JP6144551B2 - 電子式延時点火着火具および破砕、発破システム - Google Patents
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Description
破砕規模が大きくなり、破砕薬剤の量が増えると、騒音や振動も大きくなる。
そのため、薬剤に点火する時間をずらすことで、騒音や振動を小さくすることができる。
例えば、1kg同時に点火すると、80dBの音と振動が発生する場合には、10kgを同時に点火すると、86dBの音と振動が発生する。
これに対し、10kgを1kgごとに、数秒間隔(例えば、0.25秒間隔)で10回に分けて点火すると、80dBの音と振動が10回感じられる。
あるいは、導火管付き雷管の時間差(延時薬と導火管の伝播時間)での爆破を行う。
電子回路を組み込んだ雷管で時間差を実現することができる。
これらの電子式延時電気雷管は、その内部には点火に必要な電力を溜めるコンデンサーと、点火までの秒時を決めるタイマーと、コンデンサーからの点火電力を通電するスイッチング素子とを備え、発破器からの直流電気エネルギーを受け入れる2つの接続端子を有する。
タイマー回路、スイッチング素子にはプラス・マイナスの極性があるので、発破器からの直流電流に対して、2つの接続端子の極性は結線時に合わせる必要がある。
これらの電子式延時電気雷管は、発破器からの直流電気エネルギーを受け入れる2つの接続端子により、直列又は並列に接続される。
これらの電子式延時電気雷管は、タイマーICなどからなる制御装置と2つの接続端子との間には、ブリッジ接続したダイオードを設ける。これは、結線作業において、発破器のプラス・マイナス極性に対して、直流電気エネルギーを受け入れる2つの接続端子の向きを常に合わせることが、発破現場では困難であるためである。もしも、ブリッジ接続ダイオードが無かったら、回路のプラス・マイナスが逆になっている電子式延時電気雷管は不爆となる。
その動作電力は、発破器から供給される。発破器から供給された電力は、2つの接続端子、ブリッジ接続ダイオードを経て、電気雷管の点火用電力としてコンデンサーに充電される。コンデンサーの両端の電圧が上昇し、半導体電子部品(IC,MOS−FET,トランジスタなど)で作られた電子回路が動作する電圧以上になると、電子回路の動作が開始される。
電子回路は基準時間(スタート時間)からの時間をカウントするタイマーと、点火用スイッチング素子とから構成され、コンデンサーの充電電圧や、時定数を決めるための他のコンデンサーの充電電圧などを基準としてスタート時間を決定する。
この電気発破用遅延回路では、1電子式延時電気雷管当たりの必要電圧を10Vとすると、理論的にはいくつつないでも、発火器の出力電圧は10Vで良い。回路構成も、動作も、例えば、特許文献1などで知られている電子式延時電気雷管と同じである。
別な従来の電子式延時雷管では、2つの接続端子とは別の2つの制御用電線を用いて、充電完了・タイマー動作開始の信号を送っている(例えば、特許文献3〜9参照)。
しかし、実際には、回路を構成する電線の抵抗分によるロスなどで、計算値より高い電圧を、ユニット数に応じて調整しながら供給する。
次世代の電子式延時電気雷管では、電子回路に内蔵される、点火用の電力を溜めるコンデンサーとは別に設けられた電圧判別回路・時定数回路を有し、ある閥値を超えたらタイマーが動作して電子点火する。
しかし、従来の電子式延時雷管では、図13に示すように、電子回路を構成する部品のバラツキにより、時間精度の影響を受ける。
図13は、電子部品のばらつきによるカウントのずれを示す。例えば、電解コンデンサーでは、規格値+200%、−50%、一般電子部品では、規格値±20%、高精度品±10%等の事例が報告されている。
また、従来の電子式延時雷管では、漏えい電流・誘導電流による誤爆の虞がある。
また、従来の電子式延時雷管では、接続のバラツキにより、動作が異なる、特に並列結線時には、不発残留の虞があるなどの問題がある。
