JP6132459B2 - 間葉系幹細胞の培養上清を含む腸炎の予防・治療剤 - Google Patents
間葉系幹細胞の培養上清を含む腸炎の予防・治療剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6132459B2 JP6132459B2 JP2011155142A JP2011155142A JP6132459B2 JP 6132459 B2 JP6132459 B2 JP 6132459B2 JP 2011155142 A JP2011155142 A JP 2011155142A JP 2011155142 A JP2011155142 A JP 2011155142A JP 6132459 B2 JP6132459 B2 JP 6132459B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- msc
- enteritis
- administration
- cells
- group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
Description
ラット骨髄間葉系幹細胞(Rat Mesenchymal stem cells;rMSC)を8週齢のLewisラット(Charles River研究所)の骨髄から採取し、文献に記載の通りに培養した(Javazon EH, Colter DC, Schwarz EJ, Prockop DJ. Rat marrow stromalcells are more sensitive to plating density and expand more rapidly from single-cell-derived colonies than human marrow stromalcells. Stem Cells 2001;19:219-225.)。すなわち、大腿骨及び脛骨の骨幹に針を刺して骨髄細胞を採取し、15%ウシ胎児血清(FBS)を含有する完全α改変イーグル培地(MEMα、Invitrogen社製, Carlsbad, CA)30mlで洗浄した後、骨髄細胞懸濁液を70μmナイロンフィルター(Becton Dickinson社製, Franklin Lakes, NJ)でろ過し、75cm2フラスコにプレートした。完全MEMα(15%FBS)中で、37℃、5%CO2条件下で骨髄細胞を増殖させ、3日後に上記培地を新しい完全MEMα培地(15%FBS)に交換し、接着した骨髄細胞を80%コンフルエントまで増殖させ、得られた細胞試料をゼロ継代(passage 0)と定義した。3継代〜5継代の細胞を実験に用いた。American Type Culture Collection(ATCC, Manassas, VA)から入手したラット小腸由来の細胞(IEC−6細胞)及びヒト結腸癌由来の細胞(Caco−2細胞)を通常(20%)酸素下でDMEM(Invitrogen社製)及びMEM(Invitrogen社製)で各々維持した。札幌医科大学動物実験委員会のガイドラインに従い、Lewisラットを飼養した。札幌医科大学の組換えDNA実験の安全性のための動物実験委員会が、全ての実験プロトコルを検討、承認した。ラットは全て雄で、使用時には8週齢、体重は250g以下であった。
rMSCの免疫表現型を、ラット表面抗原CD11b、CD31、CD43、CD44、CD45、及びCD90に対する特異的抗体(イムノテック社製)を用いてFACSCalibur(BD Biosciences社製, Franklin Lakes, NJ)により決定した(Javazon EH, Colter DC, Schwarz EJ, Prockop DJ. Rat marrow stromalcells are more sensitive to plating density and expand more rapidly from single-cell-derived colonies than human marrow stromal cells. Stem Cells 2001;19:219-225.)。また、かかるrMSCのインビボでの骨細胞、脂肪細胞及び軟骨細胞への分化能を確認した(Romanov YA, Svintsitskaya VA, Smirnov VN. Searching for alternative sources of postnatal human mesenchymalstem cells: candidate MSC-Like cells from umbilical cord. Stem Cells 2003;21:105-110.)。
インビボの治療に最適なrMSC由来馴化培地(MSC−CM)について検討するために、3種類の馴化培地(CM)、すなわち、通常酸素下でインキュベートした馴化培地(norCM)、低酸素下でインキュベートした馴化培地(hypoCM)、及び、INFγで刺激した馴化培地(γCM)を調製した。具体的には、以下のような方法で行った。
rMSC(4×105細胞)を150mmの培養皿に適切なスケールで播種し、rMSCがコンフルエントに達するまで完全MEMα(15%FBS)で培養した。かかるrMSCを以下の3種類のCMの調製に用いた。norCMの場合は、前述のrMSCを無血清DMEMで、通常酸素下(酸素濃度20%)、24時間培養した。hypoCMの場合は、前述のrMSCを無血清DMEMで、低酸素下(酸素濃度5%)、24時間培養した。γCMの場合は、ラットINFγ(100ng/ml、BioLegend社製)を含む無血清DMEMで、前述のrMSCを通常酸素下(酸素濃度20%)、24時間培養した後、PBSで洗浄し、さらに無血清DMEMで、通常酸素下(酸素濃度20%)、24時間培養した。
