JP6124498B2 - 化学物質の生体毒性の評価方法 - Google Patents
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1.被検化学物質を生体または細胞に所定期間曝露させた後の遺伝子発現レベルを測定することにより該被検化学物質の毒性を評価する方法であって、
(A)実験動物または肝臓由来の細胞試料を複数用意し、その一部について前記被検化学物質を所定期間だけ曝露した後の肝臓または肝臓由来の細胞試料を検査試料とするとともに、残りを未処理または前記化学物質の溶媒を曝露した後の肝臓または肝臓由来の細胞試料を参照試料とするステップと、
(B)前記検査試料について、配列番号1〜41に示される塩基配列を有する遺伝子群としての生体応答遺伝子群のうちから選択される任意の1以上の選択生体応答遺伝子群に対する遺伝子の発現レベルを測定する第1の遺伝子発現レベル測定ステップと、
(C)前記参照試料について、前記選択生体応答遺伝子群に対する遺伝子の発現レベルを測定する第2の遺伝子発現レベル測定ステップと、
(D)前記第1の遺伝子発現レベル測定ステップ及び前記第2の遺伝子発現レベル測定ステップで測定した遺伝子発現レベルを対応する遺伝子ごとに比較し、前記遺伝子の発現レベルの差異に基づいて前記被験化学物質が有する毒性を評価するステップと、
を含むことを特徴とする化学物質の毒性評価方法。
2.前記生体応答遺伝子群が配列番号1〜24に示される塩基配列を有する遺伝子群であることを特徴とする前記1記載の化学物質の毒性評価方法。
3.前記生体応答遺伝子群が配列番号1〜15に示される塩基配列を有する遺伝子群であることを特徴とする前記1記載の化学物質の毒性評価方法。
4.前記生体応答遺伝子群が配列番号1〜11に示される塩基配列を有する遺伝子群であることを特徴とする前記1記載の化学物質の毒性評価方法。
5.前記生体応答遺伝子群が配列番号1〜8に示される塩基配列を有する遺伝子群であることを特徴とする前記1記載の化学物質の毒性評価方法。
6.前記生体応答遺伝子群が配列番号1〜6に示される塩基配列を有する遺伝子群であることを特徴とする前記1記載の化学物質の毒性評価方法。
7.前記生体応答遺伝子群が配列番号1〜4に示される塩基配列を有する遺伝子群であることを特徴とする前記1記載の化学物質の毒性評価方法。
8.前記遺伝子の発現レベルは、前記生体応答遺伝子群のうちのそれぞれの生体応答遺伝子におけるプロモーター配列に連結されたレポータータンパク質をコードする配列を含むレポーター遺伝子における発現レベルを指標として測定されることを特徴とする前記1乃至7のうちのいずれか1つに記載の化学物質の毒性評価方法。
9.前記8記載の方法に使用されるレポーター遺伝子を含む核酸構成物、これを含むベクター、又は、これらを宿主細胞に導入した形質転換細胞であって、前記生体応答遺伝子のプロモーター配列に連結されたレポータータンパク質をコードする配列を含むことを特徴とする核酸構成物、これを含むベクター、又は、これらを宿主細胞に導入した形質転換細胞。
10.前記宿主細胞は、動物細胞、幹細胞、または胚性幹細胞であることを特徴とする前記9記載の形質転換細胞。
11.化学物質が生体に与える影響を遺伝子発現レベルで検出することにより被検化学物質の毒性を判別・予測する方法であって、
(A)肝毒性を有することが既知の化学物質について所定量を所定期間生体または肝臓由来の細胞試料に投与(曝露)するステップと、
(B)肝毒性を有さないことが既知の化学物質について所定量を所定期間生体または肝臓由来の細胞試料に投与(曝露)するステップと、
(C)前記化学物質の溶媒を対照として所定量を所定期間生体または肝臓由来の細胞試料に投与(曝露)するステップと、
(D)前記生体の肝臓または前記肝臓由来の細胞試料からmRNAを単離して、配列番号1〜41の塩基配列を有する遺伝子群としての生体応答遺伝子群のうちから選択される任意の1以上の生体応答遺伝子に対する遺伝子発現レベルを測定する測定ステップと、
(E)前記遺伝子発現レベルを対応する前記化学物質、曝露量、曝露期間とともに遺伝子発現データとして収集するステップと、
