[第1の実施形態]
図1〜図4は、この発明によるコンデンサの第1の実施形態の構成例を説明するための図である。この第1の実施形態のコンデンサ1は、前述したペン形状であって、前述したスイッチ回路としてのプッシュスイッチを備える位置指示器の共振回路を構成するコンデンサとして用いる場合を想定している。
この第1の実施形態のコンデンサ1は、いわゆるフィルムコンデンサである。図1に示すように、誘電体フィルム2の表裏に、この誘電体フィルム2を介して対向配置される第1の導体層3と第2の導体層4とを蒸着などにより形成したフィルムコンデンサ5と、図2に示す絶縁フィルム6とを、図3に示すように巻回して、図4に示すような棒状にしたものとして構成される。なお、図の例では、横方向に長い誘電体フィルム2の横方向を巻回の軸芯方向とし、誘電体フィルム2の縦方向を巻回方向としている。しかし、これは、説明の便宜上のものであり、例えば、縦方向に長い誘電体フィルム2の横方向を巻回の軸芯方向とするようにしても勿論良い。
誘電体フィルム2及び絶縁フィルム6は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネートなどの誘電体からなる。第1の導体層3及び第2の導体層4は、例えば、アルミニウム、亜鉛、これらの合金などの金属層で構成され、金属蒸着により誘電体フィルム2に形成される。
図1(B)は、誘電体フィルム2の裏面2b側を示し、第2の導体層4が、そのほぼ全面に渡って形成されている。また、図1(A)は、誘電体フィルム2の表面2a側を示し、後述するように、外部からの物理的な処理を受けて、その導体面積が変更される導体パターンからなる第1の導体層3が形成されている。したがって、第1の導体層3と第2の導体層4とが誘電体フィルム2を介して対向されて形成されるフィルムコンデンサ5は、導体パターンの分断処理や接続処理など、外部からの物理的な処理を受けて導体面積が変更された第1の導体層3の導体面積に応じた静電容量を有するものとなる。なお、図1(B)は、図1(A)の誘電体フィルム2の上下端を逆にして裏返したものであり、誘電体フィルム2の左右端は、図1(A)と図1(B)とで一致している。
この第1の実施形態においては、第1の導体層3の導体パターンは、図1(A)に示すように、第1及び第2の共通導体パターン31a及び31bと、1個以上、この例では、7個の容量形成用導体パターン32a,32b,32c,32d,32e,32f,32gと、容量形成用導体パターン32a〜32gの数に応じた数の導体面積変更用導体パターン33a,33b,33c,33d,33e,33f,33gとからなる。
導体面積変更用導体パターン33a〜33dは、第1の共通導体パターン31aと容量形成用導体パターン32a〜32dのそれぞれとの間に形成される。また、導体面積変更用導体パターン33e〜33gは、第2の共通導体パターン31bと容量形成用導体パターン32e〜32gのそれぞれとの間に形成される。そして、導体面積変更用導体パターン33a〜33gは、棒状のコンデンサ1において、完成部品とされた後に物理的な処理を受けることが可能なように、棒状のコンデンサ1の巻回部分の外周側、好適には最外周表面側となる位置に形成される。
そして、この第1の実施形態では、導体面積変更用導体パターン33a〜33gのそれぞれは、棒状に巻回されて形成されるコンデンサ1の軸芯方向に延伸された軸芯方向配設導体パターン34a,34b,34c,34d,34e,34f,34gを備えている。そして、完成部品とされた後にこの軸芯方向配設導体パターン34a〜34gが、棒状のコンデンサ1において、図1(A)において点線で示すように、その延伸方向に直交する方向(コンデンサ1の周方向)に、所望する容量値に対応して物理的に分断されることにより、第1の共通導体パターン31a及び第2の共通導体パターン31bと、容量形成用導体パターン32a〜32d及び容量形成用導体パターン32e〜32gとがそれぞれ電気的に非接続あるいは接続された状態とされて、コンデンサ1の静電容量を形成する第1の導体層3の導体面積が変更される。
そして、この例では、図1(A)に示すように、導体面積変更用導体パターン33a〜33gを構成する軸芯方向配設導体体パターン34a〜34gは、誘電体フィルム2の巻回方向の巻き終わり端から、所定距離dだけ、離れた位置において、誘電体フィルム2の横方向、すなわちコンデンサ1の軸芯方向に一列に、かつ、等間隔で、並ぶように配設される。この結果、棒状のコンデンサ1においては、導体面積変更用導体パターン33a〜33gを構成する軸芯方向配設導体パターン34a〜34gは、コンデンサ1の周方向における同一位置において、コンデンサ1の軸芯方向に一列に並ぶように配設されることになる。この場合に、所定距離dは、図4に示すように棒状に巻回したこの例のコンデンサ1の半径をrとしたときに、d<2πrに選定されて、軸芯方向配設導体パターン34a〜34gの全てが、棒状のコンデンサ1の最外周部分に位置するようにされている。
更に、この例では、導体面積変更用導体パターン33a〜33gを構成する軸芯方向配設導体パターン34a〜34gのそれぞれは、容量形成用導体パターン32a〜32gのそれぞれを、第1の共通導体パターン31aまたは第2の共通導体パターン31bから、個別に分離することができるように形成されている。
容量形成用導体パターン32a〜32gのそれぞれは、この例では、短冊状の導体パターンとして形成され、その導体パターンの幅(誘電体フィルム2の横方向の長さ)Wは互いに等しく選定されていると共に、図1(A)に示すように、コンデンサ1の巻回方向の長さは互いに異なるように形成される。したがって、容量形成用導体パターン32a〜32gのそれぞれは、異なる面積の導体領域とされている。そして、容量形成用導体パターン32a〜32gのそれぞれの間は、導体面積変更用導体パターン33a〜33gの部分を除き、絶縁部が形成されている。
前述したように、誘電体フィルム2の裏面2b側には、一様に第2の導体層4が形成されているので、容量形成用導体パターン32a〜32gのそれぞれは、誘電体フィルム2を介して第2の導体層4と対向することで、それぞれの面積に応じた静電容量のコンデンサを構成していることになる。
なお、誘電体フィルム2の裏面2b側の第2の導体層4内には、表面2a側の第1の導体層3の導体面積変更用導体パターン33a〜33gにおいて、完成部品とされた後に分断される可能性のある軸芯方向配設導体パターン34a〜34gの位置に対応する位置に、図1(B)に示すように、導体層4が形成されていない非導体領域41a〜41gが設けられている。この非導体領域41a〜41gは、導体面積変更用導体パターン33a〜33gを構成する軸芯方向配設導体パターン34a〜34gにおいて導体層の分断を実行したときに、その軸芯方向配設導体パターン34a〜34gに対応する裏面2b側の各位置に導体層4が存在していると、分断処理に伴って表面2a側の導体層3と裏面2bの導体層4とが電気的に接続されてしまうことが起こり得るために、このような事態が生じるのを防止するために設けられている。
第1の共通導体パターン31aは、誘電体フィルム2の表面2aの、容量形成用導体パターン32a〜32g以外の残余領域の殆どに渡って形成されている。そして、この例では、複数個の容量形成用導体パターン32a〜32gのうち、容量形成用導体パターン32a〜32dは第1のグループとされて、それぞれの導体面積変更用導体パターン33a〜33dを介して第1の共通導体パターン31aに連結されている。この第1の共通導体パターン31aも、誘電体フィルム2を介して裏面2b側の第2の導体層4と対向しており、その面積に応じた容量値を構成する。
また、複数個の容量形成用導体パターン32a〜32gのうち、容量形成用導体パターン32e〜32gは第2のグループとされて、それぞれの導体面積変更用導体パターン33e〜33gを介して第2の共通導体パターン31bに連結されている。
そして、この例においては、誘電体フィルム2には、棒状に巻回されてコンデンサ1として構成されたときに、その巻回軸芯方向の両端の蓋部となるような円形突部21,22が形成されている。この円形突部21,22は、誘電体フィルム2において、この例のコンデンサ1の電極導出部として利用される領域で、この例では、誘電体フィルム2を棒状に巻回するときの巻き終わり端側の位置であって、軸芯方向の左右両端に形成される。
そして、この第1の実施形態のコンデンサ1においては、円形突部21には、図1(A)に示すように、リング状の電極導体35が形成されている。このリング状の電極導体35は、誘電体フィルム2の表面2aに形成された第1の導体層3のうち、第1のグループの容量形成用導体パターン32a〜32dに連接している第1の共通導体パターン31aから延出されている。
一方、円形突部22には、第2のグループの容量形成用導体パターン32e〜32gに連接して形成されている第2の共通導体パターン31bから延出されている略1/2リング状の電極導体36が形成されていると共に、第1の共通導体パターン31aから延出されている略1/2リング状の電極導体37が、互いに非接続の状態で形成されている。
さらに、この第1の実施形態のコンデンサ1においては、図1(B)及び図3に示すように、例えば銅やアルミニウムなどの金属導体からなる軸芯導体7を中心軸芯として、誘電体フィルム2を、絶縁フィルム6と共に巻回するようにする。そして、誘電体フィルム2の裏面2bに形成された第2の導体層4からのコンデンサとしての電極の取り出しは、この軸芯導体7を用いて行うようにする。すなわち、図1(B)において点線で示すように、軸芯導体7は、第2の導体層4に圧着されて電気的に接続されている。この軸芯導体7の長さは、巻回軸芯方向の両端からそれぞれ突出するように、誘電体フィルム2の横幅よりも若干長く選定されている。
そして、誘電体フィルム2の円形突部21,22の中心部には、軸芯導体7の両端が貫通して、外部に突出して露呈するようにするための貫通孔21a及び22aが形成されている。貫通孔21aと、リング状導体35との間は、軸芯導体7とリング状導体35とが電気的に絶縁されるように、導体層が形成されていない絶縁領域が形成されている。同様にして、貫通孔22aと略1/2リング状導体36,37との間は、軸芯導体7と略1/2リング状導体36,37とが電気的に絶縁されるように、導体層が形成されていない絶縁領域が形成されている。
図3に示すように、誘電体フィルム2及び絶縁フィルム6が巻回されて棒状のコンデンサ1が形成されたときに、その棒状のコンデンサ1の軸芯方向のそれぞれの端面には例えば接着材が塗布されることでコンデンサ1を封止させて耐湿性などの品質を確保するとともに、円形突部21,22がそれぞれの端面側に折り曲げられ、円形突部21,22の貫通孔21a,22aを貫通した軸芯導体7の両端部が外部に突出するようにされる。そして、塗布された接着材によって円形突部21,22はそれぞれの端面に固着される。更には、円形突部21,22のそれぞれに延長して形成されているのりしろ部21b,22bは、棒状体の周側面に接着材などで固着される。これにより、円形突部21,22にはコンデンサとしての電極が配置されるとともに、コンデンサ1の巻回端面のための蓋部として機能する。
ところで、誘電体フィルム2をそのまま巻回すると、表裏の第1の導体層3と第2の導体層4が電気的に接続されてしまう。それを防止するために、この例では、図3に示すように、絶縁フィルム6が、誘電体フィルム2の表面2a側に重ねられて巻回されて、コンデンサ1が構成される。絶縁フィルム6は、導体が全く形成されていない無地の誘電体フィルムからなる。
そして、図2に示すように、絶縁フィルム6の巻き終わり端側であって、巻き終わり後に外部に露呈する面6a側には、図3に示すように誘電体フィルム2に重ねて巻回したときに、誘電体フィルム2の第1の導体層3に形成されている導体面積変更用導体パターン33a〜33gを構成する軸芯方向配設導体パターン34a〜34gのそれぞれの位置と対応する位置に、それぞれの分断用マーク61a〜61gが、例えば印刷により形成されて表示されている。
そして、図2に示すように、各分断用マーク61a〜61gの近傍には、それぞれ、その導体面積変更用導体パターン33a〜33gを構成する軸芯方向配設導体パターン34a〜34gの位置で分断したときに、電気的に非接続となって分離される容量形成用導体パターン32a〜32gのそれぞれの面積に応じた静電容量値が、例えば印刷により印字されている。
フィルムコンデンサ5と絶縁フィルム6とを、図3に示すように、軸芯導体7を軸芯として巻回すると、この分断用マーク61a〜61g及び印字されている静電容量値が、図4に示すように、棒状のコンデンサ1の最外周面に露呈する状態となる。
