JP6147433B2 - ユーザとの自然会話能力を備えたエージェントシステム、エージェント制御方法、エージェント制御プログラム、及び記録媒体 - Google Patents
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Description
二分割法においては、「あなたは、普段から座りがちの傾向がありますか?」との質問に対する、Noの回答に対応して、次の質問「あなたは、運動することができますか?」をするといった具合に、包括的な回答が得られるまで、バイナリツリーで対応付けられた質問の順番に従って質問を続けることとなる。
二分割法によるアプローチの場合、ユーザの事情に基づいた適切なアイテムを知るためには、多くの質問事項が必要となることは容易に想像できる。しかしながら、色々な事情を考慮して多くの質問事項を用意して、それらを予め静的に関連付ける場合、ユーザ側からすると、これまでの質問と回答からの文脈から外れた質問がなされることも発生し、不自然な会話になることが予想される。例えば、飲み物の会話に続いて、どのようなジャンルの本が好きか、といった質問がなされると、ユーザは、当惑するに違いない。
その結果、ユーザのユーザエクスペリエンスを損ない、ユーザロイヤリティを低くする問題点があった。
また、バイナリツリー形式の場合、新たな質問や新たなアイテムの挿入や、既存の質問及びアイテムの修正といったメンテナンスが困難となる課題があった。すなわち、バイナリツリー形式の場合、新たなアイテムや新たな質問の追加又は既存の質問やアイテムの変更に際して、バイナリツリー全体の構成を設定しなおす必要があり、システム管理者にとっては、大きな負担となっていた。
また、多くのユーザの利用履歴データを、バイナリツリー構成に柔軟に反映させることも困難であり、ユーザの利用履歴データにより柔軟にフィードバックできないという課題もあった。
また、余分な質問を数多く必要とせず、ユーザに対して、それまでの質問と回答の文脈に沿った自然な質問を発することで、より早く効率的にアイテムを提供できるシステムが望まれている。
また、ユーザのユーザエクスペリエンスをより良くするとともに、ユーザロイヤリティを高めるうえでいい影響を与えることが望まれている。
また新たなアイテムや新たな質問の追加、及び既存のアイテムや質問の修正といったメンテナンスを柔軟にできるデータ構造が望まれている。当該データ構造は、アイテムや質問を効果的に追加することができると共に、既存のアイテムや質問を効果的に処理できるという利点を有する。
また、多くのユーザの利用履歴データを集めて利用することにより、システムを自立的に発展させることで、より改善されるシステムが望まれている。
なお、上記特許文献1−5に記載された技術は、上記課題を解決するものではない。
さらに、二分割アプローチに比較して、ユーザにとって適切なアイテムをより早くより効率的に選択することができるセッションを実現するためのエージェントシステムを提供することを目的とする。
また、本発明は、新たなアイテムや新たな質問の追加、及び既存のアイテムや質問の修正等のメンテナンスを柔軟にできるデータ構造を提供することを目的とする。当該データ構造は、アイテムや質問を効果的に追加することができると共に、既存のアイテムや質問を効果的に処理できるという利点を有する。
さらに、多くのユーザが本発明にかかるシステムを利用することによって蓄積される利用履歴データを適切に利用し、フィードバックすることにより、システムを自立的に発展させることを目的とする。
こうすることで、本発明は、例えば、ユーザに対して健康に関連した質問を適切に行うことにより、当該ユーザが健康に生活するうえでの適切な勧告を提供することを目的とする。
また、本発明は、例えばファッションに関する質問とファッションに関する勧告、フードに関する質問とフードに関する勧告、レクリエーションに関する質問とレクリエーションに関する勧告、キャリア形成に関する質問とキャリア形成に関する勧告、教育に関する質問と教育に関する勧告等に適用することを目的とする。
プロセッサが、先行する複数のユーザから取得した複数の質問回答データをデータベースに記憶するものであって、前記複数の質問回答データは、複数の質問の各質問に関連付けてインデックス指定されるとともに、複数の勧告の各勧告に関連付けてインデックス指定されるように構成され、
プロセッサが予め定義された第1基準に従って、複数の勧告から勧告候補集合を特定するステップと、
プロセッサが、予め定義された条件を満たすと判定するまで、サブメソッドを繰り返し実行するものであって、前記サブメソッドは、
プロセッサが予め定義された第2基準に基づいて前記データベースから質問を選択するステップと、
プロセッサが前記質問選択ステップで選択した質問に対するユーザからの回答を取得するステップと、
プロセッサが前記ユーザからの回答に基づいて全ての勧告の確率を当該ユーザのために更新するステップと、
