以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素は単なる例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての情報処理装置100について、図1を用いて説明する。情報処理装置100は、新電力会社による電力の需要調達を支援するための装置である。
図1に示すように、情報処理装置100は、電力需要予測部101と、電子入札部102と、他電力調達部103と、第1通達部104と、第2通達部105と、を含む。電力需要予測部101は、新電力事業者の電力需要予測量を算出する。電子入札部102は、電力需要予測量に基づいて、電力取引市場への電子入札を行ない、電子入札の結果である約定価格と電力調達量とを取得する。他電力調達部103は、電力需要予測量と電力取引市場からの電力調達量との差分を、他の電力源から調達する。第1通達部104は、翌日における、新電力事業者の電力需要予測量と、電力取引市場から調達する電力調達量と、他の電力源から調達する調達電力量とを含む第1需要調達計画を、電力広域的運営推進機関に電子通達する。第2通達部105は、時間前における、新電力事業者の電力需要予測量と、電力取引市場から調達する電力調達量の調整量と、他の電力源から調達する電力調達量の調整量とを含む第2需要調達計画を、電力広域的運営推進機関に電子通達する。
本実施形態によれば、電力需要予測量、電力取引市場への電子入札結果、他の電力源からの調達量から、通達方法やフォーマットに従って需要調達計画の通達を迅速に行なうので、時間前のリアルタイム取引を十分に活かすことができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、各電力需要者の将来の電力需要予測量を予測する電力需要予測部と、各電力需要者の将来の電力需要予測量に基づいて、新電力事業者に参加する電力需要者に対する将来の電力調達量を適切に配分する電力調達配分部と、電力調達量の配分に従って、電力取引市場への入札を行なう電力入札部と、入札の結果を含む新電力事業者の電力需要量および電力調達量を所定時期に広域機関に通達する電力需要調達通達部と、を備える。
この中で、本発明の特徴ある構成は、入札の結果を含む新電力会社の電力需要量および電力調達量の、所定時期の迅速な広域機関への通達である。すなわち、他電力調達部は、他の電力源における買付単位および単価に基づいて、他の電力源からの調達の組合せを調節する。また、第1需要調達計画および第2需要調達計画は、他の電力源への連絡様式に従う調達計画を含む。また、他の電力源から調達する調達電力量を含むデータを、他の電力源の指示する連絡様式に合わせて、他の電力源の指示する通信プロトコルで連絡する連絡部を、さらに備える。そして、第1通達部および第2通達部は、それぞれ、第1需要調達計画および第2需要調達計画を広域機関が指示するデータ方式に変換して生成し、第1需要調達計画および第2需要調達計画を広域機関が指示する通信プロトコルに従って電子通達する。
《電力需要調達支援処理の概要》
図2は、本実施形態に係る情報処理装置による電力需要調達支援処理200の概要を示す図である。
本実施形態における電力需要調達支援処理200の基本構成は、日本卸電力取引所(以下、JEPX)に対する電力の1日前の日次スポット取引と、電力の1時間前のリアルタイム取引と、にそれぞれ対応した一連の処理を自動的に処理することにより、新電力事業者(以下、PPS)の電力需要調達管理を支援する。
本実施形態における電力需要調達支援処理200の日次スポット取引に関連しては、一連のAI需要予測211と、最適ポジション算出212と、JEPXのスポット市場への1日前の電力売買入札213と、常時バックアップ電源連絡214と、1日前の電力需要調達情報の広域機関への通達215と、を人の操作無しに自動的に実行する。なお、スポット市場においては、翌日の30分毎の48コマをまとめて入札する。
また、本実施形態における電力需要調達支援処理200のリアルタイム取引に関連しては、一連のAI需要予測221と、修正ポジション算出222と、JEPXの1時間前市場への電力売買入札223と、常時バックアップ電源連絡224と、1時間前の電力需要調達情報の広域機関への通達225と、を人の操作無しに自動的に実行する。なお、リアルタイム市場においては、当日の1時間後以降の1コマ単位で入札する。
本例によれば、適切な需要予測量と各電力供給価格との関数として、調達費用を削減して電力調達を確実とする調達先への配分を、PPSに提供することができる。例えば、JEPXへの入札による電力調達と常時バックアップ電源からの電力調達とが略6:4となるように調達を調整する。このように、本実施形態における電力需要調達支援処理200は、各PPSにおける電力需要調達管理を支援する。
《電力需要調達支援システム》
図3Aは、本実施形態に係る情報処理装置としての電力需要調達支援サーバ310を含む電力需要調達支援システム300の構成を示すブロック図である。
電力需要調達支援システム300は、ネットワーク370を介して接続される、本実施形態の電力需要調達支援サーバ(EATS)310と、電力源330と、日本卸電力取引所340と、電力広域的運営推進機関(OCCTO:以下、広域機関)350と、電力需要条件提供サーバ360と、を備える。
電力源330には、電力託送業者331と、送配電事業者332と、発電事業者333と、が含まれる。また、本実施形態の電力需要調達支援サーバ310には、電力需要調達管理を支援する対象の新電力事業者321〜32nが接続される。各PPSには契約した電力需要者が接続される。また、電力需要条件提供サーバ360には、詳細な予測天気情報を提供するサーバや、催し物などの地域的なイベント情報を提供するサーバや、災害などの情報を提供するサーバなどが含まれる。
なお、電力需要調達支援システム300の構成は、図3Aに限定されない。
(前提技術)
図3Bは、前提技術に係るマニュアル操作を含む電力需給管理システム301の構成を示すブロック図である。
電力需給管理システム301には、受給者・需給管理者320と、託送業者、送配電事業者(電力会社…)330、JEPX340、広域機関350、金融機関380が図示されている。ここで、受給者・需給管理者320は、図3Aの電力需要者とPPSとを含む。図3Bにおいては、各PPSがJEPX取引会員となって、需要計画や供給計画を貰って、JPEXと取引をする。そして、各種計画値は、別途、小売事業者や発電所から広域機関に報告される。
図3Bにおいては、複数のシステム構成要素が一連の処理を効率的に実行することができていない。
(1日前市場の動作シーケンス)
図4Aは、本実施形態に係る電力需要調達支援システム300の1日前市場の動作シーケンスを示すシーケンス図である。
各PPS321〜32nは、ステップS401において、アプリケーションを起動して電力需要調達支援サーバ310と接続する。各PPS321〜32nは、ステップS403やS405において、各PPSと契約している電力需要者の情報を含む需要者条件や、託送契約内容などを、電力需要調達支援サーバ310に送信する。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS407において、電力需要を予測するために用いる条件を電力需要条件提供サーバ群360から取得する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS409において、取得した電力需要条件や電力需要実績履歴などに基づいて、AI(順伝播型のニューラルネットワーク)により各電力需要者の需要予測量を算出する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS411において、最適ポジション算出のために用いる電力単価や買付単位などの電力取引情報や履歴を、JEPX340や広域機関350から取得する。そして、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS413において、各電力需要者の需要予測量を各PPSの契約分まとめた需要予測量と、電力単価や買付単位などの電力取引情報や履歴とに基づいて、線形計画法により最適ポジションを算出する。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS415やS417において、算出された最適ポジションを参照して、PPS321用電力調達のため、また、PPS32n用電力調達のため、JEPX340に1日前入札を行なう。JEPX340は、ステップS419において、1日前市場の約定処理を、ブラインド・シングルプライス方式で実行する。そして、JEPX340は、ステップS421において、約定結果を電力需要調達支援サーバ310に通知する。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS423において、約定結果に基づいて、電力需要予測量に応じた託送電源などの他の電力源からの電力調達を調整して、PPSごとに翌日の販売計画・調達計画を生成する。もし発電能力を有する場合は、発電計画や需給計画も生成する。そして、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS425やS427において、翌日のPPS321用、また、PPS32n用の需要調達計画を広域機関350に通達する。広域機関350は、ステップS429において、需要調達計画や他の発電計画、送配電計画などから、翌日の電力需給調整を各電力需給関連先に指示する。
なお、PPSが生成された販売計画・調達計画や広域機関に通達した販売計画・調達計画を確認する場合は、同じ内容がPPSに送信される。
(時間前市場の動作シーケンス)
図4Bは、本実施形態に係る電力需要調達支援システム300の時間前市場の動作シーケンスを示すシーケンス図である。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS431において、翌日の電力需要調達計画を新たな電力需要実績などから分析する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS433において、電力需要を予測するために用いる現在の条件を電力需要条件提供サーバ360から取得する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS435において、最新の電力需要条件や電力需要実績履歴などに基づいて、AI(順伝播型のニューラルネットワーク)により各電力需要者の1時間後以降の需要予測量を算出する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS437において、最適ポジション算出のために用いる最新の電力単価や買付単位などの電力取引情報や履歴を、JEPX340や広域機関350から取得する。そして、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS439において、各電力需要者の需要予測量を各PPSの契約分まとめた需要予測量と、最新の電力単価や買付単位などの電力取引情報や履歴とに基づいて、線形計画法により1時間後以降の最適ポジションを算出する。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS441やS443において、算出された最適ポジションを参照して、PPS321用電力調達のため、また、PPS32n用電力調達のため、JEPX340に1時間前のリアルタイム入札を行なう。JEPX340は、ステップS445において、リアルタイム市場の約定処理を、ザラバ方式で実行する。そして、JEPX340は、ステップS447において、約定結果を電力需要調達支援サーバ310に通知する。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS449において、約定結果に基づいて、電力需要予測量に応じた託送電源などの他の電力源からの電力調達を調整して、PPSごとに1時間後以降の販売計画・調達計画を生成する。もし発電能力を有する場合は、発電計画や需給計画も生成する。そして、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS451やS453において、1時間前のPPS321用、また、PPS32n用の需要調達計画を広域機関350に通達する。広域機関350は、ステップS455において、需要調達計画や他の発電計画、送配電計画などから、1時間後以降の電力需給調整を各電力需給関連先に指示すると共に、各PPSにおけるインバランス処理を行なう。
