦点116と検出器108を結ぶ最短距離の軸を光軸150と呼ぶ。
第1分割素子103は、X線透過部(以下、単に透過部ということがある。)と、X線遮蔽部(以下、単に遮蔽部ということがある)を有し、X線源からの発散X線102を空間的に分割して複数の1次X線ビーム104を形成する。本実施形態に用いられる第1分割素子103は、医療用レントゲン装置において被検体を撮像する際に発生する散乱X線を除去するために使用する集束型グリッドと同様の構造を持つ。この構造は、X線の透過率が高い軽元素で作られたX線透過部とX線の透過率が低い重元素で作られたX線遮蔽部が交互に配置されている構造である。X線透過部を構成する材料としては例えばアルミニウム、紙、合成樹脂などが用いられ、X線遮蔽部を構成する材料としては例えば白金、金、鉛、タンタル、タングステンなどが用いられる。また、X線遮蔽部同士の間隔を維持することができればX線透過部が空孔であっても良い。第2分割素子105も第1分割素子103と同様の構造であり、同様の材料から構成することができる。但し、それぞれの分割素子の透過部と遮光部を構成する材料が一致する必要はない。
分割素子のX線透過部の幅をGa、X線遮蔽部の幅をGb、分割素子の厚さをtとそれぞれ表す。特に、本実施形態に用いる第1分割素子103のX線透過部の幅をGa1、X線遮蔽部の幅をGb1、分割素子の厚さをt1、第2分割素子105のX線透過部の幅をGa2、X線遮蔽部の幅をGb2、分割素子の厚さをt2としてそれぞれ表す。尚、X線透過部の幅とX線遮蔽部の幅は、分割素子のX線源側の面に接し且つ光軸に垂直な平面におけるX線透過部とX線遮蔽部の配列方向に対するそれぞれの長さである。また、分割素子の厚さとは光軸に対する分割素子の長さである。また、本明細書では分割素子のX線源側(光路の上流側)の面を表面、検出器側(光路の下流側)を裏面と呼ぶ。
本実施形態に用いられる第1分割素子103は、Ga1が1μm〜200μm、Gb1が2μm〜390μm、Ga1+Gb1が5μm〜400μm、t1が10μm〜2mmの範囲内であることが好ましい。同様に、第2分割素子105は、Ga2が1μm〜200μm、Gb2が2μm〜990μm、Ga2+Gb2が5μm〜1000μm、t2が10μm〜2mmの範囲内であることが好ましい。
本実施形態において第1分割素子103で分割された1次X線ビーム104が第2分割素子105に入射して2次X線ビームを形成する様子を示す模式図を、図2と図3((a)、(b))に示す。
本実施形態を簡単に説明するため、図2と図3においては、1次X線ビームとして104aと104bの2本のみを図示している。なお、本実施形態では他の1次X線ビームも、図2と図3に示す2本のビームと同様に第2分割素子105上に投影される。
図2では、1次X線ビーム104aが第2分割素子の透過部125aを透過して2次X線ビーム107aを形成し、1次X線ビーム104bが第2分割素子の透過部125bを透過して2次X線ビーム107bを形成している。図2では隣り合う1次X線ビーム104aと1次X線ビーム104bが第2分割素子の表面で重なり合い、2つの1次X線ビームのそれぞれの端部124(124a,124b)が、第2分割素子105の1つの遮蔽部に入射している。尚、X線ビームの端部とは分割素子の周期方向に平行な面において、X線ビームの輪郭の少なくとも一部を有する部分である。更に、分割素子の周期方向に平行な全ての面においてX線ビームの端部が遮蔽部に入射することが好ましい。
図3でも図2と同様に1次X線ビーム104aが第2分割素子の透過部125aを透過して2次X線ビーム107aを形成し、1次X線ビーム104bが第2分割素子の透過部125bを透過して2次X線ビーム107bを形成している。また、2つの1次X線ビームのそれぞれの端部が、第2分割素子105の1つの遮蔽部に入射することも図2に示した状態と同じである。図2との相違点は、隣り合う1次X線ビーム104aと1次X線ビーム104bが第2分割素子の表面で重ならず、間隙があることである。図3(a)のように隣り合う1次X線ビーム104a、104bが第2分割素子の隣り合う透過部125a,125bに入射しても良いし、図3(b)のように隣り合う1次X線ビーム104a、104bが第2分割素子の隣り合わない透過部に入射しても良い。
図4と図5は本実施形態ではなく、比較例を示す図である。
図4と図5に示した比較例も、第1分割素子、1次X線ビームと第2分割素子それぞれの一部を示した図であり、図示していない領域も同様であるものとする。
図4では、1次X線ビーム104a〜cが第2分割素子の表面で交差し、X線ビーム104a〜cのそれぞれが第2分割素子の透過部を3つ跨いでいる。第2分割素子の透過部125cには3本の1次X線ビーム104a〜cが入射している。そのため、1次X線ビーム104aからは2次X線ビーム107cが、1次X線ビーム104bからは2次X線ビーム107dが、1次X線ビーム104cからは2次X線ビーム107eが、それぞれ形成される。
図5では、1次X線ビーム104の端部が、第2分割素子105の透過部上に投影されている。
図2と図3の状態では、X線焦点116の位置の振動が特定の範囲であれば、2次X線ビーム107が受けるX線焦点116の振動と印加電子の散乱による影響は無視できる。ここで言う特定の範囲とは、図2の状態であれば隣り合う1次X線ビーム104a、104bの第2分割素子表面において重なっている部分が第2分割素子の透過部に入射しない範囲のことを指す。また、図3の状態であれば1次X線ビームの端部が第2分割素子の透過部に入射しない範囲のことを指す。
図4の状態でも図2と図3の状態と同様に、X線焦点116の位置の振動が特定の範囲であれば、2次X線ビーム107が受けるX線焦点116の振動と印加電子の散乱による影響は無視できる。しかし、第2分割素子の1つのX線透過部(例えば125c)から複数のX線ビーム107(例えば107c〜e)が生じる。1つのX線透過部から複数の2次X線ビーム107が生じると、図4の107cと107fのように第2分割素子から検出器108の間で2次X線ビームが交差したり重なったりしやすくなる。このように2次X線ビームが交差又は重なると、2次X線ビームがそれぞれ被検体のどこを透過し、検出器上のどこに入射するのかが複雑になり、被検体の情報を算出することが難しくなる。特に、図4に示したように被検体の異なる位置を透過した2次X線ビーム107c、107fが検出器上で重なると、それぞれの2次X線ビームの(被検体による)位置ズレ量を得ることが困難である。そのため、被検体のうち2次X線ビーム107cが透過した領域の情報と、2次X線ビーム107fが透過した領域の情報とが混在し、得られる画像にボケが生じることがある。
