JP6144290B2 - 恒暗型栽培システム、および従属栄養栽培作物栽培方法 - Google Patents

恒暗型栽培システム、および従属栄養栽培作物栽培方法 Download PDF

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Description

本発明は恒暗型栽培システム、および従属栄養栽培作物栽培方法に係り、特に植物工場等において、低コストで効率的に発芽野菜その他の作物を生産することのできる恒暗型栽培システム等に関する。
農作物を栽培する場合には光合成(炭素同化)を伴う独立栄養型の栽培が、施設内で栽培環境をシステム制御する植物工場にまで発展している[1,2]。特に、完全人工光型植物工場内では、光、温湿度、二酸化炭素濃度、培養液などの植物の生長に必要な要素のほとんど全てが制御可能になっている[3]。このような高度な環境制御設備を備えた植物工場は、気候に因らず安定栽培が可能であることはもちろんのこと、周年計画栽培を可能とするのみならず、閉鎖系での遺伝子組換え植物による医薬品原材料、ワクチンなどを生産するための好適な生産施設として注目されている[4,5]。
植物工場には様々な分類方法があるが、作物の炭素源の獲得方法から光合成を行う独立栄養栽培と、発芽野菜やキノコなどの従属栄養型栽培に分類することができる。植物の多くは光合成によって炭素源を獲得する独立栄養型の生育をするが、発芽直後の植物は母植物から受け継いだ養分に依存する従属栄養型の生育をする。従属栄養栽培ならば、照明付き栽培棚を用いないで栽培することができ、したがって二次元的ではなく三次元的な栽培が可能となるため、低コストで効率的な栽培システムと考えられる。
なお、作物の工場生産、植物工場に関しては従来から、多数の技術的提案がなされているが、たとえば後掲特許文献1には、黄化状態または緑化途上にある植物に対し色素成分の生合成等を効率的に刺激することができる方法として、植物体や植物細胞等に、人工光源として紫外領域の光、クロロフィルの吸収波長であるB帯とQ帯に挟まれた範囲の可視領域の光、および遠赤色領域の光から選ばれる少なくとも一種類を主成分とする光成分を照射するという技術が開示されている。
また特許文献2には、植物工場や施設等での水耕栽培において、植物体中の有用な抗酸化物質の含有量を増加させて特定物質の産生高効率化を図り、かつ植物体の生育促進・増収化を促す方法として、過酸化水素水を適切な濃度範囲で植物体に直接吸収させるという技術が開示されている。
特開2013−233115号公報「植物の脱黄化又は緑化促進方法、及び植物の脱黄化又は緑化促進装置」 特開2014−45664号公報「植物体内での特定物質の産生の高効率化と生育促進方法」
植物工場は、天候に左右されないため周年栽培が可能であること、塩害等の土壌汚染の影響を受けないこと、より厳密な環境制御によって生産の安定化や高付加価値化を期待できること、無農薬・低農薬栽培にしやすいこと等、メリットの多い植物工場であるが、植物工場産の農作物はそれほど普及していない。それは、電力代、設備コストが高く、結果として製品価格が高くならざるを得ないためである。
一方、独立栄養型の栽培方式と対照的な栽培方式として、光合成を伴わない従属栄養型の栽培方式がある。従属栄養型の栽培方式は恒暗条件で栽培するもので、照明設備を必要としないため比較的簡便な施設で生産が可能である。また、水のみを供給する従属栄養型栽培では外部からの有機物の供給がなく乾燥重量は一定、水の吸収により新鮮重量は大きく増加する[6]という特徴から、水分含量を高く栽培することができれば低コスト化が容易となる。
特に、発芽野菜を対象とした場合には播種から収穫までの期間が短いというメリットがある。緑豆も発芽野菜に応用される食材のひとつであり、その発芽・生育過程においてタンパク質やアミノ酸が増加することが報告されている[7]。近年、様々な種類の発芽野菜について生理活性やその活性物質が明らかになってきたことから[9−11]、発芽野菜は機能性食品として注目され、量、種類ともにその生産、消費が拡大しつつある。
一般に植物工場での栽培において重要なことは、大量に安価に安定的に栽培することである。そのためには、栽培プロセスにおける物質収支や生長速度に関する解析が必要であり、それに基づいたプロセス設計や最適制御が求められる。発芽については、高い発芽率を維持し発芽のタイミングをそろえるため、発芽に関与する植物ホルモンの作用機構[12−14]から、様々な発芽種子に応じた環境条件の検討[15−18]まで研究が行われている。また発芽後については、収穫までの期間を短縮するために生長を促進させることが検討されている[19]。
独立栄養栽培の場合には、光源を備えた栽培ベッドが必要となるため、多段ベッド式が採用されることが多い。しかし、多段ベッド方式は、施設設計上単位体積当たりの栽培個体数を増やして収量を上げるには限界がある。従属栄養栽培の場合には、光源も土壌も必要としないため、栽培施設に関する自由度が高い。したがって、回転型の栽培装置や、単一ベッド型の栽培装置などが使われている。特に、単一ベッド型栽培装置ではベッド内に植物個体が充填された状態で栽培されるため、高密度栽培が可能である。
しかし、一般に高密度で播種すると栽培効率が低下する[20−22]と考えられるが、充填層の場合については明らかにされていない。充填層に由来する栽培上の問題をコントロールしながら高密度栽培を可能とするプロセス技術を確立することができれば、あらゆる従属栄養栽培プロセスに応用することが可能となる。
また、これまで植物体の生長挙動については、同化箱法による植物体の器官(葉、茎、根)や個体レベルの二酸化炭素交換や[23]、デシケーター中の植物体の温度と呼吸量の関係が測定されている[24]。また、単一ベッド式栽培装置では植物体が充填層をなしており、充填層内の流体(ガスや液体)の混合が不充分な場合には、植物体が本来持っている生長特性が実現できなくなる可能性がある。
ところが、発芽野菜やその他の従属栄養型作物の栽培方式における高密度栽培系が反応工学的に解析された例は皆無である。つまり、微生物を大量に培養する醸造学や発酵工学では生物化学工学を応用したバイオプロセスが実用化されているが、植物を工業的に大量生産する植物工場における同様な工学的手法の実用化は、未だになされていない。
そこで本発明が解決しようとする課題は、かかる従来技術の状況を踏まえ、反応工学的手法による実用性の高い植物栽培プロセス制御方法を提供することである。特に、植物工場等において低コストでかつ効率的に発芽野菜その他の従属栄養型作物を生産することのできる、栽培システム等を提供することである。
当該課題解決のために本願発明者は、まず、もやしの原料として用いられている緑豆の従属栄養生長挙動を把握することを目的として、密閉した試験管を用いた一個体栽培試験法を構築し、生長に伴う重量変化を経時的に測定することによって、発芽期の生長曲線を求めた。併せて、試験管内の酸素および二酸化炭素の濃度を測定し、酸素消費速度および二酸化炭素生成速度を求めた。次いで、単一ベッド式栽培装置における個体群の栽培特性の解析を試み、高密度栽培における効率性について評価し、考察を加えた。
そして、流下散水型の栽培台車を試作してその効果を検討するという研究過程を経て、当該課題を解決できることを見出し、これに基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下のとおりである。
〔1〕 栽培室内の栽培条件を測定してそれに基づく制御を行うフィードバック制御系を備えてなる恒暗型栽培システムであって、該栽培室は最上部の前記載置部上方のみに設けられた流下式の散水手段と、被栽培物を載置する複数の載置部とを備え、各載置部間は水が流下可能に形成されており、該フィードバック制御系は測定手段と制御手段とを備え、該測定手段には温度測定手段および少なくとも酸素濃度ならびに二酸化炭素濃度を測定するガス濃度測定手段が含まれ、該制御手段は、測定結果に基づき該散水手段の散水条件を制御しその散水によって被栽培物充填層内に水分供給、酸素供給、ガス混合による気相の不均一状態の解消、および被栽培物の冷却を同時に制御でき、特に、被栽培物充填層内の温度や酸素濃度を均一に維持するために該散水手段による散水を間欠的に操作し、非散水期に酸素濃度、二酸化炭素濃度、温度および被栽培物の品温の経時変化を測定することによって酸素消費速度、二酸化炭素生成速度および発熱速度を算出できることを特徴とする、恒暗型栽培システム。
