JP6130793B2 - シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ - Google Patents
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Description
1つの例では、アクリラート含有シロキサンモノマーは、式(I)により表わされるモノマーを含んでいてもよく、
更に別の例示的なアクリラート含有シロキサンモノマーは、式(II)により表わされ、
別の例示的なアクリラート含有シロキサンモノマーは、式(III)により表わされ、
他の好適なアクリラート含有シロキサンモノマーは、式(IV)により表され、
更に別の好適なアクリラート含有シロキサンモノマーは、式(V)により表わされ、
1つの例では、アクリラート含有シロキサンモノマーは、単官能性アクリラート含有シロキサンモノマー及び二官能性アクリラート含有シロキサンモノマーの組み合わせを含んでいてもよい。この例では、二官能性アクリラート含有シロキサンモノマーは、約0.04、0.06、0.08、又は0.10mol%から約0.20、0.25、0.30、又は0.35mol%までの量で重合性組成物中に存在していてもよく、単官能性アクリラート含有シロキサンモノマーは、約2、3、4、又は5mol%から約8、10、12、15、又は18mol%までの量で存在していてもよい。1つのそのような例では、単官能性アクリラート含有シロキサンモノマーは、2,000、1,500、1,000、又は750未満の分子量を有しており、二官能性アクリラート含有シロキサンモノマーは、少なくとも3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、6,000、7,000、又は8,000の分子量を有する。上記の式III、IV、及びVにより表わされるもの等のポリオルガノシロキサンプレポリマー及び他の多分散モノマーの場合、用語「分子量」は、本明細書で使用される場合、1H NMR末端基分析法により決定される、モノマーの絶対数平均分子量(単位は、ダルトン)を指す。特定の例では、単官能性アクリラート含有シロキサンモノマーは、約250〜約1000の分子量を有しており、二官能性アクリラート含有シロキサンモノマーは、約5,000〜約16,000の分子量を有する。更なる特定の例では、単官能性アクリラート含有シロキサンモノマーは、約500〜約1000の分子量を有しており、二官能性アクリラート含有シロキサンモノマーは、約5,000〜約12,000の分子量を有する。
アクリラート含有シロキサンモノマーが、単官能性アクリラート含有シロキサンモノマー及び二官能性アクリラート含有シロキサンモノマーの組み合わせを含む上述の例では、単官能性アクリラート含有シロキサンモノマー及び二官能性アクリラート含有シロキサンモノマーは、それぞれ、少なくとも20:1、30:1、40:1、50:1、75:1、又は100:1、及び随意に約150:1、175:1、200:1、225:1、又は250:1までのモル比で、重合性組成物中に存在していてもよい。
1つの例では、重合性組成物は、レンズの機械的強度及び/又は硬さを更に増強するために、又は他の所望特性を付与するために、アクリラート含有モノマーを更に含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、「アクリラート含有モノマー」は、単一の重合性アクリラート基(例えば、メタクリル酸メチル、アクリルアミド等)を有するあらゆる非シロキサンモノマーである。存在する場合、重合性組成物中のアクリラート含有モノマーの合計量は、典型的には、約12、14、16、又は18mol%から約20、25、又は30mol%までを含む。特定の例では、アクリラート含有モノマーは、重合性メタクリラート基を有する。多数の好適なアクリラート含有モノマーが、当技術分野で公知である。例示的なアクリラート含有モノマーには、以下のものが含まれる:メタクリル酸メチル(MMA)、2−ヒドロキシブチルメタクリラート(HOB)、tertブチルメタクリラート(tBMA)、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)、エトキシエチルメタクリルアミド(EOEMA)、エチレングリコールメチルエーテルメタクリラート(EGMA)、イソボルニルメタクリラート(IBM)、及びそれらの組み合わせ。
1つの例では、重合性組成物は、架橋剤を更に含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、「架橋剤」は、2つ以上の重合性エチレン系不飽和基を有しており、約2,000未満の分子量を有するあらゆる化合物である。従って、架橋剤は、1つのポリマーと別のポリマーを架橋するように、2つ以上のポリマー鎖にある官能基と反応することができる。本明細書で使用される場合、「アクリラート含有架橋剤」は、少なくとも2つの重合性アクリラート基を有し、他のタイプの重合性基を有していない。「ビニル含有架橋剤」は、少なくとも2つの重合性ビニル基を有し、他のタイプの重合性基を有しておらず、ビニル基の炭素間二重結合は、フリーラジカル重合反応下では、アクリラート又はメタクリラート重合性基に存在する炭素間二重結合ほど反応性ではない。
本明細書で開示されている重合性組成物に使用することができるビニル含有架橋剤例には、限定ではないが、ジビニルエーテル、又はジビニルスルホン、又はトリアリルイソシアヌラート、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。例示的なジビニルエーテルには、以下のものが含まれる:ジエチレングリコールジビニルエーテル、又はトリエチレングリコールジビニル、又は1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、又は1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、又はそれらの任意の組み合わせ。シリコーンヒドロゲル重合性組成物での使用に好適な他の架橋剤は、当技術分野で公知である(例えば、背景技術セクションに列挙されている特許公報を参照)。典型的には、ビニル含有架橋剤は、2つ又は3つの重合性ビニル基を有していてもよい。ビニル含有架橋剤、並びに下記に詳述されているアクリラート含有架橋剤は、典型的には、1500、1000、500、又は250未満の分子量を有していてもよい。存在する場合、重合性組成物中のビニル含有架橋剤の合計量は、典型的には、約0.02、0.04、又は0.06mol%から約0.10、0.15、又は0.20mol%までである。