3種類それぞれの場合のCMを収集し、300×gで5分間遠心し、最後に0.22μmのシリンジフィルターを用いてろ過し、使用時まで−80℃で保存した。製造元の説明書に従い、カットオフ値が10kDaの遠心ろ過ユニット(Ultracel-10K Millipore社製)を用いて、限外ろ過により上記CM(norCM、hypoCM、又は、γCM)をさらに濃縮(最終濃度1μg/μl)してインビボ実験用とした。なお、通常酸素下の培養は、標準的インキュベータ内において5%CO2及び20%O2含有空気下で行い、低酸素下での培養は、製造元の説明書に従って最終酸素濃度5%の低酸素条件をセットした、低酸素チャンバー(低温O2/CO2インキュベータ9200EX、和研薬株式会社製)内において行った。
細胞生存率を、MTT[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニル−テトラゾリウムブロミド]発色還元アッセイにより測定した(Sladowski D, Steer SJ, Clothier RH, Balls M. An improved MTT assay. Immunol Methods 1993;157:203-207.)。すなわち、細胞を96ウェルプレートに播種し、Cell Counting Kit-8(同仁化学研究所製)のアリコート10μlを上記96ウェルマイクロプレートの各ウェルに添加し、37℃で1〜4時間インキュベートして反応させた。生細胞におけるMTT還元物質の発色の程度の指標となる吸光度に基づいて、MTTの発色が阻害される割合を導き、かかる割合を基に細胞生存率を算出した。MTT還元物質の発色レベルは、波長450nmの吸光度として測定した。
フローサイトメトリー用として、IEC−6単細胞懸濁液(Single cell suspension)を90%低温エタノールで固定し、RNase Aで処理し、ヨウ化プロピジウムで染色した。フローサイトメトリーで測定されるサブG1のピークを、アポトーシス細胞分画とした。DeadEndColorimetric TUNELシステム(Promega社製)を用いて、末端デオキシヌクレオチド転移酵素媒介dUTPニック末端標識(TUNEL)反応を行った。製造元の説明書に従って、Ki67免疫組織化学法(Abcam社製)を行った。少なくとも5つの異なる試料においてKi67陽性核及びTUNEL陽性核をカウントし、Ki67標識指標及びアポトーシス指標を百分率で表した。
IEC−6細胞のインビトロの遊走を、単層培養細胞創傷アッセイ、即ち「スクラッチアッセイ」により測定した。p200ピペットの先端で、35mm皿上のIEC−6単層に直線の傷を十字状につけて「スクラッチ」を作り、よく洗浄して、削られた細胞を除去した後、各々1.5mlのMSC−CMを加えた。画像を取得する際に位相差顕微鏡下で同一の区域を得ることができるように、上記スクラッチの近傍に、基準点として利用できる印をつけた。一定時間ごと(0、6、12、及び24時間)に観察するため、上記の皿を37℃のインキュベータから取り出すことが可能であり、各々の時間枠経過後の画像を取得した後に戻して、インキュベートを再開した。各々の画像について、TScratch programソフトウェア(http://www.cse-lab.ethz.ch/software.htmlから無料で入手)を用いて各時間枠の、開放創(open wound)の区域面積を定量的に測定した。各実験は少なくとも3回繰り返した(Geback T, Schulz MMP, Koumoutsakos P, Detmar M. A novel and simple software tool for automated analysis of monolayer wound healing assays. BioTechniques2009;46:265-274.)。
各々のコンフルエント細胞を、20mMのTris−HCl、pH7.4、150mMの塩化ナトリウム、1mMのEDTA、pH8.0、0.1%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.1%のデオキシコール酸ナトリウム、及び1%のTritonX-100、並びにプロテアーゼインヒビターカクテル錠Complete Mini(商標)(Roche Diagnostics社製)及びホスファターゼインヒビターカクテル錠PhosSTOP(Roche Diagnostics社製)を1錠ずつ含む放射線免疫沈降法(RIPA)バッファーに溶解した。Bio-Radタンパク質アッセイ(Bio-Rad社製)によりタンパク質量を算出した各々の溶解液40μgを、12%変性ポリアクリルアミドゲル上で分離させ、二フッ化ポリビニリデン(PVDF)膜に転写した。5%脱脂粉乳を含むTBST溶液中でブロッキング処理した後、pan−Akt、phospho−Akt、Erk5、phospho−Erk5、及びJNK1/3に対する一次抗体(Santa Cruz社製)、phospho−SAPK/JNK、p38、及びphospho−p38に対する一次抗体(Cell Signaling Technology社製)、並びにβアクチンに対する一次抗体(Sigma-Aldrich社製)と共に上記膜をインキュベートし、次にホースラディッシュペルオキシダーゼ標識二次抗体(Santa Cruz社製)と共にインキュベートした。enhanced chemiluminescence kit(Amersham Biosciences社製)を用いて免疫反応を進行させた。