図1(A)に示したように、導体面積変更用導体パターン33a〜33gを構成する軸芯方向配設導体パターン34a〜34gは、棒状のコンデンサ1の軸芯方向に一列に、等間隔で並ぶように、棒状のコンデンサ1の周方向の同一位置に形成されているので、分断用マーク61a〜61g及び静電容量値は、図4に示すように、棒状のコンデンサ1の軸芯方向に一列に、等間隔で、並ぶ。
そして、絶縁フィルム6には、導体面積変更用導体パターン33a〜33gを構成する軸芯方向配設導体パターン34a〜34gの周方向の位置を示すために、図2に示すように、周方向位置マーク62a、62b及びこれらマーク62a,62bを結ぶ線分マーク63が、例えば印刷により形成されて表示されている。
また、更に、絶縁フィルム6には、分断用マーク61a〜61gのそれぞれと同じ軸芯方向の位置であって、分断用マーク61a〜61gのそれぞれに対して、棒状のコンデンサ1の周方向に所定長さだけずれた位置に、軸芯方向マーク64a〜64gが、例えば印刷されて形成されて表示されている。
したがって、絶縁フィルム6が巻回されることで、誘電体フィルム2を介して対向する第1の導体層3と第2の導体層4とで構成されるフィルムコンデンサ5の導体面積変更用導体パターン33a〜33gを構成する軸芯方向配設導体パターン34a〜34gが隠されてしまっても、分断用マーク61a〜61g、周方向位置マーク62a、62b、線分マーク63、軸芯方向マーク64a〜64g、静電容量値の数値表示、の全てまたは一部を頼りに分断処理をすることで、導体面積変更用導体パターン33a〜33gでの分断を正確且つ確実にできる。
コンデンサ1の静電容量値の調整作業は、調整者が手作業で行うようにしても良いが、例えば、以下のようにして、分断用マーク61a〜61g、周方向位置マーク62a、62、線分マーク63、軸芯方向マーク64a〜64g、静電容量値の数値表示、の全てまたは一部を頼りに自動機で分断処理を行うこともできる。
この場合、コンデンサ1は、軸芯導体7を回転中心軸として回動することができるように取り付けられる。そして、コンデンサ1の周側面を撮影してその画像を取り込むためのカメラを設けると共に、分断用マーク61a〜61gなどのマークを頼りに、導体面積変更用導体パターン33a〜33gを構成する軸芯方向配設導体パターン34a〜34gを分断するためのカッターなどからなる分断手段を設ける。
先ず、予め、調整後のコンデンサ1に設定すべき静電容量値を求め、軸芯方向配設導体パターン34a〜34gのうち、その静電容量値となるようにするために分断すべき軸芯方向配設導体パターンを定める。
次に、カメラでコンデンサ1の周側面の画像を取り込みながら、コンデンサ1を、軸芯導体7を回転中心軸として回動させる。そして、周方向位置マーク62a,62b及び線分マーク63を頼りにして、分断手段により軸芯方向配設導体パターン34a〜34gを分断することできる周方向位置を求め、その位置で回動を停止する。
次に、軸芯方向マーク64a〜64g及び分断用マーク61a〜61gを頼りに、コンデンサ1に対する分断手段の軸芯方向位置を決定する。そして、予め定めた分断すべき軸芯方向配設導体パターンのみを分断するように分断手段を位置制御する。そして、例えば軸芯方向マーク64a〜64gを分断用マーク61a〜61gに先行するように、コンデンサ1を軸芯導体7を中心に回動させ、分断手段により、予め定めた分断すべき軸芯方向配設導体パターンの分断を実行する。その分断の際には、分断すべき軸芯方向配設導体パターンを分断することにより減じる静電容量値を、印字されている数値により目視にて確認するようにすることができる。また、分断した部分は、樹脂材などで封止することで、耐湿性などの品質を維持する。
上述の分断手段による分断は、図3において、絶縁フィルム6の表面6a側から実行されるが、当該分断により、軸芯方向配設導体パターン64a〜64gの下側となる巻回部分に対して分断が及ぶのを防止するために、この例においては、図3に示すように、フィルムコンデンサ5を構成する誘電体フィルム2の面2bの巻き終わり端の近傍部分には、軸芯方向配設導体パターンが配置される位置に対応して、所定の長さDを有する分断阻止シート65が被着形成されている。
なお、図3の例では、分断阻止シート65を、絶縁フィルム6とは別体のものを設けるようにしたが、絶縁フィルム6を、フィルムコンデンサ5よりも長さDだけ長くしておき、その長さDの絶縁フィルム6の部分を、フィルムコンデンサ5の巻き終わり端から折り返して、誘電体フィルム2の面2bの巻き終わり端側を覆うようにして、分断阻止シート65と同様の役割をさせるようにしても良い。また、誘電体フィルム2自身を、分断阻止シート分だけ長くして、その長くした分を折り返すようにしても良い。
なお、図4に示すように、棒状のコンデンサ1の軸芯方向の両端近傍には、リング状の突部66,67が形成されている。このリング状の突部66,67は、上述した第1の実施形態のコンデンサ1を、フェライトコアなどと連結する際に用いる、後述する連結用部材と嵌合して係止させるためのものである。
また、棒状のコンデンサ1の電極導体35が形成されている軸芯方向の端部とは反対側の端部には、後述する連結用部材と嵌合するときに、周方向の位置を規制するための軸芯方向突部68が形成されている。軸芯方向突部68は、リング状突部67の所定の周方向位置から、軸芯方向に沿って、電極導体36,37(図4では図示せず)が形成されている軸芯方向の端部にまで形成されている。
これらの突部66、67は、フィルムコンデンサ5及び絶縁フィルム6を棒状に巻回する際に、巻回方向に沿う方向の線状部材を挿入することにより形成することができる。また、突部68は、フィルムコンデンサ5及び絶縁フィルム6を棒状に巻回する際に、巻回方向に直交する方向の線状部材を挿入することにより形成することができる。
[コンデンサ1の等価回路]
以上のような構成の第1の実施形態のコンデンサ1の等価回路を、図5において点線で囲んで示す。この図5において、Co1及びCo2は、概念的には、第1の導体層3の第1の共通導体パターン31a及び第2の共通導体パターン31bが、それぞれ誘電体フィルム2を介して第2の導体層4と対向することで形成される、それぞれの面積に応じた静電容量である。また、Ca〜Cgは、第1の導体層3の容量形成用導体パターン32a〜32gのそれぞれが、誘電体フィルム2を介して第2の導体層4と対向することで形成される、それぞれの面積に応じた静電容量である。
誘電体フィルム2の裏面2b側の第2の導体層4は、静電容量Co1,Co2,Ca〜Cgを構成するコンデンサの一方の電極(共通電極)を構成し、この共通電極は軸芯導体7から導出される。また、図1(A)に示したように、円形突部21のリング状の電極導体35は、誘電体フィルム2の表面2aに形成された導体層3の第1の共通導体パターン31aに接続されているので、第1の共通導体パターン31a及び容量形成用導体パターン32a〜32gのうちの第1のグループの容量形成用導体パターン32a〜32dの面積に対応する静電容量Co1,及び静電容量Ca〜Cdを構成するコンデンサの他方の電極を構成する。
また、電極導体35は、第1の共通導体パターン31aを通じて電極導体37に接続されている。さらに、電極導体36は、第2の共通導体パターン31bに接続されているので、第2の共通導体パターン31b、及び容量形成用導体パターン32a〜32gのうちの第2のグループの容量形成用導体パターン32e〜32gの面積に対応する静電容量Co2、及び静電容量Ce〜Cgを構成するコンデンサの他方の電極を構成する。
したがって、図5に示すように、第2の導体層4に接続されている電極となる軸芯導体7と、リング状電極導体35との間には、第1の共通導体パターン31aの面積に応じた静電容量Co1、及び容量形成用導体パターン32a〜32dの面積に応じた静電容量Ca〜Cdのそれぞれが、互いに並列に接続されている状態となる。
そして、前述したように、導体面積変更用導体パターン33a〜33dを構成する軸芯方向配設導体パターン34a〜34dのいずれかが分断されると、コンデンサCo1に並列に接続されていた静電容量Ca〜Cdのうちの、その分断された静電容量は、図5において、点線で示す位置で切断されて非接続となり、電極となる軸芯導体7と、リング状電極導体35との間の静電容量は、その非接続となった静電容量の分だけ小さくなる。
また、電極導体36と電極導体37とが電気的に接続されたときには、第2の導体層4に接続されている電極となる軸芯導体7と、リング状電極導体35との間には、第1の共通導体パターン31a及び第2の共通導体パターン31bの面積に応じた静電容量Co1及びCo2と、容量形成用導体パターン32a〜32gの面積に応じた静電容量Ca〜Cgのそれぞれが、互いに並列に接続されている状態となる。
そして、導体面積変更用導体パターン33e〜33gを構成する軸芯方向配設導体パターン34e〜34gのいずれかが分断されると、コンデンサCo2に並列に接続されていた静電容量Ce〜Cgのうちの、その分断された静電容量は、図5において、点線で示す位置で切断されて非接続となり、コンデンサ1の静電容量は、その非接続となった静電容量の分だけ小さくなる。
[コンデンサ1の静電容量の調整による共振周波数の調整方法の例]
したがって、例えば、このコンデンサ1を、前述した電磁誘導方式の位置検出装置用の位置指示器の共振回路を構成するコンデンサとして使用したときには、次に説明するようにして、このコンデンサ1の静電容量を調整することにより、共振回路の共振周波数の調整が可能となる。
すなわち、コンデンサ1の一方の電極となる軸芯導体7と、コンデンサ1の他方の電極となるリング状電極導体35との間に、コイル105を接続して、コンデンサ1の静電容量Co1,Co2,Ca〜Cgとの並列共振回路を構成すると共に、電極導体36と電極導体37との間に、後述のように、この例では、スイッチ回路としてのプッシュスイッチ118Aを前もって接続する。この場合、コイル105の例えば筆圧がゼロのときのインダクタンス値を予め計測して知得しておく。
そして、プッシュスイッチ118Aがオフの状態、あるいはプッシュスイッチ118Aが接続されていない状態、すなわち電極導体36と電極導体37とが接続されていない場合にはコンデンサ1から静電容量Co2,Ce〜Cgが切り離されており、このときの共振周波数が第1の値となるように、コイル105に並列に接続すべき静電容量を求める。次に、その求めた静電容量となるように、導体面積変更用導体パターン33a〜33dを構成する軸芯方向配設導体パターン34a〜34dのうちの必要なものを分断処理する。
次に、プッシュスイッチ118Aがオンの状態、すなわち電極導体36と電極導体37とが短絡状態にある場合には、コンデンサ1に静電容量Co2,Ce〜Cgが追加され、このときの共振周波数が第2の値となるように、コイル105に並列に接続すべき静電容量を求める。次に、その求めた静電容量となるように、導体面積変更用導体パターン33e〜33gを構成する軸芯方向配設導体パターン34e〜34gのうちの必要なものを分断処理するようにする。
以上の説明では、コンデンサ1を、位置指示器100と同様に、プッシュスイッチ118Aを備える構成の電磁誘導方式の位置検出装置と共に使用する位置指示器の共振回路の共振周波数の調整用とした。そのため、電極導体36と電極導体37との間にプッシュスイッチ118Aが接続される構成とした。
しかし、この発明のコンデンサ1は、スイッチ回路としてのプッシュスイッチ(あるいはサイドスイッチ)を有しない電磁誘導方方式の位置検出装置と共に使用する位置指示器の共振回路の共振周波数を調整する場合にも使用できる。その際には、電極導体36と電極導体37との間を非短絡状態として、静電容量Co2,Ce〜Cgを使用しない構成としてもよいが、電極導体36と電極導体37との間を短絡状態として、コンデンサ1の静電容量Co1,Co2,Ca〜Cgのすべてを、共振回路を構成する並列の静電容量として選択的に用いるようにすることができる。すなわち、1個のコンデンサ1のみで、従来のトリマーコンデンサを含む多数個のコンデンサと同等の作用効果を奏するようにすることが可能となる。
[第1の実施形態のコンデンサ1を搭載した位置指示器の例]
図6は、上述した第1の実施形態のコンデンサ1を、共振回路を構成するコンデンサとして用いた位置指示器100Aの構成例を示すものである。この図6の例の位置指示器100Aは、図25に示した電磁誘導方式の位置検出装置と共に使用する図24に示した位置指示器の例であり、図24の例の位置指示器100と同一の各部については、同一の参照符号を付与して、その詳細な説明は省略する。なお、図6においては、ケース111A内の構成の説明を容易にするために、ケース111Aは断面として示した。
