JP6150340B2 - データ交換装置およびデータ価値評価装置 - Google Patents

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Description

本発明は、データ交換装置およびデータ価値評価装置に係り、特に、各データが行要素および列要素で識別されるデータ群に対する他のデータの価値を相対的に評価するデータ交換装置およびデータ価値評価装置に関する。
特許文献1には、アドホックネットワークにおける主体間協調問題の解決策として、送信・転送データの価値を評価式により決定し、隣接主体間において価値の等しいデータの交換により転送を行った主体へ転送の対価を与えることでアドホックネットワークへインセンティブ機能を導入する手法が提案されている。
一般的に、データの価値は、これを取得する者が当該データに関連して既に所持している他のデータの有無や内容にも依存し、例えば、一揃いで扱われるデータ群における各データの価値は、これを既に所持している者にとっては低いが、所持していない者にとっては高くなる。
例えば、データ群を、対象ごとにその特徴量のデータが行列配置されるマトリックス配置で表現できるとき、少なくとも一つのデータを所持する行および列において不足するデータの価値は、それ以外のデータの価値よりも高くなる。
図15に一例を示したように、顧客(ユーザ)の個人情報の価値は、住所、氏名、年齢、性別、職業、嗜好傾向などの特徴量についてデータが揃うほど高くなり、一部の特徴量についてのみデータを所持していても利用価値は余り高くない。したがって、ユーザ甲に関しては氏名、年齢、性別、職業、嗜好傾向のデータを所持し、ユーザ乙に関しては氏名のデータのみを所持している場合、ユーザ甲の住所に関するデータは、これを取得できればユーザ甲に関して全てのデータが揃うので価値が高いと言える。同様に、ユーザ丙の氏名データも、これを取得できれば全ユーザの氏名データが揃うので価値が高いと言える。
すなわち、データ群を、対象ごとにその特徴量のデータが行列配置されるマトリックス配置で表現できるとき、少なくとも一つのデータを所持する行および列において不足するデータの価値は、それ以外のデータの価値よりも高くなる。
しかしながら、これまでは各データの価値を、これを取得する側の事情、例えば当該データに関連して既に取得しているデータの種類や数などに基づいて評価することができず、これがデータの等価交換を普及させる上での障害となっていた。
このような技術課題に対して、本発明の発明者等は、各主体が所持するデータの価値を、当該データの他の主体にとっての価値として評価し、一の主体が有している他の一の主体にとって第1の価値を有するデータが、一の主体にとって第1の価値を有する他のデータと等価と評価されるようにすることで主体間でのデータの等価交換を実現する技術を発明し、特許出願(特許文献2)した。
特開2006-222738号公報 特願2013-255966号
データの価値には多様性があり、データ同士の相対的な価値は評価尺度に応じて異なり得る。しかしながら、データを定量的に表現すること自体が困難であるために有効な評価尺度がなく、一の主体が他の一の主体から取得するデータの価値を定量的に評価することができなかった。
本発明の目的は、上記の技術課題を解決し、データが行要素および列要素で識別されるデータ群に対する他のデータの相互価値を客観的かつ定量的に評価できるデータ交換装置およびデータ価値評価装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、各データが行要素および列要素で識別されるデータ群を所持する一の主体が他の一の主体から取得するデータの価値を評価するデータ交換装置およびそのデータ価値評価装置において、以下のような構成を具備した点に特徴がある
(1)本発明のデータ価値評価装置は、各主体が所持するデータを当該データの行要素および列要素に基づいて幾何図形化する手段と、一の主体が所持するデータの幾何図形と前記他の一の主体から取得するデータの幾何図形との相対的な位置関係(例えば、データ同士が接触する補完関係)に基づいて取得データの価値を計算する手段とを具備した。
