JP6142352B2 - 分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法 - Google Patents

分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法 Download PDF

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本発明は、湿式の分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法に関する。
近年、電子材料領域で用いられる粒子は、単分散性が求められ、更なる特性向上のためには高精度な分級も要求される。湿式分級は、乾式分級に比べて容易に粒子の分級を行うことができる。この湿式分級の手段として、沈降法、サイクロン、静電気等を用いた水篩などが挙げられる。
古来よりある沈降法は、上方にいる粒子と下方にいる粒子では距離の隔たりがある。このため、粒子径が大きく異なる場合は分級が容易であるが、粒子径が近い場合は一度に分級することは不可能である上、理論上完全に分離する事は困難である。また、小径粒子が装置下部に存在する場合は分離できない。
特許文献1には、分級したい粒子をビーズミルで処理した後に、電圧を利用した特殊サイクロンで分級する方法が示されている。また、特許文献2には、電位付与機構を有する装置に粒子を通した後に気流サイクロンで分級する方法が示されている。
特許文献3には、電流を印加した槽にスラリーを流すことで、ゼータ電位の異なる粒子を分級する方法が示されている。しかし、このような分級方法は、粒子径毎にゼータ電位が異なる場合は有用であるが、それ以外の場合は分級困難である。
特開2011−125801号公報 特開2003−190836号公報 特開2005−334865号公報
近年、電子材料領域において、1μm以上10μm以下程度の平均粒径を有するプラスチック等の粒子の変動係数C.V.(Coefficient of Variation)を3%以下にする要求がある。しかしながら、特許文献1〜3に記載されたような従来の湿式分級では、この要求を満たすことが困難であり、分級に長時間を必要とする。
そこで、本発明は、高精度かつ短時間に分級することができる分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る分級装置は、スラリー中の粒子を分級する分級装置であって、スラリーが供給される槽と、槽の内部に配置されてスラリーを槽に供給する供給口と、供給口から供給されたスラリーにより槽内に上下方向の液流を発生させる液流発生部と、を備える。
本発明に係る分級装置によれば、供給口から槽にスラリーが供給されると、重力等の影響により粒径に応じた上下方向の力が粒子に作用することで、スラリー中の粒子が粒径に応じて上下に分離される。このとき、供給口から供給されたスラリーにより槽内に上下方向の液流が発生するため、粒径に応じた粒子の分離が促進される。これにより、高精度に粒子を分級することができる。しかも、この液流によって粒子を分級するため、供給口からスラリーを連続的に供給することで、スラリー中の粒子を連続的に分級することができる。これにより、短時間に粒子を分級することができる。特に、重力によっては沈降し難いナノ粒子も、槽内に液流を発生させることで、高精度かつ短時間に分級することができる。ここで、本発明におけるナノ粒子とは、直径が10nm〜数μmのものを意味し、更に本発明は、直径が10nm〜数十μmの粒子にも応用できる。また、槽内に上下方向の液流を発生させるために他要素を用いる必要が無いため、簡易な構成で粒子を分級することができる。しかも、供給口は槽の内部に配置されているため、スラリーの液流を乱すことなく槽にスラリーを供給できるとともに、適切に粒子を上下に分離させることができる。これにより、粒子の分離効率が向上する。
また、上記の分級装置は、槽の上部に配置される上部電極と、槽の下部に配置される下部電極と、上部電極及び下部電極に電圧を印加する電圧制御部と、を更に備えるものとすることができる。
上部電極及び下部電極に電圧を印加して槽内に電場を生じさせることで、荷電されたスラリー中の粒子を、電荷極性と上部電極及び下部電極の極性との関係に応じて、上部電極側又は下部電極側に電気泳動させることができる。そして、粒径に応じたゼータ電位が粒子に付与されたスラリーを槽に供給し、上部電極及び下部電極に電圧を印加して槽内のスラリーに電場を生じさせることで、粒径に応じて粒子の電気泳動速度を異ならせることができる。このため、液流の下流側の電極に粒子の電荷極性と同じ電極の電圧を印加し、液流の上流側の電極に粒子の電荷極性と異なる電極の電圧を印加することで、スラリーの液流と相まって、スラリー中の粒子を粒径に応じて上下に分離させることができる。これにより、スラリー中の粒子をより高精度かつ短時間に分級することができる。
また、上記の分級装置は、液流発生部は、槽の上部に形成されてスラリーが流出する第一流出口を有するものとすることができる。
このように槽の上部に第一流出口を形成すれば、第一流出口から溢れ出たスラリーを回収することで、小粒径の粒子を回収することができる。このため、供給口からスラリーを連続的に供給することで、スラリー中の粒子を容易かつ連続的に分級することができる。
また、上記の分級装置は、槽の底壁に形成されてスラリーが流出する第二流出口を更に備えるものとすることができる。
供給口から上側に移動する粒子は第一流出口から槽外に流出するが、供給口から下側に移動する粒子は、槽の底壁に跳ね返されて対流する。そこで、このように槽の底壁に第二流出口を形成することで、供給口から下側に移動する粒子を槽外に排出することができるため、粒子が槽の底壁に跳ね返されて対流するのを防止することができる。これにより、分級精度を更に向上することができる。
また、上記の分級装置は、第二流出口から流出するスラリーの流量を調節する流量調節部材を更に備えるものとすることができる。
このように流量調節部材を設ければ、供給口から下側に移動する粒子を適切に槽外に排出しつつ、供給口から供給されるスラリーの供給流量に応じて、スラリーの液流速度を調節することができる。
また、上記の分級装置は、槽内を複数の上下に延びる空間に仕切る整流部材を更に備えるものとすることができる。
このように整流部材を設けることで、供給口から供給されたスラリーの液流を上下方向に整流することができるため、槽内に発生される液流が乱れるのを抑制して、粒径に応じた粒子の分離を更に促進することができる。
本発明に係る分級方法は、スラリー中の粒子を分級する分級方法であって、槽の内部に配置された供給口からスラリーを槽に供給し、粒径に応じた上下方向の力が粒子に作用している状態において、供給口から供給されたスラリーにより槽内に上下方向の液流を発生させる。
本発明に係る分級方法によれば、供給口から槽にスラリーを供給すると、重力等の影響により粒径に応じた上下方向の力が粒子に作用することで、スラリー中の粒子が粒径に応じて上下に分離される。このとき、供給口から供給されたスラリーにより槽内に上下方向の液流を発生させるため、粒径に応じた粒子の分離が促進される。これにより、高精度に粒子を分級することができる。しかも、この液流によって粒子を分級するため、供給口からスラリーを連続的に供給することで、スラリー中の粒子を連続的に分級することができる。これにより、短時間に粒子を分級することができる。特に、重力によっては沈降し難いナノ粒子も、槽内に液流を発生させることで、高精度かつ短時間に分級することができる。また、槽内に上下方向の液流を発生させるために他要素を用いる必要が無いため、簡易な方法で粒子を分級することができる。しかも、槽の内部に配置された供給口からスラリーを供給するため、スラリーの液流を乱すことなく槽にスラリーを供給できるとともに、適切に粒子を上下に分離させることもできる。これにより、粒子の分離効率が向上する。
また、上記の分級方法は、槽の上部に上部電極を配置するとともに槽の下部に下部電極を配置しておき、粒径に応じたゼータ電位を粒子に付与し、上部電極及び下部電極がスラリーに浸かるまでスラリーを槽に供給し、上部電極及び下部電極に電圧を印加する方法とすることができる。