図6に示すように、この例の位置指示器100Aでは、ケース111Aは、中空の円筒状の外側ケース111Aa及び内側ケース111Abからなり、外側ケース111Aaと内側ケース111Abとが同心円状に嵌合される構成を有する。そして、ケース111Aの中空部内に、筆圧検出用部材と、第1の実施形態のコンデンサ1と、プッシュスイッチ118Aとが、ケース111Aの中心線方向に順次並べられて収納される。
この例で用いられるプッシュスイッチ118Aは、円柱状の筐体形状を備え、その円柱状の筐体の周側面に押圧部118Apが露呈され、当該押圧部118Apが指で押圧されることにより、筐体内部に設けられているスイッチがオン・オフされるものである。そして、図示は省略するが、ケース111Aには、外側ケース111Aaと内側ケース111Abとを貫通して、プッシュスイッチ118Aの押圧操作部118Apを外部から臨むようにする貫通孔が設けられる。そして、ケース111Aの、この貫通孔の部分に、プッシュスイッチ118Aの押圧操作部118Apを押圧する押圧操作子(図示は省略)が、外部から押圧操作可能に設けられる。
筆圧検出用部材は、この例では、前述した位置指示器100と同様の構成とされる。すなわち、図6に示すように、この例の位置指示器100Aは、前述の位置指示器100と同様に、磁性体の一例としてのフェライトコア104に巻回されたインダクタンス素子の一例としてのコイル105と、フェライトコア104に対して弾性部材からなるOリング103を介して対向するフェライトチップ102とを備え、コイル105のインダクタンス値が、芯体101に対して印加される筆圧に応じて変化する構成を備える。外側ケース111Aaは、芯体101を位置指示器100Aの先端部から突出させるための開口部111Acを備える。
そして、この例においては、フェライトコア104の、芯体101側とは反対側の部分と、棒状のコンデンサ1とが、連結部材8Aにより連結される。また、コンデンサ1と、プッシュスイッチ118Aとは、連結部材9Aにより連結される。連結部材8Aは、フェライトコア104とコンデンサ1とを機構的に連結すると共に、フェライトコア104に巻回されているコイル105の一端及び他端と、コンデンサ1の電極を構成する軸芯導体7及び電極導体35とのそれぞれの電気的な接続も行う。また、連結部材9Aは、コンデンサ1とプッシュスイッチ118Aとを機構的に連結すると共に、コンデンサ1の電極導体36及び電極導体37と、プッシュスイッチ118Aの一端及び他端とのそれぞれの電気的な接続も行う。
図7は、連結部材8Aの構成例を説明するための図である。図7(A)は、連結部材8Aを、フェライトコア104と連結する側から見た図、図7(B)は、図7(A)のB−B断面図である。また、図7(C)は、フェライトコア104と連結した連結部材8Aに、コンデンサ1を連結する様子を説明するための図である。
図7(A),(B)に示すように、連結部材8Aは、円柱状の樹脂部材からなる本体部81に、コンデンサ1を嵌合させる凹部82を形成すると共に、コイル105の一端105a及び他端105bと、コンデンサ1の軸芯導体7及び電極導体35とのそれぞれの電気的な接続をするための、弾性を有する端子部材83,84をインサートして成型したものである。
凹部82は、棒状のコンデンサ1の外径とほぼ等しい内径の円形凹穴である。この凹部82の側壁には、棒状のコンデンサ1の電極導体35が形成されている側の端部に設けられているリング状突部66が嵌合するリング状凹溝82aが形成されている。
そして、本体部81のフェライトコア104との連結部には、平坦面の中央に位置決め用の突部85が形成されている。一方、フェライトコア104の連結部材8A側の端面は平坦面となっており、その中央には突部85が嵌合する位置決め用の凹部104aが形成されている。
また、本体部81の周側面の、この例では、互いに180度角間隔だけ離れた位置には、図7(A)に示すように、円柱の中心線方向に沿う方向に凹溝86,87が形成されている。そして、この凹溝86、87内に、端子部材83,84の一方の端部83a、84aが、周方向に直交する方向に植立されている。そして、当該植立されている状態の端子部材83,84の一方の端部83a、84aには、図7(A)に示すように、V字型切れ込み83b,84bが形成されている。
そして、図7(C)の右側に示すように、フェライトコア104の端面に形成された凹部104aに、連結部材8Aの本体部81の突部85を嵌合させた状態で、フェライトコア104の端面と連結部材8Aの本体部81の平坦面とを、例えば接着材で接着するようにする。そして、コイル105の一端105aを、端子部材83の一方の端部83aのV字型切れ込み83bに圧入して、互いに電気的に接続をすると共に、コイル105の他端105bを、端子部材84の一方の端部84aのV字型切れ込み84bに圧入して、互いに電気的に接続するようにする。この図7(C)の右側に示した、コイル105が巻回されているフェライトコア104に連結部材8Aが連結されたものは、一つのフェライトコアモジュールとして取り扱うことができる。
そして、連結部材8Aにおいては、端子部材83の他方の端部83cは、凹穴82の底部から露呈するように構成されている。これにより、図7(C)に示すように、棒状のコンデンサ1が、凹部82内に挿入されたときに、コンデンサ1の電極導体35と端子部材83とが端部83cを介して電気的に接続される。
また、凹部82の底部の中央には、コンデンサ1の軸芯導体7の径よりも大きい径の凹穴82bが形成されている。そして、端子部材84の他方の端部84cは、その凹穴82b内に位置するようにされる。そして、端子部材84の他方の端部84cの、当該凹穴82b内に位置する部分には、コンデンサ1の軸芯導体7が挿入可能とされると共に、端子部材84に形成された、弾性を有する折り曲げ部が配置された挿入孔84dが形成されている。
したがって、コンデンサ1が凹部82内に挿入されたときには、コンデンサ1の軸芯導体7が挿入孔84d内に挿入されて弾性を有する折り曲げ部と接触することとなり、軸芯導体7と端子部材84との電気的な接続がなされる。また、コンデンサ1の電極導体35は、端子部材83の他方の端部83cと電気的に接続される。そして、コンデンサ1のリング状突部66が、連結部材8Aの凹部82のリング状凹溝82aに嵌合することにより、コンデンサ1は、連結部材8Aに係止される。こうして、連結部材8Aにより、コイル105が巻回されたフェライトコア104と、コンデンサ1とが連結された状態では、コンデンサ1の軸芯導体7と電極導体35とが、コイル105の一端105aと他端105bとにそれぞれ接続されることで、コイル105とコンデンサ1とは、互いに並列に接続される状態になる。
次に、連結部材9Aについて説明する。図8は、この連結部材9Aの構成例を説明するための図である。図8(A)は、連結部材9Aを、コンデンサ1と連結する側から見た図、図8(B)は、図8(A)のC−C断面図である。また、図8(C)は、連結部材9Aを、プッシュスイッチ118Aと連結する側から見た図である。また、図8(D)は、コンデンサ1の、連結部材9Aと連結する側の端部を示す図、図8(E)は、プッシュスイッチ118Aの、連結部材9Aと連結する側の端部を示す図である。
図8(A),(B)に示すように、連結部材9Aは、円柱状の樹脂部材からなる本体部91に、コンデンサ1を嵌合させる凹部92及びプッシュスイッチ118Aを嵌合させる凹部93を形成すると共に、コンデンサ1の電極導体36,37及びプッシュスイッチ118Aの一方及び他方の端子とのそれぞれの電気的な接続をするための、弾性を有する端子部材94,95をインサートして成型したものである。
この場合、凹部92は、棒状のコンデンサ1の外径とほぼ等しい径の円形凹穴である。この凹部92の側壁には、棒状のコンデンサ1の電極導体36,37が形成されている側の端部に設けられているリング状突部67(図8(D)参照)が嵌合するリング状凹溝92aが形成されていると共に、コンデンサ1に形成されている軸芯方向突部68(図8(D)参照)が係合する軸芯方向凹溝92bが形成されている。また、この凹部92の底面には、コンデンサ1の軸芯導体7が挿入される凹穴96が形成されている。そして、この凹部92の底部に、端子部材94,95の一方の端部94a、95aがそれぞれ露呈するように構成されている。
一方、凹部93は、円柱状のプッシュスイッチ118Aの外径とほぼ等しい径の円形凹穴である。この凹部93の側壁には、図8(E)に示すように、円柱状のプッシュスイッチ118Aの一方の端子118Aa及び他方の端子118Abが形成されている側の端部に設けられているリング状突部118Acが嵌合するリング状凹溝93aが形成されていると共に、プッシュスイッチ118Aに形成されている軸芯方向突部118Ad(図8(E)参照)が係合する軸芯方向凹溝93bが形成されている。そして、この凹部93の底部に、端子部材94,95の他方の端部94b、95bがそれぞれ露呈するように構成されている。
コンデンサ1は、図8(D)に示す電極導体36,37が形成されている円形突部22が端面となっている側が、軸芯方向突部68と軸芯方向凹溝92bにより周方向の位置合わせが行われた状態で、連結部材9Aの凹部92内に挿入される。すると、コンデンサ1の軸芯導体7は凹穴96内に挿入されるとともに電気的非接触状態が確保される。また、コンデンサ1の電極導体36は、端子部材94の一方の端部94aと弾性的に圧接して電気的に接続される。同様に、電極導体37は、端子部材95の一方の端部95aと弾性的に圧接して電気的に接続される。さらに、コンデンサ1のリング状突部67が、連結部材9Aの凹部92のリング状凹溝92aに嵌合することにより、コンデンサ1は、連結部材9Aに係止される。
また、プッシュスイッチ118Aは、図8(E)に示すプッシュスイッチ118Aの一方の端子118Aa及び他方の端子118Abが形成されている側が、軸芯方向突部118Adと、軸芯方向凹溝93bとにより、周方向の位置合わせが行われた状態で、連結部材9Aの凹部93内に挿入される。すると、プッシュスイッチ118Aの一方の端子118Aaが、端子部材94の他方の端部94bと弾性的に圧接して電気的に接続される。同様に、プッシュスイッチ118Aの他方の端子118Abが、端子部材95の他方の端部95bと弾性的に圧接して電気的に接続される。さらに、プッシュスイッチ118Aのリング状突部118Acが、連結部材9Aの凹部93のリング状凹溝93aに嵌合することにより、プッシュスイッチ118Aは、連結部材9Aに係止される。
以上のようにして、連結部材8A及び連結部材9Aを用いて、コイル105が巻回されたフェライトコア104と、コンデンサ1と、プッシュスイッチ118Aとが連結された構造体が、芯体101、フェライトチップ102、Oリング103に続いて、外側ケース111Aa内に、開口部111Acとは反対側から収納され、その後、内側ケース111Abが外側ケース111Aaと嵌合されて、位置指示器100Aが構成される。
そして、この例では、図6に示すように、芯体101、フェライトチップ102、Oリング103、コイル105が巻回されたフェライトコア104及び連結部材8Aが、外側ケース111Aaの小径の中空部内に位置するように構成されている。そして、連結部材8Aの、コンデンサ1が嵌合する凹部82が形成されている側の端面が、内側ケース111Abの端部と衝合するように、内側ケース111Abが外側ケース111Aa内に挿入された後に固着される。したがって、フェライトコア104は、この内側ケース111Abの端面との衝合により、ケース111Aの軸芯方向の、芯体101とは反対側への移動が規制される。
そして、コンデンサ1、連結部材9A、プッシュスイッチ118Aは、内側ケース111Abの中空部内に位置するようになる。そして、内側ケース111Abの中空部内の、芯体101とは反対側には、コイルバネ119Aが配置され、このコイルバネ119Aにより、コンデンサ1、連結部材9A及びプッシュスイッチ118Aは、常に、連結部材8A側に付勢されることで、それぞれの端子間での確実な電気的接触が維持されるとともに、位置指示器100Aを構成する各部材のガタツキを防止する。
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態では、第1のグループの静電容量Co1及びCa〜Cdと、第2のグループの静電容量Co2及びCe〜Cgとは、第1の導体層3において、共通導体パターンと容量形成用導体パターンとを2グループに分けることにより、分離するようにした。しかし、第1の導体層3において2グループに分けるのではなく、第2の導体層4において2つのグループに分けるようにすることもできる。第2の実施形態は、その場合の例である。