(2)本発明のデータ価値評価装置はさらに、一の主体が所持するデータの幾何図形を他の一の主体から取得するデータの幾何図形で補完した幾何図形に含まれる長方形状の総面積を計算する手段を具備し、取得するデータの価値を、長方形状の総面積が大きくなるほど高くなるように計算するようにした。
(3)一の主体が所持するデータの幾何図形と他の一の主体から取得するデータの幾何図形との接触線分長を計算し、取得データの価値を、接触線分長が長いほど価値が高くなる接触線分長依存価値に基づいて計算するようにした。
(4)本発明のデータ価値評価装置はさらに、他の一の主体から取得するデータのデータサイズを計算し、取得するデータの価値を、データサイズが大きいほど価値が高くなるサイズ依存価値および接触線分長依存価値の和に基づいて計算するようにした。
(5)本発明のデータ価値評価装置はさらに、一の主体が所持するデータを適正化する手段を具備し、適正化手段は、前記所持するデータの二次元画像の外周長が最短化するように行同士および列同士の少なくとも一方を入れ替え、あるいは所持するデータの幾何図形と前記取得するデータの幾何図形との接触線分が最長化するように前記所持するデータの行同士および列同士の少なくとも一方を入れ替えるようにした。
(6)本発明のデータ交換装置は、各主体が所持するデータの価値を他の主体における取得データとして評価する手段と、取得データの価値が各主体において等価となる複数の主体間で所持データを交換させる手段とを具備し、前記評価する手段が、各主体が所持するデータを当該データの行要素および列要素に基づいて幾何図形化する手段と、一の主体が所持するデータの幾何図形と前記他の一の主体から取得するデータの幾何図形との相対的な位置関係に基づいて前記取得データの価値を計算する手段とを具備した。
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
(1)取得データの価値が所持データとの相対関係に依存する点に着目すると共に、定量化の困難な各データの相対関係を、各データを幾何図形化することで定量化した。そして、取得データの価値を、各データを模した幾何図形同士での定量的な関係に基づいて評価するようにしたので、データの価値を定量的に評価できるようになる。
(2)データの価値を、幾何図形化されたデータの接触線分長依存の価値やサイズ依存の価値に基づいて評価するようにしたので、接触線分長やサイズの異なるデータ同士の交換も可能となり、データ交換の対象、範囲が拡張されて活発なデータ交換が可能になる。
本発明が適用されるデータ共有システムの構成を示したブロック図である。 主体N1が所持するデータの二次元配列例を示した図である。 主体N2-N5が所持するデータの二次元配列例を示した図である。 主体N1が所持するデータの幾何図形化の例を示した図である。 主体N2-N5が所持するデータの幾何図形化の例を示した図である。 サイズ依存価値を説明するための図(その1)である。 接触線分長依存価値およびサイズ依存価値の算出方法(その1)を示した図である。 接触線分長依存価値およびサイズ依存価値の算出方法(その2)を示した図である。 幾何図形の適正化を説明するための図である。 幾何図形の適正化例を説明するための図(その1)である。 幾何図形の適正化例を説明するための図(その2)である。 等価交換パスの一例を示した図である。 データ交換装置の動作を示したフローチャートである。 等価交換パスの探索手順を示したフローチャートである。 各主体が所持するデータの評価方法を模式的に表現した図である。 サイズ依存価値を説明するための図(その1)である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明では、データの価値が全ての主体にとって共通する絶対的な価値ではなく、当該データを取得する主体に固有の主観的な価値として評価される。
ここでは初めに、データを所持する一の主体が当該データに関連して他の一の主体から取得するデータの当該主体自身にとっての価値を、自身の所持データとの相対的な位置関係に基づいて評価する方法について説明する。