上部電極及び下部電極に電圧を印加して槽内に電場を生じさせることで、荷電されたスラリー中の粒子を、電荷極性と上部電極及び下部電極の極性との関係に応じて、上部電極側又は下部電極側に電気泳動させることができる。そして、粒径に応じたゼータ電位が粒子に付与されたスラリーを槽に供給し、上部電極及び下部電極に電圧を印加して槽内のスラリーに電場を生じさせることで、粒径に応じて粒子の電気泳動速度を異ならせることができる。このため、液流の下流側の電極に粒子の電荷極性と同じ電極の電圧を印加し、液流の上流側の電極に粒子の電荷極性と異なる電極の電圧を印加することで、スラリーの液流と相まって、スラリー中の粒子を粒径に応じて上下に分離させることができる。これにより、スラリー中の粒子をより高精度かつ短時間に分級することができる。
また、上記の分級方法は、槽の上部に形成された第一流出口からスラリーを流出させる方法とすることができる。
このように、槽の上部に形成された第一流出口からスラリーを流出させ、第一流出口から溢れ出たスラリーを回収することで、小粒径の粒子を回収することができる。このため、供給口からスラリーを連続的に供給することで、スラリー中の粒子を容易かつ連続的に分級することができる。
また、上記の分級方法は、槽の底壁に形成された第二流出口からスラリーを流出させる方法とすることができる。
供給口から上側に移動する粒子は第一流出口から槽外に流出するが、供給口から下側に移動する粒子は、槽の底壁に跳ね返されて対流する。そこで、このように槽の底壁に形成された第二流出口からスラリーを流出させることで、供給口から下側に移動する粒子を槽外に排出することができるため、粒子が槽の底壁に跳ね返されて対流するのを防止することができる。これにより、分級精度を更に向上することができる。
また、上記の分級方法は、第一流出口から流出させるスラリーの流量を、第二流出口から流出させるスラリーの流量よりも多くする方法とすることができる。
第二流出口を形成すると槽の底壁からもスラリーが流出するが、このように第一流出口における流量を第二流出口における流量よりも大きくすることで、槽内に上方向への液流を適切に発生させることができる。
また、上記の分級方法は、槽内を複数の上下に延びる空間に仕切る整流部材により、供給口から供給されたスラリーにより発生される液流を上下方向に整流する方法とすることができる。
このように整流部材によりスラリーの液流を上下方向に整流することで、槽内に発生される液流が乱れるのを抑制して、粒径に応じた粒子の分離を更に促進することができる。
本発明に係る分級粒子の製造方法は、分級された粒子を製造する分級粒子の製造方法であって、槽の内部に配置された供給口から粒子が含有されたスラリーを槽に供給し、粒径に応じた上下方向の力が粒子に作用している状態において、供給口から供給されたスラリーにより槽内に上下方向の液流を発生させる。
本発明に係る分級粒子の製造方法によれば、供給口から槽にスラリーを供給すると、重力等の影響により粒径に応じた上下方向の力が粒子に作用することで、スラリー中の粒子が粒径に応じて上下に分離される。このとき、供給口から供給されたスラリーにより槽内に上下方向の液流を発生させるため、粒径に応じた粒子の分離が促進される。このため、槽の上部又は下部からスラリーを回収することで、高精度に分級された分級粒子を製造することができる。しかも、この液流によって粒子を分級するため、供給口からスラリーを連続的に供給することで、スラリー中の粒子を連続的に分級することができる。これにより、短時間に分級粒子を製造することができる。特に、重力によっては沈降し難いナノ粒子も、槽内に液流を発生させることで、高精度かつ短時間に分級することができる。また、槽内に上下方向の液流を発生させるために他要素を用いる必要が無いため、簡易な方法で粒子を分級することができる。しかも、槽の内部に配置された供給口からスラリーを供給するため、スラリーの液流を乱すことなく槽にスラリーを供給できるとともに、適切に粒子を上下に分離させることもできる。これにより、粒子の分離効率が向上する。
また、上記の分級粒子の製造方法は、槽の上部に上部電極を配置するとともに槽の下部に下部電極を配置しておき、粒径に応じたゼータ電位を粒子に付与し、上部電極及び下部電極がスラリーに浸かるまでスラリーを槽に供給し、上部電極及び下部電極に電圧を印加する製造方法とすることができる。
上部電極及び下部電極に電圧を印加して槽内に電場を生じさせることで、荷電されたスラリー中の粒子を、電荷極性と上部電極及び下部電極の極性との関係に応じて、上部電極側又は下部電極側に電気泳動させることができる。そして、粒径に応じたゼータ電位が粒子に付与されたスラリーを槽に供給し、上部電極及び下部電極に電圧を印加して槽内のスラリーに電場を生じさせることで、粒径に応じて粒子の電気泳動速度を異ならせることができる。このため、液流の下流側の電極に粒子の電荷極性と同じ電極の電圧を印加し、液流の上流側の電極に粒子の電荷極性と異なる電極の電圧を印加することで、スラリーの液流と相まって、スラリー中の粒子を粒径に応じて上下に分離させることができる。これにより、より高精度かつ短時間に分級粒子を製造することができる。
また、上記の分級粒子の製造方法は、槽の上部に形成された第一流出口からスラリーを流出させる製造方法とすることができる。
このように、槽の上部に形成された第一流出口からスラリーを流出させ、第一流出口から溢れ出たスラリーを回収することで、小粒径の粒子を製造することができる。このため、供給口からスラリーを連続的に供給することで、容易かつ連続的に分級粒子を製造することができる。
また、上記の分級粒子の製造方法は、槽の底壁に形成された第二流出口からスラリーを流出させる製造方法とすることができる。
供給口から上側に移動する粒子は第一流出口から槽外に流出するが、供給口から下側に移動する粒子は、槽の底壁に跳ね返されて対流する。そこで、このように槽の底壁に形成された第二流出口からスラリーを流出させることで、供給口から下側に移動する粒子を槽外に排出することができるため、粒子が槽の底壁に跳ね返されて対流するのを防止することができる。これにより、製造する分級粒子の分級精度を更に向上することができる。
また、上記の分級粒子の製造方法は、第一流出口から流出させるスラリーの流量を、第二流出口から流出させるスラリーの流量よりも多くする製造方法とすることができる。
第二流出口を形成すると槽の底壁からもスラリーが流出するが、このように第一流出口における流量を第二流出口における流量よりも大きくすることで、槽内に上方向への液流を適切に発生させることができる。
また、上記の分級粒子の製造方法は、槽内を複数の上下に延びる空間に仕切る整流部材により、供給口から供給されたスラリーにより発生される液流を上下方向に整流する製造方法とすることができる。
このように整流部材によりスラリーの液流を上下方向に整流することで、槽内に発生される液流が乱れるのを抑制して、粒径に応じた粒子の分離を更に促進することができる。
本発明によれば、高精度かつ短時間に分級することができる。
第1の実施形態に係る分級装置を概念的に示した縦断面模式図である。 第2の実施形態に係る分級装置を概念的に示した縦断面模式図である。 第3の実施形態に係る分級装置を概念的に示した縦断面模式図である。 第4の実施形態に係る分級装置を概念的に示した縦断面模式図である。 第5の実施形態に係る分級装置を概念的に示した縦断面模式図である。 シリカ粒子におけるゼータ電位の粒径依存性を示すグラフである。 他の実施形態に係る分級装置を概念的に示した縦断面模式図である。 実施例1に用いる分級装置を概念的に示した縦断面模式図である。 実施例1に用いる原料スラリーに含まれるアクリル粒子の粒度分布を示したグラフである。 実施例2に用いる分級装置を概念的に示した縦断面模式図である。 実施例2に用いる原料スラリーに含まれるシリカ粒子の粒度分布を示したグラフである。 実施例2における部分分離効率曲線を示すグラフである。 実施例3における部分分離効率曲線を示すグラフである。 実施例4における部分分離効率曲線を示すグラフである。 実施例5における部分分離効率曲線を示すグラフである。 実施例5−1のFineに含まれる粒子の粒度分布を示したグラフである。 実施例5−2のFineに含まれる粒子の粒度分布を示したグラフである。 図16の粒度分布と図17の粒度分布とを重ね合せたグラフである。