(F)被検化学物質を適当な濃度で一定期間生体または肝臓由来の細胞試料に曝露させるステップと、
(G)前記生体由来の前記肝臓または前記肝臓由来の細胞試料からmRNAを単離して、(D)のステップで選択した生体応答遺伝子に対する遺伝子発現レベルを測定するステップと、
(H)(G)で得られた前記遺伝子発現レベルを前記被検化学物質、曝露量及び曝露期間とともに遺伝子発現データとして収集するステップと、
(I)(H)で収集された遺伝子発現データを(E)で収集された照合用の対応する遺伝子発現データと比較するステップと、
を含むことを特徴とする化学物質の毒性評価方法。
12.前記生体応答遺伝子群が配列番号1〜24に示される塩基配列を有する遺伝子群であることを特徴とする前記11記載の化学物質の毒性評価方法。
13.前記生体応答遺伝子群が配列番号1〜15に示される塩基配列を有する遺伝子群であることを特徴とする前記11記載の化学物質の毒性評価方法。
14.前記生体応答遺伝子群が配列番号1〜11に示される塩基配列を有する遺伝子群であることを特徴とする前記11記載の化学物質の毒性評価方法。
15.前記生体応答遺伝子群が配列番号1〜8に示される塩基配列を有する遺伝子群であることを特徴とする前記11記載の化学物質の毒性評価方法。
16.前記生体応答遺伝子群が配列番号1〜6に示される塩基配列を有する遺伝子群であることを特徴とする前記11記載の化学物質の毒性評価方法。
17.前記生体応答遺伝子群が配列番号1〜4に示される塩基配列を有する遺伝子群であることを特徴とする前記11記載の化学物質の毒性評価方法。
18.前記遺伝子発現データの比較が、被検化学物質曝露群と肝毒性を有さないことが既知の化学物質曝露群における遺伝子発現レベルの差異であることを特徴とする、前記11乃至17のうちのいずれか1つに記載の化学物質の毒性評価方法。
19.前記遺伝子発現データの比較が、被検化学物質曝露群と肝毒性を有さないことが既知の化学物質曝露群における前記生体応答遺伝子群の発現プロファイルを指標としたクラスタ分析であることを特徴とする、前記11乃至17のうちのいずれか1つに記載の化学物質の毒性評価方法。
20.前記遺伝子発現データの比較が、被検化学物質曝露群と肝毒性を有さないことが既知の化学物質曝露群における前記生体応答遺伝子群の発現プロファイルの相関係数を指標とすることを特徴とする、前記11乃至17のうちのいずれか1つに記載の化学物質の毒性評価方法。
21.肝毒性を有することが既知の化学物質が、2-ブタノンオキシム(CAS登録番号96-29-7)、3-シアノピリジン(CAS登録番号100-54-9)、スルホラン(CAS登録番号126-33-0)、2-イソプロポキシエタノール(CAS登録番号109-59-1)、ヒドラジン一水和物(CAS登録番号7803-57-8)、4-エチルモルホリン(CAS登録番号100-74-3)、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(CAS登録番号56539-66-3)、o-ジクロロベンゼン(CAS登録番号95-50-1)、3,4-キシリジン(CAS登録番号95-64-7)、N-メチルアニリン(CAS登録番号100-61-8)、トリレンジイソシアナート(CAS登録番号26471-62-5)、2-(ジブチルアミノ)エタノール(CAS登録番号102-81-8)、p-クミルフェノール(CAS登録番号599-64-4)、m-クレゾール(CAS登録番号108-39-4)、2,3-ジメチルアニリン(CAS登録番号87-59-2)、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(CAS登録番号538-75-0)、フタル酸ジヘプチル(CAS登録番号3648-21-3)、テトラブロモエタン(CAS登録番号79-27-6)、p-エチルフェノール(CAS登録番号123-07-9)、2,4-ジ-tert-ブチルフェノール(CAS登録番号96-76-4)、3,5-キシリジン(CAS登録番号108-69-0)、1,3-ジブロモプロパン(CAS登録番号109-64-8)、1-ブロモ-3-クロロプロパン(CAS登録番号109-70-6)、プソイドクメン(CAS登録番号95-63-6)、1,4-ジブロモベンゼン(CAS登録番号106-37-6)であることを特徴とする、前記11乃至17のうちのいずれか1つに記載の化学物質の毒性評価方法。