図2,3は、5つの主体N1-N5がそれぞれ所持するデータ群を、その行要素(ユーザ)および列要素(特徴量)に基づいて二次元配列で表現した図であり、丸印(○)は各主体が該当データを「所持」していることを意味し、空欄は所持していないことを意味している。
主体N1は、図2に示したように、ユーザ「乙」に関して性別以外の特徴量を全て所持しており、この性別データを取得できればユーザ「乙」の特徴量が全て揃うことになる。したがって、図3(a)に示した主体N2の所持データのように、ユーザ乙の性別データを含むデータ群は、主体N1にとって自身が既に所持しているデータ群の欠落部分を補完できるデータとして価値が高い。
同様に、主体N1は特徴量「年齢」に関してユーザ「丁」「戊」以外のデータを全て所持しており、ユーザ「丁」「戊」の年齢データを取得できれば年齢に関する特徴量が全て揃うことになる。したがって、図3(b)に示した主体N3のデータも、主体N1にとって所持データの欠落部分を補完できるデータとして価値が高い。
同様に、主体N1は、特徴量「氏名」に関してユーザ「丙」以外のデータを全て所持しており、ユーザ「丙」の氏名データを取得できれば氏名に関する特徴量が全て揃うことになる。したがって、図3(c)に示した主体N4のデータも、主体N1にとって所持データの欠落部分を補完できるデータとして価値が高い。
これに対して、主体N1は、図3(d)に示した主体N5が所持するデータを取得しても、これにより行または列方向にデータが一揃いになるような補完を実現できない。したがって、主体N1にとって主体N5のデータ群は価値が高くない。
図4(a)は、前記主体N1の所持データ(群)Dsを、各データが所定の単位面積を有する矩形領域であるものとして幾何図形化した図であり、データDsにおけるデータの欠落部分が「欠け」、「凹み」、「抜け」として表現されている。
ここで、データ群の幾何図形の形状と当該データ群の価値との関係について考えると、各データをその行列要素に基づいてマトリックス配置で表現できるとき、上述のように、行または列についてより多くのデータが揃うほどデータ(群)の価値が高くなる。これは、データ群の幾何図形中に含まれる長方形の面積が大きいほど多くの情報が得られ、その価値が高くなることを意味している。
例えば、複数の特徴量の組み合わせでの共通性を発見する場合を考えたとき、「住所」と「年齢」という特徴量が得られているときに、福岡県では60歳以上の割合が多く、東京では40〜50代の割合が多いという情報を得ることができる。これはデータの件数が増えれば増えるほど、情報の正確性が上がる。また特徴量が増えれば増える程、より多彩な情報を得られることに他ならない。これは、長方形が大きければ大きいほど、より正確で多彩な情報がデータから得られることを意味している。
そこで、本実施形態ではデータ補完後の幾何図形内に、少なくとも一辺が行または列方向に全てのデータが揃った長方形状の総面積に基づいてデータの価値を評価するようにしている。図4(b)の例では、2つの長方形K1,K2に含まれる総面積が当該データの価値と判断される。
例えば、主体N1が前記主体N2の所持データD2を取得すると、データ視点では、上記のように主体N1が所持するデータ群の欠落部分が補完され、図形視点では、図5(a)に示したように、前記凹み部分が補完されることで長方形の総面積が増加する。
同様に、主体N1が前記主体N3の所持データD3を取得すると、データ視点では、上記のように主体N1が所持するデータ群の欠落部分が補完され、図形視点でも、図5(b)に示したように、前記欠け部分が補完されることで長方形の総面積が増加する。
同様に、主体N1が前記主体N4の所持データD4を取得すると、データ視点では、上記のように主体N1が所持するデータ群の欠落部分が補完され、図形視点でも、図5(c)に示したように、前記抜け部分が補完されることで長方形の総面積が増加する。
これに対して、主体N1が前記主体N5の所持データD5を取得しても、データ視点では、上記のように欠落部分を補完する機能が無く、図形視点でも、図5(d)に示したように、長方形の総面積が増加しない。