プロセッサが、前記更新された勧告の確率に基づいて、前記勧告候補集合を更新するステップと、
を含み、
プロセッサは、予め定義された条件を満たすと判定した場合、前記勧告候補集合から選択した勧告を出力すること、と
を含むことを特徴とする方法。
先行する複数のユーザから取得した複数の質問回答データをデータベースに記憶する手段であって、前記複数の質問回答データは、複数の質問の各質問に関連付けてインデックス指定されるとともに、複数の勧告の各勧告に関連付けてインデックス指定されるように構成される、前記記憶する手段と
予め定義された第1基準に従って、複数の勧告から勧告候補集合を特定する手段と、
予め定義された条件を満たすと判定するまで、複数の手段を繰り返し実行する手段であって、前記複数の手段は、
予め定義された第2基準に基づいて前記データベースから質問を選択する手段と、
前記質問を選択する手段で選択した質問に対するユーザからの回答を取得する手段と、
プロセッサが前記ユーザからの回答に基づいて全ての勧告の確率を当該ユーザのために更新する手段と、
前記更新された勧告の確率に基づいて、前記勧告候補集合を更新する手段と、
を含み、
予め定義された条件を満たすと判定した場合、前記勧告候補集合から選択した勧告を出力する手段、と
を含むことを特徴とするシステム。
先行する複数のユーザから取得した複数の質問回答データをデータベースに記憶するステップであって、前記複数の質問回答データは、複数の質問の各質問に関連付けてインデックス指定されるとともに、複数の勧告の各勧告に関連付けてインデックス指定されるように構成される前記ステップと、
予め定義された第1基準に従って、複数の勧告から勧告候補集合を特定するステップと、
予め定義された条件を満たすと判定するまで、サブメソッドを繰り返し実行するステップであって、前記サブメソッドは、
予め定義された第2基準に基づいて前記データベースから質問を選択するステップと、
前記質問選択ステップで選択した質問に対するユーザからの回答を取得するステップと、
前記ユーザからの回答に基づいて全ての勧告の確率を当該ユーザのために更新するステップと、
前記更新された勧告の確率に基づいて、前記勧告候補集合を更新するステップと、
を含む、前記ステップと、
予め定義された条件を満たすと判定した場合、前記勧告候補集合から選択した勧告を出力するステップ、と
を実行させるためのプログラム。
先行する複数のユーザから取得した複数の質問回答データをデータベースに記憶するステップであって、前記複数の質問回答データは、複数の質問の各質問に関連付けてインデックス指定されるとともに、複数の勧告の各勧告に関連付けてインデックス指定されるように構成される前記ステップと、
予め定義された第1基準に従って、複数の勧告から勧告候補集合を特定するステップと、
予め定義された条件を満たすと判定するまで、サブメソッドを繰り返し実行するステップであって、前記サブメソッドは、
予め定義された第2基準に基づいて前記データベースから質問を選択するステップと、
前記質問選択ステップで選択した質問に対するユーザからの回答を取得するステップと、
前記ユーザからの回答に基づいて全ての勧告の確率を当該ユーザのために更新するステップと、
前記更新された勧告の確率に基づいて、前記勧告候補集合を更新するステップと、
を含む、前記ステップと、
予め定義された条件を満たすと判定した場合、前記勧告候補集合から選択した勧告を出力するステップ、と
を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
本発明によれば、標準的な二分割法によるアプローチに比較して、結果的にあまり役に立たない質問を排除し、迅速に収束し、より早く、より効率的にユーザに対する適切な勧告を提供することができる。
本発明によれば、仮にユーザが回答を誤った場合であっても、ユーザは他の質問に対する回答に基づいて正しい回答に自動的に戻ることができる。
本発明によれば、過去のユーザ履歴データを利用することにより、エージェントシステムは自動的に自立的に成長することができる。そうすることで、ユーザに対してより適切なアイテムを提供することができる。
本発明によれば、デシジョンツリーモデルのようにデータの再構築をすることなく、新たなアイテムや新たな質問の追加、及び既存のアイテムや質問の修正等のメンテナンスを柔軟にできる。
図1は、本発明の実施形態に係るエージェントシステム24の一例の概略的な機能ブロック図である。
図1に示すように、エージェントシステム24は、アイテムマスタデータベース10と、ユーザ履歴データファイル11と、アイテム確率ワークテーブル12と、アイテムマスタデータベース作成更新部8と、ユーザ履歴データファイル作成更新部9と、アイテム確率ワークテーブル初期設定部1と、アイテム候補集合選択部2と、質問選択部3と、質問提示/回答取得部4と、アイテム確率更新部5と、アイテム確率判定部6と、アイテム提示確認部7と、を含む。
