[第1の実施の形態]
図1は、第1実施形態に係る排水装置110の接続構造10が用いられる槽体100を示し、図2は、その接続構造10の分解図を示す。槽体100は、家屋のキッチン等に設置されるシンクを示す。槽体100は、吐水等された水を受けられればよく、この他に洗面ボウル等でもよい。槽体100の素材は、図示の例において、樹脂材料としての人工大理石が用いられているが、他の樹脂材料でもよいし、ステンレス等の金属材料でもよい。
槽体100の底面部101には、上下方向に貫通する排水孔103が形成される。槽体100の底面101aは、排水孔103周りにおいて、その排水孔103に向かうにつれて下り勾配となるように傾斜して設けられる。
排水孔103は、垂下壁105と、係合壁107とを含む。垂下壁105は、排水孔103の上端縁103aから内周を下方に垂下して筒状に形成される。係合壁107は、垂下壁105の下部から排水孔103の径方向内側に環状に突出して設けられる。係合壁107は、その内径が垂下壁105の内径より小さく形成される。排水孔103は、垂下壁105と係合壁107とが上下に並んだ段付孔として形成される。垂下壁105と係合壁107とは、槽体100の底面部101の一部として一体成形される。
排水孔103には、後述の接続構造10により排水装置110が接続される。排水装置110は中継管147を介して下水側の下水管(図示せず)に接続される。槽体100内で使用された水は、排水孔103を通して排水装置110の本体121(後述する)に流れ、排水装置110の本体121は、排水孔103から流れた水を中継管147を通して外部である下水管に排出する。
本実施形態に係る排水装置110は、封水筒131を用いた排水トラップである。排水装置110は、連結体111と、本体121と、封水筒131とを備える。
連結体111は、排水装置110の一部を構成し、後述の接続具30と本体121とを繋ぐものとして設けられる。連結体111は、図示の例では、本体121と別体に設けられる。連結体111は、図3に示すように、排水孔103の周縁部109の下側に配置され、後述の接続具30により、排水孔103に対して固定される。この周縁部109は、排水孔103の周りに槽体100の一部として設けられた部位であり、垂下壁105及び係合壁107と、排水孔103の上端縁103a周りに設けられた環状部分101bとの両方が含まれる。
連結体111は、被固定部112と、上側嵌合部113と、下側嵌合部115と、上側フランジ部117とを含む。連結体111は、樹脂材料を素材としており、これらが一体成形される。
被固定部112は、環状に形成され、その内側に挿通孔112aが形成される。上側嵌合部113は、被固定部112の上側において、上方に開口して下方に窪む凹みとして設けられ、その内側に筒状の垂下壁105が嵌合される。下側嵌合部115は、被固定部112の外周側において、下方に開口して上方に窪む筒状の溝として設けられ、その内側に排水装置110の本体121の上端部121bが嵌合される。上側フランジ部117は、下側嵌合部115の外周側に設けられる。
図1、図2に戻り、本体121は、上端側に流入口としての開口が設けられた有底筒状に形成され、その側部に流出口123が形成される。本体121の流出口123には排出管125が設けられ、排出管125の先端部には中継管147が接続される。
本体121は、その上部の外周面に下側フランジ部127が設けられる。下側フランジ部127は、連結体111の上側フランジ部117に当接され、これらを留め具149により挟み込んで連結体111に本体121が固定される。連結体111の下側嵌合部115と本体121とは、何れか一方の周面(図示は本体121の外周面)に環状溝が形成され、その環状溝内に配置されたシール部材としてのOリング129によりシールされる。
封水筒131は、排水孔103を通して本体121内に上側から挿通され、後述の接続具30により、排水孔103に対して上下に固定される。封水筒131の下端部131aは、本体121の底面121aから上側に間隔を空けた位置であって、本体121の流出口123より下側に配置される。排水装置110は、封水筒131内に第1流路141が設けられ、その封水筒131の下部と本体121との間に第2流路143が設けられる。第1流路141は、封水筒131の上端から下端まで続く。第2流路143は、封水筒131の下端から本体121の流出口123まで続く。