なお、PPSが生成された販売計画・調達計画や広域機関に通達した販売計画・調達計画を確認する場合は、同じ内容がPPSに送信される。
《電力需要調達支援サーバの機能構成》
図5Aは、本実施形態に係る情報処理装置としての電力需要調達支援サーバ310の機能構成を示すブロック図である。
電力需要調達支援サーバ310は、通信制御部501と、需要者情報/託送契約情報取得部502と、需要条件情報取得部503と、データベース504と、各支援PPSの需要予測部505と、を備える。ここで、データベース504には、需要予測用データベース541と、最適ポジション算出用データベース542と、JEPX入札用データベース543と、通達用データベース544と、を含む。また、電力需要調達支援サーバ310は、各支援PPSのポジション生成部506と、JEPX入札制御部507と、広域機関通達生成部508と、広域機関通達送信部509と、を備える。さらに、電力需要調達支援サーバ310は、他電源情報取得部510と、他電源連絡生成部511と、他電源連絡送信部512と、を備える。
通信制御部501は、ネットワーク370を介して、電力需要条件提供サーバ群360、OCCTO(広域機関)350、JEPX340、託送業者を含む他の電力源330、との通信を制御する。また、通信制御部501は、支援契約をしたPPSとの通信を制御する。需要者情報/託送契約情報取得部502は、PPSからの契約した電力需要者の情報や、PPSが契約している託送業者を含む他の電力源の情報を取得して、需要予測用データベース541に保持する。需要条件情報取得部503は、電力需要条件提供サーバ群360などから天気情報を含む電力需要に影響する情報を取得する。
需要予測用データベース541は、PPSからの契約した電力需要者の情報や、PPSが契約している託送業者を含む他の電力源の情報を、各PPSに対応付けて格納する。また、需要予測用データベース541は、電力需要を予測するための順伝播型のニューラルネットワークのアルゴリズムやその適切なパラメータを格納する。また、需要予測用データベース541は、順伝播型のニューラルネットワークによる電力需要予測の説明変数となる情報として、電力需要予測量と電力需要結果との履歴を各PPSの各電力需要者に対応付けて格納する。なお、需要予測用データベース541の格納データは上記データに限定されない。需要予測部505は、各支援PPSと契約する各電力需要者の1コマ単位の電力需要予測量を順伝播型のニューラルネットワークを用いて算出して、翌日の48コマあるいは1時間前以降のコマについて、各支援PPSと契約する全電力需要者の電力需要予測量を求めて、ポジション生成部506に出力する。
最適ポジション算出用データベース542は、最適ポジション算出の入力情報となる、JEPXや広域機関から取得可能な発電情報や送電情報、各電力価格、電力需給履歴などを格納する。また、最適ポジション算出用データベース542は、最適ポジションを算出するための線形計画法のアルゴリズムやその適切なパラメータを格納する。ポジション生成部506は、線形計画法を用いて、翌日の48コマあるいは1時間前以降のコマについて、各支援PPSにおける最適ポジションを求めて、JEPX入札制御部507に出力する。
JEPX入札用データベース543は、JEPXに関連する情報、JEPXへの1日前入札あるいは1時間前入札のための、通信プロトコルを含む入札手順や入札様式(CSVファイル・フォーマット)、および、入札情報と約定結果とを対応付けた履歴などを格納する。また、JEPX入札用データベース543は、各PPSの1日前や1時間前の算出された最適ポジション情報を格納する。JEPX入札制御部507は、各支援PPSにおける最適ポジションに基づいて、JEPXへの1日前入札あるいは1時間前入札に用いる入札様式の入札情報を生成して、1日前入札あるいは1時間前入札を制御する。
通達用データベース544は、広域機関に関連する情報、1日前の需要調達計画あるいは1時間前の需要調達計画を広域機関へ通達するための、通信プロトコルを含む通達手順や通達様式(XMLファイル・フォーマット)、および、通達情報の履歴などを格納する。また、通達用データベース544は、各PPSの1日前や1時間前のJEPXへの入札情報や約定情報、他の電力源からの調達情報を格納する。また、通達用データベース544は、他の電力源への連絡手順や連絡様式を格納する。広域機関通達生成部508は、通達用データベース544からの通達様式に従って、1日前あるいは1時間前の通達情報を生成する。広域機関通達送信部509は、広域機関通達生成部508が生成した広域機関への通達情報を、通達用データベース544からの通信プロトコルに従って送信する。
他電源情報取得部510は、他の電力源からの発電情報や価格情報を取得する。なお、他の電力源からの発電情報や価格情報がJEPXや広域機関から取得可能であれば、JEPXや広域機関から取得してもよい。他電源連絡生成部511は、通達用データベース544からの連絡様式に従って、1日前あるいは1時間前の連絡情報を生成する。他電源連絡送信部512は、他電源連絡生成部511が生成した他の電力源への連絡情報を、通達用データベース544からの通信プロトコルに従って送信する。
なお、他の電力源への需要調達計画の連絡が広域機関を通じて行なわれる場合は、他電源連絡生成部511と他電源連絡送信部512とは、広域機関通達生成部508と広域機関通達送信部509とに統合される。
(データフロー)
図5Bは、本実施形態に係る情報処理装置としての電力需要調達支援サーバ310のデータフローを示す図である。
図5Bには、電力需要調達支援サーバ310の本実施形態の処理を実現するための、各マスタ情報と、登録情報と、各処理との関係が示されている。この中で、本実施形態で特に関連する処理は、電力需要調達支援処理520に基づく、同時同僚監視処理530と、スケジュール管理処理540と、需要予測処理550と、ユーザ管理処理560と、システム管理処理570と、である。本実施形態においては、これら一連の処理を人の操作なしに自動で行ない、契約されたPPSの迅速で精度の高い電力需要調達管理を支援する。
《需要予測部の機能構成》
図6Aは、本実施形態に係る需要予測部505の機能構成を示すブロック図である。
需要予測部505は、需要者情報取得部601と、説明変数取得部602と、予測パラメータ取得部603と、需要予測算出部604と、需要予測出力部605と、需要予測評価部606と、予測パラメータ更新部607と、を備える。
需要者情報取得部601は、各PPSと契約する各電力需要者の情報を取得する。説明変数取得部602は、需要予測算出部604の電力需要予測量算出に使用される説明変数を取得する。予測パラメータ取得部603は、需要予測用データベース541に格納された需要予測量の算出に使用される重み付け値を含む予測パメータを取得する。需要予測算出部604は、順伝播型のニューラルネットワークからなり、各電力需要者に対応して、説明変数と予測パラメータとを用いて30分1コマの電力需要予測量を算出する。需要予測出力部605は、需要予測算出部604が算出した各電力需要者の電力需要予測量を各PPSと契約する全電力需要者分まとめて、各PPSの電力需要予測量としてポジション生成部506に出力する。需要予測評価部606は、需要予測算出部604が予測した電力需要予測量と、電力需要実績量とを比較して、電力需要予測結果を評価して差異の原因を分析する。予測パラメータ更新部607は、需要予測の重み付け値を含むパラメータを電力需要予測結果の評価に基づいて更新する。
(需要予測用データベース)
図6Bは、本実施形態に係る需要予測用データベース541の構成を示す図である。なお、需要予測用データベース541の構成は、図6Bに限定されない。
需要予測用データベース541は、需要予測アルゴリズム604aと、説明変数格納部730〜760と、需要予測用パラメータ770と、需要予測履歴780と、を有する。需要予測アルゴリズム604aは、本実施形態の需要予測算出部604が需要予測に使用するアルゴリズムである。説明変数格納部730〜760は、需要予測アルゴリズム604aにおいて入力データとなる情報群である。需要予測用パラメータ770は、需要予測アルゴリズム604aで使用するパラメータである。需要予測履歴780は、需要予測結果と実績値とを対応付けて蓄積して需要予測の学習をするための履歴である。なお、説明変数格納部730〜760や需要予測用パラメータ770は、需要家単位に格納される。また、需要予測履歴780は、需要家単位に蓄積されても、需要家の属性ごとにまとめて蓄積されもよい。
(需要予測算出部)
図7Aは、本実施形態に係る需要予測算出部604の構成を示す図である。本実施形態の需要予測算出部604は、順伝播型のニューラルネットワークからなる。かかる順伝播型のニューラルネットワークは、層状に並べたユニットが隣接層間でのみ結合した構造を持ち、情報が入力側から出力側に一方向にのみ伝播するニューラルネットワークである。本実施形態においては、過去の実績値、気象情報、休日・曜日・時間フラグなどの説明変数を入力として受け取り、前処理を行ってから、ニューラルネットワークの学習モデルを通して1つの出力(需要の予測値)が計算される。
需要予測算出部604は、多数の説明変数である入力x711を正規化712して、20層からなる隠れ層713に重み見付けωを掛けてバイアスbを加えた値uを変数とする活性化関数f(u)=zにより、出力zを得る。出力層714において、かかるzを入力として、重み付けω’を掛けてバイアスb’を加えた値z’を逆正規化715して出力yを得る。順伝播型のニューラルネットワークの動作条件720としては、学習アルゴリズムとしてレーベンバーグ・マーカート法(Levenberg-Marquardt Method:以下、LMともいう)を用い、誤差関数として二乗誤差を使用する。なお、レーベンバーグ・マーカート法は、ガウス・ニュートン法と最急降下法の結合されたアルゴリズムである。ガウス・ニュートン法がうまくいかないときは最急降下法でゆっくりとでも確実に値を減じ、解が近そうだなとなったらガウス・ニュートン法で一気に停留点に至る、安定性と速度の両方を備えたアルゴリズムである
訓練データが偏りを含む場合、それが学習の妨げになることがある。正規化712は、図7Aに示すように、偏りがなくなるような訓練データを変換する前処理を行う。正規化712により2つの変換を施した後のサンプルは、各成分の平均が0、分散が1になる。このようにして、学習モデルは各説明変数に等しく影響させるようになる。隠れ層713は、図7Aのように、l個の入力を受け取り、nのユニットが受け取る総入力をそれぞれ計算し、各入力にそれぞれ異なる重みω1,ω2,…,ωnを掛けたものを全て加算し、これにバイアスと呼ばれる1つの値bnを足す。隠れ層713の出力zは、総入力uに対する活性化関数と呼ばれる関数f()の出力である。使用された活性化関数f()はTan-Sigmoid functionと呼ばれるものである。出力層714では、図7Aのように、隠れ層713からのn個の出力zlを受け取り、1つの出力z’が計算される。最後にz’に対して逆正規化715を行うことで、出力y(需要の予測値)が求まる。