また、従来の電子式延時雷管では、個々の電子式延時電気雷管をすべて直接結線とし、同じ電流値を供給するが、その回路内部のコンデンサーの両端電圧を基準時間(タイマーカウント開始)としているために、コンデンサーの電気容量の誤差や、回路抵抗の差異により、コンデンサーの充電電圧の誤差があり、それによりタイマー誤差を生じてしまう。
また、従来の電子式延時雷管では、個々の電子式延時雷管を直接結線とはせず、すべて並列結線すれば、コンデンサーの充電電圧のバラツキは低減できる可能性があるが、時定数を決める回路抵抗には誤差があり、やはりタイマー誤差を生じてしまう。
導通点検は、通常僅かな直流電流を流し、その両端の電圧を電圧計により読み取ることで行われる。
例えば、1個の電子式延時電気雷管の抵抗値が5Ωであり、10個直列結線であれば50Ωとなる。回路に1mAの電流を流して計測すると、5Ωでは5mV、50Ωでは50mVの電位差となるのを測定するわけである。
このとき、10個を並列結線すると抵抗値は0.5Ωとなり、回路に1mAの電流を流して計測すると0.5mVとなる。
具体的には、1つの回路の抵抗が1kΩであれば、2個並列で500Ω、4個並列で250Ωと数が少なければ区別が可能だが、100個並列であれば10Ω、102個並列であれば、9.8Ωと区別が困難になる。更に数が多く200個並列であれば5Ω、201個並列であれば4.98Ωと電気テスターなどでは区別は困難である。
抵抗測定を容易に行おうとすれば、測定電流を多く流す必要がある。しかし、電子式延時電気雷管から見れば導通点検用の直流電流も、点火用の直流電流も同じであり、あまり多くの電流を流すと、回路が動作し誤爆の虞がある。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電子式延時点火着火具において、前記電源トランスの前記第1のコイル対は、1次巻き線と2次巻き線との比率が、1:10から1:50の範囲となるように設定されることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の電子式延時点火着火具において、前記電源トランスの前記第2のコイル対は、1次巻き線と2次巻き線との比率が、1:1から1:10の範囲となるように設定されることを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、スイッチング素子と、前記スイッチング素子に直列に接続される電気点火具と、電気点火具の点火に必要な交流電流及び交流電流制御信号を受電する一次側コイルと、前記交流電流を所定の電源電圧に変換して出力する二次側コイルと、前記二次側コイルに設けられ、前記交流電流制御信号を変換した制御信号電圧を前記二次側コイルから出力する中間タップとを有する電源トランスと、前記電源トランスの前記二次側コイルから出力される前記所定の電源電圧を蓄積する第1のコンデンサーと、前記電源トランスの前記中間タップから出力される前記制御信号電圧を蓄積する第2のコンデンサーと、前記第2のコンデンサーにより蓄積された前記制御信号電圧をデジタル制御信号に変換する点火制御回路と、前記デジタル制御信号を基準に所定の延時時間を計算して、前記第1のコンデンサーからの前記電気点火具の点火に必要な電力を前記スイッチング素子によって通電し、前記電気点火具の点火制御を行う主制御回路と、前記第1のコンデンサーに蓄積される電力の一部を前記主制御回路へ供給する安定した直流電流に変換する制御電源回路と、を備えることを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の破砕、発破システムにおいて、前記時間基準となる信号は1つ以上のパルス制御信号であることを特徴とする。
請求項11に係る発明は、請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の破砕、発破システムにおいて、前記各電子式延時点火着火具の主制御回路は、前記デジタル制御信号の不受信時と、停止信号受信時とには、タイマー動作を停止することを特徴とする。