第1流路141と第2流路143とには、本体121の流出口123より下方に封水145が貯留される。つまり、排水トラップとしての排水装置110は、その流入側である槽体100側から流出側である下水側にかけての流路の一部に、空気の流れを遮断する封水145が貯留される。この封水145により、下水側から槽体100の内外への異臭や衛生害虫等の侵入が防止される。
排水装置110の接続構造10は、図3に示すように、排水孔103と、連結体111と、封水筒131の他に、接続具30と、上側シール部材50(第1シール部材)と、下側シール部材60(第2シール部材)とを含む。
接続具30は、排水孔103に排水装置110を接続する口金として機能する。接続具30は、上側接続部材31(第1接続部材)と、下側接続部材41(第2接続部材)とを備える。上側接続部材31は、外筒部33と、下側係止部35とを備える。上側接続部材31は、図示の例では、ステンレス等の金属材料を素材としており、外筒部33と下側係止部35とが一体成形される。
外筒部33は、排水孔103に上側から挿通される。また、外筒部33は、排水孔103の下側において、連結体111の被固定部112の挿通孔112aに上側から挿通される。外筒部33の外周面及び内周面は、本実施形態において、その上下方向にかけて段差のない直線状に延びた曲面として形成される。外筒部33は、その外径が排水孔103の内径より僅かに小さくなるように形成される。
下側係止部35は、外筒部33の上端部に外向きフランジとして環状に設けられる。下側係止部35の外径は、排水孔103の垂下壁105の内径より小さく、係合壁107の内径より大きくなるように形成される。下側係止部35は、排水孔103の係合壁107の上面に上側シール部材50を介して上側から係止される。つまり、接続具30の上部は、段付孔としての排水孔103の段差面108に係止される。
上側接続部材31の上端部31aは、垂下壁105内の下部に配置される。上側接続部材31は、下側係止部35の係止により、垂下壁105内の下部にて固定される。つまり、接続具30の上端部30aは、垂下壁105内の下部にて固定される。上側接続部材31の上端部31aは、垂下壁105の上下方向の中央位置105aより下方に収まるように配置される。これらにより、封水筒131を取り外して槽体100の底面101aを見たときに、排水孔103の上端縁103aに上側接続部材31の一部が隠れ、接続具30が露出して見え難くなる。また、垂下壁105の内周面105bは、図示のように、鉛直方向に沿って形成されると好ましい。排水孔103の上端縁103aに上側接続部材31の一部が隠れ易くなり、接続具30を更に見え難くできる。
図4(a)は、上側接続部材31に下側接続部材41が装着された状態を示す平面断面図であり、(b)は(a)のA−A線断面図であり、(c)は(b)のB部拡大図である。なお、図4(a)は(b)のC−C線断面図でもある。また、図5は、上側接続部材31から下側接続部材41を取り外した状態を示す図である。
下側接続部材41は、筒状部42を含み、樹脂材料等を素材として成形される。筒状部42は、その内側に上側接続部材31の外筒部33が配置される。
下側接続部材41は、その周方向に分割した複数の分割体43(図示は2つ)を結合して構成される。各分割体43は、上側接続部材31の外筒部33を取り囲むように配置される。各分割体43は、その周方向の対向する端部の一方に径方向に突出する突起としての爪部43aが設けられ、他方に径方向に窪む凹みとしての受け部43bが設けられる。各分割体43は、一方の分割体43の爪部43aが他方の分割体43の受け部43bに係合されて結合される。
複数の分割体43の互いに対向する端部を遠ざけるようにある程度の力を加えて移動させると、分割体43の周方向端部の弾性変形を伴い受け部43b内から爪部43aが抜け出る。一方、複数の分割体43の互いに対向する端部を近づけるように移動させると、分割体43の周方向端部の弾性変形を伴い受け部43b内に爪部43aが差し込まれ、爪部43aが受け部43bに係合されて結合される。つまり、複数の分割体43は脱着可能に結合される。