さらに、図2A、図2B、図2Dに示すように、アイテムマスタデータベース10は、前記複数の質問の各質問について、質問IDと質問の内容を含む質問情報とを格納する質問テーブル31、前記複数のアイテムの各アイテムについて、アイテムIDと、アイテムの内容を含むアイテム情報と、アイテム事前確率と、を格納するアイテムテーブル32、及び先行する複数のユーザから取得した質問回答データに基づいて算出した、各アイテムに対する各質問の尤度を格納するアイテムに対する質問の尤度テーブル34を含む。
判定結果が前記条件を満足すると判定した場合、アイテム提示確認部7に制御を渡す。
判定結果が前記条件を満足しないと判定した場合、前記アイテム確率更新部5が更新した前記アイテム確率が前記条件を満足すると判定するまで、前記アイテム候補集合選択部2、質問選択部3、質問提示/回答取得部4、及びアイテム確率更新部5の実行を繰り返す。
これら各機能ブロックの詳細な処理内容については、後述する。
図4を参照して、本発明の実施形態に係るエージェントシステム24の構成について説明する。エージェントシステム24はサーバを含み得る。そして、ユーザはクライアント端末21を利用して、通常、通信ネットワーク22を介してエージェントシステム24と会話する。クライアント端末21及びサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行されるとともに互いにクライアント/サーバ関係を有するコンピュータプログラムに基づいて成り立つ。
通信ネットワーク22は、専用線やインターネット等の広域ネットワーク、無線電話網、LAN(Local Area Network)等である。
なお、エージェントシステム24とクライアント端末とをひとつのコンピュータに実装することもできる。
前記機能部の実施形態は、1台のコンピュータ上でも、一箇所にある又は数箇所に分散され、通信ネットワーク22によって相互接続された多数のコンピュータでも実行されるように展開することができる。また、「クラウド」上の複数のサーバ等を用いて構成してもよい。
エージェントシステム24は、図5Aに図示しない、最初の質問及び2番目の質問に対するユーザからの回答に基づいて、アイテムの事後確率を更新した後に、図5Aに示すように、エージェントシステム24は、(3番目の)質問その3を選択し、ユーザに対して質問その3を提示する。
ユーザは、質問その3に対して「いいえ」を回答する。
図5Cに、ユーザに対して、推奨するアイテムを選択して提示した画面を示す。
ここで、各アイテムの右横に記載の数字は、当該ユーザにおけるアイテムの事後確率の値を示す。
そして、これらのアイテムは、当該ユーザにとって、正しいと同意する可能性の高いと考えられる。
このように、本発明のエージェントシステム24は、ユーザとそれまでの質問と回答の文脈に沿って自動化されたインタラクティブな自然な会話を提供する。そして、より早く、より効率的にユーザに対する適切なアイテムを提供する。
次に、エージェントシステム24の機能部の処理内容及びデータベースの構成の詳細について、説明する。
先ずデータベースの構成について説明する。
本発明のエージェントシステム24によるサービスをユーザに対して提供するためには、予めアイテムマスタデータベース10を事前に作成しておく必要がある。ここでは、アイテムマスタデータベース10を事前に作成するための方法について説明する。
先ず、本発明の大きな特徴であるアイテムと質問との関連付けについて説明する。
アイテムと質問との関連付けを行うために、予め、図2A〜図2Bに示すように、複数のアイテムと複数の質問とが、質問テーブル31及びアイテムテーブル32として用意される(ステップ101)。そして、前記複数の質問と前記複数のアイテムとを関連付けを行うための質問を、多数、例えば1万人のテストユーザに対して行うことで、前記複数の質問と前記複数のアイテムとを関連付けるための各種データを取得する(ステップ102)。
各テストユーザに質問αを質問する。ここで、質問αは、その回答が、「はい」、「いいえ」、及び「わからない」となる3択式の質問である。当該質問αに対して、ユーザは、「はい」、「いいえ」、又は「わからない」との回答を行う。
ユーザが質問αに対して「はい」と回答した事象をαYes、
ユーザが質問αに対して「いいえ」と回答した事象をαNo、
ユーザが質問αに対して「わからない」と回答した事象をαNeitherで表わす。
すなわち、複数のユーザに質問αをしたときに、各ユーザは、αYes、αNo、αNeitherのいずれかひとつの事象に属するということができる。
なお、前記ユーザからの回答の電子化は、データシートから例えばOCR処理を利用して電子化することができる。また例えば、Web画面から直接ユーザからの回答を直接電子データとして収集することも可能である。
同様に、アイテムAへの勧告を「(1)はい、そのようにしたい」と回答したレコード数のうち、質問αに「いいえ」と回答したレコード数の割合を算出する。(以下、P(αNo|A)、と表記する。)