〔2〕 前記散水条件の制御によって、前記栽培室内の水分供給量、温度、および酸素濃度を制御可能であることを特徴とする、〔1〕に記載の恒暗型栽培システム。
〔3〕 前記栽培室にはファンが設けられていることを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載の恒暗型栽培システム。
〔4〕 従属栄養栽培作物の栽培用であることを特徴とする、〔1〕ないし〔3〕のいずれかに記載の恒暗型栽培システム。
〔5〕高密度栽培可能な作物の栽培用であることを特徴とする、〔1〕ないし〔4〕のいずれかに記載の恒暗型栽培システム。
〔6〕 前記散水手段による散水によって、被栽培物を1個体栽培した際に認められる生長挙動を高密度栽培条件においても実現できることを特徴とする、〔1〕ないし〔5〕のいずれかに記載の恒暗型栽培システム。
〔7〕 前記栽培室には被栽培物をサンプリング可能なサンプリング口が設けられていることを特徴とする、〔1〕ないし〔6〕のいずれかに記載の恒暗型栽培システム。
〔8〕 前記栽培室底部には車輪が備えられていることを特徴とする、〔1〕ないし〔7〕のいずれかに記載の恒暗型栽培システム。
〔9〕 〔1〕ないし〔8〕のいずれかに記載の恒暗型栽培システムを用いて行う、従属栄養栽培作物栽培方法。
本発明の恒暗型栽培システム、および従属栄養栽培作物栽培方法は上述のように構成されるため、これによれば、反応工学的手法による実用性の高い植物栽培プロセス制御方法を提供することができる。特に、植物工場等において、低コストでかつ効率的に発芽野菜その他の従属栄養型作物を生産することができる。
光を必要としない従属栄養型作物の栽培においては、照明付き栽培棚を用いないで栽培することができ、これにより二次元的ではなく三次元的な栽培が可能である。殊に本発明によれば、反応工学的な検討を経て完成された、充填層型反応系とみなすことのできる栽培システムによって、実用性が高く、かつ低コストで効率的な栽培技術を提供できるため、作物の生産性を高めることができ、地方や被災地、経営規模の小さい企業体であっても導入が容易である。
本発明恒暗型栽培システムの基本構成を示す概念図である。 本発明恒暗型栽培システムの別の構成を示す概念図である。 本図以下は実施例に係る図であり、本図は、一個体での従属栄養栽培の実験方法を示した説明図である。 高密度従属栄養栽培の実験方法を示した説明図である。 高密度栽培の状況を示す写真図である(左:栽培開始時、右:栽培終了時)。 一個体栽培におけるもやし重量、栽培用試験管内のヘッドスペースの酸素、二酸化炭素およびエチレンの濃度変化を示すグラフである。 一個体栽培におけるもやしの乾重量(乾燥重量)変化を示すグラフである。 もやしの生長過程を示す写真図である。 もやし重量の生長速度、酸素消費速度および二酸化炭素生成速度の各変化を示すグラフである。 もやしの比生長速度、比酸素消費速度、および比二酸化炭素生成速度の各変化を示すグラフである。 もやしの比生長速度と酸素濃度の相関関係を示すグラフである。 もやしの比生長速度と二酸化炭素濃度の相関関係を示すグラフである。 もやしの比生長速度と比酸素消費速度の相関を相関関係を示すグラフである。 もやしの比生長速度と比二酸化炭素生成速度の相関を相関関係を示すグラフである。 比酸素消費速度と比二酸化炭素生成速度の関係を示すグラフである。
本図以下は実施例中の3.2以降の説明に係る図であり、本図は散水条件によるもやし充填層の酸素濃度を比較したグラフである。 栽培台車内の温度測定結果を示すグラフである。 各台車で栽培されたもやしの生長曲線を示すグラフである。 台車内のもやし充填層の垂直方向におけるもやし重量を示すグラフである。 台車内のもやし充填層の垂直方向におけるもやし形状を示すグラフである。 重量の有効係数(高密度栽培したもやし重量と一個体栽培から予測されるもやし重量の比)の経時変化を示すグラフである。 生長速度の有効係数(高密度栽培と一個体栽培の比生長速度の比)の経時変化を示すグラフである。 栽培台車内のもやし重量、酸素濃度、二酸化炭素濃度およびもやし層内の温度の経時変化を示すグラフである。 高密度栽培におけるもやしの乾燥重量の経時変化を示すグラフである。 栽培台車内のもやし生長速度、酸素消費速度、二酸化炭素生成速度、およびもやし層内の温度の上昇速度の経時変化を示すグラフである。 比生長速度、比酸素消費速度、比二酸化炭素生成速度および熱生成速度の経時変化を示すグラフである。 高密度栽培におけるもやしの比生長速度と酸素濃度の相関関係を示すグラフである。 高密度栽培におけるもやしの比生長速度と二酸化炭素濃度の相関関係を示すグラフである。 高密度栽培におけるもやしの比生長速度と比酸素消費速度の相関関係を示すグラフである。 高密度栽培におけるもやしの比生長速度と比二酸化炭素生成速度の相関関係を示すグラフである。 比生長速度と台車内温度の相関関係を示すグラフである。 比生長速度と熱生成速度の相関関係を示すグラフである。 熱生成速度と酸素濃度の相関関係を示すグラフである。 熱生成速度と比酸素消費速度の相関関係を示すグラフである。 比酸素消費速度と比二酸化炭素生成速度の相関関係を示すグラフである。 比酸素消費速度と熱生成速度の相関関係を示すグラフである。
本図以下は実施例中5.の説明に係る図であり、本図は開発した流下散水型栽培台車の正面側斜視図である。 開発した流下散水型栽培台車の背面側斜視図である。 流下散水型栽培台車内の品温経過を示すグラフである。 被栽培物の全重量の推移を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の恒暗型栽培システムの基本構成を示す概念図である。図示するように本恒暗型栽培システム10は、栽培室1内の栽培条件を測定してそれに基づく制御を行うフィードバック制御系5を備えてなる栽培システムであって、栽培室1は流下式の散水手段2と、被栽培物を載置する一または複数の載置部3とを備え、フィードバック制御系5は測定手段と制御手段8とを備え、測定手段には温度測定手段6およびガス濃度測定手段7が含まれ、制御手段8は測定結果に基づき散水手段2の散水条件を制御するようになされていることを、主たる構成とする。なお、ガス濃度測定手段7は少なくとも酸素濃度を測定する。
かかる構成により本恒暗型栽培システム10では、栽培室1内の載置部3に被栽培物が載置された状態で、これに対して流下式の散水手段2による被栽培物への散水がなされることによって栽培が実施されるが、その際、フィードバック制御系5の測定手段である温度測定手段6によって栽培室1内の温度が測定され、またガス濃度測定手段7によって栽培室1内の所定のガス濃度、少なくとも酸素濃度が測定され、かかる測定結果に基づき、制御手段8によって散水条件が制御され、かかる散水条件にしたがって散水手段2による被栽培物への散水がなされる。
本発明の恒暗型栽培システム10では、制御手段8による散水条件の制御によって、栽培室1内の水分供給量、温度、および酸素濃度が制御可能である。つまりフィードバック制御系5においては、温度測定手段6およびガス濃度測定手段7を含む測定手段によって測定された結果に基づき、制御手段8が水分供給量、温度、および酸素濃度を調節するフィードバック制御がなされ得る。なお、測定手段にはその他に、たとえば湿度測定手段なども含めることができる。またガス濃度測定手段7は、酸素の他に、たとえば二酸化炭素やエチレンの濃度を測定可能に構成することもできる。
本発明の恒暗型栽培システム10は特に、従属栄養栽培作物の栽培用として適しており、たとえば緑豆発芽野菜(もやし)等の発芽野菜や、医薬品・特定保健用食品・栄養機能食品または食品機能性表示食品のいずれかの原料とするための従属栄養栽培作物を初めとして、従属栄養型のあらゆる植物・作物の栽培に用いることができる。従属栄養型の植物・作物は人工光等による光照射を要しないため、三次元的に植物を配置して栽培することができ、これにより高密度栽培が可能であり、高い生産効率を得ることができる。