図7Aの順伝播型のニューラルネットワークにより、各電力需要者について説明変数とパラメータとに基づいた電力需要予測量を出力する。なお、需要予測算出部604は、順伝播型のニューラルネットワークに限定されない。また、複数の異なるニューラルネットワークを組み合わせると一般に推定精度を向上できる。本実施形態では、最初に10個のニューラルネットを構築し、同じ入力を10個のニューラルネットに与え、そうして得られる10個の出力の平均を答えとする。これはモデル平均と呼ばれ、予測値の安定性と精度を大幅に向上させた。
図7Bは、本実施形態に係る需要予測算出部604で用いる説明変数730を示す図である。説明変数730は、図7Aの各入力x711として順伝播型のニューラルネットワークに入力される。
図7Bの説明変数730は、説明変数ID731に対応付けて、例えば、30時間前の電力需要予測用の説明変数732と、19時間前の電力需要予測用の説明変数733と、90分前の電力需要予測用の説明変数734と、需要予測算出における説明変数の予測への影響度735と、を有する。
図7Bの説明変数730には、電力需要予測の対象日時に関する情報として、時間分および曜日が含まれる。また、対象日時の天候予想情報として、気温、天気および不快指数が含まれる。また、対象日時と同じ曜日の各電力需要者の需要実績情報として、先週、先々週および3週前の同時刻の実績値や、先々日の同時刻の実績値や48コマの平均実績値が含まれる。また、対象日時の直前の各電力需要者の需要実績情報として、1時間前4コマの平均実績値が含まれる。なお、予測コマの何時間前かによって、説明変数がさらに異なってもよい。これらの説明変数の中で、特に、先週、先々週および3週前の同時刻の実績値が需要予測算出において予測への影響度が大きい。その理由は、3週間が季節変動の1つの目安となると想定されるからである。これらは、個別にあるいは平均値を取って、重み付けを大きくして図7Aの順伝播型のニューラルネットワークに入力される。
図7Bの3つの例では、19時間前の電力需要予測用の説明変数733による電力需要予測量が1日前のJEPXスポット入札に使用され、90分前の電力需要予測用の説明変数734による電力需要予測量が1時間前のJEPXリアルタイム入札に使用される。以降の最適ポジションの算出時間やJEPXへの入札準備時間および入札実行時間が短くなる程、より入札時間に近い時点での需要実績情報が多い電力需要予測量が算出され、より精度の高い予測が可能となる。
図7Cは、本実施形態に係る需要予測算出部604で用いる他の説明変数740および750を示す図である。他の説明変数740および750は、図7Aの各入力x711として順伝播型のニューラルネットワークに入力されて、電力需要予測量の予測精度を上げる。
説明変数740としては、需要履歴に基づく各電力需要者の需要傾向として、電力需要者ID741に対応付けて、需要者属性742と、電力需要履歴743と、需要傾向744と、を含む。ここで、需要者属性742は、電力需要者が団体か個人かや、電力需要者の地域情報を含む環境情報を含む。また需要傾向744は、電力需要者が朝型か昼型か夜型か、あるいは、さらに詳細に何時頃が電力使用時間で何時頃が電力不使用時間であるか、あるいは、工場やマンションなどの大口電力需要者か各家庭などの小口電力需要者かなどの情報を含む。
説明変数750としては、説明変数ID751に対応付けた、説明変数の内容752と予測への影響度753とを含む。例えば、説明変数の内容752としては、需要家別季節変動指数、需要家別電力消費成長率、需要家別電力利用計画、機器別消費電力情報、機器別熱情報、消費電流波形分析による個別機器消費電力情報、分電盤別消費電力情報、ブレーカー別消費電力情報、需要家施設内温度、需要家施設内湿度、需要家施設内不快指数、需要家施設内照度、需要家施設ガスメーター情報、需要家出勤人数、需要家ネガワット実行日←需要家が電力会社サイドの要望等に応じて機器を制御して節電した日、などが含まれる。これらの説明変数の中で、特に、需要家別電力利用計画が需要予測算出において予測への影響度が大きい。需要家から取得可能であれば、重み付けを大きくして図7Aの順伝播型のニューラルネットワークに入力される。
図7Dは、本実施形態に係る需要予測算出部604で用いる需要予測用データベース541における説明変数の蓄積構成760を示す図である。
説明変数を含む各情報が、蓄積構成760の形式で需要予測用データベース541に格納あるいは蓄積されている。なお、各説明変数は、図7Aと重複するので説明を省略する。
図7Eは、本実施形態に係る需要予測算出部604で用いるパラメータ770を示す図である。パラメータ770は、順伝播型のニューラルネットワークで使用される各パラメータであり、需要予測用データベース541に格納あるいは蓄積されている。
パラメータ770は、PPS・ID771に対応付けて、各PPSと契約している電力需要者ID772を記憶する。そして、各電力需要者ID772に対応付けて、ニューラルネットワークのパラメータ773と、LM用パラメータ774と、誤差関数用パラメータ775と、を記憶する。
図7Fは、本実施形態に係る需要予測算出部604からの出力情報780を示す図である。この出力情報は、最適ポジション算出、そして、JEPX入札のために使用される。
出力情報780は、PPS・ID781に対応付けて、各PPSと契約している電力需要者ID782を記憶する。そして、各電力需要者IDに対応付けて、翌日の48コマの電力需要予測量783と、当日の1時間後の電力需要予測量784と、を記憶する。当日の1時間後以降の電力需要予測量を記憶してもよい。
図7Gは、本実施形態に係る需要予測算出部604の他の構成を示す図である。なお、図7Gにおいて、図7Aと同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
図7Gにおいては、データ前処理として、図7Aの正規化712の前にダミー化797を配置し、正規化712の後に構造化798を配置する。また、隠れ層793における活性化関数f()には、図7Gのようにランプ関数RelUを用い、最適化アルゴリズムには、Adam(Adaptive Moment Estimation)を用いた。
ダミー化797は、説明変数のうち、量的変数はそのまま使い、質的変数はダミー変数に直すことにより、これらが混在している場合にも重回帰分析による予測が可能となる。本例では休日・曜日・時間フラグが質的変数であるため、それらに対してダミー変数に変換する前処理を行う。例えば、曜日という説明変数の元データは1から7までの数字であり、曜日は質的変数であるため、1から7までの数字を、図7Gのようにダミー変換する。また、本例の入力データには、大きく分けると、過去の実績値、気象情報、休日・曜日・時間フラグの3つの種類の説明変数がある。構造化798により、学習する前に、これらの入力データを因子グループごとに分割する。そして、後ほど学習する際に、構造化された入力をグループごとにフィッティングし、最後に出力層714でマージするという形で行う。そうすることで、グループごとに学習効果を確認するだけでなく、「重畳エネルギー関数法」「忘却付き構造学習」「コンパクト構造化法」といった機能により予測制度を向上することができる。
《ポジション生成部の機能構成》
図8Aは、本実施形態に係るポジション生成部506の機能構成を示すブロック図である。
ポジション生成部506は、需要予測量取得部801と、ポジション算出部802と、発送電情報取得部803と、約定履歴情報取得部804と、約定予測部805と、を備える。また、ポジション生成部506は、他電源情報取得部806と、ポジション算出用パラメータ取得部807と、ポジション出力部808と、ポジション評価変更部809と、を備える。
需要予測量取得部801は、需要予測部505が予測した各支援PPSの電力需要予測量を需要予測部505から取得する。ポジション算出部802は、各支援PPSの電力需要予測量に基づいて、線形計画法を用いて、調達価格を最低価格に低減しながら調達電力を安定させる電力調達の最適な組合せを算出する。発送電情報取得部803は、広域機関350などからポジション算出のための発電情報および送配電情報を取得する。約定履歴情報取得部804は、JEPXにおける約定履歴をJEPXから直接、あるいは、最適ポジション算出用データベース542から取得する。約定予測部805は、JEPXにおける約定履歴から約定予測を行ない、ポジション算出のためにポジション算出部802に出力する。なお、約定予測は、例えば、直前の確定した約定結果であっても、同時刻の約定履歴であっても、約定結果の平均値であってもよい。なお、本実施形態においては、例えば、休日・祭日などを考慮した直近5日間の約定結果の平均値を約定予測値としているが、これに限定されない。約定結果の履歴に基づいた学習によって、適切な約定予測値を求めることができる。
他電源情報取得部806は、他の電力源の情報を、広域機関や最適ポジション算出用データベース542から取得し、ポジション算出のためにポジション算出部802に出力する。ポジション算出用パラメータ取得部807は、ポジション算出部802の線形計画法で使用するパラメータを取得して、ポジション算出のためにポジション算出部802に出力する。ポジション出力部808は、ポジション算出部802が算出したポジションを、JEPX入札制御部507に出力する。ポジション評価変更部809は、JEPX入札制御部507から約定結果を取得して、算出したポジションと比較してポジション算出を評価し、ポジション算出の変更が必要であれば変更する。ポジション算出の変更は、例えば、パラメータの変更などで実現できる。
(ポジション算出用データベース)
図8Bは、本実施形態に係るポジション算出用データベース542の構成を示す図である。なお、ポジション算出用データベース542の構成は、図8Bに限定されない。
ポジション算出用データベース542は、ポジション算出アルゴリズム802aと、入力変数格納部810と、ポジション算出用パラメータ820と、ポジション算出履歴920と、を有する。入力変数格納部810とポジション算出用パラメータ820とは、ポジション算出アルゴリズム802aを用いたポジション算出部802への入力情報および入力パラメータ910を構成する。ポジション算出アルゴリズム802aは、本実施形態のポジション算出部802がポジション算出に使用するアルゴリズムである。入力情報および入力パラメータ910は、ポジション算出アルゴリズム802aにおいて入力データとなる、各支援PPSの電力需要予測量を含む情報群とパラメータとである。なお、入力情報および入力パラメータ910には、JBUや他の電力供給者とあらかじめ契約された単価の情報と、需要家単位に本実施形態の情報処理装置で決定される情報と、JEPX,JBU、他の電力供給者および広域機関からの情報に基づいて算出される情報と、を含む。例えば、JEPXの約定単価などは、約定結果の履歴から約定予測値が算出されて入力される。ポジション算出履歴920は、ポジション算出結果と実績値とを対応付けて蓄積してポジション算出の学習をするための履歴である。なお、入力情報および入力パラメータ910は、各支援PPS単位に格納されても、支援PPSの属性ごとにまとめて格納されもよい。また、ポジション算出履歴920は、各支援PPS単位に蓄積されても、支援PPSの属性ごとにまとめて蓄積されもよい。
(ポジション算出部)
図9Aは、本実施形態に係るポジション算出部802の機能構成を示すブロック図である。
ポジション算出部802は、入力データ受信部901とポジション計算部902とを有する。入力データ受信部901は、ポジション計算部902による電力調達のポジション計算に必要な入力データを受信する。入力データには、需要予測量、発送電情報、他電源情報、約定予測情報、などが含まれる。ポジション計算部902は、線形計画法を用いて電力調達のポジションを計算する。ポジション計算部902には、最適ポジション算出用データベース542から取得したポジション算出パラメータ、あるいは、ポジション評価変更部809からのポジション算出パラメータ調整を用いて、ポジションを算出し、算出結果をポジション出力部808に送信する。
図9Bは、本実施形態に係るポジション算出部802の入力情報および入力パラメータ910を示す図である。
