JP6133730B2 - てん輪 - Google Patents

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Description

本発明は、機械式時計の調速機に用いられるてん輪に関する。
機械式時計においては、機械の運転を規則正しく一定の速度に保つために、ひげぜんまいとてん輪とで構成する調速機(てんぷ)が使われている。等時性のあるひげぜんまいの伸縮によりてん輪は規則正しく往復回転運動を行う。
てんぷには、がんぎ車とアンクルとで構成される脱進機という機構が接続されており、ひげぜんまいからこの脱進機を介してエネルギーが伝達されて、振動を持続するようになっている。
近年、シリコン基板をエッチング加工することによって時計部品を製造する試みがなされている。従来の金属部品を用いる時計部品の製造に比べ軽量にできるという利点と、安価で大量生産ができる利点とがあると言われている。これにより、小型軽量の時計を製造することができると期待されている。
シリコン基板をエッチングする際、近年ではドライエッチング技術である反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)技術が進歩してきた。中でも、深堀りRIE(Deep RIE)技術が開発され、アスペクト比が高いエッチングが可能になってきた。
この技術によると、エッチングがフォトレジストでマスクした部分の下に回り込まないために、垂直深さ方向にマスクパターンを忠実に再現できるようになり、シリコン基板をエッチングする際に、時計部品を設計通りの形状で精度よく製造することが可能となってきた。
シリコンは金属よりも温度特性が良いので、特に時計の調速機に適用すると好都合である。中でも、てんぷを構成するてん輪は規則正しく往復回転運動を行う必要があるから、シリコンでてん輪を構成すると、温度変化の影響を受けないという利点がある。
しかし、シリコンは脆性材料のため機械加工が難しいことに加え、密度が低いという欠点を有するので、このままではてん輪として必要な慣性モーメントを得られない。
そこで、シリコン製のてん輪に金属をリング状に堆積させるなどして、てん輪の慣性を高めようとする技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特表2011−525614号公報(第6−8頁、図6−9)
しかし、特許文献1におけるシリコン製のてん輪に直接堆積した金属層は、シリコンと熱膨張係数が異なるためにシリコンとの密着性がよくないという問題がある。
このため、時計に組み込まれ、時計として稼働している間に金属層が剥がれ落ちてしま
うことがある。そうすると、剥がれた金属層が時計機構に入り込み、動作障害を起こす可能性があることがわかった。
また、特許文献1に示した従来技術だけに言えることではないのだが、てん輪をシリコン製としたとき、仮にてん輪に片錘と呼ばれる重量バランスの偏りが生じたときに、それを調整することができないのである。これは前述の通り、シリコンが脆性材料でるため、機械加工が実質的にできないことがその理由である。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、シリコン製のてん輪であっても、てん輪として必要な慣性モーメントを有し、時計機構の動作障害を起こさない時計用調速機のてん輪を提供することにある。
前述した目的を達成するための本発明におけるてん輪は、以下の構成を採用する。
時計用調速機を構成する回転軸に嵌合して共働するてん輪であって、回転軸と嵌合する嵌合部と外周部とが一体となる、シリコンを主成分とする基板で形成し、回転軸の軸方向と直交する基板の平面に金属構造体を備え、金属構造体は、基板と密着する下層金属膜とこの下層金属膜と密着すると共に異なる材質の上層金属膜とを積層してなり、バンプ形状であることを特徴とする。
このような構成にすれば、金属構造体はシリコンを主成分とする基板と密着性がよくなり、剥がれ落ちることはない。また、例えば片錘が生じるなどし、その調整のために金属構造体の一部を除去する必要が生じたときでも、この金属構造体は基板の平面に設けているから、容易にそれを行うことができる。金属構造体を意図的に除去すれば、てん輪の片錘の調整と慣性モーメントの調整とが可能になる。
また、下層金属膜及び上層金属膜は、基板より比重の大きい金属で構成するとよい。
このような構成にすれば、てん輪の慣性モーメントを簡単に高めることができる。
このような構成にすれば、複数個のバンプをてん輪の外周部に沿って配設することもできる。また、片錘の調整が生じたときなどに、この金属構造体を横から押すなどすれば除去することができるので、てん輪の片錘と慣性モーメントとの調整を容易に行うことができて便利である。