同様に、アイテムAへの勧告を「(1)はい、そのようにしたい」と回答したレコード数のうち、質問αに「わからない」と回答したレコード数の割合を算出する。(以下、P(αNeither|A)と表記する。)以上を全てのアイテムと全ての質問に対して実行する (ステップ104)。
以下、簡単のため、アイテムAに対する質問αの尤度P(α|A)は、前記集合{P(αYes|A)、P(αNo|A)、及びP(αNeither|A)}を意味するものとする。
P(αYes|A)の値がP(αNo|A)の値より大きい場合、質問αとアイテムAとの関係はYes関係にあるという。逆に、P(αNo|A)の数値がP(αYes|A)の値よりも大きい場合、質問αとアイテムAとの関係はNo関係にあるという。
なお、両者の値が等しい場合は、予め定めた優先順位に従って、決定する。
例えば、図2Cを参照すると、質問αは、アイテムAとYes関係にあり、アイテムBとはNo関係にあることがわかる。
アイテムの事前確率を算出する方法について触れておく。
1つの方法は、全てのアイテムの同意される確率を等しいものと定義する方法である。
他の方法は、ユーザの集合(例えば、1万人のユーザ)において、各ユーザにとって正しいと同意するアイテムがわかっている場合、このデータに基づいて、アイテムの事前確率を設定する方法である。
また、サービス提供側での予測に基づいて、アイテムの事前確率を決定し、アイテム間に傾斜をかけることもできる。
なお、上記の方法は一例であって、これらに限定するものではない。
また、いずれの方法であっても、全てのアイテムの事前確率の総計は1(100%)となる。
ユーザに対する最初(1番目)の質問を選択する際には、予め設定されたアイテムの事前確率に基づいてアイテム候補集合を選択する。
このため、アイテム候補集合選択部2の最初の実行に先立って、アイテム確率初期設定部は、全てのアイテムについて、アイテム識別番号とアイテムの事後確率とを対応づけたアイテム確率ワークテーブル12に前記アイテムの事前確率を初期設定する。
なお、アイテム確率ワークテーブル12は、質問の回答がなされる毎に、算出されるアイテムの事後確率を記憶するための、当該ユーザ毎に作成されるワークテーブルである。
図7には、図1に示したアイテム候補集合選択部2と質問選択部3が実行する処理について記載している。
ユーザにn番目(nは1以上の自然数)の質問を選択するときの処理内容を図7に示す。アイテム候補集合選択部2は、前記アイテム確率ワークテーブル12に設定されたアイテムの事後確率をその値の大きい順に並べて大きい順に累積的に加算する。そして、その累積和が、予め定義された第1基準を超えるまでの複数のアイテムを選択し、選択したアイテムからなる集合をn番目(nは1以上の自然数)のアイテム候補集合とする。
ここで、仮に質問αをユーザに提示したと仮定する。ユーザがYesと回答した場合、質問αとYesで関連付けられた7個のアイテムの事後確率の値が増加し、質問αとNoで関連付けられた8個のアイテムの事後確率の値が減少することが想定される。逆に、ユーザがNoと回答した場合、質問αとNoで関連付けられた8個のアイテムの事後確率の値が増加し、質問αとYesで関連付けられた7個のアイテムの事後確率の値が減少することが想定される。すなわち、ユーザのYes/Noの回答に関わらず、n番目のアイテム候補集合の半分のアイテムの事後確率が増加し、残り半分のアイテムの事後確率が減少する。
これに対して、仮に質問βをユーザに提示したと仮定する。ユーザがNoと回答した場合、質問βとNoで関連付けられた12個のアイテムの事後確率の値が増加し、質問βとYesで関連付けられた3個のアイテムの事後確率の値が減少することが想定される。
この場合は、12個のアイテムの事後確率の値が増加することで、アイテムの事後確率の収束効率が良くないと考えられる。
従って、‘良い’質問とは、アイテム候補集合をYesとNoの関連付けで見た場合に、前記アイテム候補集合をちょうど半々に分割する質問αが望ましい。
具体的には、アイテムマスタの各質問毎に、前記アイテム候補集合の各アイテムと関連付けるYes/Noデータを、アイテムマスタから入力し、当該Yes/NoデータがYesの場合は値1、Noの場合は値0を代入して、前記質問の前記アイテム候補集合におけるYes/Noデータの不偏分散を算出する。
V = (1/N−1)Σ (μ−Xi)2
・・・式(1)
ここで、Xiは、前記アイテム候補集合に属するアイテムのYes/Noデータの値
μは、前記アイテム候補集合に属するアイテムのYes/Noデータの値の平均値
Nは、前記アイテム候補集合に属するアイテムの個数
例えば、上記の図7の記載例における質問αの不偏分散は0.266667、質問βの不偏分散は0.171429となるから、質問αが選択される。