なお、図5(d)の例では、行または列方向に全てのデータが揃った長方形の面積が増えることはないが、図5(e)に示したように、所持データD5の取得により、列方向に全てのデータが揃った長方形状に近い略長方形状が完成しつつあり、このような略長方形状も、上記のような多彩な情報を得られる、という観点からは価値が認められる。
したがって、行または列方向に全てのデータが揃っていなくても、行列方向のデータ数に対して所定の割合ないしは個数(例えば、1ないし2個)が不足しているだけの場合には、全て揃っている場合と同等の価値を認めるようにしても良い。
あるいは、前記長方形状や略長方形状の面積に所定の閾値を設定し、データの取得により初めて当該閾値を超えることになった長方形状等の面積の総和を当該取得データの価値と評価するようにしても良い。
例えば、主体N1の所持するデータ群が図16(a),(b)のようであるときに、その抜け部分が他の主体の所持データD6で補完される場合を考えると、いずれの場合も、5行1列相当の長方形状が1つから2つに増えることになる。
しかしながら、長方形状の総面積が同一であっても、離散した複数の小さな長方形状から得られる情報よりも、単一の大きな長方形状から得られる情報の方が価値のある場合が多いので、長方形状の面積閾値を例えば前記5行1列相当よりも大きく、かつ5行2列相当よりも小さくしておけば、同図(b)のように、より大きな長方形状の完成に貢献できるデータのみを評価できるようになる。
このように、本発明者等の分析結果によれば、各主体が他の主体から取得するデータの価値と、この取得データで補完された幾何図形に含まれる長方形状の総面積との間には相関が認められ、図形視点で長方形状の総面積を増やせる取得データは、データ視点でも価値が高い傾向にあることが判った。
そこで、本発明では取得データの価値を、この取得データで補完された幾何図形に含まれる長方形状の総面積を指標として定量的に評価するようにした。本実施形態では前記長方形状の総面積を、後に詳述するように、各データを模した幾何図形同士が接触する線分長と補完データの面積との総和で代表するようにしている。
図1は、本発明が適用されるデータ共有システム(データバンク)の主要部の構成を示したブロック図であり、データ群をデータベースに所持する多数の主体N(例えば、事業者N1,N2,N3…)と、各主体間でのデータの等価交換を支援、実現するデータ交換装置1とにより構成される。
データ交換装置1において、データ管理部10は、各主体Nがそのデータベースに所持するデータ(群)を管理する。データ評価部20は、各主体Nが所持するデータを前記図形視点で定量的に評価する。本実施形態では、各一の主体が他の一の主体から取得するデータの価値が、各一の主体の所持データを模した幾何図形と前記取得データを模した幾何図形との相対的な位置関係に基づいて評価される。
等価交換パス構築部30は、データを等価交換できる主体を特定して、当該主体間にデータの等価交換パスを構築する。データ交換部40は、一の主体へ他の一の主体が所持するデータを提供させる一方、当該他の一の主体へ更に他の一の主体が所持する、前記提供したデータと等価なデータを提供させることにより、各主体間でのデータの等価交換を実現する。
このようなデータ交換装置1は、汎用のコンピュータやサーバに各機能を実現するアプリケーション(プログラム)を実装することで構成できる。あるいはアプリケーションの一部がハードウェア化またはROM化された専用機や単能機としても構成できる。
前記データ評価部20において、幾何図形化部201は、主体Nごとに当該主体Nが所持するデータを、前記図2,3に示したように、その行要素および列要素に基づいて仮想的に二次元に配列し、さらに前記図4,5に示したように、各データが矩形の単位領域であるものとして幾何図形に変換する。
接触線分長計算部202は、一の主体Niが所持するデータDsの幾何図形と当該一の主体Niが他の一の主体Njから取得したデータDgetの幾何図形とを結合した際に各データDs,Dgetが接触する線分長を計算する。
以下、接触線分長の具体的な計算方法について説明する。ここでは説明を判り易くするために、各データを表現する矩形の各辺の長さを全て「1」とすると、前記図5(a)に示した例では、主体N1の所持データDsと取得データD2とは4辺で接触するので接触線分長は「4」になる。