時間制御は、点火制御装置から供給される交流電流に重畳して供給されるので、個々の電子式延時点火着火具の電子部品の精度・誤差の影響を受けない。
また、本発明では、直接結線で交流電力により充電動作を行うので、直流電流式の電気テスターによって導通点検を行っても、回路が動作しない。そのため、安全な構造となっている。導通点検時の抵抗測定の精度を高めるために、測定電流を大きくしても、トランスの2次側に電力が供給されず、回路は動作しない。
例えば、異なる地質による直流電位による誘導電流に反応しない。電車の線路などの直流電位による誘導電流に反応しない。交流電流による誘導電流に放電抵抗により蓄積しない。制御信号が無いので動作しない。
また、本発明では、直列結線で導通点検も容易で、誤動作の心配が無い。充電完了後に動作するので、数十%接触抵抗を生じても動作が安定である。
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態に係る電子式延時点火着火具1のブロック図である。
電子式延時点火着火具1は、図示しない点火制御装置に結線される電源トランス2と、電源トランス2に連絡する点火用電源コンデンサー3と、電源トランス2に連絡する点火制御回路4と、点火用電源コンデンサー3に連絡する制御電源回路5と、点火制御回路4に連絡する主制御回路6と、主制御回路6に連絡するスイッチング素子7と、スイッチング素子7と直列に配置される電気点火具8とを備える。
ここで、点火制御装置は、発破、破砕場所から離れた位置に配置され、点火に必要な電力を交流電流として供給した後に、点火制御に必要な制御信号を供給する発破器に相当する。図3は、点火制御装置からの供給波形を示す。
電源トランス2と点火制御装置との間には、発破母線、補助母線が敷設される。
点火用電源コンデンサー3は、電源トランス2から供給される交流電流を直流電流に整流して電気点火具8の点火と電子式延時点火着火具1の動作とに必要な電力を蓄える。図2は、点火用電源コンデンサー3に充電された電圧と充電時間との関係を示す。
制御電源回路5は、点火用電源コンデンサー3からの電子式延時点火着火具1の動作に必要な電力を主制御回路6へ供給する安定した直流電流に変換する。
主制御回路6は、点火制御回路4から受け取るデジタル制御信号を基準に所定の延時時間を計算し、点火用電源コンデンサー3からの電気点火具8の点火に必要な電力をスイッチング素子7によって通電し、電気点火具8の点火制御を行う。図4は、主制御回路6が受け取るデジタル信号を示す。
図4のデジタル信号(制御信号の波形)は、主制御回路6の充電開始と共に1(Hi)となり、点火用電源コンデンサ3の充電が完了した後に、点火制御回路4から点火指令0(Low)、1(Hi)、0(Low)、1(Hi)、0(Low)とのデジタル信号を受け取り、タイマー動作を開始する。
例えば、101010であれば、MS電気雷管(0.01〜0.1秒(ミリセコンド)間隔のミリセコンド段発電気雷管)のようにタイマー動作、1010101であればDS電気雷管(遅発時間の間隔を0.1〜1.0秒(デシセコンド)間隔とした普通段発電気雷管)のようにタイマー動作と、その動作モードを変更することができる。
制御信号の波形(デジタル信号)不受信時と、停止信号受信時には、タイマー動作を停止する。
また、制御信号に、10111は発破中止などの定義を行い、制御信号でタイマーを安全に停止することができる。
このように構成された本実施形態に係る電子式延時点火着火具1では、電源トランス2が点火制御装置からの充電電力を、タイマー回路と信号制御回路とを構成する点火制御回路4及び主制御回路6に各々供給するので、プラスマイナスの概念が無く、どちら向きに接続しても良い。
なお、本実施形態では、発破、破砕に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、蒸気圧発生剤による破砕工法や産業用爆薬と火工品を用いる発破工法など、又は、電気点火式の打ち揚げ花火などに適用できる。
図5は、本発明の第二実施形態に係る破砕、発破システムを示す概念図である。