図9を参照して説明する。図9に示すように、質問αと質問γとは、ともに、アイテム候補集合を半分に分割する。しかしながら、質問αは、アイテム全体集合からみると、そのYes/NoデータがYes/Noのいずれかに偏っていることがわかる、他方、質問γは、アイテム全体集合からみると、そのYes/Noデータが半々になっていることがわかる。
この場合、質問αは、アイテムの全体集合から全体の中の特別なエリアを切り取ると解される。このことは、質問αがアイテム候補集合にとって、より特別な意味のある質問であることを示唆する。
複数個の質問の前記アイテム候補集合におけるYes/Noデータの不偏分散が同じ値である場合、質問選択部3は、前記複数個の質問の各質問に対して、全てのアイテムと関連付けるYes/Noデータを、アイテムマスタ33から入力し、各質問の全てのアイテム集合におけるYes/Noデータの不偏分散を算出する。
前記複数個の質問の前記アイテム候補集合におけるYes/Noデータの不偏分散を算出した後、質問選択部3は、各質問の前記アイテム候補集合に属するアイテムのYes/Noデータの不偏分散の当該質問の全てのアイテム集合のYes/Noデータの不偏分散に対する比率が最も大きい質問を選択する。
こうすることで、質問選択部3は、より効率的な質問を自動的に選択することが可能となる。このように、標準的な二分割法によるアプローチに比較して、結果的にあまり役に立たない質問を排除し、迅速に収束し、より早く、より効率的にユーザに対する適切な勧告を提供することができる。
質問αは、0.266667/0.229885=1.16
質問γは、0.266667/0.258621=1.03
となることから、質問αが選択される。
質問提示/回答取得部4は、質問選択部3が選択した質問を図1に図示しない通信処理部を介して、クライアント端末21に送信する。質問提示/回答取得部4は、クライアント端末21からユーザにより入力された回答を前記通信処理部を介して、当該質問に対する回答、例えば、(1)はい、(2)いいえ、及び(3)わからない、を取得する。
質問提示/回答取得部4は、ユーザに提示した質問及びユーザから取得した回答に基づいて、ユーザ履歴データファイル作成更新部9を介して、ユーザ履歴データファイル11にユーザ履歴データレコードを作成又は更新する。
なお、システム構成の説明で記載したように、クライアント端末21は、エージェントシステム24と会話するためのグラフィカルユーザインターフェイス又はウェブブラウザを有することができる。また、ユーザとの会話をもたらすために、他の種類のデバイスを使用することもできる。例えば、ユーザへの出力は、音響又は音声でもよく、ユーザからの入力は、音響又は音声を含むどの形でも受け取ることができる。
図7には、アイテム確率更新部5の機能について記載している。
アイテム確率更新部5は、質問αに対するユーザの回答を取得した後に、ベイズ推定を用いて、当該ユーザがアイテムへの勧告を正しいと同意する確率(アイテムの事後確率)を算出する。
アイテム確率更新部5の処理内容の説明に先立ち、ベイズ推定について説明する。
本発明におけるベイズ推定は、以下のものである。
アイテムAへの勧告にユーザが同意する事前確率をP(A)とし、ユーザに最初(1番目)の質問αがなされてその回答「はい」(事象αYes)、「いいえ」(事象αNo)、及び「わからない」(事象αNeither)が得られた状況下で、アイテムAへの勧告を当該ユーザが正しいとする条件付き確率(事後確率)を、それぞれ、P(A|αYes)、P(A|αNo)、及びP(A|αNeither)とすると、ベイズの定理により、以下の式(2)〜式(4)で定義される。
・・・式(2)
ΣXは、全てのアイテムXにまたがる総和を意味する。
P(αYes|X)は、アイテムXに対する事象αYesの尤度を指す。
P(A|αNo) = P(αNo|A)P(A)/ ΣX{P(αNo|X)P(X)}
・・・式(3)
ΣXは、全てのアイテムXにまたがる総和を意味する。
P(αNo|X)は、アイテムXに対する事象αNoの尤度を指す。
P(A|αNeither) = P(αNeither|A)P(A)/ ΣX{P(αNeither|X)P(X)}
・・・式(4)
ΣXは、全てのアイテムXにまたがる総和を意味する。
P(αNeither|X)は、アイテムXに対する事象αNeitherの尤度を指す。
なお、P0(A)=P(A)(事前確率)である。
= P(βYes|A)Pn−1(A)/ ΣX{P(βYes|X)Pn−1(X)}
・・・式(5)
ΣXは、全てのアイテムXにまたがる総和を意味する。
P(βYes|X)は、アイテムXに対する事象αYesの尤度を指す。
Pn(A|βNo)
= P(βNo|A)Pn−1(A)/ ΣX{P(βNo|X)Pn−1(X)}
・・・式(6)
ΣXは、全てのアイテムXにまたがる総和を意味する。
P(βNo|X)は、アイテムXに対する事象αNoの尤度を指す。
Pn(A|βNeither)
= P(βNeither|A)Pn−1(A)/ ΣX{P(βNeither|X)Pn−1(X)}
・・・式(7)