下側接続部材41の筒状部42には、排水孔103の径方向内側に突起としての係合部45が設けられる。上側接続部材31の外筒部33には、排水孔103の下側において、貫通孔33aにより構成される被係合部が設けられる。貫通孔33aは、外筒部33を径方向に貫通する。
下側接続部材41の係合部45は、複数の分割体43を結合したときに、外筒部33の貫通孔33aを貫通して排水孔103の径方向内側に向けて突出し、貫通孔33aに嵌合される。係合部45は貫通孔33aの底面に係合し、その係合により上側接続部材31に下側接続部材41が上下方向に位置決めされる。また、係合部45が貫通孔33aに嵌合するため、上側接続部材31に下側接続部材41が周方向に位置決めされる。
複数の分割体43の結合を解除するように移動させると、下側接続部材41の係合部45が貫通孔33aから径方向に抜き出される。一方、下側接続部材41の係合部45を貫通孔33aに差し込むように移動させると、係合部45が貫通孔33aに嵌合されて、その底面に係合される。つまり、下側接続部材41を構成する複数の分割体43は、排水孔103の径方向に移動させると、被係合部としての貫通孔33aに係合部45が抜き差しされ、その抜き差しにより上側接続部材31の外筒部33に脱着可能に装着される。
下側接続部材41の係合部45は、外筒部33の貫通孔33aを貫通して排水孔103の径方向内側に向けて突出し、外筒部33の内周面に段差としての嵌合凸部37が設けられる。嵌合凸部37は、後述のように、封水筒131の筒側嵌合部133bが嵌合される。
図3に戻り、下側接続部材41の筒状部42の外周面には、その上端部から径方向外側に突出する環状部42bが設けられる。下側接続部材41が上側接続部材31に装着される装着位置にあるとき、連結体111の被固定部112が下側接続部材41の環状部42bの上面に載置された状態で係合される。このとき、連結体111と周縁部109とが接続具30により挟み込んで固定される。つまり、接続具30は、下部に排水装置110の一部を取り付け可能であり、下側接続部材41の環状部42bは、排水装置110の一部を挟み込みにより固定して取り付け可能な取付部47として設けられる。
上側シール部材50、下側シール部材60は、排水装置110の本体121内から排水孔103と接続具30との間を通って槽体100内に流れる水を遮断するために設けられる。上側シール部材50は、排水孔103の垂下壁105と、上側接続部材31の外筒部33との間に配置される。下側シール部材60は、連結体111の被固定部112と、上側接続部材31の外筒部33との間に配置される。これらシール部材50、60は、図示の例において、弾性部材としてのOリングにより構成される。上側シール部材50は、排水孔103の径方向両側から垂下壁105の内周面と外筒部33の外周面とにより押し潰され、その復元力によりこれらの間をシールする。下側シール部材60は、排水孔103の径方向両側から被固定部112の内周面と外筒部33の外周面とにより押し潰され、その復元力によりこれらの間をシールする。
封水筒131は、内筒部133と、上側係止部135とを備える。内筒部133は、上側接続部材31の外筒部33より上下方向に長く形成され、その外筒部33内に挿通される。接続具30と封水筒131は、接続具30の外筒部33が外筒、封水筒131の内筒部133が内筒となる入れ子構造で排水孔103に挿通される。内筒部133は、その上部の外周側に環状溝部133aが設けられ、その環状溝部133aには環状のシール部材としてのパッキン137が嵌め入れられる。封水筒131と上側接続部材31とはパッキン137によりシールされる。
図6は、封水筒131を示す正面図である。内筒部133は、環状溝部133aの下方に筒側嵌合部133bが設けられる。筒側嵌合部133bは、内筒部133の周方向の一方(図6の左側)から他方(図6の右側)にかけて窪むように、その周方向に沿った溝状に設けられる。図3に戻り、筒側嵌合部133bには、接続具30の外筒部33内に設けられた嵌合凸部37が嵌合される。筒側嵌合部133bと嵌合凸部37との嵌合により、排水孔103に対して封水筒131が上下に固定される。筒側嵌合部133bがなす溝の開口側(図6の左側)に嵌合凸部37が近づくように、接続具30と封水筒131とを周方向に相対移動させると、筒側嵌合部133bと嵌合凸部37との嵌合が解除される。この状態から封水筒131を上側に移動させると、接続具30の外筒部33から封水筒131を抜き出せる。