5%DSSを含む飲水を7日間(0日目〜6日目)不断給餌することによりDSS腸炎を誘発させた。6日目に上記DSS溶液を水に交換し、体重、文献(Cooper HS, Murthy SNS, Shah RS, Sedergran DJ. Clinicopathologicstudy of dextran sulfate sodium experimental murine colitis. Lab Invest 1993;69:238-249.)に記載のDisease activity index score(DAIスコア)、及び組織学的スコアによる評価を行うまで、ラットに毎日普通の水を飲ませた。上記のDAIスコアは、便性状(硬便=0;軟便=1;水様便=2)、血便(なし=0;少(付着程度)=1;多(流出)=2)、体重減少(基準から2%未満の減少=0;基準から2%以上5%未満の減少=1;基準から5%以上10%未満の減少=2;基準から10%以上の減少=3)と規定した上で、「便性状」×2+「血便」×2+体重減少=DAIスコア、という式に基づいて算出した。また上記の組織学的スコアは、次の通りである:炎症重症度、なし=0;軽度=1;中程度=2;炎症性細胞浸潤を伴う重度=3。炎症の範囲、なし=0;粘膜のみ=1;粘膜及び粘膜下層=2;貫壁性浸潤=3。陰窩の損傷、損傷なし=0、基底の1/3が損傷=1、基底の2/3が損傷=2、陰窩が消失しているが表層上皮が存在する場合=3、陰窩及び表層上皮の両方が消失している場合=3(Williams KL, et al. Enhanced survival and mucosal repair after dextransodium sulfate-induced colitis in transgenic mice that overexpressgrowth hormone. Gastroenterology 2001;120:925-937.)。上記グループ分けについて知らされていない病理医が、腸炎実験の最も炎症の重い病変、及び対照である腸管の対応する解剖学的切片について、代表的断面をヘマトキシリン及びエオシンで染色して、組織学的スコアを独立に判定した。各ラット(n=10)由来の3つの全周断面(全部で90断面)を解析した。Ki67に対するウサギモノクローナル抗体(mAb)をAbcam社から購入した。
製造元の説明書にしたがい、複数タンパク質ELISAキット、Multi-AnalyteELISArray(商標)キット(SABioscience社製)を用いてラット炎症性サイトカインについてMSC−CMを分析した。簡潔に述べれば、各々のMSC−CMを、キットに付属するサンプル希釈用バッファーで十分に希釈した。このキットを用いてIL−1β、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12、IL−17A,IFN−γ、TNF−α、TGF−β1、MCP−1、MIP−1α、及びMIP−1βの濃度を分析した。上記キットにより供給される陰性及び陽性対照も測定した(Sand KL, Rolin KJ, Al-Falahi Y, Maghazachi AA. Modulation of natural killer cell cytotoxicity and cytokine release by the drug glatiramer acetate. Cell Mol Life Sci2009;66:1446-1456.)。
2つのグループを比較するため、独立t検定及びマン−ホイットニーU検定を用いて、パラメトリック分析及びノンパラメトリック分析を各々行った。カイ二乗検定、ピアソンの統計に基づく実際のP値、又はモンテカルロ法を用いて分類に基づく変数(categorical variables)を比較した。多重比較のため、特に経時的評価においてANOVAを採用して、2要因反復測定(対象間―対象内混合(mixed between-within subject))ANOVAを行い、続いてボンフェローニ検定を適用した(Tabachnick BG, Fidell LS, eds. Using multivariate statistics (4th edn). New York: HarperCollins; 2001.)。全ての両側検定(two-tailed test)においてP<0.05の場合に有意性があるとみなした。全ての統計的検定に、SPSS Statisticsソフトウェア 17.0(Chicago, IL)を用いた。
[インビトロの細胞生存性、細胞周期、アポトーシス、遊走、及び生存シグナル活性化に対するMSC−CMの効果]
インビトロでのIEC−6細胞株の増殖に対する3種類(低酸素前処理(hypoCM)、IFN−γ刺激処理(γCM)、及び通常酸素前処理(norCM))のrMSC由来馴化培地(MSC−CM)の効果や培地濃度による効果を調べるため、MTTアッセイを行い、細胞生存率(図1)及び細胞周期(図2〜6)を解析した。その結果、IEC−6細胞の細胞生存率は、低酸素による前処理(hypoCM)群で最も高く、特に処理後87時間において顕著な差が認められた(図1)。また、フローサイトメトリーにより細胞周期を解析したところ、血清枯渇前のIEC−6細胞(図2)や血清存在下で培養したIEC−6細胞(図3)と比較して、血清枯渇により48時間培養したIEC−6細胞は、サブG1のピークが上昇した(図4)。一方、IEC−6細胞を48時間血清飢餓状態に置いても、norCM(図5)、又はhypoCM(図6)のいずれかを用いた場合において、かかるサブG1のピークの上昇は抑制された。