22.肝毒性を有さないことが既知の化学物質が、m-キシリレンジアミン(CAS登録番号1477-55-0)、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール(CAS登録番号111-41-1)、テトラヒドロフルフリルアルコール(CAS登録番号97-99-4)、メタクリルアミド(CAS登録番号79-39-0)、メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロリド(CAS登録番号5039-78-1)、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム(CAS登録番号56-93-9)、m-ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム(CAS登録番号127-68-4)、1-ナフチルアミン-4-スルホン酸ナトリウム四水和物(CAS登録番号130-13-2)、アジピン酸ジブチル(CAS登録番号105-99-7)、o-t-ブチルフェノール(CAS登録番号88-18-6)、p-(1,1,3,3,-テトラメチルブチル)フェノール(CAS登録番号140-66-9)、N,N-ジメチルベンジルアミン(CAS登録番号103-83-3)、n-ヘキサデカン(CAS登録番号544-76-3)、ジシクロヘキシルアミン(CAS登録番号101-83-7)、及び2-アミノ-5-メチルベンゼンスルホン酸(CAS登録番号88-44-8)のうちから選択される1以上の化学物質であることを特徴とする、前記11乃至17のうちのいずれか1つに記載の化学物質の毒性評価方法。
23.前記遺伝子発現レベルの測定は、RT-PCR法、Real Time PCR法、iAFLP(introduced Amplified Fragment Length Polymorphism)法、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法、nCounter Analysis system、ハイブリダイゼーション法のうちの1つの方法を用いることを特徴とする前記1乃至22のうちのいずれか1つに記載の化学物質の毒性評価方法。
24.前記ハイブリダイゼーション法は、マイクロアレイ法又はブロット法であることを特徴とする前記23記載の化学物質の毒性評価方法。
25.前記マイクロアレイ法又はブロット法に用いられるプローブは、ヌクレオチド又はタンパク質であることを特徴とする前記24記載の化学物質の毒性評価方法。
26.前記ヌクレオチドは、mRNA、cDNA、合成オリゴヌクレオチドであることを特徴とする前記25記載の化学物質の毒性評価方法。
27.前記ヌクレオチドは、標識化ヌクレオチドであることを特徴とする前記24または25記載の化学物質の毒性評価方法。
28.前記遺伝子発現レベルの測定は、前記生体応答遺伝子に対応する核酸、又は、前記生体応答遺伝子によってコードされるタンパク質について、存在するか、もしくは、量の測定によることを特徴とする前記1乃至22のうちのいずれか1つに記載の化学物質の毒性評価方法。
29.前記タンパク質は、免疫学的方法で測定されることを特徴とする前記28記載の化学物質の毒性評価方法。
30.前記免疫学的方法は、前記生体応答遺伝子によってコードされるタンパク質又はその断片に対する特異抗体と標的タンパク質との免疫学的複合体を検出する方法によることを特徴とする前記29記載の化学物質の毒性評価方法。
31.前記特異抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、及び抗体フラグメントから選択されることを特徴とする前記30記載の化学物質の毒性評価方法。
32.前記1乃至31のうちのいずれか1つに記載の方法に用いられるプローブを含む化学物質の毒性判別キットであって、前記プローブは、前記生体応答遺伝子またはその転写産物に特異的にハイブリダイズする配列を有する分子を含むことを特徴とする化学物質の毒性評価キット。