一方、図5の状態では、X線焦点116の振動が発生すると、X線ビーム104bの端部が入射する第2分割素子の透過部125dから射出されるX線ビーム107gの幅が変化するため検出器108の検出結果から被検体の情報を算出することが難しくなる。
尚、1次X線ビーム104の端部が、第2分割素子105の遮蔽部と透過部の境界上に投影されている場合、1次X線ビーム104の端部が第2分割素子の遮蔽部の方向へ移動するようにX線焦点116の振動が発生すれば2次X線ビームの幅は変化しない。そのため、1次X線ビーム104の端部は、第2分割素子105の遮蔽部と透過部の境界上に投影されていても良い。そのため、本発明及び本明細書では、複数の1次X線ビームの夫々の端部が第2の分割素子の遮蔽部と透過部の境界上に投影されていても、複数の1次X線ビームの夫々の端部が第2分割素子の遮蔽部に入射するということとする。
しかし、X線焦点の振動量のブレや、X線源と第1分割素子と第2分割素子との配置ズレ等が生じる可能性を考慮すると、1次X線ビーム104の端部が、第2分割素子105の遮蔽部に入射する方が好ましい。
これらのことから、本実施形態の被検体情報取得装置は、複数の1次X線ビームが第2分割素子の透過部において重なり合わず、複数の1次X線ビームの夫々の端部は第2分割素子の遮蔽部に入射する。これにより、図4に示したように第2分割素子の1つの透過部から複数の2次X線ビームが形成されることと、図5に示したようにX線焦点の振動により2次X線ビーム幅が変化することを防ぐことができる。尚、2次元の分割素子を用いた本実施形態の場合、2つの周期方向のそれぞれにおいて複数の1次X線ビームが第2分割素子の透過部において重なり合わず、複数の1次X線ビームの夫々の端部は第2分割素子の遮蔽部に入射する。
上述の被検体情報取得装置を得るための分割素子の条件を説明する。X線遮蔽部とX線透過部が1次元に配列された1次元分割素子を第1分割素子と第2分割素子として用いる場合を例に説明する。第1分割素子と第2分割素子として1次元分割素子を用いる場合、第1分割素子と第2分割素子に求められる条件は2つある。1つは光軸に沿ったz軸方向における第1分割素子と第2分割素子を配置する位置に関する条件である。もう1つは、x軸方向における第1分割素子と第2分割素子を配置する位置に関する条件である。尚、x軸とはz軸に垂直なxy平面上における分割素子の配列方向に対応する方向に沿った軸を指す。ここで、分割素子の配列方向とはX線透過部とX線遮蔽部の配列方向であり、その配列方向に対応する方向とは、分割素子の配列方向をX線源側からxy平面上に投影した方向のことを指す。つまり、分割素子がz軸に対して傾いていても分割素子の配列方向に対応する方向はxy平面上に存在する。
まず、z軸方向における第1分割素子と第2分割素子の配置位置の条件について説明をする。
本実施形態では、図2と図3に示したように1つの1次X線ビーム104から1つの2次X線ビーム107を形成する。そのため、第1分割素子の透過部の幅と遮蔽部の幅を足したものと第2分割素子の透過部の幅と遮蔽部の幅を足したものが下記式(1)の関係を有するようにしている。
Figure 0006150648
但し、X線焦点116の中心から第1分割素子103の中心までの距離をL1、第1分割素子103の中心から第2分割素子105まで中心の距離をL2とする。尚、中心とは光軸方向と光軸方向と垂直な2方向の計3方向に対する中心である。
また、式(1)は第1分割素子と第2分割素子の製造誤差は考慮したものではない。本明細書では、第1分割素子と第2分割素子の作製誤差とアライメント誤差程度の誤差を考慮して、式(1)の左辺が右辺の0.95倍〜1.05倍であるとき、式(1)が成り立つとする。
また、1つの1次X線ビーム104から1つの2次X線ビーム107を形成するためには、第2分割素子表面における1次X線ビーム104の幅は、第2分割素子105の透過部1つ分と遮蔽部2つ分を足し合わせた幅より狭い必要がある。これを式で表すと、下記式(2)になる。
Figure 0006150648
但し、第2分割素子における透過部と遮蔽部の配列方向に平行な方向に対するX線焦点の焦点サイズをf、X線焦点の振動量とX線焦点の両側に存在する2つの裾を合わせた第2分割素子における透過部と遮蔽部の配列方向に平行な方向の長さをdfとする。仮に、X線焦点が振動しないときdfは裾の長さのみ、X線焦点に裾が無いときdfは振動量のみとなる。なお、以下、単に「裾の長さ」という場合、X線焦点の両側に存在する裾の長さを合わせた長さである。式(2)をL1に対して解くと下記式(3)が導かれる。
Figure 0006150648
式(3)がz軸における第1分割素子103と第2分割素子105の配置位置の条件である。使用するX線源(X線焦点)、第1分割素子と第2分割素子が決定すれば式(3)のL1とL2以外の値が導入でき、そこからL1とL2を適宜決めることができる。
但し、式(3)は第1分割素子と第2分割素子の作製精度(Ga1,Gb1,Ga2,Gb2の精度)と、光軸方向における第1分割素子と第2分割素子の位置精度(アライメント精度)を考慮していない。つまり、式(3)は厳密なものでなく、第1分割素子と第2分割素子の作製誤差とアライメント誤差程度の誤差は許容することができる。
尚、検出器上の2次X線ビーム107の幅を狭くするためには、式(3)の左辺が右辺に近づくようにL1とL2を決定することが好ましく、式(3)の両辺が一致するようにL1とL2を決定することが更に好ましい。その理由について説明をする。
第1分割素子103と第2分割素子105を用いたときの検出器108上における2次X線ビーム107の幅(Bs)は下記式(4)で表わされる。
Figure 0006150648
但し、第2分割素子105の中心から検出器108の検出面の中心までの距離をL3とする。尚、本明細書において検出器の検出面とは検出器の検出面のうちX線が照射される領域のことを指す。
式(4)から、検出器108上における2次X線ビーム107の幅を狭くするためには、第1分割素子103と第2分割素子105のX線透過部の幅(Ga1,Ga2)を狭くし、L3を小さく、L2を大きくすればよい。
以上のことから、検出器上の2次X線ビーム107の幅を狭くするためには式(3)の両辺の値が近づくようにL1とL2を決定することが好ましく、式(3)の両辺が一致するようにL1とL2を決定することが更に好ましいことが分かる。但し、この式(3)の両辺の値の差にかかわらず、式(3)を満たすようにL1とL2を決定すればz軸方向における第1分割素子と第2分割素子の配置位置の条件を満たすことができる。
