JP6123825B2 - 音響フレネルレンズおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、音波の漏れを防止する層を有する音響フレネルレンズおよびその製造方法に関する。
従来、半導体素子と、半導体素子の主面に設けられた受光部と、半導体素子の主面に積層された透光板(光学レンズ)とを備えた光学デバイスが知られている。特許文献1は、半導体素子の主面とのなす角が垂直な第1の側面と、主面とのなす角が鋭角な第2の側面とで構成される凹凸部を一方の面に備え、第1の側面に反射防止膜を形成したフレネルレンズを開示する。
特許文献1に開示されたフレネルレンズは、光を収束することで集光するものである。一方、音波を収束する音響レンズについても、凹凸部を一方の面に備える音響フレネルレンズとすることが知られている。第1の側面にのみ反射防止膜を形成する成膜工程には、精密な加工が必要となることがあり、特に小型の音響レンズにおいては有効な反射防止膜の形成が難しい場合がある。また、音波を集束させるための音響フレネルレンズには、合成樹脂からなるものがある。このような音響フレネルレンズの凹凸部において、反射防止膜を第1の側面に設けた場合、音響フレネルレンズの媒質の音響インピーダンスが、反射防止膜のものと比較的近い値を示しやすい。この場合、第1の側面から音波が漏れやすくなる。漏れ出た音波は発散し、第2の側面から出射する音波の集束を阻害する可能性があるという問題がある。
本発明は、音波の漏れを有効に防止できる層を形成でき、且つ、音波を効率よく集束できる音響フレネルレンズおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第一態様に係る音響フレネルレンズは、入射された音波を集束して出射させる音響フレネルレンズであって、レンズ面と非レンズ面とを有するプリズムが複数配列された第一フレネルレンズと、前記第一フレネルレンズに積層される第二フレネルレンズとを備え、前記第一フレネルレンズは、音波が入射する入射面と、前記入射面とは反対面であって、前記第二フレネルレンズが積層される第一積層面とを備え、前記第二フレネルレンズは、前記第一フレネルレンズの前記第一積層面に積層される第二積層面と、前記第二積層面とは反対面であって、音波を出射する出射面とを備え、前記第一積層面は、第一レンズ面と、前記第一レンズ面の向く方向と異なる方向を向く第一非レンズ面とを有する複数の第一プリズムを備え、前記第二積層面は、第二レンズ面と、前記第二レンズ面の向く方向と異なる方向を向く第二非レンズ面とを有する複数の第二プリズムを備え、前記複数の第一プリズムのそれぞれの間に、前記複数の第二プリズムのそれぞれが交互に配置され、前記第一レンズ面と前記第二レンズ面との間に、前記第一レンズ面と前記第二レンズ面とを接着する接着剤で構成された接着剤層が設けられ、前記第一非レンズ面と前記第二非レンズ面との間に、所定の隙間を空けて離間する空気層が設けられていることを特徴とする。
本発明の第一態様に係る音響フレネルレンズによれば、第一フレネルレンズの入射面から入射された音波は、第二フレネルレンズの出射面から出射される。第一フレネルレンズと第二フレネルレンズとは、接着剤層を介して、第一積層面および第二積層面において積層される。接着剤層は、第一プリズムの第一レンズ面から出射される音波を第二プリズムの第二レンズ面へ伝達できる。一方、空気層における音響インピーダンスは、レンズ体である第一フレネルレンズおよび第二フレネルレンズにおけるものに比べて非常に小さいので、第一非レンズ面から出射された音波は、空気層において減衰し、第二非レンズ面からは入射されにくい。このようにして、本発明の第一態様に係る音響フレネルレンズは、音波の漏れを有効に防止できる層を形成でき、且つ、音波を効率よく集束できる。
前記第一フレネルレンズと前記第二フレネルレンズとは、音響インピーダンスが互いに異なる材料で構成されていてもよい。異なる音響インピーダンスを有する媒質の境界面において、音波は屈折する。第一フレネルレンズと第二フレネルレンズのそれぞれは、音響インピーダンスが互いに異なる材料で構成されるので、音響フレネルレンズは音波を集束するレンズ効果を発揮できる。
前記第一フレネルレンズは、前記接着剤層よりも大きな音響インピーダンスを有し、且つ、前記接着剤層は、前記第二フレネルレンズと同じであるかまたは前記第二フレネルレンズよりも大きな音響インピーダンスを有してもよい。この場合、音響フレネルレンズは、異なる音響インピーダンスを有する媒質の境界面を有するので、境界面ごとに音波の屈折率を制御できる。また、第一フレネルレンズから第二フレネルレンズに向けて、段階的に音響インピーダンスが小さくなるので、音響フレネルレンズは、入射面から入射した音波を効率よく集束させて出射面から出射できる。
前記第一積層面および前記第二積層面のうち少なくともいずれかに、前記接着剤層と前記空気層とを隔離するための隔離部材が設けられていてもよい。この場合、接着剤層と空気層とが隔離部材によって隔離されるので、例えば接着剤層に空気層の空気が流れ込み、第一レンズ面から第二レンズ面へ向けての音波の伝達が空気によって阻害される可能性を低減できる。したがって、音響フレネルレンズは、第一フレネルレンズから第二フレネルレンズに向けて効率よく音波を伝達できる。
前記隔離部材は、前記第一積層面に設けられ、前記第一積層面から前記第二プリズムに向けて突出する突状部であってもよい。この場合、音響フレネルレンズは、突状部において接着剤層と空気層とを確実に隔離できる。
前記第一フレネルレンズの前記第一積層面に対して、前記第二フレネルレンズの前記第二積層面の位置決めを行う位置決め手段を備えてもよい。この場合、音響フレネルレンズは、第一フレネルレンズおよび第二フレネルレンズが、積層された状態からずれることを防止できる。