上側係止部135は、内筒部133の上端部に設けられる。上側係止部135は、上側接続部材31の下側係止部35に上側から係止される。封水筒131は、上側接続部材31に上側係止部135が係止位置にあるとき、上側接続部材31を被覆するように排水孔103内に配置される。上側接続部材31は、その上端部31aと、外筒部33の内周面が封水筒131の上側係止部135と内筒部133とにより被覆される。換言すると、上側係止部135は、段付孔としての排水孔103の段差面108と上側接続部材31の下側係止部35との係止箇所より上方で、その上側接続部材31の上端部31aを被覆するように排水孔103内に配置される。また、封水筒131は、上述のように、接続具30の外筒部33を外筒、封水筒131の内筒部133を内筒とした入れ子構造であるため、その外筒部33の内周面が封水筒131の内筒部133により被覆される。これらにより、上側接続部材31は、槽体100の内側の露出部分が封水筒131により被覆され、槽体100の底面101aに露出して見える範囲が大幅に小さくなる。
上側係止部135は、垂下壁105の内周面105bを被覆するように、排水孔103内に配置される。上側係止部135は、その外周面135aが垂下壁105の内周面105bに沿うように形成され、その外周面135aが垂下壁105の内周面105bに対向して配置されて、垂下壁105の内周面105bが被覆される。槽体100の底面101aを見たとき、垂下壁105の内周面105bが露出して見える範囲が大幅に小さくなる。また、垂下壁105と上側係止部135との間の隙間が抑えられ、これらの間に微細なゴミが溜まり難くなる。
上側係止部135は、垂下壁105の内周面105bを被覆しつつ、排水孔103の上端縁103aより下側に収まるように形成される。槽体100内で排水孔103に向けてゴミとともに水が流れたとき、槽体100の底面101aから排水孔103の内側にかけての流水経路において、ゴミが溜まる段差が生じ難くなる。なお、上側係止部135の上端位置は、図示において、排水孔103の上端縁103aから下方に間隔を空けて設けられているが、排水孔103の上端縁103aにその上端位置を合わせるように設けられてもよい。
封水筒131は、その上面にテーパー面131bが形成される。このテーパー面131bは、その上方から下方に向かう途中に凹凸がない先細りとなる円錐状に形成される。封水筒131は、その内側に筒状面131cが設けられる。筒状面131cは、テーパー面131bの下方において上下に連続的につながるように設けられ、その上下方向にかけて段差のない直線状に延びた曲面として形成される。テーパー面131bは、その勾配が排水孔103周りの槽体100の底面101aの勾配より大きくなるように形成される。槽体100の底面101aを見たとき、テーパー面131bが露出して見える範囲が小さくなる。このテーパー面131bの勾配は、たとえば、水平面に対して、45°以上90°未満としてもよい。
上側係止部135は、その外周面135aと内周面であるテーパー面131bとが互いに傾斜して設けられ、それらの外周面135aとテーパー面131bとにより、その上端部に角部135bが設けられる。この角部135bを設けたうえで、上側係止部135の外周面135aが垂下壁105の内周面105bを被覆しているため、槽体100の内側には、上側係止部135の外周面135aが露出せず、上側係止部135の内周面のみが露出する。槽体100の底面101aを見たとき、封水筒131がすっきりとした外観となる。
以上の接続構造10によれば、口金として機能する接続具30が垂下壁105内の下部にて固定される。このため、封水筒131を取り外して槽体100の底面101aを見たときに、排水孔103の上端縁103aに接続具30の一部が隠れ易くなり、接続具30が露出して見える範囲が小さくなる。よって、槽体100の底面101aに接続具30が見え難くなり、接続具30により槽体100に排水装置110を接続した場合でも、槽体100の排水孔103周りの外観がすっきりとなり、より高いデザイン性を実現できる。