本明細書で開示されている重合性組成物に使用することができるアクリラート含有架橋剤の例には、限定ではないが、以下のものが含まれる:低級アルキレングリコールジ(メタ)アクリラート、ポリ(低級アルキレン)グリコールジ(メタ)アクリラート、低級アルキレンジ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリラート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリラート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、及び1,3−ビス(3−メタクリロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン。ある例では、アクリラート含有架橋剤は、シロキサン部分を含んでおらず、つまり、非シロキサン架橋剤である。存在する場合、重合性組成物中のアクリラート含有架橋剤の合計量は、典型的には、約0.20、0.25、0.30、又は0.35mol%から約0.50、0.60、0.70、0.80、又は1.0mol%までである。
重合性組成物は、重合性組成物中の各反応性成分の質量パーセント(質量%)及び種々の反応性成分の質量%比で記述することもでき、質量パーセントは、全反応性成分の合計質量に対する、組成物の反応性成分の合計質量に基づく。例えば、重合性組成物は、合計量が約20、25、又は30質量%から約50、55、又は60質量%までの親水性ビニルアミド含有モノマー;合計量が約1、2、又は4質量%から約10、15、又は20質量%までのビニルエーテル含有モノマー;及び合計量が約20、25、又は30質量%から約50、55、又は60質量%までのアクリラート含有シロキサンモノマーを有していてもよい。1つの例では、重合性組成物は、合計量が約0.02又は約0.05質量%から約0.5又は1.0質量%までのビニル含有架橋剤を有していてもよい。別の例では、重合性組成物は、合計量が約0.05質量%〜約4質量%のアクリラート含有架橋剤を有する。1つの例では、重合性組成物は、約5又は10質量%から約20又は25質量%までのアクリラート含有モノマーを更に有していてもよい。重合性組成物のこれら質量%の例は、上述のモル比及び/又はモルパーセントの例のいずれとも組み合わせることができる。
本明細書に記載されている重合性組成物は、重合性組成物中に高分子量親水性ポリマー(つまり、事前に形成されているポリマー)が含まれていない、眼科的に許容される湿潤性レンズ表面を有するコンタクトレンズをもたらす。特定の例では、重合性組成物は、親水性ポリマーを実質的に含んでいない。本明細書で使用される場合、「実質的に含んでいない」は、全く存在しないか、又は極微量であること、つまり、レンズの物理的特性に測定可能な影響を及ばさない量を意味する。しかしながら、そのような親水性ポリマーは、必要に応じて、重合性組成物に含まれていてもよい。そのような親水性ポリマーの例には、少なくとも50,000の分子量を有する、ポリアミド、ポリラクタム(特に、ポリビニルピロリドン)、ポリイミド、ポリラクトン、及びポリデキストランが含まれ、これらは、米国特許第6,367,929号明細書に記載されており、この文献は、参照により本明細書に組み込まれる。従って、別の例では、重合性組成物は、親水性ポリマーを欠如するが、それ以外は同一であるコンタクトレンズと比べてコンタクトレンズの湿潤性を増加させる量の親水性ポリマーを更に含む。
当業者であれば理解するだろうが、重合性組成物は、コンタクトレンズ配合物に従来使用されている重合性成分に加えて、典型的には、非重合性成分を含むことになるだろう。例えば、重合性組成物は、典型的には、重合開始剤、UV吸収剤、及び着色剤を含むだろう。また、有機希釈剤、脱酸素剤、又は連鎖移動剤等の更なる成分が含まれていてもよい。重合性組成物に含まれていてもよい、これらの更なる成分の非限定的な例は、米国特許出願公開第2007/0296914号明細書及び以下に示されている。
コンタクトレンズは、注型成形、回転成形、射出成形、その後旋盤加工される重合ロッド形成等の、当技術分野で公知の硬化法及び他の加工法を使用して、本明細書に記載の重合性組成物から製作することができる。特定の例では、重合性組成物は、熱可塑性ポリマーで形成されている金型間に注型成形される。熱可塑性ポリマーは、典型的には、ポリプロピレン等の無極性材料であるが、当技術分野では、極性金型材料も使用される。手短に言えば、「雌型金型部材」と呼ばれる、コンタクトレンズの前部表面を規定する第1の金型部材を、単一の重合レンズ体を形成するのに十分な量の重合性組成物で充填する。「雄型金型部材」と呼ばれる、コンタクトレンズの後部(つまり、眼に接触する)表面を規定する第2の金型部材を、雌型金型部材と結合させて、上記の量の重合性組成物をその間に有するレンズ形状空洞を有する金型アセンブリを形成する。
コンタクトレンズ金型アセンブリ内の重合性組成物を、任意の好適な硬化法を使用して重合させる。典型的には、重合性組成物は、重合量の熱又は紫外線(UV)に暴露される。光重合法とも呼ばれるUV硬化法の場合、重合性組成物は、典型的には、ベンゾインメチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、Darocur、又はIrgacur(Ciba Specialty Chemicals社から入手可能)等の光開始剤を含む。コンタクトレンズの光重合法は、米国特許第5,760,100号に記載されている。熱硬化法とも呼ばれる加熱硬化法の場合、重合性組成物は、典型的には熱開始剤を含む。例示的な熱開始剤には、以下のものが含まれる:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル(VAZO−52)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル(VAZO−64)、及び1,1’−アゾビス(シアノシクロヘキサン(VAZO−88)。本明細書に記載の重合性組成物を重合させるために使用することできる例示的な熱硬化法では、金型アセンブリを、約50〜65℃の第1の硬化温度にかけ、それを約15〜45分間維持し、その後温度を少なくとも約70℃の第2の温度に上昇させる。1つのそのような例では、第2の硬化温度は、約70〜85℃であってもよく、約15〜45分間維持してもよく、その後、温度を少なくとも約90℃に再び上昇させてもよく、その後、重合が実質的に完了するまで、典型的には少なくとも約15分間維持してもよい。コンタクトレンズの更なる熱重合法は、米国特許出願公開第2007/0296914号明細書及び米国特許第7,854,866号明細書に記載されており、これら文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