前記第一プリズムの前記第一レンズ面の向く方向の高さは、前記第二プリズムの前記第二レンズ面の向く方向の高さよりも大きくてもよい。この場合、音響フレネルレンズは、第一プリズムの第一レンズ面の向く方向の高さが第二プリズムの第二レンズ面の向く方向の高さよりも小さい場合に比べて、第一レンズ面を広く確保でき、効率よく音波を集束できる。
前記第一フレネルレンズおよび前記第二フレネルレンズのそれぞれの厚みは、前記入射面から入射する音波の波長の四分の一であってもよい。この場合、音響フレネルレンズは、第一フレネルレンズおよび第二フレネルレンズのそれぞれの表面における音波の反射を効果的に防止できる。
本発明の第二態様に係る音響フレネルレンズの製造方法は、入射された音波を集束して出射させる音響フレネルレンズであって、前記音響フレネルレンズは、レンズ面と非レンズ面とを有するプリズムが複数配列された第一フレネルレンズと、前記第一フレネルレンズに積層される第二フレネルレンズとを備え、前記第一フレネルレンズは、音波が入射する入射面と、前記入射面とは反対面であって、前記第二フレネルレンズが積層される第一積層面とを備え、前記第二フレネルレンズは、前記第一フレネルレンズの前記第一積層面に積層される第二積層面と、前記第二積層面とは反対面であって、音波を出射する出射面とを備え、前記第一積層面は、第一レンズ面と、前記第一レンズ面の向く方向と異なる方向を向く第一非レンズ面とを有する複数の第一プリズムを備え、前記第二積層面は、第二レンズ面と、前記第二レンズ面の向く方向と異なる方向を向く第二非レンズ面とを有する複数の第二プリズムを備えるものであって、前記第一レンズ面に接着剤を塗布する塗布工程と、前記第一フレネルレンズの前記第一積層面に対し、前記第二フレネルレンズの前記第二積層面を対向して配置し、前記複数の第一プリズムのそれぞれの間に、前記複数の第二プリズムのそれぞれが交互に配置されるように、前記第一フレネルレンズと前記第二フレネルレンズとを相互に位置決めする位置決め工程と、前記位置決め工程において位置決めされた前記第一フレネルレンズと前記第二フレネルレンズにおいて、前記塗布工程において前記接着剤が塗布された前記第一レンズ面に対し、前記接着剤が塗布されていない前記第二積層面を接着することによって、前記第一レンズ面と前記第二レンズ面とを接着する接着剤層を形成するとともに、前記第一非レンズ面と、前記第二非レンズ面との間に、前記第一非レンズ面と前記第二非レンズ面とを所定の隙間を空けて離間する空気層を形成する接着工程とを備えたことを特徴とする。
本発明の第二態様に係る製造方法にしたがって音響フレネルレンズを作製すれば、音波の漏れを有効に防止できる層を形成でき、且つ、音波を効率よく集束できる音響フレネルレンズを得ることができる。
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、超音波振動子100の構造について説明する。超音波振動子100は、電気信号の入力によって発振する圧電素子2が発生した超音波を音響フレネルレンズ1で屈折させて集束し、外部に出力する素子である。超音波振動子100は、例えば、超音波診断装置の深触子(プローブ)等に用いられる。本実施形態において、圧電素子2は、約1MHzの周波数を有する超音波を発生する。
圧電素子2は、電圧の印加によって所定の方向に大きさが変化する素子である。圧電素子2の形状は、大きさの変化する方向を厚み方向とする円盤形状である。圧電素子2には、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)が使用される。圧電素子2は、入力される電気信号の強さに応じて変位することで振動し、超音波を発生する。圧電素子2は、例えば、エポキシ系接着剤を用いて、音響フレネルレンズ1と一体に固定される。音響フレネルレンズ1は、圧電素子2が発生した超音波が入射される入射面11を備える。音響フレネルレンズ1は、入射した超音波を内部において屈折させて集束し、出射面21から外部へ出射する。
図2から図6を参照して、音響フレネルレンズ1の構造について説明する。図2に示すように、音響フレネルレンズ1は、上下方向に延びる円盤形状である。音響フレネルレンズ1は、第一レンズ10に対して第二レンズ20が上側から重なることによって、第一レンズ10と第二レンズ20とが上下方向に積層されてなる。第一レンズ10および第二レンズ20は、それぞれ平面視で同径の円形となる円盤形状である。後述するが、第一レンズ10および第二レンズ20は、ともに、フレネル形状を有する面を備えたフレネルレンズである。音響フレネルレンズ1において、第一レンズ10および第二レンズ20のそれぞれのフレネル形状を有する側の面が互いに内側にされて、第一レンズ10と第二レンズ20とが積層されている。第一レンズ10の下側の面は、フレネル形状を有する面とは反対面であり、音響フレネルレンズ1の入射面11を構成する。第二レンズ20の上側の面は、フレネル形状を有する面とは反対面であり、音響フレネルレンズ1の出射面21を構成する。入射面11および出射面21は、それぞれ平坦な面である。入射面11が平坦な面であるので、音響フレネルレンズ1は、圧電素子2を入射面11に密着させて固定でき、圧電素子2が発生した超音波を効率よく内部に入射させることができる。
図3および図4を参照して、第一レンズ10の構造について説明する。図3および図4に示すように、第一レンズ10は、光学中心C1を中心にして、レンズ面5Aと非レンズ面5Bとを備える複数のプリズム5を同心円状に配置した、第一積層面12を備えている。第一積層面12は、第二レンズ20が積層される面であり、音響フレネルレンズ1の内側に配置される面である。本実施形態では、第一レンズ10はアクリル樹脂であるが、その他の合成樹脂製であってもよい。本実施形態においてはアクリル樹脂製である。第一レンズ10は、アクリル樹脂の原料を、図示しないモールド内で重合させること等によって得ることができる。