また、垂下壁105の内周面105bと接続具30とを被覆するようにカバー体としての封水筒131が配置されている。このため、槽体100の底面101aを見たとき、垂下壁105や接続具30が露出して見える範囲が大幅に小さくなり、槽体100の排水孔103周りの外観がよりすっきりとする。また、垂下壁105や接続具30が封水筒131により被覆されるため、これらの間の隙間が抑えられ、ゴミ溜まり箇所が減って排水孔103周りを清掃し易くなる。
また、封水筒131は、垂下壁105の内周面105bを被覆しつつ、排水孔103の上端縁103aより下側に収まるように形成される。よって、槽体100の底面101aから排水孔103の内側にかけての流水経路においてゴミが溜まる段差が生じ難くなり、ゴミ溜まり箇所が減って排水孔103周りを清掃し易くなり、より高い機能性を実現できる。
また、カバー体は封水筒131であるため、封水筒131としての機能を発揮しつつ、上述のように排水孔103周りの外観をすっきりとさせ、更にはゴミ溜まり箇所を減らす効果を発揮できる。
なお、封水筒131は、その内側に周方向に間隔を空けて板状の複数の摘み部131dが設けられる。図3では一つの摘み部131dのみを図示する。ユーザーは、摘み部131dを把持した状態で封水筒131を移動等させて、接続具30の外筒部33から封水筒131を抜き出せる。
また、下側接続部材41の筒状部42には、上側接続部材31の下面と対向する支持部42cが設けられる。支持部42cは、上側接続部材31の外筒部33の形状に合わせた形状、つまり、環状に形成され、その上面に上側接続部材31の下面が接触する。上側接続部材31に下側接続部材41を装着するとき、この支持部42cを上側接続部材31の下面に接触させると、上側接続部材31に対する下側接続部材41の位置合せをし易くなり、その装着時の作業性が良好となる。また、支持部42cが上側接続部材31の下面に接触するため、上側接続部材31に対する下側接続部材41の固定度が増し、連結体111等の排水装置110が上下方向に揺れ動こうとしたとき、その揺れ動きが効果的に抑えられる。
[第2の実施の形態]
図7は、第2実施形態に係る排水装置110の接続構造10を示す。第2実施形態では、主として、排水装置110の構成と、封水筒131の構成とが相違している。まず、排水装置110の構成の相違点から説明する。なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態で説明した要素と同一の要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
排水装置110は、水車ユニット150と、羽根車ユニット160とを更に備える。水車ユニット150は、本体121の下部に接続される水車ハウジング151を備える。水車ハウジング151には、その内部に設けられた収納室151aに水を流入させる流入管(図示せず)と、槽体100内に吐水する水栓(図示せず)に収納室151a内の水を流出させる流出管153とが接続される。水車ハウジング151は、その内部の収納室151a内に水車155が収納される。水車ユニット150は、水栓から吐水される水の流れにより、収納室151a内の水車155を一定方向に回転駆動させる回転駆動装置として構成される。
羽根車ユニット160は、回転軸161と、羽根車163とを備える。回転軸161は、排水孔103の軸方向に沿って配置される。回転軸161は、封水筒131に設けられた筒状の軸受部139や、本体121の底面に設けられた軸受(図示せず)により、その軸周りに回転自在に保持される。回転軸161は、その下端部に回転軸161周りの周方向に間隔を空けて複数の磁石161aが設けられる。回転軸161の複数の磁石161aは、水車ユニット150に設けられ、水車155の回転と一体に回転可能な複数の磁石155aに磁気カップリングされている。回転駆動装置としての水車155が回転すると、その回転力が磁気カップリングを通じて回転軸161に伝達され、水車155の回転と同期するように回転軸161が回転駆動させられる。