図9及び図10は、この発明によるコンデンサの第2の実施形態の構成例を説明するための図である。この第2の実施形態のコンデンサ1Bも、前述したペン形状であって、前述したプッシュスイッチを備える位置指示器の共振回路を構成するコンデンサとして用いる場合を想定している。以下の説明において、上述した第1の実施形態と同一部分には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この第2の実施形態のコンデンサ1Bは、図9に示すように、誘電体フィルム2の表裏に、この誘電体フィルム2を介して対向配置される第1の導体層3Bと第2の導体層4Bとを蒸着などにより形成したフィルムコンデンサ5Bと、図10に示す絶縁フィルム6Bとを、図10(B),(C)に示すように巻回して、図10(C)に示すような棒状にしたものとして構成される。第1の導体層3B及び第2の導体層4Bは、例えばアルミニウム、亜鉛、これらの合金などの金属層で構成され、金属蒸着により誘電体フィルム2に形成される。
図1(A),(B)に示した第1の実施形態の場合と同様に、図9(A)は、この第2の実施形態のコンデンサ1Bの場合における誘電体フィルム2の表面2a側を示し、第1の導体層3Bが形成されている。また、図9(B)は、この第2の実施形態のコンデンサ1Bの場合における誘電体フィルム2の裏面2b側を示しており、第2の導体層4Bが形成されている。
この第2の実施形態においては、第1の導体層3Bの導体パターンは、図9(A)に示すように、第1の実施形態の容量形成用導体パターン32a〜32gと同様の構成の7個の容量形成用導体パターン32Ba,32Bb,32Bc,32Bd,32Be,32Bf,32Bgと、容量形成用導体パターン32Ba〜32Bgの数に応じた数の導体面積変更用導体パターン33Ba,33Bb,33Bc,33Bd,33Be,33Bf,33Bgとを備える。しかし、この第2の実施形態では、7個の容量形成用導体パターン32Ba〜32Bg及び導体面積変更用導体パターン33Ba〜33Bgに対して1個の共通導体パターン31Bが設けられる点が、第1の実施形態とは異なる。
そして、完成部品とされた後に物理的な処理を受けることが可能なように、棒状のコンデンサ1Bの巻回最外周表面側となる位置に形成される導体面積変更用導体パターン33Ba〜33Bgは、共通導体パターン31Bと、容量形成用導体パターン32Ba〜32Bgのそれぞれとの間に形成される。
また、この第2の実施形態では、導体面積変更用導体パターン33Ba〜33Bgのそれぞれは、棒状に巻回されて形成されるコンデンサ1Bの周方向に延伸された周方向配設導体パターン34Ba,34Bb,34Bc,34Bd,34Be,34Bf,34Bgで構成される。そして、この周方向配設導体パターン34Ba〜34Bgが、棒状のコンデンサ1Bにおいて、図9(A)において点線で示すように、その延伸方向に直交する方向(コンデンサ1Bの軸芯方向)に、完成部品とされた後に、物理的に分断されることにより、共通導体パターン31Bと、容量形成用導体パターン32Ba〜32Bgとが電気的に非接続の状態とされて、コンデンサ1Bの静電容量を形成する第1の導体層3Bの導体面積が変更可能とされる。
そして、この例では、図9(A)に示すように、導体面積変更用導体パターン33Ba〜33Bgを構成する周方向配設導体パターン34Ba〜34Bgは、誘電体フィルム2の巻回方向の巻き終わり端から、所定距離dだけ、離れた位置において、誘電体フィルム2の横方向(コンデンサ1Bの軸芯方向となる)に一列に、かつ、等間隔で、並ぶように配設される。この結果、棒状のコンデンサ1Bにおいては、導体面積変更用導体パターン33Ba〜33Bgを構成する周方向配設導体パターン34Ba〜34Bgは、コンデンサ1Bの周方向における同一位置において、コンデンサ1Bの軸芯方向に一列に並ぶように配設される。この場合に、所定距離dは、上述の第1の実施形態と同様に、棒状のコンデンサ1Bの半径をrとしたときに、d<2πrに選定されて、周方向配設導体パターン34Ba〜34Bgの全てが、棒状のコンデンサ1Bの最外周部分に位置するようにされている。
更に、この例においても、導体面積変更用導体パターン33Ba〜33Bgを構成する周方向配設導体パターン34Ba〜34Bgのそれぞれは、容量形成用導体パターン32Ba〜32Bgのそれぞれを、共通導体パターン31Bから、個別に分離することができるように形成されている。
一方、誘電体フィルム2の裏面2b側の第2の導体層4Bは、この第2の実施形態では、第1のグループを構成する4個の容量形成用導体パターン32Ba〜32Bdに対向するように設けられる第1の裏面導体パターン42Baと、第2のグループを構成する3個の容量形成用導体パターン32Be〜32Bgに対向するように設けられる第2の裏面導体パターン42Bbとからなる。
第1の裏面導体パターン42Baと、第2の裏面導体パターン42Bbとは、導体が形成されていない領域により分離されて、互いに非接続の導体パターンとなるように、誘電体フィルム2の裏面2b側に形成されている。
なお、誘電体フィルム2の裏面2b側の第2の導体層4Bの第1の裏面導体パターン42Ba及び第2の裏面導体パターン42Bb内には、完成部品とされた後に分断される可能性のある、表面2a側の第1の導体層3Bの導体面積変更用導体パターン33Ba〜33Bgのそれぞれの位置に対応する位置に、第1の実施形態で説明した理由により、図9(B)に示すように、導体層が形成されていない非導体領域41Ba〜41Bgが設けられている。
そして、この第2の実施形態においては、図10(B)に示すように、誘電体フィルム2及び絶縁フィルム6Bが巻回されて棒状のコンデンサ1Bが形成されたときに、その棒状のコンデンサ1Bの軸芯方向のそれぞれの端面には例えば接着材が塗布されることでコンデンサ1Bを封止して耐湿性などの品質を確保するとともに、円形突部21,2重円形突部23がそれぞれの端面側に折り曲げられ、円形突部21,2重円形突部23のそれぞれの貫通孔21a,23c, 23dを貫通した軸芯導体7の両端部が外部に突出するようにされる。そして、塗布された接着材によって円形突部21,2重円形突部23はそれぞれの端面に接着される。更には、円形突部21,2重円形突部23のそれぞれに延長して形成されているのりしろ部21b,23e, 23fが、棒状体の周側面に接着などで固着される。これにより、円形突部21,2重円形突部23にはコンデンサとしての電極が配置されるとともに、コンデンサ1Bの巻回端面のための蓋部として機能する。円形突部21には、第1の実施形態と同様に、軸芯導体7が貫通する貫通孔21aとのりしろ部21bが形成されると共に、共通導体31Bから延出された導体電極35が形成されている。
一方、この第2の実施形態の2重円形突部23は、軸芯方向に延出された2個の円形突部23a,23bからなる。そして、2重円形突部23には、誘電体フィルム2の裏面2b側において、第1の裏面導体パターン42Ba及び第2の裏面導体パターン42Bbのそれぞれから延出される電極導体38,39が、互いに非接続の状態で形成される。図9(B)に示すように、電極導体38,39は、2分割されたそれぞれのリング状導体が、2個の円形突部23a、23bを介して連接して形成されている。
電極導体38,39は、誘電体フィルム2の裏面2b側に形成されているので、2個の円形突部23a、23bをその境界線で重ねるようにして折り返し、好ましくは互いを接着材で固着することで、棒状のコンデンサ1Bの軸芯方向の端面に露呈する電極導体とすることができる。つまり、棒状に誘電体フィルム2を巻回した後、先ず、円形突部23aを接着材が塗布された巻回端面の側に折り返し、次に、円形突部23bを、円形突部23aに重ねるように、反対側に折り返して互いの対向面を接着材で固着する。このとき、軸芯導体7が貫通する円形突部23aの貫通孔23cと、円形突部23bの貫通孔23dとが、同一位置となるように折り返して重ねられる。
これにより、棒状に巻回したコンデンサ1Bの一方の端面には、電極導体38,39が外部に露呈すると共に、貫通孔23c,23dを貫通して軸芯導体7が突出する。なお、2重円形突部23には、のりしろ23e、23fが形成されており、こののりしろ23e,23fが棒状のコンデンサ1Bの周側面に接着されることにより、2重円形突部23は、コンデンサ1Bの端面に固着される。
そして、この第2の実施形態においては、図10に示すように、フィルムコンデンサ5Bと共に巻回する絶縁フィルム6Bの巻き終わり端側であって、巻き終わり後に外部に露呈する面6Ba側には、誘電体フィルム2に重ねて巻回したときに、誘電体フィルム2の第1の導体層3Bに形成されている導体面積変更用導体パターン33Ba〜33Bgを構成する周方向配設導体パターン34Ba〜34Bgのそれぞれの位置に対応する位置に、分断用マーク61Ba〜61Bgが、例えば印刷により形成されて表示されている。各分断用マーク61Ba〜61Bgの近傍には、それぞれ、その導体面積変更用導体パターン33Ba〜33Bgを構成する周方向配設導体パターン34Ba〜34Bdを分断したときに、電気的に非接続となって分離される容量形成用導体パターン32Ba〜32Bgのそれぞれの面積に応じた静電容量値が、例えば印刷により印字されている。
また、導体面積変更用導体パターン33Ba〜33Bgを構成する周方向配設導体パターン34Ba〜34Bgの周方向の位置を示すために、周方向位置マーク62Ba、62Bbが、例えば印刷により形成されて表示されている。このとき、分断用マーク61Ba〜61Bg及び静電容量値は、図10(A)、(C)に示すように、棒状のコンデンサ1Bの軸芯方向に一列に、等間隔に配置されて表示される。
なお、図10(B)に示すように、この例においても、フィルムコンデンサ5Bを構成する誘電体フィルム2の面2bの巻き終わり端の近傍部分には、当該巻き終わり端からコンデンサ1Bの1周分の長さ以上の長さDの部分領域に、分断阻止シート65Bが被着形成されている。導体面積変更用導体パターン33Ba〜33Bgを構成する周方向配設導体パターン34Ba〜34Bgの分断は、図10において、絶縁フィルム6Bの表面6Ba側から実行されるが、当該分断により、周方向配設導体パターン34Ba〜34Bgの下側に位置する巻回部分までも分断されるのを阻止するために、フィルムコンデンサ5Bを構成する誘電体フィルム2の面2bの巻き終わり端の近傍部分には、周方向配設導体パターンが配置される位置に対応して、所定の長さDを有する分断阻止シート65Bが被着形成されている。
[コンデンサ1Bの等価回路]
以上のような構成の第2の実施形態のコンデンサ1Bの等価回路を、図11において点線で囲んで示す。この図11において、Co1´及びCo2´は、第1の導体層3Bの共通導体パターン31Bが、誘電体フィルム2を介して第2の導体層4Bの第1の裏面導体パターン42Ba及び第2の裏面導体パターン42Bbと対向することで形成される、第1の裏面導体パターン42Ba及び第2の裏面導体パターン42Bbのそれぞれの面積に応じた静電容量である。
また、Ca〜Cdは、第1の導体層3Bの容量形成用導体パターン32Ba〜32Bdのそれぞれが、誘電体フィルム2を介して第2の導体層4Bの第1の裏面導体パターン42Baと対向することで形成される、それぞれの面積に応じた静電容量である。更に、Ce〜Cgは、第1の導体層3Bの容量形成用導体パターン32Be〜32Bgのそれぞれが、誘電体フィルム2を介して第2の導体層4Bの第2の裏面導体パターン42Bbと対向することで形成される、それぞれの面積に応じた静電容量である。
この第2の実施形態においては、軸芯導体7は、誘電体フィルム2の裏面2b側の第2の導体層4Bの、第1の裏面導体パターン42Baのみと接続されている。そして、軸芯導体7は、第1の裏面導体パターン42Baを通じて、電極導体38と接続されている。
一方、電極導体35は、この第2の実施形態では、容量形成用導体パターン32Ba〜32Bgの全てが、導体面積変更用導体パターン33Ba〜33Bgを構成する周方向配設導体パターン34Ba〜34Bgを通じて接続されている共通導体パターン31Bと接続されている。そして、第2のグループの静電容量を構成する容量形成用導体パターン32Be〜32Bgに対向する第2の裏面導体パターン42Bbは電極導体39と接続されている。
したがって、図11に示すように、第2の導体層4Bの第1の裏面導体パターン42Baに接続されている軸芯導体7と、リング状電極導体35との間には、共通導体パターン31Bと第1の裏面導体パターン42Baとの対向面積に応じた静電容量Co1´、及び容量形成用導体パターン32Ba〜32Bdの面積に応じた静電容量Ca〜Cdのそれぞれが、互いに並列に接続されている状態となる。