図9Bには、入力情報として、単価、買付単位、最大電力量、最小電力量が示されている。ここで、単価はJBUおよびその他電力源の1kwの単価である。また、買付単位は、買い付けができる最低単位であり、JEPXのスポット市場では500kw単位、時間前市場では100kw単位である。JBUおよびその他電力源、および不足インバランス、余剰インバランスの場合の買付単位も含まれる。また、最大電力量は、買い付けができる最大電力量であり、買付単位と同じ項目で設定される。また、最小電力量は、買い付けができる最小電力量であり、買付単位や最大電力量と同じ項目で設定される。
図9Bには、入力パラメータとして、損失率、係数β、時間前取引売買手数、が示されている。さらに、図9Bには、需要予測部505が予測した需要者単位の需要予測量を各支援PPS単位にまとめた計画kw(損失率含)や、ポジション算出履歴920に蓄積されたJEPXの約定履歴から予測した予測単価、約定予測価格の上限値α1および下限値α2が示されている。なお、係数α1、α2、βは、インバランス料金を算定する調整値である。α1およびα2は全国の電力系統全体の需給状況に応じた調整値であり、上限値α1は前日のスポット市場の約定価格に対する予測約定価格の上限比率であり、下限値α2前日のスポット市場の約定価格に対する予測約定価格の下限比率である。また、βは、地域ごとの需給調整コストの水準差を反映する調整値であり、例えば、{(当該エリアの年平均の需要調整コスト)−(全国の年平均の需要調整コスト)}で表わされる。
図9Cは、本実施形態に係るポジション算出部802の入出力情報を示す図である。なお、図9Cは、ポジション算出履歴920に蓄積される情報例でもある。
図9Cには、入力情報として、48コマにわたる、各コマの計画電力量(図中、計画kw)と、各予測価格や確定価格が示されている。なお、コマにより買い付けを行う項目が決定している場合は、その電力量が入力される。
図9Cには、ポジション算出による算出結果の出力情報として、48コマにわたる、各コマの極小値に調整された調達価格921(図中、太枠の価格)と、各調達先のポジション922(図中、太枠のポジション)とが示されている。
なお、調達価格921には、実際には余剰インバランスによる販売価格も考慮されている。また、図9Cでは、1日前のポジション算出結果として48コマの入出力情報を示したが、1時間前のポジション算出結果としては、1時間後以降の1コマ以上の出力情報があればよい。
《JEPX入札制御部の機能構成》
図10Aは、本実施形態に係るJEPX入札制御部507の機能構成を示すブロック図である。
JEPX入札制御部507は、ポジション取得部1001と、入札様式取得部1002と、1日前入札情報生成部1003と、1日前市場入札部1004と、1日前約定取得部1005と、約定情報通知部1006と、を備える。また、JEPX入札制御部507は、時間前入札情報生成部1007と、時間前市場入札部1008と、時間前市場売買情報取得部1009と、売買情報通知部1010と、を備える。
ポジション取得部1001は、ポジション生成部506から各PPSに対するポジション算出結果を取得する。入札様式取得部1002は、JEPX入札用データベース543からJEPXへの入札様式を取得する。1日前入札情報生成部1003は、1日前の入札様式に従って、ポジション情報に基づいて48コマの1日前市場への入札情報を生成する。1日前市場入札部1004は、JEPXの通信プロトコルに従って、1日前入札情報生成部1003が生成した入力情報を用いてオンライン入札を行なう。1日前約定取得部1005は、JEPXの通信プロトコルに従って、1日前市場における約定結果を受信する。約定情報通知部1006は、1日前約定取得部1005が取得した約定結果を広域機関通達生成部508や他電源連絡生成部511に通知する。
時間前入札情報生成部1007は、時間前の入札様式に従って、ポジション情報に基づいて1時間後以降の少なくとも1コマの時間前市場への入札情報を生成する。時間前市場入札部1008は、JEPXの通信プロトコルに従って、時間前入札情報生成部1007が生成した入力情報を用いてオンライン入札を行なう。時間前市場売買情報取得部1009は、JEPXの通信プロトコルに従って、時間前市場における約定結果を受信する。売買情報通知部1010は、時間前市場売買情報取得部1009が取得した約定結果の売買情報を広域機関通達生成部508や他電源連絡生成部511に通知する。
なお、1日前市場入札部1004は1日前市場の入札様式の入札情報1004aを持ち、1日前約定取得部1005は1日前市場の約定通知様式の約定情報1005aを持ち、時間前市場入札部1008は時間前市場の入札様式の入札情報1008aを持ち、時間前市場売買情報取得部1009は時間前市場の約定通知様式の約定情報1009aを持つ。
(JEPX入札用データベース)
図10Bは、本実施形態に係るJEPX入札用データベース543の構成を示す図である。なお、JEPX入札用データベース543の構成は、図10Bに限定されない。
JEPX入札用データベース543は、電力卸市場入札シーケンス1110、1210と、スポット(1日前)市場アルゴリズム1120と、当日(時間前)市場アルゴリズム1220と、先渡市場アルゴリズム1300と、約定結果履歴1004a、1005a、1008a、1009aを有する。電力卸市場入札シーケンス1110、1210は、本情報処理装置が自動でJEPXへの入札処理と約定結果を用いた電力調達調整処理を行なうスポット(1日前)市場への入札シーケンス1110と当日(時間前)市場への入札シーケンス1210とを格納する。スポット(1日前)市場アルゴリズム1120は、スポット(1日前)市場への入札シーケンス1110を実現するするための、JEPXのスポット(1日前)市場のブライド・シングルプライスオークション方式のアリゴリズムを格納する。当日(時間前)市場アルゴリズム1220は、当日(時間前)市場への入札シーケンス1210を実現するするための、JEPXの当日(時間前)市場のザラバ法のアリゴリズムを格納する。先渡市場アルゴリズム1300は、週間商品(1週間)、月間商品(1月間)、年間商品(1年間)について、全日(24時間型)や8時〜18時(昼間型)単位で取引する市場のザラバ法のアルゴリズムを格納する。約定結果履歴1004a、1005a、1008a、1009aは、入札履歴と約定履歴とを対応付けて蓄積して入札手順の学習をするための履歴である。なお、約定結果履歴1004a、1005a、1008a、1009aは、各支援PPS単位に蓄積されても、支援PPSの属性ごとにまとめて蓄積されもよい。
(1日前市場への入札シーケンス)
図11Aは、本実施形態に係るJEPXにおける1日前市場への入札シーケンス1110および入札情報1004aを示す図である。1日前市場入札部1004は、JEPXにおける1日前市場への入札を、算出されたポジション情報に基づいて生成された入札情報1004aを用いて、JEPXの通信プロトコルに従ってJEPXに送信して入札する。なお、本例において、入札情報1004aは算出されたポジション情報の1つとしたが、JEPXにおいては1つのPPSの各コマに対応して最大15の入札情報を入力できるので、それに対応することも可能である。また、入札情報1004aの入札価格を、算出されたポジション情報の予測価格に所定額を上乗せした価格に設定したり、入札量を入札価格に対応して上下したりしてもよい。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1101において、各支援PPSの登録情報をJEPX340に送信する。JEPX340は、ステップS1103において、各PPSを認証してOKであれば、電力需要調達支援サーバ310に認証結果を返す。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1105において、翌日の48コマの入札情報(入札単価と調達電力量)をJEPX340に送信して、入札を行なう。JEPX340は、ステップS1107において、ブラインド・シングルプライスオークション方式による入札処理を実行する。そして、約定すると、JEPX340は、ステップS1109において、約定結果(約定単価と落札電力量)を電力需要調達支援サーバ310に通知する。約定結果(約定単価と落札電力量)を受信した電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1111において、約定結果に基づき市場からの調達結果において落札か否かをコマ単位に判定する。そして、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1113において、市場からの調達結果では不足する電力量をバックアップ電源を含む他の電力源から調達するように調整する。その後、広域機関への通達処理および他電力源への連絡処理に進む。
図11Bは、本実施形態に係るJEPXにおける1日前市場の約定価格決定方法1120について説明する図である。一日前市場(スポット市場)は、ブラインド・シングルプライスオークション方式で約定価格や約定量を決定する。
すなわち、他参加者の入札動向が開示されない状態(ブラインド)で入札する。また、取引所は締め切り後に全ての入札を売買に分け合成し、需給カーブ(「売り」の量−価格線1122と「買い」の量−価格線1121)の交点1123で約定価格と量とを決定する。なお、交点が複数点ある場合、価格は交点のうち一番安い価格、量は交点のうち一番多い量を選択する。そして、入札者は入札した価格によらず、決定された約定価格で売買する“シングルプライス”方式であり、約定価格より低い価格で入札された売りは、約定価格で売れることになり、約定価格より高い価格で入札された買いは約定価格で買えることになる。
図11Cは、本実施形態に係るJEPXにおける1日前市場からの約定情報1005aを示す図である。1日前約定取得部1005は、JEPXにおける1日前市場の約定情報1005aを、JEPXの通信プロトコルに従って受信する。
約定情報1005aは、約定結果1130と、スポット市場取引結果1140と、スポット市場インデッックス1150とを含む。
入札に対応してJEPXから受信する48コマの約定結果1130は、48コマ(時刻コード)1131に対応付けて、PPS・ID1132と、エリア番号1133と、500kWh単位の約定落札数1134と、円/kWhの約定落札価格1135と、を含む。落札できなかったコマには約定入札数1134にゼロが設定される。
スポット市場取引結果1140は、年月日1141の48コマ(時刻コード)1142に対応付けて、売り入札量1143、買い入札量1144、約定総量1145、全国エリアの交点1123に対応するシステムプライス1146、各エリアの交点1123に対応するシステムプライス群1147、各時間前へ行き価格群1148、各回避可能原価群1149を含む。この中で、各エリアの交点1123に対応するシステムプライス群1147が、各約定結果である。
スポット市場インデッックス1150は、年月日1151に対応付けて、過去24時間の電力取引量(DA−24:Day Ahead 24 hours)1152、前日昼の電力取引量(DA−DT:Day Ahead Day Time (8:00-22:00))1153、前日ピーク時の電力取引量(DA−PT:Day Ahead Peak Time (13:00-16:00))1154、全電力取引量(TTV:Total Transaction Volume)1155、を含む。
(時間前市場への入札)