以下、図面を参照して、本発明に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、全図中、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る分級装置を概念的に示した縦断面模式図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る分級装置1は、スラリー中の粒子を分級するとともに分級された分級粒子を製造する分級装置であって、分散装置2と、フィードポンプ3と、バッファタンク4と、分級槽5と、を備えている。
分散装置2は、粒子が含まれたスラリーを撹拌してスラリー中の粒子を分散するものである。分散装置2としては、公知の様々な分散装置を用いることができ、例えば、ビーズミル、ホモジナイザー等の装置を用いることができる。そして、分散装置2でスラリーを撹拌することで、スラリー中の粒子に荷電させることが可能となっている。
フィードポンプ3は、分散装置2からスラリーを汲み上げて、このスラリーをバッファタンク4に送り出すものである。フィードポンプ3としては、公知の様々なフィードポンプを用いることができる。
バッファタンク4は、フィードポンプ3から送り出されたスラリーを一時的に蓄積しておき、このスラリーを設定された流量で分級槽5に送り出すものである。このため、バッファタンク4は、分級槽5にスラリーを供給する供給装置として機能する。バッファタンク4としては、公知の様々なバッファタンクを用いることができる。
分級槽5は、バッファタンク4から送り出されたスラリーが供給される槽であって、供給されたスラリーに含まれる粒子を分級するための槽である。分級槽5は、例えば、シリコーン、アクリル等の樹脂材料、ガラス等の無機材料、金属材料で、有底の筒状に形成されており、上端が開口されている。なお、分級槽5は、円形の底面を有する円筒状に形成されたものや、多角形の底面を有する角筒状に形成されたものなどがある。また、分級槽5の底壁は、中央が下方に窪んだ漏斗状に形成されていてもよい。また、分級槽5は、上端が開口していない槽であってもよく、上端の開口を塞ぐ蓋を備えていてもよい。
分級槽5には、バッファタンク4から送り出されたスラリーを分級槽5に供給するための供給管11が挿入されている。供給管11には、スラリーを分級槽5に供給する供給口12が形成されており、この供給口12は、分級槽5内の底部付近に配置されている。具体的に説明すると、供給管11は、分級槽5の内部において逆T字状に形成されており、分級槽5の内部において上下方向に延びる垂直管部11aと、垂直管部11aの下端から水平方向に延びる水平管部11bと、を備えている。そして、水平管部11bに、供給口12が上向きに形成されている。水平管部11bは、1本又は複数本の直線状に延びる管状部材で構成されたものであってもよく、円板状の管状部材で構成されたものであってもよい。供給口12は、水平管部11bの少なくとも一箇所に形成されていればよいが、分級槽5の水平断面全域にスラリーを供給する観点からは、水平管部11bの複数箇所に形成されていることが好ましい。
分級槽5を構成する側壁の上部には、分級槽5に供給されたスラリーを流出させる第一流出口13が形成されている。このため、供給口12から分級槽5に供給されたスラリーが第一流出口13から流出することで、分級槽5内に上下方向の液流が発生する。第一流出口13は、一箇所にのみ形成してもよいが、同一高さの複数箇所に形成してもよい。なお、第一流出口13は、スラリーを溢れさせることで分級槽5から流出させるものであるため、側壁に形成した開口を第一流出口13としてもよく、側壁の上端を第一流出口13としてもよい。また、上端の開口に蓋が設けられている場合は、この蓋に形成した開口を第一流出口13としてもよい。
次に、分級装置1を用いた分級方法及び分級粒子の製造方法について説明する。
まず、粒径の異なる粒子が含有されたスラリーを分散装置2に投入する。そして、分散装置2でスラリーを撹拌して、スラリー中の粒子を分散させる。
ここで、スラリーの溶媒としては、水や、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類などを用いることができる。その中でも、水が安価で好ましい。この溶媒には、グリセリン、グルコース等の比重・粘度調整剤などを添加させてもよい。
スラリーに含有させる粒子としては、プラスチック粒子、無機粒子、金属粒子等の粒子を用いることができる。なお、スラリー中の粒子は、必要に応じて分散剤により表面処理を行ったり、分散剤を有する溶媒に分散させたりすることで、スラリー中における分散性を向上させることができる。
スラリーにおける粒子の濃度は、特に限定されるものではないが、0.01質量%以上20.00質量%以下の範囲とすることができる。この濃度を0.01質量%以上にすることにより、粒子の十分な回収量を確保することができる。この濃度を20.00質量%以下にすることにより、粒子の凝集の促進が抑制され、粒子を粒径に応じて上下に分離させやすくなるため、分級精度を向上させることができる。そこで、この濃度を0.01質量%以上20.00質量%以下とすることで、粒子の回収量及び分級精度を向上させることができる。
次に、フィードポンプ3で、分散装置2から分散処理されたスラリーを汲み上げて、このスラリーをバッファタンク4に送り出す。
次に、バッファタンク4でスラリーを分級槽5に送り出し、分級槽5の内部に配置された供給管11の供給口12からスラリーを分級槽5内に供給する。
すると、供給口12から分級槽5に供給されたスラリーの水位が徐々に上昇していく。そして、この水位が第一流出口13に至ると、分級槽5内のスラリーが第一流出口13に溢れ出す。これにより、分級槽5内では、供給口12から供給されたスラリーにより分級槽5内のスラリーが上方向に押し上げられて、上方向への液流が発生する。
このとき、分級槽5に供給されたスラリー中の各粒子には重力が作用する。このため、分級槽5内で液流が発生していない状態では、重力によりスラリー中の各粒子が分級槽5の底面側に向けて沈降していく。粒子の沈降速度は、式(1)のストークスの式により表される。
Figure 0006142352

式(1)からも明らかなように、粒子の沈降速度は粒径に応じて異なり、大粒径になるほど沈降速度が速く、小粒径になるほど沈降速度が遅くなる。
このように、重力による粒子の沈降速度は粒径に応じて異なることから、分級槽5内で上方向への液流が発生すると、小粒径の粒子の方が大粒径の粒子よりも、上昇する液流の影響を受けやすくなる。
そこで、小粒径の粒子はこの液流によって第一流出口13まで上昇し、かつ、大粒径の粒子はこの液流によって第一流出口13まで上昇しないように、バッファタンク4において分級槽5に送り出すスラリーの流量を調節する。
すると、大粒径の粒子は分級槽5内に残り、小粒径の粒子は第一流出口13から流出する。このため、第一流出口13から流出されたスラリーを回収することで、小粒径の粒子を回収することができる。これにより、小粒径の粒子に分級された分級粒子が製造される。
以上説明したように、第1の実施形態によれば、重力の影響によりスラリー中の粒子が粒径に応じて上下に分離される。このとき、供給口12から供給されたスラリーにより分級槽5内に上方向の液流が発生するため、粒径に応じた粒子の分離が促進される。これにより、高精度に粒子を分級することができる。そして、この液流により第一流出口から溢れ出たスラリーを回収することで、小粒径の粒子に分級された分級粒子を回収することができる。しかも、供給口12からスラリーを連続的に供給することで、スラリー中の粒子を容易かつ連続的に分級することができる。これにより、短時間に粒子を分級することができる。特に、重力によっては沈降し難いナノ粒子も、分級槽5内に液流を発生させることで、高精度かつ短時間に分級することができる。
また、分級槽5内に上下方向の液流を発生させるために他要素を用いる必要が無いため、簡易な構成で粒子を分級することができる。
しかも、供給口12は分級槽5の内部に配置されているため、スラリーの液流を乱すことなく分級槽5にスラリーを供給できるとともに、適切に粒子を上下に分離させることもできる。これにより、粒子の分離効率が向上する。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法について説明する。第2の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法は、基本的に、第1の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法と同様であるが、分級槽の底壁に第二流出口が形成されており、この第二流出口からもスラリーを流出させる点で、第1の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法と相違する。このため、以下では、第1の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法と相違する部分のみを説明し、第1の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法と同じ部分の説明を省略する。