ΣXは、全てのアイテムXにまたがる総和を意味する。
P(βNeither|X)は、アイテムXに対する事象αNeitherの尤度を指す。
アイテム確率更新部5の処理内容について式(2)〜(7)を参照して説明する。
アイテム確率更新部5は、質問提示/回答取得部4を介して得られたユーザからの回答に基づいて、各アイテムを当該ユーザが正しいと同意する条件付き確率(事後確率)を求める。
アイテム確率更新部5は、当該質問βがユーザに対してn番目(n>1)の質問であった場合、その回答「はい」(事象βYes)、「いいえ」(事象βNo)、及び「わからない」(事象βNeither)に基づいて、アイテムに対する質問の尤度テーブル34から各アイテムに対する質問βの尤度を入力し、アイテム確率ワークテーブル12から各アイテムの事後確率を入力し、それぞれ式(5)、式(6)、及び式(7)に従って、各アイテムのn番目の事後確率を算出する。その後、算出した各アイテムのn番目の事後確率に基づいてアイテム確率ワークテーブル12を更新する。アイテム確率更新部5は、更新履歴をアイテム確率ワークテーブル12に記録してもよい。
なお、図10に示すように、ある時点でアイテム候補集合から外れたアイテムは、次回以降の質問に対する回答によって、アイテム候補集合に復活することがある。すなわち、本発明のアイテム確率更新部5の前記機能により、仮に誤った回答を応答し、一時的にアイテムの事後確率の値は減少した場合であっても、次回以降の質問に対して正しい回答をすることによって、前記アイテムの事後確率の値が増加する。そうすることで、アイテム候補集合選択部2が当該ユーザが正しいと同意するアイテムを再び候補集合に選択することができる。このように仮にユーザが回答を誤った場合であっても、ユーザは他の質問に対する回答に基づいて正しい回答に自動的に戻ることができる。
アイテム確率判定部6は、アイテム確率ワークテーブル12に記憶されたアイテム確率を参照して、予めエージェントシステム24に設定されたアイテム提供条件を満たすかどうか、判定する。
ここで、アイテム提供条件は、例えば、アイテム確率ワークテーブル12に記憶されたアイテム確率をその値の大きい順に並べたときに、例えば、1番目のアイテム確率が2番目のアイテム確率の2倍以上の値をとること、又は1番目のアイテム確率が50%を超えるものであること等、システム管理者がエージェントシステム24に任意に設定する。
その後、図11に示すように、アイテムマスタデータベース作成更新部8は、更新された前記ユーザ履歴データファイル11に基づいて、図2Dに示す、アイテムに対する質問の尤度テーブル34を更新することができる。また、アイテムテーブル32におけるアイテムの事前確率を更新することができる。
アイテムに対する質問の尤度テーブル34及びアイテムテーブル32の更新は、リアルタイム処理又はバッチ処理のいずれでも可能である。アイテムに対する質問の尤度テーブル34及びアイテムテーブル32をリアルタイムで更新することにより、ユーザに最新の勧告を提供することができるという利点を有する。
こうすることで、エージェントシステム24の運用時に、ユーザの履歴データに基づいて、アイテムマスタデータベース10を自動的にメンテナンスすることができ、より最新のユーザのトレンドを反映させることができる。
このように、過去のユーザ履歴データを利用することにより、エージェントシステム24は自動的に自立的に成長することができる。
再実行にあたっては、アイテム候補集合選択部2は、当該ユーザの同意しないアイテムを次回のアイテム候補集合から外す。また、アイテム確率更新部5は、ユーザの同意しないアイテムに対する任意の質問αの尤度P(α|A)を全てゼロとして、アイテムの事後確率を算出することができる。こうすることにより、その後の事後確率の再計算で当該アイテムの事後確率は0%となり、当該ユーザには提示されない。
こうすることで、不適切なアイテムを排除し、ユーザに適切なアイテムを提供することができる。
先行する複数のユーザから取得した複数の質問回答データをデータベースに記憶するものであって、前記複数の質問回答データは、複数の質問の各質問に関連付けてインデックス指定されるとともに、複数の勧告の各勧告に関連付けてインデックス指定されるように構成され、
予め定義された第1基準に従って、複数の勧告から勧告候補集合を特定するステップと、
予め定義された条件を満たすと判定するまで、サブメソッドを繰り返し実行するものであって、前記サブメソッドは、
予め定義された第2基準に基づいて前記データベースから質問を選択するステップと、
前記質問選択ステップで選択した質問に対するユーザからの回答を取得するステップと、
前記ユーザからの回答に基づいて全ての勧告の確率を当該ユーザのために更新するステップと、
前記更新された勧告の確率に基づいて、前記勧告候補集合を更新するステップと、を含み、
予め定義された条件を満たすと判定した場合、前記勧告候補集合から選択した勧告を出力することと、
を含む。
2 アイテム候補集合選択部