図12Aは、本実施形態に係るJEPXにおける時間前市場への入札シーケンス1110および入札情報1008aを示す図である。時間前市場入札部1008は、JEPXにおける時間前市場への入札を、1日前入札の約定結果および直前の約定価格、あるいは、他電力源からの調達価格などに基づいて入札情報1008aを、JEPXの通信プロトコルに従ってJEPXに送信して入札する。なお、入札情報1008aには、入札エリアの選択情報や、1時間後以降の少なくとも1コマの売りまたは買いの注文価格と注文量とが設定できる。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1201において、各支援PPSの登録情報をJEPX340に送信する。JEPX340は、ステップS1203において、各PPSを認証してOKであれば、電力需要調達支援サーバ310に認証結果を返す。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1205において、調達の調整が必要なコマをJEPX340に対して指定する。JEPX340は、ステップS1207において、指定されたコマの現在の入力状況を電力需要調達支援サーバ310に通知する。電力需要調達支援サーバ310は、指定コマに入力状況をチェックして、ステップS1209において、入札情報(入札単価と調達電力量)をJEPX340に送信して、入札を行なう。電力需要調達支援サーバ310とJEPX340との間で、ステップS1211において、ザラバ方式による入札処理を実行する。この間に、電力需要調達支援サーバ310においては、JEPX340から通知される入札状況に基づき市場から調達するか否かを判定する。そして、約定すると、JEPX340は、ステップS1213において、約定結果(約定単価)を電力需要調達支援サーバ310に通知する。約定結果(約定単価)を受信した電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1215において、約定結果を受信する。そして、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1217において、市場からの調達変更に基づいて電力量をバックアップ電源を含む他の電力源からの調達を調整する。その後、広域機関への通達処理および他電力源への連絡処理に進む。
図12Bは、本実施形態に係るJEPXにおける時間前市場の約定価格決定方法1220について説明する図である。
約定価格決定方法1220は、時間前市場(当日市場)はザラバ取引で行い、売買を希望する商品(ある30分の時間帯)について、市場の状況を参照しつつ入札する。約定価格は約定した売買入札のうち、先に入札された価格となる。価格条件が合致した後、広域機関に売買に関する託送可否確認を行う。その結果、託送可能な量について約定させる。
図12Cは、本実施形態に係るJEPXにおける時間前市場からの約定情報1009aを示す図である。時間前市場売買情報取得部1009は、JEPXにおける時間前市場の約定情報1009aを、JEPXの通信プロトコルに従って受信する。時間前市場の約定情報1009aは、約定結果1230と、約定情報1240と、約定処理情報1250とを含む。
入札に対応してJEPXから受信する入札コマの約定結果1230は、1コマ(時刻コード)1231に対応付けて、PPS・ID1232と、エリア番号1233と、50kWh単位の約定落札数1234と、円/kWhの約定落札価格1235と、を含む。落札できなかったコマには約定入札数1234にゼロが設定される。
約定情報1240は、時間帯(商品コマ)1241に対応付けて、売り入札量1242と、売り最安値1243と、買い最高値1244と、買い入札量1245と、最新約定価格1246と、平均約定価格1247と、を記憶する。この中で、最新約定価格1246が、各コマの約定結果である。また、約定処理情報1250は、年月日1251の48コマ(時刻コード)1252に対応付けて、始値1253、高値1254、安値1255、終値1256、平均1257、約定量合計1258、約定件数1259、を記憶する。
(JBU市場への入札)
図13は、本実施形態に係るJEPXにおけるJBU市場の約定価格決定方法1300について説明する図である。なお、図5Aの電力需要調達支援サーバの機能構成には図示されていないが、JBU市場(先渡市場)に対する自動入札も行なう。さらに、規模の小さい発電所などによるJEPXの掲示板市場もあり、本情報処理装置で自動処理を行なうことが可能である。
JBU市場の約定価格決定方法1300は、当日市場(時間前市場)と同様に、将来の特定期間(1年間・1ヶ月間・1週間)に受け渡しを約する電気をザラバで取引し、約定価格は、約定した売買入札のうち先に入札された価格となる。受渡期間が1年間のものを年間商品、1月間のものを月間商品、1週間のものを週間商品といい、日ごとの受け渡しの型として、全日の0時から24時まで24時間を通して受け渡される24時間型と、土曜や日曜・祝日などを除いた平日の8時〜18時の間だけ受け渡される昼間型とがある。
《広域機関通達生成部と他電源連絡生成部の機能構成》
図14Aは、本実施形態に係る広域機関通達生成部508の機能構成を示すブロック図である。かかる広域機関通達生成部508が本発明が特徴とする主要な構成である。
広域機関通達生成部508は、1日前約定結果取得部1411と、1日前通達様式取得部1412と、1日前通達生成部1413と、を有する。また、広域機関通達生成部508は、時間前約定結果取得部1414と、時間前通達様式取得部1415と、時間前通達生成部1416と、を有する。
1日前約定結果取得部1411は、JEPX入札制御部507から1日前市場の約定結果を取得する。1日前通達様式取得部1412は、通達用データベース544から1日前通達様式を取得する。1日前通達生成部1413は、1日前約定結果取得部1411からの1日前市場の約定結果と、BU電源を含む他の電力源からの調整した調達量とを含む1日前通達を生成し、広域機関通達送信部509に出力する。
時間前約定結果取得部1414は、JEPX入札制御部507から時間前市場の約定結果を取得する。時間前通達様式取得部1415は、通達用データベース544から時間前通達様式を取得する。時間前通達生成部1416は、時間前約定結果取得部1414からの時間前市場の約定結果と、BU電源を含む他の電力源からの調整した調達量とを含む時間前通達を生成し、広域機関通達送信部509に出力する。
なお、通達用データベース544から広域機関通達送信部509へは、広域機関通達用の通信プロトコルが通知される。
図14Bは、本実施形態に係る他電源連絡生成部511の機能構成を示すブロック図である。
他電源連絡生成部511は、1日前約定結果取得部1421と、時間前約定結果取得部1422と、他電源連絡様式取得部1423と、他電源連絡情報生成部1424と、を有する。
1日前約定結果取得部1421は、JEPX入札制御部507から1日前市場の約定結果を取得する。時間前約定結果取得部1422は、JEPX入札制御部507から時間前市場の約定結果を取得する。他電源連絡様式取得部1423は、通達用データベース544から他電源連絡様式を取得する。他電源連絡情報生成部1424は、1日前約定結果取得部1421または時間前約定結果取得部1422からの約定結果と、BU電源を含む他の電力源からの調整した調達量とを含む連絡情報を生成し、他電源連絡送信部512に出力する。
なお、通達用データベース544から他電源連絡送信部512へは、他電源連絡用の通信プロトコルが通知される。また、広域機関が通達情報に基づいて他電源への連絡を行なう場合は、他電源連絡生成部511は使用されない。
(通達用データベース)
図14Cは、本実施形態に係る通達用データベース544の構成を示す図である。なお、通達用データベース544の構成は、図14Cに限定されない。
通達用データベース544は、広域機関通達シーケンス1510と、スポット(1日前)通達フォーマット1520と、当日(時間前)通達フォーマット1530と、他の電力源連絡シーケンス/フォーマット1540と、通達/連絡履歴1440と、を有する。広域機関通達シーケンス1510は、広域機関への各支援PPSの需要調達計画を1日前あるいは時間前の指定時間になると自動に通達する通信プロトコルを含むシーケンスを格納する。スポット(1日前)通達フォーマット1520は、スポット(1日前)市場の約定後に各支援PPSの需要調達計画を広域機関に通達するためのフォーマットを格納すると共に、フォーマットエラーや数値エラーを検出するアルゴリズムを格納する。当日(時間前)通達フォーマット1530は、当日(時間前)市場の約定後に各支援PPSの需要調達計画の変更を広域機関に通達するためのフォーマットを格納すると共に、フォーマットエラーや数値エラーを検出するアルゴリズムを格納する。他の電力源連絡シーケンス/フォーマット1540は、他の電力源への各支援PPSの需要調達計画を1日前あるいは時間前に自動に通達する通信プロトコルを含むシーケンスを格納する。また、他の電力源連絡シーケンス/フォーマット1540は、JEPX約定結果に基づいて他の電力源からの調達決定後に、各支援PPSの調達計画あるいはその変更を他の電力源に連絡するためのフォーマットを格納すると共に、フォーマットエラーや数値エラーを検出するアルゴリズムを格納する。通達/連絡履歴1440は、後期期間への需要調達計画の通達および他の電力源への調達計画の連絡の履歴を蓄積する。この通達/連絡履歴1440は、各支援PPSに連絡されると共に各支援PPSへの需要調達管理支援の清算にも用いられる。
(通達シーケンス)
図15Aは、本実施形態に係る電力需要調達支援サーバ310と広域機関350との通信手順1510を示すシーケンス図である。
図15Aにおいて、電力需要調達支援サーバ310は、電力需要予測量によるポジション算出に基づくJEPXへの入札の約定結果と、他の電力源からの調達量とから、広域機関350が定める様式に従って、XMLメッセージを作成する。そして、XMLメッセージをZIP形式で圧縮して、広域機関350の定めた通信プロトコルに従って、広域機関350に通達する。
(広域機関の通達様式)
図15Bおよび図15Cは、本実施形態に係る広域機関による通達様式の1日前の通達情報1520を示す図である。
広域機関による通達様式の1日前の通達情報1520は、時間帯1531のそれぞれに対応して、調達過不足、供給量、取引計画、複数の調達計画、複数の販売計画、のデータが含まれる。
図15Dは、本実施形態に係る広域機関による通達様式の当日(1時間前)の通達情報1530を示す図である。図15Dにおいて、変更前の調達量は実際にはなく、参考のために図示されている。
広域機関による通達様式の当日(1時間前)の通達情報1530は、時間帯1531のそれぞれに対応して、調達計画として変更後の調達量を記載する。なお、変更されないコマには同じ調達量を記載するか、ブランクにする。図15Dにおいては、14:30〜15:00のコマと、15:00〜15:30のコマとが変更されることを、通達する。
(他の電力源に対する連絡)
図15Eは、本実施形態に係る他の電力源に対する連絡情報1540を示す図である。なお、図15Eは他の電力源に対する連絡情報の一例であって、各電力源によってフォーマット様式も、連絡方法やプロトコルも様々であるが、本実施形態においては、その全てに自動的に対応が可能である。
他の電力源に対する連絡情報1540は、連絡情報を識別する識別情報1550と連絡データ1560とを有する。識別情報1550には、計画名称、連絡事業所、時間単位の契約電力量、計画対象年月日などが含まれる。また、連絡データ1560は、48コマの時刻1561にそれぞれ対応付けて、対応年月日の受給量1562を記憶する。対応年月日の受給量1562には、1コマ(30分)の受給量、時間単位の受給量、契約超過判定の結果、が含まれる。本他電力源事業者の例では、提出先事業者からの、例えば、契約超過なし、小数点判定OK、マイナス判定OK、の場合に連絡が受領される。受領されなかった返信があった場合には、本情報処理装置が見直して再度連絡送信を行なう。
《電力需要調達支援サーバのハードウェア構成》
図16は、本実施形態に係る情報処理装置としての電力需要調達支援サーバ310のハードウェア構成を示すブロック図である。