33.前記プローブは、ヌクレオチド又はタンパク質であることを特徴とする前記32記載の化学物質の毒性評価キット。
34.前記ヌクレオチドは、mRNA、cDNA、又は合成オリゴヌクレオチドであることを特徴とする前記33記載の化学物質の毒性評価キット。
35.前記ヌクレオチドは、前記生体応答遺伝子のセンス鎖又はアンチセンス鎖とハイブリダイズし、10〜100塩基であることを特徴とする前記34記載の化学物質の毒性評価キット。
36.前記ヌクレオチドは、標識化ヌクレオチドであることを特徴とする前記34または35記載の化学物質の毒性評価キット。
37.前記プローブは、抗体及び/又はアプタマーであるタンパク質であることを特徴とする前記32記載の化学物質の毒性評価キット。
38.前記プローブは、任意の1つ以上を固体支持体に固定したDNAマイクロアレイ、DNAチップ、タンパクチップまたは抗体チップを含むことを特徴とする前記32乃至37のうちのいずれか1つに記載の化学物質の毒性評価キット。
39.前記固体支持体は、ガラス、シリコン、プラスチック又は生体膜であることを特徴とする前記38記載の化学物質の毒性評価キット。
本発明による遺伝子発現データベースの作成は、
(1)種々の化学物質について、ラットなどが死亡しない適当な投与量を決定し、
(2)適当な濃度の化学物質を一定期間、ラットなどに繰り返し曝露し、
(3)曝露した生体から各臓器を摘出し、
(4)摘出した臓器からmRNAを単離し、
(5)DNAマイクロアレイ法などにより特定遺伝子の発現レベルを測定し、
(6)得られた遺伝子発現レベルを化学物質、その濃度、曝露時間とともに遺伝子発現データベースとしてまとめる、と以上6つの工程によりなされる。
5週齢のCrl:CD(SD)ラット(雄)を準備し、ポリカーボネイトケージに入れ、エアーコンディショニング・アニマルラック(商品名)内で飼育した。エアーコンディショニング・アニマルラックは、温度22℃、湿度55%に設定し、照明は明期7:00〜19:00、暗期19:00〜7:00の12時間サイクルに設定した。水は給水ビンを用いて、浄水器を通した水道水を不断給与し、飼料は固形飼料を不断給餌した。実験開始までに1週間の馴化検疫期間を設けた。
肝臓組織からの全RNAの抽出はISOGEN試薬(ニッポンジーン社製)を用いて推奨のプロトコルに従って行った。
検体用mRNAの調製は、肝臓組織からISOGEN試薬(ニッポンジーン社製)を用いて抽出した全RNAから、Poly(A)Pureキット(Ambion社製)を用い、各社推奨のプロトコルに従って行った。
ラット遺伝子断片ライブラリー(マイクロダイアグノスティック社製)を用いてマイクロアレイを作製した。該ラット遺伝子断片ライブラリーには、配列番号1〜41で示される塩基配列を有する合成オリゴヌクレオチドを含んでいた。また、マイクロアレイの作製方法・条件に限定はないが、例えば(Schena,M.et.al.,Science,270,467-470.(1995))に記載の作製方法を用いることができる。
マイクロアレイの後処理については、特許公報(特許第4190899号)記載の方法により行った。
該mRNA 1.5μgを核酸標識・ハイブリダイゼーション試薬(マイクロダイアグノスティック社製)、逆転写酵素SuperScriptII(登録商標:ライフテクノロジーズ)(インビトロジェン社製)、Cyanine5-deoxyuridinetriphosphate(Cyanine5-dUTP)(Perkin Elmer社製)を用い、標識cDNAを作製した。一方、対照としてラット共通レファレンス(マイクロダイアグノスティック社製)を使用した。共通レファレンスに対しては核酸標識・ハイブリダイゼーション試薬(マイクロダイアグノスティック社製)、逆転写酵素SuperScriptII(インビトロジェン社製)、Cyanine3-deoxyuridinetriphosphate(Cyanine3-dUTP)(Perkin Elmer社製)を用い、標識cDNAを作製した。作製方法は、各社推奨のプロトコルに従った。