図2は、第2の実施形態に係る分級装置を概念的に示した縦断面模式図である。図2に示すように、第2の実施形態に係る分級装置21は、スラリー中の粒子を分級するとともに分級された分級粒子を製造する分級装置であって、分散装置2と、フィードポンプ3と、バッファタンク4と、分級槽22と、を備えている。
分級槽22は、基本的に第1の実施形態に係る分級装置1の分級槽5と同様であるが、第二流出口23が形成されている点のみ分級槽5と相違する。つまり、分級槽5と同様に、分級槽5の内部の底部付近に、供給管11の供給口12が配置されており、分級槽22の上部に、分級槽22に供給されたスラリーを流出させる第一流出口13が形成されている。
第二流出口23は、分級槽22に供給されたスラリーを流出させる流出口であり、分級槽22の底壁に形成されている。このため、分級槽22の底部に溜まっているスラリーを第二流出口23から分級槽22の外部に排出することが可能となっている。第二流出口23は、複数箇所に形成してもよいが、分級槽22の底壁が漏斗状に窪んでいる場合は、中心に一箇所にのみ形成してもよい。そして、第二流出口23には、第二流出口23から流出するスラリーの流量を調節する流量調節部材24が取り付けられている。流量調節部材24は、例えば、公知の流量調節弁等を用いることができる。なお、流量調節部材24は、第二流出口23を閉じて第二流出口23から流出するスラリーの流量をゼロにすることも可能となっている。
次に、分級装置21を用いた分級方法及び分級粒子の製造方法について説明する。
まず、第1の実施形態と同様に、分級槽22の内部に配置された供給口12からスラリーを分級槽22内に供給する。
すると、第二流出口23からスラリーが流出する。そこで、第二流出口23から流出するスラリーの流量が、供給口12から分級槽22に供給されたスラリーの流量よりも小さくなるように、流量調節部材24を調節する。これにより、分級槽22内のスラリーの水位が徐々に上昇していく。そして、スラリーの水位が第一流出口13に至ると、分級槽22内のスラリーが第一流出口13に溢れ出す。これにより、分級槽22内では、供給口12から供給されたスラリーにより分級槽22内のスラリーが押し上げられて、上方向への液流が発生する。
そこで、この液流によって小粒径の粒子が第一流出口13まで上昇し、かつ、この液流によって大粒径の粒子が第一流出口13まで上昇しないように、バッファタンク4において分級槽22に送り出すスラリーの流量を調節する。
すると、小粒径の粒子は第一流出口13から流出する。このため、第一流出口13から流出されたスラリーを回収することで、小粒径の粒子を回収することができる。これにより、小粒径の粒子に分級された分級粒子が製造される。
一方、大粒径の粒子は、分級槽22の底部に向けて沈降し、又は分級槽22の底部において停滞する。このため、第二流出口23からスラリーを排出しないと、分級槽22の底部において大粒径の粒子の密度が高くなり、また、大粒径の粒子が分級槽22の底壁に跳ね返されて対流する可能性がある。
しかしながら、第2の実施形態では、第二流出口23からスラリーが流出するため、分級槽22の底部に向けて沈降する大粒径の粒子及び分級槽22の底部において停滞する大粒径の粒子は、第二流出口23から分級槽22の外部に排出される。これにより、分級槽22の底部において大粒径の粒子の密度が高くなるのを防止することができるとともに、大粒径の粒子が分級槽22の底壁に跳ね返されて対流するのを防止することができるため、分級精度を更に向上することができる。
しかも、第二流出口23から流出されるスラリーを回収することで、大粒径の粒子を回収することができる。つまり、大粒径の粒子に分級された分級粒子を製造することができる。
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法について説明する。第3の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法は、基本的に、第2の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法と同様であるが、分級槽内に整流部材を設けた点で、第2の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法と相違する。このため、以下では、第2の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法と相違する部分のみを説明し、第2の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法と同じ部分の説明を省略する。
図3は、第3の実施形態に係る分級装置を概念的に示した縦断面模式図である。図3に示すように、第3の実施形態に係る分級装置31は、スラリー中の粒子を分級するとともに分級された分級粒子を製造する分級装置であって、分散装置2と、フィードポンプ3と、バッファタンク4と、分級槽32と、を備えている。
分級槽32は、基本的に第2の実施形態に係る分級装置21の分級槽22と同様であるが、分級槽32内に整流部材33が設けられている点のみ分級槽22と相違する。つまり、分級槽22と同様に、分級槽32の内部の底部付近に、供給管11の供給口12が配置されており、分級槽32の上部に、分級槽32に供給されたスラリーを流出させる第一流出口13が形成されており、分級槽32の底壁に、流量調節部材24が取り付けられて分級槽32に供給されたスラリーを流出させる第二流出口23が形成されている。
整流部材33は、横断面がメッシュ状に形成されており、分級槽32内を複数の上下に延びる空間に仕切っている。このため、整流部材33は、供給口12から供給されたスラリーを上下方向に案内して、上方向の液流を整流する。整流部材33としては、例えば、ストロー等の直線状に延びる筒状部材を複数束ねたものを用いることができる。整流部材33の上下方向の高さは、特に制限されるものではないが、設置作業性の観点から、10mm以上50mm以下の範囲内とすることができる。整流部材33の設置数及び設置位置は特に制限されない。例えば、分級槽32内に1つの整流部材33を設ける場合は、分級槽32の上部又は下部に設けることができる。また、分級槽32内に2つの整流部材33を設ける場合は、分級槽32の上部及び下部に設けることができる。ここで、整流部材33が設置される分級槽32の上部とは、第一流出口13よりも下方の位置をいい、例えば、整流部材33の上面の位置が、第一流出口13よりも下方に10mm以上50mm以下の範囲内となる位置とすることができる。また、整流部材33が設置される分級槽32の下部とは、供給口12よりも上方の部分をいい、例えば、整流部材33の下面の位置が、供給口12よりも上方に10mm以上50mm以下の範囲内となる位置とすることができる。
次に、分級装置31を用いた分級方法及び分級粒子の製造方法について説明する。
まず、第2の実施形態と同様に、分級槽32の内部に配置された供給管11の供給口12からスラリーを分級槽32内に供給する。
すると、スラリーが第二流出口23から流出する。そこで、第二流出口23から流出するスラリーの流量が、供給口12から分級槽32に供給されたスラリーの流量よりも小さくなるように、流量調節部材24を調節する。これにより、分級槽32内のスラリーの水位が徐々に上昇していく。そして、スラリーの水位が第一流出口13に至ると、分級槽32内のスラリーが第一流出口13に溢れ出す。これにより、分級槽32内では、供給口12から供給されたスラリーにより分級槽32内のスラリーが押し上げられて、上方向への液流が発生する。
このとき、分級槽32内のスラリーは、整流部材33により上方向に真直ぐ案内される。これにより、供給口12から供給されたスラリーにより発生する液流は上下方向に整流されるため、分級槽32内に発生される液流の乱れが抑制され、粒径に応じた粒子の分離が更に促進される。