図16で、CPU(Central Processing Unit)1610は演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで図5Aの機能構成部を実現する。CPU1610は複数のプロセッサを有し、異なるプログラムやモジュール、タスク、スレッドなどを並行して実行してもよい。ROM(Read Only Memory)1620は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびプログラムを記憶する。ネットワークインタフェース1630は、ネットワークを介して、支援対象のPPS、JEPX、あるいは、広域機関などとの通信を制御する。
RAM(Random Access Memory)1640は、CPU1610が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM1640には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。需要予測用データ1641は、説明変数やパラメータなどの需要予測のためのデータである。電力需要予測量1642は、需要予測用データ1641に基づいて、順伝播型のニューラルネットワークを用いて予測した各電力需要者における48コマあるいは1時間後の電力需要の予測量である。この各電力需要者の電力予測量をPPSと契約した全電力需要者について加算して、各PPSの48コマあるいは1時間後の電力需要の予測量が求められる。ポジション算出用データ1643は、電力需要予測量の他、約定履歴や他電源情報などのJEPXや他の電力源からの適切な電力調達のポジションを算出するためのデータである。ポジション算出結果1644は、ポジション算出用データ1643に基づいて線形計画法により算出された、JEPXや他の電力源からの適切な電力調達のポジション情報である。JEPX入札用データ1645は、約定予測やポジション情報などからJEPX入札用に用いられるデータである。JEPX入札データ/約定結果1646は、JEPXに対してオンラインで自動入札するための様式に従う入札データと、JEPXから通知された約定結果とである。通達生成用データ1647は、広域機関宛、あるいは、他電力源宛に各様式によりオンラインで自動送信するためのデータである。通達データ/受領通知1648は、広域機関宛、あるいは、他電力源宛に自動送信されたデータと、広域機関、あるいは、他電力源からの受領通知である。なお、広域機関が他電力源への連絡を代行するシステム構成であれば、広域機関への送信データのみでよい。
ストレージ1650は、データベースや各種のパラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。需要予測用データベース541は、電力需要を予測するための計算アルゴリズム、電力需要の予測に必要な説明変数となるデータ、あるいは、その履歴や、パラメータ、予測結果の履歴などを格納する。最適ポジション算出用データベース542は、適切な電力調達をするためのポジション計算アルゴリズム、ポジション算出に必要な入力データ、あるいは、その履歴や、パラメータ、ポジション算出結果の履歴などを格納する。JEPX入札用データベース543は、JEPXに入札するための入札手順、入札に必要な様式、入力データ、あるいは、その履歴や、パラメータ、約定結果の履歴などを格納する。通達用データベース544は、広域機関や他電力源への電力需要調達の通達(連絡)するための手順、通達(連絡)に必要な様式、入力データ、あるいは、その履歴や、パラメータ、通達結果の履歴などを格納する。
ストレージ1650には、以下のプログラムが格納される。電力需要調達支援プログラム1651は、PPSが契約した電力需要者への電力供給を適切に実行するように支援する、あるいは、代行する一連のプログラムである。需要予測モジュール1652は、PPSが契約した各電力需要者の、翌日の48コマあるいは当日の1時間後以降の電力需要を予測するモジュールである。ポジション生成モジュール1653は、PPSが契約している全電力需要者のトータルの、翌日の48コマあるいは当日の1時間後以降の電力需要の予測を用いて、費用を抑え調達を確実とする適切な電力調達のポジションを生成するモジュールである。電力調達モジュール1654は、生成されたポジションを参照して、JEPXへの入札を含む電力調達を自動調整するモジュールである。通達生成モジュール1655は、電力需要および電力調達の設定または確定を、広域機関あるいは他電力源に自動通達(連絡)するためのモジュールである。
なお、図16のRAM1640やストレージ1650には、電力需要調達支援サーバ310が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関連するプログラムやデータは図示されていない。
《電力需要調達支援サーバの処理手順》
図17Aは、本実施形態に係る情報処理装置としての電力需要調達支援サーバ310の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、図16のCPU1610がRAM1640を使用して実行し、図5Aの機能構成部を実現する。なお、図17Aは、複数のPPSに対して各モジュールを独立に並列して実行できるよう構成されている。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1711において、需要予測の要請があったか否かを判定する。需要予測の要請があった場合、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1713において、対応するPPSの識別子(ID)を取得する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1715において、需要予測処理を実行する。そして、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1717において、需要予測結果を以降のポジション生成に使用するために最適ポジション算出用データベース542に格納する。
需要予測の要請が無かった場合、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1721において、ポジション生成の要請があったか否かを判定する。ポジション生成の要請があった場合、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1723において、対応するPPSの識別子(ID)を取得する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1725において、ポジション生成処理を実行する。そして、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1727において、ポジション生成結果を以降の電力調達、特に、JEPXの入札に使用するためにJEPX入札用データベース543に格納する。
需要予測の要請もポジション生成の要請も無かった場合、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1731において、電力調達の要請があったか否かを判定する。電力調達の要請があった場合、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1733において、対応するPPSの識別子(ID)を取得する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1735において、JEPX入札を含む電力調達処理を実行する。そして、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1737において、約定情報を含む電力調達結果を以降の広域機関や他電力源への通達(連絡)に使用するために通達用データベース544に格納する。
需要予測の要請もポジション生成の要請も電力調達の要請も無かった場合、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1741において、通達送信の要請があったか否かを判定する。通達送信の要請があった場合、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1743において、対応するPPSの識別子(ID)を取得する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1745において、通達生成処理を実行する。そして、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1747において、生成された通達を広域機関や他電力源に送信する。
なお、各処理の要請は、1日前市場に対しては前日の10時までのJEPXの1日前入札に間に合うタイミングで自動的に要請されて実行され、1時間前市場(当日市場)に対しては1時間後のJEPXの当日入札に間に合うタイミングで自動的に要請されて実行される。なお、先渡市場や掲示板市場においても同様な自動入札が所望のタイミングで実行される。
図17Bは、本実施形態に係る情報処理装置としての電力需要調達支援サーバ310の他の処理手順を示すフローチャートである。なお、図17Bは、複数のPPSの各PPSに対して仮想管理サーバを生成して、各仮想管理サーバが各PPSに対する支援処理を独立に並列して実行できるよう構成されている。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1751において、電力需要調達支援の要請を待つ。電力需要調達支援の要請があると、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1753において、契約している1つのPPSの識別子(ID)を取得する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1755において、PPSの識別子(ID)に対応する電力需要調達支援サーバ310に仮想管理サーバを生成する。そして、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1751において、電力需要調達支援の要請を待つ。
ステップS1755で生成された仮想管理サーバにおいては、対応する識別子のPPSに対して、以下の処理が独立して実行される。仮想管理サーバは、ステップS1715において、図17Aと同様の需要予測処理を実行する。仮想管理サーバは、ステップS1725において、図17Aと同様のポジション生成処理を実行する。仮想管理サーバは、ステップS1735において、図17Aと同様の電力調達処理を実行する。仮想管理サーバは、ステップS1745において、図17Aと同様の通達生成処理を実行する。そして、仮想管理サーバは、ステップS1747において、広域機関あるいは他電力源への通達送信処理を行ない、ステップS1749において、仮想管理サーバを解放する。
なお、電力需要調達支援の要請は、1日前市場に対しては前日の10時までのJEPXの1日前入札に間に合うタイミングで自動的に要請されて実行され、1時間前市場(当日市場)に対しては1時間後のJEPXの当日入札に間に合うタイミングで自動的に要請されて実行される。なお、先渡市場や掲示板市場においても同様な自動入札が所望のタイミングで実行される。
(需要予測処理)