硬化が完了した後、金型アセンブリの金型部材間の重合材料は、コンタクトレンズの形状を有しており、本明細書では「重合レンズ体」と呼ばれる。雄型及び雌型金型部材を、離型、つまり分離し、重合レンズ体を、それが付着している金型部材から取り出し、つまり脱レンズする。これら工程は、それぞれ離型及び脱レンズと呼ばれ、そのような方法は、様々なものが当業者に知られている。幾つかの方法では、離型及び脱レンズ法は、重合レンズ体をも金型から取り外す液体を使用して、金型を分離する場合等、単一の工程ステップを含んでいてもよい。乾式離型法を使用する場合等の他の方法では、重合レンズ体は、典型的には、金型部材のうちの1つに留まり、その後の工程ステップで脱レンズされる。また、脱レンズは、湿式法であってもよく又は乾式法であってもよい。1つの例では、脱レンズは、重合レンズ体が付着している金型部材を水に浸漬する「フロートオフ(float off)」法により実施される。水は、随意に加熱されていてもよい(例えば、約100℃まで)。典型的には、重合レンズ体は、約10分間で金型部材からフロートオフする。乾式脱レンズは、手作業で実施、例えばピンセットを使用して金型部材から重合レンズ体を取り外してもよく、又は米国特許第7,811,483号明細書等に記載のように、自動化された機械的な工程を使用して取り外してもよい。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの更なる離型及び脱レンズ法は、米国特許出願公開第2007/0035049号に記載されている。
脱レンズした後、重合レンズ体を洗浄して、未反応又は部分的反応成分を重合レンズ体から除去し、重合レンズ体を水和する。特定の例では、重合レンズ体を、揮発性有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、クロロホルム等)を含んでいない洗浄液で洗浄し、重合レンズ体の洗浄に使用した液体は全て、揮発性有機溶媒を含んでいない。このタイプの洗浄は、本明細書では、「有機溶媒不含抽出」とも呼ばれる場合があり、「有機溶媒」は、揮発性有機溶媒を指す。例えば、揮発性有機溶媒を一切用いずに、Tween80等の界面活性剤の水溶液を使用する洗浄ステップは、揮発性有機溶媒不含抽出であるとみなされる。更なる例では、重合レンズ体は、製造過程中(つまり、重合レンズ体の硬化が完了した時から、最終パッケージに密封される時まで)にいかなる揮発性有機溶媒とも接触しない。本明細書に記載の重合性組成物は、揮発性有機溶媒を使用せずに洗浄することができる重合レンズ体を製作するために使用できるが、重合レンズ体は、必要に応じて、有機溶媒で洗浄することもできる。従って、洗浄ステップは、重合レンズ体を、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール等)等の揮発性有機溶媒と接触させること、重合レンズ体を、揮発性有機溶媒、溶質、又はそれらの組み合わせを含有していてもよく又は含有していなくともよい水性液体と接触させることを含んでいてもよい。例示的な洗浄方法は、米国特許出願公開第2007/0296914号明細書及び下記の実施例1に記載されている。
本明細書に記載の重合性組成物から得られるコンタクトレンズの湿潤性は良好であるため、重合レンズ体に重合後表面改質を施して湿潤性を付与する必要性が回避される。湿潤性の付与に使用される重合後表面改質の1つの例は、表面プラズマ処理である(例えば、米国特許第4,143,949号明細書)。湿潤性を付与する重合後改質の別の例は、多層技術(layer-by-layer technique)等により(例えば、米国特許第7,582,327号明細書を参照)、又は親水性ポリマーをパッケージング溶液に添加すること(例えば、米国特許第7,841,716号明細書を参照)による等、親水性ポリマーを重合レンズ体の表面にコーティングすることである。状況に応じて、特定の例では、コンタクトレンズを製作する方法は、重合後表面改質を含んでいない。例えば、本方法は、重合レンズ体のプラズマ表面改質を含んでいなくともよく、及び/又は親水性ポリマーは、重合レンズ体にコーティングされてなくともよく、及び/又は親水性ポリマーは、コンタクトレンズパッケージに配置されるパッケージング溶液に添加されていなくともよい。
洗浄し、随意に任意の表面改質を施した後、水和重合レンズ体は、典型的には、ブリスターパッケージ、ガラスバイアル、又は他の適切な容器に配置される。これらは全て、本明細書では「パッケージ」と呼ばれる。パッケージング溶液も容器に添加され、それは、典型的には、リン酸塩緩衝生理食塩水又はホウ酸塩緩衝生理食塩水等の緩衝生理食塩水溶液である。パッケージング溶液は、随意に、快適剤、親水性ポリマー、表面活性剤、又は重合レンズ体が容器に付着するのを防止する他の添加剤等の更なる成分を含有していてもよい。パッケージは密封され、密封された重合レンズ体は、オートクレーブ滅菌、ガンマ線、eビーム放射線、紫外線による等の、加熱又は蒸気を含む、滅菌量の放射線により滅菌される。最終製品は、無菌パッケージの眼科的に許容されるコンタクトレンズである。
典型的には、有機溶媒不含抽出を使用して加工したレンズは、「湿潤性抽出可能成分」を有することになる。特定の例では、最終コンタクトレンズ製品の湿潤性抽出可能成分は、コンタクトレンズの乾燥質量の約2〜約8%、通常は、コンタクトレンズの乾燥質量の約3〜約6%を占める。コンタクトレンズ中の湿潤性抽出可能成分のパーセントは、以下のようにソックスレー(Sohxlet)抽出法を使用して決定される:単一のロットに由来する5個の完全水和滅菌コンタクトレンズを、パッケージから取り出し、過剰なパッケージング溶液をペーパータオルでレンズから除去する。レンズを、80℃の減圧オーブンで一晩乾燥し、その後、各乾燥レンズを計量してレンズの乾燥質量(W1)を得る。その後、各レンズを、穿孔された積層可能なテフロンシンブルに配置し、シンブルを積層して、カラムの一番上に空のシンブルが配置された抽出カラムを形成する。抽出カラムを小型ソックスレー抽出器(VWR 80068−164)に配置し、抽出器を、冷却管(VWR 80068−1580)及び70〜80mlのメタノールを含有する125mlの丸底フラスコ(VWR−80068−704)に取り付ける。冷却管に水を循環させ、穏やかに沸騰するまで、メタノールを加熱する。凝縮したメタノールが最初に滴下した時点から4時間、レンズを抽出する。メタノール抽出レンズを、シンブルから取り出し、80℃の減圧オーブンで一晩乾燥する。各レンズを計量して、抽出レンズの乾燥質量(W2)を得、各レンズについて、以下の計算を行う:[(W1−W2)/W1]*100。5つの値の平均値を、試験したレンズのロットの各レンズの湿潤性抽出可能物のパーセントとする。