そして、前述したように、導体面積変更用導体パターン33Ba〜33Bdを構成する周方向配設導体パターン34Ba〜34Bdのいずれかが分断されると、コンデンサCo1´に並列に接続されていた静電容量Ca〜Cdのうちの、その分断された静電容量は、図11において、点線で示す位置で切断されて非接続となり、コンデンサのそれぞれの電極となる軸芯導体7と、リング状電極導体35との間の静電容量は、その非接続となった静電容量の分だけ小さくなる。
また、電極導体38と電極導体39とが、例えばプッシュスイッチ118Aなどによって、電気的に接続されたときには、第2の導体層4Bの第1の裏面導体パターン42Ba及び第2の裏面導体パターン42Bbが軸芯導体7に接続されることになり、軸芯導体7とリング状電極導体35との間には、静電容量Co1´と、第2の裏面導体パターン42Bbと共通導体パターン31Bとの対向面積に応じた静電容量Co2´と、容量形成用導体パターン32Ba〜32Bgの面積に応じた静電容量Ca〜Cgのそれぞれが、互いに並列に接続された状態となる。
そして、導体面積変更用導体パターン33Be〜33Bgを構成する周方向配設導体パターン34Be〜34Bgのいずれかが分断されると、コンデンサCo2´に並列に接続されていた静電容量Ce〜Cgのうちの、その分断された静電容量は、図11において、点線で示す位置で切断されて非接続となり、コンデンサ1Bの静電容量は、その非接続となった静電容量の分だけ小さくなる。
したがって、この第2の実施形態のコンデンサ1Bを用いる場合にも、第1の実施形態のコンデンサ1と全く同様にして、静電容量値の調整ができる。位置指示器の共振回路の共振周波数調整用のコンデンサとして用いた場合には、上述したように、1個のコンデンサ1Bで、従来のトリマーコンデンサを含む多数個のコンデンサと同等の作用効果を奏するようにすることが可能となる。
[コンデンサ1またはコンデンサ1Bを搭載した位置指示器の他の例]
<第1の例>
上述した第1の実施形態のコンデンサ1を適用した位置指示器100Aでは、芯体101に印加された筆圧に応じたコイル105のインダクタンス値の変化に基づく周波数変化(位相)を検出することで筆圧を検出する。
次に説明する位置指示器100Bは、筆圧を、コイル105と共に共振回路を構成するコンデンサの静電容量の変化に基づいて検出する。
図12に、この例の位置指示器100Bの構成例を示す。この図12において、図6に示した位置指示器100Aと同一部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。この図12においても、ケース111B内の構成の説明を容易にするために、ケース111Bは断面として示した。
この例の位置指示器100Bも、位置指示器100Aと同様に、ケース111Bは、中空の円筒状の外側ケース111Ba及び内側ケース111Bbからなり、外側ケース111Baと内側ケース111Bbとが同心円状に嵌合される構成を有する。そして、ケース111Bの中空部内に、芯体101Bと、磁性体の一例としてのフェライトコア104Bに巻回されたインダクタンス素子の一例としてのコイル105Bと、後述する筆圧に対応した可変容量コンデンサを構成する部品121,122,123,124と、第1の実施形態のコンデンサ1と、プッシュスイッチ118Aとが、図12に示すように、ケース111Bの中心軸方向に順次に並べられるようにして収納される。
この例においては、位置指示器100Bにおける、上述の筆圧に対応した可変容量コンデンサは、芯体101Bに印加された筆圧を静電容量の変化として検出するために、弾性導電体121、誘電体122、導電性を有するコイルバネ123、例えば導電性ゴムのような材料で形成された導電体124などの機構部品によって構成される。
芯体101Bは、フェライトコア104Bに当接すると共に、外側ケース111Baの開口部111Bcからその先端がペン先として突出するように、フェライトコア104Bと共にケース111B内に収納される。芯体101Bは、鍔部101Baを備え、その鍔部101Baが外側ケース111Baの開口部111Bcに設けられた段部に係合して、芯体101Bがケース111B内に係止するようにされている。
フェライトコア104Bには、コイル105Bが巻回されている。図12に示すように、フェライトコア104Bの鍔部104Bbの端面には、凹孔104Baが設けられている。また、弾性導電体121は、例えば導電性ゴムのような材料で形成されており、導電性及び弾性を備えており、凹孔104Baに嵌合する突部121aを備える。そして、弾性導電体121は、その突部121aを凹孔104Baに嵌合することにより、フェライトコア104Bの鍔部104Bbの端面に装着される。この弾性導電体121の径は、誘電体122の径と同一とされる。導電性を有するコイルバネ123によって弾性導電体121を芯体101Bの方向に付勢することで、芯体101Bに筆圧が印加されないときには弾性導電体121と誘電体122との間には空隙Arが形成されるように、互いが対向配置される。この場合、コイルバネ123の巻径(内径)は、弾性導電体121及び誘電体122の径よりも少し大きくされている。コイルバネ123は、その巻枠内に弾性導電体121及び誘電体122を収納した状態で、その軸方向の一端側が弾性導電体121の底部近傍において係止されるとともに、弾性導電体121とは電気的に接続されている。コイルバネ123の他端側は、後述するように、導電体124とは電気的に絶縁されて、連結部材8Bにて結線される。
そして、図12に示すように、連結部材8Bの、導電体124が対向する端面とは反対側の端面は内側ケース111Bbの端面が衝合するように構成されていることで、連結部材8Bが芯体101Bの方向とは反対の方向に位置規制される。したがって、フェライトコア104Bは、コイルバネ123により、常に、芯体101Bの方向に弾性的に偏倚される。また、導電体124の、誘電体122が当接する端面とは反対側の端面には、位置決め用の凹部124aが形成されている。
一方、導電体124の、誘電体122が当接する端面とは反対側の端面に衝合するように、外側ケース111Ba内には、連結部材8Bが配設されている。図12及び後述の図13に示すように、この連結部材8Bには、導電体124に形成された凹部124aと嵌合する位置に、位置決め用及び導電体124との電気的接続を行うための突部89dが形成されている。そして、連結部材8Bに形成された突部89dが、導電体124の凹部124aに嵌合された状態で、例えば接着材により固着される。
この連結部材8Bの、導電体124が当接する端面とは反対側には、コンデンサ1の電極導体35が形成されている軸芯方向の端部が嵌合される。そして、コンデンサ1の軸芯方向の反対側の端部は、図6の例と同様に、連結部材9Aを介して、プッシュスイッチ118Aが連結される。この例においても、内側ケース111Bbには、コイルバネ119Aを配設して、プッシュスイッチ118A及びコンデンサ1を、常に、芯体101Bの方向に弾性的に偏倚させることで、それぞれの機構部品間での確実な電気的接触を維持するとともに、位置指示器100Bを構成する各機構部品のガタツキを防止する。
そして、この例の場合には、後述するように、連結部材8Bによって、コイルバネ123の他端側及び導電体124がコイル105Bの一端及び他端とそれぞれ接続されることで、弾性導電体121, 誘電体122, コイルバネ123, 導電体124によって構成される筆圧に対応した可変容量コンデンサと、コイル105Bとが電気的に互いに並列に接続される。
この例においては、ペン先を構成する芯体101B側から押圧力(筆圧)がフェライトコア104Bを通じて弾性導電体121に印加されると、コイルバネ123の偏倚力に抗して、弾性導電体121のドーム形状に膨出された端面が、誘電体122の端面に近づき接触するように偏倚する。そして、弾性導電体121のドーム形状の膨出端面は、押圧力に応じた面積で、誘電体122の端面と接触するようになる。この結果、誘電体122を介した弾性導電体121と導電体124との間で構成される可変容量コンデンサの静電容量が筆圧に対応して変化する。
この実施形態では、この可変容量コンデンサがコイル105Bと並列に接続されて共振回路を構成しているので、筆圧に対応した静電容量の変化に応じて、共振回路の共振周波数が変化するため、共振回路のコイル105Bから送信される電波の位相(共振周波数)が変化する。したがって、この例の位置指示器100Bの場合においても、図25に示した回路構成を有する位置検出装置において、位置及び筆圧の検出が可能となる。
この例の位置指示器100Bにおける連結部材9Aは、前述した図8の構成を有するものであるので、ここでは、その説明は省略し、連結部材8Bのみについて、その構成例を説明する。
図13に連結部材8Bの構成例を示す。この連結部材8Bは、図7に示した連結部材8Aとほぼ同様の構成を有するもので、連結部材8Aと同一の構成部分には、同一の参照符号を付与して、その詳細な説明は省略する。
図13(A)は、連結部材8Bを、導電体124と連結する側から見た図である。図13(B)は、図13(A)のE−E断面図である。また、図13(C)は、導電体124と連結した連結部材8Bに、コンデンサ1を連結する様子を説明するための図である。
図13(A),(B)に示すように、連結部材8Bは、円柱状の樹脂部材から構成されており、コンデンサ1を嵌合させる凹部82が形成されていると共に、コイル105Bの一端105Ba及び他端105Bbと、可変容量コンデンサの一方の電極となる、弾性導電体121に接続されたコイルバネ123及び他方の電極となる導電体124と、コンデンサ1の軸芯導体7及び電極導体35との電気的な接続をするための、弾性を有する端子部材88,89をインサートして成型したものである。
この例の連結部材8Bにおいては、円柱状の樹脂部材の周側面の、互いに180度角間隔だけ離れた位置に形成された凹溝86,87内には、端子部材88,89の一方の端部88a、89aが、それぞれ周方向に直交する方向に植立されている。そして、図13(A)に示すように、当該植立されている状態の端子部材88の一方の端部88aには、2個のV字型切れ込み88b,88cが形成されている。また、植立されている状態の端子部材89の一方の端部89aには、1個のV字型切れ込み89bが形成されている。
そして、2個のV字型切れ込み88b,88cの一方には、コイル105Bの一端105Baが係止されて電気的に接続される。また、2個のV字型切れ込み88b,88cの他方には、弾性導電体121に電気的に接続されているコイルバネ123の端部123aが係止されて電気的に接続されている。凹溝87に植立されている端子部材89の一方の端部89aに形成されているV字型切れ込み89bには、コイル105Bの他端105Bbが係止されて電気的に接続される。
そして、端子部材89は、導電体124と衝合する平面から突出する突出部89dを形成するように、円柱状の樹脂部材にインサート成型されている。この突出部89dは、導電体124の凹部124aに嵌合することで、端子部材89と導電体124とが電気的に接続される。なお、連結部材8Bは導電体124とは接着などで互いに固着される。
そして、連結部材8Bにおいては、端子部材88の他方の端部88dは、凹部82の底部から露呈するように構成されている。これにより、図13(C)に示すように、棒状のコンデンサ1が、凹部82内に挿入されたときに、コンデンサ1の電極導体35と端子部材88の端部88dとが弾性的に接触して電気的に接続される。
また、端子部材89の他方の端部89cは、図7に示す連結部材8Aの端子部材84と同様に、凹部82の底部の中央に形成されている凹穴82b内に位置するようにされている。そして、端子部材89の他方の端部89cの、当該凹穴82b内に位置する部分には弾性を有する導電金属の折り曲げ部を伴う挿入孔89eが形成されて、コンデンサ1の軸芯導体7が挿入可能とされる。
したがって、コンデンサ1が凹部82内に挿入されたときには、コンデンサ1の軸芯導体7が、弾性を有する導電金属の折り曲げ部と接触するように、挿入孔89e内に挿入されることにより、軸芯導体7と端子部材89との電気的な接続がなされる。また、コンデンサ1の電極導体35は、端子部材88の他方の端部88dと電気的に接続される。そして、コンデンサ1のリング状突部66が、連結部材8Bの凹部82のリング状凹溝82aに嵌合することにより、コンデンサ1は連結部材8Bに係止される。
こうして、連結部材8Bにより、弾性導電体121に接続されたコイルバネ123と導電体124を電極とする可変容量コンデンサと、フェライトコア104に巻回されたコイル105と、コンデンサ1とが係合するとともに、互いに電気的に接続される。
このときの等価回路は、図14に示すようなものとなる。すなわち、コイル105Bと並列に、弾性導電体121、誘電体122、コイルバネ123、導電体124からなる可変容量コンデンサ120が接続される。そして、このコイル105Bと可変容量コンデンサ120との並列回路に対して、コンデンサ1の静電容量Co1、Co2、Ca〜Cgが並列に接続される回路構成となる。