したがって、本発明の恒暗型栽培システム10において載置部3は複数設けることができ、特に複数段設けることができ、三次元的(立体的)な栽培ベッドとすることができる。またこの場合、散水手段2は最上部の載置部上方のみに設けることとして各載置部間を水が流下可能に形成することにより、散水手段2による散水を、各段の載置部を流下しながら各段において散水がなされる形態とすることができる。
本発明の恒暗型栽培システム10においては、上述した散水手段2による散水によって、水分供給のみならず、ガス混合および被栽培物の冷却をも同時に制御することができる。これにより、被栽培物を生長せしめる水分の供給、被栽培物の生育に伴い変化する栽培室1内における気相の不均一状態の解消、さらに生育に伴う発熱およびそれによる品質低下の抑制、の各効果を得ることができる。
本発明の恒暗型栽培システム10のフィードバック制御系5は、散水手段2による散水を間欠的に操作し、すなわち散水手段2が散水する散水期と、散水しない非散水期とを、一定の、または任意の時間間隔によって繰り返す制御をし、非散水期に酸素濃度、二酸化炭素濃度および温度の経時変化をガス濃度測定手段7や温度測定手段6で測定することによって、酸素消費速度、二酸化炭素生成速度および発熱速度を算出するように構成することができる。
算出されたこれらの速度値は反応工学的方法によって処理され、または演算処理されて、散水手段2による散水条件としてフィードバックされる。散水条件としては、たとえば、散水量、散水期―非散水期の時間間隔、散水方向、ノズル選択による散水形状、水温、散水方法、散水手段を構成する配管における散水順序、散水のタイミング、その他があるが、これらの一または適宜の複数の組み合わせを用いるものとして、自由に設計可能である。
本発明の恒暗型栽培システム10による被栽培物の栽培においては、試験管等による1個体栽培において評価される生長挙動を、高密度栽培条件においても実現することができる。1個体栽培において評価される(認められる)生長挙動とはすなわち、被栽培物本来の生長過程を示すものである。本発明システム10においてかかる生長挙動を実現可能ならしめるのは、フィードバック制御系5で制御される散水手段2であり、特に上述した反応工学的方法による処理を用いることで、被栽培物における本来的生長を充分に可能なものとすることができる。
図2は、本発明恒暗型栽培システムの別の構成を示す概念図である。図示するように本恒暗型栽培システム210では、栽培室21に一または複数のファン24を設けるものとすることができる。これにより、栽培室21内のガス状態を循環させて均一化させたり、あるいは所望の場合には給排気を行うものとすることも可能である。また、ファン24の運転状態をフィードバック制御系25によって制御する構成としても、もちろんよい。
本恒暗型栽培システム210はまた、栽培室21に被栽培物をサンプリング可能なサンプリング口29を設けるものとすることもできる。栽培過程において被栽培物を適宜にサンプリングし、必要な調査の実施を可能とするためである。
本恒暗型栽培システム210はまた、システム210全体または栽培室21を移動させるために、栽培室21の底部に適宜個数の車輪20を備えた構成とすることもできる。車輪20は、システム210等の移動と固定を自在に切り替えられるストッパ手段を備えたものとすることが望ましい。かかる構成とすることによって、恒暗型栽培システム210全体またはその栽培室21を水平面上で移動させ、また移動と固定を自在に行うことができる。
以上説明したいずれかの恒暗型栽培システムを用いて行う従属栄養栽培作物栽培方法もまた、本発明の範囲内である。つまり、被栽培物を栽培室内に置き、フィードバック制御系を機能させつつ散水手段による散水処理を行い、所定の段階まで被栽培物を生育させるための、従属栄養栽培作物栽培方法である。かかる従属栄養栽培作物栽培方法によって生産される従属栄養栽培作物も、もちろん本発明の範囲内である。同様に、以上説明したいずれかの恒暗型栽培システムを用いて栽培された従属栄養栽培作物自体も、本発明の範囲内である。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明の完成に至った研究経過概要の説明をもって実施例とする。
<1.研究テーマ> 緑豆発芽野菜を対象とした高密度従属栄養栽培の解析
本研究では、もやしの原料として用いられている緑豆の従属栄養生長挙動を把握することを目的として、密閉した試験管を用いた一個体栽培試験法を構築し、生長に伴う重量変化を経時的に測定することによって、発芽期の生長曲線を求めた。併せて、試験管内の酸素および二酸化炭素の濃度を測定し酸素消費速度および二酸化炭素生成速度を求めた。次に、単一ベッド式栽培装置における個体群の栽培特性の解析を試み、高密度栽培における効率性について評価し、考察を加えた。
<2.実験方法>
2.1 材料
材料は、緑豆(2011年中国産)を使用した。また、一粒従属栄養栽培に用いた緑豆は、篩を用いて粒径選別を行い、重量比率(%)の最も高かった4.0 mmφ以上4.2 mmφ未満のものを使用した。また、異常粒は目視で除き、正常粒のみを試料に供した。
2.2 酸素、二酸化炭素、エチレンの定量
酸素および二酸化炭素の濃度は、ヘッドスペースO/CO濃度計(PBI Dansensor社、CheckMate 9900)で測定した。エチレン濃度の測定には、ガスクロマトグラフ(ジーエルサイエンス社、GC−4000)を使用した。
2.3 一個体での従属栄養栽培
栽培試験には、長さ150mm、内径27mmの栽培用試験管を用いた。培地は、精製水に最終濃度が0.8%寒天、10mM CaCl・2HOとなるように添加し、湯せんで溶解させ、栽培用試験管に培地17mlを分注し、室温で凝固させた。
緑豆80粒は、1粒ずつ生豆重量[g]を測定した後、38℃に予備加熱した3mlの精製水が入った試験管に1粒ずつ入れ、シリコン栓で蓋をし、38℃の恒温器内に5時間保持した。浸漬終了後、1粒ずつザルを用いて水切りし、キムワイプ(登録商標)で表面の水滴を拭き取った後、重量を測定し、発芽の有無を確認した。
発芽した種子を選んで、栽培用試験管中の寒天培地に播種した。この時、種瘤が培地に触れるようにピンセットで向きを整えた。その後、12時間おきに7検体ずつヘッドスペースの気体を注射器で15mlサンプリングし、サンプリングした気体を酸素、二酸化炭素測定、エチレンの測定に供した。もやしはキムワイプ(登録商標)で表面の水分を拭き取り、種皮も含めた重量を測定した。栽培時間は38℃の湯で浸漬し吸水を開始させた時点をゼロとした。乾燥重量は、105℃の定温乾燥機で24時間加熱乾燥させて測定した。
なお、栽培は24℃の恒温器内で行った。栽培温度を24℃の恒温状態を基本とすることについては、後述する単一ベッド式高密度従属栄養栽培等でも同様である。
栽培時間毎のもやしの重量の平均値から自在曲線定規を用いて近似線を求め、生長曲線とした。この生長曲線を図微分することで生長速度を算出し、比生長速度(単位重量あたりの生長速度)を求めた。酸素量および二酸化炭素量[mol]は、栽培用試験管内の気体体積を59mlとみなして算出し、酸素量および二酸化炭素量の経時変化から、図微分によってそれぞれ酸素消費速度および二酸化炭素生成速度を求めた。そして、比酸素消費速度(単位重量あたりの酸素消費速度)および比二酸化炭素生成速度(単位重量あたりの二酸化炭素生成速度)を求めた。
なお、図3に一個体での従属栄養栽培の実験方法を示す。
2.4 単一ベッド式高密度従属栄養栽培
図4に、高密度従属栄養栽培の実験方法を示す。単一ベッド式高密度従属栄養栽培には、栽培台車を用いた。栽培台車の形状は台形で、体積が4.8mのものである。
緑豆240kgを、タンク中において湯で浸漬し吸水膨潤させた。栽培時間はこの吸水膨潤を開始させた時点をゼロとした。その後、緑豆をホースで栽培台車内に移し(播種)、栽培を開始した。栽培開始時に緑豆ベッド表面を均し、栽培中は20〜22℃の水を散水した。つまり、水分供給は散水方式とした。給水量は約0.4t/h/台車または0.6t/h/台車とした。もやし層の高さは、測定箇所に長さ既知の棒を垂直に立て、棒の先端からもやし層表面までの長さ[m]を測定することによって求めた。
品温の測定には、熱電対センサー(日置電機、温度ロガー3650)を使用した。緑豆を栽培台車に移した後、熱電対センサーを栽培台車のおおよそ下段・中段・上段となるように埋め込み、もやしの生長と共に相対的に下段・中段・上段となるようにセンサーの位置を移動させた。非散水期にはもやしの代謝熱により温度は上昇し、散水によって温度は低下することになる。また、非散水期の温度上昇を散水間隔で除し、温度上昇速度を求めた。