本実施形態では、破砕又は発破の現場に応じて、例えば、岩盤やコンクリートを破砕する現場、又は、ダイナマイト、含水爆薬を用いる発破現場において、所定の深さまで穿孔した孔内に破砕薬剤又はダイナマイト、含水爆薬を込め、填塞する際に、用いられる電子式延時点火着火具を、実施形態1に係る電子式延時点火着火具1とし、各電子式延時点火着火具1を直列結線で結線して電子式延時点火着火具群10とする。
また、本実施形態では、入力端子は省略してあり、電子式延時点火着火具群10と点火制御装置15とは、発破母線11a,11b及び補助母線12で結線されている。
本実施形態では、作業者が電子式延時点火着火具1のプラス・マイナスを気にすることなく結線し、破砕、発破を確実に行うことができる。
本実施形態では、n個の電子式延時点火着火具1A,1B,1C・・・1Nを用いた場合について説明したが、破砕、発破作業では電子式延時点火着火具1を数十から数百個直列に繋いで用いられる。
図6は、本実施例に係る電子式延時点火着火具20を示す。
電子式延時点火着火具20は、例えば、図6に示すように、順次、次の電子式延時点火着火具20に接続するための脚線2l,22を備える。脚線2l,22には、通常は細い平行コード(直径0.3mmの単線銅線、塩化ビニル製被覆)を使用するが、汎用の電線、単線の電線2本も使用できる。高周波用の同軸ケーブルなどでも良い。
トランス23は、1次巻き線23a,23bが脚線2l,22に接続され、2次巻き線23e,23fは2つに分かれている。1次巻き線23a,23bと2次巻き線23e,23fとの間にはそれぞれコア23c,23dが配置されている。本実施例では、トランス23は、1次巻き線23a,23b、2次巻き線23e,23fが独立する2組のタイプを使用した。
1次巻き線23bに対して2次巻き線23fの比率を制御信号用とするため、1:1から1:10、望ましくは1:3から1:8に取ることによって、制御に必要な電圧しか印加されない。それは部品点数の低減による信頼性の向上、コスト削減になる。また、このように巻き線を分けることによって、充電と制御信号を1つの直列結線回路、すなわち脚線2l,22のみで送ることができる。
その中でも、VFFケーブルなど市販の電線を発破母線として使用できる100Hzから1kHzの交流が望ましい。
トランス23の2次側の供給可能最大電流が大きいほどコンデンサー25への充電時間は早くなる。しかし、スイッチング用トランジスタ30の万一の短絡故障などに備えるため、接続する電気点火具31の最大不着火電流以下とすることが望ましい。
なお、この10mAとは、火取法発破の技術上の基準で、安全に抵抗測定に使用できる通電電流の最大値である。
トランス23の2次巻き線23eの電力用の巻き線の交流出力は、整流用ダイオード24によって直流電流に変換し、コンデンサー25へ点火と回路の動作に必要な電力を充電する。
コンデンサー25へ充電された電力は、放電抵抗26により、点火が中止されると迅速に放電される。
コンデンサー25の容量が小さいほど充電時間は短くなり、容量が大きいほど充電時間が長くなる。放電抵抗26は、抵抗が大きいほど充電時間に与える影響は小さくなるが、放電時間も長くなる。
トランス23の2次巻き線23fの制御用の巻き線の交流出力は、信号整流用ダイオード32によって直流電流に変換され、コンデンサー33により脈流(リップル成分)を緩和し、制御用のデジタル信号へ変換する。放電抵抗34はHiからLow(1から0)への応答性を改善する。定電圧ダイオード35は、過剰な電圧を吸収し、制御用IC29の入力部29aを保護する。定電圧ダイオード35の動作電圧は、制御用IC29の制御入力部29aの定格電圧に合わせるため、通常5V又は3.3Vを使用する。
この電圧は、制御用IC29が動作する電圧仕様により決定される。通常2.2Vから5V程度が多い。制御用IC29において、29cは電源+、29dは電源−を示す。
制御用lC29は、不揮発作のプログラム、データー格納用メモリーを持ち、少なくとも1つ以上の入力信号回路と、少なくとも1つ以上出力信号回路を有する、小型のCPU(演算装置)であれば使用できる。例えば、PIC、H8などの市販CPUが好適である。