本明細書に記載のコンタクトレンズは、「眼科的に許容され」ており、それは、レンズが眼科的に許容される湿潤性レンズ表面及びイオノフラックス値を有することを意味し、そのためレンズは、典型的には、著しい角膜膨潤、角膜乾燥(「眼乾燥」)、上方上皮弓状病変(「SEAL」、superior epithelial arcuate lesion)、又は他の著しい不快感を引き起こさないか又は伴わない。コンタクトレンズが眼科的に許容されるか否かの決定は、眼科医療医師により実施されるもの、及び当業者により理解されているもの等の、従来の臨床法を使用して達成することができる。
上述の例のいずれかでは、コンタクトレンズは、以下の特性の1つ又は複数により特徴付けられることができる:以下の7段落で詳述されているような、イオノフラックス、接触角、酸素透過率、引張モジュラス、平衡含水率、及びエネルギー損失%。
上述の例のいずれかでは、コンタクトレンズは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,849,811号明細書に記載の「イオノフラックス技術」、又は下記の実施例に示されているイオノフラックス値を決定するために使用された下記方法等の同様な方法を使用して測定して、約10×10-3mm2/分未満、9×10-3mm2/分未満、8×10-3mm2/分未満、7×10-3mm2/分未満、6×10-3mm2/分未満、5×10-3mm2/分未満、又は4×10-3mm2/分未満のイオノフラックスを有していてもよい。水和レンズを、40mlの脱イオン水に10分間配置する。その後、レンズを、レンズ保持デバイスで、雄型部分と雌型部分との間に配置する。雄型部分及び雌型部分は、レンズとそれぞれの雄型部分及び雌型部分との間に位置決めされている可撓性密封リングを含む。その後、レンズ保持デバイスを、ねじ込み蓋に配置する。蓋を、ガラス管にねじ込み、供与側チャンバーを形成する。供与側チャンバーを、16mlの0.1モル濃度のNaCl溶液で満たす。受容側チャンバーとして使用される100mlビーカーを、80mlの脱イオン水で満たす。導電計の鉛板及び撹拌子を、受容側チャンバーの脱イオン水に浸漬する。受容側チャンバーを、約50mlの脱イオン水で満した250mlビーカージャケットに配置し、受容側チャンバーに約35℃の温度を達成するように設定された温度管理を有する水浴槽に接続する。最後に、供与側チャンバー内のNaCl溶液が、受容側チャンバー内の水と水平になるように、供与側チャンバーを受容側チャンバーに浸漬する。受容側チャンバー内の温度が35℃に達したら、導電率を10分間記録する。下記の例の各々の導電率対時間データは、実質的に線形である。
上述の例のいずれかでは、コンタクトレンズは、約80°、70°、又は60°未満の接触角を有していてもよく、接触角は、Maldonado−Codina,C.及びMorgan,P.B.(2007年)、In vitro water wettability of silicone hydrogel contact lenses determined using the sessile drop and captive bubble techniques. Journal of Biomedical Materials Research Part A、83A巻:496〜502頁に記載のように、クルス社製のDSA100液滴形状分析システムを使用し、捕捉気泡方法を使用して決定される動的前進接触角である。
上述の例のいずれかでは、コンタクトレンズの酸素透過率(Dk)は、少なくとも55バーラー又は少なくとも60バーラーであってもよい。Dk値は、Mocon,Inc社(ミネアポリス、ミネソタ州)から入手可能なOx−Tran型酸素透過率試験システムを使用することによって等、当産業で標準的な方法を使用して決定することができる。下記の実施例に示されているDk値は、Chhabraら(2007年)、A single−lens polarographic measurement of oxygen permeability(Dk)for hypertransmissible soft contact lenses.Biomaterials 28巻:4331〜4342頁に記載の方法を使用して決定した。
上述の例のいずれかでは、コンタクトレンズは、Instron社製3342型又は3343型機械的試験システムを使用して、ANSI Z80.20基準により、又は同様の方法により測定して、約0.2MPa、0.3MPa、又は0.4MPa、最大約0.7MPa、0.8MPa、又は0.9MPaの引張モジュラス(つまり、ヤングモジュラス)を有していてもよい。本明細書で報告されているモジュラス、伸び率、及び引張り強さは、Instron社製3342型又は3343型機械的試験システム(Instron Corporation社、Norwood、マサチューセッツ州、アメリカ合衆国)及びBluehill材料試験ソフトウェアを使用し、矩形試料細片を準備するための、4mm間隔を有する特注の矩形コンタクトレンズ抜き型を使用して決定した。モジュラスは、相対湿度が最低70%であるチャンバー内で決定した。レンズを、試験前に少なくとも10分間リン酸塩緩衝液(PBS)に浸漬した。レンズ凹側を上にして保持し、抜き型を使用して、レンズの中央部分を細長く切り出した。細片の厚さは、較正済みの計測器(Rehder電子厚み測定器、Rehder Development Company社、カストロバリー、カリフォルニア州、アメリカ合衆国)を使用して決定した。ピンセットを使用して、細片を、較正済みのInstron装置のグリップに装着し、各グリップのグリップ表面の少なくとも75%に細片を密着させた。最大荷重(N)、引張り強さ(MPa)、最大荷重でのひずみ(伸び率%)、及び引張モジュラス(MPa)の平均及び標準偏差を決定するように設計された試験方法を実施し、結果を記録した。
上述の例のいずれかでは、コンタクトレンズは、約30質量%、40質量%、又は50質量%よりも大きく、及び最大で約60質量%又は70質量%の平衡含水率(EWC)を有していてもよい。EWCを測定するためには、過剰な表面の水をレンズから拭き取り、レンズを計量して、水和質量を得る。レンズを、減圧下80℃のオーブンで乾燥し、計量する。水和レンズの質量から乾燥レンズの質量を減算することにより、質量差を決定する。レンズの質量%EWCは、=(質量差/水和質量)×100である。特定の例では、接触角は、≦70°であり、平衡含水率は、少なくとも約40質量%である。