次に、x軸方向における第1分割素子と第2分割素子の配置位置の条件について説明をする。図2のように、隣り合う1次X線ビーム同士が第2分割素子上で重なり合うときの1次X線ビーム104と第2分割素子105の拡大図を図6((a)、(b))に示す。図6中、横方向がz軸(光軸)で縦方向がx軸である。y軸は紙面に対する奥行き方向である。
図6(a)に示すように、隣り合う1次X線ビーム同士が第2分割素子105の遮蔽部上で重なるように第1分割素子と第2分割素子を配置すると、第2分割素子105の1つの透過部125eから射出される2次X線ビーム107hは1本である。一方、図6(b)に示すように、隣り合う1次X線ビーム同士が第2分割素子105の透過部上で重なるように第1分割素子と第2分割素子を配置すると、第2分割素子の1つの透過部125hから射出される2次X線ビーム107k、107lは2本である。このように1つの透過部から複数の2次X線ビームが射出すると、図4に示した比較例と同様に、第2分割素子105と検出器108の間で2次X線ビームが交差又は重なりやすくなるため望ましくない。
そのため、隣り合う1次X線ビームが第2分割素子の透過部において重なり合わないように第1分割素子と第2分割素子を配置する必要がある。隣り合う1次X線ビームが第2分割素子の透過部において重なり合わないとは、図3のように隣り合う1次X線ビームが重なり合わない場合のみならず、図6(a)のように隣り合う1次X線ビームが第2分割素子上では遮蔽部のみにおいて重なり合う場合も含む。このように第1分割素子と第2分割素子を配置するためには、第1分割素子と第2分割素子の配置位置はx軸方向において後述する2つの条件のうち少なくともいずれかを満たす必要がある。
1つめは、X線焦点116の中心と第1分割素子103の透過部の中心と第2分割素子105の透過部の中心とが実質的に一つの直線117a上にある場合である。2つめは、X線焦点116の中心と第1分割素子103の遮蔽部の中心と第2分割素子105の遮蔽部の中心とが実質的に一つの直線118a上にある場合である。「実質的に」とは、以下に述べる誤差dxは許容されるということである。そこで、この2つの直線上に第2分割素子の透過部又は遮蔽部がある配置を基準として、第2分割素子105が直線117aまたは直線118aに対して許容されるx軸方向の最大誤差について考える。許容される最大誤差は、第2分割素子の透過部1つ分と遮蔽部2つ分を足し合わせた幅から、1次X線ビームが第2分割素子上で形成する幅を差し引いた値になるので、許容されるx軸方向の最大誤差dxは下記式(5)で表される。
Figure 0006150648
言い換えると、上述の1つめの条件は、X線焦点の中心と第1分割素子の透過部の中心を通る直線117aと第2分割素子の表面の交点217aと、交点217aと最も近い第2分割素子の透過部の中心との距離が式(5)で表されるdxよりも小さいことである。また、上述の2つめの条件は、X線焦点の中心と第1分割素子の遮蔽部の中心を通る直線118aと第2分割素子の表面の交点218aと、交点218aと最も近い第2分割素子の遮蔽部の中心との距離が式(5)で表されるdxよりも小さいことである。
また、第1分割素子は第1の移動手段である第1の移動部によって移動する。同様に、第2分割素子は第2の移動手段である第2の移動部によって移動する。第1の移動部と第2の移動部はそれぞれアクチュエータを有し、第1分割素子又は第2分割素子の平行移動及び回転移動のいずれか一方若しくは双方を行い、第1分割素子と第2分割素子のアライメントを行う。尚、回転移動は、xy平面における回転移動つまり光軸に対する傾き(チルト)の移動を含む。
被検体106を透過した2次X線ビーム107は検出器108によって検出される。本実施形態において、検出器108はX線を検出することができる撮像素子が2次元に配置された2次元検出器である。例えば、デジタル信号への変換が可能なFPD(Flat Panel Detector)やCCD(Charg Coupled Device)を用いることができる。
検出器108による検出結果は計算機114に出力されて計算が行われ、被検体の情報を得ることができる。被検体の情報とは例えば被検体の位相像、微分位相像、散乱像(ビジビリティ像)の基になるような情報を指し、これらをマッピングすることで被検体の位相像、微分位相像、散乱像(ビジビリティ像)を得ることができる。尚、検出器による検出結果そのものも被検体の情報を有するため、本発明及び本明細書では、検出結果も被検体の情報の一種とみなす。計算機114を被検体情報取得装置と別個に用意し、検出器と接続することにより被検体の位相に関する情報を得るための計算を行っても良い。また、被検体情報取得装置は必要に応じて計算機114による計算により得られた被検体の位相に関する情報やそれをマッピングした画像を表示する表示装置(不図示)を備えていても良い。
以上、本実施形態について1次元の分割素子を2枚使用した例を用いて説明したが、1次元分割素子の代わりにX線透過部とX線遮蔽部が2次元に配列した2次元分割素子を用いても良いし、2枚以上の分割素子を用いても良い。2枚以上の分割素子を用いる場合も検出器に入射するビームを2次X線ビームとする。例えば、3枚の分割素子を用いる場合、X線源にいちばん近い分割素子を第0の分割素子とし、この分割素子で形成されるX線ビームを0次X線ビームとする。また、この0次X線ビームを分割する分割素子を第1の分割素子、第1の分割素子で形成されるX線ビームを1次X線ビーム、1次X線ビームを分割する分割素子を第2の分割素子、第2の分割素子で形成されるX線ビームを第2のX線ビームとする。そうすると、2次X線ビームが検出器に入射する。
本実施形態では検出器108に投影される2次X線ビーム107を形成しているX線はX線焦点116の一部分から射出される。よって、2次X線ビーム107が受けるX線焦点116の振動と印加電子の散乱による影響を軽減することができる。
尚、本実施形態を用いると、第1分割素子と第2分割素子の透過部と遮蔽部の幅にもよるが、おおよそ2m×1m程度の写野を得ることが可能である。
(実施形態2)
実施形態2に係る被検体情報取得装置における1次X線ビームが第2分割素子に入射して2次X線ビームを形成する様子を示した模式図を図7((a),(b))と図8((a),(b))に示す。尚、本実施形態の被検体情報取得装置は、1つの1次X線ビームから複数の2次X線ビームを形成する点で実施形態1と異なる。そのため、分割素子のX線透過部とX線遮蔽部の幅と第1分割素子と第2分割素子の配置が実施形態1の被検体情報取得装置と異なるが、その他の構成は実施形態1の被検体情報取得装置と同じである。また、図7と図8では2次X線ビームの記載を省略している。