また、図5(b)に示した例では、主体N1の所持データDsと取得データD3とは3辺で接触するので接触線分長は「3」となる。さらに図5(c)に示した例では、主体N1の所持データDsと取得データD4とは4辺で接触するので接触線分長は「4」となる。これに対して、図5(d)に示した例では、主体N1の所持データDsと取得データD5とは線接触しないので接触線分長は「0」となる。
このように、本実施形態では各主体が取得するデータの価値が、データを取得する主体が所持しているデータの幾何図形と取得データの幾何図形との接触線分長に基づいて、その長さが長いほど高く評価される。
ただし、一般的にデータはそのデータサイズに比例した量的な価値も有する。したがって、図6に示したように、ある主体にとって接触線分長が同一の取得データ同士であっても、データサイズが大きい取得データDget2[同図(b)]は小さい取得データDget1よりも高く評価する必要がある。
そこで、本実施形態ではデータの価値にそのデータ量も反映させるべくデータサイズ検知部203を備え、データ価値計算部204は、各主体が他の主体から取得するデータの価値を、接触線分長依存の価値とサイズ依存の価値との和として求めるようにした。
これにより、例えば3つの主体N1,N2,N3間でのデータ交換を考えると、主体N1がN2から取得するデータのデータ量依存の価値が「20」であっても接触線分長依存の価値が「80」であれば、当該取得データの実質の価値は「100」となる。
同様に、主体N3がN1から取得するデータのデータ量依存の価値が「50」、接触線分長依存の価値が「50」であれば、当該取得データの実質の価値は「100」となる。さらに、主体N2がN3から取得するデータのデータ量依存の価値が「80」であっても接触線分長依存の価値が「20」であれば、当該取得データの実質の価値は「100」となる。その結果、3つの主体N1,N2,N3間での取得データの価値が等価となるのでデータの等価交換が成立し得る。
次いで、データの価値をサイズ依存価値および接触線分長依存価値の和として求める具体的な方法について説明する。
データのサイズ(面積)をx、接触線分長をyとすれば、データの価値Vはサイズ依存価値f(x)および接触線分長依存価値g(y)の総和として、それぞれ2つの単調増加関数f、gを用いて次式(1)で表せる。
このとき、関数fとしてシグモイド関数を採用すれば、サイズ依存価値f(x)は次式(2)で表せる。
また、関数gとして単調増加関数を採用すれば、接触線分長依存価値g(y)は次式(3)で表せる。
ここで、主体Nの所持データDsおよび取得データDgetの幾何図形が図7の通りであって、上式(2),(3)の各係数がk=200,c=0.05,a=3であるとすれば、取得データDgetのデータ量依存価値f(x)はf(100)=100となり、接触線分長依存価値g(y)はg(35)=105となる。
また、主体Nの所持データDsおよび取得データDgetの二次元形状が図8の通りであれば、取得データDgetのデータ量依存価値f(x)はf(150)=100となり、接触線分長依存価値g(y)はg(10)=30となる。
ところで、主体Nの所持データDsおよび取得データDgetの各幾何図形の相対的な位置関係が図9の通りであると、同図(b)では同図(a)に比べて、取得データDgetのサイズは同じでも接触線分長が長くなるので取得データDgetの価値が高く評価されることになる。しかしながら、行要素や列要素の配列順序に時系列などの制限がない場合、すなわち前記図2,3に関して説明したように、行要素がユーザ、列要素が特徴量であれば、両者は等価と評価されることが望ましい。
そこで、本実施形態では価値計算に先だって、所持データDsの配列を適正化することにより、実質的に同一の価値を有する取得データ同士は同等に評価されるようにした。前記適正化は、例えば図10に示したように、データを行列(ここでは、列)の一方側から昇順ないしは降順で並べ替えることで実現できる。これは、所持データDsの幾何図形の周長を最小化することと同義である。