3 質問選択部
4 質問提示/回答取得部
5 アイテム確率更新部
6 アイテム確率判定部
7 アイテム提示確認部
8 アイテムマスタデータベース作成更新部
9 ユーザ履歴データファイル作成更新部
10 アイテムマスタデータベース
11 ユーザ履歴データファイル
12 アイテム確率ワークテーブル
21 クライアント端末
22 通信ネットワーク
23 管理者端末
24 エージェントシステム
31 質問テーブル
32 アイテムテーブル
33 アイテムマスタ
34 アイテムに対する質問の尤度テーブル
Claims (18)
- 自動化されたシステムが、ユーザとインタラクティブな会話をすることにより、当該ユーザに対して勧告を提供するコンピュータ実行方法であって、前記方法は、
プロセッサが、先行する複数のユーザから取得した複数の質問回答データをデータベースに記憶するものであって、前記複数の質問回答データは、複数の質問の各質問に関連付けてインデックス指定されるとともに、複数の勧告の各勧告に関連付けてインデックス指定されるように構成され、
プロセッサが予め定義された第1基準に従って、複数の勧告から勧告候補集合を特定するステップと、
プロセッサが、予め定義された条件を満たすと判定するまで、サブメソッドを繰り返し実行するものであって、前記サブメソッドは、
プロセッサが予め定義された第2基準に基づいて前記データベースから質問を選択するステップと、
プロセッサが前記質問を選択するステップで選択した質問に対するユーザからの回答を取得するステップと、
プロセッサが前記ユーザからの回答に基づいて全ての勧告の確率を当該ユーザのために更新するステップと、
プロセッサが、前記更新された勧告の確率に基づいて、前記勧告候補集合を更新するステップと、
を含み、
プロセッサは、予め定義された条件を満たすと判定した場合、前記勧告候補集合から選択した勧告を出力すること、と
を含むことを特徴とする方法。 - 請求項1に記載のコンピュータ実行方法において、プロセッサが、前記ユーザからの回答に基づいて前記全ての勧告の確率を更新するステップは、ベイズ推定を含むことを特徴とする方法。
- 請求項1又は2に記載のコンピュータ実行方法において、前記サブメソッドは、さらに、プロセッサが、前記ユーザからの回答に基づいて、前記質問回答データを更新するステップを含むことを特徴とする方法。
- 請求項1から3のいずれかの請求項に記載のコンピュータ実行方法において、前記予め定義された条件は、1番目の勧告候補の確率が2番目の勧告候補の確率の予め定めた整数倍以上となることを含むことを特徴とする方法。
- 請求項1から4のいずれかの請求項に記載のコンピュータ実行方法において、前記予め定義された第1基準は、前記勧告候補集合が、勧告の確率の大きい順番に累積的に加算し、累積和が総累積数の予め定めた割合になるまでの勧告からなる集合であることを特徴とする方法。
- 請求項1から5のいずれかの請求項に記載のコンピュータ実行方法において、前記予め定義された第2基準は、前記選択される質問が、前記勧告候補集合における回答の不偏分散又は分散が最も大きな値となることを特徴とする方法。
- 請求項1から6のいずれかの請求項に記載のコンピュータ実行方法において、前記予め定義された第2基準は、前記勧告候補集合における回答データの不偏分散又は分散が最も大きな値となる質問が複数個存在した場合、前記選択される勧告が、前記勧告候補集合における回答の不偏分散又は分散と全ての勧告集合における回答の不偏分散又は分散との比率が最も大きな値となることを特徴とする方法。
- 請求項1から7のいずれかの請求項に記載のコンピュータ実行方法において、前記複数の質問回答データをデータベースに記憶することは、データ構造に前記質問回答データを記憶することを含み、前記データ構造は、既存の質問回答データの修正を含むメンテナンスを柔軟に可能にすることを特徴とする方法。
- 請求項1から8のいずれかの請求項に記載のコンピュータ実行方法において、前記データベースは、リアルタイムで更新されることを特徴とする方法。
- 請求項1から9のいずれかの請求項に記載のコンピュータ実行方法において、前記第2基準に基づいて前記データベースから質問を選択するステップは、前記勧告候補集合を半々に分割する質問を自動的に選択することを含むことを特徴とする方法。
- 請求項1から10のいずれかの請求項に記載のコンピュータ実行方法において、前記質問に対するユーザからの回答を取得するステップは、
質問選択部が質問を選択し、
質問提示/回答取得部が通信処理部を介して、前記ユーザに選択した質問を送信することを含み、
前記質問提示/回答取得部は、前記通信処理部を介して、前記選択した質問に対する回答を取得するように動作可能であることを特徴とする方法。 - 請求項1から11のいずれかの請求項に記載のコンピュータ実行方法において、前記確率を更新するステップは、前記ユーザからの前記回答に基づいて前記勧告候補集合の各勧告の事後確率を算出することを含むことを特徴とする方法。