したがって、この例の位置指示器100Bにおいても、コンデンサ1の導体面積変更用導体パターン33a〜33gを構成する軸芯方向配設導体パターン34a〜34gのうちの所望のパターンを分断処理することで、共振回路の共振周波数を最適化することができる。
なお、以上説明した図12の例は、コイル105Bと共振回路を構成するコンデンサは、第1の実施形態のコンデンサ1としたが、第2の実施形態のコンデンサ1Bを、同様に用いることができることは言うまでもない。
<第2の例>
次に、コンデンサ1またはコンデンサ1Bを搭載した位置指示器の更に他の例について説明する。以下に説明する第2の例の位置指示器100Cも、上述の第1の例の位置指示器100Bと同様に、筆圧を、コイル105Cと共に共振回路を構成するコンデンサの静電容量の変化として検出する。ただし、この第2の例の位置指示器100Cでは、上述の第1の例のような、複数個の機構部品の組合せによる可変容量コンデンサを用いて筆圧を検出するのではなく、出願人が特願2012−15254号として、先に提案した、いわゆるMEMS(Micro Electromechanical System)と呼ばれる半導体デバイスを用いた構成である。この第2の例の位置指示器100Cでは、筆圧に対応した可変容量コンデンサは、単一の静電容量方式圧力センシング半導体デバイス(以下、圧力センシングデバイスという)で構成される。
図15〜図17は、この第2の例の位置指示器100Cの構成例を説明するための図である。図15は、この例の位置指示器100Cの全体の構成例を示す図であり、ケース111C内の構成の説明を容易にするために、ケース111Cは断面として示した。また、図16は、ケース111Cの内部に収納される機構部品の一部を示す図である。さらに、図17は、この例で用いる圧力センシングデバイスの構成を説明するための図である。
この例の位置指示器100Cも、位置指示器100A、100Bと同様に、ケース111Cは、中空の円筒状の外側ケース111Ca及び内側ケース111Cbからなり、外側ケース111Caと内側ケース111Cbとが同心円状に嵌合される構成を有する。そして、ケース111Cの中空部内に、芯体101Cと、磁性体の一例としてのフェライトコア104Cに巻回されたインダクタンス素子の一例としてのコイル105Cと、筆圧検出のための圧力センシングデバイス130と、第1の実施形態のコンデンサ1と、プッシュスイッチ118Aとが、図15に示すように、ケース111Cの中心線方向に順次に並べられて収納される。そして、コイルバネ119Cにより、収納されている各部品は、芯体101C側に弾性的に常に偏倚されるようにされている。
この例においては、芯体101Cは、フェライトコア104Cに当接すると共に、外側ケース111Caの開口部111Ccからその先端がペン先として突出するように、フェライトコア104Cと共にケース111C内に収納される。芯体101Cは、鍔部101Caを備え、その鍔部101Caが外側ケース111Caの開口部111Ccに設けられた段部に係合して、芯体101Cがケース111C内に係止するようにされている。
そして、この例では、図16に示すように、芯体101Cが当接されていると共に、コイル105Cが巻回されたフェライトコア104Cが、圧力センシングデバイス130のパッケージ131に保持されて一体化構造とされたユニット構成とされている。
図16(A)は、ユニット化された芯体101C、コイル105Cが巻回されたフェライトコア104C及び圧力センシングデバイス130の部分の縦断面図である。また、図16(B)は、圧力センシングデバイス130のパッケージ131と、コイル105Cが巻回されたフェライトコア104Cとの結合部分を説明するための斜視図である。
図16(A)に示すように、フェライトコア104Cの芯体101C側の端面には、芯体101Cの鍔部101Caの中央部に形成された突部101Cbが嵌合する凹部104Caが形成されている。芯体101Cは、その突部101Cbを、フェライトコア104Cの凹部104Caに圧入して、例えば接着材により互いを固着する。
図15及び図16(A)に示すように、フェライトコア104Cは、この例では、中実の円柱状形状を有し、コイル105Cが巻回される。そして、フェライトコア104Cの中心線方向において、コイル105Cの巻回部を挟んで、芯体101Cとは反対側には、直径が小さい径小部104Cbが形成される。この例では、フェライトコア104Cのコイル105Cの巻回部の直径は、例えば3mmとされ、径小部104Cbの直径は、例えば1mmとされている。
そして、フェライトコア104Cの径小部104Cbは、圧力センシングデバイス130に、筆圧に応じた圧力を伝達する押圧部材として、圧力センシングデバイス130内に挿入される。そして、この例では、図16(A)及び図16(B)に示すように、フェライトコア104Cのコイル105Cが巻回される径大部の一部も、圧力センシングデバイス130のパッケージ131内に保持されるように構成されている。
[圧力センシングデバイス130の構成例]
次に、この例の圧力センシングデバイス130の構成について説明する。
この例の圧力センシングデバイス130は、例えば、MEMS技術により製作されている半導体素子として構成される圧力感知チップ300を、例えば立方体あるいは直方体の箱型のパッケージ131内に封止したものである。そして、この例においては、圧力センシングデバイス130のパッケージ131は、コイル105Cが巻回されたフェライトコア104Cと、第1の実施形態のコンデンサ1との機構的、また、電気的な連結部材としての機能を備えるように構成されている。
圧力感知チップ300は、印加される圧力を、静電容量の変化として検出するものであり、この例では、図17に示すような構成を備える。図17(B)は、この例の圧力感知チップ300を、圧力P(図17(A)参照)を受ける面301a側から見た図であり、また、図17(A)は、図17(B)のF−F線断面図である。
この図17に示すように、この例の圧力感知チップ300は、縦×横×高さ=L×L×Hの直方体形状とされている。この例では、L=1.5mm、H=0.5mmとされている。
この例の圧力感知チップ300は、第1の電極301と、第2の電極302と、第1の電極301及び第2の電極302の間の絶縁層(誘電体層)303とからなる。第1の電極301および第2の電極302は、この例では、単結晶シリコン(Si)からなる導体で構成される。絶縁層303は、この例では酸化膜(SiO2)からなる絶縁膜で構成される。なお、絶縁層303は、酸化膜で構成する必要はなく、他の絶縁物で構成しても良い。
そして、この絶縁層303の第1の電極301と対向する面側には、この例では、この面の中央位置を中心とする円形の凹部304が形成されている。この凹部304により、絶縁層303と、第1の電極301との間に空間305が形成される。この例では、凹部304の底面は平坦な面とされ、その直径Rは、例えばR=1mmとされている。また、凹部304の深さは、この例では、数十ミクロン〜数百ミクロン程度とされている。
この例の圧力感知チップ300は、次のようにして半導体プロセスにより作成される。先ず、第2の電極302を構成する単結晶シリコン上に、酸化膜からなる絶縁層303を形成する。次に、この酸化膜の絶縁層303に対して空間305が形成されるように、直径Rの円形の部分以外の部分を覆うマスクを配設してエッチングを施すことにより、凹部304を形成する。そして、絶縁層303の上に、第1の電極301を構成する単結晶シリコンを被着する。これにより、第1の電極301の下方に、空間305を備える圧力感知チップ300が形成される。
この空間305の存在により、第1の電極301は、第2の電極302と対向する面とは反対側の面301a側から押圧されると、空間305の方向に撓むように変位する。第1の電極301の例としての単結晶シリコンの厚さtは、印加される圧力Pによって撓むことが可能な厚さとされ、第2の電極302よりも薄くされている。この第1の電極301の厚さtは、印加される圧力Pに対する第1の電極301の撓み変位特性が、所望のものとなるように選定される。
以上のような構成の圧力感知チップ300は、第1の電極301と第2の電極302との間に静電容量Cvが形成されるコンデンサである。そして、図17(A)に示すように、第1の電極301の、第2の電極302と対向する面とは反対側の面301a側から第1の電極301に対して圧力Pが印加されると、第1の電極301は、図17(A)において、点線で示すように撓み、第1の電極301と、第2の電極302との間の距離が短くなり、静電容量Cvの値が大きくなるように変化する。第1の電極301の撓み量は、印加される圧力Pの大きさに応じて変化する。したがって、静電容量Cvは、図17(C)の等価回路に示すように、圧力感知チップ300に印加される圧力Pの大きさに応じて変化する。
なお、第1の電極301として例示した単結晶シリコンでは圧力により数ミクロンの撓みを生じ、その撓みに応じて、コンデンサの静電容量Cvは、筆圧の押圧力Pにより0〜100pF(ピコファラッド)の変化を呈することが確かめられた。
この実施形態の圧力センシングデバイス130においては、以上のような構成を備える圧力感知チップ300は、圧力を受ける第1の電極301の面301aが、図15及び図16(A)、(B)において、パッケージ131の上面131aに対向する状態でパッケージ131内に収納されている。
パッケージ131は、この例では、セラミック材料や樹脂材料等の電気絶縁性材料からなるパッケージ部材132と、このパッケージ部材132内において、圧力感知チップ300が圧力を受ける面301a側に設けられる弾性部材133とからなる。弾性部材133は、所定の弾性を有する圧力伝達部材の一例である。
そして、この例では、パッケージ部材132内の、圧力感知チップ300が圧力を受ける第1の電極301の面301a側の上部には、第1の電極301の面積に対応した凹部132aが設けられており、この凹部132a内には弾性部材133が充填されて配置されている。弾性部材133は、この例ではシリコン樹脂で構成されている。
そして、パッケージ131には、上面131aから弾性部材133の一部にまで連通する連通穴134が形成されている。すなわち、パッケージ部材132には、連通穴134の一部を構成する貫通孔132bが形成されていると共に、弾性部材133には、連通穴134の端部を構成する凹穴133aが設けられている。また、パッケージ部材132の連通穴134の開口部側(上面131a側)にはテーパー部132cが形成されて、連通穴134の開口部は、ラッパ状形状とされている。
図15及び図16(A)、(B)に示すように、連通穴134には、圧力センシングデバイス130に対して、フェライトコア104Cの径小部104Cbが挿入される。この場合、圧力センシングデバイス130の圧力感知チップ300には、ペン先部となる芯体101Cに印加される筆圧に応じた圧力Pが、フェライトコア104Cの軸芯方向(中心線方向)に伝達される。なお、この例では、パッケージ部材132の貫通孔132bの内径は、フェライトコア104Cの径小部104Cbが貫通孔132bに当接する部分の直径より若干大きくされていると共に、弾性部材133の凹穴133aの内径は、フェライトコア104Cの径小部104Cbが凹穴133aに当接する部分の直径よりも若干小さくされている。これにより、テーパー部132cと貫通孔132bによってフェライトコア104Cの径小部104Cbの圧力センシングデバイス130の内部へのガイドを容易にするとともに、圧力センシングデバイス130に、径小部104Cbが挿入されたフェライトコア104Cが容易に脱落しないように保持する構成を備えている。
すなわち、連通穴134の開口部はラッパ状形状を有しているので、フェライトコア104Cの径小部104Cbはその開口部のテーパー部132cにガイドされて、連通穴134内に容易に導かれて挿入される。そして、フェライトコア104Cの径小部104Cbは、連通穴134の端部の弾性部材133の凹穴133a内まで押し込まれる。こうして、フェライトコア104Cの径小部104Cbは、圧力センシングデバイス130の連通穴134に挿入されることで、圧力感知チップ300が圧力を受ける面側に対して、軸芯方向の圧力Pを印加する状態に位置決めされる。
この場合、フェライトコア104Cの径小部104Cbが凹穴133aに当接する部分の直径よりも凹穴133aの内径が若干小さいので、フェライトコア104Cの径小部104Cbは、弾性部材133の凹穴133aにおいて、弾性部材133により弾性的に保持される状態となる。つまり、フェライトコア104Cの径小部104Cbは、圧力センシングデバイス130の連通穴134に挿着されると、圧力センシングデバイス130に保持される。