これらの結果は、norCM及びhypoCMで培養を行うことにより、血清枯渇によるアポトーシスの誘導が阻害されたことを示唆している。そこで、TUNELによりIEC−6細胞におけるアポトーシスを解析したところ、48時間IFN−γ刺激処理(IFNγ48)した場合と比較して、通常酸素前処理(norCM)(P=0.023)及び低酸素前処理(hypoCM)(P=9.1E−7)によりアポトーシスは有意に抑制されていることが示された(図7)。さらにhypoCM処理によるアポトーシスの抑制効果は、norCM処理によるそれよりも有意に大きかった(P=0.012、図7)。次に、インビトロのIEC−6細胞遊走を、単層培養細胞創傷アッセイ、すなわち「スクラッチアッセイ」により測定した(図8)。その結果、hypoCMによる処理は、DMEM培地(P=0.02445)及びγCM処理(P=0.02267)と比較して傷の治癒を促進することが示された(図8)。さらに、IEC−6におけるAkt及びJNK1/3シグナル活性を解析したところ、血清飢餓処理(DMEM(FBS−))と比較して、MSC−CM(norCM及びhypoCM)処理によりIEC−6細胞におけるリン酸化されたAkt(Phospho−Akt)及びJNK1/3レベルが上昇した(図9)。これらの結果は、MSC−CM(norCM及びhypoCM)処理によりAkt及びJNK1/3シグナルが活性化された結果、細胞遊走が促進されたことを示している。
5%DSSで誘発させた急性腸炎(DSS腸炎)ラットの尾静脈に、インビボ実験用に調製した馴化培地(norCM)を静脈注射し、MSC−CMにより治療効果があるかどうかを、体重(図10)及び疾患活動性指標(DAI)スコア(図11)を指標に調べた。その結果、DSSに曝露させた期間の腸炎急性期(0日目〜6日目)では、有意な治療効果は見られなかったが、DSS曝露を止めてDSSを含まない飲水に代えた回復期間では、MSC−CM投与により体重が有意に回復することが示された(図10)。特に投与後12日目〜14日目(回復期間の5日目〜7日目)における急性腸炎ラットの体重変化から、MSC−CM投与量依存的な治療効果があることを示された。同様に、MSC−CM投与によりDAIスコアが回復し、特に500μg/日のMSC−CMを投与した群では、対照(PBS投与)と比べ優れた有意差を有していた(図11)。さらにDAIスコアを詳細に解析したところ、MSC−CM投与により下痢症状が軽減した(図12)。
次に、MSC−CMの投与方法により腸炎治療効果に違いがあるかどうかを調べた。すなわち、インビボ実験用に調製した馴化培地(norCM)を、3種類の投与経路(腹腔内[IP]、腸管内[IC、即ち注腸]又は静脈内[IV])により急性腸炎ラットへ投与し、体重(図13)及びDAIスコア(図14)を指標に調べた。その結果、いずれの経路によるMSC−CMの投与においても、対照(PBS)と比べ体重の回復効果が認められたが、3種類の経路による投与方法の間で違いは認められなかった(図13)。また、注腸(IC)に投与した場合、投与後12日目〜14日目(回復期間の5日目〜7日目)における体重は、対照(PBS投与)と比べ有意差が認められた(図13)。同様に、DAIスコアについても、3種類の経路によるMSC−CMの投与により、対照(PBS)と比べ回復していることが示された(図14)。また、腹腔内投与(IP)と腸管内(IC)投与とを比較した場合、11日目(P=0.011)及び12日目(P=0.021)で有意差が認められた(図14)。また、静脈内投与(IV)でも、腸管内(IC)投与と比較して好適な結果が得られた。次に、インビトロでの実験において、norCM処理よりもhypoCM処理の方が効果的であったことから、インビボでの腸炎の治療においてもhypoCM処理が効果的であるどうかについて調べた。その結果、MSC−CMを投与した場合と比べ、hypoCMを投与した場合の方が、体重の回復(図15、上段)及びDAIスコアの回復(図15、下段)レベルがともに高かった。また、hypoCMを投与した場合のDAIスコアの回復効果は、対照(DMEM)を投与した場合と比べ、投与後8〜11及び13日目に有意差が認められた(図15、下段)。
さらに、MSC−CM療法効果を病理組織学的解析により詳細に解析した。すなわち、インビボ実験用に調製した馴化培地(norCM)を、DSS腸炎ラットへ投与し、大腸上皮の損傷レベルを、組織学的スコアを指標に解析し(図16)、また大腸細胞数を、Ki−67陽性細胞を指標に解析した(図17)。その結果、腸炎の急性期(Inductive phase)及び回復期(Recovery phase)において、MSC−CMで治療したラットの上皮傷害レベルは著しく抑制され(図16)、またKi−67陽性細胞数は増加していることが示された(図17)。特に、腸炎急性期(Inductive phase)において、MSC−CMを投与した場合の上皮傷害レベル(P=7/98E−5)及びKi−67陽性細胞数(P=1.43E−4)は、対照(培養培地投与)と比べ、統計的有意性を示していた。また、MSC−CM投与により、腸炎の急性期(Inductive phase)では、Ki−67陽性細胞が陰窩の上方に顕著に増加していたが、回復期(Recovery phase)ではこの傾向は認められなかった。なお、MSC−CM投与により、claudin-2(cldn−2)タンパク質は、アップレギュレーションされて急性期(Inductive phase)では主に陰窩の基底部位に再分布したが、回復期(Recovery phase)にはダウンレギュレーションされることも確認した。対照的に、DSS腸炎ラット対照群における急性期(Inductive phase)には、cldn−2はダウンレギュレーションされ、また回復期(Recovery phase)にはアップレギュレーションされることも確認した。これらの結果から、MSC−CMは、腸炎急性期に上皮の細胞回転を著明に亢進させ、その傷害を低減することが示された。また、その際に、cldn−2タンパクの誘導、再分布が認められたことから、MSC−CMは、上皮バリア機能回復にも寄与する可能性が認められた。