本明細書に記載のコンタクトレンズは、下記の方法により決定すると、≦±3.0%(つまり、プラス又はマイナス3パーセント以下)の平均寸法安定性分散を示すコンタクトレンズのバッチ(つまり、ロット)に由来する場合、「寸法的に安定している」とみなされる。単一のロットに由来する20個のレンズの弦直径を測定し、平均「初期」直径を得る。同時に、同じロットに由来するレンズの20個の未開封パッケージを、55℃に設定した恒温器に配置する。25℃で2年間の貯蔵寿命を近似するために、レンズを、この高温保存条件で3か月間維持する。3か月間の終了時に、パッケージされているレンズを室温に戻し、パッケージから取り出し、平均「最終」直径を得るために測定した。寸法安定性分散は、式:(直径最終−直径初期/直径初期)×100により計算される。幾つかの例では、寸法安定性分散は、≦±2.5%又は≦±2.0%である。他の例では、レンズは、恒温器が65℃に設定されていることを除いて、上述の方法を使用して決定して、≦±3.0%の寸法安定性分散を有する。この高温保管条件は、25℃で4年間の貯蔵寿命を近似すると考えられる。
上述の例のいずれかでは、コンタクトレンズは、ANSI Z80.20による試験方法を使用して決定して、少なくとも約25、27、又は30、最大で約37、40、又は45のエネルギー損失パーセントを有していてもよい。本明細書で報告されているエネルギー損失値は、10N力変換器(Instron Corporation社 モデル番号2519−101)を備えたInstron社製3343型機械的試験システム(Instron Corporation社、ノーウッド、マサチューセッツ州、アメリカ合衆国)及びTestProfilerモジュールを含むBluehill材料試験ソフトウエアを使用して決定した。手短に言えば、エネルギー損失は、相対湿度が最低70%であるチャンバー内で決定した。レンズを、試験前に少なくとも10分間リン酸塩緩衝液(PBS)に浸漬した。ピンセットを使用して、レンズが各グリップのグリップ表面の少なくとも75%に密着するように、較正済みのInstron装置のグリップにレンズを装着し、レンズは、できるだけ対称的にグリップ間に垂直に装着した。その後、100%ひずみにレンズを伸長させ、その後50mm/分の速度で0%ひずみに戻すのに必要なエネルギーを決定するように設計された試験を、レンズに対して実施した。試験は、単一のレンズで1回だけ実施した。試験が終了したら、エネルギー損失を計算した:損失エネルギー(%)=(100%ひずみに要するエネルギー − 0%ひずみに戻るのに要するエネルギー)/100%ひずみに要するエネルギー×100%。
特許請求された構造及び特定の実施例を含む本出願の開示から全体として明白なように、本明細書で開示されている重合性組成物の例示的成分は、本発明の実施形態では、典型的には組み合わされている。例えば、当業者であれば、本発明の重合性組成物は、有利には、本明細書で開示されている例示的なビニルエーテル含有モノマーとの組み合わせで、及び/又は本明細書で開示されている例示的な親水性ビニルアミド含有モノマーとの組み合わせで、本明細書で開示されている例示的なアクリラート含有シロキサンモノマーを含むことを理解するだろう。
従って、上記の段落0026〜0036で開示されているアクリラート含有シロキサンモノマーは、有利には、段落0023で開示されているビニルエーテル含有モノマーのいずれかとの組み合わせで、本発明の重合性組成物に存在する。例えば、TRIS、SiGMA、SiGEMA、又は式(I)のアクリラート含有シロキサンモノマーは、随意に、段落0023に開示されているビニルエーテル含有モノマーのいずれかの1つと組み合わせて、特に、BVE、DEGVE、及び/又はEGVEと組み合わせて使用してもよい。
上記の段落0026〜0036で開示されているアクリラート含有シロキサンモノマーは、有利には、段落0022で開示されている親水性ビニルアミド含有モノマーのいずれかとの組み合わせで、本発明の重合性組成物に存在する。例えば、TRIS、SiGMA、SiGEMA、又は式(I)の単官能性アクリラート含有シロキサンモノマーは、随意に、段落0022で開示されている親水性ビニルアミド含有モノマーのいずれかの1つと組み合わせて、特に、VMA及び/又はNVPと組み合わせて使用してもよい。
同様に、段落0023で開示されているビニルエーテル含有モノマーは、有利には、段落0022で開示されている親水性ビニルアミド含有モノマーのいずれかとの組み合わせで、本発明の重合性組成物に存在する。例えば、BVE、DEGVE、及び/又はEGVEは、随意に、段落0022で開示されている親水性ビニルアミド含有モノマーのいずれかと組み合わせて、特にVMA及び/又はNVPと組み合わせて使用してもよい。
更に、上記の段落0029〜0032で開示されているアクリラート含有シロキサンモノマーは、有利には、段落0023で開示されているビニルエーテル含有モノマーのいずれか、及び段落0022で開示されている親水性ビニルアミド含有モノマーのいずれかとの組み合わせで、本発明の重合性組成物に存在する。従って、本発明の重合性組成物は、(i)ビニルエーテル含有モノマー(BVE、DEGVE、又はEGVE等)及び(ii)親水性ビニルアミド含有モノマー(VMA又はNVP等)の両方と共に、TRIS、SiGMA、SiGEMA、又は式(I)の単官能性アクリラート含有シロキサンモノマーの1つ又は複数の組み合わせを随意に含んでいてもよい。
特定の例により示されているように、好ましいアクリラート含有シロキサンモノマー、ビニルエーテル含有モノマー、及び/又は本発明の親水性ビニルアミド含有モノマーの組み合わせが、本発明のコンタクトレンズに有利な特性を提供することを見出した。
実施例
以下の実施例には、本発明のある態様及び利点が例示されているが、本発明は、それらにより限定されないことが理解されるべきである。実施例1には、コンタクトレンズ加工方法が記載されており、実施例2〜9には、実施例1に記載の方法を使用してコンタクトレンズを製作するために使用した例示的な重合性組成物が示されている。その結果生じるレンズは、光学的に透明であり、それは、381nm〜780nmの光透過率が、少なくとも97%であることを意味し(ISO18369に従って測定)、眼科的に許容される表面湿潤性を持していた。レンズの更なる物理的特性は、以下の例に示されている。表1には、各成分に使用される略語、並びに各例で示されているモル比を計算するために使用したその分子量が示されている。各配合について示されているモル比は、成分の単位量をその分子量で除算して、重合性組成物中の成分の相対的モル量を得、その値を組成物中の別の成分のモル量と比較することにより決定した。各重合性組成物の、質量に基づく相対的単位部が示されている。各反応性成分のモルパーセント(mol%)及び質量パーセント(質量%)が示されているが、0.01未満のmol%値は示されていない。所与の成分のmol%及び質量%は、硬化開始前の組成物中の全ての反応性成分の、それぞれモル及び質量の合計に対してである。
実施例1:シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造