もやし重量は、同じ台車から毎日サンプリングしてその経時変化を求めた。すなわち、もやしを毎日ほぼ同じ位置から7検体ずつサンプリングし、キムワイプ(登録商標)で表面の水分を拭き取り、重量を測定し、平均値から1個体あたりの重量を求めた。また、栽培終了時に台車の上段、中段、下段からそれぞれ10検体ずつサンプリングし、重量と胚軸の長さを測定した。栽培台車内には約3,700,000粒の緑豆があるため、1個体あたりの重量から栽培台車内のもやし全体の重量を推定し、高密度栽培での生長曲線を求めた。
高密度栽培における1個体あたりの重量を、一個体栽培で測定した重量で除した値をもやし重量の有効係数とした。図微分することで高密度栽培における生長速度を算出し、さらに比生長速度を求めた。高密度栽培における比生長速度を、一個体栽培で測定した比生長速度で除した値を生長速度の有効係数とした。酸素濃度と二酸化炭素濃度は、栽培台車内にチューブを差し込み、台車内の空気を自動的にサンプリングして、その経時変化を測定した。非散水期の酸素消費量および二酸化炭素消費量[mol]を求め、図微分化することで酸素消費速度、二酸化炭素生成速度を求めた。
なお、図5は高密度栽培の状況を示す写真図であり、左は栽培開始時、右は栽培終了時の状況を示す。
<3.結果および考察>
3.1 一個体栽培におけるもやしの生長挙動
栽培用試験管を用いて1粒での従属栄養栽培を行い、一定時間毎にもやしの重量と栽培用試験管内のヘッドスペースの酸素、二酸化炭素およびエチレンの濃度を測定した。結果を図6(a)、6(b)に示す。図6(a)は、一個体栽培における栽培用試験管内のヘッドスペースの酸素、二酸化炭素およびエチレンの濃度変化を示すグラフ、図6(b)は、もやしの乾重量変化を示すグラフである。各図中、Weightは重量、Fresh weightは湿重量、Dry weightは乾重量、Ethyleneはエチレン、Oxygenは酸素、Carbon dioxideは二酸化炭素、Cultivation timeは栽培時間、Seedlingは幼植物体、Cotyledonは子葉である(なお、図中の英語表記の意味については、それが表記される全図面において共通する。以下においても同様である)。
従属栄養栽培でも特に発芽野菜の場合、水や酸素しか供給しないため、乾物基準の重量生長に伴い、呼吸で固形の一部が消費されるため常に減少する。したがって新鮮重量を用いて生長過程を評価することとした。生長曲線は栽培初期には生長が緩慢で、吸水膨潤前の緑豆が平均0.064g、吸水膨潤後には0.13gであったのに対して24時間で0.17gとなった。その後生長が次第に加速し、最高速度に達した後緩やかに減速して、栽培144時間では0.67gとなった。従属栄養栽培での収率を吸水した種子の新鮮重量を基準として評価することが妥当であると考えられた。すると、収率は10.5[g/g]となった。なお、図6(b)については詳細を後述する。
図7にもやしの生長過程を写真で示す。もやしはまず根が生じ、36時間を過ぎると茎の伸長が始まった。生長速度が速い生長段階(図中、(b))では茎の伸長が著しいことが示された。小豆種子を恒暗状態で発芽させると、根の生長はロジスティック曲線に当てはまると報告されている[25]が、緑豆の生長曲線には変曲点に対する対称性がなく、ロジスティック曲線にはならなかった。
酸素は生長に伴って消費され、9.3%まで低下した。一般的な野菜種子は酸素濃度が10%以上であれば空気条件下と同等の発芽率を得ることが可能であり、発芽に必要な限界酸素濃度は5%以下であるとされている[26]。オオムギでは、酸素濃度が9.5%以下になると酸素濃度の低下に伴い発芽率が減少し酸素消費および生長が低下することが知られている[27]。本研究での緑豆においては、酸素濃度が10%以上であったにもかかわらず生長が減速したことから、この生長抑制は酸素欠乏が制限要因になったのではなく、他の要因によるものと考えられた。
二酸化炭素濃度は、最大4.8%まで上昇したが、108時間頃からほぼ一定となった。
エチレン濃度は、120時間付近から急激に増加した。図7中の(c)に示すようにもやしは108時間を過ぎると、シリコン栓に接触しながら生長した様子が観察された。エンドウでは茎の伸長を発泡ネオプレンストッパーまたはガラスビーズで物理的に制限すると、エチレンの生成が増加し、伸長の抑制と茎直径の増加をもたらすことが知られている[28]。エチレン濃度が急激に増加したのは、もやしの物理的ストレスに応答した結果である可能性が考えられた。このように栽培用試験管を用いた従属栄養栽培において、エチレン濃度をモニタリングすることによって発芽野菜の物理的ストレスに対する応答に関する知見が得られる可能性が示された。
発芽野菜の従属栄養生長において、貯蔵物質が生長に伴い組織の構成成分となる挙動を把握するために栽培期間中の子葉と幼植物体の乾燥重量の変化を測定した。結果を前出図6(b)に示す。生長に伴い、子葉の乾燥重量(貯蔵物質として52.6mg)は、幼植物体へ48時間(栽培初期)、96時間(中期)、144時間(後期)の時それぞれ7.4mg、24.0mg、33.5mgが移行していた。もやしの総重量は、栽培初期(24時間)が52.6mgであったのに対し、栽培144時間で39.4mgに減少した。減少した固形分は呼吸に使われ二酸化炭素として放出されたと考えると、貯蔵物質のうち、栽培初期(24時間〜48時間)、中期(48時間〜96時間)、後期(96時間〜144時間)にそれぞれ0.2%、14.4%、10.4%が呼吸に使われたと見積もられた。
トウモロコシにおいて種子中の貯蔵物質を消費している場合、種子重の減量に対して30%が呼吸に消費され、70%が幼植物体の乾物生産に使用されるの[36]に対し、もやしにおいては栽培中期では14.4%が呼吸に消費され、39.2%が幼植物体の乾物生産に使用された。発芽期には貯槽物質が呼吸1に対して乾物生産に2.3〜2.7の割合で使用されると考えられた。本研究において、もやしの生長ステージによって炭水化物の子葉から幼植物体への移行量と呼吸による消費量について検討することができた。
一般に生物は炭素源、窒素現、酸素を基質として利用して生長する。光合成を行う独立栄養植物の場合には、炭素源と窒素源は常に供給され、生理的に安定な状態が維持されると考えられている。従属栄養植物の場合、外部からの炭素源、窒素源の供給が無くても生長するため常に生理的状態が変化する。したがって生長反応をとらえる場合には、微分型パラメーターを用いる必要があると考えられた。
もやし重量の生長速度と酸素消費速度および二酸化炭素生成速度を求めた結果を図8に示す。図中、Growth rateは生長速度、O uptake rateは酸素消費速度、CO evolution rateは二酸化炭素生成速度である。生長速度は100時間付近で極大となり、その後低下した。酸素消費速度はおよび二酸化炭素生成速度は50時間付近で極大となった。生長速度と酸素消費速度の挙動は異なっており、生長と酸素消費が連動しないことが示された。ブロッコリースプラウトにおいては呼吸速度のピークと伸長のピークは一致しており、呼吸によるエネルギーの供給が伸長と連動していると考えられている[29]。コムギにおいて、暗条件で発芽させた場合は酸素吸収速度は1日目にピークに達しその後減少するが[30]、明条件で発芽させた場合はピークに達してから高い値で安定する[31]。発芽初期の呼吸の増加はミトコンドリアの電子伝達系と関係が深いとされている[30,32]。
比生長速度、比酸素消費速度、および比二酸化炭素生成速度の結果を図9に示す。図中、Specific growth rateは比生長速度、Specific O uptake rateは比酸素消費速度、Specific CO evolution rateは比二酸化炭素生成速度である。栽培開始から50時間程度の栽培初期は、比生長速度と比二酸化炭素生成速度は増加傾向があり、栽培40時間頃に極大となった。比酸素消費速度は傾向が異なり、栽培初期が最大となった。この時、前出図7の図中(a)のように根の伸長は顕著である一方、胚軸の伸長は小さく肥大が観察された。
栽培開始から50〜100時間程度の栽培中期では、比生長速度、比酸素消費速度、比二酸化炭素生成速度はともに低下した。形態的には、前出図7の図中(b)のように胚軸の伸長が増大した。