プログラムフローは図7に示す。
制御用IC29は、電源が供給されると、自動的に動作を開始する。制御入力部29aに供給される電圧を監視し、その変化をあらかじめプログラムされた内容と比較し、一致した場合に点火までのタイマーを起動する。あらかじめ定められた時間が経過しても入力信号が来ない場合、または入力信号が正規の物と一致しない場合は、タイマー動作は行わず、プログラム動作を停止する。これは、誤爆を防ぐ重要な安全機構である。
なお、トランス23は、図8に示すように、l次巻き線23aが共通で、2次巻き線23eに中間タップ23gがあるタイプとしても良い。
本実施例では、コンデンサー33への充電が完了してから、制御信号に基づきタイマー動作するので、誤差は、小型のCPUの微妙な動作速度の差程度になる。
また、本実施例では、直接結線で動作するため、導通点検が容易である。
例えば、交流信号しか受電しないので、テスターの測定電流が大きくても反応しない。
例えば、異なる地質による直流電位による誘導電流に反応しない。
電車の線路などの直流電位による誘導電流に反応しない。
交流電流による誘導電流は、放電抵抗により蓄積しない。制御信号が無いので動作しない。
また、本実施形態では、直列結線で導通点検も容易で、誤動作の心配は無い。
例えば、充電完了後に動作するので、数十%接触抵抗を生じても動作が安定である。
例えば、制御用IC29には各種の小型マイコンが使用できる。小型マイコンの他にもコンパレ一夕ーとタイマーICを組み合わせることができる。例えば、通電制御用のスイッチング素子30には、トランジスタに変えてサイリスタや電界効果トランジスタ、小型のリレーを用いることもできる。
図9は、特許文献1の電子遅延式電気雷管において、電気的に絶対に必要な回路を抜粋したものである。
発破においては、当該電子遅延式電気雷管が必要数直列に結線される。脚線を経由して、ユニット数に応じた直流電圧が供給され、回路が動作する。
電子遅延式電気雷管の基本動作電圧が10Vとすると、10個では100V、100個では1,000V、300個では3,000Vと、必要とする電圧が変わるので、発破器側で調整の必要がある。
コンデンサー44の両端電圧がある一定以上まで上昇すると、電源回路46を経由して電力が電源入力46aから電源出力46bへと供給され、電源+47cよりタイマー回路47が動作を開始する。
タイマー回路47は、トリガー信号入力47aに受信すると、所定の秒時経過後、通電信号47bを供給し、サイリスタ48をONとして、電気雷管49にコンデンサ44の電力を通電し、発火させる。
特許文献2の電子式遅延電気雷管装置及び電子式雷管発破システムでは、比較例1の各回路をすべて並列とすることで、1つの電子遅延式電気雷管当たりの必要電圧を10Vとすると、理論的にはいくつつないでも、発火器の出力電圧は10Vで良い。回路構成も、動作も、比較例1と同じである。
しかし、実際には、回路を構成する電線の抵抗分によるロスなどで、計算値より高い電圧を、ユニット数に応じて調整しながら供給する。
図10は、特許文献3〜9の電子遅延式電気雷管を示す。
発破においては、当該電子遅延式電気雷管が必要数並列に接続される。接続は4線式で、コネクタ50により接続される。
脚線4l,42は、コネクタ44によって直列に結線され、発破器からの直流電圧をブリッジダイオード43に供給する。ブリッジダイオード43は、脚線4l,42の接続方向によらず、コンデンサー44の上方がプラス、下方がマイナスとなるよう、電圧の向きを合わせる。コンデンサー44は、このブリッジダイオード43からの電流で所定の電圧まで充電される。
タイマー回路43は、トリガー信号入力43aに受信すると、所定の秒時経過後、通電信号43bを供給し、サイリスタ48を011として、電気雷管49にコンデンサ44の電力を通電し、発火させる。
図11は、比較例1の電子遅延式電気雷管に分流抵抗を設けた例を示す。
比較例1,2,3では、電子延時式雷管の雷管が所定の時間で爆発する機能について、比較例として説明した。