実施例2〜9の表に列挙されている化合物を計量し、一緒に混合して、重合性組成物を形成した。各重合性組成物を、0.2〜5.0ミクロンのフィルタを使用してろ過し、注型成形及び硬化まで、2〜10℃で最大約2週間保管した。
ある容積の組成物を雌型金型部材に配置し、その上に雄型金型部材を嵌合して、コンタクトレンズ金型アセンブリを形成することにより、重合性組成物を注型成形した。雌型及び雄型金型部材は、無極性樹脂(例えば、ポリプロピレン)で作られていた。窒素オーブンに金型アセンブリを配置し、以下のサイクルにより、重合性組成物を熱硬化させて、重合レンズ体を形成した:室温にてN2バージを30分間、55℃又は65℃で40分間、80℃で40分間、及び100℃で40分間。
硬化させた後、雄型及び雌型金型部材を乾式離型し、重合レンズ体を、雄型金型部材から乾式脱レンズした。脱レンズした重合レンズ体を、DI水及びTween80(洗浄溶液)を含有する洗浄トレーの個々のウェルに移動させた。数分後、洗浄溶液を吸引し、ウェルに洗浄溶液を補充し、このステップを、1〜2回繰り返した。抽出及び水和したレンズを、緩衝パッケージング溶液を含有するブリスターパッケージに配置し、パッケージを密封し、オートクレーブ滅菌した。
実施例2:配合1
表2に示されている配合1と称する重合性組成物を使用して、実施例1に記載の方法を使用して、コンタクトレンズを製作した。組成物は、概算で以下のモル比を有していた:17:1モル比のビニルアミド含有モノマー対ビニルエーテル含有モノマー;及び61:1モル比の単官能性アクリラート含有シロキサンモノマー対二官能性アクリラート含有シロキサンモノマー。
この配合から製作されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、約57%のEWC、約0.70MPaのモジュラス、約40%のエネルギー損失、及び約50〜約60度の捕捉気泡動的前進接触角を有していた。
実施例3:配合2
表3に示されている配合2と称する重合性組成物を使用して、実施例1に記載の方法を使用して、コンタクトレンズを製作した。組成物は、概算で以下のモル比を有していた:7:1モル比の親水性ビニルアミド含有モノマー対ビニルエーテル含有モノマー;及び40:1モル比の単官能性アクリラート含有シロキサンモノマー対二官能性アクリラート含有シロキサンモノマー。
この配合から製作されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、約56%のEWC、約0.50MPaのモジュラス、及び約47〜約51度の捕捉気泡動的前進接触角を有していた。
実施例4:配合3
表4に示されている配合3と称する重合性組成物を使用して、実施例1に記載の方法を使用して、コンタクトレンズを製作した。組成物は、概算で以下のモル比を有していた:16:1モル比の親水性ビニルアミド含有モノマー対ビニルエーテル含有モノマー;及び41:1モル比の単官能性アクリラート含有シロキサンモノマー対二官能性アクリラート含有シロキサンモノマー。
この配合から製作されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、約55%のEWC、約0.60MPaのモジュラス、及び約47〜約55度の捕捉気泡動的前進接触角を有していた。
実施例5:配合4
表5に示されている配合4と称する重合性組成物を使用して、実施例1に記載の方法を使用して、コンタクトレンズを製作した。組成物は、概算で以下のモル比を有していた:8:1モル比の親水性ビニルアミド含有モノマー対ビニルエーテル含有モノマー;及び56:1モル比の単官能性アクリラート含有シロキサンモノマー対二官能性アクリラート含有シロキサンモノマー。
この配合から製作されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、約56%のEWC、及び約0.65MPaのモジュラスを有していた。
実施例6:配合5
表6に示されている配合5と称する重合性組成物を使用して、実施例1に記載の方法を使用して、コンタクトレンズを製作した。組成物は、概算で以下のモル比を有していた:8:1モル比の親水性ビニルアミド含有モノマー対ビニルエーテル含有モノマー;及び58:1モル比の単官能性アクリラート含有シロキサンモノマー対二官能性アクリラート含有シロキサンモノマー。
この配合から製作されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、57%〜58%のEWC、約0.7MPaのモジュラス、約1.5MPaの引張り強さ、約44〜約48度の捕捉気泡動的前進接触角、約5.1%の湿潤性抽出可能成分、約2.9×10-3mm2/分のイオノフラックス、及び約32%〜約33%のエネルギー損失を有していた。
実施例7:配合6
表7に示されている配合6と称する重合性組成物を使用して、実施例1に記載の方法を使用して、コンタクトレンズを製作した。組成物は、概算で以下のモル比を有していた:5:1モル比の親水性ビニルアミド含有モノマー対ビニルエーテル含有モノマー;及び68:1モル比の単官能性アクリラート含有シロキサンモノマー対二官能性アクリラート含有シロキサンモノマー。
この配合から製作されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、許容される寸法安定性、約61%のEWC、約0.5MPaのモジュラス、約1.2MPaの引張り強さ、約45〜約47度の捕捉気泡動的前進接触角、約4.55%の湿潤性抽出可能成分、約3.8×10-3mm2/分のイオノフラックス、及び約30%〜約33%のエネルギー損失を有していた。
実施例8:配合7
表8に示されている配合7と称する重合性組成物を使用して、実施例1に記載の方法を使用して、コンタクトレンズを製作した。組成物は、概算で以下のモル比を有していた:7:1モル比の親水性ビニルアミド含有モノマー対ビニルエーテル含有モノマー;及び68:1モル比の単官能性アクリラート含有シロキサンモノマー対二官能性アクリラート含有シロキサンモノマー。
この配合から製作されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、許容される寸法安定性、約55%から約57%のEWC、約0.7MPaのモジュラス、約1.3MPaの引張り強さ、約47〜約53度の捕捉気泡動的前進接触角、約4.1%の湿潤性抽出可能成分、約3.6×10-3mm2/分のイオノフラックス、及び約34%〜約35%のエネルギー損失を有していた。
実施例9:配合8
表9に示されている配合8と称する重合性組成物を使用して、実施例1に記載の方法を使用して、コンタクトレンズを製作した。組成物は、概算で以下のモル比を有していた:7:1モル比の親水性ビニルアミド含有モノマー対ビニルエーテル含有モノマー;及び41:1モル比の単官能性アクリラート含有シロキサンモノマー対二官能性アクリラート含有シロキサンモノマー。