上述のように本実施形態の被検体情報取得装置は1つの1次X線ビームから複数の2次X線ビームを形成する。しかし、複数の1次X線ビームのそれぞれが第2分割素子のX線透過部において重ならず、複数の1次X線ビームのそれぞれの端部が第2分割素子のX線遮蔽部に入射することは実施形態1の被検体情報取得装置と同じである。しかし、1つの1次X線ビームから複数の2次X線ビームを形成するため、上記式(1)が成立しない。これに伴い、z軸方向における条件とx軸方向における条件とが実施形態1の被検体情報取得装置と異なる点があるため、以下で説明をする。
本実施形態において隣り合う1次X線ビーム104a、104bが、第2分割素子105上に形成されている様子を示す拡大図を図9((a)、(b))に示す。
図9(a)は実施形態1の図2に対応する図であり、図7において隣り合う1次X線ビーム104a、104bが第2分割素子上で重なる部分の拡大図である。図9(a)は、隣り合う1次X線ビーム104a、104bのそれぞれの端部が、第2分割素子の1つの遮蔽部215bに入射して2次X線ビーム127a、127bを形成している状態を表している。
図9(b)は実施形態1の図3(a)に対応する図であり、図8において隣り合う1次X線ビーム104a、104bの第2分割素子上での間隙の部分の拡大図である。図9(b)は、隣り合う1次X線ビーム104a、104bが重ならず、1次X線ビームのそれぞれの端部が、第2分割素子の1つの遮蔽部215bに入射して2次X線ビーム127c、127dを形成している状態を表している。
図10((a)、(b))は比較例において隣り合う1次X線ビーム104a、104bが、第2分割素子105上に形成されている様子を示す拡大図である。
図10(a)は図4に示した比較例に対応するものである。つまり、図10(a)は、隣り合う1次X線ビーム104a、104bが第2分割素子上で重なり、X線ビームの端部がそれぞれ、第2分割素子の異なる遮蔽部215a、215cに入射している状態を表している。そのため、1次X線ビームが第2分割素子の透過部125aにおいて重なり、透過部225aから2本の2次X線ビーム127e、127f形成されている。
この様に第2分割素子の1つの透過部から複数の2次X線ビームが形成されると、図4に示した比較例と同様の問題が起こりやすくなる。つまり、第2分割素子と検出器の間で2次X線ビームが交差又は重なりやすくなり、被検体の情報を算出することが難しくなったり、得られる画像にボケが生じたりしやすくなる。また、1次X線ビームの入射角によっては2本の2次X線ビームの一部が重なることによって1本の1次X線ビーム104bから形成された2次X線ビーム127gよりも幅が太い2次X線ビームが形成されることもある。このように第2分割素子により形成される複数の2次X線ビームの幅にばらつきがあると、検出結果から被検体の情報を算出することが難しくなる。
図10(b)は図5に示した比較例に対応するものである。つまり、図10(b)は、隣り合う1次X線ビーム104a、104bが第2分割素子上で重ならず、X線ビーム104aの端部が、第2分割素子の透過部225aに入射している状態を表している。
この様に第2分割素子の透過部に1次X線ビームの端部が入射すると、図5に示した比較例と同様の問題が起こりやすくなる。つまり、X線焦点116の振動が発生すると、X線ビーム104aの端部が入射する第2分割素子の透過部225aから射出されるX線ビーム127hの幅が変化し、検出器108の検出結果から被検体の情報を算出することが難しくなる。
これらのことから、上述のように本実施形態の被検体情報取得装置も実施形態1の被検体情報取得装置同様に、複数の1次X線ビームが第2分割素子の透過部において重ならず、複数の1次X線ビームの夫々の端部は第2分割素子の遮蔽部に入射する。これにより、第2分割素子の1つの透過部から複数の2次X線ビームが形成されることと、X線焦点の振動により2次X線ビーム幅が変化することを防ぐことができる。よって、2次X線ビームが受けるX線焦点116の振動と印加電子の散乱による影響を軽減することができる。
上述の被検体情報取得装置を得るための分割素子の条件を説明する。本実施形態もX線遮蔽部とX線透過部が1次元に配列された1次元分割素子を第1分割素子と第2分割素子として用いる場合を例に説明する。本実施形態でもz軸方向における第1分割素子と第2分割素子を配置する位置に関する条件とx軸方向における第1分割素子と第2分割素子を配置する位置に関する条件の2つが求められる。
まず、z軸方向における第1分割素子と第2分割素子の配置位置の条件について説明をする。実施形態1のように1本の1次X線ビームから1本の2次X線ビームを形成する場合は、図3(b)に示したように1次X線ビームが入射しない第2分割素子の透過部があっても2次X線ビームのピッチをほぼ一定にすることができる。しかし、本実施形態のように1本の1次X線ビームから複数の2次X線ビームを形成する場合、1次X線ビームが入射しない第2分割素子の透過部があると、その領域の2次X線ビームが欠落し、その欠落した領域では被検体の情報を得ることができない。よって、被検体の情報が一部欠落する。被検体を走査することにより欠落した領域の情報を得ることはできるが、走査手段が必要になったり、撮像時間が増大したり、被ばく量が増大したりする可能性があるため2次X線ビームの欠落が少ない方が好ましい。2次X線ビームの欠落を防ぐためには、隣り合う1次X線ビームの間隙が第2分割素子上において第2分割素子の遮蔽部の幅よりも小さい必要がある。一方、1つの第2分割素子の透過部に対して1次X線ビームが1本のみ入射するためには、1次X線ビームの重なりの幅が第2分割素子表面上において第2分割素子の遮蔽部の幅よりも小さい必要がある。
尚、2次X線ビームの欠落を防ぎつつ、1つの第2分割素子の透過部に対して1次X線ビームが1本のみ入射することは、言い換えれば、隣り合う1次X線の端部同士が第2分割素子の1つの遮蔽部に入射することである。但し、隣り合う1次X線の端部同士とは、配列方向に対してお互い側の端部同士のことを指す。例えば、図8(a)における1次X線ビーム104aと1次X線ビーム104bならば、1次X線ビーム104aの1次X線ビーム104b側(図8(a)の下側)の端部と1次X線ビーム104bの1次X線ビーム104a側(上側)の端部同士のことを指す。
2次X線ビームの欠落を防ぎつつ、1つの第2分割素子の透過部に対して1次X線ビームが1本のみ入射する条件を式を用いて表す。
隣り合う1次X線ビームが、第2分割素子105上で接する条件を式(6)に示す。
Figure 0006150648