次に、安全な発破作業を行うための導通点検(電気的につながっているか否か、切羽でも実施)・抵抗測定(発破回路の電気抵抗を測定、30m以上離れた安全な場所で実施)について説明する。
発破作業後に不発の電子雷管、爆薬があると、非常に危険である。
そのため、確実に全数の電子雷管が結線(電気的に接続)されていることが発破を行う上での前提となる。
抵抗測定は、直列結線と並列結線では異なることは既に述べた。
比較例1,2,3に示したような、第2世代初期の電子雷管は、脚線4l,42は、ブリッジダイオード43につながる。
そのため、複数直列結線して導通を確認するには、ダイオードの順方向降下電圧以上の電圧を印加する必要がある。これは、整流用のシリコンダイオードであれば0.6Vである。例えば、100個の電子延時式雷管を直列結線し、導通点検するには1電子延時式雷管当たり2個のダイオードを介して導通点検するので、0.6×2×100=120Vの印加電圧が無ければ点検ができない。このような高電圧の抵抗計(テスター)を使用するのは非常に危険である。
しかし、この方法では、点火制御装置から供給するエネルギーが抵抗にも消費されるので、点火制御装置が大型化する。例えば、コンデンサーを10Vまで充電するためには、5Ω抵抗には2Aもの電流が流れるので、20W以上と非常に大きな耐電力の抵抗でないと焼けてしまう。100個の電子延時式雷管直列では点火制御装置の供給電流も1000V2Aすなわち2000Wと電気ストーブを遥かに超えるような物となってしまう。
この抵抗は、導通点検行為には有効だが、充電制御の為数kΩ以上であることが望ましいため、市販の発破テスターは使用できない。市販の電気用テスターでの導通点検となる。
2 電源トランス
3 点火用電源コンデンサー
4 点火制御回路
5 制御電源回路5
6 主制御回路6
7 スイッチング素子
8 電気点火具
10 電子式延時点火着火具群
11a,11b 発破母線
12 補助母線
15 点火制御装置
2l,22 脚線
23 トランス
23a,23b 1次巻き線
23e,23f 2次巻き線
23c,23d コア
24 整流用ダイオード
25 コンデンサー
26 放電抵抗
27 低電圧ダイオード
28 電源用IC
29 制御用IC
30 スイッチング用トランジスタ
31 電気点火具
32 信号整流用ダイオード
33 コンデンサー
34 放電抵抗
35 定電圧ダイオード
Claims (11)
- スイッチング素子と、
前記スイッチング素子に直列に接続される電気点火具と、
外部から入力される前記電気点火具の点火に必要な交流電流を所定の電源電圧に変換する第1のコイル対と、外部から入力される制御信号を制御信号電圧に変換する第2のコイル対と、を有する電源トランスと、
前記電源トランスの前記第1のコイル対により変換された前記所定の電源電圧を蓄積する第1のコンデンサーと、
前記電源トランスの前記第2のコイル対により変換された前記制御信号電圧を蓄積する第2のコンデンサーと、
前記第2のコンデンサーにより蓄積された前記制御信号電圧をデジタル制御信号に変換する点火制御回路と、
前記デジタル制御信号を基準に所定の延時時間を計算して、前記第1のコンデンサーからの前記電気点火具の点火に必要な電力を前記スイッチング素子によって通電し、前記電気点火具の点火制御を行う主制御回路と、
前記第1のコンデンサーに蓄積される電力の一部を前記主制御回路へ供給する安定した直流電流に変換する制御電源回路と、
を備えることを特徴とする電子式延時点火着火具。 - 請求項1に記載の電子式延時点火着火具において、
前記電源トランスの前記第1のコイル対は、1次巻き線と2次巻き線との比率が、1:10から1:50の範囲となるように設定される
ことを特徴とする電子式延時点火着火具。 - 請求項1又は請求項2に記載の電子式延時点火着火具において、
前記電源トランスの前記第2のコイル対は、1次巻き線と2次巻き線との比率が、1:1から1:10の範囲となるように設定される
ことを特徴とする電子式延時点火着火具。 - スイッチング素子と、
前記スイッチング素子に直列に接続される電気点火具と、