栽培開始から100時間以降の栽培後期は、比生長速度の低下がさらに顕著になり、比二酸化炭素生成速度はほぼ停止状態となった。この時期には、前出図7の図中(c)にあるようにもやしがシリコン栓に接触し、物理的ストレスを受けていることと関係しているものと考えられた。このように、本研究で構築した一個体栽培システムを用いることによって、もやしの発芽過程における生理的状態の異なる生長段階に応じて評価することが可能であることが示された。
もやしの生長と酸素消費および二酸化炭素生成の関連性を調べるために比生長速度と酸素濃度および二酸化炭素濃度の相関関係を検証した結果を図10(a)、10(b)に示す。それぞれ、もやしの比生長速度と酸素濃度、比生長速度と二酸化炭素濃度の相関関係を示すグラフである。図中、Oxygen concentrationは酸素濃度、Carbon dioxide concentrationは二酸化炭素濃度、Early stageは栽培初期、Middle stageは栽培中期、Late stageは栽培後期である。
栽培初期(20〜40時間)では、酸素濃度および二酸化炭素濃度と比生長速度との相関関係は認められなかった。しかし、栽培中期(50〜100時間)では、酸素濃度の低下に伴い比生長速度は低下し、両者に関連が認められた。栽培後期(110〜150時間)では、酸素濃度は10%程度、二酸化炭素濃度は4%程度で変化がない状態でも、比生長速度が低下しているため、酸素および二酸化炭素濃度が生長に及ぼす影響は小さいと考えられた。
微生物の好気培養においては、酸素濃度がある限界濃度を下回ると、増殖速度は酸素濃度に比例する。高濃度では0次反応となり、酸素濃度と無関係となる。しかし、もやしの生長においては、酸素における限界濃度Ccritよりも高い酸素濃度と思われる9〜20%の条件においても比生長速度に相違が認められた。特に、栽培中期において比生長速度が酸素濃度に比例し、Monod型とはならなかった。栽培初期、中期においては比生長速度が大きく、栽培後期では比生長速度が低い値となった。基質となる貯蔵物質が枯渇したため、生長が抑制されたものと考えられた。
さらに、比酸素消費速度および比二酸化炭素生成速度について比生長速度との相関を検討した結果を図10(c)、10(d)に示す。それぞれ、もやしの比生長速度と比酸素消費速度、比生長速度と比二酸化炭素生成速度の相関関係を示すグラフである。生長過程で使用される酸素の量は、生長段階に応じて変化する。酸素消費は多くの場合、生長が著しい時期に大きくなる。栽培初期では比酸素消費速度と比生長速度には相関が無かった。栽培中期では比酸素消費速度が低下するに従い、比生長速度が低下する傾向が認められた。この外挿から酸素に依存しない生長の寄与が比生長速度8.0mg/h/g(比酸素消費速度がゼロの時の切片)程度と見積もられた。このことから、酸素消費を伴わない生長の存在が示された。
栽培後期では比酸素消費速度と比生長速度は比例し、酸素消費と生長速度が連動している可能性が示唆された。また、栽培初期から栽培中期では、比二酸化炭素生成速度の増加に伴い比生長速度が増加する傾向があり、エネルギー代謝が高いほど生長速度が高い傾向が認められたが、二酸化炭素の生成を伴わない生長の寄与が比生長速度11mg/h/g程度と見積もられた。このような酸素消費および二酸化炭素生成を伴わない生長は、もやし個体の吸水による増加によるものと思われた。
前出図10(a)において、比生長速度8.0mg/h/gを差し引いた正味の比生長速度を考えると、栽培中期の酸素濃度依存性の外挿線の交点から限界酸素濃度が8.6%と算出された。したがって、酸素濃度が8.6%を下回ると酸素欠乏による生長阻害が顕著になると予測された。
本研究において、暗条件で発芽させた場合、生長と呼吸およびエネルギー代謝の関連性は、生長ステージによって異なる可能性があることが示唆された。
比酸素消費速度と比二酸化炭素生成速度の関係を、図11に示す。栽培中期では直線関係が認められたが、二酸化炭素生成が無い時でも酸素生成消費は行われており、二酸化炭素生成を伴わない酸素消費代謝反応の存在が示唆された。比酸素消費速度と比二酸化炭素生成速度の比である呼吸商は栽培中期では近似線の傾きから0.78となったが、栽培後期にはほぼゼロになった。
呼吸商R.Q.は、呼吸基質の種類によって異なるとされる[33]。炭水化物が基質の場合はR.Q.=1、脂質が用いられる場合はR.Q.<1、有機酸が用いられる場合はR.Q.>1となる。ブラックマッペもやしにおいて、発芽過程の脂質の経日的な変動は、中性脂質が減少、糖脂質が増加、リン脂質が大きな変動なしとなり、中性脂質は特にトリアシルグリセロールが減少した[34、35]。トリアシルグリセロールは種子発芽の際にリパーゼにより加水分解されて脂肪酸になり、酸素を消費しながらβ酸化されアセチルCoAを生じることが一般的に知られている。
やしの場合は、二酸化炭素生成を伴う酸素消費代謝反応と伴わない酸素消費代謝反応が存在し、酸化反応の寄与が大きいことが示唆された。栽培中期の近似線の傾きを呼吸商とすると、R.Q.は0.78となったため、呼吸基質に脂質を消費している可能性も考えられた。
3.2 栽培台車による単一ベッド式高密度従属栄養栽培
野菜類の水耕栽培に関して、古くは春日井によって、根に対する酸素の供給が重要であることが明らかにされ、根が充分に空気に触れ、しかも培養液で濡れているように培養すると栽培できることが示されていた[37]。一般に高密度となって充填層を形成した栽培システムでは、充填層内の水分供給の最適化、酸素濃度分布、温度分布の均一化が課題となることが多く、充填層内の混合を充分に行うことが重要である。
もやしの場合、生長により、もやし充填層は次第に厚くなる。この時、混合により、熱交換およびガスなどの物質交換が充分に行われると、充填層内の不均一は小さくなり、一個体栽培とほぼ同じ収率を実現することができると予想される。本研究では高密度栽培系内部の混合・均一化を図るために流下型散水方式をとった。充填層に流下した水が充填物の間隙を流れることで水分供給および酸素供給、伝熱が促されることが期待された。
高密度栽培における散水の影響を把握するために、散水量を変えて栽培実験を行った。散水量が少ない場合、また、充填層が厚い場合には混合が制限されると予想された。まず、酸素供給と温度分布について検討した。散水条件を0.4t/h/台車と0.6t/h/台車として栽培したもやし充填層の酸素濃度について比較した結果を図12(a)に示す。図中、cartは台車である。0.4t/h/台車においては、栽培開始時は18%程度あった酸素濃度は、栽培50時間頃まで経時的に減少し、およそ11%となった。
栽培50時間から栽培100時間の栽培中期では酸素濃度は11%〜12%で推移し、栽培100時間以降の栽培後期では酸素濃度は13%〜17%まで経時的に上昇した。一方、0.6t/h/台車においては、栽培50時間で11%まで低下するが、その後経時的に上昇し、栽培中期で11%〜14%、栽培後期で15%〜17%に推移した。
充填層内の酸素濃度は散水の際の系外からの流入による供給と、呼吸による消費とのバランスによって定常状態が決まるため、酸素消費速度が速い栽培初期、中期では後期に比べて酸素濃度が低くなったと考えられた。また、酸素濃度は0.4t/h/台車の条件の方が特に栽培中期に酸素濃度が低く推移した。0.6t/h/台車の条件では散水により充填層内に酸素が充分供給されているが、0.4t/h/台車の条件では充填層内のガス混合が不充分なために酸素濃度が低くなった可能性が示唆された。以上のことから、流下型散水方式によって充填層内の酸素濃度を制御可能であることが示された。
次に、栽培台車内の温度を測定した。結果を図12(b)に示す。図中、Temperatureは温度、Upper positionは上段、Lower positionは下段である。上段では散水量の違いによる台車内温度の差は見られなかった。しかし、下段では、0.4t/h/台車の条件の方が高い温度で推移し、最大で2.3℃高くなった。下段では散水による冷却が不充分であったことが示唆された。充填層内の温度は、代謝による発熱と散水による冷却のバランスにより決まる。したがって、発熱速度に応じて散水量を変えることによって、充填層内の温度を制御可能であることが示された。