アクリル樹脂製の第一レンズ10の音響インピーダンスは、約3.3×106N・s/m3である。また、PZTである圧電素子2の音響インピーダンスは、約30×106N・s/m3である。音響インピーダンスは、媒質固有の密度によって異なる値になる。異なる媒質間を音波が伝播する場合、媒質間の音響インピーダンスの差が小さいほど、媒質間において音波の反射が生じにくい。音響フレネルレンズ1は、超音波振動子100の音源である圧電素子2の音響インピーダンスと第一レンズ10の音響インピーダンスを近づけるため、合成樹脂において比較的音響インピーダンスの高いアクリル樹脂で第一レンズ10を構成している。このため、音響フレネルレンズ1は、入射面11から超音波を入射させる際に、超音波の反射を低減して、圧電素子2が発生した超音波を効率よく内部に入射させることができる。
図3に示すように、レンズ面5Aは、平面視において所定のピッチで同心円状に複数配列される環状面として形成されている。複数のプリズム5は、頂点を上方に向けて配列されている。第一積層面12の平面視中央部には、複数のプリズム5の頂点よりも下方向に窪んだ部位である中央凹部13が設けられている。図4に示すように、レンズ面5Aは、中央凹部13の周囲において、中央凹部13の底面に対して斜め上方向に向けて傾斜している。中央凹部13の底面に対してレンズ面5Aが傾斜する角度は、第一レンズ10の焦点距離に対応する曲率半径を有する曲面に近似する角度である。レンズ面5Aがこのような角度を有して所定のピッチで同心円状に複数配列されており、また、第一積層面12の反対面である入射面11が平坦に形成されているので、第一レンズ10は、平凹レンズとして機能できる。言い換えると、レンズ面5Aは、第一レンズ10において、レンズとして作用する面である。本実施形態では、レンズ面5Aは平面であるが、レンズ面5Aは曲面を有していてもよい。
非レンズ面5Bは、レンズ面5Aの上端と第一積層面12とを連結する面である。本実施形態では、非レンズ面5Bは上下方向に垂直に延びる平面であるが、非レンズ面5Bは曲面を有していてもよい。また、非レンズ面5Bは、垂直方向に延びる平面に限られず、垂直方向に対して傾斜した斜面であってもよい。非レンズ面5Bは、レンズ面5Aとは異なる角度を有する面であり、第一レンズ10において、レンズとして直接作用しない面である。
第一積層面12において、プリズム5が配置されていない周縁部に、複数のプリズム5の頂点よりも下方向に窪んだ部位である受部30,30が設けられている。受部30,30は、図3に示す光学中心C1を通過する左右方向に平行なI−I直線上に配置されている。
図4に示す第一レンズ10の厚みD1は、例えば0.825mmである。音響インピーダンスの異なる媒質では、媒質中の音速が異なる。媒質における音波の波長λは、音速を周波数で除することで得られる。厚みD1は、第一レンズ10に入射する超音波の波長λの約4分の1である。入射面11から入射する超音波の一部は、入射面11の表面(圧電素子2に接する側の面)および入射面11の裏面(第一レンズ10の内部側の面)のそれぞれにおいて反射する。第一レンズ10の厚みD1が入射波の波長λの4分の1であると、入射面11の表面で反射した反射波と、入射面11の裏面で反射した反射波とが互いに打ち消し合うので、入射面11における入射波の反射率を低減できる。音響フレネルレンズ1は、第一レンズ10の厚みD1を入射波の波長λの4分の1とすることで、入射面11から入射する超音波の入射面11における反射を低減して、超音波の集束効率を向上できる。
図4のW1領域内に示すように、第一積層面12には、凸部7が設けられている。凸部7は、I−I矢視方向断面において、上方に向けて突出する三角形状を有する。凸部7は、プリズム5のレンズ面5Aの最下部と、隣接する他のプリズム5の非レンズ面5Bの最下部との間に配置されている。本実施形態において、凸部7は、レンズ面5Aに平行な面と非レンズ面5Bに平行な面を有している。凸部7が上方に突出する高さは、プリズム5の上下方向における長さであり、レンズ面5Aの向く方向の高さL1よりも小さい。凸部7は、第一レンズ10と第二レンズ20とが積層されるときに、レンズ面5Aに塗布される後述する接着剤8が、隣接するプリズム5の非レンズ面5Bに向けて流れ込まないようにする接着剤溜まりとして機能する。プリズム5は、左右方向における長さである幅M1を有する。
図5および図6を参照して、第二レンズ20の構造について説明する。図5および図6に示すように、第二レンズ20は、光学中心C2を中心にして、レンズ面6Aと非レンズ面6Bとを備える複数のプリズム6を同心円状に配置した、第二積層面22を備えている。第二積層面22は、第一レンズ10の第一積層面12に対して積層される面であり、音響フレネルレンズ1の内側に配置される面である。本実施形態では、第二レンズ20はシリコーン樹脂製であるが、その他の合成樹脂製であってもよい。第二レンズ20は、シリコーン樹脂の原料を、図示しないモールドに射出成型すること等によって得ることができる。