左辺は、光源サイズ(f+df)を無限小としたときの第2分割素子上に投影した第1分割素子の一対の透過部と遮蔽部を合わせた長さ、つまり第1分割素子のピッチを第2分割素子上に投影した長さである。一方、右辺は、光源サイズをf+dfとしたときの第2分割素子表面における1次X線ビーム幅である。
隣り合う1次X線ビームが第2分割素子表面上で重なるとき、下記式(20)が成り立つ。
Figure 0006150648
1つの第2分割素子の透過部に対して1次X線ビームが1本のみ入射するためには、第2分割素子表面上における1次X線ビームの重なりの幅が第2分割素子の遮蔽部の幅よりも小さい必要がある。これを式で表すと、下記式(7)が導かれる。
Figure 0006150648
被検体情報取得装置に用いる第1分割素子と第2分割素子が決まれば、式(7)を満たすようL1とL2を適宜決めることでz軸方向における第1分割素子と第2分割素子の配置位置を決めることができる。
次に、隣り合う1次X線ビームが、第2分割素子表面上で離れていると、下記式(21)を成り立つ。
Figure 0006150648
同様に、隣り合う1次X線ビームが、第2分割素子表面上で離れていても2次X線ビームの欠落を防ぐためには、隣り合う1次X線ビームの間隙が第2分割素子上において第2分割素子の遮蔽部の幅よりも小さい必要がある。
これを式で表すと下記式(9)が導かれる。
Figure 0006150648
式(7)と式(9)を満たすようにL1とL2を適宜決めることでz軸方向における第1分割素子と第2分割素子の配置位置を決めることができる。
また、式(7)から特定の第2分割素子105に適した第1分割素子103の設計値を得ることができる。例えば、第1分割素子103の遮蔽部の幅Gb1は式(7)を変形した下記式(8)を用いて設計することができる。
Figure 0006150648
式(9)からも特定の第2分割素子105に適した第1分割素子103の設計値を得ることができる。例えば、第1分割素子103の遮蔽部の幅Gb1は式(9)を変形した下記式(10)を用いて設計することができる。
Figure 0006150648
式(8)、式(10)から、特定の第2分割素子105に適したな第1分割素子103の遮蔽部の幅Gb1を求める式(11)を得ることができる。
Figure 0006150648
式(11)を満たすように第1と第2分割素子それぞれの遮蔽部の幅(Gb1、Gb2)とそれらの配置位置(L1,L2)を決めると、図9に示したような、隣り合う1次X線の端部同士が第2分割素子の1つの遮蔽部に入射する状態を得ることができる。
次に、x軸方向における第1分割素子と第2分割素子の配置位置の条件について説明をする。x軸方向における第1分割素子と第2分割素子の配置位置の条件は、隣りあう1次X線ビームが第2分割素子上で重なっている場合と重なっていない場合とで異なる。
まず、隣りあう1次X線ビームが第2分割素子上で重なっている場合について説明をする。実施形態1と同様に、隣り合う1次X線ビームが第2分割素子上で重なっている位置に第2分割素子の透過部が配置されていると、その透過部からは2本の2次X線ビームが生じる。これを防ぎ、第2分割素子の1つの透過部に1本の1次X線ビームが入射するためには、第1分割素子と第2分割素子の配置位置はx軸方向において後述する2つの条件のうち少なくともいずれかを満たす必要がある。
1つめは、X線焦点116の中心と第1分割素子103の透過部の中心と第2分割素子105の透過部の中心とが直線117d上にある(図7(a))場合である。2つめは、X線焦点116の中心と第1分割素子103の透過部の中心と第2分割素子105の遮蔽部の中心とが直線118b上にある(図7(b))場合である。
この2つの直線上に第2分割素子の透過部又は遮蔽部がある配置(図7(a)と図7(b)の配置)を基準として、第2分割素子105が直線117dまたは直線118bに対して許容されるx軸方向の最大誤差について考える。許容される最大誤差dxは、図7(a)より、第2分割素子の一対の透過部と遮蔽部の幅を整数倍したものに第2分割素子の遮蔽部の幅1つ分を足したもの(図7(a)中のW)と第2分割素子表面における1次X線ビームの幅の差分の1/2倍である。よって、dxは下記式(12)で表される。
Figure 0006150648
但し、mは下記式(13)を満たす最小の整数である。
Figure 0006150648
尚、図7(a)においてm=7であり、実施形態1ではm=1である。
これらのことを言い換えると、上述の1つめの条件は、X線焦点の中心と第1分割素子の透過部の中心を通る直線と、第2分割素子の透過部の中心との距離が式(12)で表されるdxよりも小さいことである。また、上述の2つめの条件は、X線焦点の中心と第1分割素子の透過部の中心を通る直線と、第2分割素子の遮蔽部の中心との距離が式(12)で表されるdxよりも小さいことである。
但し、実施形態1と同様に式(11)と式(12)には第1分割素子と第2分割素子の作製精度(Ga1,Gb1,Ga2,Gb2)や、光軸方向における第1分割素子と第2分割素子の位置精度(アライメント精度)を考慮していない。つまり、式(11)、式(12)は厳密なものでなく、第1分割素子と第2分割素子の作製誤差とアライメント誤差程度の誤差は許容することができる。
次に、隣りあう1次X線ビームが第2分割素子上で重なっていない場合について説明をする。1次X線ビームが入射しない位置に第2分割素子の透過部がある場合は、その透過部からは2X線ビームが生じない。第2分割素子の透過部から2次X線ビームが生じない場合は上述のように被検体の情報が欠落する可能性がある。
これを防ぐためには、第1分割素子と第2分割素子の配置位置はx軸方向において後述する2つの条件のうち少なくともいずれかを満たす必要がある。
1つめは、X線焦点116の中心と第1分割素子103の透過部の中心と第2分割素子105の透過部の中心とが直線117e上にある(図8(a))場合である。2つめは、X線焦点116の中心と第1分割素子103の透過部の中心と第2分割素子105の遮蔽部の中心とが直線118c上にある(図8(b))場合である。
この2つの直線上に第2分割素子の透過部又は遮蔽部がある配置を基準として、第2分割素子105が直線117eまたは直線118cに対して許容されるx軸方向の最大誤差について考える。
許容される最大誤差dxは、図8(a)より、第2分割素子の一対の透過部と遮蔽部の幅を整数倍したものに第2分割素子の透過部の幅1つ分を足したものと第2分割素子表面における1次X線ビームの幅の差分の1/2倍である。よって、dxは下記式(14)で表される。
Figure 0006150648