また、金属構造体は、帯形状であるとよい。
このような構成にすれば、例えば、てん輪の回転軸と嵌合する嵌合部と外周部との間に設けることもできるようになり、より大きな面積で金属構造体を形成できる。
また、金属構造体は、回転軸を同心円とするリング形状であるとよい。
このような構成にすれば、例えば、てん輪の外周部に沿って設けることもできるようになり、さらに大きな面積で金属構造体を形成できる。
また、下層金属膜は、平面の表面全体に設けてもよい。
このような構成にすれば、上層金属膜を任意の部分に設けるだけで金属構造体を形成できて便利である。
また、回転軸の中心を通る仮想直線を基板の平面に並行して引き、その平面の領域を分割したとき、分割された領域の金属構造体の重量が領域同士で同一であるとよい。
このような構成にすれば、てん輪の片錘が無くなり、バランスが取れたてん輪を構成できる。
本発明のてん輪は、シリコンを主成分とするてん輪であっても、てん輪として必要な慣性モーメントを有し、時計機構の動作障害を起こさず、また片錘を無くすことができる。
金属構造体は、除去しようとしたときには容易に除去できるので、てん輪の片錘の調整と慣性モーメントの調整とを行うことが可能になる。
本発明の第1の実施形態である時計用調速機のてん輪の平面図である。 図1に示すてん輪の断面図である。 本発明の時計用調速機の構成を示す側面図である。 本発明の第2の実施形態である時計用調速機のてん輪の平面図である。 図4に示すてん輪の断面図である。 本発明の第3の実施形態である金属構造体の形状を説明する断面図である。
以下、本発明の実施形態である時計用調速機のてん輪について図面を参照して詳細に説明する。
説明にあっては、第1の実施形態として、金属構造体を構成する2つの金属膜が同じ形状を有する例を説明する。第2の実施形態として、2つの金属膜の形状が異なる例を説明する。第3の実施形態として、金属構造体のさらに異なる形状を説明する。
[第1の実施形態のてん輪の構造説明:図1、図2]
まず、第1の実施形態におけるてん輪の構造について、図1及び図2を用いて説明する。
図1(a)は、通常知られているてん輪の形状であり、図示しない回転軸と嵌合する嵌合部2aと外周部2bとを接続部2cで繋ぐことにより、てん輪体2の平面に穴部2dを有するてん輪4を示す平面図である。
図1(b)は、穴部2dが無く、てん輪体2が一様な平面構造となるてん輪4を示す平面図である。
図2は、てん輪体2の中心を通る仮想直線L(二点鎖線)に沿って切断した断面を示す断面図であり、図2(a)は図1(a)に、図2(b)は図1(b)にそれぞれ対応する。
図1、図2に示すてん輪4は、シリコンを主成分とする半導体の基板をエッチング加工することによって形成されるてん輪体2に金属構造体3を設ける構成である。てん輪体2は、例えば、厚さ450μmである。金属構造体3は、てん輪体2と密着する下層金属膜3aと、この下層金属膜3aと密着する上層金属膜3bとで構成している。
図1(a)及び図2(a)に示す構成は、てん輪4の中心には図示しない回転軸と嵌合する孔である貫通孔4aを有する嵌合部2aがあり、外周部2bと接続部2cにより接続
されている。この例では接続部2cは4つある場合を示している。この形状を車の車輪に例えると、接続部2cはスポークに相当する。なお、もちろんこの接続部2cの数は任意に決めることができる。そして、接続部2cのない部分は穴部2dとなっている。
てん輪体2の外周部2bの一方の表面には、下層金属膜3aとして、例えば、厚さ1μmのクロム(Cr)を平面視で円形に形成している。下層金属膜3aの材料としては、シリコンに密着性の良好なクロムの他、例えば、アルミ(Al)、チタン(Ti)、タングステン(W)等やこれらの金属組成物が挙げられる。
この下層金属膜3aの上に、上層金属膜3bとして、例えば、厚さ200μmの金(Au)を形成している。これら金属膜は、てん輪体2を構成するシリコンよりも比重の大きい金属である。上層金属膜3bの材料としては、金の他、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、スズ(Sn)等やこれらの金属組成物が挙げられる。
このような形状の金属構造体3は、円柱形状又は角柱形状の突起形状を有している。図1の例では円柱形状である。そして、公知の半導体装置のパッドに設ける接続電極の形成と同様な技術によって形成することができる。
上層金属膜3bの上端面の形状はフラットであるが、半球形状の所謂ドーム形状としてもよい。そのような金属構造体3の形状を、バンプ形状と呼ぶことにする。