各台車で栽培されたもやしの生長曲線を図13に示す。図中、Experimentalは実測値、Predictedは予測値である。0.4t/h/台車の条件でも、0.6t/h/台車の条件でも、一個体栽培同様にシグモイド型の生長曲線を描いた。一個体栽培の生長曲線に台車内の個体数として3,700,000を乗じて予測した生長曲線を併せて示す。0.4t/h/台車の条件では予測値に比べて低い値で推移したのに対し、0.6t/h/台車の条件は予測値と近い値となった。このように、散水量を増やすことによって、生長曲線が予測値に近づいていく傾向が認められた。
さらに、台車内のもやしの状況を把握するために、充填層の垂直方向についてもやしの重量、および形状(胚軸長)を比較した。それぞれの結果を図14(a)、14(b)に示す。図中、Middle positionは中段、Length of hypocotylは胚軸長である。もやし重量を比較すると、0.4t/h/台車の条件では上段と比較して中段および下段で有意に大きくなったが(p<0.05)、0.6t/h/台車の条件では上段、中段、下段のいずれも有意差がなく(p<0.05)、0.4t/h/台車の条件の方が垂直方向のばらつきが大きかった。もやしの重量と胚軸長について散水条件で比較すると、台車上段では0.6t/h/台車の条件の方が大きくなったが、台車下段では0.4t/h/台車の条件の方が大きくなった。
0.4t/h/台車の条件において、垂直方向でもやしの重量および形状に大きなばらつきが生じた理由は、散水による熱および物質の均一化が不充分であったと考えられた。上段のもやしに伸長抑制が認められた結果は、空気より軽いエチレンが充填層上段にたまり、滞留したエチレンの効果により上段の胚軸の伸長が抑制されたものと考えられた。下段の伸長促進は、温度上昇の効果であると考えられた。0.6t/h/台車の条件では散水による均一化効果が充分であったために、重量と形状のばらつきが少なかったと考えられた。
0.6t/h/台車の条件で高密度栽培したもやし重量と一個体栽培から予測されるもやし重量の比を重量の有効係数として求めた。結果を図15(a)に示す。図中、Effectiveness factor of weightは重量の有効係数である。栽培期間中すべてにおいて、0.8〜1の高い値を維持した。有効係数が1の場合、効率減少がゼロであることを示し、1に近いほど効率低下は少ない。すなわち本試験の結果は、効率低下がほとんど発生しないというものである。散水により、充填層内の混合が充分になされたことで、水分供給と内部の物質移動や熱交換が充分であったために、高密度で栽培しても収率が低下しなかったものと考えられた。
散水により、高効率を維持できたことは、恒暗型の充填層栽培において大変重要な結果であるものと考えられる。つまり、高密度化に伴う生産非効率化を、散水およびその条件によって充分かつ実用性をもって抑制できるからである。
高密度栽培と一個体栽培の比生長速度の比を生長速度の有効係数として求めた。結果を図15(b)に示す。図中、Effectiveness factor of specific growth rateは生長速度の有効係数である。栽培初期の有効係数は0.6〜0.8、栽培中期では0.8〜1.0、栽培後期では見かけ上有効係数が1よりも大きくなり、いずれの段階でも高い値を維持しながらも有効係数は変動した。栽培後期において有効係数が顕著に大きな値となったのは、栽培用試験管における一個体栽培において100時間を超えると植物体がフタに接触し(前出図7の図中(c))、生長が抑制されたことの反映と考えられた。
以上の結果から、もやし栽培に対して、植物体外での移動現象に関係した因子と植物体内の生理的状態に影響を与える因子を分離して評価可能であることが示された。また、栽培中において有効係数が減少しなかったことから、充填層が厚くなっても、流下型散水方式によって充填層内は充分に混合されているものと考えられた。
3.3 高密度従属栄養栽培における反応速度の検討
やしの栽培は、栄養については種子中の貯蔵物質のみを消費する従属栄養型の回分式の栽培となるが、生育に必要な水分と酸素については、散水によって供給される流加法といえる。重量の有効係数の検討から、散水条件が0.6t/h/台車のときには、充填層内の水分供給、温度の均一化、ガスなどの物質の移動が充分に行われていることが示唆されたので、この散水条件下で、もやしの生長と酸素消費および二酸化炭素生成の速度解析と高密度栽培の収率効率性を評価した。
栽培台車内のもやし重量、酸素濃度、二酸化炭素濃度およびもやし層内の温度の経時変化を図16(a)に示す。吸水膨潤前は240kgだった緑豆は、吸水後には530kgになり、栽培155時間で2470kgまで増加し、収率は10.3[g/g]となった。酸素濃度は、栽培開始直後は空気で満たされているためおよそ20%だったと推測されるが、栽培53時間で一旦10.6%まで低下し、その後栽培時間の経過に伴い上昇した。二酸化炭素濃度は、空気中の濃度は一般に0.04%であるが、栽培53時間で12.4%まで上昇したが、その後栽培時間の経過に伴い低下した。流加培養における充填層内の酸素濃度は、酸素流入量、酸素流出量および酸素消費量のバランスで決定されるが、栽培後期では酸素流入量と比べて、酸素消費量が減少したために、酸素濃度が経時的に増加したと考えられた。
台車内温度は、非散水期ではもやしの代謝熱によって上昇し、散水によって冷却されて低下する。非散水期間の温度を平均すると、平均温度は栽培70時間頃までは上昇して極大となり、その後は低下した。また、非散水期の温度上昇と散水時の温度低下の変動幅も栽培70時間頃までは増加し、その後栽培時間の経過に伴い変動幅は小さくなった。この変動幅は呼吸による熱生成と関連していると考えられ、栽培初期から70時間頃までは呼吸が活発に行われ、その後栽培時間の経過に伴いその活性が低下していったと考えられた。
高密度栽培におけるもやしの乾燥重量の経時変化を図16(b)に示す。栽培開始時(吸水膨重終了時)の子葉の乾燥重量は53mgであったのに対し、栽培後期の104時間では、幼植物体28.2mg、子葉17.9mgとなり、栽培開始時に子葉にあった貯蔵物質は53%が幼植物の乾物生産に、13%が呼吸として使われ二酸化炭素として放出されたと推測された。また、子葉の脱離性の観察の結果、100時間頃から子葉は軽く力を加えると脱離するようになり、140時間以降は自然に脱離した。
一個体栽培では高密度栽培よりも子葉は脱離しにくかった。高密度栽培においては、もやしの胚軸の伸長阻害および肥大促進のために一個体栽培で測定されたエチレン濃度の数倍の濃度となるようにエチレンガスを添加している。そのため、エチレンの効果により子葉の離層形成が促進され、脱離性が増進したと考えられた。
栽培台車内のもやし生長速度、酸素消費速度、二酸化炭素生成速度、およびもやし層内の温度の上昇速度の結果を図17に示す。図中、Rate of temperature increaseは温度上昇速度である。生長速度は経時的に加速していき、110時間付近で極大となり、その後は減速した。この傾向は、一個体栽培の結果と類似していた。散水による充填層内の混合が充分であったため一個体で栽培した時と類似した生長挙動を示したものと考えられた。充填層内の温度上昇速度と酸素消費速度および二酸化炭素生成速度は、いずれも60〜80時間に極大値となり、その後は経時的に低下した。
比生長速度、比酸素消費速度、比二酸化炭素生成速度、熱生成速度を図18に示す。図中、Energy production rateは熱生成速度である。比生長速度は栽培50時間までは一定であるが、その後栽培100時間頃まで上昇を示して極大となり、栽培100時間以降には大きく減少した。高密度栽培において、比生長速度が一定な栽培初期(栽培50時間まで)、比生長速度が増加する栽培中期(栽培50時間〜100時間)、比生長速度が低下する栽培後期(栽培100時間以降)の3期に分類できることが示唆された。
比酸素消費速度および比二酸化炭素生成速度は栽培中期で大きく、経時的に低下した。熱生成速度は、栽培初期は栽培時間の経過に伴い増加し、栽培中期ではほぼ一定で推移し、栽培後期には減少した。栽培後期において、比生長速度、比酸素消費速度、比二酸化炭素生成速度、熱生成速度がそれぞれ急激に減少し、生理活性が変化したことが示唆された。これらのことから、栽培後期の比生長速度の低下は、子葉の貯蔵物質の減少と離層形成による炭水化物の移行性の低下により、呼吸基質が減少し、比酸素消費速度、比二酸化炭素消費速度、熱生成速度が低下したことと関連しているものと考えられた。