これらの標識cDNA、すなわち、Cyanine5-dUTPで標識した検体及びCyanine3-dUTPで標識した対照レファレンスを同一試験管内で混合した後、MicropureEZ(ミリポア社製)及びMicroconYM30(登録商標:ミリポア)(ミリポア社製)により精製した。最終的には核酸標識・ハイブリダイゼーション試薬に付属のハイブリダイゼーションバッファー及び純水を用いて15μlに調製した。
該溶液を99℃で5分間加熱して熱変性させた後に、DNAマイクロアレイ上に滴下し、ハイブリダイゼーションカセット(マイクロダイアグノスティック社製)に格納した。該ハイブリダイゼーションカセットを気相恒温器(三洋電機バイオメディカ社製)に入れ、42℃で約20時間、静置した状態で保温した。この操作によって、サンプル中に含まれる標識cDNAがDNAマイクロアレイ上の相補的なオリゴDNAと特異的に結合する。
ハイブリダイゼーションカセットからスライドガラスを取り出し、核酸標識・ハイブリダイゼーション試薬(マイクロダイアグノスティック社製)付属のハイブリダイゼーション洗浄溶液を用い、同社推奨のプロトコルに従ってスライドガラスを洗浄した。
各遺伝子の発現レベルはDNAマイクロアレイ上に固定されたオリゴDNAと結合した標識cDNAの蛍光強度を測定することにより見積もることができる。洗浄したスライドガラスをスキャナGenePix4000B(Axon Instrument社製)を用いて蛍光を測定し、スキャナに付属の解析ソフトウェアGenePixPro(Axon Instrument社製)を用いて光学的に評価し、蛍光強度の相対値(Cyanine5/Cyanine3)数値化した。すなわち、DNAマイクロアレイ上に固定されたオリゴDNAのスポットの蛍光強度をそれぞれ別々に測定し、蛍光強度をヒト共通レファレンスとの相対比(log2比)で表した。また、スポット以外の場所の蛍光強度からバックグラウンドを算出してノイズとしてそれぞれのスポットの蛍光強度から差し引いた。さらに、サンプルにおける蛍光強度/共通レファレンスの蛍光強度を算出するという解析を行った。すなわち、各サンプルの遺伝子発現レベルはすべて共通レファレンスに対する相対比として検出されるため、単純に複数サンプルを横並び比較できる状態となっている。このようにして取得された数値を集積してデータベース化した。
次に、すべての対照群の平均値を算出し、それぞれのサンプルについてその平均値との相対値(「二次比」と呼ぶ。)を算出した。以下の計算はすべて二次比を用いて行った。
「既存化学物質毒性データベース」(国立医薬品食品衛生研究所)に登録されている化学物質から40種類の化学物質、すなわち、2-ブタノンオキシム、m-キシリレンジアミン、3-シアノピリジン、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、メタクリルアミド、スルホラン、2-イソプロポキシエタノール、ヒドラジン一水和物、4-エチルモルホリン、メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロリド、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、m-ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、1-ナフチルアミン-4-スルホン酸ナトリウム四水和物、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、o-ジクロロベンゼン、3,4-キシリジン、N-メチルアニリン、トリレンジイソシアナート、2-(ジブチルアミノ)エタノール、p-クミルフェノール、m-クレゾール、2,3-ジメチルアニリン、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド、フタル酸ジヘプチル、テトラブロモエタン、アジピン酸ジブチル、p-エチルフェノール、o-t-ブチルフェノール、p-(1,1,3,3,-テトラメチルブチル)フェノール、2,4-ジ-tert-ブチルフェノール、3,5-キシリジン、N,N-ジメチルベンジルアミン、1,3-ジブロモプロパン、n-ヘキサデカン、1-ブロモ-3-クロロプロパン、プソイドクメン、ジシクロヘキシルアミン、1,4-ジブロモベンゼン、2-アミノ-5-メチルベンゼンスルホン酸を選択した。