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法について説明する。第4の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法は、基本的に、第2の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法と同様であるが、ゼータ電位の粒径依存性をも利用してスラリー中の粒子を分級する点で、第2の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法と相違する。このため、以下では、第2の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法と相違する部分のみを説明し、第2の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法と同じ部分の説明を省略する。
図4は、第4の実施形態に係る分級装置を概念的に示した縦断面模式図である。図4に示すように、第4の実施形態に係る分級装置41は、スラリー中の粒子を分級するとともに分級された分級粒子を製造する分級装置であって、分散装置2と、フィードポンプ3と、バッファタンク4と、分級槽42と、を備えている。
分級槽42は、基本的に第2の実施形態に係る分級装置21の分級槽22と同様であるが、分級槽42に供給されたスラリーに電場を印加する上部電極43及び下部電極44と、上部電極43及び下部電極44に電圧を印加する電圧制御部45と、が設けられている点のみ分級槽22と相違する。つまり、分級槽22と同様に、分級槽42の内部の底部付近に、供給管11の供給口12が配置されており、分級槽42の上部に、分級槽42に供給されたスラリーを流出させる第一流出口13が形成されており、分級槽42の底壁に、流量調節部材24が取り付けられて分級槽42に供給されたスラリーを流出させる第二流出口23が形成されている。
上部電極43は、分級槽42に供給されたスラリーに電場を印加するために、例えば、導電性高分子、金属等の導電性を有する素材で構成されている。上部電極43は、分級槽42内の上部であって、第一流出口13よりも下方に配置されている。なお、上部電極43を分級槽42内に配置するためには、例えば、分級槽42の内側壁の上部に突起(不図示)を設け、上部電極43を、分級槽42の上部開口から分級槽42内に挿入して、この突起に載置すればよい。なお、上部電極43には、分級槽42に供給されたスラリーをスムーズに通過させるために、複数の貫通孔が形成されている。
下部電極44は、分級槽42に供給されたスラリーに電場を印加するために、例えば、導電性高分子、金属等の導電性を有する素材で構成されている。下部電極44は、分級槽42内の下部に配置されている。この場合、下部電極44は、供給口12よりも上方及び下方の何れに配置されてもよいが、供給口12よりも上方に配置される方が好ましい。図4では、供給口12よりも上方に下部電極44を配置した例を示している。なお、下部電極44を分級槽42内に配置するためには、例えば、分級槽42の内側壁の下部に突起(不図示)を設け、下部電極44を、分級槽42の上部開口から分級槽42内に挿入して、この突起に載置すればよい。なお、下部電極44には、分級槽42に供給されたスラリーをスムーズに通過させるために、複数の貫通孔が形成されている。
電圧制御部45は、上部電極43及び下部電極44と電気的に接続されている。そして、電圧制御部45は、上部電極43及び下部電極44に印加する電圧の大きさを変更することが可能になっているとともに、上部電極43及び下部電極44に印加する電圧の極性を変更することが可能となっている。
ここで、分級装置41を用いた分級方法及び分級粒子の製造方法を説明する前に、シリカ粒子を例として、ゼータ電位の粒径依存性について簡単に説明する。
まず、0.75質量%の濃度でシリカ粒子が含まれたスラリーをビーズミル処理し、このスラリーを沈降槽に供給する。そして、沈降槽の上部と下部とに20Vの電圧を印加した状態で、沈降天秤法によりシリカ粒子を沈降させることで、沈降曲線を求める。
次に、沈降天秤法の実験条件及び沈降曲線のデータを、式(2)及び式(3)に代入し、粒径ごとのゼータ電位ζを算出する。なお、式(3)において、ゼータ電位ζは、2次式で表しているが、1次式で表してもよく、3次以上の高次式で表してもよい。
このようにして計算したゼータ電位ζとシリカ粒子の粒径Dとの関係を図6に示す。なお、図6では、ゼータサイザー及び沈降天秤法を用いてゼータ電位ζを推算したものである。図6に示すように、シリカ粒子は、ゼータ電位ζがマイナス(−)に荷電されており、粒径が大きくなるほどゼータ電位ζの絶対値が大きくなり、粒径が小さくなるほどゼータ電位ζの絶対値が小さくなっている。このことから、ゼータ電位ζは粒径に依存して変化していることが分かる。
Figure 0006142352

次に、分級装置41を用いた分級方法及び分級粒子の製造方法について図4を用いて説明する。
まず、粒径の異なる粒子が含有されたスラリーを分散装置2に投入する。そして、分散装置2でスラリーを撹拌して、スラリー中の粒子を分散させることで、各粒子を荷電させる。なお、粒子の荷電は、必ずしも分散装置2で行う必要はなく、例えば、粒子に官能基を付与することによっても行うことができる。ここで、ゼータ電位は粒径に依存するため、各粒子には、粒径に応じたゼータ電位が付与される。
次に、フィードポンプ3で、分散装置2から荷電されたスラリーを汲み上げてバッファタンク4に送り出し、バッファタンク4で、このスラリーを供給口12から分級槽42内に供給する。
すると、スラリーが第二流出口23から流出する。そこで、第二流出口23から流出するスラリーの流量が、供給口12から分級槽42に供給されたスラリーの流量よりも小さくなるように、流量調節部材24を調節する。これにより、分級槽42内のスラリーの水位が徐々に上昇していく。そして、スラリーの水位が第一流出口13に至ると、分級槽42内のスラリーが第一流出口13に溢れ出す。これにより、分級槽42内では、供給口12から供給されたスラリーにより分級槽42内のスラリーが押し上げられて、上方向への液流が発生する。
また、スラリーの水位が上部電極43に至って上部電極43がスラリーに浸かると、電圧制御部45により、上部電極43及び下部電極44に異なる極性の電圧を印加する。これにより、分級槽42内のスラリーには、上下方向の電場が印加される。このとき、上部電極43に、粒子の電荷極性と同じ極性の電圧を印加し、下部電極44に、粒子の電荷極性と異なる極性の電圧を印加する。これにより、スラリー中の粒子は、上部電極43側から下部電極44側に電気泳動する。
但し、上部電極43及び下部電極44に印加する電圧の極性は、特に制限されるものではなく、適宜変更することができる。
上述したように、ゼータ電位は粒径に依存するため、粒子の電気泳動は、小粒径の粒子よりも大粒径の粒子の方が速くなる。そこで、小粒径の粒子の電気泳動よりもスラリーの液流が速くなり、且つ、大粒径の粒子の電気泳動よりもスラリーの液流が遅くなるように、バッファタンク4において、供給管11から分級槽22に送り出すスラリーの流量を調節する。
すると、スラリー中の小粒径の粒子は、スラリーの液流に乗って上昇して、第一流出口13から流出する。このため、第一流出口13から流出されたスラリーを回収することで、小粒径の粒子を回収することができる。これにより、小粒径の粒子に分級された分級粒子が製造される。
一方、スラリー中の大粒径の粒子は、電気泳動により下降して、第二流出口23から流出する。このため、第二流出口23から流出されたスラリーを回収することで、大粒径の粒子を回収することができる。つまり、大粒径の粒子に分級された分級粒子を製造することができる。
以上説明したように、第4の実施形態によれば、上部電極43及び下部電極44に電圧を印加して分級槽42内に電場を生じさせることで、荷電されたスラリー中の粒子を、下部電極44側に電気泳動させることができる。そして、粒径に応じたゼータ電位が粒子に付与されたスラリーを分級槽42に供給し、上部電極43及び下部電極44に電圧を印加して分級槽42内のスラリーに電場を生じさせることで、粒径に応じて粒子の電気泳動速度を異ならせることができる。このため、液流の下流側に配置される上部電極43に粒子の電荷極性と同じ電極の電圧を印加し、液流の上流側に配置される下部電極44に粒子の電荷極性と異なる電極の電圧を印加することで、スラリーの液流と相まって、スラリー中の粒子を粒径に応じて上下に分離させることができる。これにより、スラリー中の粒子をより高精度かつ短時間に分級することができる。