DSS腸炎に対するhypoCM治療作用機構を調べるため、MSC−CM中に含まれるラット炎症性サイトカインのタンパク質量をMulti-Analyte ELISArrayにより解析した(図18)。34種類の代表的なサイトカイン、ケモカイン及び増殖因子のアレイを選択し、norCM処理及びhypoCM処理した場合の培地に含まれる上記34種類のタンパク質の発現量を比較した(図18)。その結果、VEGFとMCP−1の発現量は、norCM処理した場合と比べ、hypoCM処理した方が高く、有意差が認められた(図18)。
Claims (3)
- 間葉系幹細胞(MSC)の培養上清を含む炎症性腸疾患の予防・治療剤であって、
前記間葉系幹細胞(MSC)の培養上清は、培養細胞として間葉系幹細胞のみを含む培地を用い、間葉系幹細胞を培養して得られる培養上清である、炎症性腸疾患の予防・治療剤。 - MSCの培養上清が、培養細胞として間葉系幹細胞のみを含む培地を用い、MSCを低酸素濃度下で培養して得られる培養上清である請求項1に記載の炎症性腸疾患の予防・治療剤。
- 間葉系幹細胞(MSC)が、骨髄間葉系幹細胞(BMSC)である請求項1又は2に記載の炎症性腸疾患の予防・治療剤。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2011155142A JP6132459B2 (ja) | 2011-07-13 | 2011-07-13 | 間葉系幹細胞の培養上清を含む腸炎の予防・治療剤 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2011155142A JP6132459B2 (ja) | 2011-07-13 | 2011-07-13 | 間葉系幹細胞の培養上清を含む腸炎の予防・治療剤 |
Related Child Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2016077695A Division JP2016155850A (ja) | 2016-04-07 | 2016-04-07 | 間葉系幹細胞の培養上清を含む剤 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2013018756A JP2013018756A (ja) | 2013-01-31 |
| JP6132459B2 true JP6132459B2 (ja) | 2017-05-24 |
Family
ID=47690560
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2011155142A Active JP6132459B2 (ja) | 2011-07-13 | 2011-07-13 | 間葉系幹細胞の培養上清を含む腸炎の予防・治療剤 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP6132459B2 (ja) |
Families Citing this family (13)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| IN2014DN08862A (ja) * | 2012-03-28 | 2015-05-22 | Quarrymen Corp | |
| US10639355B2 (en) * | 2014-01-24 | 2020-05-05 | Quarrymen & Co. Inc. | Method of making conditioned medium from immortalized dental pulp stem cells |
| JP6474549B2 (ja) * | 2014-03-03 | 2019-02-27 | 国立大学法人徳島大学 | 幹細胞の培養産物の評価指標及びその利用 |
| KR102260122B1 (ko) | 2014-03-11 | 2021-06-03 | 훗카이도 코리츠 다이가쿠 호진 삿포르 이카 다이가쿠 | 간엽줄기세포 활성화제, 활성화된 간엽줄기세포 및 그 제조 방법 |
| WO2016148230A1 (ja) * | 2015-03-17 | 2016-09-22 | 東洋紡株式会社 | 幹細胞培養上清の製造方法 |
| US11984312B2 (en) * | 2016-03-30 | 2024-05-14 | University of Pittsburgh—of the Commonwealth System of Higher Education | System for portable gas storage and delivery |
| SG10201606949QA (en) | 2016-08-19 | 2018-03-28 | Singapore Health Serv Pte Ltd | Immunosuppressive composition for use in treating immunological disorders |
| JP2018033320A (ja) * | 2016-08-29 | 2018-03-08 | Aof株式会社 | 判定システム及び判定方法 |