ただし、図9に示した例では、図11に示したように、所持データDsの配列(ここでは、行)を並べ替えても周長は同一となってしまう。したがって、このような場合には所持データDsの行列配置を変更しながら取得データDgetとの接触線分長を都度求め、接触線分長の最長化を最適化としても良い。あるいは、取得データDgetと所持データDsとを仮想的に足し合わせ、単一データにした上で周長を最小化しても良い。
図12は、上記のデータ交換を一般化ないしは拡張して主体数を3よりも大きくした例を示した図であり、図13は、一般化された本実施形態におけるデータ交換装置1の動作を示したフローチャートである。
ステップS1では、データ交換の起点となる主体(要求主体)Nsが表明する要求データDreq、および当該要求データDreqの取得と引き換えに提供できる一つないし複数の提供データ候補Dsupの表明が受け付けられる。
ステップS2では、前記要求データDreqを所持している主体(所持主体)が、前記データ管理部10で管理されているデータを対象に検索される。本実施形態では、検索結果として所持主体Ntが得られたものとして説明を続ける。
ステップS3では、所持主体Ntから要求主体Nsへ至る多数のパス候補の中の一つが、各データの価値に基づく所定の規則で探索される。そして、当該パス候補上の全ての主体からデータ交換の承認が得られれば、当該パス候補が等価交換パスに決定される。ステップS4では、データ交換装置1から等価交換パス上の各主体に対して、前記承認の得られたデータ交換の実行が指示される。
図14は、前記ステップS3における等価交換パスの探索手順を示したフローチャートであり、主にデータ交換装置1の等価交換パス構築部30が、データ管理部10に登録されている、どのデータがどの主体に所属するかの情報に基づいて実行する探索手順を示している。
ステップS301では、所持主体Ntから要求主体Nsへ至る全てのパス候補が探索される。このようなパス候補探索は、所持主体Ntを始点として、当該所持主体Ntが要求主体Nsへ提供するデータDreqと等価なデータ(例えば、D1)を所持している主体Nt-1を探索して次ステップ(上流側)とし、さらに当該データD1と等価なデータ(例えば、D2)を所持している主体Nt-2を探索して次ステップとし…という手順を、次ステップが要求主体Nsとなるまで繰り返すことにより行われる。なお、各データ同士が等価であるか否かは、前記接触線分長依存の価値とサイズ依存の価値との総和に基づいて判定される。
換言すれば、各パス候補は、パス上の各主体Nが、下流側の主体にとって第1の価値を有するデータを所持し、各主体にとって第1の価値を有するデータを上流側(次ステップ)の主体が所持するように構築される。
ステップS302では、以上の手順で探索された多数のパス候補の中からパス長が最も長いパス候補が選択されて今回の評価対象パスとされる。ここでは、前記図12に示したように、所持主体Nt→Nt-1→Nt-2…Ns+2→Ns+1→要求主体Nsのパス候補が評価対象パスであるものとして説明する。
ステップS303では、前記評価対象パス上の各主体に対して所持主体Ntから順に、前記等価交換となる取得データおよび供給データを明示して、データ交換に承諾するか否かが問い合わされる。
すなわち、最初は所持主体Ntに対して、要求主体Nsが表明した要求データDreqの提供と引き換えに、これと等価なデータD1を取得するデータ交換を承認するか否かが問い合わされる。承認が得られれば次の主体(次ステップ)へ進み、今度は主体Nt-1に対して、前記データD1の提供と引き換えに、これと等価なデータD2を取得するデータ交換を承認するか否かが問い合わされる。
以上の承認処理は、今回の評価対象パス上の各主体に対して順次に行われ、承認の得られない主体が現れるとステップS304からステップS302へ戻り、評価対象パスを次にパス長の長いパス候補に切り替えて上記の各処理が繰り返される。
これに対して、評価対象パス上の最後の主体Ns+1が、データD3の提供と引き換えに、これと等価なデータDsupを取得するデータ交換を承認すれば、ステップS304において、パス上の全主体からデータ交換の承認が得られたと判定されるのでステップS305へ進む。ステップS305では、今回の評価対象パスが等価交換パスに決定される。