羽根車163は、排水孔103の上側に配置される。羽根車163は、回転軸161の上端部に着脱可能に取り付けられ、回転軸161と一体に回転可能に設けられる。羽根車163は、封水筒131の上面であるテーパー面131bより上側に配置され、回転軸161周りの周方向に間隔を空けて設けられた複数の回転羽根163aを備える。羽根車163が回転すると、封水筒131の上面まで流れてきた水を各回転羽根163aにより径方向外側に押し出す。このとき、各回転羽根163aの回転により押し出された水に渦流が生じ、その渦流が槽体100の底面に勢いよく当たり、その底面に付着したヌメリ等の汚れが除去されて洗浄効果が得られる。なお、押し出された水は、主として、回転羽根163aより羽根車163の中心寄りの部位に上下方向に貫通して設けられた通水孔163bを通して封水筒131内に流れ込む。
ここで、本実施形態に係る接続構造10では、図8に示すように、封水筒131の上面に形成されるテーパー面131bが、第1実施形態と比較して、その勾配が極めて緩やかとなっている。これは、封水筒131の上面まで流れてきた水を保持し易くして、各回転羽根163aにより水を径方向外側に押し出し易くするためである。このテーパー面131bの勾配は、図示の例では、排水孔103周りの槽体100の底面101aの勾配に合わせるように設けられる。また、封水筒131の上面は、テーパー面131bを設けずに水平面と平行に設けてもよい。
[第3の実施の形態]
次に、排水装置の接続構造ではなく、排水装置の排出管と下水管とを接続する管継手を説明する。
排水装置の排出管と下水管とは、通常、それらの軸芯位置が軸直交方向にずれるような、芯ずれがある状態で配置される。この芯ずれの程度や、排出管と下水管との距離は、施工現場によって変化する場合がある。このため、この芯ずれや距離の変化に対応するため、通常、排水装置と下水管とは可撓性のある蛇腹ホースにより接続される。
ここで、排水が流れる排水装置や下水管は、詰まり、汚れ除去のために高圧洗浄されることがある。排水装置の排出管と下水管とを軟質な蛇腹ホースにより接続すると、この高圧洗浄により蛇腹ホースが破れ易く、高圧洗浄に適さないという問題があった。
そこで、以下においては、排水装置の排出管と下水管との芯ずれや距離の変化に対応しつつ、高圧洗浄にも適した管継手を提案する。
図9(a)は、第3実施形態に係る管継手70を示し、図10はその管継手70の使用状態を示す。管継手70は、図10に示すように、排水装置110の排出管125と下水管171とを接続する。排出管125は、排水装置110を通じて水が排出される。下水管171は、槽体100の下側において、その一端部171aが床面173から上側に突出して設けられ、その他端側は下水道につながる。
管継手70は、導入管71と、本体管73と、導出管79とを備える。本体管73は、その一端側(図中上側)に設けられた第1接続管75と、その他端側(図中下側)に設けられた第2接続管77とを含む。各管は、樹脂等の可撓性のない硬質素材を材料として構成される。
導入管71は、その一端部71aが排出管125に留め具149等を用いて接続される。導入管71は、図9(a)に示すように、その他端部71bに凹状の内球面部71cが設けられる。第1接続管75は、その一端部75aに凸状の外球面部75bが設けられる。第1接続管75は、導入管71の内球面部71c内に外球面部75bが収容されて、その一端部75aが導入管71に接続される。
導入管71の内球面部71cには、その外周面に雄ねじ部71eが設けられ、その雄ねじ部71eには第1固定リング81に設けられた雌ねじ部81aがねじ込まれる。第1固定リング81は、内球面部71cの先端面と対向するストッパ面81bが設けられ、その内球面部71cの先端面とストッパ面81bとの間には第1くさび体82が配置される。
第1くさび体82は、ストッパ面81bから離れるにつれて尖るように環状に形成される。第1くさび体82は、導入管71の雄ねじ部71eに第1固定リング81の雌ねじ部81aをねじ込み、内球面部71cの先端面とストッパ面81bとが近づいたとき、内球面部71cと外球面部75bとの間に圧入される。第1くさび体82の圧入を解除すると、導入管71の内球面部71c内で第1接続管75の外球面部75bが回動可能となる。第1くさび体82を圧入させると、導入管71に第1接続管75が回動不能となり、導入管71に本体管73が固定される。また、第1くさび体82の圧入により、第1くさび体82がシール部材として機能し、導入管71と第1接続管75との間がシールされる。