図1(b)及び図2(b)に示す構成は、図1(a)に示す穴部2dが無くてん輪体2は円盤状の基板を用いている。てん輪4の中心には図示しない回転軸と嵌合する貫通孔4aがあるが、その周囲が嵌合部2aとなっているため、図1(b)にはこの嵌合部2aを分かり易くするため点線で示している。
図1(b)に示すてん輪体2は、図1(a)に示す外周部2bに相当する一方の表面に、金属構造体3を配置している。
図1(a)及び図1(b)に示すこのような金属構造体3は、複数設けてあり、てん輪体2の中心である嵌合部2aの貫通孔4aからの距離が異なる同心円上にそれぞれ等間隔に配設されている。金属構造体3の平面視での大きさは、てん輪体2の大きさにより任意に決めることができる。てん輪体2に設ける金属構造体3の数も任意であるが、てん輪4が片錘を起こさないようにするためにはバランスのよい配置がよく、そのためには金属構造体3の総数が偶数となるようにするのが好ましい。
図1(a)及び図1(b)に示すように、平面視でてん輪体2の中心を通る仮想直線Lを規定したとき、この仮想直線Lによっててん輪体2の平面の領域を二分割したときに、分割された各々の領域にある金属構造体3の総重量が互いに等しくなるようにするとよい。
金属構造体3は、貫通孔4aからの距離が異なる同心円上に等間隔で配設されていなくてもよく、例えば、図1(a)の例では接続部2cの表面に、その長手方向に沿って設けるなどしてもよい。
また、図1に示す例では、金属構造体3は平面視で円形であるが、多角形でもよいことは無論である。その際、仮想直線Lに対して対称にするなどすれば、バランスが崩れにくく好ましい。
複数の金属構造体3は、それぞれ重量を変えてもよい。
例えば、体積を変えることで重量を変えるのである。その際は、例えば、下層金属膜3aや上層金属膜3bの膜厚を変えることでその高さを変え、体積を変えるのである。もちろん、平面視での大きさを変えることで体積を変えるようにしてもよい。
また例えば、材質を変えることで重量を変えるのである。その際は、例えば、下層金属膜3aあるいは上層金属膜3b、又は両方の金属膜の材質を、金属構造体3の配置場所に応じて変えてもよい。例えば、貫通孔4aからの距離が遠い同心円上の金属構造体3は、近い金属構造体3に比べて、より比重の大きい金属を用いるのである。このようにすれば、より慣性モーメントを高めることができる。
[時計用調速機の構成説明:図3]
ここで、説明したてん輪を有する調速機の構造について、図3を用いて説明する。
図3に示すように、時計用調速機1は、てん輪4と、てん輪4に嵌合するてん輪4の回転軸であるてん真5と、てん真5に組み合わされるひげぜんまい6とからなり、てん真5はてんぷ受7と地板8とに軸支されている。時計用調速機1は、図示しない脱進機からぜんまいのエネルギーを受けて規則正しい揺動運動をして、時計の歩度(一日の進み遅れの度合い)を一定に維持している。
図3に示す例では、てん輪4は、ひげぜんまい6と対向する方向とは反対の方向のてん輪体2の表面に金属構造体3を設けている。このような構成にすれば、ひげぜんまい6とてん輪4とのクリアランスを小さくすることができる。
[てん輪の調整の説明:図1、図2、図3]
すでに説明したように、てん輪4は規則正しく往復回転運動を行う必要がある。てん輪体2はシリコン製半導体基板を加工してなるので、設計通りの形状に加工できるので形状の加工による調整は不要である。しかし、てん輪として調整が必要になる場合がある。
例えば、てん輪体2に誤って金属構造体3が偏って配置されてしまった場合(金属構造体3を設置するときにずれてしまった場合)などに起因して、片錘が生じることがある。また、てん輪4を調速機として組み立てたとき、歩度の大きさに合わせ、慣性モーメントを調整する必要がある。
そのような場合でもてん輪が規則正しく往復回転運動を行えるように調整を行うことができる。その手法を以下に説明する。
金属構造体3は、てん輪4に適正な慣性モーメントを付与するための錘の機能を果たしている。てん輪4の調整は、この金属構造体3を部分的に除去してなる。
金属構造体3は、すでに説明したように、半導体装置のパッドに設ける接続電極と同様な形成技術により形成されている。例えば、マスクなどを用いて選択的に場所を決めて、金属膜を成膜するのである。金属構造体3の除去は、公知の接続電極の除去方法と同様に、固い金属などの棒状構造体(例えば、タングステン製のニードル)を側面方向から当てることで、てん輪体2から剥がすようにして行うことができる。
金属構造体3を構成する下層金属膜3aと上層金属膜3bとは密着しているが、これに抗って双方を引き剥がすこともできるので、下層金属膜3aのみを残すようにすることもできる。
ところで、てん輪体2に設ける各々の金属構造体3の1個当たりの重量をどのくらいにするかは、予め実験やシミュレーションを行うことより求めることができる。
金属構造体3は、後述する調整作業により一部又は全部をてん輪体2から除去することができるので、予めそのことを見込んで、てん輪体2に設ける総数を決めておく。
[片錘の調整]
てん輪4の片錘の調整を説明する。
まず、調整用の回転軸体又は図3に示す調速機を構成するてん真5を貫通孔4aに嵌合させる。
そして、回転軸体又はてん真5を水平に回転可能に保持した後に、てん輪4をゆっくり回転させて放置する。
すると、てん輪4に片錘が存在するとてん輪4は重い部分が最下点になった状態で停止するから、最下点に最も近いところにある金属構造体3を削除する。
その後、てん輪4の動きを確認して、てん輪4がどの位置にも停止するようになるまで、この作業を繰り返すことで、片錘は解消する。
[慣性モーメントの調整]
次に、てん輪4の慣性モーメントの調整作業を説明する。
まず、図3に示すようにてん輪4にひげぜんまい6を組み合わせて調速機を組み立てる。
実験的に時計の歩度を測定しながら、調整すべき歩度の大きさと、この大きさの歩度を調整するためにてん輪4から除去すべき金属構造体3の個数(即ち錘の重量)との関係を予め把握しておく。
なお、このとき、金属構造体3の1個当たりの重量をどのくらいにすべきかは、予め決めておく。
そして、同じく調整すべき調速機を組み立て、歩度を測定して調整すべき歩度の大きさから、これに対応する除去すべき金属構造体3の数量(2n個:nは整数)が分かるから、複数の金属構造体3の中からどれかを選び、除去する。
この際、例えば、図1に示す金属構造体3A、3A´というような、てん輪4の中心に対して対称の位置にある1対ずつの金属構造体3を選択しながら、目的の数量n個に達するまで、片錘の調整の場合と同様な方法によって除去する。つまり、バランスよく除去する。
このように、てん輪4の慣性モーメントの調整は、時計の歩度を合わせ込むことによって行う。
[第2の実施形態のてん輪の構造説明:図4、図5]
次に、第2の実施形態におけるてん輪の構造について、図4及び図5を用いて説明する。
図4(a)、図4(b)は図1と同様な方向から見たてん輪の平面図である。図5は図4(a)、図4(b)の仮想直線L(二点鎖線)で切断したときの断面図である。第2の実施形態の特徴は、金属構造体を構成する下層金属膜をより大きく形成し上層金属膜との形状が異なるという点である。
図4(a)及び図5に示す例は、てん輪体12の一表面全体に、貫通孔14aを除き、金属構造体13を構成する下層金属膜13aを設けている。そして、この下層金属膜13aの上部であり、てん輪体12の外周部分に帯形状に上層金属膜13bを設けている。下層金属膜13aは、例えばクロムで構成し、上層金属膜13bは、例えば金で構成する。
図4(b)及び図5に示す例は、てん輪体12の一表面全体に下層金属膜13aを設け
ている点は同じであるが、その上部のてん輪体12の外周部分に設ける上層金属膜13bがリング形状である。この例も、下層金属膜13aは、例えばクロムで構成し、上層金属膜13bは、例えば金で構成する。
下層金属膜13aを構成するクロムの膜厚は、例えば、厚さ1μmであり、上層金属膜13bの金の膜厚は、例えば、厚さ300μmである。
このような構成とすれば、金属構造体13の重量をより重くすることができる。図4に示す例では、帯形状又はリング形状の上層金属膜13bを貫通孔14aに対して1つの同心円上に形成する場合を説明したが、異なる同心円状にさらに帯形状又はリング形状の上層金属膜13bを設けてもよい。
この第2の実施形態における片錘や慣性モーメントの調整は、基本的には第1の実施形態と同様である。金属構造体13の除去も同様な手法で剥がし取ることができるが、下層金属膜13aがてん輪体12の表面全面にあるから、除去するのは上層金属膜13bとすると簡単でよい。
その場合、図4に示す例では、図4に示す金属構造体13B、13B´というような、てん輪14の中心に対して対称の位置にある1対ずつの金属構造体13を選択しながら、目的の数量に達するまで除去するとよい。
慣性モーメントの調整を例にすれば、時計の歩度を測定して除去すべき領域の重量mを求め、金属構造体13B、13B´をそれぞれm/2ずつ削り取るのである。
なお、金属構造体13B、13B´は、図4にあっては説明しやすいように点線の円形で示したが、もちろん除去する分は円形に限定するものではない。矩形形状や帯形状に除去してもよい。
以上説明した第2の実施形態では、下層金属膜13aをてん輪体12の表面全体に一様に設ける例を示したが、これに限定はしない。部分的に下層金属膜13aを設けないようにしてもよいし、下層金属膜13aの膜厚を局所的に薄くしてもよいのである。そのような金属構造体13の形状は、てん輪14の大きさや重量などを鑑みて決めればよい。
[第3の実施形態のてん輪の構造説明:図6]
次に、第3の実施形態におけるてん輪の構造について、図6を用いて説明する。
図6は図2や図5と同様な方向から見たてん輪の断面図であって、金属構造体部分を拡大した図である。
すでに説明した実施形態では、下層金属膜と上層金属膜とが同じ形状であったり、下層金属膜をてん輪体の表面全体に設ける例を示したが、第3の実施形態は、さらに異なる形状を説明する。図6に示すように、金属構造体23は、その除去の際に、固い金属などの棒状構造体が引っ掛かり易くする形状を有してもよいのである。
例えば、図6(a)に示すように、下層金属膜23aに対して上層金属膜23bを一回り大きく形成し、所謂マッシュルーム形状にしてもよい。このようにすれば、くびれ部分23cに棒状構造体が引っ掛かり、金属構造体23を除去しやすくなる。
また、図6(b)に示すように、金属構造体の上端面や側面に溝24を形成してもよいのである。このようにすれば、溝24に棒状構造体が引っ掛かり、金属構造体23を除去しやすくなる。
以上説明した実施形態における金属構造体は、構成する下層金属膜及び上層金属膜の膜厚は、例示した数値に限定するものではないことは無論であるが、下層金属膜、上層金属膜は、説明に用いた例の他の材料も用いることができることは無論である。また、これら2つの金属膜を異なる金属膜の積層構造としてもよい。例えば、下層金属膜はチタンとタングステンの積層膜としてもよく、上層金属膜を金と白金(Pt)との積層膜としてもよいのである。
また、以上説明した本発明の実施形態では、てん輪を調速機に載置したときに金属構造体がてん輪体の下面にくる例で説明したが、これをてん輪体の上面に向くようにしてもよい。その際は、ひげぜんまいとのクリアランスを規定通りにすることは無論である。
また、金属構造体はてん輪体の両面に設けてもよいことは無論である。その際は、一方の面を図1に示すような構成とし、他方の面を図4に示すような構成としてもよい。調整のために金属構造体を除去する際に除去しやすいように考慮して、このように面ごとに配置の形態を変えてもよいことは無論である。このような場合も、てん輪の大きさや重量などを鑑みて決めればよい。
この発明によれば、脆性材料であるシリコン製のてん輪を用いても片錘や慣性モーメントの調整ができるので、小型軽量の腕時計用の調速機として好適である。
1 時計用調速機
2、12 てん輪体
2a 嵌合部
2b 外周部
2c 接続部
3、13、23 金属構造体
3a、13a、23a 下層金属膜(例えば、クロム)
3b、13b、23b 上層金属膜(例えば、金)
4、14 てん輪
4a、14a 貫通孔
5 てん真
6 ひげぜんまい
7 てんぷ受
8 地板
23c くびれ部分
24 溝

Claims (6)

  1. 時計用調速機を構成する、回転軸に嵌合して共働するてん輪であって、前記回転軸と嵌合する嵌合部と外周部とが一体となる、シリコンを主成分とする基板で形成し、前記回転軸の軸方向と直交する前記基板の平面に金属構造体を備え、前記金属構造体は、前記基板と密着する下層金属膜と該下層金属膜と密着すると共に異なる材質の上層金属膜とを積層してなり、バンプ形状であることを特徴とするてん輪。
  2. 時計用調速機を構成する、回転軸に嵌合して共働するてん輪であって、前記回転軸と嵌合する嵌合部と外周部とが一体となる、シリコンを主成分とする基板で形成し、前記回転軸の軸方向と直交する前記基板の平面に金属構造体を備え、前記金属構造体は、前記基板と密着する下層金属膜と該下層金属膜と密着すると共に異なる材質の上層金属膜とを積層してなり、前記回転軸の中心を通る仮想直線を前記平面に並行して引き、前記平面の領域を分割したとき、分割された前記領域の前記金属構造体の重量が前記領域同士で同一であることを特徴とするてん輪。
  3. 前記金属構造体は、帯形状であることを特徴とする請求項に記載のてん輪。
  4. 前記金属構造体は、前記回転軸を同心円とするリング形状であることを特徴とする請求項に記載のてん輪。
  5. 前記下層金属膜及び前記上層金属膜は、前記基板より比重の大きい金属で構成することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のてん輪。
  6. 前記下層金属膜は、前記平面の表面全体に設けていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載のてん輪。
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