高密度栽培におけるもやしの生長と酸素消費および二酸化炭素生成の関連性を調べるために、比生長速度と酸素濃度、および比生長速度と二酸化炭素濃度の相関関係を調査した結果を、それぞれ図19(a)、19(b)に示す。栽培中期では、酸素濃度低下に伴い比生長速度は低下した。栽培後期では、酸素濃度の上昇および二酸化炭素濃度の低下に伴い比生長速度は低下した。
また、比生長速度と比酸素消費速度、および比生長速度と比二酸化炭素生成速度の相関関係を、それぞれ図19(c)、19(d)に示す。栽培中期では、比酸素消費速度および比二酸化炭素生成速度の変動に対して比生長速度は一定となっており、両者は連動していないことが示された。栽培後期では、比酸素消費速度および比二酸化炭素生成速度の低下に伴い、比生長速度は低下した。
栽培中期において、酸素濃度の低下および二酸化炭素濃度の上昇に伴い比生長速度は上昇しているが、比例はしておらず、影響は小さいと考えられた。また、比酸素消費速度と比生長速度は連動していないことから、酸素は生長の制限要因ではないことが示唆された。呼吸により獲得されたエネルギーは生長に直接関与しない維持代謝反応に使用されていると考えられた。
栽培後期では、比酸素消費速度が低下し、酸素の消費量が減少しているが、流加により一定量の空気が流入してくるために、酸素濃度が上昇したと考えられた。また、比酸素濃度の低下に伴い比生長速度が低下する傾向にあるが、外挿から、比酸素消費速度がゼロの時も生長することが示された。同様に比二酸化炭素消費速度がゼロの時も生長していることから、呼吸によるエネルギーの獲得が無くとも重量が増加していると考えられた。もやしの重量増加は細胞分裂による細胞数の増加と水の吸収による細胞の膨張によると考えられるが、栽培後期はエネルギーを消費せず、浸透圧を利用して水分を吸収し重量を増加させる浸透圧生長が関与していると考えられた。
比生長速度と台車内温度の相関関係について図20(a)に示す。温度と比生長速度は、栽培初期と栽培中期には相関関係は無かったが、栽培後期は温度の低下に伴い、比生長速度は低下した。比生長速度と温度の関連性について、栽培初期から中期にかけては相関関係がなく、栽培後期は熱生成速度が低下したことで、散水による冷却効果の方が大きくなったために温度が低下したと考えられることから、比生長速度に対する温度の影響はほとんどないと考えられた。
比生長速度と熱生成速度の相関関係について図20(b)に示す。栽培初期には相関関係は無かったが、栽培中期と栽培後期については熱生成速度の低下に伴い、比生長速度は低下した。栽培中期以降は、熱生成速度と比生長速度が連動している可能性が示唆された。一方で、外から、比生長速度がゼロの時も熱生成速度はゼロにならないことから、生長と関連した一次代謝による熱生成と、生長を伴わない維持反応で起こる熱生成があることが考えられた。
熱生成速度と酸素濃度、および熱生成速度と比酸素消費速度の相関関係を、それぞれ図21(a)、21(b)に示す。熱生成速度と酸素濃度について、栽培中期では酸素濃度の上昇に伴い熱生成速度は増加し、栽培後期では酸素濃度の上昇に伴い熱生成速度は低下した。この傾向は、高密度栽培における比生長速度と酸素濃度の相関関係と類似していた。比酸素消費速度と熱生成速度は連動していることから、比生長速度に与えられた酸素濃度の影響は、酸素濃度と熱生成速度の関連性に由来している可能性が考えられた。
比酸素消費速度と熱生成速度について、栽培中期では相関関係は無かった。このことから、栽培中期には熱生成と関連しない二次代謝による酸素消費があると考えられた。栽培後期では、酸素消費速度の低下に伴い、熱生成速度は低下し、呼吸と熱生産に関連があることが示唆された。しかし、外挿から、比酸素消費速度がゼロの時でも2.3kJ/hの熱が生成されていることが示された。このことから、もやしの生長過程には酸素消費を伴わない熱生成があることが考えられた。
比酸素消費速度と比二酸化炭素生成速度の相関関係を図22(a)に、また比酸素消費速度と熱生成速度の相関関係を図22(b)に示す。酸素消費と二酸化炭素生成は栽培中期から後期で比例しており、呼吸商は0.80となった。一個体栽培において、栽培中期の呼吸商は0.78となっており、ほぼ一致した。一個体栽培と高密度栽培においては、比酸素消費速度および二酸化炭素消費速度の値が大きく異なっているが、呼吸商はほぼ同等であることから、呼吸基質は同じものを利用している可能性が考えられた。また、好気呼吸と嫌気呼吸の割合で呼吸商は変化するが、一個体栽培と高密度栽培では酸素濃度の動向が異なるにも関わらず、呼吸の特性は変化しなかったと考えられた。
<4.一個体栽培および単一ベッド式栽培研究の成果>
植物の高密度培養については、植物の代謝物質の工業生産のためにバイオリアクターを用いた植物細胞の大量培養が行われている[38,39]。本研究で検討した高密度栽培系は、緑豆種子の充填層とみなすと、水を間欠的に供給する流加培養型のバイオリアクターと考えることができる。植物細胞のバイオリアクターは反応系に細胞などが含まれる固体相と培地などの液体が連続相となっているが、もやしの高密度栽培系の場合は気体が連続相となっている反応系とみなせる。植物細胞の高濃度培養においては、細胞への酸素供給の欠乏が課題の一つとなっている[40]。
もやしの高密度栽培系においても、もやしが高密度に充填されているために気相中の撹拌・混合がほとんど起らず外部から酸素が供給されない。したがって、研究開始前は、酸素供給が課題となるものと予想された。実際、散水することにより、水分供給と同時に流加によりもやしの気相を入れ替えることで酸素が供給されてはいるものの、それをコントロールすることは難しいものと予想された。
しかしながら、以上説明した本研究の結果から、散水量を適切にコントロールすることによって、物質移動や熱交換を促進し、高い生産性を維持し得ることが明らかとなった。すなわち、本発明の恒暗型栽培システム等によれば、かかる酸素供給欠乏の問題も生じない、実用性の高い栽培方式、植物の工業的生産を実現できることが確認できた。
<5.恒暗型栽培システムとしての流下散水型栽培台車の開発、およびその実証試験>
上述した研究成果に基づき、恒暗型栽培システムとしての流下散水型栽培台車を試作開発し、その実証試験を行った。
5.1 流下散水型栽培台車
図23、24はそれぞれ、開発した流下散水型栽培台車の正面側斜視図、背面側斜視図である。なお図示するものは実施例であり、本発明はかかる構成に限定されず、具体的な設計・仕様は自由である。
図示するように本流下散水型栽培台車には、内部温度測定用の温度センサー挿入口、生育状況観察用ののぞき窓、被栽培物をサンプリングするための試料サンプリング口、酸素ならびに二酸化炭素の濃度測定用ソケット、台車内気体の温度、湿度を測定するための温度計、湿度計、内部の気体を混合する循環ファンを設け、上蓋はチェーンブロックで開閉できる構造、側面は取り外し可能な蓋を備えた構造とした。
また、内部天井には散水用管(塩化ビニール製)を13本配設し、これに散水配管バルブを接続して外部から給水できるようにした。さらにフィードバック制御系を備え、温度、ガス濃度などのプロセス変数をモニタリングするとともに、散水条件(水量、掛け方、タイミング等)を制御できる仕様とした。
5.2 実証試験
(1)試験方法
試作した流下散水型栽培台車を用い、下記栽培条件にて栽培試験を行った。
仕込み:中国産緑豆120kg
室温:約23℃
散水:1日8回 1回あたり合計16.17分(1574.2L)
散水方法:同時に散水する配管を2本とし、一定時間間隔で交代させた。両端から開始し、内側に進むようにした。最後は中央の配管(配管番号7)1本から散水させ、これを1サイクルとし、適宜サイクル繰り返した。つまり、散水順序は次のとおりである。
配管番号1と13 → 2と12 → 3と11 → ・・・ → 7
(2)試験結果
図25は、流下散水型栽培台車内の品温経過を示すグラフである。また、図26は被栽培物の全重量の推移を示すグラフである。これらに図示するように、台車内の上段、中段、下段とも、ほぼ均一な品温経過を示した。また、被栽培物の重量経過状況は、通常栽培台車の場合と変わらなかった。