また、この例では、圧力センシングデバイス130のパッケージ131は、その上面131a側に、フェライトコア104Cのコイル巻回部の一部を嵌合して保持するための凹部131cを備えている。そして、パッケージ131は、フェライトコア104Cの径小部104Cbがパッケージ131の連通穴134内に挿通され、かつ、フェライトコア104Cのコイル巻回部の一部を凹部131cに嵌合する状態として、フェライトコア104Cを保持する。
この場合に、印加される圧力によりフェライトコア104Cの径小部104Cbが圧力感知チップ300の第1の電極301を空間305の方向に撓ませることが制限されないように、フェライトコア104Cのコイル巻回部と径小部104Cbとの段部と、圧力センシングデバイス130のパッケージ131の凹部131cの底部との間には、クッション部材135が設けられている。なお、パッケージ131を構成するパッケージ部材132を弾性部材133と同じ素材、例えばシリコン樹脂で構成することもできる。
そして、図15に示すように、圧力センシングデバイス130の、フェライトコア104Cとの連結側とは反対側の端面131bが、内側ケース111Cbの端面により、位置指示器100Cの軸芯方向に移動しないように係止されて、芯体101C、フェライトコア104C、圧力センシングデバイス130が、ケース111C内に収納される。
以上の構成において、位置指示器100Cのペン先側に軸芯方向に押圧力が加わると、すなわち、筆圧が加わると、その筆圧に応じた圧力によりフェライトコア104Cが、圧力センシングデバイス130の弾性部材133を介して、圧力感知チップ300を押圧する。前述したように、圧力感知チップ300の静電容量Cvは、圧力感知チップ300に伝達された筆圧に応じて変化する。
この場合に、図16(A)に示すように、圧力感知チップ300は、圧力を受ける面301a側において弾性部材133を介して第1の電極301に圧力が印加されることで、フェライトコア104Cの径小部104Cbによる筆圧に応じた静電容量Cvを呈する。
そして、この場合に、圧力感知チップ300が圧力を受ける面側がフェライトコア104Cの径小部104Cbによって直接に押圧されるのではなく、弾性部材133が、フェライトコア104Cの径小部104Cbと圧力感知チップ300との間に介在するので、圧力感知チップ300が圧力を受ける面側における耐圧性、耐ショック性が向上し、この面側が過大な圧力、予期しない瞬間圧力などにより損壊されてしまうことを防止することができる。すなわち、圧力センシングデバイス130は、筆圧による圧力を所定の弾性を有する圧力伝達部材としての弾性部材133を介して、圧力感知チップ300が受けるようにしているので、圧力感知チップ300、より具体的には圧力を受ける第1の電極301への印加圧力に対する耐圧性、耐ショック性を備えている。
また、フェライトコア104Cの径小部104Cbは、圧力センシングデバイス130のパッケージ131に設けられた連通穴134に差し込まれ、ガイドされることにより位置決めされるので、印加される筆圧は、弾性部材133を介して確実に圧力感知チップ300に伝達される。
そして、印加される筆圧は、弾性部材133により圧力感知チップ300の第1の電極301の面301aへの圧力として伝達される。したがって、印加される筆圧が、圧力感知チップ300が圧力を受ける面301aに確実に印加されることになり、圧力センシングデバイス130は、筆圧Pに対応した静電容量の変化を呈し、筆圧を良好に検出することができるようになる。
そして、パッケージ131のフェライトコア104Cとの係合側とは反対側には、コンデンサ1を、軸芯方向に嵌合させる凹部136が形成されている。そして、この凹部136は、コンデンサ1の外径とほぼ同じ内径を有し、その側壁には、コンデンサ1のリング状突部66と嵌合するリング状凹溝136aが形成されている。
そして、上述した連結部材8Bと同様に、パッケージ131の凹部136の底部には、弾性を有する導電体からなる端子部材137,138がインサート成型されて導出され、コイル105Cの両端と、圧力感知チップ300を構成する可変コンデンサの第1及び第2の電極301,302と、コンデンサ1の軸芯導体7、電極導体35との接続がなされるように構成されている。
すなわち、凹部136の底面には、圧力感知チップ300の第1の電極301と接続されている端子部材137の端部137aが露呈するように導出されている。この端子部材137と、圧力感知チップ300の第1の電極301との電気的接続は、例えば金線によりなされる。
また、この凹部136の底面には、凹穴136bが形成されている。そして、圧力感知チップ300の第2の電極302と接続されている端子部材138の一端138aが、この凹穴136b内に位置するようにされている。端子部材138は、圧力感知チップ300の第2の電極302と接触して取り付けられることで、第2の電極302と電気的に接続されている。
そして、端子部材138の、当該凹穴136b内に位置する端部138aには、コンデンサ1の軸芯導体7が突出している部分が挿入可能とされると共に、弾性を有する導電金属の折り曲げ部を伴う挿入孔138bが形成されている。
したがって、コンデンサ1が圧力センシングデバイス130のパッケージ131の凹部136内に挿入されたときには、コンデンサ1の軸芯導体7が、弾性を有する導電金属の折り曲げ部と接触するように、挿入孔138b内に挿入されることにより、軸芯導体7と端子部材138との電気的な接続がなされる。また、このとき同時に、コンデンサ1の電極導体35は、端子部材137の端部137aと当接することで互いが電気的に接続される。そして、コンデンサ1のリング状突部66が、この凹部136のリング状凹溝136aに嵌合することにより、コンデンサ1は、パッケージ131に係止される。
そして、この例では、図16(A),(B)に示すように、パッケージ131の上面131aには、端子部材137,138のそれぞれと、例えば金線により電気的に接続(細い実線で図示)された端子139a,139bが設けられている。そして、これら端子139aと端子139bとは、フェライトコア104Cに巻回されているコイル105Cの一端105Ca及び他端105Cbがそれぞれ接続されている。
以上の構成により、芯体101Cが配設され、コイル105Cが巻回されたフェライトコア104Cと、圧力センシングデバイス130とが一体的に構成された共振回路ユニットの凹部136に、コンデンサ1を挿入して嵌合させることで、コンデンサ1の軸心導体7と電極導体35とが、コイル105Cの一端105Caと他端105Cbとにそれぞれ接続されると共に、圧力感知チップ300の第1の電極301及び第2の電極302ともそれぞれ接続される。
したがって、この位置指示器100Cの場合においても、図14に示した等価回路と同様の回路構成を有する。
なお、この位置指示器100Cにおけるコンデンサ1とプッシュスイッチ118Aとの連結は、上述の実施形態の位置指示器100Bと同様に、連結部材9Aにより行われるので、ここでは、その説明は省略する。
以上説明したように、この例の位置指示器100Cにおいても、コンデンサ1の導体面積変更用導体パターン33a〜33gを構成する軸芯方向配設導体パターン34a〜34gのうちの必要なものを分断処理することにより、共振回路の共振周波数を所望のものとすることができる。
なお、以上説明した図15の例は、コイル105Cと共振回路を構成するコンデンサは、第1の実施形態のコンデンサ1としたが、第2の実施形態のコンデンサ1Bを、同様に用いることができることは言うまでもない。
[第1の実施形態または第2の実施形態の変形例]
<容量形成用導体パターンの変形例>
上述の第1の実施形態のコンデンサ1、また、第2の実施形態のコンデンサ1Bでは、複数個の容量形成用導体パターン32a〜32g、32Ba〜32Bgは、誘電体フィルム2(フィルムコンデンサ5)の巻回軸芯方向の幅Wを同じにしつつ、巻回方向の長さを異ならせることで、その面積を異ならせ、裏面側の導体層4との間で形成される静電容量の値を、互いに異ならせるようにした。
しかし、複数個の容量形成用導体パターンは、このような形状及び寸法のものに限定されるわけではなく、種々のパターン形状及び寸法とすることができることは言うまでもない。
図18(A)は、その一例である。この例においては、誘電体フィルム2の一面2aに形成する複数個の容量形成用導体パターン32Ca〜32Cgの巻回軸芯方向の幅を異なる幅W1、W2,W3,W4,W5,W6,W7とすると共に、巻回方向の長さは、同一の長さLcとすることで、その面積を異ならせるようにしている。
なお、この図18(A)の例においては、共通導体パターン31Cと、複数個の容量形成用導体パターン32Ca〜32Cgとの間には、周方向配設導体パターン34Ca〜34Cgを備える導体面積変更用導体パターン33Ca〜33Cgを設けるようにした。しかし、この図18(A)の例においても、共通導体パターン31Cと、複数個の容量形成用導体パターン32Ca〜32Cgとの間に形成する導体面積変更用導体パターンとして、軸線方向配設導体パターンを備えるものとするようにしても良いことは言うまでもない。
図18(B)は、複数個の容量形成用導体パターンの他の例で、この例では、幅Wと、長さLdが全て等しい複数個の容量形成用導体パターン32Da〜32Dhを、誘電体フィルム2の一面2aに形成した例である。この例の場合には、誘電体フィルム2の裏面側に導体層4が一様に形成されているとすると、容量形成用導体パターン32Da〜32Dhにより構成される静電容量の値は、全て同じになる。したがって、静電容量の調整は、大まかになるが、分断する容量形成用導体パターンの数を定めるだけで調整が可能となるので、それだけ静電容量の設定が簡単になるというメリットもある。
なお、この図18(B)の例においては、共通導体パターン31Dと、複数個の容量形成用導体パターン32Da〜32Dhとの間には、軸芯方向配設導体パターン34Da〜34Dhを備える導体面積変更用導体パターン33Da〜33Dhを設けるようにした。そして、幅Wが比較的狭い場合を考慮して、軸芯方向配設導体パターン34Da〜34Dhは、周方向の同一位置とせずに、交互にずらすようにしている。
前述の図18(A)の例においては、分断方向は、図18において、点線で示す軸芯方向となり、幅が狭い容量形成用導体パターンが隣接すると、分断位置が近接してしまうことがあるが、この図18(B)の例のように、分断位置を、軸芯方向及び周方向に異ならせることにより、隣り合う導体面積変更用導体パターンにおいて、分断位置を、より離隔することができる。
なお、この図18(B)の例においても、共通導体パターン31Dと、複数個の容量形成用導体パターン32Da〜32Dgとの間に形成する導体面積変更用導体パターンとして、周方向配設導体パターンを備えるものとするようにしても良いことは言うまでもない。
更に、複数個の容量形成用導体パターンは、上述の例のような矩形形状のものに限られるわけでない。例えば図19の例に示すように、互いにパターン形状が異なる複数個の容量形成用導体パターン32Ea〜32Egを、誘電体フィルム2の一面2aに形成するようにしてもよい。
なお、この図19の例においては、共通導体パターン31Eと、複数個の容量形成用導体パターン32Ea〜32Egとの間には、周方向配設導体パターン34Ea〜34Egを備える導体面積変更用導体パターン33Ea〜33Egを設けるようにした。しかし、この図19の例においても、共通導体パターン31Eと、複数個の容量形成用導体パターン32Ea〜32Egとの間に形成する導体面積変更用導体パターンとして、軸芯方向配設導体パターンを備えるものとするようにしても良いことは言うまでもない。
<プッシュスイッチと接続する導体電極のパターンの他の例>
上述した第1及び第2の実施形態のコンデンサ1,1Bでは、スイッチ回路としてのプッシュスイッチ118Aと接続する導体電極のパターンは、同一の径の1/2リング状の電極とした。このため、プッシュスイッチ118Aの一端及び他端との接続の際には、周方向の位置決めをしないと、正しく電気的に接続されない場合が生じるので、上述のような軸芯方向の突部と凹溝を用いた位置決めを行うようにした。
図20は、そのような位置決めが容易あるいは不用とすることができるように、導体電極パターンを構成した例である。図20の例は、第1の実施形態のコンデンサ1において、第1の共通導体パターン31a及び第2の共通導体パターン31bから、円形突部22に延出する2個の導体電極に適用した場合である。