この配合から製作されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、約56%のEWC、約0.57MPaのモジュラス、約1.90MPaの引張り強さ、約4.74%の湿潤性抽出可能成分、及び約34〜36%のエネルギー損失を有していた。
実施例10:配合9
表10に示されている配合9と称する重合性レンズ組成物を、列挙されている成分を混合することにより調製した。ここで、FMMは、約1,500の分子量を有し、上記の式(III)により表わされるアクリラート含有シロキサンモノマーであり、M5Aは、米国特許出願公開第2009/0234089号明細書(旭化成アイミー社、神奈川県、日本)の実施例2に記載の親水性ポリシロキサンマクロモノマーAと構造が同一であるか又は類似しているシリコーン含有成分であり、EHMAは、2−エチルヘキシルメタクリラートである。
このレンズ配合を、以下の一般的な方法でレンズに形成した。コンタクトレンズ金型は、従来の射出成形技術及び設備を使用して、無極性ポリプロピレン樹脂から射出成形した。各コンタクトレンズ金型は、コンタクトレンズの前側表面を形成するための凹型光学品質表面を備える雌型金型部材、及びコンタクトレンズの裏側表面を形成するための凸型光学品質表面を備える雄型金型部材を含んでいた。雌型金型部材は前側表面金型であり、雄型金型部材は裏側表面金型であると理解することができる。
ある量(約60μl)の重合性レンズ組成物を、雌型金型部材の凹面に配置した。重合性レンズ組成物が、雌型金型部材の凹面と雄型金型部材の凸面の間に形成されるコンタクトレンズ形状空洞に位置決めされるように、雄型金型部材を、雌型金型部材と接するように配置した。雄型金型部材を、雌型及び雄型金型部材の辺縁領域間の締まりばめにより、適所に保持した。
その後、重合性レンズ組成物を含有するコンタクトレンズ金型をオーブンに配置し、重合性レンズ組成物を、約100℃の温度で約30分間硬化させた。硬化させた後、コンタクトレンズ金型は、コンタクトレンズ形状空洞内に重合コンタクトレンズ生成物を含んでいた。
コンタクトレンズ金型をオーブンから取り出し、室温(約20℃)に冷却した。コンタクトレンズ金型を機械的に離型して、雄型及び雌型金型部材を互いに分離した。重合コンタクトレンズ生成物は、依然として雄型金型部材に付着していた。その後、重合コンタクトレンズ生成物を、雄型金型部材から機械的に脱レンズし、コンタクトレンズ生成物を雄型金型部材から分離した。その後、分離したコンタクトレンズ生成物を、水で洗浄し、PBSで水和した。
1つの例では、本発明の重合性組成物は、上記の式(III)により表わされ、式中、nが約10〜15の整数であるシロキサンモノマーを含んでいない。別の例では、本発明の重合性組成物は、EHMAを含んでいない。更に別の例では、本発明の重合性(polymerziable)組成物は、配合9を含んでいない。
本明細書の開示では、ある説明的な例が参照されているが、これらの例は、例として提示されており、限定ではないことが理解されるべきである。代表的な例が議論されているが、先述の詳細な説明の意図は、更なる開示により規定される本発明の趣旨及び範囲内にあり得る例の改変、代替、及び等価を全て包含すると解釈されるべきである。
幾つかの刊行物及び特許が、上記で引用されている。引用された刊行物及び特許の各々は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
本発明の好ましい態様は、下記の通りである。
〔1〕シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであって、
a)少なくとも1つの親水性ビニルアミド含有モノマー、
b)少なくとも1つのアクリラート含有シロキサンモノマー、及び
c)少なくとも1つのビニルエーテル含有モノマー、
を含む重合性組成物の反応生成物である重合レンズ体を含み、但し、前記少なくとも1つのアクリラート含有シロキサンモノマーが、式(III)
により表わされるシロキサンモノマーを含まない、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
〔2〕前記重合性組成物が、合計量が約50mol%〜約80mol%の親水性ビニルアミド含有モノマーを有する、前記〔1〕に記載のコンタクトレンズ。
〔3〕前記重合性組成物が、合計量が約2mol%〜約15mol%のアクリラート含有シロキサンモノマーを有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載のコンタクトレンズ。
〔4〕前記重合性組成物が、合計量が約2mol%〜約20mol%のビニルエーテル含有モノマーを有する、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
〔5〕前記重合性組成物が、親水性ビニルアミド含有モノマーの合計量の、ビニルエーテル含有モノマーの合計量に対するモル比が、それぞれ2:1〜30:1である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
〔6〕前記重合性組成物が、親水性ビニルアミド含有モノマーの合計量の、ビニルエーテル含有モノマーの合計量に対するモル比が、それぞれ4:1〜20:1である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
〔7〕前記少なくとも1つの親水性ビニルアミド含有モノマーが、N−ビニル−N−メチルアセトアミド(VMA)、又はN−ビニルピロリドン(NVP)、又はそれらの組み合わせから選択される、前記〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
〔8〕前記少なくとも1つの親水性ビニルアミド含有モノマーが、N−ビニル−N−メチルアセトアミド(VMA)からなる、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
〔9〕前記少なくとも1つのビニルエーテル含有モノマーが、1,4−ブタンジオールビニルエーテル(BVE)、又はエチレングリコールビニルエーテル(EGVE)、又はジエチレングリコールビニルエーテル(DEGVE)、又は1,4−シクロヘキサンジメタノールビニルエーテル(CHDMVE)、又は4〜10個のエチレングリコール単位を有するポリ(エチレングリコール)ビニルエーテル、又は10個超のエチレングリコール単位を有するポリ(エチレングリコール)ビニルエーテル、又はそれらの任意の組み合わせから選択される、前記〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