[第5の実施形態]
次に、第5の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法について説明する。第5の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法は、第3及び第4の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法を組み合わせたものである。このため、以下では、第3及び第4の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法と相違する部分のみを説明し、第3及び第4の実施形態に係る分級装置、分級方法及び分級粒子の製造方法と同じ部分の説明を省略する。
図5は、第5の実施形態に係る分級装置を概念的に示した縦断面模式図である。図5に示すように、第5の実施形態に係る分級装置51は、スラリー中の粒子を分級するとともに分級された分級粒子を製造する分級装置であって、分散装置2と、フィードポンプ3と、バッファタンク4と、分級槽52と、を備えている。
分級槽52は、第2の実施形態に係る分級装置21の分級槽22に、整流部材33を設け、更に、ゼータ電位の粒径依存性をも利用してスラリー中の粒子を分級するものである。つまり、分級槽52の内部の底部付近に、供給管11の供給口12が配置されており、分級槽52の上部に、分級槽52に供給されたスラリーを流出させる第一流出口13が形成されており、分級槽52の底壁に、流量調節部材24が取り付けられて分級槽52に供給されたスラリーを流出させる第二流出口23が形成されている。また、分級槽52に、整流部材33と、分級槽52に供給されたスラリーに電場を印加する上部電極43及び下部電極44と、上部電極43及び下部電極44に電圧を印加する電圧制御部45と、が設けられている。
このように、第3及び第4の実施形態を組み合わせることで、これらの実施形態の全ての作用効果を得ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、第2〜第5の実施形態では、流量調節部材24により第二流出口23から流出されるスラリーの流量を調節するものとして説明したが、第二流出口23自体の内径により第二流出口23から流出されるスラリーの流量を調節するものとしてもよい。例えば、この流量を小さくしたい場合は、内径の小さい第二流出口23を用い、この流量を大きくしたい場合は、内径の大きい第二流出口23を用いる。
また、上記の各実施形態では、空の分級槽にスラリーを供給するものとして説明したが、予め水等の流体を分級槽に充填しておき、この流体が充填された分級槽内に供給口からスラリーを供給するものとしてもよい。この場合、供給口からスラリーが供給されると、まず、予め分級槽に充填された流体が第一流出口から溢れ出し、その後、供給口から供給されたスラリーが第一流出口から溢れ出す。これにより、分級槽内では、供給口から供給されたスラリーにより分級槽内のスラリーが上方向に押し上げられて、上方向への液流が発生する。
また、第4及び第5の実施形態では、上方向の液流を発生させ、粒子を下方向に電気泳動させるものとして説明したが、下方向の液流を発生させ、粒子を上方向に電気泳動させるものとしてもよい。この場合、第二流出口23から流出されるスラリーの流量を、第一流出口13から流出されるスラリーの流量よりも大きくすることで、下方向の液流を発生させることができる。また、この場合、図7に示す分級装置61の分級槽62のように、供給管11の水平管部11bを分級槽62の上部に配置し、この水平管部11bに供給口12を下向きに形成することで、下方向の液流を円滑に発生させることができる。また、この場合、図7に示す分級装置61の分級槽62のように、上部電極43に、粒子の電荷極性と異なる極性の電圧を印加し、下部電極44に、粒子の電荷極性と同じ極性の電圧を印加することで、粒子を液流とは反対の上方向に電気泳動させることができる。
また、上記の各実施形態は、第5の実施形態のように適宜組み合わせることができる。例えば、第1の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせてもよく、第1の実施形態と第4の実施形態とを組み合わせてもよい。
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
実験装置として、図8に示す分級装置71を用いた。図8に示す分級装置71は、分散装置2と、フィードポンプ3と、バッファタンク4と、分級槽72と、を備えている。そして、分級槽72の内部の底部付近に、供給管11の供給口12が配置されており、分級槽72の上部に、分級槽72に供給されたスラリーを流出させる第一流出口13が形成されており、分級槽72の底壁に、流量調節部材24が取り付けられて分級槽72に供給されたスラリーを流出させる第二流出口23が形成されている。また、分級槽72の上部に、整流部材33が設置されており、分級槽72の上部及び下部に、電圧制御部45に接続された上部電極43及び下部電極44が設置されている。
原料スラリーとして、20℃のイオン交換水に、0.05質量%の濃度でアクリル粒子を含ませ、780Wの超音波出力で5分間アクリル粒子を分散処理したものを用いた。図9は、画像解析法により求めた原料スラリーに含まれるアクリル粒子の粒度分布を示すグラフである。なお、原料スラリー中には、直径が6μm以上の粒子が20ppmの割合で含まれており、実施例1では、この直径が6μm以上の大粒子を除去することを目的とする。このため、実施例1では、直径が6μm以上の粒子を大粒子といい、直径が6μm未満の粒子を小粒子という。
なお、供給口12から分級槽に供給する原料スラリーをOriginalとし、第一流出口13から流出されるスラリーをFineとし、第二流出口23から流出されるスラリーをCoarseとする。また、供給口12から分級槽に供給する原料スラリーの流量をQfeedとし、第一流出口13から流出されるスラリーの流量をQfineとし、第二流出口23から流出されるスラリーの流量をQcoarseとする。
[実施例1−1]
実施例1−1では、分級装置71から整流部材33を取り外し、流量調節部材24により第二流出口23を閉じて(第二流出口23から流出するスラリーの流量をゼロとして)、上部電極43及び下部電極44に電圧を印加することなく、供給口12から原料スラリーを供給して、上方向の液流を発生させた。流量Qfeedを21.6cc/minとし、流量Qfineを21.6cc/minとした。実験条件を表1に示す。
実験開始後、分級槽72が定常状態になると、第一流出口13からスラリーを回収し、この回収したスラリーを画像解析法で観察することで、小粒子及び大粒子の検出率と収率とを求めた。結果を表2に示す。
[実施例1−2]
実施例1−2では、流量調節部材24により第二流出口23を閉じて(第二流出口23から流出するスラリーの流量をゼロとして)、上部電極43及び下部電極44に30Vの電圧を印加して、供給口12から原料スラリーを供給して、上方向の液流を発生させた。流量Qfeedを41.0cc/minとし、流量Qfineを41.0cc/minとした。ここで、アクリル粒子は、マイナス(−)に荷電されることから、上部電極43にマイナス(−)の電圧を印加し、下部電極44にプラス(+)の電圧を印加し、アクリル粒子を上部電極43側から下部電極44側に電気泳動させた。実験条件を表1に示す。
実験開始後、分級槽72が定常状態になると、第一流出口13からスラリーを回収し、この回収したスラリーを画像解析法で観察することで、小粒子及び大粒子の検出率と収率とを求めた。結果を表2に示す。
[実施例1−3]
実施例1−3では、流量調節部材24により第二流出口23を開いて、上部電極43及び下部電極44に30Vの電圧を印加して、供給口12から原料スラリーを供給して、上方向の液流を発生させた。流量Qfeedを71.0cc/minとし、流量Qfineを41.0cc/minとし、流量Qcoarseを30.0cc/minとした。ここで、アクリル粒子は、マイナス(−)に荷電されることから、上部電極43にマイナス(−)の電圧を印加し、下部電極44にプラス(+)の電圧を印加し、アクリル粒子を上部電極43側から下部電極44側に電気泳動させた。実験条件を表1に示す。