但し、nは式(15)を満たす最大の整数である。
Figure 0006150648
これらのことを言い換えると、上述の1つめの条件は、X線焦点の中心と第1分割素子の透過部の中心を通る直線と、第2分割素子の透過部の中心との距離が式(14)で表されるdxよりも小さいことである。また、上述の2つめの条件は、X線焦点の中心と第1分割素子の透過部の中心を通る直線と、第2分割素子の遮蔽部の中心との距離が式(14)で表されるdxよりも小さいことである。
但し、実施形態1と同様に式(14)には第1分割素子と第2分割素子の作製精度(Ga1,Gb1,Ga2,Gb2)や、光軸方向における第1分割素子と第2分割素子の位置精度を考慮していない。つまり、式(14)は厳密なものでなく、第1分割素子と第2分割素子の作製誤差とアライメント誤差程度の誤差は許容することができる。
尚、第1分割素子103と第2分割素子105のx軸方向に対する配置誤差の許容値が大きいほど装置設計に有利になる。第1分割素子103と第2分割素子105のx軸方向の配置誤差の許容値が最大になるのは、隣り合うX線ビーム104が、第2分割素子105上で接する式(6)を満たす場合である。但し、第1分割素子と第2分割素子の製造誤差を考慮して、本明細書では式(6)の左辺が右辺の0.95倍〜1倍であるとき、式(6)が成り立つとする。
以上、本実施形態について1次元の分割素子を2枚使用した例を用いて説明したが、1次元分割素子の代わりにX線透過部とX線遮蔽部が2次元に配列した2次元分割素子を用いても良いし、2枚以上の分割素子を用いても良い。本実施形態でも実施形態1と同様に検出器108に形成される2次X線ビームを形成しているX線はX線焦点の中心に近い一部分から射出したX線である。したがって、2次X線ビーム107が受けるX線焦点116の振動と印加電子の散乱による影響を軽減することができる。
尚、本実施形態を用いると、第1分割素子と第2分割素子の透過部と遮蔽部の幅にもよるが、おおよそ2m×1m程度の写野を得ることは可能である。
実施例1では、実施形態1より具体的な例について説明をする。
本実施例の被検体情報取得装置の基本的な構成は図1と同様である。
本実施例では、X線源として、モリブデン、銀やタングステンターゲットの回転対陰極型のX線源を用いる。実効焦点サイズは300um、X線焦点の振動量が5um、X線焦点の裾の幅が150um、とした。このX線源からは発散X線が発生し、第1分割素子と第2分割素子に照射される。
第1分割素子は透過部が30um、第2分割素子は透過部が60um、遮蔽部が140umで配列した構造を有し、集束位置は第2分割素子から80cmの位置にある構造を有する。X線焦点から第2分割素子までの距離が80cmのとき、式(3)から第1分割素子の最適な位置はX線焦点から48.8cmである。本実施例における第1分割素子の最適な位置とは、検出器上に投影されるX線ビームの幅が最小になることである。第2分割素子から検出器までの距離が80cmのとき検出器上の2次X線ビームの幅は290um程度になる。但し、第1分割素子と第2分割素子を上記の位置に配置すると、x軸方向に許容される第2分割素子の配置位置誤差(dx)が0になるため、装置を作製する観点からは現実的ではない。x軸方向に許容される第2分割素子の配置位置誤差として20umを考慮すると、第1分割素子のz軸方向における配置位置はX線焦点から50cm程度となる。そのため、X線焦点が第1分割素子の集束位置に配置されるように、第1分割素子の集束位置が第1分割素子から50cmの位置にある構造を有する第1分割素子を用いる。
第2分割素子により分割された2次X線ビームを第2分割素子の直後に配置した被検体に照射し、2次元のフラットパネル検出器を用いて被検体を透過した2次X線ビームの屈折量を検出する。検出器は、2次X線ビームの1つ1つが検出器の複数の画素にまたがるように配置し、2次X線ビーム屈折量は検出器の画素毎の強度の分布から得られる。本実施例は2次X線ビームを被検体に照射するため、被検体のうち2次X線ビームが透過する領域の間隙の情報は得られない。そこで、2次X線ビームまたは被検体を動かして2次X線ビームで被検体を走査することで得られる被検体の情報量を増やすことが可能である。第2分割素子を走査する場合、検出器は第2分割素子を走査した距離に対して拡大率((L1+L2+L3)/(L1+L2))を補正した距離を走査することが望ましい。
本実施例では実施形態1で4枚の分割素子を用いた場合の被検体情報取得装置に関して説明をする。本実施例の被検体情報取得装置の構成は、図11に示すように分割素子の配置と枚数以外は実施例1と同じである。但し、分割素子の枚数が実施形態1よりも多いため、各構成間の距離(L1、L2など)の呼び方が実施形態1,2、実施例1と異なる点に注意する。被検体はX線焦点から検出器の間の何れかに置くことが可能だが、実施例1よりも分割素子が多く分割素子間の距離が狭くなるため、図11に示したように第4分割素子と検出器の間に置くことが望ましい。実施例2の装置構成で、検出器上に投影されるX線ビームの幅は下記式(16)で表される。このように、第1分割素子の開口幅Ga1、第4分割素子の開口幅Ga4、第1分割素子の中心と第4分割素子の中心までの距離L14、第4分割素子の中心と検出器の検出面の中心までの距離L4Dに依存する。
Figure 0006150648
本実施例における第2分割素子と第3分割素子は、検出器に投影するX線ビーム(4次X線ビーム)幅を決めるためというよりも、図11の破線で示すX線を遮蔽する目的で導入している。仮に、本実施例で第2分割素子と第3分割素子が存在しないと、破線で示すX線が第4分割素子の1つの透過部323aに入射し、複数の4次X線ビームが発生する。
第1分割素子、第2分割素子、第3分割素子と第4分割素子に、下式(17)の関係がある場合と装置設計が簡便になる。
Figure 0006150648
式(17)は、第1分割素子のピッチ(透過部の幅と遮蔽部の幅を足し合わせたもの)を第2分割素子上に投影したピッチが第2分割素子のピッチと等しいことを表す。更に式(17)は、第1分割素子のピッチを第3分割素子上に投影したピッチが第3分割素子のピッチと等しく、第1分割素子のピッチを第4分割素子上に投影したピッチが第4分割素子のピッチと等しいこと表す。
更に下記式(18)、(19)が成り立つこと好ましい。
Figure 0006150648
Figure 0006150648
式(19)は式(18)における透過部が遮蔽部に代わったものである。
但し、X線焦点の中心と第1分割素子の中心までの距離Ls1、第1分割素子の中心と第2分割素子の中心までの距離L12、第2分割素子の中心と第3分割素子の中心までの距離L23、第3分割素子の中心と第4分割素子中心までの距離L34とする。