本実施形態によれば、取得データの価値を所持データとの相対関係に着目して評価するに際して、定量化の困難な各データの相対関係を、各データを図形化することで定量化し、取得データの価値が、各データを模した図形同士での定量的な関係に基づいて評価されるので、データの価値を定量的に評価できるようになる。
また、本実施形態によれば、データの価値を、図形化されたデータの接触線分長依存の価値とサイズ依存の価値とに基づいて評価するようにしたので、接触線分長やサイズの異なるデータ同士の交換も可能となり、データ交換の対象、範囲が拡張されて活発なデータ交換が可能になる。
さらに、本実施形態によれば、相互にデータを等価交換できる主体ペアが存在しない場合であっても、3つないしはそれ以上の主体を経由する間接的なデータ交換により、当事者主体を含む多数の主体が同時にデータの等価交換を行えるようになる。
なお、上記の実施形態では各データを幾何図形化した際の矩形形状が同一形状、同一サイズであるものとして説明したが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、幾何図形化した際の形状やサイズを異ならせることで各データに所望の重み付を行っても良い。
例えば、データはその粒度が細かい(概念辞書上で具体性が高い)ほど価値が高くなる。したがって、例えば住所データであれば、「埼玉県」だけのデータよりも「埼玉県ふじみ野市」と記述されているデータの方が価値が高い。したがって、より粒度の細かいデータほど、幾何図形化した際の矩形形状サイズをより大きくするようにしても良い。この際、矩形形状サイズを、概念辞書におけるルートノードからの距離で判断しても良い。
1…データ交換装置,10…データ管理部,20…データ評価部,30…等価交換パス構築部,40…データ交換部,201…幾何図形化部,202…接触線分長計算部,203…データサイズ検知部,204…データ価値計算部

Claims (16)

  1. 各データが行要素および列要素で識別されるデータ群を所持する一の主体が他の一の主体から取得するデータの価値を評価するデータ価値評価装置において、
    各主体が所持するデータを当該データの行要素および列要素に基づいて幾何図形化する手段と、
    前記一の主体が所持するデータの幾何図形と前記他の一の主体から取得するデータの幾何図形との相対的な位置関係に基づいて前記取得するデータの価値を計算する手段とを具備したことを特徴とするデータ価値評価装置。
  2. 前記一の主体が所持するデータの幾何図形を前記他の一の主体から取得するデータの幾何図形で補完した幾何図形に含まれる長方形状の総面積を計算する手段をさらに具備し、
    前記取得するデータの価値を、前記総面積が大きくなるほど高くなるように計算することを特徴とする請求項1に記載のデータ価値評価装置。
  3. 前記一の主体が所持するデータの幾何図形を前記他の一の主体から取得するデータの幾何図形で補完した幾何図形において、当該補完により面積が所定の閾値を超えることになった長方形状の総面積を計算する手段をさらに具備し、
    前記取得するデータの価値を、前記総面積が大きくなるほど高くなるように計算することを特徴とする請求項1に記載のデータ価値評価装置。
  4. 前記長方形状が、さらに所定の閾値未満の取得データを補完することで長方形状となる略長方形状を含むことを特徴とする請求項2または3に記載のデータ価値評価装置。
  5. 前記一の主体が所持するデータの幾何図形と前記他の一の主体から取得するデータの幾何図形との接触線分長を計算する手段をさらに具備し、
    前記取得するデータの価値を、前記接触線分長が長いほど価値が高くなる接触線分長依存価値に基づいて計算することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のデータ価値評価装置。
  6. 前記他の一の主体から取得するデータのデータサイズを計算する手段をさらに具備し、
    前記取得するデータの価値を、前記データサイズが大きいほど価値が高くなるサイズ依存価値および前記接触線分長依存価値の和に基づいて計算することを特徴とする請求項5に記載のデータ価値評価装置。