- 請求項12に記載のコンピュータ実行方法において、前記勧告候補集合を更新するステップは、前記勧告候補集合の各勧告の更新された確率を判定することを含むことを特徴とする方法。
- 請求項13に記載のコンピュータ実行方法において、前記勧告を出力することは、所定の閾値未満の前記更新された確率を有する前記勧告候補集合の勧告を出力することを含む方法。
- 自動化されたシステムが、ユーザとインタラクティブな会話をすることにより、当該ユーザに対して勧告を提供するコンピュータシステムであって、前記コンピュータシステムは、
プロセッサで実行可能なプログラムコードを記憶するメモリと、
前記プロセッサで実行可能なプログラムコードを実行して、システムに前記プロセッサで実行可能なプログラムコードを実行させるプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
先行する複数のユーザから取得した複数の質問回答データをデータベースに記憶することであって、前記複数の質問回答データは、複数の質問の各質問に関連付けてインデックス指定されるとともに、複数の勧告の各勧告に関連付けてインデックス指定されるように構成され、
予め定義された第1基準に従って、複数の勧告から勧告候補集合を特定することと、
予め定義された条件を満たすと判定するまで、複数の手段を繰り返し実行することであって、前記複数の手段は、
予め定義された第2基準に基づいて前記データベースから質問を選択することと、
前記質問を選択することで選択した質問に対するユーザからの回答を取得することと、
プロセッサが前記ユーザからの回答に基づいて全ての勧告の確率を当該ユーザのために更新することと、
前記更新された勧告の確率に基づいて、前記勧告候補集合を更新することと、
を含み、
予め定義された条件を満たすと判定した場合、前記勧告候補集合から選択した勧告を出力することと、
を前記コンピュータシステムに実行させることを特徴とするシステム。 - ユーザとインタラクティブな会話をすることにより、当該ユーザに対して勧告を提供するために、コンピュータに、
先行する複数のユーザから取得した複数の質問回答データをデータベースに記憶するステップであって、前記複数の質問回答データは、複数の質問の各質問に関連付けてインデックス指定されるとともに、複数の勧告の各勧告に関連付けてインデックス指定されるように構成される前記ステップと、
予め定義された第1基準に従って、複数の勧告から勧告候補集合を特定するステップと、
予め定義された条件を満たすと判定するまで、サブメソッドを繰り返し実行するステップであって、前記サブメソッドは、
予め定義された第2基準に基づいて前記データベースから質問を選択するステップと、
前記質問を選択するステップで選択した質問に対するユーザからの回答を取得するステップと、
前記ユーザからの回答に基づいて全ての勧告の確率を当該ユーザのために更新するステップと、
前記更新された勧告の確率に基づいて、前記勧告候補集合を更新するステップと、
を含む、前記ステップと、
予め定義された条件を満たすと判定した場合、前記勧告候補集合から選択した勧告を出力するステップ、と
を実行させるためのコンピュータ実行プログラム。 - ユーザとインタラクティブな会話をすることにより、当該ユーザに対して勧告を提供するために、コンピュータに、
先行する複数のユーザから取得した複数の質問回答データをデータベースに記憶するステップであって、前記複数の質問回答データは、複数の質問の各質問に関連付けてインデックス指定されるとともに、複数の勧告の各勧告に関連付けてインデックス指定されるように構成される前記ステップと、
予め定義された第1基準に従って、複数の勧告から勧告候補集合を特定するステップと、
予め定義された条件を満たすと判定するまで、サブメソッドを繰り返し実行するステップであって、前記サブメソッドは、
予め定義された第2基準に基づいて前記データベースから質問を選択するステップと、
前記質問を選択するステップで選択した質問に対するユーザからの回答を取得するステップと、
前記ユーザからの回答に基づいて全ての勧告の確率を当該ユーザのために更新するステップと、
前記更新された勧告の確率に基づいて、前記勧告候補集合を更新するステップと、
を含む、前記ステップと、
予め定義された条件を満たすと判定した場合、前記勧告候補集合から選択した勧告を出力するステップ、と
を実行させるためのコンピュータ実行プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 適切なシステムで読み込み及び実行されたときに、請求項1から14のいずれか一項に記載の自動化されたシステムがユーザに対して勧告を提供するコンピュータ実行方法のステップを実行するコンピュータ読み取り可能な命令を含むコンピュータプログラム。
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