本実施例では、実施例1よりも多くの分割素子を用いているため、第1分割素子の配置をX線焦点に近づけることができる。それにより、検出器上に投影されるX線ビームの幅を実施例1と比較してより小さくすることができる。X線源の実効焦点サイズが300um、X線焦点の振動量が5um、X線焦点の裾が150umとする。また、第4分割素子として、透過部が60um、集束位置と第4分割素子の距離が80cmの分割素子を用い、第1分割素子の透過部を15umとする。X線焦点の中心と第4分割素子の中心の距離(LS1+L14)を80cm、第4分割素子の中心から検出器の検出面の中心までの距離(L4D)を80cmとする。さらに、X線焦点の中心から第1分割素子の中心までの距離(LS1)を20cmとすると、式(16)より検出器上のX線ビーム幅は115umである。同条件下での実施例1における検出器上のX線ビームの幅は175umであることから、本実施例では第2分割素子と第3分割素子を用いることによって約2/3程度の幅のX線ビームを得ることが可能である。しかしながら、X線焦点から36cm〜40cmに第2分割素子を、X線焦点から48cm〜52cmに第3分割素子をそれぞれ配置する必要がある。式(18)より、第2分割素子をX線焦点から38cmの位置に配置するときは、第2分割素子の透過部を28.5um、遮蔽部を66.5umにすることが望ましい。同様に第3分割素子をX線焦点から50cmの位置に配置するときは、第3分割素子の透過部を37.5um、遮蔽部を87.5umにすることが望ましい。
本実施例は分割素子の枚数が4枚のため、x軸方向に許容されるそれぞれの分割素子の配置位置誤差は実施例1よりも小さくなる傾向がある。しかしながら、分割素子の枚数を増やすことで、現在一般的な医療用X線源として使用されている1mm以上の実効焦点サイズを有するX線源を用いた被検体情報取得装置が可能になる。
実施例3では、実施形態1を用いてX線ビームの位置変化の検出を2次元同時に測定する方法について具体的に説明する。本実施例の被検体情報取得装置の構成は、2次元の分割素子を使用している以外は実施例1と同じである。
本実施例の分割素子は2枚の1次元分割素子で作製する。つまり、第1分割素子を構成するために1次元分割素子を2枚、第2分割素子を構成するために1次元分割素子を2枚用いる。第1分割素子を構成する2枚の1次元分割素子は共に透過部が30umのものを用いるとした。また、第2分割素子を構成する2枚の1次元分割素子は共に透過部が60um、遮蔽部が140um、集束位置は分割素子表面から80cmの位置にあるものを用いるとした。第1分割素子を構成する1次元分割素子の遮蔽部の幅と集束位置は後述する。
第1分割素子と第2分割素子のそれぞれは、1枚目の1次元分割素子の遮蔽部と透過部の配列方向と、2枚目の1次元分割素子の遮蔽部と透過部の配列方向が直行し、且つ2枚の1次元分割素子が接するように2枚の1次元分割素子を配置することで構成する。2枚の1次元分割素子が接するように配置するのは、2枚の1次元分割素子がそれぞれ有する集束位置がなるべく近くに位置するように2枚の1次元分割素子を配置するためである。実際には2つの1次元分割素子の集束位置は分割素子の厚さ分ずれているが、この程度のずれは作製誤差の範囲として無視できる。
第1分割素子と第2分割素子のそれぞれに入射したX線は、2枚の1次元分割素子のうち1枚目の透過部と2枚目の透過部が空間的に重なっている部分のみ透過することができる。よって、2枚の1次元分割素子により形成されたX線ビームは2次元のドットアレイ状である。
2次元の第1分割素子と第2分割素子のそれぞれを構成する2枚の1次元分割素子の透過部同士の幅と遮蔽部同士の幅が同じ場合は、z軸方向における第1分割素子と第2分割素子の配置位置を式(3)を適用して決めることができる。第2分割素子を構成する2枚の1次元分割素子の集束位置は1次元分割素子から80cmの位置にあるため、X線焦点の中心と第2分割素子の中心との距離(L+L)を80cmとして、式(3)を用いる。すると、X線焦点の中心と第1分割素子の中心の距離(L1)が50cmになるように第1分割素子を配置すればよいことが分かる。
本実施例では2次元の分割素子を構成する2枚の1次元分割素子の透過部の幅同士と遮蔽部の幅同士が同じだが、必ずしも一致する必要はない。本実施例で重要な要素は、下記の2点である。
(1)x軸方向にX線を分割する第1分割素子と第2分割素子が、式(1)と式(3)の条件を満たす。
(2)y軸方向にX線を分割する第1分割素子と第2分割素子が、式(1)と式(3)の条件を満たす。
このため、x軸方向にX線を分割する1次元分割素子とX線焦点の距離と、y軸方向にX線を分割する1次元分割素子とX線焦点の距離が異なっていても良い。一方、2次元方向に遮蔽部と透過部が配列された2次元分割素子1枚でX線を2次元に分割しても良いが、x軸方向とy軸方向の透過部及び遮蔽部の間隔は同じことが望ましい。
実施例4では、実施形態2をより具体的に説明する。本実施例の被検体情報取得装置の構成は、第1分割素子と第2分割素子の構成と配置位置以外は実施例1と同じである。
X線源の実効焦点サイズが300um、X線焦点の振動量が6um、X線焦点の裾の幅が150umとする。また、第2分割素子の遮蔽部が75um、X線焦点から第1分割素子までの距離が100cm、第1分割素子から第2分割素子までの距離が200cmのとき、式(11)から第1分割素子の遮蔽部の幅は279um〜329umである。このとき第1分割素子と第2分割素子のx軸方向に対して許容される誤差を最大にするために、式(6)が成り立てばよいから、式(6)より、第1分割素子の遮蔽部の幅を304umとした。このとき、式(6)より第2分割素子上における1次X線ビームの幅は、第2分割素子の透過部と遮蔽部を合わせた幅の整数倍になるため、第1分割素子の透過部の幅を100umとしたとき、第2分割素子の透過部の幅を26umとした。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
101 X線源
102 発散X線
103 第1分割素子
104 1次X線ビーム
105 第2分割素子
106 被検体
107 2次X線ビーム
108 検出器
114 計算機
150 光軸
116 X線焦点
117 X線焦点の中心と第1分割素子の透過部を結ぶ直線
118 X線焦点の中心と第1分割素子の遮蔽部を結ぶ直線
124 1次X線ビームの端部
302 第3分割素子
303 第4分割素子

Claims (11)

  1. X線透過部とX線遮蔽部とを有し、X線源からの発散X線を分割して複数の1次X線ビームを形成する第1分割素子と、