実験開始後、分級槽72が定常状態になると、第一流出口13及び第二流出口23からスラリーを回収し、この回収したスラリーを画像解析法で観察することで、小粒子及び大粒子の検出率と収率とを求めた。結果を表2に示す。
Figure 0006142352

Figure 0006142352

[実施例1の結果]
表1及び表2に示すように、電圧印加なし及び整流部材なしの条件で実験を行った実施例1−1では、大粒子を除去することができなかった。これは、アクリル粒子は密度が小さいため、沈降速度が非常に遅く、分級完了まで長時間を要してしまうことが原因であると考えられる。このため、供給口12から分級槽72に供給する原料スラリーの流量をもう少し小さくすることで、大粒子を除去できるのではないかと考えられる。
また、電圧を印加して流量を上げることで、処理量の増加及び実験時間の短縮化を目的として実験を行った実施例1−2では、大粒子を完全に除去できていることが分かる。なお、実施例1−2では、実施例1−1に対して流量Qfeedを2倍に上げているにもかかわらず、実施例1に比べて小粒子の収率が半分になってしまっている。これは、電圧の影響が強かったために、分離径以上の粒子も分級槽72の底部への電気泳動してしまったためだと考えられる。
また、電圧を印加するとともに分級槽72の底部からもスラリーを抜き出した実施例1−3では、十分に分級できていることから、電場印加の効果が有効であることが分かる。
[実施例2]
実験装置として、図10に示す分級装置81を用いた。図10に示す分級装置81は、分散装置2と、フィードポンプ3と、バッファタンク4と、分級槽82と、を備えている。そして、分級槽82の内部の底部付近に、供給管11の供給口12が配置されており、分級槽82の上部に、分級槽82に供給されたスラリーを流出させる第一流出口13が形成されており、分級槽82の底壁に、流量調節部材24が取り付けられて分級槽82に供給されたスラリーを流出させる第二流出口23が形成されている。また、分級槽82の上部及び下部に、整流部材33が設置されている。
原料スラリーとして、20℃のイオン交換水に、0.05質量%の濃度でシリカ粒子を含ませ、300Wの超音波出力で5分間シリカ粒子を分散処理したものを用いた。レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(particle size distribution analyzer)LA−950(商品名)で測定された原料スラリー(Original)の粒度分布を図11に示す。
[実施例2−1]
実施例2−1では、分級装置81から上部及び下部に設置された整流部材33を取り外し、流量調節部材24により第二流出口23を閉じて、供給口12から原料スラリーを供給して、上方向の液流を発生させた。流量Qfeedを48.0cc/minとし、流量Qfineを48.0cc/minとした。実験条件を表3に示す。
実験開始後、分級槽82が定常状態になると、一定時間ごとに第一流出口13から流出されるスラリーを回収し、各時間での収率を算出した。実験終了後、これらの平均収率を求め、この平均収率に最も近い値をとった時間において回収したスラリーに含まれる粒子の粒度を測定することで、部分分離効率曲線(Partial separation efficiency curve)を作成した。作成した部分分離効率曲線を図12に示す。なお、粒度の測定には、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−950を用いた。
[実施例2−2]
実施例2−2では、分級装置81から上部及び下部に設置された整流部材33を取り外し、流量調節部材24により第二流出口23を開いて、供給口12から原料スラリーを供給して、上方向の液流を発生させた。流量Qfeedを48.0cc/minとし、流量Qfineを18.0cc/minとし、流量Qcoarseを30.0cc/minとした。実験条件を表3に示す。
実験開始後、分級槽82が定常状態になると、一定時間ごとに第一流出口13及び第二流出口23から流出されるスラリーを回収し、各時間での収率を算出した。実験終了後、これらの平均収率を求め、この平均収率に最も近い値をとった時間において回収したスラリーに含まれる粒子の粒度を測定することで、部分分離効率曲線を作成した。作成した部分分離効率曲線を図12に示す。なお、粒度の測定には、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−950を用いた。
Figure 0006142352

[実施例2の結果]
表3及び図12に示す部分分離効率曲線により、第二流出口23からスラリーを流出させた方が、より狭い粒径範囲で分級を行なえていることが分かる。また、第一流出口13からスラリーを回収したところ、直径が1μm以下の粒子を分級できていた。
[実施例3]
実施例3では、整流部材が分級性能に与える影響を検討するために、実施例2と同じ実験装置及び原料スラリーを用いて以下の実験を行った。
[実施例3−1]
実施例3−1では、分級装置81から上部及び下部に設置される整流部材33を取り外し、流量調節部材24により第二流出口23を開いて、供給口12から原料スラリーを供給して、上方向の液流を発生させた。流量Qfeedを108.0cc/minとし、流量Qfineを78.0cc/minとし、流量Qcoarseを30.0cc/minとした。実験条件を表4に示す。
そして、実施例2と同様にして、部分分離効率曲線を作成した。作成した部分分離効率曲線を図13に示す。
[実施例3−2]
実施例3−2では、分級装置81から下部に設置される整流部材33のみを取り外して上部に設置されている整流部材33を残し、流量調節部材24により第二流出口23を開いて、供給口12から原料スラリーを供給して、上方向の液流を発生させた。流量Qfeedを108.0cc/minとし、流量Qfineを78.0cc/minとし、流量Qcoarseを30.0cc/minとした。実験条件を表4に示す。
そして、実施例2と同様にして、部分分離効率曲線を作成した。作成した部分分離効率曲線を図13に示す。
[実施例3−3]
実施例3−2では、分級装置81の上部及び下部に設置されている整流部材33を残し、流量調節部材24により第二流出口23を開いて、供給口12から原料スラリーを供給した。流量Qfeedを108.0cc/minとし、流量Qfineを78.0cc/minとし、流量Qcoarseを30.0cc/minとした。実験条件を表4に示す。
そして、実施例2と同様にして、部分分離効率曲線を作成した。作成した部分分離効率曲線を図13に示す。
Figure 0006142352

[実施例3の結果]
表4及び図13より、実施例3の各流量条件においては、整流部材33を上部にのみ設置することで最も分級性能を向上させることができることが分かった。また、第一流出口13からスラリーを回収したところ、直径が1μm以下の粒子を分級できていた。
[実施例4]
実施例4では、整流部材を上部にのみ設置した場合の流量の変化を検討するために、実施例2と同じ実験装置及び原料スラリーを用いて以下の実験を行った。
[実施例4−1]
実施例4−1では、分級装置81から下部に設置される整流部材33のみを取り外して上部に設置されている整流部材33を残し、流量調節部材24により第二流出口23を開いて、供給口12から原料スラリーを供給して、上方向の液流を発生させた。流量Qfeedを108.0cc/minとし、流量Qfineを78.0cc/minとし、流量Qcoarseを30.0cc/minとした。実験条件を表5に示す。
そして、実施例2と同様にして、部分分離効率曲線を作成した。作成した部分分離効率曲線を図14に示す。
[実施例4−2]
実施例4−2では、分級装置81から下部に設置される整流部材33のみを取り外して上部に設置されている整流部材33を残し、流量調節部材24により第二流出口23を開いて、供給口12から原料スラリーを供給して、上方向の液流を発生させた。流量Qfeedを78.0cc/minとし、流量Qfineを48.0cc/minとし、流量Qcoarseを30.0cc/minとした。実験条件を表5に示す。
そして、実施例2と同様にして、部分分離効率曲線を作成した。作成した部分分離効率曲線を図14に示す。