第1接続管75は、その他端部75cが第2接続管77の一端部77aから内側に挿通される。第2接続管77の一端部77aには、その外周面に雄ねじ部77bが設けられ、その雄ねじ部77bには第2固定リング83に設けられた雌ねじ部83aがねじ込まれる。第2固定リング83は、第2接続管77の一端面と対向するストッパ面83bが設けられ、その一端面とストッパ面83bとの間には第2くさび体84が配置される。
第2くさび体84は、ストッパ面83bから離れるにつれて尖るように環状に形成される。第2くさび体84は、第2接続管77の雄ねじ部77bに第2固定リング83の雌ねじ部83aをねじ込み、第2接続管77の一端面とストッパ面83bとが近づいたとき、第1接続管75の外周面と第2接続管77の内周面との間に圧入される。第2くさび体84の圧入を解除すると、第2接続管77が第1接続管75の軸方向にスライド可能となる。第2くさび体84を圧入させると、第1接続管75に第2接続管77がスライド不能となり、第1接続管75と第2接続管77とが固定される。また、第2くさび体84の圧入により、第2くさび体84がシール部材として機能し、第1接続管75と第2接続管77との間がシールされる。
導出管79は、その一端部79aに凹状の内球面部79bが設けられる。第2接続管77は、その他端部77dに凸状の外球面部77eが設けられる。導出管79は、その内球面部79b内に第2接続管77の外球面部77eが収容されて、その一端部79aが第2接続管77に接続される。
導出管79の内球面部79bには、その外周面に雄ねじ部79cが設けられ、その雄ねじ部79cには第3固定リング85に設けられた雌ねじ部85aがねじ込まれる。第3固定リング85は、内球面部79bの先端面と対向するストッパ面85bが設けられ、その内球面部79bの先端面とストッパ面85bとの間には第3くさび体86が配置される。
第3くさび体86は、ストッパ面85bから離れるにつれて尖るように環状に形成される。第3くさび体86は、導出管79の雄ねじ部79cに第3固定リング85の雌ねじ部85aをねじ込み、内球面部79bの先端面とストッパ面85bとが近づいたとき、内球面部79bの内面と外球面部77eとの間に圧入される。第3くさび体86の圧入を解除すると、導出管79の内球面部79b内で第2接続管77の外球面部77eが回動可能となる。第3くさび体86を圧入させると、導出管79に第2接続管77が回動不能となり、本体管73に導出管79が固定される。また、第3くさび体86の圧入により、第3くさび体86がシール部材として機能し、第2接続管77と導出管79との間がシールされる。
導出管79は、その他端部79eに下方に開口して上方に窪むように設けられた、筒状の複数(図示は2つ)の嵌合凹部80が同芯状に設けられる。内周側の嵌合凹部80には、たとえば、外径、内径が比較的に小さい下水管171の端部が嵌合される。外周側の嵌合凹部80には、その外径、内径が小さい下水管171よりも外径、内径が大きく、寸法の異なる下水管171の端部が嵌合される。つまり、複数の嵌合凹部80には、複数種の寸法の異なる下水管171の端部が嵌合可能である。複数の嵌合凹部80のうち、最も内周側の嵌合凹部80は、その内周面を形成する周壁部80aの内面によって、排水装置110から下水管171まで流れる水の流路の一部が形成される。
以上の実施形態に係る管継手70の使用方法の一例を説明する。図10に示すように、排水装置110の排出管125と下水管171との軸心位置が水平方向にずれている場合を考える。
まず、管継手70の本体管73から導入管71を取り外しておき、その導入管71の一端部71aを排出管125に接続する。そして、導入管71の他端部71bに管継手70の本体管73を接続する。このとき、各固定リング81、83、85のねじ込みは緩めておく。この状態で、導出管79を水平方向や上下方向に移動させて、導出管79の嵌合凹部80に下水管171の端部を嵌合させる。このとき、第1固定リング81、83、85等のねじ込みが緩められているため、導入管71に対して本体管73が回動したり、本体管73に対して導出管79が回動して、各管の角度が調整される。また、第1接続管75に対して第2接続管77がスライドして、導入管71と導出管79との間の距離が調整される。各管の角度や導入管71と導出管79との距離の調整により、排出管125と下水管171との軸心が水平方向にずれていても、そのずれによらずこれらを接続できる。