図18は、本実施形態に係る需要予測処理(S1715)の手順を示すフローチャートである。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1801において、需要予測が1日前用であるか1時間前用であるかを判定する。1日前用であれば、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1811において、翌日の需要予測用パラメータを取得する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1813において、1電力需要者の翌日の1コマの需要予測用説明変数を取得する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1815において、順伝播型のニューラルネットワークを動作させ、1つの電力需要者の翌日の1コマの需要予測量を算出する。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1817において、48コマの需要予測量の算出を完了したか否かを判定する。48コマの算出を完了していなければ、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1813に戻って、次のコマについて需要予測を算出する。48コマの算出を完了したならば、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1819において、1電力需要者について翌日の48コマの需要予測量を出力する。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1819において、PPSと契約している全電力需要者について、需要予測量の算出を完了したか否かを判定する。全電力需要者について需要予測量の算出を完了していなければ、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1813に戻って、次の電力需要者について1コマから需要予測を算出する。全電力需要者について需要予測量の算出を完了していれば、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1823において、翌日の48コマの、PPSと契約している全需要者の全需要予測量を算出し、需要予測処理を終了してリターンする。
一方、ステップS1801の判定で1時間前用であれば、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1831において、1時間後以降の需要予測用パラメータを取得する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1833において、1時間後以降の需要予測用説明変数を取得する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1835において、順伝播型のニューラルネットワークを動作させ、1つの電力需要者の1時間後以降の需要予測量を算出する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1837において、1電力需要者について1時間後以降の需要予測量を出力する。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1839において、PPSと契約している全電力需要者について、1時間後以降の需要予測量の算出を完了したか否かを判定する。全電力需要者について需要予測量の算出を完了していなければ、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1833に戻って、次の電力需要者について1時間後以降の需要予測を算出する。全電力需要者について需要予測量の算出を完了していれば、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1841において、1時間後以降の、PPSと契約している全需要者の全需要予測量を算出し、需要予測処理を終了してリターンする。
(ポジション生成処理)
図19は、本実施形態に係るポジション生成処理(S1725)の手順を示すフローチャートである。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1901において、需要予測が1日前用であるか1時間前用であるかを判定する。1日前用であれば、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1911において、1つのPPSにおける翌日の1コマの全需要予測量を取得する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1913において、単価や買付単位などの電力調達条件、および、約定予測や約定履歴などを取得する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1915において、線形計画法を用いて最適ポジションを算出する。最適ポジションのデータとしては、価格、スポット、JBU、その他、インバランスが含まれる。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1917において、1つのPPSにおける翌日の48コマのポジション算出を完了したか否かを判定する。48コマの算出を完了していなければ、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1911に戻って、次のコマについてポジション算出を行なう。48コマの算出を完了したならば、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1919において、1つのPPSについて翌日の48コマの最適ポジションを出力し、ポジション生成処理を終了してリターンする。
一方、ステップS1901の判定で1時間前用であれば、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1921において、1つのPPSについて当日の1時間後以降の全需要予測量を取得する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1923において、単価や買付単位などの電力調達条件、および、約定予測や約定履歴などを取得する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1925において、線形計画法を用いて最適ポジションを算出する。最適ポジションのデータとしては、価格、スポット、JBU、その他、インバランスが含まれる。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1927において、1日前の需要調達予定と比較して、ポジションの変更されるべき変更項目を探し、その変更値を算出する。そして、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS1929において、ポジションの変更されるべき変更項目とその変更値とを出力し、ポジション生成処理を終了してリターンする。
(電力調達処理)
図20は、本実施形態に係る電力調達処理(S1735)の手順を示すフローチャートである。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2001において、電力調達の入札が1日前であるか1時間前であるかを判定する。1日前であれば、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2011において、JEPX入札用データベース543から1日前用の入札様式(CSVファイル・フォーマット)を取得する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2013において、48コマの最適ポジションポジションに基づき、1つのPPSの48コマの入札情報を生成する。なお、ステップS2013には、1日前用の入札様式に適合させ、入札情報の整合性を取るため、最適ポジションデータに対して必要な計算や変換が含まれる。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2015において、1つのPPSに対して生成された翌日の48コマの入札情報について、入札様式や入札情報の整合性にエラーが無いかをチェックする。エラーがあれば、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2013に戻って入力情報を修正する。
エラーが無ければ、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2017において、JEPXの1日前市場に入札するための通信プロトコルをJEPX入札用データベース543から取得する。そして、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2019において、JEPXの通信プロトコルに従って、1日前の入札情報のCSVファイルをJEPXの1日前市場に対して入札する。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2021において、1日前市場における約定を待って、約定結果の報告を受信すると、ステップS2023において、受信した約定結果に基づいて、JEPXを介した電力調達を決定する。そして、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2025において、電力需要に必要な他の電力源からの電力調達量を調整し、電力調達処理を終了してリターンする。
一方、ステップS2001において、1時間前であれば、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2031において、JEPX入札用データベース543から1時間前用の入札様式(CSVファイル・フォーマット)を取得する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2033において、1時間前用の入札様式に変更項目と変更値とを設定した入札情報を生成する。なお、ステップS2033には、1時間前用の入札様式に適合させ、入札情報の整合性を取るため、最適ポジションデータに対して必要な計算や変換が含まれる。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2035において、1つのPPSに対して生成された1時間前の入札情報について、入札様式や入札情報の整合性にエラーが無いかをチェックする。エラーがあれば、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2033に戻って入力情報を修正する。
エラーが無ければ、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2037において、JEPXの1時間前市場に入札するための通信プロトコルをJEPX入札用データベース543から取得する。そして、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2039において、JEPXの通信プロトコルに従って、1時間前の入札情報のCSVファイルをJEPXの1時間前市場に対して入札する。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2041において、1時間前市場における入札を繰り返す。なお、入札を繰り返す間には、他の入札者の入札額や他電源の価格などを考慮して入札額を設定する。約定結果の報告を受信すると、ステップS2043において、受信した約定結果に基づいて、JEPXを介した電力調達を更新する。そして、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2045において、電力需要に必要な他の電力源からの電力調達量を調整し、電力調達処理を終了してリターンする。
(通達送信処理)