  7. 前記一の主体が所持するデータを適正化する手段をさらに具備し、
    前記適正化手段は、前記所持するデータの二次元画像の外周長が最短化するように行同士および列同士の少なくとも一方を入れ替えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のデータ価値評価装置。
  8. 前記一の主体が所持するデータを適正化する手段をさらに具備し、
    前記適正化手段は、前記所持するデータの幾何図形と前記取得するデータの幾何図形との接触線分が最長化するように前記所持するデータの行同士および列同士の少なくとも一方を入れ替えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のデータ価値評価装置。
  9. 各データが行要素および列要素で識別されるデータ群を所持する主体間でのデータの等価交換を実現するデータ交換装置において、
    各主体が所持するデータの価値を他の主体における取得データとして評価する手段と、
    取得データの価値が各主体において等価となる複数の主体間で所持データを交換させる手段とを具備し、
    前記評価する手段が、
    各主体が所持するデータを当該データの行要素および列要素に基づいて幾何図形化する手段と、
    一の主体が所持するデータの幾何図形と他の一の主体から取得するデータの幾何図形との相対的な位置関係に基づいて前記取得するデータの価値を計算する手段とを具備したことを特徴とするデータ交換装置。
  10. 前記評価する手段は、前記一の主体が所持するデータの幾何図形を前記他の一の主体から取得するデータの幾何図形で補完した幾何図形に含まれる長方形状の総面積を計算する手段をさらに具備し、
    前記取得するデータの価値を、前記総面積が大きくなるほど高くなるように計算することを特徴とする請求項9に記載のデータ交換装置。
  11. 前記評価する手段は、前記一の主体が所持するデータの幾何図形を前記他の一の主体から取得するデータの幾何図形で補完した幾何図形において、当該補完により面積が所定の閾値を超えることになった長方形状の総面積を計算する手段をさらに具備し、
    前記取得するデータの価値を、前記総面積が大きくなるほど高くなるように計算することを特徴とする請求項9に記載のデータ交換装置。
  12. 前記長方形状が、さらに所定の閾値未満の取得データを補完することで長方形状となる略長方形状を含むことを特徴とする請求項10または11に記載のデータ交換装置。
  13. 前記評価する手段は、前記一の主体が所持するデータの幾何図形と前記他の一の主体から取得するデータの幾何図形との接触線分長を計算する手段をさらに具備し、
    前記取得するデータの価値を、前記接触線分長が長いほど価値が高くなる接触線分長依存価値に基づいて計算することを特徴とする請求項9ないし12のいずれかに記載のデータ交換装置。
  14. 前記評価する手段は、前記他の一の主体から取得するデータのデータサイズを計算する手段をさらに具備し、
    前記取得するデータの価値を、前記データサイズが大きいほど価値が高くなるサイズ依存価値および前記接触線分長依存価値の和に基づいて計算することを特徴とする請求項13に記載のデータ交換装置。
  15. 前記一の主体が所持するデータを適正化する手段をさらに具備し、
    前記適正化手段は、前記所持するデータの二次元画像の外周長が最短化するように行同士および列同士の少なくとも一方を入れ替えることを特徴とする請求項9ないし14のいずれかに記載のデータ交換装置。
  16. 前記一の主体が所持するデータを適正化する手段をさらに具備し、
    前記適正化手段は、前記所持するデータの幾何図形と前記取得するデータの幾何図形との接触線分が最長化するように前記所持するデータの行同士および列同士の少なくとも一方を入れ替えることを特徴とする請求項9ないし14のいずれかに記載のデータ交換装置。
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