シリコーン樹脂製の第二レンズ20の音響インピーダンスは、約1.2×106N・s/m3である。第一レンズ10と第二レンズ20とは、それぞれ異なる音響インピーダンスを有する。音波は、音響インピーダンスの異なる媒質間を伝播するときに屈折する。音響フレネルレンズ1は、第一レンズ10と第二レンズ20とが異なる音響インピーダンスを有するので、音波を屈折するレンズ効果を発揮できる。また、シリコーン樹脂の音響インピーダンスは、水の音響インピーダンスに近似する。水の音響インピーダンスは、約1.5×106N・s/m3である。水の音響インピーダンスは人体の音響インピーダンスに近似している。このため、超音波診断装置の深触子等に超音波振動子100を用いる場合、シリコーン樹脂からなる音響フレネルレンズ1の出射面21から出射される超音波は、人体との境界において反射されにくい。
図5に示すように、レンズ面6Aは、平面視において、第一レンズ10においてレンズ面5Aが複数配列するピッチと同じ所定のピッチで同心円状に複数配列される環状面として形成されている。複数のプリズム6は、頂点を下方に向けて配列されている。第二積層面22の平面視中央部には、複数のプリズム6の頂点と上下方向における同じ位置まで隆起した部位である中央凸部23が設けられている。図6に示すように、レンズ面6Aは、中央凸部23の周囲において、中央凸部23の底面に対して斜め上方向に向けて傾斜している。中央凸部23の底面に対してレンズ面6Aが傾斜する角度は、第二レンズ20の焦点距離に対応する曲率半径を有する曲面に近似する角度である。レンズ面6Aがこのような角度を有して所定のピッチで同心円状に複数配列されており、また、第二積層面22の反対面である出射面21が平坦に形成されているので、第二レンズ20は、平凸レンズとして機能できる。言い換えると、レンズ面6Aは、第二レンズ20において、レンズとして作用する面である。本実施形態では、レンズ面6Aは平面であるが、レンズ面6Aは曲面を有していてもよい。
非レンズ面6Bは、レンズ面6Aの下端と第二積層面22とを連結する面である。本実施形態では、非レンズ面6Bは上下方向に垂直に延びる平面であるが、非レンズ面6Bは曲面を有していてもよい。また、非レンズ面6Bは、垂直方向に延びる平面に限られず、垂直方向に対して傾斜した斜面であってもよい。非レンズ面6Bは、レンズ面6Aとは異なる角度を有する面であり、第二レンズ20において、レンズとして直接作用しない面である。
第二積層面22において、複数のプリズム6が配置されていない縁端部に、複数のプリズム6の頂点と上下方向におけるほぼ同じ位置まで下方向に突出した部位である位置決めピン40,40が設けられている。位置決めピン40,40は、図5に示す光学中心C2を通過する左右方向に平行なII−II直線上に配置されている。位置決めピン40,40が受部30,30に嵌合するように第一レンズ10の第一積層面12と第二レンズ20の第二積層面22とを積層すると、音響フレネルレンズ1において、複数のプリズム5のそれぞれの間に、複数のプリズム6のそれぞれが交互に配置される(図10参照)。
図6に示す第二レンズ20の厚みD2は、例えば0.3mmである。この厚みD2は、レンズ面6Aから第二レンズ20へ入射する超音波の波長λの約4分の1である。音響フレネルレンズ1は、第二レンズ20の厚みD2を入射波の波長λの4分の1とすることで、レンズ面6Aから入射する超音波のレンズ面6Aにおける反射を低減して、超音波の集束効率を向上できる。
なお、図6のW2領域内に示すように、プリズム6は、上下方向における長さであり、レンズ面6Aの向く方向の高さL2、および左右方向における長さである幅M2をそれぞれ有する。本実施形態では、プリズム5の高さL1(図4のW1領域参照)は、プリズム6の高さL2よりも長い。また、プリズム5の幅M1は、プリズム6の幅M2よりも長い。言い換えると、プリズム5は、プリズム6よりも大きく構成されている。第一レンズ10は、圧電素子2の発生した超音波を最初に入射し、入射した超音波を第二レンズ20へ出射する。このため、第一レンズ10において超音波が出射されるレンズ面5Aの大きさが大きいほど、音響フレネルレンズ1は、超音波を効率よく第二レンズ20へ伝播できる。音響フレネルレンズ1は、プリズム5はプリズム6よりも大きく構成することで、プリズム5とプリズム6との大きさを同じくするよりもレンズ面5Aを大きく確保している。
図7から図10を参照して、音響フレネルレンズ1の製造工程を説明する。図7に示すように、音響フレネルレンズ1の製造工程は、塗布工程(S1)、位置決め工程(S2)、接着工程(S3)を備える。
まず、塗布工程(S1)について説明する。図8に示すように、塗布工程では、音響フ第一レンズ10のレンズ面5Aに、接着剤8が塗布される。レンズ面5Aへの接着剤8の塗布工程には、例えばスピンコート法が採用される。具体的には、第一積層面12を上側にして、第一レンズ10を図示しないスピナーに取り付ける。次いで、第一積層面12の中央凹部13の上に、図示しない公知のディスペンサで、所定量の接着剤8を滴下する。その後、スピナーを高速回転させることで、第一レンズ10を、光学中心C1を中心に高速回転させる。このとき、中央凹部13に滴下された接着剤8は、第一レンズ10の高速回転による遠心力で引き延ばされ、中央凹部13の周囲のレンズ面5Aに塗り広げられる。また、レンズ面5Aに塗り広げられた接着剤8の一部は、レンズ面5Aの上端部を経て、外側に隣接するレンズ面5Aに運ばれる。このとき、接着剤8は、第一レンズ10の高速回転による遠心力によって隣接するレンズ面5Aへ運ばれるので、非レンズ面5Bに接着剤8は付着し難い。また、図8のW3領域内に示すように、凸部7は、レンズ面5Aに塗布された接着剤8をレンズ面5A上に溜めて、隣接する非レンズ面5Bへ向けて接着剤8が流れることを防止する。適切な量の接着剤8および適切なスピナーの回転速度を事前の実験等で求めることにより、第一積層面12の複数のレンズ面5Aに対して、均一に接着剤8を塗布できる。