〔10〕前記重合性組成物が、少なくとも1つのビニル含有架橋剤を更に含む、前記〔1〕に記載のコンタクトレンズ。
〔11〕前記重合性組成物が、合計量が約0.02mol%〜約0.20mol%のビニル含有架橋剤を有する、前記〔11〕に記載のコンタクトレンズ。
〔12〕前記少なくとも1つのビニル含有架橋剤が、ジビニルエーテル、又はジビニルスルホン、又はトリアリルフタラート、又はトリアリルイソシアヌラート、又はジアリルフタラート、又はジエチレングリコールジビニルエーテル、又はトリエチレングリコールジビニルエーテル、又はそれらの任意の組み合わせから選択される、前記〔10〕又は〔11〕に記載のコンタクトレンズ。
〔13〕前記少なくとも1つのビニル含有架橋剤が、ジビニルエーテルを含む、前記〔10〕〜〔12〕のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
〔14〕前記重合性組成物が、少なくとも1つのアクリラート含有モノマーを更に含む、前記〔1〕〜〔13〕のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
〔15〕前記重合性組成物が、親水性ポリマーを実質的に含んでいない、前記〔1〕〜〔14〕のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
〔16〕重合後表面改質が施されていない、前記〔1〕〜〔15〕のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
〔17〕密封パッケージに滅菌されている、前記〔1〕〜〔16〕のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
〔18〕前記〔1〕〜〔17〕のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造する方法であって、
前記重合性組成物を重合させて、前記重合レンズ体を製作する工程、及び前記重合レンズ体を洗浄液で洗浄して、前記重合レンズ体から未反応又は部分的反応成分を除去する工程を含む方法。
Claims (12)
- シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであって、
a)少なくとも1つの親水性ビニルアミド含有モノマー、
b)少なくとも1つのアクリラート含有シロキサンモノマー、及び
c)少なくとも1つのビニルエーテル含有モノマー、
を含む重合性組成物の反応生成物である重合レンズ体を含み、但し、前記少なくとも1つのアクリラート含有シロキサンモノマーが、式(III)
により表わされるシロキサンモノマーを含まず、
前記重合性組成物が、合計量が50mol%〜80mol%の親水性ビニルアミド含有モノマー、及び/又は合計量が2mol%〜15mol%のアクリラート含有シロキサンモノマー、及び/又は合計量が2mol%〜20mol%のビニルエーテル含有モノマーを有し、
前記ビニルエーテル含有モノマーが単一のビニル基を有し、
前記重合性組成物の、親水性ビニルアミド含有モノマーの合計量の、ビニルエーテル含有モノマーの合計量に対するモル比が、それぞれ2:1〜30:1であり、
前記少なくとも1つのビニルエーテル含有モノマーが、1,4−ブタンジオールビニルエーテル(BVE)、又はエチレングリコールビニルエーテル(EGVE)、又はジエチレングリコールビニルエーテル(DEGVE)、又は1,4−シクロヘキサンジメタノールビニルエーテル(CHDMVE)、又は4〜10個のエチレングリコール単位を有するポリ(エチレングリコール)ビニルエーテル、又は10個超のエチレングリコール単位を有するポリ(エチレングリコール)ビニルエーテル、又はそれらの任意の組み合わせから選択される、
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。 - 前記重合性組成物の、親水性ビニルアミド含有モノマーの合計量の、ビニルエーテル含有モノマーの合計量に対するモル比が、それぞれ4:1〜20:1である、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
- 前記少なくとも1つの親水性ビニルアミド含有モノマーが、N−ビニル−N−メチルアセトアミド(VMA)、若しくはN−ビニルピロリドン(NVP)、若しくはそれらの組み合わせから選択される、又は、前記少なくとも1つの親水性ビニルアミド含有モノマーが、N−ビニル−N−メチルアセトアミド(VMA)からなる、
請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ。 - 前記重合性組成物が、少なくとも1つのビニル含有架橋剤を更に含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ。
- 前記重合性組成物が、合計量が0.02mol%〜0.20mol%のビニル含有架橋剤を有する、請求項4に記載のコンタクトレンズ。
- 前記少なくとも1つのビニル含有架橋剤が、ジビニルエーテル、又はジビニルスルホン、又はトリアリルイソシアヌラート、又はジアリルフタラート、又はジエチレングリコールジビニルエーテル、又はトリエチレングリコールジビニルエーテル、又はそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項4又は5に記載のコンタクトレンズ。
- 前記少なくとも1つのビニル含有架橋剤が、ジビニルエーテルを含む、請求項4〜6のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ。
- 前記重合性組成物が、少なくとも1つのアクリラート含有モノマーを更に含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ。
- 前記重合性組成物が、親水性ポリマーを実質的に含んでいない、請求項1〜8のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ。
- 表面改質が行われていない、請求項1〜9のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ。
- 密封パッケージに滅菌されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造する方法であって、
前記重合性組成物を重合させて、前記重合レンズ体を製作する工程、及び前記重合レンズ体を洗浄液で洗浄して、前記重合レンズ体から未反応又は部分的反応成分を除去する工程を含む方法。
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