Figure 0006142352

[実施例4の結果]
表5及び図14より、実施例4の各流量条件において、整流部材33を上部のみに設置した条件では、流量を変化させても大きな効果の違いは見られなかった。この結果及び実施例3の結果より、整流部材33を上部に設置することで、流量の大小にかかわらず効果的に分級できることが分かった。また、第一流出口13からスラリーを回収したところ、直径が1μm以下の粒子を分級できていた。
[実施例5]
実験装置として、第4の実施形態に係る分級装置41(図4参照)を用い、原料スラリーとして、実施例2と同じものを用いて、以下の実験を行った。
[実施例5−1]
実施例5−1では、流量調節部材24により第二流出口23を開いて、上部電極43及び下部電極44に電圧を印加することなく、供給口12から原料スラリーを供給して、上方向の液流を発生させた。流量Qfeedを45.0cc/minとし、流量Qfineを15.0cc/minとし、流量Qcoarseを30.0cc/minとした。実験条件を表6に示す。
そして、実施例2と同様にして、部分分離効率曲線を作成した。作成した部分分離効率曲線を図15に示す。
また、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−950で測定されたFineの粒度分布を図16及び図18に示す。
[実施例5−2]
実施例5−2では、流量調節部材24により第二流出口23を開いて、上部電極43及び下部電極44に20Vの電圧を印加して、供給口12から原料スラリーを供給して、上方向の液流を発生させた。ここで、シリカ粒子は、マイナス(−)に荷電されることから、上部電極43にマイナス(−)の電圧を印加し、下部電極44にプラス(+)の電圧を印加し、シリカ粒子を上部電極43側から下部電極44側に電気泳動させた。流量Qfeedを45.0cc/minとし、流量Qfineを15.0cc/minとし、流量Qcoarseを30.0cc/minとした。実験条件を表6に示す。
そして、実施例2と同様にして、部分分離効率曲線を作成した。作成した部分分離効率曲線を図15に示す。
また、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−950で測定されたFineの粒度分布を図17及び図18に示す。
Figure 0006142352

[実施例5の結果]
表6及び図15〜図18より、電圧を印加する実施例5−2は、電圧を印加しない実施例5−1よりも分級精度が高くなることが分かる。この結果より、電場印加の効果が有効であることが分かる。また、第一流出口13からスラリーを回収したところ、直径が1μm以下の粒子を分級できていた。
1…分級装置、2…分散装置、3…フィードポンプ、4…バッファタンク(液流発生部)、5…分級槽、11…供給管、11a…垂直管部、11b…水平管部、12…供給口、13…第一流出口(液流発生部)、21…分級装置、22…分級槽、23…第二流出口、24…流量調節部材、31…分級装置、32…分級槽、33…整流部材、41…分級装置、42…分級槽、43…上部電極、44…下部電極、45…電圧制御部、51…分級装置、52…分級槽、61…分級装置、62…分級槽、71…分級装置、72…分級槽、81…分級装置、82…分級槽。

Claims (18)

  1. スラリー中の粒子を分級する分級装置であって、
    前記スラリーが供給される槽と、
    前記槽の内部に配置されて前記スラリーを前記槽に供給する供給口と、
    前記供給口から供給された前記スラリーにより前記槽内に上下方向の液流を発生させる液流発生部と、
    前記槽の上部に配置される上部電極と、
    前記槽の下部に配置される下部電極と、
    前記上部電極及び前記下部電極に電圧を印加する電圧制御部と、
    を備え、
    前記上部電極及び前記下部電極の対向方向は、前記スラリーの液流と同じ方向である、
    分級装置。
  2. 前記供給口から前記槽に前記スラリーを供給する供給装置を更に備え、
    前記供給装置は、小粒径の前記粒子の電気泳動よりも前記スラリーの液流が早くなり、且つ、大粒径の前記粒子の電気泳動よりも前記スラリーの液流が遅くなるように、前記槽に供給する前記スラリーの流量を調整する、
    請求項1に記載の分級装置。
  3. 前記液流発生部は、前記槽の上部に形成されて前記スラリーが流出する第一流出口を有する、
    請求項1又は2に記載の分級装置。
  4. 前記槽の底壁に形成されて前記スラリーが流出する第二流出口を更に備える、
    請求項3に記載の分級装置。
  5. 前記第二流出口から流出する前記スラリーの流量を調節する流量調節部材を更に備える、
    請求項4に記載の分級装置。
  6. 前記槽内を複数の上下に延びる空間に仕切る整流部材を更に備える、
    請求項1〜5の何れか一項に記載の分級装置。
  7. スラリー中の粒子を分級する分級方法であって、
    槽の上部に上部電極を配置するとともに前記槽の下部に下部電極を配置しておき、
    粒径に応じたゼータ電位を前記粒子に付与し、
    前記上部電極及び前記下部電極が前記スラリーに浸かるまで前記槽の内部に配置された供給口から前記スラリーを槽に供給し、
    粒径に応じた上下方向の力が前記粒子に作用している状態において、前記上部電極及び前記下部電極に電圧を印加して、前記供給口から供給された前記スラリーにより前記槽内に上下方向の液流を発生させ、
    前記上部電極及び前記下部電極の対向方向を、前記スラリーの液流と同じ方向とする、
    分級方法。
  8. 小粒径の前記粒子の電気泳動よりも前記スラリーの液流が早くなり、且つ、大粒径の前記粒子の電気泳動よりも前記スラリーの液流が遅くなるように、前記供給口から前記槽に供給する前記スラリーの流量を調整する、
    請求項7に記載の分級方法。
  9. 前記槽の上部に形成された第一流出口から前記スラリーを流出させる、
    請求項7又は8に記載の分級方法。
  10. 前記槽の底壁に形成された第二流出口から前記スラリーを流出させる、
    請求項9に記載の分級方法。
  11. 前記第一流出口から流出させる前記スラリーの流量を、前記第二流出口から流出させる前記スラリーの流量よりも多くする、
    請求項10に記載の分級方法。
  12. 前記槽内を複数の上下に延びる空間に仕切る整流部材により、前記供給口から供給された前記スラリーにより発生される液流を上下方向に整流する、
    請求項7〜11の何れか一項に記載の分級方法。
  13. 分級された粒子を製造する分級粒子の製造方法であって、
    槽の上部に上部電極を配置するとともに前記槽の下部に下部電極を配置しておき、
    粒径に応じたゼータ電位を前記粒子に付与し、
    前記上部電極及び前記下部電極がスラリーに浸かるまで前記槽の内部に配置された供給口から粒子が含有されたスラリーを槽に供給し、
    粒径に応じた上下方向の力が前記粒子に作用している状態において、前記上部電極及び前記下部電極に電圧を印加して、前記供給口から供給された前記スラリーにより前記槽内に上下方向の液流を発生させ、
    前記上部電極及び前記下部電極の対向方向を、前記スラリーの液流と同じ方向とする、
    分級粒子の製造方法。
  14. 小粒径の前記粒子の電気泳動よりも前記スラリーの液流が早くなり、且つ、大粒径の前記粒子の電気泳動よりも前記スラリーの液流が遅くなるように、前記供給口から前記槽に供給する前記スラリーの流量を調整する、
    請求項13に記載の分級粒子の製造方法。
  15. 前記槽の上部に形成された第一流出口から前記スラリーを流出させる、
    請求項13又は14に記載の分級粒子の製造方法。
  16. 前記槽の底壁に形成された第二流出口から前記スラリーを流出させる、
    請求項15に記載の分級粒子の製造方法。
  17. 前記第一流出口から流出させる前記スラリーの流量を、前記第二流出口から流出させる前記スラリーの流量よりも多くする、
    請求項16に記載の分級粒子の製造方法。
  18. 前記槽内を複数の上下に延びる空間に仕切る整流部材により、前記供給口から供給された前記スラリーにより発生される液流を上下方向に整流する、
    請求項13〜17の何れか一項に記載の分級粒子の製造方法。
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