次いで、位置決め工程(S2)について説明する。図9に示すように、位置決め工程では、接着剤8の塗布工程においてレンズ面5Aに接着剤8の塗布された第一レンズ10に対して、第二レンズ20を積層するため、第一レンズ10と第二レンズ20とが相互に位置決めされる。この位置決め工程では、第一積層面12の受部30,30に、第二積層面22の位置決めピン40,40が嵌合する位置において、第一レンズ10の第一積層面12に対して、第二レンズ20の第二積層面22が対向配置される。この時、複数のプリズム5のそれぞれの間に、複数のプリズム6のそれぞれが交互に配置されるように、第一レンズ10と第二レンズ20とが位置決めされる。この位置決めがなされた後、第二レンズ20は、第一レンズ10に対して矢印Yの示す方向へ移動され、位置決めピン40,40が受部30,30に挿入される。受部30,30は、位置決めピン40,40を内部に受け入れて当接させる。また、受部30,30は、位置決めピン40,40と嵌合することで、積層された後の第一レンズ10と第二レンズ20とがずれないように固定できる。
次いで、接着工程(S3)について説明する。図10に示すように、接着工程では、第一レンズ10と第二レンズ20とが、位置決め工程において位置決められた配置で接着される。このとき、複数のプリズム5のそれぞれの間に、複数のプリズム6のそれぞれが交互に配置されるので、プリズム5のレンズ面5Aと、レンズ面5Aに対向配置されるプリズム6のレンズ面6Aとが、接着剤8によって接着される。本実施形態では、レンズ面5Aの配列するピッチとレンズ面6Aの配列するピッチが同じピッチである。また、プリズム5の大きさがプリズム6の大きさよりも大きいので、レンズ面5Aとレンズ面6Aとが接着されると、非レンズ面5Bと非レンズ面6Bとが、所定の隙間を形成して離間する。非レンズ面5Bと非レンズ面6Bとの間の隙間には空気が入り込み、空気層90が形成される。このような配置で積層された第一レンズ10と第二レンズ20は、接着剤8が硬化されることによって一体となり、音響フレネルレンズ1の製造工程が完了する。接着剤8には、種々のものを採用でき、接着剤成分が反応することによって硬化するものが用いられてもよいし、熱処理によって硬化するものが用いられてもよいし、UV光等の光エネルギーによって硬化するものが用いられてもよい。
図10のW4領域内に示すように、レンズ面5Aとレンズ面6Aとの間で硬化した接着剤8は、レンズ面5Aとレンズ面6Aとの間に接着剤層80を形成する。音響フレネルレンズ1は、接着剤8が硬化して接着剤層80を形成した場合に、接着剤層80の音響インピーダンスが、第一レンズ10の音響インピーダンスと第二レンズ20の音響インピーダンスとの間の音響インピーダンスとなる接着剤8を用いる。本実施形態では、接着剤8は、シリコーン系の接着剤である。接着剤8の音響インピーダンスは、第二レンズ20と同様の約1.2×106N・s/m3である。このようにして、音響フレネルレンズ1は、第一レンズ10のレンズ面5Aと第二レンズ20のレンズ面6Aとの間に、第一レンズ10とは異なる音響インピーダンスを有する接着剤層80を介在させる。このため、レンズ面5Aから接着剤層80へ出射する超音波は、レンズ面5Aと接着剤層80との境界面において屈折しやすい。また、接着剤層80を伝播する超音波は、レンズ面6Aとの界面における反射が低減された状態でレンズ面6Aに超音波が入射する。音響フレネルレンズ1は、超音波が入射する側から出射する側に向けて音響インピーダンスが徐々に低くなるので、入射面11から入射されて、レンズ面5A,6Aおよび接着剤層80を介して伝播する超音波を内部で屈折させながら集束して、出射面21から出射できる。
ここで、仮に音響フレネルレンズ1が単一の媒質でレンズ全体が構成されているとすると、上記のように、内部において徐々に超音波の屈折率を高めながら超音波を集束することができない。音響フレネルレンズ1は、異なる音響インピーダンスを有する媒質の境界面を、その内部に複数有することで、境界面ごとに超音波の屈折の度合いを制御して、音響フレネルレンズ1の超音波屈折率を所望のものに調整できる。また、このような超音波屈折率の調整を可能にすることで、音響フレネルレンズ1は、単一の媒質でレンズ全体を構成するよりも、音響フレネルレンズ1のレンズ効果を向上できる。
音響フレネルレンズ1において、超音波屈折率を所望のものに調整するためには、接着剤層80の厚みが均一であることが望ましい。厚みの均一な接着剤層80を形成するためには、対向配置されるレンズ面5Aとレンズ面6Aとが、平行になるように形成されていることが好ましい。
ここで、空気層90の音響インピーダンスは、約0.0004×106N・s/m3である。気体の層である空気層90の音響インピーダンスは、第一レンズ10、接着剤層80および第二レンズ20の音響インピーダンスと比較して非常に低い。非レンズ面5Bは、第一レンズ10において直接レンズとして作用しない面であるが、第一レンズ10の内部を伝播して非レンズ面5Bに到達した超音波の一部が非レンズ面5Bから出射する可能性がある。非レンズ面5Bから出射する超音波は、レンズ面5Aから出射する超音波とは出射角度が異なるので、第一レンズ10の焦点に到達せず、音響フレネルレンズ1による超音波の集束に寄与しない。また、非レンズ面5Bから出射する超音波が、非レンズ面5Bに対向配置する非レンズ面6Bから入射する可能性がある。非レンズ面6Bは、第二レンズ20において直接レンズとして作用しない面であり、非レンズ面6Bから入射する超音波は、レンズ面6Aから入射する超音波とは入射角度が異なる。このため、非レンズ面6Bから入射した超音波は、第二レンズ20の焦点に到達せず、第二レンズ20の内部で反射を繰り返し、音響フレネルレンズ1による超音波の集束に寄与しない。
音響フレネルレンズ1は、このようなレンズとして作用しない非レンズ面5Bと非レンズ面6Bとの間に、非レンズ面5B,6Bの音響インピーダンスに比較して非常に低い音響インピーダンスを有する空気層90を設けている。これによって、音響フレネルレンズ1は、非レンズ面5Bから超音波が出射され難くできる。また、仮に非レンズ面5Bから空気層90へ超音波が出射されたとしても、空気層90と非レンズ面6Bとでは音響インピーダンスが非常に異なるので、超音波は、空気層90から非レンズ面6Bへ入射し難い。したがって、音響フレネルレンズ1は、非レンズ面5Bと非レンズ面6Bとの間に空気層90を設けることで、集束に寄与しない超音波が音響フレネルレンズ1の内部を伝播する可能性を低減し、超音波の集束性能を向上できる。
音響フレネルレンズ1において、集束に寄与しない超音波が非レンズ面5Bおよび非レンズ面6Bを介して伝播することを防止するためには、空気層90が所定の厚みを保つことが望ましい。所定の厚みを保った空気層90を形成するためには、対向配置される非レンズ面5Bと非レンズ面6Bとが、平行になるように形成されていることが好ましい。
図10のW4領域内に示すように、音響フレネルレンズ1は、凸部7の上部を、プリズム6の最下部である頂点に当接するように配置している。このため、凸部7は、接着剤8が完全に硬化するまでの間に、接着剤8が空気層90へ流れ込むことを防止して、接着剤層80と空気層90とを隔離している。接着工程において、仮に接着剤8が空気層90へ流れ込んだ場合、非レンズ面5Bと非レンズ面6Bとの間にも接着剤層80が形成され、集束に寄与しない超音波が非レンズ面5Bおよび非レンズ面6Bを介して伝播しやすくなることがある。また、逆に、接着剤層80の方へ空気層90の空気が流れ込んだ場合、接着剤層80を介したレンズ面5Aからレンズ面6Aへの超音波の伝播が阻害されることがある。このような事象を防止するために、音響フレネルレンズ1は、接着工程において接着剤層80と空気層90とを確実に隔離して、音響フレネルレンズ1における超音波の集束性能を向上できる。
以上説明したように、音響フレネルレンズ1において、第一レンズ10の入射面11から入射された超音波は、第二レンズ20の出射面21から出射される。第一レンズ10と第二レンズ20とは、接着剤層80を介して、第一積層面12および第二積層面22において積層される。接着剤層80は、プリズム5のレンズ面5Aから出射される超音波を、対向配置されるプリズム6のレンズ面6Aへ伝達できる。一方、空気層90における音響インピーダンスは、第一レンズ10および第二レンズ20におけるものに比べて非常に小さい。故に、プリズム5の非レンズ面5Bから出射された超音波は、空気層90において減衰し、プリズム6の非レンズ面6Bからは入射されにくい。このようにして、音響フレネルレンズ1は、超音波の漏れを有効に防止できる空気層90を形成でき、且つ、超音波を効率よく集束できる。
異なる音響インピーダンスを有する媒質の境界面において、超音波は屈折する。第一レンズ10はアクリル樹脂からなる。第二レンズ20は、シリコーン樹脂からなる。第一レンズ10および第二レンズ20は、音響インピーダンスが互いに異なる材料で構成されるので、音響フレネルレンズ1は音波を集束するレンズ効果を発揮できる。
第一レンズ10の音響インピーダンスは、第二レンズ20の音響インピーダンスよりも高い。また、接着剤層80の音響インピーダンスは、第一レンズ10の音響インピーダンスよりも低く、第二レンズ20の音響インピーダンスと同様の値である。音響フレネルレンズ1は、その内部に、異なる音響インピーダンスを有する媒質の境界面を有するので、境界面ごとに音波の屈折率を制御できる。また、第一レンズ10から第二レンズ20に向けて、段階的に音響インピーダンスが小さくなるので、音響フレネルレンズ1は、入射面11から入射した超音波を効率よく集束させて出射面21から出射できる。
接着剤層80と空気層90とは、凸部7によって隔離されるので、例えば接着剤層80に空気層90の空気が流れ込み、レンズ面5Aからレンズ面6Aへ向けての超音波の伝達が空気層90の空気によって阻害される可能性を低減できる。したがって、音響フレネルレンズ1は、第一レンズ10から第二レンズ20に向けて効率よく超音波を伝達できる。
凸部7は、第一積層面12に設けられ、第一積層面12からプリズム6の頂点に向けて突出している。このため、音響フレネルレンズ1は、凸部7において接着剤層80と空気層90とを確実に隔離できる。
音響フレネルレンズ1は、受部30,30に位置決めピン40,40を嵌合させることで、第一レンズ10および第二レンズ20が積層された状態からずれることを防止できる。
音響フレネルレンズ1は、プリズム5の高さL1をプリズム6の高さL2よりも大きく構成することで、プリズム5とプリズム6との大きさを同じくするよりもレンズ面5Aを大きく確保して、効率よく超音波を集束できる。
音響フレネルレンズ1は、第一レンズ10の厚みD1および第二レンズ20の厚みD2を、それぞれ、第一レンズ10および第二レンズ20へ入射する超音波の波長の約4分の1とすることで、第一レンズ10および第二レンズ20へ入射する超音波の反射を効果的に防止できる。
本実施形態において、音響フレネルレンズ1が、本発明の「音響フレネルレンズ」に相当し、第一レンズ10が、本発明の「第一フレネルレンズ」に相当し、第二レンズ20が、本発明の「第二フレネルレンズ」に相当する。入射面11が、本発明の「入射面」に相当し、第一積層面12が、本発明の「第一積層面」に相当する。第二積層面22が、本発明の「第二積層面」に相当し、出射面21が、本発明の「出射面」に相当する。プリズム5が、本発明の「第一プリズム」に相当し、レンズ面5Aが、本発明の「第一レンズ面」に相当し、非レンズ面5Bが、本発明の「第一非レンズ面」に相当する。プリズム6が、本発明の「第二プリズム」に相当し、レンズ面6Aが、本発明の「第二レンズ面」に相当し、非レンズ面6Bが、本発明の「第二非レンズ面」に相当する。接着剤層80が、本発明の「接着剤層」に相当し、空気層90が、本発明の「空気層」に相当する。凸部7が、本発明の「隔離部材」に相当し、受部30,30および位置決めピン40,40が、本発明の「位置決め手段」に相当する。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。図11を参照して、本発明の変形例について説明する。変形例の音響フレネルレンズ200は、第一レンズ110と第二レンズ120とが積層されてなる。音響フレネルレンズ200は、上記実施形態の音響フレネルレンズ1が備える受部30,30および位置決めピン40,40に替えて、位置決め部130,130と、位置決め部130,130が当接する当接部140,140を備えている。図11に示すように、位置決め部130,130は、第一レンズ110の左右の両端部に設けられ、上端部が第一積層面12よりも上方に向けて突出する突出部である。位置決め部130,130の上端部は、第二レンズ120の外径よりも外側から第二レンズ120を挟持可能な位置に配置されている。当接部140,140は、第二レンズ120の左右の両端部であって、第一レンズ110と第二レンズ120とが積層された状態で、位置決め部130,130の内側と当接部140,140とが当接することで、第一レンズ110と第二レンズ120との積層位置を位置決めする。このように、第一レンズ10と第二レンズ20との積層位置を位置決めするための位置決め手段は、上記実施形態の受部30,30および位置決めピン40,40に限られず、種々の手法が採用されてよい。変形例において、位置決め部130,130および当接部140,140が、本発明の「位置決め手段」に相当する。
また、音響フレネルレンズ1において接着剤層80と空気層90とを隔離するための部材は、上記実施形態において第一積層面12に備えられた凸部7に限られない。図11のW5領域内に示すように、変形例における音響フレネルレンズ200は、接着剤層80と空気層90とを隔離するための部材として、上記実施形態の凸部7に替えて、凸部70を備える。凸部70は、プリズム6の頂点から下方に延びる突出部である。凸部70の下端部は、第一レンズ10と第二レンズ20とが積層された状態で、プリズム5のレンズ面5Aの下端部に当接する。これにより、凸部70は、接着剤層80と空気層90とを確実に隔離できる。このように、接着剤層80と空気層90とを隔離するための部材は、第二積層面22に備えられていてもよい。また、この他に、接着剤層80と空気層90とを隔離するための部材が、第一積層面12および第二積層面22の双方に設けられていてもよい。即ち、接着剤層80と空気層90とを隔離するための部材は、第一積層面12および第二積層面22の少なくともいずれかに設けられていればよい。変形例において、凸部70が、本発明の「隔離部材」に相当する。
本発明は、上記の実施形態および変形例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、音響フレネルレンズ1の平面視における外形は、円形に限られず、例えば矩形等としてもよい。また、音響フレネルレンズ1において、複数のプリズム5,6は、第一レンズ10および第二レンズ20の光学中心C1,C2に対して同心円状に配置されていなくてもよく、例えば直線状に並列されていてもよい。即ち、音響フレネルレンズ1はリニアフレネルレンズであってもよい。
上記実施形態において、音響フレネルレンズ1の出射面21は平面であるが、出射面21の形状はこれに限られない。例えば、出射面21は曲面を有していてもよい。この場合、出射面21が凸レンズとして作用するため、音響フレネルレンズ1による超音波の集束効果をさらに向上できる。
上記実施形態では、第一レンズ10の厚みD1および第二レンズ20の厚みD2を、それぞれ第一レンズ10および第二レンズ20へ入射する超音波の波長の約4分の1としている。例えば、第一レンズ10の厚みD1および第二レンズ20の厚みD2を、それぞれ、第一レンズ10および第二レンズ20へ入射する入射波の波長λの約4分の1の奇数倍としてもよい。この場合であっても、音響フレネルレンズ1は、第一レンズ10および第二レンズ20へ入射する超音波の反射を低減して、集束効率を向上できる。
上記実施形態では、第二レンズ20と同様の音響インピーダンスを有する接着剤層80を形成可能な接着剤8を用いている。接着剤層80の音響インピーダンスは、第二レンズ20と同様のものに限られず、接着剤層80は、第一レンズ10の音響インピーダンスと、第二レンズ20の音響インピーダンスとの間の音響インピーダンスを有してもよい。この場合、音響フレネルレンズ1は、異なる音響インピーダンスを有する媒質の境界面を内部に複数有することができるので、境界面ごとに音波の屈折率を制御できる。
音響フレネルレンズ1に入射される入射波は、超音波に限られず、超音波よりも周波数の低い音波であってもよい。音響フレネルレンズ1は、例えば、人間の可聴範囲の音波を入射面11から入射し、内部で集束させて、出射面21から出射することができる。
1,200 音響フレネルレンズ
5,6 プリズム
5A,6A レンズ面
5B,6B 非レンズ面
7,70 凸部
8 接着剤
10,110 第一レンズ
11 入射面
12 第一積層面
20,120 第二レンズ
21 出射面
22 第二積層面
30,30 受部
40,40 位置決めピン
80 接着剤層
90 空気層
130,130 位置決め部
140,140 当接部
5,6 プリズム
5A,6A レンズ面
5B,6B 非レンズ面
7,70 凸部
8 接着剤
10,110 第一レンズ
11 入射面
12 第一積層面
20,120 第二レンズ
21 出射面
22 第二積層面
30,30 受部
40,40 位置決めピン
80 接着剤層
90 空気層
130,130 位置決め部
140,140 当接部
Claims (9)
- 入射された音波を集束して出射させる音響フレネルレンズであって、
レンズ面と非レンズ面とを有するプリズムが複数配列された第一フレネルレンズと、
前記第一フレネルレンズに積層される第二フレネルレンズとを備え、
前記第一フレネルレンズは、
音波が入射する入射面と、
前記入射面とは反対面であって、前記第二フレネルレンズが積層される第一積層面とを備え、
前記第二フレネルレンズは、
前記第一フレネルレンズの前記第一積層面に積層される第二積層面と、
前記第二積層面とは反対面であって、音波を出射する出射面とを備え、
前記第一積層面は、第一レンズ面と、前記第一レンズ面の向く方向と異なる方向を向く第一非レンズ面とを有する複数の第一プリズムを備え、
前記第二積層面は、第二レンズ面と、前記第二レンズ面の向く方向と異なる方向を向く第二非レンズ面とを有する複数の第二プリズムを備え、
前記複数の第一プリズムのそれぞれの間に、前記複数の第二プリズムのそれぞれが交互に配置され、
前記第一レンズ面と前記第二レンズ面との間に、前記第一レンズ面と前記第二レンズ面とを接着する接着剤で構成された接着剤層が設けられ、
前記第一非レンズ面と前記第二非レンズ面との間に、所定の隙間を空けて離間する空気層が設けられていること
を特徴とする音響フレネルレンズ。 - 前記第一フレネルレンズと前記第二フレネルレンズとは、音響インピーダンスが互いに異なる材料で構成されることを特徴とする請求項1に記載の音響フレネルレンズ。
- 前記第一フレネルレンズは、前記接着剤層よりも大きな音響インピーダンスを有し、且つ、前記接着剤層は、前記第二フレネルレンズと同じであるかまたは前記第二フレネルレンズよりも大きな音響インピーダンスを有することを特徴とする請求項1または2に記載の音響フレネルレンズ。
- 前記第一積層面および前記第二積層面のうち少なくともいずれかに、前記接着剤層と前記空気層とを隔離するための隔離部材が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の音響フレネルレンズ。
- 前記隔離部材は、前記第一積層面に設けられ、前記第一積層面から前記第二プリズムに向けて突出する突状部であることを特徴とする請求項4に記載の音響フレネルレンズ。
- 前記第一フレネルレンズの前記第一積層面に対して、前記第二フレネルレンズの前記第二積層面の位置決めを行う位置決め手段を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の音響フレネルレンズ。
- 前記第一プリズムの前記第一レンズ面の向く方向の高さは、前記第二プリズムの前記第二レンズ面の向く方向の高さよりも大きいことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の音響フレネルレンズ。
- 前記第一フレネルレンズおよび前記第二フレネルレンズのそれぞれの厚みは、前記入射面から入射する音波の波長の四分の一であることを特徴とすることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の音響フレネルレンズ。
- 入射された音波を集束して出射させる音響フレネルレンズであって、
前記音響フレネルレンズは、
レンズ面と非レンズ面とを有するプリズムが複数配列された第一フレネルレンズと、
前記第一フレネルレンズに積層される第二フレネルレンズとを備え、
前記第一フレネルレンズは、
音波が入射する入射面と、
前記入射面とは反対面であって、前記第二フレネルレンズが積層される第一積層面とを備え、
前記第二フレネルレンズは、
前記第一フレネルレンズの前記第一積層面に積層される第二積層面と、
前記第二積層面とは反対面であって、音波を出射する出射面とを備え、
前記第一積層面は、第一レンズ面と、前記第一レンズ面の向く方向と異なる方向を向く第一非レンズ面とを有する複数の第一プリズムを備え、
前記第二積層面は、第二レンズ面と、前記第二レンズ面の向く方向と異なる方向を向く第二非レンズ面とを有する複数の第二プリズムを備えるものであって、
前記第一レンズ面に接着剤を塗布する塗布工程と、
前記第一フレネルレンズの前記第一積層面に対し、前記第二フレネルレンズの前記第二積層面を対向して配置し、前記複数の第一プリズムのそれぞれの間に、前記複数の第二プリズムのそれぞれが交互に配置されるように、前記第一フレネルレンズと前記第二フレネルレンズとを相互に位置決めする位置決め工程と、
前記位置決め工程において位置決めされた前記第一フレネルレンズと前記第二フレネルレンズにおいて、前記塗布工程において前記接着剤が塗布された前記第一レンズ面に対し、前記接着剤が塗布されていない前記第二積層面を接着することによって、前記第一レンズ面と前記第二レンズ面とを接着する接着剤層を形成するとともに、
前記第一非レンズ面と、前記第二非レンズ面との間に、前記第一非レンズ面と前記第二非レンズ面とを所定の隙間を空けて離間する空気層を形成する接着工程と
を備えたことを特徴とする音響フレネルレンズの製造方法。
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JP2015039023A JP6123825B2 (ja) | 2015-02-27 | 2015-02-27 | 音響フレネルレンズおよびその製造方法 |
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