図20(A)は、その第1の例を示す。この第1の例においては、第1の共通導体パターン31aに対しては、当該第1の共通導体パターン31aに連接する、径が小であって、中心孔22aとは離間しているリング状導体電極37Rを、円形突部22に形成する。
また、第2の共通導体パターン31bに対しては、当該当該第2の共通導体パターン31bに連接し、リング状導体電極37Rと離間するように径が大のリング状導体電極36Raを形成する。
この図20(A)の例によれば、第1の共通導体パターン31aからリング状導体電極37Rに連接する細い導体パターンの部分と交差しないようにするため、リング状導体電極36Raは、第1の共通導体パターン31aによって導体パターンが部分的に分断されるが、その部分は僅かであるため、殆どの角範囲で、リング状導体電極37Rと、リング状導体電極36Raとを分離して、プッシュスイッチ118Aの一端及び他端との接続を容易にすることができる。よって、第1の実施形態のコンデンサ1や第2の実施形態のコンデンサ1Bよりも、周方向の位置決めの精度が厳格に必要とされないというメリットがある。
また、図20(B)、(C)は、第2の例である。上述の実施形態では、円形突部22側における電極としては、軸芯導体7などの巻回軸は用いなかった。この第2の例は、コンデンサ1の巻回軸を電極用に用いる場合の例である。
この第2の例においては、図示は省略するが、巻回軸は、円形突部21側に端部を突出させる第1の軸芯導体7と、この第1の軸芯導体7とは、電気的に非接続とされた別体の第2の軸芯導体70とを用いる。そして、第2の軸芯導体70は、誘電体フィルム2の裏面2bに形成される第2の導体層4とは、電気的に非接続となるように、円形突部22側から突出する部分を除く部分には、絶縁コーティングが施され、あるいは絶縁シートが巻かれている。
そして、棒状のコンデンサ1が形成され、円形突部22が、その端面に折り曲げられて固着されたときには、図20(C)に示すように、第2の軸芯導体70の金属導体部分が円形突部22の貫通孔22aを通じて外部に突出するようにされる。
そして、この第2の例においては、第2の共通導体パターン31bに対しては、第1の例と同様に、一部が切り欠かれたリング状の導体電極36Rbが、円形突部22に、第2の共通導体パターン31bから導体パターンが延出されて形成される。
一方、第1の共通導体パターン31aに対しては、円形突部22の貫通孔22aから突出する第2の軸芯導体70と、半田付けなどで電気的に接続されるように、第1の共通導体パターン31aに連接する導体パターン37Lが円形突部22の貫通孔22aにまで延出されて形成されている。
したがって、この例の場合には軸芯導体70の、円形突部22から突出している部分を電極用として用いることができる。また、この軸芯導体70を樹脂材などの絶縁体で構成した場合、あるいは、この軸芯導体70の径が細いときには、図20(C)に示すような筒状の導体アダプタ71を、第2の軸芯導体70に被せた後に、半田付けなどで電気的に接続することで電極として用いることができる。
この図20(B),(C)の第2の例も、図20(A)の第1の例と、同様の作用効果が得られると共に、コンデンサ1の両端の電極構造として、軸芯導体と、その周辺の導体パターン電極という同じ構成にすることができるという効果もある。
[第3の実施形態]
上述した実施形態は、いずれも、導体面積変更用導体パターンは、導体パターンを分断することにより、容量形成用導体パターンを、共通導体パターンから切り離し、これによりコンデンサの静電容量値を変更するようにした。
これに対して、容量形成用導体パターンを予め共通導体パターンとは分断した状態で形成しておき、静電容量値を変更するための物理的処理として、半田付けする、導体で接続する、などの処理をすることで、共通導体パターンに対して容量形成用導体パターンを接続して、静電容量値の調整を行うように構成することができる。
第3の実施形態は、その場合の例である。図21及び図22に、この第3の実施形態のコンデンサ1Fの構成例を示す。この第3の実施形態において、上述した第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付して示す。
この第3の実施形態においては、図21(A)に示すように、図1に示したコンデンサ1と同様に、誘電体フィルム2の表面2aには、第1の共通導体パターン31aと、第2の共通導体パターン31bと、7個の容量形成用導体パターン32a〜32gと、第1及び第2の共通導体パターン31a及び31bと、容量形成用導体パターン32a〜32gのそれぞれとの間に形成される導体面積変更用導体パターン33Fa〜33Fgとからなる第1の導体層3Fが形成されている。
そして、この第3の実施形態においては、図21(A)に示すように、第1及び第2の共通導体パターン31a及び31bと、容量形成用導体パターン32a〜32gのそれぞれとの間に形成される導体面積変更用導体パターン33Fa〜33Fgは、軸芯方向において、導体パターンが分断されている軸芯方向分断導体パターン34Fa〜34Fgを備える。
一方、誘電体フィルム2の裏面2b側には、図21(B)に示すように、導体面積変更用導体パターン33Fa〜33Fgに対向する領域も含んで、一様に第2の導体層4Fが形成されている。
そして、図22(A)、(B)に示すように、上述のようにして第1の導体層3Fと第2の導体層4Fとが表裏に形成された誘電体フィルム2からなるフィルムコンデンサ5Fの誘電体フィルム2の裏面2bに、絶縁フィルム6Fが重ねられて、棒状に巻回されて、図22(C)に示すようなコンデンサ1Fが形成される。
この場合に、絶縁フィルム6Fには、フィルムコンデンサ5Fを構成する誘電体フィルムの表面2aの導体層3Fの導体面積変更用導体パターン33Fa〜33Fgである軸芯方向分断導体パターン34Fa〜34Fgに対応する位置に、開口61Fa〜61Fgが設けられている。したがって、図22(A)に示すように、開口61Fa〜61Fgからは、誘電体フィルムの表面2aの軸芯方向分断導体パターン34Fa〜34Fgが、外部に露出する状態にある。
そして、図22(A)及び(C)に示すように、各開口61Fa〜61Fgの近傍には、それぞれ、その導体面積変更用導体パターン33Fa〜33Fgである軸芯方向分断導体パターン34Fa〜34Fgで分断され電気的に非接続となっている容量形成用導体パターン32a〜32gのそれぞれの面積に応じた静電容量値が、例えば印刷により印字されている。
図22(A)及び(C)に示したように、導体面積変更用導体パターン33Fa〜33Fgである軸芯方向分断導体パターン34Fa〜34Fgは、棒状のコンデンサ1Fの軸芯方向に一列に、等間隔で並ぶように、棒状のコンデンサ1Fの周方向の同一位置に形成されているので、開口61Fa〜61Fgは、図22(A)及び(C)に示すように、棒状のコンデンサ1Fの軸芯方向に一列に等間隔に配列される。
なお、図22(A)及び(C)では、省略したが、第1の実施形態と同様に、開口61Fa〜61Fgに関連して、周方向位置マーク、線分マーク、軸芯方向マークなどを、更に付加表示するように印刷等するようにしても良い。
この第3の実施形態のコンデンサ1Fの場合には、静電容量を増加させる方向での調整は、開口61Fa〜61Fg内のそれぞれにおける軸芯方向分断導体パターン34Fa〜34Fgの接続処理により行うことができる。その接続処理は、前述した分断処理と同様にして、手作業のみではなく、自動処理として実行することができる。また、接続した部分も含め、開口61Fa〜61Fgは、樹脂材などで封止することで、耐湿性などの品質を維持するようにする。
なお、以上の第3の実施形態の例では、導体面積変更用導体パターン33Fa〜33Fgは、軸芯方向のパターンが分断されている軸芯方向分断導体パターン34Fa〜34Fgを備えるようにしたが、記述したように、周方向のパターンが分断されている周方向分断導体パターンを備えるようにしても良い。
[その他の実施形態または変形例]
上述の実施形態では、軸芯方向配設導体パターン、周方向配設導体パターン、軸芯方向分断導体パターン及び周方向分断導体パターンは、棒状のコンデンサの周方向の同一位置において、軸芯方向に一列に並ぶように構成した。しかしながら、これらのパターンは、周方向に異なる位置に配設するようにすることもできる。
図23(A),(B)は、そのように構成した一例のコンデンサ1Gの構成例を示す図である。この例においては、前述の実施形態と同様に、誘電体フィルム2の表面2aの第1の導体層3Gとして、次のような導体パターンが形成されている。なお、誘電体フィルム2の裏面2bには、ほぼ一様に第2の導体層4が形成されているとする。
すなわち、図23(A)に示すように、誘電体フィルム2の表面2aには、巻回軸芯方向に複数個の容量形成用導体パターン32Ga〜32Gdが形成されると共に、それら容量形成用導体パターン32Ga〜32Gdに共通に、共通導体パターン31Gが形成されている。そして、共通導体パターン31Gと、容量形成用導体パターン32Ga〜32Gdとの間には、軸芯方向配設導体パターン34Ga〜34Gdをそれぞれ備える導体面積変更用導体パターン33Ga〜33Gdが形成されている。
そして、この例の場合、図23(A)に示すように、軸芯方向配設導体パターン34Ga〜34Gdは、軸芯方向のみではなく、周方向にずれた位置となるように形成されている。この場合に、図23(B)に示す棒状のコンデンサ1Gの半径をrとすると、誘電体フィルム2の巻き終り端からの距離L1が、L1<2πrとなる領域範囲内に、軸芯方向配設導体パターン34Ga〜34Gdは、全て存在するように形成される。このようにすれば、軸芯方向配設導体パターン34Ga〜34Gdは、図23(B)において点線で示すように、コンデンサ1Gの最外周面に全て存在するようになり、完成部品とされた後に物理的な処理としての分断処理が可能となる。
また、図23(C)、(D)は、他の例のコンデンサ1Hの構成例を示す図である。この例のコンデンサIHにおいては、誘電体フィルム2の表面2aに形成される第1の導体層3Hとして、導体層3Gと同様に、共通導体パターン31Hと、容量形成用導体パターン32Ha〜32Hdと、導体面積変更用導体パターン33Ha〜33Hdが形成されている。ただし、この例の場合には、導体面積変更用導体パターン33Ha〜33Hdは、軸芯方向配設導体パターンではなく、周方向配設導体パターン34Ha〜34Hdをそれぞれ備える。
そして、周方向配設導体パターン34Ha〜34Hdは、図23(C)に示すように、軸芯方向の同一位置であって、周方向に異なる位置に形成されている。この例の場合にも、誘電体フィルム2の巻き終り端からの距離L2が、L2<2πrとなる領域範囲内に、周方向配設導体パターン34Ha〜34Hdは、全て存在するように形成される。このようにすれば、周方向配設導体パターン34Ha〜34Hdは、図23(D)において点線で示すように、コンデンサ1Hの最外周面に全て存在するようになり、完成部品とされた後に、静電容量値を設定するための物理的な処理としての分断処理が可能となる。
なお、図23では、完成部品とされた後に分断処理が施される軸芯方向配設導体パターンや周方向配設導体パターンの場合について説明したが、軸芯方向分断導体パターンや周方向分断導体パターンの場合も、記述したように、周方向に異なる位置に配設するように形成しても良い。
なお、上述の実施形態では、誘電体フィルム2の表裏の第1の導体層3と、第2の導体層4との電気的な接続を回避するために、絶縁フィルム6をフィルムコンデンサ5と共に巻回するようにした。しかし、絶縁フィルム6を用いる代わりに、フィルムコンデンサ5の表裏の第1の導体層3と、第2の導体層4との一方または両方の上を、絶縁コーティングするようにしても良い。
また、2枚の誘電体フィルムのそれぞれの一面に、第1の導体層3と、第2の導体層4とを被着形成し、第1の導体層3が形成されている誘電体フィルムの、第1の導体層3が形成されていない側の面と、第2の導体層4が形成されている誘電体フィルムの、当該第2の導体層4が形成されている面とを張り合わせるような状態で、2枚の誘電体フィルムを、棒状に巻回するようにして、棒状のコンデンサを形成するようにしても良い。更には、棒状に巻回されたコンデンサの外形状は、円柱状であっても、角柱形状あるいはその他の形状であっても良い。
上述の説明では、この発明のコンデンサを、位置指示器の共振回路のコンデンサとして用いて、その共振周波数の調整用とした場合を一例として挙げたが、この発明のコンデンサは、位置指示器に限らず、種々の電子機器の周波数調整用あるいは周波数同調用として用いることが可能である。例えば、近距離無線通信機器における無線送信周波数の調整用、ラジオ受信機における同調周波数の調整用、あるいは無接点ICカードにおける同調周波数調整など、種々の用途に用いることができる。