前記40種類の化学物質をそれぞれ28日間反復投与したラットの肝臓とそれぞれの化学物質の溶媒を投与した対照群ラットの肝臓とを比較して、各遺伝子の対数変換相対的発現比に対するスチューデントのt検定を行ってP値を算出した。それぞれの化学物質投与群と対照群との間で発現レベルの平均値の差の絶対値が1.0以上、かつ、P値が0.01未満である遺伝子群を抽出して合わせたところ、のべ572遺伝子となった。
DNAマイクロアレイで取得した遺伝子発現データの分析手法として、例えばクラスタ分析が挙げられる。クラスタ分析とは、遺伝子発現変化パターンの類似した遺伝子同士をグルーピングする統計的手法である。データ間の類似度(例えばユークリッド距離など)を定義し、その類似度を用いることにより遺伝子発現パターンが類似した、すなわち、遺伝子発現に対して類似した影響を持つ化学物質同士がグループ化される。
Claims (10)
- 被検化学物質を生体に所定期間曝露させた後の遺伝子発現レベルを測定することにより該被検化学物質の肝毒性を評価する方法であって、
(A)生体試料(ヒト個体を除く)を複数用意し、その一部について前記被検化学物質に所定期間だけ曝露させて検査試料とするとともに、残りを参照試料とするステップと、
(B)前記検査試料について、配列番号1〜41に示される塩基配列を有する生体応答遺伝子から選択される選択生体応答遺伝子群に対する遺伝子発現レベルを測定する第1の遺伝子発現レベル測定ステップであって、少なくとも前記選択生体応答遺伝子群は配列番号1〜4に示される塩基配列を有する4つの遺伝子を含み、
(C)前記参照試料について、前記選択生体応答遺伝子群に対する遺伝子発現レベルを測定する第2の遺伝子発現レベル測定ステップと、
(D)前記第1の遺伝子発現レベル測定ステップ及び前記第2の遺伝子発現レベル測定ステップで測定した遺伝子発現レベルを対応する遺伝子ごとに比較し、前記遺伝子発現レベルの差異に基づいて前記被験化学物質が有する肝毒性を評価するステップと、
を含むことを特徴とする化学物質の肝毒性評価方法。 - 前記選択生体応答遺伝子群が配列番号1〜24に示される塩基配列を有する遺伝子群であることを特徴とする請求項1記載の化学物質の肝毒性評価方法。
- 前記選択生体応答遺伝子群が配列番号1〜15に示される塩基配列を有する遺伝子群であることを特徴とする請求項1記載の化学物質の肝毒性評価方法。
- 前記選択生体応答遺伝子群が配列番号1〜11に示される塩基配列を有する遺伝子群であることを特徴とする請求項1記載の化学物質の肝毒性評価方法。
- 前記選択生体応答遺伝子群が配列番号1〜8に示される塩基配列を有する遺伝子群であることを特徴とする請求項1記載の化学物質の肝毒性評価方法。
- 前記選択生体応答遺伝子群が配列番号1〜6に示される塩基配列を有する遺伝子群であることを特徴とする請求項1記載の化学物質の肝毒性評価方法。
- 前記遺伝子発現レベルは、前記生体応答遺伝子群のうちのそれぞれの生体応答遺伝子におけるプロモーター配列に連結されたレポータータンパク質をコードする配列を含むレポーター遺伝子における発現レベルを指標として測定されることを特徴とする請求項1乃至6のうちのいずれか1つに記載の化学物質の肝毒性評価方法。
- 前記遺伝子発現レベルは、前記生体応答遺伝子またはその転写産物に特異的にハイブリダイズする配列を有する分子を含むプローブを用いて測定されることを特徴とする請求項1乃至7のうちのいずれか1つに記載の化学物質の肝毒性評価方法。
- 前記生体試料は実験動物であって前記被検化学物質を経口投与して曝露させるとともに、前記検査試料及び前記参照試料は前記実験動物の肝臓であることを特徴とする請求項1乃至8のうちのいずれか1つに記載の化学物質の肝毒性評価方法。
- 前記検査試料、前記参照試料は肝臓由来の細胞であることを特徴とする請求項1乃至9のうちのいずれか1つに記載の化学物質の肝毒性評価方法。
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