図21は、本実施形態に係る通達送信処理(S1745)の手順を示すフローチャートである。なお、図21には広域機関への通達処理を示すが、他の電力源への連絡も様式や送信方法が異なるのみであるので、図示および説明は省略する。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2101において、通達送信が1日前であるか1時間前であるかを判定する。1日前であれば、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2111において、通達用データベース544から1日前用の通達様式(XMLファイル・フォーマット)を取得する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2113において、決定した翌日の電力需要調達情報を通達用データベース544から取得する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2115において、取得した電力需要調達情報に基づき、1つのPPSの1日前の通達情報を生成する。なお、ステップS2115には、1日前用の通達様式に適合させ、通達情報の整合性を取るため、電力需要調達情報に対して必要な計算や変換が含まれる。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2117において、1つのPPSに対して生成された1日前の通達情報について、通達様式や通達情報の整合性にエラーが無いかをチェックする。エラーがあれば、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2113に戻って通達情報を修正する。
エラーが無ければ、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2119において、広域機関に1日前情報を通達するための通信プロトコルを通達用データベース544から取得する。そして、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2121において、広域機関の通信プロトコルに従って、1日前の通達情報のXMLファイルをZIP形式に圧縮して広域機関に対して送信する。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2123において、広域機関からのエラー通知の受信か否かを判定する。広域機関からのエラー通知の受信であれば、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2115に戻って、通達情報を修正する。広域機関からの受領通知であれば、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2125において、1日前の広域機関への通達完了を対応する報知してPPSに報告し、通達送信処理を終了してリターンする。
一方、ステップS2101において、1時間前であれば、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2131において、1日前の通達あるいはその後の更新があれば、最新の通達情報を通達用データベース544から取得する。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2133において、取得した最新の通達情報に対して1時間前入札や他電力源の調整による変更項目と変更値とを更新した、通達情報を生成する。なお、ステップS2133には、1時間用の通達様式に適合させ、通達情報の整合性を取るため、電力需要調達情報に対して必要な計算や変換が含まれる。電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2135において、1つのPPSに対して生成された1時間前の通達情報について、通達様式や通達情報の整合性にエラーが無いかをチェックする。エラーがあれば、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2133に戻って通達情報を修正する。
エラーが無ければ、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2137において、広域機関に1時間前情報を通達するための通信プロトコルを通達用データベース544から取得する。そして、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2139において、広域機関の通信プロトコルに従って、1時間前の通達情報のXMLファイルをZIP形式に圧縮して広域機関に対して送信する。
電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2141において、広域機関からのエラー通知の受信か否かを判定する。広域機関からのエラー通知の受信であれば、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2133に戻って、通達情報を修正する。広域機関からの受領通知であれば、電力需要調達支援サーバ310は、ステップS2143において、1時間前の広域機関への通達完了を対応する報知してPPSに報告し、通達送信処理を終了してリターンする。
本実施形態によれば、順伝播型のニューラルネットワークの説明変数として、適切な説明変数を用いることにより、電力需要の予測精度を効率的に高めることができ、その結果、電力需要予測に基づく適切な電力調達のポジションの生成、および、JEPXに対する入札による適切な電力調達を実現することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態と比べると、参加する複数の新電力会社(PPS)をグループとして電力需要調達を支援する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
《電力需要調達支援システム》
図22は、本実施形態に係る情報処理装置を含む電力需要調達支援システム2200の構成を示すブロック図である。なお、図22において、図3Aと同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態の電力需要調達支援サーバ2210は、グループ入札情報生成部2211を有し、電力需要調達管理の支援対象の各PPSがグループ入札情報生成部2211に接続される。
《電力需要調達支援サーバ》
図23Aは、本実施形態に係る情報処理装置としての電力需要調達支援サーバ2210の機能構成を示すブロック図である。なお、図23Aにおいて、図5Aと同様の機能構成部には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
データベース2304は、さらに、グループ入札のために使用するグループ入札用データベース2345を有する。全支援PPSの需要予測部2305は、本実施形態の電力需要調達支援サーバ2210が支援する全支援PPSをまとめた需要予測を算出する。全支援PPSのポジション生成部2306は、本実施形態の電力需要調達支援サーバ2210が支援する全支援PPSをまとめた最適ポジションを生成する。グループ入札情報生成部2211は、全支援PPSのポジション生成部2306が生成した最適ポジションに基づいて、複数PPSのグループをまとめた入札情報を生成し、JEPX入札制御部507は、グループを1つのPPSとして入札を行なう。そして、約定結果をクループ内のPPSに対して適切に分配する。
(グループ入札用データベース)
図23Bは、本実施形態に係るグループ入札用データベース2345の構成を示す図である。
グループ入札用データベース2345は、グループ入札を行なうPPSを登録するグループ登録情報2310と、グループ落札結果を記憶するグループ落札結果情報2320と、を含む。グループ登録情報2310は、グループID2311に対応付けて、グループに属する複数のPPS・ID2312と、各PPS・ID2312と契約する電力需要者リスト2313と、を記憶する。グループ落札結果情報2320は、48コマ(時刻コード)2321に対応付けて、グループID2322と、500kWh単位の落札した約定落札数2323と、円/kWhの約定落札価格2324と、他電源調整(量/価格)2325と、を記憶する。そして、グループに属する各PPSについての調達結果2326−2327を記憶する。調達結果2326−2327は、市場調達と他電源調達と調達額とを含む。
本実施形態によれば、各々の新電力会社(PPS)では買付単位により無駄な電力調達となる場合であっても、複数の新電力会社(PPS)による共同調達によって無駄を減らすことができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態および第3実施形態と比べると、新たな二次電力市場を生成して、参加する複数の新電力会社を含む需要調達の調整を可能とする点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態または第3実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
《電力需要調達支援システム》
図24は、本実施形態に係る情報処理装置を含む電力需要調達支援システム2400の概要を示すブロック図である。なお、図24においては、本実施形態に係る電力需要調達支援システム2400の主要部を図示しており、図3Aに図示の他の構成要素は省かれている。
電力需要調達支援システム2400は、電力需要調達支援サーバ2410と、電力需要調達支援サーバ2410が支援するPPSを含む複数のPPSによる電源の調整を行なう、JEPXとは異なる二次電力市場2411と、を備える。二次電力市場2411においては、電力市場に参加する企業間において電源マッチングを図るように、各々のPPSの余剰電源、不足電源、あるいは、ネガワット電源および蓄電池の、二次市場による売買を、JEPXやバックアップ電源(以下、JBUともいう)、各企業(PPS)の相対契約電源などと並行して実現する。
《電力需要調達支援サーバ》
図25Aは、本実施形態に係る情報処理装置としての電力需要調達支援サーバ2410の機能構成を示すブロック図である。なお、図25Aにおいて、図5Aと同様の機能構成部には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
データベース2504は、さらに、二次市場入札のために使用する二次市場用データベース2546を有する。二次電力市場部2411は、PPSからの調達や販売の入札に基づき、JEPXとは別のPPS間での電源の売買を行なう。二次電力入札制御部2412は、各支援PPSのポジション生成部506が生成した、二次電力市場2411からの調達や二次電力市場2411への販売も含んだ最適ポジションに基づいて、二次電力市場2411への入札情報を生成する。なお、二次電力市場への最適ポジションの算出は、例えば、図9Bや図9Cにおいて、その他1〜3の他電源に余剰電源、不足電源、あるいは、ネガワット電源および蓄電池などを入力することで可能となる。
(二次市場用データベース)
図25Bは、本実施形態に係る二次市場用データベース2546の構成を示す図である。
二次市場用データベース2546は、二次市場への参加者を登録する二次市場登録情報2510と、二次市場落札結果を記憶する二次市場落札結果情報2520と、を含む。二次市場登録情報2510は、二次市場に参加する複数の二次市場参加者ID2511に対応付けて、参加者属性2512と、PPSの場合に契約する電力需要者リスト2513と、を記憶する。二次市場落札結果情報2520は、48コマ(時刻コード)2521に対応付けて、JEPXにおける500kWh単位の約定落札数2522と、JEPXにおけるにおける円/kWhの約定落札価格2523と、二次市場における取引単位の約定落札数2524と、二次市場における円/kWhの約定落札価格2525と、を記憶する。さらに、二次市場落札結果情報2520は、他電源調整(量/価格)2526と、全体の電力調達量2527と、調達額2528と、を記憶する。
本実施形態によれば、支援している新電力会社(PPS)間での電力調達の調整を二次電力市場で行なうことにより、重複した無駄な電力調達を減らすことができる。なお、二次電力市場に、太陽光発電などの発電源からの電力販売を取り込んでもよい。
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。