5.3 実証試験の結論
恒暗型高密度栽培において、流下型散水が栽培効率に重要な役割を果たしていることが実証された。また、試作された流下散水型栽培台車は、酸素消費速度等のモニタリング結果をフィードバックして栽培環境を制御することができ、ハイパフォーマンスな高密度栽培システムとしての有用性が確認できた。
<6.補足的まとめ>
6.1 発芽野菜栽培および高密度栽培の評価
(1)発芽野菜栽培の反応工学的な評価
発芽過程は複数の生長段階からなっていた。また、酸素は必ずしも生長の律速因子とはなっていないと考えられた。
(2)高密度栽培の効率性評価
生長速度についての有効係数から、充填層内における物質移動の影響を定量的に評価可能であった。また、気相中の酸素の拡散係数は大きいため、植物体への酸素の供給は律速になりにくいと考えられた。さらに、本研究開発の結果、生長速度に及ぼす影響について、環境制御因子と植物体の生理活性因子を独立させて評価することが可能となった。
6.2 栽培システム、栽培プロセス設計上の重要ポイント
栽培システム、栽培プロセス設計上の考慮すべき点を列挙する。
(1)水分供給の最適化・・・水分付着の制御
(2)酸素濃度分布の均一化・・・酸素消費の制御
(3)温度分布の均一化・・・代謝熱の制御
これらは、栽培システム、栽培プロセスに流下型散水方式を用いることによって充足することができる。すなわち、本方式により水が充填物の間隙を流れることによって、充填層内の混合を充分にし、かつ均一に保つことができ、酸素供給および伝熱が促されるからである。なお、栽培が進行するにつれて充填層が厚くなり、散水による均一化効果が低下することを考慮する。
6.3 恒暗型高密度栽培の意義
恒暗型高密度栽培の意義は下記のとおりである。
(1)恒暗型高密度栽培は、施設面積当たりの収量が圧倒的に高い栽培システムである。
(2)充填層内の物質および熱移動を制御することによって、高密度化に伴う非効率化を抑制することが可能である。
(3)太陽光型植物工場による一般野菜の栽培と併用することによって、恒暗型植物工場による発芽野菜の栽培が安定な野菜供給の第二の柱となり得る。
(4)医薬品原薬や機能性成分の含有率の高い従属栄養栽培作物が育種・開発された場合、これらを高効率で生産することができる。
説明した実施例は、緑豆発芽野菜(もやし)を採り上げて行ったものであるが、本発明がこれに限定されず、恒暗型栽培に適する従属栄養栽培作物全般に適用可能であることはいうまでもない。すなわち、流下式の散水手段と被栽培物を載置する載置部とを備えた栽培室と、および、少なくとも温度測定手段とガス濃度測定手段を含む測定手段ならびに測定結果に基づき散水手段の散水条件を制御する制御手段とを備えたフィードバック制御系とを有する恒暗型栽培システム、または恒暗型栽培方法である限り、本発明の範囲内に属する。
<7.引用文献>
実施例に限らず本明細書中において、[ ]付き数字にて示した文献を、 )付き数字表記にて下記のとおり付記する。
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2) N. Noguchi; "Plant factory based on ICT toward next generation" (in Japanese). J. SHITA, 24, 174-179 (2012).
3) M. Takatsuji; "The basic and practices of plant factories" (in Japanese). Shokabo, Tokyo, Japan, 1996, p. 164.
4) L. B. Andrews, W. R. Curtis; Comparison of Transient Protein Expression in Tobacco Leaves and Plant Suspension Culture. Biotechnol. Prog., 21, 946-952 (2005).
5) K. M. O'Neill, J. S. Larsen, W. R. Curtis;
Scale-up of Agrobacterium-mediated transient protein expression in bioreactor-grown Nicotiana glutinosa plant cell suspension culture. Biotechnol. Prog., 24, 372-376 (2008).
6) K. Matsumoto, Y. Tada, H. Shimizu, S. Shibusawa; "Effect of water supply levels on growth and antioxidative activity of Raphanus sativus L. 'Kaiwaredaikon (Japanese radish sprout)'" (in Japanese). J. SHITA, 21, 79-85 (2009).
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本発明の恒暗型栽培システム、および従属栄養栽培作物栽培方法によれば、反応工学的手法による実用性の高い植物栽培プロセス制御方法を提供することができる。特に、植物工場等において、低コストでかつ効率的に発芽野菜その他の従属栄養型作物を生産することができる。したがって、当該産業分野および関連する全分野において産業上利用性が高い発明である。
1、21…栽培室
2、22…流下式の散水手段
3、23…載置部
5、25…フィードバック制御系
6、26…温度測定手段
7、27…ガス濃度測定手段
8、28…制御手段
10、210…恒暗型栽培システム
20…車輪
24…ファン
29…サンプリング口

Claims (9)

  1. 栽培室内の栽培条件を測定してそれに基づく制御を行うフィードバック制御系を備えてなる恒暗型栽培システムであって、
    該栽培室は最上部の前記載置部上方のみに設けられた流下式の散水手段と、
    被栽培物を載置する複数の載置部とを備え、
    各載置部間は水が流下可能に形成されており、
    該フィードバック制御系は測定手段と制御手段とを備え、
    該測定手段には温度測定手段および少なくとも酸素濃度ならびに二酸化炭素濃度を測定するガス濃度測定手段が含まれ、
    該制御手段は、測定結果に基づき該散水手段の散水条件を制御しその散水によって被栽培物充填層内に水分供給、酸素供給、ガス混合による気相の不均一状態の解消、および被栽培物の冷却を同時に制御でき、
    特に、被栽培物充填層内の温度や酸素濃度を均一に維持するために該散水手段による散水を間欠的に操作し、
    非散水期に酸素濃度、二酸化炭素濃度、温度および被栽培物の品温の経時変化を測定することによって酸素消費速度、二酸化炭素生成速度および発熱速度を算出できることを特徴とする、恒暗型栽培システム。
  2. 前記散水条件の制御によって、前記栽培室内の水分供給量、温度、および酸素濃度を制御可能であることを特徴とする、請求項1に記載の恒暗型栽培システム。
  3. 前記栽培室にはファンが設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の恒暗型栽培システム。
  4. 従属栄養栽培作物の栽培用であることを特徴とする、請求項1ないしのいずれかに記載の恒暗型栽培システム。
  5. 高密度栽培可能な作物の栽培用であることを特徴とする、請求項1ないしのいずれかに記載の恒暗型栽培システム。
  6. 前記散水手段による散水によって、被栽培物を1個体栽培した際に認められる生長挙動を高密度栽培条件においても実現できることを特徴とする、請求項1ないしのいずれかに記載の恒暗型栽培システム。
  7. 前記栽培室には被栽培物をサンプリング可能なサンプリング口が設けられていることを特徴とする、請求項1ないしのいずれかに記載の恒暗型栽培システム。
  8. 前記栽培室底部には車輪が備えられていることを特徴とする、請求項1ないしのいずれかに記載の恒暗型栽培システム。
  9. 請求項1ないしのいずれかに記載の恒暗型栽培システムを用いて行う、従属栄養栽培作物栽培方法。
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