電気点火具の点火に必要な交流電流及び交流電流制御信号を受電する一次側コイルと、前記交流電流を所定の電源電圧に変換して出力する二次側コイルと、前記二次側コイルに設けられ、前記交流電流制御信号を変換した制御信号電圧を前記二次側コイルから出力する中間タップとを有する電源トランスと、
前記電源トランスの前記二次側コイルから出力される前記所定の電源電圧を蓄積する第1のコンデンサーと、
前記電源トランスの前記中間タップから出力される前記制御信号電圧を蓄積する第2のコンデンサーと、
前記第2のコンデンサーにより蓄積された前記制御信号電圧をデジタル制御信号に変換する点火制御回路と、
前記デジタル制御信号を基準に所定の延時時間を計算して、前記第1のコンデンサーからの前記電気点火具の点火に必要な電力を前記スイッチング素子によって通電し、前記電気点火具の点火制御を行う主制御回路と、
前記第1のコンデンサーに蓄積される電力の一部を前記主制御回路へ供給する安定した直流電流に変換する制御電源回路と、
を備えることを特徴とする電子式延時点火着火具。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子式延時点火着火具において、
前記電気点火具の点火が中止されたときに、前記第1のコンデンサーが蓄えた電力を放電する放電抵抗を、さらに備えることを特徴とする電子式延時点火着火具。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電子式延時点火着火具を複数、直列結線で結線した電子式延時点火着火具群と、
発破・破砕場所から離れた位置に配置され、前記電気点火具の点火に必要な電力を交流電流として供給した後に、点火制御に必要な時間基準となる制御信号を前記電子式延時点火着火具群に供給する点火制御装置と、
を備え、
前記点火制御装置は、前記電子式延時点火着火具群の始端の前記電子式延時点火着火具と終端の前記電子式延時点火着火具とを接続してなる
ことを特徴とする破砕、発破システム。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電子式延時点火着火具を複数、直列結線で結線した複数の電子式延時点火着火具群と、
発破・破砕場所から離れた位置に配置され、前記電気点火具の点火に必要な電力を交流電流として供給した後に、点火制御に必要な時間基準となる制御信号を前記複数の電子式延時点火着火具群に供給する点火制御装置と、
を備え、
前記点火制御装置は、前記複数の電子式延時点火着火具群の各始端の前記電子式延時点火着火具と各終端の前記電子式延時点火着火具とを接続してなる
ことを特徴とする破砕、発破システム。 - 請求項6又は請求項7に記載の破砕、発破システムにおいて、
前記各電子式延時点火着火具は、前記点火制御装置から、前記電気点火具の点火に必要な電力を受け取った後、時間基準となる制御信号を受け取り、その時間基準信号を元に点火秒時を制御する
ことを特徴とする破砕、発破システム。 - 請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の破砕、発破システムにおいて、
前記時間基準となる信号は1つ以上のパルス制御信号であることを特徴とする破砕、発破システム。 - 請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の破砕、発破システムにおいて、
前記各電子式延時点火着火具は、前記デジタル制御信号に応じて、前記電気点火具の点火までの時間を切り替えて点火することを特徴とする破砕、発破システム。 - 請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の破砕、発破システムにおいて、
前記各電子式延時点火着火具の主制御回路は、前記デジタル制御信号の不受信時と、停止信号受信時とには、タイマー動作を停止することを特徴とする破砕、発破システム。
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