| CN107034185B (zh) * | 2017-05-08 | 2021-05-07 | 中国人民解放军第二军医大学 | 一种裸鼹鼠骨髓间充质干细胞的原代分离培养方法 |
| US12090251B2 (en) | 2018-04-25 | 2024-09-17 | Sapporo Medical University | Cell sheet for transplantation into living body and method for producing same |
| JP6826744B1 (ja) | 2020-07-17 | 2021-02-10 | 医療法人Yanaga CLinic | 成熟脂肪細胞含有組成物の製造方法 |
| WO2022092307A1 (ja) * | 2020-10-30 | 2022-05-05 | 株式会社セルファイバ | ハイドロゲル構造体、ハイドロゲル構造体の製造方法、剤及び移植方法 |
| JP7690737B2 (ja) | 2021-01-20 | 2025-06-11 | 株式会社リジェネシスサイエンス | 成熟軟骨細胞の製造方法 |
-
2011
- 2011-07-13 JP JP2011155142A patent/JP6132459B2/ja active Active
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2013018756A (ja) | 2013-01-31 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| JP6132459B2 (ja) | 間葉系幹細胞の培養上清を含む腸炎の予防・治療剤 | |
| Zhao et al. | Inhalation of MSC-EVs is a noninvasive strategy for ameliorating acute lung injury | |
| Watanabe et al. | Conditioned mesenchymal stem cells produce pleiotropic gut trophic factors | |
| AU2021218073B2 (en) | Medium, methods, cells and secreted factors for stem cell culture and therapy | |
| Mohapatra et al. | Group 2 innate lymphoid cells utilize the IRF4-IL-9 module to coordinate epithelial cell maintenance of lung homeostasis | |
| Dong et al. | The anti-fibrotic effects of mesenchymal stem cells on irradiated lungs via stimulating endogenous secretion of HGF and PGE2 | |
| Deng et al. | STAT3-mediated attenuation of CCl4-induced mouse liver fibrosis by the protein kinase inhibitor sorafenib | |
| Tsolaki et al. | Hematopoietic stem cells and liver regeneration: differentially acting hematopoietic stem cell mobilization agents reverse induced chronic liver injury | |
| Cunningham et al. | Systemic conditioned medium treatment from interleukin-1 primed mesenchymal stem cells promotes recovery after stroke | |
| Wang et al. | Ontak-like human IL-2 fusion toxin | |
| JP2022095884A (ja) | 単離ミトコンドリアを含む関節リウマチの予防または治療のための医薬組成物 | |
| Wang et al. | Senolytic drugs dasatinib and quercetin combined with Carboplatin or Olaparib reduced the peritoneal and adipose tissue metastasis of ovarian cancer | |
| Forte et al. | Human cord blood-derived platelet lysate enhances the therapeutic activity of adipose-derived mesenchymal stromal cells isolated from Crohn’s disease patients in a mouse model of colitis | |
| Belingheri et al. | Allogeneic mesenchymal stem cell infusion for the stabilization of focal segmental glomerulosclerosis | |