導出管79の嵌合凹部80に下水管171の端部を嵌合させたら、各固定リング81、83、85のねじ込みを強め、各管の角度や距離を固定する。なお、第1接続管75に対して第2接続管77をスライドさせるとき、第1接続管75が長すぎて、導入管71と導出管79との距離を小さくできない場合がある。この場合、図10(b)に示すように、第1接続管75の他端部75cから一部にかけての範囲を必要に応じて切断し、第1接続管75を短くすれば、導入管71と導出管79との距離を小さくできる。
以上の実施形態に係る管継手70によれば、各管の角度や、導入管71と導出管79との距離を調整できる。よって、排出管125と下水管171との芯ずれや距離が施工現場によって変化していても、その変化に対応して排出管125と下水管171とを接続できる。また、排出管125と下水管171とが可撓性のない硬質な複数の管により接続されるため、高圧洗浄にも耐えることができる。
また、導出管79の他端側に複数の嵌合凹部80が設けられているため、下水管171の寸法に応じて別寸法の管継手70を用いる必要がなくなり、単一の管継手70を用いて様々な寸法の下水管171に対応できる。
また、複数の嵌合凹部80のうち、最も内周側の嵌合凹部80の内周面を形成する周壁部80aの内面によって、排水装置110から下水管171まで流れる水の流路の一部が形成される。よって、各管同士のシールが不十分でも、排水装置110から下水管171にかけての水の流れにより水が溜まるような箇所ができなくなり、嵌合凹部80と下水管171との間を通って水が漏れにくくなる。
なお、導入管71の他端部71bに外球面部を設け、第1接続管75の一端部75aに内球面部を設けてもよい。いずれにしても、導入管71と第1接続管75の互いに対向する端部の一方に外球面部が設けられ、他方に内球面部が設けられ、これらが回動可能に接続されればよい。また、これらは公知の自在継手により回動可能に接続されてもよい。
また、第2接続管77の他端部78cに内球面部を設け、導出管79の一端部79aに外球面部を設けてもよい。いずれにしても、導出管79と第2接続管77の互いに対向する端部の一方に外球面部が設けられ、他方に内球面部が設け、これらが回動可能に接続されればよい。また、これらは公知の自在継手により回動可能に接続されてもよい。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示すにすぎない。また、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能である。
以上の実施形態に係る排水装置110は、封水筒131を用いた排水トラップを説明したが、排水装置110は、封水筒131が用いられていなくともよく、Sトラップ、椀トラップ等の排水トラップにより構成されてもよい。また、排水装置110は、槽体100の排水孔103から流れた水を外部に排出できればよく、排水トラップとして構成されていなくともよい。
また、排水装置110の連結体111は、本体121と別体に設けられた例を説明した。しかし、連結体111は、少なくとも接続具30に本体121を繋ぐことができるものとして設けられていればよく、連結体111と本体121が一体成形により一体に設けられてもよい。また、排水装置110の連結体111と本体121とは、上側フランジ部117と下側フランジ部127とを留め具149により挟み込んで固定する例を説明したが、その固定方法は、これに限定されず、この他にもボルトナット等を用いて連結してもよい。
排水孔103は、垂下壁105と、係合壁107とを含むものを説明したが、係合壁107が含められていなくともよい。排水孔103は、段付孔として形成されていれば、垂下壁105と係合壁107が含められていなくともよい。排水孔103の周縁部109と連結体111とは、これらの間にスペーサーを配置し、そのスペーサーを挟んで上下に重なるように配置されてもよい。
カバー体として封水筒131を説明したが、カバー体は、封水筒131と別体に設けられてもよい。
接続具30は、上側接続部材31と下側接続部材41との二部材が脱着可能に装着されるものを説明したが、これらが一体に設けられていてもよい。下側接続部材41の取付部47は、排水装置110を挟み込みにより脱着可能に固定した例を説明したが、排水装置110をねじ込み、嵌め合い等により脱着可能に固定してもよい。