    X線透過部とX線遮蔽部とを有し、前記複数の1次X線ビームのそれぞれの少なくとも一部を遮蔽して複数の2次X線ビームを形成する第2分割素子と、
    前記複数の2次X線ビームを検出するX線検出器と
    を備え、
    前記複数の1次X線ビームのそれぞれは前記第2分割素子の前記複数のX線透過部のそれぞれにおいて重ならず、前記複数の1次X線ビームのそれぞれの端部は前記第2分割素子の前記X線遮蔽部に入射するように、前記第1の分割素子と前記第2の分割素子とが配置されたことを特徴とする被検体情報取得装置。
  2. 前記複数の1次X線ビームのうち、隣り合う1次X線ビームのそれぞれの端部の一部が前記第2分割素子の1つのX線遮蔽部に入射する請求項1に記載の被検体情報取得装置。
  3. 前記第1分割素子の透過部の幅をGa1、
    前記第1分割素子の遮蔽部の幅をGb1、
    前記第2分割素子の透過部の幅をGa2、
    前記第2分割素子の遮蔽部の幅をGb2、
    前記X線源が有するX線焦点の中心から前記第1分割素子の中心までの距離をL1、
    前記第1分割素子の中心から前記第2分割素子の中心までの距離をL2、
    前記X線焦点の実効焦点サイズをf、
    前記X線焦点の振動量と裾を合わせた長さをdfとするとき、
    下記の2つの式が成り立ち、
    Figure 0006150648

    Figure 0006150648

    前記X線焦点の中心と前記第1分割素子の透過部の中心とを通る直線と前記第2の分割素子の交点と、該交点に最も近い前記第2分割素子の透過部の中心との距離、及び、
    前記X線焦点の中心と前記第1分割素子の遮蔽部の中心とを通る直線と前記第2の分割素子の交点と、該交点に最も近い前記第2分割素子の遮蔽部の中心との距離のいずれか一方もしくは双方が下記式で表されるdxよりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の被検体情報取得装置。
    Figure 0006150648

    但し、mは下記式を満たす最小の整数である。
    Figure 0006150648
  4. 前記第1分割素子の透過部の幅をGa1、
    前記第1分割素子の遮蔽部の幅をGb1、
    前記第2分割素子の透過部の幅をGa2、
    前記第2分割素子の遮蔽部の幅をGb2、
    前記X線源が有するX線焦点の中心から前記第1分割素子の中心までの距離をL1、
    前記第1分割素子の中心から前記第2分割素子の中心までの距離をL2、
    前記X線焦点の実効焦点サイズをf、
    前記X線焦点の振動量と裾を合わせた長さをdfとするとき、
    下記の2つの式が成り立ち、
    Figure 0006150648

    Figure 0006150648

    前記X線焦点の中心と前記第1分割素子の透過部の中心とを通る直線と前記第2の分割素子の交点と、該交点に最も近い前記第2分割素子の透過部の中心との距離、及び、
    前記X線焦点の中心と前記第1分割素子の遮蔽部の中心とを通る直線と前記第2の分割素子の交点と、該交点に最も近い前記第2分割素子の遮蔽部の中心との距離のいずれか一方もしくは双方が下記式で表されるdxよりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の被検体情報取得装置。
    Figure 0006150648

    但し、nは下記式を満たす最大の整数である。
    Figure 0006150648
  5. 下記式が成り立ち、下記式の左辺が下記式の右辺の0.95倍よりも大きいことを特徴とする請求項4に記載の被検体情報取得装置。
    Figure 0006150648
  6. 前記第1分割素子の透過部の幅をGa1、
    前記第1分割素子の遮蔽部の幅をGb1、
    前記第2分割素子の透過部の幅をGa2、
    前記第2分割素子の遮蔽部の幅をGb2、
    前記X線源が有するX線焦点の中心から前記第1分割素子の中心までの距離をL1、
    前記第1分割素子の中心から前記第2分割素子の中心までの距離をL2、
    前記X線焦点の実効焦点サイズをf、
    前記X線焦点の振動量と裾を合わせた長さをdfとするとき、
    下記の2つの式が成り立ち、
    Figure 0006150648

    Figure 0006150648

    前記X線焦点の中心と前記第1分割素子の透過部の中心とを通る直線と、前記第2分割素子の透過部の中心との距離又は、
    前記X線焦点の中心と前記第1分割素子の透過部の中心とを通る直線と、前記第2分割素子の遮蔽部の中心との距離の少なくともどちらか一つが下記式で表されるdxよりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の被検体情報取得装置。
    Figure 0006150648
  7. 前記第1分割素子を移動する第1の移動手段と、
    前記第2分割素子を移動する第2の移動手段とを備え、
    前記第1の移動手段は、前記第1分割素子の平行移動、回転移動のうち少なくとも1つを行い、
    前記第2の移動手段は、前記第2分割素子の平行移動、回転移動のうち少なくとも1つを行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  8. 前記第1分割素子は、前記X線源との距離が5cm以上の位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  9. 前記X線源と前記X線検出器との間に被検体を配置して前記被検体の情報を取得することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  10. 前記複数の2次X線ビームのそれぞれの少なくとも一部を遮蔽して複数の3次X線ビームを形成する第3分割素子を備え、
    前記X線検出器は、前記複数の3次X線ビームを検出することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置と、前記第1分割素子に発散X線を照射するX線源と、前記X線検出器から出力される情報に基づいて前記X線源と前記X線検出器との間に配置された被検体の情報を算出する演算装置と、を備えることを特徴とする被検体情報取得システム。
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