| Yong et al. | Gentiopicroside improves NASH and liver fibrosis by suppressing TLR4 and NLRP3 signaling pathways | |
| CN103648531A (zh) | 用于预防或治疗代谢综合症的方法 | |
| US12459996B2 (en) | Methods for treating alcohol-induced brain injury and reducing alcohol addiction | |
| Xu et al. | Tauroursodeoxycholic acid alleviates hepatic ischemia reperfusion injury by suppressing the function of Kupffer cells in mice | |
| Denewar et al. | Role of bone marrow-derived mesenchymal stem cells on the parotid glands of streptozotocin induced diabetes rats | |
| Su et al. | Anti-inflammatory protein TSG-6 secreted by BMSCs attenuates silica-induced acute pulmonary inflammation by inhibiting NLRP3 inflammasome signaling in macrophages | |
| Filidou et al. | Conditioned medium from a human adipose-derived stem cell line ameliorates inflammation and fibrosis in a lung experimental model of idiopathic pulmonary fibrosis | |
| He et al. | NLRP6 deficiency inhibits neuroinflammation and ameliorates brain injury in ischemic stroke by blocking NLRs inflammasomes activation through proteasomal degradation of pro-caspase-1 | |
| JP2016155850A (ja) | 間葉系幹細胞の培養上清を含む剤 | |
| Zhang et al. | Urine-derived stem cells reverse bleomycin‑induced experimental pulmonary fibrosis by inhibition of the TGF-β1-Smad2/3 pathway | |
| CN115518077B (zh) | 一种治疗炎症性肠病的细胞药物 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140711 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150706 |
|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20160107 |
|
| A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20160404 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160407 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20160405 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20160408 |
|
| A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20160509 |
|
| A912 | Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912 Effective date: 20160722 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170301 |
|
| A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170418 |
|
| R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6132459 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
| R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
| R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
| R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
| R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
| R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
| R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |